説明

学習問題作成方法および学習問題作成プログラム

【課題】本発明は、学習者の間に公平感を持たせることを実現しつつ、各学習者に合った弱点強化のための学習問題を作成することを実現する新たな技術の提供を目的とする。
【解決手段】学習者の端末に対して複数の学習問題を提示してそれに対する解答を収集するという処理を行う学習システムが提示した各学習問題について、正答率に基づいて、誤答を解答した学習者のその学習問題に対しての苦手度を算出して、各学習者ごとに、苦手度の大きさの順番に従って、誤答を解答した学習問題の選択順序を決定する。そして、学習システムが提示した各学習問題に対応付けて作成された非提示の学習問題を記憶する記憶装置から、各学習者ごとに、その決定した選択順序に従って、誤答を解答した学習問題に対応付けられる所定の数の学習問題を取得するか、所定のページ数に最大入る数の学習問題を取得することで、各学習者について、その学習者に合った学習問題を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校や塾や予備校や企業研修などの教育場面で用いられて、各学習者に合った弱点強化のための学習問題を作成することを実現する学習問題作成方法と、その学習問題作成方法の実現に用いられる学習問題作成プログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
小学校の学校教育では、先生は、ある学習内容についての教育を終えると、各児童の理解度を知るために、全児童に対して、教育した学習内容に関係する問題を作成してテストを行い、そして、このテストの結果を考慮して、各児童に対して宿題を与えることで、各児童の理解を高めるようにしている。
【0003】
このような場合に、先生がどのような宿題を児童に与えるのかということは教育効果を高める上で大変重要なことである。
【0004】
すべての児童に対して、一律に同じ問題を宿題として与えるようにしてしまうと、全体的な観点からみて、各児童の理解を高めることはできない。一律に同じ問題を宿題として与えるようにしてしまうと、理解の十分でない児童には難しい問題が与えられてしまうことになり、一方、理解の十分な児童には易しい問題が与えられてしまうことになることから、全体的な観点からみて、各児童の理解を高めることはできないのである。
【0005】
このようなことを背景にして、下記の特許文献1に記載された発明では、コンピュータを用いて児童の学習を行うときに、例えば9問からなるテストを行うことで、各児童が「0〜3点」となる評価「1」であるのか、「4〜6点」となる評価「2」であるのか、「7〜9点」となる評価「3」であるのかを判断して、評価「1」の児童に対しては現在のランクよりも下のランクの問題(易しい問題)についての学習プリントを作成し、評価「2」の児童に対しては現在のランクと同じランクの問題についての学習プリントを作成し、評価「3」の児童に対しては現在のランクよりも上のランクの問題(難しい問題)についての学習プリントを作成するようにしている。
【0006】
また、下記の特許文献2に記載された発明では、コンピュータを用いて児童の学習を行うときに、全員に同じ問題を出す統一テストを行って一人一人の弱点(間違い)を把握して、その間違いのある問題についての練習問題を個人ごとに与えるようにしている。
【特許文献1】特開2005−193476号公報
【特許文献2】特開平5−11679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
確かに、特許文献1に記載された発明によれば、コンピュータを用いて児童の学習を行うときに、理解の十分でない児童には易しい宿題が与えられるとともに、理解の十分な児童には難しい宿題が与えられるようになることから、全体的な観点からみて、各児童の理解を高めることができるようになる。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、各児童がどの学習内容のところの問題について誤答し、どの学習内容のところの問題について正答したのかということについては一切考慮していない。これから、例えば、同じ評価「2」となる児童であっても、ある児童はこの学習内容のところの問題を間違えたことで評価「2」の「4〜6点」となり、別の児童はそれとは別の学習内容のところの問題を間違えたことで評価「2」の「4〜6点」となったとしても、その二人の児童に対して、同じ宿題が与えられてしまうという問題がある。
【0009】
このように、特許文献1に記載された発明では、実際には、個々の児童に合った宿題を作成しているとは言えないのである。
【0010】
この点、特許文献2に記載された発明では、全員に同じ問題を出す統一テストを行って一人一人の間違いを把握して、その間違いのある問題についての練習問題を個人ごとに与えるようにしていることから、個々の児童に合った宿題を作成していることを実現している。
【0011】
しかしながら、特許文献2に記載された発明では、間違いのある問題のすべてについて宿題を作成することになることから、間違いの多い児童には沢山の宿題が与えられることになって、学習意欲を削いでしまうというようなことが起きてしまう。
【0012】
しかも、特許文献2に記載された発明では、間違いの多い児童には沢山の宿題が与えられ、一方、間違いの少ない児童には少ない宿題が与えられることになって、クラスの児童全員に同じ分量の宿題を与えることができないという問題もある。本来、公立の小学校における教育では、クラスの全員に対して同じ分量の宿題を与えるようにすることが公平の観点から望ましいことであるが、特許文献2に記載された発明では、そのことを実現できないのである。
【0013】
以上に説明した問題は、小学校の教育に限られることなく、中学校や高等学校や塾や予備校や企業研修などの様々な教育場面で発生する問題でもある。
【0014】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、学校や塾や予備校や企業研修などの教育場面において、学習者の間に公平感を持たせることを実現しつつ、各学習者に合った弱点強化のための学習問題を作成することができるようにする新たな学習問題作成技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するために、本発明の学習問題作成方法を実行する学習問題作成装置は、学校や塾や予備校や企業研修などの教育場面において、複数の学習者の端末に対して複数の学習問題を提示してそれに対する解答を収集する学習システムが得た正答・誤答の情報に基づいて、各学習者に合った学習問題を作成することを実現するために、(1)学習システムが提示した各学習問題に対応付けて作成された非提示の学習問題を記憶する記憶装置と、(2)学習システムが提示した各学習問題について、正答・誤答の情報により算出される正答率に基づいて、誤答を解答した学習者のその学習問題に対しての苦手度(苦手なほど大きな値を示す)を算出する算出手段と、(3)各学習者ごとに、算出手段の算出した苦手度の大きさの順番に従って、誤答を解答した学習問題の選択順序を決定する決定手段と、(4)記憶装置から、各学習者ごとに、決定手段の決定した選択順序に従って、誤答を解答した学習問題に対応付けられる所定の数の学習問題を取得するか、所定のページ数に最大入る数の学習問題を取得することで、各学習者について、その学習者に合った学習問題を作成する作成手段とを備えるように構成する。
【0016】
この構成を採るときに、算出手段は、学習システムが誤答を解答した学習問題について学習者に対して再度その学習問題を提示するという構成を採る場合には、その学習問題の要求する解答の形態とその提示回数とに基づいて苦手度の修正量を算出して、その修正量に従って苦手度を修正することがある。
【0017】
例えば、誤答した学習問題が非択一問題である場合にあって、2回目で正答を得たときには苦手度をこの位小さくし、3回目で正答を得たときには苦手度をそれよりも小さな値小さくし、4回目で正答を得たときには苦手度を小さくしないというように修正量を算出して、その修正量に従って苦手度を修正する。また、例えば、誤答した学習問題が択一問題である場合にあって、二者択一問題であるときには2回目で正答を得ても苦手度を小さくせず、三者択一問題であるときには2回目で正答を得たときには苦手度をこの位小さくし、3回目で正答を得ても苦手度を小さくしないというように修正量を算出して、その修正量に従って苦手度を修正する。
【0018】
以上の各処理手段が動作することで実現される本発明の学習問題作成方法はコンピュータプログラムでも実現できるものであり、このコンピュータプログラムは、適当なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して提供されたり、ネットワークを介して提供され、本発明を実施する際にインストールされてCPUなどの制御手段上で動作することにより本発明を実現することになる。
【0019】
このように構成される学習問題作成装置では、本発明を実現するために、学習システムから各学習者の各学習問題についての正答・誤答の情報を受け取ると、各学習問題ごとに、正答を解答した学習者の数を求めて、それに基づいて正答率を算出する。
【0020】
続いて、正答率が高い学習問題を誤答したということは、その学習問題を苦手としていることを意味しているということを考慮して、正答率が高くなるほど苦手度が大きくなるという形態に従って、誤答を解答した学習者のその学習問題に対しての苦手度を算出する。
【0021】
続いて、各学習者ごとに、苦手度の大きさの順番に従って、誤答を解答した学習問題の選択順序を決定する。
【0022】
続いて、学習システムが提示した各学習問題に対応付けて作成された非提示の学習問題を記憶する記憶装置から、各学習者ごとに、決定した選択順序に従って、誤答を解答した学習問題に対応付けられる所定の数の学習問題を取得するか、所定のページ数に最大入る数の学習問題を取得することで、各学習者について、その学習者に合った学習問題を作成する。
【0023】
ここで、記憶装置から所定のページ数に最大入る数の学習問題を取得する場合には、学習問題の記載に要するスペース情報(記憶装置が記憶する)を入手して、それに基づいて、記憶装置から所定のページ数に最大入る数の学習問題を取得することになる。
【0024】
このようにして作成した学習問題は、学習者が誤答した学習問題に対応付けて作成されたものであることから、その学習者に合った学習問題となっており、個々の学習者に対しての教育効果を高めることができるものとなっている。
【0025】
しかも、このようにして作成した学習問題は、苦手度の大きさの順番に従って、所定の数の学習問題あるいは所定のページ数に最大入る数の学習問題として作成されたものであることから、個々の学習者に対しての教育効果を高めることを実現しつつ、学習者の間に公平感を持たせることを実現できるものとなっている。
【0026】
このようにして、本発明によれば、学習者の間に公平感を持たせることを実現しつつ、各学習者に合った学習問題を作成することができるようになる。
【0027】
この構成を採るときにあって、誤答を解答した学習問題の数が少ないことで、記憶装置から、所定の数あるいは所定のページに最大入る数の学習問題を取得できない学習者が存在することがあり、そのような場合には、学習者の間に公平感を持たせることを実現できない。
【0028】
そこで、このような場合には、例えば、(i)正答を解答するまでの時間(学習システムから得る)が他の正答を得た学習者に比べて長い学習問題を順番に特定して、記憶装置から、その特定した学習問題に対応付けられる学習問題を取得したり、(ii)記憶装置から、作成手段の取得の対象となる学習問題(復習用の学習問題)とは別に用意されて、その取得対象の学習問題よりも難しい学習問題を取得することになる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、学校や塾や予備校や企業研修などの教育場面において、コンピュータを用いて学習を行うときに、教育した学習内容に関係する学習問題を作成してテストを行い、このテストの結果を考慮して、各学習者に対して新たな学習問題を与えて学習効果を高めることを実施する場合に、一人一人の弱点に合った学習問題を公平感を持たせることを実現できる形で作成することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、実施の形態に従って本発明を詳細に説明する。
【0031】
図1に、本発明を具備する学習支援システムのシステム構成を図示する。
【0032】
本発明を具備する学習支援システムは、コンピュータを用いて例えば小学校の児童の学習を支援するものであって、学習問題を使って児童の学習を実行する学習実行装置10と、児童に提示する学習問題を格納する学習問題記憶装置20と、各児童の操作する児童用端末30-i(i=1〜n)と、児童に与える宿題を作成する宿題作成装置40とを備える。
【0033】
この学習実行装置10は、学習問題記憶装置20から1問ずつ学習問題を読み出して各児童用端末30-iに提示して、各児童用端末30-iを操作する児童からその提示した学習問題に対しての解答情報を受け取り、各児童の解答が正答であるのか誤答であるのかを判定して、その判定結果の情報を学習応答データとして宿題作成装置40に送信するとともに、その提示した学習問題の情報を宿題作成装置40に送信する。
【0034】
ここで、学習実行装置10は、児童が学習問題に誤答したときに、児童用端末30-iを介して再度その学習問題を解くことを希望してくる場合には、予め設定された規定の試行回数(例えば2回)だけその希望を認めるようにしている。また、学習実行装置10は、児童が学習問題に解答しない場合には、それ以降学習問題を提示しないようにしているが、その児童が児童用端末30-iを介して次の学習問題に進むことを希望してくる場合には、その希望に沿うようにすることも可能である。
【0035】
宿題作成装置40は、学習実行装置10から学習応答データおよび学習問題情報を受け取り、その受け取った学習応答データおよび学習問題情報に基づいて、各児童についての個人別成績表を作成するとともに、その受け取った学習応答データに基づいて、児童一人一人の弱点に合った宿題を作成して宿題プリントを印刷する。
【0036】
宿題作成装置40は、この処理を実現するために、学習実行装置10から送られてくる学習応答データおよび学習問題情報を入力する学習応答データ・学習問題情報入力部401と、学習応答データ・学習問題情報入力部401の入力した学習応答データおよび学習問題情報を格納する入力データ記憶部402と、児童の示すある学習問題に対しての苦手度および得意度の算出に用いるテーブルデータを記憶する算出テーブル403と、算出テーブル403の記憶するテーブルデータを使って、ある学習問題に誤答した児童のその学習問題に対しての苦手度を算出するとともに、その学習問題に正答した児童のその学習問題に対しての得意度を算出する苦手度・得意度算出部404と、作業用データを格納する作業用メモリ405と、苦手度・得意度算出部404の算出した苦手度・得意度と学習実行装置10から送られてきた学習問題情報とに基づいて、各児童についての個人別成績表を作成する個人別成績表作成部406と、個人別成績表作成部406の作成した個人別成績表を保存する個人別成績表記憶部407と、児童に出す宿題プリントに印刷される宿題を格納する宿題記憶部408と、苦手度・得意度算出部404の算出した苦手度に基づいて、宿題記憶部408から児童一人一人の弱点に合った宿題を読み出して個人別宿題プリントを作成する個人別宿題プリント作成部409と、プリンタ410を制御することで、個人別宿題プリント作成部409の作成した個人別宿題プリントを印刷する個人別宿題プリント印刷部411とを備える。
【0037】
図2に、学習実行装置10から宿題作成装置40へ送られる学習応答データの一例を図示し、図3に、算出テーブル403の記憶するテーブルデータの一例を図示し、図4に、宿題記憶部408の格納する宿題の一例を図示する。
【0038】
次に、これらの図に従って、学習実行装置10から宿題作成装置40へ送られる学習応答データと、算出テーブル403の記憶するテーブルデータと、宿題記憶部408の格納する宿題とについて説明する。
【0039】
学習実行装置10から宿題作成装置40へ送られる学習応答データは、図2に示すように、学習問題のIDおよび児童のIDに対応付けて、その児童がその学習問題を解くのに要した所要時間(秒)と、その学習問題に対しての解答が何回目の解答であるのかを示す試行回数(正答を得た場合には、そこで試行を終える)と、その解答が正答であるのか誤答であるのか無解答であるのかを示す正答・誤答情報と、その児童が児童用端末30-iを使って入力した実際の解答情報とで構成される。
【0040】
図2に示す学習応答データでは、例えば、学習問題“02”について、(1)児童“01”は、1回目の試行で正答を得て、その学習問題を解くのに24秒を要し、その結果は正答で、その実際の解答は“4あまり1”であり、(2)児童“02”は、1回目の試行では、その学習問題を解くのに135秒を要し、その結果は誤答で、その実際の解答は“3あまり2”であり、(3)児童“02”は、2回目の試行で正答を得て、その学習問題を解くのに102秒を要し、その結果は正答で、その実際の解答は“4あまり1”であり、(4)児童“03”は、その学習問題に対して無解答であり、・・・・・・・、(5)児童“30”は、1回目の試行で正答を得て、その学習問題を解くのに9秒を要し、その結果は正答で、その実際の解答は“4あまり1”である、という例を示してある。
【0041】
算出テーブル403は、苦手度算出テーブルと得意度算出テーブルという2つのテーブルで構成されている。
【0042】
算出テーブル403を構成する苦手度算出テーブルは、図3(a)に示すように、クラスの正答率と苦手度との対応関係を管理する。
【0043】
例えば、ある学習問題についてのクラスの正答率が30%以上で40%未満のときには、その学習問題に誤答した児童のその学習問題についての苦手度は40であるというように、クラスの正答率と苦手度との対応関係を管理するのである。クラスの多くの児童が正答できた学習問題について誤答した児童は、その学習問題を苦手にしているということを意味するので、苦手度算出テーブルは、正答率が高くなるほど苦手度が大きくなるという形態に従って、クラスの正答率と苦手度との対応関係を管理することになる。
【0044】
一方、算出テーブル403を構成する得意度算出テーブルは、図3(b)に示すように、クラスの正答率と得意度との対応関係を管理する。
【0045】
例えば、ある学習問題についてのクラスの正答率が30%以上で40%未満のときには、その学習問題に正答した児童のその学習問題についての得意度は70であるというように、クラスの正答率と得意度との対応関係を管理するのである。クラスの少しの児童しか正答できなかった学習問題について正答した児童は、その学習問題を得意にしているということを意味するので、得意度算出テーブルは、正答率が低くなるほど得意度が大きくなるという形態に従って、クラスの正答率と得意度との対応関係を管理することになる。
【0046】
ここで、図3(a)に示す対応関係は一例であって、正答率が高くなるほど苦手度が大きくなるという対応関係であるならば、どのような対応関係であってもよい。同様に、図3(b)に示す対応関係は一例であって、正答率が低くなるほど得意度が大きくなるという対応関係であるならば、どのような対応関係であってもよい。
【0047】
宿題記憶部408は、学習実行装置10が児童に提示した学習問題に対応付けて作成された弱点補強用の宿題と、その弱点補強用宿題をプリントに印刷するときに要求される高さの情報(印刷スペースの縦幅の情報)とを格納するとともに、弱点補強用宿題とは関係なく作成された規定の個数の実力向上用宿題(弱点補強用宿題よりも難しい宿題)と、その実力向上用宿題をプリントに印刷するときに要求される高さの情報とを格納する。
【0048】
例えば、学習実行装置10が児童に対して第1問〜第22問の学習問題を提示するときには、宿題記憶部408は、図4に示すように、それらの22問の学習問題の各々に対応付けて作成された弱点補強用宿題と、その弱点補強用宿題をプリントに印刷するときに要求される高さの情報とを格納するとともに、弱点補強用宿題とは関係なく作成された例えば10問の実力向上用宿題と、その実力向上用宿題をプリントに印刷するときに要求される高さの情報とを格納するのである。
【0049】
ここで、宿題記憶部408に格納される実力向上用宿題については、先頭に一番易しい実力向上用宿題が格納され、それから後に続くほど難しい実力向上用宿題になるようにと格納されることが好ましい。
【0050】
図5に、苦手度・得意度算出部404の実行するフローチャートの一例を図示し、図6に、個人別成績表作成部406の実行するフローチャートの一例を図示し、図7に、個人別宿題プリント作成部409の実行するフローチャートの一例を図示する。
【0051】
次に、これらのフローチャートに従って、図1のように構成される宿題作成装置40の実行する宿題作成処理について詳細に説明する。
【0052】
なお、以下では、説明の便宜上、学習実行装置10が児童に対して第1問〜第22問の学習問題を提示することを想定するとともに、児童の人数が30人であることを想定する。
【0053】
まず最初に、図5のフローチャートに従って、苦手度・得意度算出部404の実行する処理について説明する。
【0054】
苦手度・得意度算出部404は、図示しない入出力装置を使って、先生に対して入力データ記憶部402に格納される学習情報の一覧(色々なクラスや色々な学習についての学習情報の一覧)を表示し、先生がこの一覧表示に応答して処理対象の学習情報を選択すると、図5のフローチャートに示すように、まず最初に、ステップS101で、入力データ記憶部402から、処理対象として選択された学習情報についての学習応答データおよび学習問題情報を読み出して、作業用メモリ405に格納する。
【0055】
続いて、ステップS102で、学習問題の問題番号を指定する変数jに初期値である1をセットする。
【0056】
続いて、ステップS103で、作業用メモリ405に格納した学習応答データ(図2に示すもの)を参照して、第j問について、試行回数が1における正答の数を求める。すなわち、第j問について、30人の児童の内、試行回数が1で正答を得た児童の数を求めるのである。
【0057】
続いて、ステップS104で、ステップS103で求めた正答数を使い、“(正答数/解答した児童者数)×100”という算出式に従って、第j問についての正答率を算出して作業用メモリ405に格納する。ここで、児童数の30人に基づいて、“(正答数/30)×100”という算出式に従って、第j問についての正答率を算出するようにしてもよい。
【0058】
続いて、ステップS105で、ステップS104で算出した正答率をキーにして、図3(a)に示すようなテーブル構造を持つ苦手度算出テーブルを参照することで、第j問の学習問題に誤答した児童のその第j問の学習問題についての苦手度を算出して、作業用メモリ405に格納する。
【0059】
続いて、ステップS106で、ステップS104で算出した正答率をキーにして、図3(b)に示すようなテーブル構造を持つ得意度算出テーブルを参照することで、第j問の学習問題に正答した児童のその第j問の学習問題についての得意度を算出して、作業用メモリ405に格納する。
【0060】
続いて、ステップS107で、変数jの値を1つインクリメントし、続くステップS108で、変数jの値が22を越えたのか否かを判断して、越えていないことを判断するときには、ステップS103の処理に戻り、越えたことを判断するときには、処理を終了する。
【0061】
このようにして、苦手度・得意度算出部404は、学習実行装置10が児童に対して提示した第1問〜第22問の学習問題のそれぞれについて、その学習問題に誤答した児童のその学習問題に対しての苦手度を算出するとともに、その学習問題に正答した児童のその学習問題に対しての得意度を算出して、作業用メモリ405に格納するように処理するのである。
【0062】
ここで、苦手度・得意度算出部404は、図5のフローチャートの処理に従って苦手度や得意度を算出する場合には、図3(a)に示すテーブル構造を持つ苦手度算出テーブルや図3(b)に示すテーブル構造を持つ得意度算出テーブルを参照することで苦手度や得意度を算出するという構成を採ったが、このようなテーブルを用いずに、プログラムの判断機能を使って、正答率に対応付けられる苦手度や得意度を特定したり、正答率と苦手度や得意度との間に成立する関係について記述する算出式に対して、正答率を代入することで苦手度や得意度を算出するようにしてもよい。
【0063】
次に、図6のフローチャートに従って、個人別成績表作成部406の実行する処理について説明する。
【0064】
個人別成績表作成部406は、苦手度・得意度算出部404により苦手度および得意度の算出処理が終了することで起動されると、図6のフローチャートに示すように、まず最初に、ステップS201で、作業用メモリ405に格納される学習応答データ(図2に示すもの)を参照することで、各児童が第1問〜第22問の解答に要した所要時間(試行回数が1における所要時間)を取得して、それに基づいて、第1問〜第22問の学習問題のそれぞれについて、全児童についての所要時間(試行回数が1における所要時間)の平均値を算出する。
【0065】
すなわち、試行回数が1の学習応答データを算出対象として、第1問〜第22問の学習問題のそれぞれについて、その学習問題に解答してきた各児童の所要時間の合計値を算出して、その合計値を解答してきた児童数で割り算することで、例えば、第1問の学習問題についての所要時間の平均時間はこういう値であるということを算出するのである。
【0066】
続いて、ステップS202で、児童の識別番号を指定する変数iに初期値である1をセットするとともに、学習問題の問題番号を指定する変数jに初期値である1をセットする。
【0067】
続いて、ステップS203で、作業用メモリ405に格納される学習応答データから、i番目の児童が第j問の学習問題を解答するまでの所要時間を取得して、その取得した所要時間とステップS202で求めた第j問の学習問題の平均時間とに基づいて、“所要時間/平均時間”を算出する。この算出値は、i番目の児童が第j問の学習問題について、平均よりもどれ位短い時間あるいは長い時間で解答したのかを示すものである。
【0068】
続いて、ステップS204で、作業用メモリ405に格納される学習応答データを参照することで、i番目の児童が第j問の学習問題について正答したのか否かを判断して、誤答したことを判断するときには、ステップS205に進んで、作業用メモリ405に格納される学習応答データを参照することで、その第j問の学習問題についての苦手度(図5のフローチャートのステップS105で算出されたもの)を取得し、一方、正答したことを判断するときには、ステップS206に進んで、作業用メモリ405に格納される学習応答データを参照することで、その第j問の学習問題についての得意度(図5のフローチャートのステップS106で算出されたもの)を取得する。
【0069】
続いて、ステップS207で、作業用メモリ405に格納される学習応答データを参照することで、第j問の学習問題についての正答率(図5のフローチャートのステップS104で算出されたもの)を取得する。
【0070】
続いて、ステップS208で、変数jの値を1つインクリメントし、続くステップS209で、変数jの値が22を越えたのか否かを判断して、越えていないことを判断するときには、ステップS203の処理に戻り、越えたことを判断するときには、ステップS210に進んで、i番目の児童の個人別成績表を作成する。
【0071】
すなわち、ステップS203で算出した“所要時間/平均時間”と、ステップS205で取得した苦手度と、ステップS206で取得した得意度と、ステップS207で取得した正答率と、作業用メモリ405に格納される学習応答データ(図2に示すもの)から取得される試行回数が1における“正答・誤答情報”/“所要時間”/“児童の解答情報”と、作業用メモリ405に格納される学習問題情報から取得される“学習問題の内容”/“正答の内容”/“学習の目標”とに基づいて、図8に示すようなi番目の児童の個人別成績表を作成するのである。
【0072】
続いて、ステップS211で、変数iの値を1つインクリメントし、続くステップS212で、変数iの値が30を越えたのか否かを判断して、越えていないことを判断するときには、ステップS203の処理に戻り、越えたことを判断するときには、ステップS213に進んで、ステップS210で作成した児童30人の個人別成績表を統合することで最終的な個人別成績表を作成し、それを個人別成績表記憶部407に格納して、処理を終了する。
【0073】
このようにして、個人別成績表作成部406は、苦手度・得意度算出部404の算出した苦手度および得意度と学習実行装置10から送られてきた学習問題情報とに基づいて、図8に示すようなことについて記載する各児童についての個人別成績表を作成して、それを個人別成績表記憶部407に格納するように処理するのである。
【0074】
この個人別成績表記憶部407に格納された個人別成績表については、図示しない入出力装置を使って、先生に提供するようにしている。
【0075】
次に、図7のフローチャートに従って、個人別宿題プリント作成部409の実行する処理について詳細に説明する。
【0076】
個人別宿題プリント作成部409は、苦手度・得意度算出部404あるいは個人別成績表作成部406の処理が終了することで起動されると、図7のフローチャートに示すように、まず最初に、ステップS301で、児童の識別番号を指定する変数iに初期値である1をセットする。
【0077】
続いて、ステップS302で、作業用メモリ405に格納される学習応答データ(図2に示すもの)を参照することで、i番目の児童について、第1問〜第22問の学習問題の内、試行回数が1のときに誤答を解答した学習問題の苦手度を取得して、それに基づいて誤答を解答した学習問題を苦手度の大きい順にソートする。
【0078】
続いて、ステップS303で、ソート順序を指定する変数kに初期値である1をセットする。
【0079】
続いて、ステップS304で、i番目の児童について、全ての誤答の学習問題を選択したのか否かを判断して、全ての誤答の学習問題を選択していないことを判断するときには、ステップS305に進んで、図4に示すような宿題格納構造を持つ宿題記憶部408から、k番目にソートされた誤答の学習問題に対応付けられる弱点補強用宿題およびその高さ情報を読み出す。
【0080】
続いて、ステップS307で、これまでに宿題記憶部408から読み出した宿題(今回読み出した宿題を含む)の高さの合計値から、今回読み出した宿題を印刷すると1枚のプリントに入らなくなるのかを判断し、続くステップS308で、この判断処理に従って印刷しても1枚のプリントに入ることを判断するときには、ステップS309に進んで、変数kの値を1つインクリメントしてステップS304の処理に戻る。
【0081】
そして、ステップS304〜305,ステップS307〜309の処理を繰り返していくことで、ステップS304で、i番目の児童について、全ての誤答の学習問題を選択したことを判断するときには、ステップS306に進んで、図4に示すような宿題格納構造を持つ宿題記憶部408から、未選択の実力向上用宿題およびその高さ情報を先頭からの順番に選択して読み出す。
【0082】
続いて、ステップS307で、これまでに宿題記憶部408から読み出した宿題(今回読み出した宿題を含む)の高さの合計値から、今回読み出した宿題を印刷すると1枚のプリントに入らなくなるのかを判断し、続くステップS308で、この判断処理に従って印刷しても1枚のプリントに入ることを判断するときには、ステップS309に進んで、変数kの値を1つインクリメントしてステップS304の処理に戻る。
【0083】
このようにしてステップS304〜309の処理を繰り返していくことで、ステップS308で、今回読み出した宿題を印刷すると1枚のプリントに入らなくなることを判断するときには、ステップS310に進んで、今回読み出した宿題を除くこれまでに読み出した宿題を使って、i番目の児童に与える1枚のプリントからなる宿題を作成する。
【0084】
続いて、ステップS311で、変数iの値を1つインクリメントし、続くステップS312で、変数iの値が30を越えたのか否かを判断して、越えていないことを判断するときには、ステップS302の処理に戻り、越えたことを判断するときには、処理を終了する。
【0085】
このようにして、個人別宿題プリント作成部409は、児童全員に対して、1枚のプリントに最大入る数の宿題からなる宿題プリントを作成するように処理することになる。
【0086】
この宿題プリントの作成を受けて、個人別宿題プリント印刷部411は、プリンタ410を制御することで、個人別宿題プリント作成部409により作成された宿題プリントを印刷するように処理することになる。
【0087】
このように、個人別宿題プリント作成部409は、児童全員に対して、1枚のプリントに最大入る数の宿題からなる宿題プリントを作成するように処理するものであり、さらに、この作成にあたって、誤答した数の多い児童については、苦手度の大きい弱点補強用宿題からなる宿題を作成し、誤答した数の少ない児童については、弱点補強用宿題だけでは1枚のプリントに空き領域ができるので、その領域に実力向上用宿題を加えることで宿題を作成するように処理するのである。
【0088】
これにより、個人別宿題プリント作成部409によれば、テストの結果を考慮して、各児童に対して宿題を与えて学習効果を高めることを実施する場合に、一人一人の弱点に合った宿題を公平感を持たせることを実現できる形で作成することができるようになる。
【0089】
ここで、図7のフローチャートでは、ステップS306で、未選択の実力向上用宿題を先頭からの順番に選択して読み出すときに、ステップS307で、その読み出した実力向上用宿題が1枚のプリントに印刷できないことを判断するときには、ステップS308の処理を介して、直ちに、ステップS310の処理に進むようにしているが、その読み出した実力向上用宿題に代えて、その次の順番の実力向上用宿題を読み出して1枚のプリントに印刷できるのか否かを判断するようにしてもよい。
【0090】
ただし、宿題記憶部408に格納される実力向上用宿題が、先頭に一番高さの低い実力向上用宿題が格納され、それから後に続くほど高さが高くなる実力向上用宿題になるようにと格納される場合には、図7のフローチャートの処理をそのまま実行することになる。
【0091】
また、図7のフローチャートでは、1枚のプリントに弱点補強用宿題を割り当てても空白の領域ができる場合には、図9(a)に示すように、予め設定された順に実力向上用宿題を割り当てるようにしているが、図9(b)に示すように、“所要時間/平均時間”に従って正答を解答するまでの所要時間が長い学習問題を特定して、その特定した正答の学習問題に対応付けられる弱点補強用宿題を割り当てるようにしてもよい。
【0092】
図10に、個人別宿題プリント作成部409の実行するフローチャートの他の一例を図示する。
【0093】
個人別宿題プリント作成部409は、図7のフローチャートに従って処理を実行する場合には、児童の間に不公平感をもたらさないようにするために、1枚のプリントに最大入る数の宿題からなる宿題プリントを作成するようにしているが、図10のフローチャートに従って処理を実行する場合には、規定の数の宿題からなる宿題プリントを作成することで、児童の間に不公平感をもたらさないようにしている。
【0094】
すなわち、個人別宿題プリント作成部409は、図10のフローチャートに従って処理を実行する場合には、まず最初に、ステップS401で、児童の識別番号を指定する変数iに初期値である1をセットし、続くステップS402で、図7のフローチャートのステップS302と同様の処理を実行することで、i番目の児童について、第1問〜第22問の学習問題の内の誤答を解答した学習問題を苦手度の大きい順にソートする。
【0095】
続いて、ステップS403で、ソート順序を指定する変数kに初期値である1をセットし、続くステップS404で、宿題記憶部408から、i番目の児童について、規定個数の宿題を読み出したのか否かを判断して、規定個数の宿題を読み出していないことを判断するときには、ステップS405に進んで、i番目の児童について、全ての誤答の学習問題を選択したのか否かを判断する。
【0096】
この判断処理に従って、i番目の児童について、全ての誤答の学習問題を選択していないことを判断するときには、ステップS406に進んで、宿題記憶部408から、k番目にソートされた誤答の学習問題に対応付けられる弱点補強用宿題を読み出し(高さ情報については読み出す必要はない)、続くステップS408で、変数kの値を1つインクリメントしてステップS404の処理に戻る。
【0097】
そして、ステップS404〜406,ステップS408の処理を繰り返していくことで、ステップS405で、i番目の児童について、全ての誤答の学習問題を選択したことを判断するときには、ステップS407に進んで、宿題記憶部408から、未選択の実力向上用宿題を先頭からの順番に選択して読み出してから(高さ情報については読み出す必要はない)、ステップS408で、変数kの値を1つインクリメントしてステップS404の処理に戻る。
【0098】
このようにしてステップS404〜408の処理を繰り返していくことで、ステップS404で、i番目の児童について、宿題記憶部408から規定個数の宿題を読み出したことを判断するときには、ステップS409に進んで、これまでに読み出した宿題(今回読み出した宿題を含む)を使って、i番目の児童に与える規定個数の宿題を作成する。
【0099】
続いて、ステップS410で、変数iの値を1つインクリメントし 続くステップS411で、変数iの値が30を越えたのか否かを判断して、越えていないことを判断するときには、ステップS402の処理に戻り、越えたことを判断するときには、処理を終了する。
【0100】
このようにして、個人別宿題プリント作成部409は、図10のフローチャートに従って処理を実行する場合には、規定の数の宿題からなる宿題プリントを作成することで、児童の間に不公平感をもたらさないようにしている。
【0101】
以上に説明したフローチャートでは、試行回数が1における正答・誤答の情報を使って処理を実行するようにしているが、前述したように、学習実行装置10は、児童が学習問題に誤答したときに、児童用端末30-iを介して再度その学習問題を解くことを希望してくる場合には、予め設定された規定の試行回数(例えば2回)だけその希望を認めるようにしている。
【0102】
この構成に従って、図2の学習応答データに示すように、ある児童がある学習問題について、試行回数が1のときには誤答を解答したものが、試行回数が2のときには正答を解答するというようなことが起こる。
【0103】
そこで、苦手度・得意度算出部404は、図11(a)のフローチャートに示すように、児童がある学習問題について複数回の試行により正答を得た場合には、その学習問題が択一問題であるのか否かを判断して、(i)択一問題でない場合には、正答を得るまでの試行回数に応じて、その試行回数が少ない程大きな修正量になるようにと修正量を決定して、図5のフローチャートのステップS105で算出した苦手度をその決定した修正量分減ずる形で修正し、(ii)択一問題である場合には、選択対象の解答数と正答を得るまでの試行回数とに応じて、その解答数が多く、その試行回数が少ない程大きな修正量になるようにと修正量を決定して、図5のフローチャートのステップS105で算出した苦手度をその決定した修正量分減ずる形で修正する、という処理を行うことで苦手度を修正することがある。
【0104】
ここで、学習問題が択一問題であるときにあって、選択対象の解答数と試行回数とから必然的に正答になる場合には、修正量をゼロに決定することになる。また、減算処理により苦手度を小さくする修正を行うのではなくて、乗算処理により苦手度を小さくする修正を行うことも可能である。
【0105】
このような苦手度の修正機能を持たせるようにすると、苦手度をより正確に算出することができることになることで、より苦手な学習問題に対応付けられる弱点補強用宿題を宿題プリントに印刷することができるようになる。
【0106】
一方、得意度についても、正答を得るまでの所要時間を使って修正機能を持たせるようにすることもできる。例えば、苦手度・得意度算出部404は、図11(b)のフローチャートに示すように、正答を得るまでの所要時間(平均時間との比に換算した所要時間)に応じて、その所要時間が長い程大きな修正量になるようにと修正量を決定して、図5のフローチャートのステップS106で算出した得意度をその決定した修正量分減ずる形で修正する、という処理を行うことで得意度を修正することも可能である。
【0107】
個人別宿題プリント作成部409は、図7のフローチャートや図10のフローチャートを実行することで、宿題を出すにあたって、児童の間に不公平感をもたらさないようにしている。
【0108】
しかしながら、学習実行装置10が提示した学習問題を十分理解できない児童に対して、その他の児童と同じ分量の宿題を出すようにしてしまうと、その児童に大きな負荷をかけてしまい逆効果となることが考えられる。
【0109】
そこで、このことを考慮して、個人別宿題プリント作成部409は、図12のフローチャートに示すように、各児童について“所要時間/平均時間”の全学習問題についての平均値を算出して、その平均値が1よりもかなり大きな値に設定される閾値Thよりも大きなものとなる児童に対しては、学習問題を解くのに時間のかかる児童であると判断して、規定個数の宿題を作成する図10のフローチャートに従って、他の児童に出すよりも少ない数の宿題(平均値の大きさに応じてその数を変更するようにしてもよい)を作成することを決定し、一方、その平均値がその閾値Thよりも小さなものとなる児童に対しては、1枚のプリントに最大入る数の宿題を作成する図7のフローチャートに従って、他の児童に出すのと同じ分量の宿題を作成することを決定する、という処理を行うようにしてもよい。
【0110】
ここで、図12のフローチャートでは、平均値が閾値Thよりも小さなものとなる児童に対して、図7のフローチャートに従って、他の児童に出すのと同じ分量の宿題を作成することを決定するようにしたが、図10のフローチャートに従って、他の児童に出すのと同じ個数の宿題を作成することを決定するようにしもよい。
【0111】
次に、図13、図14および図16に従って、宿題記憶部408の格納する宿題の構成について説明する。
【0112】
図4で説明したように、宿題記憶部408は、学習実行装置10の提示する学習問題の各々に対応付けて作成された弱点補強用宿題およびその高さ情報と、規定の数の実力向上用宿題およびその高さ情報とを格納することを基本構成とするものである。
【0113】
この宿題記憶部408の基本構成に従って、個人別宿題プリント作成部409は、一人一人の児童の弱点に合った宿題を公平感を持たせることを実現できる形で作成することができるようになる。
【0114】
この基本構成を採るときに、宿題記憶部408は、先生が児童に対してさらに多くの宿題を出したいと思うことがあることを考慮して、図13に示すように、1回目用の宿題、2回目用の宿題、3回目用の宿題というような形で宿題を格納するという構成を採ることがある。
【0115】
このような構成を採ると、個人別宿題プリント作成部409は、先生から宿題プリントの作成要求があるときには、1回目用の宿題を使って宿題プリントを作成し、その後に再び先生から宿題プリントの作成要求があるときには、2回目用の宿題を使って宿題プリントを作成し、その後に再び先生から宿題プリントの作成要求があるときには、3回目用の宿題を使って宿題プリントを作成することで、先生の希望する分量の宿題の作成を実現できるようになる。
【0116】
また、この基本構成を採るときに、宿題記憶部408は、先生が児童に対して成績の違いによって宿題を出したいと思うことがあることを考慮して、図14に示すように、第j問(j=1〜22)の学習問題のそれぞれに対応付けて用意する宿題を、成績上位者用の宿題、成績中位者用の宿題、成績下位者用の宿題というような形で宿題を格納するという構成を採ることがある。
【0117】
このような構成を採ると、個人別宿題プリント作成部409は、成績上位者にはそれに合った宿題プリントを作成し、成績中位者にはそれに合った宿題プリントを作成し、成績下位者にはそれに合った宿題プリントを作成することで、先生の希望する形での宿題の作成を実現できるようになる。
【0118】
ここで、児童が成績上位者であるのか成績中位者であるのか成績下位者であるのかについては、個人別成績表作成部406などが図15のフローチャートを実行することで決定することになる。
【0119】
また、図2では記載しなかったが、学習実行装置10から宿題作成装置40へ送られる学習応答データには、児童がどのような誤答したのかを示す間違え方のパターン種別の情報が記録されていることがある。
【0120】
例えば、わり算の筆算では、(1)商は正しいけれどあまりを間違えてしまう、(2)商は正しいけれどあまりを付けてしまう、(3)商は正しいけれどあまりを忘れてしまう、(4)あまりが除数以上になってしまう、(5)商の一位が0になる場合に、0をたて忘れてしまう、(6)商の十位が0になる場合に、0をたて忘れてしまう、(7)商の十位が0になる場合に、0を一位にたててしまう、(8)100位がわり切れる場合に、下2桁を九九で計算してしまう、(9)位ごとにばらばらに計算をしてしまう、(10)一桁目に商を立てずに次の位に9をたててしまう、というような種類の間違え方のパターンがある。
【0121】
このような間違え方のパターン種別の情報が学習応答データに記録されている場合には、その間違え方に合った宿題の作成を可能にするために、宿題記憶部408は、図16に示すように、第j問(j=1〜22)の学習問題のそれぞれに対応付けて弱点補強用宿題を1つ用意するのではなくて、間違え方のパターン種別に応じて複数の弱点補強用宿題を用意するという構成を採ることがある。ここで、実力向上用宿題については、児童の誤答に合わせて用意するものではないので、間違え方のパターン種別に応じて用意する必要はない。
【0122】
このような構成を採ると、個人別宿題プリント作成部409は、学習応答データに記録されているパターン種別情報の指す弱点補強用宿題を使って宿題を作成することで、児童の間違え方に合った宿題の作成を実現できるようになる。
【0123】
図示実施形態例に従って本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態例では、宿題プリントを印刷することで説明したが、印刷するのではなくて、児童用端末30-iを使って児童に提示するようにしてもよいのである。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、学校や塾や予備校や企業研修などの教育場面に適用できるものであり、コンピュータを用いて学習を行うときに、一人一人の弱点に合った学習問題を公平感を持たせることを実現できる形で作成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明を具備する学習支援システムのシステム構成図である。
【図2】学習応答データの説明図である。
【図3】算出テーブルの記憶するテーブルデータの説明図である。
【図4】宿題記憶部の格納する宿題の説明図である。
【図5】苦手度・得意度算出部の実行するフローチャートである。
【図6】個人別成績表作成部の実行するフローチャートである。
【図7】個人別宿題プリント作成部の実行するフローチャートである。
【図8】個人別成績表の説明図である。
【図9】個人別宿題プリント作成部の実行する処理の説明図である。
【図10】個人別宿題プリント作成部の実行するフローチャートである。
【図11】苦手度・得意度算出部の実行するフローチャートである。
【図12】個人別宿題プリント作成部の実行するフローチャートである。
【図13】宿題記憶部の格納する宿題の説明図である。
【図14】宿題記憶部の格納する宿題の説明図である。
【図15】成績レベルの判定処理のフローチャートである。
【図16】宿題記憶部の格納する宿題の説明図である。
【符号の説明】
【0126】
10 学習実行装置
20 学習問題記憶装置
30 児童用端末
40 宿題作成装置
401 学習応答データ・学習問題情報入力部
402 入力データ記憶部
403 算出テーブル
404 苦手度・得意度算出部
405 作業用メモリ
406 個人別成績表作成部
407 個人別成績表記憶部
408 宿題記憶部
409 個人別宿題プリント作成部
410 プリンタ
411 個人別宿題プリント印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の学習者の端末に対して複数の学習問題を提示してそれに対する解答を収集する学習システムが得た正答・誤答の情報に基づいて、各学習者に合った学習問題を作成するという処理を行う学習問題作成装置が実行する学習問題作成方法であって、
前記学習システムが提示した各学習問題について、前記正答・誤答の情報により算出される正答率に基づいて、誤答を解答した学習者のその学習問題に対しての苦手度を算出する過程と、
各学習者ごとに、前記苦手度の大きさの順番に従って、誤答を解答した学習問題の選択順序を決定する過程と、
前記学習システムが提示した各学習問題に対応付けて作成された非提示の学習問題を記憶する記憶装置から、各学習者ごとに、前記選択順序に従って、誤答を解答した学習問題に対応付けられる所定の数の学習問題を取得するか、所定のページ数に最大入る数の学習問題を取得することで、各学習者について、その学習者に合った学習問題を作成する過程とを備えることを、
特徴とする学習問題作成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の学習問題作成方法において、
前記作成する過程では、誤答を解答した学習問題の数が少ないことで、前記所定の数あるいは所定のページに最大入る数の学習問題を取得できない学習者については、正答を解答するまでの時間が他の正答を得た学習者に比べて長い学習問題を順番に特定して、前記記憶装置から、その特定した学習問題に対応付けられる学習問題を取得することを、
特徴とする学習問題作成方法。
【請求項3】
請求項1に記載の学習問題作成方法において、
前記作成する過程では、誤答を解答した学習問題の数が少ないことで、前記所定の数あるいは所定のページに最大入る数の学習問題を取得できない学習者については、前記記憶装置から、前記取得対象の学習問題とは別に用意されて、その取得対象の学習問題よりも難しい学習問題を取得することを、
特徴とする学習問題作成方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の学習問題作成方法において、
前記算出する過程では、前記学習システムが誤答を解答した学習問題について学習者に対して再度その学習問題を提示するという構成を採る場合には、その学習問題の要求する解答の形態とその提示回数とに基づいて前記苦手度の修正量を算出して、その修正量に従って前記苦手度を修正することを、
特徴とする学習問題作成方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の学習問題作成方法をコンピュータに実行させるための学習問題作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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