説明

孔曲がり計測装置

【課題】本発明は、球体内に計測センサを内蔵させることにより、曲がりの多い細い孔内の計測も可能とすることを目的とする。
【解決手段】本発明による孔曲がり計測装置は、ケーブル(11)に接続された少なくとも1個の球体(20)内に、ジャイロ(2a)と加速度計(2b)を有する孔計測センサ(2)を内蔵させ、この球体(20)内に電子回路部(10)を内蔵させるか又は複数の球体(20)を用いて孔計測センサ(2)と電子回路部(10)を別納させ、ケーブル(11)により狭いかつ直角に曲折した孔路(3)内でも円滑に移動し計測を行う構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔曲がり計測装置に関し、特に、球体内に計測センサを内蔵させることにより、曲がりの多い細い孔内の計測も可能とするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の孔曲がり計測装置としては、例えば、特許文献1に示されるように、車輪を有するプローブをケーブルで往復移動させる構成、及び、図2で示される棒状のプローブ1の構成、が採用されており、このプローブ1内には、ジャイロ及び加速度計からなる孔計測センサ2が内蔵されている。
【0003】
前述のプローブ1は、例えば、図3及び図4で示されるように、掘削又は鉄管等の孔路3内において、ケーブル4で巻き取ることにより、測長器5、ケーブル巻き取り機6及びパソコン7を用いて孔路3の形状等の計測を行うように構成されている。
【0004】
前記プローブ1は、図4に示されるように構成され、孔計測センサ2のジャイロ2aと加速度計2bからの検出信号2A,2Bは、A/D変換機11及び通信回路12からなる電子回路部10に入力され、パソコン7の通信回路13を経て演算・表示記録部14においてデータの演算及び記録が行われ、孔路3の孔曲がり計測が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−206025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の孔曲がり計測装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、孔路が大径の掘削路、大径管路等の場合には、車輪付きの長手形状もしくは棒状のプローブでも問題なく孔路計測は行うことができるが、例えば、エネルギー管路等の曲折した細い管路においては、90°のアングル管であるため、前述の従来構成のプローブでは、90°の曲折部を通過することはできず、計測は不可能であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による孔曲がり計測装置は、孔路内を少なくともジャイロ及び加速度計を内蔵したプローブを弾力性のある曲折自在なケーブルを介して移動し、前記ジャイロ及び加速度計からなる孔計測センサを用いて前記孔路を計測するようにした孔曲がり計測装置において、前記孔計測センサは、前記プローブを形成する球体内に設けられている構成であり、また、前記球体は1個よりなり、前記球体内に電子回路部が設けられている構成であり、また、前記球体は複数よりなり、各球体は前記ケーブルにより電気・機械的に直列接続され、前記孔計測センサは前記各球体のうちの何れか1個のみの球体内に設けられ、前記電子回路部は前記孔計測センサが内蔵されている前記球体以外の他の球体内に設けられている構成であり、また、前記各球体のうち、中央に位置する球体内に前記孔計測センサが内蔵されている構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明による孔曲がり計測装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、孔路内を少なくともジャイロ及び加速度計を内蔵したプローブを弾力性のある曲折自在なケーブルを介して移動し、前記ジャイロ及び加速度計からなる孔計測センサを用いて前記孔路を計測するようにした孔曲がり計測装置において、前記孔計測センサは、前記プローブを形成する球体内に設けられていることにより、エルボー管のような90°曲折管の中でも円滑にプローブを移動して、計測を確実に行うことができる。
また、前記球体は1個よりなり、前記球体内に電子回路部が設けられていることにより、1個の球体による超小型の装置を得ることができる。
また、前記球体は複数よりなり、各球体は前記ケーブルにより電気・機械的に直列接続され、前記孔計測センサは前記各球体のうちの何れか1個のみの球体内に設けられ、前記電子回路部は前記孔計測センサが内蔵されている前記球体以外の他の球体内に設けられていることにより、各球体の連結による細管用のプローブを得ることができる。
前記各球体のうち、中央に位置する球体内に前記孔計測センサが内蔵されていることにより、プローブが孔路内で安定した状態で移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による孔曲がり計測装置のプローブを示す構成図である。
【図2】従来のプローブを示す一部断面付き構成図である。
【図3】従来及び本発明に適用される孔曲がり計測装置を示す全体構成図である。
【図4】従来及び本発明に適用される孔曲がり計測装置を示す全体ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、球体内に計測センサを内蔵させることにより、曲がりの多い細い孔内の計測も可能とする孔曲がり計測装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による孔曲がり計測装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を用いて説明する。
また、図1及び図2の構成については、プローブの構成が異なるのみで装置自体の構成は同一であるため、図3及び図4の構成を援用するものとする。
【0012】
図1において符号1で示されるものは、エネルギー管路等の細径で曲折部が90°等からなる孔路3内に内設されたプローブであり、このプローブ1は、複数個の球体20が弾力性があると共に曲折自在なケーブル11を介して互いに直列接続、すなわち、電気・機械的に接続されて構成され、前記各球体20は前記ケーブル11によって互いに間隔を置いて配設されている。
【0013】
前記各球体20は、球形もしくは球形に近い形状で構成され、前記ケーブル11は、図3の孔曲がり計測装置15のケーブル巻き取り機6に巻き取られるように構成されている。
【0014】
前記各球体20は、図1では5個の場合が示されているが、中央Aに位置する球体20には、ジャイロ2a及び加速度計2bからなる孔計測センサ2が内蔵され、この中央Aに位置する球体20の両側Bに位置する各球体20には、前記孔計測センサ2からの検出信号2A,2Bを処理するための電子回路部10が内蔵されている。
【0015】
前記両側Bに位置する球体20の両外側C、すなわち、5個の球体10の両側の最も外側の前記両外側Cに位置する各球体20内には、前記電子回路部10の一部の電子回路部10又は重り10a又は前記電子回路部10と重り10aが内蔵されている。
【0016】
前述の図1の複数の球体20からなるプローブ1を用いた場合、前記ケーブル11がケーブル巻き取り機6で巻き取られることにより、プローブ1は、図3で示されるように、孔路3内の曲折形状に沿って移動し、孔路3の曲折形状及び長さ等のデータを孔計測センサ2で計測して電子回路部10で信号処理することができる。
【0017】
前述の図1のプローブ1の場合、前記両外側Cに位置する球体20内に重り10aを内蔵させた場合には、ケーブル11によってプローブ1が移動する場合に、この重り10aによってプローブ1の孔路3内における浮き上り等を防止して移動時の姿勢を安定化させ、球体10により、直角の曲折状の孔路3内でも、孔路3に沿って移動することができる。
【0018】
前記プローブ1を複数の球体20を用い、図1のように孔計測センサ2と電子回路部10を別々の球体20内に内蔵させた場合には、前記孔計測センサ2のジャイロ2a及び加速度計2bを、例えば、機械式等の構成を用いることができる。
【0019】
また、前述の複数の球体20を用いたプローブ1に限ることなく、例えば、図示していないが、図1の中央Aに位置する1個のみの球体20を用い、この1個の球体20の中に、周知のMEMS方式による半導体又は静電容量型の超小型のジャイロ2a及び加速度計2bからなる孔計測センサ2を内蔵させ、前記電子回路部10を前記球体20内に共に内蔵させ、この球体20の底部に重り10aを内蔵させると、1個のみの球体20とケーブル11を用いたプローブ1を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明による孔曲がり計測装置は、細い孔、管等だけではなく、開放された狭い通路又は隙間等の計測にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0021】
1 プローブ
2 孔計測センサ
2a ジャイロ
2b 加速度計
3 孔路
10 電子回路部
10a 重り
11 ケーブル
20 球体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔路(3)内を少なくともジャイロ(2a)及び加速度計(2b)を内蔵したプローブ(1)を弾力性のある曲折自在なケーブル(11)を介して移動し、前記ジャイロ(2a)及び加速度計(2b)からなる孔計測センサ(2)を用いて前記孔路(3)を計測するようにした孔曲がり計測装置において、
前記孔計測センサ(2)は、前記プローブ(1)を形成する球体(20)内に設けられていることを特徴とする孔曲がり計測装置。
【請求項2】
前記球体(20)は1個よりなり、前記球体(20)内に電子回路部(10)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の孔曲がり計測装置。
【請求項3】
前記球体(20)は複数よりなり、各球体(20)は前記ケーブル(11)により電気・機械的に直列接続され、前記孔計測センサ(2)は前記各球体(20)のうちの何れか1個のみの球体(20)内に設けられ、前記電子回路部(10)は前記孔計測センサ(2)が内蔵されている前記球体(20)以外の他の球体(20)内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の孔曲がり計測装置。
【請求項4】
前記各球体(20)のうち、中央(A)に位置する球体(20)内に前記孔計測センサ(2)が内蔵されていることを特徴とする請求項3記載の孔曲がり計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−281692(P2010−281692A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135360(P2009−135360)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)