説明

太陽電池モジュール

【課題】三角形又は台形状の太陽電池モジュールであって、システムに応じて出力を設定することのできるものを提供する。
【解決手段】三角形状又は台形状の基板上に、CIS系薄膜太陽電池デバイスが形成された太陽電池サブモジュール1と、太陽電池サブモジュール1上に3箇所以上形成された帯状の電極S1〜S4とを有する太陽電池モジュールであって、上記CIS系薄膜太陽電池デバイスは、パターニングにより互いに平行に形成された複数の帯状の単位セル1aを電気的に直列接続してなり、電極S1〜S4は、夫々の電極S1〜S4との間に一つ以上の単位セル1aを挟んで、上記複数の単位セル1aのうちの一つをはつって形成されており、3箇所以上の電極S1〜S4のうちの任意の2箇所の電極が出力端として外部負荷に電気的に接続されて、太陽電池サブモジュール1において発生した電力が当該外部負荷に導出される太陽電池モジュールを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三角形状、又は台形状の太陽電池モジュールにおいて、所定の範囲内で、任意に出力値を設定することができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池を屋根等の取付面上に設置する際には、複数の太陽電池モジュールを接続させて太陽電池アレイを構成する。その際、取付面の形状等に合わせて太陽電池モジュールを配置するが、限られた取付面上で発電効率や見栄えを良くするために、標準的に用いられる長方形状の太陽電池モジュールに加え、部分的に三角形状や台形状の太陽電池モジュールを組み合わせることが行われている。
【0003】
ここで、例えば、長方形状の太陽電池モジュールを千鳥状に配置し、これらの端部に三角形状の太陽電池モジュールを電気的に接続して取り付ける場合、当該長方形状の太陽電池モジュールの出力に応じた出力を備える三角形状の太陽電池モジュールを用いる必要がある。
【0004】
この点、特許文献1には、複数個の太陽電池単位セルを直列接続してなる太陽電池モジュールにおいて、太陽電池単位セルが組み合わされて三角形あるいは四辺形の形状からなるユニットを形成し、さらに、当該ユニットを組み合わせた太陽電池モジュールの形状が、当該ユニットの三角形あるいは四辺形の相似形からなる太陽電池モジュールが提案されている。
また、特許文献2には、ガラス基板上に第1電極膜、半導体膜及び第2電極膜を順次形成して単位セルを構成し、単位セルが複数個接続された長方形型集積化太陽電池を長方形の対角線でニ分割してできた2つの三角形型太陽電池を、その斜辺が屋根の境界稜線に平行となるように配置し、2つの三角形型太陽電池の間で第2の電極膜同士を電気的に接続した三角形型集積化太陽電池モジュールであって、接続される単位セルの合計面積が全て同じであるように接続したものが提案されている。
また、特許文献3には、電気絶縁性可撓性基板の表面に下電極層、光電変換層、透明電極層を順次積層してなる光電変換部と、前記基板の裏面に形成した接続電極層とを備え、前記光電変換部および接続電極層は互いに位置をずらして単位部分に順次分離してなり、前記透明電極層形成領域外に形成した電気的直列接続用の接続孔、および前記透明電極層形成領域内に形成した集電孔を介して、前記表面上の互いに分離されて隣り合う単位光電変換部分を電気的に直列接続してなる薄膜太陽電池モジュールであって、モジュール主面の輪郭が三角形もしくは台形からなるものが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−65198号公報
【特許文献2】特開2000−208804号公報
【特許文献3】特開2001−111084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜3記載の太陽電池モジュールは、いずれも、一定値の出力を備えたものに過ぎず、太陽電池モジュールを複数接続する場合には、その仕様に応じた出力を備える太陽電池モジュールを生産する必要がある。そのため、複数の太陽電池モジュールからなるシステムごとに専用の太陽電池モジュールを用意する必要があり、生産管理が面倒な上、生産性が悪かった。
【0007】
上記問題を解決するため、本発明は、三角形又は台形状の太陽電池モジュールであって、システムに応じて出力を設定することのできるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る太陽電池モジュールは、三角形状又は台形状の基板上に、CIS系薄膜太陽電池デバイスが形成された太陽電池サブモジュールと、上記太陽電池サブモジュール上に3箇所以上形成された帯状の電極と、を有する太陽電池モジュールであって、上記CIS系薄膜太陽電池デバイスは、パターニングにより互いに平行に形成された複数の帯状の単位セルを電気的に直列接続してなり、上記電極は、夫々の電極との間に一つ以上の単位セルを挟んで、上記複数の単位セルのうちの一つをはつって形成されており、上記3箇所以上の電極のうちの任意の2箇所の電極が出力端として外部負荷に電気的に接続されて、上記太陽電池サブモジュールにおいて発生した電力が当該外部負荷に導出されることを特徴とする。
【0009】
また、任意に選択された2箇所の上記電極を出力端として上記外部負荷と電気的に接続させるスイッチ、をさらに有するものとしてもよい。
【0010】
また、上記3箇所以上ある電極のうち、最も長く単位セルをはつって形成された電極が、上記外部負荷と電気的に固定接続されており、上記スイッチは、上記外部負荷と電気的に固定的接続されている電極以外の電極のうちの任意の1箇所を出力端として上記外部負荷と電気的に接続させるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、様々な形状の太陽電池アレイを組む場合に、見栄えよく、また発電効率を上げることのできる三角形又は台形状の太陽電池モジュールが提供される。また、太陽電池アレイの仕様に応じて簡易に出力を設定することができるため、システム毎の仕様に応じた専用の太陽電池モジュールを製造する必要がなく、工程管理が容易で生産性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の第一の実施形態について、図を参照して説明する。
本実施形態に係る太陽電池モジュールは、図1及び図2に示されるように、受光により発電する太陽電池サブモジュール1、発電した電力を導出するリボンワイヤ31、32、33、34、リボンワイヤ31、32、33、34を集約する端子箱41の各構成からなる構造を有している。この太陽電池モジュールは、4本の電極S1、S2、S3、S4のうちの任意の2本を選択して外部負荷6と接続させることができ、これにより太陽電池サブモジュール1において発生した電力を、用途や仕様に応じた電流値ないしは電力値に合わせて外部負荷6に供給することができる。
【0013】
本実施形態においては、太陽電池サブモジュール1は、図1に示されるように、直角二等辺三角形状に構成されている。
この太陽電池サブモジュール1は、図3及び図4に示されるように、青板ガラス等のガラス基板20上に、太陽光等を受光して発電する太陽電池デバイス10を形成してなる。
【0014】
太陽電池デバイス10は、いわゆるCIS系薄膜太陽電池デバイスであって、図4に示されるように、モリブデン(Mo)等の金属からなる裏面電極層10A、p型CIS系光吸収層10B、高抵抗バッファ層10C、n型窓層(透明導電膜)10Dを順次積層したサブストレート構造からなり、この太陽電池デバイス10が太陽光等の光を受けることにより発電する。
【0015】
ここで、p型CIS系光吸収層10Bは、p型の導電性を有するI−III −VI2 族カルコパイライト構造の厚さ1〜3μmの薄膜であり、例えば、CuInSe
、Cu(InGa)Se2 、Cu(InGa)(SSe)2 等の多元化合物半導体薄膜である。p型CIS系光吸収層10Bとしては、その他、セレン化物系CIS系光吸収層、硫化物系CIS系光吸収層及びセレン化・硫化物系CIS系光吸収層があり、前記セレン化物系CIS系光吸収層は、CuInSe2
、Cu(InGa)Se2 又はCuGaSe2 からなり、前記硫化物系CIS系光吸収層は、CuInS2
、Cu(InGa)S2 、CuGaS2 からなり、前記セレン化・硫化物系CIS系光吸収層は、CuIn(SSe)2
、Cu(InGa)(SSe)2 、CuGa(SSe)2 、また、表面層を有するものとしては、CuIn(SSe)2
を表面層として持つCuInSe2 、CuIn(SSe)2 を表面層として持つCu(InGa)Se2
、CuIn(SSe)2 を表面層として持つCu(InGa)(SSe)2 、CuIn(SSe)2
を表面層として持つCuGaSe2 、Cu(InGa)(SSe)2 を表面層として持つCu(InGa)Se2
、Cu(InGa)(SSe)2 を表面層として持つCuGaSe2 、CuGa(SSe)2 を表面層として持つCu(InGa)Se2
又はCuGa(SSe)2 を表面層として持つCuGaSe2 がある。
このp型CIS系光吸収層10Bは、セレン化/硫化法や多元同時蒸着法により製膜されている。
【0016】
また、太陽電池デバイス10には、メカニカルスクライビング装置やレーザースクライビング装置等により、電気的接続を確保するためのパターニングが、太陽電池サブモジュール1の直角二等辺三角形の直角な角を挟む一辺と平行に施されている。
図1に示されるように、パターニングにより、互いに対して平行に、且つ隣り合って形成された複数の帯状の単位セル1aは、電気的に直列接続しており、この単位セル1aと直交する向きに、単位セル1aの数に比例した電位が形成される。
【0017】
なお、パターニングは、太陽電池サブモジュール1の縁辺との関係においては、太陽電池サブモジュール1の直角二等辺三角形の直角な角を挟む一辺に限らず、斜辺と平行に施されていてもよいほか、太陽電池サブモジュール1の縁辺を形成する一辺と平行でなくてもよい。
【0018】
さらに、太陽電池デバイス10(パターニングにより形成された単位セル1a)は、図3及び図4に示されるように、p型CIS系光吸収層10B、高抵抗バッファ層10C、及びn型窓層(透明導電膜)10Dが帯状にはつられており、これにより露出した裏面電極層10Aは、電極S(電極S1、S2、S3、S4のいずれかを示す。)を構成している。
【0019】
なお、電極Sを形成する方法は、スクライビング装置に限らず、化学的エッチング等によってもよく、特に限定されない。
また、電極Sは、複数形成された単位セル1aのうちの一つを、p型CIS系光吸収層10B、高抵抗バッファ層10C、及びn型窓層(透明導電膜)10Dをはつることにより形成されているが、後述の通り、当該はつった箇所は、リボンワイヤ31、32、33、34を取り付けるにあたってハンダ5で埋められるため、太陽電池デバイス10全体の電気的接続が確保されている。 また、単位セル1aをはつって形成された電極Sの横幅は、電極Sに取り付けられるリボンワイヤ31、32、33、34と略同じか若干広く設けられ、これにより、リボンワイヤ31、32、33、34の横幅が電極Sの横幅からはみ出ることなく取り付けられる。この結果、ハンダ5を介して接着される電極Sとリボンワイヤ31、32、33、34との接着強度が確保されている。
【0020】
電極S1は、太陽電池サブモジュール1の直角二等辺三角形の直角な角を挟む一辺の縁辺部上において、太陽電池デバイス10の単位セル1aと平行に、かつ、太陽電池サブモジュール1の一端部から他端部にかけて帯状に形成されている。そして、この電極S1ないし単位セル1aと平行に、かつ、少なくとも一つ以上の単位セル1aを挟んで、順次帯状の電極S2、S3、S4が形成されている。なお、電極S2、S3、S4のいずれについても、電極S1と同様に、太陽電池サブモジュール1の一端部から他端部にかけて形成されている。
【0021】
なお、本実施形態においては、電極S1、S2、S3、S4は、一定の間隔毎に形成されており、電極S1、S2、S3、S4の長さの比率は、4:3:2:1(S1:S2:S3:S4)となっている。なお、電極S1、S2、S3、S4の長さとは、夫々、これらの電極S1、S2、S3、S4を形成するために太陽電池デバイス10(単位セル1a)をはつった長さを示す。
【0022】
リボンワイヤ31、32、33、34は、図1及び図3に示されるように、それぞれ電極S1、S2、S3、S4にハンダ5により取り付けられていると共に、太陽電池サブモジュール1の側端部を介して端子箱41に集約されている。
【0023】
このリボンワイヤ31、32、33、34は、例えば、アルミニウム、銀、銅、あるいはすずメッキした銅からなる厚み80〜150μm程度、幅1.5〜2.0mm程度の帯状金属製薄板により構成することができる。
【0024】
端子箱41は、太陽電池サブモジュール1の背面に取り付けられており、太陽電池サブモジュール1の側端部を介して背面に引き回されたリボンワイヤ31、32、33、34を集約している。
【0025】
また、この端子箱41は、外部負荷6と接続させるリボンワイヤ31、32、33、34を、いずれか2本に任意に切り替えて接続させることができる切替スイッチ41a、41bを有している。この切替スイッチ41a、41bにより、リボンワイヤ31、32、33、34のうちの任意の2本を外部負荷6と接続させることができ、これにより、外部負荷6と接続されたリボンワイヤ31、32、33、34が取り付けられている2箇所の電極SX、SX(以下、SX及びSXは夫々電極S1、S2、S3、S4のいずれかを示しており、XとXはX<Xなる1〜4のいずれかの数値を示す。)の一方を正極、他方を負極として外部負荷6と接続させることができる。
【0026】
次に、本実施形態に係る太陽電池モジュールの使用例と、各使用例における出力について説明する。
図5は、標準的なサイズの太陽電池サブモジュール7と、太陽電池サブモジュール1のサイズの関係を示している。
太陽電池サブモジュール7は、縦60cm(以下、「h」とする)、横120cm(以下、「l」とする)の長方形状からなり、以下において、この太陽電池サブモジュール7の出力値を、電流I[A(アンペア)]、電圧V[V(ボルト)]とする。なお、太陽電池サブモジュール7は、太陽電池サブモジュール1と同様の構成からなる太陽電池デバイス10により、電力を発生させる。
これに対して、太陽電池サブモジュール1は、縦h、横1/2・lの直角二等辺三角形状からなる。
【0027】
ここで、電極S1、S2、S3、S4のうちから任意に選択された2箇所の電極SX、SXによる出力については、帯状の電極S1、S2、S3、S4がパターニングにより形成された単位セル1aと平行に形成されていることから、電極S1、S2、S3、S4と直交する向きに電位差を生じる。したがって、選択された2箇所の電極SX、SX間の電位差は、当該選択された電極SX、SX間の距離に比例し、選択された電極SX、SX同士による短絡電流の値は、当該選択された電極SX、SXのうち、短い方の電極SXの長さに比例する。
そのため、外部負荷6と接続させるリボンワイヤ31、32、33、34を2本選択する場合、即ち、電極S1、S2、S3、S4から、2箇所の電極SX、SXを選択する場合、互いと距離が離れた電極SX、SXを選べば高い電圧値を得ることができ、選択する電極SX、SXのうち短い方の電極SXとしてより長いものを選べば大きな電流値を得ることができる。
【0028】
図6〜9は、端子箱41の切替スイッチ41a、41bにより、リボンワイヤ31、32、33、34のうちの2本が外部負荷6と接続された場合に、当該接続されたリボンワイヤ31、32、33、34を介して電気的に接続された電極SX、SXから外部負荷6に有効に供給される電力の発生領域(以下、「有効領域」という)を示している。
【0029】
図6は、リボンワイヤ31、32(電極S1、S2)が外部負荷6と接続された場合を示しており、この場合の有効領域R1による出力は、縦1/4・h、横3/8・lの太陽電池サブモジュール1による出力に等しい。
上述の通り、出力は、電圧値が電極S1、S2間の距離に比例し、電流値が短い方の電極S2の長さに比例するから、この場合、太陽電池サブモジュール1は有効領域R1により、電圧1/4・V[V]、電流3/8・I[A]の電力を出力する。
【0030】
また、図7は、リボンワイヤ31、33(電極S1、S3)が外部負荷6と接続された場合を示しており、この場合の有効領域R2による出力は、縦1/2・h、横1/4・lの太陽電池サブモジュール1による出力に等しい。
上記同様、この場合、太陽電池サブモジュール1は有効領域R2により、電圧1/2・V[V]、電流1/4・I[A]の電力を出力する。
【0031】
また、図8は、リボンワイヤ31、34(電極S1、S4)が外部負荷6と接続された場合を示しており、この場合の有効領域R3による出力は、縦3/4・h、横1/8・lの太陽電池サブモジュール1による出力に等しい。
上記同様、この場合、太陽電池サブモジュール1は有効領域R3により、電圧3/4・V[V]、電流1/8・I[A]の電力を出力する。
【0032】
さらに、同様に、図9(a)はリボンワイヤ32、33(電極S2、S3)が外部負荷6と接続された場合の有効領域R4(縦1/4・h、横1/4・l)を、図9(b)はリボンワイヤ32、34(電極S2、S4)が外部負荷6と接続された場合の有効領域R5(縦1/2・h、横1/8・l)を、図9(c)はリボンワイヤ33、34(電極S3、S4)が外部負荷6と接続された場合の有効領域R6(縦1/4・h、横1/8・l)を示している。
これらの場合の出力は、R4によれば電圧1/4・V[V]、電流1/4・I[A]、R5によれば電圧1/2・V[V]、電流1/8・I[A]、R6によれば電圧1/4・V[V]、電流1/8・I[A]となる。
【0033】
以上の通り、本実施形態においては、リボンワイヤ31、32、33、34を介して電極S1、S2、S3、S4のいずれか2箇所を選択して外部負荷6に出力する方法は6通りある。そして、それぞれの場合における有効領域R1、R2、R3、R4、R5、R6については、リボンワイヤ31、32(電極S1、S2)を接続した有効領域R1により出力する場合、電流値が最も大きい。また、リボンワイヤ31、33(電極S1、S3)を接続した有効領域R2により出力する場合、太陽電池サブモジュール1の発電領域を最も広く使っており、電力量も最大である。また、リボンワイヤ31、34(電極S1、S4)を接続した有効領域R3により出力する場合、電圧値が最も大きい。
【0034】
本発明により、複数の太陽電池モジュールにより仕様の異なる太陽電池アレイを組む場合であっても、切替スイッチ41a、41bを切り換えるだけで、各種の太陽電池アレイの仕様に応じた出力に設定することができる。そのため、システム毎の仕様に応じた専用の太陽電池モジュールを製造する必要がなく、工程管理が容易で生産性が良い。
【0035】
続いて、本発明の第二の実施形態について図10を参照して説明する。
本実施形態に係る太陽電池サブモジュール8は、第一の実施形態と同様の太陽電池サブモジュール1と、リボンワイヤ31、32、33、34と共に、本実施形態に固有の端子箱42を有している。
【0036】
端子箱42は、リボンワイヤ31、32、33、34を集約すると共に、切替スイッチ42aを有している。
切替スイッチ42aは、リボンワイヤ32、33、34を介して、外部負荷6と、電極S2、S3、S4のいずれかとを任意に切り換えて電気的に接続させることができる。
一方、電極S1、S2、S3、S4のうち最も長い電極S1に取り付けられているリボンワイヤ31は、外部負荷6に直接、固定的に接続されている。
【0037】
本実施形態に係る太陽電池モジュールにおいては、リボンワイヤ31が固定的に接続されているため、図6、7、8に示される有効領域R1、R2、R3のいずれかによる出力のみを行うことができる。
有効領域R1、R2、R3は、それぞれ、最大の電流値、電力量、電圧値を出力するものであるから、システムに応じて発電効率のよい出力を選択することができる。
【0038】
なお、以上の本発明の実施形態においては、太陽電池サブモジュール1、8の形状は、直角二等辺三角形状としたが、これに限らず、図11(a)に示すように、他の三角形状、図11(b)、(c)に示すような台形状であってもよい。
【0039】
なお、以上の本発明の実施形態においては、切替スイッチ41a、41b、42aにより、リボンワイヤ31、32、33、34を介して、外部負荷6と電気的に接続させる電極S1、S2、S3、S4を切り換えることができるようにしているが、切替スイッチ41a、41b、42aを設けず、太陽電池モジュールを設置する際に、リボンワイヤ31、32、33、34のうちのいずれか2本を出力端子として、外部負荷6と固定的に接続させるようにしてもよい。
【0040】
また、以上の本発明の実施形態においては、電極S1、S2、S3、S4を4箇所設けているが、これに限らず、3箇所以上設けることで、出力の切り替えが可能な太陽電池サブモジュール1、8を構成することができる。
さらに、電極S1、S2、S3、S4を形成する間隔は、一定間隔でもよいほか、変則的な間隔とすることもでき、各種の仕様に応じた出力を選択できるように間隔を調整して形成させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る太陽電池モジュールが有する構造を示す平面図である。
【図2】本実施形態において、太陽電池サブモジュールの結線構造を示す結線図である。
【図3】本実施形態に係る太陽電池モジュールが有する構造を示す断面図である。
【図4】本実施形態において、太陽電池サブモジュールの積層構造を示す模式図である。
【図5】本実施形態に係る太陽電池モジュールと、標準的なサイズの太陽電池モジュールとの関係を示す平面図である。
【図6】本実施形態に係る太陽電池モジュールにおいて、一の使用例における発電の有効領域を示す図である。
【図7】本実施形態に係る太陽電池モジュールにおいて、別の使用例における発電の有効領域を示す図である。
【図8】本実施形態に係る太陽電池モジュールにおいて、別の使用例における発電の有効領域を示す図である。
【図9】本実施形態に係る太陽電池モジュールにおいて、別の使用例における発電の有効領域を示す図である。
【図10】本発明の第二の実施形態において、太陽電池サブモジュールの結線構造を示す結線図である。
【図11】本発明の別の実施形態に係る太陽電池モジュールが有する太陽電池サブモジュールの構造であって、(a)は二等辺三角形状、(b)は台形状、(c)等脚台形状のものを示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 太陽電池サブモジュール
1a 単位セル
10 太陽電池デバイス
10A 裏面電極層
10B p型CIS系光吸収層
10C 高抵抗バッファ層
10D n型窓層(透明導電膜)
20 ガラス基板
31 リボンワイヤ
32 リボンワイヤ
33 リボンワイヤ
34 リボンワイヤ
41 端子箱
41a 切替スイッチ
41b 切替スイッチ
42 端子箱
42a 切替スイッチ
5 ハンダ
6 外部負荷
7 太陽電池サブモジュール
8 太陽電池サブモジュール
R1 有効領域
R2 有効領域
R3 有効領域
R4 有効領域
R5 有効領域
R6 有効領域
S 電極
S1 電極
S2 電極
S3 電極
S4 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角形状又は台形状の基板上に、CIS系薄膜太陽電池デバイスが形成された太陽電池サブモジュールと、
上記太陽電池サブモジュール上に3箇所以上形成された帯状の電極と、を有する太陽電池モジュールであって、
上記CIS系薄膜太陽電池デバイスは、パターニングにより互いに平行に形成された複数の帯状の単位セルを電気的に直列接続してなり、
上記電極は、夫々の電極との間に一つ以上の単位セルを挟んで、上記複数の単位セルのうちの一つをはつって形成されており、
上記3箇所以上の電極のうちの任意の2箇所の電極が出力端として外部負荷に電気的に接続されて、上記太陽電池サブモジュールにおいて発生した電力が当該外部負荷に導出される、
ことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
任意に選択された2箇所の上記電極を出力端として上記外部負荷と電気的に接続させるスイッチ、をさらに有する、
請求項1記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
上記3箇所以上ある電極のうち、最も長く単位セルをはつって形成された電極が、上記外部負荷と電気的に固定接続されており、
上記スイッチは、上記外部負荷と電気的に固定的接続されている電極以外の電極のうちの任意の1箇所を出力端として上記外部負荷と電気的に接続させる、
請求項2記載の太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−267093(P2009−267093A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115121(P2008−115121)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】