套管針のための直径縮小構造体を含む弁アセンブリー
【課題】可動性の直径縮小構造体を用いた、套管のための弁アセンブリーおよび直径縮小構造体を提供すること。
【解決手段】この直径縮小構造体は、第一のシールに対して近位に配置され、また第一の位置、第二の位置、および第三の位置の間で移動可能な複数のスタンドオフ部材を含む。第一の位置にある直径縮小構造体は、直径の小さい手術器具の過剰な偏軸移動および角運動を制限することにより、第一のシールがその完全性を喪失する可能性を低減する。直径の大きい手術器具が套管を通して配置されるとき、この直径縮小構造体は、如何なる動作調節も伴わずに、直径の大きい手術器具の通過に適合するように旋回する。
【解決手段】この直径縮小構造体は、第一のシールに対して近位に配置され、また第一の位置、第二の位置、および第三の位置の間で移動可能な複数のスタンドオフ部材を含む。第一の位置にある直径縮小構造体は、直径の小さい手術器具の過剰な偏軸移動および角運動を制限することにより、第一のシールがその完全性を喪失する可能性を低減する。直径の大きい手術器具が套管を通して配置されるとき、この直径縮小構造体は、如何なる動作調節も伴わずに、直径の大きい手術器具の通過に適合するように旋回する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2000年10月13日に出願された米国仮出願60/240,506号の優先権を主張するものであり、その全体の内容を本明細書の一部として援用する。
【0002】
(1.技術分野)
本開示は、套管針ハウジング(トロカール・ハウジング)の弁アセンブリーを貫通する通路の、動作可能な内径を制御するための機構に関する。より詳細に言えば、本開示は直径縮小構造体に関し、該構造は小さい手術器具の移動を限定し、また直径の大きい手術器具を套管針ハウジングの通路内に収容して、弁アセンブリーにより形成される気密シールの維持を容易にする。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
套管針弁アセンブリー(トロカール・バルブ・アセンブリー)は、好ましくは、最小侵襲手術の際に套管針を通して導入される手術器具の回りに液密シールを提供する。典型的な弁アセンブリーは、外側シールを含んでおり、これは追加の内側シールと組合せて、固定し、または浮遊させることができる。固定された外側シールは、小さい手術器具が套管針の中心軸線に対して偏軸移動するときに、そのシールを維持する能力によって制限される。また、固定されたシールは、手術器具に角度を付けるときに、その完全性を維持する能力によっても制限される。このような直径の小さい手術器具の套管内での極端な動きは、「キャットアイ」を形成し、または固定されたシールの中に次第に大きくなる隙間を形成する可能性があり、これはシールの完全性を喪失させることになる。更なる問題には、小さい直径および大きい直径の両方の手術器具を用いるときに、シールの完全性を維持するためのシールの可撓性が含まれる。
【0004】
套管針ハウジング内の通路の直径を限定する装置は、小さい手術器具の移動範囲を限定するために、一般に套管針ハウジングの近位端に配置される追加の機構を必要とする。しかし、これらの直径縮小装置は、典型的には、異なるサイズの手術器具を収容するためにユーザによる調節を必要とする追加のシールおよび/または構造を用いており、それによって手術プロセスを複雑化する。
【0005】
直径の小さい手術器具の偏軸移動ならびに角運動を制限することができ、また外部からの調節なしに直径の大きい手術器具を収容できる直径縮小構造体が、継続して必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
套管針に使用するための弁アセンブリーが提供され、該アセンブリーは、シールの維持において弁アセンブリーを補助するための直径縮小構造体を含む。この直径縮小構造体は、直径の小さい手術器具の偏軸平行移動および角度移動を制御するように可動配置できるスタンドオフアセンブリーを含んでいる。一つの好ましい実施例において、弁アセンブリーは、長手方向軸線を定義し且つその中を通って伸びる長手方向通路を有するハウジングと、該ハウジング内に装着される弁部材とを含んでいる。該弁部材はその中に一つの開口部を有しており、この開口部は、前記ハウジングを通して導入された器具とシール状態で係合するようになっている。
【0007】
少なくとも一つのスタンドオフ素子が、弁アセンブリーの遠位にあるハウジング内に装着される。該スタンドオフ素子は、ハウジングの長手方向通路を横切る初期位置と、器具を通過させる旋回位置との間で旋回移動できるようになっている。スタンドオフ素子は、通常、器具を係合する初期位置にバイアスされて、該器具を、一般に弁部材の軸線に対して整列した位置に向けて付勢する。好ましくは、複数のスタンドオフ素子が設けられ、弁ハウジングの長手方向軸線に対して同軸的に配置される。これらのスタンドオフ素子は動作的に相互に連結されており、それによって、スタンドオフ部材は初期位置と旋回位置との間で同時に移動する。一つの好ましい構成において、スタンドオフ素子は、ギアリンク機構を介して動作的に連結される。このギアリンク機構は、隣接するスタンドオフ部材の間に配置された少なくとも一つのギアリンクを含む。
【0008】
弁アセンブリーはまた、弁部材の遠位に配置された弾性フランジを含む。該弾性フランジは、これと一体に形成された一つのスタンドオフ部材を有する。
【0009】
前記ハウジングは、第一のハウジング部材および第二のハウジング部材を含むことができる。第一のハウジング部材は、その中に装着された一つのスタンドオフ部材を有する。該第一のハウジング部材は第二のハウジング部材に連結されて、第二のハウジング部材に対する第一のハウジング部材の長手方向の移動を可能にする。また、前記弁アセンブリーは、前記第一のハウジング部材および第二のハウジング部材の周囲に装着された細長いシールを含んでいる。この細長いシールは、第一のハウジング部材の長手方向の移動の際に、実質的な液密シールを維持する。
【0010】
また、前記弁アセンブリーは一つのスタンドオフ部材を含んでおり、該部材は初期位置と、第一の旋回位置および第二の旋回位置との間で旋回運動するようになっている。この一つのスタンドオフ部材は、前記ハウジングの長手方向通路を通して前記器具を挿入する際に、前記第一の旋回位置へと移動するようになっている。該一つのスタンドオフ部材は、前記長手方向通路から前記器具を抜取る際に、前記第二の旋回位置へと移動するようになっている。
【0011】
前記弁アセンブリーは、周辺部分、および開口部を定義する内部シール部分を含むことができる。この内部シール部分は遠位方向に伸びて、その中への前記器具の導入を容易にする。
【0012】
従って、好ましい実施例において、前記直径縮小構造体は、如何なる外部的調節または独立したオペレータの介入も伴わずに、手術の際に套管内の通路の動作領域を制御する。直径縮小構造体のスタンドオフアセンブリーは、小さい器具を利用する際には動作領域の寸法を減少させ、また、大きな器具がスタンドオフ部材を長手方向に排除することにより、別途のオペレータによる調節または介入を伴うことなく、通路の動作領域以下の大きい器具を自動的に収容する。前記スタンドオフ部材の運動は、前記通路の動作領域に等しい断面積を有する大きい手術器具を収容するように設計される。
【0013】
例えば、本発明は以下を提供する。
【0014】
(項目1) 套管針と共に使用され、且つその中に導入される器具の回りに実質的な液密シールを形成するための弁アセンブリーにおいて:
長手方向軸線を定義し、且つその中を通って伸びる長手方向の通路を有するハウジングと;
前記ハウジング内に装着される弁部材であって、前記ハウジングを通して導入される器具にシール状態で係合するようになっている開口部を中に有する弁部材と;
前記ハウジング内において、前記弁部材の遠位に装着された少なくとも一つのスタンドオフ素子であって、前記ハウジングの長手方向通路を横切る初期位置と、前記器具を通過させる旋回位置との間で旋回移動できるようになっており、通常は前記器具に係合する初期位置にバイアスされて、前記器具を一般に前記弁部材の軸線に対して整列した位置に向けて付勢するスタンドオフ部材と、
備えることを特徴とする弁アセンブリー。
【0015】
(項目2) 複数のスタンドオフ素子を含むことを特徴とする、項目1に記載の弁アセンブリー。
【0016】
(項目3) 項目2に記載の弁アセンブリーであって、前記スタンドオフ素子は、前記弁ハウジングの長手方向軸線に対して同軸的に配置されることを特徴とする弁アセンブリー。
【0017】
(項目4) 項目2に記載の弁アセンブリーであって、前記スタンドオフ素子は相互に動作的に結合され、それによって、前記スタンドオフ部材は前記初期位置と前記旋回位置との間で同時に移動することを特徴とする弁アセンブリー。
【0018】
(項目5) 項目4に記載の弁アセンブリーであって、前記スタンドオフ部材を動作的に結合するためのギアリンク機構を含み、該ギアリンク機構は、隣接するスタンドオフ部材の間に配置された少なくとも一つのギアリンクを含んでいることを特徴とする弁アセンブリー。
【0019】
(項目6) 項目1に記載の弁アセンブリーであって、前記弁部材の遠位に配置された弾性フランジを含み、該弾性フランジはそれと一体に形成された一つのスタンドオフ部材を有することを特徴とする弁アセンブリー。
【0020】
(項目7) 項目1に記載の弁アセンブリーであって、前記ハウジングは第一のハウジング部材および第二のハウジング部材を含み、該第一のハウジング部材はその中に装着された一つのスタンドオフ部材を有し、該第一のハウジング部材は前記第二のハウジング部材に結合されて、前記第二のハウジング部材に対する該第一のハウジング部材の長手方向の移動を可能にすることを特徴とする弁アセンブリー。
【0021】
(項目8) 項目7に記載の弁アセンブリーであって、前記第一のハウジング部材および第二のハウジング部材の周囲に装着された細長いシールを含み、該細長いシールは、前記第一のハウジング部材の長手方向の移動の際に実質的な液密シールを維持することを特徴とする弁アセンブリー。
【0022】
(項目9) 項目8に記載の弁アセンブリーであって、前記一つのスタンドオフ部材は、初期位置と第一の旋回位置と第二の旋回位置との間で旋回運動するようになっており、該一つのスタンドオフ部材は、前記ハウジングの長手方向通路を通して前記器具を挿入する際に前記第一の旋回位置へと移動し、該一つのスタンドオフ部材は、前記長手方向通路から前記器具を抜取る際に前記第二の旋回位置へと移動するようになっていることを特徴とする弁アセンブリー。
【0023】
(項目10) 項目1に記載の弁アセンブリーであって、前記弁部材は周縁部分、および開口部を定義する内部シール部分を含み、該内部シール部分は遠位方向に伸びて、その中への前記器具の導入を容易にすることを特徴とする弁アセンブリー。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本開示に従って構成された、套管針のための弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の好ましい実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の分解斜視図である。
【図3】図3は、図1の弁アセンブリ−および直径縮小構造体の近位端部分を示す、拡大斜視図である。
【図4】図4は、図3の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の一部を取外した拡大斜視図であり、直径縮小構造体基礎素子の中に配置された直径縮小構造体を示している。
【図5】図5は、図1の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の一部を取外した拡大斜視図であり、第二のシールを示している。
【図6】図6は、図1の開示に従うリンク部材の拡大斜視図である。
【図7】図7は、図1の開示に従う直径縮構造基礎素子における、遠位端部分の拡大斜視図である。
【図8】図8は、図1の開示に従うスタンドオフの拡大斜視図である。
【図9】図9は、図1の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の、9−9線に沿った断面図である。
【図10】図10は、図9の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の拡大断面図である。
【図11】図11は、図4の直径縮小構造体および直径縮小構造基礎素子の分解図である。
【図12】図12は、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体を貫通する直径の大きい手術器具および患者の組織と共に、動作状態で用いられている図1の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体を示す斜視図である。
【図13】図13は、図12の13−13線に沿った拡大断面図であり、直径の大きい手術器具のための、直径縮小構造体の再配置を示している。
【図14】図14は、図10の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の拡大断面図であり、少なくとも部分的にその中に配置された直径の小さい手術器具を示している。
【図15】図15は、図14の断面図であり、その中に配置された直径の小さい手術器具の角運動を制御する直径縮小構造体を示している。
【図16A】図16Aは、本開示に従って構成された弁および直径縮小構造体の、第二の実施例を示す平面図である。
【図16B】図16Bは、図16Aの線16B−16Bに沿った断面図であり、直径縮小構造体における一つのスタンドオフ部材の代表的な動きを示している。
【図16C】図16Cは、図16Aの線16C−16Cに沿った断面図であり、第一の位置にある直径縮小構造体を示している。
【図17】図17は、本開示に従って構成された套管針における、直径縮小構造体の第三の実施例の近位端部を示す斜視図である。
【図18A】図18Aは、図17の線18A−18Aに沿った、直径縮小構造体を示す套管針の断面図である。
【図18B】図18Bは、図18Aの線18B−18Bに沿った、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の断面図である。
【図18C】図18Cは、図18Aの線18C−18Cに沿った、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の断面図である。
【図19】図19は、本開示に従って構成された弁アセンブリーおよび直径縮構造体の第四の実施例を示す断面図である。
【図20A】図20Aは、図18A、図18Bおよび図18Cの直径縮小位構造体におけるスタンドオフ構成の第二の実施例を示す拡大断面図である。
【図20B】図20Bは、図19の套管針のための、直径縮小構造体のスタンドオフ構成を示す拡大断面図である。
【図20C】図20Cは、本開示に従って構成された直径縮構造体の第五の実施例を示す一部断面斜視図である。
【図21】図21は、本開示に従って構成された可動性直径縮小アセンブリーを有する套管針のための、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の第六の実施例を示す平面図である。
【図22A】図22Aは、図21Aの套管針の線21A−21Aに沿って表した、套管針のための弁アセンブリーおよび直径縮小構造体を示す断面図である。
【図22B】図22Bは、スタンドオフアセンブリーが第二の位置にある、図22Aの套管針のための弁アセンブリーおよび直径縮小構造体を示す断面図である。
【図22C】図22Cは、スタンドオフアセンブリーが第三の位置にある、図22Aのスタンドオフ構成を示す断面図である。
【図23】図23は、図22Aの弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の別の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、ここに開示する套管針直径縮小構造体の現在好ましい実施例を、添付の図面を参照して説明する。
【0026】
本開示は、クリップ適用器、把持器、解剖器具、開創器、ステープル器具、レーザファイバ、内視鏡、並びに電子手術切断装置、凝集装置およびアブレーション装置を含む全ての種類の手術器具を収容するようになっている套管針(トロカール)を、患者の身体の中に導入することを想定している。
【0027】
次に、特定の詳細について図面を参照するが、ここでは幾つかの図に亘って、同様の番号は類似または同一の要素を示す。最初に図1を参照すると、本開示の好ましい実施例に従って構成された、套管針のための新規な弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100が示されている。これは、中心の長手方向軸線Xに整列した通路25を定義する従来の套管針アセンブリー(トロカール・アセンブリー)、および套管(カニューレ)50と組合せて使用することを意図したものである。通路25は第一の動作領域を定義する。
【0028】
弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100は、近位端部分に隣接して位置する直径縮小アセンブリー200、および遠位端部分に隣接して位置する弁アセンブリー300を含んでいる。本開示の直径縮小アセンブリー200は、単独でまたは弁アセンブリー300と組合せて、套管50を通して器具を挿入する際および該挿入後に、患者に形成されたキャビティーと外部空気との間のシールを提供する。更に、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100は、手術の際に各器具と共に気密シールを提供することにより、例えば5mm〜12mmの種々の直径の器具を収容することができる。液密シールを維持するこの弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100の可撓性は、一回の手術の際に異なる直径を有する種々の器具が屡々必要とされ、且つ偏軸移動および小さい手術器具の外科的屈曲が用いられるような、内視鏡手術を非常に容易にする。
【0029】
弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100は、好ましくは取り外し可能に、套管50の近位端54に装着することができる。手術に際して、外科医は、手術の如何なる時点でも、直径縮小アセンブリ200を弁アセンブリー300から除去することができる。同様に、直径縮小アセンブリー200を弁アセンブリー300に装着して、直径縮小構造体および弁アセンブリー100を再構成することができる。加えて、直径および弁アセンブリー100は、異なる構造、材料および長さの従来の套管に容易に装着するようになっている。直径縮小アセンブリー200を弁アセンブリー300から取外せる能力は、套管50を通しての検体の取出しを容易にし、また手術の特定の時点において直径縮小アセンブリー300が必要とされないときに、套管50のプロファイルを減少させる。アセンブリー200は、種々の弁アセンブリーに適合するように構成できることも想定される。
【0030】
次に、図2〜図3を参照して、本開示の新規な弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100の一つの好ましい実施例を詳細に述べる。直径縮小アセンブリー200は、末端キャップ110、第一のシール125、直径縮小構造体ハウジングまたは第一のハウジング210、第一のO−リング225、直径縮小構造体240、および直径縮小構造基礎素子280を含んでいる。直径縮構造基礎280は、弁アセンブリー300と結合されている。シールハウジング30は、取外し可能に套管50に結合される。
【0031】
末端キャップ110は、一般に管形状であり、遠位端部分112および近位端部分114を含んでいる。環形状のディスク116は、中心の長手方向軸線に整列した孔115を定義している。末端キャップ110は、直径縮小構造体ハウジング210に取外し可能に結合されている。
【0032】
第一のシール125は、末端キャップ110の環形状ディスク116の遠位端と、直径縮小構造体ハウジング210の近位端部分との間にシール状態で配置される。第一のシール125は、アセンブリー100の第一の外部シールを形成し、固定シールまたは浮遊シール(これらに限定されない)のような従来の如何なる種類のシールであってもよい。
【0033】
直径縮小構造体ハウジング210は、一般に、遠位端部分212から近位端部分214へと円周が減少する半球形のシェル形状を有している。これに対応して、遠位端部分212は、近位端部分214の環状部分213によって定義される直径よりも大きい直径を有する孔215を定義する。孔215は、中心の長手方向軸線Xに同心円的に整列している。近位端部分214は、遠位端部分112に収容および結合されるように構成されている。遠位端212は、取扱いを容易にするために、スカラップされた表面(scalloped surface)を有する外側円筒状部分216を含んでいる。第一のO−リング225は、環状部分213の近傍において、直径縮小構造体ハウジング210の内部表面に着座される。
【0034】
次に、図2および図4を参照すると、直径縮小構造基礎素子280は、直径縮小構造体240をその近位端部分284に着座させ、予め定められた範囲の運動を通して直径縮小構造体240の移動を支持し、また弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100を通る通路25の動作直径を制限するときに、ハウジング210と協働して、スタンドオフ250のための適切な支持構造を与えるように構成されている。基礎素子280は、外部円筒表面286を有し、更に、一般に遠位に配置され且つ長手方向軸線上に心合わせされた管形状部分285を定義する。
【0035】
直径縮小構造体240は、この実施例では三つのリンク部材271を有するリンク機構270により連結された、三つのスタンドオフ部材250を有するスタンドオフアセンブリー245を含んでいる。スタンドオフ250は、アセンブリー100内に配置された器具の移動に対して予め定められた程度の制御を提供する。リンク機構270は、スタンドオフ250の移動を統合および同期させる。
【0036】
各リンク部材271が、二つの隣接するスタンドオフ250に連結され且つそれらの間に配置される結果、直径縮小構造体240は、交互のスタンドオフ250およびリンク部材271によって長手方向軸線Xの回りに心合わせされた略六角形を形成するようになっている。
【0037】
各スタンドオフ部材250は、長手方向軸線Y(図8参照)を定義する円筒状の植込み歯車部分252を含み、且つ長手方向軸線Yに対して平行に伸びる歯225を有するギアを備えた対向する円筒状末端部分254を有する。リンク部材271もまた円筒状の形状を有し、これは長手方向軸線Z(図6参照)および歯275を有するギアを備えた円筒状末端274を定義する。歯275は、長手方向軸線Zに平行に伸びている。リンク部材271およびスタンドオフ部材250は、直径縮小構造基礎素子280の中に配置されており、夫々の歯275または255は、直径縮小構造体240の隣接する相互に関連した部分の対応する傾斜スロット257または277の中に嵌合して、各スタンドオフ250の同時移動を統合および調和させるように、適切な角度向きで構成、採寸および配置されるようになっている。
【0038】
リンク部材271は、動作の全範囲に亘ってスタンドオフ250の旋回運動のための同期機能を提供し、ここで直径縮小構造体240は、より大きな直径の手術器具を収容するために少なくとも部分的に再配置される。第二の位置における直径縮小構造体240の移動の制限には、套管の直径、スタンドオフの形状、および套管針の内部部分のような因子が含まれ、これらは長手方向軸線から遠ざかるスタンドオフ250の旋回移動または回転移動を制限する。この第二の位置は、スタンドオフ250が直径縮小構造体280の中の着座位置において、一般に長手方向軸線から遠方へ遠ざかるように弧状に旋回され、曲げられ、または回転されて、通路25を増大させるときに、直径縮小構造体240の中断された環状バリアによって定義される直径として定義される。
【0039】
直径縮小構造体ハウジング210および直径縮小構造基礎素子280は、直径縮小構造体240の配置、直径制御機能、および移動を支持するように構成される。ハウジング210および基礎素子280は、変化する套管サイズだけでなく、例えば種々の異なる末端キャップ、第一のシール、およびシールハウジングとインターフェースするようになっている。
【0040】
次に、図2および図5を参照すると、弁アセンブリー300は、第二のO−リング335、第一のシール支持部材350、第二のシール365、第二のシール支持部材380、第三のO−リング395、および套管50への接続のために構成されたシールハウジング若しくは第二のハウジング310を含んでいる。直径縮小構造基礎280は第二のO−リング335のための着座を提供し、該O−リングは、遠位端282と第一のシール支持素子350の近位端部分354との間のシールを与える。
【0041】
第二のシール365は、第一のシール支持素子350の遠位端部分352と第二のシール支持素子380の近位端との間にシール状態で配置されるための、フランジ367を含んでいる。第一のシール支持素子350は、一般に外側円筒状表面356を備えた環形状であり、三つの遠位方向に伸びるタブ358を有している。第二のシール支持素子380もまた、一般に、外側円筒表面386を備えた環形状を有しており、半径方向に伸びるタブ388を備えるように構成されている。第三のO−リング395は、第二のシール支持素子380とシールハウジング30との間のシールを提供する。
【0042】
シールハウジング310は、タブ388と対応して係合するように構成された半径方向に整列したスロットを含む近位端部分314、およびバヨネット若しくはネジ結合のような適切な取付け機構を利用して、套管50と係合するように構成された遠位端部分312を有している。
【0043】
シールハウジング310は更に、直径方向に対向した二つのカンチレバー部分325を含んでいる。各カンチレバー部分は、部分325に対して一般に直交する縫合糸取付け器具327を有する二つの対向したノッチ326を含んでいる。取付け器具327は、最小侵襲手術で典型的に用いられる膨張圧力に抗して、患者内の適正位置に套管針アセンブリーを積極的に保持するために、縫合糸を容易にタイオフ(tie off)するために構成された円筒状部分328および半球状部分329を含んでいる。
【0044】
第二のシール365は、アヒルの嘴型シールのように示されているが、これは例えば円錐台型シールのような、第二のシールの機能を実行するようになっている如何なるシールシステムであってもよい。
【0045】
末端キャップ110、直径縮小構造体ハウジング210、直径縮縮小構造基礎素子280、第一のシール支持素子350、第二のシール支持素子380、およびシールハウジング310は、好ましくは医療等級のプラスチック、金属、またはその用途のための適切な強度および反発弾性を有する複合材料で製造される。一つの好ましい実施例において、上記のアセンブリーは、医療等級のプラスチックを用いて射出モールド成形される。O−リングは、一般に剛性の構造部材間に液密シールを提供するのに適した医療等級のプラスチックまたはゴム製である。
【0046】
次に、図6〜図8を参照すると、一つの好ましい実施例において、リンク部材271が長手方向軸線Zに整列して示されている。増大された円周および所定の幅を有する帯状部272が、各リンク機構270の円筒状表面に配置されている。歯275は、円筒状部分274の外部表面に第一のアーチ幅の歯を有しており、夫々の歯275はその反対側の狭い第二のアーチ幅へとテーパまたは傾斜している。従って、歯275は表面274から、表面274と長手方向軸線Zとの間の予め定められた点へと内側に伸びている。歯275は、少なくとも一つのピン279を含み得る後退した平坦な部分278を越え、且つ少なくとも部分的に該部分を取り囲んで伸びている。ピン279は、長手方向軸線Zに対して同心的であり、軸線方向に伸びている。スロット277は、突起または歯275および円筒部分274の傾斜部分によって定義される。
【0047】
直径縮小構造基礎素子280が、管状部分285に結合された遠位端部分282および近位端284と共に示されている。管状部分285は、第二のシールの中に挿入される器具を案内するように配置され、また少なくとも通路25の直径に略等しい内径を有している。管状部分285および円筒状部分286上に配置された半径方向に伸びるタブ287および289は、第一のシール支持素子350を、それぞれO−リング335と組合せた基礎素子280と密封係合させるように構成および採寸される。円筒状部分286は、半径方向に伸びるリップ281を含む環形状を有する。近位端方向に伸びるタブ288お及び少なくとも部分的に凹んだキャビティー290は、近位端部分284内において、直径縮小構造体240の回転または撓みを支持するように構成される。
【0048】
スタンドオフ部材250は、アーム256によりベース部分251に結合されたヘッド260を有し、対向する円筒状末端部分254は長手方向軸線Yに整列される。管状の帯状部252は、末端部分254の円周よりも大きい円周を有する。長手方向に整列されたノッチ252aが、アーム256の基部付近の帯状部252に形成される。歯255は、円筒形部分254の表面と一致した第一のアーチ幅を有し、これは夫々の歯の反対側における狭い第二のアーチ幅へとテーパしている。従って歯255は、表面254から、表面254と長手方向軸線Yの間の所定の点へと内側に伸びている。スロット257は、突起または歯255と、円筒状末端部分254の傾斜部分によって定義される。歯255は軸線Yに沿って、ピン259を含み得る後退した平坦な部分258を超え、且つ該部分を少なくとも部分的に取囲んで伸びている。ピン259は長手方向軸線Yと同心的であり、部分258から軸線方向に伸びている。ヘッド260は、一般に、外部表面および内部凹表面266を有する半球状または球根状である。
【0049】
ヘッド260は、一般に平坦な面を有する第一の面262と、対向するテーパした第二の面268とを含んでいる。第一の面262は、カンチレバー型の延長部261を含んでいる。第三の面264は、一般に凹部および傾斜側部265を含んでいる。第三の面に対向する第四の面266は、アーム256に結合された一般に平坦な表面を有する。ヘッド260はまた、長手方向軸線Yに対して略直交し、中心に配置され且つ区分化された凹んだノッチ263を含んでいる。一般に凹形状のノッチ263は、直径縮小構造体240が第一の位置、または初期位置にあるときに、小さい手術器具による制限された偏軸移動に適合するように構成および採寸される。アーム256は、ヘッド260をベース部分251に結合する。
【0050】
スタンドオフアセンブリー245およびリンク機構270を含んだ直径縮構造体240の部品は、好ましくは、直径縮小構造体としての用途に適した可撓性、バイアス、剛性、および圧縮強度をもった少なくとも一つの医療等級のプラスチック、医療等級のプラスチック積層体、または複合材料から製造される。また、用途によっては、異なる材料を結合してこの構造体にしてもよい。例えば、ヘッド260は、アーム256を形成する第二の医療等級プラスチックよりも、反発弾性の大きい一つの医療等級のプラスチックから製造してもよい。同様に、リンク部材271は、適切な一以上の医療等級プラスチックまたは複合材料で形成してもよい。
【0051】
更に、スタンドオフ250およびリンク部材271の動作を同期させる歯車システムは、スタンドオフ250および他の適切な代替機構の運動を同期させるのに適した、当業者に公知の一つのリンク機構270(例えばプーリーシステム、可撓性同期シャフト、または同じ機能を実施する関節継手であるが、これらに限定されない)が想定される。
【0052】
次に、図9および図10を参照すると、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100および套管50が断面図で示されている。第一のシール125は凹型またはアーチ状の膜部分127を含んでおり、これは半径方向内側に伸びて、孔129を定義する先端部分128を形成する。当該部分127は、スタンドオフ部材250に近接または当接する。スタンドオフ部材250は、一般に中心の長手方向軸線Xに対して直交した向きを有する第一の位置で示されている。セグメント化されたノッチ263の深さおよび幅は、孔129および第二の面264に対して相対的に示されており、制限され且つ増大した程度の、小さい手術器具の偏軸移動または角運動を提供する。
【0053】
スタンドオフ250は、カンチレバー部分218に近接または当接して配置されたベース部分251を含んでいる。カンチレバー部分220は、スタンドオフ部材250のヘッド260の半径方向外側への移動を制限するために、停止部材として作用するように構成された壁222を含んでいる。スタンドオフ部材、特にヘッド260の構造材料は、手術器具の平行な偏軸および角運動に対して、或る範囲の柔軟な圧縮バイアスを与えるように選択的に制御すればよい。
【0054】
直径縮小構造体ハウジング210は、直径縮小構造基礎素子280および第一のシール支持素子350を少なくとも部分的に包囲する。第二のシール365のフランジ367は、第一のシール支持素子350と第二のシール支持素子380の間に固定される。シールハウジング310は、第二のシール支持素子380を少なくとも部分的に包囲する。套管50は、シールハウジング310の遠位端部分に結合している。
【0055】
図11において、半径縮小構造体240は、直径縮小構造基礎素子280内に配置するために、第一の位置における一体化されたアセンブリーとして示されている。基礎素子280は、直径縮小構造体240がその動作直径を制御するための適切な配置を提供するように構成され、小さい器具を利用する処置の際に、アセンブリー100のシールシステムがその一体性を維持する能力を改善する。これは、スタンドオフ250が手術器具の移動に対する制御された制限を与え、また第一の位置と第二の位置の間で直径縮小構造体240の移動を支持するバリアとして作用するための、適切な支持構造を含んでいる。
【0056】
構造体240の第一の位置はヘッド260によって定義され、該ヘッドは、通路25内に位置する小さい手術器具の長手方向軸線に対して一般に直交する平行な偏軸移動または角移動から生じる、長手方向軸線Xに対して一般的に直交する平面内の力を制御するのに適した中断された環状バリア構造を形成する。ヘッド260の第三の面は、第一の位置における第二の動作領域を定義する。
【0057】
第一の位置において、ヘッド260の傾斜部分265は、直径縮小構造体240によって形成された環状バリア構造におけるギャップまたは中断を定義する。このギャップの寸法は、ヘッド260の形状および位置によって制御され、また小さい直径の手術器具のヘッド260の間への通過が排除されるのを保証するように構成される。直径縮小構造体240は、更に、縮小構造体240の半径方向内側および外側への移動、並びに第一の位置から第二の移動への移動に抵抗するように構成された制御されたバイアスを含んでいる。また、構造体240におけるこのバイアスは、大きい直径の手術器具を除去した後に、構造体240を第一の位置へと戻すように働く。
【0058】
第二の位置は、直径縮小構造体240および套管50を通る個々の大径手術器具の限定されない通路に適合するように、少なくとも部分的に遠位方向に移動する直径縮小構造体240によって定義される。
【0059】
基礎素子280は、スタンドオフ部材250のために、リンク部材271および290のための少なくとも部分的に凹んだ着座位置296を含む。着座位置290は、円筒状端部254を収容するように構成および採寸された、二つの異なる着座部または支持部を有する中断されたチャンネルを定義する。帯状部252は、支持体292の間に配置される。着座位置290は、更に、近位方向に伸びる直線部分299を備えたアーチ型の支持部材294を含んでいる。
【0060】
着座位置296は、リンク部材271の表面274および帯状部272を収容するように構成および採寸された、スロットまたは凹部297により分離された少なくとも部分的に凹んだチャンネル部分を定義している。着座位置296は、近位方向に伸びる直線部分299を含んでいる。
【0061】
着座位置290および296は、近位方向に伸びた部材295によって構造的に支持される。部材295は、アームによって部分292および298に連結され、部分292および298を過剰な変更または移動から構造的に支持する。
【0062】
着座位置290および296は、スタンドオフ250およびリンク部材271の運動を同期させるための、歯255および275とそれらのスロット277および257との相互関係にとって重要な整列、間隔、および角度配向を提供する。加えて、直径縮小構造体240は、個別の部品としてまたはアセンブリーとして、第一の位置へのバイアスを含んでいる。これは、その直径縮小構造基礎素子280内への配置の結果としてであるか、または弾性バンドのような別個のバイアス部材によるか、またはそれらの組合せによるものである。直径縮小構造体ハウジング210(図2参照)および直径縮小構造基礎素子280と共に完全に組立てられたとき、直径縮小構造体240は、オペレータの如何なる動作も伴わずに、如何なる角度または如何なる使用方向においても、その機能を実施することができる。
【0063】
次に、図12および図13を参照すると、直径縮小構造体100が動作位置で示されている。第二の長手方向軸線を定義する直径の大きい医療器具80は、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100および套管50を通して配置される。直径の大きい手術器具は、第二の長手方向軸線に対して直交する直径または断面積を有する器具であり、この直径または断面積は、通路25の第一の直径または第一の動作面積よりも小さいが、第一の位置にあるスタンドオフアセンブリーによって定義される中心の長手方向軸線に直交した第二の直径または第二の動作面積よりも大きい。同様に、第一の長手方向軸線を定義する直径の小さい手術器具60は、第一の位置にあるスタンドオフアセンブリーによって定義される第二の直径または動作面積よりも小さい、第一の長手方向軸線に直交した直径または断面積を有する。従って、定義により、第二の動作面積よりも直径の大きい器具は、通路に侵入するために、スタンドオフアセンブリー240を少なくとも部分的に遠位方向に偏向させる。これとは対照的に、小さい器具は、スタンドオフアセンブリー240を偏向させることなく、第二の動作領域内に軸線方向に配置することができる。この一つの好ましい実施例において、大きい器具は5.5mmを越える直径を有するものとして定義され、また小さい器具は5.5mm以下の直径を有するものとして定義される。
【0064】
大きい器具と小さい器具との間の5.5mmの区別は、套管内に定義された通路の直径に関連するものであり、套管装置、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100の直径に応じて変化させることができる。直径の大きい器具80は、中心の長手方向軸線Xに沿って、第一のシール125を通して遠位方向に移動され、直径縮小構造体構造240に接触するとき、直径の大きい器具80を移動させる軸線方向に整列した力成分は、直径縮小構造体240を図10に示す第一の位置に保持するように構成されたバイアスに打ち克たなければならない。
【0065】
器具80の背後の力が、直径縮小構造体240を第一の位置に維持するように構成されたバイアスを超えるときに、直径縮小構造体240は、最初は一般に遠位方向に一般に弧状運動で旋回し、次いで、矢印「A」および「B」で示すように、その旋回または回転弧状運動を継続して中心の長手方向軸線から離れ、第三の動作領域を定義して、直径の大きい器具80の通過に適合する。第一の位置にある直径縮小構造体240を保持するために用いられるバイアスの量は、直径縮小構造体240の構成材料、並びに直径縮小構造体240を直径縮小構造基礎素子280内の第一の位置に固定するために用いる方法等の因子によって制御される。
【0066】
直径の大きい器具80のシャフトによって壁356の内径にむけて付勢されるときに、スタンドオフ250は、ヘッド260の面262が壁356と略平行で且つこれに当接して配置される第二の位置へと移動する。この第二の位置における壁356と直径縮小構造体240との間の空間的関係は、個々の套管の内部構造、通路25の内周、および弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100の目的とする用途の関数である。弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100は、直径縮小構造体240を旋回させるため、またはこれを曲げるための適切な空間を提供するように構成される。直径の大きい器具80を引抜くと、直径縮小構造体240は、各スタンドオフ250の一部が壁220に隣接する第一の位置に再配置されるように付勢される。
【0067】
次に、図14および図15を参照すると、スタンドオフ部材250は、ヘッド260が一般に長手方向軸線Xに対して半径方向に伸びる第一の位置、または直径縮小位置で示されている。カンチレバー部分222は、ヘッド260の半径方向の偏位を構造的に支持し且つ制限するように構成された、一般的に剛性のバリアを提供する。第一の位置にある直径縮小構造体240は、如何なる移動も伴わずに、直径の小さい器具60が弁アセンブリーおよび直径縮構造100を通って套管50の中へ貫通するために適合するように構成される。
【0068】
この第一の位置にあるとき、直径の小さい手術器具の直交運動または角運動の結果として、スタンドオフ部材250は、中心の長手方向軸線Xに対して直交する成分をもった力によって、少なくとも部分的に軸線方向に圧縮されて配置される。各スタンドオフ部材250は、直径縮小アセンブリー200の中に装着されて、直径の小さい手術器具60の過剰な平行偏軸移動および角運動に対する制限を与える。
【0069】
直径の小さい手術器具60は、典型的には直径縮小構造体240とは殆どまたは実質的に接触することなく、シール125を通して套管50の中に配置される。しかし、直径の小さい手術器具60を操作して偏軸移動または角運動を行うと、直径の小さい手術器具60は少なくとも一つのヘッド部分260および套管50の内周に接触し、これらは協働して二つの別々の略並列した構造的バリアとして作用し、中心の長手方向軸線Xから外側に向う偏軸移動および角運動を制御する。ヘッド260およびカンチレバー部分222の組合せは、剛性または可撓性のバイアス構造体として構成することができる。この制御機構は、直径の小さい手術器具60による操作上の移動を拘束して、シーリングシステムの一体性を充分に保持する。
【0070】
次に、図16A、図16Bおよび図16Cを参照すると、もう一つの好ましい実施例において、弁アセンブリーおよび直径縮構造体500は、先の実施例と同様に、近位端部分または直径縮小アセンブリー600、および弁アセンブリー700を含んでいるが、直径縮小構造体640は第一のシール525に対して近位方向に配置されている。
【0071】
直径縮小構造体500は、末端キャップ510、直径縮小構造体ハウジング640、直径縮小構造基礎素子680、および必要に応じて第一のO−リングを含んでいる。
【0072】
末端キャップ510は一般に円筒形状を有し、遠位端部分512および近位端部分514を含んでいる。近位端部分514は、中心の長手方向軸線Xに整列した孔515を定義する環形状のディスクまたは部分516を含んでいる。この構成において、環状部分516は、シールとして構成されない剛性プラスチックまたは可撓性膜であってもよい。こうして、孔515は剛性または可撓性のバリアとして構成することができ、少なくとも剛性套管の内径に等しい直径を有するであろう。
【0073】
直径縮小構造体610は、一般に、遠位端部分612から近位端部分614に向って円周が減少する半球形のシェル形状を有する。近位端部分614は、孔615を定義する環状部分613を含んでいる。近位端部分614は、遠位端部分514に収容結合されるように構成されている。遠位端部分612は、その取扱いを容易にするためのスカラップ表面を有する外部円筒状部分616を含んでいる。
【0074】
直径縮小構造体640は、三つのスタンドオフ部材650を有するスタンドオフアセンブリーを含んでおり、またリンク部材670は、第一のシール525に近接して配置される。スタンドオフ650は、アセンブリー600内に配置された器具の移動に対する予め定められた程度の制御および制限を提供する。三つのリンク部材671の形態のリンク機構670は、スタンドオフ650の運動を統一し且つ同期させる。スタンドオフ部材650またはリンク機構670の具体的な構成は変化し得るが、ここでの全ての実施例に記載したように、操作的にはスタンドオフアセンブリー645を用いて、小さい手術器具の偏軸移動および角運動を制限する。
【0075】
直径縮小構造基礎素子680は、直径縮小構造体640をその近位端部分682上に着座させるように構成され、また矢印「A」によって少なくとも部分的に示すように、予め定められた範囲の運動の全体に亘って縮小構造640の移動を支持および制御するように構成された、少なくとも部分的にカンチレバー式に支持されたの着座位置690を含んでいる。遠位方向に伸びる管状部分685は、第一のシール525を位置決めするために構成されている。第一のシール525は、長手方向軸線Xに対して略直角に配置されており、固定式または浮遊式のシールであってよい。
【0076】
第一のシール支持素子750は一般に管状の形状を有しており、カンチレバー式の着座部分690の近位側に隣接した遠位端部754および近位端752を備えている。第一の支持素子750は内壁756を有しており、これはスタンドオフ650の遠位方向への移動範囲を制限するように構成することができる。第一のシール素子750のカンチレバー式部分753は、第二のシール支持素子780の近位部分の間に配置された第二のシール765のフランジ767を、固定およびシールするように配置される。
【0077】
第一の支持素子750の遠位端は、第二のシール支持素子780の遠位端部分782と協働して、第二のシール765のフランジ767を、少なくとも部分的に取り囲み且つシールして配置する。第二のシール765は、如何なるタイプのシールでもよいが、好ましくは、通常は固定式または浮遊式の第一のシールと共に使用するために構成された、アヒルの嘴型シールである。好ましい実施例において、第二のシール765は、シールハウジング710の中に遠位方向に伸びるアヒルの嘴型シールである。
【0078】
シールハウジング710は、第二のシール765並びに第二のシール支持素子780および第一のシール支持素子750の少なくとも一部を固定し、且つ少なくとも部分的にこれらを取囲むように構成された近位部分714を含んでいる。また、第二のシール支持素子780は、一般に環形状を有し、また第一のシール支持素子と係合するように構成される。シールハウジング710は、套管と嵌合するように構成される。
【0079】
弁アセンブリーおよび直径縮小構造体500は、シールシステムへの外方向または近位方向への、小さい手術器具の偏軸移動および角運動を制御するためのアセンブリーとして構成される。この構成は、小さい手術器具の操作によって第一のシールが受ける角運動の範囲を更に制限することによって、第一のシールに加わる歪みを減少させ、それによって套管シールシステムの完全性を改善する。加えて、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体500は、対応した寸法の套管50に取外し可能に結合することができる。また、末端キャップ510、ハウジング610、直径縮小構造体640、および基礎素子680を、固定シールまたは浮遊シールを有する広範な套管と共に使用して、該套管のシール部分の完全性を妨害することなく、小さい手術器具の偏軸移動および角運動を有利に制御するために、例えば一体化された第一のシール525と共に、またはこれを用いずに、一体化されたアセンブリーとして容易に適合し得ることも想定される。
【0080】
次に、図17および図18A〜図18Cを参照すると、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体800の一つの好ましい実施例は、近位端部分または直径縮小アセンブリー900と、遠位端部分または弁アセンブリー1000とを含んでいる。直径縮小構造体940は、第一のシール825に対して遠位に、且つ直径縮小構造体ハウジング910内に配置される。
【0081】
直径縮小構造体940が、直径縮小構造基礎980の中に配置された三つのスタンドオフ950および三つのリンク部材971を有するスタンドオフアセンブリー945と共に図示されている。直径縮小構造基礎980およびリンク部材971の一般的構成は、構造的および動作的に先の実施例と同様であるが、スタンドオフ950は図16Aに示したのと同様の異なる構成のヘッド部分960を有し、側部950は一般に平坦な形状およびアーム956に略等しい幅を有する。
【0082】
ヘッド部分960はまた、取付け機構963、およびカンチレバー式の延長部またはフランジ967を含んでいる。フランジ967は、ヘッド960から第一の部分における基部961に向って半径方向に伸びている。スタンドオフ950の第二の部分において、フランジ967は、直径縮小構造体ハウジング910の内壁に接触することによって、スタンドオフ950の移動範囲を少なくとも部分的に制限するように、適切な長さで構成することができる。取付け機構963は、スタンドオフ950の上で、その運動範囲の全体に亘って、環形状のバイアス部材969を収容および保持するように構成される。環形状のバイアス部材969は、スタンドオフ950を第一の位置へとバイアスするように構成され、偏軸移動または角運動の作用によってスタンドオフ950が直径縮小構造基礎980またはハウジング910に対して半径方向外側に圧縮されるときに追加のバイアスを提供し、また直径の小さい手術器具がスタンドオフ950の間に貫入するのを排除するための連続したバリアとして作用する。
【0083】
取付け機構963、フランジ部分967、およびバイアス部材969の組合された効果は、一般に長手方向軸線に対して直交する向きを有する力が用いられるときの、スタンドオフアセンブリーによる直径の小さい手術器具の運動の制御、並びに直径の大きい器具に自動的に適合するスタンドオフアセンブリー940の能力である。
【0084】
図19において、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体200の追加の好ましい実施例は、直径縮小構造基礎1380内に独立に配置された直径方向に対向する四つのスタンドオフ1356を有する、スタンドオフアセンブリー1345を含む直径縮小構造体1340を用いて構成される。夫々のスタンドオフ1350は、リンク機構なしで独立に旋回して、小さい器具の偏軸移動および角運動を制限する。
【0085】
スタンドオフ部材1350は、ヘッド1360、アーム1356、および基礎1380と共に装着するために構成されたベース素子1351を含んでいる。スタンドオフ1350は、例えば基礎1380に固定して装着することができ、または別のベース素子1351においては、位置決め素子(図示せず)を用いて、基礎1380上に旋回自在に配置し且つ正しい位置に保持してもよい。スタンドオフ1380をハウジング1310に隣接した第一の位置に配置するために、バイアスが用いられる。更に別の実施例として、例えば先に示したリンク機構の機能の一方または両方を実行するために、ヘッド1360と共に動作するようにリンク機構を配置してもよい。別のヘッド1360の構成は入れ子式機構、凸部および溝機構、または傘歯車機構を含んでおり、これらの機構は、スタンドオフ1380をそれらの運動範囲の全体に亘って略連続した環状構造に相関させる。
【0086】
スタンドオフ1350に固有の、またはその位置決め素子との組合せによる直径縮小構造基礎1380へのバイアスは、直径の大きい手術器具によって偏向されない限り、スタンドオフ1350を第一の位置に維持する。他の実施例に示したように、直径縮小構造体1350は、第一のシールに対して近位に、または遠位に用いることができる。スタンドオフ1350はまた、その構成において、直径の小さい手術器具の移動を制御するために、ヘッド260に類似した球根形状のヘッド1360を含む。
【0087】
図20Aおよび図20Bには、スタンドオフ部材の二つの実施例950および1350が、それぞれ図18A〜図18Cおよび図19に対応して示されている。しかし、これらスタンドオフの二つの主要な構成は、ここに記載した全てのスタンドオフ構成の代表例に過ぎないとみなされるべきである。スタンドオフ部材950および1350は、軸線「Y」に対して角度アルファ(α)をなす軸線「y」を形成するベース部分951および1351を含んでいる。軸線「Y」は、中心の長手方向軸線「X」に対して直交する。ヘッド960および1360は、「X」に対して角度シータ(θ)をなす軸線「x」を定義する。套管ハウジングの構成および適用に応じて、角度「α」および「θ」は、それぞれの「Y」軸線および「X」軸線に一致してもよく、或いは、スタンドオフ950および1350の別の実施例では、それぞれの軸線の反対側に延びてもよい。軸線「X」は、中心の長手方向軸線「X」に対して平行である。
【0088】
ここに記載した全てのスタンドオフは、一般に「X」または中心の長手方向軸線に直交する向きをもった平面内で作用する力に対して、一般に圧縮抵抗性のバイアス構造を提供する。スタンドオフ950および1350、並びにここでのスタンドオフの他の全ての変形例は、中心の長手方向軸線に直交する角度から略プラスまたはマイナス15°の範囲の角度の平面内の力に対して、少なくとも一般に圧縮抵抗性のバイアス構造を提供するように構成され、且つ直径縮小ハウジングのような構造に対して配置される。
【0089】
個々のスタンドオフ部材950および1350は、種々のヘッド部分960および1360の構成、例えば、隣接するスタンドオフ950および1350の間で重畳し、相関し、またはインターリーブする翼延長部またはフランジを含むことができる。保持機構939もまた、例えばバイアス部材939の位置決めのために、ヘッド部分960および1360の中に含めることができる。
【0090】
次に図20Cを参照すると、直径縮小構造体1440の更に別の実施例においては、単一の一体化されたスタンドオフアセンブリー1445が、一つの連続する完全なフランジを設けたスタンドオフまたはフランジ構造体1445に形成される。フランジ構造体1445は、直径の小さい手術器具が一般に平行偏軸移動または角運動をするときに、その移動を制限する機能を行うのに適した何れかの形状、例えば、ヘッド1460、アーム1456、およびベース1451の構成を取ることができる。直径縮小構造体1440は、区切られたヘッド部分1460およびアーム1456を定義する複数のスロット1431を用いて、少なくとも部分的に分断されてもよい。直径縮小構造体1440を更にバイアスするために、保持機構1439を用いることもできる。また、この実施例は、対応して配置された構造体ハウジングによって少なくとも部分的にカンチレバー式に支持された、一般に直線状のカンチレバー式可撓性フランジ構造または傾斜スタンドオフ構造の構造形態を取ることもできるであろう。
【0091】
独立のスタンドオフ1450を用いて構成され、または統一的に一体化されたフランジ構造体スタンドオフ1450として構成された直径縮小構造体1440は、中心の長手方向軸線「X」を横切る平面内の力、および中心の長手方向軸線「X」に対して略直交する平面内の特別の力に対して抵抗するように、適切に構成される。フランジ構造体1450は、操作上の如何なる調節も伴わずに直径の大きい手術器具に適合するように、一般に長手方向軸線「X」と整列した力で曲がり、または旋回するように構成される。
【0092】
もう一つの別の実施例では、直径縮小構造体は一体化された構造体であり、ここではアームが結合されて環状構造が形成され、アセンブリーとして套管ハウジング内に配置される。この実施例におけるスタンドオフアセンブリーは、別個のまたは一体のバイアス部材を含むこともできる。
【0093】
更にもう一つの実施例では、一以上の直径縮小構造体を一緒に連続させて用い、または一つのアセンブリーとして用いて、平行な直径縮小構造体または異なる直径の直径縮小構造体を作成してもよいであろう。
【0094】
図21および図22Aを参照すると、更に別の実施例になる弁アセンブリーおよび直径縮小構造体1500は、直径縮小アセンブリー1600および弁アセンブリー1700を含んでいる。弁アセンブリーおよび直径縮小構造体1500は、中心の長手方向軸線Xに対して同心的な通路1505を定義している。
【0095】
直径縮小アセンブリー1600は、第一のシール1525、直径縮小構造体ハウジングまたは遠位ハウジング1610、直径縮小構造体1640、および直径縮小構造基礎素子1680を含んでいる。直径縮小構造基礎素子1680は、弁アセンブリー1700と結合している。弁アセンブリー1700のシールハウジングまたは近位ハウジング1710は、套管50に対して取外し可能に結合されるように構成されている。
【0096】
直径縮小構造体ハウジング1610は、一般には管形状であり、遠位端部分1612および近位端部分1614を定義する管壁1615を含んでいる。近位端部分1614は、凹んだ部分またはフランジ1618を定義する近位方向に伸びたリム1616を有している。フランジ1618は、長手方向軸線Xに対して略直交しており、また長手方向軸線Xに整列した孔または通路1505を定義するリム1619を含んでいる。この構成の直径縮構造体ハウジング1610は、フランジ1618に対して遠位に配置された第一のシール1515を含み、これは第一のシール支持素子1620によって適正位置に保持される。第一のシール素子1620はまた、リム1619に対して整列したリム1622を定義する。リム1622の遠位端は、シール支持素子1620の遠位端と共にエッジ1623を形成する。遠位端部分1612は、フランジ付部分1613を含んでいる。
【0097】
管壁1615の内径は、第一の部材1630および第二の環状部材1635に対して当接し、且つ摺動するように構成される。環状部材1630の遠位エッジ1631は、第二の環状部材1635の近位エッジ1636に隣接して配置される。第二の環状部材1635は、半径方向に伸びる突起またはタブ1637を有している。
【0098】
直径縮小ハウジング1610は、遠位端1612から遠位方向へ伸びる環状部材1611に結合される。停止部材1608は、シール支持素子1750に隣接し且つハウジング1610の第一の位置を定義する部材1611の遠位端1609上に配置される。また、停止部材1608はタブ1637とインターフェースし且つ該タブにより制限されて、ハウジング1610の近位方向への移動を少なくとも部分的に制限し、ハウジング1610の第二の位置を定義する。
【0099】
直径縮小構造体1640は、直径縮小基礎素子1680上に配置される。直径縮小基礎素子1680は、遠位端1682および近位端1684を有する。遠位端1682は、シール支持素子1750に当接する。基礎素子1680もまた、環状部材1630および1635の内部の一部と当接する。直径縮小構造体1640は、長手方向軸線に対して略平行に遠位方向に伸びる位置から長手方向軸線に対して略平行に近位方向に伸びる位地への、各スタンドオフ部材1650の移動を略180°まで支持するように構成される。
【0100】
スタンドオフアセンブリー240の第一の位置において、スタンドオフ部材250は、一般に中心の長手方向軸線に対して直交する平面内に配置され、ハウジング1610の構造的支持と共に通路1505の動作領域を減少させる。スタンドオフアセンブリー240の第二の位置において、スタンドオフ部材250は、一般に上記第一の位置に対して少なくとも部分的に遠位に配置される。スタンドオフアセンブリー240の第三の位置において、スタンドオフ部材250は、一般に前記第一の位置に対して少なくとも部分的に近位に配置される。
【0101】
スタンドオフ部材1650は、対向する円筒状端部1654を備えたベース部分1651に、アーム1656によって結合されたヘッド1660を有する。スタンドオフ部材250は、先の実施例で説明したように、三つのリンク部材1671を含むリンク機構によって結合される。
【0102】
ヘッド1660は、一般に平坦な面を有する第一の面1662と、直径縮小構造体1640が第一の位置にあるときに第一のシール1525と近接する、反対側のテーパした第二の面1668とを含んでいる。第一の面1662は、カンチレバー式の延長部1661を含んでいる。第三の面1664は、一般に凸部および傾斜側部1665を含んでいる。第三の面に対抗する第四の面1666は、アーム1656で結合された一般に平坦な面を有しており、該平坦な面が第二の面1662およびカンチレバー部分1661に伸びるようになっている。アーム1656は、ベース1651とヘッド1660を連結する狭隘部分である。ヘッド1660はまた、中心に配置され且つ長手方向軸線Yに対して略直交する、区分された凹部ノッチ1663を含んでいる。このノッチ1663の一般に凹んだ形状は、直径縮小構造体1640が第一の位置または初期位置にあるときに、小さい手術器具による制限された程度の偏軸移動に適合するように構成され、寸法決めされる。
【0103】
直径縮小構造体1640は、三つのスタンドオフ1650を有するスタンドオフアセンブリー1645、および三つのリンク部材1671を有するリンク機構1670と共に図示されているが、直径縮小構造基礎1680およびリンク部材1671の一般的構成は、構造的および動作的に、図6〜図8の先の実施例と同様である。
【0104】
弁アセンブリー1700は、套管50に結合するために構成された、第一のシール支持部材1750、第二のシール1765、およびシールハウジング1710を含んでいる。加えて、弾性の管状シールまたは第三のシール1601が、弁アセンブリー1700と直径縮小アセンブリー1600との間で、摺動ジョイント1600を覆ってシール状態で配置されている。
【0105】
第二のシール支持素子1750は、直径縮小基礎素子1680とシールハウジング1710との間に配置される。第二のシール支持素子1750は、一般に、円筒状の外部表面を有する管壁を備えた環形状を有している。加えて、第二のシール支持素子1750は、シールハウジング1710の近位端1714と共に、第二のシール1765を適正位置にシールする。
【0106】
シールハウジング1710の近位端部1714は、第二のシール支持素子1750および第二のシール1765を着座させるための位置を含んでいる。シールハウジング1710の遠位端部1712は、バヨネット若しくはねじ結合のような適切な取付け機構を利用して、套管50と嵌合するように構成されている。
【0107】
第三の管状シール1601は、近位端1605および遠位端1603を有している。近位端1715は、直径縮小ハウジング1601のフランジ1613とシール状態で係合される。シールハウジング1710の近位端1714、および第二のシール支持素子1750の遠位端1752は、第三のシール1601の遠位端部分1603とシール状態で係合するように配置される。第三のシール1601は、摺動継手1699のためのシールを提供するように、これを覆って配置された可撓性の弾性管状シールとして構成および採寸される。第三のシール1601は、停止部材1608が第二のシール支持素子1750に当接する第一の位置と、停止部材1608が近位方向に再配置されてタブ1637に当接する第二の位置との間での、直径縮小ハウジング1610の移動に適合するための適切な可撓性を有している。加えて、第三のシール1601は、直径縮小ハウジング1610の第一の位置へのシールハウジング1710のバイアスを提供する。
【0108】
第三のシール1601は、好ましくは、可撓性および/または伸縮性の材料、好ましくは押出し成形または射出モールド成形可能な材料、最も好ましくはエラストマー材料から製造される。第三のシール1601は、構造体ハウジング1610の長手方向の伸長および収縮を可能にするように、中心のv形状のインデンテーション1601aを含むことができる。或いは、図23に示すように、第三のシールは、v形状のインデンテーションがない完全な管状で、且つハウジング1610の伸長および収縮の際に該シールの伸縮を可能にする適切な弾性を有していてもよい。エラストマー材料は、乱暴な取扱いに遭遇し得る外部器具適用のための適切な厚さを有し、また可撓性バイアスを提供する一方、例えば引裂きまたは貫通に対して抵抗性である。また、第三のシール1601は、オートクレーブ処理または滅菌のために、必要に応じて容易に取付けおよび取外しできることも想定される。
【0109】
次に、図22A〜図22Cを参照すると、直径縮小構造体1640は、図15、図16Aおよび図20Aの実施例と同様に、ヘッド1660の第四の面の少なくとも一部およびアーム1656が直径縮小構造ハウジング1610の一部に近接し、且つ停止部材1608が第二のシール支持素子1750に当接する第一の位置へとバイアスされる。この実施例において、第一のシール支持素子1620のリム1621および遠位端は、第四の面1666の少なくとも一部およびアーム1656にそれぞれ近接し、特に、コーナー部1623は、アーム1656と第四の面1666との接合部に配置される。こうして、第一のシール支持素子1620は、直径の小さい手術器具の偏軸移動および角運動を制限するように、スタンドオフ1650のための構造的支持を提供することによって、スタンドオフ1650を第一の位置に支持する。
【0110】
図13に示すように、直径縮小構造体1640が、大きな手術器具によって、面1662が第二のシール支持素子1750の管壁1755の内側向きに旋回される第二の位置へと遠位方向に偏位されるとき、スタンドオフ部材1650は、外科医またはオペレータによる如何なる外部的調節も伴わずに、大きな手術器具の増大した直径に適合している。しかし、スタンドオフ部材1640は、第一の位置へのそれらのバイアスを保持する。
【0111】
大きな手術器具が、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体1500を通して近位方向に引抜かれるときに、スタンドオフ部材1650のバイアスおよび弾性の組合せが、大きな器具を束縛するかもしれない。望ましくない束縛を排除するために、遠位端1612は第一の環状部材1630、第二の環状部材1635、および第二のシール支持素子1750に摺動可能に係合されて、器具が束縛を停止し、または停止部材1608がタブ1637に当接するまで直径縮小ハウジング1610が近位方向に摺動するようになっている。第一のハウジング1610の位置から近位方向への直径縮小構造体1610の移動は、スタンドオフ部材1650が第三の位置へと近位方向に旋回するのに適した直径ハウジング1610内の増大容積を定義し、また通路1505の動作領域を第二の動作領域から第三の動作領域へと増大させる。少なくともここでは、大きい器具が限定された抵抗で抜取ることができるように、該動作領域は、スタンドオフアセンブリーの第二の位置における動作領域と同様に増大される。
【0112】
束縛を排除するための追加の別の実施例は、例えば外部放出機構、または第二の面1668および/または第三の面1664に配置された一以上の車輪のような摩擦低減手段(これは遠位または第二の位置にある間は、車輪の回転によって大きな器具の抜取りに適合することができ、更に第一の位置にあるときには小さい手術器具の移動に対して充分な抵抗を提供する)と共に、第二の位置における各スタンドオフのためのキャッチまたは係合受け器を含んでいる。
【0113】
ここでは本開示の例示的な実施例を添付の図面を参照して説明したが、本開示はこれら実施例自体に限定されず、本開示の範囲および精神を逸脱することなく、当業者によって他の種々の変形および改変がなされ得ることが理解されるべきである。これら全ての変更および改変は、特許請求の範囲内に含まれるものである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2000年10月13日に出願された米国仮出願60/240,506号の優先権を主張するものであり、その全体の内容を本明細書の一部として援用する。
【0002】
(1.技術分野)
本開示は、套管針ハウジング(トロカール・ハウジング)の弁アセンブリーを貫通する通路の、動作可能な内径を制御するための機構に関する。より詳細に言えば、本開示は直径縮小構造体に関し、該構造は小さい手術器具の移動を限定し、また直径の大きい手術器具を套管針ハウジングの通路内に収容して、弁アセンブリーにより形成される気密シールの維持を容易にする。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
套管針弁アセンブリー(トロカール・バルブ・アセンブリー)は、好ましくは、最小侵襲手術の際に套管針を通して導入される手術器具の回りに液密シールを提供する。典型的な弁アセンブリーは、外側シールを含んでおり、これは追加の内側シールと組合せて、固定し、または浮遊させることができる。固定された外側シールは、小さい手術器具が套管針の中心軸線に対して偏軸移動するときに、そのシールを維持する能力によって制限される。また、固定されたシールは、手術器具に角度を付けるときに、その完全性を維持する能力によっても制限される。このような直径の小さい手術器具の套管内での極端な動きは、「キャットアイ」を形成し、または固定されたシールの中に次第に大きくなる隙間を形成する可能性があり、これはシールの完全性を喪失させることになる。更なる問題には、小さい直径および大きい直径の両方の手術器具を用いるときに、シールの完全性を維持するためのシールの可撓性が含まれる。
【0004】
套管針ハウジング内の通路の直径を限定する装置は、小さい手術器具の移動範囲を限定するために、一般に套管針ハウジングの近位端に配置される追加の機構を必要とする。しかし、これらの直径縮小装置は、典型的には、異なるサイズの手術器具を収容するためにユーザによる調節を必要とする追加のシールおよび/または構造を用いており、それによって手術プロセスを複雑化する。
【0005】
直径の小さい手術器具の偏軸移動ならびに角運動を制限することができ、また外部からの調節なしに直径の大きい手術器具を収容できる直径縮小構造体が、継続して必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
套管針に使用するための弁アセンブリーが提供され、該アセンブリーは、シールの維持において弁アセンブリーを補助するための直径縮小構造体を含む。この直径縮小構造体は、直径の小さい手術器具の偏軸平行移動および角度移動を制御するように可動配置できるスタンドオフアセンブリーを含んでいる。一つの好ましい実施例において、弁アセンブリーは、長手方向軸線を定義し且つその中を通って伸びる長手方向通路を有するハウジングと、該ハウジング内に装着される弁部材とを含んでいる。該弁部材はその中に一つの開口部を有しており、この開口部は、前記ハウジングを通して導入された器具とシール状態で係合するようになっている。
【0007】
少なくとも一つのスタンドオフ素子が、弁アセンブリーの遠位にあるハウジング内に装着される。該スタンドオフ素子は、ハウジングの長手方向通路を横切る初期位置と、器具を通過させる旋回位置との間で旋回移動できるようになっている。スタンドオフ素子は、通常、器具を係合する初期位置にバイアスされて、該器具を、一般に弁部材の軸線に対して整列した位置に向けて付勢する。好ましくは、複数のスタンドオフ素子が設けられ、弁ハウジングの長手方向軸線に対して同軸的に配置される。これらのスタンドオフ素子は動作的に相互に連結されており、それによって、スタンドオフ部材は初期位置と旋回位置との間で同時に移動する。一つの好ましい構成において、スタンドオフ素子は、ギアリンク機構を介して動作的に連結される。このギアリンク機構は、隣接するスタンドオフ部材の間に配置された少なくとも一つのギアリンクを含む。
【0008】
弁アセンブリーはまた、弁部材の遠位に配置された弾性フランジを含む。該弾性フランジは、これと一体に形成された一つのスタンドオフ部材を有する。
【0009】
前記ハウジングは、第一のハウジング部材および第二のハウジング部材を含むことができる。第一のハウジング部材は、その中に装着された一つのスタンドオフ部材を有する。該第一のハウジング部材は第二のハウジング部材に連結されて、第二のハウジング部材に対する第一のハウジング部材の長手方向の移動を可能にする。また、前記弁アセンブリーは、前記第一のハウジング部材および第二のハウジング部材の周囲に装着された細長いシールを含んでいる。この細長いシールは、第一のハウジング部材の長手方向の移動の際に、実質的な液密シールを維持する。
【0010】
また、前記弁アセンブリーは一つのスタンドオフ部材を含んでおり、該部材は初期位置と、第一の旋回位置および第二の旋回位置との間で旋回運動するようになっている。この一つのスタンドオフ部材は、前記ハウジングの長手方向通路を通して前記器具を挿入する際に、前記第一の旋回位置へと移動するようになっている。該一つのスタンドオフ部材は、前記長手方向通路から前記器具を抜取る際に、前記第二の旋回位置へと移動するようになっている。
【0011】
前記弁アセンブリーは、周辺部分、および開口部を定義する内部シール部分を含むことができる。この内部シール部分は遠位方向に伸びて、その中への前記器具の導入を容易にする。
【0012】
従って、好ましい実施例において、前記直径縮小構造体は、如何なる外部的調節または独立したオペレータの介入も伴わずに、手術の際に套管内の通路の動作領域を制御する。直径縮小構造体のスタンドオフアセンブリーは、小さい器具を利用する際には動作領域の寸法を減少させ、また、大きな器具がスタンドオフ部材を長手方向に排除することにより、別途のオペレータによる調節または介入を伴うことなく、通路の動作領域以下の大きい器具を自動的に収容する。前記スタンドオフ部材の運動は、前記通路の動作領域に等しい断面積を有する大きい手術器具を収容するように設計される。
【0013】
例えば、本発明は以下を提供する。
【0014】
(項目1) 套管針と共に使用され、且つその中に導入される器具の回りに実質的な液密シールを形成するための弁アセンブリーにおいて:
長手方向軸線を定義し、且つその中を通って伸びる長手方向の通路を有するハウジングと;
前記ハウジング内に装着される弁部材であって、前記ハウジングを通して導入される器具にシール状態で係合するようになっている開口部を中に有する弁部材と;
前記ハウジング内において、前記弁部材の遠位に装着された少なくとも一つのスタンドオフ素子であって、前記ハウジングの長手方向通路を横切る初期位置と、前記器具を通過させる旋回位置との間で旋回移動できるようになっており、通常は前記器具に係合する初期位置にバイアスされて、前記器具を一般に前記弁部材の軸線に対して整列した位置に向けて付勢するスタンドオフ部材と、
備えることを特徴とする弁アセンブリー。
【0015】
(項目2) 複数のスタンドオフ素子を含むことを特徴とする、項目1に記載の弁アセンブリー。
【0016】
(項目3) 項目2に記載の弁アセンブリーであって、前記スタンドオフ素子は、前記弁ハウジングの長手方向軸線に対して同軸的に配置されることを特徴とする弁アセンブリー。
【0017】
(項目4) 項目2に記載の弁アセンブリーであって、前記スタンドオフ素子は相互に動作的に結合され、それによって、前記スタンドオフ部材は前記初期位置と前記旋回位置との間で同時に移動することを特徴とする弁アセンブリー。
【0018】
(項目5) 項目4に記載の弁アセンブリーであって、前記スタンドオフ部材を動作的に結合するためのギアリンク機構を含み、該ギアリンク機構は、隣接するスタンドオフ部材の間に配置された少なくとも一つのギアリンクを含んでいることを特徴とする弁アセンブリー。
【0019】
(項目6) 項目1に記載の弁アセンブリーであって、前記弁部材の遠位に配置された弾性フランジを含み、該弾性フランジはそれと一体に形成された一つのスタンドオフ部材を有することを特徴とする弁アセンブリー。
【0020】
(項目7) 項目1に記載の弁アセンブリーであって、前記ハウジングは第一のハウジング部材および第二のハウジング部材を含み、該第一のハウジング部材はその中に装着された一つのスタンドオフ部材を有し、該第一のハウジング部材は前記第二のハウジング部材に結合されて、前記第二のハウジング部材に対する該第一のハウジング部材の長手方向の移動を可能にすることを特徴とする弁アセンブリー。
【0021】
(項目8) 項目7に記載の弁アセンブリーであって、前記第一のハウジング部材および第二のハウジング部材の周囲に装着された細長いシールを含み、該細長いシールは、前記第一のハウジング部材の長手方向の移動の際に実質的な液密シールを維持することを特徴とする弁アセンブリー。
【0022】
(項目9) 項目8に記載の弁アセンブリーであって、前記一つのスタンドオフ部材は、初期位置と第一の旋回位置と第二の旋回位置との間で旋回運動するようになっており、該一つのスタンドオフ部材は、前記ハウジングの長手方向通路を通して前記器具を挿入する際に前記第一の旋回位置へと移動し、該一つのスタンドオフ部材は、前記長手方向通路から前記器具を抜取る際に前記第二の旋回位置へと移動するようになっていることを特徴とする弁アセンブリー。
【0023】
(項目10) 項目1に記載の弁アセンブリーであって、前記弁部材は周縁部分、および開口部を定義する内部シール部分を含み、該内部シール部分は遠位方向に伸びて、その中への前記器具の導入を容易にすることを特徴とする弁アセンブリー。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本開示に従って構成された、套管針のための弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の好ましい実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の分解斜視図である。
【図3】図3は、図1の弁アセンブリ−および直径縮小構造体の近位端部分を示す、拡大斜視図である。
【図4】図4は、図3の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の一部を取外した拡大斜視図であり、直径縮小構造体基礎素子の中に配置された直径縮小構造体を示している。
【図5】図5は、図1の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の一部を取外した拡大斜視図であり、第二のシールを示している。
【図6】図6は、図1の開示に従うリンク部材の拡大斜視図である。
【図7】図7は、図1の開示に従う直径縮構造基礎素子における、遠位端部分の拡大斜視図である。
【図8】図8は、図1の開示に従うスタンドオフの拡大斜視図である。
【図9】図9は、図1の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の、9−9線に沿った断面図である。
【図10】図10は、図9の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の拡大断面図である。
【図11】図11は、図4の直径縮小構造体および直径縮小構造基礎素子の分解図である。
【図12】図12は、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体を貫通する直径の大きい手術器具および患者の組織と共に、動作状態で用いられている図1の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体を示す斜視図である。
【図13】図13は、図12の13−13線に沿った拡大断面図であり、直径の大きい手術器具のための、直径縮小構造体の再配置を示している。
【図14】図14は、図10の弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の拡大断面図であり、少なくとも部分的にその中に配置された直径の小さい手術器具を示している。
【図15】図15は、図14の断面図であり、その中に配置された直径の小さい手術器具の角運動を制御する直径縮小構造体を示している。
【図16A】図16Aは、本開示に従って構成された弁および直径縮小構造体の、第二の実施例を示す平面図である。
【図16B】図16Bは、図16Aの線16B−16Bに沿った断面図であり、直径縮小構造体における一つのスタンドオフ部材の代表的な動きを示している。
【図16C】図16Cは、図16Aの線16C−16Cに沿った断面図であり、第一の位置にある直径縮小構造体を示している。
【図17】図17は、本開示に従って構成された套管針における、直径縮小構造体の第三の実施例の近位端部を示す斜視図である。
【図18A】図18Aは、図17の線18A−18Aに沿った、直径縮小構造体を示す套管針の断面図である。
【図18B】図18Bは、図18Aの線18B−18Bに沿った、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の断面図である。
【図18C】図18Cは、図18Aの線18C−18Cに沿った、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の断面図である。
【図19】図19は、本開示に従って構成された弁アセンブリーおよび直径縮構造体の第四の実施例を示す断面図である。
【図20A】図20Aは、図18A、図18Bおよび図18Cの直径縮小位構造体におけるスタンドオフ構成の第二の実施例を示す拡大断面図である。
【図20B】図20Bは、図19の套管針のための、直径縮小構造体のスタンドオフ構成を示す拡大断面図である。
【図20C】図20Cは、本開示に従って構成された直径縮構造体の第五の実施例を示す一部断面斜視図である。
【図21】図21は、本開示に従って構成された可動性直径縮小アセンブリーを有する套管針のための、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の第六の実施例を示す平面図である。
【図22A】図22Aは、図21Aの套管針の線21A−21Aに沿って表した、套管針のための弁アセンブリーおよび直径縮小構造体を示す断面図である。
【図22B】図22Bは、スタンドオフアセンブリーが第二の位置にある、図22Aの套管針のための弁アセンブリーおよび直径縮小構造体を示す断面図である。
【図22C】図22Cは、スタンドオフアセンブリーが第三の位置にある、図22Aのスタンドオフ構成を示す断面図である。
【図23】図23は、図22Aの弁アセンブリーおよび直径縮小構造体の別の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、ここに開示する套管針直径縮小構造体の現在好ましい実施例を、添付の図面を参照して説明する。
【0026】
本開示は、クリップ適用器、把持器、解剖器具、開創器、ステープル器具、レーザファイバ、内視鏡、並びに電子手術切断装置、凝集装置およびアブレーション装置を含む全ての種類の手術器具を収容するようになっている套管針(トロカール)を、患者の身体の中に導入することを想定している。
【0027】
次に、特定の詳細について図面を参照するが、ここでは幾つかの図に亘って、同様の番号は類似または同一の要素を示す。最初に図1を参照すると、本開示の好ましい実施例に従って構成された、套管針のための新規な弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100が示されている。これは、中心の長手方向軸線Xに整列した通路25を定義する従来の套管針アセンブリー(トロカール・アセンブリー)、および套管(カニューレ)50と組合せて使用することを意図したものである。通路25は第一の動作領域を定義する。
【0028】
弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100は、近位端部分に隣接して位置する直径縮小アセンブリー200、および遠位端部分に隣接して位置する弁アセンブリー300を含んでいる。本開示の直径縮小アセンブリー200は、単独でまたは弁アセンブリー300と組合せて、套管50を通して器具を挿入する際および該挿入後に、患者に形成されたキャビティーと外部空気との間のシールを提供する。更に、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100は、手術の際に各器具と共に気密シールを提供することにより、例えば5mm〜12mmの種々の直径の器具を収容することができる。液密シールを維持するこの弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100の可撓性は、一回の手術の際に異なる直径を有する種々の器具が屡々必要とされ、且つ偏軸移動および小さい手術器具の外科的屈曲が用いられるような、内視鏡手術を非常に容易にする。
【0029】
弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100は、好ましくは取り外し可能に、套管50の近位端54に装着することができる。手術に際して、外科医は、手術の如何なる時点でも、直径縮小アセンブリ200を弁アセンブリー300から除去することができる。同様に、直径縮小アセンブリー200を弁アセンブリー300に装着して、直径縮小構造体および弁アセンブリー100を再構成することができる。加えて、直径および弁アセンブリー100は、異なる構造、材料および長さの従来の套管に容易に装着するようになっている。直径縮小アセンブリー200を弁アセンブリー300から取外せる能力は、套管50を通しての検体の取出しを容易にし、また手術の特定の時点において直径縮小アセンブリー300が必要とされないときに、套管50のプロファイルを減少させる。アセンブリー200は、種々の弁アセンブリーに適合するように構成できることも想定される。
【0030】
次に、図2〜図3を参照して、本開示の新規な弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100の一つの好ましい実施例を詳細に述べる。直径縮小アセンブリー200は、末端キャップ110、第一のシール125、直径縮小構造体ハウジングまたは第一のハウジング210、第一のO−リング225、直径縮小構造体240、および直径縮小構造基礎素子280を含んでいる。直径縮構造基礎280は、弁アセンブリー300と結合されている。シールハウジング30は、取外し可能に套管50に結合される。
【0031】
末端キャップ110は、一般に管形状であり、遠位端部分112および近位端部分114を含んでいる。環形状のディスク116は、中心の長手方向軸線に整列した孔115を定義している。末端キャップ110は、直径縮小構造体ハウジング210に取外し可能に結合されている。
【0032】
第一のシール125は、末端キャップ110の環形状ディスク116の遠位端と、直径縮小構造体ハウジング210の近位端部分との間にシール状態で配置される。第一のシール125は、アセンブリー100の第一の外部シールを形成し、固定シールまたは浮遊シール(これらに限定されない)のような従来の如何なる種類のシールであってもよい。
【0033】
直径縮小構造体ハウジング210は、一般に、遠位端部分212から近位端部分214へと円周が減少する半球形のシェル形状を有している。これに対応して、遠位端部分212は、近位端部分214の環状部分213によって定義される直径よりも大きい直径を有する孔215を定義する。孔215は、中心の長手方向軸線Xに同心円的に整列している。近位端部分214は、遠位端部分112に収容および結合されるように構成されている。遠位端212は、取扱いを容易にするために、スカラップされた表面(scalloped surface)を有する外側円筒状部分216を含んでいる。第一のO−リング225は、環状部分213の近傍において、直径縮小構造体ハウジング210の内部表面に着座される。
【0034】
次に、図2および図4を参照すると、直径縮小構造基礎素子280は、直径縮小構造体240をその近位端部分284に着座させ、予め定められた範囲の運動を通して直径縮小構造体240の移動を支持し、また弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100を通る通路25の動作直径を制限するときに、ハウジング210と協働して、スタンドオフ250のための適切な支持構造を与えるように構成されている。基礎素子280は、外部円筒表面286を有し、更に、一般に遠位に配置され且つ長手方向軸線上に心合わせされた管形状部分285を定義する。
【0035】
直径縮小構造体240は、この実施例では三つのリンク部材271を有するリンク機構270により連結された、三つのスタンドオフ部材250を有するスタンドオフアセンブリー245を含んでいる。スタンドオフ250は、アセンブリー100内に配置された器具の移動に対して予め定められた程度の制御を提供する。リンク機構270は、スタンドオフ250の移動を統合および同期させる。
【0036】
各リンク部材271が、二つの隣接するスタンドオフ250に連結され且つそれらの間に配置される結果、直径縮小構造体240は、交互のスタンドオフ250およびリンク部材271によって長手方向軸線Xの回りに心合わせされた略六角形を形成するようになっている。
【0037】
各スタンドオフ部材250は、長手方向軸線Y(図8参照)を定義する円筒状の植込み歯車部分252を含み、且つ長手方向軸線Yに対して平行に伸びる歯225を有するギアを備えた対向する円筒状末端部分254を有する。リンク部材271もまた円筒状の形状を有し、これは長手方向軸線Z(図6参照)および歯275を有するギアを備えた円筒状末端274を定義する。歯275は、長手方向軸線Zに平行に伸びている。リンク部材271およびスタンドオフ部材250は、直径縮小構造基礎素子280の中に配置されており、夫々の歯275または255は、直径縮小構造体240の隣接する相互に関連した部分の対応する傾斜スロット257または277の中に嵌合して、各スタンドオフ250の同時移動を統合および調和させるように、適切な角度向きで構成、採寸および配置されるようになっている。
【0038】
リンク部材271は、動作の全範囲に亘ってスタンドオフ250の旋回運動のための同期機能を提供し、ここで直径縮小構造体240は、より大きな直径の手術器具を収容するために少なくとも部分的に再配置される。第二の位置における直径縮小構造体240の移動の制限には、套管の直径、スタンドオフの形状、および套管針の内部部分のような因子が含まれ、これらは長手方向軸線から遠ざかるスタンドオフ250の旋回移動または回転移動を制限する。この第二の位置は、スタンドオフ250が直径縮小構造体280の中の着座位置において、一般に長手方向軸線から遠方へ遠ざかるように弧状に旋回され、曲げられ、または回転されて、通路25を増大させるときに、直径縮小構造体240の中断された環状バリアによって定義される直径として定義される。
【0039】
直径縮小構造体ハウジング210および直径縮小構造基礎素子280は、直径縮小構造体240の配置、直径制御機能、および移動を支持するように構成される。ハウジング210および基礎素子280は、変化する套管サイズだけでなく、例えば種々の異なる末端キャップ、第一のシール、およびシールハウジングとインターフェースするようになっている。
【0040】
次に、図2および図5を参照すると、弁アセンブリー300は、第二のO−リング335、第一のシール支持部材350、第二のシール365、第二のシール支持部材380、第三のO−リング395、および套管50への接続のために構成されたシールハウジング若しくは第二のハウジング310を含んでいる。直径縮小構造基礎280は第二のO−リング335のための着座を提供し、該O−リングは、遠位端282と第一のシール支持素子350の近位端部分354との間のシールを与える。
【0041】
第二のシール365は、第一のシール支持素子350の遠位端部分352と第二のシール支持素子380の近位端との間にシール状態で配置されるための、フランジ367を含んでいる。第一のシール支持素子350は、一般に外側円筒状表面356を備えた環形状であり、三つの遠位方向に伸びるタブ358を有している。第二のシール支持素子380もまた、一般に、外側円筒表面386を備えた環形状を有しており、半径方向に伸びるタブ388を備えるように構成されている。第三のO−リング395は、第二のシール支持素子380とシールハウジング30との間のシールを提供する。
【0042】
シールハウジング310は、タブ388と対応して係合するように構成された半径方向に整列したスロットを含む近位端部分314、およびバヨネット若しくはネジ結合のような適切な取付け機構を利用して、套管50と係合するように構成された遠位端部分312を有している。
【0043】
シールハウジング310は更に、直径方向に対向した二つのカンチレバー部分325を含んでいる。各カンチレバー部分は、部分325に対して一般に直交する縫合糸取付け器具327を有する二つの対向したノッチ326を含んでいる。取付け器具327は、最小侵襲手術で典型的に用いられる膨張圧力に抗して、患者内の適正位置に套管針アセンブリーを積極的に保持するために、縫合糸を容易にタイオフ(tie off)するために構成された円筒状部分328および半球状部分329を含んでいる。
【0044】
第二のシール365は、アヒルの嘴型シールのように示されているが、これは例えば円錐台型シールのような、第二のシールの機能を実行するようになっている如何なるシールシステムであってもよい。
【0045】
末端キャップ110、直径縮小構造体ハウジング210、直径縮縮小構造基礎素子280、第一のシール支持素子350、第二のシール支持素子380、およびシールハウジング310は、好ましくは医療等級のプラスチック、金属、またはその用途のための適切な強度および反発弾性を有する複合材料で製造される。一つの好ましい実施例において、上記のアセンブリーは、医療等級のプラスチックを用いて射出モールド成形される。O−リングは、一般に剛性の構造部材間に液密シールを提供するのに適した医療等級のプラスチックまたはゴム製である。
【0046】
次に、図6〜図8を参照すると、一つの好ましい実施例において、リンク部材271が長手方向軸線Zに整列して示されている。増大された円周および所定の幅を有する帯状部272が、各リンク機構270の円筒状表面に配置されている。歯275は、円筒状部分274の外部表面に第一のアーチ幅の歯を有しており、夫々の歯275はその反対側の狭い第二のアーチ幅へとテーパまたは傾斜している。従って、歯275は表面274から、表面274と長手方向軸線Zとの間の予め定められた点へと内側に伸びている。歯275は、少なくとも一つのピン279を含み得る後退した平坦な部分278を越え、且つ少なくとも部分的に該部分を取り囲んで伸びている。ピン279は、長手方向軸線Zに対して同心的であり、軸線方向に伸びている。スロット277は、突起または歯275および円筒部分274の傾斜部分によって定義される。
【0047】
直径縮小構造基礎素子280が、管状部分285に結合された遠位端部分282および近位端284と共に示されている。管状部分285は、第二のシールの中に挿入される器具を案内するように配置され、また少なくとも通路25の直径に略等しい内径を有している。管状部分285および円筒状部分286上に配置された半径方向に伸びるタブ287および289は、第一のシール支持素子350を、それぞれO−リング335と組合せた基礎素子280と密封係合させるように構成および採寸される。円筒状部分286は、半径方向に伸びるリップ281を含む環形状を有する。近位端方向に伸びるタブ288お及び少なくとも部分的に凹んだキャビティー290は、近位端部分284内において、直径縮小構造体240の回転または撓みを支持するように構成される。
【0048】
スタンドオフ部材250は、アーム256によりベース部分251に結合されたヘッド260を有し、対向する円筒状末端部分254は長手方向軸線Yに整列される。管状の帯状部252は、末端部分254の円周よりも大きい円周を有する。長手方向に整列されたノッチ252aが、アーム256の基部付近の帯状部252に形成される。歯255は、円筒形部分254の表面と一致した第一のアーチ幅を有し、これは夫々の歯の反対側における狭い第二のアーチ幅へとテーパしている。従って歯255は、表面254から、表面254と長手方向軸線Yの間の所定の点へと内側に伸びている。スロット257は、突起または歯255と、円筒状末端部分254の傾斜部分によって定義される。歯255は軸線Yに沿って、ピン259を含み得る後退した平坦な部分258を超え、且つ該部分を少なくとも部分的に取囲んで伸びている。ピン259は長手方向軸線Yと同心的であり、部分258から軸線方向に伸びている。ヘッド260は、一般に、外部表面および内部凹表面266を有する半球状または球根状である。
【0049】
ヘッド260は、一般に平坦な面を有する第一の面262と、対向するテーパした第二の面268とを含んでいる。第一の面262は、カンチレバー型の延長部261を含んでいる。第三の面264は、一般に凹部および傾斜側部265を含んでいる。第三の面に対向する第四の面266は、アーム256に結合された一般に平坦な表面を有する。ヘッド260はまた、長手方向軸線Yに対して略直交し、中心に配置され且つ区分化された凹んだノッチ263を含んでいる。一般に凹形状のノッチ263は、直径縮小構造体240が第一の位置、または初期位置にあるときに、小さい手術器具による制限された偏軸移動に適合するように構成および採寸される。アーム256は、ヘッド260をベース部分251に結合する。
【0050】
スタンドオフアセンブリー245およびリンク機構270を含んだ直径縮構造体240の部品は、好ましくは、直径縮小構造体としての用途に適した可撓性、バイアス、剛性、および圧縮強度をもった少なくとも一つの医療等級のプラスチック、医療等級のプラスチック積層体、または複合材料から製造される。また、用途によっては、異なる材料を結合してこの構造体にしてもよい。例えば、ヘッド260は、アーム256を形成する第二の医療等級プラスチックよりも、反発弾性の大きい一つの医療等級のプラスチックから製造してもよい。同様に、リンク部材271は、適切な一以上の医療等級プラスチックまたは複合材料で形成してもよい。
【0051】
更に、スタンドオフ250およびリンク部材271の動作を同期させる歯車システムは、スタンドオフ250および他の適切な代替機構の運動を同期させるのに適した、当業者に公知の一つのリンク機構270(例えばプーリーシステム、可撓性同期シャフト、または同じ機能を実施する関節継手であるが、これらに限定されない)が想定される。
【0052】
次に、図9および図10を参照すると、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100および套管50が断面図で示されている。第一のシール125は凹型またはアーチ状の膜部分127を含んでおり、これは半径方向内側に伸びて、孔129を定義する先端部分128を形成する。当該部分127は、スタンドオフ部材250に近接または当接する。スタンドオフ部材250は、一般に中心の長手方向軸線Xに対して直交した向きを有する第一の位置で示されている。セグメント化されたノッチ263の深さおよび幅は、孔129および第二の面264に対して相対的に示されており、制限され且つ増大した程度の、小さい手術器具の偏軸移動または角運動を提供する。
【0053】
スタンドオフ250は、カンチレバー部分218に近接または当接して配置されたベース部分251を含んでいる。カンチレバー部分220は、スタンドオフ部材250のヘッド260の半径方向外側への移動を制限するために、停止部材として作用するように構成された壁222を含んでいる。スタンドオフ部材、特にヘッド260の構造材料は、手術器具の平行な偏軸および角運動に対して、或る範囲の柔軟な圧縮バイアスを与えるように選択的に制御すればよい。
【0054】
直径縮小構造体ハウジング210は、直径縮小構造基礎素子280および第一のシール支持素子350を少なくとも部分的に包囲する。第二のシール365のフランジ367は、第一のシール支持素子350と第二のシール支持素子380の間に固定される。シールハウジング310は、第二のシール支持素子380を少なくとも部分的に包囲する。套管50は、シールハウジング310の遠位端部分に結合している。
【0055】
図11において、半径縮小構造体240は、直径縮小構造基礎素子280内に配置するために、第一の位置における一体化されたアセンブリーとして示されている。基礎素子280は、直径縮小構造体240がその動作直径を制御するための適切な配置を提供するように構成され、小さい器具を利用する処置の際に、アセンブリー100のシールシステムがその一体性を維持する能力を改善する。これは、スタンドオフ250が手術器具の移動に対する制御された制限を与え、また第一の位置と第二の位置の間で直径縮小構造体240の移動を支持するバリアとして作用するための、適切な支持構造を含んでいる。
【0056】
構造体240の第一の位置はヘッド260によって定義され、該ヘッドは、通路25内に位置する小さい手術器具の長手方向軸線に対して一般に直交する平行な偏軸移動または角移動から生じる、長手方向軸線Xに対して一般的に直交する平面内の力を制御するのに適した中断された環状バリア構造を形成する。ヘッド260の第三の面は、第一の位置における第二の動作領域を定義する。
【0057】
第一の位置において、ヘッド260の傾斜部分265は、直径縮小構造体240によって形成された環状バリア構造におけるギャップまたは中断を定義する。このギャップの寸法は、ヘッド260の形状および位置によって制御され、また小さい直径の手術器具のヘッド260の間への通過が排除されるのを保証するように構成される。直径縮小構造体240は、更に、縮小構造体240の半径方向内側および外側への移動、並びに第一の位置から第二の移動への移動に抵抗するように構成された制御されたバイアスを含んでいる。また、構造体240におけるこのバイアスは、大きい直径の手術器具を除去した後に、構造体240を第一の位置へと戻すように働く。
【0058】
第二の位置は、直径縮小構造体240および套管50を通る個々の大径手術器具の限定されない通路に適合するように、少なくとも部分的に遠位方向に移動する直径縮小構造体240によって定義される。
【0059】
基礎素子280は、スタンドオフ部材250のために、リンク部材271および290のための少なくとも部分的に凹んだ着座位置296を含む。着座位置290は、円筒状端部254を収容するように構成および採寸された、二つの異なる着座部または支持部を有する中断されたチャンネルを定義する。帯状部252は、支持体292の間に配置される。着座位置290は、更に、近位方向に伸びる直線部分299を備えたアーチ型の支持部材294を含んでいる。
【0060】
着座位置296は、リンク部材271の表面274および帯状部272を収容するように構成および採寸された、スロットまたは凹部297により分離された少なくとも部分的に凹んだチャンネル部分を定義している。着座位置296は、近位方向に伸びる直線部分299を含んでいる。
【0061】
着座位置290および296は、近位方向に伸びた部材295によって構造的に支持される。部材295は、アームによって部分292および298に連結され、部分292および298を過剰な変更または移動から構造的に支持する。
【0062】
着座位置290および296は、スタンドオフ250およびリンク部材271の運動を同期させるための、歯255および275とそれらのスロット277および257との相互関係にとって重要な整列、間隔、および角度配向を提供する。加えて、直径縮小構造体240は、個別の部品としてまたはアセンブリーとして、第一の位置へのバイアスを含んでいる。これは、その直径縮小構造基礎素子280内への配置の結果としてであるか、または弾性バンドのような別個のバイアス部材によるか、またはそれらの組合せによるものである。直径縮小構造体ハウジング210(図2参照)および直径縮小構造基礎素子280と共に完全に組立てられたとき、直径縮小構造体240は、オペレータの如何なる動作も伴わずに、如何なる角度または如何なる使用方向においても、その機能を実施することができる。
【0063】
次に、図12および図13を参照すると、直径縮小構造体100が動作位置で示されている。第二の長手方向軸線を定義する直径の大きい医療器具80は、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100および套管50を通して配置される。直径の大きい手術器具は、第二の長手方向軸線に対して直交する直径または断面積を有する器具であり、この直径または断面積は、通路25の第一の直径または第一の動作面積よりも小さいが、第一の位置にあるスタンドオフアセンブリーによって定義される中心の長手方向軸線に直交した第二の直径または第二の動作面積よりも大きい。同様に、第一の長手方向軸線を定義する直径の小さい手術器具60は、第一の位置にあるスタンドオフアセンブリーによって定義される第二の直径または動作面積よりも小さい、第一の長手方向軸線に直交した直径または断面積を有する。従って、定義により、第二の動作面積よりも直径の大きい器具は、通路に侵入するために、スタンドオフアセンブリー240を少なくとも部分的に遠位方向に偏向させる。これとは対照的に、小さい器具は、スタンドオフアセンブリー240を偏向させることなく、第二の動作領域内に軸線方向に配置することができる。この一つの好ましい実施例において、大きい器具は5.5mmを越える直径を有するものとして定義され、また小さい器具は5.5mm以下の直径を有するものとして定義される。
【0064】
大きい器具と小さい器具との間の5.5mmの区別は、套管内に定義された通路の直径に関連するものであり、套管装置、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100の直径に応じて変化させることができる。直径の大きい器具80は、中心の長手方向軸線Xに沿って、第一のシール125を通して遠位方向に移動され、直径縮小構造体構造240に接触するとき、直径の大きい器具80を移動させる軸線方向に整列した力成分は、直径縮小構造体240を図10に示す第一の位置に保持するように構成されたバイアスに打ち克たなければならない。
【0065】
器具80の背後の力が、直径縮小構造体240を第一の位置に維持するように構成されたバイアスを超えるときに、直径縮小構造体240は、最初は一般に遠位方向に一般に弧状運動で旋回し、次いで、矢印「A」および「B」で示すように、その旋回または回転弧状運動を継続して中心の長手方向軸線から離れ、第三の動作領域を定義して、直径の大きい器具80の通過に適合する。第一の位置にある直径縮小構造体240を保持するために用いられるバイアスの量は、直径縮小構造体240の構成材料、並びに直径縮小構造体240を直径縮小構造基礎素子280内の第一の位置に固定するために用いる方法等の因子によって制御される。
【0066】
直径の大きい器具80のシャフトによって壁356の内径にむけて付勢されるときに、スタンドオフ250は、ヘッド260の面262が壁356と略平行で且つこれに当接して配置される第二の位置へと移動する。この第二の位置における壁356と直径縮小構造体240との間の空間的関係は、個々の套管の内部構造、通路25の内周、および弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100の目的とする用途の関数である。弁アセンブリーおよび直径縮小構造体100は、直径縮小構造体240を旋回させるため、またはこれを曲げるための適切な空間を提供するように構成される。直径の大きい器具80を引抜くと、直径縮小構造体240は、各スタンドオフ250の一部が壁220に隣接する第一の位置に再配置されるように付勢される。
【0067】
次に、図14および図15を参照すると、スタンドオフ部材250は、ヘッド260が一般に長手方向軸線Xに対して半径方向に伸びる第一の位置、または直径縮小位置で示されている。カンチレバー部分222は、ヘッド260の半径方向の偏位を構造的に支持し且つ制限するように構成された、一般的に剛性のバリアを提供する。第一の位置にある直径縮小構造体240は、如何なる移動も伴わずに、直径の小さい器具60が弁アセンブリーおよび直径縮構造100を通って套管50の中へ貫通するために適合するように構成される。
【0068】
この第一の位置にあるとき、直径の小さい手術器具の直交運動または角運動の結果として、スタンドオフ部材250は、中心の長手方向軸線Xに対して直交する成分をもった力によって、少なくとも部分的に軸線方向に圧縮されて配置される。各スタンドオフ部材250は、直径縮小アセンブリー200の中に装着されて、直径の小さい手術器具60の過剰な平行偏軸移動および角運動に対する制限を与える。
【0069】
直径の小さい手術器具60は、典型的には直径縮小構造体240とは殆どまたは実質的に接触することなく、シール125を通して套管50の中に配置される。しかし、直径の小さい手術器具60を操作して偏軸移動または角運動を行うと、直径の小さい手術器具60は少なくとも一つのヘッド部分260および套管50の内周に接触し、これらは協働して二つの別々の略並列した構造的バリアとして作用し、中心の長手方向軸線Xから外側に向う偏軸移動および角運動を制御する。ヘッド260およびカンチレバー部分222の組合せは、剛性または可撓性のバイアス構造体として構成することができる。この制御機構は、直径の小さい手術器具60による操作上の移動を拘束して、シーリングシステムの一体性を充分に保持する。
【0070】
次に、図16A、図16Bおよび図16Cを参照すると、もう一つの好ましい実施例において、弁アセンブリーおよび直径縮構造体500は、先の実施例と同様に、近位端部分または直径縮小アセンブリー600、および弁アセンブリー700を含んでいるが、直径縮小構造体640は第一のシール525に対して近位方向に配置されている。
【0071】
直径縮小構造体500は、末端キャップ510、直径縮小構造体ハウジング640、直径縮小構造基礎素子680、および必要に応じて第一のO−リングを含んでいる。
【0072】
末端キャップ510は一般に円筒形状を有し、遠位端部分512および近位端部分514を含んでいる。近位端部分514は、中心の長手方向軸線Xに整列した孔515を定義する環形状のディスクまたは部分516を含んでいる。この構成において、環状部分516は、シールとして構成されない剛性プラスチックまたは可撓性膜であってもよい。こうして、孔515は剛性または可撓性のバリアとして構成することができ、少なくとも剛性套管の内径に等しい直径を有するであろう。
【0073】
直径縮小構造体610は、一般に、遠位端部分612から近位端部分614に向って円周が減少する半球形のシェル形状を有する。近位端部分614は、孔615を定義する環状部分613を含んでいる。近位端部分614は、遠位端部分514に収容結合されるように構成されている。遠位端部分612は、その取扱いを容易にするためのスカラップ表面を有する外部円筒状部分616を含んでいる。
【0074】
直径縮小構造体640は、三つのスタンドオフ部材650を有するスタンドオフアセンブリーを含んでおり、またリンク部材670は、第一のシール525に近接して配置される。スタンドオフ650は、アセンブリー600内に配置された器具の移動に対する予め定められた程度の制御および制限を提供する。三つのリンク部材671の形態のリンク機構670は、スタンドオフ650の運動を統一し且つ同期させる。スタンドオフ部材650またはリンク機構670の具体的な構成は変化し得るが、ここでの全ての実施例に記載したように、操作的にはスタンドオフアセンブリー645を用いて、小さい手術器具の偏軸移動および角運動を制限する。
【0075】
直径縮小構造基礎素子680は、直径縮小構造体640をその近位端部分682上に着座させるように構成され、また矢印「A」によって少なくとも部分的に示すように、予め定められた範囲の運動の全体に亘って縮小構造640の移動を支持および制御するように構成された、少なくとも部分的にカンチレバー式に支持されたの着座位置690を含んでいる。遠位方向に伸びる管状部分685は、第一のシール525を位置決めするために構成されている。第一のシール525は、長手方向軸線Xに対して略直角に配置されており、固定式または浮遊式のシールであってよい。
【0076】
第一のシール支持素子750は一般に管状の形状を有しており、カンチレバー式の着座部分690の近位側に隣接した遠位端部754および近位端752を備えている。第一の支持素子750は内壁756を有しており、これはスタンドオフ650の遠位方向への移動範囲を制限するように構成することができる。第一のシール素子750のカンチレバー式部分753は、第二のシール支持素子780の近位部分の間に配置された第二のシール765のフランジ767を、固定およびシールするように配置される。
【0077】
第一の支持素子750の遠位端は、第二のシール支持素子780の遠位端部分782と協働して、第二のシール765のフランジ767を、少なくとも部分的に取り囲み且つシールして配置する。第二のシール765は、如何なるタイプのシールでもよいが、好ましくは、通常は固定式または浮遊式の第一のシールと共に使用するために構成された、アヒルの嘴型シールである。好ましい実施例において、第二のシール765は、シールハウジング710の中に遠位方向に伸びるアヒルの嘴型シールである。
【0078】
シールハウジング710は、第二のシール765並びに第二のシール支持素子780および第一のシール支持素子750の少なくとも一部を固定し、且つ少なくとも部分的にこれらを取囲むように構成された近位部分714を含んでいる。また、第二のシール支持素子780は、一般に環形状を有し、また第一のシール支持素子と係合するように構成される。シールハウジング710は、套管と嵌合するように構成される。
【0079】
弁アセンブリーおよび直径縮小構造体500は、シールシステムへの外方向または近位方向への、小さい手術器具の偏軸移動および角運動を制御するためのアセンブリーとして構成される。この構成は、小さい手術器具の操作によって第一のシールが受ける角運動の範囲を更に制限することによって、第一のシールに加わる歪みを減少させ、それによって套管シールシステムの完全性を改善する。加えて、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体500は、対応した寸法の套管50に取外し可能に結合することができる。また、末端キャップ510、ハウジング610、直径縮小構造体640、および基礎素子680を、固定シールまたは浮遊シールを有する広範な套管と共に使用して、該套管のシール部分の完全性を妨害することなく、小さい手術器具の偏軸移動および角運動を有利に制御するために、例えば一体化された第一のシール525と共に、またはこれを用いずに、一体化されたアセンブリーとして容易に適合し得ることも想定される。
【0080】
次に、図17および図18A〜図18Cを参照すると、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体800の一つの好ましい実施例は、近位端部分または直径縮小アセンブリー900と、遠位端部分または弁アセンブリー1000とを含んでいる。直径縮小構造体940は、第一のシール825に対して遠位に、且つ直径縮小構造体ハウジング910内に配置される。
【0081】
直径縮小構造体940が、直径縮小構造基礎980の中に配置された三つのスタンドオフ950および三つのリンク部材971を有するスタンドオフアセンブリー945と共に図示されている。直径縮小構造基礎980およびリンク部材971の一般的構成は、構造的および動作的に先の実施例と同様であるが、スタンドオフ950は図16Aに示したのと同様の異なる構成のヘッド部分960を有し、側部950は一般に平坦な形状およびアーム956に略等しい幅を有する。
【0082】
ヘッド部分960はまた、取付け機構963、およびカンチレバー式の延長部またはフランジ967を含んでいる。フランジ967は、ヘッド960から第一の部分における基部961に向って半径方向に伸びている。スタンドオフ950の第二の部分において、フランジ967は、直径縮小構造体ハウジング910の内壁に接触することによって、スタンドオフ950の移動範囲を少なくとも部分的に制限するように、適切な長さで構成することができる。取付け機構963は、スタンドオフ950の上で、その運動範囲の全体に亘って、環形状のバイアス部材969を収容および保持するように構成される。環形状のバイアス部材969は、スタンドオフ950を第一の位置へとバイアスするように構成され、偏軸移動または角運動の作用によってスタンドオフ950が直径縮小構造基礎980またはハウジング910に対して半径方向外側に圧縮されるときに追加のバイアスを提供し、また直径の小さい手術器具がスタンドオフ950の間に貫入するのを排除するための連続したバリアとして作用する。
【0083】
取付け機構963、フランジ部分967、およびバイアス部材969の組合された効果は、一般に長手方向軸線に対して直交する向きを有する力が用いられるときの、スタンドオフアセンブリーによる直径の小さい手術器具の運動の制御、並びに直径の大きい器具に自動的に適合するスタンドオフアセンブリー940の能力である。
【0084】
図19において、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体200の追加の好ましい実施例は、直径縮小構造基礎1380内に独立に配置された直径方向に対向する四つのスタンドオフ1356を有する、スタンドオフアセンブリー1345を含む直径縮小構造体1340を用いて構成される。夫々のスタンドオフ1350は、リンク機構なしで独立に旋回して、小さい器具の偏軸移動および角運動を制限する。
【0085】
スタンドオフ部材1350は、ヘッド1360、アーム1356、および基礎1380と共に装着するために構成されたベース素子1351を含んでいる。スタンドオフ1350は、例えば基礎1380に固定して装着することができ、または別のベース素子1351においては、位置決め素子(図示せず)を用いて、基礎1380上に旋回自在に配置し且つ正しい位置に保持してもよい。スタンドオフ1380をハウジング1310に隣接した第一の位置に配置するために、バイアスが用いられる。更に別の実施例として、例えば先に示したリンク機構の機能の一方または両方を実行するために、ヘッド1360と共に動作するようにリンク機構を配置してもよい。別のヘッド1360の構成は入れ子式機構、凸部および溝機構、または傘歯車機構を含んでおり、これらの機構は、スタンドオフ1380をそれらの運動範囲の全体に亘って略連続した環状構造に相関させる。
【0086】
スタンドオフ1350に固有の、またはその位置決め素子との組合せによる直径縮小構造基礎1380へのバイアスは、直径の大きい手術器具によって偏向されない限り、スタンドオフ1350を第一の位置に維持する。他の実施例に示したように、直径縮小構造体1350は、第一のシールに対して近位に、または遠位に用いることができる。スタンドオフ1350はまた、その構成において、直径の小さい手術器具の移動を制御するために、ヘッド260に類似した球根形状のヘッド1360を含む。
【0087】
図20Aおよび図20Bには、スタンドオフ部材の二つの実施例950および1350が、それぞれ図18A〜図18Cおよび図19に対応して示されている。しかし、これらスタンドオフの二つの主要な構成は、ここに記載した全てのスタンドオフ構成の代表例に過ぎないとみなされるべきである。スタンドオフ部材950および1350は、軸線「Y」に対して角度アルファ(α)をなす軸線「y」を形成するベース部分951および1351を含んでいる。軸線「Y」は、中心の長手方向軸線「X」に対して直交する。ヘッド960および1360は、「X」に対して角度シータ(θ)をなす軸線「x」を定義する。套管ハウジングの構成および適用に応じて、角度「α」および「θ」は、それぞれの「Y」軸線および「X」軸線に一致してもよく、或いは、スタンドオフ950および1350の別の実施例では、それぞれの軸線の反対側に延びてもよい。軸線「X」は、中心の長手方向軸線「X」に対して平行である。
【0088】
ここに記載した全てのスタンドオフは、一般に「X」または中心の長手方向軸線に直交する向きをもった平面内で作用する力に対して、一般に圧縮抵抗性のバイアス構造を提供する。スタンドオフ950および1350、並びにここでのスタンドオフの他の全ての変形例は、中心の長手方向軸線に直交する角度から略プラスまたはマイナス15°の範囲の角度の平面内の力に対して、少なくとも一般に圧縮抵抗性のバイアス構造を提供するように構成され、且つ直径縮小ハウジングのような構造に対して配置される。
【0089】
個々のスタンドオフ部材950および1350は、種々のヘッド部分960および1360の構成、例えば、隣接するスタンドオフ950および1350の間で重畳し、相関し、またはインターリーブする翼延長部またはフランジを含むことができる。保持機構939もまた、例えばバイアス部材939の位置決めのために、ヘッド部分960および1360の中に含めることができる。
【0090】
次に図20Cを参照すると、直径縮小構造体1440の更に別の実施例においては、単一の一体化されたスタンドオフアセンブリー1445が、一つの連続する完全なフランジを設けたスタンドオフまたはフランジ構造体1445に形成される。フランジ構造体1445は、直径の小さい手術器具が一般に平行偏軸移動または角運動をするときに、その移動を制限する機能を行うのに適した何れかの形状、例えば、ヘッド1460、アーム1456、およびベース1451の構成を取ることができる。直径縮小構造体1440は、区切られたヘッド部分1460およびアーム1456を定義する複数のスロット1431を用いて、少なくとも部分的に分断されてもよい。直径縮小構造体1440を更にバイアスするために、保持機構1439を用いることもできる。また、この実施例は、対応して配置された構造体ハウジングによって少なくとも部分的にカンチレバー式に支持された、一般に直線状のカンチレバー式可撓性フランジ構造または傾斜スタンドオフ構造の構造形態を取ることもできるであろう。
【0091】
独立のスタンドオフ1450を用いて構成され、または統一的に一体化されたフランジ構造体スタンドオフ1450として構成された直径縮小構造体1440は、中心の長手方向軸線「X」を横切る平面内の力、および中心の長手方向軸線「X」に対して略直交する平面内の特別の力に対して抵抗するように、適切に構成される。フランジ構造体1450は、操作上の如何なる調節も伴わずに直径の大きい手術器具に適合するように、一般に長手方向軸線「X」と整列した力で曲がり、または旋回するように構成される。
【0092】
もう一つの別の実施例では、直径縮小構造体は一体化された構造体であり、ここではアームが結合されて環状構造が形成され、アセンブリーとして套管ハウジング内に配置される。この実施例におけるスタンドオフアセンブリーは、別個のまたは一体のバイアス部材を含むこともできる。
【0093】
更にもう一つの実施例では、一以上の直径縮小構造体を一緒に連続させて用い、または一つのアセンブリーとして用いて、平行な直径縮小構造体または異なる直径の直径縮小構造体を作成してもよいであろう。
【0094】
図21および図22Aを参照すると、更に別の実施例になる弁アセンブリーおよび直径縮小構造体1500は、直径縮小アセンブリー1600および弁アセンブリー1700を含んでいる。弁アセンブリーおよび直径縮小構造体1500は、中心の長手方向軸線Xに対して同心的な通路1505を定義している。
【0095】
直径縮小アセンブリー1600は、第一のシール1525、直径縮小構造体ハウジングまたは遠位ハウジング1610、直径縮小構造体1640、および直径縮小構造基礎素子1680を含んでいる。直径縮小構造基礎素子1680は、弁アセンブリー1700と結合している。弁アセンブリー1700のシールハウジングまたは近位ハウジング1710は、套管50に対して取外し可能に結合されるように構成されている。
【0096】
直径縮小構造体ハウジング1610は、一般には管形状であり、遠位端部分1612および近位端部分1614を定義する管壁1615を含んでいる。近位端部分1614は、凹んだ部分またはフランジ1618を定義する近位方向に伸びたリム1616を有している。フランジ1618は、長手方向軸線Xに対して略直交しており、また長手方向軸線Xに整列した孔または通路1505を定義するリム1619を含んでいる。この構成の直径縮構造体ハウジング1610は、フランジ1618に対して遠位に配置された第一のシール1515を含み、これは第一のシール支持素子1620によって適正位置に保持される。第一のシール素子1620はまた、リム1619に対して整列したリム1622を定義する。リム1622の遠位端は、シール支持素子1620の遠位端と共にエッジ1623を形成する。遠位端部分1612は、フランジ付部分1613を含んでいる。
【0097】
管壁1615の内径は、第一の部材1630および第二の環状部材1635に対して当接し、且つ摺動するように構成される。環状部材1630の遠位エッジ1631は、第二の環状部材1635の近位エッジ1636に隣接して配置される。第二の環状部材1635は、半径方向に伸びる突起またはタブ1637を有している。
【0098】
直径縮小ハウジング1610は、遠位端1612から遠位方向へ伸びる環状部材1611に結合される。停止部材1608は、シール支持素子1750に隣接し且つハウジング1610の第一の位置を定義する部材1611の遠位端1609上に配置される。また、停止部材1608はタブ1637とインターフェースし且つ該タブにより制限されて、ハウジング1610の近位方向への移動を少なくとも部分的に制限し、ハウジング1610の第二の位置を定義する。
【0099】
直径縮小構造体1640は、直径縮小基礎素子1680上に配置される。直径縮小基礎素子1680は、遠位端1682および近位端1684を有する。遠位端1682は、シール支持素子1750に当接する。基礎素子1680もまた、環状部材1630および1635の内部の一部と当接する。直径縮小構造体1640は、長手方向軸線に対して略平行に遠位方向に伸びる位置から長手方向軸線に対して略平行に近位方向に伸びる位地への、各スタンドオフ部材1650の移動を略180°まで支持するように構成される。
【0100】
スタンドオフアセンブリー240の第一の位置において、スタンドオフ部材250は、一般に中心の長手方向軸線に対して直交する平面内に配置され、ハウジング1610の構造的支持と共に通路1505の動作領域を減少させる。スタンドオフアセンブリー240の第二の位置において、スタンドオフ部材250は、一般に上記第一の位置に対して少なくとも部分的に遠位に配置される。スタンドオフアセンブリー240の第三の位置において、スタンドオフ部材250は、一般に前記第一の位置に対して少なくとも部分的に近位に配置される。
【0101】
スタンドオフ部材1650は、対向する円筒状端部1654を備えたベース部分1651に、アーム1656によって結合されたヘッド1660を有する。スタンドオフ部材250は、先の実施例で説明したように、三つのリンク部材1671を含むリンク機構によって結合される。
【0102】
ヘッド1660は、一般に平坦な面を有する第一の面1662と、直径縮小構造体1640が第一の位置にあるときに第一のシール1525と近接する、反対側のテーパした第二の面1668とを含んでいる。第一の面1662は、カンチレバー式の延長部1661を含んでいる。第三の面1664は、一般に凸部および傾斜側部1665を含んでいる。第三の面に対抗する第四の面1666は、アーム1656で結合された一般に平坦な面を有しており、該平坦な面が第二の面1662およびカンチレバー部分1661に伸びるようになっている。アーム1656は、ベース1651とヘッド1660を連結する狭隘部分である。ヘッド1660はまた、中心に配置され且つ長手方向軸線Yに対して略直交する、区分された凹部ノッチ1663を含んでいる。このノッチ1663の一般に凹んだ形状は、直径縮小構造体1640が第一の位置または初期位置にあるときに、小さい手術器具による制限された程度の偏軸移動に適合するように構成され、寸法決めされる。
【0103】
直径縮小構造体1640は、三つのスタンドオフ1650を有するスタンドオフアセンブリー1645、および三つのリンク部材1671を有するリンク機構1670と共に図示されているが、直径縮小構造基礎1680およびリンク部材1671の一般的構成は、構造的および動作的に、図6〜図8の先の実施例と同様である。
【0104】
弁アセンブリー1700は、套管50に結合するために構成された、第一のシール支持部材1750、第二のシール1765、およびシールハウジング1710を含んでいる。加えて、弾性の管状シールまたは第三のシール1601が、弁アセンブリー1700と直径縮小アセンブリー1600との間で、摺動ジョイント1600を覆ってシール状態で配置されている。
【0105】
第二のシール支持素子1750は、直径縮小基礎素子1680とシールハウジング1710との間に配置される。第二のシール支持素子1750は、一般に、円筒状の外部表面を有する管壁を備えた環形状を有している。加えて、第二のシール支持素子1750は、シールハウジング1710の近位端1714と共に、第二のシール1765を適正位置にシールする。
【0106】
シールハウジング1710の近位端部1714は、第二のシール支持素子1750および第二のシール1765を着座させるための位置を含んでいる。シールハウジング1710の遠位端部1712は、バヨネット若しくはねじ結合のような適切な取付け機構を利用して、套管50と嵌合するように構成されている。
【0107】
第三の管状シール1601は、近位端1605および遠位端1603を有している。近位端1715は、直径縮小ハウジング1601のフランジ1613とシール状態で係合される。シールハウジング1710の近位端1714、および第二のシール支持素子1750の遠位端1752は、第三のシール1601の遠位端部分1603とシール状態で係合するように配置される。第三のシール1601は、摺動継手1699のためのシールを提供するように、これを覆って配置された可撓性の弾性管状シールとして構成および採寸される。第三のシール1601は、停止部材1608が第二のシール支持素子1750に当接する第一の位置と、停止部材1608が近位方向に再配置されてタブ1637に当接する第二の位置との間での、直径縮小ハウジング1610の移動に適合するための適切な可撓性を有している。加えて、第三のシール1601は、直径縮小ハウジング1610の第一の位置へのシールハウジング1710のバイアスを提供する。
【0108】
第三のシール1601は、好ましくは、可撓性および/または伸縮性の材料、好ましくは押出し成形または射出モールド成形可能な材料、最も好ましくはエラストマー材料から製造される。第三のシール1601は、構造体ハウジング1610の長手方向の伸長および収縮を可能にするように、中心のv形状のインデンテーション1601aを含むことができる。或いは、図23に示すように、第三のシールは、v形状のインデンテーションがない完全な管状で、且つハウジング1610の伸長および収縮の際に該シールの伸縮を可能にする適切な弾性を有していてもよい。エラストマー材料は、乱暴な取扱いに遭遇し得る外部器具適用のための適切な厚さを有し、また可撓性バイアスを提供する一方、例えば引裂きまたは貫通に対して抵抗性である。また、第三のシール1601は、オートクレーブ処理または滅菌のために、必要に応じて容易に取付けおよび取外しできることも想定される。
【0109】
次に、図22A〜図22Cを参照すると、直径縮小構造体1640は、図15、図16Aおよび図20Aの実施例と同様に、ヘッド1660の第四の面の少なくとも一部およびアーム1656が直径縮小構造ハウジング1610の一部に近接し、且つ停止部材1608が第二のシール支持素子1750に当接する第一の位置へとバイアスされる。この実施例において、第一のシール支持素子1620のリム1621および遠位端は、第四の面1666の少なくとも一部およびアーム1656にそれぞれ近接し、特に、コーナー部1623は、アーム1656と第四の面1666との接合部に配置される。こうして、第一のシール支持素子1620は、直径の小さい手術器具の偏軸移動および角運動を制限するように、スタンドオフ1650のための構造的支持を提供することによって、スタンドオフ1650を第一の位置に支持する。
【0110】
図13に示すように、直径縮小構造体1640が、大きな手術器具によって、面1662が第二のシール支持素子1750の管壁1755の内側向きに旋回される第二の位置へと遠位方向に偏位されるとき、スタンドオフ部材1650は、外科医またはオペレータによる如何なる外部的調節も伴わずに、大きな手術器具の増大した直径に適合している。しかし、スタンドオフ部材1640は、第一の位置へのそれらのバイアスを保持する。
【0111】
大きな手術器具が、弁アセンブリーおよび直径縮小構造体1500を通して近位方向に引抜かれるときに、スタンドオフ部材1650のバイアスおよび弾性の組合せが、大きな器具を束縛するかもしれない。望ましくない束縛を排除するために、遠位端1612は第一の環状部材1630、第二の環状部材1635、および第二のシール支持素子1750に摺動可能に係合されて、器具が束縛を停止し、または停止部材1608がタブ1637に当接するまで直径縮小ハウジング1610が近位方向に摺動するようになっている。第一のハウジング1610の位置から近位方向への直径縮小構造体1610の移動は、スタンドオフ部材1650が第三の位置へと近位方向に旋回するのに適した直径ハウジング1610内の増大容積を定義し、また通路1505の動作領域を第二の動作領域から第三の動作領域へと増大させる。少なくともここでは、大きい器具が限定された抵抗で抜取ることができるように、該動作領域は、スタンドオフアセンブリーの第二の位置における動作領域と同様に増大される。
【0112】
束縛を排除するための追加の別の実施例は、例えば外部放出機構、または第二の面1668および/または第三の面1664に配置された一以上の車輪のような摩擦低減手段(これは遠位または第二の位置にある間は、車輪の回転によって大きな器具の抜取りに適合することができ、更に第一の位置にあるときには小さい手術器具の移動に対して充分な抵抗を提供する)と共に、第二の位置における各スタンドオフのためのキャッチまたは係合受け器を含んでいる。
【0113】
ここでは本開示の例示的な実施例を添付の図面を参照して説明したが、本開示はこれら実施例自体に限定されず、本開示の範囲および精神を逸脱することなく、当業者によって他の種々の変形および改変がなされ得ることが理解されるべきである。これら全ての変更および改変は、特許請求の範囲内に含まれるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23】
【公開番号】特開2010−115516(P2010−115516A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18794(P2010−18794)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【分割の表示】特願2002−533754(P2002−533754)の分割
【原出願日】平成13年10月12日(2001.10.12)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【分割の表示】特願2002−533754(P2002−533754)の分割
【原出願日】平成13年10月12日(2001.10.12)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
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