安全スイッチ
【課題】スイッチ本体の操作部への進退物の所定量を超える操作によってカム部材等が破損することによる誤動作を未然に防止することのできる安全スイッチを提供する。
【解決手段】駆動カム151の回転がロックされた状態にある安全スイッチからアクチュエータ3が強引に引抜かれた場合に、連結部材161bの破損によって駆動カム151の破損が未然に防止され、補助カム161の補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151cの径大部分に連続する周面が形成される。そして、アクチュエータ3が引抜かれた後、アクチュエータ3が再進入された場合には、形成された周面を操作ロッド21が摺接するので、操作ロッド21の移動が阻止される。したがって、アクチュエータ3が挿入されることで安全スイッチの開閉器の開閉状態が切り換わることを防止でき、安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。
【解決手段】駆動カム151の回転がロックされた状態にある安全スイッチからアクチュエータ3が強引に引抜かれた場合に、連結部材161bの破損によって駆動カム151の破損が未然に防止され、補助カム161の補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151cの径大部分に連続する周面が形成される。そして、アクチュエータ3が引抜かれた後、アクチュエータ3が再進入された場合には、形成された周面を操作ロッド21が摺接するので、操作ロッド21の移動が阻止される。したがって、アクチュエータ3が挿入されることで安全スイッチの開閉器の開閉状態が切り換わることを防止でき、安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば産業機械等の防護扉周縁の壁面に取り付けられ、防護扉が開かれたときには、産業機械等への電源供給を停止する安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業機械の防護扉などには、作業者が機械に巻き込まれて負傷するといったトラブルの発生を防止することを目的として、防護扉が完全に閉まっていないときには、機械を駆動させないようにする安全スイッチが配設されている。
【0003】
この種の安全スイッチは、ロボット等の産業機械に電気的に接続されるもので、スイッチ本体とアクチュエータとにより構成されており、スイッチ本体は防護扉周縁の壁面に固着され、またアクチュエータは防護扉に固着される。そのときのアクチュエータの固着位置はスイッチ本体のアクチュエータ進入口に対向し、かつ、防護扉を閉鎖した状態のときにスイッチ本体上部のヘッドケース内に進入可能なように設定されている。
【0004】
そして、アクチュエータの進入により、スイッチ本体のヘッドケース(操作部)の下方に位置する開閉器が閉に切り換わり、産業機械へ電源が供給されて機械が駆動可能な状態となる。一方、防護扉の開放によりアクチュエータが後退してヘッドケースから抜け出ると、内蔵の開閉器が開に切り換わり、機械への電源供給が遮断される。
【0005】
ところで、操作部の中央には、操作部の下方に位置するスイッチ部の操作ロッドを移動させて接点を開閉させるため駆動カムが設けられている。この駆動カムはその回転軸が操作部におけるケース部材の内面に枢支されて回転自在に支持されている。そして、アクチュエータが操作部に進入していない状態では、操作ロッドは、駆動カムによりスイッチ部側へ押圧されており、産業機械への電源供給が遮断されている。一方、専用のアクチュエータが操作部内に進入すると、アクチュエータの連結片が駆動カムを押圧して、駆動カムが回転され、その結果、操作ロッドが駆動カム側へ移動し、産業機械への電源供給が行われる。
【0006】
ところで、このような安全スイッチには特許文献1のように、アクチュエータが安全スイッチ内に挿入された後、該アクチュエータを安全スイッチ内で機械的にロックすることにより、アクチュエータの引抜きを防止するロック機構を備えているものがある。このようなロック機構を備えることで、防護扉が閉じられ産業機械が動作している場合にアクチュエータが安全スイッチから不意に引抜かれて防護扉が開放するのを未然に阻止して、さらなる作業者の安全性の向上を図っている。
【0007】
このロック機能を備える安全スイッチには、左右に移動するロック体、L字状のロックレバー、プランジャを有するロック機構が設けられている。ロックレバーは中央部が回転自在に軸支され、ロックレバーの左端はロック体の右端部に、右端はプランジャの下端側にそれぞれ回転自在に連結されており、プランジャの移動がロックレバーの回転を経てロック体に伝達される。また、ロック体はバネによって左方へ付勢されている。そのため、駆動カムの時計方向への回転に伴って操作ロッドが駆動カムのカム曲線部の径大部から径小部へと摺接し、バネの付勢により操作ロッドが上方に移動するとともに、ロック体が左方へ移動する。その結果、ロック体が操作ロッドの下方に入り込み、操作ロッドの下方への移動がロック体によって阻止されるため、操作ロッドにより駆動カムが係止される。これによって駆動カムが、回転が阻止されたロック状態に保持され、アクチュエータの引抜きが阻止される。
【0008】
また、ロック機構のプランジャを駆動するためのプランジャ型電磁石が、スイッチ本体内の右上部に配設されており、該プランジャ型電磁石が外部からの制御によって通電および通電遮断されることにより、プランジャがそれぞれ上動および下動する。そして、駆動カムの回転がロックされた状態ではプランジャ型電磁石は通電遮断の状態にあり、この状態からプランジャ型電磁石が通電されると、その電磁的吸引力によってプランジャが上動し、プランジャの上動によってロックレバーが反時計方向に回転する。これによりロック体が右方へ移動して操作ロッドの下動が可能となり、駆動カムが反時計方向に回転可能な状態となる。その結果、駆動カムがロックされた状態から開放されてアンロック状態となり、アクチュエータの引抜きが可能となる。
【0009】
また、特許文献2に記載のように、安全性の観点から、例えばドライバーなどの専用のアクチュエータ以外の工具を操作部に挿入して接点を開閉することができないように駆動カムの回転を阻止する回転阻止手段を備えているものがある。
【0010】
この回転阻止手段を備える安全スイッチの駆動カムの両側には、回転軸の方向に移動自在に一対の回転阻止部材が回転軸と同軸に配設されており、各回転阻止部材はコイルバネによって、駆動カム側に付勢されている。また、各回転阻止部材の駆動カムと対向する面には、ロックピンが突設されており、このロックピンが駆動カムの両側面に形成された凹部に係合すると、駆動カムの回転が阻止されて操作ロッドが移動しないようになっている。
【0011】
さらに、回転阻止部材のアクチュエータ進入口と対向する面には、アクチュエータの進入時に、アクチュエータの押圧片の先端が当接する傾斜面が形成されている。そして、アクチュエータが操作部に進入していない状態では、各回転阻止部材がコイルバネの付勢力によって駆動カム側に移動され、ロックピンが駆動カムの凹部に係合して、駆動カムの回転が阻止された状態になっている。
【0012】
一方、専用のアクチュエータが操作部内に進入するとアクチュエータの押圧片の先端が、回転阻止部材の傾斜面を摺動しつつ回転阻止部材をコイルバネの付勢力に抗して駆動カムから離間する方向へ押し広げる。これにより、ロックピンと凹部との係合が解除され、駆動カムは回転可能な状態となる。
【0013】
【特許文献1】特開平9−245584号公報([0035]〜[0044],図1)
【特許文献2】特開平10−69831号公報([0019]〜[0029],図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上記したロック機構を備えた安全スイッチでは、駆動カムがロック状態のまま、強引にアクチュエータが引抜かれ、駆動カムの破壊強度を超える力が強制的に加えられると次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、強引にアクチュエータを後退させて引抜かれることで、駆動カムに強制的な回転力が加わり操作ロッドが係合している駆動カムのカム曲線部分が破壊される。その結果、アクチュエータは引抜かれて駆動カムは回転するが、ロック機構はロック状態のままであるため、操作ロッドは上動したままとなる。したがって、スイッチ本体の開閉器はアクチュエータが引抜かれているにも関わらず、アクチュエータが進入状態にある電気信号を発し続けることになる。
【0015】
また、上記した回転阻止手段を備えた安全スイッチでは、回転阻止手段によって専用のアクチュエータ以外の異物の進入による駆動カムの回転が阻止されたままで、例えば、ドライバーが強引にアクチュエータ進入口に押し込まれ、駆動カムの破壊強度を超える力が強制的に加えられると次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、ドライバー等の異物が操作部に強引に押し込まれることで、駆動カムに強制的な回転力が加わりロックピンが係合している駆動カムの凹部部分が破壊されてしまう。その結果、防護扉が開放された状態のままで駆動カムが回転して操作ロッドが移動してスイッチ本体の開閉器が閉状態へと切り換わり、産業機械へ電源が供給されて機械が駆動可能な状態となる。
【0016】
また、上記した安全スイッチでは、操作ロッドが駆動カムのカム曲線部の径大部と径小部を摺接することで移動してスイッチ部の開閉器の状態が切り換わる。このようなアクチュエータの進入、後退に伴う操作ロッドと駆動カムとの摺接が繰り返されることで、駆動カムのカム曲線部が磨耗することがある。その結果、駆動カムの回転による操作ロッドの移動量が減少し、駆動カムの回転に伴うスイッチ本体の開閉器の開閉状態の切換えが上手く行われない状態となるおそれがある。
【0017】
このように、専用のアクチュエータ、またはドライバー等の異物といった進退物による操作部への進入、後退操作の異常な操作量によって、安全スイッチが誤動作するおそれがあった。
【0018】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スイッチ本体の操作部への進退物の所定量を超える操作によってカム部材等が破損することによる誤動作を未然に防止することのできる安全スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記した課題を解決するため、本発明にかかる安全スイッチは、スイッチ本体の操作部への進退物の進入、後退に応じて前記操作部に設けられたカム部材が両方向に回転し、この前記カム部材の両方向の回転によりスイッチ部に設けられた操作ロッドが前記カム部材のカム曲線部を摺接して往復移動することで開閉器が開閉して前記進退物の進入、後退を検出する安全スイッチにおいて、進入操作および後退操作により前記操作部に進入、後退する進退物の操作量が、予め定めた所定量に達したことを検知する検知部を備え、前記カム部材は、前記検知部による前記所定量の検知により変形するカム曲線部を有することを特徴としている(請求項1)。
【0020】
このような構成とすれば、スイッチ本体の操作部への進退物の操作が所定量に達したことを検知部が検知すれば、カム部材のカム曲線部の形状が変化する。したがって、検知部が進退物による所定以上の操作部への異常な操作量を検知した場合に正常な状態のカム部材のカム曲線部の形状が変化することで、カム部材等が破損した異常な状態で操作ロッドが該カム曲線部を摺接して往復移動することによる誤動作を未然に防止できる。このとき、検知部が検知するのは、例えばアクチュエータを含む進退物の強引な引抜きに伴う後退操作力や、進退物の進入、後退操作の繰り返し数や、進退物の強引な押し込みに伴う進入操作力などが考えられる。
【0021】
また、前記カム部材は、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記駆動カムの回転軸に回転自在に軸支された補助カムとを有し、前記スイッチ本体のロック機構部に設けられ前記進退物が進入状態にあるときに前記駆動カムの回転をロックするロック体をさらに備え、前記駆動カムは、その外周面に係合部および駆動カム曲線部がそれぞれ形成され、前記進退物の押込みに伴い、前記進退物の一部が前記係合部に係合し、該係合状態のままで前記進退物が前記操作部に進入するに連れて一方向に回転され、前記進退物の引抜きに伴い、前記進退物が前記操作部から後退するに連れて、前記進退物の一部が前記係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転され、この駆動カムの両方向への回転により、前記操作ロッドが前記駆動カム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することによって往復移動し、前記補助カムは、前記駆動カムの前記駆動カム曲線部の径大部分とほぼ同径に形成された補助カム曲線部と、前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部以外の部分と重合するように、前記補助カムと前記駆動カムとを連結する連結手段と、前記ロック体が係合するロック部と、前記連結手段の破損時に、前記進退物の後退に伴う前記駆動カムの回転方向と反対の一方向にのみ前記補助カムの回転を許容し他方向への回転を規制する回転規制手段とを有し、前記ロック体が前記ロック部に係合した状態で前記進退物が強制的に後退されることで前記連結手段が破損する異常が発生したときに、前記進退物の後退に伴って前記駆動カムのみが回転し、前記駆動カムとの連結が解除された前記補助カムの前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成して、前記進退物の再進入による前記操作ロッドの移動を阻止する構成でもよい(請求項2)。
【0022】
このように構成された発明では、進退物がスイッチ本体の操作部に押込まれるのに伴い、該進退物の一部が係合部と係合し、該係合状態のままで進退物が操作部に進入するに連れて駆動カムが一方向に回転される。この駆動カムの回転に伴い、操作ロッドがカム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することで移動し、該操作ロッドの移動に伴ってスイッチ部の開閉器が開閉する。そして、進退物が進入状態にあるときに、ロック体と補助カムが有するロック部とが係合して、駆動カムの回転がロックされる。その結果、該駆動カムと係合している進退物の後退が阻止され、該進退物を操作部から引抜くことが不可能となる。
【0023】
このように、駆動カムの回転がロックされている状態で強引に進退物を後退させて操作部から引抜こうとした場合、進退物の一部が駆動カムの係合部に係合しているため、駆動カムに強制的な回転力が加わる。ところが、補助カムのロック部にはロック体が係合したままであるため、進退物を引抜く力が大きい場合、補助カムと駆動カムとを連結している連結手段が破損する異常が発生することがある。
【0024】
そして、連結手段が破損する異常が発生したときに、進退物が後退するのに伴い、進退物の一部が駆動カムの係合部との係合状態から脱するまで駆動カムのみが回転して、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成する。このとき、補助カムは回転規制手段によって、進退物の後退に伴う駆動カムの回転方向と反対の一方向にのみ回転が許容されているため、補助カムが他方向に回転することが防止され、補助カム曲線部と駆動カム曲線部の径大部分とで形成された周面は連続した状態で維持される。したがって進退物が引抜かれた後、進退物が操作部へ再進入された場合には、操作ロッドは補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続して形成された周面を摺接するため、操作ロッドの移動が阻止される。
【0025】
このように、駆動カムの回転がロックされた状態にある安全スイッチから進退物が強引に引抜かれた場合には、駆動カムが破損するのを未然に防止して補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面が形成される。そのため、駆動カム曲線部は破損することなく正常な状態であるため、進退物の後退に伴う駆動カムの他方向への回転に伴って操作ロッドが駆動カム曲線部を径小部分から径大部分へと摺接することで移動する。したがって、進退物の強引な引抜きにも関わらず、操作ロッドが移動して開閉器の状態が正常に切り換わるので、例えば、この開閉器の開閉に基づいて進退物の引抜き(後退)を検出することができる。
【0026】
そして、進退物が引抜かれた後、進退物が操作部へ再進入された場合には、補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続して形成された周面を操作ロッドが摺接するので、該操作ロッドの移動が阻止される。したがって、連結手段が破損して、ロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生しているにも関わらず、進退物が挿入されることで安全スイッチの開閉器の開閉状態が切り換わることを防止できる。このように、例えば駆動カムが破損するのを未然に防止して進退物の引抜きを正常に検出することができるとともに、安全スイッチに異常が発生した状態で使用されるのを防止することができる。したがって、駆動カムが破損して安全スイッチが誤動作するのを未然に防止することができる。このように、進退物が所定以上の力で強引に引抜かれるという異常な操作が操作部に対して行われることによる誤動作を未然に防止できる。
【0027】
また、前記カム部材は、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記駆動カムの回転軸に回転自在に軸支された補助カムとを有し、前記駆動カムは、その外周面に係合部および駆動カム曲線部がそれぞれ形成され、前記進退物の押込みに伴い、前記進退物の一部が前記係合部に係合し、該係合状態のままで前記進退物が前記操作部に進入するに連れて一方向に回転され、前記進退物の引抜きに伴い、前記進退物が前記操作部から後退するに連れて、前記進退物の一部が前記係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転され、この駆動カムの両方向への回転により、前記操作ロッドが前記駆動カム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することによって往復移動し、前記補助カムは、前記駆動カムの前記駆動カム曲線部の径大部分とほぼ同じ形状に形成された補助カム曲線部と、前記補助カム曲線部と前記径大部分とが重合するように、前記補助カムと前記駆動カムとを連結する連結手段とを有し、前記連結手段が破損する異常が発生したときに、前記駆動カムとの連結が解除された前記補助カムが回転移動して前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成し、前記操作ロッドが前記径大部分および前記補助カム曲線部を摺接することで、前記操作ロッドの移動を阻止する構成でもよい(請求項3)。
【0028】
このように構成された発明では、進退物がスイッチ本体の操作部に押込まれるのに伴い、該進退物の一部が係合部と係合し、該係合状態のままで進退物が操作部に進入するに連れて駆動カムが一方向に回転される。この駆動カムの回転に伴い、操作ロッドが駆動カム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することによって移動し、該操作ロッドの移動に伴って、スイッチ部の開閉器が開閉する。
【0029】
また、この安全スイッチの駆動カムには、駆動カム曲線部の径大部分とほぼ同じ形状に形成された補助カム曲線部を有する補助カムが、補助カム曲線部と駆動カム曲線部の径大部分とが重合するように連結手段によって連結されている。そして、連結手段が破損する異常が発生したときには、駆動カムとの連結が解除された補助カムが回転移動して補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成する。
【0030】
そして、このようにして形成された連続する周面を操作ロッドが摺接することで、該操作ロッドの移動を阻止することができる。したがって、例えば、駆動カムの破壊強度を超える何らかの外力が加わったとしても、連結手段が破損することで補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成して操作ロッドの移動が阻止されるので、例えば駆動カムが破損することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。このように、駆動カムの破壊強度を超える何らかの外力が操作部に所定以上の操作量で加わることによる誤動作を未然に防止できる。
【0031】
また、前記連結手段は、前記補助カム曲線部の前記操作ロッドの先端が摺接する部位に設けられた連結部を有し、前記連結部と前記駆動カム曲線部の径大部分に形成された被連結部とを連結して前記補助カムと前記駆動カムとを連結し、前記連結部が破損して前記被連結部との連結状態が解除される異常が発生したときに、前記進退物が進入しても、前記補助カムとの連結が解除された前記駆動カムのみが回転し、前記補助カムの前記補助カム曲線部と前記駆動カム曲線部の径大部分とが連続する周面を形成して前記操作ロッドの移動を阻止する構成でもよい(請求項4)。
【0032】
このような構成とすれば、例えば、補助カム曲線部に設けられた連結部が操作ロッドの先端との摺接を繰り返すことにより、該連結部が磨耗して破損し、連結部と被連結部との連結状態が解除される異常が発生したときには、進退物が進入しても補助カムとの連結が解除された駆動カムのみが回転し、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成する。したがって、このようにして形成された連続した周面を操作ロッドが摺接することで、該操作ロッドの移動を阻止することができる。そのため、例えば駆動カムが磨耗したりすることで破損し、安全スイッチが誤動作することを未然に防止できる。したがって、進退物の操作部への進入、後退操作が所定の回数以上繰り返されて補助カム曲線部に設けられた連結部が操作ロッドの先端との摺接を繰り返すことにより、該連結部が磨耗して破損するという異常な操作が操作部に対して行われることによる誤動作を未然に防止できる。
【0033】
また、連結手段(連結部)、駆動カムおよび操作ロッドの硬度や厚さ、大きさ等を適切に設定することで、連結手段の耐久力(製品寿命)を任意に設定してもよい。このような構成とすれば、連結部を予め設定した使用回数(進退物の安全スイッチへの進入、後退の回数)で意図的に破損させることができる。したがって、安全スイッチを、予め設定しておいた使用回数を超えて使用した場合に、意図的に安全スイッチを使用不能にすることが可能となる。そのため、駆動カム等が不意に破損することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。
【0034】
また、前記進退物として、予め定められた正規物以外の異物が進入した場合に、前記補助カムに係合することで前記駆動カムの回転を阻止する回転阻止手段をさらに備え、前記回転阻止手段が前記補助カムに係合した状態で前記正規物以外の異物が進入することで前記連結手段が破損する異常が発生したときに、前記補助カムとの連結が解除された前記駆動カムが前記正規物以外の異物の進入に伴って回転しても、前記補助カムの前記補助カム曲線部と前記駆動カム曲線部の径大部分とが連続する周面を形成して前記操作ロッドの移動を阻止する構成でもよい(請求項5)。
【0035】
このような構成とすれば、回転阻止手段が補助カムに係合することで駆動カムの回転が阻止されている状態で、予め定められた正規物以外の異物である、例えばドライバーが強引に安全スイッチ内に挿入されることによって連結手段が破損する異常が発生したときには、ドライバーの進入に伴い補助カムとの連結が解除された駆動カムのみが回転移動して、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成する。したがって、駆動カム曲線部の径大部分に補助カム曲線部が連続して形成された周面を操作ロッドが摺接することで、該操作ロッドの移動を阻止することができる。
【0036】
そのため、予め定められた正規物(例えば専用のアクチュエータ)以外の異物が安全スイッチ内に強引に挿入されて駆動カムに破壊強度を超える力が加わったとしても、連結手段が破損することで、例えば駆動カムが破損するのを未然に防止することができ、安全スイッチが誤動作することを防止できる。したがって、正規物以外の異物が操作部に強引に挿入されて駆動カムに破壊強度を超える所定以上の力が加わるという異常な操作が行われることによる誤動作を未然に防止できる。
【0037】
また、少なくとも、前記駆動カムおよび前記補助カムは、同一のユニットケースに収容されてユニット化され前記スイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設されている構成でもよい(請求項6)。このような構成とすれば、駆動カムおよび補助カムを同一のユニットケースに収容し、ユニット化してスイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設しているため、例えば、補助カムの連結手段に異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元することができる。
【0038】
また、前記スイッチ本体は直方体状を有し、前記スイッチ本体の対向する一組の隅部の一方に進退物進入口が、他方にケーブル引き出し口がそれぞれ形成されており、前記ケーブル引き出し口からケーブルが、ほぼ前記対向する一組の隅部を結ぶ方向へ引き出されている構成でもよい(請求項7)。このような構成とすれば、進退物進入口と、ケーブル引き出し口との関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、進退物進入口が水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表、どちらの面でも配設場所へ密着させることができる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取り付けの選択範囲を広げることができる。
【0039】
また、前記開閉器が、前記スイッチ本体内において外部接続用ケーブルの端部に電気的に接続され、前記開閉器の開閉による電気信号によって前記進退物の進入、後退の状態を検出するものである構成でもよい。このような構成とすれば、開閉器の開閉による電気信号により、外部から進退物の進入、後退を検出することができる。
【0040】
また、前記スイッチ本体内に設けられた常開開閉器および外部装置の動作制御に使用される常閉開閉器を備え、前記進退物の進入に伴う前記操作ロッドの移動により、前記常開開閉器および常閉開閉器がそれぞれ開状態および閉状態となり、前記常開開閉器の開状態により、前記進退物の進入を検出するための電気信号が得られ、前記常閉開閉器の閉状態により前記外部装置を操作不能状態から操作可能状態にする構成でもよい。このような構成とすれば、進退物の進入に伴い常閉開閉器が閉状態となって、外部装置が操作不能状態から操作可能状態となる一方、常開開閉器は進退物の進入に伴って開状態となる。このように、常閉開閉器とは逆の開閉動作を行う常開開閉器の開閉状態をモニタすることにより、進退物の進入、後退に加えて、外部装置の状態を外部から確認することができる。
【発明の効果】
【0041】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、検知部が操作部への進退物の操作が所定量に達したことを検知した場合に正常な状態のカム部材のカム曲線部の形状が変化するため、カム部材等が破損した異常な状態で操作ロッドが該カム曲線部を摺接して往復移動することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止できる。
【0042】
また、請求項2に記載の発明によれば、駆動カムの回転がロックされた状態にある安全スイッチから進退物が強引に引抜かれた場合には、連結手段が破損することで、例えば駆動カムが破損するのが未然に防止されて駆動カムのみが回転移動し、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面が形成される。このとき、駆動カム曲線部は破損することなく正常な状態であるため、進退物の後退に伴う駆動カムの他方向への回転に伴って操作ロッドが駆動カム曲線部を径小部分から径大部分へと摺接して、開閉器の状態が正常に切り換わるので進退物の引抜きを検出することができる。そして、進退物が引抜かれた後、進退物が操作部へ再進入された場合には、補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続して形成された周面を操作ロッドが摺接するので、該操作ロッドの移動が阻止される。したがって、ロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生しているのにも関わらず、進退物が挿入されることによる安全スイッチの開閉器の開閉状態の切り換わりを防止することができ、安全スイッチの誤動作を未然に防止することができ、安全を確保することができる。
【0043】
また、請求項3に記載の発明によれば、連結手段が破損する異常が発生したときには、補助カム曲線部と駆動カム曲線部の径大部分とが重合するように連結されていた補助カムが回転移動して、補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成する。したがって、駆動カム曲線部の径大部分に補助カム曲線部が連続して形成された周面を操作ロッドが摺接することで、該操作ロッドの移動を阻止することができるので、例えば駆動カムが破損することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。
【0044】
また、請求項4に記載の発明によれば、例えば、補助カム曲線部に設けられた連結部が操作ロッドの先端との摺接を繰り返すことで、該連結部が磨耗して破損してしまい被連結部との連結状態が解除される異常が発生したときには、進退物が進入しても補助カムとの連結が解除された駆動カムのみが回転し、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成するため、操作ロッドの移動を阻止することができる。したがって、例えば駆動カムの磨耗が生じ、安全スイッチが誤動作することを未然に防止することができる。
【0045】
また、請求項5に記載の発明によれば、回転阻止手段が補助カムに係合することで駆動カムの回転が阻止されている状態で、正規物以外のドライバー等の異物が強引に安全スイッチ内に挿入されることによって連結手段が破損する異常が発生したときには、補助カムとの連結が解除された駆動カムのみが回転移動して補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成するため、操作ロッドの移動を阻止することができる。したがって、正規物(例えば専用のアクチュエータ)以外の異物が安全スイッチ内に強引に挿入されて駆動カムに破壊強度を超える力が加わったとしても、連結手段が破損することで、例えば駆動カムが破損するのを未然に防止することができ、安全スイッチの誤動作を防止することができる。
【0046】
また、請求項6に記載の発明によれば、駆動カムおよび補助カムを同一のユニットケースに収容し、ユニット化してスイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設しているため、例えば、補助カムの連結手段に異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元することができる。
【0047】
請求項7に記載の発明によれば、進退物進入口と、ケーブル引き出し口との関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、進退物進入口を水平/垂直向きのどちらにでも、また、安全スイッチを配設場所に裏表、どちらの面でも密着して配設することもできる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取り付けの選択範囲を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1ないし図10を参照して説明する。図1ないし図3はスイッチ本体の断面図、図4は駆動カムの拡大図、図5および図6は図1のA−A線矢視断面図であってそれぞれ異なる状態を示す図、図7はスイッチ本体の断面図、図8は駆動カムの拡大図、図9はカムユニットケースを示す図、図10は安全スイッチの外観図である。
【0049】
本発明における安全スイッチは、外部装置であるロボット等の産業機械等にケーブルを介して電気的に接続されるスイッチであり、図1に示すように、スイッチ本体1と、アクチュエータ3とにより構成される。
【0050】
このとき、スイッチ本体1は、操作部5とスイッチ部7とロック機構部8とからなり、図示を省略する産業機械の防護扉周縁の壁面に固着される。また、アクチュエータ(本発明の「進退物」、「正規物」に相当)3は防護扉に固着され、その位置は操作部5の側面に形成されたアクチュエータ進入口9aに対向する位置であり、防護扉を閉鎖した状態のときに操作部5のアクチュエータ進入口(本発明の「進退物進入口」に相当)9a内に進入する。なお、アクチュエータ3は、図1に示すように、基部3aと、この基部3aから突出する一対の押圧片3bと、これら両押圧片3bを互いに連結する連結片3cとから構成されている。このとき、幅が大きく厚みの薄い平板状のアクチュエータの押圧片と比べ、両押圧片3bは幅が小さく厚みのある形状を有し、連結片3cを通る断面がコ字状を成している。
【0051】
スイッチ本体1の左上部に配設された操作部5は、図1ないし図6に示すように、ケース部材11と、回転軸13がこのケース部材11の内面に枢支されて回転自在に支持された駆動カム151と、後述するように、駆動カム151に形成された切込151h内に駆動カム151の回転軸に回転自在に設けられた補助カム161と、補助カム161と同様に駆動カム151の両側で駆動カム151の回転軸13と同軸に駆動カム151とは連動せずに回転自在に設けられた一対の中間部材17と、駆動カム151の回転を阻止する一対の回転阻止部材19とを備えている。なお、図1ないし図3、図9に示す駆動カム151は、図4に示す駆動カム151の回転軸13にほぼ直交する平面での断面図であり、図7および図8(b)に示す駆動カム151は図8(a)に示す駆動カム151の回転軸13にほぼ直交する平面での断面図である。
【0052】
この駆動カム151の上部外周面には、アクチュエータ3の連結片3cが嵌挿する係合部151aが、上記したアクチュエータ進入口9aから覗く位置に形成されている。また、駆動カム151の下部外周面には駆動カム曲線部151cが形成されており、操作部5の下方に位置するスイッチ部7から先端部分が出退自在に操作部5内に突出する操作ロッド21の半球状の先端が駆動カム151の駆動カム曲線部151cを摺接する。そして、駆動カム151の回転に伴って操作ロッド21が進入、後退して往復移動すると、スイッチ部7に内蔵されている開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換えられる。
【0053】
また、図4および図8(a)に示すように、この駆動カム151には、周面に深い溝状の切込151hが形成され、この切込151h内に補助カム161が回転軸13を回転の中心軸として回転自在に配設されている。さらに、この切込151hに、後述するロック機構部8のロック体80が係合するロック部161dがその一部に形成された補助カム161が、回転自在に駆動カム151の周面の一部をなすように装着されている。
【0054】
また、補助カム161には、駆動カム曲線部151cの径大部分とほぼ同径の補助カム曲線部161aが形成されている。そして、補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151c以外の部分と重合するように、駆動カム151に形成された連結溝151eに連結部材161bの連結ピン161b1が挿通されることで、補助カム161は駆動カム151に対して回転不能に固定されている。その結果、この回転不能に固定された状態で、補助カム161のロック部161dが駆動カム151の周面に露呈して、ロック体80が当該ロック部161dに係合することで補助カム161に連結された駆動カム151の回転がロックされる。このように、連結部材161bが本発明の「連結手段」として機能している。
【0055】
また、補助カム161には、後述するように補助カム161と駆動カム151とを回転不能に固定している連結部材161b(連結ピン161b1)が破損したときに、アクチュエータ3の後退に伴う駆動カム151の回転方向(反時計方向)と反対の一方向(時計方向)にのみ補助カム161の回転を許容し、他方向への補助カム161の回転を規制する係合爪161cが設けられている。そして、この係合爪161cが駆動カム151の周面のうち、駆動カム曲線部151cの径小部の右上方部分に係合することで補助カム161の他方向への回転が規制される(図8参照)。このように、係合爪161cが本発明の「回転規制手段」として機能している。なお、本実施形態では、駆動カム151に切込151hを形成して、この切込151hに補助カム161を配設しているが、同形の駆動カム2枚によって補助カム161を挟持する構成としてもよいことは言うまでもない。
【0056】
また、駆動カム151の周面であって駆動カム曲線部151cの左端側には、係止部151dが形成されている。そして、図1および図5に示すように、この係止部151dに両回転阻止部材19が当接して駆動カム151を係止することにより、駆動カム151の回転が阻止されている。
【0057】
また、両中間部材17の外周面には、アクチュエータ3の押圧片3bの先端部分が当接する当接部が挿入孔9aから覗く位置に形成されており、アクチュエータ3の進入に伴って押圧片3bの先端により当接部が押圧されると、両中間部材17が図1の紙面に向かって時計回り方向に回転して初期位置である第1の位置から、両回転阻止部材19をそれぞれ回転阻止解除位置へと移動させる第2の位置へと変位する。
【0058】
そして、両中間部材17は、第2の位置で両回転阻止部材19それぞれを後述するように、図5に示す回転阻止位置から図6に示す回転阻止解除位置へと移動させる。また、図5に示すように、これら両中間部材17の外側面下部には、中間部材17の厚みが次第に薄くなるような円弧状の傾斜面17cが形成されており、後述する回転阻止部材19の板状部27の端部27aと摺接している。
【0059】
さらに、回転軸13の両端部には、一対のねじりバネ23がそれぞれ巻回され、両ねじりバネ23の一端部が両中間部材17の外側面に、他端部がケース部材11の内面にそれぞれ固定され、両ねじりバネ23によって、両中間部材17は常時第2の位置から第1の位置へと付勢されている。
【0060】
両回転阻止部材19は、図5に示すように、駆動カム151の係止部151dと係合する円筒部25と、この円筒部25の外側面に設けられた板状部27とから構成され、駆動カム151の係止部151dの近傍に回転軸13に平行に軸部材29が設けられ、この軸部材29に両回転阻止部材19が軸方向に移動自在に支持されている。また、軸部材29の両端部に一対のコイルバネ31が巻回され、両回転阻止部材19の円筒部25が互いに突き合わされる方向に両回転阻止部材19が付勢され、両コイルバネ31により、両回転阻止部材19が後述する回転阻止解除位置から回転阻止位置へと付勢されている。
【0061】
そして、図5に示すように、両回転阻止部材19が、互いにその板状部27と反対側面である円筒部25の側面同士を突き合わせた状態の回転阻止位置にあるときには、両回転阻止部材19の円筒部25の周面が、駆動カム151の係止部151dに当接して係合し、た駆動カム151が回転しないように駆動カム151の回転を阻止する。
【0062】
一方、図6に示すように、両回転阻止部材19が、互いに離間してケース部材11の内面に接近する方向に移動し、両回転阻止部材19の円筒部25と係止部151dとの係合状態が解除された回転阻止解除位置にある場合には、駆動カム151の回転阻止状態が解除され、駆動カム151は回転可能な状態となる。ここで、各回転阻止部材19それぞれが回転阻止位置から回転阻止解除位置に移動するときの移動量は、図5に示すように、両回転阻止部材19の円筒部25それぞれと係止部151dとが当接している回転軸13方向における長さLより若干長い距離Lt(>L)となっており、両回転阻止部材19それぞれは、両コイルバネ31の付勢力によって、この距離以上ケース部材11の内面に接近する方向に移動しないようになっている。
【0063】
さらに、図5に示すように、両回転阻止部材19の板状部27の端部27aは円弧状に形成されており、両回転阻止部材19の端部27aそれぞれが、上記した両中間部材17の傾斜面17cそれぞれと摺接するようになっている。
【0064】
次に、スイッチ部7について説明する。このスイッチ部7は、図1に示すように、ケース部材11と一体となって直方体状のスイッチ本体1を形成するケース部材33の内部であって操作部5の下方に配設され、開閉器が内蔵された開閉器部70と、上記した操作ロッド21とから構成されている。また、このケース部材33に、操作部5側のケース部材11が着脱自在に取り付けられるように構成されている。そして、アクチュエータ進入口9aが形成されたケース部材11側の隅部に対向するケース部材33側の隅部には、外部接続用ケーブルのケーブル引き出し口33aが形成されている。また、図1に示すように、ケース部材33の外面には、スイッチ本体1を産業機械の防護扉周縁の壁面に取り付けるためのボルトが挿入される一対の取付孔33bが形成されている。
【0065】
ところで、開閉器部70には、操作ロッド21の他端部に接し操作ロッド21と一体となって移動する可動部材37と、この可動部材37に連動して開閉する第1および第2常閉開閉器39,40とを備えている。各常閉開閉器39,40は、それぞれ可動接点39a,40aと固定接点39b,40bとからなり、各可動接点39a,40aは可動部材37に固定され、各固定接点39b,40bは開閉器部70に配設された枠部材43に固定されている。ここで、各常閉開閉器39,40のうち、例えば、常閉開閉器39は産業機械への電源供給及び遮断用であり、後述するロック機構部8に配設された常閉開閉器と直列に接続されている。また、常閉開閉器40はこれら電源供給及び遮断用の開閉器の開閉状態のモニタ用である。
【0066】
そして、可動部材37は、板状の基板部45と、この基板部45の一方面(図1の表面側)の両端に立設される第1取付部53および第2取付部54とから構成されており、その一端側が操作ロッド21の他端と当接するとともに、その他端側にコイルバネ(図示省略)が取り付けられ、コイルバネによって可動部材37が操作部5の方向、すなわち上方に付勢されている。また、各取付部53,54には、一対の突起53a,53b,54a,54bがそれぞれ可動部材37の長手方向に互いに対向して設けられている。
【0067】
そして、第1,2常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aが、一方の突起53a,54aの根元部それぞれに着脱自在に取り付けられるとともに、各対の突起53a,53b,54a,54bにぞれぞれ外嵌されたバネ(図示省略)によって、各可動接点39a,40aが各取付部53,54に押し付けられて固定されており、これらのバネにより、特に図2に示されるように、各可動接点39a,40aそれぞれと各固定接点39b,40bそれぞれとの間の接触力が発生されている。
【0068】
ここで、ケース部材33には、産業機械と電気的に接続されるケーブル(図示省略)が装着されており、開閉器部70の内部においてケーブルと各常閉開閉器39,40とが電気的に接続され、各常閉開閉器39,40が開閉することによる電気信号によって、アクチュエータ3の操作部5への進入、後退の検出および産業機械への電源供給及び電源供給の遮断が行われるようになっている。
【0069】
ところで、第2常閉開閉器40の固定接点40bは、図1に示すように、開閉器部70の枠部材43に形成された常閉開閉器用取付部43aに着脱自在に取り付けられ、可動接点40aとともにその取り付け位置および取り付け状態を変更可能に取り付けられており、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換えることができるようになっている。
【0070】
すなわち、枠部材43には、上記した常閉開閉器用取付部43aに加え、固定接点40bが着脱自在に取り付けられる常開開閉器用取付部43bが形成されており、第2常閉開閉器40の可動接点40aを一方の突起54aから取り外して他方の突起54b側に取り付けるとともに、固定接点40bを常閉開閉器用取付部43aから取り外して常開開閉器用取付部43bに取り付けることにより、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換えることができる。こうすることで、この常開開閉器は、第1常閉開閉器39と逆の開閉動作を行うため、第2常閉開閉器40の場合とは異なる動作のモニタ用開閉器として用いることができ、用途に応じて常閉と常開の選択を行うことができる。
【0071】
なお、アクチュエータ3が進入していない図1の状態では、操作ロッド21はコイルバネに抗して駆動カム151のカム曲線部151cの径大部分により押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態にあり、操作ロッド21により可動部材37が押し込まれている。これによって、各常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aおよび固定接点39b,40bが離間し、各常閉開閉器39,40が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。
【0072】
次に、ロック機構部8について説明する。このロック機構部8は、図1に示すように、ケース部材33の内部であって操作部5の右方に配設され、上記したロック体80とロック体80を移動させる駆動部81とを有するロック機構8aと、常開および常閉開閉器が内蔵されたロック開閉器部8bと、手動ロック解除機構8cとから構成されている。
【0073】
ロック機構8aを構成するロック体80は図1に示すアンロック位置と、図2に示すロック位置との間を、駆動カム151の回転軸13に対してほぼ直交方向に移動自在にロック体支持部801に支持されている。また、ロック体80の先端部80aの外径は基部80bの外径よりも小さく構成されるとともに、楕円形もしくは板状に形成されており、後述するように上記した連結部材161bが破損した場合には駆動カム151の切込151hに進入可能に構成されている。そして、ロック体80がロック位置に移動した際、先端部80aが補助カム161のロック部161dと係合することによって、補助カム161に連結された駆動カム151の回転をロックする。一方、ロック体80がアンロック位置に移動した際、先端部80aとロック部161dとの係合が解除され、駆動カム151が回転可能な状態となる。
【0074】
また、駆動部81は、コアにコイルが巻回されてなり、通電により発生した電磁的吸引力によって略L字形の鉄等の磁性材料からなる作動体81bが変位するヒンジ型電磁石81aと、作動体81bを左方に付勢する板バネからなる復帰バネ81cと、作動体81bの変位をロック体80へ伝達するリンク体81dとで構成されている。ヒンジ型電磁石81aは、その中心軸方向がロック体80の移動方向に対してほぼ直交して配設されており、ロック開閉器部8bのケース82に支持されている。また、図1に示すように、ヒンジ型電磁石81aとケース82との間には隙間83が生じるように、ヒンジ型電磁石81aはケース82に支持されており、隙間83に作動体81bと復帰バネ81cとが配設されている。
【0075】
作動体81bは、その屈曲部81b1が鈍角となるように構成された略L字形の部材であって、屈曲部81b1部分を揺動の中心軸として揺動自在に隙間83内に配設されている。また、復帰バネ81cは、隙間83内であって、作動体81bの右方に、その付勢力が左方を向くように配設されている。また、作動体81bの上端部81b2にはリンク体81dが連結されており、リンク体81dにロック体80が軸支されている。
【0076】
したがって、図2に示すように、ヒンジ型電磁石81aが通電遮断されていれば、作動体81bは復帰バネ81cによって左方に付勢され、上端部81b2は屈曲部81b1部分を揺動の中心軸として左方に移動する。そして、上端部81b2が左方に移動するのに伴い、上端部81b2に連結されているリンク体81dが左方に移動して、リンク体81dに軸支されているロック体80が図2中の矢印方向、すなわちロック位置へと移動する。
【0077】
一方、図3に示すように、ヒンジ型電磁石81aが通電されていれば、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aへ吸引される。その結果、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ、屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動する。そして、上端部81b2が右方に移動するのに伴い、上端部81b2に連結されているリンク体81dが右方に移動して、リンク体81dに軸支されているロック体80が図3中の矢印方向、すなわちアンロック位置へと移動する。
【0078】
また、ロック開閉器部8bのケース82内には常開および常閉開閉器が配設されている(図示省略)。これら、常開および常閉開閉器のうちの可動接点を有する端子板はそれぞれ、上記したリンク体81dに支持されている。したがって、これらの可動接点はリンク体81dの動きに連動して、それぞれ同じ方向に移動することとなる。この実施形態では、リンク体81dが左方に移動した場合、すなわち、ロック体80がロック位置へ移動した場合、常開および常閉開閉器は、それぞれ開および閉状態となり、リンク体81dが右方へ移動した場合、すなわち、ロック体80がアンロック位置へ移動した場合、常開および常閉開閉器は、それぞれが閉および開状態となるように構成されている。また、上記したように、例えば、ケース82内の常閉開閉器と、開閉器部70に配設された開閉器のうち、産業機械と接続されている常閉開閉器39とが直列に接続されている。また、これらの常開開閉器の電気信号をモニタすることによって、ロック体80の動作を検出することができる。
【0079】
また、手動ロック解除機構8cは凸部84aを有する解除カム84を備えている。図2に示すように、ロック体80がロック位置へ移動して、ロック体80とロック部161dとが係合状態にある場合に、スイッチ本体1の外部から、解除キー等によって解除カム84を時計回りに回転させることによって、ロック状態を解除することができる。すなわち、解除カム84を時計方向に回転させることによって、凸部84aがリンク体81dと摺接しつつ、リンク体81dを右方へ移動させることができる。その結果、リンク体81dが右方へ移動するのに伴い、リンク体81dに軸支されているロック体80も連動して右方へ移動し、ロック体80とロック部161dとの係合状態が解除され、駆動カム151を回転可能な状態とすることができる。
【0080】
続いて、上記のように構成された安全スイッチの動作について図1ないし3、5、6を参照して説明する。図1に示すように、アクチュエータ3がスイッチ本体1の操作部5に進入していない場合、操作ロッド21はコイルバネに抗して駆動カム151のカム曲線部151cの径大部分により押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態にあり、操作ロッド21により可動部材37が押し込まれている。これによって、各常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aおよび固定接点39b,40bが離間し、各常閉開閉器39,40が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。また、ロック体80は復帰バネ81cに抗して駆動カム151の外周部により押圧されてアンロック位置へと移動しており、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器は、それぞれ閉および開状態となっている。
【0081】
次に、図1および図5に示す初期状態から防護扉等を閉じることによって、アクチュエータ3が操作部5に進入すると、図6に示すように、アクチュエータ3の押圧片3bにより両中間部材17の当接部が押圧され、両中間部材17が図1紙面に向って時計回り方向に回転し、初期位置である第1の位置から第2の位置へ変位する。このとき、両中間部材17の傾斜面17cが、両回転阻止部材19の端部27aにそれぞれ摺接し、これにより、円筒部25同士が突き合わされた状態にあった両回転阻止部材19がコイルバネ31に抗して押し広げられ、両回転阻止部材19は回転阻止解除位置へ移動する。その結果、両回転阻止部材19の円筒部25と、駆動カム151の係止部151dとの係合状態が解除され、駆動カム151は回転可能な状態となる。
【0082】
この状態から、さらにアクチュエータ3が進入すると、図2に示すようにアクチュエータ3の連結片3cが駆動カム151の係合部151aと係合し、アクチュエータ3が進入するに連れて駆動カム151が時計方向(一方向)に回転される。駆動カム151が回転するのに伴い、操作ロッド21の先端がカム曲線部151cの径大部分から径小部分へと摺接しつつ、操作ロッド21がコイルバネの付勢力によって上方に移動する。操作ロッド21が上方に移動するのに伴って、常閉開閉器39,40が開状態から閉状態となる。
【0083】
また、駆動カム151の回転に伴い、ロック部161dがロック体80と対向する位置に移動することによって、復帰バネ81cの付勢力によってロック体80が左方に移動して、ロック部161dとロック体80の先端部80aとが係合状態となり、駆動カム151の回転がロックされてアクチュエータ3の引抜きが阻止された状態となる(図2参照)。また、ロック体80がロック位置へ移動することによって、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器は、それぞれ開および閉状態へと切り換わる。したがって、ロック開閉器部8bの常閉開閉器および第1常閉開閉器39が同時に閉状態となるため、これらの常閉開閉器に直列に接続されているロボット等の産業機械に電源が供給され、産業機械が操作可能な状態となる。
【0084】
続いて、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、図3に示すように、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aに向って吸引される。そのため、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動するため、ロック体80が右方のアンロック位置へと移動する。したがって、ロック体80とロック部161dとの係合状態が解除されるため、駆動カム151の回転のロック状態が解除され、アクチュエータ3が後退可能になり、防護扉等を開放する事が可能な状態となる。
【0085】
また、ロック体80がアンロック位置へと移動するのに伴い、ロック開閉器部8bの常閉開閉器および常開開閉器が、それぞれ開および閉状態に切り換わり、その結果、ロック開閉器部8bの常閉開閉器および第1常開開閉器39と直列に接続されている産業機械の電源が遮断され、産業機械は動作不可能な状態となるともに、ロック開閉器部8bの常開開閉器を流れる電気信号によってアンロック状態であることが検出される。
【0086】
このアンロック状態で、防護扉等が開放されることにより、進入状態のアクチュエータ3が引抜かれると、アクチュエータ3の連結片3cと駆動カム151の係合部151aとの係合状態が解除されるまで駆動カム151がアクチュエータ3の引抜き方向に回転する。この駆動カム151の回転に伴って、操作ロッド21が駆動カム曲線部151cの径小部から径大部へと摺接することでスイッチ部7の方向へ押し込まれて各常閉接点39,40が開状態になり、産業機械は操作不能な状態となる。
【0087】
このとき、両中間部材17が、アクチュエータ3の後退に伴って両ねじりバネ23それぞれにより付勢されて回転し、両中間部材17は上記した第2の位置から第1の位置に変位する。そして、両中間部材17の第1の位置への変位に伴って、両中間部材17の傾斜面17cが両回転阻止部材19の端部27aを進入時とは逆方向にぞれぞれ摺接し、両回転阻止部材19が両コイルバネ31の付勢力によって回転阻止解除位置から回転阻止位置へ移動し、図5に示すように両回転阻止部材1の円筒部25が駆動カム151の係止部151dに係合して、駆動カム151の回転が阻止される。このとき、両回転阻止部材19の円筒部25は互いに突き合わされた状態に復帰する。
【0088】
続いて、図2に示すように駆動カム151の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を後退させて操作部5から引抜こうとした場合について図7および図8を参照して説明する。駆動カム151の回転がロック体80によりロックされた状態でアクチュエータ3を強引に後退させると、アクチュエータ3の連結片3cが駆動カム151の係合部151aに係合しているため、駆動カム151に強制的な回転力が加わる。このとき、補助カム161のロック部161dにはロック体80が係合したままであるため、アクチュエータ3を引抜く力は、駆動カム151を係止しているロック体80とロック部161dとの係合部分に集中する。
【0089】
そして、アクチュエータ3をスイッチ本体1から強引に引抜くと、この実施形態では、連結部材161bの破壊強度をロック体80および駆動カム151の破壊強度よりも低くなるように構成しているため、図7および図8(a)に示すように、破壊強度の低い連結部材161bの連結ピン161b1がロック体80および駆動カム151よりも先に破損する。そして、連結部材161bが脱落して駆動カム151が補助カム161に対して反時計回りに回転可能な状態となる。
【0090】
そして、アクチュエータ3の引抜きに伴い、駆動カム151は反時計方向(他方向)へ回転して操作ロッド21が駆動カム151の駆動カム曲線151cの径小部分から径大部分へと摺接して下動し、開閉器部70の開閉器の開閉状態が正常に切り換わって産業機械への電源が確実に遮断される。
【0091】
一方、図7および図8(a)に示すように、連結部材161bが破損して駆動カム151と補助カム161とが連結できない異常が発生したときに、アクチュエータ3の後退に伴って駆動カム151のみが回転する。そして、駆動カム151との連結が解除された補助カム161の補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151cの径大部分に連続する周面を形成するとともに、係合爪161cが駆動カム151に係合することによって、補助カム161の駆動カム151に対する回転が規制される。
【0092】
その結果、図8(b)に示すように、防護扉等を開放することによってアクチュエータ3が強引に引抜かれた後、再び、防護扉等が閉じられることによってアクチュエータ3が操作部5に再進入したとしても、操作ロッド21が補助カム161の補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151cの径大部分に連続して形成された周面を摺接することで操作ロッド21の移動が阻止される。このように、駆動カム151および補助カム161により本発明の「カム部材」が構成されている。
【0093】
以上のように、この実施形態では、駆動カム151の回転がロックされた状態にある安全スイッチからアクチュエータ3が強引に引抜かれた場合には、連結部材161bが破損することにより駆動カム151の破損が未然に防止されて駆動カム151のみが回転移動し、補助カム161の補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151cの径大部分に連続する周面が形成される。このとき、駆動カム曲線部151cは破損することなく正常な状態であるため、アクチュエータ3の後退に伴う駆動カム151の他方向への回転に伴って操作ロッド21が駆動カム曲線部151cを径小部分から径大部分へと摺接して、スイッチ部の開閉器の状態が正常に切り換わるのでアクチュエータ3の引抜きを検出することができる。
【0094】
そして、アクチュエータ3が引抜かれた後、アクチュエータ3が操作部5へ再進入された場合には、補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151cの径大部分に連続して形成された周面を操作ロッド21が摺接するので、操作ロッド21の移動が阻止される。したがって、ロック機構8aが駆動カム151をロックできない異常が発生しているにも関わらず、アクチュエータ3が挿入されることで安全スイッチの開閉器の開閉状態が切り換わることを防止でき、安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。このように、アクチュエータ3が所定以上の力で強引に引抜かれるという異常な操作が操作部5に対して行われることによる誤動作を未然に防止できる。
【0095】
また、この実施形態では、ヒンジ型電磁石81aをそのコア(中心軸)の方向がロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動方向にほぼ直交するように配設し、ヒンジ型電磁石81aへの通電により発生した電磁的吸引力が働く方向を、作動体81bおよびリンク体81dを介して偏向してロック体80に伝達することによって、ロック体80を移動させているため、例えば、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、安全スイッチ全体の薄型化、小型化を図ることができる。
【0096】
また、この実施形態では、図9に示すように、ケース部材11をカムユニットケース5aとして、補助カム161と一体的に連結された駆動カム151をカムユニットケース5aに収容し、ユニット化してスイッチ本体1に対して組み込み・取り外し自在に配設する構成としている。したがって、例えば、連結部材161bが破損する異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチ1を復元することができる。
【0097】
また、この実施形態では、スイッチ本体1は直方体状を有し、スイッチ本体1の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口9aが、他方にケーブル引き出し口33aがそれぞれ形成されている。このため、図10に示すように、アクチュエータ進入口9aと、ケーブル引き出し口33aとの関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ、アクチュエータ進入口9aが水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表、どちらの面でも配設場所へ密着させることができる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取り付けの選択範囲を広げることができる。
【0098】
また、このような構成とすれば、安全スイッチの取り付けの自由度が増すことによって、従来のようにアクチュエータ進入口を2つ設けなくてもよいため、未使用の側のアクチュエータ進入口からゴミ等が進入することによって安全スイッチが故障するのを防止することができ、安全スイッチの耐久性の向上も図ることができる。なお、図10(a)は安全スイッチの表面を上側にした図、図10(b)は安全スイッチの裏面を上側にした図である。
【0099】
また、この実施形態では、開閉器部70に配設された常閉開閉器39,40の開閉による電気信号によってアクチュエータ3の操作部5内への進入、後退の状態を検出しているため、常閉開閉器39,40の開閉による電気信号により、外部からアクチュエータ3の進入、後退を検出することができる。
【0100】
また、この実施形態では、2個の常閉開閉器39,40を用い、その開閉動作により産業機械への電源供給及び供給遮断を行っているため、例えば、常閉開閉器39,40が閉状態となって、産業機械への電源供給が行われている際に、常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aと固定接点39b,40bとが溶着した場合であっても、アクチュエータ3が後退し、操作ロッド21によって可動部材37が押し込まれることにより、溶着した可動接点39a,40bと固定接点39b,40bとを強制的に開離することができ、安全スイッチの信頼性を向上することができる。
【0101】
また、補助カム161に係合爪161cを形成し、係合爪161cが駆動カム151に係合することによって、補助カム161の駆動カム151に対する回転を規制しているので、新たに部品を追加することなく補助カム161の回転を規制することができるため、部品点数を少なくすることができる。したがって、安全スイッチの組立てを容易に行うことができる。
【0102】
<第2実施形態>
続いて、本発明にかかる本発明にかかる安全スイッチの第2実施形態について図11ないし図16を参照して説明する。この第2実施形態が、上記第1実施形態と相違する点は、ロック体が係合するロック部が駆動カムに設けられ、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に重合するように駆動カムに連結されている点である。その他の構成および動作は上記第1実施形態と同様であるため、以下では図1ないし図6も参照しつつ主として第1実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
【0103】
図11および図12は正常な状態の状態の駆動カムを示す図であり、図13および図14は図11中のB−B線矢視断面図であってそれぞれ異なる状態を示し、図15および図16は補助カムと駆動カムとの連結が解除される異常が発生した状態の駆動カムを示す図である。なお、図11および図15に示す駆動カムは、それぞれ図12および図16に示す駆動カムの回転軸13にほぼ直交する平面での断面図である。
【0104】
なお、スイッチ本体1の左上部に配設された操作部5のケース部材11の内部には、図11ないし図16に示すように、回転軸13がこのケース部材11の内面に枢支されて回転自在に支持された駆動カム15と、この駆動カム15の両側で駆動カム15の回転軸に回転自在に設けられた一対の補助カム16と、補助カム16と同様に駆動カム15の両側で駆動カム15の回転軸13と同軸に駆動カム15とは連動せずに回転自在に設けられた一対の中間部材17と、駆動カム15の回転を阻止する一対の回転阻止部材19とが配設されている。
【0105】
図11および図12に示すように、この駆動カム15の上部外周面には、アクチュエータ3の連結片3cが嵌挿する係合部15aが形成されるとともに、駆動カム15の上部外周面で係合部15aの右寄りにロック体80が係合するロック部15bが形成されている。また、駆動カム15の下部外周面には、操作ロッド21の半球状の先端が摺接する駆動カム曲線部15cが形成されている。そして、上記第1実施形態と同様に、駆動カム15の回転に伴って操作ロッド21が駆動カム曲線部15cを摺接して往復移動すると、スイッチ部7に内蔵されている開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換えられる。
【0106】
また、両補助カム16は、それぞれ、駆動カム曲線部15cとほぼ同じ形状に形成された補助カム曲線部16aと、両補助カム16の補助カム曲線部16aの操作ロッド21が摺接する部位を橋絡するように形成された連結部16bとを有している(図12参照)。そして、図11および図12に示すように両補助カム16で駆動カム15を挟持する状態で、この連結部16bが、駆動カム曲線部15c部の径大部分に形成された被連結部15d(図15,16参照)に嵌合することで、補助カム曲線部16aと駆動カム曲線部15cの径大部分とが重合するように補助カム16と駆動カム15とが連結されている。このように、この実施形態では連結部16bが本発明の「連結手段」として機能している。
【0107】
また、両補助カム16は、それぞれ、上記した連結部16bが破損して被連結部15dとの連結状態が解除される異常が発生したときに、駆動カム15に対して、アクチュエータ3の進入に伴う駆動カム15の回転方向(時計方向)と反対の方向(反時計方向)にのみ、それぞれの補助カム16の回転を許容し、時計回り方向への補助カム16の回転を規制する係合爪16cが設けられている。そして、図15および図16に示すように、係合爪16cが駆動カム曲線部15cの径小部分に係合することで、駆動カム15に対して補助カム16の時計回り方向への回転が規制される。
【0108】
さらに、両補助カム16の周面であって補助カム曲線部16aの左端側には、係止部16dがそれぞれ形成されている。そして、この実施形態では、図11および図13に示すように、この係止部16dに両回転阻止部材19が当接して補助カム16を係止することにより、これらの補助カム16と連結された駆動カム15の回転が阻止されている。
【0109】
一方、図14に示すように、両回転阻止部材19が、互いに離間してケース部材11の内面に接近する方向に移動し、両回転阻止部材19の円筒部25と係止部16dとの係合状態が解除された回転阻止解除位置にある場合には、駆動カム15の回転阻止状態が解除され、駆動カム15は回転可能な状態となる。
【0110】
この実施形態では、上記第1実施形態と同様に、正規物である専用のアクチュエータ3が操作部5内に進入することで回転阻止部材19が図13に示す状態から図14に示す状態へと移行し、駆動カム15が回転可能な状態となる。さらにアクチュエータ3が操作部5内に進入するに連れて、駆動カム15が回転して操作ロッド21が駆動カム曲線部15cを径大部から径小部へと摺接しつつ上動し、開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換わる。このように、回転阻止部材19が本発明の「回転阻止手段」として機能している。
【0111】
そして、ロック体80がロック部15bに係合して、駆動カム15の回転がロックされ、アクチュエータ3の引抜きが防止される。また、ヒンジ型電磁石81aへの通電によってロック体80をアンロック位置へ移動させた後、アクチュエータ3の引抜きに伴い、駆動カム15が反時計方向に回転して操作ロッド21が駆動カム151のカム曲線部151cの径小部から径大部へと摺接する。その結果、操作ロッド21が下動して開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換わる。
【0112】
ところで、操作部5内へのアクチュエータの進入、後退のが繰り返しにより、補助カム曲線部16aに設けられた連結部16bと操作ロッド21の先端との摺接が繰り返され、その結果、連結部16bが磨耗して破損し、被連結部15dとの連結状態が解除される異常が発生した場合について、図15および図16を参照して説明する。
【0113】
図15および図16に示すように、連結部16bが破損して被連結部15dとの連結状態が解除される異常が発生したときには、アクチュエータ3が進入しても補助カム16との連結が解除された駆動カム15のみが回転し、補助カム16の補助カム曲線部16aが駆動カム曲線部15cの径大部分に連続する周面を形成する。また、同図に示すように、上記した補助カム16の回転を規制する係合爪16cが駆動カム曲線部15cの径小部分に係合することで、駆動カム15に対して補助カム16の時計回り方向への回転が規制される。したがって、このようにして形成された連続した周面を操作ロッド21が摺接することで、操作ロッド21の移動を阻止して、スイッチ部7の開閉器の状態が切り換わってしまい産業機械に電源が供給されてしまうのが阻止される。
【0114】
続いて、図13に示すように回転阻止部材19によって、専用のアクチュエータ3以外での駆動カム15の回転が阻止されている安全スイッチ内に、アクチュエータ3以外の異物である、例えばドライバー(本発明の「正規物以外の異物」に相当)が強引に挿入された場合について説明する。このようにアクチュエータ3以外の異物が安全スイッチに内に強引に挿入された場合、中間部材17が第2の位置に移動しないため、回転阻止部材19が図14に示す回転阻止解除位置まで移動しない。
【0115】
したがって、異物が強引に安全スイッチ内に挿入された場合、回転阻止部材19が補助カム16に係合しているため、異物が強引に挿入されることによる駆動カム15を回転させようとする力が、補助カム16と駆動カム15とを連結している連結部16bに加わることとなる。そのため、連結部16bの破壊強度を超える力が加えられることで連結部16bが破損する異常が発生したときには、異物の進入に伴い補助カム16との連結が解除された駆動カム15のみが回転移動して、補助カム16の補助カム曲線部16aが駆動カム曲線部15cの径大部分に連続する周面を形成する。
【0116】
したがって、駆動カム曲線部15cの径大部分に補助カム曲線部16aが連続して形成された周面を操作ロッド21が摺接することにより、操作ロッド21の移動を阻止できるため、スイッチ部7の開閉器の状態が切り換わって産業機械に誤って電源が供給されることが阻止される。このように、駆動カム15および補助カム16により本発明の「カム部材」が構成されている。
【0117】
以上のように、この実施形態では、連結部16bが破損する異常が発生したときには、補助カム曲線部16aと駆動カム曲線部15cの径大部分とが重合するように連結されていた補助カム16が回転移動して、補助カム曲線部16aが駆動カム曲線部15cの径大部分に連続する周面を形成する。したがって、駆動カム曲線部15cの径大部分に補助カム曲線部16aが連続して形成された周面を操作ロッド21が摺接することで、操作ロッド21の移動を阻止することができるので、駆動カム15が破損することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。
【0118】
また、この実施形態では、回転阻止部材19が補助カム16の係止部16dに係合することで駆動カム15の回転が阻止されている状態で、例えば、ドライバーが強引に安全スイッチ内に挿入されることによって連結部16bが破損する異常が発生したときには、補助カム16との連結が解除された駆動カム15のみが回転移動して補助カム曲線部16aが駆動カム曲線部15cの径大部分に連続する周面を形成するため、操作ロッド21の移動を阻止することができる。したがって、専用のアクチュエータ3以外の異物が安全スイッチ内に強引に挿入されて駆動カム15に破壊強度を超える力が加わったとしても、連結部16bが破損することにより駆動カム15の破損を未然に防止することができ、安全スイッチの誤動作を防止することができる。
【0119】
また、この実施形態では、例えば、補助カム曲線部16aに設けられた連結部16bが操作ロッド21の先端との摺接を繰り返すことで磨耗して破損し、被連結部15dとの連結状態が解除される異常が発生したときには、アクチュエータ3が進入しても補助カム16との連結が解除された駆動カム15のみが回転し、補助カム16の補助カム曲線部16aが駆動カム曲線部15cの径大部分に連続する周面を形成するため、操作ロッド21の移動を阻止することができる。したがって、駆動カム15が磨耗することで破損し、安全スイッチが誤動作することを未然に防止できる。なお、連結部16bの破壊強度を駆動カム15の少なくとも駆動カム曲線部15c破壊強度よりも低く設定するとともに、連結部16bの硬度を操作ロッド21の少なくとも先端部の硬度よりも低く設定するのが望ましい。このように、駆動カム15の破壊強度を超える何らかの外力が操作部5に所定以上の操作量で加わることによる誤動作を未然に防止できる。
【0120】
また、連結部16b、駆動カム15および操作ロッド21の硬度や厚さ、大きさ等を適切に設定して連結部16bの耐久力(製品寿命)を所望程度に設定することで、予め設定した使用回数(アクチュエータの安全スイッチへの進入、後退の回数)あたりで連結部16bが耐久力を失って破損するため、予め設定した使用回数を超える程安全スイッチを使用した場合に、意図的に安全スイッチを使用不能状態にすることも可能となる。そのため、駆動カム15等が不意に破損することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止することができ、他の不具合を誘発することなく、使用者が安全スイッチを製造者が設定する保障期間の範囲内で使用することを促すとともに、使用者に安全スイッチの交換時期を報知することができるため、より安全な状態を維持できる。
【0121】
<第3実施形態>
つぎに本発明にかかる安全スイッチの第3実施形態について図17ないし図20を参照して説明する。この第3実施形態が、上記第2実施形態と相違する点は、連結手段の構成が異なる点であり、その他の構成および動作は上記第2実施形態と同様であるため、以下では、図1ないし図6も参照しつつ主として第1および第2実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第1および第2実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
【0122】
図17および図18は正常な状態の状態の駆動カムを示す図であり、同図に示すように、補助カム160と駆動カム150はそれぞれに設けられた孔160e,150dに連結ピン160bが挿通されることで、補助カム曲線部160aと駆動カム曲線部150cとが重合するように連結されている。また、図19および図20は連結ピン160bが破損する異常が発生した状態の駆動カムを示す図であり、連結ピン160bが破損して補助カム160との連結が解除された駆動カム150が回転して、補助カム曲線部160aが駆動カム曲線部150cの径大部分に連続する周面を形成した状態を示している。このように、この実施形態では、連結ピン160bが本発明の「連結手段」として機能している。なお、図17および図19に示す駆動カムは、それぞれ図18および図20に示す駆動カムの回転軸13にほぼ直交する平面での断面図である。また、駆動カム150および補助カム160により本発明の「カム部材」が構成されている。
【0123】
以上のように、この実施形態では、図13に示すように、上記第2実施形態と同様に回転阻止部材19が補助カム160係合して、専用のアクチュエータ3以外での駆動カム150の回転が阻止されている。この安全スイッチ内に、アクチュエータ以外の異物である、例えばドライバーが強引に挿入された場合、中間部材17が第2の位置に移動しないため、回転阻止部材19が図14に示す回転阻止解除位置まで移動しない。
【0124】
したがって、異物が強引に安全スイッチ内に挿入された場合、回転阻止部材19が補助カム160の係止部160dに係合しているため、正規物以外の異物が強引に挿入されることによる駆動カム150を回転させようとする力が、補助カム160と駆動カム150とを連結している連結ピン160bに加わることとなる。その結果、連結ピン160bの破壊強度を超える力が加えられることによって連結ピン160bが破損する異常が発生したときには、異物の操作部5内への進入に伴い補助カム160との連結が解除された駆動カム150のみが回転移動して、補助カム160の補助カム曲線部160aが駆動カム曲線部150cの径大部分に連続する周面を形成する。
【0125】
したがって、駆動カム曲線部150cの径大部分に補助カム曲線部160aが連続して形成された周面を操作ロッド21が摺接することにより、操作ロッド21の移動を阻止できるため、スイッチ部7の開閉器の状態が切り換わって産業機械に誤って電源が供給されることを阻止できる。そのため、正規物である専用のアクチュエータ3以外の異物が安全スイッチ内に強引に挿入されて駆動カム150に破壊強度を超える力が加わったとしても、連結ピン160bが破損することで駆動カム150が破損するのを未然に防止することができ、安全スイッチの誤動作を防止することができる。
【0126】
なお、連結ピン160bの破壊強度は駆動カム160の破壊強度よりも低く設定するのが望ましい。また、連結ピン160bの材質、形状を適宜変更することで使用目的に応じた強度を有する安全スイッチを提供することができる。
【0127】
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記した第2および第3実施形態では、ロック機構を備える安全スイッチを例に挙げて説明したが、ロック機構を備えていない安全スイッチに本発明を適用してももちろんよい。
【0128】
また、連結手段の構成は上記第1ないし第3実施形態における構成に限定されず、駆動カムと補助カムとを連結することができる構成であれば、どのような構成であってもよい。例えば、駆動カムおよび補助カムにそれぞれ嵌合可能に凹凸部を設け、該凹凸部を嵌合することで駆動カムおよび補助カムを連結することができる。このような構成とすれば、部品点数を少なくすることができ安全スイッチの組み立てを容易に行うことができる。
【0129】
また、上記した実施形態では、開閉器部に常閉開閉器のみを配設しているが、開閉器部に配設された常閉開閉器のうちの一方を常開開閉器としてもよい。この場合、常閉開閉器を外部装置の動作制御に使用して、常開開閉器をアクチュエータの進入を検出するための電気信号を得るための開閉器とすればよい。このような構成とすれば、アクチュエータの進入に伴い常閉開閉器が閉状態となって、外部装置が操作不能状態から操作可能状態となる一方、常開開閉器はアクチュエータの進入に伴って開状態となる。このように、常閉開閉器とは逆の開閉動作を行う常開開閉器の開閉状態をモニタすることにより、アクチュエータの進入、後退に加えて、外部装置の状態を外部から確認することができる。
【0130】
また、上記第1実施形態におけるカムユニットケースを第2および第3実施形態で採用してももちろんよい。
【0131】
また、上記した実施形態では、常閉開閉器を2個設けているが、開閉器の数としてはこれに限定されるものではなく、1個または3個或いは、4個以上設けてもよい。なお、安全スイッチとしての信頼性を高めるためには、常閉開閉器を少なくとも2個設けることが望ましい。さらに、第2常閉開閉器40は、可動接点40aと固定接点40bの位置を変更することにより、常開開閉器に切り換えることができるよう構成されているため、スイッチ部7の開閉器構成を用途に応じて簡単に変更することができる。
【0132】
このとき、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換える場合には、可動接点40aと固定接点40bの位置を変更するだけよく、各開閉器構造に専用の部品を必要としないため、コストの低減を図ることができ、しかも部品が増加することによる部品の組間違え等も未然に防ぐことができる。なお、上記した実施形態では、第2常閉開閉器40のみを開閉器構造が切り換え可能な開閉器として構成しているが、これに限定されるものではなく、開閉器構造が切り換え可能な開閉器の数は任意である。
【0133】
また、上記した実施形態では、復帰バネ81cのバネ荷重(付勢力)によってロック体80をロック位置へ移動させて、ヒンジ型電磁石81aが通電状態となったときの電磁的吸引力によってロック体80をアンロック位置へ移動させているが、この電磁的吸引力によってロック体80をロック位置へ移動させてロック機構8aをロック状態としてもよい。この場合、例えば、ロック体80をアンロック位置へ移動させる向きに付勢力が働くような復帰バネを配設するのが望ましい。
【0134】
また、上記第1および第2実施形態おいて、回転阻止部材19を備えない構成でもよい。このような構成であっても、進退物(アクチュエータ3等)による操作部5に対する異常な操作量(「操作部からのアクチュエータの所定以上の強引な引抜き力の大きさ」、「アクチュエータの所定回数以上の進入、後退の繰り返し回数」等)を検知して、カム部材のカム曲線部の形状が変化することで、安全スイッチが誤動作するのを防止することができる。
【0135】
以上のように、上記第1ないし第3実施形態は、外部からの進退物の操作部5への進入操作および操作部5からの後退操作の操作量を検知する検知部を備え、該操作量が予め定めた所定量に達したことを検知部が検知した場合にカム部材のカム曲線部の形状が変化する構成である。
【0136】
すなわち、上記第1実施形態における「操作部からのアクチュエータの所定以上の強引な引抜き力の大きさ」、上記第2実施形態における「アクチュエータの所定回数以上の進入、後退の繰り返し回数」、上記第2および第3実施形態における「操作部へのドライバー等の異物の強引な進入力の大きさ」がここでいう「所定量」に相当する。また、この検知部は、上記第1実施形態における「連結部材161b」、上記第2実施形態における「連結部16b」、上記第3実施形態における「連結ピン160b」が相当する。
【0137】
また、上記第1ないし第3実施形態では、連結部材161b、連結部15bまたは連結ピン160bが破損や磨耗をすることで、進退物(専用のアクチュエータ等の正規物や、正規物以外のドライバー等の異物)の操作部5への進入、後退操作が予め定めた所定量に達したことを検知することができる。また、上記第1ないし第3実施形態では、操作部5に設けられた駆動カムおよび補助カムにより本発明の「カム部材」が構成されている。そして、連結部材161b、連結部15bまたは連結ピン160bが破損や磨耗をすることで、駆動カムと補助カムとの相対的な位置変化によりカム部材のカム曲線部の形状が変化する(上記第1実施形態では図4の第1形状から図8の第2形状へ、上記第2実施形態では図12の第1形状から図16の第2形状へ、上記第3実施形態では図18の第1形状から図20の第2形状へと変化する。)。
【0138】
これによって、検知部が外部からの進退物の操作部5に対する操作が所定量に達したことを検知するとカム部材のカム曲線部の形状が変化することで、正規物であるアクチュエータ3を始め、異物であるドライバー等の進退物の操作部への進入、後退操作に伴うスイッチ部7やロック開閉器部8bが有する開閉器がどのような開閉状態となるかを変更することができる。したがって、安全スイッチの誤動作を未然に防止することができ、安全スイッチに異常が発生している状態では外部装置への通電が確実に遮断された状態とすることができるため、安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図4】この発明の第1実施形態における駆動カムの拡大図である。
【図5】図1のA−A線矢視断面図である。
【図6】図1のA−A線矢視断面図である。
【図7】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図8】この発明の第1実施形態における駆動カムの拡大図である。
【図9】この発明の第1実施形態におけるカムユニットケースを示す図である。
【図10】この発明の第1実施形態における安全スイッチの外観図である。
【図11】この発明の第2実施形態における駆動カムの要部拡大図である。
【図12】図10に示す駆動カムの拡大図である。
【図13】図11のB−B線矢視断面図である。
【図14】図11のB−B線矢視断面図である。
【図15】この発明の第2実施形態における駆動カムの要部拡大図である。
【図16】図15に示す駆動カムの拡大図である。
【図17】この発明の第3実施形態における駆動カムの要部拡大図である。
【図18】図17に示す駆動カムの拡大図である。
【図19】この発明の第3実施形態における駆動カムの要部拡大図である。
【図20】図19に示す駆動カムの拡大図である。
【符号の説明】
【0140】
1…スイッチ本体
3…アクチュエータ
33a…ケーブル引き出し口
5…操作部
5a…カムユニットケース
15,150,151…駆動カム
15a,150a,151a…係合部
15c,150c,151c…カム曲線部
16,160,161…補助カム
16a,160a,161a…補助カム曲線部
16b…連結部(連結手段)
160b,161b…連結部材(連結手段)
161c…係合爪(回転規制手段)
21…操作ロッド
39,40…常閉開閉器(開閉器)
7…スイッチ部
70…開閉器部
8…ロック機構部
8a…ロック機構
80…ロック体
9a…アクチュエータ進入口(進退物進入口)
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば産業機械等の防護扉周縁の壁面に取り付けられ、防護扉が開かれたときには、産業機械等への電源供給を停止する安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業機械の防護扉などには、作業者が機械に巻き込まれて負傷するといったトラブルの発生を防止することを目的として、防護扉が完全に閉まっていないときには、機械を駆動させないようにする安全スイッチが配設されている。
【0003】
この種の安全スイッチは、ロボット等の産業機械に電気的に接続されるもので、スイッチ本体とアクチュエータとにより構成されており、スイッチ本体は防護扉周縁の壁面に固着され、またアクチュエータは防護扉に固着される。そのときのアクチュエータの固着位置はスイッチ本体のアクチュエータ進入口に対向し、かつ、防護扉を閉鎖した状態のときにスイッチ本体上部のヘッドケース内に進入可能なように設定されている。
【0004】
そして、アクチュエータの進入により、スイッチ本体のヘッドケース(操作部)の下方に位置する開閉器が閉に切り換わり、産業機械へ電源が供給されて機械が駆動可能な状態となる。一方、防護扉の開放によりアクチュエータが後退してヘッドケースから抜け出ると、内蔵の開閉器が開に切り換わり、機械への電源供給が遮断される。
【0005】
ところで、操作部の中央には、操作部の下方に位置するスイッチ部の操作ロッドを移動させて接点を開閉させるため駆動カムが設けられている。この駆動カムはその回転軸が操作部におけるケース部材の内面に枢支されて回転自在に支持されている。そして、アクチュエータが操作部に進入していない状態では、操作ロッドは、駆動カムによりスイッチ部側へ押圧されており、産業機械への電源供給が遮断されている。一方、専用のアクチュエータが操作部内に進入すると、アクチュエータの連結片が駆動カムを押圧して、駆動カムが回転され、その結果、操作ロッドが駆動カム側へ移動し、産業機械への電源供給が行われる。
【0006】
ところで、このような安全スイッチには特許文献1のように、アクチュエータが安全スイッチ内に挿入された後、該アクチュエータを安全スイッチ内で機械的にロックすることにより、アクチュエータの引抜きを防止するロック機構を備えているものがある。このようなロック機構を備えることで、防護扉が閉じられ産業機械が動作している場合にアクチュエータが安全スイッチから不意に引抜かれて防護扉が開放するのを未然に阻止して、さらなる作業者の安全性の向上を図っている。
【0007】
このロック機能を備える安全スイッチには、左右に移動するロック体、L字状のロックレバー、プランジャを有するロック機構が設けられている。ロックレバーは中央部が回転自在に軸支され、ロックレバーの左端はロック体の右端部に、右端はプランジャの下端側にそれぞれ回転自在に連結されており、プランジャの移動がロックレバーの回転を経てロック体に伝達される。また、ロック体はバネによって左方へ付勢されている。そのため、駆動カムの時計方向への回転に伴って操作ロッドが駆動カムのカム曲線部の径大部から径小部へと摺接し、バネの付勢により操作ロッドが上方に移動するとともに、ロック体が左方へ移動する。その結果、ロック体が操作ロッドの下方に入り込み、操作ロッドの下方への移動がロック体によって阻止されるため、操作ロッドにより駆動カムが係止される。これによって駆動カムが、回転が阻止されたロック状態に保持され、アクチュエータの引抜きが阻止される。
【0008】
また、ロック機構のプランジャを駆動するためのプランジャ型電磁石が、スイッチ本体内の右上部に配設されており、該プランジャ型電磁石が外部からの制御によって通電および通電遮断されることにより、プランジャがそれぞれ上動および下動する。そして、駆動カムの回転がロックされた状態ではプランジャ型電磁石は通電遮断の状態にあり、この状態からプランジャ型電磁石が通電されると、その電磁的吸引力によってプランジャが上動し、プランジャの上動によってロックレバーが反時計方向に回転する。これによりロック体が右方へ移動して操作ロッドの下動が可能となり、駆動カムが反時計方向に回転可能な状態となる。その結果、駆動カムがロックされた状態から開放されてアンロック状態となり、アクチュエータの引抜きが可能となる。
【0009】
また、特許文献2に記載のように、安全性の観点から、例えばドライバーなどの専用のアクチュエータ以外の工具を操作部に挿入して接点を開閉することができないように駆動カムの回転を阻止する回転阻止手段を備えているものがある。
【0010】
この回転阻止手段を備える安全スイッチの駆動カムの両側には、回転軸の方向に移動自在に一対の回転阻止部材が回転軸と同軸に配設されており、各回転阻止部材はコイルバネによって、駆動カム側に付勢されている。また、各回転阻止部材の駆動カムと対向する面には、ロックピンが突設されており、このロックピンが駆動カムの両側面に形成された凹部に係合すると、駆動カムの回転が阻止されて操作ロッドが移動しないようになっている。
【0011】
さらに、回転阻止部材のアクチュエータ進入口と対向する面には、アクチュエータの進入時に、アクチュエータの押圧片の先端が当接する傾斜面が形成されている。そして、アクチュエータが操作部に進入していない状態では、各回転阻止部材がコイルバネの付勢力によって駆動カム側に移動され、ロックピンが駆動カムの凹部に係合して、駆動カムの回転が阻止された状態になっている。
【0012】
一方、専用のアクチュエータが操作部内に進入するとアクチュエータの押圧片の先端が、回転阻止部材の傾斜面を摺動しつつ回転阻止部材をコイルバネの付勢力に抗して駆動カムから離間する方向へ押し広げる。これにより、ロックピンと凹部との係合が解除され、駆動カムは回転可能な状態となる。
【0013】
【特許文献1】特開平9−245584号公報([0035]〜[0044],図1)
【特許文献2】特開平10−69831号公報([0019]〜[0029],図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上記したロック機構を備えた安全スイッチでは、駆動カムがロック状態のまま、強引にアクチュエータが引抜かれ、駆動カムの破壊強度を超える力が強制的に加えられると次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、強引にアクチュエータを後退させて引抜かれることで、駆動カムに強制的な回転力が加わり操作ロッドが係合している駆動カムのカム曲線部分が破壊される。その結果、アクチュエータは引抜かれて駆動カムは回転するが、ロック機構はロック状態のままであるため、操作ロッドは上動したままとなる。したがって、スイッチ本体の開閉器はアクチュエータが引抜かれているにも関わらず、アクチュエータが進入状態にある電気信号を発し続けることになる。
【0015】
また、上記した回転阻止手段を備えた安全スイッチでは、回転阻止手段によって専用のアクチュエータ以外の異物の進入による駆動カムの回転が阻止されたままで、例えば、ドライバーが強引にアクチュエータ進入口に押し込まれ、駆動カムの破壊強度を超える力が強制的に加えられると次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、ドライバー等の異物が操作部に強引に押し込まれることで、駆動カムに強制的な回転力が加わりロックピンが係合している駆動カムの凹部部分が破壊されてしまう。その結果、防護扉が開放された状態のままで駆動カムが回転して操作ロッドが移動してスイッチ本体の開閉器が閉状態へと切り換わり、産業機械へ電源が供給されて機械が駆動可能な状態となる。
【0016】
また、上記した安全スイッチでは、操作ロッドが駆動カムのカム曲線部の径大部と径小部を摺接することで移動してスイッチ部の開閉器の状態が切り換わる。このようなアクチュエータの進入、後退に伴う操作ロッドと駆動カムとの摺接が繰り返されることで、駆動カムのカム曲線部が磨耗することがある。その結果、駆動カムの回転による操作ロッドの移動量が減少し、駆動カムの回転に伴うスイッチ本体の開閉器の開閉状態の切換えが上手く行われない状態となるおそれがある。
【0017】
このように、専用のアクチュエータ、またはドライバー等の異物といった進退物による操作部への進入、後退操作の異常な操作量によって、安全スイッチが誤動作するおそれがあった。
【0018】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スイッチ本体の操作部への進退物の所定量を超える操作によってカム部材等が破損することによる誤動作を未然に防止することのできる安全スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記した課題を解決するため、本発明にかかる安全スイッチは、スイッチ本体の操作部への進退物の進入、後退に応じて前記操作部に設けられたカム部材が両方向に回転し、この前記カム部材の両方向の回転によりスイッチ部に設けられた操作ロッドが前記カム部材のカム曲線部を摺接して往復移動することで開閉器が開閉して前記進退物の進入、後退を検出する安全スイッチにおいて、進入操作および後退操作により前記操作部に進入、後退する進退物の操作量が、予め定めた所定量に達したことを検知する検知部を備え、前記カム部材は、前記検知部による前記所定量の検知により変形するカム曲線部を有することを特徴としている(請求項1)。
【0020】
このような構成とすれば、スイッチ本体の操作部への進退物の操作が所定量に達したことを検知部が検知すれば、カム部材のカム曲線部の形状が変化する。したがって、検知部が進退物による所定以上の操作部への異常な操作量を検知した場合に正常な状態のカム部材のカム曲線部の形状が変化することで、カム部材等が破損した異常な状態で操作ロッドが該カム曲線部を摺接して往復移動することによる誤動作を未然に防止できる。このとき、検知部が検知するのは、例えばアクチュエータを含む進退物の強引な引抜きに伴う後退操作力や、進退物の進入、後退操作の繰り返し数や、進退物の強引な押し込みに伴う進入操作力などが考えられる。
【0021】
また、前記カム部材は、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記駆動カムの回転軸に回転自在に軸支された補助カムとを有し、前記スイッチ本体のロック機構部に設けられ前記進退物が進入状態にあるときに前記駆動カムの回転をロックするロック体をさらに備え、前記駆動カムは、その外周面に係合部および駆動カム曲線部がそれぞれ形成され、前記進退物の押込みに伴い、前記進退物の一部が前記係合部に係合し、該係合状態のままで前記進退物が前記操作部に進入するに連れて一方向に回転され、前記進退物の引抜きに伴い、前記進退物が前記操作部から後退するに連れて、前記進退物の一部が前記係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転され、この駆動カムの両方向への回転により、前記操作ロッドが前記駆動カム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することによって往復移動し、前記補助カムは、前記駆動カムの前記駆動カム曲線部の径大部分とほぼ同径に形成された補助カム曲線部と、前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部以外の部分と重合するように、前記補助カムと前記駆動カムとを連結する連結手段と、前記ロック体が係合するロック部と、前記連結手段の破損時に、前記進退物の後退に伴う前記駆動カムの回転方向と反対の一方向にのみ前記補助カムの回転を許容し他方向への回転を規制する回転規制手段とを有し、前記ロック体が前記ロック部に係合した状態で前記進退物が強制的に後退されることで前記連結手段が破損する異常が発生したときに、前記進退物の後退に伴って前記駆動カムのみが回転し、前記駆動カムとの連結が解除された前記補助カムの前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成して、前記進退物の再進入による前記操作ロッドの移動を阻止する構成でもよい(請求項2)。
【0022】
このように構成された発明では、進退物がスイッチ本体の操作部に押込まれるのに伴い、該進退物の一部が係合部と係合し、該係合状態のままで進退物が操作部に進入するに連れて駆動カムが一方向に回転される。この駆動カムの回転に伴い、操作ロッドがカム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することで移動し、該操作ロッドの移動に伴ってスイッチ部の開閉器が開閉する。そして、進退物が進入状態にあるときに、ロック体と補助カムが有するロック部とが係合して、駆動カムの回転がロックされる。その結果、該駆動カムと係合している進退物の後退が阻止され、該進退物を操作部から引抜くことが不可能となる。
【0023】
このように、駆動カムの回転がロックされている状態で強引に進退物を後退させて操作部から引抜こうとした場合、進退物の一部が駆動カムの係合部に係合しているため、駆動カムに強制的な回転力が加わる。ところが、補助カムのロック部にはロック体が係合したままであるため、進退物を引抜く力が大きい場合、補助カムと駆動カムとを連結している連結手段が破損する異常が発生することがある。
【0024】
そして、連結手段が破損する異常が発生したときに、進退物が後退するのに伴い、進退物の一部が駆動カムの係合部との係合状態から脱するまで駆動カムのみが回転して、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成する。このとき、補助カムは回転規制手段によって、進退物の後退に伴う駆動カムの回転方向と反対の一方向にのみ回転が許容されているため、補助カムが他方向に回転することが防止され、補助カム曲線部と駆動カム曲線部の径大部分とで形成された周面は連続した状態で維持される。したがって進退物が引抜かれた後、進退物が操作部へ再進入された場合には、操作ロッドは補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続して形成された周面を摺接するため、操作ロッドの移動が阻止される。
【0025】
このように、駆動カムの回転がロックされた状態にある安全スイッチから進退物が強引に引抜かれた場合には、駆動カムが破損するのを未然に防止して補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面が形成される。そのため、駆動カム曲線部は破損することなく正常な状態であるため、進退物の後退に伴う駆動カムの他方向への回転に伴って操作ロッドが駆動カム曲線部を径小部分から径大部分へと摺接することで移動する。したがって、進退物の強引な引抜きにも関わらず、操作ロッドが移動して開閉器の状態が正常に切り換わるので、例えば、この開閉器の開閉に基づいて進退物の引抜き(後退)を検出することができる。
【0026】
そして、進退物が引抜かれた後、進退物が操作部へ再進入された場合には、補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続して形成された周面を操作ロッドが摺接するので、該操作ロッドの移動が阻止される。したがって、連結手段が破損して、ロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生しているにも関わらず、進退物が挿入されることで安全スイッチの開閉器の開閉状態が切り換わることを防止できる。このように、例えば駆動カムが破損するのを未然に防止して進退物の引抜きを正常に検出することができるとともに、安全スイッチに異常が発生した状態で使用されるのを防止することができる。したがって、駆動カムが破損して安全スイッチが誤動作するのを未然に防止することができる。このように、進退物が所定以上の力で強引に引抜かれるという異常な操作が操作部に対して行われることによる誤動作を未然に防止できる。
【0027】
また、前記カム部材は、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記駆動カムの回転軸に回転自在に軸支された補助カムとを有し、前記駆動カムは、その外周面に係合部および駆動カム曲線部がそれぞれ形成され、前記進退物の押込みに伴い、前記進退物の一部が前記係合部に係合し、該係合状態のままで前記進退物が前記操作部に進入するに連れて一方向に回転され、前記進退物の引抜きに伴い、前記進退物が前記操作部から後退するに連れて、前記進退物の一部が前記係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転され、この駆動カムの両方向への回転により、前記操作ロッドが前記駆動カム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することによって往復移動し、前記補助カムは、前記駆動カムの前記駆動カム曲線部の径大部分とほぼ同じ形状に形成された補助カム曲線部と、前記補助カム曲線部と前記径大部分とが重合するように、前記補助カムと前記駆動カムとを連結する連結手段とを有し、前記連結手段が破損する異常が発生したときに、前記駆動カムとの連結が解除された前記補助カムが回転移動して前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成し、前記操作ロッドが前記径大部分および前記補助カム曲線部を摺接することで、前記操作ロッドの移動を阻止する構成でもよい(請求項3)。
【0028】
このように構成された発明では、進退物がスイッチ本体の操作部に押込まれるのに伴い、該進退物の一部が係合部と係合し、該係合状態のままで進退物が操作部に進入するに連れて駆動カムが一方向に回転される。この駆動カムの回転に伴い、操作ロッドが駆動カム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することによって移動し、該操作ロッドの移動に伴って、スイッチ部の開閉器が開閉する。
【0029】
また、この安全スイッチの駆動カムには、駆動カム曲線部の径大部分とほぼ同じ形状に形成された補助カム曲線部を有する補助カムが、補助カム曲線部と駆動カム曲線部の径大部分とが重合するように連結手段によって連結されている。そして、連結手段が破損する異常が発生したときには、駆動カムとの連結が解除された補助カムが回転移動して補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成する。
【0030】
そして、このようにして形成された連続する周面を操作ロッドが摺接することで、該操作ロッドの移動を阻止することができる。したがって、例えば、駆動カムの破壊強度を超える何らかの外力が加わったとしても、連結手段が破損することで補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成して操作ロッドの移動が阻止されるので、例えば駆動カムが破損することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。このように、駆動カムの破壊強度を超える何らかの外力が操作部に所定以上の操作量で加わることによる誤動作を未然に防止できる。
【0031】
また、前記連結手段は、前記補助カム曲線部の前記操作ロッドの先端が摺接する部位に設けられた連結部を有し、前記連結部と前記駆動カム曲線部の径大部分に形成された被連結部とを連結して前記補助カムと前記駆動カムとを連結し、前記連結部が破損して前記被連結部との連結状態が解除される異常が発生したときに、前記進退物が進入しても、前記補助カムとの連結が解除された前記駆動カムのみが回転し、前記補助カムの前記補助カム曲線部と前記駆動カム曲線部の径大部分とが連続する周面を形成して前記操作ロッドの移動を阻止する構成でもよい(請求項4)。
【0032】
このような構成とすれば、例えば、補助カム曲線部に設けられた連結部が操作ロッドの先端との摺接を繰り返すことにより、該連結部が磨耗して破損し、連結部と被連結部との連結状態が解除される異常が発生したときには、進退物が進入しても補助カムとの連結が解除された駆動カムのみが回転し、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成する。したがって、このようにして形成された連続した周面を操作ロッドが摺接することで、該操作ロッドの移動を阻止することができる。そのため、例えば駆動カムが磨耗したりすることで破損し、安全スイッチが誤動作することを未然に防止できる。したがって、進退物の操作部への進入、後退操作が所定の回数以上繰り返されて補助カム曲線部に設けられた連結部が操作ロッドの先端との摺接を繰り返すことにより、該連結部が磨耗して破損するという異常な操作が操作部に対して行われることによる誤動作を未然に防止できる。
【0033】
また、連結手段(連結部)、駆動カムおよび操作ロッドの硬度や厚さ、大きさ等を適切に設定することで、連結手段の耐久力(製品寿命)を任意に設定してもよい。このような構成とすれば、連結部を予め設定した使用回数(進退物の安全スイッチへの進入、後退の回数)で意図的に破損させることができる。したがって、安全スイッチを、予め設定しておいた使用回数を超えて使用した場合に、意図的に安全スイッチを使用不能にすることが可能となる。そのため、駆動カム等が不意に破損することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。
【0034】
また、前記進退物として、予め定められた正規物以外の異物が進入した場合に、前記補助カムに係合することで前記駆動カムの回転を阻止する回転阻止手段をさらに備え、前記回転阻止手段が前記補助カムに係合した状態で前記正規物以外の異物が進入することで前記連結手段が破損する異常が発生したときに、前記補助カムとの連結が解除された前記駆動カムが前記正規物以外の異物の進入に伴って回転しても、前記補助カムの前記補助カム曲線部と前記駆動カム曲線部の径大部分とが連続する周面を形成して前記操作ロッドの移動を阻止する構成でもよい(請求項5)。
【0035】
このような構成とすれば、回転阻止手段が補助カムに係合することで駆動カムの回転が阻止されている状態で、予め定められた正規物以外の異物である、例えばドライバーが強引に安全スイッチ内に挿入されることによって連結手段が破損する異常が発生したときには、ドライバーの進入に伴い補助カムとの連結が解除された駆動カムのみが回転移動して、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成する。したがって、駆動カム曲線部の径大部分に補助カム曲線部が連続して形成された周面を操作ロッドが摺接することで、該操作ロッドの移動を阻止することができる。
【0036】
そのため、予め定められた正規物(例えば専用のアクチュエータ)以外の異物が安全スイッチ内に強引に挿入されて駆動カムに破壊強度を超える力が加わったとしても、連結手段が破損することで、例えば駆動カムが破損するのを未然に防止することができ、安全スイッチが誤動作することを防止できる。したがって、正規物以外の異物が操作部に強引に挿入されて駆動カムに破壊強度を超える所定以上の力が加わるという異常な操作が行われることによる誤動作を未然に防止できる。
【0037】
また、少なくとも、前記駆動カムおよび前記補助カムは、同一のユニットケースに収容されてユニット化され前記スイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設されている構成でもよい(請求項6)。このような構成とすれば、駆動カムおよび補助カムを同一のユニットケースに収容し、ユニット化してスイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設しているため、例えば、補助カムの連結手段に異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元することができる。
【0038】
また、前記スイッチ本体は直方体状を有し、前記スイッチ本体の対向する一組の隅部の一方に進退物進入口が、他方にケーブル引き出し口がそれぞれ形成されており、前記ケーブル引き出し口からケーブルが、ほぼ前記対向する一組の隅部を結ぶ方向へ引き出されている構成でもよい(請求項7)。このような構成とすれば、進退物進入口と、ケーブル引き出し口との関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、進退物進入口が水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表、どちらの面でも配設場所へ密着させることができる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取り付けの選択範囲を広げることができる。
【0039】
また、前記開閉器が、前記スイッチ本体内において外部接続用ケーブルの端部に電気的に接続され、前記開閉器の開閉による電気信号によって前記進退物の進入、後退の状態を検出するものである構成でもよい。このような構成とすれば、開閉器の開閉による電気信号により、外部から進退物の進入、後退を検出することができる。
【0040】
また、前記スイッチ本体内に設けられた常開開閉器および外部装置の動作制御に使用される常閉開閉器を備え、前記進退物の進入に伴う前記操作ロッドの移動により、前記常開開閉器および常閉開閉器がそれぞれ開状態および閉状態となり、前記常開開閉器の開状態により、前記進退物の進入を検出するための電気信号が得られ、前記常閉開閉器の閉状態により前記外部装置を操作不能状態から操作可能状態にする構成でもよい。このような構成とすれば、進退物の進入に伴い常閉開閉器が閉状態となって、外部装置が操作不能状態から操作可能状態となる一方、常開開閉器は進退物の進入に伴って開状態となる。このように、常閉開閉器とは逆の開閉動作を行う常開開閉器の開閉状態をモニタすることにより、進退物の進入、後退に加えて、外部装置の状態を外部から確認することができる。
【発明の効果】
【0041】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、検知部が操作部への進退物の操作が所定量に達したことを検知した場合に正常な状態のカム部材のカム曲線部の形状が変化するため、カム部材等が破損した異常な状態で操作ロッドが該カム曲線部を摺接して往復移動することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止できる。
【0042】
また、請求項2に記載の発明によれば、駆動カムの回転がロックされた状態にある安全スイッチから進退物が強引に引抜かれた場合には、連結手段が破損することで、例えば駆動カムが破損するのが未然に防止されて駆動カムのみが回転移動し、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面が形成される。このとき、駆動カム曲線部は破損することなく正常な状態であるため、進退物の後退に伴う駆動カムの他方向への回転に伴って操作ロッドが駆動カム曲線部を径小部分から径大部分へと摺接して、開閉器の状態が正常に切り換わるので進退物の引抜きを検出することができる。そして、進退物が引抜かれた後、進退物が操作部へ再進入された場合には、補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続して形成された周面を操作ロッドが摺接するので、該操作ロッドの移動が阻止される。したがって、ロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生しているのにも関わらず、進退物が挿入されることによる安全スイッチの開閉器の開閉状態の切り換わりを防止することができ、安全スイッチの誤動作を未然に防止することができ、安全を確保することができる。
【0043】
また、請求項3に記載の発明によれば、連結手段が破損する異常が発生したときには、補助カム曲線部と駆動カム曲線部の径大部分とが重合するように連結されていた補助カムが回転移動して、補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成する。したがって、駆動カム曲線部の径大部分に補助カム曲線部が連続して形成された周面を操作ロッドが摺接することで、該操作ロッドの移動を阻止することができるので、例えば駆動カムが破損することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。
【0044】
また、請求項4に記載の発明によれば、例えば、補助カム曲線部に設けられた連結部が操作ロッドの先端との摺接を繰り返すことで、該連結部が磨耗して破損してしまい被連結部との連結状態が解除される異常が発生したときには、進退物が進入しても補助カムとの連結が解除された駆動カムのみが回転し、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成するため、操作ロッドの移動を阻止することができる。したがって、例えば駆動カムの磨耗が生じ、安全スイッチが誤動作することを未然に防止することができる。
【0045】
また、請求項5に記載の発明によれば、回転阻止手段が補助カムに係合することで駆動カムの回転が阻止されている状態で、正規物以外のドライバー等の異物が強引に安全スイッチ内に挿入されることによって連結手段が破損する異常が発生したときには、補助カムとの連結が解除された駆動カムのみが回転移動して補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成するため、操作ロッドの移動を阻止することができる。したがって、正規物(例えば専用のアクチュエータ)以外の異物が安全スイッチ内に強引に挿入されて駆動カムに破壊強度を超える力が加わったとしても、連結手段が破損することで、例えば駆動カムが破損するのを未然に防止することができ、安全スイッチの誤動作を防止することができる。
【0046】
また、請求項6に記載の発明によれば、駆動カムおよび補助カムを同一のユニットケースに収容し、ユニット化してスイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設しているため、例えば、補助カムの連結手段に異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元することができる。
【0047】
請求項7に記載の発明によれば、進退物進入口と、ケーブル引き出し口との関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、進退物進入口を水平/垂直向きのどちらにでも、また、安全スイッチを配設場所に裏表、どちらの面でも密着して配設することもできる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取り付けの選択範囲を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1ないし図10を参照して説明する。図1ないし図3はスイッチ本体の断面図、図4は駆動カムの拡大図、図5および図6は図1のA−A線矢視断面図であってそれぞれ異なる状態を示す図、図7はスイッチ本体の断面図、図8は駆動カムの拡大図、図9はカムユニットケースを示す図、図10は安全スイッチの外観図である。
【0049】
本発明における安全スイッチは、外部装置であるロボット等の産業機械等にケーブルを介して電気的に接続されるスイッチであり、図1に示すように、スイッチ本体1と、アクチュエータ3とにより構成される。
【0050】
このとき、スイッチ本体1は、操作部5とスイッチ部7とロック機構部8とからなり、図示を省略する産業機械の防護扉周縁の壁面に固着される。また、アクチュエータ(本発明の「進退物」、「正規物」に相当)3は防護扉に固着され、その位置は操作部5の側面に形成されたアクチュエータ進入口9aに対向する位置であり、防護扉を閉鎖した状態のときに操作部5のアクチュエータ進入口(本発明の「進退物進入口」に相当)9a内に進入する。なお、アクチュエータ3は、図1に示すように、基部3aと、この基部3aから突出する一対の押圧片3bと、これら両押圧片3bを互いに連結する連結片3cとから構成されている。このとき、幅が大きく厚みの薄い平板状のアクチュエータの押圧片と比べ、両押圧片3bは幅が小さく厚みのある形状を有し、連結片3cを通る断面がコ字状を成している。
【0051】
スイッチ本体1の左上部に配設された操作部5は、図1ないし図6に示すように、ケース部材11と、回転軸13がこのケース部材11の内面に枢支されて回転自在に支持された駆動カム151と、後述するように、駆動カム151に形成された切込151h内に駆動カム151の回転軸に回転自在に設けられた補助カム161と、補助カム161と同様に駆動カム151の両側で駆動カム151の回転軸13と同軸に駆動カム151とは連動せずに回転自在に設けられた一対の中間部材17と、駆動カム151の回転を阻止する一対の回転阻止部材19とを備えている。なお、図1ないし図3、図9に示す駆動カム151は、図4に示す駆動カム151の回転軸13にほぼ直交する平面での断面図であり、図7および図8(b)に示す駆動カム151は図8(a)に示す駆動カム151の回転軸13にほぼ直交する平面での断面図である。
【0052】
この駆動カム151の上部外周面には、アクチュエータ3の連結片3cが嵌挿する係合部151aが、上記したアクチュエータ進入口9aから覗く位置に形成されている。また、駆動カム151の下部外周面には駆動カム曲線部151cが形成されており、操作部5の下方に位置するスイッチ部7から先端部分が出退自在に操作部5内に突出する操作ロッド21の半球状の先端が駆動カム151の駆動カム曲線部151cを摺接する。そして、駆動カム151の回転に伴って操作ロッド21が進入、後退して往復移動すると、スイッチ部7に内蔵されている開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換えられる。
【0053】
また、図4および図8(a)に示すように、この駆動カム151には、周面に深い溝状の切込151hが形成され、この切込151h内に補助カム161が回転軸13を回転の中心軸として回転自在に配設されている。さらに、この切込151hに、後述するロック機構部8のロック体80が係合するロック部161dがその一部に形成された補助カム161が、回転自在に駆動カム151の周面の一部をなすように装着されている。
【0054】
また、補助カム161には、駆動カム曲線部151cの径大部分とほぼ同径の補助カム曲線部161aが形成されている。そして、補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151c以外の部分と重合するように、駆動カム151に形成された連結溝151eに連結部材161bの連結ピン161b1が挿通されることで、補助カム161は駆動カム151に対して回転不能に固定されている。その結果、この回転不能に固定された状態で、補助カム161のロック部161dが駆動カム151の周面に露呈して、ロック体80が当該ロック部161dに係合することで補助カム161に連結された駆動カム151の回転がロックされる。このように、連結部材161bが本発明の「連結手段」として機能している。
【0055】
また、補助カム161には、後述するように補助カム161と駆動カム151とを回転不能に固定している連結部材161b(連結ピン161b1)が破損したときに、アクチュエータ3の後退に伴う駆動カム151の回転方向(反時計方向)と反対の一方向(時計方向)にのみ補助カム161の回転を許容し、他方向への補助カム161の回転を規制する係合爪161cが設けられている。そして、この係合爪161cが駆動カム151の周面のうち、駆動カム曲線部151cの径小部の右上方部分に係合することで補助カム161の他方向への回転が規制される(図8参照)。このように、係合爪161cが本発明の「回転規制手段」として機能している。なお、本実施形態では、駆動カム151に切込151hを形成して、この切込151hに補助カム161を配設しているが、同形の駆動カム2枚によって補助カム161を挟持する構成としてもよいことは言うまでもない。
【0056】
また、駆動カム151の周面であって駆動カム曲線部151cの左端側には、係止部151dが形成されている。そして、図1および図5に示すように、この係止部151dに両回転阻止部材19が当接して駆動カム151を係止することにより、駆動カム151の回転が阻止されている。
【0057】
また、両中間部材17の外周面には、アクチュエータ3の押圧片3bの先端部分が当接する当接部が挿入孔9aから覗く位置に形成されており、アクチュエータ3の進入に伴って押圧片3bの先端により当接部が押圧されると、両中間部材17が図1の紙面に向かって時計回り方向に回転して初期位置である第1の位置から、両回転阻止部材19をそれぞれ回転阻止解除位置へと移動させる第2の位置へと変位する。
【0058】
そして、両中間部材17は、第2の位置で両回転阻止部材19それぞれを後述するように、図5に示す回転阻止位置から図6に示す回転阻止解除位置へと移動させる。また、図5に示すように、これら両中間部材17の外側面下部には、中間部材17の厚みが次第に薄くなるような円弧状の傾斜面17cが形成されており、後述する回転阻止部材19の板状部27の端部27aと摺接している。
【0059】
さらに、回転軸13の両端部には、一対のねじりバネ23がそれぞれ巻回され、両ねじりバネ23の一端部が両中間部材17の外側面に、他端部がケース部材11の内面にそれぞれ固定され、両ねじりバネ23によって、両中間部材17は常時第2の位置から第1の位置へと付勢されている。
【0060】
両回転阻止部材19は、図5に示すように、駆動カム151の係止部151dと係合する円筒部25と、この円筒部25の外側面に設けられた板状部27とから構成され、駆動カム151の係止部151dの近傍に回転軸13に平行に軸部材29が設けられ、この軸部材29に両回転阻止部材19が軸方向に移動自在に支持されている。また、軸部材29の両端部に一対のコイルバネ31が巻回され、両回転阻止部材19の円筒部25が互いに突き合わされる方向に両回転阻止部材19が付勢され、両コイルバネ31により、両回転阻止部材19が後述する回転阻止解除位置から回転阻止位置へと付勢されている。
【0061】
そして、図5に示すように、両回転阻止部材19が、互いにその板状部27と反対側面である円筒部25の側面同士を突き合わせた状態の回転阻止位置にあるときには、両回転阻止部材19の円筒部25の周面が、駆動カム151の係止部151dに当接して係合し、た駆動カム151が回転しないように駆動カム151の回転を阻止する。
【0062】
一方、図6に示すように、両回転阻止部材19が、互いに離間してケース部材11の内面に接近する方向に移動し、両回転阻止部材19の円筒部25と係止部151dとの係合状態が解除された回転阻止解除位置にある場合には、駆動カム151の回転阻止状態が解除され、駆動カム151は回転可能な状態となる。ここで、各回転阻止部材19それぞれが回転阻止位置から回転阻止解除位置に移動するときの移動量は、図5に示すように、両回転阻止部材19の円筒部25それぞれと係止部151dとが当接している回転軸13方向における長さLより若干長い距離Lt(>L)となっており、両回転阻止部材19それぞれは、両コイルバネ31の付勢力によって、この距離以上ケース部材11の内面に接近する方向に移動しないようになっている。
【0063】
さらに、図5に示すように、両回転阻止部材19の板状部27の端部27aは円弧状に形成されており、両回転阻止部材19の端部27aそれぞれが、上記した両中間部材17の傾斜面17cそれぞれと摺接するようになっている。
【0064】
次に、スイッチ部7について説明する。このスイッチ部7は、図1に示すように、ケース部材11と一体となって直方体状のスイッチ本体1を形成するケース部材33の内部であって操作部5の下方に配設され、開閉器が内蔵された開閉器部70と、上記した操作ロッド21とから構成されている。また、このケース部材33に、操作部5側のケース部材11が着脱自在に取り付けられるように構成されている。そして、アクチュエータ進入口9aが形成されたケース部材11側の隅部に対向するケース部材33側の隅部には、外部接続用ケーブルのケーブル引き出し口33aが形成されている。また、図1に示すように、ケース部材33の外面には、スイッチ本体1を産業機械の防護扉周縁の壁面に取り付けるためのボルトが挿入される一対の取付孔33bが形成されている。
【0065】
ところで、開閉器部70には、操作ロッド21の他端部に接し操作ロッド21と一体となって移動する可動部材37と、この可動部材37に連動して開閉する第1および第2常閉開閉器39,40とを備えている。各常閉開閉器39,40は、それぞれ可動接点39a,40aと固定接点39b,40bとからなり、各可動接点39a,40aは可動部材37に固定され、各固定接点39b,40bは開閉器部70に配設された枠部材43に固定されている。ここで、各常閉開閉器39,40のうち、例えば、常閉開閉器39は産業機械への電源供給及び遮断用であり、後述するロック機構部8に配設された常閉開閉器と直列に接続されている。また、常閉開閉器40はこれら電源供給及び遮断用の開閉器の開閉状態のモニタ用である。
【0066】
そして、可動部材37は、板状の基板部45と、この基板部45の一方面(図1の表面側)の両端に立設される第1取付部53および第2取付部54とから構成されており、その一端側が操作ロッド21の他端と当接するとともに、その他端側にコイルバネ(図示省略)が取り付けられ、コイルバネによって可動部材37が操作部5の方向、すなわち上方に付勢されている。また、各取付部53,54には、一対の突起53a,53b,54a,54bがそれぞれ可動部材37の長手方向に互いに対向して設けられている。
【0067】
そして、第1,2常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aが、一方の突起53a,54aの根元部それぞれに着脱自在に取り付けられるとともに、各対の突起53a,53b,54a,54bにぞれぞれ外嵌されたバネ(図示省略)によって、各可動接点39a,40aが各取付部53,54に押し付けられて固定されており、これらのバネにより、特に図2に示されるように、各可動接点39a,40aそれぞれと各固定接点39b,40bそれぞれとの間の接触力が発生されている。
【0068】
ここで、ケース部材33には、産業機械と電気的に接続されるケーブル(図示省略)が装着されており、開閉器部70の内部においてケーブルと各常閉開閉器39,40とが電気的に接続され、各常閉開閉器39,40が開閉することによる電気信号によって、アクチュエータ3の操作部5への進入、後退の検出および産業機械への電源供給及び電源供給の遮断が行われるようになっている。
【0069】
ところで、第2常閉開閉器40の固定接点40bは、図1に示すように、開閉器部70の枠部材43に形成された常閉開閉器用取付部43aに着脱自在に取り付けられ、可動接点40aとともにその取り付け位置および取り付け状態を変更可能に取り付けられており、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換えることができるようになっている。
【0070】
すなわち、枠部材43には、上記した常閉開閉器用取付部43aに加え、固定接点40bが着脱自在に取り付けられる常開開閉器用取付部43bが形成されており、第2常閉開閉器40の可動接点40aを一方の突起54aから取り外して他方の突起54b側に取り付けるとともに、固定接点40bを常閉開閉器用取付部43aから取り外して常開開閉器用取付部43bに取り付けることにより、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換えることができる。こうすることで、この常開開閉器は、第1常閉開閉器39と逆の開閉動作を行うため、第2常閉開閉器40の場合とは異なる動作のモニタ用開閉器として用いることができ、用途に応じて常閉と常開の選択を行うことができる。
【0071】
なお、アクチュエータ3が進入していない図1の状態では、操作ロッド21はコイルバネに抗して駆動カム151のカム曲線部151cの径大部分により押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態にあり、操作ロッド21により可動部材37が押し込まれている。これによって、各常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aおよび固定接点39b,40bが離間し、各常閉開閉器39,40が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。
【0072】
次に、ロック機構部8について説明する。このロック機構部8は、図1に示すように、ケース部材33の内部であって操作部5の右方に配設され、上記したロック体80とロック体80を移動させる駆動部81とを有するロック機構8aと、常開および常閉開閉器が内蔵されたロック開閉器部8bと、手動ロック解除機構8cとから構成されている。
【0073】
ロック機構8aを構成するロック体80は図1に示すアンロック位置と、図2に示すロック位置との間を、駆動カム151の回転軸13に対してほぼ直交方向に移動自在にロック体支持部801に支持されている。また、ロック体80の先端部80aの外径は基部80bの外径よりも小さく構成されるとともに、楕円形もしくは板状に形成されており、後述するように上記した連結部材161bが破損した場合には駆動カム151の切込151hに進入可能に構成されている。そして、ロック体80がロック位置に移動した際、先端部80aが補助カム161のロック部161dと係合することによって、補助カム161に連結された駆動カム151の回転をロックする。一方、ロック体80がアンロック位置に移動した際、先端部80aとロック部161dとの係合が解除され、駆動カム151が回転可能な状態となる。
【0074】
また、駆動部81は、コアにコイルが巻回されてなり、通電により発生した電磁的吸引力によって略L字形の鉄等の磁性材料からなる作動体81bが変位するヒンジ型電磁石81aと、作動体81bを左方に付勢する板バネからなる復帰バネ81cと、作動体81bの変位をロック体80へ伝達するリンク体81dとで構成されている。ヒンジ型電磁石81aは、その中心軸方向がロック体80の移動方向に対してほぼ直交して配設されており、ロック開閉器部8bのケース82に支持されている。また、図1に示すように、ヒンジ型電磁石81aとケース82との間には隙間83が生じるように、ヒンジ型電磁石81aはケース82に支持されており、隙間83に作動体81bと復帰バネ81cとが配設されている。
【0075】
作動体81bは、その屈曲部81b1が鈍角となるように構成された略L字形の部材であって、屈曲部81b1部分を揺動の中心軸として揺動自在に隙間83内に配設されている。また、復帰バネ81cは、隙間83内であって、作動体81bの右方に、その付勢力が左方を向くように配設されている。また、作動体81bの上端部81b2にはリンク体81dが連結されており、リンク体81dにロック体80が軸支されている。
【0076】
したがって、図2に示すように、ヒンジ型電磁石81aが通電遮断されていれば、作動体81bは復帰バネ81cによって左方に付勢され、上端部81b2は屈曲部81b1部分を揺動の中心軸として左方に移動する。そして、上端部81b2が左方に移動するのに伴い、上端部81b2に連結されているリンク体81dが左方に移動して、リンク体81dに軸支されているロック体80が図2中の矢印方向、すなわちロック位置へと移動する。
【0077】
一方、図3に示すように、ヒンジ型電磁石81aが通電されていれば、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aへ吸引される。その結果、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ、屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動する。そして、上端部81b2が右方に移動するのに伴い、上端部81b2に連結されているリンク体81dが右方に移動して、リンク体81dに軸支されているロック体80が図3中の矢印方向、すなわちアンロック位置へと移動する。
【0078】
また、ロック開閉器部8bのケース82内には常開および常閉開閉器が配設されている(図示省略)。これら、常開および常閉開閉器のうちの可動接点を有する端子板はそれぞれ、上記したリンク体81dに支持されている。したがって、これらの可動接点はリンク体81dの動きに連動して、それぞれ同じ方向に移動することとなる。この実施形態では、リンク体81dが左方に移動した場合、すなわち、ロック体80がロック位置へ移動した場合、常開および常閉開閉器は、それぞれ開および閉状態となり、リンク体81dが右方へ移動した場合、すなわち、ロック体80がアンロック位置へ移動した場合、常開および常閉開閉器は、それぞれが閉および開状態となるように構成されている。また、上記したように、例えば、ケース82内の常閉開閉器と、開閉器部70に配設された開閉器のうち、産業機械と接続されている常閉開閉器39とが直列に接続されている。また、これらの常開開閉器の電気信号をモニタすることによって、ロック体80の動作を検出することができる。
【0079】
また、手動ロック解除機構8cは凸部84aを有する解除カム84を備えている。図2に示すように、ロック体80がロック位置へ移動して、ロック体80とロック部161dとが係合状態にある場合に、スイッチ本体1の外部から、解除キー等によって解除カム84を時計回りに回転させることによって、ロック状態を解除することができる。すなわち、解除カム84を時計方向に回転させることによって、凸部84aがリンク体81dと摺接しつつ、リンク体81dを右方へ移動させることができる。その結果、リンク体81dが右方へ移動するのに伴い、リンク体81dに軸支されているロック体80も連動して右方へ移動し、ロック体80とロック部161dとの係合状態が解除され、駆動カム151を回転可能な状態とすることができる。
【0080】
続いて、上記のように構成された安全スイッチの動作について図1ないし3、5、6を参照して説明する。図1に示すように、アクチュエータ3がスイッチ本体1の操作部5に進入していない場合、操作ロッド21はコイルバネに抗して駆動カム151のカム曲線部151cの径大部分により押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態にあり、操作ロッド21により可動部材37が押し込まれている。これによって、各常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aおよび固定接点39b,40bが離間し、各常閉開閉器39,40が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。また、ロック体80は復帰バネ81cに抗して駆動カム151の外周部により押圧されてアンロック位置へと移動しており、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器は、それぞれ閉および開状態となっている。
【0081】
次に、図1および図5に示す初期状態から防護扉等を閉じることによって、アクチュエータ3が操作部5に進入すると、図6に示すように、アクチュエータ3の押圧片3bにより両中間部材17の当接部が押圧され、両中間部材17が図1紙面に向って時計回り方向に回転し、初期位置である第1の位置から第2の位置へ変位する。このとき、両中間部材17の傾斜面17cが、両回転阻止部材19の端部27aにそれぞれ摺接し、これにより、円筒部25同士が突き合わされた状態にあった両回転阻止部材19がコイルバネ31に抗して押し広げられ、両回転阻止部材19は回転阻止解除位置へ移動する。その結果、両回転阻止部材19の円筒部25と、駆動カム151の係止部151dとの係合状態が解除され、駆動カム151は回転可能な状態となる。
【0082】
この状態から、さらにアクチュエータ3が進入すると、図2に示すようにアクチュエータ3の連結片3cが駆動カム151の係合部151aと係合し、アクチュエータ3が進入するに連れて駆動カム151が時計方向(一方向)に回転される。駆動カム151が回転するのに伴い、操作ロッド21の先端がカム曲線部151cの径大部分から径小部分へと摺接しつつ、操作ロッド21がコイルバネの付勢力によって上方に移動する。操作ロッド21が上方に移動するのに伴って、常閉開閉器39,40が開状態から閉状態となる。
【0083】
また、駆動カム151の回転に伴い、ロック部161dがロック体80と対向する位置に移動することによって、復帰バネ81cの付勢力によってロック体80が左方に移動して、ロック部161dとロック体80の先端部80aとが係合状態となり、駆動カム151の回転がロックされてアクチュエータ3の引抜きが阻止された状態となる(図2参照)。また、ロック体80がロック位置へ移動することによって、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器は、それぞれ開および閉状態へと切り換わる。したがって、ロック開閉器部8bの常閉開閉器および第1常閉開閉器39が同時に閉状態となるため、これらの常閉開閉器に直列に接続されているロボット等の産業機械に電源が供給され、産業機械が操作可能な状態となる。
【0084】
続いて、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、図3に示すように、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aに向って吸引される。そのため、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動するため、ロック体80が右方のアンロック位置へと移動する。したがって、ロック体80とロック部161dとの係合状態が解除されるため、駆動カム151の回転のロック状態が解除され、アクチュエータ3が後退可能になり、防護扉等を開放する事が可能な状態となる。
【0085】
また、ロック体80がアンロック位置へと移動するのに伴い、ロック開閉器部8bの常閉開閉器および常開開閉器が、それぞれ開および閉状態に切り換わり、その結果、ロック開閉器部8bの常閉開閉器および第1常開開閉器39と直列に接続されている産業機械の電源が遮断され、産業機械は動作不可能な状態となるともに、ロック開閉器部8bの常開開閉器を流れる電気信号によってアンロック状態であることが検出される。
【0086】
このアンロック状態で、防護扉等が開放されることにより、進入状態のアクチュエータ3が引抜かれると、アクチュエータ3の連結片3cと駆動カム151の係合部151aとの係合状態が解除されるまで駆動カム151がアクチュエータ3の引抜き方向に回転する。この駆動カム151の回転に伴って、操作ロッド21が駆動カム曲線部151cの径小部から径大部へと摺接することでスイッチ部7の方向へ押し込まれて各常閉接点39,40が開状態になり、産業機械は操作不能な状態となる。
【0087】
このとき、両中間部材17が、アクチュエータ3の後退に伴って両ねじりバネ23それぞれにより付勢されて回転し、両中間部材17は上記した第2の位置から第1の位置に変位する。そして、両中間部材17の第1の位置への変位に伴って、両中間部材17の傾斜面17cが両回転阻止部材19の端部27aを進入時とは逆方向にぞれぞれ摺接し、両回転阻止部材19が両コイルバネ31の付勢力によって回転阻止解除位置から回転阻止位置へ移動し、図5に示すように両回転阻止部材1の円筒部25が駆動カム151の係止部151dに係合して、駆動カム151の回転が阻止される。このとき、両回転阻止部材19の円筒部25は互いに突き合わされた状態に復帰する。
【0088】
続いて、図2に示すように駆動カム151の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を後退させて操作部5から引抜こうとした場合について図7および図8を参照して説明する。駆動カム151の回転がロック体80によりロックされた状態でアクチュエータ3を強引に後退させると、アクチュエータ3の連結片3cが駆動カム151の係合部151aに係合しているため、駆動カム151に強制的な回転力が加わる。このとき、補助カム161のロック部161dにはロック体80が係合したままであるため、アクチュエータ3を引抜く力は、駆動カム151を係止しているロック体80とロック部161dとの係合部分に集中する。
【0089】
そして、アクチュエータ3をスイッチ本体1から強引に引抜くと、この実施形態では、連結部材161bの破壊強度をロック体80および駆動カム151の破壊強度よりも低くなるように構成しているため、図7および図8(a)に示すように、破壊強度の低い連結部材161bの連結ピン161b1がロック体80および駆動カム151よりも先に破損する。そして、連結部材161bが脱落して駆動カム151が補助カム161に対して反時計回りに回転可能な状態となる。
【0090】
そして、アクチュエータ3の引抜きに伴い、駆動カム151は反時計方向(他方向)へ回転して操作ロッド21が駆動カム151の駆動カム曲線151cの径小部分から径大部分へと摺接して下動し、開閉器部70の開閉器の開閉状態が正常に切り換わって産業機械への電源が確実に遮断される。
【0091】
一方、図7および図8(a)に示すように、連結部材161bが破損して駆動カム151と補助カム161とが連結できない異常が発生したときに、アクチュエータ3の後退に伴って駆動カム151のみが回転する。そして、駆動カム151との連結が解除された補助カム161の補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151cの径大部分に連続する周面を形成するとともに、係合爪161cが駆動カム151に係合することによって、補助カム161の駆動カム151に対する回転が規制される。
【0092】
その結果、図8(b)に示すように、防護扉等を開放することによってアクチュエータ3が強引に引抜かれた後、再び、防護扉等が閉じられることによってアクチュエータ3が操作部5に再進入したとしても、操作ロッド21が補助カム161の補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151cの径大部分に連続して形成された周面を摺接することで操作ロッド21の移動が阻止される。このように、駆動カム151および補助カム161により本発明の「カム部材」が構成されている。
【0093】
以上のように、この実施形態では、駆動カム151の回転がロックされた状態にある安全スイッチからアクチュエータ3が強引に引抜かれた場合には、連結部材161bが破損することにより駆動カム151の破損が未然に防止されて駆動カム151のみが回転移動し、補助カム161の補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151cの径大部分に連続する周面が形成される。このとき、駆動カム曲線部151cは破損することなく正常な状態であるため、アクチュエータ3の後退に伴う駆動カム151の他方向への回転に伴って操作ロッド21が駆動カム曲線部151cを径小部分から径大部分へと摺接して、スイッチ部の開閉器の状態が正常に切り換わるのでアクチュエータ3の引抜きを検出することができる。
【0094】
そして、アクチュエータ3が引抜かれた後、アクチュエータ3が操作部5へ再進入された場合には、補助カム曲線部161aが駆動カム曲線部151cの径大部分に連続して形成された周面を操作ロッド21が摺接するので、操作ロッド21の移動が阻止される。したがって、ロック機構8aが駆動カム151をロックできない異常が発生しているにも関わらず、アクチュエータ3が挿入されることで安全スイッチの開閉器の開閉状態が切り換わることを防止でき、安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。このように、アクチュエータ3が所定以上の力で強引に引抜かれるという異常な操作が操作部5に対して行われることによる誤動作を未然に防止できる。
【0095】
また、この実施形態では、ヒンジ型電磁石81aをそのコア(中心軸)の方向がロック体80のロック位置とアンロック位置との間の移動方向にほぼ直交するように配設し、ヒンジ型電磁石81aへの通電により発生した電磁的吸引力が働く方向を、作動体81bおよびリンク体81dを介して偏向してロック体80に伝達することによって、ロック体80を移動させているため、例えば、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、安全スイッチ全体の薄型化、小型化を図ることができる。
【0096】
また、この実施形態では、図9に示すように、ケース部材11をカムユニットケース5aとして、補助カム161と一体的に連結された駆動カム151をカムユニットケース5aに収容し、ユニット化してスイッチ本体1に対して組み込み・取り外し自在に配設する構成としている。したがって、例えば、連結部材161bが破損する異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチ1を復元することができる。
【0097】
また、この実施形態では、スイッチ本体1は直方体状を有し、スイッチ本体1の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口9aが、他方にケーブル引き出し口33aがそれぞれ形成されている。このため、図10に示すように、アクチュエータ進入口9aと、ケーブル引き出し口33aとの関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ、アクチュエータ進入口9aが水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表、どちらの面でも配設場所へ密着させることができる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取り付けの選択範囲を広げることができる。
【0098】
また、このような構成とすれば、安全スイッチの取り付けの自由度が増すことによって、従来のようにアクチュエータ進入口を2つ設けなくてもよいため、未使用の側のアクチュエータ進入口からゴミ等が進入することによって安全スイッチが故障するのを防止することができ、安全スイッチの耐久性の向上も図ることができる。なお、図10(a)は安全スイッチの表面を上側にした図、図10(b)は安全スイッチの裏面を上側にした図である。
【0099】
また、この実施形態では、開閉器部70に配設された常閉開閉器39,40の開閉による電気信号によってアクチュエータ3の操作部5内への進入、後退の状態を検出しているため、常閉開閉器39,40の開閉による電気信号により、外部からアクチュエータ3の進入、後退を検出することができる。
【0100】
また、この実施形態では、2個の常閉開閉器39,40を用い、その開閉動作により産業機械への電源供給及び供給遮断を行っているため、例えば、常閉開閉器39,40が閉状態となって、産業機械への電源供給が行われている際に、常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aと固定接点39b,40bとが溶着した場合であっても、アクチュエータ3が後退し、操作ロッド21によって可動部材37が押し込まれることにより、溶着した可動接点39a,40bと固定接点39b,40bとを強制的に開離することができ、安全スイッチの信頼性を向上することができる。
【0101】
また、補助カム161に係合爪161cを形成し、係合爪161cが駆動カム151に係合することによって、補助カム161の駆動カム151に対する回転を規制しているので、新たに部品を追加することなく補助カム161の回転を規制することができるため、部品点数を少なくすることができる。したがって、安全スイッチの組立てを容易に行うことができる。
【0102】
<第2実施形態>
続いて、本発明にかかる本発明にかかる安全スイッチの第2実施形態について図11ないし図16を参照して説明する。この第2実施形態が、上記第1実施形態と相違する点は、ロック体が係合するロック部が駆動カムに設けられ、補助カムの補助カム曲線部が駆動カム曲線部の径大部分に重合するように駆動カムに連結されている点である。その他の構成および動作は上記第1実施形態と同様であるため、以下では図1ないし図6も参照しつつ主として第1実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
【0103】
図11および図12は正常な状態の状態の駆動カムを示す図であり、図13および図14は図11中のB−B線矢視断面図であってそれぞれ異なる状態を示し、図15および図16は補助カムと駆動カムとの連結が解除される異常が発生した状態の駆動カムを示す図である。なお、図11および図15に示す駆動カムは、それぞれ図12および図16に示す駆動カムの回転軸13にほぼ直交する平面での断面図である。
【0104】
なお、スイッチ本体1の左上部に配設された操作部5のケース部材11の内部には、図11ないし図16に示すように、回転軸13がこのケース部材11の内面に枢支されて回転自在に支持された駆動カム15と、この駆動カム15の両側で駆動カム15の回転軸に回転自在に設けられた一対の補助カム16と、補助カム16と同様に駆動カム15の両側で駆動カム15の回転軸13と同軸に駆動カム15とは連動せずに回転自在に設けられた一対の中間部材17と、駆動カム15の回転を阻止する一対の回転阻止部材19とが配設されている。
【0105】
図11および図12に示すように、この駆動カム15の上部外周面には、アクチュエータ3の連結片3cが嵌挿する係合部15aが形成されるとともに、駆動カム15の上部外周面で係合部15aの右寄りにロック体80が係合するロック部15bが形成されている。また、駆動カム15の下部外周面には、操作ロッド21の半球状の先端が摺接する駆動カム曲線部15cが形成されている。そして、上記第1実施形態と同様に、駆動カム15の回転に伴って操作ロッド21が駆動カム曲線部15cを摺接して往復移動すると、スイッチ部7に内蔵されている開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換えられる。
【0106】
また、両補助カム16は、それぞれ、駆動カム曲線部15cとほぼ同じ形状に形成された補助カム曲線部16aと、両補助カム16の補助カム曲線部16aの操作ロッド21が摺接する部位を橋絡するように形成された連結部16bとを有している(図12参照)。そして、図11および図12に示すように両補助カム16で駆動カム15を挟持する状態で、この連結部16bが、駆動カム曲線部15c部の径大部分に形成された被連結部15d(図15,16参照)に嵌合することで、補助カム曲線部16aと駆動カム曲線部15cの径大部分とが重合するように補助カム16と駆動カム15とが連結されている。このように、この実施形態では連結部16bが本発明の「連結手段」として機能している。
【0107】
また、両補助カム16は、それぞれ、上記した連結部16bが破損して被連結部15dとの連結状態が解除される異常が発生したときに、駆動カム15に対して、アクチュエータ3の進入に伴う駆動カム15の回転方向(時計方向)と反対の方向(反時計方向)にのみ、それぞれの補助カム16の回転を許容し、時計回り方向への補助カム16の回転を規制する係合爪16cが設けられている。そして、図15および図16に示すように、係合爪16cが駆動カム曲線部15cの径小部分に係合することで、駆動カム15に対して補助カム16の時計回り方向への回転が規制される。
【0108】
さらに、両補助カム16の周面であって補助カム曲線部16aの左端側には、係止部16dがそれぞれ形成されている。そして、この実施形態では、図11および図13に示すように、この係止部16dに両回転阻止部材19が当接して補助カム16を係止することにより、これらの補助カム16と連結された駆動カム15の回転が阻止されている。
【0109】
一方、図14に示すように、両回転阻止部材19が、互いに離間してケース部材11の内面に接近する方向に移動し、両回転阻止部材19の円筒部25と係止部16dとの係合状態が解除された回転阻止解除位置にある場合には、駆動カム15の回転阻止状態が解除され、駆動カム15は回転可能な状態となる。
【0110】
この実施形態では、上記第1実施形態と同様に、正規物である専用のアクチュエータ3が操作部5内に進入することで回転阻止部材19が図13に示す状態から図14に示す状態へと移行し、駆動カム15が回転可能な状態となる。さらにアクチュエータ3が操作部5内に進入するに連れて、駆動カム15が回転して操作ロッド21が駆動カム曲線部15cを径大部から径小部へと摺接しつつ上動し、開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換わる。このように、回転阻止部材19が本発明の「回転阻止手段」として機能している。
【0111】
そして、ロック体80がロック部15bに係合して、駆動カム15の回転がロックされ、アクチュエータ3の引抜きが防止される。また、ヒンジ型電磁石81aへの通電によってロック体80をアンロック位置へ移動させた後、アクチュエータ3の引抜きに伴い、駆動カム15が反時計方向に回転して操作ロッド21が駆動カム151のカム曲線部151cの径小部から径大部へと摺接する。その結果、操作ロッド21が下動して開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換わる。
【0112】
ところで、操作部5内へのアクチュエータの進入、後退のが繰り返しにより、補助カム曲線部16aに設けられた連結部16bと操作ロッド21の先端との摺接が繰り返され、その結果、連結部16bが磨耗して破損し、被連結部15dとの連結状態が解除される異常が発生した場合について、図15および図16を参照して説明する。
【0113】
図15および図16に示すように、連結部16bが破損して被連結部15dとの連結状態が解除される異常が発生したときには、アクチュエータ3が進入しても補助カム16との連結が解除された駆動カム15のみが回転し、補助カム16の補助カム曲線部16aが駆動カム曲線部15cの径大部分に連続する周面を形成する。また、同図に示すように、上記した補助カム16の回転を規制する係合爪16cが駆動カム曲線部15cの径小部分に係合することで、駆動カム15に対して補助カム16の時計回り方向への回転が規制される。したがって、このようにして形成された連続した周面を操作ロッド21が摺接することで、操作ロッド21の移動を阻止して、スイッチ部7の開閉器の状態が切り換わってしまい産業機械に電源が供給されてしまうのが阻止される。
【0114】
続いて、図13に示すように回転阻止部材19によって、専用のアクチュエータ3以外での駆動カム15の回転が阻止されている安全スイッチ内に、アクチュエータ3以外の異物である、例えばドライバー(本発明の「正規物以外の異物」に相当)が強引に挿入された場合について説明する。このようにアクチュエータ3以外の異物が安全スイッチに内に強引に挿入された場合、中間部材17が第2の位置に移動しないため、回転阻止部材19が図14に示す回転阻止解除位置まで移動しない。
【0115】
したがって、異物が強引に安全スイッチ内に挿入された場合、回転阻止部材19が補助カム16に係合しているため、異物が強引に挿入されることによる駆動カム15を回転させようとする力が、補助カム16と駆動カム15とを連結している連結部16bに加わることとなる。そのため、連結部16bの破壊強度を超える力が加えられることで連結部16bが破損する異常が発生したときには、異物の進入に伴い補助カム16との連結が解除された駆動カム15のみが回転移動して、補助カム16の補助カム曲線部16aが駆動カム曲線部15cの径大部分に連続する周面を形成する。
【0116】
したがって、駆動カム曲線部15cの径大部分に補助カム曲線部16aが連続して形成された周面を操作ロッド21が摺接することにより、操作ロッド21の移動を阻止できるため、スイッチ部7の開閉器の状態が切り換わって産業機械に誤って電源が供給されることが阻止される。このように、駆動カム15および補助カム16により本発明の「カム部材」が構成されている。
【0117】
以上のように、この実施形態では、連結部16bが破損する異常が発生したときには、補助カム曲線部16aと駆動カム曲線部15cの径大部分とが重合するように連結されていた補助カム16が回転移動して、補助カム曲線部16aが駆動カム曲線部15cの径大部分に連続する周面を形成する。したがって、駆動カム曲線部15cの径大部分に補助カム曲線部16aが連続して形成された周面を操作ロッド21が摺接することで、操作ロッド21の移動を阻止することができるので、駆動カム15が破損することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止することができる。
【0118】
また、この実施形態では、回転阻止部材19が補助カム16の係止部16dに係合することで駆動カム15の回転が阻止されている状態で、例えば、ドライバーが強引に安全スイッチ内に挿入されることによって連結部16bが破損する異常が発生したときには、補助カム16との連結が解除された駆動カム15のみが回転移動して補助カム曲線部16aが駆動カム曲線部15cの径大部分に連続する周面を形成するため、操作ロッド21の移動を阻止することができる。したがって、専用のアクチュエータ3以外の異物が安全スイッチ内に強引に挿入されて駆動カム15に破壊強度を超える力が加わったとしても、連結部16bが破損することにより駆動カム15の破損を未然に防止することができ、安全スイッチの誤動作を防止することができる。
【0119】
また、この実施形態では、例えば、補助カム曲線部16aに設けられた連結部16bが操作ロッド21の先端との摺接を繰り返すことで磨耗して破損し、被連結部15dとの連結状態が解除される異常が発生したときには、アクチュエータ3が進入しても補助カム16との連結が解除された駆動カム15のみが回転し、補助カム16の補助カム曲線部16aが駆動カム曲線部15cの径大部分に連続する周面を形成するため、操作ロッド21の移動を阻止することができる。したがって、駆動カム15が磨耗することで破損し、安全スイッチが誤動作することを未然に防止できる。なお、連結部16bの破壊強度を駆動カム15の少なくとも駆動カム曲線部15c破壊強度よりも低く設定するとともに、連結部16bの硬度を操作ロッド21の少なくとも先端部の硬度よりも低く設定するのが望ましい。このように、駆動カム15の破壊強度を超える何らかの外力が操作部5に所定以上の操作量で加わることによる誤動作を未然に防止できる。
【0120】
また、連結部16b、駆動カム15および操作ロッド21の硬度や厚さ、大きさ等を適切に設定して連結部16bの耐久力(製品寿命)を所望程度に設定することで、予め設定した使用回数(アクチュエータの安全スイッチへの進入、後退の回数)あたりで連結部16bが耐久力を失って破損するため、予め設定した使用回数を超える程安全スイッチを使用した場合に、意図的に安全スイッチを使用不能状態にすることも可能となる。そのため、駆動カム15等が不意に破損することによる安全スイッチの誤動作を未然に防止することができ、他の不具合を誘発することなく、使用者が安全スイッチを製造者が設定する保障期間の範囲内で使用することを促すとともに、使用者に安全スイッチの交換時期を報知することができるため、より安全な状態を維持できる。
【0121】
<第3実施形態>
つぎに本発明にかかる安全スイッチの第3実施形態について図17ないし図20を参照して説明する。この第3実施形態が、上記第2実施形態と相違する点は、連結手段の構成が異なる点であり、その他の構成および動作は上記第2実施形態と同様であるため、以下では、図1ないし図6も参照しつつ主として第1および第2実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第1および第2実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
【0122】
図17および図18は正常な状態の状態の駆動カムを示す図であり、同図に示すように、補助カム160と駆動カム150はそれぞれに設けられた孔160e,150dに連結ピン160bが挿通されることで、補助カム曲線部160aと駆動カム曲線部150cとが重合するように連結されている。また、図19および図20は連結ピン160bが破損する異常が発生した状態の駆動カムを示す図であり、連結ピン160bが破損して補助カム160との連結が解除された駆動カム150が回転して、補助カム曲線部160aが駆動カム曲線部150cの径大部分に連続する周面を形成した状態を示している。このように、この実施形態では、連結ピン160bが本発明の「連結手段」として機能している。なお、図17および図19に示す駆動カムは、それぞれ図18および図20に示す駆動カムの回転軸13にほぼ直交する平面での断面図である。また、駆動カム150および補助カム160により本発明の「カム部材」が構成されている。
【0123】
以上のように、この実施形態では、図13に示すように、上記第2実施形態と同様に回転阻止部材19が補助カム160係合して、専用のアクチュエータ3以外での駆動カム150の回転が阻止されている。この安全スイッチ内に、アクチュエータ以外の異物である、例えばドライバーが強引に挿入された場合、中間部材17が第2の位置に移動しないため、回転阻止部材19が図14に示す回転阻止解除位置まで移動しない。
【0124】
したがって、異物が強引に安全スイッチ内に挿入された場合、回転阻止部材19が補助カム160の係止部160dに係合しているため、正規物以外の異物が強引に挿入されることによる駆動カム150を回転させようとする力が、補助カム160と駆動カム150とを連結している連結ピン160bに加わることとなる。その結果、連結ピン160bの破壊強度を超える力が加えられることによって連結ピン160bが破損する異常が発生したときには、異物の操作部5内への進入に伴い補助カム160との連結が解除された駆動カム150のみが回転移動して、補助カム160の補助カム曲線部160aが駆動カム曲線部150cの径大部分に連続する周面を形成する。
【0125】
したがって、駆動カム曲線部150cの径大部分に補助カム曲線部160aが連続して形成された周面を操作ロッド21が摺接することにより、操作ロッド21の移動を阻止できるため、スイッチ部7の開閉器の状態が切り換わって産業機械に誤って電源が供給されることを阻止できる。そのため、正規物である専用のアクチュエータ3以外の異物が安全スイッチ内に強引に挿入されて駆動カム150に破壊強度を超える力が加わったとしても、連結ピン160bが破損することで駆動カム150が破損するのを未然に防止することができ、安全スイッチの誤動作を防止することができる。
【0126】
なお、連結ピン160bの破壊強度は駆動カム160の破壊強度よりも低く設定するのが望ましい。また、連結ピン160bの材質、形状を適宜変更することで使用目的に応じた強度を有する安全スイッチを提供することができる。
【0127】
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記した第2および第3実施形態では、ロック機構を備える安全スイッチを例に挙げて説明したが、ロック機構を備えていない安全スイッチに本発明を適用してももちろんよい。
【0128】
また、連結手段の構成は上記第1ないし第3実施形態における構成に限定されず、駆動カムと補助カムとを連結することができる構成であれば、どのような構成であってもよい。例えば、駆動カムおよび補助カムにそれぞれ嵌合可能に凹凸部を設け、該凹凸部を嵌合することで駆動カムおよび補助カムを連結することができる。このような構成とすれば、部品点数を少なくすることができ安全スイッチの組み立てを容易に行うことができる。
【0129】
また、上記した実施形態では、開閉器部に常閉開閉器のみを配設しているが、開閉器部に配設された常閉開閉器のうちの一方を常開開閉器としてもよい。この場合、常閉開閉器を外部装置の動作制御に使用して、常開開閉器をアクチュエータの進入を検出するための電気信号を得るための開閉器とすればよい。このような構成とすれば、アクチュエータの進入に伴い常閉開閉器が閉状態となって、外部装置が操作不能状態から操作可能状態となる一方、常開開閉器はアクチュエータの進入に伴って開状態となる。このように、常閉開閉器とは逆の開閉動作を行う常開開閉器の開閉状態をモニタすることにより、アクチュエータの進入、後退に加えて、外部装置の状態を外部から確認することができる。
【0130】
また、上記第1実施形態におけるカムユニットケースを第2および第3実施形態で採用してももちろんよい。
【0131】
また、上記した実施形態では、常閉開閉器を2個設けているが、開閉器の数としてはこれに限定されるものではなく、1個または3個或いは、4個以上設けてもよい。なお、安全スイッチとしての信頼性を高めるためには、常閉開閉器を少なくとも2個設けることが望ましい。さらに、第2常閉開閉器40は、可動接点40aと固定接点40bの位置を変更することにより、常開開閉器に切り換えることができるよう構成されているため、スイッチ部7の開閉器構成を用途に応じて簡単に変更することができる。
【0132】
このとき、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換える場合には、可動接点40aと固定接点40bの位置を変更するだけよく、各開閉器構造に専用の部品を必要としないため、コストの低減を図ることができ、しかも部品が増加することによる部品の組間違え等も未然に防ぐことができる。なお、上記した実施形態では、第2常閉開閉器40のみを開閉器構造が切り換え可能な開閉器として構成しているが、これに限定されるものではなく、開閉器構造が切り換え可能な開閉器の数は任意である。
【0133】
また、上記した実施形態では、復帰バネ81cのバネ荷重(付勢力)によってロック体80をロック位置へ移動させて、ヒンジ型電磁石81aが通電状態となったときの電磁的吸引力によってロック体80をアンロック位置へ移動させているが、この電磁的吸引力によってロック体80をロック位置へ移動させてロック機構8aをロック状態としてもよい。この場合、例えば、ロック体80をアンロック位置へ移動させる向きに付勢力が働くような復帰バネを配設するのが望ましい。
【0134】
また、上記第1および第2実施形態おいて、回転阻止部材19を備えない構成でもよい。このような構成であっても、進退物(アクチュエータ3等)による操作部5に対する異常な操作量(「操作部からのアクチュエータの所定以上の強引な引抜き力の大きさ」、「アクチュエータの所定回数以上の進入、後退の繰り返し回数」等)を検知して、カム部材のカム曲線部の形状が変化することで、安全スイッチが誤動作するのを防止することができる。
【0135】
以上のように、上記第1ないし第3実施形態は、外部からの進退物の操作部5への進入操作および操作部5からの後退操作の操作量を検知する検知部を備え、該操作量が予め定めた所定量に達したことを検知部が検知した場合にカム部材のカム曲線部の形状が変化する構成である。
【0136】
すなわち、上記第1実施形態における「操作部からのアクチュエータの所定以上の強引な引抜き力の大きさ」、上記第2実施形態における「アクチュエータの所定回数以上の進入、後退の繰り返し回数」、上記第2および第3実施形態における「操作部へのドライバー等の異物の強引な進入力の大きさ」がここでいう「所定量」に相当する。また、この検知部は、上記第1実施形態における「連結部材161b」、上記第2実施形態における「連結部16b」、上記第3実施形態における「連結ピン160b」が相当する。
【0137】
また、上記第1ないし第3実施形態では、連結部材161b、連結部15bまたは連結ピン160bが破損や磨耗をすることで、進退物(専用のアクチュエータ等の正規物や、正規物以外のドライバー等の異物)の操作部5への進入、後退操作が予め定めた所定量に達したことを検知することができる。また、上記第1ないし第3実施形態では、操作部5に設けられた駆動カムおよび補助カムにより本発明の「カム部材」が構成されている。そして、連結部材161b、連結部15bまたは連結ピン160bが破損や磨耗をすることで、駆動カムと補助カムとの相対的な位置変化によりカム部材のカム曲線部の形状が変化する(上記第1実施形態では図4の第1形状から図8の第2形状へ、上記第2実施形態では図12の第1形状から図16の第2形状へ、上記第3実施形態では図18の第1形状から図20の第2形状へと変化する。)。
【0138】
これによって、検知部が外部からの進退物の操作部5に対する操作が所定量に達したことを検知するとカム部材のカム曲線部の形状が変化することで、正規物であるアクチュエータ3を始め、異物であるドライバー等の進退物の操作部への進入、後退操作に伴うスイッチ部7やロック開閉器部8bが有する開閉器がどのような開閉状態となるかを変更することができる。したがって、安全スイッチの誤動作を未然に防止することができ、安全スイッチに異常が発生している状態では外部装置への通電が確実に遮断された状態とすることができるため、安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図4】この発明の第1実施形態における駆動カムの拡大図である。
【図5】図1のA−A線矢視断面図である。
【図6】図1のA−A線矢視断面図である。
【図7】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図8】この発明の第1実施形態における駆動カムの拡大図である。
【図9】この発明の第1実施形態におけるカムユニットケースを示す図である。
【図10】この発明の第1実施形態における安全スイッチの外観図である。
【図11】この発明の第2実施形態における駆動カムの要部拡大図である。
【図12】図10に示す駆動カムの拡大図である。
【図13】図11のB−B線矢視断面図である。
【図14】図11のB−B線矢視断面図である。
【図15】この発明の第2実施形態における駆動カムの要部拡大図である。
【図16】図15に示す駆動カムの拡大図である。
【図17】この発明の第3実施形態における駆動カムの要部拡大図である。
【図18】図17に示す駆動カムの拡大図である。
【図19】この発明の第3実施形態における駆動カムの要部拡大図である。
【図20】図19に示す駆動カムの拡大図である。
【符号の説明】
【0140】
1…スイッチ本体
3…アクチュエータ
33a…ケーブル引き出し口
5…操作部
5a…カムユニットケース
15,150,151…駆動カム
15a,150a,151a…係合部
15c,150c,151c…カム曲線部
16,160,161…補助カム
16a,160a,161a…補助カム曲線部
16b…連結部(連結手段)
160b,161b…連結部材(連結手段)
161c…係合爪(回転規制手段)
21…操作ロッド
39,40…常閉開閉器(開閉器)
7…スイッチ部
70…開閉器部
8…ロック機構部
8a…ロック機構
80…ロック体
9a…アクチュエータ進入口(進退物進入口)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ本体の操作部への進退物の進入、後退に応じて前記操作部に設けられたカム部材が両方向に回転し、この前記カム部材の両方向の回転によりスイッチ部に設けられた操作ロッドが前記カム部材のカム曲線部を摺接して往復移動することで開閉器が開閉して前記進退物の進入、後退を検出する安全スイッチにおいて、
進入操作および後退操作により前記操作部に進入、後退する進退物の操作量が、予め定めた所定量に達したことを検知する検知部を備え、
前記カム部材は、前記検知部による前記所定量の検知により変形するカム曲線部を有することを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
前記カム部材は、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記駆動カムの回転軸に回転自在に軸支された補助カムとを有し、
前記スイッチ本体のロック機構部に設けられ前記進退物が進入状態にあるときに前記駆動カムの回転をロックするロック体をさらに備え、
前記駆動カムは、その外周面に係合部および駆動カム曲線部がそれぞれ形成され、前記進退物の押込みに伴い、前記進退物の一部が前記係合部に係合し、該係合状態のままで前記進退物が前記操作部に進入するに連れて一方向に回転され、前記進退物の引抜きに伴い、前記進退物が前記操作部から後退するに連れて、前記進退物の一部が前記係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転され、この駆動カムの両方向への回転により、前記操作ロッドが前記駆動カム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することによって往復移動し、
前記補助カムは、
前記駆動カムの前記駆動カム曲線部の径大部分とほぼ同径に形成された補助カム曲線部と、
前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部以外の部分と重合するように、前記補助カムと前記駆動カムとを連結する連結手段と、
前記ロック体が係合するロック部と、
前記連結手段の破損時に、前記進退物の後退に伴う前記駆動カムの回転方向と反対の一方向にのみ前記補助カムの回転を許容し他方向への回転を規制する回転規制手段とを有し、
前記ロック体が前記ロック部に係合した状態で前記進退物が強制的に後退されることで前記連結手段が破損する異常が発生したときに、
前記進退物の後退に伴って前記駆動カムのみが回転し、前記駆動カムとの連結が解除された前記補助カムの前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成して、前記進退物の再進入による前記操作ロッドの移動を阻止することを特徴とする請求項1に記載の安全スイッチ。
【請求項3】
前記カム部材は、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記駆動カムの回転軸に回転自在に軸支された補助カムとを有し、
前記駆動カムは、その外周面に係合部および駆動カム曲線部がそれぞれ形成され、前記進退物の押込みに伴い、前記進退物の一部が前記係合部に係合し、該係合状態のままで前記進退物が前記操作部に進入するに連れて一方向に回転され、前記進退物の引抜きに伴い、前記進退物が前記操作部から後退するに連れて、前記進退物の一部が前記係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転され、この駆動カムの両方向への回転により、前記操作ロッドが前記駆動カム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することによって往復移動し、
前記補助カムは、
前記駆動カムの前記駆動カム曲線部の径大部分とほぼ同じ形状に形成された補助カム曲線部と、
前記補助カム曲線部と前記径大部分とが重合するように、前記補助カムと前記駆動カムとを連結する連結手段とを有し、
前記連結手段が破損する異常が発生したときに、前記駆動カムとの連結が解除された前記補助カムが回転移動して前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成し、前記操作ロッドが前記径大部分および前記補助カム曲線部を摺接することで、前記操作ロッドの移動を阻止することを特徴とする請求項1に記載の安全スイッチ。
【請求項4】
前記連結手段は、前記補助カム曲線部の前記操作ロッドの先端が摺接する部位に設けられた連結部を有し、前記連結部と前記駆動カム曲線部の径大部分に形成された被連結部とを連結して前記補助カムと前記駆動カムとを連結し、
前記連結部が破損して前記被連結部との連結状態が解除される異常が発生したときに、
前記進退物が進入しても、前記補助カムとの連結が解除された前記駆動カムのみが回転し、前記補助カムの前記補助カム曲線部と前記駆動カム曲線部の径大部分とが連続する周面を形成して前記操作ロッドの移動を阻止することを特徴とする請求項3に記載の安全スイッチ。
【請求項5】
前記進退物として、予め定められた正規物以外の異物が進入した場合に、前記補助カムに係合することで前記駆動カムの回転を阻止する回転阻止手段をさらに備え、
前記回転阻止手段が前記補助カムに係合した状態で前記正規物以外の異物が進入することで前記連結手段が破損する異常が発生したときに、
前記補助カムとの連結が解除された前記駆動カムが前記正規物以外の異物の進入に伴って回転しても、前記補助カムの前記補助カム曲線部と前記駆動カム曲線部の径大部分とが連続する周面を形成して前記操作ロッドの移動を阻止することを特徴とする請求項3または4に記載の安全スイッチ。
【請求項6】
少なくとも、前記駆動カムおよび前記補助カムは、同一のユニットケースに収容されてユニット化され前記スイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の安全スイッチ。
【請求項7】
前記スイッチ本体は直方体状を有し、前記スイッチ本体の対向する一組の隅部の一方に進退物進入口が、他方にケーブル引き出し口がそれぞれ形成されており、
前記ケーブル引き出し口からケーブルが、ほぼ前記対向する一組の隅部を結ぶ方向へ引き出されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の安全スイッチ。
【請求項1】
スイッチ本体の操作部への進退物の進入、後退に応じて前記操作部に設けられたカム部材が両方向に回転し、この前記カム部材の両方向の回転によりスイッチ部に設けられた操作ロッドが前記カム部材のカム曲線部を摺接して往復移動することで開閉器が開閉して前記進退物の進入、後退を検出する安全スイッチにおいて、
進入操作および後退操作により前記操作部に進入、後退する進退物の操作量が、予め定めた所定量に達したことを検知する検知部を備え、
前記カム部材は、前記検知部による前記所定量の検知により変形するカム曲線部を有することを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
前記カム部材は、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記駆動カムの回転軸に回転自在に軸支された補助カムとを有し、
前記スイッチ本体のロック機構部に設けられ前記進退物が進入状態にあるときに前記駆動カムの回転をロックするロック体をさらに備え、
前記駆動カムは、その外周面に係合部および駆動カム曲線部がそれぞれ形成され、前記進退物の押込みに伴い、前記進退物の一部が前記係合部に係合し、該係合状態のままで前記進退物が前記操作部に進入するに連れて一方向に回転され、前記進退物の引抜きに伴い、前記進退物が前記操作部から後退するに連れて、前記進退物の一部が前記係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転され、この駆動カムの両方向への回転により、前記操作ロッドが前記駆動カム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することによって往復移動し、
前記補助カムは、
前記駆動カムの前記駆動カム曲線部の径大部分とほぼ同径に形成された補助カム曲線部と、
前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部以外の部分と重合するように、前記補助カムと前記駆動カムとを連結する連結手段と、
前記ロック体が係合するロック部と、
前記連結手段の破損時に、前記進退物の後退に伴う前記駆動カムの回転方向と反対の一方向にのみ前記補助カムの回転を許容し他方向への回転を規制する回転規制手段とを有し、
前記ロック体が前記ロック部に係合した状態で前記進退物が強制的に後退されることで前記連結手段が破損する異常が発生したときに、
前記進退物の後退に伴って前記駆動カムのみが回転し、前記駆動カムとの連結が解除された前記補助カムの前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成して、前記進退物の再進入による前記操作ロッドの移動を阻止することを特徴とする請求項1に記載の安全スイッチ。
【請求項3】
前記カム部材は、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記駆動カムの回転軸に回転自在に軸支された補助カムとを有し、
前記駆動カムは、その外周面に係合部および駆動カム曲線部がそれぞれ形成され、前記進退物の押込みに伴い、前記進退物の一部が前記係合部に係合し、該係合状態のままで前記進退物が前記操作部に進入するに連れて一方向に回転され、前記進退物の引抜きに伴い、前記進退物が前記操作部から後退するに連れて、前記進退物の一部が前記係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転され、この駆動カムの両方向への回転により、前記操作ロッドが前記駆動カム曲線部の径大部分と径小部分とを摺接することによって往復移動し、
前記補助カムは、
前記駆動カムの前記駆動カム曲線部の径大部分とほぼ同じ形状に形成された補助カム曲線部と、
前記補助カム曲線部と前記径大部分とが重合するように、前記補助カムと前記駆動カムとを連結する連結手段とを有し、
前記連結手段が破損する異常が発生したときに、前記駆動カムとの連結が解除された前記補助カムが回転移動して前記補助カム曲線部が前記駆動カム曲線部の径大部分に連続する周面を形成し、前記操作ロッドが前記径大部分および前記補助カム曲線部を摺接することで、前記操作ロッドの移動を阻止することを特徴とする請求項1に記載の安全スイッチ。
【請求項4】
前記連結手段は、前記補助カム曲線部の前記操作ロッドの先端が摺接する部位に設けられた連結部を有し、前記連結部と前記駆動カム曲線部の径大部分に形成された被連結部とを連結して前記補助カムと前記駆動カムとを連結し、
前記連結部が破損して前記被連結部との連結状態が解除される異常が発生したときに、
前記進退物が進入しても、前記補助カムとの連結が解除された前記駆動カムのみが回転し、前記補助カムの前記補助カム曲線部と前記駆動カム曲線部の径大部分とが連続する周面を形成して前記操作ロッドの移動を阻止することを特徴とする請求項3に記載の安全スイッチ。
【請求項5】
前記進退物として、予め定められた正規物以外の異物が進入した場合に、前記補助カムに係合することで前記駆動カムの回転を阻止する回転阻止手段をさらに備え、
前記回転阻止手段が前記補助カムに係合した状態で前記正規物以外の異物が進入することで前記連結手段が破損する異常が発生したときに、
前記補助カムとの連結が解除された前記駆動カムが前記正規物以外の異物の進入に伴って回転しても、前記補助カムの前記補助カム曲線部と前記駆動カム曲線部の径大部分とが連続する周面を形成して前記操作ロッドの移動を阻止することを特徴とする請求項3または4に記載の安全スイッチ。
【請求項6】
少なくとも、前記駆動カムおよび前記補助カムは、同一のユニットケースに収容されてユニット化され前記スイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の安全スイッチ。
【請求項7】
前記スイッチ本体は直方体状を有し、前記スイッチ本体の対向する一組の隅部の一方に進退物進入口が、他方にケーブル引き出し口がそれぞれ形成されており、
前記ケーブル引き出し口からケーブルが、ほぼ前記対向する一組の隅部を結ぶ方向へ引き出されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の安全スイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−323985(P2007−323985A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153460(P2006−153460)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
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