説明

安全機能がついた流体ろ過装置および方法

流体ろ過装置は筺体部と蓋部を備え、蓋部を貫通して延在する安全ピン機構が視覚的表示により流体ろ過装置の不適切な作動を防止する。筺体部には流出穴が含まれており、ろ過する流体の漏れを防止するため、流出穴の内部には蓋部を筺体部に適切に当接させるための流出ガスケットが含まれる。蓋部を筺体部に固定し流体の漏れを防止するためさらに内部円周ガスケットが含まれる。蓋部と筺体部との間のカム界面が蓋部と筺体部とを確実に固定し、安全ピン機構は、蓋部が筺体部から外れるのを防止し、それによって蓋部が意図せずして不安全に筺体部から外れるのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体ろ過装置に関し、より詳しくは、内部フィルタエレメントを備え、モジュール式筐体を含み得る流体ろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体ろ過装置は製造や処理の様々な用途に使用されている。従来の流体フィルタでは通常フィルタカートリッジかフィルタバッグの形態のフィルタエレメントが使用されている。周知のろ過装置は有効ではあるが、流体ろ過装置の予期しない破壊を防止するためのコスト効果の高い方法や、流体ろ過装置が流体ろ過に適した状態にあることを示す表示を提供することは有益である。
【0003】
従って、流体ろ過装置の筺体部に対する蓋部の装着位置が不適切であることを検知するための安全機能を複数設けた流体ろ過装置を提供する必要性がますます高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、様々な種類の流体をろ過する改良された流体ろ過装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、流体をろ過するため流体フィルタアセンブリには筺体部と蓋部が備えられている。筺体部にはフィルタエレメントを挿入するためのアクセス口が含まれる。蓋部はアクセス口を覆うために使用され、筺体部に固定される。筺体部にはさらに、流体ろ過装置が作動中に流体を通過させる入口と出口が含まれる。
【0006】
本発明の別の態様によれば、筺体部はさらに、蓋部と筺体部とが互いに固定されると、蓋部のカム係止部材により覆われる複数の流出穴と流出ガスケットを含む。流出穴と流出ガスケットは筺体部と蓋部とが流体密に封止されているかどうかを示す。
【0007】
本発明の別の態様において、蓋部は、蓋部と筺体部とが互いに固定されると、筺体部の上縁部の内側の半径方向表面に当接する円周ガスケットを含む。円周ガスケットは筺体部の内側と蓋部の内部の円筒状の縁部とが流体密に封止されているかどうかを示す。
【0008】
本発明の更なる態様では、蓋部が正しい装着位置にないことを視覚的に示し、また蓋部が筺体部から意図せずして外れないよう物理的に固定するように設計された安全ピンが蓋部に設けられる。安全ピンは、蓋部が筺体部に対して正しい装着位置にあるときに筺体部のカム係止部分に当接するプランジャと内部バネとを含む。従って蓋部を筺体部から取り外すためにはこのプランジャをカム係止部分との接触位置から適切に引き上げる必要がある。
【0009】
添付の図面と共に後述の実施形態の説明を参照することにより、本発明の様々な特徴がより明らかになるであろう。図面においては、同一の参照符号は同一または類似の要素を表す。
【0010】
本発明の好ましい例示的実施形態を添付の図面に示す。すべての図面を通じて、同一の参照符号は同一の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】密封位置にある、本発明による流体ろ過装置の部分平面図である。
【図2】図1の線2−2に沿った断面図である。
【図3】図2のバネ係止機構の拡大図である。
【図4】図1の線4−4に沿った断面を示す、密封位置にある流体ろ過装置の側面図である。
【図5】中間位置にある、図4の流体ろ過装置の断面を示す側面図である。
【図6】開放位置にある、図4の流体ろ過装置の断面を示す側面図である。
【図7】開放位置にある流体ろ過装置の部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、図1に示すようなフィルタアセンブリ10の形状をした、改良された流体ろ過装置を概ね開示している。フィルタアセンブリ10には、ハンドル16を有する蓋部14と筺体部12が含まれる。筺体部12には、流体がフィルタアセンブリ内に導かれ、そこから流れ出し得る入口42と出口(図示せず)が含まれる。筺体部12は、米国特許出願第10/972,978号明細書に示すようなモジュール式でもよく、または米国特許出願第10/972,976号明細書に示すような非モジュール式でもよい。さらにこの筺体部12はフィルタ筺体部12内にフィルタエレメント(図示せず)を保持するように構成されてもよい。その場合のフィルタエレメントはフィルタバスケットとフィルタバッグの組み合わせや、フィルタカートリッジ、その他の適切な形式のフィルタエレメントのいずれでもよい。このようなフィルタエレメントは、フィルタエレメントに流体を通過させるため、アクセス口22を介して筺体部12内部に設置してもよい。
【0013】
筺体部12は、316ステレンス鋼、304ステレンス鋼、炭素鋼、またはポリプロピレン等、適切な材料で製造してよい。図示の実施形態では、20%ガラス充填したポリプロピレンを使用している。当技術分野で公知のように、筺体部12に使用した材料や、フィルタアセンブリ10、流体ろ過装置の用途により、筺体部12の内部に様々なコーティングを行ってもよい。
【0014】
図1に示すように、断面図部分において蓋部14は筺体部12とカム界面を介して界接している。カム界面については詳細に後述する。図1ではさらに、筺体部12に流出穴20が開けられ、流出穴20の内部に流出ガスケット18が嵌合されている。図2は、筺体部12の上縁部に2つの対向する流出穴18を示している。図示の実施形態では、流出穴20を2か所示しているが、流出穴20の数は複数でもよく、この数を制限するのは筺体部12に配置されるカム部材の数のみである。図2に示すように、流出穴20はその内部に流出ガスケット18を貫通して配置できるようになっており、流出ガスケット18の円周部は筺体部12の外側に向かって延在している。蓋部14が筺体部12に界接すると、蓋部のカム係止部材28は各流出ガスケット18の延在する円周部を遮る位置に着脱自在に配置され、各流出ガスケット18の延在する円周部が蓋部の各カム係止部材28に結合して蓋部14と筺体部12とを封止する。蓋部14が筺体部12から外れたとき、または蓋部14が適切な装着位置にないときには、流体が流出穴20を通じて流出して、流体ろ過装置の操作者に対し蓋部14と筺体部12との位置が整合していないことを示し、装置の作動停止を促すように設計されている。
【0015】
図2にはさらに垂直方向に延在する円筒状の縁部30と縁部30に装着された円筒状に延在するガスケット32が示されている。図3に示すように、ガスケット32は開放端33を備えているので、蓋部14が筺体部12に正しく装着されると、ガスケット32は圧縮して筺体部12の内側の半径方向表面34に結合する。ガスケット32は、蓋部14が筺体部12と適切に結合し、さらに流体ろ過装置の作動中に蓋部14が筺体部12から流体を流出させないための位置合わせ機構を提供する。
【0016】
流体フィルタアセンブリ10にはさらに蓋部14に取り付けられた安全ピン36が含まれている。安全ピン36には蓋部14の穴を貫通して垂直上方向に延在する部分と、蓋部14の穴を貫通して垂直下方向に延在し筺体部12とカム界面において接触するプランジャ40が含まれている。安全ピン36の内部には、プランジャ40が蓋部14を筺体部12に固定するための機構を提供するバネ38が含まれている。安全ピン36を蓋部14に固定するため、図3のように安全ピン36は蓋部14の貫通穴に螺合するのが好ましい。
【0017】
図4のように、本発明には、蓋部14を筺体部12に結合し、公知の流体ろ過装置と比較してより確実な結合を提供するカム界面が含まれている。筺体部12には円周方向に延在する係止部分24と長手方向に延在する止め部分26を備えるカム部材が含まれている。蓋部14には係止部材28が配置されており、この係止部材28が筺体部12のカム係止部分24と止め部分26とに噛合う。このとき係止部材28は係止部分24の下部に嵌合し、係止部材28が止め部分26に当接してその移動を完了するときに、蓋部14が筺体部12に結合する。図4の断面部に示すように、流出穴20と流出ガスケット18は係止部分24の下に止め部分26に近接して筺体部12に配置されている。従って、蓋部14のカム係止部材28が係止部分24と止め部分26に噛合うと、流出穴20はカム係止部材28により覆われる。
【0018】
流体フィルタアセンブリ10を使用する前に、フィルタエレメントを筺体部12内にアクセス口22を介して装着する必要がある。まず蓋部14を取り外し、次に米国特許出願第10/972,976号明細書と米国特許出願第10/972,978号明細書に開示されるように、フィルタエレメントをアクセス口22に長手方向に挿入する。
【0019】
次に、図7のように蓋部14を、筺体部12を覆うように配置する。図7に示すように、蓋部14の各カム係止部材28は、最初は筺体部12の各カム係止部分24と各止め部分26の間に隔置されている。蓋部14が筺体部12の上縁部を覆って下向きに嵌合されると、ガスケット32が筺体部12の内側の半径方向表面34に界接し、接触する。このとき安全ピン36が押し上げられ、バネ38は押しつぶされて、プランジャ40は筺体部12のいずれかのカム部材の円周方向に延在する係止部分24に接触する。安全ピン36がこの上方向に延在する位置にあることにより、本発明の流体ろ過装置の操作者に対して蓋部14と筺体部12はまだ正しい装着位置にないことが視覚的に表示される。
【0020】
蓋部14を筺体部12に固定するためには、図5に図示の実施形態に示すように、蓋部のハンドル16を使って蓋部14を時計回り方向にひねる。図に示すように、蓋部14のカム係止部材28はカム係止部分24の下を移動して係止部分24と噛合う。図5に示すように、筺体部12のカム係止部分24は、蓋部14のカム係止部材28と噛合う部分が右から左に水平方向から上向きに数度の角度がつくように勾配をつけるのが好ましい。この上向きにつけた角度により、蓋部14が筺体部12から外れるときに下向きの力がさらに必要となるために、蓋部14と筺体部12の固定がさらに確実になる。
【0021】
図4に示すように、蓋部14のカム係止部材28が筺体部12のカム係止部分24の下での移動を完了して止め部分26に当接すると、バネ38が再度伸長するため安全ピン36のプランジャ40が円周方向に延在する係止部分24の側を通過して落ち込む。こうしてプランジャ40は係止部分24の外縁部に当接したので、蓋部14が反時計回り方向に意図せずして回転し外れることを防止する。蓋部14と筺体部12のこの結合は図1の密封位置にも示される。
【0022】
蓋部14が筺体部12に固定されてアクセス口22が密封された状態で、流体は入口42を介して筺体部12内に導かれ、フィルタエレメント(図示せず)を通過して、出口(図示せず)から流れ出す。このとき流体ろ過装置は加圧するのも好ましい。蓋部14が筺体部12にガスケット32において正しい位置で装着されていない場合、流体はガスケット32が封止する蓋部14と筺体部12の間の開口部を介して流出する。筺体部12の外側に流体が存在することを視覚的に示すしるしが、流体ろ過装置の操作者に対し流体ろ過装置が正しく作動していないことを示し、よって操作者に流体のろ過作業を中止するよう促すこととなる。さらに、蓋部14が筺体部12に流出穴20と流出ガスケット18において正しい位置で装着されていない場合、流体は流出穴20を介して流出し筺体部12の外側に出現して、流体ろ過装置の操作者に対して流体が漏れていることを示し、操作者に流体ろ過装置を停止するように促す。
【0023】
蓋部14を筺体部12から取り外すときには上述した一連の事象が行われる。まず安全ピン36を持ち上げてバネ38を押しつぶしながら、係止部分24の外縁部に当接した位置からプランジャ40を解放する必要がある。同時にハンドル16を使って蓋部14を反時計回転方向に回すことにより、図5に示すように蓋部14の係止部材28を筺体部12の係止部分24の下の位置から外す。安全ピン36に加えて蓋部14の係止部材28と筺体部12の係止部分24が構成するカム界面も共に用いることにより、操作者は筺体部12から蓋部14を外すために両手を使用して蓋部14を下向きに加圧しなければならない。これら複数の安全機能により筺体部12と蓋部14の結合がより確実なものとなる。
【0024】
上述の説明から、ここに開示する本発明はレクリエーション用車両の支持と安定化のための新規で有利な装置を提供することが明らかであろう。上述の説明はあくまでも本発明の例示的な方法や例示的な実施形態を説明、開示するものである。本発明の趣旨や本質的特徴から逸脱することなく、本発明を他の固有の形式で実施し、また他の材料を使用できることは当業者には明白であろう。従って本発明の開示は例を示すことを意図したものであり、特許請求の範囲に定める発明の範囲を限定することを意図したものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と出口を有する流体通路を画定する内側表面とアクセス口とを備えた筺体部と、
カム界面により前記筺体部に着脱自在に固定可能な蓋部と、
通過する流体をろ過するように構成されたフィルタエレメントと、
前記蓋部と前記筺体部との間を密封して配置されたガスケットとを含み、
前記カム界面は前記筺体部と前記蓋部との両方にカム部材を含む流体フィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記ガスケットが、前記筺体部内を流れる流体と流体連通する開放端をさらに含む請求項1に記載の流体フィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記筺体部が、筺体部カム部材に近接して流出穴をさらに備える請求項1に記載の流体フィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記流出穴の内部に着脱自在に固定された流出ガスケットをさらに備えており、前記流出ガスケットの一部分が前記流出穴を横方向に貫通して延在し、前記流出ガスケットの別の部分が前記筺体部の外側表面から横方向に延在する請求項3に記載の流体フィルタアセンブリ。
【請求項5】
複数の前記流出穴と前記流出ガスケットをさらに備える請求項3に記載の流体フィルタアセンブリ。
【請求項6】
前記蓋部に安全ピンをさらに備えており、前記安全ピンが選択的に前記蓋部を前記筺体部に着脱自在に固定可能にする働きをする請求項4に記載の流体フィルタアセンブリ。
【請求項7】
前記安全ピンがプランジャとバネとをさらに含んでおり、前記蓋部が着脱自在に前記筺体部に固定されると、前記プランジャが前記筺体部のカム部材の側を通過して、前記筺体部の前記カム部材に近接して着座係合する請求項6に記載の流体フィルタアセンブリ。
【請求項8】
前記フィルタエレメントが、フィルタバスケットと、前記フィルタバスケットに係合可能なフィルタバッグとを含む請求項7に記載の流体フィルタアセンブリ。
【請求項9】
前記フィルタエレメントが、フィルタカートリッジを含む請求項7に記載の流体フィルタアセンブリ。
【請求項10】
前記筺体部の各カム部材が、円周方向に延在する部分と、長手方向に延在する止め部分とを含む請求項1に記載の流体フィルタアセンブリ。
【請求項11】
入口と出口を有する流体通路を画定する内側表面とアクセス口とを備えたフィルタ筺体部を設けるステップと、
通過する流体をろ過するように構成されたフィルタエレメントを前記流体通路内に配置するステップと、
前記フィルタ蓋部と前記フィルタ筺体部との間を密封して配置されたガスケットとカム界面とにより、前記フィルタ筺体部に着脱自在に固定可能な前記フィルタ蓋部を設けるステップと、
前記フィルタ蓋部を、前記アクセス口を覆うように前記フィルタ蓋部を配置して、前記フィルタ蓋部を前記フィルタ筺体部に着脱自在に固定するステップと、
前記入口から前記出口まで前記フィルタ筺体部と前記フィルタエレメントを介して流体を通過させるステップとを含み、
前記カム界面は前記フィルタ筺体部と前記フィルタ蓋部との両方に複数のカム部材を含む流体ろ過方法。
【請求項12】
前記ガスケットが、前記フィルタ筺体部内を流れる流体と流体連通する開放端をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数のフィルタ筺体部カム部材に近接して、前記フィルタ筺体部に複数の流出穴を設けるステップをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の流出穴の内部に着脱自在に固定された複数の流出ガスケットを設けるステップをさらに含んでおり、前記流出ガスケットの一部分は前記流出穴を横方向に貫通して延在し、前記流出ガスケットの別の部分は前記フィルタ筺体部の外側表面から横方向に延在する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルタ蓋部に安全ピンを設けるステップをさらに含んでおり、前記安全ピンが選択的に前記フィルタ蓋部を前記フィルタ筺体部に着脱自在に固定可能にする働きをする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
プランジャとバネを含む前記安全ピンを設けるステップをさらに含んでおり、前記フィルタ蓋部が着脱自在に前記フィルタ筺体部に固定されると、前記プランジャが前記フィルタ筺体部のカム部材の側を通過して、前記フィルタ筺体部の前記カム部材に近接して着座係合する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルタ筺体部の各カム部材が、円周方向に延在する部分と、長手方向に延在する止め部分とを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記フィルタ蓋部カム部材の各々を、前記フィルタ筺体部カム部材の各々の下に固定するステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルタ蓋部カム部材の各々を、前記複数の流出穴と流出ガスケットを覆うように配置して着脱自在に固定するステップをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記流体フィルタアセンブリを点検して、前記カム界面からの流体の漏れの有無を目視で確認するステップをさらに含む請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−527768(P2010−527768A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509308(P2010−509308)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/012330
【国際公開番号】WO2008/143619
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509172011)
【Fターム(参考)】