学習力強化システム
【課題】学習者の言語操作技量を向上させることが可能な学習力強化システムを提供する。
【解決手段】複数の学習者名と、当該複数の学習者を対象に実施された複数教科の試験の結果を各学習者名に関連付けて記憶する試験結果記憶手段と、この試験結果記憶手段に記憶された試験結果である得点を、試験毎に設定された評価目的毎に抽出する得点抽出手段と、この得点抽出手段により抽出した得点に基づいて、学習者の学力を判定する学力判定手段と、前記複数教科の試験問題それぞれに所要の配点で設けられた問題の得点率から、学習する力の根幹となる言語を操る能力である言語操作技量のレベルを判定する言語操作技量判定手段と、を備えた学習力強化システムとした。
【解決手段】複数の学習者名と、当該複数の学習者を対象に実施された複数教科の試験の結果を各学習者名に関連付けて記憶する試験結果記憶手段と、この試験結果記憶手段に記憶された試験結果である得点を、試験毎に設定された評価目的毎に抽出する得点抽出手段と、この得点抽出手段により抽出した得点に基づいて、学習者の学力を判定する学力判定手段と、前記複数教科の試験問題それぞれに所要の配点で設けられた問題の得点率から、学習する力の根幹となる言語を操る能力である言語操作技量のレベルを判定する言語操作技量判定手段と、を備えた学習力強化システムとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習力強化システムに関し、特に、学習する力の根幹となる言語を操る力を養成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、教育(主に中学校の学校教育)の現場では、学習者に対して定期的に複数の教科(例えば、国語、数学、理科、社会、英語)の試験を実施し、その試験結果である得点から算出される正答率により学習者の学力を評価している。
【0003】
また、近年では、CAI(Computer−Aided(Assisted)−Instruction)と称されるコンピュータ等の情報処理装置を用いて、上記複数の教科毎の試験結果を統計的に処理することで、効率のよい学習計画を学習者に提供することが可能な学習システムなどが良く知られている。
【0004】
さらに、上記コンピュータ等の情報処理装置とインターネットを用いて、WBT(Web−Based−Training)と称されるインターネットの技術を利用して試験結果を統計的に処理するだけではなく、その試験結果に応じた学習教材を学習者毎に提供する学習システムなども知られている。
【0005】
そして、上述したCAI又はWBTなどを用いた学習システムの使用形態として、例えば、インターネットを介して試験を行い、その試験結果の正解率(正答率)や、科目ごとの理解度を分析して、それに応じた問題を提供することで学習者の学力の向上を図る学習システムが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−117947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、学校(学習塾なども含む)において授業に参加したり、試験問題に解答したり、家庭学習など自主学習したりして学習者の学力の向上を図るには、学習する力の根幹となる力、言い換えると、学力が蓄積される課程において基盤となる力、すなわち、「言語を操る力」の養成が不可欠である。
【0008】
ここで、「言語を操る力」(以下、「言語操作技量」という)とは、例えば、言語を聞き、話し、読み、書くことによって、意味を理解したり意志や情報を伝達したりする力はもちろん、文章を正確に理解する力、文章の中のキーポイントとなる概念を発掘し、その意味を的確に理解する力、複数の文章で条件付けられたものを総合して的確にイメージを形成する力である。つまり、言語操作技量は、複数の教科全体に共通して必要とされる学習するための力(以下、「学習力」という)であるといえる。
【0009】
このため、上記言語操作技量が極端に低い学習者は、たとえ授業に参加したり、試験問題を解いたり、家庭学習で自主学習したりしても、そもそも学習する力の根幹となる言語操作技量が低いままなので、授業を理解することができなかったり、試験問題に適切に解答することができなかったり、自主学習での成果を定着させることができなかったりして、なかなか学力の向上が望めなかった。すなわち、学習者の学力の向上を図るには、まず、言語操作技量を向上させる必要がある。
【0010】
ところが、上述した特許文献1のような学習システムのように、試験結果の正解率(正答率)や、科目ごとの理解度を分析して、それに応じた学習教材を提供するだけでは、言語操作技量の向上は図れないため、特に言語操作技量の習得レベルが極端に低い学習者にとっては、根本的な学習者の学力の向上には繋がらない。
【0011】
また、上述した従来の学習システムは、あくまで単独教科の試験結果の正解率や理解度に応じた学習教材を提供するものなので、複数の教科全体に共通して学力の向上を図ることはできない。
【0012】
ところが、上述したように言語操作技量は複数の教科全体に共通して必要な学習するための力のため、言語操作技量の向上を図ることで、複数の教科全体における学習者の学力を向上させる効果も期待できる。
【0013】
本発明は、学習する力の根幹となる上記言語操作技量に着目し、その習得レベルを向上させることによって、複数の教科全体に共通して必要な学習力の強化を図り、個々の教科に限らず複数の教科全体における学習者の学力を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の学習者名と、当該複数の学習者を対象に実施された複数教科の試験の結果を各学習者名に関連付けて記憶する試験結果記憶手段と、この試験結果記憶手段に記憶された試験結果である得点を、試験毎に設定された評価目的毎に抽出する得点抽出手段と、この得点抽出手段により抽出した得点に基づいて、学習者の学力を判定する学力判定手段と、前記複数教科の試験問題それぞれに所要の配点で設けられた問題の得点率から、学習する力の根幹となる言語を操る能力である言語操作技量のレベルを判定する言語操作技量判定手段と、を備える学習力強化システムとした。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の学習力強化システムにおいて、複数の学習教材を記憶した学習教材記憶手段と、前記言語操作技量判定手段が判定した言語操作技量のレベルに応じて、言語操作技量を向上させるための学習教材を前記学習教材記憶手段から抽出する学習教材抽出手段と、をさらに備えることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の学習力強化システムにおいて、前記言語操作技量のレベルを測るための基盤問題を、前記各教科の試験問題中に所要の配点で設定したことを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の学習力強化システムにおいて、前記基盤問題は、前記各教科の試験問題中に、それぞれ難度の異なる複数の評価項目毎に設定されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の学習力強化システムにおいて、前記言語操作技量判定手段は、前記基盤問題における前記複数の項目毎の得点率により前記言語操作技量のレベルを判定することを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の学習力強化システムにおいて、前記試験結果記憶手段に記憶された得点に基づいて、少なくとも偏差値を含む学力評価基準を演算する評価基準演算手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の学習力強化システムにおいて、前記学習教材記憶手段は、記憶した前記複数の学習教材にそれぞれ対応する利用ガイダンスを記憶しており、前記学習教材抽出手段は、前記学習教材を抽出する際に、当該学習教材に対応する前記利用ガイダンスについても抽出することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、学習者の学習する力の根幹となる言語操作技量の向上を図ることによって、この言語操作技量の習得レベルの低い学習者の学習力を、特に効率よく強化することができ、さらには個々の教科に限らず複数の教科全体における学習者の学力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る学習力強化システムの構成の概要を示す説明図である。
【図2】同学習力強化システムの処理の流れを示す説明図である。
【図3】同学習力強化システムのブロック図である。
【図4】同学習力強化システムの処理を説明するフローチャートである。
【図5】同学習力強化システムの処理を説明するフローチャートである。
【図6】同学習力強化システムの処理を説明するフローチャートである。
【図7】同学習力強化システムの言語操作技量の習得レベルの決定テーブルである。
【図8】同学習力強化システムの言語操作技量に基づく学習教材の提供パターンの決定テーブルである。
【図9】同学習力強化システムの言語操作技量に基づくパターンに応じて提供される学習教材の決定テーブルである。
【図10】同学習力強化システムの偏差値に基づくパターンに応じて提供される学習教材の決定テーブルである。
【図11】同学習力強化システムの言語操作技量の診断内容を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態に係る学習力強化システムの一例について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態においては、中学校レベルの学習者に対して学習力強化システムを運用した場合について説明する。
【0024】
[1.学習力強化システムの概要]
(概略構成)
まず、本実施形態における学習力強化システムの概要を、図1及び図2を参照して説明する。図1は本実施形態に係る学習力強化システムの構成の概要を示す説明図、図2は同学習力強化システムで実行される主な処理の流れの概要を示す説明図である。
【0025】
本実施形態における学習力強化システム1は、図1に示すように、大別して制御装置2と記憶装置3とを備えて構成されるものであり、例えば、コンピュータやネットワークを構成するサーバなど、CPUやハードディスクやフラッシュメモリなどを備えた情報処理装置を適用することができる。
【0026】
図示するように、制御装置2は、試験結果入力手段、得点抽出手段、学力判定手段、言語操作技量判定手段、評価基準演算手段及び学習教材抽出手段として機能するものであり、記憶装置3は、試験結果記憶手段、学習教材記憶手段として機能するものである。
【0027】
すなわち、本実施形態に係る学習力強化システムは、複数の学習者名と、当該複数の学習者を対象に実施された複数教科の試験の結果を各学習者名に関連付けて記憶する試験結果記憶手段と、この試験結果記憶手段に記憶された試験結果である得点を、試験毎に設定された評価目的毎に抽出する得点抽出手段と、この得点抽出手段により抽出した得点に基づいて、学習者の学力を判定する学力判定手段と、前記複数教科の試験問題それぞれに所要の配点で設けられた問題の得点率から、学習する力の根幹となる言語を操る能力である言語操作技量のレベルを判定する言語操作技量判定手段と、を備えるとともに、複数の学習教材を記憶した学習教材記憶手段と、前記言語操作技量判定手段が判定した言語操作技量のレベルに応じて、言語操作技量を向上させるための学習教材を前記学習教材記憶手段から抽出する学習教材抽出手段と、をさらに備えた構成となっている。
【0028】
また、さらに、本実施形態では、学習力強化システムは、上記各手段に加え、前記試験結果記憶手段に記憶された得点に基づいて、少なくとも偏差値を含む学力評価基準を演算する評価基準演算手段と、試験結果を入力するための試験結果入力手段とを備えた構成としている。
【0029】
(処理の流れ)
図2に示すように、本学習力強化システム1では、まず、学習者に対して学力の測定を実施する(ステップS101)。この学力の測定では複数の教科(例えば、国語、数学、理科、社会、英語)毎の試験が実施される。
【0030】
なお、本実施形態においては、学力の測定(ステップS101)のために実施される複数の教科毎の試験問題には、予め、学習者の言語操作技量のレベル(以下、「習得レベル」ともいう)を測るための問題(以下、「基盤問題」という)が、それぞれ難度の異なる複数の評価項目(例えば、5項目)毎に設定されている。
【0031】
つまり、本実施形態における基盤問題は、単独の教科だけに設定されるのではなく、複数の教科を横断して設定されている。換言すると、複数の教科全体の試験問題に、それぞれ難度の異なる複数の評価項目毎の基盤問題が所要の配点で予め設定されている。
【0032】
そして、詳細は後述するが、本実施形態においては、複数の評価項目(例えば、5項目)毎の得点率に対応して学習者の言語操作技量の習得レベルを判定し、判定された習得レベルに応じた言語操作技量の向上を目的とした専用の学習教材を抽出して提供することで、当該学習者の言語操作技量の向上を図ることを可能としている。
【0033】
次に、学習力強化システム1は、試験結果の入力を実行する(ステップS102)。ここで実行される試験結果の入力は、制御装置2の試験結果入力手段によりなされるものであり、上述したステップS101における学力の測定の結果、つまり、複数の教科毎の試験結果の入力が実行されることになる。そして、ここで入力された試験結果は、複数の学習者毎に、つまり、各学習者名に関連付けられて試験結果記憶手段(記憶装置3)に記憶される。
【0034】
なお、試験結果の入力方法としては、例えば、ステップS101の学力の測定で実行される試験が筆記試験などで実行された場合、当該筆記試験の解答を学習力強化システム1に備えられた試験結果入力手段としての入力装置(例えば、キーボード、スキャナー(図3参照)など)を利用して、各学習者名に関連付けて試験結果記憶手段に記憶することができる。
【0035】
さらに、上記試験結果の他の入力方法として、例えば、学習者毎に個別のパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」とも言う)などの学習者端末を備え、学習力強化システム1とネットワーク(インターネットなどの外部ネットワークを含む)で接続し、学習力強化システムから各学習者端末に配信された試験問題に対して、学習者は各学習者端末に付設された試験結果入力手段としての入力装置(例えば、マウス、キーボード、手書きパッドなど)を利用して試験問題に対する解答を入力し、試験終了時には、各学習者端末で入力された解答を学習力強化システム1に返信するようなシステムを構成して、返信された解答を各学習者名に関連付けて試験結果記憶手段に記憶することができる。
【0036】
続いて、学習力強化システム1の制御装置2は、得点抽出手段として機能して、得点抽出処理を実行する(ステップS103)。ここで実行される得点抽出処理は、各学習者名に関連付けて試験結果記憶手段に記憶された試験結果を採点して得点を算出するとともに、複数の教科毎に設定された評価目的毎に得点を抽出する。なお、このとき、採点に関しては機械的にも行えるが、例えばステップS102における測定結果の入力処理において、採点者が採点結果を入力した結果を利用することもできる。
【0037】
次に、学習力強化システム1の制御装置2は、学力判定手段として機能して、学力判定処理を実行する(ステップS104)。ここで実行される学力判定処理は、上記ステップS103の得点抽出処理で抽出された各学習者の複数の教科毎に設定された評価目的毎の得点に応じて、当該学習者の学力を判定する。ここで、複数の教科毎に設定された評価目的とは、例えば、複数の教科毎の観点別の到達度レベルなどの、学習者の学力の判定に有効な評価目的が設定されるものである。
【0038】
さらに、学習力強化システム1の制御装置2は、言語操作技量判定手段として機能して、言語操作技量判定処理を実行する(ステップS105)。ここで実行される言語操作技量判定処理は、上記ステップS103の得点抽出処理で採点された各学習者の複数の教科毎の得点の中から、上述したように、複数の教科を横断してそれぞれ難度の異なる複数の評価項目毎に所要の配点で予め設定された基盤問題の得点(つまり、基盤問題の正答率)を抽出し、その得点に応じた学習者毎の言語操作技量の習得レベルを判定するのである。
【0039】
ここで、言語操作技量の習得レベルは、詳細は後述するが、学習者毎に複数の項目(例えば、5項目)別に所定の段階(例えば、3段階)に区別されて決定されるものである。そして、ここで決定された言語操作技量の習得レベルに応じて、言語操作技量の習得レベルを向上させるための専用学習教材が当該学習者に提供されることになる。
【0040】
次に、学習力強化システム1の制御装置2は、評価基準演算手段として機能して、評価基準演算処理を実行する(ステップS106)。ここで実行される評価基準演算処理は、上記ステップS103の得点抽出処理で採点された各学習者の複数の教科毎の得点に基づいて、相対的な評価基準の一つである偏差値を演算する。そして、本実施形態においては、詳細は後述するが、各学習者の偏差値に応じた学習教材を提供することで学力の向上を図るようにしている。
【0041】
なお、上記ステップS106の評価基準演算処理で算出される偏差値は、複数の学習者の中における一人の学習者の得点を相対的に判断することできるものであり、例えば、当該試験問題の得点が、全体的に高かった場合でも、或は、低かった場合でも、個々の学習者の得点が、全体の学習者の中でどのレベルに位置するかを相対的に判定できるものである。つまり、個々の学習者の現在の学力を相対的に判定することができるものである。
【0042】
また、本実施形態においては、学習者の学力(学習力)を評価する基準として、試験問題に対する得点、言語操作技量の習得レベルだけではなく、上述した偏差値を評価基準の一つとして、それに応じた学習教材を学習者に提供することで、総合的な学習者の学力(学習力)の向上を図っている。
【0043】
次に、学習力強化システム1の制御装置2は、学習教材抽出手段として機能して、学習教材抽出処理を実行する(ステップS107)。ここで実行される学習教材抽出処理は、上記ステップS104の学力判定処理で判定された各学習者の学力、ステップS105の言語操作技量判定処理で判定された各学習者の言語操作技量の習得レベル、及び上記ステップS106の評価基準演算処理で算出された各学習者の偏差値に基づいて、当該学習者の学力(学習力)を向上させるために最適な学習教材を、学習教材記憶手段から抽出して決定するのである。なお、学習教材の抽出及び決定については後に詳述する。
【0044】
さらに、学習教材抽出処理においては、抽出された学習教材に対応して学習教材記憶手段に記憶されている利用ガイダンスも抽出して決定する。
【0045】
また、ここで決定される利用ガイダンスとは、例えば、学習教材の解説書であったり、複数の学習教材が抽出された場合の学習順序であったり、或は、当該学習者の教育者(例えば、中学校の教師)に対して、当該学習者のウイークポイントを指摘し、それを改善するためのアドバイスであったりというように、様々な態様で学習教材に対応して、予め学習教材記憶手段に記憶されているものである。
【0046】
最後に、学習力強化システム1は、学習教材及び利用ガイダンスの提供処理を実行する(ステップS108)。ここで実行される学習教材及び利用ガイダンスの提供処理では、各学習者に対し、上記学習教材抽出処理(ステップS107)で決定された学習教材及び利用ガイダンスが当該学習者に提供されることになる。
【0047】
また、学習力強化システム1による学習教材及び利用ガイダンスの提供方法としては、例えば、学習教材及び利用ガイダンスを予め印刷しておき、該当する学習教材及び利用ガイダンスを書面として提供したり、学習力強化システム1に付設されたディスプレイ22(図3参照)に学習教材及び利用ガイダンスを表示したり、同様に学習力強化システム1に付設されたプリンタ21(図3参照)などに、学習教材及び利用ガイダンスを出力したりしてもよいし、上述したように、学習力強化システムと学習者端末とでネットワークを構成している場合は、学習者端末に対して学習教材及び利用ガイダンスを送信して提供することも可能である。
【0048】
[2.学習力強化システム1の具体的な構成]
本実施形態に係る学習力強化システム1の具体的な構成を、図3を参照してさらに具体的に説明する。図3は本実施形態における学習力強化システム1の構成を示す説明図である。なお、本実施形態においては、学習力強化システム1としてパソコンを使用した場合を一例として説明する。
【0049】
図3に示すように、本実施形態に係る学習力強化システム1は、制御部10、記憶部11、I/Oインターフェイス12、キーコントローラ14、プリンタコントローラ15、表示コントローラ16、外部通信コントローラ17が設けられている。
【0050】
制御部10は、CPU、ROM及びRAM(図示せず)などから構成されている。そして、ROMには各種情報及び学習力強化システム1を動作させる各種プログラム及び後述する各種テーブルなどが記憶されており、CPUは、このプログラムをROMから読み出して実行することにより、学習力強化システム1の制御装置2(図1参照)として機能することになる。
【0051】
また、制御部10は、前記ROMに記憶されているプログラムに従って学習力強化システム1の動作を制御することにより、本実施形態における各種手段(試験結果入力手段、得点抽出手段、学力判定手段、言語操作技量判定手段、評価基準演算手段及び学習教材抽出手段)として機能する。
【0052】
記憶部11は、例えば、大容量のハードディスクドライブなどが用いられ、試験結果記憶部(試験結果記憶手段)、学習教材記憶部(学習教材記憶手段)及び利用ガイダンス記憶部(利用ガイダンス記憶手段)が所定の領域で割り付けられている。すなわち、記憶部11は、本実施形態における試験結果記憶手段、学習教材記憶手段及び利用ガイダンス記憶手段として機能する記憶装置3(図1参照)である。
【0053】
I/Oインターフェイス12(入出力インターフェイス)は、制御部10と周辺装置(記憶部11、キーコントローラ14、プリンタコントローラ15、表示コントローラ16、外部通信コントローラ17)とのデータの入出力を制御する。
【0054】
キーコントローラ14は、キーボード20の操作を検出すると、所定の検知信号を制御部10へ送信する。また、本実施形態におけるキーボード20は、上述したように、試験結果を試験結果記憶部(試験結果記憶手段)に記憶するために用いられる場合がある。
【0055】
プリンタコントローラ15は、制御部10の指示に従い、所定のデータをプリンタ21に出力させる制御を行う。また、本実施形態におけるプリンタ21は、上述したように、抽出された学習教材を学習者に提供するために用いられる場合がある。
【0056】
表示コントローラ16は、制御部10の指示に従い、ディスプレイ22に所定の情報を表示させる。なお、ディスプレイ22に表示される所定の情報は、本実施形態における学習力強化システム1の動作状況を、管理者(保守、メンテナンス要員を含む)が解るような情報である。
【0057】
外部通信コントローラ17は、外部接続されたスキャナー23と制御部10とのデータの取り込みを制御する。また、本実施形態におけるスキャナー23は、キーボード20と同様に、試験結果を試験結果記憶部(試験結果記憶手段)に記憶するために用いられる場合がある。
【0058】
なお、上述したキーボード20、プリンタ21、ディスプレイ22などは、本発明においてその機能などが制限されるものではなく、一般にパソコンに標準装備されているものであり、マウスなどが含まれる場合もある。
【0059】
また、学習力強化システム1として、サーバなどを使用した場合は、上述したキーボード20、プリンタ21、ディスプレイ22などが装備されない場合があり、本実施形態においては、図1に示す制御装置2及び記憶装置3が最低必須な構成要件である。
【0060】
[3.言語操作技量の診断内容]
ここで、本実施形態における特徴であるところの、言語操作技量を測るための難度の異なる複数の評価項目について、図11を参照して説明する。図11は5項目毎の言語操作技量の診断内容を示す説明図である。
【0061】
図11に示すように、本実施形態においては5項目の評価項目が設けられている。そして、5項目の評価項目には、学習者の学習する力の根幹となる言語操作技量を測るための診断内容が、難度の異なる各評価項目に応じてそれぞれ設定されている。
【0062】
図11に示す5項目の評価項目は、学習者の言語操作技量、例えば、言語を聞き、話し、読み、書くことによって意味を理解したり意志や情報を伝達したりする力、文章を正確に理解する力、文章の中のキーポイントとなる概念を発掘して意味を的確に理解する力、複数の文章で条件付けられたものを総合して的確にイメージを形成する力などを測るために、最も難度の低い項目1から最も難度の高い項目5まで段階的に設定された診断内容を有している。なお、この診断内容は、複数の教科(例えば、国語、数学、理科、社会、英語の5教科)に共通した診断内容である。
【0063】
すなわち、図11に示すように、項目1は最も難度の低い言語操作技量の基本ともいえる評価項目であり、「短い文章や設問の内容や意味を的確に理解できる。」という言語操作技量を評価するための診断内容が設定されている。
【0064】
そして、項目2は項目1よりも難度の高い評価項目であり、「学習の中心となる言葉の内容を正確に理解できる。」という言語操作技量を評価するための診断内容が設定されている。さらに、項目3は項目2よりも難度の高くなっている評価項目であり、「言葉や短い文章の相互の関係や表現されている内容を捉え、その意味するところを把握できる。」という言語操作技量を評価するための診断内容が設定されている。
【0065】
続いて、項目4は概して難度の高い自分の言葉による表現力を問う評価項目であり、「要求される内容の短い文章を作文できる。」という言語操作技量を評価するための診断内容が設定されている。また、項目5は5項目の中でも高い難度の評価項目であり、「長い文章を正確に読み取れる。」という言語操作技量を評価するための診断内容が設定されている。
【0066】
そして、本実施形態においては、上述した難度の異なる診断内容で構成された5項目の評価項目に基づいて、言語操作技量のレベル(習得レベル)を測るための基盤問題が、所要の配点で複数の教科を横断して試験問題に予め設定されている。
【0067】
具体的に説明すると、例えば、項目1の基盤問題の所要の配点は、国語に15点、数学に20点、社会に13点、理科に12点、英語に10点の合計70点というように、複数の教科毎にそれぞれ設定されているのである。同様にして、項目2〜5においてもそれぞれ所要の配点で、複数の教科毎に基盤問題として設定されている。
【0068】
そして、詳細は後述するが、5項目の評価項目毎の合計点に応じて、5項目それぞれの習得レベルを3段階で評価し、それに応じた学習教材を提供することで、学習者の言語操作技量の向上を計っている。
【0069】
なお、複数の評価項目毎の基盤問題の所要の配点の合計点は、かならずしも同じ点数になる必要はなく、例えば、項目1は合計70点、項目2は50点、項目3は75点などのように異なる合計点であってもかまわない。また、複数の教科の全てに基盤問題を設定することが望ましいが、必ず全ての教科に設定される必要はなく、例えば、試験問題の構成によっては、図11に示す評価項目のうちの項目3が設定し難い教科(例えば、英語)を除いて設定される場合があり、また、項目5は、国語に関してのみ設定される場合もある。
【0070】
また、本実施形態においては、複数の診断項目の数を5項目として説明しているが、診断項目の数は5項目に限定されるものではなく、例えば、5項目以上であっても5項目以下であってもよい。さらに、学習者の言語操作技量を測るための基盤問題を作成する場合は、教科毎の特徴に応じた基盤問題の作成要領を、複数の教科に共通して設定された診断項目毎の診断内容に応じてさらに詳細に設定して、この教科毎の作成要領に基づいて基盤問題を作成することが望ましい。
【0071】
[4.学習力強化システム1で実行される処理の具体的な説明]
ここで、学習力強化システム1で実行される特徴的な処理である言語操作技量判定処理(図2、ステップS105)、評価基準演算処理(図2、ステップS106)、学習教材抽出処理(図2、ステップS107)について、図4〜11を参照しながら詳細に説明する。なお、ここでは所定の学習者に対する処理として説明する。
【0072】
図4は言語操作技量判定処理を説明するフローチャート、図5は評価基準演算処理を説明するフローチャート、図6は学習教材抽出処理を説明するフローチャートである。また、図7は言語操作技量の習得レベルの決定テーブル、図8は言語操作技量に基づく学習教材の提供パターンの決定テーブル、図9は言語操作技量に基づくパターンに応じて提供される学習教材の決定テーブル、図10は偏差値に基づくパターンに応じて提供される学習教材の決定テーブルであり、これらの各テーブルは制御部のROMに記憶されている。
【0073】
最初に、図4を参照して、言語操作技量判定処理について詳述する。
【0074】
まず、制御部10のCPUは、所定の学習者の試験結果から、前述した複数の項目毎の得点の抽出を実行する(ステップS201)。この処理において、制御部10のCPUは、複数の教科を横断してそれぞれ難度の異なる複数の評価項目毎に所要の配点で予め設定された基盤問題の得点(つまり、基盤問題の正答率)を抽出する。
【0075】
具体的に説明すると、図11に示す5項目の評価項目毎の基盤問題の得点(つまり、基盤問題の正答率)を抽出して合計するのである。
【0076】
つぎに、制御部10のCPUは、抽出された項目毎の合計点に応じて、それぞれ言語操作技量の習得レベルを決定する(ステップS202)。この処理において、制御部10のCPUは、図7を参照して、所定の学習者の項目毎の合計点が、全ての学習者の項目毎の合計点の分布のどの位置にあるかで、当該学習者の言語操作技量の習得レベルを決定する。
【0077】
具体的に説明すると、図7に示すように、所定の学習者の項目1の合計点が、全ての学習者の項目毎の合計点の分布領域のうち、上位の30%に含まれる場合は、当該学習者の項目1における言語操作技量の習得レベルはA段階を示す「◎」として決定され、中間の65%に含まれる場合は、言語操作技量の習得レベルはB段階を示す「○」が決定される。そして、下位の5%に含まれる場合は、言語操作技量の習得レベルはC段階を示す「△(▲)」が決定される。同様にして、所定の学習者の言語操作技量の3段階の習得レベルが5項目の評価項目毎に順次決定されることになる。
【0078】
ここで、上述したステップS202(言語操作技量の習得レベルを決定する処理)で参照される言語操作技量の評価テーブル(図7)について説明する。
【0079】
本実施形態における言語操作技量の評価は、図7に示すように、5項目の評価項目ごとに3段階の習得レベルで表わしている。なお、習得レベルを決定する為の項目毎の合計点の分布領域を示す数字は一様ではない。
【0080】
具体的に説明すると、項目1においては、上位30%の分布領域に含まれている場合は、習得レベルが「A段階(◎)」として決定されるのに対して、項目2では上位20%、項目3及び項目4では上位10%、そして、項目5では上位20%の分布領域に含まれている場合に、習得レベルが「A段階(◎)」として決定される。
【0081】
そして、「B段階(○)」として決定される項目毎の分布領域も、項目1では65%、項目2及び項目3では60%、項目4では80%、そして、項目5では55%というように異なる数字が振り分けられている。さらに、「C段階(△)」として決定される項目毎の分布領域は、項目1では5%、項目2では20%、項目3では30%、項目4では10%、そして、項目5では25%としている。
【0082】
これは、実際の試験結果から評価項目毎の難度の差に応じて振り分けられた数字であり、難度の最も低い項目1から、項目2、項目3と難度が高くなるにつれて、「C段階(△)」に振り分けられる数字が多くなる一方、「A段階(◎)」に振り分けられる数字(%)は低くなっている。また、項目4及び項目5については、複数の教科全部に基盤問題を設定することが出来ない場合があるため、「A段階(◎)」、「B段階(○)」そして「C段階(△)」として振り分けられる数字は、項目1〜3に振り分けられる数字と比較して異なる数字になっている。
【0083】
図4を参照した言語操作技量判定処理の説明に戻る。
【0084】
ステップS202で言語操作技量の習得レベルを決定した後、制御部10のCPUは、決定された所定の学習者の項目毎の言語操作技量の習得レベルから、当該学習者に提供する学習教材のパターンを決定する(ステップS203)。この処理において、制御部10のCPUは、図8を参照して、所定の学習者の項目毎の言語操作技量の習得レベルから、当該学習者に提供する学習教材の提供パターンを決定する。
【0085】
具体的に説明すると、例えば、所定の学習者の項目1の習得レベルが「A段階(◎)」、項目2の習得レベルが「B段階(○)」そして項目3の習得レベルが「C段階(△)」の場合は、図8に示すように、当該学習者に提供する学習教材の提供パターンは「B」が決定されることになる。そして、この処理が終了すると言語操作技量判定処理を終了する。
【0086】
なお、ここで決定された学習教材の提供パターンは、後述の学習教材抽出処理(図6参照)で参照され、学習者に対して提供される学習教材が抽出されることになる。
【0087】
ここで、上述した学習者に提供する学習教材のパターンを決定(ステップS203)する処理で参照される学習教材の提供パターン決定テーブル(図8参照)について説明する。なお、図8中の項目4及び項目5の「ANY」は、習得レベルが3段階のいずれでもよい場合である
【0088】
図8に示すように、本実施形態においては、「A」〜「E」の5種類の学習教材の提供パターンが設定されている。この学習教材の提供パターンの決定には一定の条件がある。
【0089】
すなわち、パターン「A」が決定される条件は、項目1の習得レベルが「C段階(▲)」の場合か、又は、項目2及び項目3の習得レベルがいずれも「C段階(△)」の場合である。なお、本実施形態においては、図8中において、項目1の習得レベルのみ最低のレベルを示す「C段階(▲)」と記し、他の項目2〜5の習得レベルにおいては「C段階(△)」と記しているが、この理由についての詳細は後述する。
【0090】
また、パターン「B」が決定される条件は、項目2又は項目3のいずれか一つでも習得レベルの「C段階(△)」が含まれている場合である。
【0091】
また、パターン「C」が決定される条件は、項目1〜3のいずれの習得レベルも「B段階(○)」以上ではあるが、習得レベル「A段階(◎)」が一つ以下の場合である。
【0092】
また、パターン「D」が決定される条件は、項目1〜3のいずれの習得レベルも「B段階(○)」以上で、なおかつ、「A段階(◎)」が二つ以上の場合か、又は、項目1〜3の全ての習得レベルは「A段階(◎)」であるが、項目4又は項目5のいずれかに習得レベル「C段階(△)」が含まれていた場合である。
【0093】
最後に、パターン「E」が決定される条件は、項目1〜3の全ての習得レベルが「A段階(◎)」であり、なおかつ、項目4又は項目5の習得レベルが「B段階(○)」以上の場合である。
【0094】
すなわち、本実施形態においては、図8に示すように5項目の評価項目に応じた3段階の習得レベルによって、学習者に提供される学習教材の5種類の提供パターン(つまり、パターン「A」〜パターン「E」)が決定されることになる。
【0095】
次に、図5を参照して、評価基準演算処理について詳述する。
【0096】
まず、制御部10のCPUは、所定の学習者の試験結果の得点と学習者全体の得点分布とから偏差値を算出する処理を実行する(ステップS301)。この処理において、制御部10のCPUは、所定の学習者の複数の教科毎の得点から、相対的な評価基準の一つである偏差値を導出することになる。
【0097】
そして、制御部10のCPUは、所定の学習者の複数の教科毎に算出された偏差値に基づいて、提供する学習教材のパターンを決定(ステップS302)する。この処理において、制御部10のCPUは、図10を参照して、所定の学習者の複数の教科毎の偏差値に応じて、当該学習者に提供する学習教材の提供パターンを決定する。
【0098】
具体的に説明すると、図10に示すように、所定の学習者の偏差値が44以下の場合は、当該学習者に提供する学習教材の提供パターンは「I」が決定され、偏差値が45以上なおかつ54以下の場合は、学習教材の提供パターンは「II」が決定される。そして、偏差値が55以上の場合は、学習教材の提供パターンは「III」が決定されることになる。そして、この処理が終了すると評価基準演算処理を終了する。
【0099】
また、ここで決定された、偏差値に基づいた学習教材の提供パターンは、後述の学習教材抽出処理(図6参照)で参照され、学習者に対して提供される学習教材が抽出されることになる。
【0100】
最後に、図6を参照して、学習教材抽出処理について詳述する。
【0101】
まず、制御部10のCPUは、上述した言語操作技量判定処理(図4参照)において、言語操作技量の習得レベルに基づいて決定された学習教材の提供パターンから学習教材を抽出する処理を実行する(ステップS401)。この処理において、制御部10のCPUは、図9を参照して、記憶部11(学習教材記憶手段)に記憶されている複数の学習教材の中から、提供パターン(パターンA〜パターンE)に応じた学習教材を決定する。
【0102】
すなわち、図9に示すように、提供パターンが「A」の場合は、言語操作技量の向上を図る学習教材として、『ことば』編の初級及び中級の学習教材、『読む』編の初級の学習教材、そして、『書く』編の初級の学習教材が決定される。
【0103】
また、提供パターンが「B」の場合は、言語操作技量の向上を図る学習教材として、『ことば』編の初級、中級及び上級の学習教材、『読む』編の初級及び中級の学習教材、そして、『書く』編の初級及び中級の学習教材が決定される。
【0104】
そして、提供パターンが「C」の場合は、言語操作技量の向上を図る学習教材として、『ことば』編の上級の学習教材、『読む』編の中級の学習教材、そして、『書く』編の中級の学習教材が決定される。
【0105】
また、提供パターンが「D」の場合は、言語操作技量の向上を図る学習教材として、『ことば』編の上級の学習教材、『読む』編の中級及び上級の学習教材、そして、『書く』編の中級及び上級の学習教材が決定される。
【0106】
最後に、提供パターンが「E」の場合は、言語操作技量の向上を図る学習教材として、『読む』編の上級の学習教材、そして、『書く』編の上級の学習教材が決定されることになる。
【0107】
なお、学習者に提供される言語操作技量の向上を計る学習教材は、図11に示す難度の異なる5項目の診断項目に沿って作成されており、例えば、学習教材の提供パターンが「A」の学習者に提供される『ことば』編の初級、『読む』編の初級、そして、『書く』編の初級の学習教材は、特に項目1の診断内容であるところの「短い文章や設問の内容や意味を的確に理解できる。」を強化するため、言い換えると、言語操作技量の最も基礎を強化するための学習教材である。
【0108】
そして、制御部10のCPUは、上述した評価基準演算処理(図5参照)において、所定の学習者の偏差値に基づいて決定された学習教材の提供パターンから学習教材を抽出(ステップS402)する処理を実行する。この処理において、制御部10のCPUは、図10を参照して、学習教材記憶手段に記憶されている複数の学習教材の中から、複数の教科毎の提供パターン(パターンI〜パターンIII)に応じた学習教材を決定する。
【0109】
すなわち、図10に示すように、提供パターンが「I」の場合は、各教科初級レベル教材が、提供パターンが「II」の場合は、各教科標準レベル教材が、そして、提供パターンが「III」の場合は、各教科上級レベル教材が、学習者に提供される学習教材として決定されることになる。
【0110】
そして、制御部10のCPUは、決定された学習教材に応じた利用ガイダンスを抽出(ステップS403)する処理を実行する。この処理において、制御部10のCPUは、上記ステップS401又はステップS402の処理で決定された学習教材に応じた利用ガイダンスを、学習教材記憶手段に記憶されている複数の利用ガイダンスの中から決定する。そして、この処理が終了すると、学習教材抽出処理を終了する。
【0111】
なお、上記ステップS403の処理で決定される利用ガイダンスは、学習教材記憶手段の記憶されている全ての学習教材に関連付けられて学習教材記憶手段に記憶されているものではなく、例えば、難度の高い学習教材にのみ解説書として学習教材記憶手段に記憶されている場合もある。
【0112】
ここで、図8において、項目1の習得レベルのみ、最低のレベルであるC段階を示すマークとして「▲」と記し、他の項目2〜5の習得レベルにおいては「△」と記している理由について説明する。
【0113】
本実施形態において、図8中の項目1の最低の習得レベルのみ「▲」と記して他の項目と区別した理由は、本出願人が学習者の学習力を向上させるために言語操作技量の重要性に着目したことの根拠と言えるものである。
【0114】
すなわち、項目1の診断項目「短い文章や設問の内容や意味を的確に理解できる。」(図11参照)は、最も難度の低い言語操作技量の基本ともいえる言語操作技量を評価するためのものである。よって、この項目1において最低の「C段階▲」と評価された学習者は、言語操作技量の基本が備わっていないことになる。
【0115】
本出願人が実際に行われた試験結果を、図11に設定されている診断内容に従って分析したところ、被験者の総数「20081名」のうち、項目1において最低の「C段階▲」と評価された学習者の数は「632名」、項目2において最低の「C段階△」と評価された学習者の数は「3515名」、以下、項目3では「6317名」、項目4では「2419名」、項目5では「5222名」という結果が得られた。
【0116】
さらに、各項目で3段階(つまり、「A段階(◎)」、「B段階(○)」、「C段階(△(▲))」)に評価された結果に基づいて、学習者毎の項目間の相関関係を分析したところ、例えば、項目1で「B段階(○)」と評価された学習者が、それより難度の高い項目2では「A段階(◎)」と評価されたり、あるいは、項目2で「C段階(△)」と評価されたり学習者が、それより難度の高い項目3では「B段階(○)」と評価されたりすることはあっても、項目1で最低の「C段階(▲)」と評価された学習者は、残りの項目2〜5においても全て最低の「C段階(△)」に含まれていることが判明した。
【0117】
つまり、項目1で最低の「C段階(▲)」と評価された学習者、つまり、言語操作技量の基本が備わっていない学習者は、「短い文章や設問の内容や意味を的確に理解できる。」(図11参照)という基本の言語操作技量を養成しない限り、従来の試験結果の得点や偏差値に応じた学習教材では、それ以上の学力の向上は望めない。
【0118】
それに対して、学習者の初期(小学校、中学校)の教育の段階で、言語操作技量の基本を養成することができれば、授業に参加した場合の理解能力を高め、試験問題に適切に解答することができ、さらに、家庭学習で自主学習の成果を定着させることに繋がるので、言語操作技量の習得レベルの低い学習者の学力の向上が望める。
【0119】
また、学習者毎の項目間の相関関係から、項目間、特に項目1、項目2、項目3においては強い相関(例えば、項目1で「B段階(○)」と評価された学習者は、項目2及び項目3でも大多数が「B段階(○)」である)があるという分析結果が得られたため、学習者の言語操作技量の向上を図ることで、複数の教科全体の学力の向上も図ることができる。
【0120】
上述してきたように、本実施形態における学習力強化システム1は、学習者の学力の向上を図るには、学習する力の根幹となる言語操作技量の養成が不可欠であることに着目し、言語操作技量の習得レベルを測るための基盤問題を複数の教科を横断して設定した試験を実施し、該試験結果から基盤問題の得点を抽出して学習者の言語操作技量の習得レベルを特定して、それに応じた学習教材を提供することで、特に言語操作技量が低い学習者に対して、言語操作技量の習得レベルの向上を図ることにより、学力向上の根幹となる学習力を強化することができる。
【0121】
また、本実施形態においては、学習者の言語操作技量を測るための基盤問題を、予め複数の教科を横断して試験問題に所要の配点で設定し、この基盤問題の得点(回答率)により学習者の言語操作技量の習得レベルを決定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、基盤問題が予め設定されていない試験問題に対しても、図11に示す複数の項目毎の診断内容に応じた問題の得点(回答率)を抽出して、それに応じて学習者の言語操作技量の習得レベルを決定してもよい。
【0122】
また、本実施形態においては、言語操作技量の向上を図るための学習教材を提供するだけではなく、学習者の偏差値に応じた従来の学習教材も提供するようにしているため、言語操作技量の向上と同時に、複数の教科のうち、特に学習者が不得手とする教科に絞って学力を向上させることが可能である。
【0123】
また、上述したように言語操作技量は複数の教科全体に共通して必要な学習するための力のため、言語操作技量の向上を図ることで、複数の教科全体における学習者の学習力を向上させる効果も期待できる。
【0124】
上述してきたように、本実施形態によれば、以下の効果が期待できる。
【0125】
(1)複数の学習者名と、当該複数の学習者を対象に実施された複数教科の試験の結果を各学習者名に関連付けて記憶する試験結果記憶手段(記憶装置3、記憶部11)と、この試験結果記憶手段に記憶された試験結果である得点を、試験毎に設定された評価目的毎に抽出する得点抽出手段(制御装置2、制御部10のCPU)と、この得点抽出手段により抽出した得点に基づいて、学習者の学力を判定する学力判定手段(制御装置2、制御部10のCPU)と、前記複数教科の試験問題それぞれに所要の配点で設けられた問題の得点率から、学習する力の根幹となる言語を操る能力である言語操作技量のレベルを判定する言語操作技量判定手段(制御装置2、制御部10のCPU)を備える学習力強化システム1としたので、例えば、学習者の言語操作技量を正確に測定することができる。
【0126】
(2)複数の学習教材を記憶した学習教材記憶手段(記憶装置3、記憶部11)と、前記言語操作技量判定手段(制御装置2、制御部10のCPU)が判定した言語操作技量のレベルに応じて、言語操作技量を向上させるための学習教材を前記学習教材記憶手段から抽出する学習教材抽出手段(制御装置2、制御部10のCPU)をさらに備えることにより、例えば、現在の学習者の言語操作技量を、より効果的に向上させることが可能な学習教材を抽出することができる。
【0127】
(3)前記言語操作技量のレベルを測るための基盤問題を、前記各教科の試験問題中に所要の配点で設定したことにより、例えば、学習者の得て不得手な教科に関わらず、学習者の言語操作技量を測ることを可能としている。
【0128】
(4)前記基盤問題は、前記各教科の試験問題中に、それぞれ難度の異なる複数の評価項目毎に設定することにより、例えば、学習者の言語操作技量のレベル(習得レベル)を、難度の異なる評価項目毎に判別することができる。
【0129】
(5)前記言語操作技量判定手段(制御装置2、制御部10のCPU)は、前記基盤問題における前記複数の項目毎の得点率により前記言語操作技量のレベルを判定することにより、例えば、復習の学習者の複数の項目毎の得点率の分布の中で、個々の学習者の得点率を一定の基準で判別することにより、学習者の言語操作技量のレベル(習得レベル)を正確に判別することが容易となる。
【0130】
(6)前記試験結果記憶手段(記憶装置3、記憶部11)に記憶された得点に基づいて、少なくとも偏差値を含む学力評価基準を演算する評価基準演算手段(制御装置2、制御部10のCPU)をさらに備えることにより、学習者の学力(学習力)を、言語操作技量のレベル(習得レベル)だけではなく、学習者の偏差値(つまり、相対評価)においても評価することができる。
【0131】
(7)前記学習教材記憶手段(記憶装置3、記憶部11)は、記憶した前記複数の学習教材にそれぞれ対応する利用ガイダンスを記憶しており、前記学習教材抽出手段は、前記学習教材を抽出する際に、当該学習教材に対応する前記利用ガイダンスについても抽出することにより、例えば、学習者の言語操作技量のレベル(習得レベル)又は偏差値などに応じて抽出された学習教材に対する学習効率を向上させることができる。
【0132】
以上、各実施形態を通して本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0133】
1 学習力強化システム1
2 制御装置
3 記憶装置
10 制御部
11 記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習力強化システムに関し、特に、学習する力の根幹となる言語を操る力を養成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、教育(主に中学校の学校教育)の現場では、学習者に対して定期的に複数の教科(例えば、国語、数学、理科、社会、英語)の試験を実施し、その試験結果である得点から算出される正答率により学習者の学力を評価している。
【0003】
また、近年では、CAI(Computer−Aided(Assisted)−Instruction)と称されるコンピュータ等の情報処理装置を用いて、上記複数の教科毎の試験結果を統計的に処理することで、効率のよい学習計画を学習者に提供することが可能な学習システムなどが良く知られている。
【0004】
さらに、上記コンピュータ等の情報処理装置とインターネットを用いて、WBT(Web−Based−Training)と称されるインターネットの技術を利用して試験結果を統計的に処理するだけではなく、その試験結果に応じた学習教材を学習者毎に提供する学習システムなども知られている。
【0005】
そして、上述したCAI又はWBTなどを用いた学習システムの使用形態として、例えば、インターネットを介して試験を行い、その試験結果の正解率(正答率)や、科目ごとの理解度を分析して、それに応じた問題を提供することで学習者の学力の向上を図る学習システムが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−117947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、学校(学習塾なども含む)において授業に参加したり、試験問題に解答したり、家庭学習など自主学習したりして学習者の学力の向上を図るには、学習する力の根幹となる力、言い換えると、学力が蓄積される課程において基盤となる力、すなわち、「言語を操る力」の養成が不可欠である。
【0008】
ここで、「言語を操る力」(以下、「言語操作技量」という)とは、例えば、言語を聞き、話し、読み、書くことによって、意味を理解したり意志や情報を伝達したりする力はもちろん、文章を正確に理解する力、文章の中のキーポイントとなる概念を発掘し、その意味を的確に理解する力、複数の文章で条件付けられたものを総合して的確にイメージを形成する力である。つまり、言語操作技量は、複数の教科全体に共通して必要とされる学習するための力(以下、「学習力」という)であるといえる。
【0009】
このため、上記言語操作技量が極端に低い学習者は、たとえ授業に参加したり、試験問題を解いたり、家庭学習で自主学習したりしても、そもそも学習する力の根幹となる言語操作技量が低いままなので、授業を理解することができなかったり、試験問題に適切に解答することができなかったり、自主学習での成果を定着させることができなかったりして、なかなか学力の向上が望めなかった。すなわち、学習者の学力の向上を図るには、まず、言語操作技量を向上させる必要がある。
【0010】
ところが、上述した特許文献1のような学習システムのように、試験結果の正解率(正答率)や、科目ごとの理解度を分析して、それに応じた学習教材を提供するだけでは、言語操作技量の向上は図れないため、特に言語操作技量の習得レベルが極端に低い学習者にとっては、根本的な学習者の学力の向上には繋がらない。
【0011】
また、上述した従来の学習システムは、あくまで単独教科の試験結果の正解率や理解度に応じた学習教材を提供するものなので、複数の教科全体に共通して学力の向上を図ることはできない。
【0012】
ところが、上述したように言語操作技量は複数の教科全体に共通して必要な学習するための力のため、言語操作技量の向上を図ることで、複数の教科全体における学習者の学力を向上させる効果も期待できる。
【0013】
本発明は、学習する力の根幹となる上記言語操作技量に着目し、その習得レベルを向上させることによって、複数の教科全体に共通して必要な学習力の強化を図り、個々の教科に限らず複数の教科全体における学習者の学力を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の学習者名と、当該複数の学習者を対象に実施された複数教科の試験の結果を各学習者名に関連付けて記憶する試験結果記憶手段と、この試験結果記憶手段に記憶された試験結果である得点を、試験毎に設定された評価目的毎に抽出する得点抽出手段と、この得点抽出手段により抽出した得点に基づいて、学習者の学力を判定する学力判定手段と、前記複数教科の試験問題それぞれに所要の配点で設けられた問題の得点率から、学習する力の根幹となる言語を操る能力である言語操作技量のレベルを判定する言語操作技量判定手段と、を備える学習力強化システムとした。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の学習力強化システムにおいて、複数の学習教材を記憶した学習教材記憶手段と、前記言語操作技量判定手段が判定した言語操作技量のレベルに応じて、言語操作技量を向上させるための学習教材を前記学習教材記憶手段から抽出する学習教材抽出手段と、をさらに備えることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の学習力強化システムにおいて、前記言語操作技量のレベルを測るための基盤問題を、前記各教科の試験問題中に所要の配点で設定したことを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の学習力強化システムにおいて、前記基盤問題は、前記各教科の試験問題中に、それぞれ難度の異なる複数の評価項目毎に設定されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の学習力強化システムにおいて、前記言語操作技量判定手段は、前記基盤問題における前記複数の項目毎の得点率により前記言語操作技量のレベルを判定することを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の学習力強化システムにおいて、前記試験結果記憶手段に記憶された得点に基づいて、少なくとも偏差値を含む学力評価基準を演算する評価基準演算手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の学習力強化システムにおいて、前記学習教材記憶手段は、記憶した前記複数の学習教材にそれぞれ対応する利用ガイダンスを記憶しており、前記学習教材抽出手段は、前記学習教材を抽出する際に、当該学習教材に対応する前記利用ガイダンスについても抽出することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、学習者の学習する力の根幹となる言語操作技量の向上を図ることによって、この言語操作技量の習得レベルの低い学習者の学習力を、特に効率よく強化することができ、さらには個々の教科に限らず複数の教科全体における学習者の学力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る学習力強化システムの構成の概要を示す説明図である。
【図2】同学習力強化システムの処理の流れを示す説明図である。
【図3】同学習力強化システムのブロック図である。
【図4】同学習力強化システムの処理を説明するフローチャートである。
【図5】同学習力強化システムの処理を説明するフローチャートである。
【図6】同学習力強化システムの処理を説明するフローチャートである。
【図7】同学習力強化システムの言語操作技量の習得レベルの決定テーブルである。
【図8】同学習力強化システムの言語操作技量に基づく学習教材の提供パターンの決定テーブルである。
【図9】同学習力強化システムの言語操作技量に基づくパターンに応じて提供される学習教材の決定テーブルである。
【図10】同学習力強化システムの偏差値に基づくパターンに応じて提供される学習教材の決定テーブルである。
【図11】同学習力強化システムの言語操作技量の診断内容を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態に係る学習力強化システムの一例について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態においては、中学校レベルの学習者に対して学習力強化システムを運用した場合について説明する。
【0024】
[1.学習力強化システムの概要]
(概略構成)
まず、本実施形態における学習力強化システムの概要を、図1及び図2を参照して説明する。図1は本実施形態に係る学習力強化システムの構成の概要を示す説明図、図2は同学習力強化システムで実行される主な処理の流れの概要を示す説明図である。
【0025】
本実施形態における学習力強化システム1は、図1に示すように、大別して制御装置2と記憶装置3とを備えて構成されるものであり、例えば、コンピュータやネットワークを構成するサーバなど、CPUやハードディスクやフラッシュメモリなどを備えた情報処理装置を適用することができる。
【0026】
図示するように、制御装置2は、試験結果入力手段、得点抽出手段、学力判定手段、言語操作技量判定手段、評価基準演算手段及び学習教材抽出手段として機能するものであり、記憶装置3は、試験結果記憶手段、学習教材記憶手段として機能するものである。
【0027】
すなわち、本実施形態に係る学習力強化システムは、複数の学習者名と、当該複数の学習者を対象に実施された複数教科の試験の結果を各学習者名に関連付けて記憶する試験結果記憶手段と、この試験結果記憶手段に記憶された試験結果である得点を、試験毎に設定された評価目的毎に抽出する得点抽出手段と、この得点抽出手段により抽出した得点に基づいて、学習者の学力を判定する学力判定手段と、前記複数教科の試験問題それぞれに所要の配点で設けられた問題の得点率から、学習する力の根幹となる言語を操る能力である言語操作技量のレベルを判定する言語操作技量判定手段と、を備えるとともに、複数の学習教材を記憶した学習教材記憶手段と、前記言語操作技量判定手段が判定した言語操作技量のレベルに応じて、言語操作技量を向上させるための学習教材を前記学習教材記憶手段から抽出する学習教材抽出手段と、をさらに備えた構成となっている。
【0028】
また、さらに、本実施形態では、学習力強化システムは、上記各手段に加え、前記試験結果記憶手段に記憶された得点に基づいて、少なくとも偏差値を含む学力評価基準を演算する評価基準演算手段と、試験結果を入力するための試験結果入力手段とを備えた構成としている。
【0029】
(処理の流れ)
図2に示すように、本学習力強化システム1では、まず、学習者に対して学力の測定を実施する(ステップS101)。この学力の測定では複数の教科(例えば、国語、数学、理科、社会、英語)毎の試験が実施される。
【0030】
なお、本実施形態においては、学力の測定(ステップS101)のために実施される複数の教科毎の試験問題には、予め、学習者の言語操作技量のレベル(以下、「習得レベル」ともいう)を測るための問題(以下、「基盤問題」という)が、それぞれ難度の異なる複数の評価項目(例えば、5項目)毎に設定されている。
【0031】
つまり、本実施形態における基盤問題は、単独の教科だけに設定されるのではなく、複数の教科を横断して設定されている。換言すると、複数の教科全体の試験問題に、それぞれ難度の異なる複数の評価項目毎の基盤問題が所要の配点で予め設定されている。
【0032】
そして、詳細は後述するが、本実施形態においては、複数の評価項目(例えば、5項目)毎の得点率に対応して学習者の言語操作技量の習得レベルを判定し、判定された習得レベルに応じた言語操作技量の向上を目的とした専用の学習教材を抽出して提供することで、当該学習者の言語操作技量の向上を図ることを可能としている。
【0033】
次に、学習力強化システム1は、試験結果の入力を実行する(ステップS102)。ここで実行される試験結果の入力は、制御装置2の試験結果入力手段によりなされるものであり、上述したステップS101における学力の測定の結果、つまり、複数の教科毎の試験結果の入力が実行されることになる。そして、ここで入力された試験結果は、複数の学習者毎に、つまり、各学習者名に関連付けられて試験結果記憶手段(記憶装置3)に記憶される。
【0034】
なお、試験結果の入力方法としては、例えば、ステップS101の学力の測定で実行される試験が筆記試験などで実行された場合、当該筆記試験の解答を学習力強化システム1に備えられた試験結果入力手段としての入力装置(例えば、キーボード、スキャナー(図3参照)など)を利用して、各学習者名に関連付けて試験結果記憶手段に記憶することができる。
【0035】
さらに、上記試験結果の他の入力方法として、例えば、学習者毎に個別のパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」とも言う)などの学習者端末を備え、学習力強化システム1とネットワーク(インターネットなどの外部ネットワークを含む)で接続し、学習力強化システムから各学習者端末に配信された試験問題に対して、学習者は各学習者端末に付設された試験結果入力手段としての入力装置(例えば、マウス、キーボード、手書きパッドなど)を利用して試験問題に対する解答を入力し、試験終了時には、各学習者端末で入力された解答を学習力強化システム1に返信するようなシステムを構成して、返信された解答を各学習者名に関連付けて試験結果記憶手段に記憶することができる。
【0036】
続いて、学習力強化システム1の制御装置2は、得点抽出手段として機能して、得点抽出処理を実行する(ステップS103)。ここで実行される得点抽出処理は、各学習者名に関連付けて試験結果記憶手段に記憶された試験結果を採点して得点を算出するとともに、複数の教科毎に設定された評価目的毎に得点を抽出する。なお、このとき、採点に関しては機械的にも行えるが、例えばステップS102における測定結果の入力処理において、採点者が採点結果を入力した結果を利用することもできる。
【0037】
次に、学習力強化システム1の制御装置2は、学力判定手段として機能して、学力判定処理を実行する(ステップS104)。ここで実行される学力判定処理は、上記ステップS103の得点抽出処理で抽出された各学習者の複数の教科毎に設定された評価目的毎の得点に応じて、当該学習者の学力を判定する。ここで、複数の教科毎に設定された評価目的とは、例えば、複数の教科毎の観点別の到達度レベルなどの、学習者の学力の判定に有効な評価目的が設定されるものである。
【0038】
さらに、学習力強化システム1の制御装置2は、言語操作技量判定手段として機能して、言語操作技量判定処理を実行する(ステップS105)。ここで実行される言語操作技量判定処理は、上記ステップS103の得点抽出処理で採点された各学習者の複数の教科毎の得点の中から、上述したように、複数の教科を横断してそれぞれ難度の異なる複数の評価項目毎に所要の配点で予め設定された基盤問題の得点(つまり、基盤問題の正答率)を抽出し、その得点に応じた学習者毎の言語操作技量の習得レベルを判定するのである。
【0039】
ここで、言語操作技量の習得レベルは、詳細は後述するが、学習者毎に複数の項目(例えば、5項目)別に所定の段階(例えば、3段階)に区別されて決定されるものである。そして、ここで決定された言語操作技量の習得レベルに応じて、言語操作技量の習得レベルを向上させるための専用学習教材が当該学習者に提供されることになる。
【0040】
次に、学習力強化システム1の制御装置2は、評価基準演算手段として機能して、評価基準演算処理を実行する(ステップS106)。ここで実行される評価基準演算処理は、上記ステップS103の得点抽出処理で採点された各学習者の複数の教科毎の得点に基づいて、相対的な評価基準の一つである偏差値を演算する。そして、本実施形態においては、詳細は後述するが、各学習者の偏差値に応じた学習教材を提供することで学力の向上を図るようにしている。
【0041】
なお、上記ステップS106の評価基準演算処理で算出される偏差値は、複数の学習者の中における一人の学習者の得点を相対的に判断することできるものであり、例えば、当該試験問題の得点が、全体的に高かった場合でも、或は、低かった場合でも、個々の学習者の得点が、全体の学習者の中でどのレベルに位置するかを相対的に判定できるものである。つまり、個々の学習者の現在の学力を相対的に判定することができるものである。
【0042】
また、本実施形態においては、学習者の学力(学習力)を評価する基準として、試験問題に対する得点、言語操作技量の習得レベルだけではなく、上述した偏差値を評価基準の一つとして、それに応じた学習教材を学習者に提供することで、総合的な学習者の学力(学習力)の向上を図っている。
【0043】
次に、学習力強化システム1の制御装置2は、学習教材抽出手段として機能して、学習教材抽出処理を実行する(ステップS107)。ここで実行される学習教材抽出処理は、上記ステップS104の学力判定処理で判定された各学習者の学力、ステップS105の言語操作技量判定処理で判定された各学習者の言語操作技量の習得レベル、及び上記ステップS106の評価基準演算処理で算出された各学習者の偏差値に基づいて、当該学習者の学力(学習力)を向上させるために最適な学習教材を、学習教材記憶手段から抽出して決定するのである。なお、学習教材の抽出及び決定については後に詳述する。
【0044】
さらに、学習教材抽出処理においては、抽出された学習教材に対応して学習教材記憶手段に記憶されている利用ガイダンスも抽出して決定する。
【0045】
また、ここで決定される利用ガイダンスとは、例えば、学習教材の解説書であったり、複数の学習教材が抽出された場合の学習順序であったり、或は、当該学習者の教育者(例えば、中学校の教師)に対して、当該学習者のウイークポイントを指摘し、それを改善するためのアドバイスであったりというように、様々な態様で学習教材に対応して、予め学習教材記憶手段に記憶されているものである。
【0046】
最後に、学習力強化システム1は、学習教材及び利用ガイダンスの提供処理を実行する(ステップS108)。ここで実行される学習教材及び利用ガイダンスの提供処理では、各学習者に対し、上記学習教材抽出処理(ステップS107)で決定された学習教材及び利用ガイダンスが当該学習者に提供されることになる。
【0047】
また、学習力強化システム1による学習教材及び利用ガイダンスの提供方法としては、例えば、学習教材及び利用ガイダンスを予め印刷しておき、該当する学習教材及び利用ガイダンスを書面として提供したり、学習力強化システム1に付設されたディスプレイ22(図3参照)に学習教材及び利用ガイダンスを表示したり、同様に学習力強化システム1に付設されたプリンタ21(図3参照)などに、学習教材及び利用ガイダンスを出力したりしてもよいし、上述したように、学習力強化システムと学習者端末とでネットワークを構成している場合は、学習者端末に対して学習教材及び利用ガイダンスを送信して提供することも可能である。
【0048】
[2.学習力強化システム1の具体的な構成]
本実施形態に係る学習力強化システム1の具体的な構成を、図3を参照してさらに具体的に説明する。図3は本実施形態における学習力強化システム1の構成を示す説明図である。なお、本実施形態においては、学習力強化システム1としてパソコンを使用した場合を一例として説明する。
【0049】
図3に示すように、本実施形態に係る学習力強化システム1は、制御部10、記憶部11、I/Oインターフェイス12、キーコントローラ14、プリンタコントローラ15、表示コントローラ16、外部通信コントローラ17が設けられている。
【0050】
制御部10は、CPU、ROM及びRAM(図示せず)などから構成されている。そして、ROMには各種情報及び学習力強化システム1を動作させる各種プログラム及び後述する各種テーブルなどが記憶されており、CPUは、このプログラムをROMから読み出して実行することにより、学習力強化システム1の制御装置2(図1参照)として機能することになる。
【0051】
また、制御部10は、前記ROMに記憶されているプログラムに従って学習力強化システム1の動作を制御することにより、本実施形態における各種手段(試験結果入力手段、得点抽出手段、学力判定手段、言語操作技量判定手段、評価基準演算手段及び学習教材抽出手段)として機能する。
【0052】
記憶部11は、例えば、大容量のハードディスクドライブなどが用いられ、試験結果記憶部(試験結果記憶手段)、学習教材記憶部(学習教材記憶手段)及び利用ガイダンス記憶部(利用ガイダンス記憶手段)が所定の領域で割り付けられている。すなわち、記憶部11は、本実施形態における試験結果記憶手段、学習教材記憶手段及び利用ガイダンス記憶手段として機能する記憶装置3(図1参照)である。
【0053】
I/Oインターフェイス12(入出力インターフェイス)は、制御部10と周辺装置(記憶部11、キーコントローラ14、プリンタコントローラ15、表示コントローラ16、外部通信コントローラ17)とのデータの入出力を制御する。
【0054】
キーコントローラ14は、キーボード20の操作を検出すると、所定の検知信号を制御部10へ送信する。また、本実施形態におけるキーボード20は、上述したように、試験結果を試験結果記憶部(試験結果記憶手段)に記憶するために用いられる場合がある。
【0055】
プリンタコントローラ15は、制御部10の指示に従い、所定のデータをプリンタ21に出力させる制御を行う。また、本実施形態におけるプリンタ21は、上述したように、抽出された学習教材を学習者に提供するために用いられる場合がある。
【0056】
表示コントローラ16は、制御部10の指示に従い、ディスプレイ22に所定の情報を表示させる。なお、ディスプレイ22に表示される所定の情報は、本実施形態における学習力強化システム1の動作状況を、管理者(保守、メンテナンス要員を含む)が解るような情報である。
【0057】
外部通信コントローラ17は、外部接続されたスキャナー23と制御部10とのデータの取り込みを制御する。また、本実施形態におけるスキャナー23は、キーボード20と同様に、試験結果を試験結果記憶部(試験結果記憶手段)に記憶するために用いられる場合がある。
【0058】
なお、上述したキーボード20、プリンタ21、ディスプレイ22などは、本発明においてその機能などが制限されるものではなく、一般にパソコンに標準装備されているものであり、マウスなどが含まれる場合もある。
【0059】
また、学習力強化システム1として、サーバなどを使用した場合は、上述したキーボード20、プリンタ21、ディスプレイ22などが装備されない場合があり、本実施形態においては、図1に示す制御装置2及び記憶装置3が最低必須な構成要件である。
【0060】
[3.言語操作技量の診断内容]
ここで、本実施形態における特徴であるところの、言語操作技量を測るための難度の異なる複数の評価項目について、図11を参照して説明する。図11は5項目毎の言語操作技量の診断内容を示す説明図である。
【0061】
図11に示すように、本実施形態においては5項目の評価項目が設けられている。そして、5項目の評価項目には、学習者の学習する力の根幹となる言語操作技量を測るための診断内容が、難度の異なる各評価項目に応じてそれぞれ設定されている。
【0062】
図11に示す5項目の評価項目は、学習者の言語操作技量、例えば、言語を聞き、話し、読み、書くことによって意味を理解したり意志や情報を伝達したりする力、文章を正確に理解する力、文章の中のキーポイントとなる概念を発掘して意味を的確に理解する力、複数の文章で条件付けられたものを総合して的確にイメージを形成する力などを測るために、最も難度の低い項目1から最も難度の高い項目5まで段階的に設定された診断内容を有している。なお、この診断内容は、複数の教科(例えば、国語、数学、理科、社会、英語の5教科)に共通した診断内容である。
【0063】
すなわち、図11に示すように、項目1は最も難度の低い言語操作技量の基本ともいえる評価項目であり、「短い文章や設問の内容や意味を的確に理解できる。」という言語操作技量を評価するための診断内容が設定されている。
【0064】
そして、項目2は項目1よりも難度の高い評価項目であり、「学習の中心となる言葉の内容を正確に理解できる。」という言語操作技量を評価するための診断内容が設定されている。さらに、項目3は項目2よりも難度の高くなっている評価項目であり、「言葉や短い文章の相互の関係や表現されている内容を捉え、その意味するところを把握できる。」という言語操作技量を評価するための診断内容が設定されている。
【0065】
続いて、項目4は概して難度の高い自分の言葉による表現力を問う評価項目であり、「要求される内容の短い文章を作文できる。」という言語操作技量を評価するための診断内容が設定されている。また、項目5は5項目の中でも高い難度の評価項目であり、「長い文章を正確に読み取れる。」という言語操作技量を評価するための診断内容が設定されている。
【0066】
そして、本実施形態においては、上述した難度の異なる診断内容で構成された5項目の評価項目に基づいて、言語操作技量のレベル(習得レベル)を測るための基盤問題が、所要の配点で複数の教科を横断して試験問題に予め設定されている。
【0067】
具体的に説明すると、例えば、項目1の基盤問題の所要の配点は、国語に15点、数学に20点、社会に13点、理科に12点、英語に10点の合計70点というように、複数の教科毎にそれぞれ設定されているのである。同様にして、項目2〜5においてもそれぞれ所要の配点で、複数の教科毎に基盤問題として設定されている。
【0068】
そして、詳細は後述するが、5項目の評価項目毎の合計点に応じて、5項目それぞれの習得レベルを3段階で評価し、それに応じた学習教材を提供することで、学習者の言語操作技量の向上を計っている。
【0069】
なお、複数の評価項目毎の基盤問題の所要の配点の合計点は、かならずしも同じ点数になる必要はなく、例えば、項目1は合計70点、項目2は50点、項目3は75点などのように異なる合計点であってもかまわない。また、複数の教科の全てに基盤問題を設定することが望ましいが、必ず全ての教科に設定される必要はなく、例えば、試験問題の構成によっては、図11に示す評価項目のうちの項目3が設定し難い教科(例えば、英語)を除いて設定される場合があり、また、項目5は、国語に関してのみ設定される場合もある。
【0070】
また、本実施形態においては、複数の診断項目の数を5項目として説明しているが、診断項目の数は5項目に限定されるものではなく、例えば、5項目以上であっても5項目以下であってもよい。さらに、学習者の言語操作技量を測るための基盤問題を作成する場合は、教科毎の特徴に応じた基盤問題の作成要領を、複数の教科に共通して設定された診断項目毎の診断内容に応じてさらに詳細に設定して、この教科毎の作成要領に基づいて基盤問題を作成することが望ましい。
【0071】
[4.学習力強化システム1で実行される処理の具体的な説明]
ここで、学習力強化システム1で実行される特徴的な処理である言語操作技量判定処理(図2、ステップS105)、評価基準演算処理(図2、ステップS106)、学習教材抽出処理(図2、ステップS107)について、図4〜11を参照しながら詳細に説明する。なお、ここでは所定の学習者に対する処理として説明する。
【0072】
図4は言語操作技量判定処理を説明するフローチャート、図5は評価基準演算処理を説明するフローチャート、図6は学習教材抽出処理を説明するフローチャートである。また、図7は言語操作技量の習得レベルの決定テーブル、図8は言語操作技量に基づく学習教材の提供パターンの決定テーブル、図9は言語操作技量に基づくパターンに応じて提供される学習教材の決定テーブル、図10は偏差値に基づくパターンに応じて提供される学習教材の決定テーブルであり、これらの各テーブルは制御部のROMに記憶されている。
【0073】
最初に、図4を参照して、言語操作技量判定処理について詳述する。
【0074】
まず、制御部10のCPUは、所定の学習者の試験結果から、前述した複数の項目毎の得点の抽出を実行する(ステップS201)。この処理において、制御部10のCPUは、複数の教科を横断してそれぞれ難度の異なる複数の評価項目毎に所要の配点で予め設定された基盤問題の得点(つまり、基盤問題の正答率)を抽出する。
【0075】
具体的に説明すると、図11に示す5項目の評価項目毎の基盤問題の得点(つまり、基盤問題の正答率)を抽出して合計するのである。
【0076】
つぎに、制御部10のCPUは、抽出された項目毎の合計点に応じて、それぞれ言語操作技量の習得レベルを決定する(ステップS202)。この処理において、制御部10のCPUは、図7を参照して、所定の学習者の項目毎の合計点が、全ての学習者の項目毎の合計点の分布のどの位置にあるかで、当該学習者の言語操作技量の習得レベルを決定する。
【0077】
具体的に説明すると、図7に示すように、所定の学習者の項目1の合計点が、全ての学習者の項目毎の合計点の分布領域のうち、上位の30%に含まれる場合は、当該学習者の項目1における言語操作技量の習得レベルはA段階を示す「◎」として決定され、中間の65%に含まれる場合は、言語操作技量の習得レベルはB段階を示す「○」が決定される。そして、下位の5%に含まれる場合は、言語操作技量の習得レベルはC段階を示す「△(▲)」が決定される。同様にして、所定の学習者の言語操作技量の3段階の習得レベルが5項目の評価項目毎に順次決定されることになる。
【0078】
ここで、上述したステップS202(言語操作技量の習得レベルを決定する処理)で参照される言語操作技量の評価テーブル(図7)について説明する。
【0079】
本実施形態における言語操作技量の評価は、図7に示すように、5項目の評価項目ごとに3段階の習得レベルで表わしている。なお、習得レベルを決定する為の項目毎の合計点の分布領域を示す数字は一様ではない。
【0080】
具体的に説明すると、項目1においては、上位30%の分布領域に含まれている場合は、習得レベルが「A段階(◎)」として決定されるのに対して、項目2では上位20%、項目3及び項目4では上位10%、そして、項目5では上位20%の分布領域に含まれている場合に、習得レベルが「A段階(◎)」として決定される。
【0081】
そして、「B段階(○)」として決定される項目毎の分布領域も、項目1では65%、項目2及び項目3では60%、項目4では80%、そして、項目5では55%というように異なる数字が振り分けられている。さらに、「C段階(△)」として決定される項目毎の分布領域は、項目1では5%、項目2では20%、項目3では30%、項目4では10%、そして、項目5では25%としている。
【0082】
これは、実際の試験結果から評価項目毎の難度の差に応じて振り分けられた数字であり、難度の最も低い項目1から、項目2、項目3と難度が高くなるにつれて、「C段階(△)」に振り分けられる数字が多くなる一方、「A段階(◎)」に振り分けられる数字(%)は低くなっている。また、項目4及び項目5については、複数の教科全部に基盤問題を設定することが出来ない場合があるため、「A段階(◎)」、「B段階(○)」そして「C段階(△)」として振り分けられる数字は、項目1〜3に振り分けられる数字と比較して異なる数字になっている。
【0083】
図4を参照した言語操作技量判定処理の説明に戻る。
【0084】
ステップS202で言語操作技量の習得レベルを決定した後、制御部10のCPUは、決定された所定の学習者の項目毎の言語操作技量の習得レベルから、当該学習者に提供する学習教材のパターンを決定する(ステップS203)。この処理において、制御部10のCPUは、図8を参照して、所定の学習者の項目毎の言語操作技量の習得レベルから、当該学習者に提供する学習教材の提供パターンを決定する。
【0085】
具体的に説明すると、例えば、所定の学習者の項目1の習得レベルが「A段階(◎)」、項目2の習得レベルが「B段階(○)」そして項目3の習得レベルが「C段階(△)」の場合は、図8に示すように、当該学習者に提供する学習教材の提供パターンは「B」が決定されることになる。そして、この処理が終了すると言語操作技量判定処理を終了する。
【0086】
なお、ここで決定された学習教材の提供パターンは、後述の学習教材抽出処理(図6参照)で参照され、学習者に対して提供される学習教材が抽出されることになる。
【0087】
ここで、上述した学習者に提供する学習教材のパターンを決定(ステップS203)する処理で参照される学習教材の提供パターン決定テーブル(図8参照)について説明する。なお、図8中の項目4及び項目5の「ANY」は、習得レベルが3段階のいずれでもよい場合である
【0088】
図8に示すように、本実施形態においては、「A」〜「E」の5種類の学習教材の提供パターンが設定されている。この学習教材の提供パターンの決定には一定の条件がある。
【0089】
すなわち、パターン「A」が決定される条件は、項目1の習得レベルが「C段階(▲)」の場合か、又は、項目2及び項目3の習得レベルがいずれも「C段階(△)」の場合である。なお、本実施形態においては、図8中において、項目1の習得レベルのみ最低のレベルを示す「C段階(▲)」と記し、他の項目2〜5の習得レベルにおいては「C段階(△)」と記しているが、この理由についての詳細は後述する。
【0090】
また、パターン「B」が決定される条件は、項目2又は項目3のいずれか一つでも習得レベルの「C段階(△)」が含まれている場合である。
【0091】
また、パターン「C」が決定される条件は、項目1〜3のいずれの習得レベルも「B段階(○)」以上ではあるが、習得レベル「A段階(◎)」が一つ以下の場合である。
【0092】
また、パターン「D」が決定される条件は、項目1〜3のいずれの習得レベルも「B段階(○)」以上で、なおかつ、「A段階(◎)」が二つ以上の場合か、又は、項目1〜3の全ての習得レベルは「A段階(◎)」であるが、項目4又は項目5のいずれかに習得レベル「C段階(△)」が含まれていた場合である。
【0093】
最後に、パターン「E」が決定される条件は、項目1〜3の全ての習得レベルが「A段階(◎)」であり、なおかつ、項目4又は項目5の習得レベルが「B段階(○)」以上の場合である。
【0094】
すなわち、本実施形態においては、図8に示すように5項目の評価項目に応じた3段階の習得レベルによって、学習者に提供される学習教材の5種類の提供パターン(つまり、パターン「A」〜パターン「E」)が決定されることになる。
【0095】
次に、図5を参照して、評価基準演算処理について詳述する。
【0096】
まず、制御部10のCPUは、所定の学習者の試験結果の得点と学習者全体の得点分布とから偏差値を算出する処理を実行する(ステップS301)。この処理において、制御部10のCPUは、所定の学習者の複数の教科毎の得点から、相対的な評価基準の一つである偏差値を導出することになる。
【0097】
そして、制御部10のCPUは、所定の学習者の複数の教科毎に算出された偏差値に基づいて、提供する学習教材のパターンを決定(ステップS302)する。この処理において、制御部10のCPUは、図10を参照して、所定の学習者の複数の教科毎の偏差値に応じて、当該学習者に提供する学習教材の提供パターンを決定する。
【0098】
具体的に説明すると、図10に示すように、所定の学習者の偏差値が44以下の場合は、当該学習者に提供する学習教材の提供パターンは「I」が決定され、偏差値が45以上なおかつ54以下の場合は、学習教材の提供パターンは「II」が決定される。そして、偏差値が55以上の場合は、学習教材の提供パターンは「III」が決定されることになる。そして、この処理が終了すると評価基準演算処理を終了する。
【0099】
また、ここで決定された、偏差値に基づいた学習教材の提供パターンは、後述の学習教材抽出処理(図6参照)で参照され、学習者に対して提供される学習教材が抽出されることになる。
【0100】
最後に、図6を参照して、学習教材抽出処理について詳述する。
【0101】
まず、制御部10のCPUは、上述した言語操作技量判定処理(図4参照)において、言語操作技量の習得レベルに基づいて決定された学習教材の提供パターンから学習教材を抽出する処理を実行する(ステップS401)。この処理において、制御部10のCPUは、図9を参照して、記憶部11(学習教材記憶手段)に記憶されている複数の学習教材の中から、提供パターン(パターンA〜パターンE)に応じた学習教材を決定する。
【0102】
すなわち、図9に示すように、提供パターンが「A」の場合は、言語操作技量の向上を図る学習教材として、『ことば』編の初級及び中級の学習教材、『読む』編の初級の学習教材、そして、『書く』編の初級の学習教材が決定される。
【0103】
また、提供パターンが「B」の場合は、言語操作技量の向上を図る学習教材として、『ことば』編の初級、中級及び上級の学習教材、『読む』編の初級及び中級の学習教材、そして、『書く』編の初級及び中級の学習教材が決定される。
【0104】
そして、提供パターンが「C」の場合は、言語操作技量の向上を図る学習教材として、『ことば』編の上級の学習教材、『読む』編の中級の学習教材、そして、『書く』編の中級の学習教材が決定される。
【0105】
また、提供パターンが「D」の場合は、言語操作技量の向上を図る学習教材として、『ことば』編の上級の学習教材、『読む』編の中級及び上級の学習教材、そして、『書く』編の中級及び上級の学習教材が決定される。
【0106】
最後に、提供パターンが「E」の場合は、言語操作技量の向上を図る学習教材として、『読む』編の上級の学習教材、そして、『書く』編の上級の学習教材が決定されることになる。
【0107】
なお、学習者に提供される言語操作技量の向上を計る学習教材は、図11に示す難度の異なる5項目の診断項目に沿って作成されており、例えば、学習教材の提供パターンが「A」の学習者に提供される『ことば』編の初級、『読む』編の初級、そして、『書く』編の初級の学習教材は、特に項目1の診断内容であるところの「短い文章や設問の内容や意味を的確に理解できる。」を強化するため、言い換えると、言語操作技量の最も基礎を強化するための学習教材である。
【0108】
そして、制御部10のCPUは、上述した評価基準演算処理(図5参照)において、所定の学習者の偏差値に基づいて決定された学習教材の提供パターンから学習教材を抽出(ステップS402)する処理を実行する。この処理において、制御部10のCPUは、図10を参照して、学習教材記憶手段に記憶されている複数の学習教材の中から、複数の教科毎の提供パターン(パターンI〜パターンIII)に応じた学習教材を決定する。
【0109】
すなわち、図10に示すように、提供パターンが「I」の場合は、各教科初級レベル教材が、提供パターンが「II」の場合は、各教科標準レベル教材が、そして、提供パターンが「III」の場合は、各教科上級レベル教材が、学習者に提供される学習教材として決定されることになる。
【0110】
そして、制御部10のCPUは、決定された学習教材に応じた利用ガイダンスを抽出(ステップS403)する処理を実行する。この処理において、制御部10のCPUは、上記ステップS401又はステップS402の処理で決定された学習教材に応じた利用ガイダンスを、学習教材記憶手段に記憶されている複数の利用ガイダンスの中から決定する。そして、この処理が終了すると、学習教材抽出処理を終了する。
【0111】
なお、上記ステップS403の処理で決定される利用ガイダンスは、学習教材記憶手段の記憶されている全ての学習教材に関連付けられて学習教材記憶手段に記憶されているものではなく、例えば、難度の高い学習教材にのみ解説書として学習教材記憶手段に記憶されている場合もある。
【0112】
ここで、図8において、項目1の習得レベルのみ、最低のレベルであるC段階を示すマークとして「▲」と記し、他の項目2〜5の習得レベルにおいては「△」と記している理由について説明する。
【0113】
本実施形態において、図8中の項目1の最低の習得レベルのみ「▲」と記して他の項目と区別した理由は、本出願人が学習者の学習力を向上させるために言語操作技量の重要性に着目したことの根拠と言えるものである。
【0114】
すなわち、項目1の診断項目「短い文章や設問の内容や意味を的確に理解できる。」(図11参照)は、最も難度の低い言語操作技量の基本ともいえる言語操作技量を評価するためのものである。よって、この項目1において最低の「C段階▲」と評価された学習者は、言語操作技量の基本が備わっていないことになる。
【0115】
本出願人が実際に行われた試験結果を、図11に設定されている診断内容に従って分析したところ、被験者の総数「20081名」のうち、項目1において最低の「C段階▲」と評価された学習者の数は「632名」、項目2において最低の「C段階△」と評価された学習者の数は「3515名」、以下、項目3では「6317名」、項目4では「2419名」、項目5では「5222名」という結果が得られた。
【0116】
さらに、各項目で3段階(つまり、「A段階(◎)」、「B段階(○)」、「C段階(△(▲))」)に評価された結果に基づいて、学習者毎の項目間の相関関係を分析したところ、例えば、項目1で「B段階(○)」と評価された学習者が、それより難度の高い項目2では「A段階(◎)」と評価されたり、あるいは、項目2で「C段階(△)」と評価されたり学習者が、それより難度の高い項目3では「B段階(○)」と評価されたりすることはあっても、項目1で最低の「C段階(▲)」と評価された学習者は、残りの項目2〜5においても全て最低の「C段階(△)」に含まれていることが判明した。
【0117】
つまり、項目1で最低の「C段階(▲)」と評価された学習者、つまり、言語操作技量の基本が備わっていない学習者は、「短い文章や設問の内容や意味を的確に理解できる。」(図11参照)という基本の言語操作技量を養成しない限り、従来の試験結果の得点や偏差値に応じた学習教材では、それ以上の学力の向上は望めない。
【0118】
それに対して、学習者の初期(小学校、中学校)の教育の段階で、言語操作技量の基本を養成することができれば、授業に参加した場合の理解能力を高め、試験問題に適切に解答することができ、さらに、家庭学習で自主学習の成果を定着させることに繋がるので、言語操作技量の習得レベルの低い学習者の学力の向上が望める。
【0119】
また、学習者毎の項目間の相関関係から、項目間、特に項目1、項目2、項目3においては強い相関(例えば、項目1で「B段階(○)」と評価された学習者は、項目2及び項目3でも大多数が「B段階(○)」である)があるという分析結果が得られたため、学習者の言語操作技量の向上を図ることで、複数の教科全体の学力の向上も図ることができる。
【0120】
上述してきたように、本実施形態における学習力強化システム1は、学習者の学力の向上を図るには、学習する力の根幹となる言語操作技量の養成が不可欠であることに着目し、言語操作技量の習得レベルを測るための基盤問題を複数の教科を横断して設定した試験を実施し、該試験結果から基盤問題の得点を抽出して学習者の言語操作技量の習得レベルを特定して、それに応じた学習教材を提供することで、特に言語操作技量が低い学習者に対して、言語操作技量の習得レベルの向上を図ることにより、学力向上の根幹となる学習力を強化することができる。
【0121】
また、本実施形態においては、学習者の言語操作技量を測るための基盤問題を、予め複数の教科を横断して試験問題に所要の配点で設定し、この基盤問題の得点(回答率)により学習者の言語操作技量の習得レベルを決定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、基盤問題が予め設定されていない試験問題に対しても、図11に示す複数の項目毎の診断内容に応じた問題の得点(回答率)を抽出して、それに応じて学習者の言語操作技量の習得レベルを決定してもよい。
【0122】
また、本実施形態においては、言語操作技量の向上を図るための学習教材を提供するだけではなく、学習者の偏差値に応じた従来の学習教材も提供するようにしているため、言語操作技量の向上と同時に、複数の教科のうち、特に学習者が不得手とする教科に絞って学力を向上させることが可能である。
【0123】
また、上述したように言語操作技量は複数の教科全体に共通して必要な学習するための力のため、言語操作技量の向上を図ることで、複数の教科全体における学習者の学習力を向上させる効果も期待できる。
【0124】
上述してきたように、本実施形態によれば、以下の効果が期待できる。
【0125】
(1)複数の学習者名と、当該複数の学習者を対象に実施された複数教科の試験の結果を各学習者名に関連付けて記憶する試験結果記憶手段(記憶装置3、記憶部11)と、この試験結果記憶手段に記憶された試験結果である得点を、試験毎に設定された評価目的毎に抽出する得点抽出手段(制御装置2、制御部10のCPU)と、この得点抽出手段により抽出した得点に基づいて、学習者の学力を判定する学力判定手段(制御装置2、制御部10のCPU)と、前記複数教科の試験問題それぞれに所要の配点で設けられた問題の得点率から、学習する力の根幹となる言語を操る能力である言語操作技量のレベルを判定する言語操作技量判定手段(制御装置2、制御部10のCPU)を備える学習力強化システム1としたので、例えば、学習者の言語操作技量を正確に測定することができる。
【0126】
(2)複数の学習教材を記憶した学習教材記憶手段(記憶装置3、記憶部11)と、前記言語操作技量判定手段(制御装置2、制御部10のCPU)が判定した言語操作技量のレベルに応じて、言語操作技量を向上させるための学習教材を前記学習教材記憶手段から抽出する学習教材抽出手段(制御装置2、制御部10のCPU)をさらに備えることにより、例えば、現在の学習者の言語操作技量を、より効果的に向上させることが可能な学習教材を抽出することができる。
【0127】
(3)前記言語操作技量のレベルを測るための基盤問題を、前記各教科の試験問題中に所要の配点で設定したことにより、例えば、学習者の得て不得手な教科に関わらず、学習者の言語操作技量を測ることを可能としている。
【0128】
(4)前記基盤問題は、前記各教科の試験問題中に、それぞれ難度の異なる複数の評価項目毎に設定することにより、例えば、学習者の言語操作技量のレベル(習得レベル)を、難度の異なる評価項目毎に判別することができる。
【0129】
(5)前記言語操作技量判定手段(制御装置2、制御部10のCPU)は、前記基盤問題における前記複数の項目毎の得点率により前記言語操作技量のレベルを判定することにより、例えば、復習の学習者の複数の項目毎の得点率の分布の中で、個々の学習者の得点率を一定の基準で判別することにより、学習者の言語操作技量のレベル(習得レベル)を正確に判別することが容易となる。
【0130】
(6)前記試験結果記憶手段(記憶装置3、記憶部11)に記憶された得点に基づいて、少なくとも偏差値を含む学力評価基準を演算する評価基準演算手段(制御装置2、制御部10のCPU)をさらに備えることにより、学習者の学力(学習力)を、言語操作技量のレベル(習得レベル)だけではなく、学習者の偏差値(つまり、相対評価)においても評価することができる。
【0131】
(7)前記学習教材記憶手段(記憶装置3、記憶部11)は、記憶した前記複数の学習教材にそれぞれ対応する利用ガイダンスを記憶しており、前記学習教材抽出手段は、前記学習教材を抽出する際に、当該学習教材に対応する前記利用ガイダンスについても抽出することにより、例えば、学習者の言語操作技量のレベル(習得レベル)又は偏差値などに応じて抽出された学習教材に対する学習効率を向上させることができる。
【0132】
以上、各実施形態を通して本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0133】
1 学習力強化システム1
2 制御装置
3 記憶装置
10 制御部
11 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の学習者名と、当該複数の学習者を対象に実施された複数教科の試験の結果を各学習者名に関連付けて記憶する試験結果記憶手段と、
この試験結果記憶手段に記憶された試験結果である得点を、試験毎に設定された評価目的毎に抽出する得点抽出手段と、
この得点抽出手段により抽出した得点に基づいて、学習者の学力を判定する学力判定手段と、
前記複数教科の試験問題それぞれに所要の配点で設けられた問題の得点率から、学習する力の根幹となる言語を操る能力である言語操作技量のレベルを判定する言語操作技量判定手段と、
を備えることを特徴とする学習力強化システム。
【請求項2】
複数の学習教材を記憶した学習教材記憶手段と、
前記言語操作技量判定手段が判定した言語操作技量のレベルに応じて、言語操作技量を向上させるための学習教材を前記学習教材記憶手段から抽出する学習教材抽出手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の学習力強化システム。
【請求項3】
前記言語操作技量のレベルを測るための基盤問題を、前記各教科の試験問題中に所要の配点で設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の学習強化システム。
【請求項4】
前記基盤問題は、前記各教科の試験問題中に、それぞれ難度の異なる複数の評価項目毎に設定されていることを特徴とする請求項3記載の学習力強化システム。
【請求項5】
前記言語操作技量判定手段は、
前記基盤問題における前記複数の項目毎の得点率により前記言語操作技量のレベルを判定することを特徴とする請求項4記載の学習力強化システム。
【請求項6】
前記試験結果記憶手段に記憶された得点に基づいて、少なくとも偏差値を含む学力評価基準を演算する評価基準演算手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の学習力強化システム。
【請求項7】
前記学習教材記憶手段は、
記憶した前記複数の学習教材にそれぞれ対応する利用ガイダンスを記憶しており、
前記学習教材抽出手段は、前記学習教材を抽出する際に、当該学習教材に対応する前記利用ガイダンスについても抽出することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の学習力強化システム。
【請求項1】
複数の学習者名と、当該複数の学習者を対象に実施された複数教科の試験の結果を各学習者名に関連付けて記憶する試験結果記憶手段と、
この試験結果記憶手段に記憶された試験結果である得点を、試験毎に設定された評価目的毎に抽出する得点抽出手段と、
この得点抽出手段により抽出した得点に基づいて、学習者の学力を判定する学力判定手段と、
前記複数教科の試験問題それぞれに所要の配点で設けられた問題の得点率から、学習する力の根幹となる言語を操る能力である言語操作技量のレベルを判定する言語操作技量判定手段と、
を備えることを特徴とする学習力強化システム。
【請求項2】
複数の学習教材を記憶した学習教材記憶手段と、
前記言語操作技量判定手段が判定した言語操作技量のレベルに応じて、言語操作技量を向上させるための学習教材を前記学習教材記憶手段から抽出する学習教材抽出手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の学習力強化システム。
【請求項3】
前記言語操作技量のレベルを測るための基盤問題を、前記各教科の試験問題中に所要の配点で設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の学習強化システム。
【請求項4】
前記基盤問題は、前記各教科の試験問題中に、それぞれ難度の異なる複数の評価項目毎に設定されていることを特徴とする請求項3記載の学習力強化システム。
【請求項5】
前記言語操作技量判定手段は、
前記基盤問題における前記複数の項目毎の得点率により前記言語操作技量のレベルを判定することを特徴とする請求項4記載の学習力強化システム。
【請求項6】
前記試験結果記憶手段に記憶された得点に基づいて、少なくとも偏差値を含む学力評価基準を演算する評価基準演算手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の学習力強化システム。
【請求項7】
前記学習教材記憶手段は、
記憶した前記複数の学習教材にそれぞれ対応する利用ガイダンスを記憶しており、
前記学習教材抽出手段は、前記学習教材を抽出する際に、当該学習教材に対応する前記利用ガイダンスについても抽出することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の学習力強化システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−250056(P2010−250056A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99039(P2009−99039)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(592004611)株式会社フクト (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(592004611)株式会社フクト (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]