説明

学習支援装置、学習支援システム、学習支援方法、及び学習支援プログラム

【課題】解答欄ごとの解答時間を算出することができ、この解答時間を考慮した習熟度の判別を容易に行うことができる学習支援装置等を提供する。
【解決手段】電子ペン10により解答欄21に記入された位置の座標データを取得するとともに、座標データが取得された時の時刻データを取得するデータ入力部57と、解答欄21に対応する座標範囲を記憶する記憶装置60と、座標範囲に含まれる座標データが取得された時の時刻データに基づいて、電子ペン10による解答欄21への記入の終了時点までの解答時間を算出する解答時間算出部42と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援装置、電子ペン、学習支援システム、学習支援方法及び学習支援プログラムに関する。特に、電子ペンで解答欄に記入する学習支援装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、学習者の理解度や習熟度を評価する学習支援システムとして、パソコンを用いてユーザが解答するものがあった(特許文献1、2参照)。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載の学習支援システムは、パソコン等のコンピュータ装置で構成されており、問題データベースの中に予め解答時間の分布データを有していた。この学習支援システムは、受講者が誤答したり、所定時間内に解答の入力がなかったりした場合、正答へ導くためのヒントを提示する。また、この学習支援システムは、解答の正誤のみではなく、解答に要した時間も勘案して評価を決定する。
【0004】
特許文献2に記載の学習システムは、インターネットを介して受講者にテスト問題を配信し、コンピュータ装置のディスプレイ画面に問題が表示された時点から、受講者が解答を入力するまでの時間を計測する。この学習システムも、解答の正誤のみではなく、解答に要した時間を勘案して評価を決定する。
【0005】
また、従来、電子ペンと専用用紙を使って試験を行うものがあった(特許文献3参照)。具体的に、特許文献3に記載のオンライン試験システムでは、試験提供者側とシステム利用者側の双方にプリンタと電子ペンが備えられ、通信回線を介して試験が実施される。試験提供者は試験問題を利用者に送信し、利用者は電子ペンで読み取り可能な用紙に試験問題をプリントして電子ペンで解答を書き込んだ後、電子化された解答を試験提供者に送信する。試験提供者は、送信された解答を電子ペンで読み取り可能な用紙にプリントして電子ペンで採点を書き込んだ後、電子化された採点を利用者に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−221893号公報
【特許文献2】特開2004−117947号公報
【特許文献3】特開2003−255812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ユーザがパソコンを用いて解答する学習支援システムは、パソコンを使い慣れていない小学校低学年の生徒や高齢者には不向きであった。
【0008】
また、電子ペンを用いたシステムでは、電子ペンと専用用紙を使って単に試験を行っているに過ぎず、習熟度を図るものではなく、また、解答時間を考慮していなかった。
【0009】
本発明は、従来事情を鑑みてなされたものであって、解答欄ごとの解答時間を算出することができ、解答時間を考慮した習熟度の判別を容易に行うことができる学習支援装置、電子ペン、学習支援システム、学習支援方法、及び学習支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の学習支援装置は、電子ペンにより解答欄に記入された位置の座標データを取得するとともに、前記座標データが取得された時の時刻データを取得するデータ取得部と、前記解答欄に対応する座標範囲を記憶する記憶部と、前記座標範囲に含まれる前記座標データが取得された時の前記時刻データに基づいて、前記電子ペンによる前記解答欄への記入の終了時点までの解答時間を算出する解答時間算出部と、を備える。
【0011】
この構成によれば、座標範囲に含まれる座標データが取得された時の時刻データをもとに、電子ペンによる解答欄への記入が終わるまでの解答時間を算出するので、解答欄ごとの解答時間を算出することができる。これにより、この解答時間を考慮した習熟度の判別を容易に行うことができる。従って、きめ細かい学習指導を行うことができ、また、得意分野・不得意分野の推定精度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の電子ペンは、解答欄に記入するための電子ペンであって、前記解答欄に記入された位置の座標データを取得するとともに、前記座標データが取得された時の時刻データを取得するデータ取得部と、前記解答欄に対応する座標範囲を記憶する記憶部と、前記座標範囲に含まれる前記座標データが取得された時の前記時刻データに基づいて、前記解答欄への記入の終了時点までの解答時間を算出する解答時間算出部と、を備える。
【0013】
この構成によれば、座標範囲に含まれる座標データが取得された時の時刻データをもとに、電子ペンによる解答欄への記入が終わるまでの解答時間を算出するので、解答欄ごとの解答時間を算出することができる。これにより、この解答時間を考慮した習熟度の判別を容易に行うことができる。従って、きめ細かい学習指導を行うことができ、また、得意分野・不得意分野の推定精度を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の学習支援システムは、電子ペンと学習支援装置とを有する学習支援システムであって、前記電子ペンは、解答欄に記入される位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された位置の座標データおよび前記位置が検出された時の時刻データを出力するデータ出力部と、を備え、前記学習支援装置は、前記電子ペンから出力された前記座標データおよび前記時刻データを取得するデータ取得部と、前記解答欄に対応する座標範囲を記憶する記憶部と、前記座標範囲に含まれる前記座標データが取得された時の前記時刻データをもとに、前記電子ペンによる前記解答欄への記入の終了時点までの解答時間を算出する解答時間算出部と、を備える。
【0015】
この構成によれば、座標範囲に含まれる座標データが取得された時の時刻データをもとに、電子ペンによる解答欄への記入が終わるまでの解答時間を算出するので、解答欄ごとの解答時間を算出することができる。これにより、この解答時間を考慮した習熟度の判別を容易に行うことができる。従って、きめ細かい学習指導を行うことができ、また、得意分野・不得意分野の推定精度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の学習支援方法は、学習支援装置における学習支援方法であって、電子ペンにより解答欄に記入された位置の座標データを取得するとともに、前記座標データが取得された時の時刻データを取得するステップと、記憶装置に記憶された前記解答欄に対応する座標範囲を参照し、前記座標範囲に含まれる前記座標データが取得された時の前記時刻データに基づいて、前記電子ペンによる前記解答欄への記入の終了時点までの解答時間を算出するステップと、を有する。
【0017】
この方法によれば、座標範囲に含まれる座標データが取得された時の時刻データをもとに、電子ペンによる解答欄への記入が終わるまでの解答時間を算出するので、解答欄ごとの解答時間を算出することができる。これにより、この解答時間を考慮した習熟度の判別を容易に行うことができる。従って、きめ細かい学習指導を行うことができ、また、得意分野・不得意分野の推定精度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の学習支援プログラムは、上記学習支援方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0019】
このプログラムによれば、座標範囲に含まれる座標データが取得された時の時刻データをもとに、電子ペンによる解答欄への記入が終わるまでの解答時間を算出するので、解答欄ごとの解答時間を算出することができる。これにより、この解答時間を考慮した習熟度の判別を容易に行うことができる。従って、きめ細かい学習指導を行うことができ、また、得意分野・不得意分野の推定精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、解答欄ごとの解答時間を算出することができ、解答時間を考慮した習熟度の判別を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態における学習支援システムの概略を示す図
【図2】本発明の第1の実施形態における解答用紙に電子ペンで記入する様子の一例を示す図
【図3】本発明の第1の実施形態における学習支援システムの構成例を示すブロック図
【図4】本発明の第1の実施形態における学習支援処理の全体の流れの一例を示す図
【図5】本発明の第1の実施形態における受講者データベースの一例を示すテーブル
【図6】本発明の第1の実施形態における用紙データベースの一例を示すテーブル
【図7】本発明の第1の実施形態における問題データベースの一例を示すテーブル
【図8】本発明の第1の実施形態における電子ペンで記入される問題用紙(解答用紙)の一例を示す図
【図9】(A)、(B)本発明の第1の実施形態における採点処理の一例を説明するための図
【図10】本発明の第1の実施形態における解答時間の一例を説明するための図
【図11】本発明の第1の実施形態における解答時間の算出手順の一例を示すフローチャート
【図12】本発明の第2の実施形態における問題用紙(解答用紙)の一例を示す図
【図13】本発明の第2の実施形態における解答時間の一例を説明するための図
【図14】本発明の第2の実施形態における解答時間の算出手順の一例を示すフローチャート
【図15】本発明の第3の実施形態における解答時間の一例を説明するための図
【図16】本発明の第4の実施形態における問題用紙の一例を示す図
【図17】本発明の第4の実施形態における解答時間の一例を説明するための図
【図18】本発明の第4の実施形態における解答時間の算出手順の一例を示すフローチャート
【図19】本発明の第5の実施形態における電子ペンの構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態における学習支援システムの概略を示す図である。図1に示す学習支援システムでは、受講者側の電子ペン10と解答用紙20、および試験提供者側の学習支援装置50を備える。ここでは、解答用紙に問題が記述されているが、別途、問題用紙が用意されてもよい。
【0024】
受講者は、電子ペン10で解答用紙20に解答を記入した後、試験提供者に解答用紙20を提出する。また、電子ペン10で記入した際の記入座標および時刻のデータも提出される。これらのデータの提出は、例えば解答用紙20と電子ペン10を郵送で送ることで行われる。
【0025】
試験提供者は、提出された解答用紙20を採点し、この採点結果を学習支援装置50に入力することで、電子化して記録する。試験提供者側では、学習支援装置50が、電子ペン10の記入座標および時刻のデータから各問題の解答に要した解答時間を算出する。
【0026】
学習支援装置50は、この採点結果のデータと、問題データベース65の正答率と解答時間の分布とから、問題ごとに受講者の習熟度を算出する。さらに、学習支援装置50は、問題データベース65から、習熟度の低い分野については、基礎問題や復習問題、習熟度の高い分野については、発展的な問題を読み出し、新たな問題用紙(解答用紙)20Aを作成する。そして、試験提供者は、受講者に採点済みの解答用紙20とともに、新たに作成した問題用紙20Aを郵送で送付する。
【0027】
図2は、解答用紙に電子ペンで記入する様子の一例を示す図である。学習支援システムで用いられる解答用紙20は専用用紙である。電子ペン10は、後述する電子部品を内蔵する他、通常のペンと同様、インクカートリッジ10aを有し、このインクで解答用紙20に文字などを記入可能である。
【0028】
解答用紙20の表面には、電子ペン10のペン先の近傍に取り付けられたカメラ12で撮影可能なドットパターンが印刷されている。つまり、解答用紙20は、台紙の上に、このドットパターンと、問題および解答欄を有するテンプレートとが印刷されたものである。
【0029】
カメラ12は、電子ペン10の記入位置を検出(撮影)するものであり、例えば、1mm×1mmの大きさを撮影範囲とし、その中に含まれるドットパターンを撮影する(図2において、拡大した部分20a参照)。電子ペン10内のメモリ14には、この撮影されるドットパターンが解答用紙20の位置座標に対応付けて登録されている。なお、カメラ12は、LED等の発光部を搭載し、撮影範囲を照らすようにしてもよい。
【0030】
撮影されたドットパターンがメモリ14に登録されたドットパターンに一致すると、その位置座標が特定され、座標データとしてメモリ14に記録される。なお、専用用紙に印刷されたドットパターンを撮影し、その位置座標を特定する技術は、特許文献3等にも記載されているように公知の技術であるので、その詳細な説明を省略する。
【0031】
受講者は、電子ペン10を解答用紙20に接触させて移動させることにより、ペン先から出るインクで解答用紙20の解答欄21に解答を記入する。このとき同時に、カメラ12で撮影される記入位置のドットパターンによって特定される位置座標が時系列にメモリ14に記録され、解答用紙20上の記入位置が特定される。本実施形態では、例えばカメラ12で1秒間に100回撮影され、その位置座標が時系列に記録される。
【0032】
また、本実施形態では、カメラ12によって記入位置が撮影され、その座標データが生成されると同時に、撮影された時点の時刻データが後述するリアルタイムクロック15(図3参照)から取得される。
【0033】
図3は、本実施形態の学習支援システムのハードウェア等の構成例を示すブロック図である。前述したように、学習支援システムは、受講者側の電子ペン10、および試験提供者側の学習支援装置50から主に構成される。
【0034】
電子ペン10は、プロセッサ11、カメラ12、圧力センサ13、メモリ14、データ出力部16、およびリアルタイムクロック(RTC)15を有する。
【0035】
プロセッサ11は、電子ペン10全体を制御する。圧力センサ13は、電子ペン10のペン先に設けられており、ペン先に加わる圧力(筆圧)を検知し、プロセッサ11に出力する。カメラ12は、圧力センサ13によって筆圧が検知されると、ペン先の近傍のドットパターンを撮影し、そのデータをプロセッサ11に出力する。
【0036】
リアルタイムクロック(RTC)15は、プロセッサ11によって読み取られる現在時刻を計時する。現在時刻は、電波時計などの標準時刻でもよいし、イベントなどを起点として計時が開始されたタイマの時間であってもよい。
【0037】
メモリ14には、前述したように、ドットパターンに対応する専用用紙の位置座標を示すテーブルが登録されている。また、メモリ14には、カメラ12によって撮影されたドットパターンに対応する位置座標(座標データ)と、この撮影時にリアルタイムクロック15で計時された現在時刻のデータ(時刻データ)が対になって時系列に記録される。
【0038】
データ出力部16は、メモリ14に記録されたデータを要求に応じて出力する通信インタフェースを有する。このデータ出力部16の通信インタフェースに、学習支援装置50のデータ入力部が接続されると、メモリ14に記録されたデータが出力される。例えば、USB等の有線接続あるいはBluetooth(登録商標)等の無線接続で、外部の学習支援装置50に出力が可能となる。なお、データ出力部16は、メモリカードなどの記録媒体が接続可能なコネクタを有し、この記録媒体にデータを出力してもよい。そして、学習支援装置50の接続コネクタに、この記録媒体を装着することで、データ入力が行われる。
【0039】
一方、学習支援装置50は、コンピュータ装置51、データ入力部57、記憶装置60および印刷装置30を有する。データ入力部57は、前述したように、電子ペン10のデータ出力部16に接続され、電子ペン10から出力されるデータを入力する(データ取得部の一例)。
【0040】
コンピュータ装置51は、周知のCPU、ROM、RAM等を内蔵するコンピュータ本体53の他、ディスプレイ52、キーボード54、マウス55などを有する。コンピュータ装置51は、コンピュータ本体53内のCPUが、ROM等に格納された後述するプログラムを実行することにより、解答時間算出部42、習熟度算出部44、および問題用紙作成部46の各機能を実現する。
【0041】
記憶装置60には、受講者データベース62、問題データベース65および用紙データベース68が格納されている(図1参照)。なお、記憶装置としては、コンピュータ本体に直接接続される外部記憶装置に限らず、コンピュータ本体に内蔵される記憶装置、さらには、インターネットなどを介して通信により接続されるサーバ装置であってもよい。
【0042】
印刷装置30は、コンピュータ装置51の指示に従って、複数種類の問題用紙(解答用紙)を印刷する。
【0043】
(全体の流れ)
上記構成を有する学習支援システムの動作例を示す。図4は本実施形態の学習支援システムが実行する学習支援処理の全体の流れを示す図である。この学習支援システムでは、前述したように、受講者側に電子ペン10と解答用紙20が用意される。一方、試験提供者側には、学習支援装置50が用いられる。
【0044】
まず、試験提供者側において、学習支援装置50の問題用紙作成部46は、記憶装置60に登録された受講者データベース62、用紙データベース68、及び問題データベース65を参照し、受講者ごとの問題用紙(1)を作成する(ステップS1)。そして、問題用紙作成部46は、送付した問題用紙番号を受講者データベース62へ記録する。
【0045】
図5は受講者データベース62の一例を示すテーブルである。受講者データベース62には、受講者番号、送付した問題用紙番号、習熟度1、習熟度2、習熟度3などの項目が設けられている。作成された問題用紙(1)は受講者に郵送(送付)される。
【0046】
図6は用紙データベース68の一例を示すテーブルである。用紙データベース68には、問題用紙番号、解答欄番号、始点座標(左上)、終点座標(右下)の各項目が設けられている。
【0047】
図7は問題データベース65の一例を示すテーブルである。問題データベース65には、問題番号、単元、正答率、平均解答時間、解答時間標準偏差、問題内容の各項目が設けられている。
【0048】
受講者は、電子ペン10を用いて問題用紙(1)である解答用紙20に解答を記入した後、この解答用紙20を試験提供者に提出する(ステップS2)。電子ペン10に記録された記入座標および時刻のデータ(座標データおよび時刻データ)も試験提供者に提出される。これらのデータの提出は、前述したように、解答用紙20と電子ペン10の両方を郵送で送ることにより行われる。なお、座標データおよび時刻データの提出は、電子ペンと学習支援装置50が近くにある場合には有線接続でデータ転送により行われてもよいし、無線接続でデータ転送により行われてもよいし、メモリカードを介して行われてもよい。
【0049】
試験提供者は、提出された解答用紙に記入された解答を採点し、この採点結果を学習支援装置50に入力することで電子化し、記録する(ステップS3)。ここでは、解答用紙に実際にインクで記入された解答を、試験提供者が目視で採点してもよいし、学習支援装置50により採点を行ってもよい。すなわち、学習支援装置50は、電子ペン10から出力される一連の座標データを取得すると、一連の座標データによる筆跡から解答を把握し、この解答をあらかじめ用意されている正解と比較することで採点を行ってもよい。
【0050】
試験提供者側では、学習支援装置50の解答時間算出部42は、記憶装置60に格納された受講者データベース62の問題用紙番号及び用紙データベース68を用い、電子ペン10の座標データおよび時刻のデータから各問題の解答に要した時間(解答時間)を算出する(ステップS4)。
【0051】
続いて、学習支援装置50の習熟度算出部44は、採点結果のデータと、解答時間のデータと、問題データベース65の正答率と解答時間の分布とから、問題ごとに受講者の習熟度を算出する(ステップS5)。また、学習支援装置50のコンピュータ装置51は、算出された習熟度で、受講者データベース62を更新する。
【0052】
学習支援装置50の問題用紙作成部46は、算出された受講者の習熟度をもとに、受講者データベース62、問題データベース65、及び用紙データベース68を参照し、習熟度の低い分野については基礎問題や復習問題を読み出し、習熟度の高い分野については発展的な問題を読み出し、新たな問題用紙(2)20Aを作成する(ステップS6)。そして、試験提供者は、受講者に採点済みの解答用紙20とともに、郵送で新たな問題用紙(解答用紙)20Aを送付する。
【0053】
最後に、学習支援装置50のコンピュータ装置51は、採点結果データおよび解答時間データを用い、問題データベース68の正答率、解答時間分布を更新する(ステップS7)。
【0054】
(答案作成)
図8は電子ペン10で記入される問題用紙(解答用紙)20の一例を示す図である。問題用紙20は、用紙データベース68(図6参照)に示すように、1枚ずつ用意され、各問題用紙20には、問題用紙番号が振られている。また、各問題用紙20には、問題に対する解答を電子ペン10により記入可能な解答欄21が解答欄番号[解答欄(1)、(2)、(3)]ごとに設けられている。なお、図面においては、解答欄(n)を単に「解答欄n」として示している。
【0055】
用紙データベース68(図6参照)には、前述したように、問題を識別する問題用紙番号と、各問題用紙の解答欄ごとのエリアを定義する座標範囲が登録されている。エリアを定義する座標範囲として、始点座標および終点座標は、電子ペン10によって記入される解答欄21の左上、右下の位置座標を表す。例えば、図8に示す問題用紙(1)の解答欄(1)の左上、右下の位置座標は、それぞれ用紙データベース68に登録された始点座標(Xs11,Ys11)、終点座標(Xe11,Ye11)に対応する。
【0056】
受講者は、始点座標(Xs11,Ys11)、終点座標(Xe11,Ye11)で囲まれる矩形の座標範囲に対応するエリアからなる解答欄21に、電子ペン10で解答を記入する。電子ペン10は、解答欄21内で記入された位置の座標データをカメラ12を用いて生成するとともに、この座標データが生成される時の時刻データをRTC15から読み取り、これらのデータを時系列にメモリ14に記憶する。
【0057】
また、電子ペン10で解答欄21に記入される解答は、ペン先から出るインクで目視可能であるとともに、一連の座標データからなるストローク(筆跡)データとして把握される。
【0058】
(採点処理)
受講者から問題用紙とともに、電子ペン10が試験提供者側に送られると、試験提供者は、電子ペン10内のメモリ14に記憶されたデータ(座標データおよび時刻データ)を、学習支援装置50のコンピュータ装置51に入力する作業を行う。具体的には、電子ペン10のデータ出力部16をコンピュータ装置51のデータ入力部57に接続することで、データの転送が行われる。コンピュータ装置51に入力された電子ペン10のデータは、受講者ごとに記憶装置60に記録される。なお、受講者ごとに記録される座標データおよび時刻データは、受講者データベース62の一部の項目として登録されるようにしてもよい。
【0059】
図9(A)、(B)は採点処理の一例を説明するための図である。本実施形態では、採点には例えば電子ペン10が用いられる。図9(A)に示すように、試験提供者は、問題用紙20の解答欄21に記入された解答を見て、電子ペン10で正しい場合の「○」や間違っている場合の「×」を記入する。電子ペン10では、「○」や「×」が記入された位置の座標データから、そのストローク(筆跡)データが生成され、この採点結果がコンピュータ装置51に読み込まれる。なお、採点用の電子ペンのデータは、受講者から送られた電子ペンと同じであってもよいし、別に用意されてもよい。
【0060】
また、解答欄21に直接、採点結果を記入する代わりに、問題用紙20の解答欄21ごとに採点チェック欄26を設け、そこにチェックマークで記入するようにしてもよい。図9(B)では、「○」と「×」の採点チェック欄26が解答欄21の横に設けられている。試験提供者が電子ペン10で採点チェック欄26をチェックすることで、解答が正解であったか不正解であったかの採点結果は、電子データとして、コンピュータ装置51に読み込み可能となる。
【0061】
なお、採点結果データは、単なる「○」と「×」の2つのデータではなく、受講者の理解度に応じて、例えば5段階評価のデータであってもよい。この場合、各解答欄ごとに5個の採点チェック欄を設ける。
【0062】
このようにして得られた採点結果は、受講者データベース62における習熟度の算出、および問題データベース65における正答率の更新に用いられる。
【0063】
(解答時間の算出)
電子ペン10から取得される座標データと、用紙データベース68から得られる問題用紙番号とエリア定義(始点座標、終点座標)とから、受講者がどの問題用紙20の解答欄21に記入したかが特定される。
【0064】
本実施形態では、学習支援装置50の解答時間算出部42は、連続して同じ解答欄に記入している期間、つまり解答欄に記入する際の最初の時刻から最後の時刻までの時間を、その問題を解くために要した解答時間であると推定する。
【0065】
図10は解答時間の一例を説明するための図である。図10の例では、時刻A、B間では解答欄(1)に記入が行われ、時刻C、D間では解答欄(2)に記入が行われ、時刻E、F間では解答欄(3)に記入が行われている。すなわち、問題(1)を解くために要した時間は時刻B−時刻Aである。問題(2)を解くために要した時間は時刻D−時刻Cである。問題(3)を解くために要した時間は時刻F−時刻Eである。なお、図面においては、問題(n)を単に「問題n」として示している。
【0066】
図11は本実施形態の解答時間の算出手順の一例を示すフローチャートである。
【0067】
まず、解答時間算出部42は、電子ペン10から取得したデータのうち、先頭データを取得する(ステップS11)。ここで、先頭データのうち、時刻データを変数TAに入れる。また、座標データから記入した解答欄番号を特定し、変数である解答欄番号AAに入れる。また、今回の解答時間を表す変数をDとし、1つ前(前回)の解答時間を表す変数をDDとする。変数D、DDの初期値は値0である。
【0068】
続いて、解答時間算出部42は、次のデータから次の時刻データを取得して変数TBに入れ、次の座標データから記入した解答欄番号を特定し、変数である解答欄番号ABに入れる(ステップS12)。さらに、変数Dの値を変数DDに代入した後、変数Dに算出したTB−TAの値を入れる。
【0069】
続いて、解答時間算出部42は、記入した解答欄が同じであるか否か、つまりAA=ABであるか否かを判別する(ステップS13)。解答欄が異なる場合、つまりAA=ABでない場合、解答時間算出部42は、解答欄番号AAの解答時間を変数DDの値とする(ステップS14)。
【0070】
そして、解答時間算出部42は、解答欄番号ABを新たに解答欄番号AAとし、変数TBの値を変数TAに入れ、変数D、DDを値0にする(ステップS15)。そして、ステップS12の処理に戻る。
【0071】
一方、ステップS13で解答欄が同じである場合、つまりAA=ABである場合、解答時間算出部42は、電子ペン10から取得したデータが最終データであるか否かを判別する(ステップS16)。最終データでない場合、ステップS12の処理に戻る。一方、最終データである場合、解答時間算出部42は、解答欄番号AAの解答時間を変数Dの値とする(ステップS17)。この後、コンピュータ装置51は本処理を終了する。
【0072】
このように、解答時間算出部42は、解答時間として、電子ペン10による解答欄への記入の開始時点から終了時点までの時間を算出する。これにより、解答欄毎に、解答欄への記入時間をもとに解答時間を推定することができる。また、算出される解答欄21ごとの解答時間は、受講者ごとに記憶装置60に記録される。なお、受講者ごとに記録される解答欄ごとの解答時間は、受講者データベース62の一部の項目として登録されるようにしてもよい。
【0073】
(習熟度の算出)
問題データベース65には、前述したように、問題番号、単元、正答率、平均解答時間、解答時間標準偏差、および問題内容の項目が設けられている。習熟度(解答者としての受講者の習熟度)は、習熟度算出部44により、採点結果データ、解答時間データと、問題データベース65の各データ(特に、正答率、解答時間分布などの解答の集計結果)とから算出される。習熟度により、受講者の理解度を的確に把握することができる。また、習熟度の算出は、問題データベース65の単元単位で行われる。
【0074】
例えば、各単元の習熟度の初期値を「50」とする。採点結果が「○」(正解)の場合、正答率が低い問題ほど、習熟度を大きく増やす。また、解答時間が短いほど、習熟度を大きく増やす。一方、採点結果が「×」(不正解)の場合、正答率が高い問題ほど、習熟度を大きく減らす。また、解答時間が長いほど、習熟度を大きく減らす。なお、このとき、解答時間を問題データベースの平均解答時間と解答時間標準偏差で正規化してもよく、これにより、より正確に習熟度を算出することができる。なお、単に、解答時間が長い場合、習熟度が低いと判断し、解答時間が短いと習熟度が高いと判断してもよい。
【0075】
このように、本実施形態の学習支援システムは、電子ペン10と学習支援装置50とを有する。また、電子ペン10は、解答欄に記入される位置を検出する位置検出部としてのカメラ12と、この位置の座標データとこの位置が検出された時の時刻データを出力するデータ出力部16と、備える。また、学習支援装置50は、電子ペン10から出力された座標データおよび時刻データを取得するデータ取得部としてのデータ入力部57と、解答欄に対応する座標範囲を記憶する記憶装置60と、座標範囲に含まれる座標データが取得されたときの時刻データをもとに、電子ペン10による解答欄への記入の終了時点までの解答時間を算出するコンピュータ装置51の解答時間算出部42と、を備える。
【0076】
本実施形態の学習支援システムによれば、解答欄ごとの解答時間を算出することができ、この解答時間を考慮した習熟度の判別を容易に行うことができる。従って、きめ細かい学習指導を行うことができ、また、得意分野・不得意分野の推定精度を向上させることができる。
【0077】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の学習支援システムは、第1の実施形態と同一の構成を有するので、同一の符号を付すことによりその説明を省略する。また、学習支援システム全体の処理の流れは第1の実施形態と同様である。ここでは、第1の実施形態と異なる、問題用紙および解答時間の算出について説明する。
【0078】
電子ペンで記録されるデータ(座標データおよび時刻データ)は、電子ペンで問題用紙に書き込み(記入)を行っている時にだけ得られる。しかし、実際に問題を解く時間には、その問題を読む時間も含まれる。
【0079】
本実施形態の学習支援システムは、この問題を読む時間も含めた解答時間をより精度良く推定するものである。
【0080】
図12は本実施形態の問題用紙20の一例を示す図である。問題用紙20の上部には、電子ペン10で記入可能な氏名記入欄23が設けられている。
【0081】
また、ある問題を解くために要した時間は、直前に記入した氏名記入欄または別の解答欄の記入終了時刻を始点とし、その問題の解答欄の記入終了時刻を終点とする。図13は本実施形態の解答時間の一例を説明するための図である。問題(1)を解くために要した時間は時刻D−時刻Bである。問題(2)を解くために要した時間は時刻F−時刻Dである。問題(3)を解くために要した時間は時刻H−時刻Fである。
【0082】
図14は本実施形態の解答時間の算出手順の一例を示すフローチャートである。
【0083】
まず、解答時間算出部42は、電子ペン10から取得したデータのうち、氏名記入欄23に最後に記入された時刻データを特定する(ステップS21)。ここで、最後に記入された時刻データを変数TAに入れる。また、今回の解答時間を表す変数をDとし、1つ前(前回)の解答時間を表す変数をDDとする。変数D、DDの初期値はそれぞれ値0である。
【0084】
続いて、解答時間算出部42は、電子ペン10から取得したデータのうち、次の時刻データを取得して変数TDに入れ、次の座標データから記入した解答欄21を特定する(ステップS22)。この特定された解答欄番号を変数である解答欄番号AAに入れる。
【0085】
続いて、解答時間算出部42は、電子ペン10から取得したデータのうち、次の時刻データを取得して変数TBに入れ、次の座標データから記入した解答欄21を特定する(ステップS23)。この特定された解答欄番号を変数である解答欄番号ABに入れる。さらに、変数Dの値を変数DDに入れ、変数Dに算出したTB−TAの値を入れる。
【0086】
続いて、解答時間算出部42は、記入した解答欄が同じであるか否か、つまりAA=ABであるか否かを判別する(ステップS24)。解答欄が同じである場合、つまりAA=ABである場合、解答時間算出部42は、電子ペン10から取得したデータが最終データであるか否かを判別する(ステップS28)。最終データでない場合、解答時間算出部42は、変数TBの値を変数TDに入れ(ステップS27)、ステップS23の処理に戻る。
【0087】
一方、ステップS28で最終データである場合、解答時間算出部42は、解答欄番号AAの解答時間を変数Dの値とする(ステップS29)。この後、コンピュータ装置51は本処理を終了する。
【0088】
一方、ステップS24で解答欄が異なる場合、つまりAA=ABでない場合、解答時間算出部42は、解答欄番号AAの解答時間を変数DDの値とする(ステップS25)。そして、解答時間算出部42は、解答欄番号ABの値を新たに解答欄番号AAに入れ、解答欄の記入終了時の値を持つ変数TDの値を変数TAに入れ、変数D、DDを値0にする(ステップS26)。この後、ステップS23の処理に戻る。
【0089】
このように、解答時間算出部42は、電子ペン10により記入欄としての氏名記入欄23が記入された後に解答欄としての解答欄(1)が記入された場合や、又は別の解答欄としての解答欄(1)が記入された後に解答欄としての解答欄(2)が記入された場合には、解答時間として、記入欄又は別の解答欄への記入の終了時点から解答欄への記入の開始時点までの時間を、解答欄への記入の開始時点から終了時点までの時間に加算した時間を算出する。
【0090】
本実施形態の学習支援システムによれば、問題を読む時間も含めた解答欄ごとの解答時間を算出することができ、習熟度の判別をより正確に行うことができる。
【0091】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態の学習支援システムは、第1の実施形態と同一の構成を有するので、同一の符号を付すことによりその説明を省略する。また、学習支援システム全体の処理の流れは第1の実施形態と同様である。ここでは、第1の実施形態と異なる解答時間の算出について説明する。
【0092】
第1の実施形態では、受講者が解答欄を番号順に記入していくことを想定したが、本実施形態では、解答欄の記入を必ずしも順番通りに行わない場合を想定する。すなわち、解答時間算出部42は、同一の解答欄に対し、複数回の記入が行われ、複数の解答期間が存在する場合、これらの合計時間を解答時間として推定する。
【0093】
図15は本実施形態の解答時間を説明するための図である。解答欄(1)には、2つの解答期間が存在する。問題(1)を解くために要した時間は、(時刻B−時刻A)と(時刻H−時刻G)を加算した合計時間である。問題(2)を解くために要した時間は時刻D−時刻Cである。問題(3)を解くために要した時間は時刻F−時刻Eである。
【0094】
このように、解答時間算出部42は、同一の解答欄に電子ペン10による記入が複数回行われた場合、解答時間として、電子ペン10による解答欄への記入の開始時点から終了時点までの時間を、この複数回分加算する。
【0095】
本実施形態の学習支援システムによれば、解答欄の記入を順番通りに行わず、一時中断した場合でも、正確な解答時間を算出することができる。
【0096】
なお、本実施形態では、同一の解答欄に対し、複数の解答期間が存在する場合、単に合計した時間を解答時間としたが、一時中断を習熟度が低いものと判断し、合計時間に所定の倍率をかけたもの、あるいは所定の時間を加算したものを解答時間としてもよい。また、複数の解答期間が存在する場合、合計時間を解答時間とすることは、第2の実施形態においても、同様に適用可能である。
【0097】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態の学習支援システムは、第1の実施形態と同一の構成を有するので、同一の符号を付すことによりその説明を省略する。また、学習支援システム全体の処理の流れは第1の実施形態と同様である。ここでは、第1の実施形態と異なる、問題用紙および解答時間の算出について説明する。
【0098】
図16は本実施形態の問題用紙70を示す図である。この問題用紙70には、長い問題文があり、それに対する小問が複数設定されている。この解答には、2通りの解答方法が考えられる。その1つは、まず長文を通読し、その後、各小問に解答する方法である。もう1つは、まず各小問を読み、その後、長文を読みながら順次解答する方法である。
【0099】
本実施形態では、解答時間算出部42は、同じ長文に属する各小問の前の空白時間を合計し、その平均値を各解答欄71の記入時間に加算し、それを各小問の解答時間として推定する。
【0100】
図17(A)、(B)は本実施形態の解答時間の一例を説明するための図である。図17(A)は先に長文を読む場合の解答時間を示す。図17(B)は小問と長文とを並行して読む場合の解答時間を示す。長文を読むために要した時間R、小問(1)を解くために要した時間K1、小問(2)を解くために要した時間K2、および小問(3)を解くために要した時間K3は、以下の数式(1)に従ってそれぞれ求められる。
【0101】
R = (時刻B−時刻A)+(時刻D−時刻C)+(時刻F−時刻E)
K1 = (時刻C−時刻B)+R/3
K2 = (時刻E−時刻D)+R/3
K3 = (時刻G−時刻F)+R/3 …… (1)
【0102】
図18は本実施形態の解答時間の算出手順の一例を示すフローチャートである。
【0103】
まず、解答時間算出部42は、電子ペン10から取得したデータのうち、氏名記入欄73に最後に記入された時刻データを特定する(ステップS31)。ここで、この最後に記入された時刻データを変数TAに入れる。また、今回の解答時間を表す変数をDとし、1つ前(前回)の解答時間を表す変数DDとする。変数D、DDの初期値は値0である。
【0104】
続いて、解答時間算出部42は、電子ペン10から取得したデータのうち、次の時刻データを取得して変数TBに入れ、次の座標データから記入した解答欄71を特定する(ステップS32)。この特定された解答欄番号を変数である解答欄番号AAに入れる。
【0105】
続いて、解答時間算出部42は、解答欄番号AAの前の空白時間TB−TAを算出する(ステップS33)。
【0106】
続いて、解答時間算出部42は、電子ペン10から取得したデータのうち、次の時刻データを取得して変数TCに入れ、次の座標データから記入した解答欄71を特定する(ステップS34)。この特定された解答欄番号を変数である解答欄番号ABに入れる。さらに、今回の解答時間Dを1つ前の解答時間DDに代入し、今回の解答時間DをD=TC−TBから算出する。
【0107】
続いて、解答時間算出部42は、記入した解答欄が同じであるか否か、つまりAA=ABであるか否かを判別する(ステップS35)。
【0108】
解答欄が異なる場合、つまりAA=ABでない場合、解答時間算出部42は、解答欄番号AAの解答時間を解答時間DDとし、解答欄番号ABの前の空白時間をD−DDとする(ステップS36)。
【0109】
そして、解答時間算出部42は、解答欄番号ABを新たに解答欄番号AAとし、時刻データTCを時刻データTBとし、解答時間D、DDを値0とする(ステップS37)。そして、ステップS34の処理に戻る。
【0110】
一方、ステップS35で解答欄が同じである場合、つまりAA=ABである場合、解答時間算出部42は、電子ペン10から取得したデータが最終データであるか否かを判別する(ステップS38)。最終データでない場合、ステップS34の処理に戻る。一方、ステップS38で最終データである場合、解答時間算出部42は、解答欄番号AAの解答時間を解答時間Dとする(ステップS39)。
【0111】
最後に、解答時間算出部42は、前述した数式(1)に従って、空白時間の合計を時間Rとし、この時間Rを解答欄の数で除してその平均値を算出し、各解答欄の解答時間に平均値を加算する補正処理を行い、最終的な解答時間を決定する(ステップS40)。このように、各解答欄の解答時間と、各解答欄に解答が書き込まれる直前の空白時間が算出されると、解答時間算出部42は、空白時間の平均値を算出し、この平均値を各解答欄の解答時間に加算することで、最終的な解答時間を決定する。
【0112】
このように、解答時間算出部42は、1つの問題に複数の解答欄が存在する場合、この複数の解答欄について、電子ペン10による記入欄としての氏名記入欄73への記入の終了時点からその次の解答欄としての解答欄(1)への記入の開始時点までの時間や、又は、電子ペン10による直前の解答欄としての解答欄(1)への記入の終了時点からその次の解答欄としての解答欄(2)への記入の開始時点までの時間、を加算してその平均値を算出する。そして、解答時間として、解答欄への記入の開始時点から終了時点までの時間に、その平均値を加算した時間を算出する。
【0113】
本実施形態の学習支援システムによれば、長文を通読した後に各小問に解答する場合であっても、最初に解答を記入した小問に要した時間だけが突出して長くなり、各小問の習熟度を正しく推定できないことが回避され、正確な習熟度の算出が可能となる。
【0114】
(第5の実施形態)
先に説明した第1〜第4の実施形態では、学習支援装置50側のコンピュータ装置51が電子ペン10からデータを受け取り、解答時間の算出、習熟度の算出および問題用紙の作成を行っていたが、本発明の第5の実施形態では、電子ペン自体がこれらの処理を行う場合を想定する。
【0115】
図19は本実施形態における電子ペン80の構成例を示すブロック図である。電子ペン80は、第1の実施形態と同様、プロセッサ81、カメラ82、圧力センサ83、メモリ84、RTC85を有する他、記憶部86、および通信部88を有する。
【0116】
プロセッサ81は、第1の実施形態のコンピュータ装置51と同様、解答時間算出部92、習熟度算出部94および問題用紙作成部96を有する。通信部88は、電子ペン80とは別に設けられた記憶装置60と通信を行い、記憶装置60に格納されている各種データベースに対し、必要なデータの送受信を行う。ここでの通信は、有線あるいは無線接続で行われる。なお、通信の代わりに、記憶媒体を介してデータの送受信が行われてもよい。また、各種データベースとして、第1の実施形態と同様、受講者データベース、問題データベース、および用紙データベースが登録されている。
【0117】
記憶部86には、通信部88で受信した各種データベースに登録されているデータのうち、処理に必要な部分のデータが記憶される。なお、記憶部86とメモリ84とを1つにしてもよい。また、通信部88は、電子ペン80とは別に設けられた印刷装置70に問題用紙20のデータを送信する。印刷装置30は、受信したデータに従って、問題用紙20を印刷する。
【0118】
このような構成を有する電子ペン80において、位置検出部の一例としてのカメラ82、圧力センサ83、メモリ84、RTC85等の動作は、第1の実施形態で説明したとおりである。また、第1〜第4の実施形態で示した解答時間の算出、習熟度の算出および問題用紙の作成処理は、主体が学習支援装置50のコンピュータ装置51から電子ペン80に内蔵されたプロセッサに変わっただけで、同様に実行される。従って、これらの処理の詳細については省略する。
【0119】
このように、電子ペン80は、解答欄に記入するための電子ペンであって、プロセッサ81が、解答欄に記入された位置の座標データを取得するとともに、座標データが取得された時の時刻データを取得する。また、記憶部86が、解答欄に対応する座標範囲を記憶する。また、プロセッサ81の解答時間算出部92が、座標範囲に含まれる座標データが取得された時の前記時刻データに基づいて、解答欄への記入の終了時点までの解答時間を算出する。
【0120】
本実施形態の学習支援システムによれば、電子ペン80を主体に学習支援システムを構築することができ、システムの小型化や可搬性の向上に優れる。
【0121】
また、本発明は、上記実施形態の機能を実現するプログラムを、ネットワークあるいは各種記憶媒体を介して学習支援装置50あるいは電子ペン10、80に供給し、そのコンピュータが実行するプログラムも適用範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、解答欄ごとの解答時間を算出することができ、解答時間を考慮した習熟度の判別を容易に行うことができる学習支援装置、電子ペン、学習支援システム、学習支援方法、及び学習支援プログラム等に有用である。
【符号の説明】
【0123】
10 電子ペン
11 プロセッサ
12 カメラ
13 圧力センサ
14 メモリ
15 リアルタイムクロック(RTC)
16 データ出力部
20 解答用紙(問題用紙)
20a 解答用紙(問題用紙)の一部を拡大した部分
21 解答欄
23 氏名記入欄
26 採点チェック欄
30 印刷装置
42 解答時間算出部
44 習熟度算出部
46 問題用紙作成部
50 学習支援装置
51 コンピュータ装置
52 ディスプレイ
53 コンピュータ本体
54 キーボード
55 マウス
57 データ入力部
60 記憶装置
62 受講者データベース
65 問題データベース
68 用紙データベース
70 問題用紙
71 解答欄
73 氏名記入欄
80 電子ペン
81 プロセッサ
82 カメラ
83 圧力センサ
84 メモリ
85 リアルタイムクロック(RTC)
86 記憶部
88 通信部
92 解答時間算出部
94 習熟度算出部
96 問題用紙作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ペンにより解答欄に記入された位置の座標データを取得するとともに、前記座標データが取得された時の時刻データを取得するデータ取得部と、
前記解答欄に対応する座標範囲を記憶する記憶部と、
前記座標範囲に含まれる前記座標データが取得された時の前記時刻データに基づいて、前記電子ペンによる前記解答欄への記入の終了時点までの解答時間を算出する解答時間算出部と、
を備える学習支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の学習支援装置であって、
前記解答欄に記入された解答の採点結果、前記解答時間、及び前記解答の集計結果に基づいて、解答者の習熟度を算出する習熟度算出部を備える学習支援装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の学習支援装置であって、
前記解答時間算出部は、前記解答時間として、前記電子ペンによる前記解答欄への記入の開始時点から終了時点までの時間を算出する学習支援装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の学習支援装置であって、
前記解答時間算出部は、前記電子ペンにより記入欄又は別の解答欄が記入された後、前記解答欄に記入された場合、前記解答時間として、前記電子ペンによる前記記入欄又は別の解答欄への記入の終了時点から前記解答欄への記入の開始時点までの時間を、前記電子ペンによる前記解答欄への記入の開始時点から終了時点までの時間に加算した時間を算出する学習支援装置。
【請求項5】
請求項3記載の学習支援装置であって、
前記解答時間算出部は、同一の前記解答欄に前記電子ペンによる記入が複数回行われた場合、前記解答時間として、前記電子ペンによる前記解答欄への記入の開始時点から終了時点までの時間を前記複数回加算する学習支援装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の学習支援装置であって、
前記解答時間算出部は、1つの問題に複数の前記解答欄が存在する場合、前記複数の解答欄について、前記電子ペンによる記入欄又は直前の前記解答欄への記入の終了時点からその次の前記解答欄への記入の開始時点までの時間を加算してその平均値を算出し、前記解答時間として、前記電子ペンによる前記解答欄への記入の開始時点から終了時点までの時間に前記平均値を加算した時間を算出する学習支援装置。
【請求項7】
請求項2記載の学習支援装置であって、
前記習熟度算出部は、前記採点結果が正解である場合、前記解答時間が短いほど前記習熟度を高くし、前記採点結果が不正解である場合、前記解答時間が長いほど前記習熟度を低くする学習支援装置。
【請求項8】
解答欄に記入するための電子ペンであって、
前記解答欄に記入された位置の座標データを取得するとともに、前記座標データが取得された時の時刻データを取得するデータ取得部と、
前記解答欄に対応する座標範囲を記憶する記憶部と、
前記座標範囲に含まれる前記座標データが取得された時の前記時刻データに基づいて、前記解答欄への記入の終了時点までの解答時間を算出する解答時間算出部と、
を備える電子ペン。
【請求項9】
電子ペンと学習支援装置とを有する学習支援システムであって、
前記電子ペンは、
解答欄に記入される位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された位置の座標データおよび前記位置が検出された時の時刻データを出力するデータ出力部と、
を備え、
前記学習支援装置は、
前記電子ペンから出力された前記座標データおよび前記時刻データを取得するデータ取得部と、
前記解答欄に対応する座標範囲を記憶する記憶部と、
前記座標範囲に含まれる前記座標データが取得された時の前記時刻データをもとに、前記電子ペンによる前記解答欄への記入の終了時点までの解答時間を算出する解答時間算出部と、
を備える学習支援システム。
【請求項10】
学習支援装置における学習支援方法であって、
電子ペンにより解答欄に記入された位置の座標データを取得するとともに、前記座標データが取得された時の時刻データを取得するステップと、
記憶装置に記憶された前記解答欄に対応する座標範囲を参照し、前記座標範囲に含まれる前記座標データが取得された時の前記時刻データに基づいて、前記電子ペンによる前記解答欄への記入の終了時点までの解答時間を算出するステップと、
を有する学習支援方法。
【請求項11】
請求項10に記載の学習支援方法の各ステップをコンピュータに実行させるための学習支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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