説明

子宮電気刺激システム及び方法

本発明のいくつかの実施形態は、陣痛及び分娩後の子宮収縮不全を治療するためのシステム及び方法を提供する。このシステムは、制御モジュールと、該制御モジュールにより制御されて約5.0ヘルツ以上の周波数の刺激電流を生成する電流源とを有する。このシステムは、患者において緊張性子宮収縮を生成するために、患者に刺激電流を与える一以上の刺激電極をさらに有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年4月7日に出願された米国仮出願番号第61/167,465号及び2009年10月12日に出願された米国仮出願番号第61/250,802号の優先権を主張し、当該仮出願の内容は全てここに引用することにより組み込まれているものとする。
【0002】
本発明は、子宮電気刺激システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現代の産科における母体罹病率及び死亡率の大きな原因とされる分娩後出血は、出産の最大18パーセントの割合で発生する(非特許文献1,2)。米国では管理が適切であった場合でも経膣分娩の約3〜4パーセントにおいて重度の分娩後出血が発生し(非特許文献3)、結果として不顕性心筋虚血症、希釈性凝固障害及び死亡に至る可能性がある(非特許文献4)。急激で制御不能な分娩後出血による大量の失血が原因で突然死をもたらす場合もあるが、死亡の原因の多くは継続的な低レベルの出血に対する非効果的な処置にある(非特許文献5)。発展途上国や米国の田舎において、分娩後出血はより深刻な問題である。例えばジンバブエでは母体死亡の25パーセントが出血による。世界中で年間約125,000人の女性が分娩後出血が原因で死亡している(非特許文献6)。
【0004】
分娩後出血の90パーセント以上のケースは子宮弛緩症が原因で起こる。子宮弛緩症では分娩後の子宮筋の緊張が失われ、その結果子宮筋は緊張性収縮せず分娩後出血を止めることができなくなる。これは、一部の患者において、子宮筋細胞が分娩後の緊張性収縮のためのペースメーカとして適切に機能しないことと関連し(非特許文献7)、また出産プロセス又は薬の投与によって生じる閾値又は静止電位の変化と関連する(非特許文献8)。
【0005】
通常、子宮筋が収縮することにより血管が圧迫されて分娩後の血流が減少する。これにより凝固が増大して出血が止まる。しかしながら、子宮筋の収縮不全の場合は深刻な分娩後出血が生じる可能性がある。子宮筋が正常に緊張しない原因には、子宮の過度の膨満、多胎妊娠、羊水過多、胎児性巨大児、遅延分娩、分娩の陣痛促進剤の増加、大多産(出産回数が5回以上)、墜落分娩(3時間以内の分娩)、子癇前症の硫酸マグネシウム療法、絨毛羊膜炎、ハロゲン化麻酔薬及び子宮筋腫を含む多くの要因が関係する可能性がある(非特許文献9)。
【0006】
子宮弛緩症及び/又は子宮破裂における失血防止のための現在の治療は、例えば手術、たいてい最小限の効果しかないハンドマッサージ、並びにオキシトシン、プロスタグランジン及び麦角アルカロイドなどの薬物を用いる基本的な手順を含む。オキシトシン及びその他の薬物による治療は世界共通の応用であるものの十分な統制がされていないので母体に危険な副作用をもたらす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「The Prevention and Management of Postpartum Haemorrhage」, Report of Technical Working Group, Geneva 3-6 July 1989。Geneva: World Health Organization, 1990。
【非特許文献2】「Prophylactic use of oxytocin in the third stage of labour」, Elbourne DR, Prendiville WJ, Carroli G, Wood J, McDonald S, Cochrane Database Syst Rev, 2001;(4):CD001808。
【非特許文献3】「Postpartum haemorrhage in nulliparous women: incidence and risk factors in low and high risk women. A Dutch population-based cohort study on standard (>=500mL) and severe (>=1000mL) postpartum haemorrhage」, Bais JM, Eskes M, Pel M, Bonsel GJ, Bleker OP, Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 2004; 115:166-72。
【非特許文献4】「Severe postpartum hemorrhage: descriptive study at the Robert-Debre Hospital maternity ward(フランス語)」, Reyal F, Deffarges J, Luton D, Blot P, Oury JF, Sibony O, J Gynecol Obstet Biol Reprod (Paris) 2002;31:358-64。
【非特許文献5】「Management of postpartum hemorrhage」, Norris TC, Am Fam Physician, 1997, Feb 1;55(2):635-40。
【非特許文献6】「A community-based investigation of maternal mortality from obstetric haemorrhage in rural Zimbabwe」, Fawcus, S, Mbizvo, M, Lindmark, G, Nystrom, L, Maternal Mortality Study Group, Trop Doct. 1997 Jul;27(3):159-63。
【非特許文献7】「Mechanisms of drugs that affect uterine motility」, Sultatos LG, J Nurse Midwifery, 1997 Jul-Aug; 42(4):367-70。
【非特許文献8】「Postpartum Uterine Atony after Intravenous Dantrolene」, Alexander E, Weingarten, MD, Jeffrey I, Korsh, MD, George G, Neuman, MD, Steven B. Stern, MD, Anesth Analg 1987;66:269-270。
【非特許文献9】「Essentials of Obstetrics and Gynecology」, Hacker, Neville, J. G. Moore, Joseph Gambone, 4th ed. Vol. 1, Philadelphia: Elsevier Inc., 2004, 151。
【非特許文献10】「Toward the optimal waveform for electrical stimulation of human muscle」, Bennie SD, Petrofsky JS, Nisperos J, Tsurudome M, Laymon M, Eur J Appl Physiol. 2002 Nov;88(1-2):13-9, Epub 2002 Sep 10。
【非特許文献11】「Physical Medicine and Rehabilitation: Principles and Practice」, DeLisa, Joel A.; Gans, Bruce M.; Walsh, Nicolas E.; Bockenek, William L.; Frontera, Walter R.; Gerber, Lynn H.; Geiringer, Steve R.; Pease, William S.; Robinson, Lawrence R.; Smith, Jay; Stitik, Todd P.; Zafonte, Ross D, 4th edition, 2004, Lippimcptt Williams & Wilkins (LWW): Chapter 66。
【非特許文献12】「Monophasic but not biphasic pulses induce brain tissue damage during monopolar high-frequency deep brain stimulation」, Piallat B, Chabardes S, Devergnas A, Torres N, Allain M, Barrat E, Benabid AL, Neurosurgery, 2009 Jan;64(1):156-62; discussion 162-3。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のいくつかの実施形態は、陣痛及び分娩後の子宮収縮不全を治療するための方法を提供する。この方法は、約5.0Hz以上の周波数の電気刺激電流信号を生成し、この電気刺激電流信号を子宮頸部、膣又は子宮に与えて子宮の緊張性収縮を生成することを含んでもよい。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態は、陣痛及び分娩後の子宮収縮不全を治療するためのシステムを提供する。このシステムは、あらかじめプログラムされた刺激タスク及び/又はユーザ定義の刺激タスクを実行する制御モジュールと、該制御モジュールにより制御されて約5.0Hzよりも高い周波数の刺激電流を生成する電流源と、を含んでもよい。また、このシステムは、患者において緊張性子宮収縮を生成するために患者の子宮、子宮頸部、膣壁又は腹壁に連結されて患者に刺激電流を提供する一以上の刺激電極をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】異なる種類の観測可能な子宮収縮運動を示す図である。
【図2】異なる活動電位周波数における収縮する子宮筋の測定出力を示すグラフである。
【図3】異なる周波数で刺激電流を与えた際に収縮する子宮筋によってもたらされる力の時間変化を示すグラフである。
【図4】子宮組織を刺激するとともに得られた収縮活動を測定するための体外配置を示す概略図である。
【図5】与えられた刺激電流の周波数を変化させたときのラットの子宮組織の収縮記録を示すグラフである。
【図6】与えられた刺激電流の周波数を変化させたときのヒトの子宮組織の収縮記録を示すグラフである。
【図7】与えられた刺激電流の連続期間を変化させたときのヒトの子宮組織の収縮記録を示すグラフである。
【図8】与えられた刺激電流の連続期間を変化させたときの、制御トレース及び試験トレースを含むヒトの子宮組織の収縮記録を示すグラフである。
【図9】本発明の一実施形態に係る、与えられた刺激電流の連続期間を従来のパラメータの範囲外で変化させたときのヒトの子宮組織の収縮記録を示すグラフである。
【図10】本発明の一実施形態に係るシステムの概略図である。
【図11】子宮の前面断面図である。
【図12】図12Aは分娩後に正常に収縮する子宮の側面断面図である。図12Bは子宮弛緩症が原因で分娩後に収縮していない破裂した子宮の側面断面図である。図12Cは図10のシステムを用いて刺激された破裂した子宮の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例について詳しく説明するが、本発明は、以下の記載又は図面の記載の構成要素の具体的な構成及び配置に限定されない。本発明は他の実施形態とすることも可能であり、様々な様式で実行及び実施可能である。また、本明細書に用いられる表現及び専門用語は説明を目的としており限定を意図するものではない。本明細書で用いられる「含む」、「備える」又は「有する」及びこれらのバリエーションはそれ以下に記載された構成要素及びそれらに同等なもの並びに追加の構成要素を包括することを意味する。特に特定又は限定しない限り、「搭載された」、「接続された」、「支持された」、「連結された」との表現及びそれらのバリエーションは、広義で用いられるとともに直接的及び間接的な搭載、接続、支持及び連結を含む表現である。さらに、「接続された」及び「連結された」との表現は物理的又は機械的な接続又は連結に制限されない。適切であれば、「刺激」及び「刺激された」との表現は、それぞれ電気刺激及び電気的に刺激されたことを指す。
【0012】
以下の議論は、当業者が本発明の実施形態を作成及び使用することができるように記載されている。描写された実施形態の種々の修正は当業者にとって容易に明らかとなり、また本明細書内の一般的な原理は本発明の実施形態から逸脱しない範囲で他の実施形態及び応用に適用することができる。即ち、本発明の実施形態は記載された実施形態に限定されず、本明細書に記載された原理および特徴と整合する最も広い範囲のものとなる。以下の詳細な記載は図面を参照しており、異なる図面において類似の構成要素には類似の参照符号を付している。図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、選ばれた実施形態を描写し、本発明の実施形態の範囲を限定することは意図していない。当業者であれば、本明細書に記載された例は様々な有用な代替え手段を有しかつ本発明の実施形態の範囲内に収まることを認識するであろう。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態は、子宮に電気刺激を与えることにより子宮弛緩症を治療するシステム及び方法を提供する。子宮への電気刺激は子宮筋の収縮活動をもたらして子宮出血の減少及び/又は停止を助ける。
【0014】
観測可能な子宮収縮事象には様々な種類がある。図1に示すように、いくつかの子宮収縮事象には、自発的一過性収縮(期間が短く外部刺激がなくても起こる自発的収縮)、短期間刺激性一過性収縮(期間が短く刺激が停止した時点で又はその前に終了する刺激性収縮)、長期間刺激性一過性収縮(期間が比較的長く刺激が停止した直後に終了する刺激性収縮)及び緊張性収縮(刺激が停止した後も長い間持続する刺激性収縮)が含まれる。陣痛及び分娩中、ヒトの子宮は自発的一過性収縮を示し、これに関連する0.0ヘルツ(Hz)から約3.0Hzの電気的活動電位周波数を生成する。また、それほど多くはないが、ヒトの子宮は妊娠していない女性の月経周期中にも自発的一過性収縮を示す。図2に示すように、子宮自発的一過性収縮の電気出力の大部分は1.0Hzよりも低い周波数に集中している。上記した範囲よりも高い周波数では非常に小さな電力が観測された。
【0015】
電流刺激システムは、胎児を適切に出産するには収縮が不十分な陣痛中の女性において収縮を誘発するために外部電源を使用して用いられ、自然に観測される周波数と同様の周波数で子宮組織を刺激する。例えば、米国特許第6,356,777号、その全内容は参照することにより本明細書に盛り込まれる、は、0.0Hzから約5.0Hzの電気刺激周波数を使用して一過性収縮を制御することを詳細に記載している。図3に示すように、子宮はそのような電気刺激信号に対してよく反応し、陣痛及び分娩中に自然に起こる収縮と似た刺激性一過性収縮を示す。
【0016】
図3は刺激電流が与えられたときの子宮筋活動の時間変化を示す。図3に示すように、最大約5Hzの周波数を用いた場合、子宮筋運動は電流が停止した直後に基線に戻る。場合によっては、最大の収縮活動は電流が停止するよりもかなり前に下がり始め、これは刺激性一過性収縮活動を示す。図3に示す刺激性一過性収縮活動は、刺激期間が実質的に短く(例えば約3分より短い)刺激周波数が従来の子宮刺激周波数の範囲内であるので、短期間刺激性一過性収縮と考えられる。いくつかの実施形態において、短期間刺激性一過性収縮は最小期間が約30秒で最大期間が約3分とすることができる。ここで示された範囲内の子宮筋刺激及び得られる一過性収縮活動は、子宮破裂及び分娩後出血の場合における子宮の失血を止めるのには有用ではないと考えられる。
【0017】
図4は子宮組織を刺激するとともに得られる収縮活動を測定するための体外配置10を示す。この配置は、各端で複数の刺激電極14に取り付けられ(即ち縫合により取り付けられ)かつクレブス液の液容器16中で分離された一以上の片12(即ち子宮筋組織片)を含む。電極リード線18にはクレブス液から絶縁されるようテフロン加工が施され、これにより電流の短絡が防止される。配置10は、可変なパラメータとともに電気刺激を与えるソース20をさらに含む。片の張力はトランスデューサ(例えば力計21)を用いて記録され、コンピュータはトランスデューサによって検知された力データを得て分析及び表示する。以下に、陣痛中又は分娩後の妊婦の組織を用いて、図4に示されたものと似た配置から得られた力データについて記載する。
【0018】
図5は、刺激電圧及び連続期間(train duration)を固定して刺激電流周波数を変化させたとき(1Hz、2Hz、3Hz及び5Hz)の、ラットの子宮組織の試験片12から得られた力データを示す。試験された各周波数は目に見える収縮反応を生じさせ、結果として短期間刺激性一過性収縮を引き起こした。図6は、刺激電圧及び連続期間を固定して刺激電流周波数を変化させたとき(1Hz、2Hz及び5Hz)のヒトの子宮組織の試験片12から得られた力データを示す。試験された各周波数は短期間刺激性一過性収縮を引き起こした。図7は、刺激電圧及び周波数を固定して刺激電流連続期間を変化させたとき(1秒、2秒、3秒、5秒及び10秒)の、ヒトの子宮組織の試験片12から得られた力データを示す。連続期間が1秒及び2秒のときは目立った反応は見られなかった。しかし、連続期間が3秒、5秒及び10秒のときは、短期間刺激性一過性収縮が生じた。図5〜7に示された短期間刺激性一過性収縮は、子宮機能が不十分で陣痛及び分娩が良好でない女性の陣痛の誘発又は促進には有用であるが、子宮弛緩及び分娩後出血中の失血の停止には有用ではない。
【0019】
図8は、陣痛中の収縮活動が不十分である出産予定日の患者(妊娠期間が39週目)における、ヒトの子宮筋組織の試験片及び対照片12から得られた力データを示す。約10ボルトで約2Hzのパルスの電気刺激が試験片12に与えられた。これらのパルスは5分間(期間1)、10分間(期間2)及び20分間(期間3)与えられた。図8は、対照片12における自発的一過性収縮活動(上側のトレース、外部の電気刺激は与えていない)並びに試験片12における自発的一過性収縮活動及び刺激性一過性収縮活動(下側のトレース、ソース20により外部から電気刺激を与えた)を示す。試験片12において、試験組織の直接的な電気刺激の結果として、刺激性一過性収縮活動が、期間1、期間2及び期間3で生じた。刺激性一過性収縮活動の期間は与えられた電気刺激電流の期間に正比例し、そして電気刺激電流が停止すると、試験片の力の測定値が完全に基線へと戻り組織が完全にリラックスしたことを示す。
【0020】
図8に示した刺激性一過性収縮活動は、刺激期間が約3分よりも長くかつ刺激周波数が従来の子宮刺激周波数の範囲内であることから、長期間刺激性一過性収縮であると考えられる。いくつかの実施形態において、長期間刺激性一過性収縮は、分娩後出血及び子宮弛緩における出血の減少に実質的に有効であるが、しかしながら、必要とされる電気的エネルギーの量及び子宮組織がそのようなエネルギーにさらされる時間の長さが他の実施形態において実際の値としては大きすぎる可能性がある。
【0021】
図9は、電気刺激周波数を変化させ(6Hz、10Hz及び20Hz)かつ電気刺激電流パルストレイン期間(pulse train duration)を変化させた(60秒、120秒、300秒及び1200秒)ときの、ヒトの子宮組織の2個の試験片12から得られた力データを示す。図9に示される山形は子宮筋収縮を表わす。「P」と付された山形は初期の予備収縮を示す。「S」と付された山形は自発的子宮一過性収縮を示す。長い山形の下にある実線のバーは電気刺激電流が子宮筋に与えられた期間を示す。これらの電気刺激の期間は長い山形(秒で表わす)の上側で「E」の文字の後に示される。約5.0Hz以上の周波数は、子宮の電気的活動と通常関連する周波数範囲の外であるが、筋肉反応を持続子宮収縮の形で生じさせることが可能である。これらの収縮は緊張性収縮(陣痛及び分娩中に観測されない種類又は示された周波数での子宮への電気刺激を用いて観測されない種類)であると考えることができる。図9に示すように、これらの緊張性収縮では治療の停止後(即ち与えられた電流の停止後)しばらくの間、力が持続する。いくつかの実施形態において、これらの緊張性収縮(即ち力のある及び持続する収縮)又は強直性攣縮(即ち最大又は最大付近であり力のある状態のままの緊張性収縮)が、子宮弛緩及び子宮破裂における失血の停止に非常に有用である。
【0022】
陣痛及び分娩中に観測される種類の一過性収縮を引き起こすことしかできない従来の電気刺激パラメータ(即ち0.0Hzから約5.0Hz)を用いても、緊張性収縮事象を達成することはできない。また、現在使用可能なオキシトシンを含む薬物及びシステムは、これらを用いた治療後に持続性の力のある収縮を引き起こすことはできない。いくつかの実施形態において、約5.0Hz以上の周波数を用いて達成される緊張性収縮のみが、子宮弛緩及び/又は子宮破裂を伴う女性における重度の出血において子宮を収縮させるのに有用である。これらの収縮の種類は、医師が他の方法(例えば、子宮摘出などのさらなる大切除手術を行わずに必要に応じて子宮を縫合する)を用いて患者の状態を安定させるのに十分な時間を確保できるよう出血の減少を助けることができ又は医師が自ら完全に出血を止めることを助けることができる。
【0023】
図10は、本発明の一実施形態に係るシステム22を示す。システム22は、約5.0Hzよりも大きな周波数を用いて子宮筋を刺激して緊張性収縮させることができる。システム22は、オキシトシン又は他の従来使用されている薬物とは異なり、子宮筋を刺激する際に他の臓器に影響を及ぼすことなく使用できかつ正確に調節及び制御することができる。システム22は、例えば分娩後の女性の患者に対して使用でき、医師又は医療スタッフのメンバーなどのユーザによって制御可能である。例えば、システム22は、子宮弛緩及び分娩後出血の治療を助けるために、分娩後の緊張性又は強直性収縮を誘発するのに十分な効果を有する無害の電気パルスを患者の子宮に入力することができる。いくつかの実施形態において、システム22は、制御モジュール24、電流源26、分離ユニット28、一定最大電流ユニット30、二相性変換器32、リード線のセット34及び電極のセット36を含む。
【0024】
制御モジュール24は、計算能力、ソフトウェア及びメモリを含んでもよい。制御モジュール12は、ダイヤル、スイッチ及び/又は補助入力などのインターフェース制御部33を用いて設定することができ、これにより電流源26に命令を与えて選択された周波数、大きさ、パルス幅及び連続期間を選択された期間自動的に出力するなどのプログラムされたシミュレーションタスクを実施する。制御モジュール24はユーザによって手動で動作されることもでき、ユーザは、必要に応じて自発的に(即ちリアルタイムで又はほぼリアルタイムで)所望の周波数、大きさ、パルス幅及び連続期間を有する一以上の出力シミュレーション電流を決定及び設定することができる。例えば、患者の子宮筋の緊張性又は強直性収縮を引き起こす刺激電流を生成するために制御モジュール24を自動又は手動で動作させることができ、またユーザは刺激電流パラメータ(即ち周波数、大きさ、パルス幅及び/又は連続期間)を患者の子宮の観測中にリアルタイム又はほぼリアルタイムで調整することができる。
【0025】
一実施形態において、制御モジュール24は、電流源26の複数の刺激出力を、独立的に又は様々なもしくは類似の電流周波数、大きさ、パルス幅及び連続期間と調和させて、自動又は手動で動作することができる。その結果、制御モジュール24は、子宮に直接又は子宮頸部、膣壁及びもしくは腹壁などの様々な臓器を介して別々に、同時に又は連続して刺激電流を与えることができ、あるいは子宮の様々な部分に別々に、同時に又は連続して刺激電流を与えることができる。
【0026】
一実施形態において、収縮が正常な患者から得られたデジタル保存された事前記録子宮電気的トレースを、制御モジュール24に格納し、子宮活動が異常な患者、例えば分娩後出血中に収縮活動が不十分な又は欠如している患者、に対してこれと同一の刺激電流を出力するよう電流源26に命令するための電流トレースパターンとして使用する。さらに、デジタル保存された周知の周波数、大きさ、パルス幅及び連続期間を有する人工的に生成された電流トレースは、制御モジュール24に格納され、分娩後出血中に子宮活動が異常な患者にこれと同一の刺激電流トレースパターンを出力するよう電流源26に命令するための電流トレースパターンとして使用される。
【0027】
別の実施形態において、制御モジュール24は、患者の子宮の電気収縮活動からの入力に基づいて、電流源26によって生成された電流出力を自動的に調節及び修正することができ、これはピックアップ線、信号調整器及び/又は調整後ワイヤ(図示せず)を介して制御モジュール24へと伝えられる。制御モジュール24は、電気刺激パルス幅、電流の大きさ、パルストレイン期間及び/又はパルス周波数を事前にプログラムされたアルゴリズムに基づいて変化させることにより、生成された電流を調整及び修正することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、制御モジュール24は、ユーザが読み取る又は評価することができるよう作成された刺激出力電流を表示する、ビデオディスプレイ、デジタルディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイなどのディスプレイ37を含んでもよい。制御モジュール24はワイヤを介して電流源26に連結されてもよく、直接電気的連結又は別の適切な連結であってもよい。例えば、一実施形態において、制御モジュール24はBluetooth(登録済み)などのワイヤレス接続を介して電流源26と通信する。
【0029】
電流源26は出力刺激電流を生成することができる。一実施形態において、電気刺激電流の設定は、電流源26においてユーザによってダイヤル、スイッチ又は他の設定などのインターフェース制御部35を用いて調整することができる。別の実施形態において、電気刺激設定を制御モジュール24(例えばプログラムされた設定として又は上記のようにユーザがインターフェース制御部33を用いて)を用いて制御して電流源26に出力することができる。上記したように、いくつかの実施形態において、電流源26は、複数の電気刺激電流を、子宮に直接又は子宮頸部、膣壁及びもしくは腹壁を介して子宮に間接的に、別々に、同時に又は連続して制御モジュール24から命令されたとおりに出力することができ、あるいは電流源26は、複数の電気刺激電流を子宮の様々な位置に別々に、同時に又は連続して出力することができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、電流源26が制御モジュール24から命令を受信するかつ制御モジュール24が電流源26から実際の出力電流値を受信することができるよう、電流源26と制御モジュール24の間で一定の双方向通信が可能である。
【0031】
いくつかの実施形態において、電流源26は約0.01ミリアンペアから約40.00ミリアンペア(可能電圧は約0.0001ボルトから約100ボルト)の出力電流を生成することができる。電流のパルス幅は約0.1ミリ秒から約1000ミリ秒の間で調整可能である。電流の周波数は約0.1ヘルツから約30ヘルツ又はそれ以上で調整可能である。パルストレイン期間は約1秒から約10,000秒の間で調整可能である。加えて、出力電流は正弦関数でもよく、これにより組織へのダメージが減少しかつ効果が最大となる(非特許文献10)。一実施形態において、電流源26は、約1ミリ秒から約1000ミリ秒の短い期間中に約1ジュールから約120ジュールの電気エネルギーと等価な子宮電気刺激エネルギーの最大の「衝撃(jolt)」を生成することができる。さらに、電流源26からの電気刺激電流出力は、電流源26又は制御モジュール24を用いて検知、測定又は検出することができ、また電流源26からの電気刺激電流出力は、電流値が危険な値又は所定の、プログラムされたもしくは設定された値の範囲の外であると判断された場合に、自動的に停止することができる。
【0032】
分離ユニット28は、接地ループ電流が患者に影響を与えることを防止する。一実施形態において、分離は光学的分離を用いて達成される。他の実施形態では、分離ユニット28によって、誘導又はその他の分離方法を用いることができる。
【0033】
ユーザは一定最大電流ユニット30を用いて患者の子宮が受信する最大電流量を調節することができる。一定最大電流ユニット30は、組織抵抗の違いから過度な電流変動が原因で組織が損傷することを防止する(非特許文献11)。また、一定最大電流ユニット30は、ヒトの感覚に対するヒトの閾値よりもかなり低い値(例えば約0.01ミリアンペア)及びヒトにとって不快な値(例えば約10ミリアンペア)に又はその間に設定(離散的又は連続的)することができる。一例において、一定最大刺激電流は、組織が損傷を受けずにかつ患者への不快さが最小限となるような範囲内で電流入力が最大となる値に設定することができる(例えば約4ミリアンペア)。
【0034】
二相性変換器32は、患者の組織への悪影響をより一層防止するために、電流源26によって生成された電流パルスの極性を、パルスが分離ユニット28及び一定最大電流ユニット30を介して移動した後に、交互にいれかえることができる。二相性変換器32は、時間にわたって合計された、組織の部位に与えられた合計エネルギーの正味値がゼロであることを保証することができる。これにより、患者の組織が熱せられダメージを受ける可能性を減少させることができる(非特許文献12)。
【0035】
リード線34は、二相性変換器32から電極36へ出力電流を伝える。一実施形態において、リード線34はAdvantage Medical Cables社製のものと似たものでもよい。いくつかの実施形態において、システム22は1から10本の間のリード線34を含んでもよい。例えば、異なるリード線34は、ユーザによって事前にプログラムされた又は設定(例えば患者の子宮の様々な部分を別々に、同時に及び/又は連続的に刺激するよう設定)に基づいて、子宮の異なる部分に異なった時間で緊張性収縮を引き起こす、誘発する又は増加させる異なる種類又は強度の電流を伝えることができる。
【0036】
図11は、患者の子宮38、卵巣40、卵管42、子宮体(又は子宮内腔)44、子宮頸部46、膣48、子宮の底部50(即ち上部)及び子宮の末梢部52を示す。電極36は、ユーザによって決定される患者の子宮の収縮性への効果が最大となる特定の配置および特定の位置において、子宮38に又はその付近に取り付けられてもよい。一例において、電極36は膣壁48及び/又は子宮頸部46の上に配置されてもよい。別の例では、電極36は子宮38の底部50及び末梢部52にわたる位置に配置されてもよい。また、電極36は外部に患者の腹部表面に取り付けられてもよい。
【0037】
電極36は、患者の腹部表面及び/又は子宮38に、生体適合性接着剤もしくは組織接着剤を用いて又は吸引力もしくは他の自己取付電極を用いて取り付けられてもよい。一実施形態において、電極36は標準的な塩化銀(AG2Cl)電極、EEG電極、吸引電極又はニードル電極でもよい。いくつかの実施形態において、システム22は1から10個の(即ちリード線34と同数の)電極36を含んでもよい。異なる電極36を患者の子宮38の内又は周辺の異なる位置に配置してもよく、一部の又は各電極36は、これらを介して与えられた電気刺激に基づいて緊張性及び/又は一過性の作用をもたらす。例えば、一以上の電極36は、広範囲の緊張性又は強直性収縮を誘発するために子宮38の一以上の異なる部分をカバーすることができる。さらに、いくつかの実施形態において、組織損傷の可能性の減少のために、電極36はプラチナ・イリジウム金属で構成されていてもよい(非特許文献12)。
【0038】
図12A〜12Cは患者の子宮38の三つの異なる状態を示す。図12Aは分娩後の自然な収縮を行う子宮38を示す。力のある自発的な緊張性収縮により失血が防止される。図12Bは子宮弛緩が原因で分娩後に収縮しない子宮38を示す。緊張性収縮活動の欠如により子宮から出血して患者の命を脅かす。図12Cは、弛緩及び子宮破裂を伴う子宮38が電気緊張性刺激を用いて効果的に治療された(即ち力強く収縮した)ことを示す。図12Cに示すように、子宮38に電極36が装着され(経膣的に)、これによりシステム22が、約5Hz以上の電気周波数を用いて緊張性活動のための刺激電流を出力する(即ちリード線34を介して)ことができる。人工的に刺激された緊張性収縮は、失血の減少、停止及び/又は管理を助けることができる。一実施形態において、刺激性電流を、約10秒よりも長い期間、患者へと出力することができる。いくつかの実施形態において、パルストレイン期間の長さは最大約30分であってもよい。
【0039】
さらに、システム22は、オキシトシン、プロスタグランジン、ミソプロストール、ジノプロストン(prepidil)、麦角アルカロイド、タンポナーデ、バルーンタンポナーデ、スポンジ、固定具、手による子宮マッサージ及びマニピュレーション、縫合、生体適合性接着剤、焼灼並びに/又は薬学的凝固剤を含む、しかしこれらに限定されない、分娩後出血、子宮弛緩及び出血又は凝固に関する問題のための他の装置、方法、システム及び治療と併せて使用してもよい。
【0040】
当業者に明らかなように、本発明は本明細書において特定の実施形態及び例と関連して記載されているものの、本発明は必ずしもそう限定されてなく、多数の他の実施形態、例、使用、修正及び実施形態、例及び使用からの逸脱は本明細書に添付された特許請求の範囲に含まれる。記載された特定の材料は、単に説明を目的としており本発明を限定することは意図しない。当業者であれば、本発明の可能性に影響することなく本発明の範囲から逸脱することなく同等手段又は反応物を開発することができるであろう。
【0041】
本明細書内に引用された各特許及び出版物は参照することによりその全ての開示が盛り込まれ、各特許又は出版物は個別に本明細書内に参照することにより盛り込まれている。特に記載しない限り、本明細書に用いた技術的及び化学的用語は本発明の分野における当業者による一般的な理解と同じ意味を有する。本出願において用いられた用語の多くについては以下の文献に一般的な説明がされている。Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 2001); March, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 5th ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 2001);及びSambrook and Russel, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (Cold Spring Harbor, NY 2001)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陣痛及び分娩後の子宮収縮不全を治療する方法において、
約5.0ヘルツよりも高い周波数の電気刺激電流信号を生成するステップと、そして、
子宮の緊張性収縮を生成するために、子宮頸部、膣又は子宮に前記電気刺激電流信号を与えるステップと、を含む
ことを特徴とする陣痛及び分娩後の子宮収縮不全を治療する方法。
【請求項2】
前記子宮頸部、前記膣又は前記子宮において前記電気刺激電流信号が与えられた組織の組織損傷をなくす又は減少させるために、該電気刺激電流信号が同時に正弦関数、二相性及び一定最大電流に制限されたものとなるよう、前記電気刺激電流信号を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の陣痛及び分娩後の子宮収縮不全を治療する方法。
【請求項3】
オキシトシン、プロスタグランジン、ミソプロストール、ジノプロストン、麦角アルカロイド、タンポナーデ、バルーンタンポナーデ、スポンジ、固定具、手による子宮マッサージ及びマニピュレーション、縫合、生体適合性接着剤、焼灼並びに薬学的凝固剤のうちの一つを含む追加の治療を導入するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の陣痛及び分娩後の子宮収縮不全を治療する方法。
【請求項4】
前記電気刺激電流信号を前記子宮の異なる部分に別々に、同時に又は連続的に与えるステップをさらに含み、
前記電気刺激電流信号は、複数の電流信号を含み、
前記子宮の筋収縮を別々に、同時に又は連続的に制御するために、前記複数の電流信号のうちの少なくともいくつかが異なる刺激電流パラメータを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の陣痛及び分娩後の子宮収縮不全を治療する方法。
【請求項5】
電流の大きさが約0.01ミリアンペアから約40.00ミリアンペアの間でかつ電流パルストレイン期間が約0.01秒から約30分の間である前記電気刺激電流信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の陣痛及び分娩後の子宮収縮不全を治療する方法。
【請求項6】
陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステムであって、
前記システムは、
プログラムされた刺激タスク及び/又はユーザ定義の刺激タスクを実行する制御モジュールと、
前記制御モジュールにより制御され、約5.0ヘルツ以上の周波数の刺激電流を生成する電流源と、
前記患者において緊張性子宮収縮を生成するために前記患者の子宮、子宮頸部、膣壁又は腹壁に連結されて前記患者に刺激電流を与える一以上の刺激電極と、を有する
ことを特徴とする陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項7】
前記電流源によって生成された前記刺激電流の接地ループ電流が前記患者に悪影響を及ぼすことを防止する分離ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項8】
前記分離ユニットによって光学的分離又は誘導を用いて分離が達成されることを特徴とする請求項7に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項9】
前記電流源によって生成された前記患者の子宮へ与えられる刺激電流の量を調節する一定最大電流ユニットをさらに含み、
前記患者への組織損傷を防止するために、前記刺激電流が、約0.01ミリアンペアから約40ミリアンペアの間の値に調整される
ことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項10】
前記患者への組織損傷を防止するために、時間にわたって合計された前記刺激電流の正味値がゼロとなるよう、電流源により生成された前記刺激電流の極性を交互にかえる二相性変換器をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項11】
前記一以上の電極に前記刺激電流を提供する一以上のリード線をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項12】
前記一以上のリード線のうちの少なくとも一つが、前記制御ユニットにより制御されて異なる種類又は強度の前記刺激電流を伝えて緊張性子宮収縮を引き起こす、誘発する又は増大させ、そして、
前記一以上のリード線のうちの少なくともいくつかが、前記制御ユニットにより制御されて前記刺激電流を異なった時間に前記電極に与える
ことを特徴とする請求項11に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項13】
前記一以上の刺激電極が1から10個の刺激電極を含み、前記一以上のリード線が1から10本のリード線を含むことを特徴とする請求項11に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項14】
前記一以上の刺激電極が、前記患者の前記子宮、前記子宮頸部、前記膣壁又は腹壁に、生体適合性接着剤、組織接着剤、吸引力又は追加の自己取付電極を介して連結されていることを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項15】
前記一以上の刺激電極が、塩化銀電極、EEG電極、吸引電極及びニードル電極からなる群から選ばれる一以上の電極であることを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項16】
前記一以上の刺激電極がプラチナ・イリジウム金属からなることを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項17】
前記刺激電極を介して与えられた前記電気刺激に基づいて前記子宮に対して一過性及び緊張性収縮作用を及ぼすよう、前記一以上の刺激電極が前記子宮に関連して位置決めされ、
前記一以上の刺激電極のうちの少なくとも一つが、前記緊張性子宮収縮を引き起こす局部的ペースメーカとして作用し、そして、
前記一以上の刺激電極のうちの少なくとも別の一つが、前記緊張性子宮収縮を引き起こすために前記子宮に刺激電流を伝える
ことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項18】
前記制御モジュールが、前記プログラムされた刺激タスク及び前記ユーザ定義のタスクを実行することにより前記電流源を制御して、選択された期間に自動的に所望の周波数、大きさ、パルス幅及び連続期間を有する前記刺激電流を出力し、
前記ユーザ定義の刺激タスクが、前記制御モジュールのダイヤル、スイッチ及び補助入力のうちの少なくとも一つを用いてユーザによりほぼリアルタイムで設定され、
前記プログラムされた刺激タスク及び前記ユーザ定義の刺激タスクが、前記制御モジュールのダイヤル、スイッチ及び補助入力のうちの少なくとも一つを用いて開始される
てことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項19】
前記電流源が、前記制御モジュールにより命令されて、電流の大きさが約0.01ミリアンペアから約40.00ミリアンペア、電圧が約0.0001ボルトから約100ボルト、ハルス幅が約0.1ミリ秒から約1000ミリ秒、周波数が約5.0ヘルツから約30ヘルツ及びパルストレイン期間が約1秒から約10,000秒である前記刺激電流を生成することを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項20】
前記電流源が、約1ミリ秒から約1000ミリ秒の期間中に約1ジュールから約120ジュールに等価な子宮電気刺激エネルギーの衝撃を生成することを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項21】
前記刺激電流が、独立して又は調和して前記患者に与えられる複数の出力を含み、
前記複数の出力のうちの少なくともいくつかが、異なる電流周波数、異なる大きさ、異なるパルス幅及び異なる連続期間のうちの少なくとも一つを有する
ことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項22】
収縮が正常な患者から得られた事前記録子宮電気的トレースが、前記制御モジュールのメモリにデジタル保存され、
前記制御モジュールが、前記電流源を制御して前記事前記録子宮電気的トレースと同じパターンの前記刺激電流を出力させる
ことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項23】
収縮が正常な患者から得られた人工的に生成された子宮電気的トレースが、前記制御モジュールのメモリにデジタル保存され、
前記制御モジュールが、前記電流源を制御して前記人工的に生成された子宮電気的トレースと同じパターンの前記刺激電流を出力させる
ことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項24】
前記制御モジュールが、ユーザが読み取る又は評価することができるよう作成された刺激出力電流を表示するための、ビデオディスプレイ、デジタルディスプレイ又は発光ダイオードディスプレイを含むことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項25】
前記制御モジュールと前記電流源の間で双方向通信を実行するために、前記制御モジュール及び前記電流源が、直接電気接続、ワイヤ接続又はワイヤレス接続を介して連結され、これにより前記電流源が前記制御モジュールから命令を受信して、前記電流源が前記刺激電流の値を伝え前記患者に出力して前記制御モジュールに戻すことができることを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項26】
前記制御モジュールは、前記電流源からの前記刺激電流の値をモニターするとともに、前記刺激電流の値が所定の、プログラムされた又は設定された値の範囲外である場合に、前記電流源を自動的に停止することを特徴とする請求項25に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項27】
前記制御モジュールが、前記患者の子宮の電気収縮活動に基づく入力を受信するとともに、受信された該入力に基づいて、前記電流源によって生成された前記刺激電流を自動的に調節及び修正し、
事前にプログラムされたアルゴリズムに基づいて、パルス幅、電流の大きさ、パルストレイン期間及びパルス周波数のうちの少なくとも一つを変えることにより、前記刺激電流の調節及び修正が達成される
ことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。
【請求項28】
前記生成された刺激電流の現在の設定を手動で局所的に調整するために、前記電流源は、ダイヤル、スイッチ及び他の設定のうちの少なくとも一つを有し、
前記生成された刺激電流の前記現在の設定を手動で間接的に調整するために、前記制御モジュールは、ダイヤル、スイッチ及び補助入力のうちの少なくとも一つを有する
ことを特徴とする請求項6に記載の陣痛及び分娩後に患者の子宮収縮不全を治療するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【公表番号】特表2012−523285(P2012−523285A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504839(P2012−504839)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/030302
【国際公開番号】WO2010/118178
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.BLUETOOTH
【出願人】(511243521)
【Fターム(参考)】