説明

太陽光発電装置

【課題】設置場所の移動が可能であって、太陽の向きに対応して太陽光発電パネルの姿勢を変更することができ、設置後の安定性も良好な太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】太陽光発電装置100は、設置面F上に載置可能な円形軌道10と、長方形状の太陽光発電パネル30を起伏可能に支持する平面視形状が四角形状の架台20と、円形軌道10と架台20との間に介在し円形軌道10に沿って移動可能な状態で架台20に装着された複数の車輪21と、を備えている。複数の車輪21は架台20の角隅部分に突設された支持部26に回転可能に軸支されている。太陽光発電パネル30は、その前縁部31が蝶番部材32を介して架台20の前縁部22の上面に回転可能に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置場所を変更可能な移動式の太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、設置場所を変更可能な移動式の太陽光発電装置に対する要請が高まり、様々な構造、機能を有するものが提案されているが、本願に関連するものとして、例えば、特許文献1記載の「移動式太陽電池発電装置」、特許文献2記載の「可動型太陽電池」あるいは特許文献3記載の「移動式ソーラーシステム」などがある(以下、「太陽光発電装置」と総称する。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−282918号公報
【特許文献2】特開2005−159163号公報
【特許文献3】特開2010−34190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の「太陽光発電装置」においては、太陽光発電パネルが起伏可能であるため、太陽の高さに応じて太陽光発電パネルの姿勢を調整することができるが、水平方向の太陽光発電パネルの向きを変更するためには、当該装置全体を設置面上で旋回させなければならないので、日の出から日没までの間に大きく変化する太陽の向きに追従することが困難である。
【0005】
一方、特許文献2,3記載の「太陽光発電装置」は、太陽光発電パネルを起伏可能に支持する構造体に車輪が設けられているので、水平方向の太陽光発電パネルの向きの変更も比較的容易であるが、大型の太陽光発電パネルを必要とする太陽光発電装置には不向きである。
【0006】
即ち、特許文献2,3記載の「太陽光発電装置」は、設置面に直接、当接する車輪によって装置全体の重量を支える方式であるため、大型で大重量の太陽光発電パネルを備えた場合、装置全体の重量が車輪のみに集中する結果、所定の場所に設置した後、車輪から設置面に集中して加わる荷重によって設置面が凹んで、安定性が損なわれる可能性がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、設置場所の移動が可能であって、太陽の向きに対応して太陽光発電パネルの姿勢を変更することができ、設置後の安定性も良好な太陽光発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の太陽光発電装置は、設置面上に載置可能な円形軌道と、太陽光発電パネルを起伏可能に支持する架台と、前記円形軌道に沿って前記架台を回転可能に支持するため前記円形軌道と前記架台との間に介在された回転部材若しくは滑動部材と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、所定の設置予定場所に当該太陽光発電装置を運び込み、設置面上に円形軌道を載置し、その上に架台を載せ、太陽光発電パネルの傾斜角度及び向きを調整するだけで稼働可能な状態となる。即ち、本発明に係る太陽光発電装置は、任意の設置場所に運び込んで、前述した操作を行うだけで使用可能となるため、設置場所の移動が可能である。
【0010】
また、架台に起伏可能に支持された太陽光発電パネルは、その傾斜角度を変更することができるだけでなく、架台とともに円形軌道に沿って回転可能であるため、太陽の向きに対応して太陽光発電パネルの姿勢を変更することができる。
【0011】
さらに、太陽光発電パネルを支持する架台などの重量は、回転部材若しくは滑動部材を介して円形軌道全体に分散された状態で設置面に加わるため、荷重の集中によって設置面に凹みや沈下が生じるのを抑制することができ、設置後の安定性も良好である。
【0012】
ここで、前記円形軌道に対する前記架台の回転を阻止する係脱可能な係止手段を設けることが望ましい。
【0013】
このような構成とすれば、円形軌道に沿って回転させて太陽光発電パネルの向きを調整した後の架台を、その位置から回転しないように係止手段でロックすることができるため、太陽光発電パネルの姿勢を安定的に保持することができる。また、係止手段を解除すれば、架台は円形軌道に沿って回転可能となるため、太陽光発電パネルの向きの再調整も容易である。
【0014】
また、前記架台に、液体を貯留・排出可能な液体タンクを設けることもできる。
【0015】
このような構成とすれば、太陽光発電装置を設置した後、液体タンクに水などの液体を注入することにより、当該液体タンクを架台の重りとして機能させることができるので、安定性向上に有効である。また、液体タンク内の液体を排出すれば、重量は軽くなるので、太陽光発電装置の移動、設置あるいは撤収の際の作業性を阻害することもない。
【0016】
さらに、前記円形軌道に、当該太陽光発電装置を移動可能に支える回転体を設けることもできる。このような構成とすれば、当該太陽光発電装置を設置予定面まで搬送する際の作業性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、設置場所の移動が可能であって、太陽の向きに対応して太陽光発電パネルの姿勢を変更することができ、設置後の安定性も良好な太陽光発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態である太陽光発電装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態である太陽光発電装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の第3実施形態である太陽光発電装置を太陽光発電パネル直立状態で示す正面図である。
【図4】図3に示す太陽光発電装置の側面図である。
【図5】図3に示す太陽光発電装置の一部省略平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態である太陽光発電装置を太陽光発電パネル直立状態で示す正面図である。
【図7】図6に示す太陽光発電装置の側面図である。
【図8】本発明の第5実施形態である太陽光発電装置を太陽光発電パネル直立状態で示す一部省略正面図である。
【図9】図8に示す太陽光発電装置の一部省略正面図である。
【図10】図8に示す太陽光発電装置を太陽光発電パネル傾斜状態で示す一部省略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示す太陽光発電装置100は、設置面F上に載置可能な円形軌道10と、長方形状の太陽光発電パネル30を起伏可能に支持する平面視形状が四角形状の架台20と、円形軌道10と架台20との間に介在し円形軌道10に沿って移動可能な状態で架台20に装着された回転体である複数の車輪21と、を備えている。複数の車輪21は架台20の角隅部分に突設された支持部26に回転可能に軸支されている。
【0020】
太陽光発電パネル30は、その前縁部31が蝶番部材32を介して架台20の前縁部22の上面に回転可能に取り付けられている。太陽光発電パネル30背面の角隅部33寄りの部分には、棒形状をしたステー部材23の上端部が起伏可能に軸支され、このステー部材23の下端部が、雌ネジ部(図示せず)を有するスライダ24に起伏可能に軸支されている。
【0021】
スライダ24は、太陽光発電パネル30の前縁部31と直交する水平方向に回転可能に配置された雄ネジ部材27に螺合され、架台20の後縁部28から突出する雄ネジ部材27の後端部に、当該雄ネジ部材27を回転させるための操作ハンドル29が設けられている。
【0022】
操作ハンドル29を正転・逆転させると、太陽光発電パネル30が矢線A方向に沿って起伏する。太陽光発電パネル30は、直立に起立した状態と水平に倒伏した状態との範囲内で起伏可能であり、この範囲内の任意の傾斜角度で保持することができる。
【0023】
架台20の角隅部分に突設された支持部26には、円形軌道10に沿って車輪21が移動するのを阻止するための係脱可能な係止手段19が設けられている。係止手段19は支持部26に固着されたガイド管19aと、ガイド管19a内に昇降可能に装入された係止杆19bと、係止杆19bを係止位置及び解除位置でそれぞれ保持するためのストッパ(図示せず)と、を備えている。係止手段19を解除させた状態で、架台20に円形軌道10方向に沿った回転力を加えると、架台20は、鉛直方向の仮想中心線C(円形軌道10の中心線)を中心に矢線B方向に回転する。
【0024】
ここで、太陽光発電装置100の使い方について説明する。設置予定場所に当該太陽光発電装置100を運び込み、設置面F上に円形軌道10を載置し、その上に車輪21を当接させた状態で架台20を載せる。この後、架台20を矢線B方向に回転させることによって太陽光発電パネル30の水平方向の向きを適切に設定し、係止手段19の係止杆19を下降させて、その下端部を円形軌道10に係合させ、ストッパ(図示せず)で保持すると、架台20はその位置で固定される。
【0025】
この後、架台20の後縁部28側にある操作ハンドル29を回転させ、太陽光発電パネル30を矢線A方向に起伏させることにより、その傾斜角度を適切に設定すれば、太陽光発電装置100は稼働可能な状態になる。なお、太陽光発電パネルの向きと傾斜角度の調整は、前述と逆の手順で行うこともできる。
【0026】
このように、太陽光発電装置100は、任意の設置場所に運び込んで、前述した操作を行えば、使用可能な状態となるので、設置場所の移動が可能である。また、架台20に起伏可能に支持された太陽光発電パネル30は、その傾斜角度を変更することができるだけでなく、架台20とともに円形軌道10に沿って回転可能であるため、太陽の向きに対応して太陽光発電パネル30の姿勢を変更することができる。
【0027】
さらに、太陽光発電パネル30を支持する架台20などの重量は、複数の車輪21を介して円形軌道10全体に分散された状態で設置面Fに加わるため、荷重の集中によって設置面Fに凹みや沈下が生じるのを抑制することができ、設置後の安定性も良好である。
【0028】
また、円形軌道10に沿って車輪21が移動するのを阻止する係脱可能な係止手段19を設けたことにより、円形軌道10に沿って回転させて太陽光発電パネル30の向きを調整した後の架台20を、その位置から回転しないように係止手段19でロックすることができるため、太陽光発電パネル30の姿勢を安定的に保持することができる。また、係止杆19bを上昇させて円形軌道10から離脱させ、係止手段19を解除すれば、架台20は円形軌道10に沿って回転可能となるため、太陽光発電パネル30の向きの再調整も容易である。
【0029】
太陽光発電装置100においては、円形軌道10に対する架台20の回転手段として車輪21を用いているが、これに限定しないので、円形軌道10に沿って滑りながら移動する滑動部材や摺動部材(図示せず)あるいはベアリングなどを採用することもできる。
【0030】
次に、図2に基づいて、本発明の第2実施形態である太陽光発電装置200について説明する。なお、太陽光発電装置200において、図1に示す太陽光発電装置100と共通する構造、機能を有する部分については、図1に示す符号と同符号を付して説明を省略する。
【0031】
図2に示す太陽光発電装置200においては、架台20の下面側に、液体を貯留・排出可能な複数の液体タンク40を設け、これらの液体タンク40を互いに連通管41を介して接続している。車輪21は、それぞれの液体タンク40の下面側に回転可能に軸支されている。
【0032】
太陽光発電装置200を設置面F上に設置した後、液体タンク40に水などの液体を注入すれば、当該液体タンク40が架台20の重りとして機能するので、設置後の安定性向上に有効である。また、液体タンク40内の液体を排出すれば、重量は軽くなるので、太陽光発電装置200の移動、設置あるいは撤収の際の作業性を阻害することもない。
【0033】
複数の液体タンク40は連通管41で互いに接続されているので、いずれか一つの液体タンク40に液体の注入、排出を行うことにより、複数の液体タンク40全体への液体の注入、排出を行うことができる。また、架台20と各液体タンク40とは着脱可能であり、液体タンク40と連通管41とは着脱可能であるため、設置場所まで搬送するとき、あるいは撤収、移動のときには、必要に応じて、各部材ごとに分解することもできる。
【0034】
次に、図3〜図5に基づいて、本発明の第3実施形態である太陽光発電装置300について説明する。図3〜図5に示すように、太陽光発電装置300は、設置面F上に載置可能な円形軌道50と、太陽光発電パネル30を起伏可能に支持する格子構造の架台51と、円形軌道50に沿って架台51を回転可能に支持するため円形軌道50と架台51との間に介在された滑動部材52と、を備えている。滑動部材52は円形軌道50と同じ形状、サイズの円形部材であり、架台51の下面側に取り付けられている。滑動部材52は、円形軌道50上に同心状態で上下に重なるように配置され、円形軌道50及び滑動部材52の中心部分に設けられた軸支機構53を介して、回転自在に取り付けられている。円形軌道50と滑動部材52との間には複数のベアリング(図示せず)が介在されているので、滑動部材52は円形軌道50に対して軸支機構53を中心に回転自在である。
【0035】
軸支機構53は、円形軌道50の中心に開口部を上に向けた状態で垂直方向に取り付けられた円筒体(図示せず)に対し、滑動部材52の中心に端部を下に向けた状態で垂直下方に取り付けられた円柱状(若しくは円筒状)のボス(図示せず)を、回転自在に差し込むことによって形成されている。前記円筒体は、円形軌道50の内側に直径方向に交差して配置された複数の支持部材(図示せず)を介して、当該円形軌道50の中心に取り付けられ、前記ボスは円形の滑動部材52の直径方向に交差して配置された複数の支持部材(図示せず)を介して、当該滑動部材52の中心に取り付けられている。なお、軸支機構53に限定するものではないので、前述した円筒体とボスとの上下位置を逆にした軸支機構あるいはその他の周知技術を採用することもできる。
【0036】
太陽光発電パネル30は、その前縁部31が、蝶番部材32を介して架台51の前縁部51aの上面に回転可能に取り付けられている。太陽光発電パネル30の背面の複数個所には、棒形状をしたステー部材54の上端部がブラケット34を介して起伏可能に軸支され、ステー部材54の下端部は、架台51の左右方向(図3,図5中の矢線X方向)に配置されたスライド板59に、それぞれブラケット35を介して起伏可能に軸支されている。
【0037】
図5に示すように、スライド板59は、架台51の中央部に前後方向(矢線Y方向)に配置された雄ネジ部材56と、その左右に雄ネジ部材56と平行に配置されたバー材56aに対し、それぞれスライダ55,55aを介して取り付けられている。中央部のスライダ55は雌ネジ部(図示せず)を介して雄ネジ部材56に螺合され、左右のスライダ55aはそれぞれバー材56aに沿って摺動可能に取り付けられている。
【0038】
雄ネジ部材56は架台51に回転可能に取り付けられ、架台51の後縁部51bから突出する雄ネジ部材56の後端部に、当該雄ネジ部材56を回転させるための操作ハンドル58が設けられている。操作ハンドル58を正転・逆転させると、スライダ55が雄ネジ部材56に沿って前後方向(矢線Y方向)に移動し、これに伴ってスライド板59が前後方向(矢線Y方向)に移動して複数のステー部材54が同時に起伏する。これにより、図4に示すように、太陽光発電パネル30が矢線D方向に沿って起伏する。太陽光発電パネル30は、図4に示すように、直立した状態と水平に倒伏した状態との範囲内で起伏可能であり、この範囲内の任意の傾斜角度で保持することができる。
【0039】
太陽光発電装置300を使用する場合、設置予定場所まで太陽光発電装置300を搬入し、設置面F上に円形軌道50を接地させた状態で載置した後、架台51を滑動部材52とともに、軸支機構53を中心に回転させることによって太陽光発電パネル30の水平方向の向きを設定し、操作ハンドル58を回転させることによって太陽光発電パネル30の傾斜角度を設定する。太陽光パネル30の傾斜角度の設定が完了したら、左右のスライダ55aに設けられているロック手段(図示せず)を操作し、スライダ55aがバー材56aに沿ってスライドしないように係止する。なお、傾斜角度を調整するときは、前記ロック手段を解除すれば、スライダ55aはバー材56aに沿ってスライド可能となる。
【0040】
このように、太陽光発電装置300においては、太陽光発電パネル30の水平方向の向き及び角度は任意に変更することができるので、太陽の向きに対応した姿勢にすることができる。なお、太陽光発電装置300を設置した後の安定性を向上させるため、アンカー材(図示せず)を用いて円形軌道50を設置面F上に固定することもできる。
【0041】
また、図4に示すように、バー材56aが降雨などによって水濡れして発錆するのを防止するため、半円管状の防水カバー36をバー材56aの露出部分に着脱可能に装着することもできる。防水カバー36には折曲部36aが設けられているので、装着しようとするバー材56aの露出部分の長さに合わせて、折曲部36aで折り曲げて長さ調整をすることができる。
【0042】
さらに、太陽光発電装置300においては、円形軌道50と、滑動部材及び架台51と、太陽光発電パネル30及び支持枠37と、に3分割することができるので、設置場所までの搬送性や不使用時の保管性も良好である。
【0043】
次に、図6,図7に基づいて、本発明の第4実施形態である太陽光発電装置400について説明する。なお、太陽光発電装置400において、図3,図4に示す太陽光発電装置300と共通する構造、機能を有する部分については、図3,4に示す符号と同符号を付して説明を省略する。
【0044】
図6,図7に示す太陽光発電装置400においては、円形軌道50の下面側に、当該太陽光発電装置400を移動可能に支える回転体である4個のキャスタ61と、4個のストッパ62と、が設けられている。キャスタ61は転動自在及び方向変換自在に取り付けられ、ストッパ62はネジ機構を介して円形軌道50から設置面Fに向かって進退可能に取り付けられている。キャスタ61及びストッパ62は円形軌道50の円周方向に沿って45度間隔で交互に配置されているが、配置個数や配置間隔を限定するものではない。
【0045】
太陽光発電装置400の場合、各ストッパ62のネジ機構62aを利用して、その下端の接地部62bを設置面Fから離れさせれば、太陽光発電装置400は複数のキャスタ61によって支えられた状態となるので、架台51などに水平方向の力を加えることにより、任意の方向に移動可能であり、太陽光発電装置400を設置予定面まで搬送する際の作業性が良好である。
【0046】
また、太陽光発電装置400を設置面F上に搬入した後、各ストッパ62のネジ機構62aを利用して、それぞれの接地部62bを設置面Fに接地させれば、太陽光発電装置400は、複数のストッパ62により、その位置に安定保持される。また、複数のストッパ62の接地部62bの上下位置は、それぞれネジ機構により調整可能であるため、設置面Fに若干の凹凸があっても、太陽光発電装置400を、設置面F上にガタツキなく設置することができる。なお、太陽光発電装置400を設置した後の安定性をさらに向上させるため、ストッパ62の代わりにアンカー材(図示せず)を用いて円形軌道50を設置面F上に固定することもできる。
【0047】
さらに、太陽光発電装置400においては、円形軌道50と、滑動部材52及び架台51と、は分離可能であり、ブラケット34をステー部材54から離脱させ、架台51に対して太陽光発電パネル30を左右いずれかの方向(矢線Xのいずれか一方向)にスライドさせると、蝶番部材32が分離して、太陽光発電パネル30及びその支持枠37を架台51から取り外すことができる。即ち、太陽光発電装置400は、円形軌道50と、滑動部材及び架台51と、太陽光発電パネル30及び支持枠37と、に3分割することができるので、設置場所までの搬送性や不使用時の保管性も良好である。
【0048】
次に、図8〜図10に基づいて、本発明の第5実施形態である太陽光発電装置500について説明する。なお、図8〜図10に示す太陽光発電装置500において、図1〜図7に示す太陽光発電装置100,200,300,400と共通する構造、機能を有する部分については、図1〜図7中の符号と同符号を付して説明を省略する。また、図8〜図10に示す太陽光発電装置500おいては、図1,図2に示す太陽光発電装置100,200を構成する円形軌道10、車輪21、係止手段19を省略している。
【0049】
図8〜図10に示す太陽光発電装置500は、支持枠77に固定された太陽光発電パネル30を蝶番部材32を介して起伏可能に支持する格子形状の架台70と、太陽光発電パネル30を傾斜状態で保持するために支持枠77の背面と架台70との間に設けられたリンク部材71と、架台70の下面に着脱可能に取り付けられた複数の液体タンク72と、複数の液体タンク72同士を連通する複数の連通管73と、を備えている。
【0050】
図10に示すように、リンク部材71は屈伸可能な複数の関節部74を有し、その上端部71aはブラケット74を介して支持枠77の背面に軸支され、下端部71bはブラケット75を介して架台70に軸支されている。リンク部材71を直線状に伸展させると太陽光発電パネル30は支持枠77とともに傾斜状態に保持され、リンク部材71を各関節部74で曲げて折り畳むと、太陽光発電パネル30は支持枠77とともに、架台70上面に密着する状態に倒伏する。
【0051】
架台70は、その下面を、複数の液体タンク72の蓋板72aの上面に密着させた状態でそれぞれ複数のネジ76により着脱可能に固定されている。液体タンク72の外観は直方体状をなし、3つの外周面にそれぞれ液体タンク72内と連通するフランジ78f付の連結管78が突設状に配管されている。連通管73の両端のフランジ73fをそれぞれ隣り合う液体タンク72の連結管78のフランジ73fに接続することにより、複数の液体タンク72が互いに連通されている。液体タンク72の蓋板72aには、逆U字状のエア抜き管(図示せず)が設けられている。連通管73と接続されていない連結管78は、そのフランジ78fに蓋板79を取り付けることによって閉塞されている。連通管73は硬質の合成樹脂管や金属管で形成することができるが、可撓性を有するホースを用いて形成することもできる。
【0052】
太陽光発電装置500を設置面上に設置した後、液体タンク72に水などの液体を注入すれば、当該液体タンク72が架台20の重りとして機能するので、設置後の安定性に優れている。また、液体タンク70内の液体を排出すれば、重量は軽くなるので、太陽光発電装置500の移動、設置あるいは撤収の際の作業性も良好である。
【0053】
複数の液体タンク72は連通管73で互いに接続されているので、いずれか一つの液体タンク72に液体の注入、排出を行うことにより、複数の液体タンク52への液体の注入、排出を同時に行うことができる。本実施形態では、4個の液体タンク52を配置しているが、個数は限定しないので、太陽光発電パネル30及び架台70の大きさに応じて、配置個数を増減することができる。
【0054】
また、太陽光発電装置500においては、ネジ76を取り外せば、架台70と液体タンク72とを分離することができ、フランジ73f,78fを分離すれば、液体タンク72と連通管73とを分離することができるので、設置場所への搬送、移動あるいは保管の際の占有スペースを低減することができる。
【0055】
図1〜図10に示す太陽光発電装置100,200,300,400,500は、本発明を例示するものであり、本発明に係る太陽光発電装置は、これらの太陽光発電装置100,200,300,400,500に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、電源設備のない場所で電気機器使用する場合の給電手段として、様々な分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
10,50 円形軌道
19 係止手段
19a ガイド管
19b 係止杆
20,51,70 架台
21 車輪
22,51a 前縁部
23,54 ステー部材
24 スライダ
25 側縁部
26 支持部
27,56 雄ネジ部材
28,51b 後縁部
29 操作ハンドル
30 太陽光発電パネル
31 前縁部
32 蝶番部材
33 角隅部
34,35,74,75 ブラケット
36 防水カバー
36a 折曲部
37,77 支持枠
40,72 液体タンク
41,73 連通管
52 滑動部材
53 軸支機構
55,55a スライダ
56a バー材
58 操作ハンドル
59 スライド板
61 キャスタ
62 ストッパ
62a ネジ機構
62b 接地部
71 リンク部材
71a 上端部
71b 下端部
73f,78f フランジ
74 関節部
76 ネジ
79 蓋板
100,200,300,400,500 太陽光発電装置
F 設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面上に載置可能な円形軌道と、太陽光発電パネルを起伏可能に支持する架台と、前記円形軌道に沿って前記架台を回転可能に支持するため前記円形軌道と前記架台との間に介在された回転部材若しくは滑動部材と、を備えたことを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記円形軌道に対する前記架台の回転を阻止する係脱可能な係止手段を設けた請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記架台に、液体を貯留・排出可能な液体タンクを設けた請求項1または2記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記円形軌道に、当該太陽光発電装置を移動可能に支える回転体を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の太陽光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−105955(P2013−105955A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249911(P2011−249911)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(309013358)株式会社ミヤムラ (7)
【Fターム(参考)】