説明

宇宙用途向けの太陽電池、特に、多−接合太陽電池

【課題】特に、多−接合太陽電池である太陽電池(14)に注目する。
【解決手段】太陽電池(14)が、半導体本体(27)の第1主表面(31)と、第1主表面(31)と対向する第2主表面(32)とを備え、互いの上部上に積層されたpn−接合(1,2,3)の全体の中で最上端のpn−接合(1)が、第1主表面(31)と隣接する。さらに、第1及び第2主表面(31,32)の形状及び結果として太陽電池の形状を画定する半導体本体(27)の電池端部(33)を備える。半導体本体(27)の環境からの保護を提供するために封止材(16)が、第1主表面(31)上に設けられる。メサグルーブ(19)が、第1主表面(31)上に設けられ、少なくとも最上端のpn−接合(1)を貫通する。メサグルーブ(19)が、電池端部(33)に隣接して位置し、半導体本体(27)の周囲に形成され、内部電池領域及びメサウォール20が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池に係り、特に、互いの上端上に積層されたある総数のpn−接合を備えた多−接合太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、大面積のpn−接合体である。いわゆる多−接合太陽電池の設計において、複数のpn−接合が、互いの上端上に積層され、接合を構成する半導体材料のバンドギャップが、太陽電池の上部から下部に向かって減少する。典型的には、1つから3つのpn−接合が、互いの上端上に積層される。
【0003】
図1が、最新式の三接合(triple junction:TJ)太陽電池14を貫通する断面図を示す。典型的には、100から200μmの厚さを有するゲルマニウム(Ge)−ウェハー4が、電池の基板として機能する。拡散によりウェハー前面から数マイクロメートルに、pn−接合3が、形成される。ウェハーの上部上に、さらに2つのpn−接合体1,2が、III〜V族半導体材料から成長される。この構造において、3つのpn−接合が、電池表面(半導体本体の第1主表面31)から約10μmの深さ以内に配置される。符号32によって、半導体本体の第2主表面が示される。電池端部33において、pn−接合が、環境に露出される(参照符号5が、製造プロセスの結果としてのトレンチの側壁を示すことを参照)。上記の寸法が、太陽電池の側面の延長部(典型的には、数センチメートルの範囲である)よりもおよそ4桁小さいが、参照符号5によって外形が描かれる領域内におけるこれらのオープン(open)pn−接合が、重要である。
【0004】
pn−接合を介して生じるいずれの損傷が、不利な電気的効果を結果として生じる。損傷が、電池端部を攻撃する環境の種による化学的なものであるか、機械的なものであるか、または、電池端部33に沿った導電性経路の形成による若しくは接合内への外来原子の拡散による物理的なものであるかは、無関係である。pn−接合1,2,3を介して生じたこの損傷が、局部的な分路のように電気的に機能し、太陽電池14の曲線因子に影響を及ぼす。曲線因子が、電池のいわゆるIV−曲線がどのくらい長方形であるかの基準である。相対的に、電池表面上において、例えば、図1におけるpn−接合1の最上端のnドープ材料上において生じる同じ損傷プロセスの影響が、はるかに小さい。
【0005】
さらに、太陽電池の上面を不動態化するための直接的な方法があり、例えば、適当な半導体材料または酸化物の成長によるものである。しかしながら、このような不動態層6は、電池端部33には実現できない。金属から形成される接触グリッド7が、不動態層6上に位置し、時には、下部に付加的な半導体層を備える(キャップ層)。時には、接触グリッド7が、前面グリッドと称される。接触パッド8が、接触グリッド7の一部として形成される。さらに、反射防止コーティング9が、不動態層6と接触グリッド7との各々の上部上に設けられる。
【0006】
太陽電池をウェハー4の不要な領域から分離するために、ウェハーが、機械的に切断される。上記の不利な効果を持つpn−接合の端部における機械的な損傷を防ぐために、トレンチが、太陽電池の周囲における所定の深さにまでウェハー4内にエッチングされる。典型的には、このトレンチが、“メサグルーブ(mesa groove)と呼ばれる。図1の太陽電池の場合、これが、約10μmの深さを有する。ウェハー4の端部10によって示される機械的な切断とともに、電池の端部において小さな段差部11が形成される。トレンチの側壁5において終端するオープンpn−接合が、切断の損傷を受けない。このプロセスが、III−V族系太陽電池技術では最先端のものである。
【0007】
上記のような個々の太陽電池が、太陽電池モジュールを形成するように直列及び並列に相互接続され、この太陽電池モジュールが、特定の用途に対して所望の電圧及び電流を提供する。個々に封止されたセルを備え、直列に相互接続された3つの太陽電池が、図2に示されている。断面図に図示された原理が、宇宙での利用に対する太陽アレイに一般的である。3つの太陽電池の構造が同一であるため、以下の説明では、中央に示された太陽電池14についてのみ言及する。
【0008】
環境からの保護として、太陽電池は、通常、透明な封止材内に密封され、共通の前面としてガラスシートと備える。特に、太陽電池が大きな温度変動に曝される一方、12が、基板13と、大きな熱膨張の不整合状態で結合されるならば、全太陽電池の共通的な封止が不可能な場合もある。宇宙用途での太陽アレイ上の太陽電池が、この状況の一例である。このため、各太陽電池14に、透明な、非−導電性接着剤16を用いて、それ独自のカバーガラス15が備えられる。典型的には、カバーガラス15が、100μmの厚さのセリウムドープマイクロシートから形成される一方、非−導電性接着剤16が、約20μmの厚さを有する。宇宙用アレイに対し、典型的には、透明な封止材として、例えば、Dow Corning社のDC93−500、Wacker社のRTV−S690及びNusil社のCV16−2500といったシリコーンが使用される。個々の電池14が、例えば金属ストリップである電池相互接続体17によって直列に接続される。電池相互接続体17が、一つの太陽電池14の各々の接触グリッド及び接触パッド8を、隣接する太陽電池の後面の金属化部18と接続する。この構造において、電池端部33でのメサグルーブの側壁5において終端するpn−接合が、環境に露出されたままである。典型的には、非−導電性接着剤16が、相互のセルギャップ内にさらに突き出すことを意図せず、電池相互接続体17への、電池の疲労挙動への不利な影響を回避する。
【0009】
しかしながら、特許文献1には、封止材自体によって電池端部を不動態化し、これを保護する可能性について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0320917号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、太陽電池を提供することであり、特に、宇宙用途に対する、改善された端部保護を備えた多−接合太陽電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的が、請求項1の特徴を備えた太陽電池によって達成される。本発明の好ましい実施形態が、従属形式の請求項において提示される。
【0013】
太陽電池、特に、多−接合太陽電池が、半導体本体の第1主表面と、第1主表面と対向する第2主表面とを備え、互いの上部上に積層されたpn−接合の全体の中で最上端のpn−接合が、第1主表面と隣接する。太陽電池が、1つのみのpn−接合または複数のpn−接合を備えてよい。典型的には、太陽電池が、1つから3つのpn−接合を備える。特に、本発明による太陽電池が、宇宙用途での三重接合太陽電池である。
【0014】
さらに、太陽電池が、第1及び第2主表面を画定し、その結果、太陽電池を画定する半導体本体の電池端部を備える。半導体本体の電池端部が、段差状または平面であってよい。
【0015】
さらに、太陽電池が、半導体本体の環境からの保護を提供するための、第1主表面上に設けられた封止材を備える。封止材が、透明な、非−導電性の接着材であってよい。
【0016】
さらに、メサグルーブが、第1主表面上に設けられ、少なくとも最上端のpn−接合を貫通し、メサグルーブが、電池端部に隣接して位置し、半導体本体の周囲に形成され、内部電池領域及びメサウォール(mesa wall)が設けられる。メサウォールが、メサグルーブと、電池端部との間に形成される。メサグルーブが、封止材で充填される。
【0017】
メサウォールが、内部電池領域を環境から保護し、及び端部を保護するように機能する。メサグルーブが、電池端部に隣接して位置し、半導体本体の周囲に形成されるため、アクティブ電池端部が、もはや環境に露出されず、機械的、化学的または物理的攻撃から保護される。
【0018】
従って、本発明によるメサグルーブが、内部メサグルーブと呼ばれ、この内部メサグルーブが、半導体本体を、内部電池領域と、電池端部と隣接するメサウォールとに分離し、その壁が、内部電池領域と反対側上にある。主に、ウェハーが、単一の太陽電池に機械的に切断される前に、ウェハー内にエッチングされた外側のトレンチのため、メサウォールのこの領域が、段差状でありうる電池端部の一部である。しかしながら、いまだなお環境に露出されているメサウォールのこの領域が、太陽電池のアクティブな部分ではない。太陽電池の製造が、製造ステップを変更する必要なく、周知の技術を用いて実施されうる。
【0019】
好ましい実施形態によると、内部電池領域が、完全に、すなわち、連続的に、(内部)メサグルーブによって囲まれる。
【0020】
さらに好ましい実施形態において、pn−接合の全体の中の全てのpn−接合が、(内部)メサグルーブによって貫通され、メサウォールが、内部電池領域から電気的に分離される。これが、アクティブな、内部電池領域が、電池端部から、メサグルーブと封止材とによって電気的に分離されるという利点を有する。
【0021】
さらに好ましい実施形態によると、メサウォールが、内部電池領域に機械的に結合されたメサグルーブの各々の深さである。この実施形態では、メサグルーブの最大深さが、規定される。第2主表面と隣接する太陽電池のウェハーのバルクが、電気的にアクティブではないため、3つのpn−接合を有する三重接合太陽電池において、10から20μmの深さが、十分である。メサウォールの幅が、アクティブな電池領域における損失と製造可能性とのトレードオフによって決定される。メサウォールが、自立するための十分な強度を有さなければならないと理解される。
【0022】
さらに好ましい実施形態によると、メサグルーブの幅が、封止材の材料の粘度に応じて選択される。封止材が、完全にメサグルーブを充填することが意図されるある設計において、メサグルーブの最小の幅が、封止材の粘度によって決まる。代替の設計において、それが硬化される前に、封止材が、トレンチを充填しないほど小さなグルーブの最大の幅が選択される。両方の代替の設計のバリエーションが、(内部)メサグルーブと隣接するpn−接合の、環境の攻撃からの完全な封止を提供する。
【0023】
さらなる実施形態によると、太陽電池が、傾いた条件下で操作される場合、側面からのUV(紫外線)放射線をブロックするように、メサウォールの幅の寸法が調節される。
【0024】
さらに好ましい実施形態によると、封止材の材料が、非−導電性である。
【0025】
さらに好ましい実施形態によると、接触グリッドが、内部電池領域内のみにおける、半導体本体の第1主表面上に設けられる。接触グリッドが、メサウォールの上部上には設けられない点に注目する。
【0026】
さらに、非−導電性反射防止コーティングが、メサウォールの上部上及び接触グリッドを覆う内部電池領域上に設けられてよい。
【0027】
さらに好ましい実施形態によると、カバーガラスが、第1主表面上のメサグルーブ及び太陽電池を密封するための封止材上に位置する。複数の太陽電池が基板に結合される前に、カバーガラスが、封止材上に配置されうることは当業者には明らかである。
【0028】
好ましくは、グルーブ内における封止材の光分解を防ぐために、カバーガラスが、UVブロックフィルターを備える。
【0029】
さらなる実施形態によると、環境に露出された電池端部が、電池全体の周囲において、非−UV透明材料でコーティングされる。
【0030】
さらなる実施形態によると、分流器経路を提供するための導電性または帯電防止材料が、太陽電池の後面と太陽電池の前面との間に伸びる電池端部上に設けられ、後面が、第2主表面によって提供され、前面が、カバーガラスによって提供され、これによって、少なくとも、封止材及びメサウォールと接触する。導電性または帯電防止材料が、コーティング、ペイントまたはフィルムであってよい。導電性または帯電防止材料の目的は、カバーガラス上における電荷の蓄積を低減または防止し、この結果、静電放電(ESD)を防ぐことである。導電性または帯電防止材料が、電池端部でのある位置のみに設けられてよい。例えば、アレイまたは太陽モジュール上の隣接する太陽電池との距離が最も大きいため、切り取られた角部が理想的な位置である。
【0031】
本発明が、図面を参照することによりさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】既に説明された最先端の三重接合太陽電池を貫通する断面図を示す。
【図2】従来技術において周知である既に説明された太陽電池の直列相互接続の概略側面図を示す。
【図3】本発明による三重接合太陽電池を貫通する断面図を示す。
【図4】本発明による太陽電池の上面図を示す。
【図5】本発明による太陽電池内に設けられたメサウォールの最小の幅を計算するための方式を示す。
【図6】ESD保護が設けられた本発明による太陽電池の断面図を示す。
【図7】ESD保護手段に対する好ましい位置を図示する本発明による太陽電池の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図3は、本発明よる三重接合太陽電池の断面図を示す。この実施例に示されるpn−接合の総数及びGeウェハーのいずれも、本発明の原理に関係がないことに注目する。三重接合太陽電池が、実施例の手段によって選択されているだけである。さらに、図面に示された垂直方向の寸法が、正確な縮尺ではないことに注目しなければならない。さらに、水平方向の寸法が、正確な縮尺ではなく、及び/または完全には示されていない。この電池構造が、説明のみを目的として提供される。本発明は、この特定の電池の型または形状に制限されるものではない。
【0034】
本発明による太陽電池の設計により、アクティブ電池端部を環境から保護することが可能となる。この電池の設計が、図1を参照して説明された構造をベースとしている。典型的には、100から200μmの厚さであるゲルマニウム−ウェハー4が、電池の基板として機能する。ウェハー前面から数マイクロメートルにおいて、pn−接合3が、拡散によって形成される。ウェハー4の上部上において、さらに2つのpn−接合1及び2が、III−V族半導体材料から成長される。最上端のpn−接合1が、第1主表面31に隣接し、一方、pn−接合と対向するウェハー4の後面が、第2主表面32に隣接する。この実施例において、3つのpn−接合1,2,3が、第1主表面31から約10μmの深さ以内に位置する。互いの上部上に積層されたpn−接合を含むウェハー4が、半導体本体27と呼ばれる。半導体本体27が、第1及び第2主表面31,32並びに結果として太陽電池14の外形を画定する電池端部33を備える。
【0035】
製造の間に、ウェハー4の不要な領域が、機械的な切断により除去される。電池端部33の領域内におけるpn−接合の端部での機械的損傷を防ぐために、機械的な切断の前に、典型的には、“メサグルーブ”と称されるトレンチが、後の半導体本体27の周囲における所定の深さまで、ウェハー内にエッチングされる。三重接合太陽電池の場合、トレンチの深さが、約10μmである。これらの製造ステップにより、電池端部33が、ウェハー4の端部10、小さな段差部11、及びトレンチまたはメサグルーブの外側壁5から構成される。
【0036】
外側壁5、すなわち、pn−接合1,2,3の端部が、環境に露出される。pn−接合1,2,3の端部にわたって生じるいずれの損傷が、不利な電気的効果を生じる。それに関して、これは、その損傷が、機械的なものであるか、電池端部を攻撃する環境中の主による化学的なものであるか、または、電池端部33及び外側壁5の各々に沿った導電性の経路の形成による若しくは接合内への外来原子の拡散による物理的なものであるか、どうかに関係ない。pn−接合1,2,3にわたって形成された損傷が、局部的な短絡のように電気的に作用し、太陽電池の曲線因子に影響を及ぼす。
【0037】
半導体本体27のpn−接合1,2,3の端部を保護するために、第1主表面上に設けられ、少なくとも最上端のpn−接合を貫通するメサグルーブ19が、形成される。メサグルーブ19が、電池端部33に隣接して位置し、内部電池領域28及びメサウォール20を提供する半導体本体27の周囲に形成される。従って、メサウォール20が、メサグルーブ19と電池端部33との間に形成される。半導体本体27内におけるその位置によると、メサグルーブ19が、“内部”メサグルーブである。
【0038】
メサグルーブ19が、メサウォール20の幅xによって定義される距離だけ当初の電池端部から離れている。内部メサグルーブ19が、例えば、上記のような当初の電池端部33の領域内にトレンチを画定するために使用されたものと同じ化学的エッチングプロセスによって形成されてよい。この内部メサグルーブを形成するための他のプロセスも可能である。
【0039】
内部メサグルーブ19の深さdが、少なくとも互いの上部上に積層された最上端のpn−接合1を分離するような深さである。好ましくは、これが、積層されたpn−接合の全てを分離する。半導体本体の機械的完全性が影響を受けないという要件によって、最大深さdが与えられる。これは、内部メサグルーブ19によって形成されるメサウォール20が、内部電池領域28に未だ機械的に結合されていることを意味する。
【0040】
図3に示されたゲルマニウム−ベースの三重接合太陽電池において、ゲルマニウム−ウェハー4のバルク26が、電気的に活性ではないため、10から20μmの深さdが、十分なものである。メサグルーブ19の幅yが、内部メサグルーブ19を形成するために使用される技術によってだけでなく、接触グリッド7及び反射防止コーティング9が、半導体本体27の第1主表面31上に形成された後に第1主表面31上に設けられる封止材16の粘度によっても決定される。接触グリッド(7/8)及び/または反射防止コーティング(9)を形成する前または後に、メサグルーブが、形成されることが可能である。
【0041】
一つの可能な設計においては、封止材16が、メサグルーブ19を完全に充填することが意図される。これは、封止材16の粘度に応じた最小幅yを必要とする。代替の設計においては、それが硬化される前に、封止材がトレンチを充填しないほど小さいメサグルーブ19の最大幅yが、選択される。しかしながら、後者の設計が、閉じ込められた環境による真空の用途にはあまり適さない。両方の設計が、環境による攻撃からの、内部メサグルーブ19に隣接するオープンpn−接合1,2,3の完全な封止を提供する。メサグルーブ19内のアクティブ電池端部22の端部保護が、封止材16とともに外側のメサウォール20によって提供される。
【0042】
以下において説明されるフォト−変性プロセス(photo−degenerative process)のようなさらなる効果が影響を及ぼさず、電池端部33からのメサグルーブ19の距離xが、アクティブな電池領域内における損失と製造可能性との間のトレードオフによって決定される。メサウォールの幅xが、自立するための十分な強度を有さなければならない。
【0043】
メサウォール20が、内部電池領域に対して環境から保護するように機能することを確保するために、これが、内部電池領域28から電気的に分離される。メサウォール20の上部上ではなく、内部電池領域28内のみにおいて、接触グリッド7の全体が、半導体本体27の第1主表面31上に設けられることを、これが要求する。この特徴が、図4における太陽電池14の上面図に図示される。この図面から分かるように、メサウォール20とメサグルーブ19とが、内部電池領域28を囲む。メサウォール20が、メサグルーブ19を介して内部電池領域28から分離される。内部電池領域28の上部上に、接触グリッド7が設けられる。接触グリッド7が、接触パッド8を介して、3つの電池相互接続体17(例えば、金属ストリップ)と電気的に接触される。接触パッド8及び電池相互接続体17の総数が、図4に示された実施形態と異なることが可能であることが当業者に理解される。
【0044】
電池相互接続体17が、メサウォールと接触することが、非−導電性封止材16または、上記のように、メサウォール20の上部上及び内部電池領域28内の接触グリッド7の上部上にある非−導電性反射防止コーティング9によって防止される。これによって、電池相互接続体を介したメサウォール20の電気的な再接続が防止されることが可能である。反射防止コーティング9が、酸化アルミニウムのような材料から形成されてよい。内部メサグルーブ19を特徴付ける電池設計を用いて、封止材16とともに、メサウォール20が、機械的、化学的または物理的な攻撃から、内部のまたはアクティブ電池端部22を保護するために使用される。
【0045】
いくつかの太陽モジュール用途において特に関心がもたれている一つの事項は、(短波長)UV光を必要とするアクティブ電池端部での光−開始プロセスである。内惑星に対する宇宙空間でのミッションが、これの例である。それらの高い−温度において、200℃を超える高負荷のミッション温度が、10倍以上の増加した太陽の強度と組み合わされる。これらの高い温度において、同時にUV光が存在する場合、アクティブ電池端部でのオープンpn−接合を攻撃することが可能な電池を囲む全てのポリマー材料からの十分なガス放出が存在する。提案される電池設計が、この特定の状況においても、端部保護を提供する。
【0046】
透明な封止材が、それ自体が劣化を誘発するUV光から免れないという事実によって、太陽電池14及びメサグルーブ19を密封するための封止材16上に位置するカバーガラス15に、UV阻止フィルターが備えられてよい。これは、メサウォール20が、内部電池端部22をいまだなお保護することを確保する。
【0047】
いくつかの使用状況により、複数の直列及び/または並列に接続された太陽電池14から構成された太陽アレイを、垂直な照射から離れ、ある最大入射角αに傾けることが必要となる。このような状況において、図5における本発明による太陽電池の断面図に図示されたように、UV光が、側面から入射することが可能である。本発明による電池設計においてアクティブまたは内部電池端部22の保護を提供するために、メサウォール20の幅xが、角度αに至るまでの遮蔽を提供するために十分に大きいものでなければならない。電池端部33の段差部11の幅e、封止材16の厚さhにおいて、その関係tanα=(e+x)/hが維持され、それから、メサウォール20の最小厚さが、所定の角度αに対して計算されることが可能である。傾いた操作に対する代替の解決策において、外の電池端部33(電池壁)が、電池全体の周囲において非−UV透明材料でコーティングされる。
【0048】
封止材で充填された付加的なメサグルーブ19を備えた太陽電池14が、例えば、宇宙の太陽アレイ上で生じる静電放電(ESD)に対する増加した耐性を提供する。メサウォール20が、内部電池領域28の電位から、ESD状況に対して、電池の極僅かな操作電圧によって、最大で、未だ分離される。起こり得る任意の静電放電が、封止材16で充填されたメサグルーブ19内ではない外側の電池端部で生じる。特に、電池端部での導電性経路の形成によるこのような第1のアークの不利な効果が、提案される電池設計によって軽減される。メサウォール20が、電池から電気的に分離されるため、導電性経路が、もはや、電気的電池性能を低下させない。
【0049】
これが、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)のような導電性コーティングを備える場合、または、そのバルクの抵抗性が、十分に低い場合、静電放電を完全に防ぐための一つの周知の可能性が、カバーガラス15を電気的に接地することである。これが、電池端部33の周囲の任意の位置に、導電性または帯電防止コーティングまたはペイントまたはフィルム等25を設けるために十分であるため、提案される電池設計が、これらの接地操作を極めて単純化し、i)オープンpn−接合と接触しないことを考慮する必要がなく、ii)メサウォール20と封止材16とにより、アクティブ電池端部22が、完全に保護されるため、電池材料との、化学的または物理的適合性を考慮する必要がない。この用途に対して、メサグルーブ19の深さdが、全てのpn−接合1,2,3が、電池端部33から分離されることを確保するために十分でなければならない。
【0050】
カバーガラス15の接地が、図6における本発明による太陽電池の断面図に図示されている。全ての電池端部上に、導電性または帯電防止経路25を提供する材料が自由に設けられ、カバーガラス15を、太陽電池のバルク26、すなわち、三重接合電池設計の場合におけるゲルマニウム−ウェハーに、及び/または半導体本体の第2主表面32上の後面金属化部18に接続する。最先端の設計におけるものとは異なり、アクティブ電池端部22に隣接するオープンpn−接合と接触しないようにすることに注意を払う必要はない。
【0051】
接地操作が、外側の電池の周囲の全てではなく、電池端部33でのある位置においてのみ実施される必要がある。そのことについては、ESDを目的とした接地操作にのみ着目する場合、メサグルーブ19も、電池周囲において、幅広く拡張される必要はない。現在の三重接合宇宙用太陽電池が、それらがその上に成長される円形形状のゲルマニウム−ウェハーの最適化から生じる2つの切り取られた角部29,30を特徴づける。これらの切り取られた角部29,30が、図7に図示されるように設けられた導電性または帯電防止材料25を設けるための位置として選択されてよい。周囲の他の位置においては、隣接する太陽電池間において短絡が生じないように考慮されなければならない。
【符号の説明】
【0052】
1 pn接合
2 pn接合
3 pn接合
4 ウェハー
5 トレンチの側壁
6 不動態層
7 接触グリッド
8 接触パッド
9 反射防止コーティング
10 ウェハーの端部
11 電池端部の段差部
12 結合部
13 基板
14 太陽電池
15 カバーガラス
16 封止材
17 電池相互接続体
18 後面金属化部
19 メサグルーブ
20 メサウォール
22 メサグルーブ19内の内部/アクティブ電池端部
25 帯電防止材料/経路
26 ウェハーのバルク
27 半導体本体
28 内部電池領域
29 切り取られた角部
30 切り取られた角部
31 第1主表面
32 第2主表面
33 電池端部
d メサグルーブ19の深さ
e 段差部11の幅
h 封止材16の厚さ
x メサウォール20の幅
y メサグルーブ19の幅
α 入射角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池(14)であって、
前記太陽電池(14)が、
半導体本体(27)の第1主表面(31)と、前記第1主表面(31)と対向する第2主表面(32)であって、互いの上部上に積層されたpn−接合(1,2,3)の全体の中で最上端のpn−接合(1)が、前記第1主表面(31)と隣接する、第1主表面(31)と第2主表面(32)と、
前記第1及び第2主表面(31,32)の形状及び前記太陽電池の形状を画定する前記半導体本体(27)の電池端部(33)と、
前記半導体本体(27)の環境からの保護を提供するための、前記第1主表面(31)上に設けられた封止材(16)と、
前記第1主表面(31)上に設けられ、少なくとも前記最上端のpn−接合(1)を貫通するメサグルーブ(19)と、
を備え、
前記メサグルーブ(19)が、前記電池端部(33)に隣接して位置し、前記半導体本体(27)の周囲に形成され、内部電池領域及びメサウォール20が設けられ、前記メサウォール(20)が、前記メサグルーブ(19)と前記電池端部(33)との間に形成されており、
前記メサグルーブ(19)が、前記封止材(16)で充填されていることを特徴とする特に多−接合太陽電池である太陽電池(14)。
【請求項2】
前記内部電池領域が、前記メサグルーブ(19)によって、完全に囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記pn−接合の全体の中の全てのpn−接合(1,2,3)が、前記メサグルーブ(19)によって貫通され、前記メサウォール(20)が、前記内部電池領域から電気的に分離されていることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記メサウォール(20)が、前記内部電池領域に機械的に結合された前記メサグルーブ(19)の各々の深さであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記メサグルーブ(19)の幅が、前記封止材の材料の粘度に応じて選択されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記太陽電池が、傾いた条件下で操作される場合に、前記メサウォール(20)の幅の寸法が、側面からのUV放射線をブロックするように調節されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記封止材の材料が、非−導電性であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記内部電池領域(28)内のみにおける前記半導体本体(27)の前記第1主表面(31)上に、接触グリッド(7)が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記メサウォール(20)の上部上に及び前記接触グリッド(7)を覆う前記内部電池領域上に、非−導電性反射防止コーティング(9)が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第1主表面(31)上の前記メサグルーブ(19)及び前記太陽電池を密封するための前記封止材(16)上に、カバーガラス(15)が位置することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記カバーガラス(15)が、前記グルーブ内における前記封止材の光分解を防ぐためのUVブロックフィルターを備えることを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記メサウォール(20)の幅が、UV放射線の入射角をベースとして調節されていることを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記電池の全体の周囲において、前記電池端部(33)が、非UV透明材料でコーティングされていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項14】
分流器経路を提供するための導電性または帯電防止材料(25)が、前記太陽電池の後面と前記太陽電池の前面との間に伸びる前記電池端部(33)上に設けられ、前記後面が、前記第2主表面(32)によって提供され、前記前面が、前記カバーガラス(15)によって提供され、これによって、少なくとも、封止材(24)及び前記メサウォール(20)と接触することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記導電性または帯電防止材料(25)が、前記電池端部(33)における一つの位置のみに設けられていることを特徴とする請求項14に記載の太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−211199(P2011−211199A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−69713(P2011−69713)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(500466717)アストリウム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (34)
【Fターム(参考)】