説明

孔曲がり計測装置

【課題】本発明は、プローブと演算部とに各々時計を有し、各時計データの時間を付加させて演算させ、ケーブルをワイヤのみとし、従来必要とした信号芯線をなくすことを目的とする。
【解決手段】本発明による孔曲がり計測装置は、プローブ(1)のジャイロ(2a)及び加速度計(2b)からの検出信号(2A,2B)からなるプローブデータをメモリ(20)に格納する際にプローブ用時計(22)のプローブ用時計データ(22a)を付加させ、速度データ(5a)は演算部用時計データ(23a)が付加されて演算部(7)に入力され、演算部(7)では、各時計データ(22a,23a)を一致させてプローブデータと速度データ(5a)の解析を行う構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔曲がり計測装置に関し、特に、プローブと演算部とに各々時計を有し、各時計データの時間を付加させて演算させ、ケーブルをワイヤのみとし、従来必要とした信号用芯線をなくすための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の孔曲がり計測装置としては、例えば、特許文献1に示されるように、車輪を有するプローブ1をケーブル11で往復移動させる構成が採用されており、このプローブ1内には、ジャイロ及び加速度計からなる孔計測センサ2が内蔵されている。
【0003】
前述の孔曲がり計測装置15は、例えば、図3及び図4で示されるように、掘削又は鉄管等の孔路3内において、ケーブル11でプローブ1を巻き取ることにより、測長器5、ケーブル巻き取り機6及び演算部7を用いて孔路3の形状等の計測を行うように構成されている。
【0004】
前記プローブ1は、図4に示されるように構成され、孔計測センサ2のジャイロ2aと加速度計2bからの検出信号2A,2Bは、A/D変換機11A及び通信回路12からなる電子回路部10に入力され、演算部7の通信回路13を経て演算・表示・記録部14においてデータの演算及び記録が行われ、孔路3の孔曲がり計測が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−206025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の孔曲がり計測装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、プローブとパソコンとの間がケーブルで接続され、このケーブルが信号線を含む多芯型で形成されていたため、電線の質量の増加、電線のコストアップ、電線にかかる張力の増加等による信頼性低下、ケーブルが長くなることに伴うラインドロップによるプローブへの供給電源のパワーアップによる電源の大型化、等となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による孔曲がり計測装置は、掘削孔又は管路の孔路内をケーブルを介して移動しジャイロ及び加速度計を有するプローブを用い、前記ジャイロ及び加速度計からの検出信号に基づくプローブデータを演算部に入力し、前記プローブの姿勢、方位角及び位置の演算を行うようにした孔曲がり計測装置において、前記プローブは、前記ジャイロ及び加速度計からなる孔計測センサと、前記プローブデータをA/D変換して記憶するためのメモリと、前記プローブに設けられ前記A/D変換後の前記プローブデータにプローブ用時計データを付加するためのプローブ用時計と、を有し、前記演算部は、前記メモリに記憶された前記検出信号を入力して演算するための演算・表示・記録部と、前記演算・表示・記録部に演算部用時計データを入力するための演算部用時計と、を有し、前記ケーブルは、信号線を有しないワイヤからなり、前記メモリに記憶された前記プローブデータは、可搬型メモリを介して前記演算・表示・記録部に入力される構成であり、また、前記可搬型メモリは、USBメモリ、フロッピーディスク、SDカードの何れかからなる構成であり、また、前記ケーブルの移動時における前記ケーブルの速度データと前記プローブデータを併合する時に、前記プローブデータと速度データの前記時計データを一致させて演算を行う構成であり、また、前記プローブ用時計と演算部用時計は、無線通信又はGPS機能又は電波時計機能の何れかにより、時刻が互いに一致するようにした構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明による孔曲がり計測装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、掘削孔又は管路の孔路内をケーブルを介して移動しジャイロ及び加速度計を有するプローブを用い、前記ジャイロ及び加速度計からの検出信号に基づくプローブデータを演算部に入力し、前記プローブの姿勢、方位角及び位置の演算を行うようにした孔曲がり計測装置において、前記プローブは、前記ジャイロ及び加速度計からなる孔計測センサと、前記プローブデータをA/D変換して記憶するためのメモリと、前記プローブに設けられ前記A/D変換後の前記プローブデータにプローブ時計データを付加するためのプローブ用時計と、を有し、前記演算部は、前記メモリに記憶された前記検出信号を入力して演算するための演算・表示・記録部と、前記演算・表示・記録部に演算部用時計データを入力するための演算部用時計と、を有し、前記ケーブルは、信号線を有しないワイヤからなり、前記メモリに記憶された前記プローブデータは、可搬型メモリを介して前記演算・表示・記録部に入力されることにより、ケーブルは信号線が不要となり、軽量化及びコストダウンが達成できる。ケーブルの軽量化によりケーブルの張力も小さくなり、装置故障の多くを占める断線がなくなり、装置の信頼性が向上する。
また、前記可搬型メモリは、USBメモリ、フロッピーディスク、SDカードの何れかからなることにより、プローブデータのパソコンへの転送が容易となる。
また、前記ケーブルの移動時における前記ケーブルの速度データと前記プローブデータを併合する時に、前記プローブデータと速度データの前記時計データを一致させて演算を行うことにより、プローブデータと速度データの時間を正確に一致させることができ、高精度の計測が可能となる。
また、前記プローブ用時計と演算部用時計は、無線通信又はGPS機能又は電波時計機能の何れかにより、時刻が互いに一致するようにしたことにより、各時計の時刻を高精度に一致させることができる。
また、ラインロスの発生がなく省エネとなり、高容量の電源が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明における孔曲がり計測装置を示す構成図である。
【図2】図1のブロック図である。
【図3】従来の孔曲がり計測装置を示す構成図である。
【図4】図3のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、プローブと演算部とに各々時計を有し、各時計データの時間を付加させて演算させ、ケーブルをワイヤのみとし、従来必要とした信号用芯線をなくすようにした孔曲がり計測装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による孔曲がり計測装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
掘削又は鉄管等の孔路3内において、プローブ1をケーブル11で巻き取ることにより、測長器5、ケーブル巻き取り機6及びパソコンからなる演算部7を用いて孔路3の形状等の計測を行うように構成されている。
【0012】
前記プローブ1は、図2に示されるように構成され、孔計測センサ2のジャイロ2aと加速度計2bからのプローブデータとしての検出信号2A,2Bは、A/D変換器11A及び制御回路21を経てデジタル化された検出信号2A,2Bとして不揮発性のメモリ20に記憶される。
前述の場合、プローブ1内には、プローブ用時計22が内蔵されており、このプローブ用時計22のプローブ用時計データ22aは前記制御回路21で前記プローブ用時計データ22aが前記検出信号2A,2Bに付加された状態でメモリ20に記憶されている。
【0013】
前記パソコンは、演算・表示・記録部14と、演算部用時計23と、前記演算・表示・記録部14に接続され前記測長器5からのケーブル11の速度を検出した速度データ5aが入力されるカウンタ24と、から構成され、この演算部用時計23からの演算部用時計データ23aは、演算・表示・記録部14に入力されるように構成されている。
【0014】
次に、動作について説明する。まず、前述の構成において、孔計測センサ2をなすジャイロ2a及び加速度計2bからのプローブデータである検出信号2A,2Bは、A/D変換器11Aによってデジタル化された検出信号2A,2Bとしてメモリ20に格納される際に、前記プローブ用時計データ22aが同時に前記各検出信号2A,2Bに付加されて格納される。
【0015】
前記メモリ20に格納された前記メモリ20内の前記検出信号2A,2Bは、前記メモリ20を有するメモリ装置(図示せず)の操作により、USBメモリ、フロッピーディスク、SDカード等の何れかからなる可搬型メモリ30に格納されて前記演算・表示・記録部14に入力することができ、前記測長器5からのケーブル11の速度データ5aとプローブデータである前記各検出信号2A,2Bとが演算部7において併合され、この併合の時に、両記録データの時間を合わせて解析を行うことにより、高精度の計測が可能となる。
【0016】
前述の各時計22,23は、例えば、電波時計を用いる場合には、各時計22,23の時刻は高精度に一致されているので問題はないが、通常のクオーツ時計等の場合、各時計22,23により若干の時刻誤差が発生するため、図示しない周知の無線式、GPS等の手段を用いた時刻修正機能によって各時計22,23の時刻を所定時間毎に自動修正することができるように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明による孔曲がり計測装置は、細い孔、管等だけではなく、開放された狭い通路又は隙間等の計測にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0018】
1 プローブ
2 孔計測センサ
2a ジャイロ
2b 加速度計
2A 検出信号
2B 検出信号
3 孔路
5 測長器
5a 速度データ
6 ケーブル巻き取り機
7 演算部
11A A/D変換器
14 演算・表示・記録部
20 メモリ
21 制御回路
22 プローブ用時計
22a プローブ用時計データ
23 演算部用時計
23a 演算部用時計データ
24 カウンタ
30 可搬型メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削孔又は管路の孔路(3)内をケーブル(11)を介して移動しジャイロ(2a)及び加速度計(2b)を有するプローブ(1)を用い、前記ジャイロ(2a)及び加速度計(2b)からの検出信号(2A,2B)に基づくプローブデータを演算部(7)に入力し、前記プローブ(1)の姿勢、方位角及び位置の演算を行うようにした孔曲がり計測装置において、
前記プローブ(1)は、前記ジャイロ(2a)及び加速度計(2b)からなる孔計測センサ(2)と、前記プローブデータをA/D変換して記憶するためのメモリ(20)と、前記プローブ(1)に設けられ前記A/D変換後の前記プローブデータにプローブ時計データ(22a)を付加するためのプローブ用時計(22)と、を有し、
前記演算部(7)は、前記メモリ(20)に記憶された前記検出信号(2A,2B)を入力して演算するための演算・表示・記録部(14)と、前記演算・表示・記録部(14)に演算部用時計データ(23a)を入力するための演算部用時計(23)と、を有し、
前記ケーブル(11)は、信号線を有しないワイヤからなり、前記メモリ(20)に記憶された前記プローブデータは、可搬型メモリ(30)を介して前記演算・表示・記録部(14)に入力されることを特徴とする孔曲がり計測装置。
【請求項2】
前記可搬型メモリ(30)は、USBメモリ、フロッピーディスク、SDカードの何れかからなることを特徴とする請求項1記載の孔曲がり計測装置。
【請求項3】
前記ケーブル(11)の移動時における前記ケーブル(11)の速度データ(5a)と前記プローブデータを併合する時に、前記プローブデータと速度データ(5a)の前記時計データ(22a,23a)を一致させて演算を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の孔曲がり計測装置。
【請求項4】
前記プローブ用時計(22)と演算部用時計(23)は、無線通信又はGPS機能又は電波時計機能の何れかにより、時刻が互いに一致するようにしたことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の孔曲がり計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−281693(P2010−281693A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135361(P2009−135361)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)