説明

媒体押圧装置及び異常検出方法

【課題】媒体を押圧するための動力を出力する動力源の異常を検出することが可能な媒体
押圧装置等を提供する。
【解決手段】本発明は、媒体を押圧するための押圧部材と、前記押圧部材が前記媒体を押
圧するための動力を出力する動力源と、前記動力源の出力部の変位を検出する検出部と、
前記押圧部材が前記媒体を押圧した状態から前記動力源の出力する動力を低減させ、前記
検出部の検出結果に基づいて前記動力源の異常を検出するコントローラーとを備えること
を特徴とする媒体押圧装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を押圧する媒体押圧装置及び異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体を押圧する媒体押圧装置としては、例えば、媒体としての紙が載置された板状の底
板を、当該外板に接触して上下動自在な押し上げ部材を構成する加圧レバーを操作して、
底板と対向配置されたローラーに圧接する給紙装置が備える媒体を押圧する機構が知られ
ている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−30663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような媒体を押圧する機構は、確実に圧接、具体的には適切な押
圧力にて押圧されているか否かを確認することができないという課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、媒体の
押圧状態を検出することが可能な媒体押圧装置及び異常検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主たる本発明は、媒体を押圧するための押圧部材と、前記押圧部材が前記媒体を押圧す
るための動力を出力する動力源と、前記動力源の出力部の変位を検出する検出部と、前記
押圧部材が前記媒体を押圧した状態から前記動力源の出力する動力を低減させ、前記検出
部の検出結果に基づいて前記動力源の異常を検出するコントローラーとを備えることを特
徴とする媒体押圧装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係る測色装置を備えたプリンターを示す斜視図である。
【図2】本実施形態の測色装置を備えたプリンターの全体構成のブロック図である。
【図3】本実施形態のプリンターの構成を示す縦断面図である。
【図4】本実施形態の測色装置をプリンターの排紙ユニット側から見た斜視図である。
【図5】押圧機構の概略構成を示す図である。
【図6】測色ユニットの概略構成を示す図である。
【図7】カラーキャリブレーション処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】動作チェック処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9(a)は、用紙押圧部材が退避位置に配置されている状態を示す概略図である。図9(b)は、用紙押圧部材にて用紙を押圧している状態を示す概略図である。図9(c)は、用紙押圧部材の押圧状態からDCモーターへの電流の供給を停止した状態を示す図である。
【図10】変形例の動作チェック処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】別の実施形態の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0008】
媒体を押圧するための押圧部材と、前記押圧部材が前記媒体を押圧するための動力を出
力する動力源と、前記動力源の出力部の変位を検出する検出部と、前記押圧部材が前記媒
体を押圧した状態から前記動力源の出力する動力を低減させ、前記検出部の検出結果に基
づいて前記動力源の異常を検出するコントローラーとを備えることを特徴とする媒体押圧
装置が明らかにされる。
このような媒体押圧装置によれば、押圧部材が押圧位置に配置された状態のまま、検出
部の検出結果に基づいて動力源の異常を検出することができる。
【0009】
かかる媒体押圧装置であって、前記動力源の動力を減速させて前記押圧部材に伝達する
伝達部を有することが望ましい。また、前記動力源の出力部の変位を減少させて前記押圧
部材を変位させるとともに、前記押圧部材の変位を増大させて前記出力部を変位させる伝
達部を有することが望ましい。これにより、動力源の出力部の変位が大きくなり、動力源
の異常を検出し易くなる。
【0010】
かかる媒体押圧装置であって、前記媒体押圧装置は、前記媒体に印刷された印刷パター
ンを測色する測色部を備えた測色装置に設けられ、前記コントローラーは、前記測色部に
前記印刷パターンを測色させるときに、前記押圧部材に前記媒体を押圧させることが望ま
しい。これにより、正確な測色ができる。
【0011】
かかる媒体押圧装置であって、前記測色部が前記印刷パターンを測色するとき、前記測
色部は、前記押圧部材の上に載っていることが望ましい。これにより、測色部と媒体との
距離が一定に保たれて、正確な測色が可能となる。
【0012】
かかる媒体押圧装置であって、前記測色部が前記押圧部材の上に載っているときに、前
記コントローラーは、前記動力源の異常を検出するため、前記動力源の出力する動力を低
減させることが望ましい。これにより、前記動力源の出力する動力を低減させたときにも
、媒体が押圧された状態を維持することができる。
【0013】
かかる媒体押圧装置であって、前記コントローラーは、前記測色部に前記印刷パターン
を測色させながら、前記動力源の異常を検出するため、前記動力源の出力する動力を低減
させることが望ましい。これにより、測色処理を早く完了させることができる。
【0014】
動力源が出力する動力を用いて押圧部材に媒体を押圧させるステップと、前記押圧部材
が前記媒体を押圧した状態から前記動力源の出力する動力を低減させ、前記動力源の出力
部の変位を検出する検出部の検出結果に基づいて前記動力源の異常を検出するステップと
を有することを特徴とする異常検出方法も明らかにされる。
この方法によれば、押圧部材が押圧位置に配置された状態のまま、検出部の検出結果に
基づいて動力源の異常を検出することができる。
【0015】
===測色装置を備えたプリンター1の概要===
図1は、本実施形態に係る媒体押圧装置としての用紙押圧装置を有する測色装置を備え
たプリンターの斜視図である。図2は、本実施形態の用紙押圧装置を有する測色装置を備
えたプリンター1の全体構成のブロック図である。図3は、本実施形態のプリンター1の
構成を示す縦断面図である。まず、本発明にかかる用紙押圧装置を有する測色装置が備え
られたプリンターの基本的な構成について簡単に説明する。尚、測色装置20は、図3に
示すように、プリンター1の搬送方向において排紙ローラーユニット11eより下流側に
配置されている。
【0016】
本発明に係る測色装置20を備えた印刷装置の一例として、図1に示すように測色装置
20がオプションとして設けられ、インクをノズルから吐出するインクジェットプリンタ
ー(以下、プリンターと呼ぶ)1を例に挙げ、図2に示すように、媒体押圧装置としての
用紙押圧装置30を有する測色装置20が備えられたプリンター1とコンピューター2と
が接続された印刷システムにて実施形態を説明する。
【0017】
<<<プリンター1の構成について>>>
本実施形態のプリンター1は、図2に示すように、外部装置であるコンピューター2か
ら印刷データを受信し、制御部10により、各ユニット(搬送ユニット11、キャリッジ
ユニット12、ヘッドユニット13)を制御し、媒体としての用紙Sに画像を形成する。
また、プリンター1内の状況を検出器群14が監視し、その検出結果に基づいて、制御部
10は各ユニットを制御する。
【0018】
制御部10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェー
ス部10aは、外部装置であるコンピューター2及び測色装置20とプリンター1との間
で信号の送受信を行うためのものである。メモリー10cは、CPU10bのプログラム
を格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU10bは、メモリー1
0cに記憶されているコンピュータプログラム(ファームウェア等)に従い、例えば、C
PU10bは、搬送ユニット11やキャリッジユニット12を制御する。本実施形態のプ
リンター1は、インターフェース部10aを介して接続された装置やプリンター1内の電
子部品が一定の動作を所定時間継続していることを検出した場合には、エラーとして情報
を報知するとともにプリンター1の制御を停止させるように構成されている。ここで、所
定時間とは、印刷装置として正常に動作している際に、いずれの電子部品も一定の動作を
継続することがない時間であり、例えば30秒が設定されている。
【0019】
搬送ユニット11は、図3に示すように、用紙Sを印刷可能な位置に送り込んだ後、印
刷時に搬送方向に所定の搬送量で用紙Sを搬送させるためのものであり、給紙ローラー1
1aと、搬送モーター11bと、搬送ローラー11cと、プラテン11dと、排紙ローラ
ーユニット11eとを有する。給紙ローラー11aを回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送
ローラー11cまで送る。紙検出センサー14aが、給紙ローラー11aから送られてき
た用紙Sの先端の位置を検出すると、制御部10は搬送ローラー11cを回転させ、用紙
Sを印刷開始位置に位置決めする。用紙Sが印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド
12aの少なくとも一部のノズルは、用紙Sと対向している。
【0020】
キャリッジユニット12は、ヘッド12aを搬送方向と交差する交差方向(以下、移動
方向ともいう)に移動させるためのものである。本プリンター1は、移動方向における双
方向への移動時に、いずれも各ノズルからインクを吐出させることが可能である。
【0021】
本実施形態のプリンター1は、コンピューター2から送信される印刷データや内蔵され
た印刷データに基づいて、各種印刷パターンを印刷することが可能である。印刷パターン
としては、例えば、プリンター1の濃度調整や印刷位置調製用の印刷パターンであり、複
数のサブパターンが、用紙Sの搬送方向と構成する方向に並べられている。
【0022】
<<<測色装置20の構成について>>>
図4は、本実施形態の測色装置をプリンターの排紙ユニット側から見た斜視図である。

本実施形態の測色装置20は、プリンター1にて印刷された印刷パターンPを測色する
ために、図3、図4に示すようにプリンター1の排紙ローラーユニット11eから排出さ
れる用紙Sが、測色装置20の測色位置に搬送されるように構成されている。本実施形態
の印刷パターンPは、用紙Sの搬送方向と交差する交差方向に、色や濃度の異なる複数のサ
ブパターンPaが並べて配置されている。測色装置20は、プリンター1の排紙ローラー
ユニット11eより下流側の測色位置にて前記複数の各サブパターンPaを測色する。図
4においては、サブパターンPaの符号を一部省略している。
【0023】
図5は、押圧機構の概略構成を示す図である。図6は、測色ユニットの概略構成を示す
図である。
【0024】
測色装置20は、図5、図6に示すように、搬送ガイド21と、用紙押圧部材22と、
押圧機構23と、測色ユニット24と、コントローラー25(図2参照)と、排紙ユニッ
ト26とを備えている。搬送ガイド21は、プリンター1から排出される用紙Sをガイド
する部材である。用紙押圧部材22は、搬送ガイド21の用紙Sを搬送ガイド21側に押
圧する媒体押圧部材として機能する部材である。押圧機構23は、用紙押圧部材22を押
圧位置(用紙押圧部材22が用紙Sを押圧する位置)と退避位置(用紙押圧部材22が退
避した位置)とに移動させる機構である。測色ユニット24は、用紙Sに印刷された印刷
パターンPを測色する。コントローラー25は、測色装置20の押圧機構23及び測色ユ
ニット24を制御する。排紙ユニット26は、測色した用紙Sを排出する。ここで、測色
装置20のうちの測色ユニット24を除く構成が、用紙押圧部材22にて用紙Sを押圧す
るための用紙押圧装置30に相当する。
【0025】
搬送ガイド21は、プリンター1の排紙ローラーユニット11eより搬送方向において
下流側に設けられた板状の部材である。搬送ガイド21は、排紙ローラーユニット11e
から用紙Sが排出される位置より僅かに低い位置に設けられている。搬送ガイド21は、
用紙Sの交差方向の幅より十分に広く形成されており、用紙Sが搬送され、また、測色さ
れる位置は平坦に形成されている。
【0026】
用紙押圧部材22は、外形が長方形状をなす板状の部材であり、長手方向が交差方向に
沿うように配置される。用紙押圧部材22には、交差方向に沿って開口22h(図4参照
)が形成されている。用紙押圧部材22の交差方向の幅は、搬送される用紙Sの幅より広
く形成されている。開口22hは、用紙Sの交差方向の幅より僅かに狭く形成されている
。このため、搬送ガイド21上に搬送された用紙Sを用紙押圧部材22にて押圧した際に
は、用紙Sにおいて印刷パターンPが印刷された部位が開口22hから露出する。
【0027】
押圧機構23は、回動シャフト22aと、DCモーター22bと、ギア列22cとを有
している。回動シャフト22aは、用紙押圧部材22の搬送方向における上流側の縁部に
、長手方向が交差方向に沿うように設けられている。回動シャフト22aは、長手方向を
軸として回動自在に設けられている。回動シャフト22aには用紙押圧部材22が取り付
けられており、回動シャフト22aが回動すると、用紙押圧部材22が回動シャフト22
aを軸にして回動する。DCモーター22bは、コントローラー25に制御されて回動シ
ャフト22aを回動させるための動力源である。ギア列22cは、DCモーター22bの
動力を回動シャフト22aに伝達するためのギア列である。ギア列22cは、回動シャフ
ト22aの一方の端部に設けられた第1ギア22dと、モーター軸22eに設けられた第
2ギア22fと、を有している。モーター軸22eは、DCモーター22bの出力部に相
当する。第1ギア22dと第2ギア22fとは約1/40の減速比に設定されている。ギ
ア列22cは、DCモーター22bの動力を減速させて用紙押圧部材22に伝達する伝達
部に相当する。言い換えると、ギア列22cは、DCモーター22bのモーター軸22e
の変位を減少させて用紙押圧部材22を変位させるとともに、用紙押圧部材22の変位を
増大させてモーター軸22eを変位させる伝達部に相当する。また、モーター軸22eの
回転変位を検出するための検出部であるエンコーダー22gが設けられている。
【0028】
そして、用紙押圧部材22が退避位置にあるときにDCモーター22bに所定方向の電
流が供給されると、回動シャフト22aを中心として用紙押圧部材22が搬送ガイド21
の上面と対面するように移動し、用紙押圧部材22の下面と搬送ガイド21の上面とが対
向する。用紙押圧部材22と搬送ガイド21とが対向した後、さらにDCモーター22b
に所定方向の電流を供給し続けると、用紙押圧部材22が搬送ガイド21を押圧する押圧
力(トルク)が発生する。また、DCモーター22bに所定方向と反対方向の電流が供給
されると、回動シャフト22aを中心として用紙押圧部材22が搬送ガイド21の上面か
ら離れる方向に移動する。
【0029】
測色ユニット24は、コントローラー25と繋がった光センサーでなる測色部24aと
、測色部24aを交差方向に移動させるための測色部移動機構24bと、を有している。
測色部24aは、例えば、発光部と受光部とを有し、発光部から発せられた光の印刷パタ
ーンPによる反射光を受光部にて受光した受光量に基づいて測色する。
【0030】
測色部移動機構24bは、測色部24aを交差方向に移動させるための測色部移動モー
ター(不図示)が測色部24aに固定されたベルト(不図示)に伝達され、交差方向に案
内されるガイドシャフト24cに沿って双方向に移動可能に設けられている。また、測色
部24aは、測色部移動モーター(不図示)としてパルスモーターを用いるか、又は、エ
ンコーダー等を利用して位置制御されている。このため、コントローラーは、測色部24
aの移動量に基づいて、測色中のサブパターンPaを特定できる。
【0031】
測色部24aの下端には、移動ローラー24dが設けられている。移動ローラー24d
は、測色部24aが移動する際に用紙押圧部材22上を転がり接触し、用紙押圧部材22
に案内されながら用紙押圧部材22上を移動する。測色部24aは、用紙Sを押圧する用
紙押圧部材22上を走行して移動するときに、用紙押圧部材22の開口22hから露出し
ている印刷パターンPを測色する。用紙押圧部材22が押圧を解除するときには(用紙押
圧部材22が退避位置に移動するときには)、測色部24aは、用紙押圧部材22の上方
から外の領域に退避する。このため、ガイドシャフト24cは、測色部24aが用紙押圧
部材22上から退避できるように、用紙押圧部材22の交差方向の幅より延出している。
つまり、測色部24aは、測色しているときに配置される用紙押圧部材22上の領域と、
測色していないとき配置される、交差方向において用紙押圧部材22の外側の領域とを移
動可能である。
コントローラー25による各処理については後述する。
【0032】
排紙ユニット26は、測色位置より下流側に設けられた上下一対のローラー26a、2
6bであり、下側のローラー26bがコントローラー25に制御されて用紙Sが搬送され
る。
【0033】
<<<カラーキャリブレーション処理について>>>
図7は、カラーキャリブレーション処理を説明するためのフローチャートである。
まず、プリンター1は、印刷パターンPの印刷を実行する(パターン印刷処理、S10
1)。印刷パターンPの印刷は、プリンター1による周知の印刷技術により実施可能なの
で、ここでは印刷パターンPの印刷については説明を省略する。なお、プリンター1は、
印刷パターンPとして、複数のサブパターンPaが交差方向に並んでいる印刷パターンP
を用紙Sに印刷する。
【0034】
次に、プリンター1は、用紙Sの印刷パターンPが測色位置に到達するまで用紙Sを搬
送し、搬送ガイド21に用紙Sを支持させる(S102)。このとき、用紙押圧部材22
は、図5に示すように退避位置にある。印刷パターンPが測色装置20の測色位置に到達
したところで、プリンター1は、用紙Sの搬送を停止する。搬送された用紙Sは、図5に
示すように、搬送ガイド21から浮き上がっている場合もある。このような状態で測色ユ
ニット24が印刷パターンPを測色すると、測色部24aと印刷パターンPとの距離が不
安定になり、正確な測色ができないおそれがある。
【0035】
そこで、次に、測色装置20は、用紙押圧部材22を押圧位置まで移動させ、用紙Sが
搬送ガイド21から浮き上がることを抑制する(S103)。このとき、測色装置20の
コントローラー25は、DCモーター22bを駆動して、退避位置にある用紙押圧部材2
2を押圧位置(図6参照)まで移動させる。DCモーター22bの動力はギア列22cを
介して回動シャフト22aに伝達され、回動シャフト22aを中心として用紙押圧部材2
2が搬送ガイド21の上面と対面するように移動し、用紙押圧部材22の下面と搬送ガイ
ド21の上面とが対向する。用紙押圧部材22の下面と搬送ガイドの上面との間に用紙S
が挟まれることによって、仮に用紙Sがカールしていても、用紙押圧部材22の開口22
hから露出する印刷パターンPは平面に矯正される。なお、コントローラー25は、エン
コーダー22gの検出結果に基づいて、用紙押圧部材22が押圧位置まで移動したことを
検出する。
【0036】
ところで、用紙押圧部材22が押圧位置に移動した後、仮にコントローラー25がDC
モーター22bを停止させてしまうと、用紙Sが用紙押圧部材22を押し上げて、用紙S
が搬送ガイド21から再び浮き上がるおそれがある。このため、コントローラー25は、
用紙押圧部材22が押圧位置に移動した後も、DCモーター22bに所定の電流を供給し
続けて、用紙押圧部材22に用紙Sを押圧させるための動力をDCモーター22bから出
力させ続ける。これにより、用紙Sが搬送ガイド21から浮き上がることを防止している

【0037】
次に、コントローラー25は、測色部24aを移動させる(S105)。移動開始時の
測色部24aは、用紙押圧部材22の外側の領域に配置されている。但し、測色部24a
が移動し続けると(S106でNO→S105)、測色部24aは用紙押圧部材22の上
に到達する。コントローラー25は、測色部24aが用紙押圧部材22の上に位置すると
判断したら(S106でYES)、DCモーター22bから出力する動力を変更する(S
107)。
【0038】
なお、S107でのDCモーター22bの出力は、S104でのDCモーター22bの
出力と比べて、小さくて良い。これは、測色部24aが用紙押圧部材22の上にあるため
、測色部24aの自重が移動ローラー24dを介して用紙押圧部材22にかかり、用紙S
を押圧するからである。
【0039】
また、コントローラー25は、紙種に応じて、S107でのDCモーター22bの出力
を変えても良い(押圧力を変えても良い)。例えば、厚紙の場合には、用紙Sが用紙押圧
部材22を押し上げる力が強いため、コントローラー25は、薄紙の場合と比べてDCモ
ーター22bの出力を強く(押圧力を強く)しても良い。また、用紙Sの幅が広い場合に
は、用紙Sが用紙押圧部材22を押し上げる力が強いため、コントローラー25は、幅の
狭い用紙の場合と比べてDCモーター22bの出力を強くしても良い。
【0040】
次に、コントローラー25は、用紙押圧部材22に用紙Sを押圧させながら、測色処理
を実行する(S108)。このとき、コントローラー25は、用紙押圧部材22に移動ロ
ーラー24dを案内させながら、用紙押圧部材22の上で測色部24aを移動させる。そ
して、コントローラー25は、用紙押圧部材22の開口22hから露出する印刷パターン
Pを測色部24aに測色させる。なお、用紙押圧部材22が用紙Sを押圧しつつ、移動ロ
ーラー24dが用紙押圧部材22の上を転がりながら測色部24aが移動しているため、
測色部24aと印刷パターンPとの距離が一定に保たれる。このため、正確な測色が可能
となる。
【0041】
なお、コントローラー25は、測色処理の間、0.1秒毎に動作チェック処理を行う。
この動作チェック処理では、測色処理の終了のチェックと、モーター22bの動作チェッ
クとが行われる。動作チェック処理については、後述する。
【0042】
測色処理の終了後、コントローラー25は、測色完了処理を実行する(S109)。具
体的には、コントローラー25は、測色部24aを用紙押圧部材22の外側の領域まで移
動させ、用紙押圧部材を退避位置まで移動させ、その後、用紙Sを排紙させる。
【0043】
最後に、プリンター1の制御部10は、測色処理(S108)で取得した測色結果に基
づいて、カラーキャリブレーション用の補正値を算出し、メモリー10cに記憶する(S
110)。補正値算出処理は周知のカラーキャリブレーション技術により実施可能なので
、ここでは説明を省略する。
【0044】
<<<動作チェック処理について>>>
図8は、動作チェック処理を説明するためのフローチャートである。既に説明したよう
に、この動作チェック処理は、測色処理(図7のS108)の間に0.1秒ごとに実行さ
れる。この動作チェック処理によって、0.1秒毎に測色処理の終了判断が行われるとと
もに、4秒毎にモーターが正常に動作しているかどうかの判断(モーターチェック処理)
が行われる。
【0045】
まず、コントローラー25は、測色処理が終了したか否かの判断を行う(S201)。
コントローラー25は、S108において印刷パターンPの全てのサブパターンPaの測
色を終了したときに終了フラグを立ておき、S201の判断時に終了フラグが立っていれ
ば測色処理が終了したと判断する(S201でYES)。S201の判断時に終了フラグ
が立っていなければ(S201でNO)、コントローラー25は、測色処理が未だ途中で
あると判断する。
【0046】
次に、コントローラー25は、測色処理を開始してから(若しくは、後述のS206で
タイマーをリセットしてから)、4秒経過したか否かを判断する。4秒経過していなけれ
ば(S202でNO)、コントローラー25は、動作チェック処理を終了し、測色処理を
続行する。4秒経過していれば(S202でYES)、コントローラー25は、モーター
チェック処理(S203〜S207)を行う。これにより、測色処理が行われる間、4秒
毎に、モーターチェック処理が行われることになる。
【0047】
ここで、モーターチェック処理の具体的な各処理について説明する前に、4秒毎のモー
ターチェック処理の必要性について説明する。
【0048】
図9(a)は、用紙押圧部材が退避位置に配置されている状態を示す概略図である。図
9(b)は、用紙押圧部材にて用紙を押圧している状態を示す概略図である。図9(c)
は、用紙押圧部材の押圧状態からDCモーターへの電流の供給を停止した状態を示す図で
ある。ここで、図9(c)では、用紙押圧部材22による押圧状態におけるエンコーダー
22gのイメージを一点鎖線で示し、DCモーター22bに供給される電流が低減された
際のエンコーダー22gのイメージを実線で示している。
【0049】
用紙押圧部材22が図9(a)の退避位置から図9(b)の押圧位置まで移動するとき
には(図7のS103)、用紙押圧部材22の移動に伴ってDCモーター22bのモータ
ー軸22eが回転するため、エンコーダー22gは、モーター軸22eの回転変位量を検
出することが可能である。これに対し、用紙押圧部材22が図9(b)の押圧位置で用紙
Sへの押圧を続けているときには(図7のS107及びS108)、DCモーター22b
が動力を出力し続けても、用紙押圧部材22が移動しないのでモーター軸22eも回転し
ないため、エンコーダー22gは、モーター軸22の回転変位量を検出しないことになる
。この結果、用紙押圧部材22が図9(b)の押圧位置で用紙Sへの押圧を続けていると
きには(図7のS107及びS108)、コントローラー25は、エンコーダー22gの
検出結果に基づいてDCモーター22bの異常を判断できないことになってしまう。そこ
で、本実施形態では、コントローラー25がモーターチェック処理を実行することによっ
て、DCモーター22bの異常を判断している。
【0050】
また、測色装置20はプリンター1のオプションとして設けられるため、プリンター1
の制御を阻害することなく動作する必要がある。前述したように、プリンター1はインタ
ーフェース部10aを介して接続された装置やプリンター1内のモーター等の電子部品が
一定の動作を30秒間継続していることを検出した場合には、エラーとして情報を報知す
るとともにプリンター1の制御を停止させるように構成されている。そして、測色装置2
0にて測色する印刷パターンPが大きい場合やサブパターンPaの数が多い場合には、測
色処理に30秒以上の時間がかかることがある。このとき、測色処理時にDCモーター2
2bを30秒以上継続して動作させ続けると、プリンター1の制御を停止させてしまうお
それがある。そこで、本実施形態では、30秒より短いサイクルである4秒毎にモーター
チェック処理を実行し、モーターチェック処理の際にDCモーター22bに供給する電流
を低減させることによって、DCモーター22bが30秒以上継続して動作することを防
止している。
【0051】
次に、モーターチェック処理の各処理について説明する。
まず、コントローラー25は、DCモーター22bへの電流の供給を停止し、DCモー
ター22bの出力を停止させる(S203)。これにより、DCモーター22bが出力す
る動力は、図9(b)の状態と比べると、低減した状態になる。図9(b)では用紙押圧
部材22が移動しない状態でDCモーター22bが動力を出力し続けているため、用紙押
圧部材22や押圧機構23にわずかに弾性変形が生じているが、DCモーター22bの出
力が停止(低減)すると、用紙押圧部材22や押圧機構23の弾性変形が戻る。この結果
、図9(c)に示すように、用紙押圧部材22は押圧位置に配置されたまま移動しなくて
も、モーター軸22eが押圧方向と反対方向に回転変位する。さらに、DCモーター22
bの出力がギア列22cを介して用紙押圧部材22に減速して伝達される構成なので、用
紙押圧部材22や押圧機構23の弾性変形量がわずかであっても、図9(c)の状態での
モーター軸22eの回転変位量はギア列22cによって増幅されている。
【0052】
なお、S203の際には、図9(c)に示すように、測色部24aが用紙押圧部材22
の上に載っているため、DCモーター22bが用紙押圧部材22に用紙Sを押圧させるた
めの動力を出力していなくても、測色部24aの自重が移動ローラー24dを介して用紙
押圧部材22にかかっている。このため、用紙押圧部材22が用紙Sから浮き上がること
はなく、用紙Sが押圧された状態が維持されている。これにより、測色部24aが印刷パ
ターンPの測色を行う測色処理を行いながらモーターチェック処理を実行することができ
る。
【0053】
次に、コントローラー25は、DCモーター22bの出力を0.1秒間停止させた後、
再びDCモーター22bに電流を供給し、DCモーター22bの駆動を再開させる(S2
04)。このとき、図9(c)の状態から図9(b)の状態に戻ることになる。つまり、
用紙押圧部材22が移動しない状態でDCモーター22bが動力を出力し続けることによ
って、用紙押圧部材22や押圧機構23が再び弾性変形する。この結果、用紙押圧部材2
2は押圧位置に配置されたまま移動しなくても、モーター軸22eが押圧方向に回転変位
する。特に、DCモーター22bの出力がギア列22cを介して用紙押圧部材22に減速
して伝達される構成なので、用紙押圧部材22や押圧機構23の弾性変形量がわずかであ
っても、モーター軸22eの回転変位量は比較的大きい。
【0054】
そこで、コントローラー25は、エンコーダー22gの検出結果に基づいて、モーター
軸22eが押圧方向に回転変位したか否かを判断する(S205)。モーター軸22eの
回転変位を検出できた場合(S205でYES)、コントローラー25は、S202で4
秒経過の判断に用いたタイマーを0秒にリセットする(S206)。これにより、S20
6の処理から4秒経過した後に、コントローラー25は、再びモーターチェック処理を実
行することになる(S202でYES)。
【0055】
一方、モーター軸22eの回転変位を検出できなかった場合(S205でNO)、DC
モーター22bが正常に動力を出力していないと考えられるため、コントローラー25は
、プリンター1にてブザーや表示によりエラーを報知する(S207)。
【0056】
なお、S205の判断では、モーター軸22eが押圧方向に閾値以上で回転変位したか
否かを判断しても良い。この場合、コントローラー25は、紙種に応じて、閾値の設定を
変更しても良い。例えば、厚紙の場合には、用紙Sが用紙押圧部材22を押し上げる力が
強いため、また、このためにDCモーター22bの出力を強く(押圧力を強く)している
ため、コントローラー25は、薄紙の場合と比べて閾値を大きく設定すると良い。また、
用紙Sの幅が広い場合には、用紙Sが用紙押圧部材22を押し上げる力が強いため、また
、このためにDCモーター22bの出力を強く(押圧力を強く)しているため、コントロ
ーラー25は、幅の狭い用紙の場合と比べて閾値を大きく設定すると良い。
【0057】
本実施形態の用紙押圧装置30によれば、搬送ガイド21に用紙Sを支持させ(S10
2)、用紙押圧部材22を押圧位置まで移動させた後(S103)、さらにDCモーター
22bから動力を出力し続けて用紙押圧部材22が搬送ガイド21に向かって用紙Sを押
圧し続けるようにしている(S104、S107)。但し、この状態ではモーター軸22
eが回転しないため、コントローラー25は、エンコーダー22gの検出結果に基づいて
DCモーター22bの異常を判断できない。そこで、本実施形態では、コントローラー2
5は、用紙押圧部材22が搬送ガイド21に向かって用紙を押圧した状態から、DCモー
ター22bが動力を出力することを一旦停止させ(S203)、このときにモーター軸2
2eが押圧方向と反対方向に回転変位することを利用して、エンコーダー22gの検出結
果に基づいてDCモーター22bの異常を検出している(S205、S207)。これに
より、用紙押圧部材22が押圧位置に配置された状態で、エンコーダー22gを用いてD
Cモーター22bの異常を検出することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、用紙押圧装置30は、DCモーター22bの動力を減速さ
せて用紙押圧部材22に伝達するギア列22cを有している。DCモーター22bの出力
を一旦停止させて用紙押圧部材22や押圧機構23の弾性変形が戻るとき、ギア列22c
によってモーター軸22eの回転変位量が増幅される。これにより、用紙押圧部材22や
押圧機構23の弾性変形量がわずかであっても、モーター軸22eの回転変位量が比較的
大きくなり、エンコーダー22gによってモーター軸22eの回転変位を検出しやすくな
る。
【0059】
また、本実施形態によれば、コントローラー25は、測色部24aに印刷パターンPを
測色させるときに、用紙押圧部材22に用紙Sを押圧させている。これにより、用紙Sが
搬送ガイド21から浮き上がることを抑制でき、正確な測色ができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、測色部24aが印刷パターンPを測色するときに、測色部
24aが用紙押圧部材22の上に載っている。用紙押圧部材22が用紙Sを押圧しつつ、
測色部24aが用紙押圧部材22の上に載った状態で測色処理が行われるため、測色部2
4aと印刷パターンPとの距離が一定に保たれて、正確な測色が可能となる。
【0061】
また、本実施形態によれば、測色部24aが用紙押圧部材22の上に載っているときに
、コントローラー25は、DCモーター22bの出力を一旦停止させている。このとき、
測色部24aの自重が用紙押圧部材22にかかっているため、用紙押圧部材22が用紙S
から浮き上がることはなく、用紙Sが押圧された状態を維持することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、コントローラー25は、測色部24aに印刷パターンPを
測色させながら(測色処理を実行しながら)、DCモーター22bの出力を一旦停止させ
る(モーターチェック処理を実行する)ので、測色処理を早く完了させることができる。
本実施形態では、測色部24aの自重が用紙押圧部材22にかかっているため、測色処理
を実行しながらモーターチェック処理を実行することが可能になっている。なお、もし仮
にモーターチェック処理のたびに測色処理を中断させると測色処理の完了が遅くなる。
【0063】
<<<変形例>>>
上記の実施形態のモーターチェック処理では、コントローラー25は、DCモーター2
2bの出力を一旦停止させ(S203)、DCモーター22bの駆動を再開させた後に(
S204)、エンコーダー22gの検出結果に基づいてDCモーター22bの異常を検出
していた(S205)。但し、エンコーダー22gの検出結果に基づく異常検出は、この
タイミングに限られるものではない。
【0064】
図10は、変形例の動作チェック処理を説明するためのフローチャートである。図8と
比較すると、この変形例では、DCモーター22bの駆動を再開させる前に、エンコーダ
ー22gの検出結果に基づいてDCモーター22bの異常を検出している点で異なる。
【0065】
既に説明した通り、S203においてDCモーター22bの出力が停止すると、用紙押
圧部材22や押圧機構23の弾性変形が戻り、モーター軸22eが押圧方向と反対方向に
回転変位する。そこで、変形例では、コントローラー25は、S203においてDCモー
ター22bの出力を停止させた直後に、モーター軸22eが押圧方向と反対方向に回転変
位したか否かを判断する(S205’)。もしモーター軸22eが押圧方向と反対方向に
回転変位していなければ(S205’でNO)、DCモーター22bの出力を停止させる
前からDCモーター22bが正常に動作しておらず、用紙押圧部材22が用紙Sを正常に
押圧していないと考えられるため、コントローラー25はエラーを報知する(S207)

【0066】
なお、S205’の判断では、モーター軸22eが押圧方向と反対方向に閾値以上で回
転変位したか否かを判断しても良い。この場合、コントローラー25は、紙種に応じて、
閾値の設定を変更しても良い。例えば、厚紙の場合には、用紙Sが用紙押圧部材22を押
し上げる力が強いため、また、このためにDCモーター22bの出力を強く(押圧力を強
く)しているため、コントローラー25は、薄紙の場合と比べて閾値を大きく設定すると
良い。また、用紙Sの幅が広い場合には、用紙Sが用紙押圧部材22を押し上げる力が強
いため、また、このためにDCモーター22bの出力を強く(押圧力を強く)しているた
め、コントローラー25は、幅の狭い用紙の場合と比べて閾値を大きく設定すると良い。
【0067】
変形例によれば、測色処理(S108))の際に、用紙Sが押圧されていたか否かをよ
り直接的に判断できる。
【0068】
なお、コントローラー25は、DCモーター22bの停止直後(駆動再開前)のエンコ
ーダー22gの検出結果と、DCモーター22bの駆動再開後のエンコーダー22gの検
出結果との両方に基づいて、DCモーター22bの異常を検出しても良い。
【0069】
<<<別の実施形態>>>
上記実施形態においては、測色装置20に設けられた用紙押圧装置であって板状の用紙
押圧部材22にて用紙Sを押圧する装置を例に挙げて説明したが、これに限るものではな
い。
【0070】
図11は、別の実施形態の用紙押圧装置の概略構成を示す図である。この実施形態では
、用紙押圧装置が、プリンター等の給紙装置に設けられている。
【0071】
給紙装置は、給紙トレイ21’と、給紙ローラー22’と、押圧機構23’と、不図示
のコントローラーとを備えている。給紙トレイは、積層された用紙を収容する部材である
。給紙ローラー22’は、用紙を給紙トレイ21’に向かって押圧する部材である。この
給紙ローラー22’は、給紙トレイ21’に収容されている一番上の用紙と接触すること
になる。押圧機構23’は、給紙ローラー22’を押圧位置(用紙押圧部材22’が用紙
Sを押圧する位置)と退避位置(用紙押圧部材22’が退避した位置)とに移動させる機
構である。押圧機構23は、不図示のコントローラーによって制御される。
【0072】
給紙ローラー22’は、ローラー状の部材である。給紙ローラー22’が押圧位置にあ
る状態で給紙ローラー22’が回転すると、給紙トレイ21’に収容されている一番上の
用紙がプリンター内に給紙される。
【0073】
押圧機構23’は、回動シャフト22a’と、DCモーター22b’と、ギア列22c
’とを有している。ギア列22c’は、DCモーター22b’の動力を回動シャフト22
a’に伝達するためのギア列である。ギア列22c’は、第1ギア22d’と、第2ギア
22f’とを有している。押圧機構23’の構成は、前述の実施形態の押圧機構23とほ
ぼ同様であるので、ここでは説明を省略する。また、モーター軸22e’の回転変位量を
検出するための変位検出部であるエンコーダー22g’が設けられている。
【0074】
給紙ローラー22’は、常時用紙の押圧をさせておくと、給紙ローラー22’と接触し
ていた用紙Sの部位が変形したり、給紙ローラー22’の油分が用紙に染み込んでしまう
ため、通常は退避位置にある。但し、用紙Sをプリンター内に給紙するときには、給紙ロ
ーラー22’は押圧位置に位置し、用紙Sを押圧している。
【0075】
給紙ローラー22’が押圧位置で用紙Sへの押圧を続けているときには、DCモーター
22bが動力を出力し続けても、給紙ローラー22’が移動しないのでモーター軸22e
’も回転しないため、エンコーダー22g’は、モーター軸22の回転変位量を検出しな
いことになる。この結果、給紙ローラー22’が押圧位置で用紙Sへの押圧を続けている
ときには、コントローラーは、エンコーダー22g’の検出結果に基づいてDCモーター
22b’の異常を判断できないことになってしまう。
このため、本実施形態の給紙装置において、前述のモーターチェック処理と同様の処理
を実行し、モーターの異常を検出しても良い。
【0076】
<<<その他>>>
上記の実施の形態は、主として用紙押圧装置30を備えた測色装置20について記載さ
れているが、用紙の押圧状態判定方法等の開示も含まれている。また、上記の実施形態は
、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのもので
はない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明に
はその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0077】
上記実施形態では、測色処理中に4秒間隔にて測色部移動モーターやDCモーター22
bを意図的に停止させる例について説明したがこれに限るものではなく、プリンター1の
制御を阻害することなく動作するように設定されていればよい。このため上記のプリンタ
ー1のように、インターフェース部10aを介して接続された装置やプリンター1内のモ
ーター等の電子部品が一定の動作を所定時間継続していることを検出した場合には、エラ
ーとして情報を報知するように設定されている場合には、設定されている所定時間より短
い時間にて測色部移動モーターやDCモーター22bを停止してもよい。
【0078】
また、測色部移動モーターやDCモーター22bを停止させる時間も0.1秒に限るも
のではない。また、DCモーター22bに供給する電流を停止するのではなく、DCモー
ターに供給する電流量を低減させても良い。DCモーター22bに供給する電流を低減す
ると、DCモーター22bから出力される動力も低減される。このとき、用紙押圧部材2
2や押圧機構23の弾性変形が戻るため、エンコーダー22gの検出結果に基づいてDC
モーター22bの異常を検出することが可能である。つまり、DCモーター22bに供給
する電流を停止するのではなく、DCモーターに供給する電流量を低減させても、エンコ
ーダー22gの検出結果に基づいてDCモーター22bの異常を検出することが可能であ
る。
【0079】
なお、DCモーターを停止するのではなくDCモーターから出力する動力を低減する場
合には、コントローラー25は、紙種に応じて、DCモーターから出力する動力の低減量
を変更しても良い。例えば、薄紙の場合には、用紙が用紙押圧部材22を押し上げる力が
弱いため、コントローラー25は、厚紙の場合と比べて低減量を大きくすると良い。また
、用紙の幅が狭い場合には、用紙が用紙押圧部材22を押し上げる力が弱いため、コント
ローラー25は、幅の広い用紙の場合と比べて低減量を大きくすると良い。
【0080】
また、上記実施形態では、媒体を押圧するための動力を出力する動力源がDCモーター
であったが、これに限られるものではない。例えば、回転方向に力を出力するモーターで
はなく、直線方向に力を出力するアクチュエーターが動力源であってもよい。この場合、
動力源の出力部を検出する検出部として、直線方向の変位を検出するリニア式エンコーダ
ーが用いられると良い。
【0081】
更に、上記実施形態では、動力源がモーターであったが、これに限られるものではない
。例えば、油圧式の動力源であっても良いし、熱や蒸気・ガスを利用した動力源であって
も良い。
【0082】
また、押圧装置が押圧する媒体も用紙に限られるものではない。例えば、布や鉄板等で
あっても良い。
【符号の説明】
【0083】
1プリンター、2 コンピューター、10 制御部、10a インターフェース部、
10b CPU、10c メモリー、11 搬送ユニット、11a 給紙ローラー、
11b 搬送モーター、11c 搬送ローラー、11d プラテン、
11e 排紙ローラーユニット、12 キャリッジユニット、12a ヘッド、
13 ヘッドユニット、14 検出器群、14a 紙検知センサー、20 測色装置、
21 搬送ガイド、22 用紙押圧部材、22a 回動シャフト、
22b DCモーター、22c ギア列、22d 第1ギア、22e モーター軸、
22f 第2ギア、22g エンコーダー、23 押圧機構、24 測色ユニット、
24a 測色部、24b 測色部移動機構、24c ガイドシャフト、
24d 移動ローラー、25 コントローラー、26 排紙ローラーユニット、
30 用紙押圧装置、
P 印刷パターン、Pa サブパターン、S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を押圧するための押圧部材と、
前記押圧部材が前記媒体を押圧するための動力を出力する動力源と、
前記動力源の出力部の変位を検出する検出部と、
前記押圧部材が前記媒体を押圧した状態から前記動力源の出力する動力を低減させ、前
記検出部の検出結果に基づいて前記動力源の異常を検出するコントローラーと
を備えることを特徴とする媒体押圧装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体押圧装置であって、
前記動力源の動力を減速させて前記押圧部材に伝達する伝達部を有することを特徴とす
る媒体押圧装置。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体押圧装置であって、
前記動力源の出力部の変位を減少させて前記押圧部材を変位させるとともに、前記押圧
部材の変位を増大させて前記出力部を変位させる伝達部を有することを特徴とする媒体押
圧装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の媒体押圧装置であって、
前記媒体押圧装置は、前記媒体に印刷された印刷パターンを測色する測色部を備えた測
色装置に設けられ、
前記コントローラーは、前記測色部に前記印刷パターンを測色させるときに、前記押圧
部材に前記媒体を押圧させる
ことを特徴とする媒体押圧装置。
【請求項5】
請求項4に記載の媒体押圧装置であって、
前記測色部が前記印刷パターンを測色するとき、前記測色部は、前記押圧部材の上に載
っていることを特徴とする媒体押圧装置。
【請求項6】
請求項5に記載の媒体押圧装置であって、
前記測色部が前記押圧部材の上に載っているときに、前記コントローラーは、前記動力
源の異常を検出するため、前記動力源の出力する動力を低減させる
ことを特徴とする媒体押圧装置。
【請求項7】
請求項6に記載の媒体押圧装置であって、
前記コントローラーは、前記測色部に前記印刷パターンを測色させながら、前記動力源
の異常を検出するため、前記動力源の出力する動力を低減させる
ことを特徴とする媒体押圧装置。
【請求項8】
動力源が出力する動力を用いて押圧部材に媒体を押圧させるステップと、
前記押圧部材が前記媒体を押圧した状態から前記動力源の出力する動力を低減させ、前
記動力源の出力部の変位を検出する検出部の検出結果に基づいて前記動力源の異常を検出
するステップと
を有することを特徴とする異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−25136(P2012−25136A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169012(P2010−169012)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】