太陽電池モジュールおよび太陽電池セル
【課題】発電効率を向上させることができる太陽電池モジュールおよび太陽電池セルを提供する。
【解決手段】本発明の一の態様によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セル2と、照射された光によって励起し、前記照射された光より長い波長の光であって太陽電池セル2が電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射する、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体6とを具備することを特徴とする太陽電池モジュール1が提供される。
【解決手段】本発明の一の態様によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セル2と、照射された光によって励起し、前記照射された光より長い波長の光であって太陽電池セル2が電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射する、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体6とを具備することを特徴とする太陽電池モジュール1が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールおよび太陽電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代のクリーンエネルギーシステムの一つとして太陽電池が注目されている。太陽電池は、無尽蔵に供給される太陽光エネルギーを直接電気エネルギーに変換することができるとともに二酸化炭素を排出せずに発電できるという利点を有する。
【0003】
太陽電池としては、例えば結晶シリコンを用いた太陽電池が広く用いられている。このような結晶シリコン太陽電池においては、波長200nm以上500nm未満の分光感度が極めて低いため、主に分光感度が高い波長500nm以上1100nm以下の光を電気エネルギーに変換して、発電している。
【0004】
一方、このような分光感度の低い波長領域の光に着目して、希土類元素で賦活された蛍光体を用いて、発電効率を高める技術が開発されている(例えば、特許文献1〜5参照)。具体的には、この技術は希土類元素で賦活された蛍光体を用いて波長200nm以上の光を吸収して、励起させて波長500nm以上600nm未満の光を放射させることにより、発電効率の向上を図るものである。
【0005】
しかしながら、このような希土類元素で賦活された蛍光体を用いた場合であっても、有効に発電効率を向上させることができず、更なる発電効率の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表昭62−501320号公報
【特許文献2】特開昭63−200576号公報
【特許文献3】特開平7−202243号公報
【特許文献4】特開2003−218379号公報
【特許文献5】特開2006−303033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、発電効率を向上させることができる太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セルと、照射された光によって励起し、前記照射された光より長い波長の光であって前記太陽電池セルが電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射する、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体とを具備することを特徴とする太陽電池モジュールが提供される。この構成によれば、蛍光体が太陽電池セルの発電にほぼ寄与しない波長領域の光により励起して、太陽電池セルの発電に寄与する波長領域の光を放射するので、発電効率を向上させることができる。
【0009】
本発明の他の態様によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セル本体と、照射された光によって励起し、前記照射された光より長い波長の光であって前記太陽電池セル本体が電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射する、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体とを具備することを特徴とする太陽電池セルが提供される。この構成によれば、蛍光体が太陽電池セル本体の発電にほぼ寄与しない波長領域の光により励起して、太陽電池セル本体の発電に寄与する波長領域の光を放射するので、発電効率を向上させることができる。
【0010】
上記蛍光体が波長600nm以上900nm以下に発光ピークを有することが好ましい。この構成によれば、波長600nm以上900nm以下の光は太陽電池セルの発電に最も寄与する光であるので、発電効率をより向上させることができる。
【0011】
上記蛍光体が波長200nm以上500nm未満の光で励起することが好ましい。この構成によれば、波長200nm以上500nm未満の光は太陽電池セルの発電にほぼ寄与しない光であるので、この光を有効利用することにより、発電効率をより向上させることができる。
【0012】
上記太陽電池セルまたは上記太陽電池セル本体が結晶シリコンを備えていることが好ましい。上記構成は、結晶シリコンを備えた太陽電池セルまたは太陽電池セル本体において、特に有効である。
【0013】
上記太陽電池モジュールにおいては、第1および第2の保護部材と、前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間に配置され、かつ前記太陽電池セルを封止する封止材とをさらに備え、前記蛍光体が、前記第1の保護部材の表面上、前記第2の保護部材の表面上、前記第1の保護部材内、前記第2の保護部材内、および前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間の箇所の少なくともいずれかに設けられていることが好ましい。この構成によれば、実用的であり、かつ上記したような効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一の態様による太陽電池モジュールおよび他の態様による太陽電池セルによれば、発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る太陽電池モジュールの概略構成図である。
【図2】結晶シリコンのスペクトル感度特性を示したグラフである。
【図3】3MgO・MgF2・GeO2:Mn4+蛍光体の励起スペクトルと発光スペクトルを表わしたグラフである。
【図4】LiAlO2:Fe3+蛍光体の励起スペクトルと発光スペクトルを表わしたグラフである。
【図5】Al2O3:Cr3+蛍光体の発光スペクトルを表わしたグラフである。
【図6】第1の実施の形態に係る他の太陽電池モジュールの概略構成図である。
【図7】第1の実施の形態に係る他の太陽電池モジュールの概略構成図である。
【図8】第1の実施の形態に係る他の太陽電池モジュールの概略構成図である。
【図9】第2の実施の形態に係る太陽電池セルの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態に係る太陽電池モジュールの概略構成図である。図1に示されるように、本実施の形態における太陽電池モジュール1は、主に、太陽電池セル2、封止材3、第1の保護部材4、第2の保護部材5、および蛍光体6等から構成されている。
【0017】
太陽電池セル2は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。太陽電池セル2としては、例えば単結晶シリコンおよび多結晶シリコン等の結晶シリコンを備えた結晶シリコン太陽電池セル、薄膜太陽電池セル、あるいは化合物太陽電池セルが挙げられる。結晶シリコンの形状としては、例えば、板状、球状等が挙げられる。なお、本実施の形態では、太陽電池セル2として、結晶シリコン太陽電池セルを使用した例について説明する。
【0018】
太陽電池セル2は太陽電池モジュール1内に少なくとも1つ以上あればよく、太陽電池セル2が太陽電池モジュール1内に複数存在している場合には、太陽電池セル2同士は電気的に直列に接続されている。
【0019】
封止材3は、太陽電池セル2を封止している。封止材3の構成材料としては、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、アイオノマー樹脂、シラン変性樹脂、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0020】
封止材3は、第1の保護部材4および第2の保護部材5の間に配置されている。第1の保護部材4および第2の保護部材5の構成材料としては、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ポリエチレン等が挙げられる。
【0021】
第1の保護部材4および第2の保護部材5は、板状、シート状、フィルム状等のいずれであってもよく、また、第1の保護部材4および第2の保護部材5は、単層構造、2層以上の多層構造のいずれであってもよい。本実施の形態では、第1の保護部材4はガラス板からなる保護板であり、第2の保護部材5は樹脂フィルムからなるバックフィルムである。この場合、第1の保護部材1側から太陽電池モジュール1に光が入射する。なお、第1の保護部材4および第2の保護部材5をガラス板からなる保護板とし、第1の保護部材4および第2の保護部材5の両面側から太陽電池モジュール1に光を入射させることも可能である。
【0022】
封止材3、第1の保護部材4、および第2の保護部材5は太陽電池セル2に入射する光を阻害しないため、透明であることが好ましい。
【0023】
蛍光体6は、照射された光によって励起し、照射された光より長い波長の光であって太陽電池セル2が電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射するものである。ここで、「太陽電池セルが電気エネルギーに変換可能な波長の光」とは、用いられる太陽電池セル2の種類によっても異なるが、例えば結晶シリコン太陽電池セルの場合には波長500nm以上1100nm以下の光のことを意味するものとする。
【0024】
蛍光体6は、4価のマンガンイオン(Mn4+)、3価の鉄イオン(Fe3+)および3価のクロムイオン(Cr3+)からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含むものから構成されている。
【0025】
蛍光体6は、波長200nm以上500nm未満の光で励起するものが好ましい。この範囲が好ましいとしたのは、図2は結晶シリコンのスペクトル感度特性を示したグラフであるが、図2に示されるように結晶シリコン太陽電池においては波長200nm以上500nm未満の光の分光感度が極めて低く、この波長領域の光は太陽電池の発電にほぼ寄与していないからである。さらに、蛍光体6は、波長400nm以上500nm未満の光で励起するものが特に好ましい。この範囲が特に好ましいとしたのは、波長400nm以上500nm未満の太陽光スペクトルのエネルギーは波長200nm以上400nm未満の太陽光スペクトルのエネルギーよりも高いので、より高い発光強度を得ることができるからである。
【0026】
蛍光体6は、波長600nm以上900nm以下に発光ピークを有するものが好ましく、波長700nm以上800nm以下に発光ピークを有するものが特に好ましい。ここで、本発明における「発光ピーク」とは、発光ピークが複数存在する場合には、最大の発光ピークを意味するものとする。上記範囲が好ましいとしたのは、図2に示されるように結晶シリコンは波長600nm以上900nm以下、特に波長700nm以上800nm以下で高い分光感度を示すからである。
【0027】
Mn4+を含む蛍光体としては、例えば、Al2O3:Mn4+、Mg2TiO4:Mn4+、LiAl5O8:Mn4+、MgO:Mn4+、MgF2・GeO2:Mn4+、3MgO・MgF2・GeO2:Mn4+、MgAs2O11:Mn4+等が挙げられる。例えば、3MgO・MgF2・GeO2:Mn4+蛍光体は、図3に示されるように波長320nm付近の光で励起し、かつ波長650nm付近に発光ピークを有する。
【0028】
Fe3+を含む蛍光体としては、例えば、LiAlO2:Fe3+、LiAl5O8:Fe3+、Ca(PO3)2:Fe3+、AlF3:Fe3+等が挙げられる。例えば、LiAlO2:Fe3+蛍光体は、図4に示されるように波長240nm付近の光で励起し、かつ波長740nm付近に発光ピークを有する。
【0029】
Cr3+を含む蛍光体としては、例えば、Al2O3:Cr3+、Be3Al2Si6O18:Cr3+、MgAl2O4:Cr3+、MgO:Cr3+、LiAl5O8:Cr3+、Y3Al5O12:Cr3+、Gd3Ga5O12:Cr3+、Y3Ga5O12:Cr3+等が挙げられる。例えば、Al2O3:Cr3+蛍光体は、図5に示されるように波長690nm付近に発光ピークを有する。
【0030】
蛍光体6の中でも、Fe3+を含む蛍光体は、波長700nm以上800nm以下に発光ピークを有するので、Fe3+を含む蛍光体が特に好ましい。
【0031】
図1においては、蛍光体6が第1の保護部材4に含有されている例について図示されているが、蛍光体6は、あらゆる方向に光を放射するので、蛍光体6が第1の保護部材4の表面上、第2の保護部材5の表面上、第1の保護部材4内、第2の保護部材5内、および第1の保護部材4と第2の保護部材5との間の箇所の少なくともいずれかに設けられていれば、特に蛍光体6の位置は限定されない。ただし、蛍光体6は太陽電池セル2より受光面側にあることが好ましい。
【0032】
蛍光体6を第1の保護部材4の表面上、または第2の保護部材5の表面上に配置する場合において、第1の保護部材4および第2の保護部材5の「表面」とは、第1の保護部材4および第2の保護部材5における封止材3側の面とは反対側の面を意味するものとする。
【0033】
蛍光体6は、第1の保護部材4に含有されている他、図6(a)および図6(b)に示されるように第1の保護部材4の少なくともいずれかの片面または両面に蛍光体層として設けられていてもよい。なお、図示しないが、同様に第2の保護部材5の少なくともいずれかの片面または両面に蛍光体層として設けられていてもよい。
【0034】
また、図7に示されるように蛍光体6は、封止材3に含有されていてもよい。さらに、図8に示されるように封止材3が第1の封止材3aと第2の封止材3bとから構成されており、第1の封止材3aと第2の封止材3bとの間に蛍光体6が蛍光体層として設けられていてもよい。なお、これらを組み合わせることも可能であることは言うまでもない。
【0035】
本実施の形態によれば、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体6を用いているので、太陽電池セル2の発電にほぼ寄与しない波長200nm以上500nm未満の光により励起させ、太陽電池セル2の発電に最も寄与する波長600nm以上900nm以下に発光ピークを有する光を放射させることができる。これにより、太陽電池セル2により変換される電気エネルギーを増大させることができ、発電効率を向上させることができる。
【0036】
一般に太陽電池モジュールの温度が上昇すると、発電効率が低下することが知られている。ここで、太陽電池セルが波長200nm以上500nm未満の光を吸収し、太陽電池モジュールの温度が上昇することも考えられる。これに対し、太陽電池モジュール1によれば、蛍光体6が波長200nm以上500nm未満の光により励起して、発光し、そして蛍光体6から発せられた光が太陽電池セル2により電気エネルギーに変換されるので、太陽電池セル2による波長200nm以上500nm未満の光の吸収を抑制することができる。これにより、太陽電池モジュール1の温度上昇を抑制することができ、発電効率の低下を抑制することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と重複する内容については説明を省略するものとする。図9は第2の実施の形態に係る太陽電池セルの概略構成図である。
【0038】
図9に示されるように太陽電池セル10は、太陽電池セル本体11と、太陽電池セル本体の受光面上に形成された蛍光体12を備えている。太陽電池セル本体11としては、例えば単結晶シリコンおよび多結晶シリコン等の結晶シリコンを備えた結晶シリコン太陽電池セル本体、薄膜太陽電池セル本体、あるいは化合物太陽電池セル本体が挙げられる。蛍光体12は、蛍光体6と同じものであるので、具体的な説明は省略する。
【0039】
本実施の形態においても、蛍光体12を使用しているので、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されるものではなく、構造や材質、各部材の配置等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【実施例】
【0041】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明する。本実施例においては、実施例として太陽電池セルの受光面上に上記実施の形態で説明した蛍光体を含む層を形成した試料を作製するとともに、比較例として太陽電池セルの受光面上に蛍光体を含まない層を形成した試料を作製し、発電効率の比較を行った。
【0042】
試料
(実施例1)
エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)に、3MgO・MgF2・GeO2:Mn4+蛍光体を10重量%加え、Mn4+含有蛍光体を含むEVAを作製した。そして、発電効率が15%の結晶シリコン太陽電池セルの受光面に、Mn4+含有蛍光体を含むEVAを100μm塗布して、試料を得た。
【0043】
(実施例2)
蛍光体としてLiAlO2:Fe3+を用い、かつLiAlO2:Fe3+蛍光体の含有量を1重量%とした以外は、実施例1と同様の手法により試料を作製した。
【0044】
(実施例3)
蛍光体としてAl2O3:Cr3+を用い、かつAl2O3:Cr3+蛍光体の含有量を1重量%とした以外は、実施例1と同様の手法により試料を作製した。
【0045】
(比較例)
結晶シリコン太陽電池セルの受光面に、蛍光体を含まないEVAを100μm塗布して、試料を得た。
【0046】
発電効率
このようにして得られた実施例1〜3および比較例の試料を用いて発電効率の比較を行ったところ、実施例1〜3の試料はいずれも比較例の試料に対して発電効率が1%向上していた。この結果から、Mn4+を含む蛍光体、Fe3+を含む蛍光体、Cr3+を含む蛍光体を用いることにより、太陽電池の発電効率を高めることができることが確認された。
【符号の説明】
【0047】
1…太陽電池モジュール、2…太陽電池セル、3…封止材、4…第1の保護部材、5…第2の保護部材、6…蛍光体、10…太陽電池セル、11…セル本体、12…蛍光体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールおよび太陽電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代のクリーンエネルギーシステムの一つとして太陽電池が注目されている。太陽電池は、無尽蔵に供給される太陽光エネルギーを直接電気エネルギーに変換することができるとともに二酸化炭素を排出せずに発電できるという利点を有する。
【0003】
太陽電池としては、例えば結晶シリコンを用いた太陽電池が広く用いられている。このような結晶シリコン太陽電池においては、波長200nm以上500nm未満の分光感度が極めて低いため、主に分光感度が高い波長500nm以上1100nm以下の光を電気エネルギーに変換して、発電している。
【0004】
一方、このような分光感度の低い波長領域の光に着目して、希土類元素で賦活された蛍光体を用いて、発電効率を高める技術が開発されている(例えば、特許文献1〜5参照)。具体的には、この技術は希土類元素で賦活された蛍光体を用いて波長200nm以上の光を吸収して、励起させて波長500nm以上600nm未満の光を放射させることにより、発電効率の向上を図るものである。
【0005】
しかしながら、このような希土類元素で賦活された蛍光体を用いた場合であっても、有効に発電効率を向上させることができず、更なる発電効率の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表昭62−501320号公報
【特許文献2】特開昭63−200576号公報
【特許文献3】特開平7−202243号公報
【特許文献4】特開2003−218379号公報
【特許文献5】特開2006−303033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、発電効率を向上させることができる太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セルと、照射された光によって励起し、前記照射された光より長い波長の光であって前記太陽電池セルが電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射する、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体とを具備することを特徴とする太陽電池モジュールが提供される。この構成によれば、蛍光体が太陽電池セルの発電にほぼ寄与しない波長領域の光により励起して、太陽電池セルの発電に寄与する波長領域の光を放射するので、発電効率を向上させることができる。
【0009】
本発明の他の態様によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セル本体と、照射された光によって励起し、前記照射された光より長い波長の光であって前記太陽電池セル本体が電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射する、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体とを具備することを特徴とする太陽電池セルが提供される。この構成によれば、蛍光体が太陽電池セル本体の発電にほぼ寄与しない波長領域の光により励起して、太陽電池セル本体の発電に寄与する波長領域の光を放射するので、発電効率を向上させることができる。
【0010】
上記蛍光体が波長600nm以上900nm以下に発光ピークを有することが好ましい。この構成によれば、波長600nm以上900nm以下の光は太陽電池セルの発電に最も寄与する光であるので、発電効率をより向上させることができる。
【0011】
上記蛍光体が波長200nm以上500nm未満の光で励起することが好ましい。この構成によれば、波長200nm以上500nm未満の光は太陽電池セルの発電にほぼ寄与しない光であるので、この光を有効利用することにより、発電効率をより向上させることができる。
【0012】
上記太陽電池セルまたは上記太陽電池セル本体が結晶シリコンを備えていることが好ましい。上記構成は、結晶シリコンを備えた太陽電池セルまたは太陽電池セル本体において、特に有効である。
【0013】
上記太陽電池モジュールにおいては、第1および第2の保護部材と、前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間に配置され、かつ前記太陽電池セルを封止する封止材とをさらに備え、前記蛍光体が、前記第1の保護部材の表面上、前記第2の保護部材の表面上、前記第1の保護部材内、前記第2の保護部材内、および前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間の箇所の少なくともいずれかに設けられていることが好ましい。この構成によれば、実用的であり、かつ上記したような効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一の態様による太陽電池モジュールおよび他の態様による太陽電池セルによれば、発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る太陽電池モジュールの概略構成図である。
【図2】結晶シリコンのスペクトル感度特性を示したグラフである。
【図3】3MgO・MgF2・GeO2:Mn4+蛍光体の励起スペクトルと発光スペクトルを表わしたグラフである。
【図4】LiAlO2:Fe3+蛍光体の励起スペクトルと発光スペクトルを表わしたグラフである。
【図5】Al2O3:Cr3+蛍光体の発光スペクトルを表わしたグラフである。
【図6】第1の実施の形態に係る他の太陽電池モジュールの概略構成図である。
【図7】第1の実施の形態に係る他の太陽電池モジュールの概略構成図である。
【図8】第1の実施の形態に係る他の太陽電池モジュールの概略構成図である。
【図9】第2の実施の形態に係る太陽電池セルの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態に係る太陽電池モジュールの概略構成図である。図1に示されるように、本実施の形態における太陽電池モジュール1は、主に、太陽電池セル2、封止材3、第1の保護部材4、第2の保護部材5、および蛍光体6等から構成されている。
【0017】
太陽電池セル2は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。太陽電池セル2としては、例えば単結晶シリコンおよび多結晶シリコン等の結晶シリコンを備えた結晶シリコン太陽電池セル、薄膜太陽電池セル、あるいは化合物太陽電池セルが挙げられる。結晶シリコンの形状としては、例えば、板状、球状等が挙げられる。なお、本実施の形態では、太陽電池セル2として、結晶シリコン太陽電池セルを使用した例について説明する。
【0018】
太陽電池セル2は太陽電池モジュール1内に少なくとも1つ以上あればよく、太陽電池セル2が太陽電池モジュール1内に複数存在している場合には、太陽電池セル2同士は電気的に直列に接続されている。
【0019】
封止材3は、太陽電池セル2を封止している。封止材3の構成材料としては、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、アイオノマー樹脂、シラン変性樹脂、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0020】
封止材3は、第1の保護部材4および第2の保護部材5の間に配置されている。第1の保護部材4および第2の保護部材5の構成材料としては、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ポリエチレン等が挙げられる。
【0021】
第1の保護部材4および第2の保護部材5は、板状、シート状、フィルム状等のいずれであってもよく、また、第1の保護部材4および第2の保護部材5は、単層構造、2層以上の多層構造のいずれであってもよい。本実施の形態では、第1の保護部材4はガラス板からなる保護板であり、第2の保護部材5は樹脂フィルムからなるバックフィルムである。この場合、第1の保護部材1側から太陽電池モジュール1に光が入射する。なお、第1の保護部材4および第2の保護部材5をガラス板からなる保護板とし、第1の保護部材4および第2の保護部材5の両面側から太陽電池モジュール1に光を入射させることも可能である。
【0022】
封止材3、第1の保護部材4、および第2の保護部材5は太陽電池セル2に入射する光を阻害しないため、透明であることが好ましい。
【0023】
蛍光体6は、照射された光によって励起し、照射された光より長い波長の光であって太陽電池セル2が電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射するものである。ここで、「太陽電池セルが電気エネルギーに変換可能な波長の光」とは、用いられる太陽電池セル2の種類によっても異なるが、例えば結晶シリコン太陽電池セルの場合には波長500nm以上1100nm以下の光のことを意味するものとする。
【0024】
蛍光体6は、4価のマンガンイオン(Mn4+)、3価の鉄イオン(Fe3+)および3価のクロムイオン(Cr3+)からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含むものから構成されている。
【0025】
蛍光体6は、波長200nm以上500nm未満の光で励起するものが好ましい。この範囲が好ましいとしたのは、図2は結晶シリコンのスペクトル感度特性を示したグラフであるが、図2に示されるように結晶シリコン太陽電池においては波長200nm以上500nm未満の光の分光感度が極めて低く、この波長領域の光は太陽電池の発電にほぼ寄与していないからである。さらに、蛍光体6は、波長400nm以上500nm未満の光で励起するものが特に好ましい。この範囲が特に好ましいとしたのは、波長400nm以上500nm未満の太陽光スペクトルのエネルギーは波長200nm以上400nm未満の太陽光スペクトルのエネルギーよりも高いので、より高い発光強度を得ることができるからである。
【0026】
蛍光体6は、波長600nm以上900nm以下に発光ピークを有するものが好ましく、波長700nm以上800nm以下に発光ピークを有するものが特に好ましい。ここで、本発明における「発光ピーク」とは、発光ピークが複数存在する場合には、最大の発光ピークを意味するものとする。上記範囲が好ましいとしたのは、図2に示されるように結晶シリコンは波長600nm以上900nm以下、特に波長700nm以上800nm以下で高い分光感度を示すからである。
【0027】
Mn4+を含む蛍光体としては、例えば、Al2O3:Mn4+、Mg2TiO4:Mn4+、LiAl5O8:Mn4+、MgO:Mn4+、MgF2・GeO2:Mn4+、3MgO・MgF2・GeO2:Mn4+、MgAs2O11:Mn4+等が挙げられる。例えば、3MgO・MgF2・GeO2:Mn4+蛍光体は、図3に示されるように波長320nm付近の光で励起し、かつ波長650nm付近に発光ピークを有する。
【0028】
Fe3+を含む蛍光体としては、例えば、LiAlO2:Fe3+、LiAl5O8:Fe3+、Ca(PO3)2:Fe3+、AlF3:Fe3+等が挙げられる。例えば、LiAlO2:Fe3+蛍光体は、図4に示されるように波長240nm付近の光で励起し、かつ波長740nm付近に発光ピークを有する。
【0029】
Cr3+を含む蛍光体としては、例えば、Al2O3:Cr3+、Be3Al2Si6O18:Cr3+、MgAl2O4:Cr3+、MgO:Cr3+、LiAl5O8:Cr3+、Y3Al5O12:Cr3+、Gd3Ga5O12:Cr3+、Y3Ga5O12:Cr3+等が挙げられる。例えば、Al2O3:Cr3+蛍光体は、図5に示されるように波長690nm付近に発光ピークを有する。
【0030】
蛍光体6の中でも、Fe3+を含む蛍光体は、波長700nm以上800nm以下に発光ピークを有するので、Fe3+を含む蛍光体が特に好ましい。
【0031】
図1においては、蛍光体6が第1の保護部材4に含有されている例について図示されているが、蛍光体6は、あらゆる方向に光を放射するので、蛍光体6が第1の保護部材4の表面上、第2の保護部材5の表面上、第1の保護部材4内、第2の保護部材5内、および第1の保護部材4と第2の保護部材5との間の箇所の少なくともいずれかに設けられていれば、特に蛍光体6の位置は限定されない。ただし、蛍光体6は太陽電池セル2より受光面側にあることが好ましい。
【0032】
蛍光体6を第1の保護部材4の表面上、または第2の保護部材5の表面上に配置する場合において、第1の保護部材4および第2の保護部材5の「表面」とは、第1の保護部材4および第2の保護部材5における封止材3側の面とは反対側の面を意味するものとする。
【0033】
蛍光体6は、第1の保護部材4に含有されている他、図6(a)および図6(b)に示されるように第1の保護部材4の少なくともいずれかの片面または両面に蛍光体層として設けられていてもよい。なお、図示しないが、同様に第2の保護部材5の少なくともいずれかの片面または両面に蛍光体層として設けられていてもよい。
【0034】
また、図7に示されるように蛍光体6は、封止材3に含有されていてもよい。さらに、図8に示されるように封止材3が第1の封止材3aと第2の封止材3bとから構成されており、第1の封止材3aと第2の封止材3bとの間に蛍光体6が蛍光体層として設けられていてもよい。なお、これらを組み合わせることも可能であることは言うまでもない。
【0035】
本実施の形態によれば、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体6を用いているので、太陽電池セル2の発電にほぼ寄与しない波長200nm以上500nm未満の光により励起させ、太陽電池セル2の発電に最も寄与する波長600nm以上900nm以下に発光ピークを有する光を放射させることができる。これにより、太陽電池セル2により変換される電気エネルギーを増大させることができ、発電効率を向上させることができる。
【0036】
一般に太陽電池モジュールの温度が上昇すると、発電効率が低下することが知られている。ここで、太陽電池セルが波長200nm以上500nm未満の光を吸収し、太陽電池モジュールの温度が上昇することも考えられる。これに対し、太陽電池モジュール1によれば、蛍光体6が波長200nm以上500nm未満の光により励起して、発光し、そして蛍光体6から発せられた光が太陽電池セル2により電気エネルギーに変換されるので、太陽電池セル2による波長200nm以上500nm未満の光の吸収を抑制することができる。これにより、太陽電池モジュール1の温度上昇を抑制することができ、発電効率の低下を抑制することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と重複する内容については説明を省略するものとする。図9は第2の実施の形態に係る太陽電池セルの概略構成図である。
【0038】
図9に示されるように太陽電池セル10は、太陽電池セル本体11と、太陽電池セル本体の受光面上に形成された蛍光体12を備えている。太陽電池セル本体11としては、例えば単結晶シリコンおよび多結晶シリコン等の結晶シリコンを備えた結晶シリコン太陽電池セル本体、薄膜太陽電池セル本体、あるいは化合物太陽電池セル本体が挙げられる。蛍光体12は、蛍光体6と同じものであるので、具体的な説明は省略する。
【0039】
本実施の形態においても、蛍光体12を使用しているので、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されるものではなく、構造や材質、各部材の配置等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【実施例】
【0041】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明する。本実施例においては、実施例として太陽電池セルの受光面上に上記実施の形態で説明した蛍光体を含む層を形成した試料を作製するとともに、比較例として太陽電池セルの受光面上に蛍光体を含まない層を形成した試料を作製し、発電効率の比較を行った。
【0042】
試料
(実施例1)
エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)に、3MgO・MgF2・GeO2:Mn4+蛍光体を10重量%加え、Mn4+含有蛍光体を含むEVAを作製した。そして、発電効率が15%の結晶シリコン太陽電池セルの受光面に、Mn4+含有蛍光体を含むEVAを100μm塗布して、試料を得た。
【0043】
(実施例2)
蛍光体としてLiAlO2:Fe3+を用い、かつLiAlO2:Fe3+蛍光体の含有量を1重量%とした以外は、実施例1と同様の手法により試料を作製した。
【0044】
(実施例3)
蛍光体としてAl2O3:Cr3+を用い、かつAl2O3:Cr3+蛍光体の含有量を1重量%とした以外は、実施例1と同様の手法により試料を作製した。
【0045】
(比較例)
結晶シリコン太陽電池セルの受光面に、蛍光体を含まないEVAを100μm塗布して、試料を得た。
【0046】
発電効率
このようにして得られた実施例1〜3および比較例の試料を用いて発電効率の比較を行ったところ、実施例1〜3の試料はいずれも比較例の試料に対して発電効率が1%向上していた。この結果から、Mn4+を含む蛍光体、Fe3+を含む蛍光体、Cr3+を含む蛍光体を用いることにより、太陽電池の発電効率を高めることができることが確認された。
【符号の説明】
【0047】
1…太陽電池モジュール、2…太陽電池セル、3…封止材、4…第1の保護部材、5…第2の保護部材、6…蛍光体、10…太陽電池セル、11…セル本体、12…蛍光体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セルと、
照射された光によって励起し、前記照射された光より長い波長の光であって前記太陽電池セルが電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射する、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体と
を具備することを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記蛍光体が波長600nm以上900nm以下に発光ピークを有する、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記蛍光体が波長200nm以上500nm未満の光で励起する、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記太陽電池セルが結晶シリコンを備えている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
第1および第2の保護部材と、前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間に配置され、かつ前記太陽電池セルを封止する封止材とをさらに備え、
前記蛍光体が、前記第1の保護部材の表面上、前記第2の保護部材の表面上、前記第1の保護部材内、前記第2の保護部材内、および前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間の箇所の少なくともいずれかに設けられている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セル本体と、
照射された光によって励起し、前記照射された光より長い波長の光であって前記太陽電池セル本体が電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射する、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体と
を具備することを特徴とする太陽電池セル。
【請求項7】
前記蛍光体が波長600nm以上900nm以下に発光ピークを有する、請求項6に記載の太陽電池セル。
【請求項8】
前記蛍光体が波長200nm以上500nm未満の光で励起する、請求項6または7に記載の太陽電池セル。
【請求項9】
前記太陽電池セル本体が結晶シリコンを備えている、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の太陽電池セル。
【請求項1】
光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セルと、
照射された光によって励起し、前記照射された光より長い波長の光であって前記太陽電池セルが電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射する、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体と
を具備することを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記蛍光体が波長600nm以上900nm以下に発光ピークを有する、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記蛍光体が波長200nm以上500nm未満の光で励起する、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記太陽電池セルが結晶シリコンを備えている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
第1および第2の保護部材と、前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間に配置され、かつ前記太陽電池セルを封止する封止材とをさらに備え、
前記蛍光体が、前記第1の保護部材の表面上、前記第2の保護部材の表面上、前記第1の保護部材内、前記第2の保護部材内、および前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間の箇所の少なくともいずれかに設けられている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セル本体と、
照射された光によって励起し、前記照射された光より長い波長の光であって前記太陽電池セル本体が電気エネルギーに変換可能な波長の光を放射する、Mn4+、Fe3+およびCr3+からなる群から選択される1以上の遷移金属イオンを含む蛍光体と
を具備することを特徴とする太陽電池セル。
【請求項7】
前記蛍光体が波長600nm以上900nm以下に発光ピークを有する、請求項6に記載の太陽電池セル。
【請求項8】
前記蛍光体が波長200nm以上500nm未満の光で励起する、請求項6または7に記載の太陽電池セル。
【請求項9】
前記太陽電池セル本体が結晶シリコンを備えている、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の太陽電池セル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−258020(P2010−258020A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102839(P2009−102839)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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