説明

媒体搬送装置および画像処理装置

【課題】突き当て部材への突き当てによって生じる媒体の撓みを利用して当該媒体の斜行を補正する場合に、当該媒体の斜行量の大小にかかわらず、当該媒体の斜行を確実に補正し得るようにする。
【解決手段】媒体Pの先端が突き当てられる突き当て部材11と、前記突き当て部材11に向けて前記媒体Pを搬送し当該突き当て部材への突き当て後に当該媒体Pに撓みを生じさせる媒体送り部材12と、前記突き当て部材11が前記媒体Pの進行方向に沿って揺動し得るように当該突き当て部材11を支持する支持部材14と、前記突き当て部材11が揺動せずに所定位置に固定されるように前記支持部材14の揺動動作を規制する動作規制手段15と、を備えて媒体搬送装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置および画像処理装置に関するに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等のように記録用紙上への画像出力を行う画像形成装置や自動原稿送り装置を備えたスキャナのように原稿上からの画像読み取りを行う画像読取装置(以下、これらの装置を「画像処理装置」と総称する。)の中には、記録用紙や原稿等といった処理対象となる単票状(シート状)の媒体に対して、その斜行を補正する機能を備えたものがある。
媒体の斜行は、当該媒体にループと呼ばれる撓みを生じさせて補正することが一般的である。すなわち、媒体の先端を突き当て部材に突き当て、斜行している当該媒体の先行側の端部が当該突き当て部材への突き当てによって停止した後も、さらに上流側の搬送ロールで媒体を送り込み、当該媒体に撓みを生じさせるとともに、遅延側の端部も当該突き当て部材に突き当てることで、当該媒体の斜行を補正するのである。
また、媒体の斜行補正については、搬送ロールから媒体を送出した後に当該媒体の斜行量を検出し、その検出結果を基に突き当て部材を傾けて、媒体と突き当て部材との角度差を無くすようにすることや(例えば、特許文献1参照)、媒体が突き当て部材を通過した後に当該媒体の斜行量を検出し、その検出結果を基に当該媒体を挟持している突き当て部材を傾けて、当該媒体の傾きを補正すること(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−178929号公報
【特許文献2】特開平10−67448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の斜行補正では、媒体の斜行量が大きい場合に、斜行を補正しきれない可能性が生じてしまう。
突き当て部材に突き当てた媒体の先端部は、容易には媒体幅方向に移動しないことがある。特に、突き当て部材としてロール対を使用するロールレジ方式では、媒体の先端部がロール対のニップ部分に入り込むため、当該先端部を中心にした媒体の回転方向への移動および当該媒体全体の幅方向への移動が阻害され易い。そのため、媒体の斜行量が大きい場合には、上流側の搬送ロールで媒体を送り込んでも、先行する側が先に突き当て部材に突き当たって撓み部分が形成されるものの、遅延側の部分が突き当て部材まで達せずに当該突き当て部材に突き当たらないといったことが起こり、結果として斜行を補正しきれない可能性が生じてしまうのである。
また、例えば特許文献1に記載されているように、媒体斜行量の検出結果を基に突き当て部材を傾けて媒体の斜行補正を行う場合には、媒体の斜行量を検出するためにセンサ等の検出手段を必要としてしまい、またその検出結果に応じて突き当て部材を傾けるという制御処理も必要となる。さらに、例えば特許文献2に記載されているように、媒体を挟持した状態の突き当て部材を傾けて媒体の斜行補正を行う場合には、媒体の搬送中に当該媒体の姿勢を変化させることになるため、当該媒体の送り方向位置がずれ易くなってしまい、斜行量の検出手段やその検出結果に応じた制御処理を必要とすることに加え、媒体の送り方向位置のずれを補正する機構や制御が必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、突き当て部材への突き当てによって生じる媒体の撓みを利用して当該媒体の斜行を補正する場合であっても、複雑な機構や制御処理等を必要とすることなく、当該媒体の斜行量の大小にかかわらずに当該媒体の斜行を確実に補正することのできる媒体搬送装置および画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、媒体の先端が突き当てられる突き当て部材と、前記突き当て部材に向けて前記媒体を搬送し当該突き当て部材への突き当て後に当該媒体に撓みを生じさせる媒体送り部材と、前記突き当て部材が前記媒体の進行方向に沿って揺動し得るように当該突き当て部材を支持する支持部材と、前記突き当て部材が揺動せずに所定位置に固定されるように前記支持部材の揺動動作を規制する動作規制手段とを備えることを特徴とする媒体搬送装置である。
請求項2に係る発明は、前記動作規制手段が、前記媒体の前記突き当て部材への突き当ての際には当該突き当て部材が揺動自在となるようにし、前記突き当て部材が前記媒体の突き当て状態を解消して当該媒体を繰り出す際には当該突き当て部材が揺動せずに所定位置に固定されるようにすることを特徴とする請求項1記載の媒体搬送装置である。
請求項3に係る発明は、前記媒体送り部材が、前記媒体の搬送経路を挟んで対向配置されたロール対からなるとともに、前記動作規制手段が前記支持部材の揺動動作を規制する際に、当該ロール対による前記媒体の挟持状態を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の媒体搬送装置である。
請求項4に係る発明は、前記突き当て部材が、前記媒体の搬送経路を挟んで対向配置されたロール対からなるとともに、当該ロール対の各軸が中空軸によって構成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の媒体搬送装置である。
請求項5に係る発明は、媒体上への画像出力または媒体上からの画像読み取りを行う画像処理手段と、前記画像処理手段へ処理対象となる媒体を搬送する媒体搬送手段とを備える画像処理装置において、前記媒体搬送手段は、媒体の先端が突き当てられる突き当て部材と、前記突き当て部材に向けて前記媒体を搬送し当該突き当て部材への突き当て後に当該媒体に撓みを生じさせる媒体送り部材と、前記突き当て部材が前記媒体の進行方向に沿って揺動し得るように当該突き当て部材を支持する支持部材と、前記突き当て部材が揺動せずに所定位置に固定されるように前記支持部材の揺動動作を規制する動作規制手段とを備えることを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明および請求項5に係る発明によれば、媒体が斜行している場合に、突き当て部材を揺動させて当該媒体の先端に追従させるといったことが実現可能となるので、当該媒体の先行側と遅延側のそれぞれを均等に突き当て部材に突き当て易くなり、当該媒体の斜行量が大きくても、当該媒体の斜行を検出することなく、また当該媒体の過大な撓み量を要することなく、当該媒体の斜行を確実に補正することが可能となる。しかも、媒体の過大な撓み量を要する場合に比べて、当該撓み量の削減による媒体搬送効率(時間当りの処理数)の向上、省スペース化(撓み確保のためのスペースの削減)、騒音低減(撓み形成音低減)等といった副次効果も得られる。
請求項2に係る発明によれば、突き当て部材の揺動を利用して当該突き当て部材を媒体の先端に追従させても、突き当て状態にある媒体を繰り出す際には当該突き当て部材を所定位置(例えば、揺動前の位置)に固定させることで、媒体斜行補正の確実化が図れるとともに、媒体繰り出しの適切化(例えば、斜め送りの防止)も図れるようになる。
請求項3に係る発明によれば、動作規制手段による揺動動作規制のために媒体に力が加わる場合であっても、ロール対による当該媒体の挟持状態を解除することで、当該媒体に過大な負荷が作用してしまうのを防止することができる。
請求項4に係る発明によれば、ロール対の各軸の軽量化が可能となり、これにより突き当て部材が揺動する際の動作抵抗を軽減し得るようになるので、当該突き当て部材の媒体先端への追従の容易化を通じて、媒体斜行補正の確実化が図れるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明に係る媒体搬送装置および画像処理装置について説明する。
【0009】
先ず、画像処理装置の概略構成について説明する。
【0010】
図1は、画像処理装置の一例である画像形成装置の概略構成例を示す説明図である。
画像形成装置1aは、記録用紙やOHPシート等といった単票状の媒体上に画像を形成して出力するものである。そのために、画像形成装置1aは、媒体を収納する媒体収納部2と、媒体収納部2から繰り出した媒体の搬送を行う媒体搬送部3と、周知の電子写真技術を利用してトナー像形成を行うとともに形成したトナー像を媒体搬送部3が搬送する媒体上へ転写する画像形成部4と、画像転写後の媒体の排出を行う媒体排出部5と、を備えている。そして、媒体搬送部3には、画像形成部4による媒体上へのトナー像の転写位置よりも当該媒体の搬送方向上流側に、当該媒体の斜行(スキュー)を補正するためのスキュー補正部10が設けられている。
【0011】
図2は、画像処理装置の他の例である画像読取装置の概略構成例を示す説明図である。
画像読取装置1bは、原稿となる媒体から当該媒体上に描かれた画像を光学的に読み取るとともに、読み取り対象となる媒体の自動原稿送りを行い得るものである。そのために、画像読取装置1bは、読み取り対象となる原稿束がセットされる媒体供給部6と、媒体供給部6から繰り出した媒体の搬送を行う媒体搬送部7と、媒体搬送部7が所定位置(例えばプラテンガラス上)まで搬送した媒体からの画像読み取りを行って画像データを得る画像読取部8と、画像読み取り後の媒体の排出を行う媒体排出部9と、を備えている。そして、媒体搬送部7には、画像読取部8による画像読み取り位置よりも媒体の搬送方向上流側に、当該媒体の斜行(スキュー)を補正するためのスキュー補正部10が設けられている。
【0012】
続いて、以上のような画像形成装置1aまたは画像読取装置1bにおけるスキュー補正部10、すなわち本発明に係る媒体搬送装置の要部について詳しく説明する。
【0013】
図3は、スキュー補正部10の概略構成例を示す説明図である。
図3(a)に示すように、スキュー補正部10は、搬送する媒体にループと呼ばれる撓みを生じさせて、当該媒体の斜行を補正するものである。そのために、スキュー補正部10は、媒体の先端が突き当てられる突き当て部材として機能するレジロール対11と、レジロール対11に向けて媒体を搬送する媒体送り部材として機能する送りロール対12と、レジロール対11と送りロール対12との間に配された撓み抑え板13と、を備えている。そして、図3(b)に示すように、送りロール対12が搬送する媒体Pを、撓み抑え板13がレジロール対11へ向けて案内し、当該媒体Pの先行側の端部がレジロール対11に突き当たった後も、さらに搬送方向上流側の送りロール対12で当該媒体Pを送り込み、当該媒体Pに撓みを生じさせるとともに、揺動可能に配された撓み抑え板13が当該撓み抑え板13に与えられた付勢力によって媒体Pの撓み部分を押圧しつつ、当該媒体Pの遅延側の端部もレジロール対11に突き当てることで、当該媒体の斜行を補正するように構成されている。なお、媒体の斜行を補正した後は、レジロール対11が画像形成部4または画像読取部8の動作タイミングに合わせて回転動作を開始し、媒体Pを搬送方向下流側の画像形成部4または画像読取部8に向けて挟持搬送するようになっている。
【0014】
図4は、スキュー補正部10の特徴的な要部構成例を示す説明図である。
図例のように、スキュー補正部10は、その特徴的な構成として、レジロール対11および当該レジロール対11を駆動源となる駆動モータ11aを支持する支持部材14と、その支持部材14に連結する動作規制手段15と、を備えている。
【0015】
支持部材14は、レジロール対11および駆動モータ11aを、当該レジロール対11に向かう媒体Pの進行方向(図中矢印A参照)に沿って揺動し得るように(図中矢印B参照)支持するものである。支持部材14の揺動支点14aは、媒体Pの幅方向中央部の位置と合致するように配されているものとする。すなわち、支持部材14は、媒体Pの幅方向中央部に垂直な軸を中心として、レジロール対11および駆動モータ11aからなるレジロール駆動系を、揺動自在に支持する構造となっている。これにより、レジロール駆動系は、スキュー補正部10の全体を支持する筐体とは別体で支持されることになり、当該筐体とは別に揺動支点14aを中心として揺動し得るのである。
【0016】
このような支持部材14に支持されるレジロール対11は、軽量化を図るために、各軸が中空軸によって構成されているものとする。さらには、支持部材14を構成する形成材料についても、軽量化を図るために、樹脂材料やアルミニウム等の軽量金属材料が採用されているものとする。
また、レジロール対11を駆動する駆動モータ11aは、可能な範囲で揺動支点14aに近づけて配することが望ましい。
なお、レジロール対11に向けて搬送される媒体Pは、そのサイズに関わりなく幅方向中央部が基準とされる、いわゆるセンターレジ方式に対応して搬送されるものとする。
【0017】
動作規制手段15は、電磁ソレノイドやモータ等の駆動源とこれを支持部材14の揺動端に連結するリンク機構とからなるもので、レジロール対11が揺動せずに所定位置に固定されるように支持部材14の揺動動作を規制するためのものである。さらに詳しくは、レジロール対11が揺動自在となる状態と当該レジロール対11が所定位置に固定される状態と、の両方に対応し得るようになっている。これらの間の状態遷移は、例えばソレノイドやモータ等に対する励磁/非励磁の切り換えによって行うことが考えられる。また、動作規制手段15は、レジロール対11の所定位置への固定のために、支持部材14の揺動端の移動および移動後の位置保持を行い得るようになっている。
なお、レジロール対11が固定される所定位置としては、媒体Pの進行方向(図中矢印A参照)に対して当該レジロール対11の軸方向が直交する位置またはこれと同視できる位置が挙げられる。
【0018】
次に、以上のような特徴的な構成を備えるスキュー補正部10において、媒体Pの斜行を補正する場合の処理動作例について説明する。
【0019】
図5は、媒体斜行補正の一具体例を示す説明図である。
スキュー補正部10では、送りロール対12が媒体Pを挟持した状態で回転して当該媒体Pの搬送を行うと、撓み抑え板13がその媒体Pをレジロール対11へ向けて案内する。これにより、搬送される媒体Pは、駆動モータ11aが動作しておらず回転停止状態にあるレジロール対11に、その先端が突き当てられることになる。
【0020】
ここで、例えば搬送される媒体Pが斜行していると、図5(a)に示すように、先行する側(斜行進み側)の媒体端部は、先にレジロール対11へ到達する。そして、その到達時点では、遅延する側(斜行遅れ側)の媒体端部は、未だレジロール対11へ到達しない。
【0021】
ただし、このとき、媒体端部の到達を待ち受けるレジロール対11は、支持部材14によって揺動支点14aを中心に揺動し得るように支持されている。しかも、その支持部材14に連結する動作規制手段15は、媒体Pのレジロール対11への突き当ての際には、例えばソレノイドやモータ等を非励磁状態とすることで、支持部材14の動作を規制することなく、当該レジロール対11が揺動自在な状態となるようにしている。
【0022】
したがって、レジロール対11は、斜行している媒体Pの先端が到達すると、図5(b)に示すように、斜行進み側の媒体端部が突き当たった後、当該媒体端部に押されて、揺動支点14aを中心に揺動する(図中矢印C参照)。これにより、レジロール対11の軸方向が媒体Pの先端に追従することになり、斜行進み側の媒体端部のみならず、斜行遅れ側の媒体端部についても、レジロール対11に突き当たることになる。つまり、媒体Pの先端に追従するようにレジロール対11が揺動することによって、斜行進み側の媒体端部と斜行遅れ側の媒体端部とがそれぞれ均等にレジロール対11に突き当たるようになる。
【0023】
その場合に、レジロール対11の各軸を中空軸によって構成したり支持部材14の形成材料として樹脂材料やアルミニウム等の軽量金属材料を採用して軽量化していれば、当該軽量化をしていない場合に比べて、レジロール対11が媒体Pの先端に追従して揺動する際の揺動抵抗を低減させることが可能となり、結果として媒体Pの先端への追従性の向上が図れるようになる。また、駆動モータ11aを揺動支点14aに近づけて配していれば、当該揺動支点14aから遠くに配した場合に比べて、慣性モーメントを低減させることが可能となるので、このことによっても媒体Pの先端への追従性の向上が図れるようになる。
【0024】
このようにして、媒体Pの斜行進み側と斜行遅れ側とがそれぞれ均等にレジロール対11に突き当たると、送りロール対12は、さらに当該媒体Pを送り込み、当該媒体Pに撓みを生じさせる。
その後、レジロール対11の駆動モータ11aは当該レジロール対11が媒体搬送方向に回転動作をするように、一定時間だけ駆動する。これにより、媒体Pは、その先端の近傍位置(少なくとも当該先端からレジロール対11による挟持状態の保持に十分な距離を隔てた位置)がレジロール対11に挟持されることになる。なお、駆動モータ11aの駆動開始タイミングは、媒体Pがレジロール対11へ到達し、かつ、当該媒体Pに必要十分な撓みが生じた後となるように、予め設定されているものとする。また、駆動モータ11aがレジロール対11を駆動する一定時間についても、当該レジロール対11が媒体Pの先端近傍部分を挟持し得る時間となるように、予め設定されているものとする。
【0025】
そして、駆動モータ11aが一定時間の駆動を終了し、媒体Pがレジロール対11に挟持された状態になると、送りロール対12は、当該送りロール対12による媒体Pの挟持状態を解除するようになっている。なお、このときの解除動作は、例えば、電磁ソレノイド等の駆動源を用いて送りロール対12の軸間距離を離間させるといった公知技術を利用して行えばよい。
【0026】
送りロール対12による媒体Pの挟持状態の解除後は、レジロール対11が所定位置に固定されるように、動作規制手段15が支持部材14の揺動動作を規制する。すなわち、送りロール対12による挟持状態解除は、遅くとも動作規制手段15による支持部材14の揺動動作の規制までには行われているようにする。
【0027】
支持部材14の揺動動作の規制にあたり、動作規制手段15は、図5(c)に示すように、先ず、媒体Pの先端に追従して揺動したレジロール対11が、その揺動前の元の位置である所定位置に戻るように、支持部材14の揺動端を移動させる(図中矢印D参照)。そして、例えばソレノイドやモータ等に対する励磁により、移動後の位置が保持された状態となるようにする。これにより、レジロール対11は、所定位置へ固定され、当該所定位置から揺動しないように動作が規制されることになる。
【0028】
このとき、レジロール対11は、媒体Pの先端近傍部分を挟持したままの状態にある。したがって、動作規制手段15が支持部材14の揺動端を移動させてレジロール対11を所定位置に戻すと、そのレジロール対11の動作に伴って媒体Pも動作することになる。ただし、レジロール対11に伴って動作する媒体Pについては、送りロール対12による挟持状態が既に解除されているので、その動作に起因して皺や撚れ等が生じてしまうことがない。
【0029】
その後は、画像形成部4または画像読取部8の動作タイミングに合わせて、レジロール対11の駆動モータ11aが駆動を開始して、当該レジロール対11を回転動作させ、媒体Pを搬送方向下流側の画像形成部4または画像読取部8に向けて挟持搬送する。そして、媒体Pの後端がレジロール対11を抜けたら、駆動モータ11aがレジロール対11に対する駆動を停止するとともに、当該レジロール対11が揺動自在な状態となるように動作規制手段15がソレノイドやモータ等を非励磁状態に状態遷移させる。すなわち、動作規制手段15は、レジロール対11の所定位置への固定保持状態を解除して、次に送られてくる媒体Pの先端に追従してレジロール対11が揺動し得るようにする。
【0030】
以上に説明した一連の処理動作を行うことで、スキュー補正部10では、媒体Pが斜行している場合に、レジロール対11を揺動させて当該媒体Pの先端に追従させ、当該媒体Pの斜行進み側と斜行遅れ側とをそれぞれ均等にレジロール対11に突き当て得るようになるので、当該媒体Pの斜行を検出することなく、当該媒体Pの斜行が補正されることになる。しかも、小さな撓み量での斜行補正が可能となり、媒体Pの過大な撓み量を必要とすることもない。したがって、レジロール対11への到達前には媒体Pの斜行量が大きくても、上述した一連の処理動作を経ることで、当該媒体Pの斜行が確実に補正されることになる。
【0031】
なお、本実施形態では、本発明の好適な実施具体例について説明したが、本発明はその内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、本実施形態では、レジロール対11が突き当て部材として機能する場合を例に挙げたが、開閉可能な板状部材が突き当て部材として機能するレジゲート方式の場合であっても、全く同様に本発明を適用することが可能である。
また、本実施形態では、レジロール対11の揺動自在状態と所定位置への固定状態との間の状態遷移を動作規制手段15の駆動源の励磁/非励磁の切り換えによって行う場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の公知技術を利用して状態遷移を行う場合であっても、揺動自在状態のレジロール対11を媒体Pの先端に追従させることで、当該媒体Pの斜行を確実に補正し得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】画像処理装置の一例である画像形成装置の概略構成例を示す説明図である。
【図2】画像処理装置の他の例である画像読取装置の概略構成例を示す説明図である。
【図3】本発明が適用されたスキュー補正部の概略構成例を示す説明図である。
【図4】本発明が適用されたスキュー補正部の特徴的な要部構成例を示す説明図である。
【図5】図4のスキュー補正部による媒体斜行補正の一具体例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1a…画像形成装置、1b…画像読取装置、2…媒体収納部、3…媒体搬送部、4…画像形成部、5…媒体排出部、6…媒体供給部、7…媒体搬送部、8…画像読取部、9…媒体排出部、10…スキュー補正部、11…レジロール対、11a…駆動モータ、12…送りロール対、13…撓み抑え板、14…支持部材、14a…揺動支点、15…動作規制手段、P…媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の先端が突き当てられる突き当て部材と、
前記突き当て部材に向けて前記媒体を搬送し当該突き当て部材への突き当て後に当該媒体に撓みを生じさせる媒体送り部材と、
前記突き当て部材が前記媒体の進行方向に沿って揺動し得るように当該突き当て部材を支持する支持部材と、
前記突き当て部材が揺動せずに所定位置に固定されるように前記支持部材の揺動動作を規制する動作規制手段と
を備えることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記動作規制手段は、前記媒体の前記突き当て部材への突き当ての際には当該突き当て部材が揺動自在となるようにし、前記突き当て部材が前記媒体の突き当て状態を解消して当該媒体を繰り出す際には当該突き当て部材が揺動せずに所定位置に固定されるようにする
ことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記媒体送り部材は、前記媒体の搬送経路を挟んで対向配置されたロール対からなるとともに、前記動作規制手段が前記支持部材の揺動動作を規制する際に、当該ロール対による前記媒体の挟持状態を解除するように構成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記突き当て部材は、前記媒体の搬送経路を挟んで対向配置されたロール対からなるとともに、当該ロール対の各軸が中空軸によって構成されている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
媒体上への画像出力または媒体上からの画像読み取りを行う画像処理手段と、
前記画像処理手段へ処理対象となる媒体を搬送する媒体搬送手段とを備える画像処理装置において、
前記媒体搬送手段は、
媒体の先端が突き当てられる突き当て部材と、
前記突き当て部材に向けて前記媒体を搬送し当該突き当て部材への突き当て後に当該媒体に撓みを生じさせる媒体送り部材と、
前記突き当て部材が前記媒体の進行方向に沿って揺動し得るように当該突き当て部材を支持する支持部材と、
前記突き当て部材が揺動せずに所定位置に固定されるように前記支持部材の揺動動作を規制する動作規制手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−57151(P2009−57151A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225647(P2007−225647)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】