説明

孔版印刷装置

【課題】製版前にマスタの残量を検出し、マスタの無駄を抑制することが可能な孔版印刷装置を実現し提供する。
【解決手段】CPU136は、マスタセンサ118の信号の出力値に基づいて、マスタ残量を算出し、マスタ残量が一定量以下となった場合であって、製版前に、マスタロール100Aからマスタ100を繰り出し方向Yに所定量搬送するようにマスタ搬送モータ105を制御した後、上記所定量と同量逆方向に戻し搬送するようにマスタ搬送モータ105を制御し、マスタ100の所定量搬送中に、マスタセンサ118によってエンドマーク126が検知されないときには、以降の排版および製版処理を許可し、エンドマーク126が検知されたときには、その時点のマスタ搬送量をRAM138に記憶させると共に以降の排版および製版処理を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔版印刷装置に関し、詳しくは、マスタがロール状に巻かれて形成されたマスタロールから繰り出される該マスタを画像情報に基づいて製版し、製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装して印刷を行う孔版印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
孔版印刷装置では、製版装置にマスタロールをセットし、該マスタロールからマスタを繰り出しながら製版し、製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装して印刷を行っている。
例えば図4に示すように、マスタ100が芯材124の周りに巻かれて形成された1つのマスタロール100Aにおけるマスタ100の終わりである「マスタエンド」の検知方式としては、マスタ100の端部は、繰り出し方向Yに延びる黒帯状のエンドマーク126を形成し、反射型フォトセンサからなるマスタセンサ118で黒帯状のエンドマーク126を検知し、マスタセンサ118からの出力が、ある一定値以下(例えば2V以下)となった場合に、マスタセンサ118がオフ、つまり図示しない制御装置がマスタエンドと判断し、例えば操作パネルの液晶表示部に表示・報知させることなどによって、使用者に対して「マスタ無し」を報知している。
【0003】
「マスタエンド」の検知方式やこれに類似する技術としては、次のような特許文献1〜3が挙げられる。
すなわち、特開2004−67343号公報では、ロール紙に記録を実行する前に、記録終了予定位置をロール紙終端検知手段の終端検出位置まで搬送し、その間にロール紙の終端が検出されなかった場合は、ロール紙を元の位置まで逆走してから、データの記録を実行するというプリンタにおけるロール紙搬送制御方式が提案されている。
【0004】
特開2001−341401号公報では、製版中にマスタエンドが検知された場合に、以降の搬送可能なマスタ長を算出し、1版分のマスタ長がなければ、ドラムに巻装後に排版を実施し、操作パネルにマスタエンド表示をするという技術が提案されている。
【0005】
特開2007−168303号公報では、製版中にマスタエンドが検知された場合に、排版を禁止し、また製版を中止すると共に操作パネルにマスタエンドを表示し、新しいマスタがセットされて製版が開始されたとき、画像メモリに記憶されている前製版の画像データを使用するという技術が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−67343号公報
【特許文献2】特開2001−341401号公報
【特許文献3】特開2007−168303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図3および図4に示すように、黒帯状のエンドマーク126を用いるマスタエンド検知方式では、マスタ100の巻き始め開始端を芯材124に固着している実際のマスタ終端から余裕を持ってエンドマーク126が形成されているため、製版中にマスタ無し・オフ検知状態となっても、実際に製版ができなくなるというような不具合は回避できるが、マスタ100を最後まで使用することができず、1版分以上の余裕を残した状態(残量M)で、マスタ無しと判断されてしまうことで、その残り分のマスタが無駄となっている問題点がある。この問題点については、図4を参照して本発明の実施形態においてもマスタ残量の算出原理で詳しく述べる。
【0008】
特許文献1(特開2004−67343号公報)記載の技術は、プリンタにおけるロール紙の搬送制御に関するものであるため、ロール紙が最終印刷物となり、その記録必要長さを決定するのは、原稿長または記録データ長で規定される。これに対し孔版印刷装置では、版である孔版原紙とも呼ばれるマスタを印刷ドラム(版胴)に巻装し、製版画像を用紙に転写することで画像を得るものであり、その記録必要長さを決定するのは、用紙サイズや印刷ドラムの開口画像部サイズであり、記録必要長さを決定する対象・方式そのものが異なる。また、ロール紙の終端検知センサとして、少なくとも2箇所とロール紙の残量検知手段とを配置しているので、部品点数が多く、コスト高となっている。
【0009】
特許文献2(開2001−341401号公報)記載の技術では、製版中にマスタエンドが検知された場合に、以降の搬送可能なマスタ長を算出し、1版分のマスタ長がなければ、印刷ドラムに巻装後に排版を実施するため、印刷ドラム表面のインキが乾燥し、以降の印刷時に適正な画像の出現までに、ヤレ紙とも呼ばれる捨て紙が数枚必要となるためサプライの無駄遣いとなり、使用者の操作性および経済性を悪くしているという問題点がある。
【0010】
特許文献3(特開2007−168303号公報)記載の技術では、実際に必要な画像領域分のマスタ長を把握できないため、余裕を残した状態でマスタ無しと判断され、その残り分のマスタが無駄となっている問題点がある。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点・事情に鑑みてなされたものであり、製版前にマスタの残量を検出し、マスタの無駄を抑制することが可能な孔版印刷装置を実現し提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決すると共に上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、マスタロールに巻かれたマスタ残量の終わりであるマスタエンド位置にエンドマークを付された該マスタロールを回動自在に支持するロール支持手段と、上記ロール支持手段に支持されている上記マスタロールからマスタを繰り出し方向に搬送する駆動源を備えたマスタ搬送手段と、上記マスタロールの上記エンドマークを検知するマスタエンド検知手段と、上記マスタ搬送手段により上記マスタロールから上記繰り出し方向に搬送されたマスタを画像情報に基づいて製版する製版手段と、製版済みのマスタを外周面に巻装する印刷ドラムと、使用済みのマスタを上記印刷ドラムから剥離し排版処理する排版手段とを具備する孔版印刷装置において、上記マスタロールからのマスタを上記繰り出し方向と逆方向に戻し搬送することが可能に上記駆動源の回転駆動力を上記逆方向にのみ上記マスタロールに伝達する、上記マスタロールまたは上記ロール支持部に設けられた一方向性回転駆動力伝達手段と、マスタ搬送量を記憶する記憶手段と、上記マスタエンド検知手段からの信号の出力値に基づいて、上記マスタ残量を算出し、該マスタ残量が一定量以下となった場合であって、製版前に、上記マスタロールからマスタを上記繰り出し方向に所定量搬送するように上記駆動源を制御した後、上記所定量と同量上記逆方向に戻し搬送するように上記駆動源を制御し、マスタの上記所定量搬送中に、上記マスタエンド検知手段によって上記マスタエンドが検知されないときには、以降の上記排版および上記製版処理を許可し、上記マスタエンドが検知されたときには、その時点のマスタ搬送量を上記記憶手段に記憶させると共に以降の上記排版および上記製版処理を禁止する第1の制御手段とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、上記マスタエンドが検知された場合に、マスタ無しを報知する報知手段と、上記マスタエンドが検知された場合に、上記マスタ無しを報知するように上記報知手段を制御する第2の制御手段とを有することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、使用する上記印刷ドラムのサイズを認識するドラムサイズ認識手段と、上記ドラムサイズ認識手段により認識された印刷ドラムサイズに基づいて、該印刷ドラムの回転方向における開口部終端まで巻装するためのマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量と上記記憶手段に記憶された上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、上記算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の上記排版および上記製版処理を許可する第3の制御手段とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、使用する上記印刷ドラムのサイズを認識するドラムサイズ認識手段と、使用するシートのサイズを認識するシートサイズ認識手段と、上記ドラムサイズ認識手段により認識された印刷ドラムサイズおよび上記シートサイズ認識手段により認識されたシートサイズに基づいて、印刷に必要なマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量と上記記憶手段に記憶された上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、上記算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の上記排版および上記製版処理を許可する第4の制御手段とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送手段と、原稿の画像情報を読み取る画像読取手段と、上記画像読取手段により読み取られた原稿の画像データを画像処理する画像処理手段と、上記画像データを記憶する画像記憶手段と、使用するシートのサイズを認識するシートサイズ認識手段と、上記自動原稿搬送手段および上記画像処理手段により、セットされた原稿を画像処理を施しながら搬送することで、読み取られた画像データを上記画像記憶手段に記憶し、かつ、原稿サイズ情報を取得し、その後、上記画像記憶手段に記憶されている上記原稿サイズ情報と上記シートサイズ認識手段により認識された用紙サイズ情報とを比較することにより、印刷に必要なマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量と上記記憶手段に記憶された上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、上記算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の上記排版および上記製版処理を許可すると共に、上記画像記憶手段に記憶されている画像データを上記製版処理で使用させる第4の制御手段とを有することを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送手段と、原稿の画像情報を読み取る画像読取手段と、上記画像読取手段により読み取られた原稿の画像データを画像処理する画像処理手段と、上記画像データを記憶する画像記憶手段と、原稿のサイズを認識する原稿サイズ認識手段と、使用するシートのサイズを認識するシートサイズ認識手段と、上記自動原稿搬送手段にセットされた原稿の画像情報を上記画像読取手段により読み取りながら搬送することで、上記画像読取手段により読み取られた画像データに上記画像処理手段によって画像処理を施した上で、画像処理された画像データを上記画像記憶手段に記憶し、上記原稿サイズ認識手段により認識された原稿サイズ情報と上記シートサイズ認識手段により認識された用紙サイズ情報とを比較することにより、印刷に必要なマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量と上記記憶手段に記憶された上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、上記算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の上記排版および上記製版処理を許可すると共に、上記画像記憶手段に記憶されている画像データを上記製版処理で使用させる第5の制御手段とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、原稿の画像情報を読み取る画像読取手段と、原稿の画像データを画像処理する画像処理手段と、原稿の画像データを記憶する画像記憶手段と、原稿の画像データを画像処理しながら原稿の画像データを上記画像記憶手段に記憶させた後、上記マスタエンド検知手段によって上記マスタエンドが検知された場合には、その時点のマスタ搬送時点以降に、ベタ画像があるかどうかを上記画像記憶手段に記憶されている画像データより検出し、ベタ画像がなかったときに、以降の上記排版および上記製版処理を許可すると共に、上記画像記憶手段に記憶されている画像データを上記製版処理で使用させる第6の制御手段とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項2ないし7の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、上記製版手段は、主走査方向に多数の発熱素子を備えたサーマルヘッドからなり、上記マスタ搬送手段は、上記サーマルヘッドとの間でマスタを挟持しながら回転搬送するプラテンローラからなり、上記プラテンローラに対して上記サーマルヘッドを相対的に接離するサーマルヘッド接離手段と、上記マスタエンドが検知された箇所が、上記サーマルヘッド上を通過する直前に、上記サーマルヘッド接離手段をして上記サーマルヘッドをマスタに接触しない位置に移動させる第7の制御手段とを有することを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、上記エンドマークは、上記マスタロールからのマスタの繰り出し方向に沿って延びた光吸収性の黒帯状のマークであり、上記マスタエンド検知手段は、反射型のフォトセンサからなり、上記マスタは、上記反射型のフォトセンサに設けられている発光素子からの出射光を透過する材料で形成されており、上記マスタエンド検知手段からの信号の出力値を、少なくとも上記エンドマーク近傍位置での検出に対応した第1の閾値と上記エンドマーク自体の検出に対応した第2の閾値との2段に設定し、第1の制御手段は、上記出力値が第1の閾値よりも小さく、かつ、第2の閾値よりも大きい場合に、上記マスタ搬送手段が上記マスタロールからマスタを上記繰り出し方向に所定量搬送するように上記駆動源を制御し、その搬送中に、上記出力値が第2の閾値よりも小さくなった時点でマスタ無しと判断し、このマスタ無しと判断した時点のマスタ搬送量から、上記マスタ残量を算出することを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、上記駆動源は、パルス入力で駆動するモータからなることを特徴とする。
【0022】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし8の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、請求項1ないし8の何れか一つに記載の制御を実施するか否かを選択可能とする選択設定手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記課題を解決して新規な孔版印刷装置を実現し提供することができる。請求項毎の発明の効果を挙げれば、以下のとおりである。
請求項1および9記載の発明によれば、上記構成により、マスタを搬送することで、正確なマスタ残量が確認できるため、マスタの無駄を省くことが可能となり、また、マスタエンド検知手段(例えば反射型のフォトセンサ)で一定出力値以下となった場合にのみ動作させることで、処理に要する時間と消費電力とを削減することができる。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、上記構成により、使用者はマスタ無しを認識することができる。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、上記構成により、印刷画像部に必要なマスタ長を、印刷ドラムのサイズから自動的に算出し、その値と、マスタ残量にて使用可否を確認できるため、マスタの無駄を省くことが可能となる。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、上記構成により、印刷画像部に必要なマスタ長を、印刷ドラムのサイズとシートのサイズとから自動的に算出し、その値と、マスタ残量にて使用可否を確認できるため、マスタの無駄を省くことが可能となる。
【0027】
請求項5、6記載の発明によれば、上記構成により、印刷画像部に必要なマスタ長を、自動原稿搬送手段により搬送される原稿のサイズとシートのサイズとから自動的に算出し、その値と、マスタ残量にて使用可否を確認できるため、マスタの無駄を省くことが可能となり、また、自動原稿搬送手段による原稿搬送時に画像処理を実施し画像記憶手段ヘ画像データを記憶することで、自動原稿搬送手段への原稿再セットが不要となり、使用者の操作性悪化を防止している。
【0028】
請求項7記載の発明によれば、上記構成により、エンドマークは例えば通常のマスタ部に塗料を塗布して形成しているため、製版手段で穿孔製版した場合、通常部分に比較し、僅かではあるが穿孔径が小さくなる傾向にある。そのため、ベタ画像が通常部とエンドマーク部に跨って存在している場合には、印刷物における濃度差となって現れる(文字・線画などの分散画像では、濃度差が気になるレベルではない)。原稿の画像データを画像処理し画像記憶手段ヘ記憶し、エンドマーク部にベタ画像が無い場合、製版可能とすることで、マスタの無駄を省くことが可能となる。
【0029】
請求項8記載の発明によれば、上記構成により、エンドマークは例えば通常のマスタ部に塗料を塗布して形成しているため、サーマルヘッドで穿孔製版した場合、通常部分と比較し、僅かではあるが穿孔時のカスが発生する可能性がある。そのため、マスタのエンドマークがサーマルヘッドを通過する直前で、サーマルヘッド接離手段を作動させてサーマルヘッドをマスタと接触しない位置へ移動させることにより、カス付着を防止することができ、サーマルヘッドの耐久性が向上する。
【0030】
請求項10記載の発明によれば、上記構成により、マスタの搬送量を正確かつ容易に検出し制御することができる。
【0031】
請求項11記載の発明によれば、上記構成により、選択設定手段を操作することによって制御を実施するを選択した場合には、マスタ1版分が使用できる可能性が発生し、その分のコスト削減が可能となる。一方、制御を実施しないを選択した場合には、その制御動作に掛かる時間が削減でき、使用者の待ち時間が短縮可能となる。これらを選択可能とすることで、使用者の操作性および利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0033】
(第1の実施形態)
図1〜図8を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る孔版印刷装置2の全体構成について説明する。孔版印刷装置2は、周知な各部構成を有しているため、周知部分については簡単に説明する。孔版印刷装置2は、画像読み取り手段としての画像読取部4と、印刷ドラム6と、製版装置としての製版ユニット8と、給紙手段を備えた給紙部10と、印刷ドラム6に対して図示しない接離手段により接離制御される押圧手段・押圧部材としてのプレスローラ12と、印刷ドラム6の排紙側近傍に配置され排紙部を構成する排紙爪14、排紙搬送手段16および排紙トレイ18と、排版手段を備えた排版部20等を有している。印刷ドラム6は、図示しないが、その外周部にステンレススチール薄板等の金属薄板を円筒状に丸めた基体である版胴を有しており、版胴の外周面には、該版胴の外周面に巻装されるマスタの先端部を挟持するための開閉自在なクランパ22が設けられている。
【0034】
印刷ドラム6の版胴には、直径が0.1〜0.5mm程度の微細貫通孔が多数形成されており、供給されたインキを外表面へ浸出させることができるようになっている。印刷ドラム6は、インキ供給パイプを兼ねる支軸24に回転自在に支持されており、内部にはインキ供給手段26が設けられている。インキ供給手段26は、印刷ドラム6の版胴内周面にインキを供給するインキローラ28と、インキローラ28に近接して配置されインキローラ28との間にインキ溜まり32を形成するドクターローラ30等とを有している。支軸24から図示しない分配管を介してインキ溜まり32に供給されたインキは、ドクターローラ30でインキ層の厚みを規制されてインキローラ28に供給され、プレスローラ12が印刷用紙P(以下、単に「用紙P」ともいう)を押圧したときにインキローラ28が印刷ドラム6の版胴内周面に接触してインキが供給される。
【0035】
給紙部10は、用紙Pが積載される給紙台34と、積載された用紙Pをその最上のものから順に図示しない分離部材と協働して一枚ずつ分離して給送する給紙コロ36と、給送された用紙Pを一旦停止させて斜めずれ等を矯正した後所定のタイミングで版胴4の転写部位へ送るレジストローラ対38等を有している。給紙台34には、使用する用紙Pのサイズを検知するシートサイズ検知手段としての用紙サイズ検知センサ35が配設されている。
なお、本実施形態では、用紙サイズ検知センサ35は、必須の構成ではなく、無くても構わない。
【0036】
排紙搬送手段16は、駆動プーリ40と従動プーリ42により駆動される搬送ベルト44と、吸引ファン46を有しており、排紙爪14により印刷ドラム6の版胴外周面から分離された印刷済みの用紙Pの非画像面(裏面)を吸着して搬送するようになっている。排版部20は、剥離ローラ48,50、排版ローラ52,54、これらのローラ間に掛け渡された搬送ベルト56,58、印刷ドラム6の版胴外周面より剥離されたマスタが収容される排版ボックス60、該排版ボックス60内のマスタを圧縮する圧縮板62等を有している。
【0037】
原稿読取部4は、装置本体3に装着された製版ユニット8の上方に配置された原稿受け台71上から移送される原稿72またはコンタクトガラス82上に載置された原稿72の表面の画像を読み取る構成を有する。
すなわち、原稿読取部4は、複数枚の原稿72を積載する上記した原稿受け台71と、原稿72を載置する読取部としてのコンタクトガラス82と、原稿72を1枚ずつ分離して搬送する原稿分離ローラ83と、分離された原稿72を搬送・排出する原稿搬送ローラ群84と、搬送されてきた原稿72の画像の白基準補正用の白基準板85と、読み取られた原稿72を積載する原稿排紙台87と、コンタクトガラス82,86を除く上記各部材を支持しコンタクトガラス82,86に対して接離・開閉自在に設けられた圧板88と、原稿72の画像を照明しつつ走査して読み取るための反射ミラー89,90a,90bおよび蛍光灯91と、読み取られた画像の反射光を集束するレンズ92と、集束された画像の反射光を処理する画像センサである画像読取手段としてのCCD(電荷結合素子)93等とを具備している。
【0038】
上記構成中、原稿受け台71、原稿分離ローラ83、原稿搬送ローラ群84、白基準板85および原稿排紙台87によって、コンタクトガラス86(読取部)上に原稿72を1枚ずつ給送する自動原稿搬送手段としての自動原稿搬送装置(以下「ADF」という)94が構成されている。また、コンタクトガラス82、各反射ミラー89,90a,90b、蛍光灯91、レンズ92およびCCD93によって、原稿72の画像をコンタクトガラス82(読取部)上で読み取る原稿読取部(スキャナ)4が構成されている。
【0039】
原稿分離ローラ83および原稿搬送ローラ群84は、ギヤやタイミングベルト・プーリ等の駆動力伝達手段を介して原稿搬送モータ81に連結されていて、原稿搬送モータ81によって回転駆動される。原稿搬送モータ81は、パルス入力で駆動されるモータのうちで最も簡単な構成の例えばステッピングモータからなる。
CCD93は受光した反射光に対応して光電変換をし、これにより得られたアナログの画像信号を装置本体3内の図6に示すA/D変換器95に入力され、同じくCCD画像処理部(以下、図6を含め「画像処理部96」という)で画像処理される。画像読取手段としては、CIS(密着イメージセンサ)を使用する方式もある。
【0040】
原稿受け台71には、原稿72のサイズを検知する複数の原稿サイズ検知センサ73が配設されている。原稿サイズ検知センサ73は、例えば反射型のフォトセンサからなる。なお、本実施形態では、ADF94および原稿サイズ検知センサ73は、必須の構成ではなく、無くても構わない。
【0041】
次に、孔版印刷装置2の印刷動作を簡単に説明する。画像読取部4により読み取られた原稿の画像情報に基づいて、製版ユニット8によりマスタ100に穿孔製版がされた後、この製版済みのマスタ100はその先端部が印刷ドラム6のクランパ22に挟持され、印刷ドラム6の回転に伴って印刷ドラム6の外周面に巻装される。製版済みのマスタ100の巻装後版付動作がなされる。印刷ドラム6上の製版済みのマスタ100の画像の先端と、用紙Pの搬送方向における所定の位置とが一致するタイミングでレジストローラ対38により用紙Pが送られ、用紙Pはこのタイミングに合わせて印刷ドラム6側へ移動するプレスローラ12によって印刷ドラム6に押圧される。インキローラ28によって印刷ドラム6の版胴内周面に供給されたインキは基体の微細貫通孔を通ってマスタ100の穿孔部から滲み出し、用紙Pに転移する。これにより用紙P上にインキ画像が形成される。インキ画像を転写された用紙Pは、排紙爪14により印刷ドラム6から剥離され、排紙搬送手段16により図示しない排紙トレイ18へ向けて搬送される。所定枚数の印刷が終了すると、排版部20により使用済みのマスタ100が印刷ドラム6から剥離される。
【0042】
本実施形態では、図2に示すように、マスタ100の製版は、装置本体3に対して着脱自在に構成された製版ユニット8(製版部)で行われる。マスタロール100Aに巻かれたマスタ100が無くなった場合には、製版ユニット8を装置本体3から抜き出して・離脱させ、マスタロール100を新しいものと交換した後、製版ユニット8を装置本体3に挿入・装着することで行っている。1つの版(マスタ)において所定枚数の印刷が終了すると、排版手段により印刷ドラムの外周面(版胴外周面)から使用済みのマスタが剥離・排版される。
製版ユニット8は、図1および図2に示すように、ユニットフレーム130を有している。該ユニットフレーム130は、ガイド部材131を介して装置本体3側に設けられたレール部材129に凹凸係合していることにより、装置本体3に対して着脱自在に設けられている。
【0043】
製版ユニット8は、図2に示すように、マスタロール100Aを芯管124を介して回動自在に支持するロール支持手段としてのロール支持部材127と、新しいマスタロール100Aを交換した場合にその先端部のマスタ100を繰り出し可能にセットするためのマスタセットローラ102およびセットプレート104と、画像情報としての画像データ・信号に基づいて選択的に発熱する多数の発熱素子を備えマスタ100を製版する製版手段としてのサーマルヘッド106と、該サーマルヘッド106にマスタ100を押圧して回転搬送するプラテンローラ108と、プラテンローラ108の下流側に配置されたテンションローラ対110と、マスタ100を所定の長さ(印刷ドラム6の版胴画像形成開口領域に巻装される1版分の長さ)に切断する切断手段としてのカッタ112と、製版済みのマスタ100を印刷ドラム6に給版する給版ローラ対114と、製版済みのマスタ100に撓みを形成しこれを一時的に収納する撓みボックス116等とを有している。
【0044】
撓みボックス116の出入り口には、マスタ100を反転ローラ対114側へ搬送する図において二点鎖線で示す搬送位置と、撓みボックス116内に収容される図において実線で示す収容位置との間で移動可能なガイド板116aが設けられている。
撓みボックス116内には、後述するマスタ残量検出時および製版・マスタ搬送時に、オンすることにより撓みボックス116内への製版済みのマスタ100のスムーズな収納をするための吸引ファン128が設けられている。
【0045】
マスタセットローラ102、プラテンローラ108、テンションローラ対110および反転ローラ対114は、マスタ100を繰り出し方向Y(マスタ搬送方向)に搬送するマスタ搬送手段を構成している。マスタセットローラ102、プラテンローラ108およびテンションローラ対110は、図示しないギヤ列もしくはタイミングベルト・タイミングプーリ等の駆動力伝達手段を介してマスタ搬送モータ105に連結されていて、マスタ搬送モータ105により回転駆動される。マスタ搬送モータ105は、パルス入力で駆動されるモータのうちで最も簡単な構成のステッピングモータからなる。
このようにステッピングモータからなるマスタ搬送モータ105をマスタ搬送手段の駆動源とすることで、マスタ搬送モータ105に供給される駆動パルス数からマスタ100の搬送量が正確かつ容易に算出可能な構成となっている。
【0046】
マスタロール100Aの図において紙面奥側の芯管124の端部には、例えばセレーションやキー溝が形成されていて、マスタロール100Aの交換の際に、芯管124の一端部にギヤ117が一体的に取り付けられるようになっている。芯管124とギヤ117との間には、マスタロール100Aからのマスタ100を繰り出し方向Yと逆方向に戻し搬送することが可能に、マスタ搬送モータ105の回転駆動力を上記逆方向にのみマスタロール100Aに伝達する一方向性回転駆動力伝達手段としてのワンウェイクラッチ115が介装されている。製版ユニット8が装置本体3の所定の位置に装着されたとき、ギヤ117およびマスタセットローラ102の一端部に取り付けられた図示しないギヤがマスタ搬送モータ105の出力軸に連結された図示しないギヤ列(アイドラギヤを含む)に噛み合うことにより、マスタ搬送モータ105の例えば正転時の回転駆動力を受けてワンウェイクラッチ115の作用によってマスタロール100Aにはその回転駆動力が伝達されずに空転し、マスタセットローラ102がマスタ100を繰り出す方向に回転する。マスタロール100Aは、マスタ搬送モータ105の例えば逆転時の回転駆動力を受けて、ワンウェイクラッチ115の作用によってマスタ100を巻き取る方向にのみ回転する。
【0047】
また、製版ユニット8には、ロール支持部材127に支持されているマスタロール100Aの下方近傍に配置され、マスタ100の有無・マスタエンドを検知するマスタエンド検知手段(もしくはマスタニア検知手段)としてのマスタセンサ118と、セットプレート104の下方近傍に配置され、マスタ100がセット位置にあるかどうかを検知するためのマスタセット検知手段としてのマスタセットセンサ120と、マスタ100の先端を検知するマスタ先端検知手段としてのマスタ先端検知センサ122とが設けられている。
【0048】
新しいマスタロール100Aを芯管124を介して製版ユニット8のロール支持部材127にセットした後、製版ユニット8を装置本体3に装着すると、図示しない装着スイッチがオンすることで、マスタ搬送モータ105がオン駆動されることによって、マスタ100の先端部がマスタセットローラ102、プラテンローラ108、テンションローラ対110の回転により送られ、マスタ先端検知センサ122によりマスタ100の先端部が検知された後、所定距離搬送して動作が停止する。この動作は、マスタオートローディングと呼ばれており、製版ユニット8を装置本体3に装着すると自動的に実行される。このマスタオートローディングでは、サーマルヘッド106は駆動されず、マスタ100は無製版の状態で送られる。マスタロール100Aを交換して製版ユニット8を装置本体3に装着したときに、マスタセットセンサ120がオンしない場合にはマスタ100のセットミスと判断される。また、製版ユニット8を装置本体3に装着して所定時間が経過したときにマスタ先端検知センサ122がオンしない場合にも、マスタオートローディングにおけるマスタ100のミスフィードと判断される。
【0049】
製版されたマスタ100は、撓みボックス116に撓みを形成されつつ収容され、1版分の製版の終了がマスタ搬送モータ105のステップ数などによって判断されると、カッタ112によって1版分の長さ位置で切断される。撓みボックス116に収容された製版済みのマスタ100は、図1に示す印刷ドラム6のクランパ22の開閉タイミングに合わせて回転駆動される反転ローラ対114により搬送され、製版済みのマスタ100の先端部が印刷ドラム6のクランパ22に挟持されたと、マスタ搬送モータ105のステップ数などによって判断されると、印刷ドラム6が図1において時計回りに回転し始めることで、製版済みのマスタ100が印刷ドラム6の外周面に巻装される。
【0050】
図3に示すように、マスタロール100Aは、マスタ100が例えば樹脂製の芯管124に巻かれて形成されており、その終端部は芯管124に接着固定されている。これは、マスタ交換時に芯管124とマスタ100の残りがくっついていた方が取り出し作業が容易であり、捨てることも容易であるからである。
【0051】
マスタロール100Aにおけるマスタ100の残量が所定長さとなった部分における一側部には、マスタ100の残量が少ないことを知らせるエンドマーク(例えば黒色)が塗装などでマスタ繰り出し方向Yに沿って付されており、反射型のフォトセンサからなるマスタセンサ118でこれを検知するようになっている。エンドマーク126が現れてマスタセンサ118がオフ(所定閾値以下のセンサ出力)したら、図示しない操作パネルの液晶表示部などに「マスタ無し」が表示されるようになっており、この表示に基づいて使用者はマスタの交換作業を行う。
【0052】
製版動作の途中でマスタ100が無くなることによる不具合を防止するために、図4に示すように、マスタ100のエンドマーク126の先端から符号101までは使用する用紙Pの最大サイズに対応する約1版分の長さが残るように設定されている。上述の背景技術でも説明したように、現状では光吸収性の黒帯状のエンドマーク126の先端から符号101で示すマスタ100の長さの範囲が無駄となっている。
【0053】
図5を参照して、孔版印刷装置2を操作する操作部としての操作パネル140を説明する。操作パネル140は、画像読取部4の上部の一側部に配置されている。操作パネル140には、図5に示すように、製版スタートキー141、印刷スタートキー142、テンキー143、試し刷りキー144、エンターキー145、モードクリアキー146、タッチパネル148、表示器149および印刷速度設定キー等が配設されている。また、操作パネル140には、使用する印刷ドラムのサイズを設定するドラムサイズ設定手段、使用する用紙(シート)サイズを設定するシートサイズ設定手段、原稿サイズを設定する原稿サイズ設定手段、後述する実施形態の制御を実施するか否かを選択設定するための選択設定手段および報知手段として機能するものも配設されている。これらについては、後述する。
【0054】
製版スタートキー141は、原稿の画像の読み取りから排版、製版、給版、給紙、版付け印刷、排紙工程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための動作起動手段としての機能を、テンキー143は、印刷枚数等を入力・設定する機能を、印刷スタートキー142は、テンキー143で入力・設定された印刷枚数分の印刷動作の起動等を行う機能を、試し刷りキー144は、試し刷り印刷動作を起動する機能を、それぞれ有する。エンターキー145は、各種設定時に数値等を確定・設定する機能を、モードクリアキー146は、各種モード設定状態を消去・クリアする機能を、印刷速度設定キー150は、印刷速度(例えば60〜120枚/分:60〜120rpm)を設定する印刷速度設定手段としての機能を有し、それぞれそれらの機能を発揮させたい場合等に押下される。印刷速度設定キー150は、図示の速度アップキーおよび速度ダウンキーを備えていて、それらの近傍には設定された印刷速度を点灯表示するLEDからなる印刷速度表示器が配置されている。
【0055】
タッチパネル148は、図示しないタッチパネル駆動回路を含むLCD(液晶表示装置)駆動回路により駆動され、周知のタッチパネル方式で画面表示された各種モードや種々の選択・設定手段(ドラムサイズ設定手段、シートサイズ設定手段、原稿サイズ設定手段等)を白黒反転表示させて選択設定できるように構成されている。
【0056】
タッチパネル148に配設されたLCD画面からなる表示手段ないしは報知手段は、マスタエンドが検知された場合に、マスタ無しを報知するものである。報知手段は、タッチパネル148に表示されるものに限らず、例えば単なるLCD表示やLED表示、音声による報知や、操作パネル140等に配設されたブザー147による吹鳴警告音あるいはLEDの7セグメントを使用したコード表記でもよいし、あるいはそれらを適宜組合せたものでも構わない。
【0057】
タッチパネル148には、ドラムサイズ設定手段としての、例えばA4サイズの印刷ドラム6を設定するA4ドラムサイズ設定キー151と、例えばA3サイズの印刷ドラム6を設定するA3ドラムサイズ設定キー152とが配設されている。
使用する印刷ドラム(版胴)のサイズを認識するドラムサイズ認識手段には、上記したドラムサイズ設定手段および後述する実施形態で使用するドラムサイズ検知手段の双方が含まれる。ここで、ドラムサイズ検知手段の具体例を説明しておく。
【0058】
印刷ドラム6は、図示しないインキ容器やインキ供給ポンプと一体的にユニット化されたドラムユニットを構成していて、装置本体3に対して着脱手段を介して簡単な操作で着脱できるようになっている。そして、A4サイズの印刷ドラム6と、A3サイズの印刷ドラム6とは別々に設定されていて、それぞれが前記着脱手段を介して装置本体3に対して着脱自在に構成されている。このA4サイズの印刷ドラム6とA3サイズの印刷ドラム6とを装置本体3に対して選択的に着脱可能とさせる着脱手段ないしは着脱機構(図示せず)の具体例としては、例えば実開昭61−85462号公報の第1図ないし第4図に示されている版胴支持装置と同様のものを採用している。その他、例えば特開平5−229243号公報の図2および図3等に示され段落「0021」等に記載されている保持手段(36)、把持フレーム(50)、前フレーム(51)および後フレーム(52)等から構成されているものと同様のものでも構わない。
【0059】
前記着脱手段近傍の装置本体3には、A4サイズの印刷ドラムユニットおよびA3サイズの印刷ドラムニットの何れであるかを検知するドラムサイズ検知手段としての図6のみに示すドラムサイズ検知センサ157が配設されている。ドラムサイズ検知センサ157の具体例としては、例えば印刷ドラムユニット側に配設された電気コネクタ(例えば雄)と、装置本体3側に配設された電気コネクタ(例えば雌)との結合の組み合わせにより、その違いを電気的に検出し判断するものが採用されている。これは、特開2006−281658号公報の図5に示されているドラムユニットインキ種類識別センサ(51)と同様のものである。
ドラムサイズ検知手段は、上記したドラムサイズ検知センサ157に限らず、特開2004−155170号公報の図16に示されているホール素子センサ(136,137,138)と各サイズのドラムユニットに配置されたマグネット(130,131、132)との組合せで検出するものでもよい。
【0060】
また、タッチパネル148には、シートサイズ設定手段としての、例えばA4用紙サイズ設定キー153と、A3用紙サイズ設定キー154とが配設されている。
使用するシート(用紙)のサイズを認識するシートサイズ認識手段には、上記したシートサイズ設定手段および後述する実施形態で使用する図1に示したシートサイズ検知手段としての用紙サイズ検知センサ35の双方が含まれる。
【0061】
また、タッチパネル148には、原稿サイズ設定手段としての、例えばA4原稿サイズ設定キー155と、B4原稿サイズ設定キー156とが配設されている。
使用する原稿のサイズを認識する原稿サイズ認識手段には、上記した原稿サイズ設定手段および後述する実施形態で使用する図1に示した原稿サイズ検知手段としての原稿サイズ検知センサ73の双方が含まれる。
【0062】
ドラムサイズ設定手段、シートサイズ設定手段、原稿サイズ設定手段等は、上記タッチパネル148に配設されたものに限らず、例えば専用のキーを設けたり、1つのキーと複数のLEDとの組合せにより、1つのキーの押下毎にLED表示を順次変えながら設定する方式のものや、LCDで階層表示させながら複数の選択設定キーで設定するものでもよい。
【0063】
また、タッチパネル148には、後述する第1〜第6の実施形態で説明する制御を実施するか否かを選択設定するための選択設定手段としての制御選択キー158が配設されている。制御選択キー158を1回タッチする毎に第1〜第6の実施形態で説明する制御および制御をしない旨の表示が順次されるので、それらを白黒反転させて選択する。
【0064】
孔版印刷装置2の上記各部・装置の動作は、図6に示すメイン制御装置135によって制御される。メイン制御装置135は、CPU136,ROM137,RAM138,I/Oインターフェース等を含むマイクロコンピュータを具備しており、各種センサ(マスタセンサ118、マスタセットセンサ120、マスタ先端センサ122等)からの検知信号や操作パネル92からの設定情報(データ信号やオン/オフ信号)あるいは原稿等の画像データを記憶する画像記憶手段としての画像メモリ98からの画像データ信号が入力される。メイン制御装置135は、上記各情報に基づいて原稿搬送モータ81、画像メモリ98、マスタ搬送モータ105、サーマルヘッド106、各種負荷としての後述するサーマルヘッド圧解除モータ109、操作パネル92におけるタッチパネル148のLCD表示装置や表示器149等を制御する。メイン制御装置135のCPU136は、本実施形態における第1の制御手段として機能する他、後述の実施形態において第2〜第6の制御手段として機能する。
【0065】
次に、図7および図8のフローチャートを参照して、メイン制御装置135の主としてCPU136の指令の下に制御される本実施形態のマスタ残量判定処理について説明する。
【0066】
従来のマスタ無し検知方式では、図2および図4を参照して説明したように、反射型フォトセンサからなるマスタセンサ118で黒帯状のエンドマーク126を検知するよりも前に余裕をもって図4に矢印で示す検出位置101にて、マスタセンサ118からの信号の出力値(例えば出力電圧値)が、所定閾値(閾値1:例えば2V以下)となった時点で、マスタセンサ118がオフ、つまり図示しない制御装置がマスタ無しと判断していた。検出位置101では、マスタセンサ118に設けられている発光素子からの出射光がマスタロール100Aとして巻かれたマスタ100を構成しているフイルムおよび多孔性支持体を透過して黒帯状のエンドマーク126で吸収・反射されることにより、マスタセンサ118に設けられている受光素子で受ける受光量はエンドマーク126自体で吸収・反射される場合と比べて多く、このため出力電圧値は比較的高くなる(閾値1:例えば上記2V)。上記したように、本実施形態を始め、後述する実施形態で使用するマスタ100は、反射型のフォトセンサからなるマスタセンサ118に設けられている発光素子からの出射光を透過する材料で形成されていることが前提となっている。
【0067】
これに対して、本実施形態では図8に示すようにマスタ残量判定処理を行っている。すなわち、本実施形態では、マスタ100が漸次消費され、図7に示すようにマスタロール100Aとして巻かれたマスタ100のエンドマーク126位置に近づくにつれてマスタセンサ118からの信号の出力値(例えば出力電圧値)の違いに着目して、これを少なくとも2段(2段以上)に設定することで、マスタ100のエンドマーク126を検出すると共にマスタ残量の算出を可能としている。
【0068】
ステッピングモータからなるマスタ搬送モータ105の回転駆動でマスタ100を繰り出し方向Yに搬送し、エンドマーク126近傍に近づく際のマスタエンドセンサ118からの信号の出力値を、図3および図7に示したエンドマーク126近傍位置101’(図4に示した検出位置101を含む近傍)での検出に対応した第1の閾値(閾値1:例えば上記2V)とエンドマーク126自体の検出に対応した第2の閾値(閾値2:例えば0.7V)との少なくとも2段に設定している。
メイン制御装置135のCPU136は、マスタセンサ118からの出力値が閾値1(例えば上記2V)よりも小さく、かつ、閾値2(上記0.7V)よりも大きい場合に、上記マスタ搬送手段がマスタロール100Aからマスタ100を繰り出し方向Yに所定量搬送するようにマスタ搬送モータ105を制御し、その搬送中に、マスタセンサ118からの出力値が閾値2(上記0.7V)よりも小さくなった時点でマスタ無しと判断し、このマスタ無しと判断した時点のマスタ搬送量から、マスタ残量を算出する第1の制御手段としての基本的な機能を有する。
メイン制御装置135のCPU136(以下、単に「メイン制御装置135」ともいう)は、マスタセンサ118からの信号の出力値に基づいて、マスタ残量を算出し、該マスタ残量が一定量以下となった場合であって、製版前に、マスタロール100Aからマスタ100を繰り出し方向Yに所定量搬送するようにマスタ搬送モータ105を制御した後、上記所定量と同量逆方向に戻し搬送するようにマスタ搬送モータ105を制御し、マスタ100の上記所定量搬送中に、マスタセンサ118によってエンドマーク126が検知されないときには、以降の排版および製版処理を許可し、エンドマーク126が検知されたときには、その時点のマスタ搬送量を記憶手段としてのRAM138に記憶させると共に以降の排版および製版処理を禁止する第1の制御手段として機能する。
【0069】
先ず、図8のステップS1において、マスタセンサ118の出力値が所定閾値である第1の閾値(閾値1:一例として2V)よりも大きいか否かが判断・チェックされる。マスタセンサ118の出力値が閾値1(2V)よりも小さい場合にはステップS2に進み、マスタセンサ118の出力値が第2の閾値(閾値2:(0.7V))よりも大きいか否かがチェックされる。ここで、マスタ残量Mが規定値以下(閾値2(0.7V)<マスタセンサ118の出力値<閾値1(2V))となった場合、マスタ100を所定量搬送し、この搬送中に、マスタセンサ118の出力値が閾値2(0.7V)以下、つまりマスタ無しが検出された時点(マスタセンサ118の出力値<閾値2(0.7V))のマスタ搬送量Lからマスタ残量Mを算出する(ステップS3〜ステップS6、ステップS19〜ステップS21)。
一方、ステップS6において、マスタ搬送量Lが所定量Lよりも大きくなった時点で、マスタ搬送を停止し、マスタ搬送量Lを0「ゼロ」としてマスタ戻し搬送を開始する(ステップS7〜ステップS9)。この際、マスタ搬送量Lを計数しながら、マスタ搬送量Lが所定量Lよりも大きくなった時点で、マスタ搬送を停止する(ステップS10〜ステップS12)。
次いで、ステップS13に進み、マスタ残量Mが所定量Mよりも大きくなった時点で、マスタ残量M「大」と判断され、「マスタ先端位置出し」に係る上述したサブルーチンプログラムに係る動作が実行される(ステップS14、ステップS15)。一方、ステップS13において、マスタ残量Mが所定量Mよりも小さい場合には、マスタ残量M「中」と判断され、上記同様「マスタ先端位置出し」に係るサブルーチンプログラムに係る動作が実行される(ステップS16、ステップS15)。
一方、ステップS1において、マスタセンサ118の出力値が閾値1(2V)よりも大きい場合にはマスタ残量が「大」と判断される(ステップS17)。また、ステップS2において、マスタセンサ118の出力値が第2の閾値(閾値2:(0.7V))よりも小さい場合には、マスタ残量が「小」と判断される(ステップS18)。
以上説明したとおり、本実施形態によれば、上記発明の効果欄に記載した効果を奏することは無論である。
【0070】
(第2の実施形態)
図9および図10を参照して、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、図1〜図8に示した第1の実施形態と比較して、使用する印刷ドラム6のサイズ(ドラムユニットサイズ)を認識するドラムサイズ認識手段(A4ドラムサイズ設定キー151、A3ドラムサイズ設定キー152、ドラムサイズ検知センサ157)を用いる点、メイン制御装置135(CPU136)の第1の制御手段の機能に加えて、以下のように機能する第2および第3の制御手段を用いる点が主に相違する。
【0071】
メイン制御装置135(CPU136)は、マスタセンサ118によってエンドマーク126が検知された場合に、「マスタ無し」を報知するようにタッチパネル148のLCD表示部を制御する第2の制御手段として機能する。
メイン制御装置135(CPU136)は、上述の第1および第2の制御手段の機能に加えて、ドラムサイズ認識手段(A4ドラムサイズ設定キー151、A3ドラムサイズ設定キー152、ドラムサイズ検知センサ157)により認識(設定されまたは検知)された印刷ドラムサイズに基づいて、印刷ドラム6の図9中矢印で示す回転方向における開口部終端まで巻装するためのマスタ必要量(図9において、クランパ22によるクランプ部に必要なマスタL1+印刷ドラム6の開口部に相当する画像範囲(開口範囲)に巻装されるマスタL2+印刷ドラム6の開口部の後端を保護するL3)を算出し、この算出されたマスタ必要量とRAM138に記憶された上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の排版および製版処理を許可する第3の制御手段として機能する。
【0072】
図10に示す本実施形態に係る製版・排版移行判定の動作で、実行される内容の要点を述べると次のとおりある。すなわち、本実施形態では、孔版印刷装置2にセットされた印刷ドラムサイズを認識し、印刷ドラム2の版胴外周面に必要なマスタ100の所定量Lを印刷ドラム6の開口サイズから決定し、次いで、決定されたマスタ100の所定量L中のマスタ残量Mを判定し、マスタ残量M(マスタ搬送量M)が所定量Mよりも大きければ、使用可と判断するものである。すなわち、印刷ドラム6の開口範囲にマスタ100のエンドマーク126が無いことを検出する。印刷ドラム6の開口部の後端部にマスタ100のエンドマーク126があっても、印刷画像には何ら影響しないので、問題はない。
【0073】
図10において、本実施形態に係る製版・排版移行判定の動作は、ステップS25から始まる。まず、ステップS25において、使用する印刷ドラム6(ドラムユニット)のサイズがチェックされる。A3サイズの印刷ドラム6であれば、CPU136はROM137からA3サイズに対応した巻装分として所定量M,Lを呼び出し設定する。一方、A4サイズの印刷ドラム6であれば、CPU136はROM137からA4サイズに対応した巻装分として所定量M,Lを呼び出し設定する。
ここで、所定量Mは、印刷ドラム6巻装に必要なマスタ搬送量であり、図9に示したL1+L2+L3である。所定量Lは、適正印刷物を得るために必要なマスタ搬送量であり、図9に示したL1+L2である。
【0074】
次いで、ステップS27に進み、図8に示したマスタ残量判定処理のサブルーチンプログラムに係る動作が実行され、マスタ残量が判定される(ステップS28)。ステップS28において、マスタ残量が「中」と判定されれば、マスタ残量Mが所定量Lよりも大きいか否かがチェックされる(ステップS29)。マスタ残量Mが所定量Lよりも大きい場合には、ステップS30に進んで製版・排版の許可がなされる。また、ステップS28において、マスタ残量が「大」と判定された場合も、ステップS32に進んで製版・排版の許可がなされる。
一方、ステップS28において、マスタ残量が「小」と判定された場合には、ステップS33に進んでマスタエンド表示である例えば「マスタ無し」あるいは「マスタが有りません」等がタッチパネル148のLCD表示部に表示・報知される。また、ステップS29において、マスタ残量Mが所定量Lよりも小さい場合にも、マスタエンド表示である例えば「マスタ無し」あるいは「マスタが有りません」等がタッチパネル148のLCD表示部に表示・報知される(ステップS34)。
以上説明したとおり、本実施形態によれば、上記発明の効果欄に記載した効果を奏することは無論である。
【0075】
(第3の実施形態)
図11を参照して、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、図9および図10に示した第2の実施形態と比較して、使用する用紙Pのサイズを認識する用紙(シート)サイズ認識手段(B4用紙サイズ設定キー153、A3用紙サイズ設定キー154、用紙サイズ検知センサ35)を用いる点、メイン制御装置135(CPU136)の第1および第2の制御手段の機能に加えて、以下のように機能する第4の制御手段を用いる点が主に相違する。
【0076】
メイン制御装置135(CPU136)は、上述の第1および第2の制御手段の機能に加えて、ドラムサイズ認識手段(A4ドラムサイズ設定キー151、A3ドラムサイズ設定キー152、ドラムサイズ検知センサ157)により認識された印刷ドラムサイズおよび用紙(シート)サイズ認識手段(B4用紙サイズ設定キー153、A3用紙サイズ設定キー154、用紙サイズ検知センサ35)により認識(設定されまたは検知)されたシートサイズに基づいて、印刷に必要なマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量とRAM138に記憶された上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の排版および製版処理を許可する第4の制御手段として機能する。
【0077】
図11に示す本実施形態に係る製版・排版移行判定の動作で、実行される内容の要点を述べると次のとおりある。すなわち、本実施形態では、孔版印刷装置2にセットされた用紙サイズと印刷ドラムサイズを認識し、印刷に使用する画像範囲を決定する。このとき、小さい方が印刷に必要な画像範囲である。次いで、決定されたマスタ100の所定量L中のマスタ残量Mを判定し、マスタ残量M(マスタ搬送量M)が所定量Mよりも大きければ、使用可と判断するものである。すなわち、画像範囲にマスタ100のエンドマーク126が無いことを検出する。
ここで、一例として、A3ドラムサイズ、B4用紙サイズの場合、B4以上の範囲にマスタ100のエンドマーク126があっても、印刷画像には影響しないので、問題はない。同図中、所定量L、所定量Mの意味するところは、第2の実施形態と同様である。
【0078】
図11において、本実施形態に係る製版・排版移行判定の動作は、ステップS35から始まる。まず、ステップS35において、使用する印刷ドラム6(ドラムユニット)のサイズが認識され、使用ドラムサイズ情報として取得される。同時に、使用する用紙Pのサイズが認識され、用紙サイズ情報として取得される(ステップS36)。次いで、ステップS37に進み、ドラムサイズが用紙サイズよりも大きいか否かがチェックされ、画像範囲を用紙サイズで算出する(ステップS38)ことと、画像範囲をドラムサイズで算出する(ステップS44)ことが行われる。そして、画像範囲に必要なマスタ100の巻装分としてCPU136はROM137から算出された画像範囲に対応した巻装分として所定量M,Lを呼び出し設定する(ステップS39)。
【0079】
次いで、ステップS41に進み、図8に示したマスタ残量判定処理のサブルーチンプログラムに係る動作が実行され、マスタ残量が判定される(ステップS28)。以下、図10に示した第2の実施形態におけるステップS29、ステップS30、ステップS32〜ステップS34と同様の動作が実行される(ステップS42、ステップS43、ステップS45〜ステップS47)。
以上説明したとおり、本実施形態によれば、上記発明の効果欄に記載した効果を奏することは無論である。
【0080】
(第4の実施形態)
図12を参照して、第4の実施形態を説明する。第4の実施形態は、図11に示した第3の実施形態と比較して、ADF94を用いる点、画像メモリ98を用いる点およびメイン制御装置135(CPU136)の第1および第2の制御手段の機能に加えて、以下のように機能する第4の制御手段を用いる点が主に相違する。
【0081】
メイン制御装置135(CPU136)は、上述の第1および第2の制御手段の機能に加えて、ADF94および画像処理部96により、原稿受け台71にセットされた原稿72を画像処理を施しながら搬送することで、読み取られた画像データを画像メモリ98に記憶し、かつ、搬送することで原稿サイズ情報を取得し、その後、画像メモリ98に記憶されている原稿サイズ情報と用紙(シート)サイズ認識手段(B4用紙サイズ設定キー153、A3用紙サイズ設定キー154、用紙サイズ検知センサ35)により認識(設定されまたは検知)されたシートサイズ情報とを比較することにより、印刷に必要なマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量とRAM138に記憶されたマスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の排版および製版処理を許可すると共に、画像メモリ98に記憶されている画像データを製版処理で使用させる第4の制御手段として機能する。
【0082】
図12に示す本実施形態に係る製版・排版移行判定の動作で、実行される内容の要点を述べると次のとおりある。すなわち、本実施形態では、ADF94の原稿受け台71にセットされた原稿72の画像情報をCCD93により読み取りながら搬送することで、原稿サイズ情報を取得すると共に、読み取られた画像データに画像処理部96によって画像処理を施した上で、この画像処理された画像データを画像メモリ98に記憶した後、画像メモリ98に記憶されている原稿サイズ情報と用紙(シート)サイズ認識手段(B4用紙サイズ設定キー153、A3用紙サイズ設定キー154、用紙サイズ検知センサ35)により認識(設定されまたは検知)されたシートサイズ情報とを比較することにより、印刷に必要なマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量とRAM138に記憶されたマスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、印刷に必要な画像範囲を決定する。このとき、小さい方が印刷に必要な画像範囲である。次いで、決定されたマスタ100の所定量L中のマスタ残量Mを判定し、マスタ残量M(マスタ搬送量M)が所定量Mよりも大きければ、使用可と判断するものである。すなわち、画像範囲にマスタ100のエンドマーク126が無いことを検出する。
ここで、一例として、A3用紙サイズ、A4原稿サイズの場合、A4以上の範囲にマスタ100のエンドマーク126があっても、印刷画像には影響しないので、問題はない。同図中、所定量L、所定量Mの意味するところは、第2および第3の実施形態と同様である。
【0083】
図12において、本実施形態に係る製版・排版移行判定の動作は、ステップS50から始まる。まず、ステップS50において、ADF94の原稿受け台71に原稿72がセットされているか否かがチェックされる。原稿72がセットされていればADF94の作動によって原稿搬送が行われ、CCDで読み取られた画像情報が画像メモリ98に記憶・格納される(ステップS51〜ステップS53)。また、ADF94の作動による原稿搬送モータ81のステップ数から原稿搬送量が計数される。そして、ADF94の原稿受け台71上に原稿72が無いことが、原稿受け台71に配設されている図示しない原稿有無検知センサで検知されると、ADF94による原稿搬送が停止する(ステップS54〜ステップS56)。ステップS54で、原稿搬送モータ81のステップ数から原稿搬送量が計数されているので、原稿72の原稿サイズ情報が取得される(ステップS57)。同時に、使用する用紙Pのサイズが認識され、用紙サイズ情報として取得される(ステップS58)。次いで、ステップS59に進み、用紙サイズが原稿サイズよりも大きいか否かがチェックされ、画像範囲を原稿サイズで算出する(ステップS60)ことと、画像範囲を用紙サイズで算出する(ステップS67)ことが行われる。そして、画像範囲に必要なマスタ100の巻装分としてCPU136はROM137から算出された画像範囲に対応した巻装分として所定量M,Lを呼び出し設定する(ステップS62)。
【0084】
次いで、ステップS63に進み、図8に示したマスタ残量判定処理のサブルーチンプログラムに係る動作が実行され、マスタ残量が判定される(ステップS64)。以下、図11に示した第3の実施形態におけるステップS42、ステップS43、ステップS45〜ステップS47と同様の動作が実行される(ステップS65、ステップS66、ステップS68〜ステップS70)。
【0085】
なお、上記動作説明では、原稿搬送量から原稿72の原稿サイズ情報が取得されたが、これに限定されず、例えば従来から用いられている上記原稿サイズ認識手段があれば、原稿サイズ設定手段(A4原稿サイズ設定キー155、B4原稿サイズ設定キー156)を用いて設定したり、あるいはADF94の原稿受け台71に配置されている原稿サイズ検知センサ73によって自動的に検知することで取得してもよい。この場合、メイン制御装置135(CPU136)は、第5の制御手段として機能する。本実施形態では、上記原稿サイズ認識手段を使用せずに、ADF94に従来から具備されている構成で原稿サイズを取得できるので構成が簡単になるという利点もある。
以上説明したとおり、本実施形態によれば、上記発明の効果欄に記載した効果を奏することは無論である。
【0086】
(第5の実施形態)
図13を参照して、第5の実施形態を説明する。第5の実施形態は、図12に示した第4の実施形態と比較して、ADF94を用いて原稿の画像情報を読み取る場合のみならず、コンタクトガラス82上の原稿の画像情報をCCD93で読み取る場合を含み、メイン制御装置135(CPU136)の第1および第2の制御手段の機能に加えて、以下のように機能する第6の制御手段を用いる点が主に相違する。
【0087】
メイン制御装置135(CPU136)は、上述の第1および第2の制御手段の機能に加えて、CCD93で読み取られた原稿の画像データを画像処理部96で画像処理しながら原稿の画像データを画像メモリ98に記憶させた後、マスタセンサ118によってマスタエンド(エンドマーク126)が検知された場合には、その時点のマスタ搬送時点以降に、ベタ画像があるかどうかを画像メモリ98に記憶されている画像データより検出し、ベタ画像がなかったときに、以降の排版および製版処理を許可すると共に、画像メモリ98に記憶されている画像データを製版処理で使用させる第6の制御手段として機能する。
【0088】
図13に示す本実施形態に係る製版・排版移行判定の動作で、実行される内容の要点を述べると次のとおりある。すなわち、本実施形態では、CCD93で読み取られた原稿の画像データを画像処理部96で画像処理しつつ原稿の画像データを画像メモリ98に記憶させながら、ベタ画像の有無と位置とを取得する。ベタ画像の位置が、マスタ残量判定処理によって算出されたマスタ搬送時点以降の位置であれば、使用可とする。すなわち、ベタ画像範囲にマスタ100のエンドマーク126が無いことを検出する。
また、製版工程では、画像メモリ98に記憶されている画像データを製版処理で使用することで、原稿の再セットを防止し、使用者の利便性を図るものである。同図中、所定量L意味するところは、第2〜第4の実施形態と同様である。所定量Mは、適正印刷物を得るために必要なマスタ搬送量であり、図9に示したL1+ベタ画像位置を意味する。
【0089】
図13において、本実施形態に係る製版・排版移行判定の動作は、ステップS75から始まる。まず、ステップS75において、上述のように読み取られた原稿の画像データの画像処理が行われ、画像処理された画像データが画像メモリ98に記憶・格納される。画像メモリ98に記憶された画像データからベタ画像の位置が特定される(ステップS76〜ステップS77)。そして、画像範囲に必要なマスタ100の巻装分としてCPU136はROM137から算出された画像範囲に対応した巻装分として所定量M,Lを呼び出し設定する(ステップS78、ステップS79)。
【0090】
次いで、ステップS80に進み、図8に示したマスタ残量判定処理のサブルーチンプログラムに係る動作が実行され、マスタ残量が判定される(ステップS81)。以下、図12に示した第4の実施形態におけるステップS65、ステップS66、ステップS68〜ステップS70と同様の動作が実行される(ステップS82、ステップS83、ステップS84〜ステップS86)。
以上説明したとおり、本実施形態によれば、上記発明の効果欄に記載した効果を奏することは無論である。
【0091】
(第6の実施形態)
図14を参照して、第6の実施形態を説明する。第6の実施形態は、第1〜第4の実施形態に、プラテンローラ108に対してサーマルヘッド106を相対的に接離するサーマルヘッド接離手段(図示せず)を新たに用いる点、マスタエンドが検知された箇所が、サーマルヘッド106上を通過する直前に、上記サーマルヘッド接離手段をしてサーマルヘッド106をマスタ100に接触しない位置に移動させる第7の制御手段として機能するメイン制御装置135(CPU136)を用いる点が主に相違する。
上記サーマルヘッド接離手段としては、例えば特開平10−264425号公報の図1および図3に示されている圧解除モータ(29)を備えたプラテンローラ押し圧解除機構(20)を利用することができる。本実施形態では、圧解除モータ(29)に相当するものとして図6にサーマルヘッド圧解除モータ109を示した。
【0092】
図14に示す本実施形態に係る製版工程の動作で、実行される内容の要点を述べると次のとおりある。すなわち、本実施形態の製版工程では、第1〜第4の実施形態におけるマスタ残量判定処理にて算出したマスタ搬送量Mより、サーマルヘッド106上をマスタ100のエンドマーク126が通過する位置を算出し、その直前で、上記サーマルヘッド接離手段をしてサーマルヘッド106をマスタ100に接触しない位置に移動させることで、サーマルヘッド106の耐久性を図るものである。
【0093】
図14において、本実施形態に係る製版工程の動作は、ステップS90から始まる。上述した製版工程において、マスタ搬送モータ105の起動によって、マスタ搬送手段(マスタセットローラ102、プラテンローラ108、テンションローラ対110)が回転駆動されることにより、マスタロール100Aからマスタ100が繰り出し方向Yに搬送される。この際、マスタ搬送モータ105のステップ数等からマスタ搬送量Lが計数される(ステップS91〜ステップS92)。
次いで、ステップS93に進み、マスタ搬送量Lが適正印刷物を得るために必要なマスタ搬送量である所定量Mよりも大きくなったか否かがチェックされる。マスタ搬送量Lが所定量Mよりも大きくなった場合には、マスタ100のエンドマーク126がサーマルヘッド106上を通過する位置であるので、上記サーマルヘッド接離手段をしてサーマルヘッド106をマスタ100に接触しない位置に移動させる(ステップS94)。
次いで、ステップS95に進み、マスタ搬送モータ105のステップ数等からマスタ搬送量Lが計数され、マスタ搬送量Lが所定量Lよりも大きくなった場合には、マスタ搬送を停止することとなる(ステップS97)。
【0094】
通常、マスタ100のエンドマーク126は塗料を塗布して形成されているが、サーマルヘッド106で穿孔製版した場合、通常部分に比較し、僅かではあるが穿孔時のカスが発生する可能性がある。そのため、本実施形態によれば、マスタエンドマーク126がサーマルヘッド106を通過する直前で、サーマルヘッド106をマスタ100と接触しない位置へ移動させることにより、カス付着を防止することができ、もってサーマルヘッド106の耐久性・寿命を向上することができる。
【0095】
以上述べたように、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態あるいは実施例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明を適用した孔版印刷装置の概略的な正面図である。
【図2】図1の孔版印刷装置に具備されている製版ユニット(製版部)の正断面図である。
【図3】図1の孔版印刷装置および図2の製版ユニットで使用するマスタロールのエンドマーク等を示す斜視図である。
【図4】マスタロールのエンドマーク近傍において、マスタが無駄となっている範囲を説明する斜視図である。
【図5】図1の孔版印刷装置に具備されている操作パネルの平面図である。
【図6】第1〜第6の実施形態の孔版印刷装置における制御構成を示すブロック図である。
【図7】マスタロールのエンドマークおよびその近傍において、マスタセンサの出力値の違いを説明する斜視図である。
【図8】第1の実施形態の制御動作を表すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態における印刷ドラム巻装に必要なマスタ搬送量を説明する図である。
【図10】第2の実施形態の制御動作を表すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態の制御動作を表すフローチャートである。
【図12】第4の実施形態の制御動作を表すフローチャートである。
【図13】第5の実施形態の制御動作を表すフローチャートである。
【図14】第6の実施形態の制御動作を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
2 孔版印刷装置
3 装置本体
4 画像読取部
6 印刷ドラム(版胴)
8 製版ユニット(製版装置、製版部)
10 給紙部
12 プレスローラ(押圧手段、押圧部材)
20 排版部(排版手段)
35 用紙サイズ検知センサ(シートサイズ検知手段)
72 原稿
73 原稿サイズ検知センサ(原稿サイズ検知手段)
81 原稿搬送モータ
85 白基準板
93 CCD(画像読取手段)
94 ADF(自動原稿搬送装置)
96 画像処理部(画像処理手段)
98 画像メモリ(画像記憶手段)
100 マスタ
100A マスタロール
105 マスタ搬送モータ(駆動源)
106 サーマルヘッド(製版手段)
108 プラテンローラ(マスタ搬送手段)
109 サーマルヘッド圧解除モータ
115 ワンウェイクラッチ(一方向性回転駆動力伝達手段)
118 マスタセンサ(マスタエンド検知手段)
126 マスタのエンドマーク
127 ロール支持部材(ロール支持手段)
135 メイン制御装置
136 CPU(第1〜第7の制御手段)
137 ROM
138 RAM(記憶手段)
140 操作パネル(操作部)
150 制御選択キー(選択設定手段)
Y 繰り出し方向(マスタ搬送方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタロールに巻かれたマスタ残量の終わりであるマスタエンド位置にエンドマークを付された該マスタロールを回動自在に支持するロール支持手段と、上記ロール支持手段に支持されている上記マスタロールからマスタを繰り出し方向に搬送する駆動源を備えたマスタ搬送手段と、上記マスタロールの上記エンドマークを検知するマスタエンド検知手段と、上記マスタ搬送手段により上記マスタロールから上記繰り出し方向に搬送されたマスタを画像情報に基づいて製版する製版手段と、製版済みのマスタを外周面に巻装する印刷ドラムと、使用済みのマスタを上記印刷ドラムから剥離し排版処理する排版手段とを具備する孔版印刷装置において、
上記マスタロールからのマスタを上記繰り出し方向と逆方向に戻し搬送することが可能に上記駆動源の回転駆動力を上記逆方向にのみ上記マスタロールに伝達する、上記マスタロールまたは上記ロール支持部に設けられた一方向性回転駆動力伝達手段と、
マスタ搬送量を記憶する記憶手段と、
上記マスタエンド検知手段からの信号の出力値に基づいて、上記マスタ残量を算出し、該マスタ残量が一定量以下となった場合であって、製版前に、上記マスタロールからマスタを上記繰り出し方向に所定量搬送するように上記駆動源を制御した後、上記所定量と同量上記逆方向に戻し搬送するように上記駆動源を制御し、マスタの上記所定量搬送中に、上記マスタエンド検知手段によって上記マスタエンドが検知されないときには、以降の上記排版および上記製版処理を許可し、上記マスタエンドが検知されたときには、その時点のマスタ搬送量を上記記憶手段に記憶させると共に以降の上記排版および上記製版処理を禁止する第1の制御手段と、
を有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記マスタエンドが検知された場合に、マスタ無しを報知する報知手段と、
上記マスタエンドが検知された場合に、上記マスタ無しを報知するように上記報知手段を制御する第2の制御手段と、
を有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
使用する上記印刷ドラムのサイズを認識するドラムサイズ認識手段と、
上記ドラムサイズ認識手段により認識された印刷ドラムサイズに基づいて、該印刷ドラムの回転方向における開口部終端まで巻装するためのマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量と上記記憶手段に記憶された上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、上記算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の上記排版および上記製版処理を許可する第3の制御手段と、
を有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
使用する上記印刷ドラムのサイズを認識するドラムサイズ認識手段と、
使用するシートのサイズを認識するシートサイズ認識手段と、
上記ドラムサイズ認識手段により認識された印刷ドラムサイズおよび上記シートサイズ認識手段により認識されたシートサイズに基づいて、印刷に必要なマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量と上記記憶手段に記憶された上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、上記算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の上記排版および上記製版処理を許可する第4の制御手段と、
を有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送手段と、
原稿の画像情報を読み取る画像読取手段と、
上記画像読取手段により読み取られた原稿の画像データを画像処理する画像処理手段と、
上記画像データを記憶する画像記憶手段と、
使用するシートのサイズを認識するシートサイズ認識手段と、
上記自動原稿搬送手段および上記画像処理手段により、セットされた原稿を画像処理を施しながら搬送することで、読み取られた画像データを上記画像記憶手段に記憶し、かつ、原稿サイズ情報を取得し、その後、上記画像記憶手段に記憶されている上記原稿サイズ情報と上記シートサイズ認識手段により認識された用紙サイズ情報とを比較することにより、印刷に必要なマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量と上記記憶手段に記憶された上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、上記算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の上記排版および上記製版処理を許可すると共に、上記画像記憶手段に記憶されている画像データを上記製版処理で使用させる第4の制御手段と、
を有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送手段と、
原稿の画像情報を読み取る画像読取手段と、
上記画像読取手段により読み取られた原稿の画像データを画像処理する画像処理手段と、
上記画像データを記憶する画像記憶手段と、
原稿のサイズを認識する原稿サイズ認識手段と、
使用するシートのサイズを認識するシートサイズ認識手段と、
上記自動原稿搬送手段にセットされた原稿の画像情報を上記画像読取手段により読み取りながら搬送することで、上記画像読取手段により読み取られた画像データに上記画像処理手段によって画像処理を施した上で、画像処理された画像データを上記画像記憶手段に記憶し、上記原稿サイズ認識手段により認識された原稿サイズ情報と上記シートサイズ認識手段により認識された用紙サイズ情報とを比較することにより、印刷に必要なマスタ必要量を算出し、この算出されたマスタ必要量と上記記憶手段に記憶された上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量とを比較し、上記マスタエンド検知時点のマスタ搬送量が、上記算出されたマスタ必要量よりも大きい場合に、以降の上記排版および上記製版処理を許可すると共に、上記画像記憶手段に記憶されている画像データを上記製版処理で使用させる第5の制御手段と、
を有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項7】
請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
原稿の画像情報を読み取る画像読取手段と、
原稿の画像データを画像処理する画像処理手段と、
原稿の画像データを記憶する画像記憶手段と、
原稿の画像データを画像処理しながら原稿の画像データを上記画像記憶手段に記憶させた後、上記マスタエンド検知手段によって上記マスタエンドが検知された場合には、その時点のマスタ搬送時点以降に、ベタ画像があるかどうかを上記画像記憶手段に記憶されている画像データより検出し、ベタ画像がなかったときに、以降の上記排版および上記製版処理を許可すると共に、上記画像記憶手段に記憶されている画像データを上記製版処理で使用させる第6の制御手段と、
を有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項8】
請求項2ないし7の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
上記製版手段は、主走査方向に多数の発熱素子を備えたサーマルヘッドからなり、上記マスタ搬送手段は、上記サーマルヘッドとの間でマスタを挟持しながら回転搬送するプラテンローラからなり、
上記プラテンローラに対して上記サーマルヘッドを相対的に接離するサーマルヘッド接離手段と、
上記マスタエンドが検知された箇所が、上記サーマルヘッド上を通過する直前に、上記サーマルヘッド接離手段をして上記サーマルヘッドをマスタに接触しない位置に移動させる第7の制御手段と、
を有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項9】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記エンドマークは、上記マスタロールからのマスタの繰り出し方向に沿って延びた光吸収性の黒帯状のマークであり、
上記マスタエンド検知手段は、反射型のフォトセンサからなり、
上記マスタは、上記反射型のフォトセンサに設けられている発光素子からの出射光を透過する材料で形成されており、
上記マスタエンド検知手段からの信号の出力値を、少なくとも上記エンドマーク近傍位置での検出に対応した第1の閾値と上記エンドマーク自体の検出に対応した第2の閾値との2段に設定し、第1の制御手段は、上記出力値が第1の閾値よりも小さく、かつ、第2の閾値よりも大きい場合に、上記マスタ搬送手段が上記マスタロールからマスタを上記繰り出し方向に所定量搬送するように上記駆動源を制御し、その搬送中に、上記出力値が第2の閾値よりも小さくなった時点でマスタ無しと判断し、このマスタ無しと判断した時点のマスタ搬送量から、上記マスタ残量を算出することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
上記駆動源は、パルス入力で駆動するモータからなることを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項11】
請求項1ないし8の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
請求項1ないし8の何れか一つに記載の制御を実施するか否かを選択可能とする選択設定手段を有することを特徴とする孔版印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−137131(P2009−137131A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315162(P2007−315162)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)