説明

学習効果評価装置、プログラム及び学習効果評価方法

【課題】 解答者のテスト問題の理解度を精度よく判定することができる学習効果評価装置を提供する。
【解決手段】 教育者側端末100の制御部110は、解答者に提示した問題と、提示した問題の解答を行う際に解答者が参照した教材の箇所を示す情報とを取得する解答・操作ログ取得部173と、教材内容DB153の記録情報と解答・操作ログ取得部173で取得した教材の参照箇所とから解答者が参照した教材の内容を判断し、問題確認事項DB152の記録情報を参照して解答・操作ログ取得部173で取得した問題の内容を判断し、解答者が参照した教材の内容と提示した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、関連していれば解答者の理解度が高いと判断する関連度評価部176とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習効果評価装置、プログラム及び学習効果評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
会社や自宅等の遠隔地に設置されたパーソナルコンピュータ等と通信手段で接続し、学習者から送信されるテスト結果を分析して、学習者の学習の理解度を評価する学習効果評価装置が提案されている。
【0003】
このような通信手段を利用した装置では、学習者が多数になることもあり、テスト結果を時間をかけずに評価できるように、記述式ではなく、選択式であることが多い。しかし、選択式のテストは偶然解答が合っていたり、逆に考え方があっていても計算を間違えた場合に、教育者側にはわからず、評価されなかったりすることがある。そこで、特許文献1では、解答するまでに要した時間や、選択肢の変更履歴に基づいて、学習者の理解度を評価している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−55550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、解答者が解答に要した時間や、選択肢の変更履歴だけからでは、学習者が本当に理解しているのかの評価は難しい。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、解答者のテスト問題の理解度を精度よく判定することができる学習効果評価装置、プログラム及び学習効果評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示の学習効果評価装置は、問題と、各問題で問われている内容とを対応付けて記憶した問題確認事項データベースと、教材に記載された内容と、該内容が記載された教材の箇所を示す情報とを対応付けて記憶した教材内容データベースと、解答者に提示した問題と、該提示した問題の解答を行う際に前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報とを取得する取得手段と、前記取得手段で取得した前記教材の箇所と、前記教材内容データベースとから前記解答者が参照した教材の内容を判断し、前記提示した問題と前記問題確認事項データベースとから前記提示した問題の内容を判断し、前記解答者が参照した教材の内容と前記提示した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、関連していれば解答者の理解度が高いと判断する理解度判断手段とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に開示の学習効果評価装置によれば、解答者のテスト問題の理解度を精度よく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】システム構成の一例を示す図である。
【図2】問題正答データベースの構成の一例を示す図である。
【図3】問題確認事項データベースの構成の一例を示す図である。
【図4】教材内容データベースの構成の一例を示す図である。
【図5】解答ログデータベースの構成の一例を示す図である。
【図6】操作ログデータベースの構成の一例を示す図である。
【図7】教育者側端末の制御部が備える機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【図8】教育者側端末の制御部の全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】学習効果を評価する処理手順を示すフローチャートである。
【図10】教育者側端末の制御部によってメモリに記録されるデータであり、学習者の解答が正答であるのか誤答であるのかの判定結果を示す図である。
【図11】問題1の提示から解答までの間の操作ログの一例を示す図である。
【図12】参照ありと判定されたページの問題1との関連度を示す図である。
【図13】オープンしたページが学習者によって参照されたか否かを判定する処理手順を示すフローチャートである。
【図14】問題1の操作ログの一例を示す図である。
【図15】教材のページ種別ごとに、参照したと判断される参照時間のしきい値を決定する方法について説明するための図である。
【図16】しきい値を用いて、オープンしたページの参照有無を判断した結果を示す図である。
【図17】学習者の問題に対する理解のあやふや度を算出する処理手順を示すフローチャートである。
【図18】問題確認事項DBを参照して取り出した問題1の確認事項の一例を示す図である。
【図19】関連度を決定するルールの一例を示す図である。
【図20】参照ありと判定されたページの問題との関連度を算出した結果を示す図である。
【図21】参照ありと判定された各ページの問題との関連度と、そのページの前後との教材選択の揺れの算出結果とを示す図である。
【図22】学習者の参照ありと判定されたページの教材選択の揺れselect_diff_p'を学習者の参照時間順にプロットした図である。
【図23】学習者がオープンしたファイルを関連するページを含むファイル群と含まないファイル群とに分類した結果の一例を示す図である。
【図24】(a)は、関連したページを含むファイルの抽出された関連度を示し、(b)は関連したページを含まないファイルの関連度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
まず、図1を参照しながら本実施例のシステム構成を説明する。本実施例は、図1に示すように教育者側端末100と、複数の学習者側端末200a,200b,200c,・・・,200n(nは任意の自然数)とがネットワーク300に接続されている。教育者側端末100から学習者側端末200a〜200nには、学習用の教材ファイルやテスト問題等が送信される。また、学習者側端末200a〜200nから教育者側端末100には、各学習者側端末200の操作ログや、各学習者の解答結果等が送信される。なお、学習者側端末200a〜200nは、ほぼ同一の構成を備えているので、以下の説明では、学習者側端末200a〜200nを区別する必要がない場合には、総称して学習者側端末200と表記する。また、教育者側端末100が学習効果評価装置として機能する。
【0012】
教育者側端末100は、制御部110と、入力インターフェース120と、操作部121と、通信インターフェース130と、グラフィックインターフェース140と、表示装置141と、記憶装置150とを備えている。制御部110と、入力インターフェース120と、通信インターフェース130と、グラフィックインターフェース140とは内部ネットワーク160で接続され、それぞれ内部ネットワーク160を介して通信可能である。また、制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113とを備えている。
【0013】
まず、制御部110について説明する。ROM112には、CPU111が制御に使用するプログラムが記録されている。CPU111は、ROM112に記録されたプログラムを読み込んで、読み込んだプログラムに従った制御を行う。RAM113には、CPU111が演算に使用するデータや、CPU110による演算結果のデータが記録される。CPU111、RAM113などのハードウェアと、ROM112に記録されたプログラムとの協働によって実現される制御部110の処理手順についてはフローチャートを参照しながら後述する。
【0014】
操作部121は、ユーザの操作入力を受け付ける受付部であり、操作部121によって受け付けた入力情報は、入力インタフェース120を介して制御部110に出力される。
【0015】
通信インターフェース130は、ネットワーク300に接続している。通信インターフェース130は、学習者側端末200から操作ログや、解答結果等の情報を受信し、受信した情報を制御部110に出力する。
【0016】
グラフィックインターフェース140は、制御部110で処理されたグラフィックデータを表示装置141に表示させるためのインターフェースであり、グラフィックデータを波形電気信号に変換して表示装置141に表示させる。
【0017】
表示装置141には、制御部110の制御によって学習者の操作ログや解答結果等が表示される。
【0018】
記憶装置150には、制御部110が制御に使用するデータが格納される。制御部110の制御によって記憶装置150内には後述するデータベース(以下、データベースをDBと略記する場合もある)が構築され、記憶装置150内に記憶されたデータを制御部110によって取り出し可能となる。データベースには、問題正答DB151、問題確認事項DB152、教材内容DB153、解答ログDB154、操作ログDB155等(図7参照)が含まれる。
【0019】
次に、学習者側端末200について説明する。なお、学習者側端末200a〜200nは、ほぼ同一の構成を備えているので、以下では代表して学習者側端末200aの構成について説明する。
学習者側端末200aは、制御部210と、入力インターフェース220と、通信インターフェース230と、グラフィックインターフェース240と、表示装置241と、記憶装置250とを備えている。制御部210と、入力インターフェース220と、通信インターフェース230と、グラフィックインターフェース240とは内部ネットワーク260で接続され、それぞれ内部ネットワーク260を介して通信可能である。
【0020】
学習者側端末200aの制御部210は、教育者側端末100の制御部110と同様に、CPU211と、ROM212と、RAM213とを備えている。CPU211はROM212に記録されたプログラムを読み込んで、読み込んだプログラムに従った制御を行う。RAM213には、CPU211が演算に使用するデータや、CPU211による演算結果のデータが記録される。CPU211、RAM213などのハードウェアと、ROM212に記録されたプログラムとの協働によって実現される制御部210の処理についてはフローチャートを参照しながら後述する。
学習者側端末200aの制御部210は、操作部221の操作ログを取得してRAM213に記録しておくことができる。操作ログには、教材ファイルを開いたり、参照するページを指定したり、解答を入力したりする操作イベントが含まれる。制御部210は、テスト終了後に、RAM213に記録した一連の操作ログを教育者側端末100に送信する。なお、操作ログの詳細については後述する。
【0021】
また、入力インターフェース220、操作部221、通信インターフェース230、グラフィックインターフェース240、表示装置241の処理については上述した教育者側端末100と同様であるため説明を省略する。
【0022】
次に、教育者側端末100の記憶装置150に記憶されるデータベースについて説明する。
図2に、問題正答DB151に記憶される情報の一例を示す。問題正答DB151は、学習者に出題されるテスト問題と、各テスト問題の正答とを対応付けて記憶している。
図3に、問題確認事項DB152に記憶される情報の一例を示す。問題確認事項DB152は、出題されるテスト問題と、各テスト問題で問われている事項(以下、確認事項と呼ぶ)とを対応付けて記憶している。具体的には、テスト問題が数学で、三平方の定理を使って解く問題であれば、確認事項は三平方の定理となる。
図4に、教材内容DB153に記憶される情報の一例を示す。教材内容DB153は、各教材ファイルを識別する教材ファイル名と、教材ファイルのページと、各ページの記載内容と、各ページの種別情報とを対応付けて記憶している。種別情報とは、該当ページに記載された内容が表紙なのか、目次なのか、本文なのかを示す情報である。なお、図4には示していないが各ページのデータ量(テキスト数)等を教材内容DB153に記録しておいてもよい。
図5に、解答ログDB154に記憶される情報の一例を示す。解答ログDB154は、解答者が解答を入力した入力時刻情報と、各テスト問題を識別する識別情報と、各テスト問題に対する学習者の解答とを対応付けて記憶している。
図6に、操作ログDB155に記憶される情報の一例を示す。操作ログDB155は、学習者が操作を入力した入力時刻と、該当の操作を識別する操作情報とを対応付けて記憶している。図6には、一人の学習者のテスト開始からテスト終了までの操作ログの一例を示す。問題の提示、学習者の解答入力、解答までにどのような教材ファイルを開いたか等の学習者の操作ログが、該当操作の入力時刻情報とともに記憶されている。
【0023】
次に、図7を参照しながら教育者側端末100の制御部110に実現される機能ブロックについて説明する。CPU111、RAM113などのハードウェアと、ROM112に記録されたプログラムとの協働によって、図7に示す機能ブロックが制御部110に実現される。
制御部110は、テスト問題送信部171、解答・操作ログ受信部172、解答・操作ログ取得部173、問題正誤判定部174、参照有無判定部175、関連度評価部176、あやふや度評価部177、総合評価部178を機能ブロックとして備えている。
【0024】
テスト問題送信部171は、問題正答DB151からテスト問題を1問ずつ取り出して、通信インターフェース130を介して学習者側端末200に送信する。
解答・操作ログ受信部172は、通信インターフェース130を介して学習者側端末200から送信された解答者の解答や操作ログを受信する。解答・操作ログ受信部172は、受信した解答を解答ログDB154に記憶し、受信した操作ログを操作ログDB155に記憶する。また、解答・操作ログ受信部172は、解答者のテスト問題に対する解答の入力時刻情報をテスト問題と関連づけて解答ログDB154に記憶する。
【0025】
解答・操作ログ取得部173は、解答ログDB154から対象の解答者の解答を取得する。同様に解答・操作ログ取得部173は、操作ログDB155から対象の解答者の操作ログを取得する。解答・操作ログ取得部173は、取得した対象の解答者の解答と、操作ログとを問題正誤判定部174に出力する。
【0026】
問題正誤判定部174は、解答・操作ログ取得部173から対象の解答者の解答と、操作ログとを取得する。また、問題正誤判定部174は、問題正誤DB151からテスト問題の正答を取得する。そして、問題正誤判定部174は、対象の解答者の解答が正答であるか、誤答であるかを判定する。問題正誤判定部174は、解答が正答であるのか、誤答であるのかの判定結果をあやふや度評価部177に出力する。また、問題正誤判定部174は、解答・操作ログ取得部173から取得した対象の解答者の操作ログを参照有無判定部175に出力する。
【0027】
参照有無判定部175は、問題正誤判定部174から対象の解答者の操作ログを取得する。また、参照有無判定部175は、教材内容DB153から教材の各ページに記載された内容を取得する。参照有無判定部175は、取得した操作ログと、教材の各ページに記載された内容とに基づいて、対象の解答者がテスト問題に対する解答時に参照した教材のページを判定する。参照有無判定部175は、解答時に参照したと判定した教材のページ情報を関連度評価部176に出力する。なお、対象の解答者がテスト問題に対する解答時に参照した教材のページを判定する手順の詳細については後述する。
【0028】
関連度評価部176は、解答者がテスト問題の解答時に参照した教材の参照ページ(箇所)情報を取得し、解答者が解答中に参照した教材の参照ページの内容を判定する。また、関連度評価部176は、解答者に提示したテスト問題で問われている内容を問題確認事項DB152を参照して判定する。さらに、関連度評価部176は、解答者が参照した教材の参照ページの内容と、解答者に提示した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、関連していれば解答者の理解度が高いと判定する。
【0029】
関連度評価部176についてより具体的に説明する。関連度評価部176は、参照有無判定部175で解答者が参照したと判定した教材のページ情報を参照有無判定部175から取得する。また、関連度評価部176は、教材内容DB153から参照ありと判定された教材のページに記載された内容を取得する。また、関連度評価部176は、問題確認事項DB152からテスト問題で問われている確認事項を取得する。関連度評価部176は、これらの情報を参照して、対象の解答者が参照したページがテスト問題の確認事項に関連する事項を記載したページであるか否かを表す関連度を算出する。関連度評価部176は、算出した関連度をあやふや度評価部177に出力する。
【0030】
あやふや度評価部177は、対象の解答者が参照した各ページの、テスト問題の確認事項との関連度を関連度評価部176から取得する。また、あやふや度評価部177は、対象の解答者の解答が正答であるのか、誤答であるのかの判定結果を問題正誤判定部174から取得する。

あやふや度評価部177は、取得した関連度に基づいて、教材選択の揺れと教材選択の適切性とを評価する。また、あやふや度評価部177は、評価した教材選択の揺れと教材選択の適切性とに基づいて理解のあやふや度を算出する。なお、あやふや度評価部177は、解答者の解答が正答である場合には、正答用の理解のあやふや度を算出し、解答が誤答である場合には、誤答用の理解のあやふやを算出する。あやふや度評価部177は、算出した理解のあやふや度を総合評価部178に出力する。なお、教材選択の揺れと教材選択の適切性との具体的な評価方法と、理解のあやふや度の算出方法の詳細については後述する。
【0031】
総合評価部178は、各テスト問題ごとに、対象の解答者の理解のあやふや度をあやふや度評価部177から取得する。総合評価部178は取得した各テスト問題の理解のあやふや度から総合的な学習効果を算出する。この処理の詳細についても後述する。
【0032】
次に、学習者側端末200にテスト問題を送信し、テスト問題に対する解答結果や操作ログを学習者側端末200から取得して、学習者の理解度を評価するまでの全体の処理手順を、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
学習者側端末200の制御部210は、テストの開始と共に、学習者によって入力される操作ログの取得を開始する(ステップS1)。
まず、教育者側端末100の制御部110は、問題を識別する変数jを1に初期化する(ステップS2)。なお、変数jは、1以上であって、学習者側端末200を利用する学習者に送信されるテスト問題の総数までの値をとる変数である。次に、教育者側端末100の制御部110は、問題を学習者側端末200に送信する(ステップS3)。学習者側端末200の制御部210は、教育者側端末100から受信した問題を表示装置241に表示させる(ステップS4)。
表示装置241に表示した問題に対する解答が操作部221から入力されると、学習者側端末200の制御部210は、操作部221から取得した解答を通信インターフェース230を介して教育者側端末100に送信する(ステップS5)。教育者側端末100の制御部110は、問題jに対する解答を受信し(ステップS6)、受信した解答を解答ログDBに記憶する(ステップS6)。次に、教育者側端末100の制御部110は、変数jの値を1加算し(ステップS7)、変数jの値が該当の学習者に送信するテスト問題の総数よりも大きいか否かを判定する(ステップS8)。変数jの値が学習者に送信するテスト問題の総数以下であった場合(ステップS7/NO)、制御部110は問題jを学習者側端末200に送信する(ステップS3)。そして、制御部110は、学習者側端末200から解答を受信すると、受信した解答を解答ログDBに記録する(ステップS6)。
【0033】
また、変数jの値が学習者に送信するテスト問題の総数よりも大きい場合(ステップS8/YES)、制御部110はテストの終了を学習者側端末200の制御部210に通知する。学習者側端末200の制御部210は、操作ログの取得を終了し、取得した操作ログを教育者側端末100の制御部110に送信する(ステップS9)。教育者側端末100の制御部110は、学習者側端末200から送信された操作ログを受信し、受信した操作ログを操作ログDBに記録する(ステップS10)。教育者側端末100の制御部110は、学習者のテスト問題に対する各解答と、操作ログとを用いて各問題ごとに理解のあやふや度を算出し、算出した各問題の理解のあやふや度から総合的な学習効果を算出する(ステップS11)。
なお、理解のあやふや度とは、学習者が問題を解く上で必要な知識を正しく把握しているかどうかを表す指標である。学習者の解答の正誤の他、問題を解くために必要な知識と関係ない知識の区別がついているかも評価する。
問題を解くために必要な知識が何であるかを学習できていて、その知識の中身を教材で参照しつつ問題を解く場合と、必要な知識が何かが分からず、教材で探しながら問題に解く場合では、学習者の理解度という点で差がある。テスト中に教材など参考情報を見られる場合、全く学習をしていなかったり、問題を解くために何が必要であるか把握できていなくても、教材をくまなく見直せば、テスト中に何が必要な知識かが分かる場合もある。また、教材中の例題と類似する問題がそのまま出された場合、例題に当てはめて正解を得られる可能性がある。そこで、テスト中の学習者の教材の参照の仕方を把握して、理解のあやふや度を評価する。
【0034】
最後に、制御部110は、算出した総合的な学習効果を各学習者ごとに記憶装置150に記憶させたり、表示装置141に表示させたり、用紙に印刷したりして出力する(ステップS12)。
【0035】
次に、ステップS11の理解のあやふや度の算出と、総合的な学習効果の算出手順を図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、教育者側端末100の制御部110は、解答ログDBから学習効果の評価を行う学習者の解答を取得する(ステップS21)。また、制御部110は、問題正答DBを参照して、問題の正答を取得する(ステップS22)。
【0036】
次に、制御部110は、問題jを識別する変数をjとして、変数jの値を1に設定する(ステップS23)。
次に、制御部110は、問題jの学習者の解答と、問題jの正答とを比較して、学習者の解答が正解であるか否かを判定する(ステップS24)。制御部110は、学習者の解答が正答であるのか誤答であるのかを判定し、判定結果をRAM113に記録する。図10にRAM113に記録される判定結果の一例を示す。図10に示す例では、学習者の解答が正解である場合には、「1」が記録される。
次に、制御部110は、問題jが提示されてから、学習者が解答するまでの一連の操作ログを抽出する(ステップS25)。例えば、問題jを学習者に提示する操作イベントから、学習者が提示された問題に対して解答を決定して送信する操作イベントまでのログを抽出すればよい。図11に抽出された操作ログの一例を示す。
【0037】
次に、制御部110は、抽出した操作ログから、ファイルをオープンする操作イベントや、ファイルのページをオープンする操作イベントを検出して、オープンしたファイルやページを検出する(ステップS26)。次に、制御部110は、オープンしたページがオープンしていた時間を操作ログから検出し、学習者がページやファイルを参照したか否かを判定する(ステップS27)。この処理の詳細については後述する。
【0038】
次に、制御部110は、参照ありと判定したページの記載内容を教材内容DBを参照して取得し、取得した記載内容と、問題確認事項DBから取得した確認事項との関連度を評価する(ステップS28)。評価した関連度の一例を図12に示す。関連度の評価方法についても後述する。
【0039】
次に、制御部110は、算出した関連度を用いて、問題jに対する理解のあやふや度の要素である教材選択の揺れや、教材選択の適切性を評価する(ステップS29)。さらに、制御部110は、評価した教材選択の揺れや、教材選択の適切性に基づいて問題jに対する理解のあやふや度を算出する(ステップS29)。これらの処理の詳細についても後述する。制御部110は、問題jに対する理解のあやふや度を算出すると、変数jを1加算し(ステップS30)、変数jの値がテスト問題の総数よりも大きくなったか否かを判定する(ステップS31)。変数jの値がテスト問題の総数以下であった場合には(ステップS31/NO)、制御部110は、ステップS24からの処理を繰り返し行う。
また、変数jの値がテスト問題の総数よりも大きくなると(ステップS31/YES)、全ての問題で求めた理解のあやふや度から、総合的な学習効果を評価する(ステップS32)。なお、総合評価は各問題の理解のあやふや度を問題の難易度に応じた加重平均するなどの一般的に取られる手法をとってよい。
【0040】
次に、図13に示すフローチャートを参照しながら学習者がオープンしたページを参照しているか否かを判定する処理フローを説明する。なお、この処理フローを図14に示す具体例を参照しながら説明する。図14には、問題1を表示装置241に表示して学習者に提示してから、学習者が問題1の解答を決定して教育者側端末100に送信するまでの操作ログの一例を示す。
【0041】
制御部110は、まず、学習者がオープンしたページを識別する変数pの値を1に設定する(ステップS41)。次に、制御部110は、ページpをオープンしたイベント、図14に示す例では、"show PAGE_x in FILE_y"を抽出する。以下、この操作イベントをp_showと略記する。
次に、制御部110は、操作イベントp_showの直後の操作ログから、同一ファイル中の他のページを開くためのファイル種別に応じた操作イベントか、他のファイルを探したりオープンするための操作イベントを抽出する(ステップS43)。また、これらの操作イベントが検出されなかった場合には、制御部110は、問題の解答を記入している操作イベントp_postを抽出してもよい(ステップS43)。
なお、ページをオープンする操作は、ファイルを開くためのアプリケーションによって異なっていてもよい。また、1つのファイルに対して複数通りの操作があってもよい。例えば、あるファイルでは、ページを送るアイコンをクリックすることで、表示中のページの前後ページをオープンすることができ、さらにページ数を指定することでも他のページをオープンすることができる。
具体的には、Windows(登録商標)OS(Operating System)を搭載したパソコンでは、ファイルを探すイベントは、通常、エクスプローラ(登録商標)を操作している操作イベントである。また、ファイルをオープンするための操作イベントには、エクスプローラ上でアイコンをマウスクリックするというイベントが含まれる。
制御部110は、操作ログを抽出すると、そのとき開いているページをオープンしたイベントp_showから、抽出した操作ログまでをページの参照時間として算出する(ステップS44)。図14に示す例では、制御部110は、参照ページを開く操作イベントp_showから次のページをオープンする操作イベントp_postまでの参照時間を算出している。
【0042】
次に、制御部110は、ページを識別する変数pの値を1加算し、変数pの値がステップS26でオープンしたと判定したページ数よりも大きくなったか否かを判定する(ステップS46)。変数pが、オープンしたと判定したページ数以下であった場合には(ステップS46/NO)、制御部110は、ページpをオープンしたイベントp_showを抽出し、ステップS45までの処理を繰り返す。また、変数pがオープンしたと判定したページ数よりも大きくなった場合には(ステップS46/YES)、制御部110は次のステップS47に移行する。
【0043】
次のステップS47では、制御部110は、教材内容DBに基づき、オープンしていたファイルの各ページの表紙、目次といったページ種別や、もしあるならば、各ページの記述量(データ量)などを照会する。そして、制御部110は、例えばページ種別毎に各ページを参照していた時間の統計をとっていき(ステップS47)、ページを繰るために開いていたと考えられる参照と、そうではなく中身を見ていたと考えられる参照を分けられるようなしきい値となる時間を探していく(ステップS48)。例えば、各ページを参照していた時間の統計をとっていった結果、図15に示すようにオープンしていた時間ごとの時間毎の頻度分布が大きく二つに分かれる場合には、この境の時間をしきい値としてもよい。また、各ページのオープンしていた時間の平均時間を求め、求めた平均時間から、オープンしていた時間の標準偏差の予め決めた倍数分だけ減算した時間をしきい値とするなど、いくつかの方法が考えられる。また、各ページの記載量が分かっている場合は、単純に頻度分布をとるのではなく、各ページの記載量で正規化して参照時間の分布を求めてもよい。なお、しきい値を決めるための分布をページの記載量で正規化して決めた場合は、ページ毎に記載量に応じたしきい値となる時間を計算し、参照時間が計算したしきい値となる時間を超えているか、短いかで参照有無を判断する。このオープンしたページを実際に参照しているかどうかを判断することで、他のページを参照するために、ページを繰っているだけで中身を参照していないようなページが理解のあやふや度に影響するのを防ぐこともできる。
【0044】
次に、制御部110は、ページを識別する変数pの値を1に設定する(ステップS49)。
次に、制御部110は、各ページ種別毎の参照時間のしきい値と、もしあれば予めシステムで決められた参照時間のしきい値とを用いて、オープンしたページの中身を参照したか否かを判定する(ステップS50)。制御部110は、しきい値以下の参照時間しかないページは、中身を参照していないページと判定し、しきい値以上参照していたページは、中身を参照したページと判定する。図16には、学習者がオープンしたページの参照有無の判定結果を示す。参照ありと判定されたページには、「1」が記録される。この判定結果は、CPU111によって、RAM113に記録される。なお、各ページ種別毎の参照時間のしきい値と、システムで決められた参照時間のしきい値とが両方求められる場合には、時間が短いほうのしきい値を使用するとよい。
ページpが学習者によって参照されたか否かの判定が終了すると、制御部110は変数pの値を1加算して(ステップS51)、変数pの値がステップS26でオープンしたと判定したページ数よりも大きいか否かを判定する(ステップS52)。変数pが、オープンしたと判定したページ数以下であった場合には(ステップS52/NO)、制御部110は、ステップS50の処理を繰り返す。また、変数pが、オープンしたと判定したページ数よりも大きい場合には(ステップS52/YES)、このフローを終了する。
【0045】
次に、図17に示すフローチャートを参照しながら理解のあやふや度を算出する手順を説明する。
まず、制御部110は、参照ありと判定れたページを識別する変数p’を1に初期設定する(ステップS61)。次に、制御部110は、問題確認事項DBと各ページの教材内容DBを参照し、ページp’の問題jに対する関連度select_p'を算出する(ステップS62)。具体的には、制御部110は、まず、参照有りと判定されたページp’に記載された内容を教材内容DBを参照して取り出す。次に、制御部110は、問題確認事項DBを参照して問題jの確認事項を取り出す。図18には、問題確認事項DBから取り出された確認事項の一例を示す。そして、制御部110は、取り出した問題jの確認事項と、参照有りと判定されたページp’の記載内容とに関連があるか否かを判定する。関連度は、関連があれば必ず1としてもよいし、図19に示すように参照有りと判定されたページp’の種別や記載内容によって予め決められた重み付けルールに従って関連度を設定してもよい。例えば、ページp’のページ種別が本文であり、このページp’に確認事項の定義、定理、公式が記述されていた場合には、関連度を1.0に設定する。また、同じくページp’のページ種別が本文であり、このページp’に定理、公式の例が記述されていた場合には、関連度を1に設定する。また、ページp’のページ種別が目次であり、このページp’に確認事項が含まれていた場合には、重みを0.5に設定する。さらに、制御部110は、学習者が参照しているページであっても、このページの内容と問題の確認事項とが一致しない場合には、関連度を0とする。図20に参照ありと判定された各ページの問題の確認事項との関連度の一例を示す。
【0046】
ページp’の関連度を判定すると、制御部110は、変数p’の値を1加算し(ステップS63)、ステップS50で参照ありと判定されたページ数と比較する(ステップS64)。変数p’の値が、参照ありと判定されたページ数以下であった場合には(ステップS64/NO)、制御部110は、ステップS62、S63の処理を繰り返す。また、変数p’の値が、参照ありと判定されたページ数よりも大きい場合には(ステップS64/YES)、制御部110は、変数p’を再度1に設定し(ステップS65)、ページp’の前後の参照ありと判定されたページを抽出する(ステップS66)。なお、ページp’の前の参照ありと判定されたページをp'_preとし、ページp’よりも後の参照ありと判定されたページをp'_postとする。
【0047】
次に、制御部110は、ページp’とページp'_preとの関連度の差分と、ページp’とページp'_postとの関連度の差分をそれぞれ求め、求めた差分から教材選択の揺れselect_diff_p'を算出する(ステップS67)。教材選択の揺れselect_diff_p'の算出手順について、図21を参照しながら説明する。例えば、図21に示す例で、処理対象のページp’をPAGE_4 in FILE_Aとする。この処理対象のページの前後の参照ありページは、それぞれPAGE_2 in FILE_Aと、 PAGE_8 in FILE_Aである。また、処理対象のページp’とページp’よりも前の参照ありページ(PAGE_2 in FILE_A)との関連度の差分は、0.5−1.0=−0.5となる。同様に、処理対象のページp’とページp’よりも後の参照ありページ(PAGE_4 in FILE_A)との関連度の差分は、1.0−0.0=1.0となる。制御部110は、ページp’とページp'_preとの関連度の差分の絶対値と、ページp’とページp'_postとの関連度の差分の絶対値の平均値を教材選択の揺れselect_diff_p'として出力する。処理対象ページp’をPAGE_4 in FILE_Aとすると、教材選択の揺れselect_diff_p'は、0.75となる。
なお、教材選択の揺れselect_diff_p'の算出には、前後の差の絶対値の平均値以外にも、前後との関連度の違いの度合いを表す値を算出できる他の計算手法を用いてもよい。
【0048】
ページp’について、教材選択の揺れselect_diff_p'を算出すると、制御部110は、p’の値を1加算し(ステップS68)、次の参照ありと判定されたページp’について、教材選択の揺れselect_diff_p'を算出する。すべての参照ありと判定されたページp’で教材選択の揺れselect_diff_p'を算出すると(ステップS69/YES)、制御部110は、求めた各ページの教材選択の揺れselect_diff_p'から全体の関連度の違いの揺れを評価する(ステップS70)。
例えば、参照ありと判定されたすべてのページを学習者が参照した時間で前半ページと、後半ページの2つに分ける。図22には、学習者の参照ありと判定されたページの教材選択の揺れselect_diff_p'を学習者の参照時間順にプロットした図を示す。なお、2つに分割できない場合には、前半ページと、後半ページとの両方に含まれるページがあってもよい。次に、制御部110は、前半ページに分けた参照ありページの中から教材選択の揺れselect_diff_p'が最大の値を抽出する(以下、この値を前半の揺れ幅と呼ぶ)。後半ページに分けた参照ありページについても同様に教材選択の揺れselect_diff_p'が最大の値を抽出する(以下、この値を後半の揺れ幅と呼ぶ)。また、制御部110は、参照ありと判定されたすべてのページの教材選択の揺れselect_diff_p'を加算して平均値を求める(以下、この値を全体の揺れの平均値と呼ぶ)。そして、制御部110は、求めた全体の揺れの平均値と、後半の揺れの幅と、前半の揺れ幅とに基づいて全体としての教材選択の揺れを評価する。具体的には、全体の揺れの平均値が小さい(全体的に小さい)場合には、教材選択の揺れが小さいと判定する。また、学習者が教材のページを参照をし始めのうちは揺れ幅が大きく、徐々に揺れ幅が小さくなってくる場合にも、教材選択の揺れを示す値が小さくなるように評価する。逆に、教材参照の終盤でも揺れ幅が大きかったり、全参照を通じて揺れ幅が大きい場合には、教材選択の揺れを示す値が大きくなるようにする。
具体的な計算式として、
全体の揺れの平均値×後半の最大揺れ幅/(1+前半の最大揺れ幅)
を用いることができる。
【0049】
次に、全体の教材選択の適切性を関係のない教材ファイルを多く選択していないかどうかで評価する。まず、制御部110は、オープンしたファイルを問題の確認事項に関連する事項を記載したページが含まれているか否かで分類する。図12に示すように問題の確認事項に関連する事項が記載されているか否かは判定済みであるので、制御部110は、オープンしたファイルを関連するページを含むファイル群と含まないファイル群に分類する(ステップS71)。図23に分類結果の一例を示す。次に、制御部110は、関連するページを含むファイル群と含まないファイル群の分布から、全体の教材選択の適切性を評価する(ステップS71)。
制御部110は、関連したページを含むファイルごとに、参照有りと判断したページの最大の関連度を抽出し、そのファイルの問題への関連度とする。また、関連したページを含まないファイルの関連度は、「0」とする。そして、制御部110は、関連するページを含むファイル群と含まないファイル群とで関連度の加重平均を取る。図24(a)には、関連したページを含むファイルの抽出された関連度を示し、図24(b)に関連したページを含まないファイルの関連度を示す。図24に示す例を用いて、全体の教材選択の適正性selectを計算すると、
{(1.0+1.0+0.5)×1.0+(0.0)×1.1}/(3×10+1×1.1)=0.61となる。
なお、この計算例では、関連したページを含むファイルへの重みを1.0とし、関連したページを含まないファイルの重みを1.1として計算している。
なお、この計算は、関連するページを含むファイル群が含まないファイル群に比べて割合が大きければ値が大きく、小さければ値が小さくなるような性質を持つような他の計算手法であってもよい。
【0050】
最後に、制御部110は、当該問題jが正答であれば(ステップS72/YES)、正答用の理解のあやふや度の評価をこれまでに算出した教材選択の揺れselect_diffと教材選択の適正性selectから評価する。また、問題jが誤答であれば(ステップS72/NO)、誤答用の理解のあやふや度の評価を行う。
【0051】
正答の場合の計算の一例を示す。
例えば、問題1が正答であり、ステップS70で算出される全体の教材選択の揺れselect_diffが0.08で、ステップS71で算出される教材選択の適正性selectが0.61であったとする。制御部110は、(1−教材選択の揺れ)と教材選択の適正性との平均値を求めて、求めた平均値の逆数を取る。したがって、正答用の理解のあやふや度は、
[{(1−0.08)+0.61}/2]−1=1.54
となる。
なお、これ以外に、教材選択の揺れselect_diffが大きくて、教材選択の適正性selectが小さければ値が大きく、教材選択の揺れselect_diffが小さく、教材選択の適正性selectが大きければ値が小さくなるような計算手法をとってもよい。例えば、教材選択の揺れと教材選択の適切性の逆数の相乗平均などが挙げられる。
【0052】
また、誤答用の理解のあやふや度の評価は、正答用の理解のあやふや度の評価と同じ計算をした後、それに決まった数値を足してもよい。また、(1−教材選択の揺れ)と教材選択の適切性の平均を取るところを、2よりも小さい数値で割って計算してもよい。
例えば、制御部110は、
[{(1−教材選択の揺れ)×0.5+教材選択の適正正×0.75}/2]−1
を計算して、誤答用の理解のあやふや度の評価を評価する。
ステップS70で算出される全体の教材選択の揺れselect_diffが0.08で、ステップS71で算出される教材選択の適正性selectが0.61であるので、[{(1−0.08)×0.5+0.61×0.75}/2]−1=2.27
となる。
【0053】
(変形例)
なお、上述の説明では、オープンしたページの内容を学習者が参照しているかどうかを判断するために、オープンしたページの参照時間の分布からしきい値を決めていた。すなわち、各問題をを解く間にオープンしたページの参照時間の分布からしきい値を求めていたが、テスト中の全問題でオープンしたページの参照時間を用いてしきい値を求めてもよい。
例えば、問題1と問題2以降で同じページ PAGE_15 in FILE_Zをオープンしている場合、問題2以降でPAGE_15 in FILE_Zを実際にオープンしている時間を定数倍して、しきい値を求める。さらに、中身の参照有無の判断の時には、問題2以降で PAGE_15 in FILE_Zをオープンした時間をしきい値を求めた時と同じ定数倍をしてしきい値と比較して評価する。これにより、テスト中、同じページを何度か見て、ある程度、内容に覚えがあって参照時間が短くなっていく場合も、初回に見た時と同じように評価することができる。
【0054】
また、上述した説明では、問題確認事項DBと教材内容DBから、オープンしたページと問題との関連度を評価しているため、対象となるのは教材のページだけだが、Webで検索してオープンしたページを評価の対象に加えてもよい。
例えば、制御部110は、操作ログから検索に用いたキーワードを抽出し、それと問題確認事項DBに書かれている確認事項が一致するかどうかで関連があるかどうかを判定する。また、操作ログからオープンしたWebページのURL(Uniform Resource Locator)を抽出し、そのURLに書かれている内容を取得する。そして、取得した内容に問題確認事項データDBに書かれている確認事項が現れる場合に関連があると評価してもよい。
【0055】
以上のように本実施例は、オンラインテストにおいて、問題の提示から解答するまでの学習者の教材閲覧の履歴を用い、そのページの閲覧の変遷を評価して、解答の正誤に追加して、学習者の学習効果を判定する。学習者が問題に関係のあるページを参照しているか、それとも問題に関係のないページも混ざって見ているかを評価することで、学習者が各問題に対して、どのような知識が必要であるかを分かっているかどうかを判定することができる。従って、選択式テストでテスト中に教材を参考にできる環境でも、学習効果を精度よく評価することができる。
【0056】
上述した実施例は、本発明の好適な実施例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
[付記1]
問題と、各問題で問われている内容とを対応付けて記憶した問題確認事項データベースと、
教材に記載された内容と、該内容が記載された教材の箇所を示す情報とを対応付けて記憶した教材内容データベースと、
解答者に提示した問題と、該提示した問題の解答を行う際に前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記教材の箇所と、前記教材内容データベースとから前記解答者が参照した教材の内容を判断し、前記提示した問題と前記問題確認事項データベースとから前記提示した問題の内容を判断し、前記解答者が参照した教材の内容と前記提示した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、関連していれば解答者の理解度が高いと判断する理解度判断手段と、
を有することを特徴とする学習効果評価装置。
[付記2]
前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報として複数箇所の情報を前記取得手段で取得した場合、前記理解度判断手段は、前記解答者が参照した前記教材の複数箇所の内容と、前記提示した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、前記解答者が問題の内容に関連する前記教材の箇所を連続して参照している場合に、前記理解度をより高いと判断することを特徴とする付記1記載の学習効果評価装置。
[付記3]
コンピュータを、
解答者に提示した問題と、該提示した問題の解答を行う際に前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報とを取得する取得手段と、
教材に記載された内容と、該内容が記載された教材の箇所を示す情報とを対応付けて記憶した教材内容データベースと、前記取得手段で取得した前記教材の箇所とから前記解答者が参照した教材の内容を判断する第1判断手段と、
問題と、各問題で問われている内容とを対応付けて記憶した問題確認事項データベースと、前記取得手段で取得した前記提示した問題とから前記提示した問題の内容を判断する第2判断手段と、
前記第1判断手段で判断した教材の内容と、前記第2判断手段で判断した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、関連していれば前記解答者の理解度が高いと判断する第3判断手段として機能させることを特徴とするプログラム。
[付記4]
前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報として複数箇所の情報を前記取得手段で取得した場合、前記第3判断手段は、前記解答者が参照した前記教材の複数箇所の内容と、前記提示した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、前記解答者が問題の内容に関連する前記教材の箇所を連続して参照している場合に、前記理解度をより高いと判断することを特徴とする付記3記載のプログラム。
[付記5]
解答者に提示した問題と、該提示した問題の解答を行う際に前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報とを取得する取得ステップと、
教材に記載された内容と、該内容が記載された教材の箇所を示す情報とを対応付けて記憶した教材内容データベースと、前記取得ステップで取得した前記教材の箇所とから前記解答者が参照した教材の内容を判断する第1判断ステップと、
問題と、各問題で問われている内容とを対応付けて記憶した問題確認事項データベースと、前記取得ステップで取得した前記提示した問題とから前記提示した問題の内容を判断する第2判断ステップと、
前記第1判断ステップで判断した教材の内容と、前記第2判断ステップで判断した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、関連していれば前記解答者の理解度が高いと判断する第3判断ステップとをコンピュータが実行することを特徴とする学習効果評価方法。
[付記6]
前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報として複数箇所の情報を前記取得ステップで取得した場合、前記第3判断ステップは、前記解答者が参照した前記教材の複数箇所の内容と、前記提示した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、前記解答者が問題の内容に関連する前記教材の箇所を連続して参照している場合に、前記理解度をより高いと判断することを特徴とする付記5記載の学習効果評価方法。
【符号の説明】
【0057】
100 教育者側端末
110 制御部
151 問題正答DB
152 問題確認事項DB
153 教材内容DB
154 解答ログDB
155 操作ログDB
171 テスト問題送信部
172 解答・操作ログ受信部
173 解答・操作ログ取得部
174 問題正誤判定部
175 参照有無判定部
176 関連度評価部
177 あやふや度評価部
178 総合評価部
200 学習者側端末
210 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
問題と、各問題で問われている内容とを対応付けて記憶した問題確認事項データベースと、
教材に記載された内容と、該内容が記載された教材の箇所を示す情報とを対応付けて記憶した教材内容データベースと、
解答者に提示した問題と、該提示した問題の解答を行う際に前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記教材の箇所と、前記教材内容データベースとから前記解答者が参照した教材の内容を判断し、前記提示した問題と前記問題確認事項データベースとから前記提示した問題の内容を判断し、前記解答者が参照した教材の内容と前記提示した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、関連していれば解答者の理解度が高いと判断する理解度判断手段と、
を有することを特徴とする学習効果評価装置。
【請求項2】
前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報として複数箇所の情報を前記取得手段で取得した場合、前記理解度判断手段は、前記解答者が参照した前記教材の複数箇所の内容と、前記提示した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、前記解答者が問題の内容に関連する前記教材の箇所を連続して参照している場合に、前記理解度をより高いと判断することを特徴とする請求項1記載の学習効果評価装置。
【請求項3】
コンピュータを、
解答者に提示した問題と、該提示した問題の解答を行う際に前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報とを取得する取得手段と、
教材に記載された内容と、該内容が記載された教材の箇所を示す情報とを対応付けて記憶した教材内容データベースと、前記取得手段で取得した前記教材の箇所とから前記解答者が参照した教材の内容を判断する第1判断手段と、
問題と、各問題で問われている内容とを対応付けて記憶した問題確認事項データベースと、前記取得手段で取得した前記提示した問題とから前記提示した問題の内容を判断する第2判断手段と、
前記第1判断手段で判断した教材の内容と、前記第2判断手段で判断した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、関連していれば前記解答者の理解度が高いと判断する第3判断手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項4】
解答者に提示した問題と、該提示した問題の解答を行う際に前記解答者が参照した教材の箇所を示す情報とを取得する取得ステップと、
教材に記載された内容と、該内容が記載された教材の箇所を示す情報とを対応付けて記憶した教材内容データベースと、前記取得ステップで取得した前記教材の箇所とから前記解答者が参照した教材の内容を判断する第1判断ステップと、
問題と、各問題で問われている内容とを対応付けて記憶した問題確認事項データベースと、前記取得ステップで取得した前記提示した問題とから前記提示した問題の内容を判断する第2判断ステップと、
前記第1判断ステップで判断した教材の内容と、前記第2判断ステップで判断した問題の内容とが関連しているか否かを判断し、関連していれば前記解答者の理解度が高いと判断する第3判断ステップとをコンピュータが実行することを特徴とする学習効果評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−277046(P2010−277046A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132388(P2009−132388)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】