説明

太陽電池モジュールの設置方法

【課題】整地コストを低減することができ、太陽電池モジュールの温度上昇にともなう発電量の低下を抑制することができる太陽電池モジュールの設置方法を提供する。
【解決手段】アークトセカ、アジュガ、イワダレソウ、コンフリー、ダイカンドラ、ヘアリーベッチ、宿根バーベナなど、日陰で生育の早いほふく性の被覆植物を植栽することにより、地表面を被覆植物で覆い、この被覆植物を植栽した地面上に、太陽電池モジュールを設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池には様々な形態があり、代表的なものとしては、結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、薄膜結晶太陽電池、微結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、銅インジウムセレナイド太陽電池、化合物半導体太陽電池などが知られている。
【0003】
一般的な太陽電池モジュールは、金属製架台上に設置する。この設置形態の場合、一般的には地面を整地し、地面の表層(地表面)をアスファルトやコンクリートで舗装し、その上に架台の基礎部を配置して金属製架台を形成し、該金属製架台上に太陽電池モジュールを固定している。
【0004】
太陽電池モジュールは、太陽光を入射して発電する際に、該太陽電池モジュール中の太陽電池(光起電力素子)の温度は、入射太陽光により上昇することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このように太陽電池の温度が上昇すると、発電量が低下する。そこで、特許文献2には、太陽電池パネルの温度上昇を抑制するため、建築物と太陽電池パネルとの間に支持ブロックを設けて風通し用の空間を形成することが提案されている。
【0005】
しかしながら、通風による冷却で一定の効果は得られるが、無風で日射量が多く照り返しが強い場合には、効果は十分ではない。
【0006】
一方、地表面をアスファルト舗装やコンクリート舗装をしない場合、地表面に雑草が育ってしまい、そのまま放置すると太陽電池モジュールの受光面となる太陽電池パネルの表面を雑草が覆ってしまうことで、出力が低下するという問題が発生する。そのため、特許文献3には、地表面に防草用ゴムシートを形成し、その上に架台を配置することが提案されている。
【0007】
しかしながら、防草用ゴムシートを形成する方法は、アスファルト舗装やコンクリート舗装に比べて、太陽電池モジュールを設置するための整地コストを低減することはできるが、架台を防草用ゴムシート上に留めなければならず、施工作業が煩雑である。また、留め具は防草用ゴムシートを貫通するため、架台を防草用ゴムシート上に載せた際に、防草用ゴムシートの破れが発生する場合があり、時間の経過により貫通部や破れから雑草が生育してしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−170974号公報
【特許文献2】特開平11−270049号公報
【特許文献3】特開2000−332285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、整地コストを低減することができ、太陽電池モジュールの温度上昇にともなう発電量の低下を抑制することができる太陽電池モジュールの設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の太陽電池モジュールの設置方法は、太陽電池モジュールを設置した地面または太陽電池モジュールを設置予定の地面に、被覆植物を植栽することにより地表面を被覆植物で覆い、この被覆植物を植栽した地面上に太陽電池モジュールを設置することを特徴とする。これにより、地表面からの照り返しを抑制し輻射熱を下げることができる。
【0011】
本発明の太陽電池モジュールの設置方法においては、被覆植物が、ほふく茎もしくは地下茎で増殖可能な植物であるとよい。また、被覆植物が、ソバ、コンフリー、アークトセカ、ヘアリーベッチ、ポテンティラ、シバ類、宿根バーベナ、ダイカンドラ、ヘデラへリックス、シラン、ギボウシ、アジュガ、コグマザサ、ビンカミノール、ツワブキ、ベアグラス、ヤブラン、ユキノシタ、ラミウム、マツバギクおよびイワダレソウから選ばれる少なくとも一種の植物であるとよい。
【0012】
また、被覆植物として、早期被覆形成植物と安定被覆形成植物の2種を併用し、地面に対して早期被覆を形成する早期被覆形成植物を植栽した後あるいは植栽と同時に、地面に対して安定被覆を形成する安定被覆形成植物の苗もしくは種子を、早期被覆形成植物と混在させて植栽もしくは播種し、これらの被覆植物を植栽した地面上に、太陽電池モジュールを設置してもよい。これにより、雑草抑制効果を長期的に維持することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の太陽電池モジュールの設置方法によれば、太陽電池モジュールを設置する地面の照り返しによる輻射熱を抑制できるので、太陽光パネルの温度上昇による発電効率の低下を抑える事ができる。さらに、太陽電池モジュールの周辺に雑草が生育するのを抑制することができる。植物を植栽するだけなので、整地方法も簡単である。しかも、植栽した植物は、太陽電池パネルの表面を覆うまでに成長することがなく、受光量の低下(受光面を覆うこと)による太陽電池の発電量が低下することがない。
また、太陽電池モジュールが設置されていないスペースを有効に利用することができるので、該スペースで生育した植物をバイオマス燃料として利用すれば、単位土地あたりで得られるエネルギー密度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】被覆植物を植栽した地面上に太陽電池モジュールを設置した例の概略図である。
【図2】被覆植物を植栽した地面上に太陽電池モジュールおよび風力発電装置を設置した例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の太陽電池モジュールの設置方法の一例を示す概略図である。図1において、1は太陽電池モジュール、2は太陽電池モジュール用架台、3は被覆植物、4は地面である。太陽電池モジュール1を設置する場合は、地面4に太陽電池モジュール用架台2を設置し、該架台上に太陽電池モジュールを設置する。
【0016】
図1に示すように、太陽電池モジュールを設置する地面に植栽される被覆植物は、一般的に地面に対する被覆速度が大きく、しかも、その伸長は、太陽電池パネルの下端より低く、せいぜい30cm〜100cmである。太陽電池モジュールは、太陽電池モジュール用架台上に設置されるので、その下端は通常地面から約0.5m〜1.2mの高さに設置されるため、前記被覆植物が生育しても太陽電池モジュールの表面を覆ってしまうことがない。なお、通路及びパネルの下端付近は、上述の草丈の植物を植栽するが、メガソーラのようにパネルが連結されて大きい場合は、パネルの真下部分については、太陽パネル面からはみ出さない限り、1m以上の草丈のものも植栽出来る。なお、通路の植栽植物については、設備点検等の利便性を考えると滑りにくく、踏圧に耐えるものであることが好ましい。
【0017】
被覆植物ならびにその植栽方法は、種々知られている。本発明の太陽電池モジュールの設置方法においては、被覆植物は地面に対する被覆速度が大きいので、被覆植物を植栽するだけで、雑草の生育を抑制する効果と、地面からの照り返しを防止して太陽電池モジュールの発電量の低下を防止できる効果がある。
【0018】
被覆植物としては、地表面を被覆し照り返しを抑制しうる植物であればよいが、好ましい植物としては、コンフリー、アークトセカ、ポテンティラ、ギボウシ、ツワブキ、ビンカミノール、フッキソウ、ヘデラヘリックス、ヤブラン、ユキノシタ、シラン、ソバ、ヘアリーベッチ、シバ類、宿根バーベナ、ダイカンドラ、アジュガ、コグマザサ、ベアグラス、ラミウム、マツバギクおよびイワダレソウから選ばれる少なくとも一種の植物が挙げられる。これらの植物はそれぞれ、地表面に対する被覆速度が大きいあるいは、後記の被覆安定性に優れているという特長がある。特に、ほふく性植物やつる性植物は、被覆速度が大きく被覆安定性が良好である。被覆植物を植栽する場合、それぞれ単独で用いても併用してもよく、また、植栽時期もそれぞれに適期に応じて同時に植栽しても時期を前後させて植栽してもよい。
【0019】
上記の被覆植物は、1年草、2年草、もしくは2〜3年経つと株が衰退するものが多い。1年草、2年草としては、例えばソバ、ヘアリーベッチ、ポーチュラカなどが挙げられ、2〜3年で株が衰退する植物としては、例えばアークトセカ、バーズフットトレフォイル、アジュガなどが挙げられる。また、数年間株が衰退しない植物としては、例えばコンフリー、リュウノヒゲ、シラン、シバ類、宿根バーベナ、ギボウシ、シバザクラ、コトネアスター、キチジョウソウ、ヘデラへリックス、ヒガンバナ、オキザリス、シュウカイドウ、ダイカンドラ、ツワブキ、ナルコユリ、フッキソウ、ベアグラス、ヤブコウジ、ヤブラン、ユキノシタ、ササ類およびツツジ類、ポテンティラ、イブキジャコウソウ、クリーピングタイム、マツバギク、クローバー、イワダレソウなどが挙げられる。
なお、アークトセカ、アジュガ、イワダレソウ、ギボウシ、ササ、コンフリー、シバザクラ、シラン、ダイカンドラ、ツワブキ、シバ、マツバギク、バーベナ、ヤブコウジ、ヤブラン、ユキノシタ、ラミウム、リュウノヒゲなど、ほふく茎や地下茎で繁殖する植物は、敷地境界を地下数十cm以上、地上50cm以上の塀などで覆うことにより、雑草化の危険性が低くなる。一方、種子の飛散距離が長いツワブキ、シュウカイドウは、雑草化の恐れがあるので、近隣に農家等がある場合は、注意が必要である。
【0020】
コンフリーは、特に寒冷地むきで、最低地温が約−25度でも耐えられる。ヘアリーベッチは、最低地温が−20度まで可能であるが、暖地の方が被覆効果は高い。アークトセカは、たんぽぽ状の葉が地表面を覆うように生え、生育が旺盛で、暖地では2〜3年間、被覆を維持することが可能であるが、それ以降は株の衰退が見られる場合があり、寒冷地では越冬できない。シバ類は、暖地ではセントオーガスチングラス、ノシバ、ジューングラス、朝萌などが適し、寒冷地ではセンチピードグラス、センチピードグラスを寒冷地向きに品種改良したティフブレアが適している。マツバギク、ダイカンドラは最低気温寒冷地では越冬できないため、暖地向きである。アジュガ、ギボウシ、ササ、シュウカイドウ、ヤブコウジ、ユキノシタ、ラミウムは耐寒性、耐暑性が強いが、乾燥に弱いため乾燥地には向かない。株が強いという点では、ソバ、コンフリー、リュウノヒゲ、ヘアリーベッチ、アークトセカ、ポテンティラ、シバ類、宿根バーベナ、ギボウシ、ツワブキ、ビンカミノール、フッキソウ、ヘデラヘリックス、ヤブラン、ユキノシタ、マツバギクおよびアジュガが適している。なお、ヘデラヘリックスはつる性の性質も持つため、太陽電池モジュールの架台の形状によっては、モジュールの表面を覆う可能性もあるため、注意が必要である。
【0021】
上記の被覆植物としては、植栽後、数か月〜1年間における成長が早く、地表面に対する被覆速度が大きく、60cm×20cm×20cmのプランターに200粒を播種した時、もしくは9cmポット苗4株を植栽した時に、1年以内に地表面に対する被覆率が80%以上となる植物を最初に植栽することが好ましい。本発明では、このような植物は地面に対して早期に被覆を形成するので「早期被覆形成植物」と言う。ここで、「被覆率」とは、植栽された植物を地面(培地)と直角方向から観察したときに植物が地面を被覆している割合であり、目視観察や画像解析で測定することができる。
【0022】
実用上、太陽電池モジュールは、パネル表面への太陽光の照射効率と設置する土地面積当たりの発電量を考慮して設置するため、被覆植物を植栽した場所は太陽電池モジュールの陰に隠れてしまい日陰になり易い。従って、被覆植物としては、これらの植物のなかでも日陰で生育の早い宿根草である、コンフリー、アークトセカ、ポテンティラ、ギボウシ、ツワブキ、ビンカミノール、フッキソウ、ヘデラヘリックス、ヤブラン、ユキノシタおよびシランが最も好ましい。
【0023】
一般に被覆植物は、生長が早く、水、養分、光を他に優先して吸収するか、またはアレロパシー物質の放出により他の植物の生育を抑制すると考えられている。本発明における被覆植物は、アークトセカなどのアレロパシー物質を放出しない植物でも、ヘアリーベッチのようにアレロパシー物質を放出する植物でも、地面に対する被覆率が高いものであればよい。植栽する植物がアレロパシー物質を放出する植物であるか否か(即ち、アレロパシー活性を有するか否か)を試験する試験法は、いくつか知られている。圃場やガラス室でアレロパシー活性を識別・証明する手段としては、付加栽培法、置換栽培法、階段栽培法、連続根浸出液補集法、無影日長栽培法が知られているが、これらの方法は光や養分など他の競争との識別が難しいため、多大な労力が必要となる。実験室規模での手段としては、植物体抽出液を用いた発芽・生育試験、葉からの溶脱を検出するサンドイッチ法、根からの滲出物質を検出するプラントボックス法、揮発性物質を検出するディッシュパック法がある。プラントボックス法は、実験室規模での検定が容易で雑草の成長抑制との相関がよいことより、被覆植物を選定する手段として好適である。
【0024】
本発明の太陽電池モジュールの設置方法においては、被覆植物として、早期被覆形成植物と安定被覆形成植物の2種を併用し、地面に対して早期被覆を形成する早期被覆形成植物を植栽した後あるいは植栽と同時に、地面に対して安定被覆を形成する安定被覆形成植物の苗もしくは種子を、前記早期被覆形成植物と混在させて植栽もしくは播種し、これらの植物を植栽した地面上に太陽電池モジュールを設置してもよい。これにより、早期被覆形成植物の株が衰退しても、安定被覆形成植物が地面を安定的に被覆するので、長期的に被覆を保持し、雑草の生育も抑制することができる。
【0025】
上記の安定被覆形成植物は、初期成長が概して遅く、植栽後数年間(3〜5年)で安定被覆を形成する。一度被覆を形成すると安定して被覆を維持することができるため、雑草抑制効果が高い。なお、安定被覆形成植物は、早期被覆形成植物がアレロパシー物質を放出する植物である場合には、該アレロパシー物質に対する耐性を有する植物であることが望ましい。
【0026】
上記の安定被覆形成植物としては、初期成長が早いものとして、例えばコンフリー、ポテンティラなどが挙げられ、初期成長がやや遅いものとして、例えばシバザクラ、シバ類、キチジョウソウ、シラン、ヘデラヘリックス、オキザリス・デッペイ、スミレ、スズランなどが挙げられ、初期成長が遅いものとして、例えばリュウノヒゲ、ヒガンバナ、コトネアスター類、日本スイセン、ツツジ類などが挙げられる。シバ類としては、センチピードグラス(原種)、センチピードグラス(ティフブレア)、セントオーガスチングラスなどが挙げられる。
【0027】
上記の早期被覆形成植物と混在させて植栽もしくは播種することを考慮すると、成長速度がさほど早くない、シバ類、シバザクラ、シラン、コトネアスター類、キチジョウソウ、リュウノヒゲ、ヒガンバナ、オキザリス、ササ類およびツツジ類が適している。また、日陰でも生育が早いことを考慮すると、コンフリーおよびシランが適している。
【0028】
次に、太陽電池モジュールの設置方法を説明する。上記のようにして、被覆植物、あるいは、早期被覆形成植物と安定被覆形成植物を植栽もしくは播種した地面に、ハンマーやタッカーなどで釘、ピン、ステイプルなどの固定用部材を打ち付け、太陽電池モジュールを地面上に固定する。あるいは、上記の方法で太陽電池モジュールを設置した地面上に、被覆植物、あるいは、早期被覆形成植物と安定被覆形成植物を植栽もしくは播種することにより、地表面を被覆植物で覆うこともできる。
【0029】
太陽電池モジュールを設置した後、太陽電池モジュール間を電気接続する。太陽電池モジュールで使用する光起電力素子は特に限定されず、例えば結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、薄膜結晶太陽電池、微結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、銅インジウムセレナイド太陽電池、化合物半導体太陽電池などが挙げられる。
【0030】
本発明に太陽電池モジュールの設置方法では、被覆植物を植栽した地面上に太陽電池モジュールを設置する他、図2に示すように、風力発電装置5などを設置することも任意である。
【0031】
以下、太陽電池モジュールを設置する、被覆植物を植栽した地面における植物生育状況について、実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
(実施例)
植物生育状況の測定は、以下のように実施した。植栽試験地は、長野県(標高660m)の平担地または法面とした。植栽前に一回に限り、除草剤による防除を実施した。1mの試験区を1m幅の通路で仕切り、1試験について1〜3反復(区画)を基本とした。植物は表1の通りとした。各区画の播種量や移植本数は数年後の被覆完成時を模擬するために過密気味とし、64株もしくは種子20g/mとした。春に植栽を実施し、植栽後、36日、47日、90日、139日目に雑草刈り取り調査を行った。各区の刈り取り調査法は1区画(1m×1m)の中に発生した全雑草の地上部のみを、鎌にて手刈りし、紙袋(大昭和サミットバッグ25号)に入れ、現場で生体重量を測定し、これらをさらに、60℃で通風乾燥して乾燥重量を測定した。試験期間を通しての雑草の合計乾燥重量(複数区画の場合は合計乾燥重量の平均値)を求めた。
【0033】
(比較例)
実施例1に対して3反復(区画)の対照区をもうけ、実施例1と同様の方法にて雑草の合計乾燥重量を測定し、平均値を求めた。
なお、このときの雑草の種類および草丈(かっこ内数値)は、アキカラマツ(130cm)、アキノノゲシ(95cm)、アメリカセンダングサ(135cm)、イネ科雑草(〜160cm)、エノコログサ(125cm)、エノテラ類(〜10cm)、オオイタドリ(130cm)、オオバコ、オオブタクサ(200〜300cm)、カモガヤ(130cm)、キクイモ(250〜280cm)、キク科雑草、キンエノコロ(95cm)、クサフジ(〜90cm)、コウゾリナ(130cm)、シロザ(190cm)、ススキ(170cm)、タデ科(〜160cm)、タンポポ(〜20cm)、ツユクサ(〜10cm)、トゲチシャ(140cm)、ヒメジョオン(120cm)、フキ(30cm)、ムラサキツメクサ(55cm)、メヒシバ(100cm)、メマツヨイグサ(135cm)、ヨモギ(85cm)、などであった。
【0034】
上記の方法で求めた雑草の合計乾燥重量に応じて雑草抑制力を以下の基準で評価した。
[雑草抑制力] ◎:合計乾燥重量50g以下
○:同51〜100g
△:同101〜150g
×:同151〜200g
××:同250g以上
【0035】
また、植栽した植物の早期被覆性ならびに被覆安定性を、以下の基準で評価した。なお、被覆率の評価は目視にて行った。
[早期被覆性] ◎:被覆率80%以上
○:同60〜79%
△:同40〜59%
×:同39%以下
【0036】
[被覆安定性] 植栽1年後及び2年後の被覆率
◎:被覆率70%以上
○:同50〜69%
△:同30〜49%
×:同29%以下
【0037】
【表1】

【0038】
表1の結果より、被覆植物を植栽することにより、およそ3ヵ月半の間に生育した雑草の量は、植栽しない場合と比べて明らかに少なくなることがわかる。
【0039】
複数種を混合植栽した場合には草丈の高いものだけを毎年刈り込み、刈り取った被覆植物ならびに刈り取った雑草を、バイオマス燃料としてバイオマス発電に利用することで、単位土地あたりで得られるエネルギー密度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の太陽電池モジュールの設置方法によれば、設置場所の整地に要するコストを削減することができ、しかも、植栽した植物により照り返しが防止されて太陽電池パネルの温度上昇を抑制することができるので、住宅地、山間部、工業地帯などにおける太陽電池モジュールの設置に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 太陽電池モジュール
2 太陽電池モジュール用架台
3 被覆植物
4 地面
5 風力発電装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを設置した地面または太陽電池モジュールを設置予定の地面に、被覆植物を植栽することにより地表面を被覆植物で覆い、この被覆植物を植栽した地面上に太陽電池モジュールを設置することを特徴とする太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項2】
被覆植物が、ほふく茎または地下茎での増殖が可能な植物であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項3】
被覆植物が、コンフリー、アークトセカ、ポテンティラ、ギボウシ、ツワブキ、ビンカミノール、フッキソウ、ヘデラヘリックス、ヤブラン、ユキノシタ、シラン、ソバ、ヘアリーベッチ、シバ類、宿根バーベナ、ダイカンドラ、アジュガ、コグマザサ、ベアグラス、ラミウム、マツバギクおよびイワダレソウから選ばれる少なくとも一種の植物であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項4】
被覆植物として、早期被覆形成植物と安定被覆形成植物の2種を併用し、
地面に対して早期被覆を形成する早期被覆形成植物を植栽した後あるいは植栽と同時に、地面に対して安定被覆を形成する安定被覆形成植物の苗もしくは種子を、早期被覆形成植物と混在させて植栽もしくは播種し、これらの被覆植物を植栽した地面上に、太陽電池モジュールを設置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項5】
早期被覆形成植物が、ソバ、コンフリー、アークトセカ、アジュガ、イワダレソウ、ダイカンドラ、ヘアリーベッチおよび宿根バーベナから選ばれる少なくとも一種の植物であることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項6】
安定被覆形成植物が、コンフリー、リュウノヒゲ、シバ類、シバザクラ、コトネアスター、キチジョウソウ、ヘデラへリックス、ヒガンバナ、オキザリス、シラン、ギボウシ、イワダレソウ、シュウカイドウ、ダイカンドラ、ツワブキ、ナルコユリ、フッキソウ、ベアグラス、ヤブコウジ、ヤブラン、ユキノシタ、ササ類およびツツジ類から選ばれる少なくとも一種の植物であることを特徴とする請求項4または5に記載の太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項7】
被覆植物をバイオマス燃料として利用することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池モジュールの設置方法。

【図1】
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【図2】
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