説明

太陽電池アレイおよび薄膜ソーラーモジュールおよびその製造方法

本発明は、特に薄膜ソーラーモジュールの形で設計されることができる太陽電池アレイであって、複数の層を有する層構造が適用される基材であって、層構造は、第1の電極層、第2の電極層、および2つの電極層の間に配置される半導体層を有し、半導体層を用いてpn接合が形成され、層構造は、1つまたは複数の領域トレンチにより互いに電気的に分離される複数の異なる領域に分割され、直列接続され整流された1つまたは複数の太陽電池からなる太陽電池列が各領域内に形成される基材と、1つまたは複数の中間接点により直列接続される太陽電池列により互いに電気的に接続される第1の接続接点および第2の接続接点と、2つの接続接点が接続される少なくとも1つの接続ハウジングとを含む太陽電池アレイに関する。太陽電池アレイの製造方法が、3つの構造化ラインを用いた層構造の構造化を含み、1つの構造化ラインが、互いに電気的に分離される少なくとも2つの領域にわたり直線状に進み、一方では、2つの残りの構造化ラインが、構造化ラインの順序が逆転させられるように、この構造化ラインからずらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に薄膜ソーラーモジュール用に使用するために集積化され直列接続された太陽電池を備える太陽電池アレイだけでなくその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光を電力に光起電変換するためのソーラーモジュールが、エネルギ発生のためにますます使用されている。効率に関して、多結晶カルコパイライト半導体(polycrystalline chalcopyrite semiconductor)に基づく薄膜ソーラーモジュールが、特に、太陽光のスペクトルに適合したそのバンドギャップのために特に高い吸収係数により特徴付けられる2セレン化銅インジウム(copper−indium diselenide、CuInSeまたはCIS)と比べて有利であることが証明された。個々の太陽電池では、電圧レベル1V未満しか達成されることができないので、したがって、技術的に有用な出力電圧を得るために、複数の太陽電池がソーラーモジュールの形に直列接続される。このため、薄膜ソーラーモジュールは、太陽電池が、膜の製造中に集積化された形ですでに直列に接続されることができるという特に有利な点を提供する。個々の太陽電池をそのように集積化して直列接続することは、すでに特許文献で何度か記載されている。単なる例として、独国特許第4324318号明細書が参照される。
【0003】
通常、薄膜ソーラーモジュールを電気負荷へ接続するのは、典型的には金属ストリップとして構成される薄膜ソーラーモジュールの接続接点として役立つ、ソーラーモジュールの裏側に搭載され、たとえば接点端子を有する接続ボックスを用いて行われる。しかし、薄膜ソーラーモジュール内部の電気配線を低減するために、2つの接続ボックスを備える薄膜ソーラーモジュールも公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第4324318号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、集積化された太陽電池を備える従来の薄膜ソーラーモジュールを有利に改善し、特に、モジュールの長期間の安定性および耐久性を改善し、その製造費を下げることにある。本発明の提案によれば、この目的および別の目的が、太陽電池アレイを用いて、またはそのような太陽電池アレイを組み入れる薄膜ソーラーモジュールを用いて、ならびに独立請求項の特徴を有する太陽電池アレイの製造方法を用いて達成される。本発明の有利な実施形態が、従属請求項の特徴によって示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様態によれば、集積化され直列接続された太陽電池を備える太陽電池アレイが提供される。
【0007】
本発明による太陽電池アレイは、第1の電極層、第2の電極層、および2つの電極層の間に配置される半導体層を含む、複数の層を有する層構造が適用される基材を含む。このリストは完全では決してないこと、およびむしろ、層構造は別の層を含むことができることが理解される。各層は、1つまたは複数の個々の層を含むことができる。pn接合、すなわち異なる導体タイプを有する層の連続が層構造により形成される。特定の実施形態では、pn接合はヘテロ接合により形成される。
【0008】
本発明による太陽電池アレイでは、層構造は、1つまたは複数の領域トレンチにより互いに電気的に分離される複数の領域に分割される。これらの領域のそれぞれでは、直列接続され整流された1つまたは複数の太陽電池からなる太陽電池列が構成される。各太陽電池は、第1および第2の電極層内に形成される第1および第2の電極だけでなく、半導体層により形成される、2つの電極間に位置する半導体材料を有する。隣接するまたは直接接触している太陽電池列が、逆並列の順方向を有することが有利となり得る。
【0009】
本発明による太陽電池アレイは、太陽電池列により互いに電気的に接続される第1の接続接点および第2の接続接点をさらに含む。この目的のために、太陽電池列は、1つまたは複数の中間接点により直列接続される。
【0010】
さらに、本発明による太陽電池アレイは、2つの接続接点が電気的に接続される少なくとも1つの接続ハウジング(たとえば接続ボックス)を含む。この目的のために、接続ハウジングは、これに適した少なくとも1つの装置、たとえば端末装置を提供される。接続ハウジングは、太陽電池アレイを別の電気装置に接続するのに役立つことができる。
【0011】
技術的観点から実現するのが特に簡単な、本発明による太陽電池アレイの有利な一実施形態では、層構造は、単一の領域トレンチにより互いに電気的に分離される、いずれの場合も太陽電池列が構成される2つの領域に分割される。有利なことに、2つの太陽電池列は逆並列の順方向を有する。第1の接続接点および第2の接続接点は、2つの太陽電池列により互いに電気的に接続され、2つの太陽電池列は、単一の中間接点により直列接続される。さらに、2つの接続接点は、共通の接続ハウジング内で電気的に接続される。
【0012】
技術的観点から実現するのが特に簡単な、本発明による太陽電池アレイの別の有利な一実施形態では、層構造は、3つの領域トレンチにより互いに電気的に分離される、いずれの場合も太陽電池列が構成される4つの領域に分割される。有利なことに、接触している太陽電池列は逆並列の順方向を有する。この場合、第1の接続接点および第2の接続接点は、4つの太陽電池列により互いに電気的に接続され、4つの太陽電池列は3つの中間接点により直列接続される。さらに、2つの接続接点は、いずれの場合も別個の接続ハウジングに接続される。
【0013】
本発明による太陽電池アレイでは、特に上記の実施形態では、有利なことに、従来の太陽電池アレイと比較してより少数の接続ハウジングを使用することにより、製造費用が節約されることができる。さらに、これにより、太陽電池アレイの長期間の安定性および耐久性が改善されることができる。本発明の別の有利な点が、図の説明から明らかになる。
【0014】
本発明による太陽電池アレイの別の有利な一実施形態では、太陽電池列がそれぞれ構成される層構造のさまざまな領域が、一列に互いに隣に配列され、2つの接続接点は少なくとも1つの中間接点で向かい合って配列される。中間接点が少なくともほぼU字形構成を有することにより、いずれの場合も、太陽電池列が互いに電気的に接続されるストリップとして太陽電池が構成されることが特に有利となり得る。接続接点および中間接点が、いずれの場合も接点ストリップの形で構成されることも有利となり得る。これらの手段を用いて、本発明による太陽電池アレイは、技術的観点から特に簡単な方法で実現されることができる。
【0015】
本発明の別の一様態によれば、上述のような太陽電池アレイを有し、各太陽電池が太陽光を電力に光起電変換するのに適した太陽電池の形で構成される、集積化され直列接続された太陽電池を備える薄膜ソーラーモジュールが提供される。
【0016】
本発明によるソーラーモジュールの有利な一実施形態では、薄膜太陽電池は、キャリア基材上に配置される。キャリア基材は、光の入射方向へ向くように向きを変えられる(スーパーストレート構成(superstrate configuration)とも呼ばれる)、または光の入射方向から離れるように向きを変えられる(サブストレート構成(substrate configuration)とも呼ばれる)ことができる。サブストレート構成では、第1の電極層は透明な前面電極層の形で構成され、第2の電極層は背面電極層として構成され、この場合、半導体層は、前面電極層の方向を向く背面電極層の側に配置される。サブストレート構成では、光起電活動状態の領域のシャドウイング(shadowing)が、2つの接続接点をたとえば共通の接続ハウジングに電気的に接続することにより特に有利な方法で避けられることができる。しかし、それにもかかわらず、本発明による薄膜ソーラーモジュールに対して、光の入射が透明なキャリア基材により行われるスーパーストレート構成を提供することも考えられる。
【0017】
本発明による薄膜ソーラーモジュールの別の有利な一実施形態では、半導体層は、カルコパイライト化合物を含み、カルコパイライト化合物は、特に、2セレンイオウ化銅インジウムガリウム族(group copper−indium/gallium−disulfide/diselenide、Cu(InGa)(SSe))からのI−III−VI−半導体、たとえば2セレン化銅インジウム(CuInSeまたはCIS)または関連化合物とすることができる。これらは、1つまたは複数の元素Cu、In、Ga、Al、Zn、Sn、S、Se、またはTeを含む。半導体層がカルコパイライトベースの場合、サブストレート構成は特に有利である。しかし、半導体層はまた、本発明によれば、テルル化カドミウム(cadmium telluride)、アモルファス、マイクロモルファス(micromorphous)、微結晶、および/または多結晶の薄膜シリコンを含むことができる。
【0018】
本発明の別の一様態によれば、第1の電極層、第2の電極層、および2つの電極層の間に配置される半導体層を含む薄膜ソーラーモジュールの層構造を構造化する方法が提示され、
第2の電極層内に第1の構造化ラインを作成し、第1の構造化ラインを用いて、第2の電極層が互いに電気的に分離される第2の層セクションに分割されるステップと、
太陽電池の直列接続のために、第1の電極層と第2の電極層を電気的に接続するために、層構造に第2の構造化ラインを作成するステップと、
第1の電極層内に第3の構造化ラインを作成し、第3の構造化ラインを用いて、第1の電極層が、互いに電気的に分離される第1の層セクションに分割されるステップと
を含み、第1から第3の構造化ラインの中から選択される1つの構造化ラインが、互いに電気的に分離される少なくとも2つの領域にわたり直線状に進むように誘導され、一方、2つの残りの構造化ラインおよびこの構造化ラインは、構造化ラインの順序が逆転させられるように、互いに対してずらされる。
【0019】
本発明の別の一様態によれば、薄膜ソーラーモジュールの製造方法が提示され、
基材上に層構造を適用し、層構造は少なくとも第1の電極層、第2の電極層、および2つの電極層の間に配置される半導体層を有し、半導体層を用いてpn接合が形成されるステップと、
薄膜ソーラーモジュールの層構造を構造化するために、上述のような方法により層構造を構造化し、直列接続され整流された1つまたは複数の太陽電池からそれぞれなる複数の太陽電池列が作成され、好ましくは、互いに隣接する太陽電池列が、逆並列の順方向を有するステップと、
別個の太陽電池列をそれぞれ含む異なるモジュール領域が互いに電気的に分離されるように、層構造に1つまたは複数の領域トレンチを導入するステップと、
1つまたは複数の中間接点の形成により、太陽電池列を直列接続するステップと、
太陽電池列に導電性を有して接続される第1の接続接点および第2の接続接点を形成するステップと、
2つの接続接点を少なくとも1つの接続ハウジング内で接続するステップと
を含む。
【0020】
本発明による方法の有利な一実施形態では、2つの接続接点は、2つの接続接点を共通の接続ボックスと電気的に接続するために高価な配線なしで済ませることが可能なように、接続ハウジング内で接続される。
【0021】
ここで、本発明が、添付の図を参照して、代表的な実施形態を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による薄膜ソーラーモジュールの第1の代表的な実施形態の平面図での概略表示である。
【図2】図1の薄膜ソーラーモジュールの中間領域(左図)および端部領域(右図)の概略の横断面表示である。
【図3】本発明による図1の薄膜ソーラーモジュールの層構造の構造化を示す概略表示である。
【図4A】本発明による図1の薄膜ソーラーモジュールの層構造の構造化を示す構造ラインの概略表示である。
【図4B】本発明による図1の薄膜ソーラーモジュールの層構造の構造化を示す構造ラインの概略表示である。
【図5A】本発明による図1の薄膜ソーラーモジュールの層構造の構造化に対する変形形態を示す構造ラインの別の概略表示である。
【図5B】本発明による図1の薄膜ソーラーモジュールの層構造の構造化に対する変形形態を示す構造ラインの別の概略表示である。
【図6】本発明による薄膜ソーラーモジュールの第2の代表的な実施形態の概略の全体像表示である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
概略的な上面図およびさまざまな横断面詳細を使用して、全体として参照符号1により参照される薄膜ソーラーモジュールが示される図1および図2がまず参照される。太陽光を電気エネルギに光起電変換するのに役立つ薄膜ソーラーモジュール1が、本発明による太陽電池アレイの一実施形態を表す。この場合、薄膜ソーラーモジュール1は、本発明による太陽電池アレイの太陽電池の一実施形態を表す、直列接続され集積化された複数の太陽電池2を含む。
【0024】
薄膜ソーラーモジュール1は、サブストレート構成に対応する構造を有する、すなわち、薄膜ソーラーモジュール1は、電気的に絶縁する基材4を有し、基材4に適用された薄層で層構造5が作られ、層構造5は、基材4の主要な光入射側表面6上に配置される。このとき、基材4は、たとえば比較的低い光透過率を有するガラスで作られ、十分な強度だけでなく、実行される工程ステップに対して不活性の挙動を伴う別の絶縁材を使用することが同様に可能である。
【0025】
層構造5は、基材4の主表面6上に配置される背面電極層7を含み、背面電極層7は、たとえばモリブデン(Mo)などの不透明な金属から作られ、たとえば陰極スパッタリングにより基材4上に適用されることができる。背面電極層7は、たとえばほぼ1μmの層厚を有する。別の実施形態では、背面電極層はまた、異なる別個の層の積層から作られることができる。好ましくはバンドギャップが最大可能な割合の太陽光を吸収することができるドープされた半導体から作られた光起電活動状態の吸収層8が、背面電極層7上に堆積させられる。吸収層8は、たとえば、p型導電性カルコパイライト半導体から、たとえば、Cu(InGa)(SSe)族の化合物、特にナトリウム(Na)ドープ2セレン化銅インジウム(CuInSe)から作られる。吸収層8は、たとえば1μm〜5μmの範囲の層厚を有し、たとえばほぼ2μmである。バッファ層9(図には詳細に示されていない)が、この場合、硫化カドミウム(CdS)の単一層および真性酸化亜鉛(i−ZnO)の単一層からなり、吸収層8上に堆積させられる。バッファ層9は、たとえば吸収層8よりも薄い層厚を有する。前面電極層10が、たとえば蒸着によりこのバッファ層9に適用される。前面電極層10(「窓層(window layer)」)は、入射太陽光を少しだけ弱めることを確実にするために、吸収層8に感受性のあるスペクトル範囲の放射に対して透明である。透明な前面電極層10は、一般的に言えば、TCO層(TCO=tranparent conductive [oxide] electrode、透明な導電[酸化物]電極)と呼ばれることができ、ドープ金属酸化物、たとえばn型導電性アルミニウム(Al)ドープ酸化亜鉛(AZO)ベースである。バッファ層9および吸収層8と共に前面電極層10を介して、pnヘテロ接合(すなわち、反対の導体タイプの異なる層の連続)が形成される。前面電極層10の層厚は、たとえばほぼ800nmである。
【0026】
環境の影響から保護するために、たとえばポリビニルブチラール(PVB)またはエチレン酢酸ビニル(EVA)で作られるプラスチック層11が前面電極層10に適用される。さらに、層構造5は、たとえば低含有量の鉄を有する超白色ガラスで作られる、太陽光に透明なカバープレート12で密封される。
【0027】
総モジュール電圧を増大させるために、薄膜ソーラーモジュール1のモジュール表面が、第1の太陽電池列28および第2の太陽電池列29内で互いに接続される、すなわちいずれの場合も直列接続される複数の個々の太陽電池2に分割される。この目的のために、層構造5は、レーザ書込みおよび機械加工などの適切な構造化技術を用いて、たとえばドロッシング(drossing)またはスクラッチング(scratching)を用いて構造化される。このとき、光起電表面の損失ができるだけ制限されること、および使用される構造化技術が、取り除かれる材料に対して選択的であることが重要である。そのような構造化は、典型的には頭字語P1、P2、P3と略される、各太陽電池3のための3つの構造化ステップを含む。このことは図2の左図を参照して詳細にさらに説明される。
【0028】
第1の構造化ステップP1では、背面電極層7は、第1の層トレンチ13を作成することにより遮断され、第1の背面電極セクション14、および第1の背面電極セクション14に対して絶縁された第2の背面電極セクション15を作り出す。第1の層トレンチ13は、この場合、レーザ書込みにより、たとえばエキシマレーザまたはネオジムヤグ−レーザ(Neodym−YAG−laser)を用いて、あるいは背面電極層7の機械加工により形成されることが好ましい。第1の層トレンチ13は、吸収層8の適用前に形成され、吸収層8を適用するときに、この層の半導体材料により充填される。
【0029】
第2の構造化ステップP2では、2つの半導体層、すなわち吸収層8およびバッファ層9が、第2の層トレンチ16を作成することにより遮断され、第1の半導体セクション17、および第1の半導体セクション17に対して絶縁される第2の半導体セクション18を作り出す。第2の層トレンチ16は、この場合、レーザ書込みにより、たとえばエキシマレーザまたはネオジムヤグ−レーザを用いて形成されることが好ましい。第2の層トレンチ16は、前面電極層10を適用する前に形成され、前面電極層10を適用するときに、この層の導電性材料により充填される。
【0030】
第3の構造化ステップP3では、前面電極層10、バッファ層9、および吸収層8は、第3の層トレンチ19を作成することにより遮断され、半導体層の遮断されたセクションに加えて、第1の前面電極セクション20、および第1の前面電極セクション20に対して絶縁された第2の前面電極セクション21を作り出す。第3の層トレンチ19は、この場合、機械加工により形成される。第3の層トレンチ19は、プラスチック層11を適用する前に形成され、プラスチック層11を適用するときに、この層の絶縁材により充填される。あるいは、第3の層トレンチ19が、前面電極層10だけを遮断することが考えられる。
【0031】
このように、3つの構造化ステップP1、P2、P3によって、2つの直列接続された太陽電池2が形成され、第1の前面電極セクション20および第1の背面電極セクション14が、一方の太陽電池2の前面電極または背面電極を形成し、第2の前面電極セクション21および第2の背面電極セクション15が、他方の太陽電池2の前面電極または背面電極を形成する。この過程で、一方の太陽電池2の前面電極は、他方の太陽電池2の背面電極に導電性を有して接続される。
【0032】
構造化ステップP1、P2、P3では、層トレンチ13、16、19は、構造化ステップP1、P2、P3の名称に従って、第1、第2、および第3の構造化ライン22〜24と呼ばれる構造化ラインに沿って形成される。図3には、3つの構造化ライン22〜24が概略的に描かれており、左図が、薄膜ソーラーモジュール1の詳細の上面図を示し、中央の図が、識別されるゾーンに対応する薄膜ソーラーモジュール1を通した詳細図を示し、右図が、構造化ライン22〜24を示す個々の太陽電池2の上面図を示す。
【0033】
図1から認められるように、薄膜ソーラーモジュール1は上面図では長方形の形状を有し、それに対応して長方形の層構造5は、層構造5が基材4までにわたり完全に取り除かれた中央領域トレンチ25により、第1のモジュール領域26、および第1のモジュール領域から電気的に分離された第2のモジュール領域27に分割される。2つのモジュール領域26、27は、同一の形状およびサイズを有し、薄膜ソーラーモジュール1または基材4の長い方の寸法により規定される第1の方向(x)に互いに隣に配列される。第1の方向は、それに垂直な第2の方向(y)と共に、基材4の主表面6に平行な平面に広がる。領域トレンチ25は、第2の方向(y)に沿って直線に伸びるのが認識できる。
【0034】
2つのモジュール領域26、27は、それぞれ別個の太陽電池列を有し、第1の太陽電池列28が第1のモジュール領域26内に形成され、第2の太陽電池列29が第2のモジュール領域27内に形成される。2つの太陽電池列28、29では、太陽電池2は、いずれの場合も、整流され、直列接続され、各太陽電池2は太陽電池記号により識別され、太陽電池列28、29は連結された太陽電池記号により識別される。図1では、各太陽電池列28、29は、たとえば11個の太陽電池2を含むが、太陽電池列28、29のそれぞれが、より多いまたはより少ない数の太陽電池2を含むことができることが理解される。各太陽電池列28、29は、たとえば40〜150個の、好ましくは50〜110個の、特に好ましくは100〜110個の、および特に非常に好ましくは104個の、直列接続され整流された太陽電池2を有することができる。
【0035】
ストリップ形状の太陽電池2は、第1の方向(x)に沿って伸びて、第2の方向(y)に沿って配置され、隣接する太陽電池2が、関連する第3の層トレンチ19の位置に起因して伸びる(理論的)分離線3により第1の方向(x)に沿って互いに分離される。第1から第3の構造化ライン22〜24を用いた太陽電池2の構造化が、第1の方向(x)に沿って行われる。したがって、太陽電池列28、29は、いずれの場合も、薄膜ソーラーモジュール1または基材4の短い方の寸法に対応する第2の方向(y)に沿って直列接続される。
【0036】
2つの太陽電池列28、29は、逆並列の順方向を有し、第1の太陽電池列28は負の第2の方向(−y)に沿って導電性を有し、第2の太陽電池列29は正の第2の方向(y)に沿って導電性を有する。3つの構造化ステップP1、P2、P3を用いた逆並列の太陽電池列28、29の製造が、以下でより詳細に説明される。
【0037】
薄膜ソーラーモジュール1では、両側で少なくとも第1の方向(x)に沿って、とりわけ太陽電池列28、29のための接点ゾーンの役割を果たす狭い端部領域30、31がそれぞれ形成され、それぞれの電極層がこの目的のために露出される。したがって、第1の接続接点32が、第1のモジュール領域26内の第1の端部領域30内に形成され、第3の接続接点34が、第2のモジュール領域27内に形成される。第1の接続接点32および第3の接続接点34は、互いに電気的に分離される。これに対して並列に、中間接点33が、2つのモジュール領域26、27にわたり第2の端部領域31内に形成される。このとき、接点32〜34は、特に、アルミニウムで作られることができるたとえば金属ストリップの形で構成される。
【0038】
このとき、第1の接続接点32は、第1の太陽電池列28を介して中間接点34に導電性を有して接続され――前の太陽電池2の前面電極を次の太陽電池2の背面電極に電気的に接続することに類似する――第1の接続接点32は最初の太陽電池2の前面電極に電気的に接続され、中間接点34が最後の太陽電池2の背面電極に電気的に接続される。
【0039】
中間接点34を最後の太陽電池2の背面電極に電気的に接続するのは、第2の端部領域31内の薄膜ソーラーモジュール1の横断面図である図2の右図で認めることができる。図2の右図によれば、背面電極層7は、第2の端部領域31の中に伸びて、中間接点34は、背面電極層7上に搭載される。
【0040】
さらに、中間接点34は、第2の太陽電池列29を介して第2の接続接点33に電気的に導電性を有して接続され――第1のモジュール領域26での接続に類似する――中間接点34は最初の太陽電池2の前面電極に導電性を有して接続され、第2の接続接点33は第2の太陽電池列29の最後の太陽電池2の背面電極に導電性を有して接続される。
【0041】
2つの端部領域31、32内の電気接点32〜34は、たとえば溶接、接着、またはハンダ付けにより、好ましくは超音波溶接により作り出されることができる。本発明によれば、接続のために、それぞれの露出した電極層が、本発明に従って金属ストリップに溶接される、接着される、またはハンダ付けされ、耐久的に安定した電気接続が作り出される。
【0042】
したがって、薄膜ソーラーモジュール1では、第1の接続接点32が、中間接点34を介して直列接続された2つの太陽電池列28、29を介して第2の接続接点33に導電性を有して接続される。直列接続された太陽列28、29では、すべての太陽電池2が整流される。
【0043】
第1の端部領域30内にさらに提供されるのが、主表面6と反対の位置にある、基材4の背面側に配置され、かつ2つの接続接点32、33の接続用装置を提供される、2つの太陽電池列29、29に共通の接続ボックス35である。たとえば、2つの接続接点32、33は、取り外し可能なまたは固定された設備を用いて接続ボックス35に接続される。接続ボックス35は、薄膜ソーラーモジュール1を電気負荷に、たとえばインバータ(図に示されていない)に電気的に接続するのに役立つ。
【0044】
図4Aおよび図4Bを参照すると、ここで、薄膜ソーラーモジュール1の製造中に層構造5を構造化する方法が説明される。
【0045】
図によれば、構造化ステップP1の第1の構造化ライン22が、第1の方向(x)に沿って層構造5全体にわたり直線に誘導される。これと対照的に、構造化ステップP2、P3の2つの残りの構造化ライン23、24は、いずれの場合も、2つのモジュール領域26、27に対応するゾーン36、37内で、第2の方向(y)に沿って横方向のずれを有する。したがって、第1のモジュール領域26に対応する層構造5の第1のゾーン36では、第2の構造化ライン23は、第1の構造化ライン22に対して正の第2の方向(y)にずれて配置され、一方では、第2のモジュール領域27に対応する層構造5の第2のゾーン37では、第1の構造化ライン22に対して負の第2の方向(−y)にずれて配置される。一方、第1のゾーン36では、第3の構造化ライン24は、第2の構造化ライン23に対して正の第2の方向(y)にずれて配置され、一方では、層構造5の第2のゾーン37では、第2の構造化ライン23に対して負の第2の方向(−y)にずれて配置される。好ましくは、この目的のために、第2および第3の構造化ライン23、24は、いずれの場合も、領域トレンチ25の形成のために提供される第3のゾーン38内で第1の構造化ライン22を横切り、一方では、第1のゾーン36内で正の第2の方向(y)に沿って第2の構造化ライン23に対してずれて配置される第3の構造化ライン24は、第2のゾーン37内で負の第2の方向(−y)に沿って第2の構造化ライン23に対してずれて配置される。この結果、第1のゾーン36内の3つの構造化ライン22〜24の空間的順序が、層構造5の第2のゾーン37内の3つの構造化ライン22〜24の空間的順序に対して逆転させられ、第1のゾーン36では、第1、第2、および第3の構造化ラインは、正の第2の方向(y)に沿って次々に配置され、一方では、第2のゾーン37では、第3、第2、および第1の構造化ラインが、正の第2の方向(y)に沿って次々に配置される。
【0046】
別のステップでは、第3のゾーン38内の領域トレンチ25が、この目的のために、基材4までにわたり層構造5を取り除くことにより構成される。領域トレンチ25の形成により、互いに電気的に分離された2つのモジュール領域26、27が形成される。領域トレンチ25は、第1の方向(x)に対してある角度で伸びる構造化ライン23、24のセクションが存在する、層構造5の第3のゾーン38内だけに形成される。すでに言及されたように、構造化ラインの順序の逆転が、第2および第3の構造化ライン23、24を第2の方向(y)に沿って横方向にずらすことによって簡単に得られることができ、2つのモジュール領域25、26内の太陽電池2の順方向が逆転させられる、すなわち逆並列となるという結果をもたらす。
【0047】
図5Aに示される、層構造5の構造化の方法の一変形形態では、第1の構造化ライン22の代わりに、構造化ステップP2の第2の構造化ライン23が、第1の方向(x)に沿って層構造5全体にわたり直線に誘導される。これと対照的に、第1および第2のゾーン36、37内の2つの残りの構造化ライン22、24は、いずれの場合も、第2の方向(y)に沿って横方向のずれを有する。このとき、層構造5の第1のゾーン36内の第1の構造化ライン22は、第2の構造化ライン23に対して負の第2の方向(−y)にずれて配置され、一方では、層構造5の第2のゾーン37では、第2の構造化ライン23に対して正の第2の方向(y)にずれて配置される。一方、第1のゾーン36内の第3の構造化ライン24は、第2の構造化ライン23に対して正の第2の方向(y)にずれて配置され、一方では、層構造5の第2のゾーン37では、第2の構造化ライン23に対して負の第2の方向(−y)にずれて配置される。好ましくは、この目的のために、第1および第3の構造化ライン22、24は、いずれの場合も、第3のゾーン38内で第2の構造化ライン22を横切る。したがって、第1のゾーン36内の3つの構造化ライン22〜24の空間的順序は、層構造5の第2のゾーン37内の3つの構造化ライン22〜24の空間的順序に対して逆転させられ、第1のゾーン36では、第1、第2、および第3の構造化ラインは、正の第2の方向(y)に沿って次々に配置され、一方では、第2のゾーン37では、第3、第2、および第1の構造化ラインは、正の第2の方向(y)に沿って次々に配置される。
【0048】
図5Bに示される、層構造5を構造化する方法の別の一変形形態では、第3の構造化ライン24は、層構造5全体にわたり第1の方向(x)に沿って直線に誘導される。これと対照的に、2つのゾーン36、37内の2つの残りの構造化ライン22、23は、いずれの場合も、第2の方向(y)に沿って横方向のずれを有する。このとき、第1のゾーン36内の第2の構造化ライン23は、第3の構造化ライン24に対して正の方向(y)に沿ってずれて配置され、一方では、第2のゾーン37では、第3の構造化ライン24に対して負の第2の方向(−y)にずれて配置される。一方、第1のゾーン36内の第1の構造化ライン22は、第2の構造化ライン23に対して正の第2の方向(y)にずれて配置され、一方では、第2のゾーン37では、第2の構造化ライン23に対して負の第2の方向(−y)にずれて配置される。好ましくは、この目的のために、第1および第2の構造化ライン22、23は、いずれの場合も、第3のゾーン38内で第3の構造化ライン24を横切る。したがって、第1のゾーン36内の3つの構造化ライン22〜24の空間的順序は、層構造5の第2のゾーン37内の3つの構造化ライン22〜24の空間的順序に対して逆転させられ、第1のゾーン36では、第1、第2、および第3の構造化ラインは正の第2の方向(y)に沿って次々に配置され、一方では、第2のゾーン37では、第3、第2、および第1の構造化ラインは正の第2の方向(y)に沿って次々に配置される。
【0049】
層構造5を構造化する方法の別の変形形態が、薄膜ソーラーモジュール1を製造する方法の一部となることができる。
【0050】
薄膜ソーラーモジュール1を製造する代表的な方法の第1の変形形態では、図4Aおよび図4Bに示される、層構造5を構造化するための第1の変形形態が使用される。第1の変形形態では、以下のステップが順次実行される:
基材4を背面電極層7(モリブデン)でコーティング、
第1の構造化ライン22が直線状に進む、背面電極層7の絶縁された背面電極セクション14、15を作成するための構造化ステップP1、
ドープ吸収層8(Cu−Ga−In−(Se/S):Na)の堆積または形成、
バッファ層9(CdS)の第1の層の堆積。バッファ層9の第2の層(i−ZnO)の堆積、
第2の構造化ライン23が図4Aに従って横方向にずらされる、前面電極セクションと、隣接する太陽電池の背面電極セクションとの間の電気接続を作り出すための構造化ステップP2、
ドープ前面電極層10(ZnO:A)の堆積
第3の構造化ライン24が図4Aに従って横方向にずらされる、隣接する太陽電池2を構造化するための構造化ステップP3、および2つの端部領域30、31の内側に接点ゾーンを形成するために背面側までにわたる層構造5のデコーティング(decoating)、
接点ゾーンを除く2つの端部領域30、31、および任意選択で、追加の、さらに識別されていない、基材4に沿った端部領域のデコーティング、ならびに基材4までにわたる領域トレンチ25のデコーティング、
中間接点および接続接点32〜34(Al金属ストリップ)の作成、
層構造5をプラスチック層11の積層、
接続ボックス35の取り付けだけでなく、接続ボックス35を2つの接続接点32、33の接続。
【0051】
薄膜ソーラーモジュール1を製造する代表的な方法の第2の変形形態では、図5Aに示される、層構造5を構造化する方法の第2の変形形態が使用される。第2の変形形態では、以下のステップが順次実行される:
基材4を背面電極層7(モリブデン)でコーティング、
図5Aによる第1の構造化ライン22が横方向にずらされる、背面電極層7の絶縁された背面電極セクション14、15を作成するための構造化ステップP1、
ドープ吸収層8(Cu−Ga−In−(Se/S):Na)の堆積または形成、
バッファ層9の第1の層(CdS)の堆積、
バッファ層9の第2の層(i−ZnO)の堆積、
第2の構造化ライン23が直線状に進む、前面電極セクションと、隣接する太陽電池の背面電極セクションとの間の電気接続を作り出すための構造化ステップP2、
ドープ前面電極層10(ZnO:A)の堆積
第3の構造化ライン24が図5Aに従って横方向にずらされる、隣接する太陽電池2を構造化するための構造化ステップP3、
2つの端部領域30、31、および任意選択で、追加の、さらに識別されていない、基材4の短い方の寸法に沿った端部領域のデコーティング、ならびに領域トレンチ25のデコーティング、
中間接点および接続接点32〜34(Al金属ストリップ)の作成、
層構造5をプラスチック層11の積層、
接続ボックス35を取り付けるだけでなく、接続ボックス35を2つの接続接点32、33の接続。
【0052】
薄膜ソーラーモジュール1を作り出す代表的方法の第3の変形形態では、図5Bに示される、層構造5を構造化する方法の第3の変形形態が使用される。第3の変形形態では、以下のステップが順次実行される:
基材4を背面電極層7(モリブデン)でコーティング、
第1の構造化ライン22が図5Bに従って横方向にずらされる、背面電極層7の絶縁された背面電極セクション14、15を作り出すための構造化ステップP1、
ドープ吸収層8(Cu−Ga−In−(Se/S):Na)の堆積または形成、
バッファ層9の第1の層(CdS)の堆積、
バッファ層9の第2の層(i−ZnO)の堆積、
第2の構造化ライン23が図5Bに従って横方向にずらされる、前面電極セクションと、隣接する太陽電池の背面電極セクションとの間の電極接続を作成するための構造化ステップP2、
ドープ前面電極層10(ZnO:A)の堆積
第3の構造化ライン24が直線状に進む、隣接する太陽電池2を構造化するための構造化ステップP3、および2つの端部領域30、31の内側に接点ゾーンを形成するために背面側にまでわたる層構造5のデコーティング、
接点ゾーンを除く2つの端部領域30、31、および任意選択で、追加の、さらに識別されていない、基材4に沿った端部領域のデコーティング、ならびに基材4までにわたる領域トレンチ25のデコーティング、
中間接点および接続接点32〜34(Al金属ストリップ)の作成、
層構造5をプラスチック層11の積層、
接続ボックス35を取り付けて、接続ボックス35を2つの接続接点32、33の接続。
【0053】
薄膜ソーラーモジュール1を製造するための別の変形形態が、層構造5の構造化の間に、構造化ライン22〜24の適切な誘導によって、逆並列の太陽電池列28 29の簡単な作成を可能にする。有利なことに、領域トレンチ25は、基材までにわたる接点ゾーンの外側の2つの端部領域30、31と共に、好ましくは同時にコートをディコーティングされる。
【0054】
薄膜ソーラーモジュール1の特定の有利な点が、2つの接続接点32、33を接続するために単一の接続ボックス35だけが必要であることにあり、その結果、製造コストが低減されることができ、特に湿気の侵入が原因の、接続ボックス35の故障の腐食による影響を受けやすいために、薄膜ソーラーモジュール1の長期間の安定性および信頼性が改善される。逆並列の太陽電池列28、29を用いて、2つの接続接点32、33が、薄膜ソーラーモジュール1の同じ側に配置され、その結果、有利なことに、サブストレート構成では、さらに光起電活動状態の領域の望ましくないシャドウイングにつながる、2つの接続接点32、33を共通の接続ボックス35に電気的に接続するための高価な配線なしで済ませることが可能である。2つの太陽電池列28、29を用いて2つの接続接点32、33を直列接続し、それが、今度は、中間接点34を用いて互いに直列接続されることにより、U字形構成が作成される。
【0055】
領域トレンチ25の幅は、とりわけ2つのモジュール領域26、27の破壊電圧に依存し、たとえば1mm〜10mmの範囲に入る。領域トレンチ25は、破壊抵抗を増大させるために、電気的絶縁材で満たされることができる。製造技術の観点から、領域トレンチ25の幅は、構造化ライン22〜24の書込速度に依存することがある。薄膜ソーラーモジュール1を2つのほぼ同サイズのモジュール領域26、27に分割することが、太陽電池電流の半減、および太陽電池電圧の倍増をもたらす。したがって、太陽電池電流は、第1の方向(x)に沿って測定された太陽電池2の幅の関数であり、太陽電池2の幅は、技術的に適用するのに好都合な電流/電圧特性を得るために、たとえば、1mm〜11mmの範囲に、好ましくは2mm〜8mmの範囲に入り、特にほぼ5.5mmである。
【0056】
図6を参照すると、ここで、全体として参照番号101により識別される、本発明による薄膜ソーラーモジュール1の第2の実施形態が説明され、不要な繰り返しを避けるために、第1の代表的な実施形態に対する差だけを説明し、残りについては、第1の代表的な実施形態で述べられたことを参照する。
【0057】
図によれば、薄膜ソーラーモジュール101のモジュール部分が、いずれの場合も直列接続状態の、第1の太陽電池列103、第2の太陽電池列104、第3の太陽電池列105、および第4の太陽電池列106内の、互いに接続された複数の個々の太陽電池102に分割される。上面図では長方形の形状を有する薄膜ソーラーモジュール101は、第1のモジュール領域110、第2のモジュール領域111、第3のモジュール領域112、および第4のモジュール領域113に分割され、第1のモジュール領域110および第2のモジュール領域111は、第1の領域トレンチ107により互いに電気的に分離され、第2のモジュール領域111および第3のモジュール領域112は、第2の領域トレンチ108により互いに電気的に分離され、第3のモジュール領域112および第4のモジュール領域113は、第3の領域トレンチ109により互いに電気的に分離される。モジュール領域110〜113は、同一の形状およびサイズを有し、薄膜ソーラーモジュール101の長い方の寸法により規定される第1の方向(x)に一列に互いに対して隣に配列される。領域トレンチ107〜109は、いずれの場合も、第1の方向(x)に垂直な第2の方向(y)に沿って直線に伸びる。
【0058】
各モジュール領域110〜113には、別個の太陽電池列があり、第1の太陽電池列103は第1のモジュール領域110内に形成され、第2の太陽電池列104は第2のモジュール領域111内に形成され、第3の太陽電池列105は第3のモジュール領域112内に形成され、第4の太陽電池列106は第4のモジュール領域113内に形成される。各太陽電池列103〜106では、太陽電池102は、いずれの場合も、整流され、直列接続される。ストリップ形状の太陽電池102は、第1の方向(x)に沿って伸びて、第2の方向(y)に沿って配置され、隣接する太陽電池103が、第1の方向(x)に沿って伸びる(理論的)分離ライン114により互いに分離される。第1〜第3の構造化ステップP1〜P3による太陽電池102の構造化が、第1の方向(x)に沿って行われる。したがって、太陽電池列103〜106は、いずれの場合も、薄膜ソーラーモジュール101の短い方の寸法に対応する第2の方向(y)に沿って直列接続される。薄膜ソーラーモジュール101では、隣接する太陽電池列103〜106は、いずれの場合も、逆並列の順方向を有し、第1の太陽電池列103は負の第2の方向(−y)に導電性を有し、第2の太陽電池列29は正の第2の方向(y)に沿って導電性を有し、第3の太陽電池列105は負の第2の方向(−y)に沿って導電性を有し、第4の太陽電池列106は正の第2の方向(y)に沿って導電性を有する。
【0059】
薄膜ソーラーモジュール101では、両側に第1の方向(x)に沿って、とりわけ太陽電池列103〜106のための接点ゾーンの役割を果たす狭い端部領域115、116がそれぞれ形成され、それぞれの電極層がこの目的のために露出される。したがって、第1の接続接点117が、第1のモジュール領域110内の第1の端部領域115内に形成され、第2の中間接点119が、第2および第3のモジュール領域111、112にわたり形成され、第2の接続接点121が第4のモジュール領域113内に形成される。これらの接点は、いずれの場合も、互いに電気的に分離される。これに対して並列に、第1の中間接点118が、第1および第2のモジュール領域110、111にわたり第2の端部領域116内に形成され、第3の中間接点120が、第3および第4のモジュール領域112、113にわたり形成される。これらの中間接点118、120は、互いに電気的に分離される。このとき、接点117〜121は、たとえば、特にアルミニウムで作られることができる金属ストリップの形に構成される。このとき、第1の接続接点117は、第1の太陽電池列103を介して第1の中間接点118に導電性を有して接続され、第1の中間接点118は、第2の太陽電池列104を介して第2の中間接点119に導電性を有して接続され、第2の中間接点119は、第3の太陽電池列105を介して第3の中間接点120に導電性を有して接続され、第3の中間接点120は、第4の太陽電池列106を介して第2の接続接点121に導電性を有して接続される。
【0060】
したがって、薄膜ソーラーモジュール101では、第1の接続接点117は、4つの直列接続された太陽電池列103〜106を介して第2の接続接点121に導電性を有して接続される。直列接続された太陽電池列103〜106では、すべての太陽電池102が整流される。
【0061】
第1のモジュール領域110内の第1の端部領域115内にさらに提供されるのが、第1の接続接点117に接続される接続ボックス122であり、接続ボックス122は、薄膜ソーラーモジュール101の背面側に配置され、第1の接続接点117を接続するための装置を提供される。さらに、第4のモジュール領域113内の第1の端部領域115内に提供されるのが、第2の接続接点121に接続される第2の接続ボックス123であり、接続ボックス123は、同様に薄膜ソーラーモジュール101の背面側に配置され、第2の接続接点121を接続するための装置を提供される。2つの接続ボックス122、123は、薄膜ソーラーモジュール101を電気負荷、たとえばインバータに電気的に接続するのに役立つ。
【0062】
あるいは、この構成でも、接続接点117および121はまた、接続ボックス122、123内で接続されることができる。
【0063】
逆並列の太陽電池列103〜106の製造は、図4A、図4B、図5A、および図5Bを参照して説明される構造化ラインの横方向のずれに従って3つの構造化ステップP1〜P3で行われることができ、構造化ラインが直線状に進み、かつ図に描かれている2つのその他の構造化ラインを横方向にずらすことによって、負の第2の方向(−y)に沿った太陽電池列の方向を、正の第2の方向(y)に沿った太陽電池列の方向に反転させ、一方では、正の第2の方向(y)に沿った太陽電池列の方向を、負の第2の方向(−y)に沿った太陽電池列の方向に反転させることが、直線状の構造化ラインに対する2つのその他の構造化ラインの鏡像的に横方向にずらすことによって得られる。図6に描かれる薄膜ソーラーモジュール101は、製造方法の上記で提示される変形形態により作り出されることができ、逆並列の太陽電池列103〜106の簡単な作成が可能にされるそのような構造化方法が使用される。有利なことに、領域トレンチ107〜109は、端部領域115、116と共に、好ましくは同時にディコーティングされる。
【0064】
薄膜ソーラーモジュール101の特定の有利な点が、逆並列の太陽電池列103〜106の対につき、接続接点117、121を接続するために単一の接続ボックス122、123だけが必要であるということにあり、その結果、製造費が低減されることができ、薄膜ソーラーモジュール101の長期間の安定性および信頼性が改善される。中間接点118〜120を介して互いに直列接続される4つの太陽電池列103〜106を介して2つの接続接点117、121を直列接続することによって、高価な配線なしで済ませることが可能になる、複数の接続されたU字形からなる構成が作成される。モジュール領域110〜113の数およびサイズを、特に直列接続されるU字形の数を調節することにより、薄膜ソーラーモジュール101の電流/電圧特性に選択的に影響を及ぼすことが可能である。4つのモジュール領域110〜113を備える薄膜ソーラーモジュール101が図6に描かれているが、より多くのまたはより少ない数のモジュール領域が提供されることができることが理解される。偶数のモジュール領域を有し、隣接する太陽電池列が逆並列の順方向を有することが好ましい。
【0065】
本発明は、工業的連続生産で費用効率よく製造されることができ、かつ従来の薄膜ソーラーモジュールと比較して長期間の安定性および耐久性が改善される薄膜ソーラーモジュールを利用可能にする。薄膜ソーラーモジュールの電流/電圧特性は、必要に応じて選択的に影響を及ぼされることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 薄膜ソーラーモジュール
2 太陽電池
3 分離ライン
4 基材
5 層構造
6 主表面
7 背面電極層
8 吸収層
9 バッファ層
10 前面電極層
11 プラスチック層
12 カバープレート
13 第1の層トレンチ
14 第1の背面電極セクション
15 第2の背面電極セクション
16 第2の層トレンチ
17 第1の半導体セクション
18 第2の半導体セクション
19 第3の層トレンチ
20 第1の前面電極セクション
21 第2の前面電極セクション
22 第1の構造化ライン
23 第2の構造化ライン
24 第3の構造化ライン
25 領域トレンチ
26 第1のモジュール領域
27 第2のモジュール領域
28 第1の太陽電池列
29 第2の太陽電池列
30 第1の端部領域
31 第2の端部領域
32 第1の接続接点
33 第2の接続接点
34 中間接点
35 接続ボックス
36 第1のゾーン
37 第2のゾーン
38 第3のゾーン
101 薄膜ソーラーモジュール
102 太陽電池
103 第1の太陽電池列
104 第2の太陽電池列
105 第3の太陽電池列
106 第4の太陽電池列
107 第1の領域トレンチ
108 第2の領域トレンチ
109 第3の領域トレンチ
110 第1のモジュール領域
111 第2のモジュール領域
112 第3のモジュール領域
113 第4のモジュール領域
114 分離ライン
115 第1の端部領域
116 第2の端部領域
117 第1の接続接点
118 第1の中間接点
119 第2の中間接点
120 第3の中間接点
121 第2の接続接点
122 第1の接続ボックス
123 第2の接続ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層(7〜10)を有する層構造(5)が適用される基材(4)を含む、特に薄膜ソーラーモジュールのための太陽電池アレイ(1、101)であって、層構造(5)は、1つまたは複数の領域トレンチ(25、107〜109)により互いに電気的に分離される複数の異なる領域(26、27、110〜113)に分割され、直列接続され整流された複数の太陽電池(2、102)を含む太陽電池列(28、29、103〜106)が各領域(26、27、110〜113)内に形成される、太陽電池アレイ(1、101)。
【請求項2】
太陽電池列(28、29、103〜06)が、1つまたは複数の中間接点(34、118〜120)により直列接続される、請求項1に記載の太陽電池アレイ(1、101)。
【請求項3】
層構造(5)が、第1の電極層(10)、第2の電極層(7)、および2つの電極層(7、10)の間に配置される半導体層(8)を有し、半導体層(8)によってpn接合が形成され、半導体層(8)はカルコパイライト(chalcopyrite)化合物、テルル化カドミウム(cadmiun telluride)、および/またはシリコンから形成される、請求項1または2のいずれか一項に記載の太陽電池アレイ(1、101)。
【請求項4】
第1の接続接点(32、117)および第2の接続接点(33、121)が、1つまたは複数の中間接点(34、118〜120)により直列接続される太陽電池列(28、29、103〜106)により互いに電気的に接続され、少なくとも1つの接続ハウジング(35、122、123)内で2つの接続接点(32、33、117、121)が接続される、請求項1から3のいずれか一項に記載の太陽電池アレイ(1、101)。
【請求項5】
層構造が、領域トレンチ(25)により互いに電気的に分離される2つの領域(26、27)に分割され、
第1の接続接点(32)および第2の接続接点(33)が、中間接点(34)により直列接続される2つの太陽電池列(28、29)により互いに電気的に接続され、
2つの接続接点(32、33)は、共通の接続ハウジング(35)に接続される、
請求項4に記載の太陽電池アレイ(1)。
【請求項6】
層構造が、3つの領域トレンチ(107〜109)により互いに電気的に分離される4つの領域(110〜113)に分割され、
第1の接続接点(117)および第2の接続接点(121)が、3つの中間接点(118〜120)により直列接続される4つの太陽電池列(103〜106)により互いに電気的に接続され、
2つの接続接点(117、121)は、いずれの場合も、別個の接続ハウジング(122、123)に接続される、請求項4に記載の太陽電池アレイ(101)。
【請求項7】
太陽電池(2、102)が、いずれの場合も、ストリップとして構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の太陽電池アレイ(1、101)。
【請求項8】
接続接点および中間接点(32〜34、117〜121)が、いずれの場合も、接点ストリップの形で構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の太陽電池アレイ(1、101)。
【請求項9】
少なくとも1つの領域トレンチ(25、107〜109)が、その長さに対して横方向に測定された幅が0.5mm〜10mm、特に1mm〜3mmの範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の太陽電池アレイ(1、101)。
【請求項10】
少なくとも1つの領域トレンチ(25、107〜109)が電気的絶縁材で充填される、請求項1から9のいずれか一項に記載の太陽電池アレイ(1、101)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の太陽電池アレイの形で構成される薄膜ソーラーモジュール(1、101)。
【請求項12】
第1の電極層(10)が透明な前面電極層であり、第2の電極層(7)が背面電極層であり、基材(4)が、前面電極層から離れた方向に向く背面電極の側に配置される、請求項11に記載の薄膜ソーラーモジュール(1、101)。
【請求項13】
第1の電極層(10)、第2の電極層(7)、および2つの電極層(7、10)の間に配置される半導体層(8)を含む薄膜ソーラーモジュール(1、101)の層構造(5)の構造化方法であって、
第2の電極層(7)内に第1の構造化ライン(22)を作成し、第1の構造化ライン(22)を用いて、第2の電極層(7)が、互いに電気的に分離される第2の層セクション(14、15)に分割されるステップと、
太陽電池の直列接続のために、第1の電極層(10)および第2の電極層(7)を電気的に接続するために第2の構造化ライン(23)を作成するステップと、
第1の電極層(10)内に第3の構造化ライン(24)を作成し、第3の構造化ライン(24)を用いて、第1の電極層(10)が、互いに電気的に分離される第1の層セクション(20、21)に分割されるステップと
を含み、第1から第3の構造化ライン(22〜24)の中から選択される1つの構造化ラインが、互いに電気的に分離される少なくとも2つの領域(26、27、110〜113)にわたり直線状に進むように誘導され、一方では、2つの残りの構造化ラインおよびこの構造化ラインは、構造化ライン(22〜24)の順序が逆転させられるように、互いに対してずらされる、方法。
【請求項14】
第1から第3の構造化ライン(22〜24)の中から選択される構造化ラインが、互いに電気的に分離される少なくとも2つの領域(26、27、110〜113)にわたり直線状に進むように誘導され、一方では、2つの残りの構造化ラインが、構造化ライン(22〜24)の順序が逆転させられるように、この構造化ラインを横切る、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
薄膜ソーラーモジュール(1、101)の製造方法であって、
層構造(5)を基材(4)上に適用し、層構造(5)は少なくとも第1の電極層(10)、第2の電極層(7)、および2つの電極層(7、10)の間に配置される半導体層(8)を有し、半導体層(8)によりpn接合が形成されるステップと、
請求項14に記載の方法により層構造(5)を構造化し、その結果、直列接続され整流された複数の太陽電池(2、102)からそれぞれなる複数の太陽電池列(28、29、103〜106)が作成され、互いに隣接する太陽電池列が特に逆並列の順方向を有することができるステップと、
層構造(5)に1つまたは複数の領域トレンチ(25、107〜109)を導入し、その結果、別個の太陽電池列をそれぞれ含む別のモジュール領域(26、27、110〜113)が互いに電気的に分離されるステップと、
1つまたは複数の中間接点(34、118〜120)を形成することにより、太陽電池列(28、29、103〜106)を直列接続するステップと、
太陽電池列(28、29、103〜106)に導電性を有して接続される第1の接続接点(32、117)および第2の接続接点(33、121)を形成するステップと、
少なくとも1つの接続ハウジング(35、122、123)内で2つの接続接点(32、33、117、121)を接続するステップと
を含む製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−518424(P2013−518424A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550440(P2012−550440)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051133
【国際公開番号】WO2011/092239
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】