説明

太陽電池の特性評価方法

【課題】 迷光による電流分検出の困難性を解決し、より正確な解析を行うことのできる太陽電池の特性評価方法を提供すること。
【解決手段】 第1放射照度下で対象セルに減光板を被覆した第1減光I−V特性bと減光板を被覆しない第1非減光I−V特性aとを測定し、特性aに対し(n−i)/nを掛けて特性cを算出し、第2放射照度下で対象セルに減光板を被覆した第2減光I−V特性bと減光板を被覆しない第2非減光I−V特性aとを測定し、特性aに対し(n−i)/nを掛けて得た特性cを算出し、特性bと特性cの交点と特性bと特性cの交点に基づいて補正電流値Idを算出し、特性b上で交点電流値にIdだけ移動した電流値の点を通るように特性cを平行移動させて特性cを求め、同一電流値に対して特性bの電圧値から特性cの電圧値を減じて対象セルのI−V特性を得ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の特性評価方法に関し、より具体的には、太陽電池モジュール(またはアレイ)中のセル(またはモジュール)の特性を非破壊にて評価する特性評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、クリーンエネルギー源として太陽電池の導入が図られている。太陽電池が電源設備として社会的なインフラとなるためには、長寿命(20〜30年)であることを実証することが重要である。この観点から、10年以上フィールドで暴露されたシリコン結晶系太陽電池モジュールの劣化評価が行われている。このとき、モジュールの構成要素の劣化を個別に評価する必要がある。その際、モジュールの構成セルをモジュール出力端子から非破壊的に評価する方法が必要になる。具体的には短絡電流(Isc)、開放電圧(Voc)最大出力(Pmax)などを評価することである。
【0003】
本発明者らは、すでに太陽電池モジュールを構成するセルの特性を、モジュール出力端子から非破壊的に評価する方法を発明(特開2004−281487号公報)し、解析ソフトを作製して利用するに至っている。この方法は、Si結晶系太陽電池のI−V特性が、放射照度に対し平行移動の軌跡を示すこと、及び直列接続太陽電池モジュールの出力電流特性が構成セルの内の一番小さい出力電流特性で制限された特性(モジュールの解析対象セルに減光板を付けてモジュール全体に所定の放射照度にさせたときのモジュールI−V特性は減光板付きのセルの出力電流で制限された形のI−V特性)となることを利用したものである。
【0004】
具体的には、n個のセルを直列接続した太陽電池モジュールにおいて、「被解析対象セルに減光板を被せないモジュールI−V特性A」と「被解析対象セルに減光板を被せたモジュールI−V特性B」とを測定し、「特性Aの測定電圧に対してのみ(n−1)/nを掛けて得た推定モジュールI−V特性C」を算出し、同一電流値に対して前記「I−V特性B」の電圧値から前記「I−V特性C」の電圧値を減算して得たI−V特性を「第1次解析対象セルのI−V特性D」とし、さらに下記の補正法を採用することにより正確な「解析対象セルのI−V特性E」を得る方法である。
【0005】
すなわち、上記「特性Aの測定電圧に対してのみ(n−1)/nを掛けて得た推定モジュールI−V特性C」を基にして解析したセルI−V特性は、モジュール全電圧に対し単純平均したものであるから電圧に関して解析対象セルの真の特性に一致する補償はなく、真のセル特性に対して余分な電圧がバイアスされたセルI−V特性の可能性がある。セルI−V特性上の零電圧点に余分なバイアス電圧があると、その電圧で本来ないはずのダイオード電流や並列抵抗の電流分が発生することになる。
【0006】
そこで、上記「第1次解析対象セルのI−V特性D」の電圧に対しての補正法は、減光率の異なる2つ減光板を用いて解析対象セルのセル上のみの放射照度を変えて「被解析対象セルに減光板を被せたモジュールI−V特性a」及び「被解析対象セルに減光板を被せたモジュールI−V特性b」を測定し、「特性Aの測定電圧に対してのみ(n−1)/nを掛けて得たモジュールI−V特性C」との2点の交点の電流値I、Iの放射照度比例特性から放射照度零点の電流値Idを求めて補正電流として電流値I、Iから減算補正し、「被解析対象セルに減光板を被せたモジュールI−V特性a」及び「被解析対象セルに減光板を被せたモジュールI−V特性b」上において減算補正電流値を満足する特性点を求め、そこが新たな交点となるように「特性Aの測定電圧に対してのみ(n−1)/nを掛けて得たモジュールI−V特性C」を電圧軸に沿って移動させることにより、正確な「解析対象セルのI−V特性E」を得る。または、前記同様の方法で、2つの減光板を用いることにより放射照度を変えた2つの第1次I−V特性を解析し、そこから得た短絡電流Isc(≒光起電流Ip)の放射照度比例特性から放射照度零点の電流値を求め、該I−V特性に沿ってその電流値だけIsc(≒Ip)点を移動させることで正しい電圧軸に修正する方法であった。
【0007】
【特許文献1】特開2004−281487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特開2004−281487号公報に示した方法は、取得セルI−V特性の電圧に多少のバイアスがあっても短絡電流Isc(≒光起電流Ip)の解析に限ればほとんど影響がないので、電圧補正法なし(第1次解析)でも十分利用できたが、開放電圧(Voc)等の電圧成分のある解析には電圧補正法が不可欠である。しかしながら、実際上の結晶型太陽電池モジュールは、セルとセルの余白部分からセル面に回り込む迷光による電流が存在するため、その分を別途測定して特性から差し引いた後に電圧に対しての補正を適用することになるが、検出すべきバイアス電圧で生じたダイオード電流や並列抵抗の電流分より迷光による電流の方がかなり大きいので、迷光による電流量の精密な測定が必要となるが、この測定は難しく、測定値に誤差が多いのが実状で、必要な補正電流が迷光による電流に紛れ込んでしまい検出が困難であった。
本発明の目的は、迷光による電流分検出の困難性を解決し、より正確な解析を行うことを可能にした太陽電池の特性評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、下記の手段を採用した。
第1の手段は、n個のセルを直列接続した太陽電池モジュールにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象セルに減光板を被覆した第1減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光モジュールI−V特性とを測定し、第1非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定モジュールI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光モジュールI−V特性とを測定し、第2非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定モジュールI−V特性を算出し、第1減光モジュールI−V特性と第1推定モジュールI−V特性の交点と、第2減光モジュールI−V特性と第2推定モジュールI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流とし、第1減光モジュールI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定モジュールI−V特性を電圧軸に沿って平行移動させて修正・推定モジュールI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性の電圧値から修正・推定モジュールI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象セルのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法である。
【0010】
第2の手段は、n個のセルを直列接続した太陽電池モジュールにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象セルに減光板を被覆した第1減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光モジュールI−V特性とを測定し、第1非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定モジュールI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光モジュールI−V特性とを測定し、第2非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定モジュールI−V特性を算出し、第1減光モジュールI−V特性と第1推定モジュールI−V特性の交点と、第2減光モジュールI−V特性と第2推定モジュールI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流とし、第1減光モジュールI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定モジュールI−V特性の電圧に対してのみ係数を掛けて修正・推定モジュールI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性の電圧値から修正・推定モジュールI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象セルのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法である。
【0011】
第3の手段は、n個のセルを直列接続した太陽電池モジュールにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象セルに減光板を被覆した第1減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光モジュールI−V特性とを測定し、第1非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定モジュールI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光モジュールI−V特性とを測定し、第2非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定モジュールI−V特性を算出し、さらに、前記第2の放射照度より放射照度を低減させた第3の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第3減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第3非減光モジュールI−V特性とを測定し、第3非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第3推定モジュールI−V特性を算出し、第2減光モジュールI−V特性と第2推定モジュールI−V特性の交点と、第3減光モジュールI−V特性と第3推定モジュールI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流として、第1減光モジュールI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定モジュールI−V特性を電圧軸に沿って平行移動させて修正・推定モジュールI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性の電圧値から修正・推定モジュールI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象セルのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法である。
【0012】
第4の手段は、n個のセルを直列接続した太陽電池モジュールにおいて、第1の放射照度の光照射下において任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象セルに減光板を被覆した第1減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光モジュールI−V特性とを測定し、第1非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定モジュールI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光モジュールI−V特性とを測定し、第2非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定モジュールI−V特性を算出し、さらに、前記第2の放射照度より放射照度を低減させた第3の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第3減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第3非減光モジュールI−V特性とを測定し、第3非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第3推定モジュールI−V特性を算出し、第2減光モジュールI−V特性と第2推定モジュールI−V特性の交点と、第3減光モジュールI−V特性と第3推定モジュールI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流として、第1減光モジュールI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定モジュールI−V特性の電圧に対してのみ係数を掛けて修正・推定モジュールI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性の電圧値から修正・推定モジュールI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象セルのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法である。
【0013】
第5の手段は、n個のモジュールを直列接続した太陽電池アレイにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象モジュールに減光板を被覆した第1減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光アレイI−V特性とを測定し、第1非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定アレイI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光アレイI−V特性とを測定し、第2非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定アレイI−V特性を算出し、第1減光アレイI−V特性と第1推定アレイI−V特性の交点と、第2減光アレイI−V特性と第2推定アレイI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流とし、第1減光アレイI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定アレイI−V特性を電圧軸に沿って平行移動させて修正・推定アレイI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光アレイI−V特性の電圧値から修正・推定アレイI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象モジュールのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法である。
【0014】
第6の手段は、n個のモジュールを直列接続した太陽電池アレイにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象モジュールに減光板を被覆した第1減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光アレイI−V特性とを測定し、第1非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定アレイI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光アレイI−V特性とを測定し、第2非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定アレイI−V特性を算出し、第1減光アレイI−V特性と第1推定アレイI−V特性の交点と、第2減光アレイI−V特性と第2推定アレイI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流とし、第1減光アレイI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定アレイI−V特性の電圧に対してのみ係数を掛けて修正・推定アレイI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光アレイI−V特性の電圧値から修正・推定アレイI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象モジュールのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法である。
【0015】
第7の手段は、n個のモジュールを直列接続した太陽電池アレイにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象モジュールに減光板を被覆した第1減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光アレイI−V特性とを測定し、第1非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定アレイI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光アレイI−V特性とを測定し、第2非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定アレイI−V特性を算出し、さらに、前記第2の放射照度より放射照度を低減させた第3の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記減光板と同一の減光板を被覆した第3減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第3非減光アレイI−V特性とを測定し、第3非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第3推定アレイI−V特性を算出して、第2減光アレイI−V特性と第2推定アレイI−V特性の交点と、第3減光アレイI−V特性と第3推定アレイI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流として、第1減光アレイI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定アレイI−V特性を電圧軸に沿って平行移動させて修正・推定アレイI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光アレイI−V特性の電圧値から修正・推定アレイI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象モジュールのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法である。
【0016】
第8の手段は、n個のモジュールを直列接続した太陽電池アレイにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象モジュールに減光板を被覆した第1減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光アレイI−V特性とを測定し、第1非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定アレイI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光アレイI−V特性とを測定し、第2非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定アレイI−V特性を算出し、さらに、前記第2の放射照度より放射照度を低減させた第3の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記と同一の減光板を被覆した第3減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第3非減光アレイI−V特性とを測定し、第3非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第3推定アレイI−V特性を算出し、第2減光アレイI−V特性と第2推定アレイI−V特性の交点と、第3減光アレイI−V特性と第3推定アレイI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流として、第1減光アレイI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定アレイI−V特性の電圧に対してのみ係数を掛けて修正・推定アレイI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光アレイI−V特性の電圧値から修正・推定アレイI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象モジュールのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法である。
【0017】
第9の手段は、第1の手段ないし第8の手段のいずれか1つの手段において、前記被解析対象のI−V特性を得るための放射照度は、迷光分の補正がなされたものであることを特徴とする太陽電池の特性評価方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来の太陽電池の特性評価方法(特開2004−281487号公報)の欠点である迷光による電流分検出の困難性を解決し、より正確な解析方法を提供することができる。また、本発明によれば、電圧成分を含むセルI−V特性の取得が可能となったことで、光照射下太陽電池モジュール内構成セルの出力特性の詳細や、セルVocの温度依存性を利用して各セルの動作温度の違い等が解析可能となり、光照射下のモジュール動作の細かな解析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
はじめに、本発明の第1の実施形態を図1ないし図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態の発明に係る太陽電池モジュールの概略構成を示す平面図である。
同図において、1は太陽電池モジュール、2は基板、3はセル、4,5は出力端子、6
は減光板である。同図に示すように、太陽電池モジュール1は、基板2上にn個(図示した例では18個)のセル3を直列に接続し、両端のセルからの出力端子4、5を引き出したものである。
【0020】
図2は、本実施形態の発明に係り、被解析対象セルのI−V特性を評価するために2つの交点から電流値(I、I)を求めるための特性図である。
以下において、簡単に説明するために被解析対象セルは1個とする。まず、太陽電池モジュール1上に均等な第1の放射照度(例えば1SUN)の光照射下において、被解析対象セルに減光板6を被せて第1減光モジュールI−V特性bを測定し、次に、放射照度を変えずに、減光板6を被せない状態で第1非減光モジュールI−V特性aを測定する。
本発明において、被解析対象セルのI−V特性を得るためには、モジュール特性から被解析対象セルを除いたI−V特性が必要となるが、これを直接測定することはできない。そこで、まず、第1非減光モジュールI−V特性aに対し測定電圧に対してのみ(n−1)/nを掛けて得た、被解析対象セルを除いたI−V特性に近似した、第1推定モジュールI−V特性c
を得る。
【0021】
続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下による小電流の測定レンジにおいて、前記同様の方法にて、第2減光モジュールI−V特性bと第2非減光モジュールI−V特性aを測定し、第2推定モジュールI−V特性cを得る。
【0022】
以上得られた第1減光モジュールI−V特性bと第1推定モジュールI−V特性cの交点(電流値はI)と、第2減光モジュールI−V特性bと第2推定モジュールI−V特性cの交点(電流値はI)の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流とする。
【0023】
図3は、2つの交点から求まる電流値(I1、)を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での補正用電流値Idを求めるための図である。
同図に示すように、測定電流と放射照度の関係線Aには、迷光による電流線Cとセルの余分なバイアス電圧で生じた電流値Idの電流線B(ダイオード電流や並列抵抗)が含まれているが、放射照度が零であれば迷光も零になるので、迷光による電流線Cは電流と放射照度の零点を通ることになる。一方のバイアス電圧で生じた電流線Bは、ダイオード電流も並列抵抗電流も電圧のみに関係して放射照度に対し一定値の関係にある。したがって、放射照度零を通る測定電流との関係線Aの電流値が補正用電流Idとして求まる。すなわち、非常に困難であった迷光による電流測定を行なわなくても補正用電流Id(図3はマイナス電流)が求められる。
【0024】
図4は、本実施形態の発明に係る被解析対象セルのI−V特性Eを求めるための特性図である。
同図に示すように、第1減光モジュールI−V特性b上で交点Iの電流値をIdだけ移動(同図では補正用電流Idがマイナス値のため加算移動)した電流値の点Iを通るように、第1推定モジュールI−V特性cを電圧軸に沿って平行移動させて修正・推定モジュールI−V特性cを求める。次に、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性bの電圧値から修正・推定モジュールI−V特性cの電圧値を減じてI−V特性Dを得、このI−V特性Dを入射放射照度について減光板減光率で割戻すことで第1の放射照度下における被解析対象セルのI−V特性Eを得ることが出来る。
【0025】
次に、本発明の第2の実施形態を図1ないし図3、及び図5を用いて説明する。
本実施形態の発明においても、第1の実施形態の発明と同様に、図1〜図3で説明したように、第1減光モジュールI−V特性bと第1推定モジュールI−V特性cの交点(電流値はI)と、第2減光モジュールI−V特性bと第2推定モジュールI−V特性cの交点(電流値はI)の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での補正用電流値Idを求める迄は同一である。
【0026】
しかし、第1の実施形態においては次の手順が、図4を用いて説明したように、第1推定モジュールI−V特性cを電圧軸に沿って平行移動させる簡易な方法であった。電圧補正量が微小なら影響は殆ど無いが、厳密には、本来のダイオード因子の値(n値)や並列抵抗値(Rsh)が歪められた不自然なI−V特性(電圧方向に伸縮された)となる懸念がある。
【0027】
図5は、本実施形態の発明に係る被解析対象セルのI−V特性Eを求めるための特性図である。
上記の問題に対処するために、図5で示すように、交点の電流値IをIdだけ移動(図5は加算移動の例)した電流値の点Iを通るように、第1推定モジュールI−V特性cの電圧に対してのみ係数を掛けて修正・推定モジュールI−V特性cを求める。この場合の修正した推定モジュールI−V特性cは通常のモジュールI−V特性を電圧方向に均等に圧縮されたものであり、無理のないセルI−V特性の解析が期待できる。以下は第1の実施形態の発明と同様な手順によって、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性bの電圧値から修正・推定モジュールI−V特性cの電圧値を減じてI−V特性Dを得、このI−V特性Dを入射放射照度について減光板減光率で割戻すことで第1の放射照度下における被解析対象セルのI−V特性Eを得ることが出来る。
【0028】
次に、本発明の第3の実施形態を図4、図6、及び図7を用いて説明する。
本実施形態の発明は、第1の実施形態の発明と、第1の実施形態で説明した補正用電流Idを求める部分に変更を加えた点で相違する。すなわち、第1の実施形態の発明で求めた補正用電流Idは、図2及び図3で説明したように、第1の放射照度(例えば1SUN)の光照射下おける第1非減光モジュールI−V特性aと第1推定モジュールI−V特性cとの交点の電流Iと、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下による第2減光モジュールI−V特性bと第2推定モジュールI−V特性cとの交点の電流Iの、2つの電流値I、Iと放射照度の比例関係を用いて求めた。しかし、この第1の放射照度における交点の電流Iと上記第2の放射照度における交点の電流Iの電流レンジは大幅に異なるために測定誤差や計算誤差が懸念される。
【0029】
図6は、被解析対象セルのI−V特性を評価するために2つの交点から電流値(I、I)を求めるための特性図である。
同図に示すように、図2に示した特性図と異なり、第2の放射照度よりもさらに、放射照度のみを低減させた第3の放射照度の光照射下による小電流の測定レンジにおいて、第3減光モジュールI−V特性bと第3非減光モジュールI−V特性aを測定し、前記同様の方法にて第3推定モジュールI−V特性cを得る。次に、第2減光モジュールI−V特性bと第2推定モジュールI−V特性cの交点電流Iと、第3減光モジュールI−V特性bと第3推定モジュールI−V特性cの交点電流Iの2つの交点電流値I、Iを得る。
【0030】
図7は、2つの交点から求まる電流値(I、I)を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での補正用電流値Idを求めるための図である。
同図において、図3で説明したと同様の方法により、放射照度零での補正用電流値Idを求める。この補正用電流値Idは、図3において求めた補正用電流値Idに比べて、測定誤差や計算誤差の混入を回避することができる。
【0031】
次に、図4に示した被解析対象セルのI−V特性Eを求めるための特性図と同様の特性図を用いて、本実施形態の発明に係る被解析対象セルの不図示のI−V特性Eを求める。
まず、図4において、第1減光モジュールI−V特性b上で交点Iの電流値を図7で求めた補正用電流値Idだけ移動した電流値の点Iを通るように、第1推定モジュールI−V特性c1を電圧軸に沿って平行移動させて修正・推定モジュールI−V特性cと同様の不図示の修正・推定モジュールI−V特性c求める。次に、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性bの電圧値から不図示の修正・推定モジュールI−V特性cの電圧値を減じてI−V特性Dと同様の不図示のI−V特性Dを得、この不図示のI−V特性Dを入射放射照度について減光板減光率で割戻すことで第1の放射照度下における不図示の被解析対象セルのI−V特性Eを得ることが出来る。
【0032】
次に、第4の実施形態を図5ないし図7を用いて説明する。
本実施形態の発明は、第3の実施形態の発明と、図6及び図7を用いて説明した補正用電流Idを求める部分までは全く同一であるが、図4に示した修正・推定モジュールI−V特性cを用いず、図5で説明する不図示の修正・推定モジュールI−V特性cを用いた点で相違する。
【0033】
次に、図5に示した被解析対象セルのI−V特性Eを求めるための特性図と同様の特性図を用いて、本実施形態の発明に係る被解析対象セルのI−V特性Eを求める。
まず、図5において、第1減光モジュールI−V特性b上で交点Iの電流値を図7で求めた補正用電流値Idだけ移動(図は加算移動)した電流値の点Iを通るように、第1推定モジュールI−V特性cを電圧に対してのみ係数を掛けて修正・推定モジュールI−V特性cと同様の不図示の修正・推定モジュールI−V特性c求める。これによって修正した推定モジュールI−V特性は通常のモジュールI−V特性を電圧方向に均等に圧縮されたものであり、無理のないセルI−V特性の解析が可能となる。次に、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性bの電圧値から不図示の修正・推定モジュールI−V特性cの電圧値を減じてI−V特性Dと同様の不図示のI−V特性Dを得、この不図示のI−V特性Dを入射放射照度について減光板減光率で割戻すことで第1の放射照度下におけるI−V特性Eと同様の不図示の被解析対象セルのI−V特性E得ることが出来る。
【0034】
なお、以上の各実施形態で示した図3〜図5、図7は、何れもセルの余分なバイアス電圧で生じた補正電流Idがマイナス電流の場合で例示してある。
【0035】
また、第1減光モジュールI−V特性bと第1推定モジュールI−V特性cの交点Iの電流値の求め方は、具体例の1つは同一電流値間で両特性(減光モジュールI−V特性と推定モジュールI−V特性)の電圧の減算を行い、電圧値が零となる特性点の電流で求める。
【0036】
また、本発明の最終手順として電流分に対し、減光比で割戻すという表現を使用しているが、これは、結晶系太陽電池のI−V特性が、放射照度に対し電流方向に平行移動することによる補正法の利用を意味している。出力電流Iout について等価回路上の関係式で表すと、光起電流をIp、ダイオード電流をIdi、並列抵抗電流をIsh、とすると次式となる。
Iout=Ip−Idi−Ish
ダイオード電流Idiと並列抵抗電流Ishは電圧のみに関係し、光起電流Ipは放射照度のみに比例するため、したがって、I−V特性は放射照度に対し電流方向に平行移動する。なお、このことは、被解析対象セルの最終的なI−V特性を得るための放射照度条件においても、任意の指定放射照度への換算にも適用することができる。
【0037】
前記の指定の放射照度への換算等には、図3を用いた第1の実施形態において説明したように、迷光による電流量は放射照度に比例するので測定時の太陽電池面への迷光混入率を測定しておき、換算の際は加味する必要がある。
迷光混入率の求め方は、モジュール全体を均一な放射照度条件とし、1つのセルの受光面だけを(セル間の余白に懸からないように)暗闇にしたときのIscと、そのときの測定放射照度でのそのセルのIscとの比から推定する。それぞれのIscは本発明の方法で求める。または、迷光率はモジュールの構造に応じて別途測定しておく。
【0038】
以上好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内に置いて適宜の変更が可能なものである。例えば、実施形態においては、1セルを被測定対象セルとしていたが、適当な個数の連続したセルに遮光板を被せて複数のセルを一括して評価するようにしてもよい。また、本発明は、セルをモジュール、モジュールを太陽電池アレイと読み替えることにより、複数のモジュールを直列に接続して構成される太陽電池アレイに関し、任意の個数のモジュールの特性を非破壊で評価する方法にも適用することができる。また、本発明において評価対象とされる太陽電池は、シリコン結晶系に限定されず、薄膜系や化合物半導体系などすべての種類のものに及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】各実施形態の発明に係る太陽電池モジュールの概略構成を示す平面図である。
【図2】第1の実施形態の発明に係り、被解析対象セルのI−V特性を評価するために2つの交点から電流値(I、I)を求めるための特性図である。
【図3】第1の実施形態の発明に係り、2つの交点から求まる電流値(I、I)を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での補正用電流値Idを求めるための図である。
【図4】第1の実施形態(第3の実施形態)の発明に係る被解析対象セルのI−V特性E(E)求めるための特性図である。
【図5】第2の実施形態(第4の実施形態)の発明に係る被解析対象セルのI−V特性E(E)を求めるための特性図である。
【図6】第3の実施形態(第4の実施形態)の発明に係り、被解析対象セルのI−V特性を評価するために2つの交点から電流値(I、I)を求めるための特性図である。
【図7】第3の実施形態(第4の実施形態)の発明に係り、2つの交点から求まる電流値(I、I)を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での補正用電流値Idを求めるための図である。
【符号の説明】
【0040】
1 太陽電池モジュール
2 基板
3 セル
4、5 出力端子
6 減光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個のセルを直列接続した太陽電池モジュールにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象セルに減光板を被覆した第1減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光モジュールI−V特性とを測定し、第1非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定モジュールI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光モジュールI−V特性とを測定し、第2非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定モジュールI−V特性を算出し、第1減光モジュールI−V特性と第1推定モジュールI−V特性の交点と、第2減光モジュールI−V特性と第2推定モジュールI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流とし、第1減光モジュールI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定モジュールI−V特性を電圧軸に沿って平行移動させて修正・推定モジュールI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性の電圧値から修正・推定モジュールI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象セルのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法。
【請求項2】
n個のセルを直列接続した太陽電池モジュールにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象セルに減光板を被覆した第1減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光モジュールI−V特性とを測定し、第1非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定モジュールI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光モジュールI−V特性とを測定し、第2非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定モジュールI−V特性を算出し、第1減光モジュールI−V特性と第1推定モジュールI−V特性の交点と、第2減光モジュールI−V特性と第2推定モジュールI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流とし、第1減光モジュールI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定モジュールI−V特性の電圧に対してのみ係数を掛けて修正・推定モジュールI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性の電圧値から修正・推定モジュールI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象セルのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法。
【請求項3】
n個のセルを直列接続した太陽電池モジュールにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象セルに減光板を被覆した第1減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光モジュールI−V特性とを測定し、第1非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定モジュールI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光モジュールI−V特性とを測定し、第2非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定モジュールI−V特性を算出し、さらに、前記第2の放射照度より放射照度を低減させた第3の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第3減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第3非減光モジュールI−V特性とを測定し、第3非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第3推定モジュールI−V特性を算出し、第2減光モジュールI−V特性と第2推定モジュールI−V特性の交点と、第3減光モジュールI−V特性と第3推定モジュールI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流として、第1減光モジュールI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定モジュールI−V特性を電圧軸に沿って平行移動させて修正・推定モジュールI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性の電圧値から修正・推定モジュールI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象セルのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法。
【請求項4】
n個のセルを直列接続した太陽電池モジュールにおいて、第1の放射照度の光照射下において任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象セルに減光板を被覆した第1減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光モジュールI−V特性とを測定し、第1非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定モジュールI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光モジュールI−V特性とを測定し、第2非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定モジュールI−V特性を算出し、さらに、前記第2の放射照度より放射照度を低減させた第3の放射照度の光照射下において、前記被解析対象セルに前記減光板と同一の減光板を被覆した第3減光モジュールI−V特性と減光板を被覆しない第3非減光モジュールI−V特性とを測定し、第3非減光モジュールI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第3推定モジュールI−V特性を算出し、第2減光モジュールI−V特性と第2推定モジュールI−V特性の交点と、第3減光モジュールI−V特性と第3推定モジュールI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流として、第1減光モジュールI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定モジュールI−V特性の電圧に対してのみ係数を掛けて修正・推定モジュールI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光モジュールI−V特性の電圧値から修正・推定モジュールI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象セルのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法。
【請求項5】
n個のモジュールを直列接続した太陽電池アレイにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象モジュールに減光板を被覆した第1減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光アレイI−V特性とを測定し、第1非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定アレイI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光アレイI−V特性とを測定し、第2非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定アレイI−V特性を算出し、第1減光アレイI−V特性と第1推定アレイI−V特性の交点と、第2減光アレイI−V特性と第2推定アレイI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流とし、第1減光アレイI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定アレイI−V特性を電圧軸に沿って平行移動させて修正・推定アレイI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光アレイI−V特性の電圧値から修正・推定アレイI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象モジュールのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法。
【請求項6】
n個のモジュールを直列接続した太陽電池アレイにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象モジュールに減光板を被覆した第1減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光アレイI−V特性とを測定し、第1非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定アレイI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光アレイI−V特性とを測定し、第2非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定アレイI−V特性を算出し、第1減光アレイI−V特性と第1推定アレイI−V特性の交点と、第2減光アレイI−V特性と第2推定アレイI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流とし、第1減光アレイI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定アレイI−V特性の電圧に対してのみ係数を掛けて修正・推定アレイI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光アレイI−V特性の電圧値から修正・推定アレイI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象モジュールのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法。
【請求項7】
n個のモジュールを直列接続した太陽電池アレイにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象モジュールに減光板を被覆した第1減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光アレイI−V特性とを測定し、第1非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定アレイI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光アレイI−V特性とを測定し、第2非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定アレイI−V特性を算出し、さらに、前記第2の放射照度より放射照度を低減させた第3の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記減光板と同一の減光板を被覆した第3減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第3非減光アレイI−V特性とを測定し、第3非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第3推定アレイI−V特性を算出して、第2減光アレイI−V特性と第2推定アレイI−V特性の交点と、第3減光アレイI−V特性と第3推定アレイI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流として、第1減光アレイI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定アレイI−V特性を電圧軸に沿って平行移動させて修正・推定アレイI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光アレイI−V特性の電圧値から修正・推定アレイI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象モジュールのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法。
【請求項8】
n個のモジュールを直列接続した太陽電池アレイにおいて、第1の放射照度の光照射下において、任意のi(iは1以上n−1以下の整数)個の被解析対象モジュールに減光板を被覆した第1減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第1非減光アレイI−V特性とを測定し、第1非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第1推定アレイI−V特性を算出し、続いて、放射照度を大幅に低減させた第2の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記減光板と同一の減光板を被覆した第2減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第2非減光アレイI−V特性とを測定し、第2非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第2推定アレイI−V特性を算出し、さらに、前記第2の放射照度より放射照度を低減させた第3の放射照度の光照射下において、前記被解析対象モジュールに前記と同一の減光板を被覆した第3減光アレイI−V特性と減光板を被覆しない第3非減光アレイI−V特性とを測定し、第3非減光アレイI−V特性に対し測定電圧に対してのみ(n−i)/nを掛けて得た第3推定アレイI−V特性を算出し、第2減光アレイI−V特性と第2推定アレイI−V特性の交点と、第3減光アレイI−V特性と第3推定アレイI−V特性の交点の、2つの交点から求まる電流値を、放射照度と電流値の比例関係で表し、該比例関係における放射照度零での電流値Idを補正用電流として、第1減光アレイI−V特性上で交点電流値に前記電流値Idだけ移動した電流値の点を通るように第1推定アレイI−V特性の電圧に対してのみ係数を掛けて修正・推定アレイI−V特性を求め、同一電流値に対して第1減光アレイI−V特性の電圧値から修正・推定アレイI−V特性の電圧値を減じて得たI−V特性に、入射放射照度について減光板減光率で割戻すことにより、第1の放射照度下におけるi個の被解析対象モジュールのI−V特性を得ることを特徴とする太陽電池の特性評価方法。
【請求項9】
前記被解析対象のI−V特性を得るための放射照度は、迷光分の補正がなされたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つの請求項に記載の太陽電池の特性評価方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−171897(P2008−171897A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1797(P2007−1797)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電システム共通基盤技術研究開発 太陽電池評価技術の研究開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】