安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法
【課題】看護者による看護に支障を来たさないようにすることが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供する。
【解決手段】安全看護システムはベッドの上面の側端を含めて撮像可能な位置に配置される撮像部とを備える。制御部は、撮像部で撮像された画像データを取得し(S141)、取得された画像データにおける患者の画像の特徴点を特定し、患者の所定動作の判定に用いられる当該特徴点の所定指標の値を算出し(S142〜144)、取得された画像データにおけるベッドの領域に基づき、所定動作を判定するための所定条件を設定し、算出された値と設定された所定条件とに基づき、所定動作を判定し(S152,153)、所定動作をしたとの判定を条件に、患者が所定動作をした旨の情報を出力する(S154)。
【解決手段】安全看護システムはベッドの上面の側端を含めて撮像可能な位置に配置される撮像部とを備える。制御部は、撮像部で撮像された画像データを取得し(S141)、取得された画像データにおける患者の画像の特徴点を特定し、患者の所定動作の判定に用いられる当該特徴点の所定指標の値を算出し(S142〜144)、取得された画像データにおけるベッドの領域に基づき、所定動作を判定するための所定条件を設定し、算出された値と設定された所定条件とに基づき、所定動作を判定し(S152,153)、所定動作をしたとの判定を条件に、患者が所定動作をした旨の情報を出力する(S154)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法に関し、特に、ベッド上の患者の動作を監視する安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や家庭において、患者の生体の状態を監視するためには、血圧、体温、心電、動脈血酸素飽和度および呼吸数などのバイタルサインを生体情報モニタなどの装置を用いて計測し、計測値が異常な値になったときに、その装置またはその装置と接続された遠隔地にある集中管理装置が、視覚的および聴覚的に、医師または看護師に報知するようにしていた。
【0003】
しかし、患者が、ベッドから転落するような事態は、バイタルサインのチェックだけでは防ぎ切れない。
【0004】
このようなベッドからの転落を防ぐための安全看護システムとしてのセンサには、次のようなものがある。たとえば、患者に非接触のセンサとして、赤外線センサ、イメージセンサまたはビームセンサがある。患者に接触させるセンサとして、フロア(足下)フットセンサまたはシーツ下マットセンサがある。患者に接続するセンサとして、クリップセンサがある。
【0005】
これらの安全看護システムは、センサの感知範囲において、たとえば、ベッドの上にいるまたはいないなどの患者の動作を機械的に単純パターン化して、介護者(看護者)に通知することができる。
【0006】
しかし、これらの安全看護システムにおいては、患者の軽微な動作(咳込み、寝返りなど)を認識できなかったり、患者の動作を判断することなく通知してしまったり、患者の動作が行なわれた後(たとえば、ベッドから転落した後)に通知してしまうといった問題があった。
【0007】
このような問題に対する安全看護システムとして、被介護者(以下、「患者」ともいう)がベッドから起き上がったことを判定する見守り領域を設定してベッドの横方向から見守り領域を含みカメラで撮像して、撮像画像の見守り領域に占める被介護者の画像領域の大きさが所定値以上となった場合に、被介護者が起床挙動を行なっていると判定する起床監視方法および装置があった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−175082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の方法および装置においては、横方向から撮像しているため、看護者が撮影画像に入ることにより誤差要因が増えたり、カメラの設置場所によっては、看護者の動作に支障を来たすといった問題があった。
【0010】
また、横方向から撮像しているため、ベッドからの転落の兆候であるベッドの側端への患者の移動を検出し難いといった問題があった。さらに、起床動作を経ずに横に転がって転落する場合など見守り領域に患者が入らない場合は、患者の動きすら検出できないといった問題があった。
【0011】
また、患者の画像領域の大きさによって、起床挙動を判定しているため、起床の仕方(起床挙動において見守り領域に体のどの部分までが入るか)および患者の体型の違いによって判定結果に誤差が出てしまうといった問題があった。
【0012】
この発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的の1つは、看護者による看護に支障を来たさないようにすることが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することである。
【0013】
この発明の他の目的は、より正確に患者の動作の危険度を判定することが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することである。
【0014】
この発明のさらに他の目的は、動作の仕方および患者の体型の違いによって判定結果に誤差が出難くすることが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するために、この発明のある局面によれば、安全看護システムは、ベッド上の患者の動作を監視するシステムである。安全看護システムは、制御部と、ベッドの上面の側端を含めて撮像可能な位置に配置される撮像部とを備える。
【0016】
制御部は、撮像部で撮像された画像データを取得する撮像制御部と、撮像制御部によって取得された画像データにおける患者の画像の特徴点を特定し、患者の所定動作を判定するために用いられる当該特徴点の所定指標の値を算出する算出部と、撮像制御部によって取得された画像データにおけるベッドの領域に基づいて、所定動作を判定するための所定条件を設定する設定部と、算出部によって算出された値と設定部によって設定された所定条件とに基づいて、所定動作を判定する判定部と、判定部によって所定動作をしたと判定されたことを条件として、患者が所定動作をした旨の情報を出力する出力部とを含む。
【0017】
好ましくは、撮像部は、患者を頭部方向から撮像可能な位置に配置される。さらに好ましくは、算出部は、特定した特徴点のうち頭部の領域に含まれる特徴点の所定指標の値をそれぞれ算出する。
【0018】
好ましくは、算出部は、所定指標の値として、特徴点の座標を算出する。設定部は、所定条件として、複数の座標が患者の所定動作を判定するための所定の境界についての条件を設定する。
【0019】
さらに好ましくは、判定部は、算出部によって算出された座標が、設定部によって設定された所定の境界を超えた度合が所定のしきい値を超えたか否かによって、所定動作を判定する。
【0020】
また、さらに好ましくは、算出部は、所定指標の値として、さらに、特徴点の移動方向を算出する。判定部は、算出部によって算出された座標が所定の境界に近付いている度合が所定のしきい値を超えたか否かによって、所定動作を判定する。
【0021】
好ましくは、設定部は、ベッドの側端または長手方向端の位置に基づいて、予め定められた特定方法に従って所定条件を設定する。
【0022】
この発明の他の局面によれば、安全看護システムの制御方法は、制御部と、ベッドの上面の側端を含めて撮像可能な位置に固定して配置される撮像部とを備え、ベッド上の患者の動作を監視する安全看護システムを制御する制御方法である。
【0023】
制御方法は、制御部が、撮像部で撮像された画像データを取得するステップと、取得された画像データにおける患者の画像の特徴点を特定し、患者の所定動作を判定するために用いられる当該特徴点の所定指標の値を算出するステップと、取得された画像データにおけるベッドの領域に基づいて、所定動作を判定するための所定条件を設定するステップと、算出された値と設定された所定条件とに基づいて、所定動作を判定するステップと、所定動作をしたと判定されたことを条件として、患者が所定動作をした旨の情報を出力するステップとを含む。
【発明の効果】
【0024】
この発明に従えば、ベッドの上面の両側の側端を含めて撮像可能な位置に、撮像部が配置されるため、ベッドの横方向から撮像するのではない。このため、看護者による看護に支障を来たさないようにすることが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することができる。
【0025】
また、ベッドの上面の両側の側端を含めて撮像するので、側端に基づいた基準値を設定できる。このため、より正確に患者の動作の危険度を判定することが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することができる。
【0026】
また、範囲でなく複数の点で患者の動作を判定している。このため、動作の仕方および患者の体型の違いによって判定結果に誤差が出難くすることが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施の形態における安全看護システムのカメラの取付け位置を説明するための図である。
【図2】この実施の形態における安全看護システムの制御装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図3】この実施の形態における制御装置で実行される境界条件設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】この実施の形態における制御装置に接続されたカメラで撮像された画像を示す第1の図である。
【図5】この実施の形態における患者の所定動作を判定するための所定条件における境界線の特定方法の一例を説明するための図である。
【図6】この実施の形態における制御装置で実行される警報レベル設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】この実施の形態における患者ごとの所定動作と警報レベルとの設定に用いられる図である。
【図8】この実施の形態における制御装置で実行される動作判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】この実施の形態における制御装置に接続されたカメラで撮像された画像を示す第2の図である。
【図10】この実施の形態における制御装置に接続されたカメラで撮像された画像を示す第3の図である。
【図11】この実施の形態の変形例における安全看護システムの構成の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0029】
図1は、この発明の実施の形態における安全看護システムのカメラ151の取付け位置を説明するための図である。図1を参照して、本実施の形態の安全看護システムのカメラ151は、ベッド20の上の患者10を頭部方向から撮像可能な位置に配置される。
【0030】
なお、カメラ151は、ベッド20の上面の側端23,23を含めて撮像可能な位置に配置されるのであれば、患者10の頭部方向から撮像可能な位置に限定されず、患者10の足部方向から撮像可能な位置に配置されてもよい。
【0031】
また、カメラ151は、ベッド20の上面の長手方向端24,24を含めて撮像可能な位置に配置されることが好ましい。
【0032】
また、患者10は、病院等で医師および看護師などの看護者に看護を受ける被看護者、および、介護施設等で介護者に介護を受ける被介護者などの他人によって見守りが必要な人を含む。
【0033】
図2は、この実施の形態における安全看護システムの制御装置100の構成の概略を示すブロック図である。図2を参照して、制御装置100は、制御部110と、記憶部120と、操作部130と、表示部140と、画像入力部150と、音声出力部160と、通信部190とを含む。
【0034】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)およびその補助回路を含み、制御装置100の各部を制御し、記憶部120に記憶されたプログラムおよびデータに従って所定の処理を実行し、操作部130、画像入力部150、および、通信部190から入力されたデータを処理し、処理したデータを、記憶部120に記憶させたり、表示部140で表示させたり、音声出力部160で音声として出力させたり、通信部190から出力させたりする。
【0035】
記憶部120は、制御部110でプログラムを実行するために必要な作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)と、制御部110で実行するための基本的なプログラムを記憶するためのROM(Read Only Memory)とを含む。また、記憶部120の記憶領域を補助するための補助記憶装置の記憶媒体として、磁気ディスク(HD(Hard Disk)、FD(Flexible Disk))、光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disc))、光磁気ディスク(MO(Magneto-Optical disk))、または、半導体メモリ(メモリカード、SSD(Solid State Drive))などが用いられてもよい。
【0036】
操作部130は、キーボードおよびマウスで構成され、ユーザによる操作を示す操作信号を制御部110に送信する。また、操作部130は、キーボードおよびマウスに替えて、または、加えて、タッチパネルなどの他の操作デバイスで構成されるようにしてもよい。
【0037】
表示部140は、ディスプレイ(たとえば、LCD(Liquid Crystal Display))およびを含む。表示部140は、制御部110によって制御されて、所定の映像をディスプレイに表示させる。
【0038】
音声出力部160は、スピーカを含む。音声出力部160は、制御部110によって制御されて、所定の音声をスピーカから出力させる。
【0039】
画像入力部150は、カメラ151から入力された画像データを、制御部110に受渡したり、制御部110によって制御されて、記憶部120に記憶させたり、表示部140に画像として表示させたりする。
【0040】
通信部190は、制御部110からの情報をネットワーク900を介して他の装置(本実施の形態においては、生体情報モニタ200)に送信するとともに、他の装置からネットワークを介して送信されてきた情報を受信して制御部110に受渡す。この実施の形態において、ネットワーク900は、病院内LAN(Local Area Network)であるが、これに限定されず、インターネットを介したネットワークのような他の種類のネットワークであってもよい。
【0041】
生体情報モニタ200は、患者に取付けられたプローブによって、血圧および心拍数などの生体情報を測定し、測定された生体情報を、当該装置で表示させたり、他の装置にネットワーク900を介して送信したりする。
【0042】
カメラ151は、撮像した撮像範囲の画像を画像データに変換して、本実施の形態においては、制御装置100の画像入力部150に当該画像データを送信する。この実施の形態においては、カメラ151は、動画像を撮像する。しかし、これに限定されず、カメラ151は、時間的に短い間隔(たとえば、0.1秒ごと)で連続する静止画像を撮像するものであってもよい。
【0043】
図3は、この実施の形態における制御装置100で実行される境界条件設定処理の流れを示すフローチャートである。図3を参照して、ステップS101で、制御部110は、カメラ151から画像入力部150に入力され記憶部120に記憶された画像データを、記憶部120から取得する。
【0044】
次に、ステップS102で、制御部110は、ステップS101で取得した画像データで示されるベッド20の画像から、ベッドの側端23,23、および、長手方向端24,24を抽出する。
【0045】
図4は、この実施の形態における制御装置100に接続されたカメラ151で撮像された画像を示す第1の図である。図4を参照して、ここで示す画像には、患者10とベッド20とが含まれるが、図3の境界条件設定処理が実行される際には、患者10がいない状態であることが望ましい。
【0046】
図1で説明したように、カメラ151は、患者10がベッド20に横たわった場合の頭部方向から、ベッド20の上面の両側の側端23,23を含めて撮像可能な位置に配置される。このため、撮像される画像には、ベッド20の上面の画像が、台形に近い形状で含まれる。ベッド20の長手方向の中心線上に当該中心線に向けてカメラ151が設置される場合は、撮像される画像には、ベッド20の上面の画像が、等脚台形に近い形状で含まれる。
【0047】
また、患者10がベッド20に横たわっている場合は、撮像される画像には、ベッド20の上面の形状である台形状の下底と上底との間に、頭が下底側で、足が上底側となるように、患者10の画像が含まれる。
【0048】
そして、台形の脚が、ベッド20の上面の側端23,23となり、台形の上底および下底が、ベッド20の上面の長手方向端24,24となる。
【0049】
図3に戻って、ステップS103で、制御部110は、ステップS102で抽出された側端23,23および長手方向端24,24に基づき、患者10の所定動作を判定するための所定条件における境界線21,22を算出する。ステップS103の後、制御部110は、実行する処理をこの処理の呼出元の処理に戻す。
【0050】
患者10の所定動作としては、後述する図7で説明するように、頭を動かす動作、起上がろうとしている動作、起上がる動作、ねがえり動作、(ベッド20から)降りようとしている動作、および、(ベッド20から)降りる動作などがある。
【0051】
なお、頭を動かす動作は、起上がろうとしている動作の兆候、起上がる動作の兆候、および、ねがえり動作の兆候と捉えることができる。起上がろうとしている動作は、起上がる動作の兆候と捉えることができる。ねがえり動作は、ベッド20から降りようとしている動作の兆候、および、ベッド20から降りる動作の兆候と捉えることができる。ベッド20から降りようとしている動作は、ベッド20から降りる動作の兆候と捉えることができる。
【0052】
つまり、患者10は、(1)頭を動かす動作、(2)起上がろうとしている動作、(3)起上がる動作、(4)ベッド20から降りようとしている動作、(5)ベッド20から降りる動作の順番で動作をする。また、患者10は、他の順番で動作することもある。患者10は、(1)頭を動かす動作、(2)ベッド20から降りようとしている動作、(3)ベッド20から降りる動作の順番で動作をする。
【0053】
ここで、ベッド20から降りる動作は、自分の意思に基づいて安全に降りた場合は、文字通り、ベッド20から降りる動作であるが、自分の意思に基づいていない場合、および、安全に降りれなかった場合は、ベッド20から落ちる動作となる。つまり、ベッド20から降りる動作には、ベッド20から降りる動作の他に、ベッド20から落ちる動作も含まれる。
【0054】
また、所定条件としては、本実施の形態においては、患者10の頭部の特徴点15のうち、境界線を超えた特徴点15の割合が、所定割合以上であるという条件とする。そして、所定条件を満たした場合に、所定動作をしたと判定する。
【0055】
物体(本実施の形態においては、患者10)の特徴点を抽出するアルゴリズムとしては、SIFT(Scale-invariant feature transform)およびSURF(Speeded Up Robust Features)などのアルゴリズムを用いることができる。
【0056】
しかし、これに限定されず、所定条件として、患者10の頭部の特徴点15の移動ベクトルのうち、境界線を超えた移動ベクトルの割合が、所定割合以上であるという条件であってもよい。特徴点15の移動ベクトルとしては、過去の所定フレーム前から現フレームまでに当該特徴点15が移動した量および方向のベクトルである。
【0057】
物体(この実施の形態においては、患者10)の特徴点の移動ベクトルを算出するアルゴリズムとしては、上述のSIFTおよびSURFなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0058】
患者10の頭部の特徴点15の移動ベクトルのうち、所定時間内に境界線を超えた移動ベクトルの累積割合が、所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0059】
患者10の頭部の特徴点15の移動ベクトルのうち、境界線に近付いた移動ベクトルの割合が、所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0060】
患者10の頭部の特徴点15の移動ベクトルのうち、所定時間内に境界線に近付いた移動ベクトルの累積割合が、所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0061】
また、上述した所定条件において、境界線を用いるようにしたが、細長い境界領域としてもよい。
【0062】
また、所定条件として、境界線を用いない条件としてもよい。たとえば、患者10の頭部の特徴点15の移動量(つまり、移動ベクトルの大きさ)が所定値(たとえば、20cm)以上の特徴点15が所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0063】
患者10の頭部の特徴点15の移動方向(つまり、移動ベクトルの方向)がベッド20から離れる方向またはベッド20の側端に近付く方向である特徴点15が、所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0064】
患者10がベッド20の側端の近く(たとえば、側端から所定距離(たとえば、30cm)の範囲内)にいる場合に、患者10の頭部の特徴点15の移動速度(つまり、単位時間の移動ベクトルの大きさ)が所定値(たとえば、10cm/秒)以上の特徴点15が、所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0065】
さらに、上述した所定条件において、頭部の特徴点15としたが、他の部位(たとえば、肩)の特徴点としてもよい。
【0066】
また、上述した所定条件において、所定割合以上としたが、特徴点15の数が固定数である場合は、所定数以上としてもよい。
【0067】
図5は、この実施の形態における患者の所定動作を判定するための所定条件における境界線の特定方法の一例を説明するための図である。図5を参照して、この実施の形態においては、ベッド20の長手方向端24,24の2本の線と等距離で台形の形状の範囲内の線を、頭を動かす動作、起上がろうとしている動作、および、起上がる動作の所定条件における境界線21とする。
【0068】
また、ベッドの長手方向の中心線25と、ベッド20の両側の側端23,23とから等距離で台形の形状の範囲内の線を、ねがえり動作、ベッド20から降りようとしている動作、および、ベッド20から降りる動作の所定条件における境界線22,22とする。
【0069】
図6は、この実施の形態における制御装置100で実行される警報レベル設定処理の流れを示すフローチャートである。図6を参照して、この警報レベル設定処理は、患者10ごとに、どの動作であればどのような報知をするかという警報レベルの設定をするための処理である。
【0070】
まず、ステップS111で、制御部110は、対象の患者10がすでに警報レベルを設定済みの患者であるか否かを判断する。警報レベルを設定済みの患者でないと判断した場合(ステップS111でNOと判断した場合)、ステップS112で、制御部110は、ネットワーク900を介して、生体情報モニタ200から当該患者10の生体情報を取得する。
【0071】
次に、ステップS113で、制御部110は、ステップS112で取得した生体情報に基づいて、当該患者10の容態を特定する。たとえば、血圧がa〜b,e〜fであれば、容態が悪いと特定する。血圧がb〜c,d〜eであれば、容態が中程度であると特定する。血圧がc〜dであれば、容態が良いと特定する。
【0072】
そして、ステップS114で、制御部110は、ステップS113で特定した当該患者10の容態に応じて、患者ごとの所定動作と警報レベルとを設定する。
【0073】
図7は、この実施の形態における患者ごとの所定動作と警報レベルとの設定に用いられる図である。図7を参照して、患者の容態が悪いと特定された場合は、頭を動かす動作、および、ねがえり動作については、警報レベルを注意報とし、起上がろうとしている動作、起上がる動作、(ベッド20から)降りようとしている動作、および、(ベッド20から)降りる動作については、警報レベルを警報とする。
【0074】
患者の容態が中程度であると特定された場合は、頭を動かす動作、および、ねがえり動作については、警報レベルを通常報知とし、起上がろうとしている動作、起上がる動作、および、(ベッド20から)降りようとしている動作については、警報レベルを注意報とし、(ベッド20から)降りる動作については、警報レベルを警報とする。
【0075】
患者の容態が良いと特定された場合は、(ベッド20から)降りようとしている動作については、警報レベルを通常報知とし、(ベッド20から)降りる動作については、警報レベルを注意報とする。
【0076】
ここで、警報、注意報および通常報知は、この順番で看護者に、より伝わり易い報知であり、たとえば、警報では、アラームと報知内容の音声の出力とランプの点滅と報知内容の文字の表示とを組合せた報知を行ない、注意報では、報知内容の音声の出力と報知内容の文字の表示とを組合せた報知を行ない、通常報知では、報知内容の文字の表示を行なうようにする。
【0077】
図6に戻って、ステップS114の後、および、警報レベルを設定済みの患者であると判断した場合(ステップS111でYESと判断した場合)、ステップS121で、制御部110は、ネットワーク900を介して、生体情報モニタ200から当該患者10の生体情報を取得する。
【0078】
ステップS122では、制御部110は、ステップS121で取得された生体情報に基づいて当該患者10の生体情報が悪化したか否かを判断する。
【0079】
たとえば、上述の図3のステップS113で説明した容態ごとの血圧の範囲を用いて、血圧がc〜dの容態が良い状態から血圧がb〜c,d〜eの容態が中程度の状態になった場合、および、血圧がb〜c,d〜eの容態が中程度の状態から血圧がa〜b,e〜fの容態が悪い状態になった場合に、患者10の生体情報が悪化したと判断する。
【0080】
生体情報が悪化したと判断した場合(ステップS122でYESと判断した場合)、ステップS123で、制御部110は、当該患者10についてステップS114で設定された警報レベルを高くするよう設定を変更する。
【0081】
たとえば、すべての動作について警報レベルを1段階ずつ上げる。具体的には、警報レベルが通常報知であった動作については、警報レベルを注意報に上げ、警報レベルが注意報であった動作については、警報レベルを警報に上げる。
【0082】
ステップS123の後、および、生体情報が悪化していないと判断した場合(ステップS122でNOと判断した場合)、ステップS124で、制御部110は、ステップS121で取得された生体情報に基づいて当該患者10の生体情報が回復したか否かを判断する。
【0083】
たとえば、上述の図3のステップS113で説明した容態ごとの血圧の範囲を用いて、血圧がb〜c,d〜eの容態が中程度の状態から血圧がc〜dの容態が良い状態になった場合、および、血圧がa〜b,e〜fの容態が悪い状態から血圧がb〜c,d〜eの容態が中程度の状態になった場合に、患者10の生体情報が回復したと判断する。
【0084】
生体情報が回復したと判断した場合(ステップS124でYESと判断した場合)、ステップS125で、制御部110は、ステップS123で高くした警報レベルを元に戻すように設定を変更する。
【0085】
たとえば、すべての動作について警報レベルを1段階ずつ上げたものを1段階ずつ下げる。具体的には、警報レベルを注意報に上げた動作については、警報レベルを通常報知に下げ、警報レベルを警報に上げた動作については、警報レベルを注意報に下げる。
【0086】
ステップS125の後、および、生体情報が回復していないと判断した場合(ステップS124でNOと判断した場合)、ステップS131で、制御部110は、カメラ151から画像入力部150に入力され記憶部120に記憶された画像データを、記憶部120から取得する。
【0087】
次に、ステップS132で、制御部110は、ステップS131で取得した画像データから看護者を抽出する。そして、ステップS133で、制御部110は、看護者がいるか否かを判断する。
【0088】
看護者の抽出は、たとえば、頭部と判断される部位の上の看護帽を抽出することによって行ない、看護帽が抽出された場合は、看護者がいると判断する。また、位置が動いている聴診器を抽出することによって看護者を抽出するようにしてもよい。
【0089】
また、顔認識の技術を用いて、画像データで示される画像に含まれる顔を抽出して、抽出した顔と看護者として登録されている顔とが一致した場合に、看護者がいると判断してもよい。
【0090】
看護者がいると判断した場合(ステップS133でYESと判断した場合)、ステップS134で、制御部110は、当該患者10についてステップS114で設定された警報レベルを低くするよう設定を変更する。
【0091】
たとえば、すべての動作について警報レベルを1段階ずつ下げる。具体的には、警報レベルが警報であった動作については、警報レベルを注意報に下げ、警報レベルが注意報であった動作については、警報レベルを通常報知に下げる。
【0092】
一方、看護者がいないと判断した場合(ステップS133でNOと判断した場合)、ステップS135で、制御部110は、ステップS134で低くした警報レベルを元に戻すように設定を変更する。
【0093】
たとえば、すべての動作について警報レベルを1段階ずつ下げたものを1段階ずつ上げる。具体的には、警報レベルを注意報に下げた動作については、警報レベルを警報に上げ、警報レベルを通常報知に下げた動作については、警報レベルを注意報に上げる。
【0094】
ステップS134およびステップS135の後、制御部110は、実行する処理をこの処理の呼出元の処理に戻す。
【0095】
図8は、この実施の形態における制御装置100で実行される動作判定処理の流れを示すフローチャートである。図8を参照して、ステップS141で、制御部110は、カメラ151から画像入力部150に入力され記憶部120に記憶された画像データを、記憶部120から取得する。
【0096】
次に、制御部110は、ステップS142で、ステップS141で取得した画像データの画像から患者10の特徴点を抽出し、ステップS143で、当該特徴点のうち患者10の頭部の特徴点15を抽出し、ステップS144で、過去の画像からの頭部の特徴点15の位置を算出する。
【0097】
図4に戻って、患者10の頭部の特徴点15は、図で示すように、図3のステップS103で説明したように、物体(この実施の形態においては、患者10)の特徴点を抽出する従来のアルゴリズムで抽出され、特徴点15の位置が算出される。
【0098】
図8に進んで、ステップS151で、制御部110は、当該患者に対して、1つ目の動作について以下のステップS152からステップS154までの処理を実行する。
【0099】
ステップS152で、制御部110は、ステップS144で算出した位置に基づいて、患者10の頭部の特徴点15のうち、当該動作に対応する所定条件の境界線を横切った特徴点15の割合を算出する。そして、ステップS153で、制御部110は、ステップS152で算出した割合が所定割合以上であるか否かを判断する。
【0100】
たとえば、頭を動かす動作の場合、ベッド20の長手方向端に平行な境界線21を横切った特徴点15の割合が、所定割合(10%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、頭を動かしたと判断する。
【0101】
図9は、この実施の形態における制御装置100に接続されたカメラ151で撮像された画像を示す第2の図である。図9を参照して、この図では、患者10が、ベッド20から起きようとしている途中の状態が示されている。
【0102】
起上がろうとしている動作の場合、ベッド20の長手方向端に平行な境界線21を横切った特徴点15の割合が、所定割合(50%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、起上がろうとしていると判断する。
【0103】
起上がる動作の場合、ベッド20の長手方向端に平行な境界線21を横切った特徴点15の割合が、所定割合(95%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、起上がったと判断する。
【0104】
図10は、この実施の形態における制御装置100に接続されたカメラ151で撮像された画像を示す第3の図である。図10を参照して、この図では、患者10が、ベッド20から降りようとしているまたは落ちつつある途中の状態が示されている。
【0105】
ねがえり動作の場合、ベッド20の側端に平行な境界線22を横切った特徴点15の割合が、(5%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、ねがえりをしたと判断する。
【0106】
ベッド20から降りようとしている動作または落ちる方向に向かっている動作の場合、ベッド20の側端に平行な境界線22を横切った特徴点15の割合が、(30%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、ベッド20から降りようとしている、または、落ちる方向に向かっていると判断する。
【0107】
ベッド20から降りる動作または落ちる動作の場合、ベッド20の側端に平行な境界線22を横切った特徴点15の割合が、(95%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、ベッド20から降りつつある、または、落ちかけていると判断する。
【0108】
所定割合以上であると判断した場合(ステップS153でYESと判断した場合)、ステップS154で、制御部110は、図6のステップS114で設定された当該患者10の当該動作に応じた警報レベルで、当該動作をした旨を報知する。
【0109】
たとえば、起上がろうとしている動作に対して警報レベルが警報と設定されている場合、起上がろうとしていると判断されたときは、起上がろうとしている旨を警報として報知する。
【0110】
この実施の形態においては、たとえば、起上がろうとしている旨の警報においては、アラームを鳴動させ、起上がろうとしている旨の音声を出力し、ランプを点滅させ、起上がろうとしている旨の文字を表示させる。
【0111】
また、起上がろうとしている旨の注意報においては、起上がろうとしている旨の音声を出力し、起上がろうとしている旨の文字を表示させる。また、起上がろうとしている旨の通常報知においては、起上がろうとしている旨の文字を表示させる。
【0112】
境界線を横切った特徴点15の割合が所定割合以上でないと判断した場合(ステップS153でNOと判断した場合)、および、ステップS154の後、ステップS155で、その動作をしたか否かの判断していない次の動作があるか否かを判断する。
【0113】
次の動作があると判断した場合(ステップS155でYESと判断した場合、その動作について前述したステップS152からステップS154までの処理を実行する。一方、次の動作がないと判断した場合(ステップS155でNOと判断した場合)、実行する処理をこの処理の呼出元の処理に戻す。
【0114】
(1−1) 以上説明したように、本実施の形態における安全看護システムは、ベッド20の上の患者10の動作を監視するシステムであり、制御装置100と、ベッド20の上面の側端23,23を含めて撮像可能な位置に配置されるカメラ151とを備える。
【0115】
制御装置100は、カメラ151で撮像された画像データを取得し、取得された画像データにおける患者10の画像の特徴点15を特定し、患者10の所定動作(たとえば、図7で説明した動作)を判定するために用いられる当該特徴点15の所定指標(たとえば、座標、移動量、移動方向、移動速度)の値を算出し、取得された画像データにおけるベッド20の領域に基づいて、所定動作を判定するための所定条件(たとえば、特徴点15の座標が所定動作を判定するための所定の境界を超えた度合が所定のしきい値を超えるという条件、所定の境界に近付いている度合が所定のしきい値を超えるという条件)を設定し、算出した値と設定した所定条件とに基づいて、所定動作を判定し、所定動作をしたと判定したことを条件として、患者10が所定動作をした旨の情報(たとえば、音、表示による警報、注意報、通常報知)を出力する。
【0116】
このように、ベッド20の上面の側端23,23を含めて撮像可能な位置に、カメラ151が配置されるため、ベッド20の横方向から撮像するのではない。このため、看護者による看護に支障を来たさないようにすることができる。
【0117】
また、ベッド20の上面の側端23,23を含めて撮像するので、側端23,23に基づいた基準値を設定できる。このため、より正確に患者10の動作の危険度を判定することができる。
【0118】
また、範囲でなく複数の点で患者10の動作を判定している。このため、動作の仕方および患者10の体型の違いによって判定結果に誤差が出難くすることができる。
【0119】
(1−2) カメラ151は、患者10を頭部方向または足部方向から撮像可能な位置に配置される。このようにすれば、患者10とベッド20の側端23,23との位置関係を分かり易く撮像することができる。
【0120】
(1−3) 制御装置100は、特定した特徴点のうち頭部の領域に含まれる特徴点15の所定指標の値をそれぞれ算出する。このように、頭部の動作を監視することによって、患者10の全身の動作を監視することと比較して、より効率的に、患者10の動作を監視することができる。
【0121】
(1−4) 制御装置100は、所定指標の値として、特徴点15の座標を算出し、所定条件として、複数の座標が患者10の所定動作を判定するための所定の境界(たとえば、境界線、境界領域)についての条件を設定する。
【0122】
(1−5) 制御装置100は、算出した座標が、設定した所定の境界を超えた度合(たとえば、所定時間内に境界を超えた特徴点15の数の割合、境界を超えた特徴点15の累積した数の割合)が所定のしきい値(たとえば、所定割合)を超えたか否かによって、所定動作を判定する。
【0123】
(1−6) 制御装置100は、所定指標の値として、さらに、特徴点15の移動方向を算出し、算出した座標が所定の境界に近付いている度合(たとえば、所定時間内に境界に近付いた特徴点15の数の割合、境界に近付いた特徴点15の累積した数の割合)が所定のしきい値を超えたか否かによって、所定動作を判定するようにしてもよい。
【0124】
(1−7) 制御装置100は、ベッド20の側端23,23または長手方向端24,24の位置に基づいて、予め定められた特定方法(たとえば、ベッド20の頭側および足側の長手方向端24,24のそれぞれから等距離の境界線21を、起き上がりの判定の境界とする方法、ベッド20の長手方向の中心線25とベッド20の側端23,23とから等距離の境界線22,22を、ベッド20の端に移動しようとしているかの判定の境界とする方法)に従って所定条件を設定する。
【0125】
(2−1) 制御装置100は、患者10ごとに、容態(たとえば、悪い、中程度、良い)に応じた、複数種類の所定動作と複数の警報レベル(たとえば、警報、注意報、通常報知)との対応関係(たとえば、図7で説明した対応関係)を設定し、患者10の所定動作を判定するために用いられる所定指標の値を算出し、所定動作を判定するための所定条件を設定し、算出した値と設定した所定条件とに基づいて、所定動作を判定し、所定動作をしたと判定したことを条件として、当該所定動作に対応して当該患者10について設定した対応関係で示される警報レベルで、当該患者10が所定動作をした旨の情報を出力する。
【0126】
このように、患者10ごとに設定された所定動作に応じた警報レベルで、患者10が所定動作をした旨が出力されるので、患者10ごとの容態に対応した看護者への通知を行なうことができる。
【0127】
(2−2) 制御装置100は、容態ごとに予め定められた所定動作と警報レベルとの対応関係のうちから、当該患者の容態に応じた対応関係を選択して設定する。
【0128】
これにより、患者10の容態に応じた所定動作と警報レベルとの対応関係を、より簡単に設定することができる。
【0129】
(2−3) 制御装置100は、外部の生体情報モニタ200の情報に応じて当該患者10の容態を特定し、容態ごとに予め定められた所定動作と警報レベルとの対応関係のうちから、特定した容態に応じた対応関係を選択して設定する。
【0130】
これにより、患者10の容態に応じた所定動作と警報レベルとの対応関係を、より簡単でかつ客観的に設定することができる。
【0131】
(2−4) 制御装置100は、外部の生体情報モニタ200の情報で示される値が悪化したか否かを判定し、悪化したと判定した場合、設定した対応関係で示される所定動作ごとの警報レベルをそれぞれ高くするよう対応関係を変更する。
【0132】
これにより、患者の容態の変化に応じて、所定動作と警報レベルとの対応関係の設定を適切に変更することができ、状況に応じて所定動作をした旨の報知を適切にすることができる。
【0133】
(2−5) 制御装置100は、取得した画像データに基づいて、看護者がいるか否かを判定し、看護者がいると判定した場合、設定した対応関係で示される所定動作ごとの警報レベルを低くするよう対応関係を変更する。
【0134】
これにより、看護者がいるか否かに応じて、所定動作と警報レベルとの対応関係の設定を適切に変更することができ、状況に応じて所定動作をした旨の報知を適切にすることができる。
【0135】
(2−6) 制御装置100は、取得した画像データに基づいて、看護者がいるか否かを判定し、看護者がいると判定した場合、情報を出力しないようにしてもよい。
【0136】
このようにすれば、看護者が患者10のそばにいて、所定動作をした旨の報知が必要ない場合に、余計な報知を行なわないようにすることができる。
【0137】
次に、上述した実施の形態の変形例について説明する。
(1) 前述した図6の警報レベル設定処理においては、ステップS112からステップS114の処理が実行されることによって患者ごとの動作と警報レベルとの設定が自動的に行なわれるようにした。しかし、これに限定されず、ステップS112およびステップS113での容態の特定を医師または看護師が行なうようにしてもよい。また、医師または看護師が患者ごとに動作と警報レベルとの設定を手動で行なえるように構成してもよい。
【0138】
(2) 起上がり動作などで人が動くと血圧値は上昇する。このため、血圧が180mmHgであれば危険な患者10の場合、危険な血圧値180mmHgを設定すれば、自動的に所定値(たとえば、20mmHg)引いた値(160mmHg)になった場合に、図6のステップS122で、生体情報が悪化したと判断するようにして、起上がり動作などの動作で血圧値が危険値を実際にオーバーする前に、警報レベルを高くするよう設定を変更するようにしてもよい。
【0139】
このように、実際の危険値になる前に、報知できるように、生体情報の悪化の惧れがあるか否かを判断するようにしてもよい。
【0140】
(3) 前述した実施の形態においては、ベッド20の上面の両側の側端23,23を含めて撮像可能な位置にカメラ151を配置するようにした。しかし、これに限定されず、たとえば、ベッドの一方の側端23が壁などに接していたり、落下防止柵が取付けてあったりして、患者10が落下したり降りたりできない場合は、ベッド20の上面の他方の側端23を含めて撮像可能な位置にカメラ151を配置するようにすればよい。
【0141】
(4) 前述した実施の形態においては、境界線は、直線状であることとした。しかし、これに限定されず、境界線は、円、楕円、円弧などの閉曲線状または開曲線状であってもよい。たとえば、図4の患者10の頭部から所定半径の円を境界線とするようにしてもよい。
【0142】
(5) 前述した実施の形態においては、カメラは、ベッド20の近辺の所定位置に配置されることとしたが、制御装置100の配置位置には特に言及しなかった。制御装置100は、ベッド20の近辺に配置されるよりも、ナースステーションなどベッド20から離れた位置に配置されることが好ましい。このようにすれば、看護者や介護者が患者の近辺にいる場合には患者の動作を報知する必要性が低いが、報知する必要性の高い離れた位置にいる看護者や介護者に、患者の動作を報知することができる。
【0143】
(6) 前述した実施の形態においては、図8のステップS154で説明したように、安全看護システムの制御装置100の表示部140および音声出力部160で、当該患者10の当該動作に応じた警報レベルで、当該動作をした旨を報知するようにした。しかし、これに限定されず、制御装置100と異なる装置でそのような報知を行なうようにしてもよい。
【0144】
図11は、この実施の形態の変形例における安全看護システムの構成の概略を示すブロック図である。図11を参照して、この安全看護システムは、上述した構成に加えて、PC300と携帯電話400とを含む。PC300および携帯電話400のいずれかを含むようにしてもよい。
【0145】
PC300および携帯電話400は、ネットワーク900を介して制御装置100と接続される。なお、ネットワーク900は、通信キャリアの携帯電話網および構内携帯電話網のような他の種類のネットワークを含むようにしてもよい。
【0146】
このような安全看護システムにおいて、制御装置100の制御部110は、通信部190を制御して、当該患者10の当該動作に応じた警報レベルで、当該動作をした旨を報知するための情報を、PC300または携帯電話400に送信するようにして、PC300または携帯電話400が、受信した情報に基づいて、当該患者10の当該動作に応じた警報レベルで、当該動作をした旨を報知するようにしてもよい。
【0147】
これにより、PC300をナースステーションなどベッド20から離れた位置に配置すれば、報知する必要性の高い離れた位置にいる看護者や介護者に、患者の動作を報知することができる。また、携帯電話400を看護者や介護者が所持するようにすれば、ベッド20から離れた場所に看護者や介護者がいる場合であっても、看護者や介護者に患者の動作を報知することができる。
【0148】
また、患者ごとの担当の看護者や介護者を予め定めておいて、ある患者の担当の看護者や介護者の所持する携帯電話400に、当該患者の動作を報知するようにしてもよい。このようにすれば、担当以外の患者の動作は報知されることなく、担当の患者の動作のみ報知されるので、不必要な報知を減らすことができ、看護者や介護者の適切な対処に資することができる。
【0149】
(7) 前述した実施の形態においては、図2で説明したように、制御部110への操作信号は、操作部130から入力されるようにした。しかし、これに限定されず、図11のPC300または携帯電話400から、制御装置100の制御部110へ操作信号が入力されるようにしてもよい。
【0150】
(8) 前述した実施の形態においては、制御装置100の制御部110によって上述したフローチャートで示されるようなソフトウェアが実行されるによって制御装置100の制御部110にそれらの処理で示される機能を発揮する部分が仮想的に構成される。しかし、これに限定されず、それらの機能を発揮する部分がハードウェアの回路で制御装置100の制御部110などに構成されるようにしてもよい。
【0151】
(9) 前述した実施の形態においては、安全看護システム、および、安全看護システムに含まれる制御装置100として発明を説明した。しかし、これに限定されず、安全看護システムまたは制御装置100で前述した処理を実行する安全看護システムまたは制御装置100の制御方法の発明として捉えることができる。
【0152】
また、安全看護システムまたは制御装置100で前述した処理を実行する安全看護システムまたは制御装置100の制御プログラムの発明として捉えることができる。
【0153】
(10) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0154】
10 患者、15 特徴点、20 ベッド、21,22 境界線、23 側端、24 長手方向端、25 中心線、100 制御装置、110 制御部、120 記憶部、130 操作部、140 表示部、150 画像入力部、151 カメラ、160 音声出力部、190 通信部、200 生体情報モニタ、300 PC、400 携帯電話、900 ネットワーク。
【技術分野】
【0001】
この発明は、安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法に関し、特に、ベッド上の患者の動作を監視する安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や家庭において、患者の生体の状態を監視するためには、血圧、体温、心電、動脈血酸素飽和度および呼吸数などのバイタルサインを生体情報モニタなどの装置を用いて計測し、計測値が異常な値になったときに、その装置またはその装置と接続された遠隔地にある集中管理装置が、視覚的および聴覚的に、医師または看護師に報知するようにしていた。
【0003】
しかし、患者が、ベッドから転落するような事態は、バイタルサインのチェックだけでは防ぎ切れない。
【0004】
このようなベッドからの転落を防ぐための安全看護システムとしてのセンサには、次のようなものがある。たとえば、患者に非接触のセンサとして、赤外線センサ、イメージセンサまたはビームセンサがある。患者に接触させるセンサとして、フロア(足下)フットセンサまたはシーツ下マットセンサがある。患者に接続するセンサとして、クリップセンサがある。
【0005】
これらの安全看護システムは、センサの感知範囲において、たとえば、ベッドの上にいるまたはいないなどの患者の動作を機械的に単純パターン化して、介護者(看護者)に通知することができる。
【0006】
しかし、これらの安全看護システムにおいては、患者の軽微な動作(咳込み、寝返りなど)を認識できなかったり、患者の動作を判断することなく通知してしまったり、患者の動作が行なわれた後(たとえば、ベッドから転落した後)に通知してしまうといった問題があった。
【0007】
このような問題に対する安全看護システムとして、被介護者(以下、「患者」ともいう)がベッドから起き上がったことを判定する見守り領域を設定してベッドの横方向から見守り領域を含みカメラで撮像して、撮像画像の見守り領域に占める被介護者の画像領域の大きさが所定値以上となった場合に、被介護者が起床挙動を行なっていると判定する起床監視方法および装置があった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−175082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の方法および装置においては、横方向から撮像しているため、看護者が撮影画像に入ることにより誤差要因が増えたり、カメラの設置場所によっては、看護者の動作に支障を来たすといった問題があった。
【0010】
また、横方向から撮像しているため、ベッドからの転落の兆候であるベッドの側端への患者の移動を検出し難いといった問題があった。さらに、起床動作を経ずに横に転がって転落する場合など見守り領域に患者が入らない場合は、患者の動きすら検出できないといった問題があった。
【0011】
また、患者の画像領域の大きさによって、起床挙動を判定しているため、起床の仕方(起床挙動において見守り領域に体のどの部分までが入るか)および患者の体型の違いによって判定結果に誤差が出てしまうといった問題があった。
【0012】
この発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的の1つは、看護者による看護に支障を来たさないようにすることが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することである。
【0013】
この発明の他の目的は、より正確に患者の動作の危険度を判定することが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することである。
【0014】
この発明のさらに他の目的は、動作の仕方および患者の体型の違いによって判定結果に誤差が出難くすることが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するために、この発明のある局面によれば、安全看護システムは、ベッド上の患者の動作を監視するシステムである。安全看護システムは、制御部と、ベッドの上面の側端を含めて撮像可能な位置に配置される撮像部とを備える。
【0016】
制御部は、撮像部で撮像された画像データを取得する撮像制御部と、撮像制御部によって取得された画像データにおける患者の画像の特徴点を特定し、患者の所定動作を判定するために用いられる当該特徴点の所定指標の値を算出する算出部と、撮像制御部によって取得された画像データにおけるベッドの領域に基づいて、所定動作を判定するための所定条件を設定する設定部と、算出部によって算出された値と設定部によって設定された所定条件とに基づいて、所定動作を判定する判定部と、判定部によって所定動作をしたと判定されたことを条件として、患者が所定動作をした旨の情報を出力する出力部とを含む。
【0017】
好ましくは、撮像部は、患者を頭部方向から撮像可能な位置に配置される。さらに好ましくは、算出部は、特定した特徴点のうち頭部の領域に含まれる特徴点の所定指標の値をそれぞれ算出する。
【0018】
好ましくは、算出部は、所定指標の値として、特徴点の座標を算出する。設定部は、所定条件として、複数の座標が患者の所定動作を判定するための所定の境界についての条件を設定する。
【0019】
さらに好ましくは、判定部は、算出部によって算出された座標が、設定部によって設定された所定の境界を超えた度合が所定のしきい値を超えたか否かによって、所定動作を判定する。
【0020】
また、さらに好ましくは、算出部は、所定指標の値として、さらに、特徴点の移動方向を算出する。判定部は、算出部によって算出された座標が所定の境界に近付いている度合が所定のしきい値を超えたか否かによって、所定動作を判定する。
【0021】
好ましくは、設定部は、ベッドの側端または長手方向端の位置に基づいて、予め定められた特定方法に従って所定条件を設定する。
【0022】
この発明の他の局面によれば、安全看護システムの制御方法は、制御部と、ベッドの上面の側端を含めて撮像可能な位置に固定して配置される撮像部とを備え、ベッド上の患者の動作を監視する安全看護システムを制御する制御方法である。
【0023】
制御方法は、制御部が、撮像部で撮像された画像データを取得するステップと、取得された画像データにおける患者の画像の特徴点を特定し、患者の所定動作を判定するために用いられる当該特徴点の所定指標の値を算出するステップと、取得された画像データにおけるベッドの領域に基づいて、所定動作を判定するための所定条件を設定するステップと、算出された値と設定された所定条件とに基づいて、所定動作を判定するステップと、所定動作をしたと判定されたことを条件として、患者が所定動作をした旨の情報を出力するステップとを含む。
【発明の効果】
【0024】
この発明に従えば、ベッドの上面の両側の側端を含めて撮像可能な位置に、撮像部が配置されるため、ベッドの横方向から撮像するのではない。このため、看護者による看護に支障を来たさないようにすることが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することができる。
【0025】
また、ベッドの上面の両側の側端を含めて撮像するので、側端に基づいた基準値を設定できる。このため、より正確に患者の動作の危険度を判定することが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することができる。
【0026】
また、範囲でなく複数の点で患者の動作を判定している。このため、動作の仕方および患者の体型の違いによって判定結果に誤差が出難くすることが可能な安全看護システム、および、安全看護システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施の形態における安全看護システムのカメラの取付け位置を説明するための図である。
【図2】この実施の形態における安全看護システムの制御装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図3】この実施の形態における制御装置で実行される境界条件設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】この実施の形態における制御装置に接続されたカメラで撮像された画像を示す第1の図である。
【図5】この実施の形態における患者の所定動作を判定するための所定条件における境界線の特定方法の一例を説明するための図である。
【図6】この実施の形態における制御装置で実行される警報レベル設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】この実施の形態における患者ごとの所定動作と警報レベルとの設定に用いられる図である。
【図8】この実施の形態における制御装置で実行される動作判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】この実施の形態における制御装置に接続されたカメラで撮像された画像を示す第2の図である。
【図10】この実施の形態における制御装置に接続されたカメラで撮像された画像を示す第3の図である。
【図11】この実施の形態の変形例における安全看護システムの構成の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0029】
図1は、この発明の実施の形態における安全看護システムのカメラ151の取付け位置を説明するための図である。図1を参照して、本実施の形態の安全看護システムのカメラ151は、ベッド20の上の患者10を頭部方向から撮像可能な位置に配置される。
【0030】
なお、カメラ151は、ベッド20の上面の側端23,23を含めて撮像可能な位置に配置されるのであれば、患者10の頭部方向から撮像可能な位置に限定されず、患者10の足部方向から撮像可能な位置に配置されてもよい。
【0031】
また、カメラ151は、ベッド20の上面の長手方向端24,24を含めて撮像可能な位置に配置されることが好ましい。
【0032】
また、患者10は、病院等で医師および看護師などの看護者に看護を受ける被看護者、および、介護施設等で介護者に介護を受ける被介護者などの他人によって見守りが必要な人を含む。
【0033】
図2は、この実施の形態における安全看護システムの制御装置100の構成の概略を示すブロック図である。図2を参照して、制御装置100は、制御部110と、記憶部120と、操作部130と、表示部140と、画像入力部150と、音声出力部160と、通信部190とを含む。
【0034】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)およびその補助回路を含み、制御装置100の各部を制御し、記憶部120に記憶されたプログラムおよびデータに従って所定の処理を実行し、操作部130、画像入力部150、および、通信部190から入力されたデータを処理し、処理したデータを、記憶部120に記憶させたり、表示部140で表示させたり、音声出力部160で音声として出力させたり、通信部190から出力させたりする。
【0035】
記憶部120は、制御部110でプログラムを実行するために必要な作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)と、制御部110で実行するための基本的なプログラムを記憶するためのROM(Read Only Memory)とを含む。また、記憶部120の記憶領域を補助するための補助記憶装置の記憶媒体として、磁気ディスク(HD(Hard Disk)、FD(Flexible Disk))、光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disc))、光磁気ディスク(MO(Magneto-Optical disk))、または、半導体メモリ(メモリカード、SSD(Solid State Drive))などが用いられてもよい。
【0036】
操作部130は、キーボードおよびマウスで構成され、ユーザによる操作を示す操作信号を制御部110に送信する。また、操作部130は、キーボードおよびマウスに替えて、または、加えて、タッチパネルなどの他の操作デバイスで構成されるようにしてもよい。
【0037】
表示部140は、ディスプレイ(たとえば、LCD(Liquid Crystal Display))およびを含む。表示部140は、制御部110によって制御されて、所定の映像をディスプレイに表示させる。
【0038】
音声出力部160は、スピーカを含む。音声出力部160は、制御部110によって制御されて、所定の音声をスピーカから出力させる。
【0039】
画像入力部150は、カメラ151から入力された画像データを、制御部110に受渡したり、制御部110によって制御されて、記憶部120に記憶させたり、表示部140に画像として表示させたりする。
【0040】
通信部190は、制御部110からの情報をネットワーク900を介して他の装置(本実施の形態においては、生体情報モニタ200)に送信するとともに、他の装置からネットワークを介して送信されてきた情報を受信して制御部110に受渡す。この実施の形態において、ネットワーク900は、病院内LAN(Local Area Network)であるが、これに限定されず、インターネットを介したネットワークのような他の種類のネットワークであってもよい。
【0041】
生体情報モニタ200は、患者に取付けられたプローブによって、血圧および心拍数などの生体情報を測定し、測定された生体情報を、当該装置で表示させたり、他の装置にネットワーク900を介して送信したりする。
【0042】
カメラ151は、撮像した撮像範囲の画像を画像データに変換して、本実施の形態においては、制御装置100の画像入力部150に当該画像データを送信する。この実施の形態においては、カメラ151は、動画像を撮像する。しかし、これに限定されず、カメラ151は、時間的に短い間隔(たとえば、0.1秒ごと)で連続する静止画像を撮像するものであってもよい。
【0043】
図3は、この実施の形態における制御装置100で実行される境界条件設定処理の流れを示すフローチャートである。図3を参照して、ステップS101で、制御部110は、カメラ151から画像入力部150に入力され記憶部120に記憶された画像データを、記憶部120から取得する。
【0044】
次に、ステップS102で、制御部110は、ステップS101で取得した画像データで示されるベッド20の画像から、ベッドの側端23,23、および、長手方向端24,24を抽出する。
【0045】
図4は、この実施の形態における制御装置100に接続されたカメラ151で撮像された画像を示す第1の図である。図4を参照して、ここで示す画像には、患者10とベッド20とが含まれるが、図3の境界条件設定処理が実行される際には、患者10がいない状態であることが望ましい。
【0046】
図1で説明したように、カメラ151は、患者10がベッド20に横たわった場合の頭部方向から、ベッド20の上面の両側の側端23,23を含めて撮像可能な位置に配置される。このため、撮像される画像には、ベッド20の上面の画像が、台形に近い形状で含まれる。ベッド20の長手方向の中心線上に当該中心線に向けてカメラ151が設置される場合は、撮像される画像には、ベッド20の上面の画像が、等脚台形に近い形状で含まれる。
【0047】
また、患者10がベッド20に横たわっている場合は、撮像される画像には、ベッド20の上面の形状である台形状の下底と上底との間に、頭が下底側で、足が上底側となるように、患者10の画像が含まれる。
【0048】
そして、台形の脚が、ベッド20の上面の側端23,23となり、台形の上底および下底が、ベッド20の上面の長手方向端24,24となる。
【0049】
図3に戻って、ステップS103で、制御部110は、ステップS102で抽出された側端23,23および長手方向端24,24に基づき、患者10の所定動作を判定するための所定条件における境界線21,22を算出する。ステップS103の後、制御部110は、実行する処理をこの処理の呼出元の処理に戻す。
【0050】
患者10の所定動作としては、後述する図7で説明するように、頭を動かす動作、起上がろうとしている動作、起上がる動作、ねがえり動作、(ベッド20から)降りようとしている動作、および、(ベッド20から)降りる動作などがある。
【0051】
なお、頭を動かす動作は、起上がろうとしている動作の兆候、起上がる動作の兆候、および、ねがえり動作の兆候と捉えることができる。起上がろうとしている動作は、起上がる動作の兆候と捉えることができる。ねがえり動作は、ベッド20から降りようとしている動作の兆候、および、ベッド20から降りる動作の兆候と捉えることができる。ベッド20から降りようとしている動作は、ベッド20から降りる動作の兆候と捉えることができる。
【0052】
つまり、患者10は、(1)頭を動かす動作、(2)起上がろうとしている動作、(3)起上がる動作、(4)ベッド20から降りようとしている動作、(5)ベッド20から降りる動作の順番で動作をする。また、患者10は、他の順番で動作することもある。患者10は、(1)頭を動かす動作、(2)ベッド20から降りようとしている動作、(3)ベッド20から降りる動作の順番で動作をする。
【0053】
ここで、ベッド20から降りる動作は、自分の意思に基づいて安全に降りた場合は、文字通り、ベッド20から降りる動作であるが、自分の意思に基づいていない場合、および、安全に降りれなかった場合は、ベッド20から落ちる動作となる。つまり、ベッド20から降りる動作には、ベッド20から降りる動作の他に、ベッド20から落ちる動作も含まれる。
【0054】
また、所定条件としては、本実施の形態においては、患者10の頭部の特徴点15のうち、境界線を超えた特徴点15の割合が、所定割合以上であるという条件とする。そして、所定条件を満たした場合に、所定動作をしたと判定する。
【0055】
物体(本実施の形態においては、患者10)の特徴点を抽出するアルゴリズムとしては、SIFT(Scale-invariant feature transform)およびSURF(Speeded Up Robust Features)などのアルゴリズムを用いることができる。
【0056】
しかし、これに限定されず、所定条件として、患者10の頭部の特徴点15の移動ベクトルのうち、境界線を超えた移動ベクトルの割合が、所定割合以上であるという条件であってもよい。特徴点15の移動ベクトルとしては、過去の所定フレーム前から現フレームまでに当該特徴点15が移動した量および方向のベクトルである。
【0057】
物体(この実施の形態においては、患者10)の特徴点の移動ベクトルを算出するアルゴリズムとしては、上述のSIFTおよびSURFなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0058】
患者10の頭部の特徴点15の移動ベクトルのうち、所定時間内に境界線を超えた移動ベクトルの累積割合が、所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0059】
患者10の頭部の特徴点15の移動ベクトルのうち、境界線に近付いた移動ベクトルの割合が、所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0060】
患者10の頭部の特徴点15の移動ベクトルのうち、所定時間内に境界線に近付いた移動ベクトルの累積割合が、所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0061】
また、上述した所定条件において、境界線を用いるようにしたが、細長い境界領域としてもよい。
【0062】
また、所定条件として、境界線を用いない条件としてもよい。たとえば、患者10の頭部の特徴点15の移動量(つまり、移動ベクトルの大きさ)が所定値(たとえば、20cm)以上の特徴点15が所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0063】
患者10の頭部の特徴点15の移動方向(つまり、移動ベクトルの方向)がベッド20から離れる方向またはベッド20の側端に近付く方向である特徴点15が、所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0064】
患者10がベッド20の側端の近く(たとえば、側端から所定距離(たとえば、30cm)の範囲内)にいる場合に、患者10の頭部の特徴点15の移動速度(つまり、単位時間の移動ベクトルの大きさ)が所定値(たとえば、10cm/秒)以上の特徴点15が、所定割合以上であるという条件であってもよい。
【0065】
さらに、上述した所定条件において、頭部の特徴点15としたが、他の部位(たとえば、肩)の特徴点としてもよい。
【0066】
また、上述した所定条件において、所定割合以上としたが、特徴点15の数が固定数である場合は、所定数以上としてもよい。
【0067】
図5は、この実施の形態における患者の所定動作を判定するための所定条件における境界線の特定方法の一例を説明するための図である。図5を参照して、この実施の形態においては、ベッド20の長手方向端24,24の2本の線と等距離で台形の形状の範囲内の線を、頭を動かす動作、起上がろうとしている動作、および、起上がる動作の所定条件における境界線21とする。
【0068】
また、ベッドの長手方向の中心線25と、ベッド20の両側の側端23,23とから等距離で台形の形状の範囲内の線を、ねがえり動作、ベッド20から降りようとしている動作、および、ベッド20から降りる動作の所定条件における境界線22,22とする。
【0069】
図6は、この実施の形態における制御装置100で実行される警報レベル設定処理の流れを示すフローチャートである。図6を参照して、この警報レベル設定処理は、患者10ごとに、どの動作であればどのような報知をするかという警報レベルの設定をするための処理である。
【0070】
まず、ステップS111で、制御部110は、対象の患者10がすでに警報レベルを設定済みの患者であるか否かを判断する。警報レベルを設定済みの患者でないと判断した場合(ステップS111でNOと判断した場合)、ステップS112で、制御部110は、ネットワーク900を介して、生体情報モニタ200から当該患者10の生体情報を取得する。
【0071】
次に、ステップS113で、制御部110は、ステップS112で取得した生体情報に基づいて、当該患者10の容態を特定する。たとえば、血圧がa〜b,e〜fであれば、容態が悪いと特定する。血圧がb〜c,d〜eであれば、容態が中程度であると特定する。血圧がc〜dであれば、容態が良いと特定する。
【0072】
そして、ステップS114で、制御部110は、ステップS113で特定した当該患者10の容態に応じて、患者ごとの所定動作と警報レベルとを設定する。
【0073】
図7は、この実施の形態における患者ごとの所定動作と警報レベルとの設定に用いられる図である。図7を参照して、患者の容態が悪いと特定された場合は、頭を動かす動作、および、ねがえり動作については、警報レベルを注意報とし、起上がろうとしている動作、起上がる動作、(ベッド20から)降りようとしている動作、および、(ベッド20から)降りる動作については、警報レベルを警報とする。
【0074】
患者の容態が中程度であると特定された場合は、頭を動かす動作、および、ねがえり動作については、警報レベルを通常報知とし、起上がろうとしている動作、起上がる動作、および、(ベッド20から)降りようとしている動作については、警報レベルを注意報とし、(ベッド20から)降りる動作については、警報レベルを警報とする。
【0075】
患者の容態が良いと特定された場合は、(ベッド20から)降りようとしている動作については、警報レベルを通常報知とし、(ベッド20から)降りる動作については、警報レベルを注意報とする。
【0076】
ここで、警報、注意報および通常報知は、この順番で看護者に、より伝わり易い報知であり、たとえば、警報では、アラームと報知内容の音声の出力とランプの点滅と報知内容の文字の表示とを組合せた報知を行ない、注意報では、報知内容の音声の出力と報知内容の文字の表示とを組合せた報知を行ない、通常報知では、報知内容の文字の表示を行なうようにする。
【0077】
図6に戻って、ステップS114の後、および、警報レベルを設定済みの患者であると判断した場合(ステップS111でYESと判断した場合)、ステップS121で、制御部110は、ネットワーク900を介して、生体情報モニタ200から当該患者10の生体情報を取得する。
【0078】
ステップS122では、制御部110は、ステップS121で取得された生体情報に基づいて当該患者10の生体情報が悪化したか否かを判断する。
【0079】
たとえば、上述の図3のステップS113で説明した容態ごとの血圧の範囲を用いて、血圧がc〜dの容態が良い状態から血圧がb〜c,d〜eの容態が中程度の状態になった場合、および、血圧がb〜c,d〜eの容態が中程度の状態から血圧がa〜b,e〜fの容態が悪い状態になった場合に、患者10の生体情報が悪化したと判断する。
【0080】
生体情報が悪化したと判断した場合(ステップS122でYESと判断した場合)、ステップS123で、制御部110は、当該患者10についてステップS114で設定された警報レベルを高くするよう設定を変更する。
【0081】
たとえば、すべての動作について警報レベルを1段階ずつ上げる。具体的には、警報レベルが通常報知であった動作については、警報レベルを注意報に上げ、警報レベルが注意報であった動作については、警報レベルを警報に上げる。
【0082】
ステップS123の後、および、生体情報が悪化していないと判断した場合(ステップS122でNOと判断した場合)、ステップS124で、制御部110は、ステップS121で取得された生体情報に基づいて当該患者10の生体情報が回復したか否かを判断する。
【0083】
たとえば、上述の図3のステップS113で説明した容態ごとの血圧の範囲を用いて、血圧がb〜c,d〜eの容態が中程度の状態から血圧がc〜dの容態が良い状態になった場合、および、血圧がa〜b,e〜fの容態が悪い状態から血圧がb〜c,d〜eの容態が中程度の状態になった場合に、患者10の生体情報が回復したと判断する。
【0084】
生体情報が回復したと判断した場合(ステップS124でYESと判断した場合)、ステップS125で、制御部110は、ステップS123で高くした警報レベルを元に戻すように設定を変更する。
【0085】
たとえば、すべての動作について警報レベルを1段階ずつ上げたものを1段階ずつ下げる。具体的には、警報レベルを注意報に上げた動作については、警報レベルを通常報知に下げ、警報レベルを警報に上げた動作については、警報レベルを注意報に下げる。
【0086】
ステップS125の後、および、生体情報が回復していないと判断した場合(ステップS124でNOと判断した場合)、ステップS131で、制御部110は、カメラ151から画像入力部150に入力され記憶部120に記憶された画像データを、記憶部120から取得する。
【0087】
次に、ステップS132で、制御部110は、ステップS131で取得した画像データから看護者を抽出する。そして、ステップS133で、制御部110は、看護者がいるか否かを判断する。
【0088】
看護者の抽出は、たとえば、頭部と判断される部位の上の看護帽を抽出することによって行ない、看護帽が抽出された場合は、看護者がいると判断する。また、位置が動いている聴診器を抽出することによって看護者を抽出するようにしてもよい。
【0089】
また、顔認識の技術を用いて、画像データで示される画像に含まれる顔を抽出して、抽出した顔と看護者として登録されている顔とが一致した場合に、看護者がいると判断してもよい。
【0090】
看護者がいると判断した場合(ステップS133でYESと判断した場合)、ステップS134で、制御部110は、当該患者10についてステップS114で設定された警報レベルを低くするよう設定を変更する。
【0091】
たとえば、すべての動作について警報レベルを1段階ずつ下げる。具体的には、警報レベルが警報であった動作については、警報レベルを注意報に下げ、警報レベルが注意報であった動作については、警報レベルを通常報知に下げる。
【0092】
一方、看護者がいないと判断した場合(ステップS133でNOと判断した場合)、ステップS135で、制御部110は、ステップS134で低くした警報レベルを元に戻すように設定を変更する。
【0093】
たとえば、すべての動作について警報レベルを1段階ずつ下げたものを1段階ずつ上げる。具体的には、警報レベルを注意報に下げた動作については、警報レベルを警報に上げ、警報レベルを通常報知に下げた動作については、警報レベルを注意報に上げる。
【0094】
ステップS134およびステップS135の後、制御部110は、実行する処理をこの処理の呼出元の処理に戻す。
【0095】
図8は、この実施の形態における制御装置100で実行される動作判定処理の流れを示すフローチャートである。図8を参照して、ステップS141で、制御部110は、カメラ151から画像入力部150に入力され記憶部120に記憶された画像データを、記憶部120から取得する。
【0096】
次に、制御部110は、ステップS142で、ステップS141で取得した画像データの画像から患者10の特徴点を抽出し、ステップS143で、当該特徴点のうち患者10の頭部の特徴点15を抽出し、ステップS144で、過去の画像からの頭部の特徴点15の位置を算出する。
【0097】
図4に戻って、患者10の頭部の特徴点15は、図で示すように、図3のステップS103で説明したように、物体(この実施の形態においては、患者10)の特徴点を抽出する従来のアルゴリズムで抽出され、特徴点15の位置が算出される。
【0098】
図8に進んで、ステップS151で、制御部110は、当該患者に対して、1つ目の動作について以下のステップS152からステップS154までの処理を実行する。
【0099】
ステップS152で、制御部110は、ステップS144で算出した位置に基づいて、患者10の頭部の特徴点15のうち、当該動作に対応する所定条件の境界線を横切った特徴点15の割合を算出する。そして、ステップS153で、制御部110は、ステップS152で算出した割合が所定割合以上であるか否かを判断する。
【0100】
たとえば、頭を動かす動作の場合、ベッド20の長手方向端に平行な境界線21を横切った特徴点15の割合が、所定割合(10%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、頭を動かしたと判断する。
【0101】
図9は、この実施の形態における制御装置100に接続されたカメラ151で撮像された画像を示す第2の図である。図9を参照して、この図では、患者10が、ベッド20から起きようとしている途中の状態が示されている。
【0102】
起上がろうとしている動作の場合、ベッド20の長手方向端に平行な境界線21を横切った特徴点15の割合が、所定割合(50%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、起上がろうとしていると判断する。
【0103】
起上がる動作の場合、ベッド20の長手方向端に平行な境界線21を横切った特徴点15の割合が、所定割合(95%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、起上がったと判断する。
【0104】
図10は、この実施の形態における制御装置100に接続されたカメラ151で撮像された画像を示す第3の図である。図10を参照して、この図では、患者10が、ベッド20から降りようとしているまたは落ちつつある途中の状態が示されている。
【0105】
ねがえり動作の場合、ベッド20の側端に平行な境界線22を横切った特徴点15の割合が、(5%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、ねがえりをしたと判断する。
【0106】
ベッド20から降りようとしている動作または落ちる方向に向かっている動作の場合、ベッド20の側端に平行な境界線22を横切った特徴点15の割合が、(30%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、ベッド20から降りようとしている、または、落ちる方向に向かっていると判断する。
【0107】
ベッド20から降りる動作または落ちる動作の場合、ベッド20の側端に平行な境界線22を横切った特徴点15の割合が、(95%)以上であるか否かを判断し、所定割合以上であれば、ベッド20から降りつつある、または、落ちかけていると判断する。
【0108】
所定割合以上であると判断した場合(ステップS153でYESと判断した場合)、ステップS154で、制御部110は、図6のステップS114で設定された当該患者10の当該動作に応じた警報レベルで、当該動作をした旨を報知する。
【0109】
たとえば、起上がろうとしている動作に対して警報レベルが警報と設定されている場合、起上がろうとしていると判断されたときは、起上がろうとしている旨を警報として報知する。
【0110】
この実施の形態においては、たとえば、起上がろうとしている旨の警報においては、アラームを鳴動させ、起上がろうとしている旨の音声を出力し、ランプを点滅させ、起上がろうとしている旨の文字を表示させる。
【0111】
また、起上がろうとしている旨の注意報においては、起上がろうとしている旨の音声を出力し、起上がろうとしている旨の文字を表示させる。また、起上がろうとしている旨の通常報知においては、起上がろうとしている旨の文字を表示させる。
【0112】
境界線を横切った特徴点15の割合が所定割合以上でないと判断した場合(ステップS153でNOと判断した場合)、および、ステップS154の後、ステップS155で、その動作をしたか否かの判断していない次の動作があるか否かを判断する。
【0113】
次の動作があると判断した場合(ステップS155でYESと判断した場合、その動作について前述したステップS152からステップS154までの処理を実行する。一方、次の動作がないと判断した場合(ステップS155でNOと判断した場合)、実行する処理をこの処理の呼出元の処理に戻す。
【0114】
(1−1) 以上説明したように、本実施の形態における安全看護システムは、ベッド20の上の患者10の動作を監視するシステムであり、制御装置100と、ベッド20の上面の側端23,23を含めて撮像可能な位置に配置されるカメラ151とを備える。
【0115】
制御装置100は、カメラ151で撮像された画像データを取得し、取得された画像データにおける患者10の画像の特徴点15を特定し、患者10の所定動作(たとえば、図7で説明した動作)を判定するために用いられる当該特徴点15の所定指標(たとえば、座標、移動量、移動方向、移動速度)の値を算出し、取得された画像データにおけるベッド20の領域に基づいて、所定動作を判定するための所定条件(たとえば、特徴点15の座標が所定動作を判定するための所定の境界を超えた度合が所定のしきい値を超えるという条件、所定の境界に近付いている度合が所定のしきい値を超えるという条件)を設定し、算出した値と設定した所定条件とに基づいて、所定動作を判定し、所定動作をしたと判定したことを条件として、患者10が所定動作をした旨の情報(たとえば、音、表示による警報、注意報、通常報知)を出力する。
【0116】
このように、ベッド20の上面の側端23,23を含めて撮像可能な位置に、カメラ151が配置されるため、ベッド20の横方向から撮像するのではない。このため、看護者による看護に支障を来たさないようにすることができる。
【0117】
また、ベッド20の上面の側端23,23を含めて撮像するので、側端23,23に基づいた基準値を設定できる。このため、より正確に患者10の動作の危険度を判定することができる。
【0118】
また、範囲でなく複数の点で患者10の動作を判定している。このため、動作の仕方および患者10の体型の違いによって判定結果に誤差が出難くすることができる。
【0119】
(1−2) カメラ151は、患者10を頭部方向または足部方向から撮像可能な位置に配置される。このようにすれば、患者10とベッド20の側端23,23との位置関係を分かり易く撮像することができる。
【0120】
(1−3) 制御装置100は、特定した特徴点のうち頭部の領域に含まれる特徴点15の所定指標の値をそれぞれ算出する。このように、頭部の動作を監視することによって、患者10の全身の動作を監視することと比較して、より効率的に、患者10の動作を監視することができる。
【0121】
(1−4) 制御装置100は、所定指標の値として、特徴点15の座標を算出し、所定条件として、複数の座標が患者10の所定動作を判定するための所定の境界(たとえば、境界線、境界領域)についての条件を設定する。
【0122】
(1−5) 制御装置100は、算出した座標が、設定した所定の境界を超えた度合(たとえば、所定時間内に境界を超えた特徴点15の数の割合、境界を超えた特徴点15の累積した数の割合)が所定のしきい値(たとえば、所定割合)を超えたか否かによって、所定動作を判定する。
【0123】
(1−6) 制御装置100は、所定指標の値として、さらに、特徴点15の移動方向を算出し、算出した座標が所定の境界に近付いている度合(たとえば、所定時間内に境界に近付いた特徴点15の数の割合、境界に近付いた特徴点15の累積した数の割合)が所定のしきい値を超えたか否かによって、所定動作を判定するようにしてもよい。
【0124】
(1−7) 制御装置100は、ベッド20の側端23,23または長手方向端24,24の位置に基づいて、予め定められた特定方法(たとえば、ベッド20の頭側および足側の長手方向端24,24のそれぞれから等距離の境界線21を、起き上がりの判定の境界とする方法、ベッド20の長手方向の中心線25とベッド20の側端23,23とから等距離の境界線22,22を、ベッド20の端に移動しようとしているかの判定の境界とする方法)に従って所定条件を設定する。
【0125】
(2−1) 制御装置100は、患者10ごとに、容態(たとえば、悪い、中程度、良い)に応じた、複数種類の所定動作と複数の警報レベル(たとえば、警報、注意報、通常報知)との対応関係(たとえば、図7で説明した対応関係)を設定し、患者10の所定動作を判定するために用いられる所定指標の値を算出し、所定動作を判定するための所定条件を設定し、算出した値と設定した所定条件とに基づいて、所定動作を判定し、所定動作をしたと判定したことを条件として、当該所定動作に対応して当該患者10について設定した対応関係で示される警報レベルで、当該患者10が所定動作をした旨の情報を出力する。
【0126】
このように、患者10ごとに設定された所定動作に応じた警報レベルで、患者10が所定動作をした旨が出力されるので、患者10ごとの容態に対応した看護者への通知を行なうことができる。
【0127】
(2−2) 制御装置100は、容態ごとに予め定められた所定動作と警報レベルとの対応関係のうちから、当該患者の容態に応じた対応関係を選択して設定する。
【0128】
これにより、患者10の容態に応じた所定動作と警報レベルとの対応関係を、より簡単に設定することができる。
【0129】
(2−3) 制御装置100は、外部の生体情報モニタ200の情報に応じて当該患者10の容態を特定し、容態ごとに予め定められた所定動作と警報レベルとの対応関係のうちから、特定した容態に応じた対応関係を選択して設定する。
【0130】
これにより、患者10の容態に応じた所定動作と警報レベルとの対応関係を、より簡単でかつ客観的に設定することができる。
【0131】
(2−4) 制御装置100は、外部の生体情報モニタ200の情報で示される値が悪化したか否かを判定し、悪化したと判定した場合、設定した対応関係で示される所定動作ごとの警報レベルをそれぞれ高くするよう対応関係を変更する。
【0132】
これにより、患者の容態の変化に応じて、所定動作と警報レベルとの対応関係の設定を適切に変更することができ、状況に応じて所定動作をした旨の報知を適切にすることができる。
【0133】
(2−5) 制御装置100は、取得した画像データに基づいて、看護者がいるか否かを判定し、看護者がいると判定した場合、設定した対応関係で示される所定動作ごとの警報レベルを低くするよう対応関係を変更する。
【0134】
これにより、看護者がいるか否かに応じて、所定動作と警報レベルとの対応関係の設定を適切に変更することができ、状況に応じて所定動作をした旨の報知を適切にすることができる。
【0135】
(2−6) 制御装置100は、取得した画像データに基づいて、看護者がいるか否かを判定し、看護者がいると判定した場合、情報を出力しないようにしてもよい。
【0136】
このようにすれば、看護者が患者10のそばにいて、所定動作をした旨の報知が必要ない場合に、余計な報知を行なわないようにすることができる。
【0137】
次に、上述した実施の形態の変形例について説明する。
(1) 前述した図6の警報レベル設定処理においては、ステップS112からステップS114の処理が実行されることによって患者ごとの動作と警報レベルとの設定が自動的に行なわれるようにした。しかし、これに限定されず、ステップS112およびステップS113での容態の特定を医師または看護師が行なうようにしてもよい。また、医師または看護師が患者ごとに動作と警報レベルとの設定を手動で行なえるように構成してもよい。
【0138】
(2) 起上がり動作などで人が動くと血圧値は上昇する。このため、血圧が180mmHgであれば危険な患者10の場合、危険な血圧値180mmHgを設定すれば、自動的に所定値(たとえば、20mmHg)引いた値(160mmHg)になった場合に、図6のステップS122で、生体情報が悪化したと判断するようにして、起上がり動作などの動作で血圧値が危険値を実際にオーバーする前に、警報レベルを高くするよう設定を変更するようにしてもよい。
【0139】
このように、実際の危険値になる前に、報知できるように、生体情報の悪化の惧れがあるか否かを判断するようにしてもよい。
【0140】
(3) 前述した実施の形態においては、ベッド20の上面の両側の側端23,23を含めて撮像可能な位置にカメラ151を配置するようにした。しかし、これに限定されず、たとえば、ベッドの一方の側端23が壁などに接していたり、落下防止柵が取付けてあったりして、患者10が落下したり降りたりできない場合は、ベッド20の上面の他方の側端23を含めて撮像可能な位置にカメラ151を配置するようにすればよい。
【0141】
(4) 前述した実施の形態においては、境界線は、直線状であることとした。しかし、これに限定されず、境界線は、円、楕円、円弧などの閉曲線状または開曲線状であってもよい。たとえば、図4の患者10の頭部から所定半径の円を境界線とするようにしてもよい。
【0142】
(5) 前述した実施の形態においては、カメラは、ベッド20の近辺の所定位置に配置されることとしたが、制御装置100の配置位置には特に言及しなかった。制御装置100は、ベッド20の近辺に配置されるよりも、ナースステーションなどベッド20から離れた位置に配置されることが好ましい。このようにすれば、看護者や介護者が患者の近辺にいる場合には患者の動作を報知する必要性が低いが、報知する必要性の高い離れた位置にいる看護者や介護者に、患者の動作を報知することができる。
【0143】
(6) 前述した実施の形態においては、図8のステップS154で説明したように、安全看護システムの制御装置100の表示部140および音声出力部160で、当該患者10の当該動作に応じた警報レベルで、当該動作をした旨を報知するようにした。しかし、これに限定されず、制御装置100と異なる装置でそのような報知を行なうようにしてもよい。
【0144】
図11は、この実施の形態の変形例における安全看護システムの構成の概略を示すブロック図である。図11を参照して、この安全看護システムは、上述した構成に加えて、PC300と携帯電話400とを含む。PC300および携帯電話400のいずれかを含むようにしてもよい。
【0145】
PC300および携帯電話400は、ネットワーク900を介して制御装置100と接続される。なお、ネットワーク900は、通信キャリアの携帯電話網および構内携帯電話網のような他の種類のネットワークを含むようにしてもよい。
【0146】
このような安全看護システムにおいて、制御装置100の制御部110は、通信部190を制御して、当該患者10の当該動作に応じた警報レベルで、当該動作をした旨を報知するための情報を、PC300または携帯電話400に送信するようにして、PC300または携帯電話400が、受信した情報に基づいて、当該患者10の当該動作に応じた警報レベルで、当該動作をした旨を報知するようにしてもよい。
【0147】
これにより、PC300をナースステーションなどベッド20から離れた位置に配置すれば、報知する必要性の高い離れた位置にいる看護者や介護者に、患者の動作を報知することができる。また、携帯電話400を看護者や介護者が所持するようにすれば、ベッド20から離れた場所に看護者や介護者がいる場合であっても、看護者や介護者に患者の動作を報知することができる。
【0148】
また、患者ごとの担当の看護者や介護者を予め定めておいて、ある患者の担当の看護者や介護者の所持する携帯電話400に、当該患者の動作を報知するようにしてもよい。このようにすれば、担当以外の患者の動作は報知されることなく、担当の患者の動作のみ報知されるので、不必要な報知を減らすことができ、看護者や介護者の適切な対処に資することができる。
【0149】
(7) 前述した実施の形態においては、図2で説明したように、制御部110への操作信号は、操作部130から入力されるようにした。しかし、これに限定されず、図11のPC300または携帯電話400から、制御装置100の制御部110へ操作信号が入力されるようにしてもよい。
【0150】
(8) 前述した実施の形態においては、制御装置100の制御部110によって上述したフローチャートで示されるようなソフトウェアが実行されるによって制御装置100の制御部110にそれらの処理で示される機能を発揮する部分が仮想的に構成される。しかし、これに限定されず、それらの機能を発揮する部分がハードウェアの回路で制御装置100の制御部110などに構成されるようにしてもよい。
【0151】
(9) 前述した実施の形態においては、安全看護システム、および、安全看護システムに含まれる制御装置100として発明を説明した。しかし、これに限定されず、安全看護システムまたは制御装置100で前述した処理を実行する安全看護システムまたは制御装置100の制御方法の発明として捉えることができる。
【0152】
また、安全看護システムまたは制御装置100で前述した処理を実行する安全看護システムまたは制御装置100の制御プログラムの発明として捉えることができる。
【0153】
(10) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0154】
10 患者、15 特徴点、20 ベッド、21,22 境界線、23 側端、24 長手方向端、25 中心線、100 制御装置、110 制御部、120 記憶部、130 操作部、140 表示部、150 画像入力部、151 カメラ、160 音声出力部、190 通信部、200 生体情報モニタ、300 PC、400 携帯電話、900 ネットワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド上の患者の動作を監視する安全看護システムであって、
制御部と、
前記ベッドの上面の側端を含めて撮像可能な位置に配置される撮像部とを備え、
前記制御部は、
前記撮像部で撮像された画像データを取得する撮像制御手段と、
前記撮像制御手段によって取得された前記画像データにおける前記患者の画像の特徴点を特定し、前記患者の所定動作を判定するために用いられる当該特徴点の所定指標の値を算出する算出手段と、
前記撮像制御手段によって取得された前記画像データにおける前記ベッドの領域に基づいて、前記所定動作を判定するための所定条件を設定する設定手段と、
前記算出手段によって算出された前記値と前記設定手段によって設定された前記所定条件とに基づいて、前記所定動作を判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記所定動作をしたと判定されたことを条件として、前記患者が前記所定動作をした旨の情報を出力する出力手段とを含む、安全看護システム。
【請求項2】
前記撮像部は、前記患者を頭部方向から撮像可能な位置に配置される、請求項1に記載の安全看護システム。
【請求項3】
前記算出手段は、特定した前記特徴点のうち頭部の領域に含まれる前記特徴点の前記所定指標の値をそれぞれ算出する、請求項2に記載の安全看護システム。
【請求項4】
前記算出手段は、前記所定指標の値として、前記特徴点の座標を算出し、
前記設定手段は、前記所定条件として、複数の前記座標が前記患者の所定動作を判定するための所定の境界についての条件を設定する、請求項1に記載の安全看護システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記算出手段によって算出された前記座標が、前記設定手段によって設定された前記所定の境界を超えた度合が所定のしきい値を超えたか否かによって、前記所定動作を判定する、請求項4に記載の安全看護システム。
【請求項6】
前記算出手段は、前記所定指標の値として、さらに、前記特徴点の移動方向を算出し、
前記判定手段は、前記算出手段によって算出された前記座標が前記所定の境界に近付いている度合が所定のしきい値を超えたか否かによって、前記所定動作を判定する、請求項4に記載の安全看護システム。
【請求項7】
前記設定手段は、前記ベッドの側端または長手方向端の位置に基づいて、予め定められた特定方法に従って前記所定条件を設定する、請求項1に記載の安全看護システム。
【請求項8】
制御部と、前記ベッドの上面の側端を含めて撮像可能な位置に固定して配置される撮像部とを備え、ベッド上の患者の動作を監視する安全看護システムを制御する制御方法であって、
前記制御部が、
前記撮像部で撮像された画像データを取得するステップと、
取得された前記画像データにおける前記患者の画像の特徴点を特定し、前記患者の所定動作を判定するために用いられる当該特徴点の所定指標の値を算出するステップと、
取得された前記画像データにおける前記ベッドの領域に基づいて、前記所定動作を判定するための所定条件を設定するステップと、
算出された前記値と設定された前記所定条件とに基づいて、前記所定動作を判定するステップと、
前記所定動作をしたと判定されたことを条件として、前記患者が前記所定動作をした旨の情報を出力するステップとを含む、安全看護システムの制御方法。
【請求項1】
ベッド上の患者の動作を監視する安全看護システムであって、
制御部と、
前記ベッドの上面の側端を含めて撮像可能な位置に配置される撮像部とを備え、
前記制御部は、
前記撮像部で撮像された画像データを取得する撮像制御手段と、
前記撮像制御手段によって取得された前記画像データにおける前記患者の画像の特徴点を特定し、前記患者の所定動作を判定するために用いられる当該特徴点の所定指標の値を算出する算出手段と、
前記撮像制御手段によって取得された前記画像データにおける前記ベッドの領域に基づいて、前記所定動作を判定するための所定条件を設定する設定手段と、
前記算出手段によって算出された前記値と前記設定手段によって設定された前記所定条件とに基づいて、前記所定動作を判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記所定動作をしたと判定されたことを条件として、前記患者が前記所定動作をした旨の情報を出力する出力手段とを含む、安全看護システム。
【請求項2】
前記撮像部は、前記患者を頭部方向から撮像可能な位置に配置される、請求項1に記載の安全看護システム。
【請求項3】
前記算出手段は、特定した前記特徴点のうち頭部の領域に含まれる前記特徴点の前記所定指標の値をそれぞれ算出する、請求項2に記載の安全看護システム。
【請求項4】
前記算出手段は、前記所定指標の値として、前記特徴点の座標を算出し、
前記設定手段は、前記所定条件として、複数の前記座標が前記患者の所定動作を判定するための所定の境界についての条件を設定する、請求項1に記載の安全看護システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記算出手段によって算出された前記座標が、前記設定手段によって設定された前記所定の境界を超えた度合が所定のしきい値を超えたか否かによって、前記所定動作を判定する、請求項4に記載の安全看護システム。
【請求項6】
前記算出手段は、前記所定指標の値として、さらに、前記特徴点の移動方向を算出し、
前記判定手段は、前記算出手段によって算出された前記座標が前記所定の境界に近付いている度合が所定のしきい値を超えたか否かによって、前記所定動作を判定する、請求項4に記載の安全看護システム。
【請求項7】
前記設定手段は、前記ベッドの側端または長手方向端の位置に基づいて、予め定められた特定方法に従って前記所定条件を設定する、請求項1に記載の安全看護システム。
【請求項8】
制御部と、前記ベッドの上面の側端を含めて撮像可能な位置に固定して配置される撮像部とを備え、ベッド上の患者の動作を監視する安全看護システムを制御する制御方法であって、
前記制御部が、
前記撮像部で撮像された画像データを取得するステップと、
取得された前記画像データにおける前記患者の画像の特徴点を特定し、前記患者の所定動作を判定するために用いられる当該特徴点の所定指標の値を算出するステップと、
取得された前記画像データにおける前記ベッドの領域に基づいて、前記所定動作を判定するための所定条件を設定するステップと、
算出された前記値と設定された前記所定条件とに基づいて、前記所定動作を判定するステップと、
前記所定動作をしたと判定されたことを条件として、前記患者が前記所定動作をした旨の情報を出力するステップとを含む、安全看護システムの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−71003(P2012−71003A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219192(P2010−219192)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
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