太陽電池モジュール
【課題】保護基板に開口部が設けられていることに起因するシール性の低下を防止することにより、光電変換体の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑えた太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】本発明に係る太陽電池モジュール1A(1)は、基板11の一面11aに光電変換体12が形成されてなる太陽電池10と、光電変換体上に配された集電電極20と、集電電極に一端が電気的に接続され且つ光電変換体上に配された取り出し電極21と、基板の一面に光電変換体を少なくとも被覆するように配されたシール部材30と、シール部材上に配された保護基板40と、を備え、取り出し電極の他端21bが、保護基板に設けられた開口部41を通じて外側へ延設されており、開口部を少なくとも塞ぐように、シール部材と保護基板との間に ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されている。
【解決手段】本発明に係る太陽電池モジュール1A(1)は、基板11の一面11aに光電変換体12が形成されてなる太陽電池10と、光電変換体上に配された集電電極20と、集電電極に一端が電気的に接続され且つ光電変換体上に配された取り出し電極21と、基板の一面に光電変換体を少なくとも被覆するように配されたシール部材30と、シール部材上に配された保護基板40と、を備え、取り出し電極の他端21bが、保護基板に設けられた開口部41を通じて外側へ延設されており、開口部を少なくとも塞ぐように、シール部材と保護基板との間に ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護基板に開口部が設けられていることに起因するシール性の低下を防止できる太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーの効率的な利用の観点から、近年、太陽電池はますます広く一般に利用されつつある。例えば、シリコン単結晶を利用した太陽電池は、単位面積当たりのエネルギー変換効率に優れている。しかし、シリコン単結晶を利用した太陽電池は、シリコン単結晶インゴットをスライスしたシリコンウェハを用いるため、インゴットの製造に大量のエネルギーが費やされ、製造コストが高い。特に屋外などに設置される大面積の太陽電池を、シリコン単結晶を利用して実現しようとすると、相当にコストが掛かるのが現状である。
これに対して、より安価に製造可能なアモルファス(非結晶)シリコン薄膜を利用した太陽電池が、低コストの太陽電池として普及している。
【0003】
アモルファスシリコン太陽電池は、光を受けると電子とホール(正孔)を発生するi型のアモルファスシリコン膜を、p型およびn型のシリコン膜で挟んだpin接合と呼ばれる層構造の半導体膜が用いられ、この半導体膜の両面にそれぞれ電極を形成したものである。
太陽光によって発生した電子とホールは、p型・ n型半導体の電位差によって所定の方向に移動し、これが連続的に繰り返されることで発電する。
【0004】
こうしたアモルファスシリコン太陽電池の具体的な構成としては、例えば、受光面側となるガラス基板にTCO(透明導電性酸化物)などの透明電極を正の電極として成膜し、この上にアモルファスシリコンからなる半導体膜と、負の電極となるAg薄膜などを形成してなる。このような正負の電極と半導体膜からなる光電変換体を備えたアモルファスシリコン太陽電池は、基板上に広い面積で均一に各層を成膜しただけでは抵抗値の間題もあるため、例えば、光電変換体を所定のサイズごとに電気的に区画した区画素子を形成し、互いに隣接する区画素子同士を電気的に接続してなる。具体的には、基板上に広い面積で均一に形成した光電変換体に、レーザー光などでスクライブ線(スクライブライン)と称される溝を形成して多数の短冊状の区画素子とし、この区画素子同士を電気的に直列に接統した構造とする。
【0005】
ところで、図16に示すように、従来の一般的な太陽電池モジュール1A(1)01は、太陽電池110の一方の面に、保護基板130を接合してなる。保護基板130にはガラスやフッ素系樹脂フィルムなどが用いられ、EVA (エチレンー酢酸ビニル共重合体)などからなる封止材131を介して太陽電池110に接合されている。また、保護基板130には保護ボックス140が設置され、保護ボックス140には、出力用配線141が接続されている。保護ボックス140は、太陽電池110にて生じた電子とホールを取り出すための取り出し電極(図16では図示せず)の端部を覆うように設けられている。出力用配線141は。保護ボックス140内において取り出し電極に電気的に接続されている(例えば、特許文献1参照) 。
【0006】
図17は、図16中のX101-X102線における拡大断面図である。図17に示すように、太陽電池110は、透明なガラス基板111と、ガラス基板111の一方の面に形成される光電変換体112からなる。光電変換体112は上述したように多数の短冊状の区画素子からなる。光電変換体112上には、光電変換体112にて生じる電子とホールを集める集電電極120が配されており、集電電極120は太陽電池110の対向する一対の辺に沿ってそれぞれ設けられている。集電電極120には、光電変換体112にて生じた電子とホールを外部に向けて供給する取り出し電極121が接続されている。取り出し電極121は光電変換体112上に配され、取り出し電極121の一端121aは集電電極120に電気的に接続されている。なお、光電変換体112と取り出し電極121の間には絶縁シート122が配されている。
【0007】
保護基板130は、封止材131を介して太陽電池110、集電電極120及び取り出し電極121を覆うように重ねて配されている。また、保護基板130には開口部130aが形成されており、この開口部130aを介して取り出し電極121の他端121bが保護ボックス140内に延設されている。取り出し電極121は、他端121bにおいて出力用配線141と電気的に接続されている。保護ボックス140は、固定部材142を介して保護基板130に固定されている。また、保護ボックス140内にはポッティング材143が充填される場合がある。固定部材142及びポッティング材143には、一般的にシーラント系の樹脂が用いられている。
【0008】
しかしながら、取り出し電極121の他端121bを取り出すために保護基板130に開口部130aが設けられていることに起因する問題があった。
例えば、ガラスやフィルムからなる保護基板を封止材上にラミネートする際に、ガラスと封止材との間に空気が入りやすい。また、密着性やバリア性が低下してしまうなどの問題がある。
その結果、例えば光電変換体に対するシール機能が失われ、外部の大気中の水蒸気などが入り込み、その影響により光電変換体112が劣化・腐食し、太陽電池110の出力低下や寿命減少などの性能低下を引き起こす虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−223728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、保護基板に開口部が設けられていることに起因するシール性の低下を防止することにより、光電変換体の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑えた太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載の太陽電池モジュールは、基板の一面に、少なくとも第一電極層、半導体層及び第二電極層が、この順に重ねられた光電変換体が形成されてなる太陽電池と、前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された集電電極と、前記集電電極に一端が電気的に接続され且つ前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された取り出し電極と、前記基板の一面に、前記光電変換体を少なくとも被覆するように配されたシール部材と、前記シール部材上に配された保護基板と、を備え、前記取り出し電極の他端が、前記保護基板に設けられた開口部を通じて該保護基板の外側へ延設されており、前記開口部を少なくとも塞ぐように、前記シール部材と前記保護基板との間に ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材が配されていること、を特徴とする太陽電池モジュール。
本発明の請求項2に記載の太陽電池モジュールは、請求項1において、前記封止部材は、前記保護基板の前記開口部をさらに埋めるように配されていること、を特徴とする。
本発明の請求項3に記載の太陽電池モジュールは、請求項1又は2において、前記取り出し電極の他端部を覆うように、前記保護基板上に配された保護ボックスと、前記保護ボックスの内部において、前記取り出し電極の他端の周囲に充填されたポッティング材と、をさらに備えていること、を特徴とする。
本発明の請求項4に記載の太陽電池モジュールは、基板の一面に、少なくとも第一電極層、半導体層及び第二電極層が、この順に重ねられた光電変換体が形成されてなる太陽電池と、前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された集電電極と、前記集電電極に一端が電気的に接続され且つ前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された取り出し電極と、前記基板の一面に、前記光電変換体を少なくとも被覆するように配されたシール部材と、前記シール部材上に配された保護基板と、を備え、前記取り出し電極の他端が、前記保護基板に設けられた開口部を通じて該保護基板の外側へ延設されており、前記開口部を少なくとも覆うように、前記保護基板上に、ポリイソブチレン系またはブチル系の樹脂からなる封止部材が配されていること、を特徴とする。
本発明の請求項5に記載の太陽電池モジュールは、請求項4において、前記封止部材は、前記保護基板の前記開口部をさらに埋めるように配されていること、を特徴とする。
本発明の請求項6に記載の太陽電池モジュールは、請求項4又は5において、前記取り出し電極の他端部を覆うように、前記保護基板及び前記封止部材上に配された保護ボックスと、前記保護ボックスの内部において、前記取り出し電極の他端の周囲に充填されたポッティング材と、をさらに備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の太陽電池モジュールでは、前記保護基板に設けられた開口部を少なくとも塞ぐように、前記シール部材と前記保護基板との間に ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材が配されているので、開口部に起因する密着性、バリア性の低下などの問題がない。すなわち、開口部が前記封止部材により覆われているので、開口部から外部の大気中の水蒸気などが入り込むことを防止することができる。その結果、本発明では、シール性の低下を防止することができ、光電変換体の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑え、信頼性の高い太陽電池モジュールを提供することができる。
また、本発明の太陽電池モジュールでは、前記保護基板に設けられた開口部を少なくとも覆うように、前記保護基板上に、ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材が配されているので、開口部に起因する密着性、バリア性の低下などの問題がない。すなわち、開口部が前記封止部材により覆われているので、開口部から外部の大気中の水蒸気などが入り込むことを防止することができる。その結果、本発明では、シール性の低下を防止することができ、光電変換体の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑え、信頼性の高い太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る太陽電池モジュールの第一の構成例を模式的に示す斜視図。
【図2】図1に示す太陽電池モジュールの要部拡大断面図。
【図3】図1及び図2に示した太陽電池モジュールの製造方法を説明する斜視図。
【図4】図3の次工程を説明する斜視図。
【図5】図4の次工程を説明する斜視図。
【図6】図5の次工程を説明する斜視図。
【図7】図6の次工程を説明する斜視図。
【図8】図7の次工程を説明する斜視図。
【図9】図8の次工程を説明する斜視図。
【図10】図9の次工程を説明する斜視図。
【図11】本発明に係る太陽電池モジュールの第二の構成例を模式的に示す要部拡大断面図。
【図12】図11に示した太陽電池モジュールの製造方法を説明する斜視図。
【図13】図12の次工程を説明する斜視図。
【図14】図13の次工程を説明する斜視図。
【図15】図14の次工程を説明する斜視図。
【図16】従来の太陽電池モジュールの一構成例を模式的に示す斜視図。
【図17】図16に示す太陽電池モジュールの要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の太陽電池モジュール及びその製造方法について、図面を引用しながら詳しく説明する。なお、以下の説明で使用する図面は、本発明の特徴を判り易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0015】
<第一実施形態>
図1及び図2は、本実施形態の太陽電池モジュール1A(1)の構成例を模式的に示す図であり、図1は斜視図、図2は図1中X1−X2線における拡大断面図である。
図1に示すように、太陽電池モジュール1A(1)は、基板11の一面に、少なくとも第一電極層13、半導体層14及び第二電極層15が、この順に重ねられた光電変換体12が形成されてなる太陽電池と、前記光電変換体12を構成する前記第二電極層15上に配された集電電極20と、前記集電電極20に一端21aが電気的に接続され且つ前記光電変換体12を構成する前記第二電極層15上に配された取り出し電極21と、前記基板11の一面に、前記光電変換体12を少なくとも被覆するように配されたシール部材30と、前記シール部材30上に配された保護基板40と、を備える。
【0016】
太陽電池モジュール1A(1)は、前記取り出し電極21の他端21bが、前記保護基板40に設けられた開口部41を通じて該保護基板40の外側へ延設されている。さらに、前記取り出し電極21の他端21bを覆うように、前記保護基板40上に配された保護ボックス60と、前記保護ボックス60の内部において、前記取り出し電極21の他端21bの周囲に充填されたポッティング材63と、を備える。
そして本発明の太陽電池モジュール1A(1)は、前記開口部41を少なくとも塞ぐように、前記シール部材30と前記保護基板40との間にポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されていること、を特徴とする。
【0017】
太陽電池10は、略矩形板状に成形されており、入射された太陽光のエネルギーから電気を発生するものである。なお、太陽電池10における光の入射面は、図1における紙面下側の面である。太陽電池10は、公知のもので良く、例えば、アモルファス型、マイクロクリスタル型等が例示でき、さらに、薄膜型、タンデム型等が例示できるが、これらに限定されない。
図2に示すように、太陽電池10は、基板11と、光電変換体12とを備える。
基板11は、例えば、ガラスや透明樹脂等、太陽光の透過性に優れ、かつ耐久性を有する絶縁材料で形成されていれば良い。基板11は、略矩形板状に成形されている。
【0018】
光電変換体12は、基板11の一面11a上に形成されており、太陽光のエネルギーを電気に変換するものである。光電変換体12に対して、基板11の他面11b側から太陽光を入射させることで、太陽電池10を発電させることができる。
光電変換体12は、多数の区画素子に分割されている。この区画素子は、隣接する区画素子同士の間で、例えば、電気的に直列に接続されている。これにより、光電変換体12は、多数の区画素子を全て電気的に直列に繋いだ形態となり、高い電位差の電気を取り出すことができる。
【0019】
また、図2の上部に示すように、光電変換体12は、基板11の一面11aに、少なくとも第一電極層13、半導体層14及び第二電極層15がこの順に積層されてなる。
第一電極層13は、透明な導電材料、例えば、ITOなどの光透過性の金属酸化物(TCO)で形成されていれば良い。
第二電極層15は、銀(Ag)、銅(CU)などの導電性の金属膜で形成されていれば良い。
【0020】
ここで、例えば太陽電池10が薄膜シリコン太陽電池である場合、半導体層14は、p型シリコン膜16とn型シリコン膜17との間にi型シリコン膜18を挟んだpin接合構造を成す。そして、この半導体層14に太陽光が入射すると、電子とホール(正孔)が生じて、p型シリコン膜16とn型シリコン膜17との電位差によって所定の方向に移動し、これが連続的に繰り返されることで第一電極層13と第二電極層15との間に電位差が生じる(光電効果)。なお、これらのシリコン膜は、アモルファス型、マイクロクリスタル型等、いずれでも良い。
また、ここでは半導体層14として、pin接合構造が一層であるものを例示しているが、これに限定されず、pin接合構造が二層又は三層等、複数層であるタンデム型でも良い。このようなタンデム型の半導体層14の場合、照射する光の波長により、光電変換を行う層を調節するようにできる。
【0021】
図2に示すように、太陽電池10の光電変換体12上には、集電電極20及び取り出し電極21が配されている。
集電電極20は、太陽電池10を構成する第二電極層15上に配されている。集電電極20は、太陽電池10の対向する一対の辺に沿う方向(紙面垂直方向)に延在して、それぞれ設けられている。また、集電電極20は、例えばリボン状の銅箔などの導電物とその周囲に設けられたメッキ層からなり、半田等を用いて第二電極層15に電気的に接続されている。なお、集電電極20は、メッキ層で覆われていなくても良い。
【0022】
取り出し電極21は、太陽電池10において発生した電気をシール部材30の外側に向けて供給する一対の電極であって、例えばリボン状の銀箔などの導電物であり、その周囲をメッキ層が覆っていてもいなくても良い。取り出し電極21は太陽電池10を構成する第二電極層15上に配されている。取り出し電極21の一端21aは半田等を用いて集電電極20に電気的に接続されている。一方、取り出し電極21の他端21bは、太陽電池10から立ち上がるように折り曲げられている。
【0023】
また、少なくとも取り出し電極21と太陽電池10との間には、絶縁シート22が配されている。なお、本実施形態における絶縁シート22は、取り出し電極21の周囲を被覆するように設けられている。絶縁シート22の材質は、樹脂類であることが好ましく、合成樹脂であることがより好ましい。好ましい合成樹脂としては、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂が例示できる。絶縁シート22は公知のもので良く、市販品を使用しても良い。
【0024】
シール部材30は、太陽電池10を構成する光電変換体12を全面的に封止しており、そのシール機能により光電変換体12に外気や水蒸気が接触することを防いでいる。
シール部材30を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル樹脂;ポリエチレン;、ポリプロピレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC);エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等を用いることができる。
【0025】
保護基板40は、シール部材30を介して太陽電池10、集電電極20及び取り出し電極21を覆うように重ねて配されている。また、保護基板40には開口部41が設けられており、この開口部41を介して取り出し電極21の他端21bが外部に引き出されている。
保護基板40は、例えば、ガラスや樹脂等、耐久性を有する絶縁材料で形成されていれば良い。
【0026】
そして本発明の太陽電池モジュール1A(1)は、前記開口部41を少なくとも塞ぐように、前記シール部材30と前記保護基板40との間にポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されていること、を特徴とする。
本発明の太陽電池モジュール1A(1)では、前記保護基板40に設けられた開口部41を少なくとも塞ぐように、前記シール部材30と前記保護基板40との間に ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されているので、開口部41に起因する密着性、バリア性の低下などの問題がない。すなわち、開口部41が前記封止部材50により覆われているので、開口部41から外部の大気中の水蒸気などが入り込むことを防止することができる。これにより、本発明の太陽電池モジュール1A(1)は、シール性の低下を防止することができ、光電変換体12の劣化・腐食を防止し、太陽電池10の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑え、信頼性の高いものとなる。
【0027】
封止部材50は、いわゆる水蒸気バリア性を有する樹脂からなることが好ましい。封止部材50をなす樹脂は、流動性を有する状態から硬化する樹脂である、例えばポリイソブチレン系やブチル系の樹脂が用いられるがこれに限定されない。
ポリイソブチレン系の樹脂としては、大気中の水分と反応して硬化するものや、含まれる溶剤等が揮発することで硬化するものなどが存在する。ブチル系の樹脂としては、ブチルゴム等が例示され、熱を加えることで軟化して流動性を有する状態となり、冷却することで再び硬化するものが挙げられる。
【0028】
前記封止部材50は、前記保護基板40の前記開口部41をさらに埋めるように配されていることが好ましい。これにより、開口部41から外部の大気中の水蒸気などが入り込むことをより確実に防止することができる。
【0029】
保護ボックス60は、いわゆるジャンクションボックスと称されるものであって、保護基板40に固定されている。保護ボックス60は、太陽電池10において発生した電気を外部に向けて供給する取り出し電極21(図1では不図示)の端部を保護するためのものである。保護ボックス60には一対の出力用配線61が接続されている。出力用配線61は、太陽電池10から取り出された電気を外部に出力するための配線である。
【0030】
保護ボックス60は、ボックス本体部60aと、蓋部60bとを備える。
ボックス本体部60aは、取り出し電極21の他端21bを囲うように配され、固定部材62を介して保護基板40に固定されている。ボックス本体部60aは、一方の開口端において保護基板40に固定されている。固定部材62をなす樹脂には、例えば流動性を有する状態から硬化するものが用いられている。なお、固定部材62をなす樹脂は、例えばシーラント系の樹脂が用いられ、硬化時におけるボックス本体部60aと保護基板40との間の十分な固定強度を確保でき、且つ硬化後に加熱しても固定強度が変化しない(軟化しない)ものが用いられる。
【0031】
蓋部60bは、ボックス本体部60aの他方の開口端を閉塞できる大きさで成形されている。
【0032】
ボックス本体部60aと蓋部60bとが互いに固定されてなる保護ボックス60は、取り出し電極21の他端21bを覆うように配されている。換言すれば、保護ボックス60には、取り出し電極21の他端21bが内包されている。また、保護ボックス60内において、取り出し電極21の他端21bと、出力用配線61とが互いに電気的に接続されている。そのため、太陽電池10で発生した電気を集電電極20、取り出し電極21及び出力用配線61を介して外部に出力することが可能となっている。
【0033】
保護ボックス60の内部には、取り出し電極21の他端21bの周囲に充填されるポッティング材63が設けられている。ポッティング材63をなす樹脂は、例えばシーラント系の樹脂であり、流動性を有する状熊から硬化するものが用いられる。ポッティング材63を充填することで、取り出し電極21の他端21bを保持することか可能となっている。なお、ポッティング材63が保護ボックス60内に設けられない構成であっても良い。
【0034】
次に、このような太陽電池モジュール1A(1)の製造方法について説明する。図3〜図10は、本発明の太陽電池モジュール1A(1)の製造方法を説明する斜視図である。
太陽電池モジュール1A(1)の製造方法は、基板11の一面11aに、前記光電変換体12、前記集電電極20及び前記取り出し電極21を重ねて配した後に、前記基板11の一面11aに、前記光電変換体12を少なくとも被覆するように樹脂を塗布することにより前記シール部材30を設ける工程を少なくとも有すること、を特徴とする。
【0035】
本発明では、前記基板11の一面11aに、前記光電変換体12を少なくとも被覆するように樹脂を塗布することで、簡便に前記シール部材30を設けることができる。これにより本発明では、シール性の低下が防止され、光電変換体12の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下が抑えられた太陽電池モジュール1A(1)を簡便に製造することができる。
【0036】
太陽電池10は公知の方法に従って製造できる。例えば、基板11の一面11a上に第一電極層13、半導体層14及び第二電極層15をこの順に積層して光電変換体12を形成する。なお、各層の厚さは従来の太陽電池と同様である。
【0037】
光電変換体12は、図3に示すように、通常、スクライブ線19によって、例えば、外形が短冊状の多数の区画素子12aに分割される。この区画素子12aは、互いに隣接する区画素子12a同士の間で、例えば、電気的に直列に接続される。これにより、光電変換体12は、多数の区画素子12aを全て電気的に直列に繋いだ形態となり、高い電位差の電気を取り出すことができる。スクライブ線19は、例えば、基板11の一面11aに均一に光電変換体12を形成した後、レーザー等によって光電変換体12に所定の間隔で溝を形成することにより形成すれば良い。また、必要に応じて、第二電極層15上に保護層を積層しても良い。
【0038】
次に、光電変換体12を構成する第二電極層15上に集電電極20を配する。
図4に示すように、多数の区画素子12aのうち、両端に位置する区画素子12aの第二電極層15上に、例えば半田20aを介して一対の集電電極20を電気的に接続する。接続には一般的な半田ごてが用いられる。集電電極20はリボン状の銅箔などの導電物とその周囲に設けられたメッキ層からなり、区画素子12aの延在方向に平行して配される。なお、集電電極20は、メッキ層で覆われていなくても良い。
【0039】
次に、光電変換体12を構成する第二電極層15上に取り出し電極21を配する。
図5に示すように、取り出し電極21は、集電電極20と同様に、リボン状の銀箔などの導電物であり、その周囲をメッキ層が覆っていてもいなくても良い。なお、取り出し電極21を第二電極層15上に配するときに、第二電極層15と取り出し電極21との間に絶縁シート22を配する。
また、取り出し電極21の一端21aを、集電電極20に電気的に接続する。この接続には半田を用いても良いし、超音波半田ごて等を用いて集電電極20及び取り出し電極21のメッキ層を溶融させることで接続しても良い。一方、取り出し電極21の他端21bは、光電変換体12から立ち上がるように折り曲げておく。
【0040】
次に、太陽電池10にシール部材30を全面的に形成する。
図6に示すように、シール部材30を、太陽電池10を被覆するように重ねて形成する。
シール部材30をなす樹脂が流動性を有するときに、基板11の一面11aに、光電変換体12を少なくとも被覆するように樹脂を塗布し、その後、当該樹脂を硬化させる。シール部材30をなす樹脂を硬化させる方法は、当該樹脂に応じた方法を適宜使用すれば良い。
なお、このとき、取り出し電極21の他端21bを、シール部材30の外側に延出させておく。
【0041】
そして、図7に示すように、前記シール部材30上の、保護基板40の開口部41と対応する部位に、ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50を形成する。
封止部材50をなす樹脂が流動性を有するときに、シール部材30上の、保護基板40の開口部41と対応する部位に樹脂を塗布し、その後、当該樹脂を硬化させる。封止部材50をなす樹脂を硬化させる方法は、当該樹脂に応じた方法を適宜使用すれば良い。
このとき、封止部材50を、前記保護基板40の前記開口部41をさらに埋めるように形成することが好ましい。
【0042】
そして、図8に示すように、シール部材30及び封止部材50上に前記保護基板40を設け、固定する。なお、このとき、取り出し電極21の他端21bを、シール部材30、及び保護基板40に設けられた開口部41を通じて、被覆基板40の外側に延出させる。
【0043】
次に、保護基板40に、保護ボックス60のボックス本体部60aを固定する。
図9に示すように、ボックス本体部60aを、固定部材62(図9では不図示)を用いて、取り出し電極21の他端21bを囲む位置において保護基板40に接合する。固定部材62をなす樹脂が流動性を有するときに、当該樹脂をボックス本体部60a又は保護基板40の固定部分に配し、ボックス本体部60aを保護基板40に接続させた後に当該樹脂を硬化させることで、ボックス本体部60aを保護基板40に固定する。
なお、保護基板40を設けた後に、取り出し電極21の他端21bと出力用配線61とを電気的に接続させる。
【0044】
次に、保護ボックス60のボックス本体部60a内にポッティング材63を充填する。図10に示すように、ボックス本体部60a内にポッティング材63を充填する。ポクティング材63を硬化させることで、取り出し電極21の他端21bが保持される。
最後に、保護ボックス60のボックス本体部60aに蓋部60b(図10では不図示)を固定することで、太陽電池モジュール1A(1)の製造が完了する。
【0045】
<第二実施形態>
次に、本発明の太陽電池モジュールの第二実施形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した第一実施形態と異なる部分について主に説明し、第一実施形態と同様の部分についてはその説明を省略する。
【0046】
図11は、本実施形態の太陽電池モジュール1B(1)の構成例を模式的に示す要部拡大断面図である。
上述した第一実施形態では、保護基板40に設けられた開口部41を少なくとも塞ぐように、前記シール部材30と前記保護基板40との間に封止部材50が配されていたが、実施形態の太陽電池モジュール1B(1)は、保護基板40に設けられた開口部41を少なくとも覆うように、前記保護基板40上に、ポリイソブチレン系またはブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されていること、を特徴とする。
【0047】
本実施形態では、前記保護基板40に設けられた開口部41を少なくとも覆うように、前記保護基板40上に、ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されているので、開口部41に起因する密着性、バリア性の低下などの問題がない。すなわち、開口部41が前記封止部材50により覆われているので、開口部41から外部の大気中の水蒸気などが入り込むことを防止することができる。これにより、本発明の太陽電池モジュール1B(1)では、シール性の低下を防止することができ、光電変換体12の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑え、信頼性の高いものとなる。
【0048】
次に、このような太陽電池モジュール1B(1)の製造方法について説明する。図12〜図15は、太陽電池モジュール1B(1)の製造方法を説明する斜視図である。
まず、太陽電池10にシール部材30を全面的に形成する。シール部材30を、太陽電池10を被覆するように重ねて形成する。なお、このとき、取り出し電極21の他端21bを、シール部材30の外側に延出させておく。
そして、図12に示すように、前記シール部材30に、前記保護基板40を設け、固定する。なお、このとき、取り出し電極21の他端21bを、シール部材30、及び保護基板40に設けられた開口部41を通じて、被覆基板40の外側に延出させる。
【0049】
そして、図13に示すように、前記保護基板40に設けられた開口部41を少なくとも覆うように、前記保護基板40上にポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50を形成する。
封止部材50をなす樹脂が流動性を有するときに、シール部材30上の、保護基板40の開口部41と対応する部位に樹脂を塗布し、その後、当該樹脂を硬化させる。封止部材50をなす樹脂を硬化させる方法は、当該樹脂に応じた方法を適宜使用すれば良い。
このとき、封止部材50を、前記保護基板40の前記開口部41をさらに埋めるように形成することが好ましい。
【0050】
次に、図14に示すように、保護基板40に、保護ボックス60のボックス本体部60aを固定する。
そして、図15に示すように、保護ボックス60のボックス本体部60a内にポッティング材63を充填し、最後に、保護ボックス60のボックス本体部60aに蓋部60b(図15では不図示)を固定することで、太陽電池モジュール1B(1)の製造が完了する。
【0051】
以上、本発明の太陽電池モジュールについて説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、太陽電池モジュールに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1A、1B(1) 太陽電池モジュール、10 太陽電池、11 基板、11a 一面、12 光電変換体、13 第一電極層、14 半導体層、15 第二電極層、20 集電電極、21 取り出し電極、21a 一端、21b 他端、30 シール部材、40 保護基板、41 開口部、50 封止部材、60 保護ボックス、62 固定部材、63 ポッティング材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護基板に開口部が設けられていることに起因するシール性の低下を防止できる太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーの効率的な利用の観点から、近年、太陽電池はますます広く一般に利用されつつある。例えば、シリコン単結晶を利用した太陽電池は、単位面積当たりのエネルギー変換効率に優れている。しかし、シリコン単結晶を利用した太陽電池は、シリコン単結晶インゴットをスライスしたシリコンウェハを用いるため、インゴットの製造に大量のエネルギーが費やされ、製造コストが高い。特に屋外などに設置される大面積の太陽電池を、シリコン単結晶を利用して実現しようとすると、相当にコストが掛かるのが現状である。
これに対して、より安価に製造可能なアモルファス(非結晶)シリコン薄膜を利用した太陽電池が、低コストの太陽電池として普及している。
【0003】
アモルファスシリコン太陽電池は、光を受けると電子とホール(正孔)を発生するi型のアモルファスシリコン膜を、p型およびn型のシリコン膜で挟んだpin接合と呼ばれる層構造の半導体膜が用いられ、この半導体膜の両面にそれぞれ電極を形成したものである。
太陽光によって発生した電子とホールは、p型・ n型半導体の電位差によって所定の方向に移動し、これが連続的に繰り返されることで発電する。
【0004】
こうしたアモルファスシリコン太陽電池の具体的な構成としては、例えば、受光面側となるガラス基板にTCO(透明導電性酸化物)などの透明電極を正の電極として成膜し、この上にアモルファスシリコンからなる半導体膜と、負の電極となるAg薄膜などを形成してなる。このような正負の電極と半導体膜からなる光電変換体を備えたアモルファスシリコン太陽電池は、基板上に広い面積で均一に各層を成膜しただけでは抵抗値の間題もあるため、例えば、光電変換体を所定のサイズごとに電気的に区画した区画素子を形成し、互いに隣接する区画素子同士を電気的に接続してなる。具体的には、基板上に広い面積で均一に形成した光電変換体に、レーザー光などでスクライブ線(スクライブライン)と称される溝を形成して多数の短冊状の区画素子とし、この区画素子同士を電気的に直列に接統した構造とする。
【0005】
ところで、図16に示すように、従来の一般的な太陽電池モジュール1A(1)01は、太陽電池110の一方の面に、保護基板130を接合してなる。保護基板130にはガラスやフッ素系樹脂フィルムなどが用いられ、EVA (エチレンー酢酸ビニル共重合体)などからなる封止材131を介して太陽電池110に接合されている。また、保護基板130には保護ボックス140が設置され、保護ボックス140には、出力用配線141が接続されている。保護ボックス140は、太陽電池110にて生じた電子とホールを取り出すための取り出し電極(図16では図示せず)の端部を覆うように設けられている。出力用配線141は。保護ボックス140内において取り出し電極に電気的に接続されている(例えば、特許文献1参照) 。
【0006】
図17は、図16中のX101-X102線における拡大断面図である。図17に示すように、太陽電池110は、透明なガラス基板111と、ガラス基板111の一方の面に形成される光電変換体112からなる。光電変換体112は上述したように多数の短冊状の区画素子からなる。光電変換体112上には、光電変換体112にて生じる電子とホールを集める集電電極120が配されており、集電電極120は太陽電池110の対向する一対の辺に沿ってそれぞれ設けられている。集電電極120には、光電変換体112にて生じた電子とホールを外部に向けて供給する取り出し電極121が接続されている。取り出し電極121は光電変換体112上に配され、取り出し電極121の一端121aは集電電極120に電気的に接続されている。なお、光電変換体112と取り出し電極121の間には絶縁シート122が配されている。
【0007】
保護基板130は、封止材131を介して太陽電池110、集電電極120及び取り出し電極121を覆うように重ねて配されている。また、保護基板130には開口部130aが形成されており、この開口部130aを介して取り出し電極121の他端121bが保護ボックス140内に延設されている。取り出し電極121は、他端121bにおいて出力用配線141と電気的に接続されている。保護ボックス140は、固定部材142を介して保護基板130に固定されている。また、保護ボックス140内にはポッティング材143が充填される場合がある。固定部材142及びポッティング材143には、一般的にシーラント系の樹脂が用いられている。
【0008】
しかしながら、取り出し電極121の他端121bを取り出すために保護基板130に開口部130aが設けられていることに起因する問題があった。
例えば、ガラスやフィルムからなる保護基板を封止材上にラミネートする際に、ガラスと封止材との間に空気が入りやすい。また、密着性やバリア性が低下してしまうなどの問題がある。
その結果、例えば光電変換体に対するシール機能が失われ、外部の大気中の水蒸気などが入り込み、その影響により光電変換体112が劣化・腐食し、太陽電池110の出力低下や寿命減少などの性能低下を引き起こす虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−223728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、保護基板に開口部が設けられていることに起因するシール性の低下を防止することにより、光電変換体の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑えた太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載の太陽電池モジュールは、基板の一面に、少なくとも第一電極層、半導体層及び第二電極層が、この順に重ねられた光電変換体が形成されてなる太陽電池と、前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された集電電極と、前記集電電極に一端が電気的に接続され且つ前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された取り出し電極と、前記基板の一面に、前記光電変換体を少なくとも被覆するように配されたシール部材と、前記シール部材上に配された保護基板と、を備え、前記取り出し電極の他端が、前記保護基板に設けられた開口部を通じて該保護基板の外側へ延設されており、前記開口部を少なくとも塞ぐように、前記シール部材と前記保護基板との間に ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材が配されていること、を特徴とする太陽電池モジュール。
本発明の請求項2に記載の太陽電池モジュールは、請求項1において、前記封止部材は、前記保護基板の前記開口部をさらに埋めるように配されていること、を特徴とする。
本発明の請求項3に記載の太陽電池モジュールは、請求項1又は2において、前記取り出し電極の他端部を覆うように、前記保護基板上に配された保護ボックスと、前記保護ボックスの内部において、前記取り出し電極の他端の周囲に充填されたポッティング材と、をさらに備えていること、を特徴とする。
本発明の請求項4に記載の太陽電池モジュールは、基板の一面に、少なくとも第一電極層、半導体層及び第二電極層が、この順に重ねられた光電変換体が形成されてなる太陽電池と、前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された集電電極と、前記集電電極に一端が電気的に接続され且つ前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された取り出し電極と、前記基板の一面に、前記光電変換体を少なくとも被覆するように配されたシール部材と、前記シール部材上に配された保護基板と、を備え、前記取り出し電極の他端が、前記保護基板に設けられた開口部を通じて該保護基板の外側へ延設されており、前記開口部を少なくとも覆うように、前記保護基板上に、ポリイソブチレン系またはブチル系の樹脂からなる封止部材が配されていること、を特徴とする。
本発明の請求項5に記載の太陽電池モジュールは、請求項4において、前記封止部材は、前記保護基板の前記開口部をさらに埋めるように配されていること、を特徴とする。
本発明の請求項6に記載の太陽電池モジュールは、請求項4又は5において、前記取り出し電極の他端部を覆うように、前記保護基板及び前記封止部材上に配された保護ボックスと、前記保護ボックスの内部において、前記取り出し電極の他端の周囲に充填されたポッティング材と、をさらに備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の太陽電池モジュールでは、前記保護基板に設けられた開口部を少なくとも塞ぐように、前記シール部材と前記保護基板との間に ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材が配されているので、開口部に起因する密着性、バリア性の低下などの問題がない。すなわち、開口部が前記封止部材により覆われているので、開口部から外部の大気中の水蒸気などが入り込むことを防止することができる。その結果、本発明では、シール性の低下を防止することができ、光電変換体の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑え、信頼性の高い太陽電池モジュールを提供することができる。
また、本発明の太陽電池モジュールでは、前記保護基板に設けられた開口部を少なくとも覆うように、前記保護基板上に、ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材が配されているので、開口部に起因する密着性、バリア性の低下などの問題がない。すなわち、開口部が前記封止部材により覆われているので、開口部から外部の大気中の水蒸気などが入り込むことを防止することができる。その結果、本発明では、シール性の低下を防止することができ、光電変換体の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑え、信頼性の高い太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る太陽電池モジュールの第一の構成例を模式的に示す斜視図。
【図2】図1に示す太陽電池モジュールの要部拡大断面図。
【図3】図1及び図2に示した太陽電池モジュールの製造方法を説明する斜視図。
【図4】図3の次工程を説明する斜視図。
【図5】図4の次工程を説明する斜視図。
【図6】図5の次工程を説明する斜視図。
【図7】図6の次工程を説明する斜視図。
【図8】図7の次工程を説明する斜視図。
【図9】図8の次工程を説明する斜視図。
【図10】図9の次工程を説明する斜視図。
【図11】本発明に係る太陽電池モジュールの第二の構成例を模式的に示す要部拡大断面図。
【図12】図11に示した太陽電池モジュールの製造方法を説明する斜視図。
【図13】図12の次工程を説明する斜視図。
【図14】図13の次工程を説明する斜視図。
【図15】図14の次工程を説明する斜視図。
【図16】従来の太陽電池モジュールの一構成例を模式的に示す斜視図。
【図17】図16に示す太陽電池モジュールの要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の太陽電池モジュール及びその製造方法について、図面を引用しながら詳しく説明する。なお、以下の説明で使用する図面は、本発明の特徴を判り易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0015】
<第一実施形態>
図1及び図2は、本実施形態の太陽電池モジュール1A(1)の構成例を模式的に示す図であり、図1は斜視図、図2は図1中X1−X2線における拡大断面図である。
図1に示すように、太陽電池モジュール1A(1)は、基板11の一面に、少なくとも第一電極層13、半導体層14及び第二電極層15が、この順に重ねられた光電変換体12が形成されてなる太陽電池と、前記光電変換体12を構成する前記第二電極層15上に配された集電電極20と、前記集電電極20に一端21aが電気的に接続され且つ前記光電変換体12を構成する前記第二電極層15上に配された取り出し電極21と、前記基板11の一面に、前記光電変換体12を少なくとも被覆するように配されたシール部材30と、前記シール部材30上に配された保護基板40と、を備える。
【0016】
太陽電池モジュール1A(1)は、前記取り出し電極21の他端21bが、前記保護基板40に設けられた開口部41を通じて該保護基板40の外側へ延設されている。さらに、前記取り出し電極21の他端21bを覆うように、前記保護基板40上に配された保護ボックス60と、前記保護ボックス60の内部において、前記取り出し電極21の他端21bの周囲に充填されたポッティング材63と、を備える。
そして本発明の太陽電池モジュール1A(1)は、前記開口部41を少なくとも塞ぐように、前記シール部材30と前記保護基板40との間にポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されていること、を特徴とする。
【0017】
太陽電池10は、略矩形板状に成形されており、入射された太陽光のエネルギーから電気を発生するものである。なお、太陽電池10における光の入射面は、図1における紙面下側の面である。太陽電池10は、公知のもので良く、例えば、アモルファス型、マイクロクリスタル型等が例示でき、さらに、薄膜型、タンデム型等が例示できるが、これらに限定されない。
図2に示すように、太陽電池10は、基板11と、光電変換体12とを備える。
基板11は、例えば、ガラスや透明樹脂等、太陽光の透過性に優れ、かつ耐久性を有する絶縁材料で形成されていれば良い。基板11は、略矩形板状に成形されている。
【0018】
光電変換体12は、基板11の一面11a上に形成されており、太陽光のエネルギーを電気に変換するものである。光電変換体12に対して、基板11の他面11b側から太陽光を入射させることで、太陽電池10を発電させることができる。
光電変換体12は、多数の区画素子に分割されている。この区画素子は、隣接する区画素子同士の間で、例えば、電気的に直列に接続されている。これにより、光電変換体12は、多数の区画素子を全て電気的に直列に繋いだ形態となり、高い電位差の電気を取り出すことができる。
【0019】
また、図2の上部に示すように、光電変換体12は、基板11の一面11aに、少なくとも第一電極層13、半導体層14及び第二電極層15がこの順に積層されてなる。
第一電極層13は、透明な導電材料、例えば、ITOなどの光透過性の金属酸化物(TCO)で形成されていれば良い。
第二電極層15は、銀(Ag)、銅(CU)などの導電性の金属膜で形成されていれば良い。
【0020】
ここで、例えば太陽電池10が薄膜シリコン太陽電池である場合、半導体層14は、p型シリコン膜16とn型シリコン膜17との間にi型シリコン膜18を挟んだpin接合構造を成す。そして、この半導体層14に太陽光が入射すると、電子とホール(正孔)が生じて、p型シリコン膜16とn型シリコン膜17との電位差によって所定の方向に移動し、これが連続的に繰り返されることで第一電極層13と第二電極層15との間に電位差が生じる(光電効果)。なお、これらのシリコン膜は、アモルファス型、マイクロクリスタル型等、いずれでも良い。
また、ここでは半導体層14として、pin接合構造が一層であるものを例示しているが、これに限定されず、pin接合構造が二層又は三層等、複数層であるタンデム型でも良い。このようなタンデム型の半導体層14の場合、照射する光の波長により、光電変換を行う層を調節するようにできる。
【0021】
図2に示すように、太陽電池10の光電変換体12上には、集電電極20及び取り出し電極21が配されている。
集電電極20は、太陽電池10を構成する第二電極層15上に配されている。集電電極20は、太陽電池10の対向する一対の辺に沿う方向(紙面垂直方向)に延在して、それぞれ設けられている。また、集電電極20は、例えばリボン状の銅箔などの導電物とその周囲に設けられたメッキ層からなり、半田等を用いて第二電極層15に電気的に接続されている。なお、集電電極20は、メッキ層で覆われていなくても良い。
【0022】
取り出し電極21は、太陽電池10において発生した電気をシール部材30の外側に向けて供給する一対の電極であって、例えばリボン状の銀箔などの導電物であり、その周囲をメッキ層が覆っていてもいなくても良い。取り出し電極21は太陽電池10を構成する第二電極層15上に配されている。取り出し電極21の一端21aは半田等を用いて集電電極20に電気的に接続されている。一方、取り出し電極21の他端21bは、太陽電池10から立ち上がるように折り曲げられている。
【0023】
また、少なくとも取り出し電極21と太陽電池10との間には、絶縁シート22が配されている。なお、本実施形態における絶縁シート22は、取り出し電極21の周囲を被覆するように設けられている。絶縁シート22の材質は、樹脂類であることが好ましく、合成樹脂であることがより好ましい。好ましい合成樹脂としては、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂が例示できる。絶縁シート22は公知のもので良く、市販品を使用しても良い。
【0024】
シール部材30は、太陽電池10を構成する光電変換体12を全面的に封止しており、そのシール機能により光電変換体12に外気や水蒸気が接触することを防いでいる。
シール部材30を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル樹脂;ポリエチレン;、ポリプロピレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC);エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等を用いることができる。
【0025】
保護基板40は、シール部材30を介して太陽電池10、集電電極20及び取り出し電極21を覆うように重ねて配されている。また、保護基板40には開口部41が設けられており、この開口部41を介して取り出し電極21の他端21bが外部に引き出されている。
保護基板40は、例えば、ガラスや樹脂等、耐久性を有する絶縁材料で形成されていれば良い。
【0026】
そして本発明の太陽電池モジュール1A(1)は、前記開口部41を少なくとも塞ぐように、前記シール部材30と前記保護基板40との間にポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されていること、を特徴とする。
本発明の太陽電池モジュール1A(1)では、前記保護基板40に設けられた開口部41を少なくとも塞ぐように、前記シール部材30と前記保護基板40との間に ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されているので、開口部41に起因する密着性、バリア性の低下などの問題がない。すなわち、開口部41が前記封止部材50により覆われているので、開口部41から外部の大気中の水蒸気などが入り込むことを防止することができる。これにより、本発明の太陽電池モジュール1A(1)は、シール性の低下を防止することができ、光電変換体12の劣化・腐食を防止し、太陽電池10の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑え、信頼性の高いものとなる。
【0027】
封止部材50は、いわゆる水蒸気バリア性を有する樹脂からなることが好ましい。封止部材50をなす樹脂は、流動性を有する状態から硬化する樹脂である、例えばポリイソブチレン系やブチル系の樹脂が用いられるがこれに限定されない。
ポリイソブチレン系の樹脂としては、大気中の水分と反応して硬化するものや、含まれる溶剤等が揮発することで硬化するものなどが存在する。ブチル系の樹脂としては、ブチルゴム等が例示され、熱を加えることで軟化して流動性を有する状態となり、冷却することで再び硬化するものが挙げられる。
【0028】
前記封止部材50は、前記保護基板40の前記開口部41をさらに埋めるように配されていることが好ましい。これにより、開口部41から外部の大気中の水蒸気などが入り込むことをより確実に防止することができる。
【0029】
保護ボックス60は、いわゆるジャンクションボックスと称されるものであって、保護基板40に固定されている。保護ボックス60は、太陽電池10において発生した電気を外部に向けて供給する取り出し電極21(図1では不図示)の端部を保護するためのものである。保護ボックス60には一対の出力用配線61が接続されている。出力用配線61は、太陽電池10から取り出された電気を外部に出力するための配線である。
【0030】
保護ボックス60は、ボックス本体部60aと、蓋部60bとを備える。
ボックス本体部60aは、取り出し電極21の他端21bを囲うように配され、固定部材62を介して保護基板40に固定されている。ボックス本体部60aは、一方の開口端において保護基板40に固定されている。固定部材62をなす樹脂には、例えば流動性を有する状態から硬化するものが用いられている。なお、固定部材62をなす樹脂は、例えばシーラント系の樹脂が用いられ、硬化時におけるボックス本体部60aと保護基板40との間の十分な固定強度を確保でき、且つ硬化後に加熱しても固定強度が変化しない(軟化しない)ものが用いられる。
【0031】
蓋部60bは、ボックス本体部60aの他方の開口端を閉塞できる大きさで成形されている。
【0032】
ボックス本体部60aと蓋部60bとが互いに固定されてなる保護ボックス60は、取り出し電極21の他端21bを覆うように配されている。換言すれば、保護ボックス60には、取り出し電極21の他端21bが内包されている。また、保護ボックス60内において、取り出し電極21の他端21bと、出力用配線61とが互いに電気的に接続されている。そのため、太陽電池10で発生した電気を集電電極20、取り出し電極21及び出力用配線61を介して外部に出力することが可能となっている。
【0033】
保護ボックス60の内部には、取り出し電極21の他端21bの周囲に充填されるポッティング材63が設けられている。ポッティング材63をなす樹脂は、例えばシーラント系の樹脂であり、流動性を有する状熊から硬化するものが用いられる。ポッティング材63を充填することで、取り出し電極21の他端21bを保持することか可能となっている。なお、ポッティング材63が保護ボックス60内に設けられない構成であっても良い。
【0034】
次に、このような太陽電池モジュール1A(1)の製造方法について説明する。図3〜図10は、本発明の太陽電池モジュール1A(1)の製造方法を説明する斜視図である。
太陽電池モジュール1A(1)の製造方法は、基板11の一面11aに、前記光電変換体12、前記集電電極20及び前記取り出し電極21を重ねて配した後に、前記基板11の一面11aに、前記光電変換体12を少なくとも被覆するように樹脂を塗布することにより前記シール部材30を設ける工程を少なくとも有すること、を特徴とする。
【0035】
本発明では、前記基板11の一面11aに、前記光電変換体12を少なくとも被覆するように樹脂を塗布することで、簡便に前記シール部材30を設けることができる。これにより本発明では、シール性の低下が防止され、光電変換体12の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下が抑えられた太陽電池モジュール1A(1)を簡便に製造することができる。
【0036】
太陽電池10は公知の方法に従って製造できる。例えば、基板11の一面11a上に第一電極層13、半導体層14及び第二電極層15をこの順に積層して光電変換体12を形成する。なお、各層の厚さは従来の太陽電池と同様である。
【0037】
光電変換体12は、図3に示すように、通常、スクライブ線19によって、例えば、外形が短冊状の多数の区画素子12aに分割される。この区画素子12aは、互いに隣接する区画素子12a同士の間で、例えば、電気的に直列に接続される。これにより、光電変換体12は、多数の区画素子12aを全て電気的に直列に繋いだ形態となり、高い電位差の電気を取り出すことができる。スクライブ線19は、例えば、基板11の一面11aに均一に光電変換体12を形成した後、レーザー等によって光電変換体12に所定の間隔で溝を形成することにより形成すれば良い。また、必要に応じて、第二電極層15上に保護層を積層しても良い。
【0038】
次に、光電変換体12を構成する第二電極層15上に集電電極20を配する。
図4に示すように、多数の区画素子12aのうち、両端に位置する区画素子12aの第二電極層15上に、例えば半田20aを介して一対の集電電極20を電気的に接続する。接続には一般的な半田ごてが用いられる。集電電極20はリボン状の銅箔などの導電物とその周囲に設けられたメッキ層からなり、区画素子12aの延在方向に平行して配される。なお、集電電極20は、メッキ層で覆われていなくても良い。
【0039】
次に、光電変換体12を構成する第二電極層15上に取り出し電極21を配する。
図5に示すように、取り出し電極21は、集電電極20と同様に、リボン状の銀箔などの導電物であり、その周囲をメッキ層が覆っていてもいなくても良い。なお、取り出し電極21を第二電極層15上に配するときに、第二電極層15と取り出し電極21との間に絶縁シート22を配する。
また、取り出し電極21の一端21aを、集電電極20に電気的に接続する。この接続には半田を用いても良いし、超音波半田ごて等を用いて集電電極20及び取り出し電極21のメッキ層を溶融させることで接続しても良い。一方、取り出し電極21の他端21bは、光電変換体12から立ち上がるように折り曲げておく。
【0040】
次に、太陽電池10にシール部材30を全面的に形成する。
図6に示すように、シール部材30を、太陽電池10を被覆するように重ねて形成する。
シール部材30をなす樹脂が流動性を有するときに、基板11の一面11aに、光電変換体12を少なくとも被覆するように樹脂を塗布し、その後、当該樹脂を硬化させる。シール部材30をなす樹脂を硬化させる方法は、当該樹脂に応じた方法を適宜使用すれば良い。
なお、このとき、取り出し電極21の他端21bを、シール部材30の外側に延出させておく。
【0041】
そして、図7に示すように、前記シール部材30上の、保護基板40の開口部41と対応する部位に、ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50を形成する。
封止部材50をなす樹脂が流動性を有するときに、シール部材30上の、保護基板40の開口部41と対応する部位に樹脂を塗布し、その後、当該樹脂を硬化させる。封止部材50をなす樹脂を硬化させる方法は、当該樹脂に応じた方法を適宜使用すれば良い。
このとき、封止部材50を、前記保護基板40の前記開口部41をさらに埋めるように形成することが好ましい。
【0042】
そして、図8に示すように、シール部材30及び封止部材50上に前記保護基板40を設け、固定する。なお、このとき、取り出し電極21の他端21bを、シール部材30、及び保護基板40に設けられた開口部41を通じて、被覆基板40の外側に延出させる。
【0043】
次に、保護基板40に、保護ボックス60のボックス本体部60aを固定する。
図9に示すように、ボックス本体部60aを、固定部材62(図9では不図示)を用いて、取り出し電極21の他端21bを囲む位置において保護基板40に接合する。固定部材62をなす樹脂が流動性を有するときに、当該樹脂をボックス本体部60a又は保護基板40の固定部分に配し、ボックス本体部60aを保護基板40に接続させた後に当該樹脂を硬化させることで、ボックス本体部60aを保護基板40に固定する。
なお、保護基板40を設けた後に、取り出し電極21の他端21bと出力用配線61とを電気的に接続させる。
【0044】
次に、保護ボックス60のボックス本体部60a内にポッティング材63を充填する。図10に示すように、ボックス本体部60a内にポッティング材63を充填する。ポクティング材63を硬化させることで、取り出し電極21の他端21bが保持される。
最後に、保護ボックス60のボックス本体部60aに蓋部60b(図10では不図示)を固定することで、太陽電池モジュール1A(1)の製造が完了する。
【0045】
<第二実施形態>
次に、本発明の太陽電池モジュールの第二実施形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した第一実施形態と異なる部分について主に説明し、第一実施形態と同様の部分についてはその説明を省略する。
【0046】
図11は、本実施形態の太陽電池モジュール1B(1)の構成例を模式的に示す要部拡大断面図である。
上述した第一実施形態では、保護基板40に設けられた開口部41を少なくとも塞ぐように、前記シール部材30と前記保護基板40との間に封止部材50が配されていたが、実施形態の太陽電池モジュール1B(1)は、保護基板40に設けられた開口部41を少なくとも覆うように、前記保護基板40上に、ポリイソブチレン系またはブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されていること、を特徴とする。
【0047】
本実施形態では、前記保護基板40に設けられた開口部41を少なくとも覆うように、前記保護基板40上に、ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50が配されているので、開口部41に起因する密着性、バリア性の低下などの問題がない。すなわち、開口部41が前記封止部材50により覆われているので、開口部41から外部の大気中の水蒸気などが入り込むことを防止することができる。これにより、本発明の太陽電池モジュール1B(1)では、シール性の低下を防止することができ、光電変換体12の劣化・腐食を防止し、太陽電池の出力低下や寿命減少などの性能低下を抑え、信頼性の高いものとなる。
【0048】
次に、このような太陽電池モジュール1B(1)の製造方法について説明する。図12〜図15は、太陽電池モジュール1B(1)の製造方法を説明する斜視図である。
まず、太陽電池10にシール部材30を全面的に形成する。シール部材30を、太陽電池10を被覆するように重ねて形成する。なお、このとき、取り出し電極21の他端21bを、シール部材30の外側に延出させておく。
そして、図12に示すように、前記シール部材30に、前記保護基板40を設け、固定する。なお、このとき、取り出し電極21の他端21bを、シール部材30、及び保護基板40に設けられた開口部41を通じて、被覆基板40の外側に延出させる。
【0049】
そして、図13に示すように、前記保護基板40に設けられた開口部41を少なくとも覆うように、前記保護基板40上にポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材50を形成する。
封止部材50をなす樹脂が流動性を有するときに、シール部材30上の、保護基板40の開口部41と対応する部位に樹脂を塗布し、その後、当該樹脂を硬化させる。封止部材50をなす樹脂を硬化させる方法は、当該樹脂に応じた方法を適宜使用すれば良い。
このとき、封止部材50を、前記保護基板40の前記開口部41をさらに埋めるように形成することが好ましい。
【0050】
次に、図14に示すように、保護基板40に、保護ボックス60のボックス本体部60aを固定する。
そして、図15に示すように、保護ボックス60のボックス本体部60a内にポッティング材63を充填し、最後に、保護ボックス60のボックス本体部60aに蓋部60b(図15では不図示)を固定することで、太陽電池モジュール1B(1)の製造が完了する。
【0051】
以上、本発明の太陽電池モジュールについて説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、太陽電池モジュールに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1A、1B(1) 太陽電池モジュール、10 太陽電池、11 基板、11a 一面、12 光電変換体、13 第一電極層、14 半導体層、15 第二電極層、20 集電電極、21 取り出し電極、21a 一端、21b 他端、30 シール部材、40 保護基板、41 開口部、50 封止部材、60 保護ボックス、62 固定部材、63 ポッティング材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面に、少なくとも第一電極層、半導体層及び第二電極層が、この順に重ねられた光電変換体が形成されてなる太陽電池と、
前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された集電電極と、前記集電電極に一端が電気的に接続され且つ前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された取り出し電極と、
前記基板の一面に、前記光電変換体を少なくとも被覆するように配されたシール部材と、
前記シール部材上に配された保護基板と、を備え、
前記取り出し電極の他端が、前記保護基板に設けられた開口部を通じて該保護基板の外側へ延設されており、
前記開口部を少なくとも塞ぐように、前記シール部材と前記保護基板との間に ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材が配されていること、を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記封止部材は、前記保護基板の前記開口部をさらに埋めるように配されていること、を特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記取り出し電極の他端部を覆うように、前記保護基板上に配された保護ボックスと、
前記保護ボックスの内部において、前記取り出し電極の他端の周囲に充填されたポッティング材と、をさらに備えていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
基板の一面に、少なくとも第一電極層、半導体層及び第二電極層が、この順に重ねられた光電変換体が形成されてなる太陽電池と、
前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された集電電極と、前記集電電極に一端が電気的に接続され且つ前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された取り出し電極と、
前記基板の一面に、前記光電変換体を少なくとも被覆するように配されたシール部材と、
前記シール部材上に配された保護基板と、を備え、
前記取り出し電極の他端が、前記保護基板に設けられた開口部を通じて該保護基板の外側へ延設されており、
前記開口部を少なくとも覆うように、前記保護基板上に、ポリイソブチレン系またはブチル系の樹脂からなる封止部材が配されていること、を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記封止部材は、前記保護基板の前記開口部をさらに埋めるように配されていること、を特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記取り出し電極の他端部を覆うように、前記保護基板及び前記封止部材上に配された保護ボックスと、
前記保護ボックスの内部において、前記取り出し電極の他端の周囲に充填されたポッティング材と、をさらに備えていること、を特徴とする請求項4又は5に記載の太陽電池モジュール。
【請求項1】
基板の一面に、少なくとも第一電極層、半導体層及び第二電極層が、この順に重ねられた光電変換体が形成されてなる太陽電池と、
前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された集電電極と、前記集電電極に一端が電気的に接続され且つ前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された取り出し電極と、
前記基板の一面に、前記光電変換体を少なくとも被覆するように配されたシール部材と、
前記シール部材上に配された保護基板と、を備え、
前記取り出し電極の他端が、前記保護基板に設けられた開口部を通じて該保護基板の外側へ延設されており、
前記開口部を少なくとも塞ぐように、前記シール部材と前記保護基板との間に ポリイソブチレン系又はブチル系の樹脂からなる封止部材が配されていること、を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記封止部材は、前記保護基板の前記開口部をさらに埋めるように配されていること、を特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記取り出し電極の他端部を覆うように、前記保護基板上に配された保護ボックスと、
前記保護ボックスの内部において、前記取り出し電極の他端の周囲に充填されたポッティング材と、をさらに備えていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
基板の一面に、少なくとも第一電極層、半導体層及び第二電極層が、この順に重ねられた光電変換体が形成されてなる太陽電池と、
前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された集電電極と、前記集電電極に一端が電気的に接続され且つ前記光電変換体を構成する前記第二電極層上に配された取り出し電極と、
前記基板の一面に、前記光電変換体を少なくとも被覆するように配されたシール部材と、
前記シール部材上に配された保護基板と、を備え、
前記取り出し電極の他端が、前記保護基板に設けられた開口部を通じて該保護基板の外側へ延設されており、
前記開口部を少なくとも覆うように、前記保護基板上に、ポリイソブチレン系またはブチル系の樹脂からなる封止部材が配されていること、を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記封止部材は、前記保護基板の前記開口部をさらに埋めるように配されていること、を特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記取り出し電極の他端部を覆うように、前記保護基板及び前記封止部材上に配された保護ボックスと、
前記保護ボックスの内部において、前記取り出し電極の他端の周囲に充填されたポッティング材と、をさらに備えていること、を特徴とする請求項4又は5に記載の太陽電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−89751(P2013−89751A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228635(P2011−228635)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
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