説明

媒体収納繰出し装置

【課題】媒体繰出し時に巻取り方向後部側に切れ目がある媒体の切れ目から外側の部分が搬送ローラ間に噛み込まれて媒体から分離するという事態を防止する。
【解決手段】ドラム1の外周面と所定の間隔をあけて配置される複数組の搬送ローラ11aと11bをテープ4、5の幅以下に入る間隔でかつテープ4、5と接触しないように配置した構成として、ドラム1に巻き取られた媒体9の巻取り方向後部側に切れ目があり、かつその切れ目がテープ4、5よりも外側にあった場合でも、媒体繰出し時に切れ目のある媒体9がドラム1と共に回転しているとき、切れ目から外側の部分9aが搬送ローラ11aと11b間に噛み込まれないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムとリールの間でテープの巻き取り、繰出しを行うことにより媒体の収納と繰出しを行う媒体収納繰出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の媒体収納繰出し装置として、1つのドラムと、2つのリールを備え、その2つのリールから供給される2本のテープをそれぞれアイドルローラを経由させて重ねてドラムに導くと共に、両テープの端部をドラムの外周に固定しておき、搬送手段によりテープ間に送込まれる媒体をテープと共にドラムで巻き取ることにより媒体を収納し、またテープをリールにより巻き戻すことで媒体をドラム外周から繰出すようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5はこのような従来の媒体繰出し装置の概略側面図、図6はその斜視図である。図において1はドラム、2と3はリール、4は一方のリール2から繰出されるテープ、5は他方のリール3から繰出されるテープで、テープ4、5の一端はそれぞれリール2、3の外周に固定され、テープ4、5の他端はドラム1の外周に固定されている。
【0004】
ここで、リール2から繰出されるテープ4はガイドローラ6及びガイドローラ7に巻き回わされてドラム1に導かれており、またリール3から繰出されるテープ5はガイドローラ8及び後述する搬送ローラと同軸に設けられている図示しないガイドローラに巻き回わされてドラム1に導かれていて、このテープ4と5はドラム1に最も近い位置に配置されているガイドローラ7の位置で上下に重ねられ、これによりテープ4と5はガイドローラ7及び図示しないガイドローラとガイドローラ7との間でV字をなすように張設されている。
【0005】
また、テープ4と5は媒体9の中央部を挟持できるように、媒体搬送方向と直交する方向における媒体9の幅より小さい幅で、かつ同一の幅に形成されており、そしてドラム1の外周にはテープ4、5の幅よりやや大きい幅でかつ所定の深さの溝が設けられていて、ドラム1はこの溝内でテープ4,5を巻き取るようになっている。
尚、ドラム1と2つのリール2、3は、図示しないモータを駆動源として巻取り方向とその逆方向である繰出し方向の両方向に回転するものとなっている。
【0006】
10はドラム1と図示しない搬送手段との間に配置された媒体ガイド(図5では省略)で、この媒体ガイド10は図示しない搬送手段により搬送されてくる媒体9をドラム1側にガイドすると共に、ドラム1から繰出される媒体9を前記搬送手段側にガイドするものとなっている。
【0007】
11aと11bはドラム1の外周から所定の間隔をあけて配置された搬送手段としての搬送ローラで、この搬送ローラ11aと11bは媒体ガイド10のドラム1側の端部においてそれぞれテープ4、5の外側に位置している。また、この搬送ローラ11aと11bは互いに当接しており、そして搬送ローラ11aと11bのいずれか一方が図示しないモータ(例えば、前記のモータとは別のモータ)を駆動源としてドラム1の回転方向に応じて回転するものとなっている。
【0008】
ここで、搬送ローラ11aと11bが互いに当接した位置からテープ4、5がドラム1に巻取られる位置つまりテープ5とドラム1が接触する位置までの間隔(長さ)は、媒体搬送方向における媒体9の長さよりも短い長さとなっており、また搬送ガイド10の端部とドラム1の外周面との間には、ドラム1の外周に必要枚数の媒体9を収納するのに必要な間隔が確保されている。
【0009】
この構成において、媒体収納時には、搬送ローラ11a、11bが回転している状態で図示しない搬送手段により搬送ガイド10に沿って搬送されてきた媒体9は搬送ローラ11a、11bに挟持された後、搬送ローラ11a、11bの回転によりドラム1に向かって搬送され、V字状に開いているテープ4、5間に送込まれるが、媒体9の先端が搬送ローラ11a、11bの手前(または前方)で図示しないセンサにより検知されると、ドラム1がテープ4とテープ5を巻き取るように図5において矢印Aで示した巻取り方向に回転し、それに伴ってリール2、3からテープ4、5が繰出される。
【0010】
その後、媒体9はガイドローラ7の位置で重なるテープ4、5間に挟込まれ、ドラム1の回転によりテープ4、5と共にドラム1の外周に巻取られて収納される。
このようにして順次媒体9がドラム1の外周に巻取られて収納されるが、媒体ガイド10の先端はドラム1の外周に対して所定の間隔を保つように配置されているので、媒体9は所定の枚数だけ支障なく巻取ることが可能である。
【0011】
媒体繰出し時には、ドラム1が図5に矢印Bで示した繰出し方向に回転し、同時にリール2、3によりテープ4、5が巻き戻される。これにより媒体9はテープ4、5に挟まれたままドラム1の外周から1枚ずつ引き剥がされて繰出され、その先端が搬送ローラ11aと11bに挟持された後、搬送ローラ11aと11bの回転により媒体9は媒体ガイド10に沿って図示しない搬送手段側に搬送される。
その際、テープ4、5はガイドローラ7の位置を通過すると分離され、それぞれローラ5、8を経てリール2、3に巻取られてゆく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−1123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した従来の技術においては、以下の問題がある。
図7及び図8は従来技術の問題点を示す要部斜視図で、例えばドラム1に巻取られた媒体9の巻取り方向後部側に比較的長い切れ目があって、かつその切れ目がテープ4、5よりも外側にあり、しかも媒体繰出し時において、切れ目のある媒体9より先に繰出される媒体9がある等の理由によりドラム1が1回転以上回転した後に切れ目のある媒体9が繰出される場合、つまり切れ目のある媒体9に1回転以上のドラム1の回転を要する場合、この切れ目のある媒体9がドラム1と共に回転すると、図7に示すように切れ目から外側の部分9aがドラム1の外周面から浮き上がって搬送ローラ11aと11bの間に噛み込まれてしまうことがある。この場合、そのままドラム1及び搬送ローラ11aと11bが回転すると、図8に示したようにテープ4、5に挟まれた媒体9がドラム1に沿って進み、搬送ローラ11aと11b間に噛み込まれた部分9aが、搬送ローラ11aと11bにより搬送されるため、搬送ローラ11aと11b間に噛み込まれた部分9aが引き裂かれて媒体9から分離してしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのため、本発明は、媒体の収納方向及び繰出し方向に回転するドラムと、該ドラムにテープを供給すると共に前記テープを巻き戻すリールと、前記ドラムの外周から所定の距離を置いて配置された搬送手段を備え、前記テープは媒体搬送方向と直交する方向の媒体の幅より狭い幅に形成され、媒体収納時に搬送手段により前記ドラムに向かって搬送される媒体を前記テープと共にドラムの外周に巻取って収納し、媒体繰出し時には前記テープを前記リールに巻戻して前記ドラムの外周から前記媒体を繰出すと共に前記搬送手段で搬送する媒体収納繰出し装置において、前記搬送手段を前記テープの幅以下に収まり、かつ前記テープと接触しない位置に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このようにした本発明は、ドラムの外周面と所定の間隔をあけて配置される複数組の搬送ローラをテープの幅以下に入る間隔でかつテープと接触しないように配置した構成としているため、ドラムに巻き取られた媒体の巻取り方向後部側に切れ目があって、かつその切れ目がテープよりも外側にあった場合でも、媒体繰出し時に切れ目のある媒体がドラムと共に回転しているとき、切れ目から外側の部分が搬送手段に噛み込まれて媒体から分離するという事態を防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施例を示す概略側面図
【図2】第1の実施例を示す要部斜視図
【図3】第1の実施例の作用を示す要部斜視図
【図4】第1の実施例の作用を示す要部斜視図
【図5】従来技術を示す概略側面図
【図6】従来技術を示す要部斜視図
【図7】従来技術の問題点を示す要部斜視図
【図8】従来技術の問題点を示す要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明による媒体収納繰出し装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は第1の実施例を示す概略側面図、図2はその要部斜視図である。
この第1の実施例は、媒体ガイド10のドラム1側の端部に該ドラム1の外周面と所定の間隔をあけて配置される搬送手段としての複数組(図では2組)の搬送ローラ11aと11bをテープ4、5の幅以下に入る間隔でかつテープ4、5と接触しないように配置したもので、そのため本実施例では、ガイドローラ7と搬送ローラ11a、11bとの間の位置にガイドローラ12を配置し、リール3から繰出されるテープ5をガイドローラ8及びガイドローラ12に巻き回してドラム1に導いたものとしている。
【0019】
この他の構成は従来のものと同様であるので同一の符号を付し、その説明を省略する。
上述した構成の作用について説明するが、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
また、本実施例における媒体収納時の動作及び繰出し時の動作は基本的に従来と同様であるのでその説明は省略し、ここでは例えばドラム1に巻き取られた媒体9の巻取り方向後部側に切れ目があって、かつその切れ目がテープ4、5よりも外側にあった場合の、媒体繰出し時の作用について説明する。
【0020】
図3及び図4はこの場合の作用を示す要部斜視図で、媒体繰出し時にドラム1が図1に矢印Bで示した方向に回転したとき、切れ目のある媒体9の繰出しについて、ドラム1が1回転以上回転する必要があると、図3に示すように切れ目から外側の部分9aがドラム1の外周面から浮き上がることがあるが、本実施例では2組の搬送ローラ11aと11bを上側テープ4及びテープ5の幅内に入る間隔で配置しているので、媒体9の切れ目から外側の部分9aは搬送ローラ11aと11b間に噛み込まれることなく、ドラム1の回転に従って図4に示したように媒体ガイド10と搬送ローラ11bの下側を通り抜けてゆき、これにより切れ目が広がることが防止される。
【0021】
そして、切れ目のある媒体9が繰り出されるとき、その媒体9はテープ4と5に挟まれたままドラム1の外周から1枚ずつ引き剥がされて繰出され、その先端が搬送ローラ11aと11bが挟持された後、搬送ローラ11aと11bの回転により媒体9は搬送されるが、その際切れ目から外側の部分9aは媒体ガイド10に沿って図示しない搬送手段側に搬送される。
【0022】
以上説明したように、第1の実施例では、ドラム1の外周面と所定の間隔をあけて配置される複数組(図では2組)搬送ローラ11aと11bをテープ4、5の幅以下に入る間隔でかつテープ4、5と接触しないように配置した構成としているため、ドラム1に巻き取られた媒体9の巻取り方向後部側に切れ目があって、かつその切れ目がテープ4、5よりも外側にあった場合でも、媒体繰出し時に切れ目のある媒体9がドラム1と共に回転しているとき、切れ目から外側の部分9aが搬送ローラ11aと11b間に噛み込まれて媒体9から分離するという事態を防止できるという効果が得られる。
【0023】
尚、上述した実施例では、媒体9を2本のテープ4、5で挟み、このテープ4、5と共に媒体9をドラム1に巻きつけて収納する構成に適用したが、例えばテープ5を省略してテープ4と共に媒体9をドラム1に巻きつけて収納する構成にも適用可能である。
また、上述した実施例では、媒体9をドラム1に搬送し、かつドラムから繰出される媒体を図示しない搬送手段側に搬送する搬送手段として搬送ローラ11a、11bを用いたが、この搬送ローラに代えて搬送ベルトを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 ドラム
2、3 リール
4、5 テープ
6〜8 ガイドローラ
9 媒体
10 媒体ガイド
11a、11b 搬送ローラ
12 ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の収納方向及び繰出し方向に回転するドラムと、該ドラムにテープを供給すると共に前記テープを巻き戻すリールと、前記ドラムの外周から所定の距離を置いて配置された搬送手段を備え、前記テープは媒体搬送方向と直交する方向の媒体の幅より狭い幅に形成され、
媒体収納時に搬送手段により前記ドラムに向かって搬送される媒体を前記テープと共にドラムの外周に巻取って収納し、媒体繰出し時には前記テープを前記リールに巻戻して前記ドラムの外周から前記媒体を繰出すと共に前記搬送手段で搬送する媒体収納繰出し装置において、
前記搬送手段を前記テープの幅以下に収まり、かつ前記テープと接触しない位置に配置したことを特徴とする媒体収納繰出し装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体収納繰出し装置において、
前記搬送手段として前記媒体を挟持して搬送する複数対の搬送ローラを前記テープの幅以下に収まるように配置したことを特徴とする媒体収納繰出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−131575(P2012−131575A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282440(P2010−282440)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】