説明

太陽電池モジュールに使用されるフィルムおよびそのモジュール

【課題】太陽電池モジュール内で、太陽電池が光を良好に利用できるフィルムを提供する。
【解決手段】基板31および少なくとも一つの調光層32を含み、調光層32はフッ化樹脂33および複数の光拡散添加剤34を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は調光フィルムに関し、より詳細には太陽電池モジュールに使用されるフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー源の枯渇および温室効果のような環境保護問題はますます深刻となっているため、現在国々は可能性ある様々な地球に優しいエネルギー源を活発に研究開発しており、特に重きがおかれている産業は太陽熱発電である。図1に示されるように、一般的に太陽電池モジュールは、透明前面シート11(一般的にはガラスシート)、封入層、太陽電池ユニット12、封入層、及び背面シート13が連続して形成される。
【0003】
太陽熱発電のコストを低減するために、現在業界共通の方法は、太陽光の発電変換効率を増大することである。しかしながら、太陽の入射光14が空気16から太陽電池モジュールに入るとき、モジュール内で反射され、その後透明前面シートと空気との間の界面に達し、もしも反射光15の面角が全内部反射の特定の臨界角と比較して小さい場合、反射光15はモジュールを直接貫通し、太陽電池により吸収されて再度使用されることはなく、それによって太陽光の変換効率の増加も制限されるだろう。したがって、現在産業界では、太陽電池モジュールにおける太陽光の完全な利用を達成するため前述の問題に対する技術的解決の探索をすぐにも必要としている
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明は太陽光の利用を増大するフィルムおよびそのモジュールに主に関する。
【0005】
前述の、および他の目的を達成するため、本発明は太陽電池モジュールに用いられるフィルムを提供し、そのフィルムは、基板および少なくとも一つの調光層を備え、前記調光層はフッ化樹脂および複数の光拡散添加剤を含む。
【0006】
本発明は、前述のフィルムを含む太陽電池モジュールをさらに提供し、前記太陽電池モジュールは、透明前面シート、背面シート、および前記透明前面シートと前記背面シートとの間に配置される一つ以上の太陽電池を備え、前記透明前面シートおよび前記背面シートのうち少なくとも一つは前述のフィルムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来技術の太陽電池モジュールの概略図である。
【図2】入射角0°で測定した反射角に対応する光強度分布曲線を示す。
【図3】本発明によるフィルムの実施形態を示す。
【図4】本発明によるフィルムの実施形態を示す。
【図5】本発明による太陽電池モジュールの実施形態を示す。
【図6】本発明による太陽電池モジュールの実施形態を示す。
【図7】本発明による太陽電池モジュールの実施形態を示す。
【図8】本発明による太陽電池モジュールの実施形態を示す。
【図9】本発明による太陽電池モジュールの実施形態を示す。
【図10】本発明による太陽電池モジュールの実施形態を示す。
【図11】本発明による太陽電池モジュールの実施形態を示す。
【図12】本発明による太陽電池モジュールの実施形態を示す。
【図13A】本発明による太陽電池モジュールの構造の概略的な上面図である。
【図13B】本発明による太陽電池モジュールの構造の、図13Aの点線に沿った概略的な側面図である。
【図14】本発明のフィルムが(調光層を上向きにして)背面シート上に配置されたとき、光拡散添加剤の含量が、太陽電池モジュールの発電効率に及ぼす影響を示す。
【図15】本発明のフィルムが(調光層を下向きにして)背面シート上に配置されたとき、光拡散添加剤の含量が、太陽電池モジュールの発電効率に及ぼす影響を示す。
【図16】単一の調光層を含む背面シートに本発明によるフィルムを備えた(調光層を下向きにして)太陽電池モジュールの発電効率と、二つの調光層を含む背面シートに本発明によるフィルムを備えた太陽電池モジュールの発電効率との比較を示す。
【図17】前面シート上に配置された本発明によるフィルムを備えた太陽電池モジュールの効率と、背面シート上に配置された本発明によるフィルムを備えた太陽電池モジュールの効率との比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
光が太陽電池モジュールに入るとき、透明前面シートを通過し、太陽電池および背面シートに達し、反射または拡散に起因して、入射光は反射光となる。反射光が透明前面シートに戻り再度空気に入る前に、透明前面シートと空気との間の界面において、二つの起こり得る状況が存在し、それはすなわち反射光が全内部反射を経て電池モジュールに戻されるか、または屈折を経て空気に入るかである。もしも反射光の面角が特定の臨界角a(もしも透明前面シートがガラスシートの場合、表面法線に対する角度は約42°)と比較して大きい場合、光の全内部反射が起こり、反射光は太陽電池モジュール内部に戻り、もう一度有効に利用される。スネルの法則によれば、入射光(すなわち反射された光)が屈折率nの媒体から屈折率nの他の媒体に入り、反射光が生成されるとき、入射光と反射光との間の関係は以下のようなものである:nsinθ=nsinθ、ここでθは入射光と法線との間の角度であり、θは反射光と法線との間の角度である。
【0009】
図1に示されるように、屈折率nの媒体が空気16(n=1)であるとき、反射光が、完全に反射された光18を生成することを要求される場合、θは90°以上である必要がある。屈折光が全反射を示す最小角の場合(θ=90°)、入射光に対応する最小入射臨界角はθ=aであり、臨界角aよりも大きい全ての入射角は対応する屈折光が全内部反射を起こすことを可能にする。
【0010】
図2に示されるように、ここで「全内部反射の反射光(TIR)」(A−Aθ)は、太陽光が本発明の太陽電池モジュールに入り、太陽電池および背面シートから反射され、その後透明前面シートに戻り空気に入るとき、全内部反射を起こす全ての反射光の量を示し、Aは反射光の全量であり、Aθは全反射を起こさなかった反射光の全量であり、θは下記式を満たすものである:−a<θ<a、およびa=sin−1(1/n)、ここでnは、透明前面シートと空気との間の接触表面(太陽光の入射表面)の材料の屈折率である。
【0011】
透明前面シートがガラスである場合(n=1.51)、aは約42°である。
【0012】
ここで、TIR比のパラメータは「反射された光の全量(A)に対する太陽電池モジュールに使用されるフィルムのTIRを生じる反射光の量(A−Aθ)の比」として定義され、全反射光に対するTIRを起こす前述の反射光のパーセンテージを示し、下記式を満たす。
TIR比=[(A−Aθ)/A]×100%
【0013】
本発明による太陽電池モジュールに使用されるフィルムのTIR比が10%よりも大きいとき、太陽電池モジュールの電力効率を明らかに向上することができる。
【0014】
本発明のフィルムは透明であってよく、必要に応じて半透明または不透明であってよい。本発明のフィルムの調光層の表面は平滑な構造または凹凸構造を有してよく、好ましくは凹凸構造を有する表面である。
【0015】
本発明のフィルムの調光層に含まれる光拡散添加剤の形状は特に限定されないが、例えば球形、ひし形、楕円形、米粒形、多角球形、または両凸形であってよく、中でも球形が好ましい。前述の光拡散添加剤の構造は例えば中実構造、中空構造、多孔質構造、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0016】
前述の光拡散添加剤の材料は、例えばガラス、金属酸化物、またはプラスチックであってよい。金属酸化物は、例えば、これらに制限はされないが、TiO、SiO、ZnO、Al、ZrO、またはそれらの混合物であってよい。プラスチックは、例えば、これらに制限はされないが、アクリレート樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの混合物であってよい。本発明の好ましい実施形態によれば、光拡散添加剤の材料は、アクリレート樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの混合物である。
【0017】
前述の光拡散添加剤の平均粒子サイズは約0.5μmから10μmであり、好ましくは約1μmから5μmである。
【0018】
光拡散添加剤の含量は、調光層の全重量に基づき5wt%から80wt%、好ましくは10wt%から60wt%である。
【0019】
本発明による太陽電池モジュールに使用されるフィルムの調光層に含まれるフッ化樹脂は、フッ化オレフィンモノマーおよびアルキルビニルエーテルモノマーのコポリマーを含む。
【0020】
本発明によれば、フッ化樹脂を形成するのに使用されてよいフッ化オレフィンモノマーは当業者にはよく知られており、例えば、これらに制限はされないが、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、またはそれらの混合物であり、好ましくはトリフルオロクロロエチレンである。
【0021】
本発明によれば、フッ化樹脂を形成するのに使用されてよいアルキルビニルエーテルモノマーは特に制限されず、直鎖アルキルビニルエーテルモノマー、側鎖アルキルビニルエーテルモノマー、環状アルキルビニルエーテルモノマー、およびヒドロキシアルキルビニルエーテルモノマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される一つであってよい。
【0022】
好ましくは、アルキルビニルエーテル中のアルキルは炭素数CからC11を有する。
【0023】
本発明においてバインダーとして使用されるフッ化樹脂は、良好な耐候性という利点を提供し、フッ化樹脂の含量は調光層の全重量に基づき20wt%から95wt%、好ましくは40wt%から90wt%である。
【0024】
任意に、本発明による太陽電池モジュールに使用されるフィルムの調光層に硬化剤が添加されてよく、これは分子とバインダーとの間に化学結合を生成する役割を果たし、架橋を形成するようにする。本発明に使用される硬化剤は当業者にはよく知られており、例えばポリイソシアネートであってよい。
【0025】
前述の硬化剤の含量は調光層の全重量に基づき0wt%から20wt%、好ましくは5wt%から10wt%である。
【0026】
任意に、無機粒子が、太陽電池モジュールに使用されるフィルムの調光層に添加されてよく、無機粒子の種類は、例えば、これらに制限はされないが、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、または炭酸カルシウムまたはそれらの混合物であってよく、中でも二酸化チタンが好ましい。
【0027】
本発明の太陽電池モジュールに使用されるフィルムの調光層に使用される無機粒子は、色の調節および背面シートの反射の改善のために使用され、背面シートが優れた紫外線吸収性を有することも可能にし得る。本発明の太陽電池モジュールに使用されるフィルムの調光層に任意に添加される無機粒子は、一般的に0.01μmから20μm、好ましくは1μmから10μmの粒子サイズを有する。本発明のフィルムに使用される無機粒子の含量は、調光層の全重量に基づき0wt%から75wt%、好ましくは1wt%から40wt%である。
【0028】
任意に、当業者に知られる従来の添加剤が、本発明による太陽電池モジュールに使用されるフィルムの調光層に添加されてよい。
【0029】
本発明による太陽電池モジュールに使用されるフィルムの調光層は、例えば、これらに制限はされないが、ナイフコーティング、ローラーコーティング、マイクログラビアコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、またはカーテンコーティングによって形成されてよい。本発明の実施形態によれば、塗布方法はローラーコーティングである。
【0030】
本発明による太陽電池モジュールに使用されるフィルムの基板の材料は、例えばガラス、金属、または樹脂であってよい。本発明に有効な樹脂は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリアクリレート樹脂、例えばポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、トリアセチルセルロース(TAC)、またはポリ乳酸、またはそれらの組み合わせ、を含んでよいが、これらに制限されず、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはそれらの組み合わせが好ましく、PETがより好ましい。
【0031】
本発明の実施形態によれば、太陽電池モジュール中の透明前面シートが本発明のフィルムであってよく、本発明の太陽電池モジュール中の背面シートも本発明のフィルムであってよく、または透明前面シートおよび背面シートの双方が各々このフィルムであってもよい。本発明によれば、フィルムの基板の単一の表面が調光層を有し、またはフィルムの基板の二つの表面が各々調光層を有する。フィルムが透明前面シートであるとき、調光フィルムの基板は透明基板である。
【0032】
本発明による太陽電池モジュールに使用されるフィルムの構成およびそのモジュールは、図面を参照して以下に例示されるが、これは本発明の範囲を制限することを意図しない。当業者によって容易に行われ得る修正および変更は、本明細書の開示の中に含まれている。
【0033】
図3は、本発明による太陽電池モジュールに使用されるフィルムの好ましい実施形態を説明する。太陽電池モジュールに使用されるフィルムは、基板31および調光層32を含む。調光層32はフッ化樹脂33および複数の光拡散添加剤34を含む。
【0034】
図4は、本発明による太陽電池モジュールに使用されるフィルムの他の好ましい実施形態を説明する。太陽電池モジュールに使用されるフィルムは、基板41の二つの側において各々調光層42を形成する。
【0035】
図5は、本発明による太陽電池モジュールの実施形態を説明する。太陽電池モジュールは透明前面シート51、複数の太陽電池52、および背面シート53を含む。この実施形態の透明前面シートは、透明ガラス基板または他の透明なプラスチック基板である。透明プラスチック基板に適切な樹脂は、これらに制限されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリアクリレート樹脂、例えばポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリ乳酸、またはそれらの組み合わせ、を含む。好ましくは、透明前面シートは、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはそれらの組み合わせから形成される。背面シートは上述のようなフィルム54であり、複数の太陽電池52が透明前面シートと背面シートとの間に配置され、太陽電池のタイプは、例えば、これらに制限されないが、単結晶シリコン太陽電池、ポリシリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、色素増感型太陽電池、無機化合物半導体電池、または有機太陽電池であってよい。無機化合物半導体電池のタイプは、例えば、これらに制限されないが、例えばGaAs、GaN、InP、またはInGaPなどのIII−V族化合物半導体電池、例えばCdSまたはCdTeなどのII−VI族化合物半導体電池、CuInSeまたはCIGSなどのI−III−VI族化合物半導体電池、またはCZTS化合物半導体電池であってよい。図5に示される実施形態は単結晶シリコン太陽電池であり、本発明は太陽電池の様々なタイプに従って異なるパッケージ材料を選択してよい。本発明の好ましい実施形態によれば、太陽電池が単結晶シリコン太陽電池であるとき、選択される封入材料55はエチレン酢酸ビニル(EVA)である。フィルム54は基板541および少なくとも一つの調光層542を含む。本発明の実施形態によれば、調光層542は基板上に提供され、調光層はフッ化樹脂および複数の光拡散添加剤を含む。
【0036】
前述のフィルムは背面シートに配置され、太陽光56がフィルム54に入射するときに起こる光拡散現象は、TIRの反射光の量を向上させ、太陽光の利用を高めることができ、光電変換効率が向上するようにする。
【0037】
図6は、本発明の他の実施形態を説明し、調光層642は基板641の下に配置される。
【0038】
図7は本発明のさらに他の実施形態を示し、基板741の上側および下側の両方に調光層742が提供される。
【0039】
図8は本発明のさらに他の実施形態を示し、図8の太陽電池モジュールは透明前面シート81、複数の太陽電池82、および背面シート83を含む。この実施形態の透明前面シートはフィルム84であり、フィルム84は基板841と調光層842とを含み、調光層842は基板上に配置され、調光層はフッ化樹脂および複数の光拡散添加物を含む。
【0040】
前述のフィルムは前面シートに配置され、太陽光86がフィルム84に入射するときに起こる光拡散現象は、太陽電池モジュールのTIRの反射光を増加させ、太陽光の利用を高めることができ、太陽電池モジュールの光電変換効率が向上するようにする。
【0041】
図9は本発明のさらに他の実施形態を説明し、調光層942は透明前面シートの基板941の下方に配置される。
【0042】
図10は本発明のさらに他の実施形態を説明し、透明前面シートの基板1041の上側および下側の両方に調光層1042が提供される。
【0043】
図11に示されるように、本発明の他の実施形態によれば、透明前面シート111はフィルム114およびガラス基板または他の透明基板115を上から下に順に含む。
【0044】
図12は本発明のさらに他の実施形態を説明し、本発明の太陽電池モジュールの透明前面シート121はフィルム124であり、背面シート123は他のフィルム124である。
【実施例】
【0045】
以下の例は本発明をさらに説明するために提供され、本発明の範囲を制限することを意図しない。本発明の精神から逸脱することなく当業者によって行われた修正および変更は本発明の範囲に含まれるものとする。
【0046】
[実施例]
<太陽電池モジュールの調製>
(調製例1)
テドラー(登録商標)/PET/テドラー(登録商標)(TPT)積層構造体が、厚み188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)(O321E188、Mitsubishi Company)を二つのポリフッ化ビニル層(厚み25μm、Tedlar(登録商標)PV2001、DuPont Company)の間に配置し、その後真空熱プレスの手順を実行することによって、製造された。
【0047】
(調製例2)
79.64グラムのフッ化樹脂(Eternal Companyによって提供される、固体含量50%であり、トリフルオロクロロエチレンおよびアルキルビニルエーテルのコポリマー樹脂である、Eterflon 4101−50)が取り出され、プラスチック瓶に入れられ、6.79グラムの溶媒(酢酸ブチル)が高速攪拌しながら添加され、次いで13.57グラムの硬化剤(Bayer Companyにより提供される、固体含量約75%の、イソシアネート硬化剤である、Desmodur 3390)が加えられ、固体含量約50%および全重量約100グラムのコーティングが処方された。RDSコーティングロッド#35で、コーティングはPET(O321E188、Mitsubishi Company)基板の一面上に塗布され、120℃、2分間の乾燥の後、フィルム厚み約25μmのコーティング層(調光層)が得られた。
【0048】
(調製例3)
30.72グラムのフッ化樹脂(Eternal Companyによって提供される、固体含量50%であり、トリフルオロクロロエチレンおよびアルキルビニルエーテルのコポリマー樹脂である、Eterflon 4101−50)が取り出され、プラスチック瓶に入れられ、その後33.33グラムの溶媒(酢酸ブチル)および30.72グラムの光拡散添加剤(GE Toshiba Silicones Companyによって提供される、平均粒子サイズが2μmのシリコーン樹脂固体球形粒子である、Tospearl 120E)が高速攪拌しながら連続して添加され、最後に5.23グラムの硬化剤(Bayer Companyにより提供される、固体含量約75%の、イソシアネート硬化剤である、Desmodur 3390)が加えられ、固体含量約50%および全重量約100グラムのコーティングが処方された。RDSコーティングロッド#35で、コーティングはPET(O321E188、Mitsubishi Company)基板の一面上に塗布され、120℃、2分間の乾燥の後、フィルム厚み約25μmのコーティング層(調光層)が得られた。
【0049】
(調製例4)
フッ化樹脂、溶媒、光拡散添加剤、および硬化剤の量が23.5グラム、37.25グラム、35.25グラム、および4グラムに各々変更されたことを除いて、調製例3における段階が繰り返された。
【0050】
(調製例5)
44.33グラムのフッ化樹脂(Eternal Companyによって提供される、固体含量50%であり、トリフルオロクロロエチレンおよびアルキルビニルエーテルのコポリマー樹脂である、Eterflon 4101−50)が取り出され、プラスチック瓶に入れられ、その後25.94グラムの溶媒(酢酸ブチル)および22.17グラムの無機粒子TiO(DuPont Companyによって提供されるR−902)が高速攪拌しながら連続して添加され、最後に7.56グラムの硬化剤(Bayer Companyにより提供される、固体含量約75%の、イソシアネート硬化剤である、Desmodur 3390)が加えられ、固体含量約50%および全重量約100グラムのコーティングが処方された。RDSコーティングロッド#35で、コーティングはPET(O321E188、Mitsubishi Company)基板の一面上に塗布され、120℃、2分間の乾燥の後、フィルム厚み約25μmのコーティング層(調光層)が得られた。
【0051】
(調製例6)
44.33グラムのフッ化樹脂(Eternal Companyによって提供される、固体含量50%であり、トリフルオロクロロエチレンおよびアルキルビニルエーテルのコポリマー樹脂である、Eterflon 4101−50)が取り出され、プラスチック瓶に入れられ、その後25.94グラムの溶媒(酢酸ブチル)、17.73グラムの無機粒子TiO(DuPont Companyによって提供されるR−902)、および4.43グラムの光拡散添加物(GE Toshiba Silicones Companyによって提供される、平均粒子サイズが2μmのシリコーン樹脂固体球形粒子である、Tospearl 120E)が高速攪拌しながら連続して添加され、最後に7.56グラムの硬化剤(Bayer Companyにより提供される、固体含量約75%の、イソシアネート硬化剤である、Desmodur 3390)が加えられ、固体含量約50%および全重量約100グラムのコーティングが処方された。RDSコーティングロッド#35で、コーティングはPET(O321E188、Mitsubishi Company)基板の一面上に塗布され、120℃、2分間の乾燥の後、フィルム厚み約25μmのコーティング層(調光層)が得られた。
【0052】
(調製例7)
TiOおよび光拡散添加剤双方の添加量が11.08グラムに変更されたことを除いて、調製例6における段階が繰り返された。
【0053】
(調製例8)
フッ化樹脂、溶媒、TiO、および硬化剤の添加量が各々30.72グラム、33.33グラム、30.72グラム、および5.24グラムに変更されたことを除いて、調製例5における段階が繰り返された。
【0054】
(調製例9)
フッ化樹脂、溶媒、TiO、光拡散添加剤、および硬化剤の添加量が各々30.72グラム、33.33グラム、23.04グラム、7.68グラム、および5.24グラムに変更されたことを除いて、調製例6における段階が繰り返された。
【0055】
(調製例10)
TiOおよび光拡散添加剤双方の添加量が15.36グラムに変更されたことを除いて、調製例9における段階が繰り返された。
【0056】
(調製例11)
TiO、および光拡散添加剤の添加量が各々7.68グラム、および23.04グラムに変更されたことを除いて、調製例9における段階が繰り返された。
【0057】
(調製例12)
フッ化樹脂、溶媒、TiO、および硬化剤の添加量が各々23.5グラム、37.25グラム、35.25グラム、および4.01グラムに変更されたことを除いて、調製例5における段階が繰り返された。
【0058】
(調製例13)
フッ化樹脂、溶媒、TiO、光拡散添加剤、および硬化剤の添加量が各々23.5グラム、37.25グラム、29.37グラム、5.88グラム、および4.00グラムに変更されたことを除いて、調製例6における段階が繰り返された。
【0059】
(調製例14)
TiOおよび光拡散添加剤の添加量が各々23.5グラム、および11.75グラムに変更されたことを除いて、調製例13における段階が繰り返された。
【0060】
(調製例15)
TiOおよび光拡散添加剤双方の添加量が17.62グラムに変更されたことを除いて、調製例13における段階が繰り返された。
【0061】
(調製例16)
TiOおよび光拡散添加剤の添加量が各々11.75グラム、および23.5グラムに変更されたことを除いて、調製例13における段階が繰り返された。
【0062】
(調製例17)
TiOおよび光拡散添加剤の添加量が各々5.87グラム、および29.37グラムに変更されたことを除いて、調製例13における段階が繰り返された。
【0063】
<二層フィルムの調製>
(調製例18)
調製例3と同じ処方のコーティングが、調整例3の基板の非塗布側に塗布され、120℃、2分間の乾燥の後、フィルム厚み約25μmのコーティング層(調光層)が得られ、二つの側がコーティングされたフィルムが形成された。
【0064】
(調製例19)
調製例7と同じ処方のコーティングが、調整例7の基板の非塗布側に塗布され、120℃、2分間の乾燥の後、フィルム厚み約25μmのコーティング層(調光層)が得られ、二つの側がコーティングされたフィルムが形成された。
【0065】
(調製例20)
調製例11と同じ処方のコーティングが、調整例11の基板の非塗布側に塗布され、120℃、2分間の乾燥の後、フィルム厚み約25μmのコーティング層(調光層)が得られ、二つの側がコーティングされたフィルムが形成された。
【0066】
(調製例21)
調製例17と同じ処方のコーティングが、調整例17の基板の非塗布側に塗布され、120℃、2分間の乾燥の後、フィルム厚み約25μmのコーティング層(調光層)が得られ、二つの側がコーティングされたフィルムが形成された。
【0067】
(調製例22)
フッ化樹脂、溶媒、光拡散添加剤、および硬化剤の添加量が各々32.73グラム、32.24グラム、29.45グラム、および5.58グラムに変更されたことを除いて、調製例3における段階が繰り返された。
【0068】
<背面シートに本発明のフィルムを備える太陽電池モジュールの製造>
(例1A)
図13Aおよび13Bに示すように、強化ガラス(Asahi Glass Companyが提供する、保護ガラス)、封入材料EVA樹脂(Mitsui Fabro Companyが提供する、SOLAR EVA)、単結晶シリコン太陽電池ユニット(GINTECH Companyが提供するGIN156S、電池ユニットが、長い側を互いに平行になるように、およびシリコンチップが互いに2mm離隔されるように、寸法52mm×9mmの二つのシリコンチップを直列溶接することによって形成される)、および調製例3に記載される背面シート(コーティング層が上を向いている)が連続して重ねられ、真空ラミネート機を用いることによって積層され、太陽電池モジュールが得られる。
【0069】
(例2Aから12A)
調製例3を、調整例4、調整例6、調整例7、調整例9、調整例10、調整例11、調整例13、調整例14、調整例15、調整例16、および調整例17で各々置き換えたことを除いては、例1Aの段階が繰り返された。
【0070】
(例1B)
コーティング層が下向きになるように背面シートが配置されることを除いて、例1Aの段階が繰り返された。
【0071】
(例2Bから12B)
調製例3を、調整例4、調整例6、調整例7、調整例9、調整例10、調整例11、調整例13、調整例14、調整例15、調整例16、および調整例17で各々置き換えたことを除いては、例1Bの段階が繰り返された。
【0072】
(例13から16)
調製例3を、調整例18から21で各々置き換えたことを除いては、例1Aの段階が繰り返された。
【0073】
<前面シートおよび背面シートに本発明のフィルムを備える太陽電池モジュールの製造>
(例17A)
調製例22(コーティング表面を上向きにして)が例12Aの強化ガラスの上表面に取り付けられ、太陽電池モジュールが得られた。
【0074】
(例17B)
調製例22(コーティング表面を下向きにして)が例12Aの強化ガラスの上表面に取り付けられ、太陽電池モジュールが得られた。
【0075】
[比較例]
(比較例1)
調製例3を調製例1に変更したことを除いては、例1Aの段階が繰り返された。
【0076】
(比較例2A)
調製例3を調製例2に変更したことを除いては、例1Aの段階が繰り返された。
【0077】
(比較例2B)
調製例3を調製例2に変更したことを除いては、例1Bの段階が繰り返された。
【0078】
(比較例3A)
調製例3を調製例5に変更したことを除いては、例1Aの段階が繰り返された。
【0079】
(比較例3B)
調製例3を調製例5に変更したことを除いては、例1Bの段階が繰り返された。
【0080】
(比較例4A)
調製例3を調製例8に変更したことを除いては、例1Aの段階が繰り返された。
【0081】
(比較例4B)
調製例3を調製例8に変更したことを除いては、例1Bの段階が繰り返された。
【0082】
(比較例5A)
調製例3を調製例12に変更したことを除いては、例1Aの段階が繰り返された。
【0083】
(比較例5B)
調製例3を調製例12に変更したことを除いては、例1Bの段階が繰り返された。
【0084】
<試験方法>
1.フィルムの全反射光(A)に対するTIRの反射光(A−Aθ)の比、すなわちTIR比が得られた。図2に示すように、反射角に対応する光強度分布曲線が、自動可変角度光度計(MURAKAMI Color Companyが提供する、GonioPhotometer、GP−200)を用いて、入射角0°で測定され、その後曲線によって囲まれる領域が各々積分され、AおよびAθが得られ、これらは以下の式に導入され、TIR比が得られた。
TIR比=[(A−Aθ)/A]×100%
ここで、θはTIRを起こす臨界角であり、−a<θ<a、およびa=sin−1(1/n)、ここでnは、透明前面シートと空気との間の接触表面(太陽光の入射表面)の材料の屈折率である。試験結果は、表1、表2、および表3に示されるとおりである。
【0085】
2.太陽電池モジュールの効率(η)の試験が実施され、太陽シミュレータ(Model:92193A−1000、Newport Company)が、AM1.5輝度の条件の下で、試験される太陽電池モジュールを照射するために使用され、I−V特性曲線が測定され、次いで太陽電池モジュールの効率(η=Pmax/Pin)が計算された。試験結果は、表1、表2、および表3に示されるとおりである。
【0086】
【表1】

【0087】
調製例におけるフィルムの光学特性(TIR比)および太陽電池モジュールの背面シートにフィルムが取り付けられた後に測定されたモジュールの発電効率(η)が表1に示され、T/R値は、コーティング層が硬化した後のフッ化ポリマー(固体含量)に対するTiO(無機粒子)の重量比であり、B/R値は、コーティング層が硬化した後のフッ化ポリマー(固体含量)に対する光拡散添加剤の重量比である。
【0088】
表1に示される一方の側にコーティング層(調光層)を有する例において、調製例のフィルムのTIR値はコーティング層中の光拡散添加剤の含量の増加に伴って高くなり(調製例2から4、調整例5から7、調整例8から11、および調整例12から17)、その一方で、フィルムが太陽電池モジュールの背面シートに取り付けられるとき、対応するモジュール発電効率ηも、それに応じて高くなる。
【0089】
図14(背面シートのコーティング層が上向き)および図15(背面シートのコーティング層が下向き)の双方は、背面シートのフィルムの光拡散添加剤の含量の増加に伴って全ての太陽電池モジュールの効率が増大すること(W=(T/R+B/R)=0から3の調製例および例)、および比較例1および比較例2Aと比較して効率が高いことを示す。前述の分析結果から、太陽電池モジュールの背面シートが調光フィルムを有するとき、モジュールの発電効率が著しく高まることが分かる。
【0090】
【表2】

【0091】
表2および図16から、二つの側にコーティング層(調光層)を有するフィルムのTIR値およびフィルムが太陽電池モジュールの背面シートに取り付けられた後に得られるモジュール発電効率ηの双方が、調光層の光拡散添加剤の含量の増加にしたがって高くなること、および二つの側にコーティング層を有する背面シートのモジュール発電効率(例13から16)は一方の側にコーティング層を有する背面シートのモジュール発電効率と比較して良好であること、が明らかに分かる。
【0092】
【表3】

【0093】
表3および図17から、太陽電池モジュールの前面シートが本発明のフィルムを含むとき(例17Aおよび17B)、そのモジュール発電効率は本発明のフィルムを備えない太陽電池モジュールの前面シートのもの(例12A)と比較して明らかに大きく、本発明のフィルムはモジュールの発電効率を有効に高めるために太陽電池モジュールの前面シートにも適用可能であることがわかる。
【符号の説明】
【0094】
11 透明前面シート
12 太陽電池ユニット
13 背面シート
14 入射光
15 反射光
16 空気
18 完全に反射された光
31 基板
32 調光層
33 フッ化樹脂
34 光拡散添加剤
41 基板
42 調光層
51 透明前面シート
52 太陽電池
53 背面シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板および少なくとも一つの調光層を含み、前記調光層がフッ化樹脂および複数の光拡散添加剤を含む、太陽電池モジュールに使用されるフィルム。
【請求項2】
前記フィルムが、透明、半透明、または不透明である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記フィルムの基板表面の一つが調光層を備える、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記フィルムの基板表面の双方が調光層を備える、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記複数の光拡散添加剤の形状が、球形、ひし形、楕円形、米粒形、多角球形、両凸形、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記複数の光拡散添加剤の構造が、中実構造、中空構造、多孔質構造、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記複数の光拡散添加剤の材料が、ガラス、金属酸化物、プラスチック、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記複数の光拡散添加剤が、アクリレート樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択されるプラスチック材料である、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
前記複数の光拡散添加剤の平均粒子サイズが、0.5μmから10μmである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記フッ化樹脂が、フッ化オレフィンモノマーおよびアルキルビニルエーテルモノマーのコポリマーを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記基板が、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロース、およびポリ乳酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から形成される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
前記調光層が、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される無機粒子をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
前記調光層が凹凸構造を有するコーティング層である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項14】
透明前面シートと、
背面シートと、
前記透明前面シートと前記背面シートとの間に配置される一つ以上の太陽電池とを含み、
前記透明前面シートおよび前記背面シートの少なくとも一つが請求項1に記載のフィルムを含む、太陽電池モジュール。
【請求項15】
前記透明前面シートがガラス基板、プラスチック透明基板、前記フィルムまたはそれらの組み合わせを含み、前記背面シートが前記フィルムを含む、請求項14に記載の太陽電池モジュール。
【請求項16】
前記プラスチック透明基板が、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロース、およびポリ乳酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から形成される、請求項15に記載の太陽電池モジュール。
【請求項17】
太陽電池のタイプが、単結晶シリコン太陽電池、ポリシリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、色素増感型太陽電池、無機化合物半導体電池、または有機太陽電池である、請求項14に記載の太陽電池モジュール。
【請求項18】
無機化合物半導体電池のタイプは、III−V族化合物半導体電池、II−VI族化合物半導体電池、I−III−VI族化合物半導体電池、またはCZTS化合物半導体電池である、請求項17に記載の太陽電池モジュール。

【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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