説明

太陽電池における有害な分極の防止

【課題】太陽電池素子における分極を抑制することで、分極による出力電圧の低下をなくした太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池素子200の前面からフレーム211に電荷を抜き出す導電性経路212を設ける。導電性経路212は、誘電性パッシベーション層202内に正孔パターンを形成するか、反射防止コーティング201を導電性にするか、反射防止コーティング201の表面かまたは裏面に導電性材料の層を形成することにより形成した導電性の層とフレーム211間を抵抗器により接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、一般に太陽電池に関し、特に、太陽電池の構造、モジュール、製造、及びフ
ィールド設置に関する(但しこれらに限定されない)。
【0002】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2005年3月3日にファイリングされた米国特許仮出願第60/658,706
の利益を請求し、その仮出願全体が参照によって本明細書内に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術の説明
太陽電池(ソーラーセル)は、太陽放射を電気的エネルギーに変換するための周知のデ
バイスである。半導体処理技術を用いて、半導体ウェーハ上にそれらを製造することがで
きる。一般的にいえば、p型領域とn型領域とを1つのシリコン基板内に形成することに
より、太陽電池を製造することができる。各近傍のp型領域とn型領域とは、pn接合を
形成する。太陽電池上に当る太陽放射が、電子と正孔とを生じさせ、それらがp型及びn
型領域に移動し、それにより、pn接合間に電位差が生じる。裏面コンタクト太陽電池内
において、p型領域とn型領域とが、該太陽電池の裏面上の金属コンタクトに結合され、
それにより、外部電子回路又はデバイスが、該太陽電池に結合されることが可能となり、
該太陽電池によって電力供給されることが可能となる。裏面コンタクト太陽電池はまた、
米国特許第5,053,083号、及び第4,927,770号において開示されており
、それら特許は両方とも、その全体が参照によって本明細書内に組み込まれる。
【特許文献1】米国特許第5,053,083号明細書
【特許文献2】米国特許第4,927,770号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
幾つかの太陽電池を互いに接続して、太陽電池アレイを形成することができる。該太陽
電池アレイを、保護層を含む太陽電池モジュール内へとパッケージ化することができ、そ
れにより、該太陽電池アレイが、環境条件に対する耐性ができ、フィールド内において使
用されることが可能となる。防止策がとられない場合には、太陽電池が、フィールド内に
おいて極度に分極されることになる可能性があり、それにより、出力電力が低減させられ
る可能性がある。太陽電池における有害な分極を防止するための技法が、本明細書内にお
いて開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
一実施形態において、太陽電池の前面側からウェーハのバルクに電荷を抜き出す(ブリ
ードする)導電経路を提供することによって、有害な太陽電池分極が防止されるか又は最
小化される。該導電経路には、例えば、誘電性パッシベーション層内か、導電性反射防止
コーティング内か、又は反射防止コーティングの表面上又は底面上に形成された導電性材
料の層内におけるパターン化された正孔を含めることができる。有害な太陽電池分極を、
該太陽電池の前面側上の太陽電池モジュールの領域をバイアスさせることによって防止す
ることもまた可能である。
【0006】
本発明の、これらの及び他の特徴が、添付の図面及び特許請求の範囲を含む本開示全体
を読み解くことで当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【実施例】
【0007】
異なる図面における同じ参照ラベルの使用は、同等か又は類似の構成要素を示す。別様
に注釈がつけられない限り、図面は必ずしも一定の縮尺に従っているとは限らない。
【0008】
詳細な説明
本発明の開示において、本発明の実施例の完全な理解を提供するために、装置、構成要
素、及び方法、の例のような、多くの特定の詳細部が提供されている。しかしながら、1
つか又は複数のその特定の詳細部がなくても、本発明を実施することができることが、当
業者であれば認識されるであろう。他の例において、本発明の態様を不明瞭にすることを
避けるため、周知の詳細部が示されてないか又は説明されていない。
【0009】
次に図1を参照すると、本発明の実施形態を利用することが可能な、一例の太陽電池モ
ジュール100の分解図が示されている。このような太陽電池モジュールはまた、2003年
8月1日にファイリングされた、共通に譲渡された米国特許出願第10/633,188内
において開示されている。しかしながら、本発明の実施形態がまた他の太陽電池モジュー
ルに対しても適用可能であることにも留意されたい。
【0010】
図1の例において、太陽電池モジュール100は、透過性カバー104と、カプセル材
料103(すなわち、103−1、103−2)と、相互接続された太陽電池200を含
む太陽電池アレイ110と、裏面シート102とを含む。太陽電池モジュール100は、
典型的には、屋根か、又は発電局による等の据え置き型の用途において使用される点で、
いわゆる「地球上の太陽電池モジュール」である。従って、太陽電池モジュール100は
、太陽に向いている透過性カバー104と共に設置される。一実施形態において、透過性
カバー104は、ガラスを含む。太陽電池200の前面側は、透過性カバー104を介し
て太陽の方に向いている。カプセル材料103は、太陽電池200、カバー104、及び
裏面シート102を相互リンクさせ及び結合させて、保護パッケージを形成する。一実施
形態において、カプセル材料103は、ポリエチル酢酸ビニル(「EVA」)を含む。
【0011】
太陽電池200の裏面側は、裏面シート102に面しており、カプセル材料103−1
に取り付けられている。一実施形態において、裏面シート102は、Madico社によ
るTedlar/ポリエステル/EVA(「TPE」)を含む。該TPEにおいて、Te
dlarは、環境に対する保護を行う最も外側の層であり、該ポリエステルは、追加的な
電気的絶縁を提供し、該EVAは、カプセル材料103−1に対する粘着性を促進させる
相互リンクされない薄い層である。裏面シート703として使用されるためのTPEの代
替は、例えば、Tedlar/ポリエステル/Tedlar(「TPT」)を含む。
【0012】
図2は、太陽電池モジュール100の断面図を概略的に示す。図2は、理解を容易にす
るために例示的な材料と共に、注釈が付されている。しかしながら、本発明の利点を損な
うことなく、他の材料を用いることもまた可能であることにも留意されたい。本開示の目
的のために、太陽電池の前面側は、ウェーハ203の前面側上に(すなわち、パッシベー
ション層202からカバー104に向かって)、材料、構成要素、及び機能を含むが、太
陽電池の裏面側は、ウェーハ203の裏面上に(すなわち、ドープされた領域204から
裏面シート102に向かって)、材料、構成要素、及び機能を含む。太陽電池200の前
面側上の材料は、通常動作中に、太陽に向けられるよう構成される。太陽電池200の前
面側上の材料は、本質的に透過性であるか、又は太陽放射が通過して照らされることが可
能な厚みである。
【0013】
図2の例において、ウェーハ203は、n型前面側拡散領域207と共にn型シリコン
ウェーハを含む。前面側拡散領域207が、ウェーハ203のシリコン内にあることを示
すために、ダッシュ線によって図式的に分離されている。図2の例において、二酸化ケイ
素を含む誘電性パッシベーション層202は、ウェーハ203の前面側上に形成されてい
る。反射防止コーティング(「ARC」)201は、誘電性パッシベーション層202の
上に形成されている。一実施形態において、反射防止コーティング201は、プラズマ化
学気相成長法(PECVD)によって約400オングストロームの厚みに形成された窒化
シリコンを含む。一実施形態において、前記パッシベーション層202は、約200オン
グストロームの厚みに形成された二酸化シリコンを含む。前記パッシベーション層202
を、高温酸化によって、ウェーハ203の表面上に直接的に成長させることができる。
【0014】
図2の例において、太陽電池200の電荷収集接合(チャージ・コレクション・ジャン
クション)として機能するp型ドープされた(「P+」)及びn型ドープされた(「N+
」)領域204が、ウェーハ203内において形成されている。p型及びn型ドープされ
た領域204を、本発明の利点を損なうことなく、ウェーハ203の裏面側上に形成され
た層内のような、ウェーハ203の外部に形成することもできる。金属コンタクト206
は、太陽電池200の裏面側上に形成されており、対応するp型ドープされたか又はn型
ドープされた収集領域に各金属コンタクト206が結合されている。酸化物層205がパ
ターン形成されることによって、ドープされた領域204に、金属コンタクト206が接
続されることが可能になる。典型的には、太陽電池アレイ110内の他の太陽電池200
の金属コンタクトに金属コンタクト206が接続される。金属コンタクト206によって
、外部回路又はデバイスが、太陽電池モジュール100からの電流を受けることが可能と
なる。太陽電池200は、その収集領域に対する全ての電気的接続が太陽電池の裏面側に
形成されている点において、裏面側コンタクト太陽電池である。
【0015】
図2内に示されるように、太陽電池200は、裏面シート102、カプセル材料103
、及びカバー104によって保護されている。フレーム211が、太陽電池200とその
保護層とを取り囲んでいる。ある条件下において、太陽電池モジュール100の出力電力
生成能力が、実質的には低減される可能性がある。例えば、有利な電流流動方向における
高電圧によって太陽電池100をバイアスさせることによって、太陽電池100がその元
の条件に回復されることが可能であるということから、出力電力におけるこの低減を、元
に戻すことができる。矢印212によって示されるように太陽電池200の前面側からフ
レーム211に電荷が漏れた時に分極状態になる太陽電池200に、この出力電力低減が
起因するということを発明者は確信している。一例において、正の電荷キャリアが、太陽
電池200の前面側から漏れ、それにより、反射防止コーティング201の表面が負に帯
電されたままとなる。反射防止コーティング201の表面上のその負の帯電が、正に帯電
された、光生成された正孔を引き寄せる。該光生成された正孔のうちの幾つかは、ドープ
された収集領域において収集される代りに、n型シリコンウェーハ203内において電子
と再結合される。
【0016】
太陽電池200がn型前面側拡散領域を有することから、フィールド内において、誘電
性パッシベーション層202と前面側拡散領域207との間の境界面に対して、電子が反
発され、正孔が引き寄せられるような電界極性を誘電性パッシベーション層202が有す
る時に、すなわち、誘電性パッシベーション層202の電位が、前面側拡散領域207の
電位よりも低い時に、有害な分極が発生する可能性がある。太陽電池200が、アースに
対して正の電圧において動作させられる時には、フィールド動作中、このことが生じるこ
ととなる。別の実施形態において、太陽電池が、n型前面側拡散領域を有する場合には、
太陽電池が、フィールド内においてアースに対して負にバイアスさせられる時に(すなわ
ち、より負になる(よりマイナスになる))時に、有害な太陽電池分極が生じる可能性が
ある。周知なように、p型シリコンウェーハをドープして、n型前面側拡散領域を得るこ
とができる。同様に、n型シリコンウェーハをドープして、p型前面側拡散領域を得るこ
とができる。前記例の太陽電池200は、n型シリコンウェーハ内にn型前面側拡散領域
を有しているが、本発明の教示を、他のタイプの太陽電池基板に構成することもできる。
【0017】
図3Aは、太陽電池分極の要因であると発明者が確信するメカニズムについてのモデル
を概略的に示す。図3Aのモデルにおいて、太陽電池にか又は太陽電池から、電流がガラ
ス(例えば、カバー104)の前面を通じて電流が流れ、該電流は、太陽電池の裏面側表
面への分路によって漏れている。抵抗Rglは、窒化ARC(例えば、反射防止コーティ
ング201)からガラス前面への漏れ抵抗を表し、抵抗Rshは、窒化ARCから太陽電
池の裏面までの前記分路の漏れである。実際には 太陽電池間に生じる分散された電圧が
存在することになり、該電圧は、そのエッジにおける低電圧において開始し、その中間に
向かって増加する。任意の場合において、窒化ARCからシリコンウェーハまでの電圧は
、酸化膜破壊電圧(酸化物ブレークダウン電圧)を超えるべきではない。図3A及び3B
において、キャパシタンス「C」は、誘電体として機能する酸化物パッシベーション層(
例えば、誘電性パッシベーション層202)と、第1のコンデンサプレートとして機能す
る窒化ARCと、第2のコンデンサプレートとして機能するシリコンウェーハとを含むコ
ンデンサを表す。
【0018】
図3Bは、図3Aの構成についてのまとめられた要素の近似等価回路を概略的に示す。
この分析の目的のために、その電圧は、太陽電池の裏面側に対して基準にされる。この回
路に対する過渡解は、開始ゲート電圧が零であると仮定すると、式EQ.1によって示さ
れる。
【0019】
【数1】

ここで、
【数2】

であり、Reqは、並列な等価抵抗である。前面EVAカプセル材料における電圧をV
は表し、該前面EVAカプセル材料は、金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタのゲー
トのように振舞う。該MOSトランジスタのゲート酸化物は、酸化物誘電性パッシベーシ
ョン層である。上述のように、キャパシタンス「C」は、窒化ARC、酸化物パッシベー
ション層、及びシリコンウェーハによって形成されたコンデンサを表す。
【0020】
太陽電池の電力増加時、前記ゲート(すなわち、前面側EVAカプセル材料)が、上昇
していくことになり、電圧Vに到達し、そのことが、式EQ.2によって表された劣化
時間tdegの後に、ある劣化量を生じさせる。
【0021】
【数3】

式EQ.2において、「V」が正であると仮定されているが、電圧に対する絶対値が用
いられる場合には、マイナスV及びマイナスV(MOSトランジスタの閾値電圧)につ
いてもまた真である。
【0022】
【数4】

である時の通常の場合には、式EQ.2は、式EQ.3に縮小される。
【0023】
【数5】

式EQ.3から、高電圧の場合には、ある特定の量の劣化に対する時間は、印加される
電圧に反比例することを、容易に理解することができる。
【0024】
零印加電圧の場合のゲート電圧の回復は、EQ.4によって提供される。
【0025】
【数6】

は、無視できるほどの劣化が生じた場合の閾値である場合には、回復時間trec
が、式EQ.5によって提供される。
【0026】
【数7】

紫外線が、存在する分路抵抗に並列に、追加的な分路抵抗を追加する効果を有すること
になる。このことは、紫外線が窒化ARCからシリコンウェーハへと電子を注入する比率
が、捕捉された電子の密度に比例するということを仮定することによって理解することが
できる。しかしながら、コンデンサ「C」間の電圧(図3Bを参照)は、前記捕捉された
電荷に比例するため、その電流がゲートコンデンサ上の電圧に(すなわち、抵抗のように
)比例する。この抵抗が、他の分路と比較して(効果を得るために必要であるだけ)小さ
いと仮定すると、光における回復時間trec,lightは、式EQ.6によって提供
される。
【0027】
【数8】

太陽電池モジュールが劣化しないようにするために十分となるように、分路が引き起こ
される紫外線にとって必要な条件を、計算することができる。このことは、EQ.7によ
って提供される条件が満足される必要がある。
【0028】
【数9】

光における回復時間が式EQ.8によって提供される時にEQ.7が満足されることを
示すために、上記の式を再構成することができる。
【0029】
【数10】

換言すると、提供されるバイアスによって暗闇内において劣化をもたらすよりも短時間
においてバイアスされない時に、太陽光線内においてモジュール太陽電池モジュールが回
復する場合には、その提供されるバイアスによって太陽光線内において該モジュールが安
定することになる。
【0030】
幾つかの実施形態において、前面側反射防止コーティング/パッシベーション層のスタ
ックにおける垂直の導電率を増加させることによって、有害な太陽電池分極が、防止され
るか又は最小化される。これらの実施形態において、太陽電池の前面側からウェーハのバ
ルクへと電荷が抜き出される。これらの実施形態が、図4A及び図4Bに関連して、次に
説明される。
【0031】
図4Aは、本発明の一実施形態による太陽電池200Aの断面を概略的に示す。太陽電
池200Aは、図2に示される太陽電池200のある特定の実施形態である。パッシベー
ション層202として非常に薄い酸化物(すなわち、二酸化ケイ素)の層202Aを用い
ていることと、反射防止コーティング201として反射防止コーティング201Aを用い
ていることとを除いて、太陽電池200Aは太陽電池200と同等である。図4Aの例に
おいて、反射防止コーティング201Aは、約400オングストロームの厚みを有する炭
化シリコンを含むことができ、ウェーハ203は、N型シリコンウェーハを含む。薄い酸
化物層202Aは、好適には、電荷増加を防ぐために、該ウェーハのバルクに電荷を抜き
出すのに十分なほど薄く、これにより、該電荷増加が比較的高電圧に発展した時に、酸化
破壊(酸化物ブレークダウン)が発生する。その薄い酸化物層202Aを、ウェーハ20
3上において直接的に形成することができる。一実施形態において、薄い酸化物層202
Aは、脱イオン水内において浮遊させられたオゾンを含む槽内に該ウェーハ203を浸す
ことを含むオゾン酸化処理を用いて、約10オングストローム〜20オングストロームの
厚みに形成される。
【0032】
図4Bは、本発明の一実施形態による太陽電池200Bの断面を概略的に示す。太陽電
池200Bは、図2に示される太陽電池200のある特定の実施形態である。パターン成
形された誘電性パッシベーション層202Bをパッシベーションレベル202として用い
ていることを除いて、太陽電池200Bは太陽電池200と同等である。図4Bの例にお
いて、パッシベーション層202Bは二酸化ケイ素を含み、反射防止コーティング201
は窒化シリコンを含み、ウェーハ203はN型シリコンウェーハを含む。図4Bに示され
るように、パッシベーション層202Bは、正孔を有するようにパターン成形されており
、それにより、窒化シリコン反射防止コーティング201がシリコンウェーハ203に接
触することが可能となる。このことにより、反射防止コーティング201上の電荷が、酸
化物パッシベーション層202B内の前記パターン成形された正孔を介して、ウェーハ2
03のバルクに抜き出されることが可能となる。パッシベーション層202B内の各正孔
を、従来のリソグラフィ処理を用いて形成することができ、利用可能なリソグラフィ装置
に許されるほどに小さくすることができる。前記パターン成形される正孔を、例えば、約
0.1mmから約2.0mmだけ互いに隔離することができる。穴が開けられたパッシベ
ーション層202Bは、反射防止コーティング201内において電荷が増加するのを防止
することによって、太陽電池分極を有利に防止する。
【0033】
幾つかの実施形態において、前面側上の及び太陽電池のエッジに向う水平方向の伝導が
、太陽電池分極を防止するために増加させられる。パッシベーション層はそれら全体で固
有の欠乏(すなわち、もともと形成された正孔)を有するため、蓄積された電荷を該欠乏
を通じてウェーハのバルクに抜き出させることが、導電性反射防止コーティングにとって
可能である。しかしながら、幾つかの太陽電池反射防止コーティングは、このことを生じ
させるのに十分なほどには導電性がない可能性がある。従って、幾つかの実施形態におい
て、反射防止コーティングに接触させるために導電層は水平方向に形成される。これによ
り、該導電層とパッシベーション層内の固有の欠乏とを介して、反射防止コーティングか
らウェーハのバルクに電荷が抜き出されることが可能となる。他の実施形態において、反
射防止コーティングは、それ自体が十分に導電性を有する。これらの実施形態が、図5A
〜5Dに関連して、次に説明される。
【0034】
図5Aは、本発明の一実施形態による太陽電池200Cの断面を概略的に示す。太陽電
池200Cは、図2に示される太陽電池200のある特定の実施形態である。透過性の導
電性コーティング501が、反射防止コーティング201の表面上に形成されていること
を除いて、太陽電池200Cは太陽電池200と同等である。図5Aの例において、パッ
シベーション層202は二酸化ケイ素を含み、反射防止コーティング201は窒化シリコ
ンを含み、ウェーハ203はN型シリコンウェーハを含む。一実施形態において、透過性
の導電性コーティング501は、PEDOT/PSS(Baytron−P)コーティン
グのような導電性の有機性コーティングを含む。透過性の導電性コーティング501を、
反射防止コーティング201上に直接的に、噴霧するか又はスクリーン印刷することがで
きる。透過性の導電性コーティング501を、例えば、約100オングストロームの厚み
に形成することができる。透過性の導電性コーティング501を、カプセル化の直前に、
太陽電池の製造プロセス内の最終ステップとして、太陽電池200に提供することができ
る。
【0035】
窒化シリコン反射防止コーティング201は、十分に導電性が無いため、該窒化シリコ
ン内の電荷は、パッシベーション層202内の固有の欠乏に到達するには不十分な短距離
しか伝搬することができない。透過性の導電性コーティング501によって、反射防止コ
ーティング201内の電荷が、パッシベーション層202内の固有の欠乏に到達するのに
十分な距離を伝搬することができ、ウェーハ203のバルクに抜き出されることができる

【0036】
図5Bは、本発明の一実施形態による太陽電池200Dの断面を概略的に示す。太陽電
池200Dは、図2に示される太陽電池200のある特定の実施形態である。導電性反射
防止コーティング(ARC)201Bが反射防止コーティング201として用いられるこ
とを除いて、太陽電池200Dは太陽電池200と同等である。図5Bの例において、パ
ッシベーション層202は二酸化ケイ素を含み、ウェーハ203はN型シリコンウェーハ
を含む。導電性ARC201Bは、その中に電荷が蓄積されることが防止されることによ
り、太陽電池分極を有利に最小化する。前記導電性ARC201B内の電荷は、パッシベ
ーション層202内の固有の欠乏を介して、ウェーハのバルクに抜き出されることが可能
である。
【0037】
一実施形態において、導電性ARC201Bは、酸化チタン(TiO)のような、も
ともと導電性の(すなわち、不純物を追加することなく導電性である)反射防止コーティ
ングを含む。
【0038】
別の実施形態において、導電性ARC201Bは、不純物の追加によって導電性にされ
る非導電性の反射防止材料を含む。このようにすることの1つの方法は、パッシベーショ
ン層202上における反射防止材料の形成中に、金属ガス源から金属不純物を追加するこ
とによる。例えば、前記導電性ARC201Bは、フッ素がドープされた酸化スズ(Sn
O:F)か、ホウ素がドープされた酸化亜鉛(ZnO:B)か、或いはリンがドープされ
た炭化シリコン(SiC:P)又はホウ素がドープされた炭化シリコン(SiC:B)を
含むことができる。ある特定の例として、蒸着中でのリン化水素ガス(PH)か又はシ
ボランガス(B)の追加による炭化シリコン(SiC)のプラズマ化学気相成長法
(PECVD)によって約400オングストロームの厚みに導電性ARC201Bを形成
することができる。
【0039】
図5Cは、本発明の一実施形態による太陽電池200Eの断面を概略的に示す。太陽電
池200Eは、図2に示される太陽電池200のある特定の実施形態である。透過性の導
電層502が反射防止コーティング201の上に形成されていることを除いて、太陽電池
200Eは太陽電池200と同等である。図5Cの例において、パッシベーション層20
2は二酸化ケイ素を含み、反射防止コーティング201は窒化シリコンを含み、シリコン
ウェーハ203はN型ウェーハを含む。太陽電池200C導電性コーティング501(図
5A)のように、透過性の導電層502によって、反射防止コーティング201内の電荷
が、パッシベーション層202内における固有の欠乏に到達するのに十分な距離を伝搬す
ることが可能となり、ウェーハ203のバルクに抜き出されることが可能となる。
【0040】
透過性の導電層502は、蒸着されるか、スパッター蒸着されるか、又は反射防止コー
ティング201の上に直接蒸着されることが可能である。透過性の導電層502は、約2
00オングストロームの厚みが形成された、フッ素がドープされた酸化スズ(SnO:F
)か、ホウ素がドープされた酸化亜鉛(ZnO:B)か、或いはリンがドープされた炭化
シリコン(SiC:P)又はホウ素がドープされた炭化シリコン(SiC:B)のような
、透過性の導電性酸化物を含むことができる。
【0041】
図5Dは、本発明の一実施形態による太陽電池200Fの断面を概略的に示す。太陽電
池200Fは、図2に示される太陽電池200のある特定の実施形態である。パッシベー
ション層202と反射防止コーティング201との間に比較的薄い(例えば、約200オ
ングストロームの)導電層503が形成されていることを除いて、太陽電池200Fは太
陽電池200と同等である。図5Dの例において、パッシベーション層202は二酸化ケ
イ素を含み、反射防止コーティング201は窒化シリコンを含み、シリコンウェーハ20
3はN型ウェーハを含む。前記薄い導電層503によって、電荷が、反射防止コーティン
グ201から該薄い導電層503へ、及びウェーハ203のバルクへと、パッシベーショ
ン層202内の固有の欠乏を介して抜き出されることが可能となる。一実施形態において
、導電層503は、パッシベーション層202の表面上に直接的に約200オングストロ
ームの厚みに形成されたポリシリコンを含む。反射防止コーティング201を、導電層5
03の表面上に直接形成することができる。導電層503を、反射防止コーティング20
1の形成と共にPECVD及びプロセスが生じる場所(すなわち、同じチャンバ内か又は
1ローディング内のクラスタツール)によって、形成することができる。導電層503は
また、フッ素がドープされた酸化スズ(SnO:F)か、ホウ素がドープされた酸化亜鉛
(ZnO:B)か、或いは約200オングストロームの厚みが形成された、リンがドープ
された炭化シリコン(SiC:P)又はホウ素がドープされた炭化シリコン(SiC:B
)を含むことができる。
【0042】
図4及び図5の実施形態において、太陽電池の前面側からウェーハのバルクへの導電性
が増加させられて、有害な太陽電池分極が防止される。このことは、図3Bのモデル内の
分路抵抗Rshを下げることと等価である。他の実施形態において、太陽電池の前面側か
らモジュールの残りまでの、透過性カバーを介した抵抗が増加させられて、電荷漏れが防
止される。このことは、図3Bのモデル内の抵抗Rglを増加させることと等価である。
太陽電池の前面側から太陽電池モジュールの残りまでの抵抗を、図6に関連して次に説明
されるように、電荷漏れ経路を遮断することによって増加させることができる。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態による太陽電池200Gの断面を概略的に示す。太陽電池
200Gは、図2に示される太陽電池200のある特定の実施形態である。透過性の電気
的絶縁体層691が反射防止コーティング201上にわたって形成されていることを除い
て、太陽電池200Gは太陽電池200と同等である。図6の例において、パッシベーシ
ョン層202は二酸化ケイ素を含み、反射防止コーティング201は窒化シリコンを含み
、シリコンウェーハ203はN型ウェーハを含む。前記電気的絶縁体層691が、反射防
止コーティング201上にわたって形成されて、太陽電池200Gの前面側からカバー1
04に向って電荷が漏れ出ることが防止されることにより(図2を参照)太陽電池分極が
防止されている。一実施形態において、前記電気的絶縁体層691は、常圧化学的気相堆
積法(APCVD)によって約0.1〜1.0μmの厚みに形成された二酸化ケイ素(S
iO)を含む。
【0044】
有害な太陽電池分極を、図7Aに関連して次に説明されるように、太陽電池の前面側上
の太陽電池モジュールの、ある領域を、バイアスさせることによって防止することもでき
る。
【0045】
図7Aは、本発明の一実施形態による太陽電池モジュール100Aを概略的に示す。太
陽電池モジュール100Aは、図2に示される太陽電池モジュール100のある特定の実
施形態である。幾つかの太陽電池200が、それらの相互接続200と共に、図7A内に
示されている。相互接続200が、一方の太陽電池を他方の太陽電池に直列に接続してい
る。有害な漏れ電流を防ぐためにセルの前におけるモジュールの一部分の電位を引き上げ
るために(すなわち、n型セルモジュールの場合には30Vより上にか、30Vにか、又
は30V内において)、電気的な導電性経路が追加されていることを除いて、太陽電池モ
ジュール100Aは太陽電池モジュール100と本質的には同じである。一実施形態にお
いて、導電性経路は、透過性カバー104(例えば、ガラス)の裏面上に透過性導電層6
84を配置して、該透過性導電層684を太陽電池200の裏面上に接続することによっ
て形成される。図7Aの例において、導電層684は、1つの相互接続682に電気的に
接続され、電気的接続683を介して太陽電池200の裏面側に接続される。図7Aの例
において、相互接続200に接続されることになる導電層684にとっての好適実施形態
は、すなわち、該導電層684が、n型前面側拡散領域を有するセルについてのアレイ内
の最も高い(すなわち、最も正の)か又は最も高い電位付近の太陽電池200に接続され
、及び、p型前面側拡散領域を有するセルについてのアレイ内の最も低い(すなわち、最
も負の)か又は最も負の電位付近の太陽電池200に接続される。高電圧がモジュール外
にある場合の、安全でない条件を防止するために、太陽電池モジュール100Aのフレー
ムから導電層684は絶縁される。導電層684は、フッ素がドープされた酸化スズ(S
nO:F)か、酸化インジウムスズ(ITO)か、酸化亜鉛(ZnO)か、或いは他の透
過性の酸化物か又は透過性の有機性伝導物を含むことができる。好適実施形態において、
この導電層は、約5e4オーム/平方のシート抵抗を有する。裏面シート102が、前述
のようにカプセル材料103の底面上に形成されている。代替の一実施形態において、カ
プセル材料103が、導電性にさせられて、太陽電池200の上の等ポテンシャルフィー
ルドの付近を形成する。すなわち、モジュールのエッジにおけるカプセル材料が、電気的
に絶縁のままとなって、高電圧がモジュール外にある場合の、安全でない条件が防止され
る。
【0046】
システムレベルのアプローチにおいて、太陽電池の前面側から電荷が漏れることを防止
するために、太陽エネルギーシステム全体が考慮される。例えば、太陽電池モジュールの
アレイを、バイアスさせることができる。これにより、太陽電池の前面側から伝搬される
電荷の漏れが防止される。太陽電池分極問題に対する、例示的なシステムレベルのアプロ
ーチが、図7B及び7Cに関連して、次に説明される。
【0047】
図7Bは、本発明の一実施形態による太陽エネルギーシステム790を概略的に示す。
図7Bの例において、太陽電池モジュールアレイ630は、相互接続された太陽電池20
0を含む幾つかの太陽電池モジュールを有する。太陽電池モジュールアレイ630の正の
出力端子が、ノード616としてラベル付けられている一方で、その負の出力端子が、ノ
ード617としてラベル付けられている。図7Bの例において、太陽電池200は、それ
らの正の端子がノード616に向うように、及びそれらの負の端子がノード617に向う
ように、直列接続されている。図7B内に示される直列接続に並列に、他の直列接続され
た太陽電池200を存在させることもできる。
【0048】
図7Bの例において、太陽電池モジュールアレイ630が、インバータ600に結合さ
れている。インバータは、直流電流(DC)を交流電流(AC)に変換する。太陽エネル
ギーシステム790において、インバータ600は、太陽電池モジュールアレイ630か
らの直流電流を受けて、電力グリッドに交流電流を出力する。図7B内において示される
ように、DC−DC変換器601が、太陽電池モジュールアレイ630からの直流電流を
別の直流電流に変換する。DC−DC変換器601の直流電流出力は、DC−AC変換器
602によって交流電流に変換される。DC−AC変換器602の交流電流出力は、絶縁
回路603を介して電力グリッドに提供される。代替的には、絶縁回路603は、DC−
DC変換器601とDC−AC変換器602との間において直列接続とすることもできる

【0049】
太陽エネルギーシステム790において、太陽電池アレイモジュール630の正の端子
は接地される。該太陽エネルギーシステム790に類似するシステムを、北米及び日本と
他の国々との間において用いることができる。太陽電池モジュールアレイ630内におけ
る全ての太陽電池モジュールのフレームを表すフレーム614がまた、ラベル611によ
って示されるように接地される。太陽電池モジュールアレイ630の正の端子と、フレー
ム614とを接地することは、太陽電池200とフレーム614との間の電位差を低減し
て、太陽電池200の前面側からの漏れを最小化する。太陽電池モジュールアレイ630
の正の端子を、インバータ600内においてか、又はインバータ600の外側において、
アースに結合することができる。
【0050】
図7Bの例において、各太陽電池200は、n型前面側拡散領域を有する。この場合に
は、太陽電池200が、アースに対して正にバイアスさせられることになるため、有害な
太陽電池分極が生じる。有害な分極を防止するためには、太陽電池モジュールアレイ63
0の最も高い電位か又は最も高い電位付近(この場合にはノード616)が、従って、ア
ースに結合される。別の実施形態において、太陽電池がp型前面側拡散領域を有する場合
には、アースに対して太陽電池が負にバイアスされる時に、有害な分極が生じる可能性が
ある。この場合には、アレイ内における最も低い電位か又は最も低い電位付近の太陽電池
(例えば、太陽電池モジュールアレイの負の出力端子)を、アースに結合して、有害な太
陽電池分極を防止することができる。
【0051】
図7Cは、本発明の一実施形態による太陽エネルギーシステム795を概略的に示す。
図7Cの例において、太陽電池モジュールアレイ630は、幾つかの相互接続された太陽
電池200を含む幾つかの太陽電池モジュールを有する。太陽電池モジュールアレイ63
0の正の出力端子が、ノード616としてラベル付けられている一方で、その負の出力端
子が、ノード617としてラベル付けられている。図7Cの例において、太陽電池200
は、それらの正の端子がノード616に向うように、及びそれらの負の端子がノード61
7に向うように、直列接続されている。図7C内に示される直列接続に並列に、他の直列
接続された太陽電池200を存在させることもできる。
【0052】
図7Cの例において、太陽電池モジュールアレイ630が、インバータ650に結合さ
れている。インバータ650は、太陽電池モジュールアレイ630からの直流電流を受け
て、電力グリッドに対して交流電流を出力する。図7C内において示されているように、
DC−DC変換器651は、太陽電池モジュールアレイ630からの直流電流を、別の直
流電流に変換する。DC−DC変換器651の直流電流出力は、絶縁回路653によって
、DC−AC変換器652に結合される。DC−AC変換器652の交流電流出力は、電
力グリッドに提供される。代替的には、絶縁回路653を、DC−AC変換器652の出
力に配置して、電力グリッドに対してAC出力を提供することができる。太陽エネルギー
システム795に類似するシステムを、欧州の国々の大部分、連合王国、及び他の国々の
ようなIECレギュレーションによってカバーされる国々内において用いることができる

【0053】
図7Cの例において、太陽電池モジュールアレイ630の出力が、太陽電池モジュール
アレイ630の総電圧の値の+/−1/2(すなわちプラス/マイナス・半分)の値に平
衡がとられる。すなわち、ノード616における電圧は、理想的には、太陽電池モジュー
ルアレイ630の総電圧の+1/2である一方、ノード617における電圧は、理想的に
は、太陽電池モジュールアレイ630の総電圧の−1/2である。抵抗器672及び67
3は、太陽電池モジュールアレイ630の出力を、接地点付近において平衡させる高い値
の抵抗器(又はバリスタ)である。実際には、平衡抵抗器672と673とが、高抵抗(
例えば、各々約10MΩ)を有するので、太陽電池モジュールアレイ630の出力が、ほ
ぼ平衡がとられるだけである。
【0054】
典型的な実装において、太陽電池モジュールアレイ630は浮遊することになる。何故
ならば、抵抗器617が存在せず、太陽電池モジュールアレイ630の出力と電力グリッ
ドに対するAC出力との間において、インバータ650がDC−DC絶縁を有するからで
ある。しかしながら、そのような実装が、太陽電池200の有害な分極を生じさせること
になることを、本発明者は発見した。一実施形態において、太陽電池モジュールアレイ6
30の正の端子は、抵抗器671を介してアースに結合される。抵抗器671は、本発明
の利点を損なうこと無く、固定されるか、可変されるか、又は電気的に制御される抵抗と
することができる。抵抗器671は、太陽電池モジュールアレイ630を、その出力の正
の側近くにバイアスさせて、正の電荷が、太陽電池200の前面側から漏れることが防止
される。換言すると、抵抗器671は、太陽電池モジュールアレイ630の出力を、正の
方向に「不平衡」にさせて、太陽電池分極を防止する。同様に、太陽電池200の前面側
から漏れる(正の電荷でなく)電子によって太陽電池分極が生じられた場合には、ノード
617を(ノード616の代りに)、抵抗器671を介してアースに接続して、太陽電池
モジュールアレイ630を、その負の出力に向ってバイアスさせることができる。抵抗器
671は、平衡抵抗器(すなわち、抵抗器672か又は673)の値の約1/10th
下の抵抗を有することができる。太陽電池モジュールアレイ630の、平衡がとられた出
力を、漏れる電荷キャリア(すなわち、電子か又は正孔)極性に依存して、正か又は負の
方向に向って、インバータが不平衡にさせるように、インバータ650がまた構成される
ことに留意されたい。例えば、抵抗器672の値を、抵抗器673に対して増加させて、
抵抗器671を用いることなく、太陽電池モジュールアレイ630の出力を不平衡にさせ
ることができる。
【0055】
抵抗器671はまた、電気的に制御される抵抗も含む。例えば、抵抗器671の抵抗を
、条件に依存して異なる抵抗値に切り換えることによって電子回路により制御することが
できる。このような電子回路は、例えば、雨が降っている時のような、太陽電池モジュー
ルアレイ抵抗がアースレベルに低減された時の、より低い抵抗が必要とされる場合を検出
するセンサーを有することができる。
【0056】
図7Cの例において、各太陽電池200は、n型前面側拡散領域を有する。この場合に
は、太陽電池200がアースに対して正にバイアスさせられることになるため、有害な太
陽電池分極が生じる。有害な分極を防止するためには、太陽電池モジュールアレイ630
における最も高い電位か又は最も高い電位付近が(この場合には、ノード616)が、従
って、抵抗(例えば、抵抗器671)を介してアースに結合される。別の実施形態におい
て、太陽電池がp型前面側拡散領域を有する場合には、太陽電池がアースに対して負にバ
イアスされることになる時に、有害な分極が生じる可能性がある。この場合には、アレイ
内における最も低い電位か又は最も低い電位付近の太陽電池(例えば、太陽電池モジュー
ルアレイの負の出力端子)を、抵抗を介してアースに結合して、有害な太陽電池分極を防
止することができる。
【0057】
有害な太陽電池分極を防止するための技法が開示された。本発明の特定の実施形態が提
供されたが、これらの実施形態は例示する目的のためであり、制限するためではないこと
を理解されたい。この開示を読み解く当業者によって、多くの更なる実施形態が明らかに
されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態を利用ことが可能な一例の太陽電池モジュールの分解図を示す図である。
【図2】図1の太陽電池モジュールの断面を概略的に示す図である。
【図3A】太陽電池分極が生じることを発明者が確信するメカニズムについてのモデルを示す図である。
【図3B】太陽電池分極が生じることを発明者が確信するメカニズムについてのモデルを示す図である。
【図4A】本発明の一実施形態による太陽電池の断面を概略的に示す図である。
【図4B】本発明の一実施形態による太陽電池の断面を概略的に示す図である。
【図5A】本発明の一実施形態による太陽電池の断面を概略的に示す図である。
【図5B】本発明の一実施形態による太陽電池の断面を概略的に示す図である。
【図5C】本発明の一実施形態による太陽電池の断面を概略的に示す図である。
【図5D】本発明の一実施形態による太陽電池の断面を概略的に示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による太陽電池の断面を概略的に示す図である。
【図7A】本発明の一実施形態による太陽電池モジュールを概略的に示す図である。
【図7B】本発明の一実施形態による太陽エネルギーシステムを概略的に示す図である。
【図7C】本発明の一実施形態による太陽エネルギーシステムを概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側と裏面側とを有する太陽電池であって、該太陽電池の該前面側は、通常動作中、
太陽に面しており、該太陽電池が、
前記太陽電池の前記裏面側上に形成された複数の金属コンタクトであって、該金属コ
ンタクトの各々が、前記太陽電池における、対応するp型ドープされたか又はn型ドープ
された収集領域に結合されていることからなる、複数の金属コンタクトと、
前記太陽電池の前記前面側に面しているシリコンウェーハの表面上に直接的に形成さ
れた誘電性パッシベーション層と、
前記誘電性パッシベーション層上に形成された反射防止コーティングと、
前記太陽電池の前記前面側から前記シリコンウェーハのバルクへと電荷を抜き出すこ
とによって、前記太陽電池における有害な分極を防止するよう構成された導電性経路
とを備えることからなる、太陽電池。
【請求項2】
前記導電性経路が、前記誘電性パッシベーション層を含み、前記誘電性パッシベーショ
ン層が、約10〜20オングストロームの厚みを有する二酸化ケイ素を含むことからなる
、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記導電性経路が、前記誘電性パッシベーション層を通じてパターン成形された正孔を
含む、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
通常動作中には太陽に面した前記反射防止コーティングの表面上に直接的に形成された
導電性コーティングを、前記導電性経路が含む、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
導電性にされて、前記誘電性パッシベーション層内の固有の欠乏を介して前記ウェーハ
のバルクに電荷が抜き出されるように、前記反射防止コーティングが構成される、請求項
1に記載の太陽電池。
【請求項6】
金属不純物がドープされた反射防止材料を、前記反射防止コーティングが含む、請求項
5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記反射防止コーティングが、もともと導電性である、請求項5に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記反射防止コーティングの表面上に直接的に形成された導電性材料の層を更に含む、
請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記反射防止コーティングと前記誘電性パッシベーション層との間に形成された導電性
材料の層を更に含む、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記導電性材料の層が、前記誘電性パッシベーション層の表面と前記反射防止コーティ
ングの表面とに直接的に接触する、請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
a)直列に接続された複数の太陽電池であって、該複数の太陽電池内のうちの少なくと
も1つの太陽電池が、前面側と裏面側とを有し、通常動作中、該太陽電池の該前面側が太
陽に面しており、該太陽電池が、
(i)前記太陽電池の裏面側上に形成された複数の金属コンタクトであって、該金属
コンタクトの各々が、前記太陽電池内における、対応するp型ドープされたか又はn型ド
ープされた収集領域に結合されていることからなる、複数の金属コンタクトと、
(ii)前記太陽電池の前記前面側に面しているシリコンウェーハの表面上に直接的に
形成された誘電性パッシベーション層と、
(iii)前記誘電性パッシベーション層上に形成された反射防止コーティング
とを含むことからなる、太陽電池と、
b)前記複数の太陽電池を保護するように覆うカプセル材料と、
c)前記複数の太陽電池の前記前面側上の透過性カバーと、
d)前記透過性カバーと、前記太陽電池の前記前面側との間の導電層であって、太陽電
池分極を防止するために、前記太陽電池の前記裏面側上の金属コンタクトに電気的に結合
されている、導電層
とを備える、太陽電池モジュール。
【請求項12】
前記透過性カバーが、ガラスを含む、請求項11に記載の太陽電池モジュール。
【請求項13】
前記太陽電池が、n型前面側拡散領域を有し、前記太陽電池が、前記複数の太陽電池内
における最も低い電位の太陽電池よりも、より正である電位にある、請求項11に記載の
太陽電池モジュール。
【請求項14】
(a)複数の太陽電池であって、該太陽電池の各々が、
(i)前面側及び裏面側であって、通常動作中、該前面側が太陽に面することからな
る、前面側及び裏面側と、
(ii)前記裏面側上に形成された複数の金属コンタクトであって、該金属コンタクト
の各々が、前記太陽電池の、対応するp型ドープされたか又はn型ドープされた収集領域
に結合されていることからなる、複数の金属コンタクトと、
(iii)通常動作中には太陽に面したウェーハの表面上に形成された誘電性パッシベ
ーション層と、
(iv)前記誘電性パッシベーション層上に形成された反射防止コーティング
とを含むことからなる、複数の太陽電池と、
(b)前記複数の太陽電池を含む太陽電池モジュールアレイであって、正の電圧におけ
る正の端子と、負の電圧における負の端子とを有する、太陽電池モジュールアレイと、
(c)前記太陽電池モジュールアレイ内の太陽電池モジュールのフレームに対するアー
ス接続と、
(d)前記太陽電池モジュールアレイによって生成された直流電流を、電力グリッドに
提供されることになる交流電流に、変換するよう構成されたインバータであって、前記太
陽電池モジュールアレイの前記正の端子に結合された正の端子と、前記太陽電池モジュー
ルアレイの前記負の端子に結合された負の端子とを有する、インバータ
とを備え、
前記太陽電池モジュールアレイがバイアスさせられることにより、前記太陽電池の前記
前面側から前記太陽電池モジュールの前記フレームへと電荷が漏れることが防止されるこ
とからなる、太陽エネルギーシステム。
【請求項15】
平衡がとられた電圧を前記太陽電池モジュールアレイから受け取るよう前記インバータ
が構成され、
前記太陽電池モジュールアレイからの前記平衡がとられた電圧を不平衡にさせることに
より、前記太陽電池の前記前面側から電荷が漏れることを防止するために、前記太陽電池
モジュールアレイの端子をアースに結合させる抵抗を更に含むことからなる、請求項14
に記載の太陽エネルギーシステム。
【請求項16】
前記抵抗が、前記太陽電池モジュールアレイの前記正の端子をアースに結合させる、請
求項15に記載の太陽エネルギーシステム。
【請求項17】
前記複数の太陽電池内の各太陽電池が、n型前面側拡散領域を有し、前記太陽電池モジ
ュールアレイの前記正の端子をアース電位に接続することにより、前記太陽電池モジュー
ルアレイがバイアスさせられることからなる、請求項14に記載の太陽エネルギーシステ
ム。
【請求項18】
前記複数の太陽電池内の各太陽電池が、p型前面側拡散領域を有し、前記太陽電池モジ
ュールアレイの前記負の端子をアース電位に接続することにより、前記太陽電池モジュー
ルアレイがバイアスさせられることからなる、請求項14に記載の太陽エネルギーシステ
ム。
【請求項19】
前記太陽電池モジュールアレイの前記正の端子が、抵抗を介してアースに接続される、
請求項17に記載の太陽エネルギーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2011−97078(P2011−97078A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−291035(P2010−291035)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【分割の表示】特願2007−558005(P2007−558005)の分割
【原出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(505379467)サンパワー コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】