説明

媒体移送用の装置

【課題】媒体の移送を可能にするように構成されているが、同時に、より経済的であり、より実用的であり、より良好な性能をもたらす装置を提供する。
【解決手段】媒体の移送のための装置が、マガジン2と媒体の移送のための少なくとも1つの移送部材3とを備え、移送部材3が、媒体の移送のためのダクトであって、一端に針31を備えるダクト45と、隔壁32と、針31の操作ユニット33とを備えるとともに、さらに固定手段61、65を備え、固定手段61、65が、マガジン2の相補的固定手段15と協働して針31を待機位置に固定するように構成されている。固定手段61、62、65は、操作ユニット33に属しており、ダクト45における針31とは反対側の端部が空洞20から出現する位置とは異なるマガジン2の位置において、相補的固定手段15と協働する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体などの媒体の容器への移送または容器からの移送に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、培養タンクにおける微生物学的な検証の実行、細胞の計数、化学的分析などのために、試料を分析のために採取できることが、特に薬学およびバイオテクノロジの分野において、きわめて重要である。
【0003】
そのような採取は、採取される試料および試料の採取対象である媒体の汚染の恐れを可能な限り少なくしつつ、実行されなければならない。
【0004】
媒体を容器へと移送し、あるいは容器から移送するための装置であって、実質的に円柱形のマガジンと、媒体を移送するためのいくつかの移送部材とを備え、各々の移送部材がマガジンの空洞に配置され、各々の空洞が、容器の壁と協働するように構成されたマガジンの同じ面に現れている装置が、特に欧州特許第0858589号からすでに知られている。
【0005】
各々の移送部材が、一端に針を備える移送ダクトと、容器に密着するように構成された部位を有し、この部位が針の先端によって穿刺されるように構成されている隔壁と、針駆動装置とを備える。針駆動装置が、上記針を、空洞の内部に位置して隔壁によって容器の内部から絶縁されている待機位置から、隔壁の穿刺されるように構成された部位によって先端を空洞から突き出させる作動位置まで、移行させるように構成されている。
【0006】
各々の移送部材の移送ダクトを、針とは反対側の端部において、移送部材を通過した後の容器からの試料を集める採取バッグへと接続することができる。
【0007】
さらに、ダクトは、隔壁が意図せずに(例えば、作業者による誤った操作によって)針によって穿刺されてしまう危険を防止するために、移送部材を待機位置に固定された状態に保つために、マガジン本体の窓に収容される湾曲部を有する。
【0008】
この移送部材の固定を解除するために、作業者は、この部材のダクトを回転させて、ダクトの湾曲部を窓から解放し、この部位をマガジンの本体に形成された溝の軸に沿って位置させる。ダクトが、駆動ユニットを容器に向かって押すことによって、マガジンの本体に形成された溝の軸に沿ってスライドし、針を待機位置から作動位置へと移行させて、容器への流体の移送または容器からの流体の移送を可能にするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0858589号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、媒体の移送を可能にするように構成されているが、同時に、より経済的であり、より実用的であり、より良好な性能をもたらす装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、媒体を容器へと移送し、あるいは容器から移送するための装置であって、マガジンと、上記マガジンに形成された空洞に収容され、上記媒体を移送する少なくとも1つの移送部材とを備え、上記移送部材が、一端に針を備える上記媒体を移送するための移送ダクトと、容器に密着するように構成された部位を有し、この部位が上記針の先端によって穿刺されるように構成されている隔壁と、上記針を駆動するためのユニットとを備え、上記駆動ユニットが、上記針を、先端を上記空洞の内部に位置させる待機位置から、先端を隔壁の穿刺されるように構成された上記部位を貫いて上記空洞から突き出させる作動位置へと移行させるように構成されており、さらに上記移送部材が、上記マガジンの相補的固定手段と協働して上記針を待機位置に固定するように構成された固定手段を備え、上記固定手段は、上記駆動ユニットに属しており、上記ダクトにおける針とは反対側の端部が空洞から出現する位置とは異なるマガジンの位置において、上記相補的固定手段と協働することを特徴とする装置を提供する。
【0012】
本発明による装置においては、固定の機能が、もはやダクトの一部分によってもたらされるのではなく、従来技術の装置において固定の機能をもたらすために必要であったダクトの湾曲部をなくすことができるように、駆動ユニット上に存在する専用の固定手段によってもたらされる。
【0013】
専用の固定手段が、移送ダクトの空洞からの出現の位置(針の反対側)から離れて位置する場所において、相補的固定手段と協働するという事実が、従来技術の装置の移送ダクトよりも単純な形態(例えば、実質的に直線状の形態)の移送ダクトを設けることを可能にする。
【0014】
したがって、隔壁および駆動ユニットを、移送ダクトの形態が単純であるおかげで、例えばダクトの周囲への重ね成型によって製造することができ、本発明による装置の製造を、はるかに容易かつより低コストにすることができる。
【0015】
隔壁を重ね成型によって製造することで、隔壁が、封止または摩耗(例えば、移送部材の繰り返しの殺菌作業によって生じる)に関して、より耐久性に富むようになる。
【0016】
また、より単純な形態のダクトを製造できることで、特に針を構成する材料(例えば、ポリマー材料)について、材料の選択により大きな可能性が残される。
【0017】
製造および使用の両者に関して、単純さおよび便利さの理由で好ましい特徴によれば、上記固定手段および上記相補的固定手段が、上記針を作動位置にも固定するように構成される。
【0018】
これにより、隔壁が針に対して作用させる圧縮力に起因して針が不意に待機位置へと戻ってしまう恐れを回避することで、使用の安全性を向上させることができる。
【0019】
さらに、これは、針を作動位置に固定しなければならないことを承知している作業者にとって、隔壁の確実な穿刺を保証する方法である。なぜならば、操作ユニットを上記固定位置に達するまで押すように促されるからである。
【0020】
他の好ましい特徴によれば、上記固定手段および上記相補的固定手段が、係止によって固定を果たすように構成される。
【0021】
移送部材を(回転によってではなく)係止によってマガジンへと固定することで、従来技術のマガジンと同じ直径のマガジンにおいて、かなりの空間を、より多くの移送部材を配置するために解放することができる(したがって、容器からの採取点の数が増える)。
【0022】
さらに別の好ましい特徴によれば:
・上記駆動ユニットの上記固定手段が、上記マガジンの上記相補的固定手段に対して半径方向に可動であり、
・上記駆動ユニットが、上記針へと固定された本体、駆動キー、および上記本体を上記キーへと接続する可撓アームを備え、さらに/あるいは
・上記キーおよび上記アームが、上記固定手段に属している。
【0023】
さらに別の好ましい特徴によれば、上記キーが、上記ダクトに対して半径方向にずらされている。
【0024】
駆動キーが、ダクトに対して半径方向にずらされて存在することで、作動位置までの針の動きを妨げることなく、より大きな寸法のキーを製造することができ、針を駆動して針によって隔壁を貫くことがより容易になる。
【0025】
さらに詳しくは、隔壁を貫くためには、多くの場合に強く押すこと(5から6キロの範囲におよぶ)が必要であり、大きな寸法のキーが存在することは、ユーザにとって、隔壁を貫いて針を作動位置へと至らせるために、快適な操作を提供する。
【0026】
さらに別の好ましい特徴によれば:
・上記マガジンが、本体およびリブを備え、上記リブが、上記相補的固定手段に属しており、上記本体から側方に突き出しており、上記待機位置において、上記キーの一部位が、上記リブの縁に面して位置し、
・上記作動位置において、上記キーの上記部位が、上記リブのもう1つの縁に面して位置し、
・上記ダクトのうちの上記空洞に位置する部位が、実質的に直線状であり、
・上記隔壁が、穿刺されるように構成された上記部位に加えて、上記針を少なくとも部分的に囲むスリーブを備え、このスリーブが、上記針が待機位置から作動位置へと移行する際にベローズ状に変形するように構成された部位を有し、
・上記移送部材が、上記針、上記隔壁、および上記駆動ユニットを成型することによって得られており、さらに/あるいは
・上記移送部材のダクトが、上記針とは反対側の端部において、順々に配置された一連のバッグへと接続されるように構成され、これらのバッグのリザーバが互いに連絡しており、上記ダクトを通って上記媒体が移送されるときに順々に満たされるように構成されている。
【0027】
本発明の特徴および利点が、添付の図面を参照しつつ好ましい例(これに限られるわけではない)として提示される以下の説明から、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】容器の壁へと固定された本発明による装置の斜視図であり、この装置の移送部材のうちの1つが、液体の移送を可能にするための作動位置に示されている一方で、残りの移送部材は、待機位置に示されている。
【図2】図1と同様の図であるが、別の角度からであり、装置の内部を示すために切断されて示されている。
【図3】装置を単独で示している斜視図である。
【図4】移送部材のうちの1つだけが待機位置に配置されて示されている装置の斜視図である。
【図5】移送部材のうちの1つだけが待機位置に配置されて示されている装置の対称の中央面において得た立面断面図である。
【図6】図4と同様の図であり、移送部材が作動位置に示されている。
【図7】図5と同様の図であり、移送部材が作動位置に示されている。
【図8】移送部材を単独で、待機位置にあるときにとる形態にて示している斜視図である。
【図9】作動位置にあるときにとる形態にて移送部材を示している立面図である。
【図10】一連の採取バッグへと接続された移送部材を示している斜視図である。
【図11】図10と同様の図であるが、別の形態を有するバッグについての図である。
【図12】図11のXIIによって特定される細部の拡大図であり、切断されて示されている。
【図13】図11と同様の図であるが、バッグを互いに分離するために用意された圧縮ペンチがさらに示されている。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1から図7に示した移送装置1は、マガジン2および5つの移送部材3を備える。
【0030】
図1に示されているように、マガジン2および5つの移送部材3によって形成されたアセンブリが、移送部材3の端部を容器の内部へと進入させることができるように5つの開口7が形成されている容器8の壁6に固定されたカップリング4へと接続される。
【0031】
カップリング4へのねじ込みのための締め付けハンドル5によって、装置をカップリングに対して押し付けて、容器への密な接続を形成することができる。
【0032】
移送装置のマガジン2は、円筒形の全体的形態であり、本体14および5つのセグメントから形成されたリブ15を有する。
【0033】
本体14は、2つの主面16および17、ならびにこれらの主面を一体に接続する側面18を有する。筒状の中央空洞19および中央空洞19を囲んでいる5つの空洞20が、本体に形成されている。
【0034】
空洞20のそれぞれに、移送部材3が収容され、これらの空洞が、面16および17ならびに面18に現れており、移送部材を収容してスライドさせるように構成された摺動路を形成している。
【0035】
各々の空洞20の端部において、本体14に環状溝21が形成されている。
【0036】
中央空洞19も、面16および17に現れており、ハンドル5の軸を通すことができる3つの筒状部22、23、24を有する。ハンドル5の端部は、カップリング4へのねじ込みのためのねじ山を有する。
【0037】
マガジンのリブ15は、各々の空洞20において中断されており、したがって、面17の近傍に位置して1つの空洞20の縁から隣の空洞まで延びている5つのセグメントを有する。
【0038】
次に、移動ユニット3を、図1から図9を参照して説明する。
【0039】
各々の移送ユニット3が、チューブ30、針31、隔壁32、針31を駆動するための駆動ユニット33、およびワッシャ34を備える。
【0040】
針31は、中央部35を有し、中央部35の両側のそれぞれに、針の内部のチャネル38を画定する端部36および端部37を有する。
【0041】
部位36は、チューブ30内に係合し、この部位をチューブ30へと保持するための一式の歯39を備える。この部位36は、開口40によってチューブ30へと現れている。
【0042】
部位37は、隔壁32内に係合し、この部位を隔壁32へと保持するための一式の歯41を備える。
【0043】
この部位37は、針の移動時に隔壁を貫くように設けられた先端42と、チャネル38へのアクセスをもたらす横穴43とを有する。
【0044】
チューブ30が、開口40によってチャネル38に連絡するチャネル29を画定し、針31およびチューブ30が協働して、液体を容器から例えば一連のバッグへと移して、バッグを満たすためのダクト45を形成している。このダクト45は、空洞20内に収容される部位の全長にわたって実質的に直線的である。
【0045】
チューブ30は、面16の反対側の面17において空洞20から現れ、採取バッグへとつながる筒状部にて延び続けている。
【0046】
隔壁32は、シリコーンからなり、円板50の形態の中実部、第1の筒状部51、第2の筒状部52、および円錐台部分53を備える。
【0047】
円錐台部分53が、筒状部51および52の間に位置する一方で、筒状部51が、円板50と円錐台部分53との間に位置している。
【0048】
部位51および52の内径が等しい一方で、部位51の外径は、部位52の外径よりも大きく、したがってこの部位の厚さは、部位52の厚さよりも大きい。
【0049】
筒状部51は、円板50に中心を合わせつつ、円板50につながっている。
【0050】
このようにして、部位51から53が、部位52の縁を針の中央部35の縁に当接させた状態でこの針の部位37を収容するスリーブを形成している。
【0051】
円板状の部位50は、隔壁のうちで対応する開口7(図1)において容器の壁6へと押し付けられる部位であり、ハンドル5がカップリング4へとねじ込まれたときに、この部位50が針31によって貫かれるまで、この開口の密な閉塞を提供する。
【0052】
ワッシャ34が、筒状部51を囲んでおり、移送部材がマガジンの空洞20に配置されたとき、互いに当接するワッシャ34および円板50に一致する環状溝21に収容される。
【0053】
ワッシャは、マガジンの容器への密な接続を保証するため、円板50を容器8の壁6に対して一様に圧縮するために、丈夫かつ剛な材料からなっている。
【0054】
駆動ユニット33は、筒状の本体60、可撓アーム61、および駆動キー62を備える。
【0055】
本体60が、可撓アーム61を介してキー62へと接続されている。
【0056】
本体60は、隔壁の部位52(したがって、針の部位37)を部分的に囲み、中央の筒状部35を完全に囲み、さらに部位38を部分的に囲んでいる。
【0057】
さらに、この駆動ユニット33は、作業者がこのユニットを操作するときの充分な機械的強度を保証するために、キー62とアーム61との間の補強リブ63、ならびにアーム61と本体60との間の補強リブ64を有する(図6)。
【0058】
駆動ユニット33、隔壁32、およびダクト45は、これらの部材をお互いへと成型することによって製造される。
【0059】
アーム61およびキー62は、リブ15の該当の部位と協働するように構成された固定手段を形成する。この協働は、マガジン2において、針31の反対側のダクト45が空洞20から出現する位置(マガジンの面17に位置する)とは異なる位置で行われる。
【0060】
移送部材3のマガジン2への組み付けは、この部材を空洞20に、空洞の開口(面16に位置している)が存在している側から挿入し、次いでこの部材を、面16から面17へと向かう方向にスライドさせることによって実行される。
【0061】
したがって、キー62の部位65が、リブ15の縁26に当接するに至り、アーム61の弾性変形によってキー62を半径方向に変位させ、したがって、このキーの部位65が、縁26から離れるように動いてこのリブを乗り越え、アーム61の弾性的な復帰によって、このリブの縁26とは反対側の縁25と同じ側に達し、縁25に面する。
【0062】
このようにして、この図4および図5に示した待機位置において、移送部材3は、マガジンの係止によって空洞20内に固定され、ワッシャ34が環状溝21に係合し、円板の部位50のみが、マガジン2の面16から突き出している。針31は、針の部位37を隔壁の筒状部51、52、および53によって画定されるスリーブの内部に完全に位置させた状態で、空洞20に完全に収容されている。
【0063】
ひとたび移送部材がこのように組み付けられると、駆動ユニットによって、この部材の針31を待機位置から作動位置へと移行させ、液体の移送を可能にすることができる。これが、図6および図7に示されている。
【0064】
この移送部材3の作動位置において、針の先端42および部位37の開口43の一部分が、円板50から突き出し、開口43のうちのこの円板から突き出した部分が、容器の内部と連絡する。
【0065】
この位置において、隔壁32の筒状部52のうちのユニット33の筒状の本体60によって覆われていない部分が、本体60と筒状部51との間でベローズ状に折り曲げられる。
【0066】
この位置において、針を作動位置に係止することによって固定しておくよう、キー62の部位65が、再びリブ15の縁26に面して位置し、リブ15の縁26に当接し、変形した隔壁32によってこのリブへと押し付けられる。
【0067】
待機位置から作動位置への移行のために、作業者は、可撓アーム61を変形させるためにキー62の面66を押すことによってキー62を持ち上げ、このキーの部位65を、マガジンのリブ15の該当するセグメントの縁25から半径方向に引き離す。さらに作業者は、この面66を容器8に向かって押して、駆動ユニット33を針31と一緒に移動させる。針31の移動時に、この針の先端42が、その中心において隔壁のシリコーン円板50を押し、円板50を貫く。
【0068】
作業者は、この動きを針が作動位置に達するまで続け、その後にキーを放すと、このキーの部位65が、アーム6の弾性的な復帰によって、リブ15の縁26に面する位置に至る。
【0069】
キー66が、アーム61のおかげで針31に対して半径方向にずらされていることで、キーに、キーを良好な条件で操作できるようにする寸法を持たせることができる(特に、このキーの大きな接触面66のおかげで、過剰な労苦を加える必要なく隔壁を貫くために)。
【0070】
このようにして針が作動位置におかれたとき、チューブ30の針31とは反対側の端部に接続された1つ以上のバッグへと達するように、容器から液体を通過させることができる。
【0071】
反対に、それらのバッグを容器から再び絶縁するために、針を作動位置から待機位置へと戻すことも可能であり、ここではシリコーンである円板50の材料が、すでに貫かれているにもかかわらず、針の引き戻し後に再び密に閉じることができるための充分な弾性を有する。
【0072】
したがって、針31およびチューブ30が、再び容器の内部から絶縁され、この容器に収容された液体が針を介して流れることを防止し、移送部材3が待機位置へと戻されない場合、移送部材3を介して容器へと戻りかねない細菌による汚染の恐れを回避する。
【0073】
次に、液体を採取するために移送部材3へと接続されるバッグの構成について、図10を参照して説明する。
【0074】
この構成70は、直列に配置された複数のバッグ71を有する。各々のバッグが、リザーバ73を画定する溶接ビード72によって互いに封止された2枚の熱可塑性シートから形成されている。バッグは、分離可能な境界76および77によって互いに接続されている。各々のバッグは、該当のリザーバ73の充てんを可能にするために設けられた端部ピース74(ここでは、チューブの一部分である)と、バッグからバッグへの液体の移行を可能にするために隣に続くバッグの端部ピース74へと接続される端部ピース75(やはり、チューブの一部分であり、図示の例では、端部ピース74と一緒に1つのピースから形成されている)とを有する。一連のバッグ70の最初のバッグの端部ピース74が、移送部材3のチューブ30へと接続される一方で、最後のバッグの端部ピース75には、栓83が係合している。
【0075】
移送部材3も、バッグ(図示せず)に梱包され、非使用時の汚染の恐れを回避するためにバッグの中に置かれ、マガジン2の空洞20への設置の直前に、このバッグから取り出される。
【0076】
さらに、各々のバッグは、端部ピース74および75の位置とは反対側の端部に、リザーバ73の排水のための端部ピース78を有する。端部ピース78の一端が、リザーバ73へとつながり、端部ピース78の他端が、閉じられているが、溶接はされていない2枚の熱可塑性シートの間に位置する空間79へとつながっている。
【0077】
さらに、バッグの端部ピース74および75に隣接する縁において、これらのバッグに、押し出しによる異形部材80が取り付けられており、部材80が、これらのバッグを水平に保持するために、溝部材81に受け入れられるように構成されている。これらの溝部材81は、受け具82に収容されるエルボ部分を端部に有する。
【0078】
移送部材3が作動位置に係合したとき、容器からの液体は、針31およびチューブ30を通過し、最初のバッグの端部ピース74によってこのバッグのリザーバ73へと進入する。このリザーバ73が満たされ、ひとたびこのリザーバが一杯になると、液体は、先行のバッグの端部ピース75を介して流れることによって、第2のリザーバを通って流れ続け、以下同様にして、最後のバッグ71に達する。
【0079】
作業者は、液体が一連のバッグの最後のバッグ71のリザーバ73を占めたこと、すなわち、先行のすべてのバッグがすでに液体で一杯であり、空気を含んでいないことを示しているのを観察するとすぐに、(移送部材を作動位置から待機位置へと動かすことによって)液体の流れを止める。
【0080】
液体の流れは、破裂の危険を回避するために、最後のバッグが完全に満たされる前に止められ、この最後のバッグは、先行のバッグの充てんの表示として使用される。
【0081】
次いで、端部ピース74および75を加熱によって閉塞させるように構成された工具(図示せず)を使用することによって、バッグを1つずつ取り出すことが可能である。
【0082】
次いで、各々のバッグの中身を、空間79および採取用の端部ピース78へのアクセスを可能にするために2枚の熱可塑性シートをお互いから引き離し、この端部ピースへとシリンジなどの採取装置を接続することによって、取り出すことが可能である。
【0083】
バッグの別の構成が、図11から図13に示されている。
【0084】
一般的に言うと、類似する構成要素については、同じ参照番号が100だけ増やして使用されている。
【0085】
これらの図に示されている構成170は、順次に満たされるように順々に配置された複数のバッグ171によって形成されている。
【0086】
各々のバッグ171に、穿刺可能な弁185が設けられている。
【0087】
この弁が、第1の本体186と、第2の本体187と、ひとたびバッグが満たされたとき液体の取り出しを可能にするためのシリコーンからなる穿刺可能な隔壁188とを有する。
【0088】
隔壁188は、本体186および187の間で圧縮されており、本体186および隔壁188のバッグの外側を向いた面が、剥離可能な保護フィルム189によって覆われている。金属チューブ190が、端部ピース174および175からなる各々のペア(図示の例では、1つのピースとして形成されている)ならびにチューブ30へと接続された端部ピース174を、部分的に囲んでいる。
【0089】
さらに、識別用のバーコード191が、各々のバッグに存在している。
【0090】
バッグは、端部ピース174および175を圧縮することによって、バッグを密封しつつ互いに分離させるために、チューブ190を潰すことによってバッグを分断するために用意された図13に示されている圧縮ペンチ95を使用して、互いに分離される。
【0091】
バッグは、図10に示した実施形態のように、すべてが同じ容量のリザーバを有しても、あるいは図11から図13に示した実施形態のように、各々のバッグの溶接ビードの形態に応じて、バッグ毎に異なる容量のリザーバを有してもよい。
【0092】
変更例としては、駆動ユニットの固定手段が、待機位置への係止のみをもたらすように構成され、および/またはそれらの固定手段が、係止手段ではなくて、他の任意の種類の固定手段である。
【0093】
他の変更例においては、移送される媒体が、液体ではなく、例えば分析のために採取される気体であり、あるいは他の任意の種類の流体媒体である。
【0094】
さらに、本発明による装置が、必ずしも容器からバッグへの媒体の移送だけでなく、例えば媒体であらかじめ満たされたバッグから容器への媒体の移送も実行可能にすることに、留意されたい。
【0095】
本発明による装置はまた、バッグまたはパイプなどといった可撓な壁を有する容器など、タンク以外の任意の形式の容器へと媒体を移送し、あるいはそのような容器から媒体を移送するように意図されており、マガジンと協働するように構成されたコネクタが、それらの容器に取り付けられる。
【0096】
本発明は、上述および図示した実施形態に限られず、それらのあらゆる変化形を包含する。
【符号の説明】
【0097】
2 マガジン
3 移送部材
8 容器
14 マガジンの本体
15 リブ
20 空洞
25、26 リブの縁
31 針
32 隔壁
33 駆動ユニット
42 針の部位の先端
45 ダクト
50 隔壁の円板
51 隔壁の第1の筒状部
52 隔壁の第2の筒状部
53 隔壁の円錐台部分
60 駆動ユニットの本体
61 駆動ユニットの可撓アーム
62 駆動ユニットの駆動キー
65 キーの部位
70、170 バッグの一構成
71、171 バッグ
73、173 リザーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を容器(8)へと移送し、あるいは容器(8)から移送するための装置であって、マガジン(2)と、前記マガジン(2)に形成された空洞(20)に収容され、前記媒体を移送する少なくとも1つの移送部材(3)とを備え、前記移送部材(3)が、一端に針(31)を備える前記媒体を移送するための移送ダクト(45)と、容器(8)に密着するように構成された部位(50)を有し、前記部位(50)が前記針(31)の先端(42)によって穿刺されるように構成されている隔壁(32)と、前記針(31)を駆動するユニット(33)とを備え、前記ユニット(33)が、前記針(31)を、先端(42)を前記空洞(20)内に位置させる待機位置から、先端(42)を隔壁(32)の穿刺されるように構成された前記部位(50)を貫いて前記空洞(20)から突き出させる作動位置へと移行させるように構成されており、さらに前記移送部材(3)が、前記マガジン(2)の相補的固定手段(15)と協働して前記針(31)を待機位置に固定するように構成された固定手段(61、62、65)を備え、前記固定手段(61、62、65)は、前記駆動ユニット(33)に属しており、前記ダクト(45)における針(31)とは反対側の端部が空洞(20)から出現する位置とは異なるマガジン(2)の位置において、前記相補的固定手段(15)と協働することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記固定手段(61、62、65)および前記相補的固定手段(15)が、前記針(31)を作動位置にも固定するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固定手段(61、62、65)および前記相補的固定手段(15)が、係止によって固定を果たすように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記駆動ユニット(33)の前記固定手段(61、62、65)が、前記マガジン(2)の前記相補的固定手段(15)に対して半径方向に可動であることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記駆動ユニット(33)が、前記針(31)へと固定された本体(60)と、駆動キー(62、65)と、前記本体(60)を前記キー(62、65)へと接続する可撓アーム(61)とを備えることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記キー(62、65)および前記アーム(61)が、前記固定手段(61、62、65)に属していることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記キー(62、65)が、前記ダクト(45)に対して半径方向にずらされていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記マガジン(2)が、本体(14)およびリブ(15)を備え、前記リブ(15)が、前記相補的固定手段に属しており、前記本体(14)から側方に突き出しており、前記待機位置において、前記キー(62)の一部位(65)が、前記リブ(15)の縁(25)に面して位置することを特徴とする、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記作動位置において、前記キー(62)の前記部位(65)が、前記リブ(15)のもう1つの縁(26)に面して位置することを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ダクト(45)のうちの前記空洞(20)に位置する部位が、実質的に直線状であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記隔壁(32)が、穿刺されるように構成された前記部位(50)に加えて、前記針(31)を少なくとも部分的に囲むスリーブ(51、52、53)を備え、前記スリーブ(51、52、53)が、前記針(31)が待機位置から作動位置へと移行する際にベローズ状に変形するように構成された部位(52)を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記移送部材(3)が、前記針(31)、前記隔壁(32)、および前記駆動ユニット(33)を成型することによって得られていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記移送部材(3)のダクト(45)が、前記針(31)とは反対側の端部において、バッグ(71;171)を順々に配置してなる連なり(70;170)へと接続されるように構成され、前記バッグ(71;171)のリザーバ(73;173)が互いに連絡しており、前記ダクト(45)を通って前記媒体が移送されるときに順々に満たされるように構成されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−145397(P2010−145397A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−282419(P2009−282419)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】