説明

太陽電池パネル間隔調整具

【課題】太陽電池パネル相互の間隔を一定に保ち、縦目地や横目地を揃えながら装着することが可能な太陽電池間隔調整具を提供する。
【解決手段】太陽電池パネルP相互の間隔に合わせて帯板状の挿入体1を形成する。挿入体1を平面十字形状に組み合わせてコーナー間に嵌挿するゲージ部Tを構成する。該ゲージ部Aの上端部に太陽電池パネルPの上面に係止せしめる係止片2を設ける。高さが異なる二本の挿入体1が交差した状態でゲージ部Tを構成する。高さの高い挿入体1Aは直線状の間に挿入せしめる直線用ゲージ部Sとして設ける。厚みの異なる二種類のゲージ部T1、T2を接合する。該接合部分の近傍に各ゲージ部T1、T2に共通する前記係止片2を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用架台に太陽電池パネルを装着する際に使用する太陽電池パネル間隔調整具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パネル材の取付け工事において、パネル材の位置合せ作業を容易にするゲージや治具が提案されている。例えば、特許文献1に記載のパネル材の位置合わせ用ゲージは、外壁パネルを取り付ける工事に使用する外壁パネル用のゲージである。
【0003】
特許文献2に記載のパネル位置決め治具は、住宅の床材として用いる床パネルを梁の上の所定位置に設置するために使用する床パネル用の治具である。
【0004】
これらのゲージや治具は、いずれも外壁パネルや床パネルを一定の間隔に装着できるように工夫したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3529249号公報
【特許文献2】特許第3903359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の間隔調整具により、外壁パネルや床パネルを一定の間隔に装着できるようになっているが、太陽電池用架台に太陽電池パネルを装着する工事に使用する間隔調整具はこれまで提案されていなかった。
【0007】
すなわち、太陽光発電において、太陽電池用架台に太陽電池パネルを複数枚装着する工事では、太陽電池パネル相互の間隔を一定に保ちながら連結する作業になる。この場合、太陽電池パネルをボルトやナットで固定しているが、ボルト取付孔のクリアランスや、太陽電池パネルの公差などにより、太陽電池パネルの縦目地・横目地が不ぞろいになることが多い。
【0008】
また、太陽電池パネルの縦目地・横目地が不ぞろいになったままでは、美観上好ましくないので、多くの現場では、太陽電池パネルの縦目地や横目地の微調整作業を行っている。そのため、この微調整作業で装着工事の手間が増し、多くの作業時間を要するといった不都合が生じていた。
【0009】
そこで、本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、太陽電池パネルを装着する工事において、太陽電池パネル相互の間隔を一定に保ち、縦目地や横目地を揃えながら装着することが可能な太陽電池パネル間隔調整具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、太陽電池パネルP相互の間に嵌挿することで該太陽電池パネルP相互の間隔を調整する間隔調整具であって、
太陽電池パネルP相互の間隔として予め設定された寸法に合わせて形成された厚みを有する帯板状の挿入体1を形成し、
該挿入体1を平面十字形状に組み合わせて太陽電池パネルP相互のコーナー間に上から嵌挿するゲージ部Tを構成すると共に、
該ゲージ部Tの上端部に太陽電池パネルPの上面に係止せしめる係止片2を設けたことにある。
【0011】
第2の手段において、前記ゲージ部Tは、高さが異なる二本の挿入体1A、1Bが交差した状態で、且つ、各挿入体1の上端部が水平に揃うように構成され、高さの高い挿入体1Aの下端部を前記太陽電池パネルP相互の直線状の間に挿入せしめる直線用ゲージ部Sとして設けられたものである。
【0012】
第3の手段の前記ゲージ部Tは、厚みの異なる二種類のゲージ部T1、T2が設けられ、各ゲージ部T1、T2の上端部相互を合わせるように接合すると共に、厚みの厚いゲージ部T1の接合部分に前記係止片2が形成され、太陽電池パネルP相互の二種類の間隔を調整するように構成されている。
【0013】
第4の手段において、前記ゲージ部T及び前記係止片2は、透明な合成樹脂材にて形成されたものである。
【0014】
第5の手段の前記係止片2は、前記ゲージ部Tの交差部位を中心とし、各挿入体1を頂点とする平面正四角形状に形成されたことを課題解消のための手段とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1によると、挿入体1を平面十字形状に組み合わせて太陽電池パネル相互のコーナー間に上から嵌挿するゲージ部Tを構成すると共に、該ゲージ部Aの上端部に太陽電池パネルPの上面に係止せしめる係止片2を設けたことにより、太陽電池パネルP相互のコーナーの間隔を一定に保ち、縦目地や横目地を揃えながら装着することができるものである。また、コーナーの間隔を一定に保ちながら施工ができるので、2枚乃至4枚の太陽電池パネルPを効率良く揃えることが可能である。しかも、挿入体1の上端部に太陽電池パネルPの上面に係止せしめる係止片2を設けているので、本発明調整具を複数配置して太陽電池パネルPの位置を調整する場合に、ゲージ部Tの落下を防止することができる。
【0016】
請求項2のごとく、ゲージ部Tは、高さが異なる二本の挿入体1が交差した状態で、且つ、各挿入体1の上端部が水平に揃うように構成され、高さの高い挿入体1Aの下端部を前記太陽電池パネルP相互の直線状の間に挿入せしめる直線用ゲージ部Sとして設けたことで、太陽電池パネルPのコーナー部以外の直線部分においても太陽電池パネルPの間隔を調整することが可能になる。この結果、コーナー部分および直線部分のいずれか任意の位置での調整が容易に行えるものである。
【0017】
請求項3に記載のように、厚みの異なる二種類のゲージ部T1、T2が設けられ、各ゲージ部T1、T2の上端部相互を合わせるように接合すると共に、厚みの厚いゲージ部T1の接合部分に前記係止片2が形成され、太陽電池パネルP相互の二種類の間隔を調整するように構成したことにより、太陽電池パネルPの種類によって設置間隔が異なった場合でも、二種類のゲージ部T1、T2を選択することで対応することが可能になる。
【0018】
請求項4のごとく、ゲージ部T及び係止片2を透明な合成樹脂材にて形成することで、このゲージ部Tにて間隔を調整する太陽電池パネルPの位置を目視確認しながら調整できる。しかも、合成樹脂の使用により、ゲージ部T嵌挿時や、太陽電池パネルP装着後、ゲージ部Tを取り外す際に、太陽電池パネルPを傷つけるおそれもない。
【0019】
請求項5のように、係止片2は、前記ゲージ部Tの交差部位を中心とし、各挿入体1を頂点とする平面正四角形状に形成されているので、特にコーナー部の間に嵌挿した場合に、係止片2の位置を確認することで、このコーナー部が正確にゲージ部Tに押し当てられているか否かについて、目視での確認を容易にすることができる。したがって、作業能率をさらに効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す底面図である。
【図4】図2に示す矢視IV-IV線断面図である。
【図5】図2に示す矢視V-V線断面図である。
【図6】本発明の使用状態を示す概略平面図である。
【図7】本発明の他の使用状態を示す概略平面図である。
【図8】本発明の使用状態を示す要部斜視図である。
【図9】本発明の他の使用状態を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によると、太陽電池用架台に太陽電池パネルを複数枚装着する工事において、太陽電池パネル相互の間隔を一定に保ち、縦目地や横目地を揃えながら装着することが可能になるなどといった当初の目的を達成した。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例を説明する。本発明間隔調整具は、太陽電池用架台Qに太陽電池パネルPを装着する際に、太陽電池パネルP相互の間に嵌挿することで該太陽電池パネルP相互の間隔を調整するものである。
【0023】
本発明の主要構成は、挿入体1にて構成されたゲージ部Tと、このゲージ部Tの一部に形成された直線用ゲージ部Sとで構成されている(図1参照)。
【0024】
挿入体1は、太陽電池パネルP相互の間隔として予め設定された寸法に合わせて形成された厚みを有する帯板状の部材である。この挿入体1を平面十字形状に組み合わせて太陽電池パネル相互のコーナー間に上から嵌挿するゲージ部Tを構成する(図8参照)。図示の挿入体1は、一対の帯板1Cを対向させ、所定の間隔に配置した間隔保持片1Dを帯板の間に配置することで、予め設定された寸法に挿入体1の厚みを合わせたものである。このような構成により、挿入体1を軽量且つ任意の厚みに形成することが可能になる(図2、図3参照)。
【0025】
さらに、ゲージ部Aの上端部に太陽電池パネルPの上面に係止せしめる係止片を形成する。これらゲージ部T及び係止片2を、例えばポリカーボネート等の透明な合成樹脂材にて形成し、調整作業を目視でも行えるようにしている(図8参照)。
【0026】
また、図示例の係止片2は、ゲージ部Tの交差部位を中心とし、各挿入体1を頂点とする平面正四角形状に形成している(図2、図3参照)。この係止片2の位置と太陽電池パネルPのコーナーの位置とを比較することで、正確に設置しているか否かを目視で確認できるものである(図8参照)。また、この係止片2の形状は、図示例に限らず、他の形状に変更することも可能である。
【0027】
ゲージ部Tは、高さが異なる二本の挿入体1が交差した状態で、且つ、各挿入体1の上端部が水平に揃うように構成されている(図4参照)。そして、高さの高い挿入体1Aの下端部を前記太陽電池パネルP相互の直線状の間に挿入せしめる直線用ゲージ部Sとして設けている。この直線用ゲージ部Sは、太陽電池パネルPのコーナー部以外の直線状の隙間に嵌挿することができるものである。
【0028】
一方、高さの低い挿入体1Bには、切欠き部1Baを形成している。この切欠き部1Baは、太陽電池パネルPの上に載置する際に、太陽電池パネルPと、太陽電池パネルフレームP1との段差を回避して太陽電池パネルP上に水平に載置するためのものである(図9参照)。
【0029】
また、調整間隔が異なる二種類のゲージ部Tを形成し、背中合わせに接合することも可能である(図1参照)。すなわち、厚みの異なる二種類のゲージ部T1、T2が各上端部相互を合わせるように接合したものである(図5参照)。このとき、係止片2は、厚みの厚いゲージ部T1の接合部分に形成している(図1参照)。このように形成することで、各ゲージ部T1、T2に共通する係止片2となり、太陽電池パネルP相互の二種類の間隔を調整することが可能になる。
【0030】
本発明調整具は次のように使用する。まず、太陽電池パネルPを複数段設置するには、太陽電池用架台Q上に並べた太陽電池パネルPの各コーナー部分に配置する(図6、図8参照)。図示例では、各ゲージ部T1、T2のうち幅が狭いゲージ部T2を使用している。この場合、係止片2の代わりに幅が厚いゲージ部T1が抜け止めとして機能する(図8参照)。また、一段の太陽電池パネルPを設置する場合は、各太陽電池パネルPのコーナー端部に半分だけ嵌挿して配置することが可能である(図7参照)。
【0031】
さらに、直線用ゲージ部Sを利用することで、太陽電池パネルPの直線部分に配置することも可能である(図9参照)。この場合、高さの低い挿入体1Bに設けた切欠き部1Baが太陽電池パネルフレームP1を跨ぐようにして回避し、挿入体1Bが太陽電池パネルPに水平に設置できるようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の実施例において、太陽電池用架台Qに太陽電池パネルPを装着する際に使用する間隔調整具として説明しているが、太陽電池パネルPを屋根や壁面に装着する際の間隔調整具として利用することも可能である。また、本発明の挿入体1や係止片2各構成や材質等は図示例に限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は任意に行えるものである。
【符号の説明】
【0033】
P 太陽電池パネル
P1 太陽電池パネルフレーム
Q 太陽電池用架台
S 直線用ゲージ部
T ゲージ部
1 挿入体
1A 挿入体
1B 挿入体
1Ba 切欠き部
1C 帯板
1D 間隔保持片
2 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネル相互の間に嵌挿することで該太陽電池パネル相互の間隔を調整する間隔調整具であって、太陽電池パネル相互の間隔として予め設定された寸法に合わせて形成された厚みを有する帯板状の挿入体を形成し、該挿入体を平面十字形状に組み合わせて太陽電池パネル相互のコーナー間に上から嵌挿するゲージ部を構成すると共に、該ゲージ部の上端部に太陽電池パネルの上面に係止せしめる係止片を設けたことを特徴とする太陽電池パネル間隔調整具。
【請求項2】
前記ゲージ部は、高さが異なる二本の挿入体が交差した状態で、且つ、各挿入体の上端部が水平に揃うように構成され、高さの高い挿入体の下端部を前記太陽電池パネル相互の直線状の間に挿入せしめる直線用ゲージ部として設けられた請求項1記載の太陽電池パネル間隔調整具。
【請求項3】
前記ゲージ部は、厚みの異なる二種類のゲージ部が設けられ、各ゲージ部の上端部相互を合わせるように接合すると共に、厚みの厚いゲージ部の接合部分に前記係止片が形成され、太陽電池パネル相互の二種類の間隔を調整するように構成された請求項1又は2記載の太陽電池パネル間隔調整具。
【請求項4】
前記ゲージ部及び前記係止片は、透明な合成樹脂材にて形成された請求項1乃至3いずれか記載の太陽電池パネル間隔調整具。
【請求項5】
前記係止片は、前記ゲージ部Tの交差部位を中心とし、各挿入体を頂点とする平面正四角形状に形成された請求項1又は3又は4記載の太陽電池パネル間隔調整具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−45827(P2013−45827A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181371(P2011−181371)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000136686)株式会社ブレスト工業研究所 (74)
【Fターム(参考)】