説明

媒体処理装置

【課題】高精度が要求されない媒体処理の場合では処理時間を無駄に増加させることなく搬送し、一方、正確に位置決めする必要がある媒体処理では基準側面に幅寄せして搬送し、所望の媒体処理を行えるようにする。
【解決手段】左右いずれかの側面ガイドを基準側面5aとして挿入された媒体が前記基準側面5aに幅寄せされているか否かを検出する幅寄せ検知センサ7と、前記媒体を前記基準側面5aに幅寄せする幅寄せローラ16とを備え、前記幅寄せ検知センサ7の検出結果に基づいて前記媒体を幅寄せして搬送し所定の処理を行う媒体処理装置であって、前記幅寄せ検知センサ7により媒体が前記基準側面5aに幅寄せされていると検出された場合であっても強制的な幅寄せ動作を実施するか否かを設定できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等で使用される通帳や伝票(以下、「媒体」という)への印字や磁気記録等を行う通帳伝票プリンタなどの媒体処理装置における媒体幅寄せ技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金融機関等で使用される通帳伝票プリンタ等においては、媒体への印字や磁気ストライプの記録再生を正確に行うために左右いずれかを基準側面として当該基準側面近傍に光学センサを配置し、当該光学センサにて媒体が基準側面に対し斜めに挿入され基準側面に突き当てられていないと検知した場合には媒体を基準側面に突き当てる幅寄せ動作を行った後に装置内部に取り込むようになっている。
【0003】
一方、挿入された媒体が基準側面に突き当てられて挿入され前記光学センサにて媒体の幅寄せが検出された場合には処理時間を短くするために幅寄せ動作を行うことなく装置内部に取り込む方法が採られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−338085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の通帳伝票プリンタでは、処理時間を優先し、前記光学センサにて幅寄せが検出されていた場合には幅寄せ動作を行わないようにすると、前記光学センサにて幅寄せが検出されても光学センサの取り付け誤差や検出誤差により基準側面に正確に幅寄せされていない場合があり、媒体が斜めのまま搬送され、高精度が要求される磁気ストライプへの記録再生やフォーマット印字が正確に行われないという問題が発生する。
【0006】
一方、高精度な処理を優先し、前記光学センサにて幅寄せが検出されていた場合であっても必ず幅寄せ動作を行うようにすると、磁気ストライプもなく、フォーマット印字が不要な入出金伝票等の所定の欄に取引年月日や口座番号などを不正防止用に印字する認証印字などを行う場合では媒体がやや斜めに搬送されても処理が可能であるにもかかわらず、必ず幅寄せ動作を行うことになり、処理時間が無駄に長くなってしまうという問題が発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、左右いずれかの側面ガイドを基準側面として挿入された媒体が前記基準側面に幅寄せされているか否かを検出する幅寄せ検知センサと、前記媒体を前記基準側面に幅寄せする幅寄せローラとを備え、前記幅寄せ検知センサの検出結果に基づいて前記媒体を幅寄せして搬送し所定の処理を行う媒体処理装置であって、前記幅寄せ検知センサにより媒体が前記基準側面に幅寄せされていると検出された場合であっても強制的な幅寄せ動作を実施するか否かを設定できるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の通帳伝票プリンタによれば、左右いずれかの側面ガイドを基準側面として挿入された媒体が前記基準側面に幅寄せされているか否かを検出する幅寄せ検知センサと、前記媒体を前記基準側面に幅寄せする幅寄せローラとを備え、前記幅寄せ検知センサの検出結果に基づいて前記媒体を幅寄せして搬送し所定の処理を行う媒体処理装置であって、前記幅寄せ検知センサにより媒体が前記基準側面に幅寄せされていると検出された場合であっても強制的な幅寄せ動作を実施するか否かを設定できるようにしたので、高精度が要求されない処理の場合では処理時間を無駄に増加させることなく搬送し、一方、正確に位置決めする必要がある媒体では基準側面に正確に幅寄せして搬送し、所望の媒体処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の通帳伝票プリンタの構成図である。
【図2】実施例1の通帳伝票プリンタの構成図である。
【図3】実施例1の通帳伝票プリンタの通帳の構成図である。
【図4】実施例1の通帳伝票プリンタの制御系機能ブロック図である。
【図5】実施例1の通帳伝票プリンタの動作フローチャート図である。
【図6】実施例2の通帳伝票プリンタの動作フローチャート図である。
【図7】実施例2の通帳伝票プリンタの操作画面例である。
【図8】実施例2の変形例の通帳伝票プリンタの動作フローチャート図である。
【図9】実施例2の変形例の通帳伝票プリンタの操作画面例である。
【図10】実施例3の通帳伝票プリンタの動作フローチャート図である。
【図11】実施例3の変形例の通帳伝票プリンタの動作フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、通帳や伝票に所定の処理を実施する通帳伝票プリンタを一例として説明するが、その他の媒体に所定の処理を実施する媒体処理装置であってもよい。
【実施例1】
【0011】
(構成)
(媒体の構成)
実施例1の通帳伝票プリンタにて用いられる媒体の一例として通帳30の例示図を図3(a)に、伝票31の例示図を同図(b)に示す。なお、同図(b)の伝票31は出金用の伝票の例示図となっている。
【0012】
通帳30は、図3(a)に示したように、識別情報等が記録される磁気ストライプ30a、開かれたページを示す頁マーク30bを備え、センタホールド30cにて綴られた小冊子となっており、後述の印字ヘッドにより図示したような取引履歴等が印字される。この通帳への磁気記録やフォーマット印字では、正確な位置への記録や印字を行う必要がある。なお、本例では、通帳30の右端を搬送基準端30dとする例となっている。
【0013】
伝票31は、図3(b)に示したように、伝票の種類を識別するためにプレ印字されている伝票ID(31a)、店番号、口座種別、口座番号、金額、顧客氏名を記入する記入欄31e、顧客が登録印を押印する押印欄31b、不正防止のための認証印字領域31cが設けられている。本例では、通帳30と同様、伝票31の右端を搬送基準端31dとする例となっている。
【0014】
認証印字領域31c内には、取引を終了する際に、取引日時、顧客の口座情報、顧客氏名、取引金額、さらに、オペレータを確認できるオペレータIDや氏名などの検印データが付加されて印字される。従って、通帳の場合の磁気記録やフォーマット印字のような正確な位置への処理は必要とされていない。
【0015】
顧客は、伝票31の所定欄に記入を行い、金融機関に登録している印鑑を押印欄31bに押印して、窓口に持参することにより、伝票に応じた取引のサービスを受け、取引を終了する際に、認証印字領域31cに前述所定の認証印字を行うことになる。
【0016】
(通帳伝票プリンタの外観構成)
図1は、実施例1の通帳伝票プリンタの正面図および上面図を示し、図2はその側面図を示したものである。
【0017】
同図に示したように、実施例1の通帳伝票プリンタは、通帳30や伝票31等の媒体を挿入する挿入口11、その後方には、上側ガイド3と下側ガイド4、左右側面に設けられた側面ガイド5a、5bにより形成される搬送路2が設けられている。なお、本実施例の説明では、右側側面を基準側面とした例を示しており、5aが基準側面ガイドとなる。
【0018】
そして、挿入口11近傍には、媒体挿入を検知する媒体挿入検知センサ6が備えられており、基準側面ガイド5a近傍には、媒体が基準側面に突き当てられてセットされているか否かを検出する幅寄せ検知センサ7a、7bが配置されている。また、搬送路2各所には媒体を検知する図示しない媒体検出センサが配置されている。なお、これらのセンサは、上側ガイド3と下側ガイド4に受光部、発光部をそれぞれ設けた透過型センサとするのが一般的であるが、反射型センサとしても勿論よい。
【0019】
そして、搬送路2には、媒体を搬送する搬送ローラ9、10が設けられており、図2のように駆動源となる搬送モータ13が搬送ローラ9、10に接続されている。
【0020】
ピンチローラ14、15は、図示しないモ−タやソレノイド等の駆動手段により矢印D方向にアップダウンが可能となっている。
【0021】
そして、搬送路2の略中央の上側ガイド3側には、幅寄せモ−タ19に接続された幅寄せローラ16が設けられており、当該幅寄せローラ16の回転により媒体を矢印C方向にフィードさせて基準側面ガイド5aへの幅寄せを行う。
【0022】
幅寄せローラ16にはゴム部21が設けられており、通常の媒体搬送時には負荷とならないようにゴム部21が搬送面位置にならないように回転制御される。
【0023】
そして、幅寄せローラ16に対向して幅寄せプレスローラ20が配置されており、図示しないモ−タやソレノイド等の駆動手段により幅寄せローラ16への押圧と下側ガイド4からの退避が可能となっている。
【0024】
また、幅寄せローラ16近傍には、磁気ヘッド17が備えられており、媒体を図1矢印Bのように搬送方向前後に移動させることにより、停止させた通帳30の磁気ストライプ30aへの記録再生が可能となっている。
【0025】
さらに、後方には、印字ヘッド18および対向してプラテン22が設けられており、印字ヘッド18を搬送方向と垂直方向に移動させて通帳30や伝票31の所定の位置に印字できるようになっている。
【0026】
なお、図示していないが、以上述べたような構成が、図2の上段にも備えられた構成となっているのが一般的であるが、簡略化のために省略している。
【0027】
(制御系の構成)
次に、実施例1の通帳伝票プリンタの制御系は、図4の制御系ブロック図に示したように、全体の制御を行う制御部40に、後述の各部の駆動制御を行う駆動部41と、各センサの検出結果を受信する検出部42と、制御プログラムや各種の装置出荷時に設定する各種の設定値や制御パラメータなどが記憶される記憶部40aが接続されている。
【0028】
そして、駆動部41には、媒体を搬送する搬送ローラ9、10の駆動源となる搬送モータ13、媒体を基準側面5aに幅寄せさせる幅寄せローラ19、停止した通帳30の磁気ストライプ30aに記録再生を行うための磁気ヘッド17を図1矢印B方向に移動させるMSモータ44が接続され、さらに、前述の磁気ヘッド17、媒体への印字を行う印字ヘッド18が接続された構成となっている。
【0029】
そして、検出部42には、媒体が挿入されたことを検知する媒体挿入検知センサ6と、媒体が基準側面5aに正しく幅寄せされたか否かを検知する幅寄せ検知センサ7a、7bと、その他図1、図2には図示していないが搬送路各部に備えられ媒体の位置を検出するための媒体検出センサ45が接続された構成となっている。
【0030】
(動作)
以上の構成により実施例1の通帳伝票プリンタは以下のように動作する。この動作を図5の動作フローチャート図を用いて以下詳細に説明する。
【0031】
ところで、実施例1の通帳伝票プリンタでは、装置出荷時や装置起動時に、後述の幅寄せ検知センサ7a、7bがいずれも媒体により遮光されているときに媒体幅寄せ動作を強制的に行うか否かの強制幅寄せの設定を、「強制幅寄せ無し」または「強制幅寄せ有り」の情報としてディップスイッチやレジスタ等にセットできるようになっている。なお、通帳伝票プリンタの上段、下段に処理機構がそれぞれ設けられているときは、これらの設定は、上段、下段の処理について、それぞれ設定できるようにしておくとよい。
【0032】
そして、まず、媒体が挿入され、媒体挿入検知センサ8で媒体の挿入が検知されると(ステップS01)、搬送モータ13を駆動し(ステップS02)、搬送ロ−ラ9、10とピンチローラ14、15で媒体を挟持して所定の位置まで搬送する(ステップS03)。
【0033】
このとき、媒体が斜めにセットされたり基準側面ガイド5aから離れた位置にセットされたりして、幅寄せ検知センサ7a、7bの少なくとも一方が媒体により遮光されず透過状態となっている場合は(ステップS04)、ステップS05に進み、以下のように基準側面ガイド5aへの幅寄せ動作を実施する。
【0034】
すなわち、幅寄せ動作では、ピンチローラ14、15を下降させ、幅寄せプレスローラ20を上昇させて媒体に押し当て、幅寄せモ−タ19を駆動して幅寄せローラ16を回転して媒体を基準側面ガイド5a方向にフィードさせる。
【0035】
そして、幅寄せ検知センサ7a、7bがいずれも媒体により遮光したことを検知すると(ステップS06)、幅寄せ動作終了処理として、幅寄せローラ16のゴム部21が搬送面側とならない位置で停止させ、ピンチローラ14、15を上昇させ、幅寄せプレスローラ20を下側ガイド4より退避させる(ステップS07)。
【0036】
そして、通帳30のときには、媒体を磁気ヘッド17まで搬送し磁気ストライプ30aへの記録再生を行い(ステップS10)、印字ヘッド18の位置まで媒体を搬送し、通帳30のときには取引履歴等を印字し伝票31のときは認証印字等の印字処理を行う(ステップS11)。
【0037】
一方、ステップS04にて、幅寄せ検知センサ7a、7bがいずれも媒体により遮光されている場合は、装置出荷時或いは装置起動時にディップスイッチやレジスタ等にセットされた前述の「強制幅寄せ無し」または「強制幅寄せ有り」の情報に応じて以下の動作を実施する(ステップS08)。
【0038】
すなわち、処理速度を優先し、「強制幅寄せ無し」がセットされていた場合は、媒体の幅寄せ動作を実施することなく、通帳30のときには磁気ヘッド17まで搬送し磁気ストライプ30aへの記録再生を行い、印字ヘッド18位置まで媒体を搬送し、通帳30のときには取引履歴等を印字し伝票31のときは認証印字等の印字処理を行い、本処理を終了する(ステップS10、S11)。
【0039】
一方、高精度な処理を優先し、「強制幅寄せ有り」が設定されていた場合は、媒体を前述ステップS05の媒体幅寄せ動作を、所定の時間、強制的に実施する(ステップS09)。このとき、媒体のたわみを防止するために、媒体を基準側面ガイド5aにフィードさせる前に、幅寄せローラ16をわずかに逆転させて媒体を基準側面5aから一旦離し、再度、基準側面ガイド5a方向にフィードさせて幅寄せを行うようにするとなおよい。
【0040】
そして、通帳30の場合には磁気ヘッド17まで媒体を搬送し磁気ストライプ30aへの記録再生を行い、印字ヘッド18位置まで媒体を搬送し、通帳30のときには取引履歴等を印字し伝票31のときは認証印字等の印字処理を行い、本処理を終了する(ステップS10、S11)。
【0041】
(実施例1の効果)
以上のように実施例1の通帳伝票プリンタによれば、媒体が基準側面に沿ってセットされた場合であっても、強制的な幅寄せ動作を実施するか否かをあらかじめ設定できるようにしたので、処理時間を優先するか、高精度な磁気ストライプへの記録再生や印字を優先するかをあらかじめ選択しておくことができる。
【実施例2】
【0042】
(構成)
実施例2の通帳伝票プリンタの構成は、制御部40以外は実施例1と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明を省略する。実施例2の通帳伝票プリンタの制御部40は、オペレータが、媒体を挿入する時や挿入した後に、その媒体の種類や処理内容に応じて強制的な幅寄せ動作を行うか否かを選択できるようになっている。
【0043】
(動作)
以上の構成により実施例2の通帳伝票プリンタは以下のように動作する。この動作を図6の動作フローチャートおよび図7の操作画面例を用いて以下詳細に説明する。なお、実施例1と同様の処理については、同一ステップ番号としており、簡略化のために、説明を簡略化する。
【0044】
ところで、実施例2の通帳伝票プリンタでは、装置出荷時や装置起動時に、後述の幅寄せ検知センサ7a、7bがいずれも媒体により遮光されているときに媒体幅寄せ動作を強制的に行うか否かの強制幅寄せの設定として、「強制幅寄せ無し」、「強制幅寄せ有り」、さらに「選択」の情報としてディップスイッチやレジスタ等にセットできるようになっている。なお、通帳伝票プリンタの上段、下段に処理機構がそれぞれ設けられているときは、これらの設定は、上段、下段の処理について、それぞれ設定できるようにしておくとなおよいことは実施例1と同様である。
【0045】
そして、まず、媒体が挿入され、媒体挿入検知センサ8で媒体の挿入が検知されると、搬送モータ13を駆動し、搬送ロ−ラ9、10とピンチローラ14、15で媒体を挟持して所定の位置まで搬送する(ステップS01〜S03)。
【0046】
次に、強制幅寄せの設定が、「選択」と設定されているときは(ステップS21)、図7に示したような操作画面を表示し、媒体が基準側面5aに突き当てられてセットされたときでも必ず幅寄せ動作を行うか、或いは幅寄せ動作を行わないかを設定する(ステップS22)。
【0047】
例えば、媒体が通帳30の場合では高精度な磁気記録や印字を行う必要が有るので、「媒体が正しくセットされたときでも、強制幅寄せ動作を行う」を設定する。一方、媒体が伝票31の場合ではラフな印字でよいので、「媒体が正しくセットされたときは強制幅寄せ動作は行わない」を選択する。
【0048】
一方、ステップS21にて「選択」が設定されていないときは、図7の選択画面は表示せずに、ステップS04に進み、以降、実施例1と同様の処理を実施する。
【0049】
すなわち、媒体が斜めにセットされたり基準側面ガイド5aから離れた位置にセットされたりして、幅寄せ検知センサ7a、7bの少なくとも一方が媒体により遮光されず透過状態となっている場合は、基準側面ガイド5aへの幅寄せ動作を実施する(ステップS04〜S06)。
【0050】
一方、ステップS04にて、幅寄せ検知センサ7a、7bがいずれも媒体により遮光されている場合は、装置出荷時や装置起動時或いは前述の図7の操作画面にて設定された「強制幅寄せ無し」または「強制幅寄せ有り」の情報に応じて以下の動作を実施する(ステップS08)。
【0051】
そして、「強制幅寄せ無し」がセットされていた場合は、媒体の幅寄せ動作を実施することなく、通帳30のときは磁気ヘッド17まで搬送し磁気ストライプ30aへの記録再生を行い、印字ヘッド18位置まで媒体を搬送し、通帳30のときには取引履歴等を印字し伝票31のときは認証印字等の印字処理を行い、本処理を終了する(ステップS10、S11)。
【0052】
一方、「強制幅寄せ有り」が設定されていた場合は、媒体を前述ステップS05の媒体幅寄せ動作を、所定の時間、強制的に実施し、通帳30のときは磁気ヘッド17まで搬送し磁気ストライプ30aへの記録再生を行い、印字ヘッド18位置まで媒体を搬送し、通帳30のときには取引履歴等を印字し伝票31のときは認証印字等の印字処理を行い、本処理を終了する(ステップS09〜S11)。
【0053】
以上の実施例2の説明では、ステップS04にて、媒体が斜めにセットされ、幅寄せ検知センサ7a、7bの少なくとも一方が媒体により遮光されず透過状態となっている場合に、ステップS05以降の幅寄せ動作を実施するように説明したが、図8の実施例2の変形例の動作フローチャート図に示したように、幅寄せ検知センサ7a、7bの検出結果にかかわらず、装置出荷時や装置起動時或いは前述の図7の操作画面にて設定された「強制幅寄せ無し」または「強制幅寄せ有り」の情報に応じて幅寄せ動作を実施或いは幅寄せ動作を実施しないようにしてもよい。
【0054】
なお、この場合、強制幅寄せの設定が、「選択」と設定されているときに、ステップS22にて表示する操作画面は、図9に示したような操作画面を表示する。すなわち、媒体が正しくセットされたか否かに拘わらず、「必ず、幅寄せ動作を行う。」か、「幅寄せ動作を行わず、セットされたまま搬送する。」か、を選択するような操作画面を表示する。
【0055】
(実施例2の効果)
以上のように実施例2の通帳伝票プリンタによれば、オペレータが、媒体を挿入する時や挿入した後に、その媒体の種類や処理内容に応じて強制的な幅寄せ動作を行うか否かを選択できるようにしたので、媒体の種類や処理の種類に応じて、オペレータが処理時間を優先するか、高精度な磁気ストライプへの記録や印字を優先するかを任意に設定することができる。
【実施例3】
【0056】
(構成)
実施例3の通帳伝票プリンタの構成は、制御部40以外は実施例1と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明を省略する。実施例3の通帳伝票プリンタの制御部40は、オペレータが選択した処理内容から媒体の種類や処理内容を抽出し、当該媒体の種類や処理内容に応じて強制的な幅寄せ動作を行うか否かを決定するようになっている。
【0057】
(動作)
以上の構成により実施例3の通帳伝票プリンタは以下のように動作する。この動作を図10の動作フローチャート図を用いて以下詳細に説明する。
【0058】
ところで、実施例3の通帳伝票プリンタでは、装置出荷時や装置起動時或いは操作画面にて「強制幅寄せ無し」または「強制幅寄せ有り」を選択して設定するのではなく、オペレータが選択した処理内容から媒体の種類や処理内容を抽出し、当該媒体の種類や処理内容に応じて強制的な幅寄せ動作を行うか否かを決定するようになっている。
【0059】
まず、媒体が挿入され、媒体挿入検知センサ8で媒体の挿入が検知されると、搬送モータ13を駆動し、搬送ロ−ラ9、10とピンチローラ14、15で媒体を挟持して所定の位置まで搬送する(ステップS01〜S03)。
【0060】
このとき、媒体が斜めにセットされたり基準側面ガイド5aから離れた位置にセットされたりして、幅寄せ検知センサ7a、7bの少なくとも一方が媒体により遮光されず透過状態となっている場合は、基準側面ガイド5aへの幅寄せ動作を実施し(ステップS04、S05)、通帳30のときは磁気ヘッド17まで搬送し磁気ストライプ30aへの記録再生を行い、印字ヘッド18位置まで媒体を搬送し、通帳30のときには取引履歴等を印字し伝票31のときは認証印字等の印字処理を行い、本処理を終了する(ステップS10、S11)。
【0061】
一方、ステップS04にて、幅寄せ検知センサ7a、7bがいずれも媒体により遮光されている場合は、オペレータが選択した処理内容から媒体の種類や処理内容を抽出し、当該媒体の種類や処理内容に応じて強制的な幅寄せ動作を行うか否かを決定する(ステップS31)。
【0062】
例えば、伝票31への認証印字を行う取引の場合などでは、ラフな精度での印字でよく強制的な幅寄せ動作は必要としないので「強制幅寄せ無し」と決定し、通帳30への磁気記録再生やフォーマット印字を行う取引の場合などでは、正確な位置にて磁気記録再生や印字を行う必要があるので「強制幅寄せ有り」と決定する。
【0063】
そして、ステップS31にて決定した強制的な幅寄せ動作を行うか否かに応じて以下の動作を実施する(ステップS08)。
【0064】
すなわち、強制的な幅寄せ動作を行わないと決定した場合は、幅寄せ動作を実施することなく、通帳30のときは磁気ヘッド17まで搬送し磁気ストライプ30aへの記録再生を行い、印字ヘッド18位置まで媒体を搬送し、通帳30のときには取引履歴等を印字し伝票31のときは認証印字等の印字処理を行い、本処理を終了する(ステップS10、S11)。
【0065】
一方、強制的な幅寄せ動作を行うと決定した場合は、媒体を前述ステップS05の媒体幅寄せ動作を、所定の時間、強制的に実施し(ステップS09)、通帳30のときは磁気ヘッド17まで搬送し磁気ストライプ30aへの記録再生を行い、印字ヘッド18位置まで媒体を搬送し、通帳30のときには取引履歴等を印字し伝票31のときは認証印字等の印字処理を行い、本処理を終了する(ステップS10、S11)。
【0066】
なお、通帳伝票プリンタの上段、下段に処理機構がそれぞれ設けられているときは、これらの決定は、上段、下段の処理について、それぞれ決定できるようにするとなおよい。
【0067】
以上の実施例3の説明では、ステップS04にて、媒体が斜めにセットされ、幅寄せ検知センサ7a、7bの少なくとも一方が媒体により遮光されず透過状態となっている場合に、ステップS05以降の幅寄せ動作を実施するように説明したが、図11の実施例3の変形例の動作フローチャート図に示したように、幅寄せ検知センサ7a、7bの検出結果にかかわらず、ステップS31にて決定した強制的な幅寄せ動作を行うか否かに応じて、強制的な幅寄せ動作を実施或いは実施しないようにしてもよい。
【0068】
(実施例3の効果)
以上のように実施例3の通帳伝票プリンタでは、オペレータが選択した処理内容から媒体の種類や処理内容を抽出し、当該媒体の種類や処理内容に応じて強制的な幅寄せ動作を行うか否かを決定するようにしたので、オペレータが選択することなく処理時間を優先するか高精度な印字や磁気記録を優先するかを確実に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上述べたように、本発明は、金融機関等で使用される通帳や伝票等への印字や磁気記録などを行う通帳伝票プリンタを備える媒体処理装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 通帳伝票プリンタ
2 搬送路
3 上側ガイド
4 下側ガイド
5a 基準側面ガイド
6 媒体挿入検知センサ
7a、7b 幅寄せ検知センサ
9、10 搬送ローラ
11 挿入口
13 搬送モータ
14、15 ピンチローラ
16 幅寄せローラ
17 磁気ヘッド
19 幅寄せモータ
20 プレスローラ
21 ゴム部
30 通帳
30a 磁気ストライプ
30d、31d 搬送基準端
31 伝票
31c 認証印字領域
40 制御部
40a 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右いずれかの側面ガイドを基準側面として挿入された媒体が前記基準側面に幅寄せされているか否かを検出する幅寄せ検知センサと、前記媒体を前記基準側面に幅寄せする幅寄せローラとを備え、前記幅寄せ検知センサの検出結果に基づいて前記媒体を幅寄せして搬送し所定の処理を行う媒体処理装置であって、
前記幅寄せ検知センサにより媒体が前記基準側面に幅寄せされていると検出された場合であっても強制的な幅寄せ動作を実施するか否かを設定できるようにしたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記強制的な幅寄せ動作を実施するか否かの情報を記憶する記憶部を備え、
前記強制的な幅寄せ動作を実施するか否かの情報を媒体挿入より前に設定できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記強制的な幅寄せ動作を実施するか否かまたは選択するかの情報を記憶する記憶部を備え、
前記記憶部に選択するという情報が格納されていたときは、前記強制的な幅寄せ動作を実施するか否かを、媒体挿入時または挿入した後に、選択できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の媒体処理装置。
【請求項4】
選択された媒体処理内容から媒体の種類および処理内容を抽出し、当該媒体の種類または処理内容に応じて強制的な幅寄せ動作を行うか否かを決定して設定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−186974(P2011−186974A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54029(P2010−54029)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】