説明

宇宙航行体の分離構造に用いられるバンド結合装置

【課題】 宇宙航行体同士の連結部位をバンド部材で締め付けて固定支持する分離構造において、バンド部材を切断したときの衝撃を緩和できるとともに、バンド部材による締め付け時の張力を簡素な構成で十分に確保できるバンド結合装置を提供する。
【解決手段】 リンク機構145を構成するリンク連動連結部453は、レバー開閉連結部143から見て後方に位置し、かつ、連結部移動スリット144aによって前後方向に移動自在にガイド部材144に設けられている。リンク連動連結部453は、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが閉じている状態ではガイド部材144の前方に位置し、開いている状態では後方に位置するように移動する。これにより、バンド結合装置14Aにおいては、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが同期しながら緩やかに開くので、人工衛星に生じる衝撃を軽減することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙航行体同士の連結部分の外周に巻き回されたバンド部材を切断することで、連結された宇宙航行体を分離するときに発生する衝撃を緩和することが可能なバンド結合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星等の宇宙航行体の打ち上げにおいては、人工衛星の軌道投入前までは当該人工衛星をロケット本体に堅固に固定支持し、軌道投入時にロケット本体から切り離す必要がある。したがって、人工衛星打ち上げ用のロケットは、人工衛星をロケット本体に連結し、またロケット本体から分離するための分離構造を備えている。当該分離構造の一例として、例えば、特許文献1に開示されている宇宙航行体の分離構造が挙げられる。この分離構造は、ロケット本体の連結端と人工衛星の連結端とのそれぞれに設けられる鍔部と、これら鍔部同士が連結した状態で当該鍔部の外側から嵌合する嵌合部材と、当該嵌合部材を含む連結部分の外周に締め付けられた上で巻き回されるバンド部材(例えばマルマンクランプバンド)とを備えている。
【0003】
前記バンド部材は、嵌合部材の外周を締め付けた状態で、ボルト等からなる結合部材によって両端部が結合されることによって、連結部分の外周に巻き回されており、当該結合部材には切断装置が取り付けられている。人工衛星の分離時には、切断装置によってバンド部材が切断され、人工衛星がロケット本体から分離することになる。前記切断装置としては、一般的に爆破ボルトが用いられる。典型的な爆破ボルトは、ボルトの軸芯に火薬が設けられた構成であり、人工衛星を分離するときには、火薬を爆発させることでボルトが切断し、これによってバンド部材が切断される。
【0004】
ところで、人工衛星等の宇宙航行体を分離する際には、大きな衝撃が生じることが知られている。この衝撃の原因としては、(1)締め付けられた状態のバンド部材の切断と、(2)切断装置である火工品の発火とが挙げられる。そこで、従来から、これら分離時の衝撃を緩和するための技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献2には、前記原因(2)すなわち火工品の発火に起因する衝撃を緩和するための衝撃緩和構造が開示されている。この衝撃緩衝構造は、金属板と樹脂板とを交互に積層配置するとともに接着剤で互いに接着したものであり、振動および衝撃に対して十分な剛性を有する。それゆえ、前記衝撃緩衝構造を分離機構と宇宙航行体の構体との間にそれぞれ配置することで、火工品の発火による衝撃を前記構体に減衰させて伝えることができるとされる。
【0006】
また、特許文献3には、前記原因(1)すなわちバンド部材の切断に起因する衝撃を緩和するために、複数種類のバンド開放機構(band opening mechanism)が開示されている。一例として、ピンを備える開放機構(release mechanism)とバルブニードルとを用いた構成について説明すると、当該構成においては、バルブニードルは、粘性物質(鉛)を内部に充填した溝状チャンバ(annular chamber)と空のチャンバとをつなぐダクトを閉じている。溝状チャンバは、互いに嵌合するハウジングとピストンとの間に形成されており、空のチャンバはピストン上のキャップ内に形成されている。前記開放機構を動作させれば、ピンがバルブニードルの位置をずらすので、粘性物質がダクトを通じて溝状チャンバから空のチャンバへ移動する。これに伴って、ピストンがハウジングから連続的に移動するので、予め設定された所定の時間でバンド部材が開放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3922718号公報
【特許文献2】特開平07−132899号公報
【特許文献3】国際公開第01/02248号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の技術では、連結部位をバンド部材で締め付けて固定支持する構造において、バンド部材を切断したときに人工衛星に生じる大きな衝撃を十分に緩和できないおそれがある。
【0009】
ロケット本体と人工衛星との連結部はバンド部材で締め付けられているため、締め付けの力によって連結部(フレーム等)が変形している。それゆえ、バンド部材が火工品等によって一瞬で切断されると、変形した連結部に蓄積されている歪エネルギーも一瞬で解放され、これを原因として人工衛星に大きな衝撃が発生する。この衝撃を緩和するためには、バンド部材の締め付け時の張力を軽減すればよいが、張力を軽減しすぎると人工衛星の固定支持の信頼性が低下してしまう。なお、この連結部の変形に起因する衝撃を、説明の便宜上、原因(3)による衝撃と称する。
【0010】
ここで、特許文献2に開示の技術では、前記原因(2)による衝撃は起こりうるものとして、当該衝撃を緩和するために衝撃緩衝構造を用いているが、前記原因(1)による衝撃については実質的に考慮していない。したがって、宇宙航行体の分離構造が、火工品を用いないでバンド部材を切断する構成であれば、前記原因(1)による衝撃も前記原因(3)による衝撃も緩和することができない。
【0011】
また、特許文献3に開示の技術は、時限的なプロセス(timed process)でバンド部材の張力を解放することに重点が置かれている。それゆえ、強力な火工品を用いることなくバンド部材を開放することが可能であるので、前記原因(1)および(2)による衝撃を緩和することが可能である。ところが、この技術では、バンド部材に蓄積されている張力エネルギー(tensile energy is stored in the band)を緩和することに重点が置かれているため、バンド開放機構の構成が独特である上に、連結部の変形に関しては実質的に考慮されていない。
【0012】
バンド部材を緩やかに開放することができれば、前記原因(3)による衝撃も緩和することが可能であるが、バンド部材の締め付け時の張力を十分に維持できなければ人工衛星の固定支持の信頼性を高めることができない。したがって、宇宙航行体の分離構造においては、単にバンド部材を緩やかに開放できるだけでなく、締め付け時には十分な張力を実現できることが要求されるが、特許文献3には、簡素な構成で締め付け時の張力を十分確保できる技術は開示されていない。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、宇宙航行体同士の連結部位をバンド部材で締め付けて固定支持する分離構造において、バンド部材を切断したときの衝撃を緩和できるとともに、バンド部材による締め付け時の張力を簡素な構成で十分に確保できるバンド結合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るバンド結合装置は、前記の課題を解決するために、第一の宇宙航行体に第二の宇宙航行体を分離可能に固定する宇宙航行体の分離構造に用いられ、前記宇宙航行体同士の連結部位の外周を締め付けた状態で固定支持するバンド部材の端部同士を、分離可能に結合した状態で維持するバンド結合装置であって、長手方向に互いに交差した状態で連結軸部により回動自在に連結され、各先端部が前記連結軸部を起点として開閉し、前記バンド部材の端部に設けられる被結合部を挟み込んで結合するクランプ部となっており、前記連結軸部から後端側の部位が前記クランプ部に連動して開閉するレバー部となっている、一対のバンド端結合部材と、前記連結軸部に支持され、当該連結軸部から前記レバー部の後端側に延伸するガイド部材と、各一端が前記バンド端結合部材の前記各レバー部に回動自在に支持され、各他端が、同軸で前記ガイド部材に回動自在に支持される一対のリンク部材と、一対の前記リンク部材の各他端を回動自在に連結した状態で、前記連結軸部から離れる方向に移動可能に、前記ガイド部材に設けられているリンク連動連結部と、を備え、前記レバー部が閉じた状態では、前記クランプ部が閉じられているとともに、前記リンク連動連結部が前記連結軸部に近接した状態に位置することで一対の前記リンク部材が前記各レバー部の間で閉じており、前記レバー部が開くことに伴って、前記リンク連動連結部が前記連結軸部から離れるように移動することで一対の前記リンク部材が開くように構成されている。
【0015】
前記構成によれば、一対のリンク部材およびリンク連動連結部によりリンク機構が構成され、当該リンク機構により一対のバンド端結合部材におけるレバー部の開閉がリンクされる。これにより、レバー部が開くときの慣性(あるいはモーメント)とリンク機構による連動とによって、クランプ部が相対的に低速に開くことになる。また、レバー部はリンク機構によって同期して開くので、クランプ部も同期して開くことになる。それゆえ、クランプ部により挟まれているバンド部材の端部同士の結合は緩やかに解除され、その後、バンド部材の端部同士の間隔も略均等に開いていく。それゆえ、バンド部材が瞬時に切断されることが回避され、また、バンド部材は緩やかで略均等に開環するため、簡素な構成でバンド部材を切断したときの衝撃を緩和できる。しかも衝撃が緩和できるため、簡素な構成でバンド部材による締め付け時の張力を大きくすることも可能となる。
【0016】
前記構成のバンド結合装置においては、前記レバー部が完全に開いた状態では、前記リンク連動連結部が、前記ガイド部材における前記レバー部の後端側で停止するとともに、一対の前記リンク部材は、互い連結する他端が前記レバー部の後端側に突出するように開いている構成であってもよい。これにより、レバー部が全開した状態を容易に保持することができる。
【0017】
前記構成のバンド結合装置においては、一対の前記リンク部材は、これらが開いた状態において、その両端部が前記レバー部の後端側に位置するように中央部で折れ曲がった形状を有している構成であると好ましい。これにより、リンク部材の長さを短くすることができる。
【0018】
前記構成のバンド結合装置においては、前記ガイド部材には、前記リンク連動連結部を嵌合させた状態で移動自在に保持するスリットが設けられている構成であってもよい。
【0019】
前記構成のバンド結合装置においては、前記バンド部材の端部における前記被結合部は、前記バンド部材の外周に向かって突出する凸部である構成であってもよい。
【0020】
前記構成のバンド結合装置においては、前記レバー部の後端部同士を接続することにより、これら前記レバー部が開くことを妨げるように固定するレバー固定部材を備えている構成であってもよい。
【0021】
前記構成のバンド結合装置においては、前記バンド部材が、第一の宇宙航行体に第二の宇宙航行体を固定するマルマンクランプバンドである構成であってもよい。
【0022】
前記構成のバンド結合装置においては、前記第一の宇宙航行体はロケット本体であり、前記第二の宇宙航行体は人工衛星である構成であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明では、宇宙航行体同士の連結部位をバンド部材で締め付けて固定支持する分離構造において、バンド部材を切断したときの衝撃を緩和できるとともに、バンド部材による締め付け時の張力を簡素な構成で十分に確保できるバンド結合装置を提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係るバンド結合装置の構成の一例であって、当該バンド結合装置が閉じた状態を示す模式的平面図である。
【図2】図1に示すバンド結合装置が開いた状態を示す模式的平面図である。
【図3】(a)は、本発明の実施の形態2に係るバンド結合装置を備えるマルマンクランプバンドの構成を示す概略平面図であり、(b)は、(a)に示すマルマンクランプバンドがロケット本体および人工衛星の連結を支持する状態を模式的に示す部分側面図である。
【図4】図3(b)に示すマルマンクランプバンドが備えるバンド結合装置がロケット本体に取り付けられている構成の一例を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0026】
(実施の形態1)
[バンド結合装置の構成]
まず、本発明の実施の形態1に係るバンド結合装置の具体的な構成の一例について、図1および図2を参照して説明する。図1に示すように、本実施の形態に係るバンド結合装置14Aは、第一バンド端結合部材141、第二バンド端結合部材142、レバー開閉連結部143、ガイド部材144、リンク機構145、およびレバー固定部材146を備えており、宇宙航行体同士の連結部位の外周を締め付けた状態で固定支持するバンド部材42の端部(バンド端42a,42b)同士を、分離可能に結合した状態で維持するために用いられる。
【0027】
第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142は、長手方向に互いに交差した状態で連結軸部であるレバー開閉連結部143により回動自在に連結されており、いずれも先端部が第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aとなっている。第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aは、レバー開閉連結部143を起点として開閉するように構成されている。また、第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142におけるレバー開閉連結部143から後端側の部位は、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aの開閉に連動して開閉する第一レバー部141bおよび第二レバー部142bとなっている。つまり、第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142においては、レバー開閉連結部143を基準として先端部と後端部とに区分されている。それぞれの先端部(図中下側の端部)は第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aとなっており、それぞれの後端部は第一レバー部141bおよび第二レバー部142bとなっている。
【0028】
第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aは、バンド端42a,42bに設けられる被結合部42cを摘むことにより、バンド端42a,42b同士を結合させている。被結合部42cは、バンド部材42の外周側に突出した凸部としてバンド端42a,42bに設けられており、バンド端42a,42b同士を対向させた状態で、被結合部42cの両端を第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aで挟み込むことにより、バンド端42a,42bを結合している。
【0029】
第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142は、ガイド部材144に対してレバー開閉連結部143により固定されている。ガイド部材144は図示しない宇宙航行体に固定支持されているので、レバー支持部材としても機能する。ガイド部材144は、レバー開閉連結部143に支持され、少なくともレバー開閉連結部143から第一レバー部141bおよび第二レバー部142bの後端側に延伸する形状を有している。本実施の形態では、図1に示すように、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが閉じた状態で、レバー開閉連結部143から第一レバー・リンク連結部141cおよび第二レバー・リンク連結部142cに達する程度の長さを有する一対の板状部材として構成されている。なお、一対の板状部材のうち、第一レバー・リンク連結部141cおよび第二レバー・リンク連結部142c側の端部は互いつながっていてもよい。
【0030】
第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142は、レバー開閉連結部143に対応する箇所で交差しているので、第一バンド端結合部材141の後端部である第一レバー部141bは図中向かって左側に位置するが、第一バンド端結合部材141の先端部である第一クランプ部141aは、図中向かって右側に位置する。同様に、第二バンド端結合部材142の後端部である第二レバー部142bは図中向かって右側に位置するが、第二バンド端結合部材142の先端部である第二クランプ部142aは、図中向かって左側に位置する。それゆえ、レバー開閉連結部143は、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bの開閉の支点となる。
【0031】
したがって、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが閉じた状態にあれば、図1に示すように、それぞれの先端部である第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aも閉じてバンド端42a,42bの被結合部42cを挟んでいるが、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが開いた状態にあれば、図2に示すように、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aも開くため、被結合部42cが挟まれた状態から解放され、その結果としてバンド端42a,42bが分離する。
【0032】
第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142を支持するガイド部材144は、図1に示すように、細長い形状を有している。第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142の先端部側を前方とし後端部側を後方としたときには、ガイド部材144の前方にレバー開閉連結部143が位置しているので、第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142は細長いガイド部材144の前方で回動自在に支持されている。また、ガイド部材144の後方には、後述する連結部移動スリット144aが設けられている。
【0033】
第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142は、前記のとおり、レバー開閉連結部143を介してガイド部材144に直接支持されているが、さらに、リンク機構145を介してガイド部材144に間接的に支持されている。リンク機構145は、第一リンク部材451および第二リンク部材452とリンク連動連結部453とから構成されている。
【0034】
第一リンク部材451は、その一端が、第一レバー・リンク連結部141cを介して第一バンド端結合部材141の第一レバー部141bに回動自在に支持され、他端が、リンク連動連結部453を介してガイド部材144に回動自在に支持されている。また、第二リンク部材452は、その一端が、第二レバー・リンク連結部142cを介して第二バンド端結合部材142の第二レバー部142bに回動自在に支持され、他端が、リンク連動連結部453を介してガイド部材144に回動自在に支持されている。また、第一リンク部材451および第二リンク部材452のそれぞれの他端はリンク連動連結部453により単一の回動軸(同軸)でまとめて支持されている。
【0035】
リンク連動連結部453は、ガイド部材144の連結部移動スリット144aに嵌合することで、ガイド部材144に対して前後方向に移動自在に設けられている。また、図1に示すように、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが閉じている状態では、リンク連動連結部453はガイド部材144の前方に位置し、図2に示すように、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが開いている状態では、ガイド部材144の後方に位置するように連結部移動スリット144a内を前後移動する。
【0036】
なお、バンド部材42のバンド端42a,42bを結合させている状態では、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが開かないように、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bの後端部同士をレバー固定部材146で接続している。
【0037】
前記構成のバンド結合装置14Aにおいては、第一バンド端結合部材141、第二バンド端結合部材142、レバー開閉連結部143、ガイド部材144、およびリンク機構145の具体的な構成は特に限定されない。これらはいずれも宇宙航行体の分野で公知の材料、寸法、加工法等により得られるものであればよい。
【0038】
また、レバー固定部材146は、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bの後端部同士を接続することで、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが開かないように(すなわち先端部の第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが開かないように)できる程度の強度を有していればよい。レバー固定部材146としては、ピン部材、ワイヤ部材、ひも状部材等を好適に用いることができる。
【0039】
ここで、レバー固定部材146により、第一レバー部141bおよび第二レバー部142b同士を接続する位置は、本実施の形態では後端部であるが、もちろんこの位置に限定されるものではない。ただし、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bは、第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142の先端部に隣接するレバー開閉連結部143を支点として開閉可能に構成されているので、できるだけ後方で接続すれば、レバー固定部材146に要求される強度を相対的に小さなものとすることができる。また、この点を考慮して第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142の長さ、レバー開閉連結部143の位置等を適宜設定することができる。
【0040】
[バンド結合装置の動作]
次に、前記構成のバンド結合装置14Aの動作について、図1および図2を参照して説明する。まず、図示しない第一の宇宙航行体および第二の宇宙航行体が分離構造によって分離可能に固定されている。この分離構造には、宇宙航行体同士の連結部位の外周を締め付けた状態で固定支持するバンド部材42が含まれている。そして、バンド部材42は、図1に示すように、その両端部であるバンド端42a,42bをバンド結合装置14Aにより結合されることで、閉環した状態にある。
【0041】
バンド結合装置14Aの第一レバー部141bおよび第二レバー部142bは、レバー開閉連結部143を開閉軸として互いに閉じた状態にある。このとき、第一リンク部材451および第二リンク部材452は、図1に示すように、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bに沿った状態で、これら第一レバー部141bおよび第二レバー部142bの間に位置している。このとき、リンク連動連結部453は、連結部移動スリット144a内の前端に位置している。
【0042】
前記のとおり、第一リンク部材451および第二リンク部材452の他端同士はリンク連動連結部453により回動自在に連結されている。そして、第一リンク部材451の一端は第一レバー部141bに第一レバー・リンク連結部141cを介して回動自在に連結されており、第二リンク部材452の一端は第二レバー部142bに第二レバー・リンク連結部142cを介して回動自在に連結されている。したがって、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが閉じていれば、連結した第一リンク部材451および第二リンク部材452は、リンク連動連結部453を起点として折れ曲がるような姿勢となる。それゆえ、リンク連動連結部453は、ガイド部材144の前方に位置する。
【0043】
次に、バンド部材42を開環させて図示しない第一の宇宙航行体および第二の宇宙航行体を分離させるときには、レバー固定部材146(図1ではピン部材)を切断する。これによって、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bの後端部同士の接続が解除されるので、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bは徐々に開いていく。このとき、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが互いに開く動作は、リンク機構145によって同期する。
【0044】
第一レバー部141bおよび第二レバー部142bの動作がリンク機構145により同期することで、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aも同期しながら開いていく。また、リンク機構145が設けられていることで、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが開くときの慣性によって、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが開く動作は相対的に遅くなる。それゆえ、バンド結合装置14Aにより互いに結合しているバンド端42a,42bの間は、結合時に接していた位置を基準として等間隔で緩やかに開いていく。
【0045】
リンク機構145によって第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが同期して開く動作について具体的に説明する。第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが互いに開いていくに伴って、第一リンク部材451の一端と第二リンク部材452の一端とは、互い間隔を大きくするように移動する。これによって、リンク連動連結部453で折れ曲がっていた第一リンク部材451および第二リンク部材452は、図2に示すように、略直線に近くなるように開いていく。この動作に伴って、リンク連動連結部453は、連結部移動スリット144a内の前端から後側に徐々に移動していく。
【0046】
つまり、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが閉じた状態では、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが閉じられているとともに、リンク連動連結部453がレバー開閉連結部143に近接した状態に位置することで第一リンク部材451および第二リンク部材452が第一レバー部141bおよび第二レバー部142bの間で閉じているが、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが開くことに伴ってリンク連動連結部453がレバー開閉連結部143から離れるように移動することで第一リンク部材451および第二リンク部材452が開いていく。
【0047】
それゆえ、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが開く動作と、第一リンク部材451および第二リンク部材452が開く動作とは連係することになる。第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが開くときには、これらの慣性(あるいはモーメント)と第一リンク部材451および第二リンク部材452との連動によって、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aは相対的に低速で開くことになる。
【0048】
さらに、第一リンク部材451および第二リンク部材452が開く動作に連係しながら第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが同期して開いていくので、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aも同期しながら開いていく。第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが開くことで、被結合部42cが挟まれることにより結合されていたバンド端42a,42bの結合が緩やかに解除されるが、バンド端42a,42bが結合時に接していた位置を基準(接合位置)とすれば、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが同期して緩やかに開くことで、バンド端42a,42bの間は、接合位置から各バンド端42a,42bまでの距離が等間隔で増加するように開いていく。
【0049】
バンド結合装置14Aがこのように動作することで、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aにより挟まれているバンド端42a,42bの結合は、急激に解除されるおそれがないので、バンド部材42が瞬時に切断されることが回避され、しかも、バンド部材42は、緩やかで略均等に開環していく。
【0050】
バンド部材42は、宇宙航行体同士の連結部分の外周を単に巻き回しているのではなく、締め付けた状態で巻き回している。そのため、連結部分(フレーム等)は締め付け力によって変形し、歪エネルギーが蓄積されている。この状態でバンド部材42が緩やかに開環すると、連結部分の変形も徐々に緩和され、それゆえ歪エネルギーも徐々に解放されていく。しかも、バンド端42a,42bの間隔は略均等に拡大していく。それゆえ連結部分の変形の緩和は全体的に進行するため、歪エネルギーもバランスよく解放される。その結果、宇宙航行体に生じる分離時の衝撃を十分に低下させることができる。
【0051】
特に、第一の宇宙航行体がロケット本体であり、第二の宇宙航行体が人工衛星であるときには、ロケット本体よりも人工衛星の方が小さいため、締め付けによる変形が相対的に大きくなる。このような状態でバンド部材42の締め付けが急に解放されると、特に人工衛星の側において衝撃の影響は大きくなる。これに対して、本実施の形態では、単に、緩やかにバンド部材42を開環するのではなく、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aを同期させながら開くことで、バンド端42a,42bの間隔は略均等に低速で拡大するので、歪エネルギーの解放も遅くなるとともに偏りにくくなる。その結果、人工衛星側に生じる衝撃をより軽減することが可能となる。
【0052】
さらに図2に示すように、リンク連動連結部453が連結部移動スリット144a内の後端に達すれば、第一リンク部材451および第二リンク部材452は互いに開いた状態で停止する。特に、本実施の形態では、第一リンク部材451および第二リンク部材452のいずれも、これらが開いた状態では、その両端部が後側に位置し中央部が前側するように中央部で折れ曲がった形状を有している。これによって、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが完全に開いた状態では、リンク連動連結部453が、ガイド部材144の後端側で停止するが、第一リンク部材451および第二リンク部材452は、リンク連動連結部453が後方に突出する状態で開くことになる。
【0053】
リンク連動連結部453は、第一リンク部材451および第二リンク部材452の他端同士が互い連結している部位であり、第一リンク部材451および第二リンク部材452が折れ曲がった形状を有していることから、少なくとも第一リンク部材451および第二リンク部材452の各中央部から見れば、連結する他端であるリンク連動連結部453は、前記中央部から後側に向かって凸となるように位置している。この状態であれば、第一リンク部材451および第二リンク部材452は、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bの間でビームのように機能するので、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bは開き切った状態で保持される。
【0054】
それゆえ、バンド部材42を開環した後にバンド結合装置14Aがバンド部材42から離れて宇宙空間を漂ったとしても、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが開閉を繰り返して人工衛星のフレームに衝突したりバンド部材42の端部に接触したりすることが回避可能となる。それゆえ、宇宙航行体の分離の挙動がバンド結合装置14Aにより阻害される可能性が非常に低くなり、より安定した分離動作を実現することができる。
【0055】
また、人工衛星側に生じる衝撃をより軽減できるということは、バンド部材42による連結部分の締め付け力を大きく設定することが可能となる。それゆえ、宇宙航行体の連結状態をさらに一層安定化させることができるとともに、バンド部材42を巻き回しているときの張力のばらつき、バンド部材42の締め付け力の設定誤差等の許容範囲を拡大することができる。その結果、宇宙航行体の分離構造の信頼性の向上および運用性の向上を図ることができる。
【0056】
[変形例]
なお、第一リンク部材451および第二リンク部材452の長さ、あるいは、ガイド部材144の連結部移動スリット144aの長さを、宇宙航行体の種類、連結部分の大きさ等の諸条件に応じて設定することで、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが開く時間を調整したり、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが完全に開いたときの角度を調整したりすることができる。これによって、衝撃の緩和をより向上させたり、開環後のバンド結合装置14Aによる影響をより軽減したりすることが可能である。
【0057】
また、本実施の形態では、宇宙航行体の例として、ロケット本体および人工衛星の組合せを挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、さまざまな宇宙航行体を連結する場合に本発明を用いることができる。
【0058】
また、本実施の形態では、バンド結合装置14Aの第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aは、バンド端42a,42bの外側に突出する被結合部42c,42cを挟み込む(摘む)ことで、バンド端42a,42b同士を連結しているが、被結合部42cは外側に突出する構成に限定されない。例えば、バンド端42a,42bに凹部が形成されており、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aが凹部に挿入可能な構成であってもよい。あるいは、被結合部として、凸部または凹部以外の立体形状であって、バンド端42a,42b同士を連結したときに、第一クランプ部141aおよび第二クランプ部142aで挟み込むことが可能な部位を有してもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、リンク連動連結部453は、ガイド部材144に形成された連結部移動スリット144a内を移動する構成となっているが、本発明はこれに限定されず、リンク連動連結部453がガイド部材144においてレバー開閉連結部143よりも後方の位置で、当該レバー開閉連結部143から離れたり近づいたりする移動(前後方向への移動)が可能になっていればよい。例えば、ガイド部材144にレール状の構造が設けられ、このレール構造上を移動可能にリンク連動連結部453が嵌合している構成であってもよいし、ラック−ピニオンのような機械的な構成が設けられてもよい。さらに、ガイド部材144は細長い形状ではなく、第一バンド端結合部材141および第二バンド端結合部材142を覆うように広がっている形状であってもよい。
【0060】
また、第一リンク部材451および第二リンク部材452は折れ曲がり形状ではなく、略直線形状であってもよいし、湾曲形状であってもよい。ただし、本実施の形態のように中央部で折れ曲がっている形状であれば、第一リンク部材451および第二リンク部材452が直線形状である場合と比較して、第一レバー部141bおよび第二レバー部142bが全開したときに、より短い寸法でリンク連動連結部453を後方側に突出させた状態とすることができるので好ましい。
【0061】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、前記実施の形態1に係るバンド結合装置が適用された宇宙航行体の分離構造の具体的な例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明する。本実施の形態に係る宇宙航行体の分離構造はマルマンクランプバンドを備えており、当該マルマンクランプバンドの結合を解除するためにバンド結合装置が用いられている。
【0062】
[マルマンクランプバンド]
まず、マルマンクランプバンドについて、図3(a),(b)および図4を参照して具体的に説明する。図3(a)に示すように、本実施の形態に係るマルマンクランプバンド41は、金属製のバンド部材42と、当該バンド部材42の端部同士を分離可能に結合するバンド結合装置14Bと、当該バンド結合装置14Bを図示しないロケット本体に固定する結合装置固定部材43と、バンド部材42を締め付けたり緩めたりするためのバンド締付部44と、バンド部材42を図示しないロケット本体に固定する複数のバンドキャッチャー45と、を備えている。バンド結合装置14Bは、前記実施の形態1で説明したピン部材であるレバー固定部材146の代わりに機械的構成のレバー固定機構10を備えている。なお、レバー固定機構10の具体的な構成は特に限定されず、公知の構成を好適に用いることができる。
【0063】
また、図3(b)に示すように、ロケット本体51と人工衛星52とは、図示しない公知の分離構造によって固定的に連結されており、この連結部分の外周を囲むようにマルマンクランプバンド41が巻き回されて設けられている。ロケット本体51には、図中二点鎖線で示す衛星連結面51aが設けられ、当該衛星連結面51aの周囲に複数のバンドキャッチャー45と結合装置固定部材43とが取り付けられている。バンドキャッチャー45はバンド部材42をロケット本体51に固定した状態で支持しており、結合装置固定部材43はバンド結合装置14Bをロケット本体51に固定した状態で支持している。このような構成によって、マルマンクランプバンド41はロケット本体51に固定される。
【0064】
図4に示すように、結合装置固定部材43は、本実施の形態では、ロケット本体51の衛星連結面51a近傍の側面から外部に突出する部材となっており、略直角に折れ曲がった形状を有している。一方の端部はロケット本体51の外周面に取り付けられ、他方の端部にはレバー固定機構10を備えるバンド結合装置14Bが取り付けられている。結合装置固定部材43の具体的な構成は特に限定されず、宇宙航行体の分野で公知の支持部材等を好適に用いることができる。
【0065】
なお、図3(b)においては、バンド結合装置14Bと結合装置固定部材43とロケット本体51との位置関係を説明する便宜上、結合装置固定部材43に隣接するバンドキャッチャー45は破線で図示している。また、図3(a),(b)に示すマルマンクランプバンド41を構成する各部材または機構等は特に限定されず、公知のさまざまな構成のものを好適に用いることができる。同様に、当該マルマンクランプバンド41により連結状態を分離可能に保持されるロケット本体51および人工衛星52の構成も特に限定されない。さらには、マルマンクランプバンド41で連結状態を保持される宇宙航行体もロケット、人工衛星等に限定されず、他の構成の宇宙航行体であってもよい。
【0066】
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、宇宙航行体を連結して分離可能に固定する分離構造であって、連結部分を締め付けた状態で巻き回しているバンド部材を備えている分離構造の分野に、広く好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
10 レバー固定機構
14A,14B バンド結合装置
20 雌型結合体
30 雄型結合体
41 マルマンクランプバンド
42 バンド部材
42a,42b バンド端(バンド部材の端部)
42c 被結合部
51 ロケット本体(第一の宇宙航行体)
52 人工衛星(第二の宇宙航行体)
141 第一バンド端結合部材(バンド端結合部材)
141a 第一クランプ部(クランプ部)
141b 第一レバー部(レバー部)
142 第二バンド端結合部材(バンド端結合部材)
142a 第二クランプ部(クランプ部)
142b 第二レバー部(レバー部)
143 レバー開閉連結部(連結軸部)
144 ガイド部材
144a 連結部移動スリット(スリット)
145 リンク機構
146 レバー固定部材
451 第一リンク部材(リンク部材)
452 第二リンク部材(リンク部材)
453 リンク連動連結部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の宇宙航行体に第二の宇宙航行体を分離可能に固定する宇宙航行体の分離構造に用いられ、前記宇宙航行体同士の連結部位の外周を締め付けた状態で固定支持するバンド部材の端部同士を、分離可能に結合した状態で維持するバンド結合装置であって、
長手方向に互いに交差した状態で連結軸部により回動自在に連結され、各先端部が前記連結軸部を起点として開閉し、前記バンド部材の端部に設けられる被結合部を挟み込んで結合するクランプ部となっており、前記連結軸部から後端側の部位が前記クランプ部に連動して開閉するレバー部となっている、一対のバンド端結合部材と、
前記連結軸部に支持され、当該連結軸部から前記レバー部の後端側に延伸するガイド部材と、
各一端が前記バンド端結合部材の前記各レバー部に回動自在に支持され、各他端が、同軸で前記ガイド部材に回動自在に支持される一対のリンク部材と、
一対の前記リンク部材の各他端を回動自在に連結した状態で、前記連結軸部から離れる方向に移動可能に、前記ガイド部材に設けられているリンク連動連結部と、を備え、
前記レバー部が閉じた状態では、前記クランプ部が閉じられているとともに、前記リンク連動連結部が前記連結軸部に近接した状態に位置することで一対の前記リンク部材が前記各レバー部の間で閉じており、
前記レバー部が開くことに伴って、前記リンク連動連結部が前記連結軸部から離れるように移動することで一対の前記リンク部材が開くように構成されていることを特徴とする、バンド結合装置。
【請求項2】
前記レバー部が完全に開いた状態では、前記リンク連動連結部が、前記ガイド部材における前記レバー部の後端側で停止するとともに、一対の前記リンク部材は、互い連結する他端が前記レバー部の後端側に突出するように開いていることを特徴とする、請求項1に記載のバンド結合装置。
【請求項3】
一対の前記リンク部材は、これらが開いた状態において、その両端部が前記レバー部の後端側に位置するように中央部で折れ曲がった形状を有していることを特徴とする、請求項2に記載のバンド結合装置。
【請求項4】
前記ガイド部材には、前記リンク連動連結部を嵌合させた状態で移動自在に保持するスリットが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のバンド結合装置。
【請求項5】
前記バンド部材の端部における前記被結合部は、前記バンド部材の外周に向かって突出する凸部であることを特徴とする、請求項1に記載のバンド結合装置。
【請求項6】
前記レバー部の後端部同士を接続することにより、これら前記レバー部が開くことを妨げるように固定するレバー固定部材を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のバンド結合装置。
【請求項7】
前記バンド部材が、第一の宇宙航行体に第二の宇宙航行体を固定するマルマンクランプバンドであることを特徴とする、請求項1に記載のバンド結合装置。
【請求項8】
前記第一の宇宙航行体はロケット本体であり、前記第二の宇宙航行体は人工衛星であることを特徴とする、請求項7に記載のバンド結合装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−192863(P2012−192863A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59170(P2011−59170)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)