説明

太陽電池アレイの緩衝装置

【課題】 屋上等に設置の太陽電池アレイにおける外側の太陽電池パネルに人が接触して怪我をする危険を可及的に解消する。
【解決手段】 耐候性に優れる熱可塑性エラストマーによって軟質一体の長尺の緩衝パッド3a、コーナー緩衝パッド3b、連結緩衝パッド3cを用いて、太陽電池パネル1のパネル枠2を被覆する。緩衝パッド3a、3b、3cは、断面L字状に交差片31、対接片32、カバー片35を備えて一体に成形してある。対接片32は、パネル枠2の固定フィン23の有無に拘らずパネル枠2を被覆する凹溝34を形成する屈曲リブ33を備えてあり、この屈曲リブ33が緩衝パッド3aの内部緩衝部位として緩衝パッド3aの緩衝機能を高度化し、怪我の防止や太陽電池パネル1の保護を有効に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池アレイの外側を画するように配置した太陽電池パネルのパネル枠に緩衝作用を付与するように、該パネル枠を被覆した太陽電池アレイの緩衝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の太陽電池アレイの緩衝装置として、本発明者は、下記特許文献1によって、太陽電池アレイの外周を画するように配置した太陽電池パネルのパネル枠に、例えば架台に設置したブラケットを介して該枠を被覆するように、断面逆L字状のパネル枠ガードを設置し、該パネル枠ガードに熱可塑性エラストマー軟質一体長尺の緩衝パッドを配置することによってパネル枠に緩衝機能を付与するものを提案済みであり、これによれば、該緩衝パッドを、上記パネル枠ガード側に突出して該パネル枠ガードの上面に対接する交差片と、該交差片と断面L字状をなし上記パネル枠ガードの外側面に対接する対接片と、上記交差片から該交差片及び対接片の外側面を被覆して断面コ字状をなしその対接片側に向けた先端を自由端とすることによって手捲り自在としたカバー片を有するものとしてあり、また、該緩衝パッドに加えて、パネル枠のコーナーに配置して該緩衝パッドを直交方向に連結する同じく熱可塑性エラストマーの軟質一体のコーナー緩衝パッドを備えるものとしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010−172548
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、陸屋根を有する建造物、例えば、小中学校、市町村会館、百貨店等の公共乃至公共的な施設の屋上に架台を用いて設置した太陽電池アレイのパネル枠ガードを、緩衝パッドによって外観よく被覆するとともにパネル枠ガードに緩衝機能を付与することによって、屋上を利用する児童生徒や施設利用者が接触しても、その接触衝撃を吸収緩和して接触事故の発生可能性を可及的に解消し、併せて太陽電池アレイ、ひいては太陽電池パネルの損傷を防止し得るとの作用効果を奏することができる。
【0005】
しかし乍ら、この場合、緩衝パッドの設置にはブラケットの設置及び該ブラケットに対するパネル枠ガードの固定のための作業が必要となって緩衝パッドの設置作業が煩雑化する可能性が残り、従って、これらブラケットやパネル枠ガードを用いることなく、太陽電池アレイの外側を画するように配置した太陽電池パネルのパネル枠に対して直接に緩衝パッドを設置し得るようにすれば、現場での作業を簡易化することが可能となる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、上記パネル枠に対して緩衝パッドを直接に設置することによって、可及的簡易な作業によって太陽電池アレイに緩衝機能を付与し得るようにした太陽電池アレイの緩衝装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って検討したところ、太陽電池アレイにおける外側に位置する太陽電池パネルのパネル枠は、一般にアルミ押出材製にして断面形状を2種類とした枠材が用いられており、即ち、その断面形状は、太陽電池パネルの支持構造を共通としつつ、外側面に金具固定乃至隣接相互の連結固定用の固定フィンを突出したものと、該固定フィンを備えることなくフラットな面としたものの2種類であり、固定フィンを備えたものは、いわゆる傾斜屋根仕様の長尺側のパネル枠として用いる一方、固定フィンを備えないフラットな面の枠材は、該傾斜屋根仕様の短尺側のパネル枠として、また、いわゆる陸屋根仕様の長尺側及び短尺側のパネル枠として用いるものとされるところ、上記陸屋根の屋上に太陽電池アレイを設置するとき、陸屋根仕様のパネル枠ではなく、傾斜屋根仕様のパネル枠を用いることも多く、従って、パネル枠に緩衝パッドを直接に設置するについては、上記長尺側のパネル枠に用いられる固定フィンを備えた枠材と、その余のフラットな面の枠材の双方に対応して、これらのいずれにも直接の設置をなし得るようにする必要があること、このとき、本発明者による先行する上記提案にかかる緩衝パッドの基本構成を可及的に維持しながら、その対接片に凹溝を配置して該固定フィンを受入れ自在とすれば、固定フィンの有無に拘らず、緩衝パッドをパネル枠に直接設置することが可能となること、該凹溝を配置するについて、上記対接片の上下中間位置にカバー片側に向けて外方に突出するように、上記凹溝形成用の屈曲リブを配置すれば、固定フィンの有無に拘らず、該屈曲リブが対接片とカバー片の間にあって、緩衝パッドに対する衝撃を有効且つ確実に吸収し、緩衝パッドの緩衝機能を高度化する緩衝パッド内部の緩衝部位をなし、該緩衝パッドの外観を損なうことなく、怪我の防止や太陽電池アレイ、ひいては太陽電池パネルの保護に更に有効となるとの知見を得るに至り、該知見に基づいて本発明をなすに至ったものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、太陽電池アレイの外側に位置する太陽電池パネルのパネル枠に緩衝機能を付与する熱可塑性エラストマー軟質一体長尺の緩衝パッドを備え、該緩衝パッドを、パネル枠側に突出して該枠の上面に対接する交差片と、該交差片と断面L字状をなし上記パネル枠の外側面に対接する対接片と、上記交差片から対接片の外側面を被覆して断面コ字状をなしその対接片側に向けた先端を自由端とすることによって手捲り自在としたカバー片を有するとともに上記対接片の上下中間位置に上記パネル枠側に開口する凹溝を形成してカバー片側に向けて外方に突出する屈曲リブを配置してなることを特徴とする太陽電池アレイの緩衝装置としたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、コーナー緩衝パッドを備えることによって、太陽電池アレイのコーナーにおいて、上記長尺の緩衝パッドの長手方向端部の直交2辺の連結を可及的簡易且つ外観よく行って、同様に緩衝材による緩衝機能を向上するとともに現場作業を容易化したものとするように、これを、上記長尺の緩衝パッドに加えて、パネル枠のコーナーに配置して該緩衝パッドを直交方向に連結する同じく熱可塑性エラストマーの軟質一体のコーナー緩衝パッドを備え、該コーナー緩衝パッドを、上記緩衝パッドの外形に合せた直交2辺の交差片及び直交2辺のカバー片を有するとともにこれら交差片及びカバー片のコーナー位置を上下に結ぶ仕切プレートと、該仕切プレートから直交2辺をなすように突出し且つ交差片との間に上記凹溝に応じたスリットを介して配置して上記緩衝パッドの対接片を外側で被覆する被覆片を有して、緩衝パッド長手方向端部を受入自在としてなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池アレイの緩衝装置としたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、連結緩衝パッドを備えることによって、上記長尺の緩衝パッドの連結を可及的簡易且つ外観よく行って、緩衝材による緩衝機能を向上するとともに現場作業を容易化したものとするように、これを、上記長尺の緩衝パッド又はこれとコーナー緩衝パッドに加えて、該緩衝パッドを長手方向に連結する同じく熱可塑性エラストマーの軟質一体の連結緩衝パッドを備え、該連結緩衝パッドを、上記緩衝パッドの外形に合せた交差片及びカバー片を有するとともにカバー片の先端から交差片に向けて起立して交差片との間に上記凹溝に応じたスリットを介して配置して上記緩衝パッドの対接片を外側で被覆する被覆片を有して、緩衝パッド長手方向端部を受入自在としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池アレイの緩衝装置としたものである。
【0010】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、小中学校、市町村会館、百貨店等の公共乃至公共的な施設の屋上に架台を用いて設置した太陽電池アレイの外側に位置する太陽電池パネルのパネル枠を、緩衝パッドによって外観よく被覆するとともにパネル枠に緩衝機能を付与することによって、屋上を利用する児童生徒や施設利用者が接触しても、その接触衝撃を吸収緩和して接触事故の発生可能性を可及的に解消し、併せて太陽電池アレイ、ひいては太陽電池パネルの損傷を防止し得る上、緩衝パッドの対接片に凹溝を配置して、パネル枠に設置されることある固定フィンを受入れ自在とすることにより固定フィンの有無に拘らず緩衝パッドをパネル枠に直接設置して可及的簡易な作業によって太陽電池アレイに緩衝機能を付与し得るとともに上記対接片の上下中間位置にカバー片側に向けて外方に突出するように、上記凹溝形成用の屈曲リブを配置したことによって、固定フィンの有無に拘らず、該屈曲リブが対接片とカバー片の間にあって、緩衝パッドに対する衝撃を有効且つ確実に吸収し、緩衝パッドの緩衝機能を高度化する緩衝パッド内部の緩衝部位をなし、該緩衝パッドの外観を損なうことなく、怪我の防止や太陽電池アレイ、ひいては太陽電池パネルの保護に更に有効とした太陽電池アレイの緩衝装置を提供することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、コーナー緩衝パッドを備えることによって、太陽電池アレイのコーナーにおいて、上記長尺の緩衝パッドの長手方向端部の直交2辺の連結を可及的簡易且つ外観よく行って、同様に緩衝材による緩衝機能を向上するとともに現場作業を容易化したものとすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、連結緩衝パッドを備えることによって、上記長尺の緩衝パッドの連結を可及的簡易且つ外観よく行って、緩衝材による緩衝機能を向上するとともに現場作業を容易化したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】太陽電池アレイと緩衝パッドの関係を示す斜視図である。
【図2】太陽電池アレイの長尺側パネル枠位置の縦断面図である。
【図3】太陽電池アレイの短尺側パネル枠位置の縦断面図である。
【図4】長尺の緩衝パッドの縦断面図である。
【図5】長尺の緩衝パッドの背面図である。
【図6】コーナー緩衝パッドの底面図である。
【図7】コーナー緩衝パッドの平面図である。
【図8】コーナー緩衝パッドの端面図である。
【図9】コーナー緩衝パッドと緩衝パッドの関係を示す縦断面図である。
【図10】連結緩衝パッドの側面図である。
【図11】連結緩衝パッドの背面図である。
【図12】連結緩衝パッドと緩衝パッドの関係を示す縦断面図である。
【図13】緩衝パッドの配置状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは、例えば、小中学校の校舎の陸屋根をなす屋上に設置した太陽電池アレイであり、該太陽電池アレイAは、平面矩形多数の太陽電池パネル1を行方向及び列方向に配列した、該太陽電池パネル1の集合体としてあり、また、該太陽電池パネル1は、常法に従って、太陽電池セルをパッケージして、外周に配置したパネル枠2の保持片21によって保持するとともに下端の架台固定片22を、屋上配置に設置した架台11にボルトナットで締着することによって、該架台11に固定したものとしてある。
【0016】
このとき、本例の太陽電池パネル1は、傾斜屋根仕様の太陽電池パネルを陸屋根用に共用したものとしてあり、このため、そのパネル枠2は、平面矩形の太陽電池パネル1の長尺側と短尺側とで異なる断面形状の枠材を用いたものとしてある。即ち、パネル枠2は、長尺側及び短尺側で、上記保持片21、架台固定片22を共通に有するも、長尺側において、その外側面に、傾斜屋根仕様としてその屋根架台に対して金具固定し、また、隣接相互に金具連結するに用いる固定フィン23を外側に向けて突出し、短尺側において、その外側面を、該固定フィン23を備えることなくフラットな面とすることによって、固定フィン23の有無で異なる2種の断面形状の枠材を用いたものとしてある。
【0017】
太陽電池アレイAは、上記屋上に設置したことによって、そのパネル枠2に緩衝作用を付与するように緩衝装置を配置したものとしてあり、該緩衝装置は、太陽電池アレイAの外側に位置する太陽電池パネル1のパネル枠2に緩衝機能を付与する熱可塑性エラストマー軟質一体長尺の緩衝パッド3a、本例にあってはこれに加えて、パネル枠2のコーナーに配置して該緩衝パッド3aを直交方向に連結する同じく熱可塑性エラストマーの軟質一体のコーナー緩衝パッド3b及び緩衝パッド3aを長手方向に連結する同じく熱可塑性エラストマー軟質一体長尺の連結緩衝パッド3cを備えたものとしてある。熱可塑性エラストマーはそれ自体優れた耐候性を呈するから、屋外の直射日光を受ける太陽電池アレイAの緩衝装置として使用することによって、長期に亘って良好な耐久性を有するものとすることができる。
【0018】
緩衝パッド3aは、これを、パネル枠2側に突出して該枠2の上面に対接する交差片31と、該交差片31と断面L字状をなし上記パネル枠2の外側面に対接する対接片32と、上記交差片31から対接片32の外側面を被覆して断面コ字状をなしその対接片32側に向けた先端を自由端とすることによって手捲り自在としたカバー片35を有するとともに上記対接片32の上下中間位置に上記パネル枠2側に開口する凹溝34を形成してカバー片35側に向けて外方に突出する屈曲リブ33を配置したものとしてある。
【0019】
本例にあって緩衝パッド3aは、例えば、肉厚を2〜3mm程度として上記熱可塑性エラストマーを一体成形した、上記交差片31、屈曲リブ33を有する対接片32及びカバー片35を備えた長尺のものとしてあり、このとき交差片31は、これを、対接片32の上端から内方、即ち太陽電池パネル1側に突出し、先端を鋭角化した矢尻状中空乃至中実、本例にあっては中実にして、内方への突出幅を1cm程度としたものとしてある。
【0020】
対接片32は、交差片31から5〜6cm程度の高さにして上下中間位置に屈曲リブ33を配置した以外、平坦なプレート状のものとしてあり、該屈曲リブ33は、例えば、交差片31との付け根をなす上端から数mm程度を残すことによって交差片31と直交するL字面を形成するとともにその下位の上下中間位置に凹溝34を形成する、同じく肉厚2mmの上記屈曲リブ33を配置してあり、該屈曲リブ33は、対接片32を外方に向けて断面コ字状に屈曲し、その開口を内方に向けることによって、例えば、高さ5〜6mm程度、奥行1cm強の断面矩形の凹溝34を形成したものとしてある。
【0021】
カバー片35は、上記矢尻状の交差片から外方に向けて、例えば断面コ字状乃至C字状、本例にあっては断面C字状をなすように、対接片32から1.5〜2cm弱の間隔をあけて配置した、湾曲した上部、平坦な中間部、対接片側に向けた平坦な下部を備えたものとしてあり、該下部の先端を、該対接片32と接続することなく、例えば1mm程度離隔して、これを自由端として、エラストマーの弾性によって手捲り自在としてある。このようにカバー片35を自由端とすることにより、該緩衝パッド3a内の雨水や結露水を、該カバー片35と対接片32間から外部に排水することが可能となる。
【0022】
このように形成した長尺の緩衝パッド3aは、対接片32を、太陽電池パネル1におけるパネル枠2の外側面に突き当て状に対接して、交差片31を該パネル枠2の上面から太陽電池パネル1のガラス面に至るように載置して、該対接片32から所定間隔のネジ39、本例にあってはタッピングネジをパネル枠2に螺入することによってパネル枠2に固定することによってその設置を行うものとしてあり、このとき、該緩衝パッド3aは、その上記交差片31と対接片32が直交する上記L字面をパネル枠2の上端に当てるように載置することにより、該緩衝パッド3aのパネル枠2に対する位置決めを行うことができ、また、上記ネジ39の固定は、エラストマーの軟質性によって、カバー片35を該固定位置で手捲りし、対接片32にネジ39をあてがってパネル枠2にネジ39を螺入するようにすればよく、これによって緩衝パッド3aの表面にネジ39が露出するのを防止できる。
【0023】
該緩衝パッド3aの設置に際して、上記平面矩形の太陽電池パネル1における長尺側のパネル枠2の外側面に突出した上記固定フィン23は、これを、対接片32の上下中間位置に配置した上記屈曲リブ33の凹溝34に受入れることによって、短尺側のパネル枠2のフラットな外側面にはそのまま対接片32を突き当て状とすることによって、屈曲リブ33を対接片32に配置した該緩衝パッド3aは、固定フィン23の有無に拘らず、パネル枠2に対してその確実な設置を行うことができる。
【0024】
このとき、太陽電池アレイAのパネル枠2を、肉厚2〜3mm程度の緩衝パッド3aによって被覆したから、パネル枠2に外観よく緩衝機能を付与して、太陽電池アレイA以外の屋上スペースを児童生徒等の運動に利用しても、該屋上を利用する児童生徒が太陽電池アレイAに接触したとき、その接触衝撃を吸収緩和して接触事故の発生可能性を可及的に解消し、併せて太陽電池アレイA、ひいては太陽電池パネル1の損傷を防止し得る上、対接片32の上下中間位置に外方に向けて屈曲した、高さ5〜6mm程度、奥行1cm強の上記凹溝34を形成する屈曲リブ33、即ち、肉厚を加えると高さ1cm程度、幅1.数cm程度の比較的大きな断面コ字状の屈曲リブ33を有しているから、該屈曲リブ33が固定フィン23の有無に拘らず、対接片32とカバー片35の間にあって、緩衝パッド3aに対する衝撃を有効且つ確実に吸収し、緩衝パッド3aの緩衝機能を高度化する緩衝パッド内部の緩衝部位として作用する結果、上記児童生徒の接触に際してその怪我の防止や太陽電池アレイA、ひいては太陽電池パネル1の保護に更に有効なものとすることができる。
【0025】
一方、上記長尺の緩衝パッド3aとともに用いる上記コーナー緩衝パッド3bは、これを、上記緩衝パッド3aの外形に合せた交差片31及びカバー片35を有するとともにカバー片35の先端から交差片31に向けて起立して交差片31との間に上記凹溝34に応じたスリット36を介して配置して上記緩衝パッド3aの対接片32を外側で被覆する被覆片37を有して、緩衝パッド3a長手方向端部を受入自在とし、また、上記連結緩衝パッド3cは、これを、上記緩衝パッド3aの外形に合せた交差片31及びカバー片35を有するとともにカバー片35の先端から交差片31に向けて起立して交差片31との間に上記凹溝34に応じたスリット36を介して配置して上記緩衝パッド3aの対接片32を外側で被覆する被覆片37を有して、緩衝パッド3a長手方向端部を受入自在としてある。
【0026】
即ち、コーナー緩衝パッド3bは、太陽電池アレイAの太陽電池パネルの2面を覆って、そのコーナーで直交する2辺のパネル枠2を該コーナーで連結し、連結緩衝パッド3cは、太陽電池パネル1の長尺側のパネル枠2が長尺の緩衝パッド3aより長いときや、その長さを該長尺側のパネル枠2に応じたものとするときに、列方向に隣接する太陽電池パネル1間で長尺の緩衝パッド3aを接続するに際して、該緩衝パッド3aの長手方向端部で該緩衝パッド3aを連結するように用いるものとしてあり、このため、これらコーナー緩衝パッド3b及び連結緩衝パッド3cは、長尺の緩衝パッド3aの長手方向端部を被嵌状に受入自在とするように、該長尺の緩衝パッド3aより大きめのものとするように、その交差片31を、中空の矢尻状とし、カバー片35を同様に断面コ字状乃至C字状、本例にあっては断面C字状とするとともに対接片31とカバー片35間の間隔を、上記長尺の緩衝パッド3aの外形、即ち2cm程度より幾分大きく、例えば2.5cm程度とし、高さも長尺の緩衝パッド3aより高い5.5cm程度としてあり、また、コーナー緩衝パッド3bのL字片の片側長さ、連結緩衝パッド3cの長さは、これを長尺の緩衝パッド3aの長手方向端部の受入支持を行うに適した長さ、例えば5〜7cm程度としてある。
【0027】
これらコーナー緩衝パッド3b及び連結緩衝パッド3cは、該コーナー及び連結位置でその対接片31をパネル枠2に対接することから、長尺の緩衝パッド3bの対接片31に配置した上記屈曲リブ33による凹溝34を閉塞することなく、該凹溝34に対する固定フィン23の受入れを阻害しないように、該凹溝34に応じたスリット36、本例にあっては上記高さ5〜6mm乃至これよりやや高い幅としたスリットを、該凹溝34と対応してこれと平行に配置したものとしてある。
【0028】
このため、コーナー緩衝パッド3bにあっては、コーナー位置に交差片31とカバー片35を上下に結び、直交位置で内部を2区分するように仕切プレート38を配置し、該仕切プレート38から交差方向に側端を固定して、上記長尺の緩衝パッド3aの対接片31を覆う被覆片37を突出配置するとともにカバー片35の先端を同様に自由端とし且つ被覆片37の他端を自由端としたものとし、また、連結緩衝パッド3cにあっては、そのカバー片35の先端から対接片32を起立するように、該カバー片35と対接片32を一体に起立配置したものとし、それぞれ上記凹溝34に応じたスリット36を配置したものとしてある。
【0029】
本例にあって、該コーナー緩衝パッド3bは、コーナー部分に設置して長尺の緩衝パッド3aを連結するところから、その平面形状をL字状とし、連結緩衝パッド3cは、直線部分に設置して長尺の緩衝パッド3aを連結するところから、その平面形状をI字状として、それぞれ同様に上記熱可塑性エラストマーで一体に成形したものとしてある。
【0030】
これらコーナー緩衝パッド3b及び連結緩衝パッド3cは、必要に応じて用いればよいが、これらを用いるとき、長尺の緩衝パッド3aに先行し又は後続してパネル枠2に設置し、これらが長尺の緩衝パッド3aを被嵌して受け入れるようにすればよく、このとき、コーナー緩衝パッド3bにあっては一端固定の被覆片37を手捲りし、連結緩衝パッド3cにあっては被覆片37を手捲りすれば長尺の緩衝パッド3aの端部を容易に被嵌連結することができる。また、該コーナー部分又は直線の連結部分で、必要に応じて、その対接片32を同様にネジで固定し、また、被嵌した長尺の緩衝パッド3aの対接片32とともにネジで固定することができ、このとき、コーナー緩衝パッド3bのカバー片35を同様に手捲りすればネジの固定を行うことができ、連結緩衝パッド3cにあっては、パネル枠2への位置決め状態で交差片31側からカバー片35を手捲りすればネジの固定を行うことができ、従ってこれらによる連結を簡易に行うことができる。
【0031】
このようにコーナー緩衝パッド3b及び/又は連結緩衝パッド3cを用いて、長尺の緩衝パッド3aを連結する場合、これらが、該長尺の緩衝パッド3aを被嵌受入れすることによって、該長尺の緩衝パッド3aを外観よく連結できる上、該連結部分においても、長尺の緩衝パッド3aが上記屈曲リブ33を備える上、更に、これらコーナー緩衝パッド3bや連結緩衝パッド3cが被嵌するため、接触衝撃を高度に吸収緩和して、怪我の防止や太陽電池アレイA、ひいては太陽電池パネル1の保護を極めて高度化することができる。
【0032】
図示した例は以上のとおりとしたが、長尺の緩衝パッドを単独で使用すること、これにコーナー緩衝パッド及び/又は連結緩衝パッドを追加して使用することを含めて、本発明の実施に当って、太陽電池アレイ、太陽電池パネル、パネル枠、長尺の緩衝パッド、交差片、対接片、屈曲リブ、カバー片、必要に応じて用いるコーナー緩衝パッド、連結緩衝パッド等の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態とすることができる。
【符号の説明】
【0033】
A 太陽電池アレイ
1 太陽電池パネル
11 架台
2 パネル枠
21 保持片
22 架台固定片
23 固定フィン
3a 緩衝パッド
3b コーナー緩衝パッド
3c 連結緩衝パッド
31 交差片
32 対接片
33 屈曲リブ
34 凹溝
35 カバー片
36 スリット
37 被覆片
38 仕切プレート
39 タップネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池アレイの外側に位置する太陽電池パネルのパネル枠に緩衝機能を付与する熱可塑性エラストマー軟質一体長尺の緩衝パッドを備え、該緩衝パッドを、パネル枠側に突出して該枠の上面に対接する交差片と、該交差片と断面L字状をなし上記パネル枠の外側面に対接する対接片と、上記交差片から対接片の外側面を被覆して断面コ字状をなしその対接片側に向けた先端を自由端とすることによって手捲り自在としたカバー片を有するとともに上記対接片の上下中間位置に上記パネル枠側に開口する凹溝を形成してカバー片側に向けて外方に突出する屈曲リブを配置してなることを特徴とする太陽電池アレイの緩衝装置。
【請求項2】
上記長尺の緩衝パッドに加えて、パネル枠のコーナーに配置して該緩衝パッドを直交方向に連結する同じく熱可塑性エラストマーの軟質一体のコーナー緩衝パッドを備え、該コーナー緩衝パッドを、上記緩衝パッドの外形に合せた直交2辺の交差片及び直交2辺のカバー片を有するとともにこれら交差片及びカバー片のコーナー位置を上下に結ぶ仕切プレートと、該仕切プレートから直交2辺をなすように突出し且つ交差片との間に上記凹溝に応じたスリットを介して配置して上記緩衝パッドの対接片を外側で被覆する被覆片を有して、緩衝パッド長手方向端部を受入自在としてなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池アレイの緩衝装置。
【請求項3】
上記長尺の緩衝パッド又はこれとコーナー緩衝パッドに加えて、該緩衝パッドを長手方向に連結する同じく熱可塑性エラストマーの軟質一体の連結緩衝パッドを備え、該連結緩衝パッドを、上記緩衝パッドの外形に合せた交差片及びカバー片を有するとともにカバー片の先端から交差片に向けて起立して交差片との間に上記凹溝に応じたスリットを介して配置して上記緩衝パッドの対接片を外側で被覆する被覆片を有して、緩衝パッド長手方向端部を受入自在としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池アレイの緩衝装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−174832(P2012−174832A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34308(P2011−34308)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(392018078)日栄インテック株式会社 (28)
【Fターム(参考)】