説明

安全キャップ

【課題】チャイルドプルーフ機構が配設され、かつわずかの力で開封することができる、安全キャップを提供する。
【解決手段】筒状のキャップ本体と、有頂の蓋体と、前記キャップ本体と蓋体とを連設するヒンジとからなり、前記キャップ本体と蓋体との嵌合機構が形成されたヒンジキャップにおいて、前記ヒンジキャップの外周にロック機構が形成され、前記ロック機構は、前記蓋体に一体に形成されたロック用凸部と、前記キャップ本体に一体に配設された前記ロック用凸部を係止可能なロック用係止部とからなることを特徴とする。ロック機構がチャイルドプルーフ機構となり、かつ握力、把持力、押圧力などの各種筋力の低下した者でも易に開封できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児が不用意に手を出した場合に容易に開封されず、一方、握力のないものでも容易に開封することができる、ロック機構が配設された安全キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、タバコ、電池ケース、血糖測定用チップなど、開封によって幼児が手で触れたり、誤って口に入れると大事故が起こることがあり、これを防止するために安全キャップが開発されている。
【0003】
例えば、容器の口部に螺着させるキャップであって、このキャップに被せる回転自在なリングが配設され、このリングを押し上げてキャップ上端のストッパに押圧させると偏倚し、この偏倚力に対抗してリングを押し下げて上のストッパから離反させるとリングとキャップとが回転できるチャイルドプルーフ機構を備えたキャップがある(特許文献1)。このキャップは、開封時にキャップ本体を回転して開封するものであり、まずキャップを上方に引き上げ、その後にこれを回転することでキャップを容器から取り外すという二段の操作を必要とし、これによって安易な開封を防止する構造となっている。
【0004】
また、液体、粘体などの内容物を収納した容器に冠着し、前記内容物を小出しする際に、リクローズ性を有するキャップとしてヒンジキャップがある。ヒンジキャップは、ワンタッチで開封できる利点がある。このような開封が容易なヒンジキャップにおいて、幼児の無断使用による弊害を回避するため、更に安全機構を配設したものもある。例えば、主キャップとその上面を閉塞する補助キャップとがヒンジで連設された安全キャップであり、前記主キャップの周壁前面の上端に、周壁前面との間に上下方向への透孔を形成させた半短管状部が付設され、かつ補助キャップの周壁前部に、上記半短管状部上面を覆う突部が付設されたものである(特許文献2)。この安全キャップには、前記突部下面から上記透孔を通り、半短管状部の前部下面に係合して下方に垂下する弾性フックが垂設されている。前記半短管状部の透孔に、弾性フックを挿入することで主キャップと補助キャップとを係止することができ、弾性フックを後方へ押し込んむと半短管状部下面から外れ、この状態から引き上げることで弾性フックを透孔から抜き出し、補助キャップ前部を引き上げると補助キャップを開蓋することができる。
【0005】
一方、上記したチャイルドプルーフ機構のほかに、キャップ本体と蓋体との開封の際にロック機構を形成し、外圧による内容物の注出を防止したり、不正開封を確認するものがある。例えば、ヒンジキャップにおいて、容器の口部に装着されるキャップ本体とこのキャップ本体にヒンジを介して揺動可能に連結する蓋体とからなり、蓋体にその外側壁に沿うスライド可能なノブを設け、かつキャップ本体には、前記ノブのスライドによって内側凸部と係合して蓋体の開栓する向きへの揺動を阻止しうる凹部を設けたヒンジキャップである(特許文献3)。ヒンジキャップが配設された容器に不用意に大きな外圧がかかるとヒンジキャップのキャップ本体から内容物が突出する点に鑑み、ノブをスライドしなければキャップ本体に連結する蓋体が開かず、内容物が排出できないようにしたものである。
【0006】
また、容器の口部に取り付けられる注出栓にこの注出栓を包囲する外周壁を備えたキャップ本体と蓋体とがヒンジを介して連設されるヒンジキャップであって、外周壁に2つのラインによって区画され外部から押圧によって傾斜するパネルが設けられ、このパネルと蓋体との裏側にこの蓋体とキャップ本体との合わせによって互いに係合し、当該係合が前記パネルの傾斜によって解除される係合部が設けられたヒンジキャップもある(特許文献4)。未開封であることを確認できるようにしたものであり、前記パネルを押圧するとパネルが傾斜して蓋部とキャップ本体との係合が解除され、かつパネルの傾斜によって既開封状態であることが目視できる、というものである。
【0007】
更に、蓋体の外周にツマミ片を突設させ、キャップ本体には、前記ツマミ片を上方および左右両側から囲うと共に本体から除去又は引き起こし可能な係止部を形成し、当該係止部の弾性変形によってつまみ片がはまりこむように形成したヒンジキャップもある(特許文献5)。係止部にツマミ片をはめ込む事で蓋体とキャップ本体とを係止でき、係止部を除去することで係合を解除できる、というものである。このヒンジキャップは、前記係止部の有無によって不正開封を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−268452号公報
【特許文献2】特開平9−86650号公報
【特許文献3】特開2003−63553号公報
【特許文献4】特開2006−182423号公報
【特許文献5】特開2007−8539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ヒンジキャップはワンタッチで開封でき、これによって簡便に内容物を取り出せる利点がある。このため、医薬品や化粧品、電池ケースなどに限定されず、酢、酒、マヨネーズ、ケチャップなどの調味料などにも多用される構造体である。これらは、老若男女を問わず広く使用され、成人であっても握力、把持力、押圧力などの各種筋力の低下した者が容易に開封できる必要がある。同時に、その機構が簡便であって、視力の低下した者であっても開封方法が簡便に理解できる事が好ましい。
【0010】
しかしながら、前記特許文献2に記載されるチャイルドプルーフ機構は、補助キャップに弾性フックを配設し、主キャップに透孔を有する半短管状部を配設し、前記弾性フックを半短管状部の透孔に挿入することで係合するものである。この機構は、チャイルドプルーフ機構であると同時に主キャップと補助キャップとの唯一の係合手段となっている。このことは、補助キャップと主キャップとを係合する場合に、チャイルドプルーフ機構に主キャップと補助キャップとを係止するための一定の係止力が要求されることを意味し、筋力の低下した者による開封が容易でない場合がある。
【0011】
また、ヒンジキャップは、安価な調味料などにも使用されるため簡便かつ安価に提供できることが好ましく、そのために射出成形などで一度に一体に成型できることが好ましい。しかしながら、特許文献3記載のヒンジキャップは、蓋体の外側壁に沿うスライド可能なノブを配設し、このノブをスライドして蓋体とキャップ本体とのロック機構を解除するものである。蓋体に配設するノブは蓋体と別個に形成されたものであり、その製造に際して、別個の部材を組み合わせる必要がある。
【0012】
更に、特許文献4記載のヒンジキャップは、キャップ本体の外周壁に形成したパネルの傾斜によって開封確認を行うものである。前記パネルは、外周壁に2つのラインを形成して区画して調製されたものであるから、シンプルな美観であるが、視力の低下した者には、パネル部の認識が容易でない場合がある。更に、キャップ本体の外周壁に形成するラインは、薄肉部によって形成されるものであり、左右両側の薄肉部を破断してパネルを傾斜させるため、筋力の低下した者による開封が容易でない。更に、このヒンジキャップは、本来、不正開封を防止するものであるため、チャイルドプルーフ機構として機能させるためには、前記パネルを再反転させる機構が必要となり、実用的ではない。
【0013】
同様に、特許文献5記載のヒンジキャップは、蓋体の外周に突設させたツマミ片とキャップ本体に形成した係止部とによって係止するものである。この係止部は開封後に除去され、これによって不正開封を確認するものであるから、一旦開封されると係止部が除去され、チャイルドプルーフ機構が存在しなくなる。このため、誤って、内容物が残存する容器を幼児が触ると、従来のヒンジキャップと同様に、容易に内容物を取り出す事ができ、幼児の安全性を確保することができない。
【0014】
また、このような幼児の安全性は、ヒンジキャップに限定されず、例えば、容器本体にヒンジを介して有頂の蓋部を配設したキャップ付き容器においても同様である。すなわち、幼児が誤って蓋部を開封し、内容物を取り出す場合には、幼児の安全性が損なわれる。
【0015】
上記現状に鑑み、本発明は、ロック機構を配設したヒンジキャップを提供することを目的とする。このようなロック機構は、チャイルドプルーフ機構して機能する。
また、ヒンジキャップは、医薬品や調味料など、老人が通常使用する物品に多用されている現状に鑑み、握力その他が劣るものであっても容易に内容物を取り出すことができる、ロック機構を配設したヒンジキャップを提供することを目的とする。
【0016】
更に、視力の劣るものであっても目視により開封機構が判断できる、簡素な構造のロック機構を配設したヒンジキャップを提供することを目的とする。
更に、ヒンジキャップは、安価な製品にも多用されるため、合成樹脂による一体成型が可能で、安価に製造しうるロック機構を配設したヒンジキャップを提供する事を目的とする。
【0017】
加えて、このようなロック機構を配設したキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、キャップ本体と有頂の蓋部とがヒンジを介して連設されるヒンジキャップについて詳細に検討した結果、予めキャップ本体と蓋部とを嵌合可能に形成し、かつヒンジキャップの外周に、ロック機構を形成すれば、このロック機構がチャイルドプルーフ機構となること、ロック機構をヒンジキャップの外周に配設すれば、目視によってロック機能を確認することができること、このロック機構が、前記蓋体に一体に形成されたロック用凸部と、前記キャップ本体に一体に配設された前記ロック用凸部を係止可能なロック用係止部との係止であれば、幼児にはロック機構の解除は困難でも、幼児よりも進んだ知能を有するものであれば、説明書などが存在しなくても容易にロック機構を解除できること、このような係止の解除は大きな力を必要とせず、力の無いものでも容易に開封できることを見出し、本発明を完成させた。
【0019】
すなわち、本発明は、筒状のキャップ本体と、有頂の蓋体と、前記キャップ本体と蓋体とを連設するヒンジとからなり、前記キャップ本体と蓋体との嵌合機構が形成されたヒンジキャップにおいて、前記ヒンジキャップの外周にロック機構が形成され、前記ロック機構は、前記蓋体に一体に形成されたロック用凸部と、前記キャップ本体に一体に配設された前記ロック用凸部を係止可能なロック用係止部とからなることを特徴とする、安全キャップを提供することを目的とする。
【0020】
本発明は、前記キャップ本体および/または蓋体の外周に、開封用凹部が形成されることを特徴とする、上記安全キャップを提供することを目的とする。
本発明は、前記蓋体に、更に、蓋体の外周に突出する開封用摘み部が形成されることを特徴とする、上記安全キャップを提供することを目的とする。
【0021】
本発明は、合成樹脂の一体成形によるものである、上記安全キャップを提供することを目的とする。
本発明は、容器本体と、有頂の蓋体と、前記容器本体と蓋体とを連設するヒンジとからなり、前記容器本体と蓋体とに嵌合機構が形成されたヒンジ容器において、前記ヒンジ容器の外周にロック機構が形成され、前記ロック機構は、前記蓋体に一体に形成されたロック用凸部と、前記容器本体に一体に配設された前記ロック用凸部を係止可能なロック用係止部とからなることを特徴とする、蓋体付き容器を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の安全キャップや蓋体付き容器によれば、ロック機構を解除しなければ内容物を取り出す事ができないため、当該ロック機構はチャイルドプルーフ機構として有効であり、幼児の安全性を確保することができる。また、不用意に外圧が負荷された場合にもロック機構によって、内容物が吐出されることがない。
【0023】
本発明の安全キャップや蓋体付き容器のロック機構は、構造が簡便であり、目視によって解除方法が容易に理解できるため、幼児より知能が進んだものであれば、簡便に開封することができる。また、ロック機構自体には、キャップ本体と蓋体との嵌合力が要求されないため、力のないものでも容易にロック機構を解除することができ、取扱が容易である。
【0024】
本発明の安全キャップは、合成樹脂の一体成型によって製造できるため、製造が容易でかつ安価に提要することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の安全キャップ(100)の斜視図であり、図1(a)は蓋体(30)が閉じた状態を、図1(b)は蓋体(30)が開いた状態を示す。
【図2】本発明の安全キャップ(100)を説明する図であり、蓋体(30)に帯状体(35)が配設され、その端部にロック用凸部(31)が形成され、ロック用係止部(11)として貫通部(11b)を有する板状体(11c)が配設される態様を示す図である。
【図3】本発明の安全キャップ(100)を説明する図であり、図2(a)、図2(c)の拡大図である。
【図4】本発明の安全キャップ(100)を説明する図であり、蓋体(30)に帯状体(35)が配設され、その端部にロック用凸部(31)が形成され、ロック用係止部(11)として爪状の係止用凸部(31e)を有する板状体(11c)が配設される態様を示す図である。
【図5】本発明の安全キャップ(100)を説明する図であり、蓋体(30)に帯状体(35)が配設され、その端部にロック用凸部(31)が形成され、ロック用係止部(11)として扇型の板状体(11c)が配設される態様を示す図である。
【図6】本発明の安全キャップ(100)を説明する図であり、蓋体(30)に直接ロック用凸部(31)が形成され、ロック用係止部(11)として貫通部(11b)を有する板状体(11c)が配設される態様を示す。
【図7】本発明の安全キャップ(100)におけるロック機構の解除方法を説明する図であり、前記板状体(11c)が柔軟性樹脂で構成され、その両端をつまんでロック機構を解除する方法を説明する図である。
【図8】本発明の安全キャップ(100)を説明する図であり、、蓋体(30)をヒンジ(20)を介してキャップ本体(10)から開放した際の安全キャップの平面図であり、安全キャップの側方にロック用係止部(11)とロック用凸部(31)とからなるロック機構が配設される態様を示す図である。
【図9】本発明の安全キャップ(100)を説明する図であり、ヒンジ(20)が対向する正面に、開封用凹部が形成される態様を示す図である。
【図10】本発明の安全キャップ(100)を説明する図であり、蓋体(30)に開封用摘み部(39)が形成される態様を示す図である。
【図11】本発明の安全キャップ(100)を説明する図であり、キャップ本体(10)の下端にフランジが形成される態様を示す図である。
【図12】本発明の蓋体付き容器(200)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第一は、筒状のキャップ本体と、有頂の蓋体と、前記キャップ本体と蓋体とを連設するヒンジとからなり、前記キャップ本体と蓋体との嵌合機構が形成されたヒンジキャップにおいて、前記ヒンジキャップの外周にロック機構が形成され、前記ロック機構は、前記蓋体に一体に形成されたロック用凸部と、前記キャップ本体に一体に配設された前記ロック用凸部を係止可能なロック用係止部とからなることを特徴とする、安全キャップである。
【0027】
また、本発明の第二は、容器本体と、有頂の蓋体と、前記容器本体と蓋体とを連設するヒンジとからなり、前記容器本体と蓋体とに嵌合機構が形成されたヒンジ容器において、前記ヒンジ容器の外周にロック機構が形成され、前記ロック機構は、前記蓋体に一体に形成されたロック用凸部と、前記容器本体に一体に配設された前記ロック用凸部を係止可能なロック用係止部とからなることを特徴とする、蓋体付き容器である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0028】
(1)安全キャップ
本発明の安全キャップの好適な態様の一例を図1の斜視図に示す。
本発明の安全キャップ(100)は、キャップ本体(10)とこのキャップ本体とヒンジ(20)で連設された有頂の蓋体(30)とからなるヒンジキャップ(A)に、ロック機構(B)が形成された安全キャップである。ロック機構(B)は、前記ヒンジキャップ(A)の外周に形成され、前記蓋体(30)に一体に形成されたロック用凸部(31)と、前記ロック用凸部(31)を係止可能なロック用係止部(11)とからなる。なお、符号35は、蓋体(30)に一体に形成され、前記ロック用凸部(31)を配設する帯状体である。
【0029】
図2に、キャップ本体(10)と蓋体(30)とを、ヒンジを介して水平に開いた状態の平面図(a)とその断面図(c)、およびキャップ本体(10)に蓋体(30)を装着した際の正面図(b)および背面図(d)を示す。
【0030】
本発明の安全キャップ(100)を構成するヒンジキャップ(A)は、キャップ本体(10)と蓋体(30)との嵌合機構を有する。キャップ本体(10)と蓋体(30)とが嵌合によって固定できるため、前記ロック機構に、キャップ本体(10)と蓋体(30)とを固定する機能を配設する必要がない。このような嵌合機構(C)は、キャップ本体(10)と蓋体(30)とを固定できれば、その構造に特に制限はない。図2に示す安全キャップでは、キャップ本体(10)の上部を内側に段をつけて絞られ、蓋体(30)の内周と略同じ直径で蓋体(30)側にむかって延設した環状嵌合用片(13)が形成され、一方、蓋体(30)の側壁(32)内側に、やや内側に突出する環状の凸部(33)が形成され、前記環状嵌合用片(13)の外周に環状の凸部(33)が嵌合することで、キャップ本体(10)と蓋体(30)とを固定することができる。
【0031】
本発明の安全キャップ(100)は、前記した嵌合機構(C)を有するヒンジキャップ(A)に、更にロック機構(B)が配設されたものである。蓋体(30)には、安全キャップ(100)の外側に突出するロック用凸部(31)が一体に構成され、キャップ本体(10)に配設されたロック用係止部(11)によって前記ロック用凸部(31)が係止される。ロック用係止部(11)を前傾すると、前記係止が解除される。本発明では、ロック機構(B)を解除しなければ内容物を取り出すことができないため、幼児に対するチャイルドプルーフ機構として機能する。また、ロック機構を解除しなければ内容物が遺漏しないため、この安全キャップを装着した容器に不用意に外圧が掛かった場合にも内容物の遺漏を防止できる。しかも、ロック機構(B)を解除した後は、前記嵌合機構(C)によってキャップ本体(10)と蓋体(30)とが固定されるため、ロック機構(B)には、キャップ本体(10)と蓋体(B)とを固定するための固定力を必要としない。幼児による開封を防止するためにキャップ本体(10)と蓋体(30)とを嵌合するための力を大きくすると、老人などの開封力が低下した者は取扱が困難になるが、本発明では前記嵌合機構(C)とロック機構(B)とが、共に大きな力を必要としないため、開封力が低下した者でも容易に内容物を取り出す事ができる。なお、図2(b)において符号11bは、ロック用係止部(11)に形成した貫通部である。
【0032】
本発明の安全キャップは、ヒンジキャップを装着しうるいずれの容器にも適用できる。例えば、医薬品用容器や血糖測定用チップ用容器、電池ケース、化粧品用容器、タバコ用容器など、開封によって幼児が手で触れたり、誤って口に入れると大事故が起こる可能性のある内容物用の容器のほか、内容物の単価が高い高級歯磨き、その他、シャンプー、リンス、液体洗剤や柔軟剤、マヨネーズやケチャップ、ソース、その他の調味料、日本酒、ワイン、コーヒー、ハンドクリーム、ウェットティッシュなど、ヒンジキャップを装着しうる容器に広く適用することができる。
【0033】
従って、本発明の安全キャップを装着しうる容器としては、汎用品のシャンプーやリンスなどに例示される合成樹脂容器のほか、ガラス製、金属製、その他のボトルや、内容物を容器の外側から押圧して取出す練り歯磨きなどのチューブ、ゲーベルトップのパック、その他に装着することができる。
【0034】
(2)ロック機構
本発明の安全キャップ(100)におけるロック機構(B)は、蓋体(30)に一体に形成されたロック用凸部(31)と、前記キャップ本体(10)に一体に配設されたロック用係止部(11)とからなり、前記ロック用凸部(31)とロック用係止部(11)とは、共にヒンジキャップ(A)の外周に形成されることを特徴とする。この態様であれば、目視によりロック機構の解除方法を容易に認識することができるからである。
【0035】
本発明において、「ロック用凸部」とは、蓋体(30)の外周に突出して一体に形成され、かつ蓋体(30)に対して可動しないものをいう。本発明では上記条件を備えるものを広くロック用凸部(31)とすることができる。同様に、本発明においてロック用係止部(11)とは、キャップ本体(10)に一体に配設され、前記ロック用凸部(31)を係止しおよび前記係止を解除しうるものをいう。ロック用係止部(11)としては、その形状は問わず、ロック用凸部(31)を係止しうるものを広く使用することができる。また、ロック機構(B)のロック方法や解除方法も特に限定されるものではなく、ロック用凸部(31)やロック用係止部(11)の形状その他に応じて適宜選択することができる。なお、ロック機構によるロック用係止部(11)とロック用凸部(31)との係止や解除は、ロック用係止部(11)の可動によるものに限定されず、他の方法によるものであってもよい。
【0036】
本発明のロック機構の一例として、前記図2に示すように、蓋体(30)に形成されたロック用凸部(31)と、キャップ本体(10)に配設され、中央に貫通部(11b)が形成された板状体(11c)からなるロック用係止部(11)とがある。便宜のため、図2(a)および図2(c)の拡大図を図3に示して、このロック機構を説明する。
【0037】
ロック用凸部(31)は、図3(b)の断面図に示すように、蓋体(30)の帯状体(35)に形成された突出部であり、その形状は問わない。しかしながら、少なくともロック用係止部(11)との接触面を有する必要がある。より好ましくは、蓋体(30)の天面部に向かって幅広の傾斜面を形成しつつ突出し、かつロック用係止部(31)の上面が接触面となる構成であれば、係止が容易で好ましい。本発明では、このロック用凸部(31)の接触面(31a)と帯状体(35)とからなる突出角(θ)は、80〜130°である。130°を超えると、ロック機構が容易に解除される場合があり、一方、80°を下回ると、ロック機構の解除が容易でない場合がある。より好ましくは、蓋体(30)を水平に載置したキャップ本体(10)に装着し、ロック機構によってロック用凸部(31)をロック用係止部(11)に係止した際に、前記ロック用凸部(31)の接触面(31a)が略水平になるように選択されることである。
【0038】
一方、ロック用係止部(11)は、図3(b)の断面図に示すように、キャップ本体(10)の底部の外周から外側に向かって突出する突設部(11a)と、前記突設部(11a)から前記キャップ本体(10)の外周に対して略平行に垂設された板状体(11c)とからなり、前記板状体(11c)には、貫通部(11b)が形成されている。この板状体(11c)の上端には、安全キャップ(100)の外側に突設するように摘み部(11d)が形成されている。この板状体(11c)は、突設部(11a)を基点としてキャップ本体(10)に対して可動できる。
【0039】
このキャップ本体(10)には、蓋体(30)をキャップ本体(10)に装着した際に、長尺の帯状体(35)の安定性を確保するため、キャップ本体(10)の側壁の外周に、前記帯状体(35)を陥入しうる凹部(10a)が形成されている。ロック用係止部(11)とロック用凸部(31)とが係止された後に、前記帯状体(35)をキャップ本体(10)に安定して固定することができる。
【0040】
ヒンジ(20)を介してキャップ本体(10)に蓋体(30)を装着すると、蓋体(30)に連設される帯状体(35)が前記凹部(10a)に誘導されてロック用係止部(11)側に移行する。この際、板状体(11c)がロック用凸部(31)の挿入力によって可動するため、図3(b)の破線に示すように、キャップ本体(10)の側壁と前記板状体(11c)との間にロック用凸部(31)が挿入される。挿入されたロック用凸部(31)は、板状体(11c)の前記貫通部(11b)の上端で固定され、ロック用凸部(31)とロック用係止部(11)とが係止される。
【0041】
一方、このロック機構(B)を解除するには、ロック用係止部(11)を構成する摘み部(11d)を前傾させればよい。ロック用凸部(31)の接触面(31a)が略水平になっているため、摘み部(11d)の前傾によってロック用凸部(31)を容易に解除することができる。
【0042】
図3に示す安全キャップ(100)は、前記ロック用凸部(31)が、蓋体(30)に形成された帯状体(35)の先端に配設される態様となっている。このような帯状体(35)の配設により、ロック用係止部(11)とロック用凸部(31)との係止がキャップ本体(10)側で行われるため、前記ロック用係止部(11)を、キャップ本体(10)の上限の高さ以内で構成しうる利点がある。
【0043】
また、他の態様として、蓋体(30)として図2に示す安全キャップを構成する蓋体(30)を使用し、キャップ本体(10)として、細長い板状体(11c)の上端に係止用凸部(11e)を配設したものをロック用係止部(11)として配設されたものとの組み合わせがある。この安全キャップ(100)を図4に示す。図4(a)は、このような安全キャップ(100)の正面図、図4(b)は、ヒンジを介して蓋体(30)とキャップ本体(10)とを水平に広げた際の断面図である。なお、爪状の係止用凸部(11e)の形状は問わないが、キャップ本体(10)の底部に向かって幅広の傾斜面を形成しつつ突出し、かつその底面がロック用係止部(11)との接触面となる構成であれば、係止が容易で好ましい。
【0044】
ロック用係止部(11)は、キャップ本体(10)の底部の外周から外側に向かって突出する突設部(11a)と、前記突設部(11a)から前記キャップ本体(10)の外周に対して略平行に垂設された板状体(11c)とからなり、その上端にキャップ本体(10)の側壁に向かって突出する係止用凸部(11e)が形成され、かつ前記板状体(11c)の上端には、図2と同様に、外側に突設するように摘み部(11d)が形成されている。この板状体(11c)は、突設部(11a)を基点としてキャップ本体(10)に対して前後に可動できる。なお、キャップ本体(10)には、図2と同様に、蓋体(30)をキャップ本体(10)に装着した際に、長尺の帯状体(35)の安定性を確保するため、キャップ本体(10)の外周に、前記帯状体(35)を陥入しうる凹部(10a)が形成されている。
【0045】
キャップ本体(10)に蓋体(30)を装着すると、図4(b)の破線で示すように、ロック用凸部(31)が、キャップ本体(10)に形成した凹部(10a)に誘導されてキャップ本体(10)のロック用係止部(11)側に移行する。この際、板状体(11c)がロック用凸部(31)の挿入力によって安全キャップの外側に傾斜するため、図4(b)に示すように、キャップ本体(10)の側壁と前記板状体(11c)との間にロック用凸部(31)が挿入され、板状体(11c)の上端に形成された係止用凸部(11e)と係止する。
【0046】
一方、このロック機構(B)を解除するには、ロック用係止部(11)を構成する摘み部(11d)を前傾させればよい。ロック用凸部(31)の接触面(31a)が略水平になっているため、摘み部(11d)の前傾によってロック用凸部(31)を容易に解除することができる。この態様は、ロック用係止部(11)の構造が簡便であるため、製造が容易である。
【0047】
また、他の態様として、蓋体(30)として図2に示す安全キャップを構成する蓋体(30)を使用し、キャップ本体(10)として、扇型の板状体(11c)の最上端に、安全キャップ側に向かって突設させた爪状の係止用凸部(11e)をロック用係止部(11)として配設したものとの組み合わせもある。この安全キャップ(100)を図5に示す。図5(a)は、このような安全キャップ(100)の正面図、図5(b)は、ヒンジを介して蓋体(30)とキャップ本体(10)とを水平に広げた際の断面図である。
【0048】
ロック用係止部(11)は、キャップ本体(10)の底部の外周から外側に向かって突出する突設部(11a)と、前記突設部(11a)から前記キャップ本体(10)の外周に対して略平行に垂設された扇型の板状体(11c)とからなり、前記扇型の板状体(11c)の最上端にキャップ本体(10)の側壁に向かって突出する係止用凸部(11e)が形成されている。なお、前記係止用凸部(11e)は、最上端に限定され、その左右には係止用凸部(11e)は存在しない。この板状体(11c)は、突設部(11a)を基点として前後に可動し、かつキャップ本体の側壁との平行を維持しつつ左右に可動することができる。この態様の安全キャップを構成するキャップ本体(10)には、図2に示す安全キャップと同様に、蓋体(30)をキャップ本体(10)に装着した際に、帯状体(35)ひいてはロック用凸部(31)の安定性を確保するため、キャップ本体(10)の外周に、前記帯状体(35)を陥入しうる凹部(10a)が形成されている。
【0049】
キャップ本体(10)に蓋体(30)を装着すると、図5(b)の破線で示すように、ロック用凸部(31)が、キャップ本体(10)に形成した凹部(10a)に誘導されてキャップ本体(10)のロック用係止部(11)側に移行する。この際、板状体(11c)がロック用凸部(31)の挿入力によって前傾するため、図5(b)に示すように、キャップ本体(10)の側壁と前記板状体(11c)との間にロック用凸部(31)が挿入され、板状体(11c)の上端に形成された係止用凸部(11e)と係止する。
【0050】
一方、このロック機構(B)を解除するには、図5(c)の矢印方向に、前記突設部(11a)を基点としてロック用係止部(11)を回転させればよい。係止用凸部(11e)は、扇型の板状体(11c)の最上端にのみ形成されているため、ロック用係止部(11)を回転させることでロック用凸部(31)と係止用凸部(11e)との係止を解除することができる。
【0051】
また、他の態様として、蓋体(30)として帯状体(35)を配設することなく蓋体(30)に直接ロック用凸部(31)が形成された蓋体(30)と、キャップ本体(10)として、図2と同様に、貫通部(11b)を有する板状体(11c)をロック用係止部(11)として配設したものとの組み合わせもある。この安全キャップ(100)を図6に示す。図6(a)は、このような安全キャップ(100)の正面図、図6(b)は、ヒンジを介して蓋体(30)とキャップ本体(10)とを水平に広げた際の断面図である。
【0052】
ロック用凸部(31)は、図6(b)の断面図に示すように、蓋体(30)に形成された突出部であり、前記ロック用凸部(31)の上端(31b)と側壁(32)とからなる突出角(θ)は、80〜130°である。130°を超えると、ロック機構が容易に解除される場合があり、一方、80°を下回ると、ロック機構の解除が容易でない場合がある。より好ましくは、蓋体(30)を水平に載置したキャップ本体(10)に装着し、ロック機構によってロック用凸部(31)をロック用係止部(11)に係止した際に、前記ロック用凸部(31)の上端(31b)が略水平になるように選択されることである。
【0053】
一方、ロック用係止部(11)は、図6(b)の断面図に示すように、キャップ本体(10)の外周から外側に向かって突出する突設部(11a)と、前記突設部(11a)から前記キャップ本体(10)の外周に対して略平行に垂設された板状体(11c)とからなり、前記板状体(11c)には、貫通部(11b)が形成されている。この板状体(11c)の上端には、安全キャップ(100)の外側に突設するように摘み部(11d)が形成されている。この板状体(11c)は、突設部(11a)を基点としてキャップ本体(10)に対して前後に可動できる。図2との相違は、突設部(11a)が、キャップ本体(10)の底部でなく、側面部の略中央から外側に向かって配設されている点、板状体(11c)がキャップ本体(10)から更に蓋体(30)側に延設される点、および帯状体(35)を陥入しうる凹部(10a)が存在しない点である。
【0054】
この安全キャップ(100)に、ヒンジ(20)を介してキャップ本体(10)に蓋体(30)を装着すると、板状体(11c)がロック用凸部(31)の挿入力によって安全キャップの外側に傾斜するため、図6(b)に示すように、キャップ本体(10)の側壁と前記板状体(11c)との間にロック用凸部(31)が挿入される。挿入されたロック用凸部(31)は、板状体(11c)の前記貫通部(11b)の上端で固定され、ロック用凸部(31)とロック用係止部(11)とが係止される。
【0055】
一方、このロック機構(B)を解除するには、ロック用係止部(11)を構成する摘み部(11d)を前傾させればよい。ロック用凸部(31)の接触面(31a)が略水平になっているため、摘み部(11d)の前傾によってロック用凸部(31)を容易に解除することができる。
【0056】
蓋体(30)に帯状体(35)が無いため、蓋体(30)の取り扱いが、従来のヒンジキャップと類似しており、安心感がある。
なお、図6では、図の理解を容易にするため、ヒンジ(20)と対向する位置にロック機構(B)が配設される態様を示す。しかしながら、蓋体(30)を開放した後に安全キャップ(100)の正面にロック用係止部(11)が存在すると、内容物の取り出しの際にロック用係止部(11)と内容物とが接触する場合がある。従って、図6に示すロック機構(B)は、安全キャップの側壁に配設される事が好ましい。
【0057】
本発明の安全キャップ(100)は、キャップ本体(10)や蓋体(30)を構成する合成樹脂を適宜選択することで、上記以外の方法でロックを解除することができる。
例えば、図2に示す安全キャップにおいて、キャップ本体(10)に配設するロック用係止部(11)をエラストマーなどの柔軟性合成樹脂で調製した場合には、図7に示すように、板状体(11c)の左右を矢印方向に指で把持することで板状体(11c)を彎曲させ、ロック用凸部(31)の係止を解除することができる。このような解除方法は、図2の安全キャップに限定されず他の安全キャップにも応用できる。
【0058】
本発明の安全キャップ(100)において、ロック機構(B)の配設位置は、安全キャップ(100)の正面に限定されるものではなく、例えば、側面に配設してもよい。図2に示すロック機構(B)が安全キャップ(100)の側面に配設された態様における、キャップ本体(10)と蓋体(30)とをヒンジを介して水平に広げた際の平面図を図8に示す。本発明の安全キャップ(100)は、キャップ本体(10)と蓋体(30)との嵌合機構(C)によって固定されるため、ロック機構(B)が側面に配設されていても内容物の保護機能が損なわれることがない。更に、本発明の安全キャップ(100)では、ロック機構(B)は1つに限定されず、2以上が配設されるものであってもよい。
【0059】
(3)ヒンジキャップ
上記ロック機構を配設しうるヒンジキャップは、筒状のキャップ本体と、有頂の蓋体と、前記キャップ本体と蓋体とを連設するヒンジとからなり、前記キャップ本体と蓋体とは嵌合機構(C)が形成されたものである。
【0060】
(i)嵌合機構
嵌合機構としては、キャップ本体(10)のいずれかの部分と蓋体(30)のいずれかの部分とが嵌合し、固定されるものを広く含むことができる。嵌合機構の一例を、図3に示す安全キャップ(100)を用いて説明する。
【0061】
図3に示すように、キャップ本体(10)の上部を内側に段をつけて絞られ、蓋体(30)の内周と略同じ直径で蓋体(30)側にむかって延設した環状嵌合用片(13)が形成され、この環状嵌合用片(13)と蓋体(30)の側壁(32)の内側とが嵌合し、嵌合機構(C)を構成する。
【0062】
前記蓋体(30)の側壁(32)は、天面部近傍の内周(φ1)よりも端部の内周(φ2)が小さくなるように、側壁の内側にやや内側に突出する環状の凸部(33)が形成されている。一方、前記環状嵌合用片(13)の外周(φ3)は、前記内周(φ2)と略同じかそれよりもわずかに大径で構成されている。キャップ本体(10)にヒンジ(20)を介して蓋体(30)を装着すると、蓋体(30)に形成された環状の凸部(33)がキャップ本体(10)の前記環状嵌合用片(13)の外側に嵌合し、キャップ本体(10)と蓋体(30)とを安定して固定することができる。図3(b)の破線は、蓋体(30)をヒンジ(20)を介してキャップ本体(10)に嵌合した態様を示す図である。
【0063】
前記環状嵌合用片(13)の内側は、キャップ本体(10)の底部に向かってテーパー状に肉厚に構成されていている。下端部が肉厚であるため強度が確保され、上端部が肉薄であるため蓋体(30)の装着が容易になる。また、蓋体(30)の側壁(32)は、キャップ本体(10)と接触する側の端部の角が円弧状に削られ、蓋体(30)の装着を容易にしている。
【0064】
なお、嵌合機構(C)としては、上記に限定されるものではなく、各種の凹部と凸部との組み合わせを広く適用することができる。
(ii)注出口
本発明の安全キャップでは、キャップ本体(10)に形成された注出口を介して内容を取り出す事ができる。注出口は、図2に示すようにキャップ本体(10)の開放された上面に限定されず、キャップ本体(10)の上面に蓋体(30)側に突出するように取り付けられた、細径の注出口であってもよい。その際、蓋体(30)の内側には、前記注出口と対向する位置に、キャップ本体側に突出する封栓手段が配設されるものであってもよい。
【0065】
更に、前記細径の注出口に代えて、易開封手段であるプルトップが配設されるものであってもよい。これにより、密封性や不正開封を回避することができる。
(iii)開封用凹部
本発明の安全キャップ(100)を構成するヒンジキャップは、嵌合機構(C)によってキャップ本体(10)と蓋体(30)とが嵌合する。蓋体(30)の開封を容易にするため、ヒンジ(20)と対向するヒンジキャップの正面に、蓋体(30)および/またはキャップ本体(10)の外周の一部に半円形の凹部(17,37)を形成してもよい。例えば、安全キャップの正面にこのような半円形の凹部(17,37)が形成され、ロック機構(B)が側方に形成された安全キャップを図9に示す。図9(a)は、その正面図、図9(b)は、ヒンジを介して蓋体(30)とキャップ本体(10)とを水平に広げた際の断面図である。
【0066】
蓋体(30)およびキャップ本体(10)に形成した凹部(17,37)に指を掛けることで、蓋体(30)の開閉を容易に行うことができる。このような開封用凹部は、ロック機構(B)を安全キャップの側面に配設すれば、図2に示す安全キャップに限定されるものではなく、図4〜図6に示すいずれのロック機構の安全キャップにも適用することができる。
【0067】
(iv)開封用摘み部
本発明の安全キャップ(100)には、前記蓋体(30)の外周に、蓋体(30)から突出する開封用摘み部が形成されるものであってもよい。
【0068】
図2に示す安全キャップ(100)において、前記帯状体(35)の上端に外側に向かって突設する摘み部(39)が形成される態様を図10に示す。図10(a)は、安全キャップの正面図、図10(b)は、ヒンジを介して蓋体をキャップ本体から開封した際の断面図である。ロック機構(B)を解除した後にこの摘み部(39)に指を掛け、これを上方に引き上げると蓋体(30)を容易に開封することができる。このような摘み部(39)は、帯状体(35)に配設される場合に限定されず、図10(c)の正面図に示すように、蓋体(30)の外周に環状に形成されるものであってもよい。また、開封用摘み部は、図2に示す安全キャップに限定されるものではなく、図4〜図6に示すいずれの態様にも適用することができる。このような開封用摘み部は、蓋体(30)を開封する際の滑り止めとしても機能する。
【0069】
なお、本発明では、ロック機構(B)を解除した後でなければ開封用摘み部を引き上げても蓋体(30)を開封することはできない。従って、幼児が、開封のために開封用摘み部(39)に注視してロック機構を無視する場合には、安全キャップのより高いチャイルドプルーフ機構が確保される。
【0070】
(v)容器連設機構
本発明の安全キャップは、キャップ本体(10)の底部を介して容器に装着することができる。このような連設機構は、装着する容器に応じて適宜、選択することができる。
【0071】
例えば、前記図2に示す態様は、キャップ本体(10)の内側に容器口部の外周を挿入して装着することができる。このため、図3に示すように、キャップ本体(10)の内周は、キャップ本体(10)の上部(φ4)よりも下端(φ5)の方がゆったりと設計され、容器口部への挿入を容易にしている。なお、容器口部とキャップ本体(10)とは接着剤などで固定することができる。
【0072】
このような挿入のほか、キャップ本体(10)の内側にアンダーカットを形成し、嵌合によって容器口部と装着してもよい。
更に、容器口部とねじ込み装着ができるようにキャップ本体(10)の筒状部の内周に螺旋を形成してもよい。容器口部にも対応する螺旋を形成することで容器口部と螺子式に装着することができる。螺子式の装着方法によれば、内容物を取り出した後に安全キャップを取り外し、分別することができる利点がある。
【0073】
一方、このような螺旋やアンダーカットを形成することなく、図11に示すように、筒状部の下部にフランジ(19)が形成されたものであってもよい。フランジ(19)によって、容器との高度な液密を確保することができる。このようなフランジ付きヒンジキャップは、例えば、ゲーベルトップ型の紙容器の頂部に配設することができる。
【0074】
(4)蓋体付き容器
本発明の蓋体付き容器(200)は、容器本体(50)と、有頂の蓋体(30)と、前記容器本体(50)と蓋体(30)とを連設するヒンジ(20)とからなり、前記容器本体(50)と蓋体(30)とに嵌合機構が形成されたヒンジ容器において、前記ヒンジ容器の外周にロック機構(B)が形成され、前記ロック機構(B)は、前記蓋体(30)に一体に形成されたロック用凸部(31)と、前記容器本体(50)に一体に配設された前記ロック用凸部(31)を係止可能なロック用係止部(33)とからなることを特徴とする。
【0075】
前記安全キャップ(100)を構成する筒状のキャップ本体(10)の下部に底面部を形成すれば、本発明の蓋体付き容器(200)となる。このような蓋体付き容器(200)の一例を図12に示す。容器本体(50)と蓋体(30)とを、ヒンジを介して水平に開いた状態の平面図を図12(a)に、その断面図を図12(c)に、および容器本体(50)に蓋体(30)を装着した際の正面図を図12(b)に、その背面図を図12(d)に示す。
【0076】
ヒンジ(20)を介して連設されるキャップ本体(10)に代えて容器本体(50)を配設したものとしては、例えば、筒状容器(50)の上端にヒンジ(20)を介して蓋体(30)が連設された血糖測定用チップなどを収納する容器がある。
【0077】
本発明の蓋体付き容器(200)は、キャップ本体(10)に代えて底面部を有する容器本体(50)をヒンジを介して蓋体に連設したものを広く対象とすることができる。このため、前記した安全キャップ(100)と同様に、前記容器本体(50)および/または蓋体(30)の外周に、開封用凹部が形成されるものであってもよい。これにより、蓋体の開閉を容易に行うことができる。また、前記蓋体(30)に、更に、蓋体(30)の外周に突出する開封用摘み部(39)が形成されるものであってもよい。ロック機構(B)を解除した後に、前記開封用摘み部(39)によって、蓋体(30)の開閉を容易に行うことができる。
【0078】
(5)製造方法
本発明の安全キャップや蓋体付き容器は、従来のヒンジキャップと同様に、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性エラストマー、アイオノマー樹脂等を使用することができる。
【0079】
また、キャップ本体(10)、蓋体(30)、ヒンジ(20)、ロック機構(B)、嵌合機構(C)、容器本体(50)は、同じ樹脂で調製してもよいが異なる樹脂で調製してもよい。たとえば、図7に示すように、ロック用係止部(11)を、柔軟性に優れるエラストマーで調製すれば、板状体(11c)に形成した貫通部(11b)の左右を把持することで容易にロック用凸部(31)を開放することができる。
【0080】
本発明の安全キャップ(100)は、上記樹脂による射出成形などによって製造することができる。その際、本発明の安全キャップや蓋体付き容器は、ヒンジを介して蓋体とキャップ本体や容器本体とが連設されているため、これらを合成樹脂の一体成形で製造することができる。このため、製造が簡便で安価に安全性に優れるロック機構付きの安全キャップや蓋体付き容器を提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
10・・・キャップ本体、
11・・・キャップ本体に配設されたロック用係止部、
13・・・環状嵌合用片、
17・・・キャップ本体に形成した開封用の半円形の凹部、
19・・・フランジ、
20・・・ヒンジ、
30・・・蓋体、
31・・・蓋体に配設したロック用凸部、
32・・・蓋体の側壁、
33・・・蓋体に配設した環状の凸部、
35・・・ロック用凸部を配設する帯状体、
37・・・蓋体に配設した半円形の凹部、
39・・・蓋体に配設した摘み部、
50・・・容器本体、
100・・・安全キャップ、
200・・・蓋体付き容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のキャップ本体と、有頂の蓋体と、前記キャップ本体と蓋体とを連設するヒンジとからなり、前記キャップ本体と蓋体との嵌合機構が形成されたヒンジキャップにおいて、
前記ヒンジキャップの外周にロック機構が形成され、
前記ロック機構は、前記蓋体に一体に形成されたロック用凸部と、前記キャップ本体に一体に配設された前記ロック用凸部を係止可能なロック用係止部とからなることを特徴とする、安全キャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体および/または蓋体の外周に、開封用凹部が形成されることを特徴とする、請求項1記載の安全キャップ。
【請求項3】
前記蓋体に、更に、蓋体の外周に突出する開封用摘み部が形成されることを特徴とする、請求項1または2記載の記載の安全キャップ。
【請求項4】
合成樹脂の一体成形によるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の安全キャップ。
【請求項5】
容器本体と、有頂の蓋体と、前記容器本体と蓋体とを連設するヒンジとからなり、前記容器本体と蓋体とに嵌合機構が形成されたヒンジ容器において、
前記ヒンジ容器の外周にロック機構が形成され、
前記ロック機構は、前記蓋体に一体に形成されたロック用凸部と、前記容器本体に一体に配設された前記ロック用凸部を係止可能なロック用係止部とからなることを特徴とする、蓋体付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−131534(P2012−131534A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285307(P2010−285307)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】