太陽追尾装置及び太陽光発電装置
【課題】太陽の位置を正確に特定する装置を提供する。
【解決手段】太陽追尾装置は、太陽光検知ユニット10と駆動装置を備える。太陽光検知ユニット10は、貫通孔14を有する第1プレート12と、第1プレート12に対向配置されているとともに4個の受光部20を有する第2プレート18を有する。駆動装置は、太陽光検知ユニット10の角度を調整する。受光部20は、貫通孔14の中心線と第2プレート18との交点を中心とし、下記式1で算出される半径R2の円の内側に配置されている。
R2=R1+L×tan(A/2)・・・(式1)
ここで、R1:貫通孔の半径、L:第1プレートと第2プレートとの距離、A:太陽の視直径である。
【解決手段】太陽追尾装置は、太陽光検知ユニット10と駆動装置を備える。太陽光検知ユニット10は、貫通孔14を有する第1プレート12と、第1プレート12に対向配置されているとともに4個の受光部20を有する第2プレート18を有する。駆動装置は、太陽光検知ユニット10の角度を調整する。受光部20は、貫通孔14の中心線と第2プレート18との交点を中心とし、下記式1で算出される半径R2の円の内側に配置されている。
R2=R1+L×tan(A/2)・・・(式1)
ここで、R1:貫通孔の半径、L:第1プレートと第2プレートとの距離、A:太陽の視直径である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽追尾装置と、その太陽追尾装置を備える太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光のエネルギーを利用する装置が知られている。そのような装置の一例として、太陽光発電装置がある。太陽光発電装置では、発電効率を高くするために、太陽の動きに従って太陽を追尾するタイプがある。例えば、表面に太陽電池が取り付けられたパネル(ソーラーパネル)を有する太陽光発電装置の場合、パネルを回転させることにより、パネルの表面を太陽に直交する角度に調整することが好ましい。反射鏡を利用して太陽光を集光器に集中させる太陽光発電装置(太陽熱発電装置ともいう)の場合、反射鏡を回転させることにより、太陽光を一箇所に正確に集光させることが好ましい。いずれの太陽光発電装置においても、太陽の位置を正確に特定してパネル(あるいは、反射鏡)の角度を調整することが必要である。
【0003】
特許文献1には、ソーラーパネルを有する太陽光発電装置が開示されている。その太陽光発電装置は、太陽に対するソーラーパネルの角度を検知するための角度センサ(太陽追尾装置)を備える。特許文献1の角度センサは、第1プレートと、第1プレートに対向配置されている第2プレートで構成されている。第1プレートと第2プレートには、夫々1個の貫通孔が設けられている。第1プレートの貫通孔と第2プレートの貫通孔は、ほぼ一直線上に位置している。その角度センサは、第1プレートがソーラーパネルと平行になるようにソーラーパネルに取り付けられている。特許文献1の技術は、第1プレートの貫通孔を通過した太陽光が第2プレートの貫通孔を通過している場合に、ソーラーパネルが太陽に直交している状態と判断する。特許文献1の技術は、太陽光が第1プレートの貫通孔と第2プレートの貫通孔の双方を通過するように角度センサの角度を調整し、ソーラーパネルを太陽に直交させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−245519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1プレートの貫通孔を通過した太陽光は、広がりながら第2プレートに向かう。第2プレートの表面に当たる太陽光の面積は、太陽の視直径とプレート間の距離に応じて、第1プレートの貫通孔の面積よりも大きくなる。そのため、特許文献1の太陽追尾装置の場合、第1プレートが太陽に直交していなくても、第1プレートの貫通孔を通過した太陽光が第2プレートの貫通孔を通過することがある。すなわち、特許文献1の技術では、ソーラーパネルが太陽に直交していると判断されている状態であっても、実際にはソーラーパネルが太陽に直交していないことがある。特許文献1の技術では、太陽の位置を特定する精度が高くはない。本明細書は、太陽の位置を正確に特定する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する太陽追尾装置は、検知ユニットと駆動装置を備える。検知ユニットは、第1プレートと第2プレートを含む。第1プレートは、貫通孔を有する。第2プレートは、第1プレートに対向配置されており、少なくとも2個の受光部を有する。駆動装置は、検知ユニットの角度を調整する。この太陽追尾装置では、少なくとも2個の受光部が、貫通孔の中心線と第2プレートとの交点を中心とし、下記式1で算出される半径R2の円の内側に配置されている。下記式において、R1:貫通孔の半径、L:第1プレートと第2プレートとの距離、A:太陽の視直径である。
R2=R1+L×tan(A/2)・・・(式1)
【0007】
上記の太陽追尾装置において、「第1プレートと第2プレートが対向配置されている」とは、第1プレートの貫通孔が形成されている面と、第2プレートの受光部を備える面とが平行に配置されていることを意味する。従って、第1プレートが太陽に直交しているときは、第2プレートも太陽に直交する。また、「貫通孔の中心線」とは、貫通孔の中心を通り、第1プレートに直交する直線を意味する。また、「第1プレートと第2プレートとの距離」とは、第1プレートの第2プレート側の面(以下、第1プレートの裏面と称することがある)と、第2プレートの第1プレート側の面(以下、第2プレートの表面と称することがある)との距離を意味する。上記式1で算出される半径R2の円は、第1プレートが太陽に直交しているときに、第1プレートの貫通孔を通過した太陽光が第2プレートの表面に当たる範囲の境界に相当する。
【0008】
上記の太陽追尾装置では、第1プレートの貫通孔を通過した太陽光は、広がりながら進み、第2プレートに到達する。第2プレートの表面には、上記式1で算出される半径R2の円の内側に、2個以上の受光部が設けられている。そのため、第1プレートが太陽に直交しているときは、全ての受光部に太陽光が当たる。第1プレートが太陽に直交する角度からずれると、いずれかの受光部に太陽光が当たらなくなる。いずれかの受光部に太陽光が当たっていない場合、第1プレートが太陽に直交していないと判断する。第1プレートが太陽に直交していない場合、駆動装置を用いて検知ユニットの角度を調整する。全ての受光部に太陽光が当たれば、第1プレート(検知ユニット)が太陽に直交していると判断する。上記の太陽追尾装置は、第1プレートを通過した太陽光の広がりを補償して、精度よく太陽の位置を特定することができる。
【0009】
受光部が配置される位置は、上記した円の内側であれば特に限定されないが、全ての受光部が、上記した交点を中心とする円の円周上に等間隔に配置されているとよい。そのような構成にすることにより、第1プレートが太陽に直交する位置からどの方向にずれても、第1プレートが太陽に直交していないと判断することができる。すなわち、検知精度が太陽方向からのずれの方向に依存しない太陽追尾装置が得られる。また、全ての受光部が、半径R2の円の円周上に配置されているとよい。そのような位置に受光部を配置すると、第1プレートが太陽に直交する位置から僅かにずれただけで、いずれかの受光部に太陽光が当たらなくなる。より精度よく太陽を追尾することができる。
【0010】
上記の太陽追尾装置は、駆動装置を制御するコントローラをさらに備えていてよい。そのコントローラは、受光部間の光量の差が所定範囲を超える場合は、受光部間の光量の差が所定範囲内になるまで、検知ユニットの角度を調整する指令値を駆動装置に出力するものであってよい。各受光部間の光量の差を所定範囲内(例えば、ゼロ)にすることにより、太陽に対する検知ユニットの角度の僅かなずれを修正することができる。
【0011】
本明細書はまた、上記した太陽追尾装置を備える太陽光発電装置も開示する。その太陽光発電装置は、上記した太陽追尾装置によってソーラーパネルが太陽を正確に追尾することができるので、発電効率が高い。
【発明の効果】
【0012】
本明細書が開示する技術は、太陽の位置を正確に特定する太陽追尾装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】太陽光発電装置の外観を示す。
【図2】太陽光検知ユニットの構造を模式的に示す図である。
【図3】図2のIII-III線に沿った断面図である。
【図4】受光部の配置を説明する図である。
【図5】太陽光検知ユニットが太陽に直交している状態を示す。
【図6】太陽光検知ユニットが太陽に直交していない状態を示す。
【図7】太陽光検知ユニットが太陽に直交する角度からずれている状態を示す(1)。
【図8】太陽光検知ユニットが太陽に直交する角度からずれている状態を示す(2)。
【図9】受光部に達した太陽光の検知方法を示す(1)。
【図10】受光部に達した太陽光の検知方法を示す(2)。
【図11】パネルの角度を補正する方法を説明するための図である。
【図12】太陽光発電装置の制御ブロック図である。
【図13】受光部の配置の他の実施形態を示す図である。
【図14】受光部の配置のさらに他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例を説明する前に、実施例の技術的特徴を以下に簡潔に記す。
(特徴1)第2貫通孔が、第1貫通孔の中心線と第2プレートとの交点を中心として、対称(線対称又は点対称)の位置に形成されている。
(特徴2)検知ユニットは、2枚の第2プレート(上段第2プレートと下段第2プレート)を備えている。上段第2プレートと下段第2プレートは、僅かな距離を隔てて対向配置されている。上段第2プレートには第2貫通孔が形成されており、下段第2プレートには光センサが配置されている。2枚の第2プレートを平面視したときに、第2貫通孔は、光センサとオーバーラップしている。
(特徴3)太陽光発電装置は、パネルの表面に太陽電池を備える。太陽光検知ユニットは、第1プレートがパネルの表面に平行となるようにパネルに固定されている。
(特徴4)パネルを駆動する駆動装置が、太陽光検知ユニットを駆動する駆動装置に相当する。
【実施例】
【0015】
図1に示す太陽光発電装置100は、支柱8と、支柱8に対して回転するパネル支持シャフト3と、パネル支持シャフト3に固定されているパネル2を備える。パネル2には、太陽光検知ユニット10が固定されている。支柱8とパネル支持シャフト3の間に駆動装置5が配置されている。駆動装置5は、第1駆動装置6と第2駆動装置4を備える。駆動装置5は、パネル支持シャフト3を、支柱8に対して矢印X方向と矢印Y方向に回転する。よって、パネル2は、支柱8に対して矢印X方向と矢印Y方向に回転することができる。太陽光発電装置100は、2軸の周りを回転することができる。太陽光発電装置100では、太陽光検知ユニット10により太陽の位置を特定し、駆動装置5がパネル2の角度を調整する。
【0016】
駆動装置5がパネル2を回転すると、太陽光検知ユニット10が、パネル2とともに回転する。そのため、パネル2を駆動する駆動装置5は、太陽光検知ユニット10の駆動装置としても機能する。別言すると、太陽光検知ユニット10と駆動装置5によって、太陽追尾装置15が構成されているといえる。駆動装置5が太陽光検知ユニット10を太陽に直交する角度に調整すると、パネル2が太陽に直交する。
【0017】
太陽光発電装置100は、太陽の動きに従ってパネル2の角度を変化させる。パネル2は、所定の動作プログラムに従って、常に太陽に直交するように回転する。太陽の軌道は予め分かっているので、パネル2の動作パターンも予めプログラム内に記憶されている。太陽追尾装置15は、プログラム上で定められたパネル2の角度と、実際のパネル2の角度との差異を修正するために使用される。例えば、太陽光発電装置100を組み立てたときの初期プログラムを校正したり、パネル2の角度の経時的な変化を補正したりするときに使用される。あるいは、太陽追尾装置15は、パネル2の動作中にリアルタイムでパネル2の角度を補正し、パネル2を常に太陽に直交させるように使用することもできる。
【0018】
太陽光検知ユニット10について説明する。図2に示すように、太陽光検知ユニット10は、第1プレート12と、第2プレート18を備える。第1プレート12と第2プレート18は、中空のボディ16の両端に固定されている。第1プレート12は、第2プレート18に対向配置されている。別言すると、第1プレート12と第2プレート18は、ボディ16を介して平行に配置されている。第1プレート12と第2プレート18は、ボディ16の長さLだけ離れている。より正確には、第1プレート12の裏面と第2プレート18の表面が、長さLだけ離れている(図3を参照)。第1プレート12には、1個の第1貫通孔14が形成されている。第2プレート18には、4個の受光部20が配置されている。
【0019】
図4は、第2プレート18の平面視に相当する。図3及び図4に示すように、受光部20は、第2プレート18に形成された貫通孔(以下、第2貫通孔20と称することがある)である。図中の点22は、第1貫通孔14の中心線C14と第2プレート18との交点である。図3に示す通り、中心線C14は、第1貫通孔14の中心を通り、第1プレート12に直交する直線である。なお、第1貫通孔14は、半径R1のピンホールである。4個の第2貫通孔20は、点22を中心とする半径rの円24の円周上に等間隔に形成されている。より正確にいうと、第2貫通孔20の中心が、円24の円周上に位置している。4個の第2貫通孔20は、点22を中心として、距離rだけ離れた点対称の位置に形成されているということもできる。夫々の第2貫通孔20は、点22を中心とする半径R2の円26の円に内接している。正確には、第2貫通孔20の中心は、点22を中心とする半径R2の円26の内側に位置している。半径rは、半径R2よりも小さい。半径R2については後述する。
【0020】
図5は、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交している状態を示す。この場合、第1プレート12及び第2プレート18は、太陽30に直交する。図5に示すように、第1貫通孔14を通過した太陽光32は、太陽の視直径Aに相当する分だけ、太陽光検知ユニット10内で広がりながら進み、第2プレート18に達する。「太陽の視直径」とは、太陽の見かけの直径を、角度で表したものであり、概ね32′32″〜31′28″の間である。第2プレート18の表面に当たる太陽光32の範囲は、直径が2×R2の円の内側である。上記半径R2は、第2プレート18の表面に当たる太陽光32の半径である。また、円26は、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交しているときの、第2プレート18に当たる太陽光32の範囲である。以下の説明では、円26を、基準範囲26と称することがある。半径R2は、幾何学的な計算により得られ、下記式1で表すことができる。下記式1において、R1:第1貫通孔14の半径、L:第1プレートと第2プレートとの距離、A:太陽の視直径である。視直径Aとして32′を採用すれば、地球上のほぼ全ての場所に対応することができる。
R2=R1+L×tan(A/2)・・・(式1)
【0021】
上記したように、4個の第2貫通孔20は、半径R2の円26の内側に形成されている(図4を参照)。そのため、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交しているときは、太陽光32は、全ての第2貫通孔20を通過し、第2プレート18の裏側まで届く。これにより、太陽光32が全ての第2貫通孔20を通過している場合、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交していると判断することができる。なお、図5には、4個の第2貫通孔20のうち、2個の第2貫通孔20a,20bが表れている。太陽光32は、他の2個の第2貫通孔20も通過している。
【0022】
図6に示すように、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交していない場合でも、4個の第2貫通孔20のうちのいずれかの第2貫通孔20を太陽光32が通過することがある。図6では、太陽光32は、第2貫通孔20aを通過しており、第2貫通孔20bを通過していない。太陽光検知ユニット10では、太陽光32が4個の第2貫通孔20のうちのいずれかを通過していない場合、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交していないと判断する。
【0023】
太陽光検知ユニット10の特徴について詳細に説明する。上記したように、太陽光検知ユニット10は、4個の第2貫通孔(受光部)20が、点22を中心とする円24の円周上に等間隔に形成されている(図4を参照)。そのため、太陽光検知ユニット10が太陽に直交する位置からずれている「向き」を検出することができる。例えば、図7では、4個の第2貫通孔20(20a〜20d)のうち、貫通孔20dにだけ太陽光32が当たっていない。この場合、例えば、太陽光32が、基準範囲26から図1のY方向にずれていることを検知することができる。すなわち、太陽追尾装置15は、図1の太陽光検知ユニット10(パネル2)が、太陽に直交する位置からY方向にずれていることを検知することができる。太陽追尾装置15の計測結果に基づき、太陽光発電装置100は、第2駆動装置4によって、太陽光検知ユニット10(パネル2)を太陽に直交させることができる。また、図8に示すように、太陽光32が貫通孔20aにだけ当たっていない場合、太陽追尾装置15は、太陽光検知ユニット10(パネル2)が、太陽に直交する位置からX方向にずれていることを検知することができる。太陽追尾装置15の計測結果に基づき、太陽光発電装置100は、第1駆動装置6によって、太陽光検知ユニット10(パネル2)を太陽に直交させることができる。太陽追尾装置15は、パネル2が太陽に直交する角度からずれているときに、ずれの向きを検知し、ずれを補正することができる。
【0024】
図9は、太陽光検知ユニットの一実装形態を示す。図9に示す太陽光検知ユニット10aは、2枚の第2プレート18(上段第2プレート18aと下段第2プレート18b)を備えている。上段第2プレート18aに第2貫通孔20が形成されており、下段第2プレート18bに光センサ40が配置されている。光センサ40は、受光した光量(光の強さ)を計測するセンサであり、例えばフォトトランジスタである。光センサ40は、第2貫通孔20に対応する位置に配置されている。別言すると、第2プレート18を平面視すると、第2貫通孔20は、光センサ40とオーバーラップしている。なお、図面には2つの光センサ40が示されているが、図9の断面には表れていない第2貫通孔に対応する光センサが存在する。すなわち、太陽光検知ユニット10aには、第2貫通孔20の数と同じ数の光センサ40が配置されている。
【0025】
図10は、太陽光検知ユニットの他の実装形態を示す。太陽光検知ユニット10bでは、光センサ40が受光部20そのものである。光センサ40を配置する位置は、上述した実施形態(太陽光検知ユニット10)における第2貫通孔20の位置と同じでよい。
【0026】
光センサ40を用いて太陽光32を検知する場合、その検知信号を利用して、パネル2の動作中にリアルタイムにパネル2の角度を補正することができる。図11に示すように、太陽光32が基準範囲26からずれている場合、光センサ40a〜40dが検知する光量は異なる。光センサ40b,40cで検知される光量は大きく、光センサ40aで検知される光量は中程度であり、光センサ40dで検知される光量は小さい(ほぼゼロ)である。光センサ40a〜40dが検知した光量データは、太陽光検知ユニット10からコントローラ50に入力される(図12を参照)。コントローラ50は、光センサ40a,40bの光量データより、太陽光検知ユニット10(パネル2)がX方向に僅かにずれていることを判断する。また、コントローラ50は、光センサ40c,40dの光量データより、太陽光検知ユニット10がY方向に大きくずれていることを判断する。コントローラ50は、光センサ40a〜40dの光量の差がほぼゼロになる角度を計算し、駆動装置5に対して、太陽光検知ユニット10の角度を調整する指令値を出力する。パネル2の動作中にパネル2の角度を補正することにより、パネル2が常に太陽に直交し、発電効率を高くすることができる。
【0027】
受光部の数は4個に限られない。例えば、パネルが1軸の周りを回転するタイプの太陽光発電装置の場合、図13に示すように、受光部20が2個であってもよい。2個の受光部20は、点22を中心とする基準範囲26内に配置されている、あるいは、図14に示すように、受光部20が3個であってもよい。図13、図14のいずれの場合も、複数の受光部が交点22を中心とする基準範囲26内であって、交点22を中心とする円周上に等間隔に配置されている。なお、受光部の中心が、基準範囲26の境界上に位置していてもよい。すなわち、受光部が配置されている円24の半径rが、基準範囲26の半径R2と同じであってもよい。このような構成にすることにより、より精度よく太陽の位置を特定することができる。
【0028】
上記実施例では、太陽光検知ユニットがパネルに直接固定されている太陽追尾装置について説明した。そのため、パネルを回転する駆動装置が、太陽光検知ユニットを回転する駆動装置でもある。太陽光検知ユニットを回転する駆動装置は、パネルを回転する駆動装置と別であってもよい。この場合、太陽光検知ユニットを固定する場所の自由度が増す。
【0029】
上記の太陽追尾装置は、反射鏡を利用して太陽光を集光器に集中させる太陽光発電装置に使用することもできる。この太陽光発電装置の場合、反射鏡は太陽に直交させない。そのため、太陽追尾装置(太陽光検知ユニット)は、反射鏡に直接固定しない。太陽追尾装置を反射鏡とは別に設置し、太陽追尾装置を太陽に直交させることにより太陽の位置を特定する。太陽の位置を正確に特定することにより、その太陽に位置における適切な角度に反射鏡を向けることができる。
【0030】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0031】
5:駆動装置
10:検知ユニット(太陽光検知ユニット)
12:第1プレート
15:太陽追尾装置
18:第2プレート
20:受光部
100:太陽光発電装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽追尾装置と、その太陽追尾装置を備える太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光のエネルギーを利用する装置が知られている。そのような装置の一例として、太陽光発電装置がある。太陽光発電装置では、発電効率を高くするために、太陽の動きに従って太陽を追尾するタイプがある。例えば、表面に太陽電池が取り付けられたパネル(ソーラーパネル)を有する太陽光発電装置の場合、パネルを回転させることにより、パネルの表面を太陽に直交する角度に調整することが好ましい。反射鏡を利用して太陽光を集光器に集中させる太陽光発電装置(太陽熱発電装置ともいう)の場合、反射鏡を回転させることにより、太陽光を一箇所に正確に集光させることが好ましい。いずれの太陽光発電装置においても、太陽の位置を正確に特定してパネル(あるいは、反射鏡)の角度を調整することが必要である。
【0003】
特許文献1には、ソーラーパネルを有する太陽光発電装置が開示されている。その太陽光発電装置は、太陽に対するソーラーパネルの角度を検知するための角度センサ(太陽追尾装置)を備える。特許文献1の角度センサは、第1プレートと、第1プレートに対向配置されている第2プレートで構成されている。第1プレートと第2プレートには、夫々1個の貫通孔が設けられている。第1プレートの貫通孔と第2プレートの貫通孔は、ほぼ一直線上に位置している。その角度センサは、第1プレートがソーラーパネルと平行になるようにソーラーパネルに取り付けられている。特許文献1の技術は、第1プレートの貫通孔を通過した太陽光が第2プレートの貫通孔を通過している場合に、ソーラーパネルが太陽に直交している状態と判断する。特許文献1の技術は、太陽光が第1プレートの貫通孔と第2プレートの貫通孔の双方を通過するように角度センサの角度を調整し、ソーラーパネルを太陽に直交させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−245519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1プレートの貫通孔を通過した太陽光は、広がりながら第2プレートに向かう。第2プレートの表面に当たる太陽光の面積は、太陽の視直径とプレート間の距離に応じて、第1プレートの貫通孔の面積よりも大きくなる。そのため、特許文献1の太陽追尾装置の場合、第1プレートが太陽に直交していなくても、第1プレートの貫通孔を通過した太陽光が第2プレートの貫通孔を通過することがある。すなわち、特許文献1の技術では、ソーラーパネルが太陽に直交していると判断されている状態であっても、実際にはソーラーパネルが太陽に直交していないことがある。特許文献1の技術では、太陽の位置を特定する精度が高くはない。本明細書は、太陽の位置を正確に特定する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する太陽追尾装置は、検知ユニットと駆動装置を備える。検知ユニットは、第1プレートと第2プレートを含む。第1プレートは、貫通孔を有する。第2プレートは、第1プレートに対向配置されており、少なくとも2個の受光部を有する。駆動装置は、検知ユニットの角度を調整する。この太陽追尾装置では、少なくとも2個の受光部が、貫通孔の中心線と第2プレートとの交点を中心とし、下記式1で算出される半径R2の円の内側に配置されている。下記式において、R1:貫通孔の半径、L:第1プレートと第2プレートとの距離、A:太陽の視直径である。
R2=R1+L×tan(A/2)・・・(式1)
【0007】
上記の太陽追尾装置において、「第1プレートと第2プレートが対向配置されている」とは、第1プレートの貫通孔が形成されている面と、第2プレートの受光部を備える面とが平行に配置されていることを意味する。従って、第1プレートが太陽に直交しているときは、第2プレートも太陽に直交する。また、「貫通孔の中心線」とは、貫通孔の中心を通り、第1プレートに直交する直線を意味する。また、「第1プレートと第2プレートとの距離」とは、第1プレートの第2プレート側の面(以下、第1プレートの裏面と称することがある)と、第2プレートの第1プレート側の面(以下、第2プレートの表面と称することがある)との距離を意味する。上記式1で算出される半径R2の円は、第1プレートが太陽に直交しているときに、第1プレートの貫通孔を通過した太陽光が第2プレートの表面に当たる範囲の境界に相当する。
【0008】
上記の太陽追尾装置では、第1プレートの貫通孔を通過した太陽光は、広がりながら進み、第2プレートに到達する。第2プレートの表面には、上記式1で算出される半径R2の円の内側に、2個以上の受光部が設けられている。そのため、第1プレートが太陽に直交しているときは、全ての受光部に太陽光が当たる。第1プレートが太陽に直交する角度からずれると、いずれかの受光部に太陽光が当たらなくなる。いずれかの受光部に太陽光が当たっていない場合、第1プレートが太陽に直交していないと判断する。第1プレートが太陽に直交していない場合、駆動装置を用いて検知ユニットの角度を調整する。全ての受光部に太陽光が当たれば、第1プレート(検知ユニット)が太陽に直交していると判断する。上記の太陽追尾装置は、第1プレートを通過した太陽光の広がりを補償して、精度よく太陽の位置を特定することができる。
【0009】
受光部が配置される位置は、上記した円の内側であれば特に限定されないが、全ての受光部が、上記した交点を中心とする円の円周上に等間隔に配置されているとよい。そのような構成にすることにより、第1プレートが太陽に直交する位置からどの方向にずれても、第1プレートが太陽に直交していないと判断することができる。すなわち、検知精度が太陽方向からのずれの方向に依存しない太陽追尾装置が得られる。また、全ての受光部が、半径R2の円の円周上に配置されているとよい。そのような位置に受光部を配置すると、第1プレートが太陽に直交する位置から僅かにずれただけで、いずれかの受光部に太陽光が当たらなくなる。より精度よく太陽を追尾することができる。
【0010】
上記の太陽追尾装置は、駆動装置を制御するコントローラをさらに備えていてよい。そのコントローラは、受光部間の光量の差が所定範囲を超える場合は、受光部間の光量の差が所定範囲内になるまで、検知ユニットの角度を調整する指令値を駆動装置に出力するものであってよい。各受光部間の光量の差を所定範囲内(例えば、ゼロ)にすることにより、太陽に対する検知ユニットの角度の僅かなずれを修正することができる。
【0011】
本明細書はまた、上記した太陽追尾装置を備える太陽光発電装置も開示する。その太陽光発電装置は、上記した太陽追尾装置によってソーラーパネルが太陽を正確に追尾することができるので、発電効率が高い。
【発明の効果】
【0012】
本明細書が開示する技術は、太陽の位置を正確に特定する太陽追尾装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】太陽光発電装置の外観を示す。
【図2】太陽光検知ユニットの構造を模式的に示す図である。
【図3】図2のIII-III線に沿った断面図である。
【図4】受光部の配置を説明する図である。
【図5】太陽光検知ユニットが太陽に直交している状態を示す。
【図6】太陽光検知ユニットが太陽に直交していない状態を示す。
【図7】太陽光検知ユニットが太陽に直交する角度からずれている状態を示す(1)。
【図8】太陽光検知ユニットが太陽に直交する角度からずれている状態を示す(2)。
【図9】受光部に達した太陽光の検知方法を示す(1)。
【図10】受光部に達した太陽光の検知方法を示す(2)。
【図11】パネルの角度を補正する方法を説明するための図である。
【図12】太陽光発電装置の制御ブロック図である。
【図13】受光部の配置の他の実施形態を示す図である。
【図14】受光部の配置のさらに他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例を説明する前に、実施例の技術的特徴を以下に簡潔に記す。
(特徴1)第2貫通孔が、第1貫通孔の中心線と第2プレートとの交点を中心として、対称(線対称又は点対称)の位置に形成されている。
(特徴2)検知ユニットは、2枚の第2プレート(上段第2プレートと下段第2プレート)を備えている。上段第2プレートと下段第2プレートは、僅かな距離を隔てて対向配置されている。上段第2プレートには第2貫通孔が形成されており、下段第2プレートには光センサが配置されている。2枚の第2プレートを平面視したときに、第2貫通孔は、光センサとオーバーラップしている。
(特徴3)太陽光発電装置は、パネルの表面に太陽電池を備える。太陽光検知ユニットは、第1プレートがパネルの表面に平行となるようにパネルに固定されている。
(特徴4)パネルを駆動する駆動装置が、太陽光検知ユニットを駆動する駆動装置に相当する。
【実施例】
【0015】
図1に示す太陽光発電装置100は、支柱8と、支柱8に対して回転するパネル支持シャフト3と、パネル支持シャフト3に固定されているパネル2を備える。パネル2には、太陽光検知ユニット10が固定されている。支柱8とパネル支持シャフト3の間に駆動装置5が配置されている。駆動装置5は、第1駆動装置6と第2駆動装置4を備える。駆動装置5は、パネル支持シャフト3を、支柱8に対して矢印X方向と矢印Y方向に回転する。よって、パネル2は、支柱8に対して矢印X方向と矢印Y方向に回転することができる。太陽光発電装置100は、2軸の周りを回転することができる。太陽光発電装置100では、太陽光検知ユニット10により太陽の位置を特定し、駆動装置5がパネル2の角度を調整する。
【0016】
駆動装置5がパネル2を回転すると、太陽光検知ユニット10が、パネル2とともに回転する。そのため、パネル2を駆動する駆動装置5は、太陽光検知ユニット10の駆動装置としても機能する。別言すると、太陽光検知ユニット10と駆動装置5によって、太陽追尾装置15が構成されているといえる。駆動装置5が太陽光検知ユニット10を太陽に直交する角度に調整すると、パネル2が太陽に直交する。
【0017】
太陽光発電装置100は、太陽の動きに従ってパネル2の角度を変化させる。パネル2は、所定の動作プログラムに従って、常に太陽に直交するように回転する。太陽の軌道は予め分かっているので、パネル2の動作パターンも予めプログラム内に記憶されている。太陽追尾装置15は、プログラム上で定められたパネル2の角度と、実際のパネル2の角度との差異を修正するために使用される。例えば、太陽光発電装置100を組み立てたときの初期プログラムを校正したり、パネル2の角度の経時的な変化を補正したりするときに使用される。あるいは、太陽追尾装置15は、パネル2の動作中にリアルタイムでパネル2の角度を補正し、パネル2を常に太陽に直交させるように使用することもできる。
【0018】
太陽光検知ユニット10について説明する。図2に示すように、太陽光検知ユニット10は、第1プレート12と、第2プレート18を備える。第1プレート12と第2プレート18は、中空のボディ16の両端に固定されている。第1プレート12は、第2プレート18に対向配置されている。別言すると、第1プレート12と第2プレート18は、ボディ16を介して平行に配置されている。第1プレート12と第2プレート18は、ボディ16の長さLだけ離れている。より正確には、第1プレート12の裏面と第2プレート18の表面が、長さLだけ離れている(図3を参照)。第1プレート12には、1個の第1貫通孔14が形成されている。第2プレート18には、4個の受光部20が配置されている。
【0019】
図4は、第2プレート18の平面視に相当する。図3及び図4に示すように、受光部20は、第2プレート18に形成された貫通孔(以下、第2貫通孔20と称することがある)である。図中の点22は、第1貫通孔14の中心線C14と第2プレート18との交点である。図3に示す通り、中心線C14は、第1貫通孔14の中心を通り、第1プレート12に直交する直線である。なお、第1貫通孔14は、半径R1のピンホールである。4個の第2貫通孔20は、点22を中心とする半径rの円24の円周上に等間隔に形成されている。より正確にいうと、第2貫通孔20の中心が、円24の円周上に位置している。4個の第2貫通孔20は、点22を中心として、距離rだけ離れた点対称の位置に形成されているということもできる。夫々の第2貫通孔20は、点22を中心とする半径R2の円26の円に内接している。正確には、第2貫通孔20の中心は、点22を中心とする半径R2の円26の内側に位置している。半径rは、半径R2よりも小さい。半径R2については後述する。
【0020】
図5は、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交している状態を示す。この場合、第1プレート12及び第2プレート18は、太陽30に直交する。図5に示すように、第1貫通孔14を通過した太陽光32は、太陽の視直径Aに相当する分だけ、太陽光検知ユニット10内で広がりながら進み、第2プレート18に達する。「太陽の視直径」とは、太陽の見かけの直径を、角度で表したものであり、概ね32′32″〜31′28″の間である。第2プレート18の表面に当たる太陽光32の範囲は、直径が2×R2の円の内側である。上記半径R2は、第2プレート18の表面に当たる太陽光32の半径である。また、円26は、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交しているときの、第2プレート18に当たる太陽光32の範囲である。以下の説明では、円26を、基準範囲26と称することがある。半径R2は、幾何学的な計算により得られ、下記式1で表すことができる。下記式1において、R1:第1貫通孔14の半径、L:第1プレートと第2プレートとの距離、A:太陽の視直径である。視直径Aとして32′を採用すれば、地球上のほぼ全ての場所に対応することができる。
R2=R1+L×tan(A/2)・・・(式1)
【0021】
上記したように、4個の第2貫通孔20は、半径R2の円26の内側に形成されている(図4を参照)。そのため、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交しているときは、太陽光32は、全ての第2貫通孔20を通過し、第2プレート18の裏側まで届く。これにより、太陽光32が全ての第2貫通孔20を通過している場合、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交していると判断することができる。なお、図5には、4個の第2貫通孔20のうち、2個の第2貫通孔20a,20bが表れている。太陽光32は、他の2個の第2貫通孔20も通過している。
【0022】
図6に示すように、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交していない場合でも、4個の第2貫通孔20のうちのいずれかの第2貫通孔20を太陽光32が通過することがある。図6では、太陽光32は、第2貫通孔20aを通過しており、第2貫通孔20bを通過していない。太陽光検知ユニット10では、太陽光32が4個の第2貫通孔20のうちのいずれかを通過していない場合、太陽光検知ユニット10が太陽30に直交していないと判断する。
【0023】
太陽光検知ユニット10の特徴について詳細に説明する。上記したように、太陽光検知ユニット10は、4個の第2貫通孔(受光部)20が、点22を中心とする円24の円周上に等間隔に形成されている(図4を参照)。そのため、太陽光検知ユニット10が太陽に直交する位置からずれている「向き」を検出することができる。例えば、図7では、4個の第2貫通孔20(20a〜20d)のうち、貫通孔20dにだけ太陽光32が当たっていない。この場合、例えば、太陽光32が、基準範囲26から図1のY方向にずれていることを検知することができる。すなわち、太陽追尾装置15は、図1の太陽光検知ユニット10(パネル2)が、太陽に直交する位置からY方向にずれていることを検知することができる。太陽追尾装置15の計測結果に基づき、太陽光発電装置100は、第2駆動装置4によって、太陽光検知ユニット10(パネル2)を太陽に直交させることができる。また、図8に示すように、太陽光32が貫通孔20aにだけ当たっていない場合、太陽追尾装置15は、太陽光検知ユニット10(パネル2)が、太陽に直交する位置からX方向にずれていることを検知することができる。太陽追尾装置15の計測結果に基づき、太陽光発電装置100は、第1駆動装置6によって、太陽光検知ユニット10(パネル2)を太陽に直交させることができる。太陽追尾装置15は、パネル2が太陽に直交する角度からずれているときに、ずれの向きを検知し、ずれを補正することができる。
【0024】
図9は、太陽光検知ユニットの一実装形態を示す。図9に示す太陽光検知ユニット10aは、2枚の第2プレート18(上段第2プレート18aと下段第2プレート18b)を備えている。上段第2プレート18aに第2貫通孔20が形成されており、下段第2プレート18bに光センサ40が配置されている。光センサ40は、受光した光量(光の強さ)を計測するセンサであり、例えばフォトトランジスタである。光センサ40は、第2貫通孔20に対応する位置に配置されている。別言すると、第2プレート18を平面視すると、第2貫通孔20は、光センサ40とオーバーラップしている。なお、図面には2つの光センサ40が示されているが、図9の断面には表れていない第2貫通孔に対応する光センサが存在する。すなわち、太陽光検知ユニット10aには、第2貫通孔20の数と同じ数の光センサ40が配置されている。
【0025】
図10は、太陽光検知ユニットの他の実装形態を示す。太陽光検知ユニット10bでは、光センサ40が受光部20そのものである。光センサ40を配置する位置は、上述した実施形態(太陽光検知ユニット10)における第2貫通孔20の位置と同じでよい。
【0026】
光センサ40を用いて太陽光32を検知する場合、その検知信号を利用して、パネル2の動作中にリアルタイムにパネル2の角度を補正することができる。図11に示すように、太陽光32が基準範囲26からずれている場合、光センサ40a〜40dが検知する光量は異なる。光センサ40b,40cで検知される光量は大きく、光センサ40aで検知される光量は中程度であり、光センサ40dで検知される光量は小さい(ほぼゼロ)である。光センサ40a〜40dが検知した光量データは、太陽光検知ユニット10からコントローラ50に入力される(図12を参照)。コントローラ50は、光センサ40a,40bの光量データより、太陽光検知ユニット10(パネル2)がX方向に僅かにずれていることを判断する。また、コントローラ50は、光センサ40c,40dの光量データより、太陽光検知ユニット10がY方向に大きくずれていることを判断する。コントローラ50は、光センサ40a〜40dの光量の差がほぼゼロになる角度を計算し、駆動装置5に対して、太陽光検知ユニット10の角度を調整する指令値を出力する。パネル2の動作中にパネル2の角度を補正することにより、パネル2が常に太陽に直交し、発電効率を高くすることができる。
【0027】
受光部の数は4個に限られない。例えば、パネルが1軸の周りを回転するタイプの太陽光発電装置の場合、図13に示すように、受光部20が2個であってもよい。2個の受光部20は、点22を中心とする基準範囲26内に配置されている、あるいは、図14に示すように、受光部20が3個であってもよい。図13、図14のいずれの場合も、複数の受光部が交点22を中心とする基準範囲26内であって、交点22を中心とする円周上に等間隔に配置されている。なお、受光部の中心が、基準範囲26の境界上に位置していてもよい。すなわち、受光部が配置されている円24の半径rが、基準範囲26の半径R2と同じであってもよい。このような構成にすることにより、より精度よく太陽の位置を特定することができる。
【0028】
上記実施例では、太陽光検知ユニットがパネルに直接固定されている太陽追尾装置について説明した。そのため、パネルを回転する駆動装置が、太陽光検知ユニットを回転する駆動装置でもある。太陽光検知ユニットを回転する駆動装置は、パネルを回転する駆動装置と別であってもよい。この場合、太陽光検知ユニットを固定する場所の自由度が増す。
【0029】
上記の太陽追尾装置は、反射鏡を利用して太陽光を集光器に集中させる太陽光発電装置に使用することもできる。この太陽光発電装置の場合、反射鏡は太陽に直交させない。そのため、太陽追尾装置(太陽光検知ユニット)は、反射鏡に直接固定しない。太陽追尾装置を反射鏡とは別に設置し、太陽追尾装置を太陽に直交させることにより太陽の位置を特定する。太陽の位置を正確に特定することにより、その太陽に位置における適切な角度に反射鏡を向けることができる。
【0030】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0031】
5:駆動装置
10:検知ユニット(太陽光検知ユニット)
12:第1プレート
15:太陽追尾装置
18:第2プレート
20:受光部
100:太陽光発電装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する第1プレートと、第1プレートに対向配置されているとともに少なくとも2個の受光部を有する第2プレートとを含む検知ユニットと、
検知ユニットの角度を調整する駆動装置と、を備えており、
少なくとも2個の受光部が、前記貫通孔の中心線と第2プレートとの交点を中心とし、下記式1で算出される半径R2の円の内側に配置されていることを特徴とする太陽追尾装置。
R2=R1+L×tan(A/2)・・・(式1)
ここで、R1:貫通孔の半径、L:第1プレートと第2プレートとの距離、A:太陽の視直径である。
【請求項2】
全ての受光部が、前記交点を中心とする円の円周上に等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽追尾装置。
【請求項3】
全ての受光部が、半径R2の円の円周上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽追尾装置。
【請求項4】
受光部間の光量の差が所定範囲内となるように駆動装置を制御するコントローラをさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽追尾装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽追尾装置を備える太陽光発電装置。
【請求項1】
貫通孔を有する第1プレートと、第1プレートに対向配置されているとともに少なくとも2個の受光部を有する第2プレートとを含む検知ユニットと、
検知ユニットの角度を調整する駆動装置と、を備えており、
少なくとも2個の受光部が、前記貫通孔の中心線と第2プレートとの交点を中心とし、下記式1で算出される半径R2の円の内側に配置されていることを特徴とする太陽追尾装置。
R2=R1+L×tan(A/2)・・・(式1)
ここで、R1:貫通孔の半径、L:第1プレートと第2プレートとの距離、A:太陽の視直径である。
【請求項2】
全ての受光部が、前記交点を中心とする円の円周上に等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽追尾装置。
【請求項3】
全ての受光部が、半径R2の円の円周上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽追尾装置。
【請求項4】
受光部間の光量の差が所定範囲内となるように駆動装置を制御するコントローラをさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽追尾装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽追尾装置を備える太陽光発電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−4684(P2013−4684A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133517(P2011−133517)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】
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