説明

太陽電池パネルの敷設構造

【課題】太陽電池パネル間から浸水等があっても、桟部材上で雨水等が滞留しない太陽電池パネルの敷設構造を提供する。
【解決手段】本発明は、取付対象面2C上に連続状の桟部材3を配し、該桟部材3の所定位置に太陽電池パネル1を固定する敷設構造であって、前記桟部材3は、少なくとも太陽電池パネル1を固定する箇所にその裏面を支持するフランジ31が形成され、太陽電池パネル1は、太陽電池パネル1と桟部材3との間に、太陽電池パネル1の裏面空間に連通する隙間を形成して固定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネル間から浸水等があっても、桟部材上で雨水等が滞留しない太陽電池パネルの敷設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池を屋根に導入する場合、様々な太陽電池パネルに対応するために、連続状の縦桟又は横桟(もしくは縦横両方)を配し、これらの桟部材に対して太陽電池パネルが取り付けられている。
【0003】
例えば特許文献1には、折板屋根2上にベースチャンネル3を取り付け、更にそのベースチャンネル3上、流れ方向に沿って配設された根太(固定部材)6上で太陽電池パネル1の枠材11の一部を重合させて締結ボルト31にて取り付けられている。
また、特許文献2には、折板上に長尺部材9を配し、ボルトナットを用いて太陽電池パネルを上金具と固定しているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−56147号公報
【特許文献2】特許第3352647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1では、折板屋根は緩勾配が多いため、太陽電池パネル枠材の重合部分に塵やほこり、土等が堆積しやすく、固定部分(例えば締結ボルト31等)の劣化や屋根としての意匠を損なう恐れがあった。
また、前記特許文献2の構造では、長尺部材が流れ方向に交わる方向に配されるため、パネル間に侵入した塵や土もしくはそれを含む雨水が滞留し易いという上記と同様の問題があった。また、長尺部材に侵入した雨水は横方向にしか流水経路がないため、長尺部材内に塵等が上述のものより堆積し易かった。
【0006】
そこで、本発明者らは、太陽電池パネル間から浸水等があっても、桟部材上で雨水等が滞留しない構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、取付対象面上に連続状の桟部材を配し、該桟部材の所定位置に太陽電池パネルを固定する敷設構造であって、前記桟部材は、少なくとも太陽電池を固定する箇所にその裏面を支持するフランジが形成され、太陽電池パネルは、太陽電池パネルの側面又は底面と桟部材の上面又は側壁との間に、太陽電池パネルの裏面空間に連通する隙間を形成して固定されていることを特徴とする太陽電池パネルの敷設構造に関するものである。
【0008】
また、本発明は、前記敷設構造において、桟部材は、連続状の本体(主材)と、フランジを備える定尺材(副材)とを組み合わせてなることを特徴とする太陽電池パネルの敷設構造をも提案する。
【0009】
また、本発明は、前記敷設構造において、太陽電池パネルの上面を押さえる押さえ材と桟部材とで上下に挟み込むように固定されていることを特徴とする太陽電池パネルの敷設構造をも提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の太陽電池パネルの敷設構造は、桟部材が連続材であるため、太陽電池パネルが配設される所定の固定箇所や太陽電池パネルのサイズに制限を受けずに施工することができ、しかも十分な固定強度を得ることができる。
そして、本発明の敷設構造では、太陽電池パネルの裏面空間に連通する隙間が形成されているので、太陽電池パネルの表面側から塵やほこり、土等が侵入しても前記隙間から裏面空間に容易に導くことができ、取付対象面の排水構造にて円滑に水下側へ排出することができる。
したがって、太陽電池パネル同士の接続部分に堆積する塵やほこり、土等は、雨水と共に太陽電池パネルの裏面空間に導くことにより、太陽光の発電効率を高く維持できる。
【0011】
また、桟部材が、連続状の本体と、フランジを備える定尺材とを組み合わせてなる場合には、本体も定尺材も簡易な形状とすることができるため、部材作成コストを低く抑えることができる。
【0012】
また、太陽電池パネルの上面を押さえる押さえ材と桟部材とで上下に挟み込むように固定されている場合、例えば押さえ材を桟部材に対して上方から締着状に取り付ける構成とすればよく、極めて取付強度が高い敷設構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)本発明の敷設構造の一実施例(第1実施例)における裏面空間に連通する隙間が形成される部分を示す正断面図、(b)隙間が形成されない部分を示す正断面図、(c)それに用いた桟部材本体(主材)を示す拡大正面図、(d)それに用いた定尺材(副材)を示す拡大正面図、(e)それに用いた押さえ材を示す拡大正面図である。
【図2】(a)第1実施例の敷設構造を含む外装構造の一実施例を示す側断面図、(b)それに用いた固定部材と支持部材を示す正面図、(c)固定部材の正面図、(d)その側面図、(e)支持部材の正面図である。
【図3】(a)第1実施例の敷設構造を含む外装構造の一実施例を構築する施工手順を示し、屋根上に固定部材を固定した状態を示す斜視図、(b)固定部材に支持部材を取り付けた状態を示す斜視図、(c)更に桟部材本体(主材)を臨ませた状態を示す斜視図、(d)桟部材本体(主材)を固定する状態を示す斜視図、(e)定尺材(副材)を配設した状態を示す拡大斜視図、(f)更に押さえ材及び太陽電池パネルを臨ませた状態を示す拡大斜視図、(g)押さえ材及び太陽電池パネルを取り付けた状態を示す拡大斜視図である。
【図4】(a)本発明の敷設構造の他の一実施例(第2実施例)における裏面空間に連通する隙間が形成される部分を示す正断面図、(b)隙間が形成されない部分を示す正断面図、(c)他の一実施例(第3実施例)における裏面空間に連通する隙間が形成される部分を示す正断面図、(d)隙間が形成されない部分を示す正断面図である。
【図5】(a)本発明の敷設構造の他の一実施例(第4実施例)における裏面空間に連通する隙間が形成される部分を示す正断面図、(b)隙間が形成されない部分を示す正断面図、(c)他の一実施例(第5実施例)における裏面空間に連通する隙間が形成される部分を示す正断面図、(d)隙間が形成されない部分を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の太陽電池パネルの敷設構造は、取付対象面上に連続状の桟部材を配し、該桟部材の所定位置に太陽電池パネルを固定することができるものであって、前記桟部材は、少なくとも太陽電池パネルを固定する箇所にその裏面を支持するフランジが形成され、太陽電池パネルは、太陽電池パネルと桟部材との間に、太陽電池パネルの裏面空間に連通する隙間を形成して固定されていることを特徴とする。
【0015】
本発明における取付対象面は、連続材である桟部材を固定する取付対象を指し、雨仕舞い性を備える新設屋根又は既存屋根、或いは該屋根に固定した持出金具等を指す。
【0016】
本発明における桟部材は、少なくとも太陽電池パネルを固定する箇所にその裏面を支持するフランジが形成されるものであれば、それ以外の構成は特に限定するものではない。
そして、このような桟部材としては、特に限定するものではないが、連続材である本体(主材)とフランジを備える定尺材(副材)とを組み合わせた構成が望ましい。
なお、これらの本体と定尺材とは、敷設状態において一体的に組み付けられていればよく、特にその組み付け手段について限定するものではない。例えば後述する図示実施例では、本体に上方が開放する溝部を形成し、該溝部に締め付けボルトの頭部を保持させ、通孔を設けた定尺材や押さえ材を前記締め付けボルトに貫通させた状態でナットを締め付けることにより、一体的に組み付ける方法を採用したが、特にこの構成に限定するものではない。
【0017】
また、後述する図示実施例のように太陽電池パネルの上面を押さえる押さえ材と桟部材とで上下に挟み込むように固定することが望ましく、例えば押さえ材を桟部材に対して上方から締着状に取り付ける(締め付けて取り付ける)構成とすればよく、極めて取付強度が高い敷設構造が得られる。
【0018】
本発明にて敷設される太陽電池パネルとしては、特にその具体的構成を限定するものではなく、例えば後述する図示実施例に示すように面板部に太陽エネルギー変換モジュール(以下、太陽電池という)を備え、該面板部の少なくとも対向する側縁に成形部(フレーム材)を設けた構成でもよいし、桟部材を介在させて太陽電池パネルを取り付けるようにしてもよい。
前記太陽電池は、特にその構成及び形状を限定するものではなく、多結晶,単結晶,アモルファス等のシリコン系、化合物系、有機系などどのような太陽電池を用いてもよい。
本発明における太陽電池パネルとは、モジュールを備えたパネル、ボード、シート等のその状態で直接もしくは固定部材等を介して間接的に取付(敷設)可能なのものを指す。
例えばモジュール周縁に枠体(フレーム)を配して矩形状としたものであっても、枠体にパネル同士の接続部分等を設けるものであってもよく、その構成は特に限定するものではない。また、太陽電池パネルの固定方法は、ビス等によって前記桟部材のフランジに直接固定するものであっても、固定部材(押さえ部材)と桟部材との間に挟着状に固定するものであってもよい。さらに、太陽電池パネルの敷設状態(取付状態)は、平坦状に表れるものであっても、階段状に表れるものであってもよく、特に限定するものではない。
【0019】
そして、本発明の太陽電池パネルの敷設構造では、太陽電池パネルの表面に付着、堆積する塵やほこり、土等を、雨水と共に太陽電池パネルの裏面空間に導いて流れ方向の水下側へ流下(排出)することができる。その結果、太陽電池パネルの表面は、太陽光の吸収を妨げる塵等の付着や堆積がなく美麗に維持されるため、太陽光の発電効率を高く維持できる。
【実施例】
【0020】
図1(a),(b)に示す第1実施例の太陽電池パネル1の敷設構造は、取付対象面6A上に連続状の桟部材3を配し、該桟部材3の所定位置に太陽電池パネル1を固定することができるものであって、前記桟部材3は、少なくとも太陽電池パネルを固定する箇所にその裏面を支持するフランジ31が形成され、太陽電池パネル1は、太陽電池パネル1の側面及び底面と桟部材3の上面及び側壁との間に、太陽電池パネル1の裏面空間に連通する隙間を形成して固定されている。なお、太陽電池パネル1の表面側から雨水と共に塵やほこり、土等を導く状況を図1(a)中に矢印にて示したが、前記隙間から裏面空間への流れとなっている。
以下、詳細に説明する。
【0021】
前記桟部材3は、連続材である本体(主材)3Aとフランジ31を備える定尺材(副材)3Bとを組み合わせた構成である。
図示実施例の桟部材本体3Aは、図1(c)に示すように、中央に空間部を有する略矩形状成形体である連続材であって、取付対象面6Aに接地する底面の左右に略L字状の受片である固定部32.32と、高さ方向中程の左右に定尺材3Bの脚状部(接続部33,33)を受ける略肩状の受部(接続受部34,34)と、略中央に、頂部に上方が開放する溝部361を備える塔状部36とを有する。この溝部361は、内部に断面が略矩形状の空間を備え、開放部に内側へせり出した突出部が設けられ、内部空間に締め付けボルト3cの頭部を収納し、脱落を防止しつつ長さ方向に調整(スライド)可能である。
図示実施例の定尺材3Bは、図1(d)に示すように、略ハット状成形体であるピース材であって、左右の外方へ延在するフランジ31,31から下方へ脚状部(接続部33,33)が延在し、左右のフランジ31,31を逆U字状の支持面部35が連結する構成であり、該支持面部35の略中央には通孔351が設けられている。
より詳しくは、前記定着材3Bの脚状部(接続部33,33)は、下向き鏃状の係止部が設けられ、前記本体3Aの受部(接続受部34,34)にはその係止部と係合する係合受部が形成され、弾性的に係合して取り付けられる。また、前記定着材3Bの支持面部35は、前記本体3Aの塔状部36の頂部に載置状に配される。
【0022】
また、図示実施例では、隣接する太陽電池パネル1,1間に跨って、図1(e)に示す断面逆ハット状の押さえ材4が配され、その左右の押さえフランジ41,41にて上方から押さえ付けるようにした。
この押さえ材4は、前記定尺材3Bと同様にピース材であって、後述する図3(f)等に示すようにほぼ同位置に配設する。
このように、第1実施例では、図1(b)に示すように、前記桟部材3(3A.3B)のフランジ31にて太陽電池パネル1裏面を支持するばかりでなく、押さえ材4の押さえフランジ41にて上方から押さえ付けるようにしたので、太陽電池パネル1の端縁は、上下から挟まれるように固定(挟着)される。
【0023】
前記桟部材3に取り付けられる太陽電池パネル1は、太陽電池1Aの側縁に裏面側に中空部分を備えるフレーム材1bを周設した構成であって、このフレーム材1bの下端が前記桟部材3のフランジ31に支持される状態で取り付けられる。
【0024】
これらの桟部材3(3A,3B)、押さえ材4、及び太陽電池パネル1は、以下のように組み付けられる。
取付対象面6Aに前記構成の桟部材本体3Aを配し、左右の固定部32.32に略矩形状の固定材6bを沿わせ、締め付けボルト6c及びナット6dにて固定した。この詳細な説明は後記する。
前記本体3Aの溝部361には、締め付けボルト3cの頭部を収納させ、該め付けボルト3cが、前記定尺材3Bを貫通するように配し、そのフランジ31,31に前記太陽電池パネル1,1の裏面(=フレーム材1bの裏面)を支持させるように配設する。なお、本体3Aの配設以前に予め締め付けボルト3cの頭部を収納しておくようにしてもよい。
次に、前記締め付けボルト3cに、前記押さえ材4を貫通させるように配すると共に押さえ材4の押さえフランジ41,41にて太陽電池パネル1.1の端部表面を押さえ付けるように配設する。
この状態で前記締め付けボルト3cにナット3dを取り付け、締め付けることにより、桟部材3(3A,3B)を一体化できると共に、太陽電池パネル1,1の端縁を、桟部材3のフランジ31,31と押さえ材4の押さえフランジ41,41にて上下から挟むように固定することができる。
【0025】
そして、前述のように前記定尺材3Bも押さえ材4もピース材であるため、太陽電池パネル1を固定する箇所以外では、図1(a)に示すように前記定尺材3Bも押さえ材4も締め付けボルト3cもナットも存在しない。そのため、太陽電池パネル1の側面及び底面と桟部材3(3A.3B)の上面及び側壁との間に、太陽電池パネル1の裏面空間に連通する隙間が形成され、図中に示す矢印に沿って太陽電池パネル1の表面側から雨水と共に塵やほこり、土等を導くことができ、水下側へ排出することができる。
したがって、太陽電池パネル1,1同士の接続部分に堆積する塵やほこり、土等は、雨水と共に太陽電池パネル1の裏面空間に導くことにより、太陽光の発電効率を高く維持できる。
【0026】
また、この第1実施例では、桟部材3を、連続状の本体3Aと、フランジを備える定尺材3Bとを組み合わせて形成したので、本体3Aも定尺材3Bも簡易な形状とすることができるため、部材作成コストを低く抑えることができる。
さらに、太陽電池パネル1,1の端縁上面を押さえる押さえ材4の押さえフランジ41と桟部材3のフランジ31とで上下に挟み込むように固定されているので、極めて取付強度が高い敷設構造となる。
【0027】
図2及び図3は、前記第1実施例の太陽電池パネル1の敷設構造を用いた外装構造の一例を示すものであって、前記取付対象面以下の構成について説明する。
図示実施例の下地2Cは、流れ方向に配設された躯体2A上に略平坦状に略ボード状の下地材2Bが敷設され、更にその上面にスレート屋根材2Cが段状に敷設されている構成である。
この下地2C上には、対向する側壁を有する固定部材5が固定され、該固定部材5の側壁間には締着部材7aの大径部71を収納し、且つ締着部材7aをスライド可能に保持する溝部を有する支持部材6Aが取り付けられる。
【0028】
前記固定部材5は、図2(c),(d)に示すように下地2Cに固定する固定部51と、この固定部51から立ち上がる左右一対の側壁52と、を有する構成であり、前記側壁52には水上側に向かって開口する長孔溝522が形成される。詳しくは、この固定部材5は、側壁52,52が水上側に設けられ、水下側には内側が開放する略コ字状の保持部53,53が設けられるピース材であり、前記保持部53は、上方への持ち上がりを防止する規制手段の一態様である。
前記固定部51には、複数の孔が設けられ、該孔に固定具にて下地2Cに固定するが、前記孔(固定具)や固定部51の下面及び周縁には接着材兼シーリング材を配している。
前記側壁52は、内側への傾斜部分である折曲部521を有する構成(側壁52の下半が略垂直状、側壁52の上半が内側へ傾斜状)であり、その配設状態において左右から支持部材6を包持することができ、その上方への持ち上がりを防止することができる。即ちこの折曲部521は、上方への規制手段の一態様である。
また、この側壁52に設けられる長孔溝522は、前述のように水上側に向かって開口しており、前記折曲部521より上方に設けられ、後述する支持部材6の溝部61aに大径部71が収容された状態の締着部材7aが遊嵌可能である。
さらに、この取付構造には、太陽電池パネル等の新設用レベルに調整するレベル調整手段が設けられ、該レベル調整手段として、側壁52,52の下方をテーパ状とした調整部54を設けている。この調整部54は、支持部材6へ固定する太陽電池パネルのレベルを調整するものであり、この調整部54より上方の側壁52等と下地面(既存屋根)の勾配に沿う固定部51間を側面視テーパー状とした。
【0029】
前記支持部材6Aは、図2(b),(e)に示すように前述のように締着部材7aの大径部71を収納し、且つ締着部材7aをスライド可能に保持する溝部61aを有する構成である。詳しくは、この支持部材6は、中央に空間部62を有する略門型成形体である比較的短尺な定尺材であって、左右及び頂部に合計5つの溝部61a〜61cを有する構成であり、各溝部61a〜61cは、何れも内部に断面が略矩形状の空間を備え、開放部に内側へせり出した突出部が設けられ、内部空間に収納する取付ボルト等の脱落を防止する構成である。
【0030】
これらの溝部61a〜61cのうち、左右の中段に設けられ、外側やや上方が開放する溝部61a,61aが、前記固定部材5との連結に用いられる締着部材7aを保持するものであり、頂部の上方が開放する溝部61bは、前記桟部材3(3A)の取り付けに用いられるものであり、左右の下段に設けられる外側が開放する溝部61cは、調整機構として用いられていないが、その略L字状の先端が前記固定部材5の保持部53に保持される被保持部64である。
【0031】
また、この支持部材6Aは、前記固定部材5の側壁52,52間に配設されて取り付けられるものであり、取付状態において、前記固定部材5の側壁52の長孔溝522の内側に溝部61aが連通するように配置される。
前記溝部61aに保持させる締着部材7aは、汎用の六角ボルトであって、その頭部が前記溝部61a内に収納させる大径部71であり、雄ねじ部分が溝部61a外へ突出するので、この雄ねじ部分を把持して所定位置に調整してもよい。また、この締着部材7aとしては、予め緩くナット7bを連結しておいてもよい。
【0032】
なお、図2に示すように、流れ方向に隣接する太陽電池パネル1A,1A間に、キャップ状の覆い材8を配して弾性的に嵌合させることにより、前記ナット7bの締め付け部分を、雨水や塵等の侵入に曝されることから保護している。
【0033】
これらの各部材から構成される外装構造は、図3に示す手順にて組み付けられる。
図3(a)には、前記固定部材5の固定部51に設けた複数の孔に、固定具50を打ち込んで下地2Cに固定した状態が示されている。孔(固定具50頭部)や固定部51の下面及び周縁には接着材兼シーリング材55が配されている。
図3(b)には、前記固定部材5の側壁52,52間に、予め締め付けボルト6c,6cを取り付けた支持部材6Aを臨ませた状態が示されている。
図3(c)には、固定部材5の側壁側壁52,52間に、支持部材6Aを配して締め付け部材7a,7bにて固定した状態が示されている。
図3(d)には、桟部材本体3Aを配設すると共に、それを取り付けるための矩形状の固定材6b、及びナット6dを示している。
図3(e)には、取り付けた桟部材本体3Aの溝部361に、締め付けボルト3cを保持させると共に該締め付けボルト3cに定尺材3Bを貫通させるように配設した状態を示している。
図3(f)には、取り付けた定尺材3Bのフランジ31,31に、予め太陽電池1Aの周縁にフレーム材1bを一体化させた太陽電池パネル1,1、並びに押さえ材4及びナット3dを臨ませた状態が示されている。
図3(g)には、配設した太陽電池パネル1,1の端縁を押さえ材4の押さえフランジ41,41にて表面側から押さえるように締め付け固定した状態を示している。
【0034】
図4(a),(b)に示す第2実施例の敷設構造は、桟部材本体3AIIが、前記第1実施例における本体3Aの略肩状の受部(接続受部34,34)が設けられず、定尺材3BIIが、前記第1実施例における定尺材3Bの脚状部(接続部33,33)が設けられない以外は全く同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この第2実施例では、前記第1実施例と同様に定尺材3Bを配した状態で遊嵌状に取り付けられるが、前記第1実施例では、更に定尺材3Bを上方から配した状態で安定に弾性係合にて取り付けられるため、より安定にナット3dの取付を容易に行うことができる。
【0035】
図4(c),(d)に示す第3実施例の敷設構造は、桟部材本体3AIIIが、塔状部36の頂部に左右方向へ延在する案内片362,362が設けられ、定尺材3BIIIが、逆ハット型である以外は前記第1実施例と全く同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この第3実施例の定尺材3BIIIは逆ハット型であるため、桟部材本体3AIIIとフランジ31,31との間が大きくなり、その結果、空間自体を大きくすることができ、円滑な排水を促すことができる。
【0036】
図5(a),(b)に示す第4実施例の敷設構造は、桟部材本体3AIVが、前記第2実施例における本体3AIIとほぼ同様であり、押さえ材4が用いられない代わりに、定尺材3BIVが、押さえフランジ37を備える以外は前記第2実施例と全く同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この第4実施例では、太陽電池パネル1,1を配設する段階で定尺材3BIVをその所定位置に取り付けた状態で配設する。
【0037】
図5(c),(d)に示す第5実施例の敷設構造は、桟部材本体3AVが、前記第3実施例における桟部材本体3AIIIと同様に塔状部36の頂部に左右方向へ延在する案内片362,362が設けられ、定尺材3BVが、逆ハット型の左右端縁に下向き係合片(38,38)を形成した成形体であって、前記案内片362,362の端縁に係合する係合片38,38と、案内片362,362上に接地する略L字状の固定片39,39(3eはビス)とを有する以外は前記第1実施例と全く同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この第5実施例では、前記第1実施例と同様に定尺材3BVを上方から配した状態で弾性係合にて取り付けられ、更にビス3eにてより強固に取り付けられる。さらに、前記第3実施例と同様に定尺材3BVは逆ハット型であるため、桟部材本体3AVとフランジ31,31との間が大きくなり、前述の第3実施例と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0038】
1 太陽電池パネル
1A 太陽電池
1b フレーム材
2C 下地(スレート屋根材)
3A 桟部材本体
3b 定尺材
4 押さえ材
5 固定部材
6 支持部材
7a,7b 締め付け部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象面上に連続状の桟部材を配し、該桟部材の所定位置に太陽電池パネルを固定する敷設構造であって、
前記桟部材は、少なくとも太陽電池パネルを固定する箇所にその裏面を支持するフランジが形成され、
太陽電池パネルは、太陽電池パネルと桟部材との間に、太陽電池パネルの裏面空間に連通する隙間を形成して固定されていることを特徴とする太陽電池パネルの敷設構造。
【請求項2】
桟部材は、連続状の本体と、フランジを備える定尺材とを組み合わせてなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネルの敷設構造。
【請求項3】
太陽電池パネルの上面を押さえる押さえ材と桟部材とで上下に挟み込むように固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池パネルの敷設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−23872(P2013−23872A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158603(P2011−158603)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000165505)元旦ビューティ工業株式会社 (159)
【Fターム(参考)】