説明

安定な酸変性大豆/尿素接着剤およびその製造方法

本発明は、改善された湿潤接着強度および乾燥接着強度を有する安定な酸変性大豆/尿素接着剤の改良された製造方法であって、効率化されて製造費が低減された方法を提供する。この方法は、尿素と、変性され、ウレアーゼ活性が実質的に無くなるまで酸処理された大豆粉とを混合する工程を含む。大豆粉は、少なくとも1分間、2.0〜4.0のpHに低められたものであることが好ましい。場合により、この方法は、架橋剤、希釈剤もしくはそれらの両方を大豆粉/尿素接着剤に添加する工程、および/または、乳化ポリマーもしくは分散ポリマーを添加する工程をも含み得る。本発明の方法に従って製造された接着剤および分散物は、高められた安定性および強度特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素と、酸変性されてウレアーゼを実質的に有さない大豆粉とを混合して安定な大豆/尿素接着剤を形成させることによる安定な接着剤の製造方法および組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質を含有する大豆粉に由来する接着剤が最初に一般的に使用されるようになったのは1920年代からである(例えば、米国特許第1,813,387号、同第1,724,695号、および同第1,994,050号を参照されたい)。接着剤における使用に適する大豆粉は、当時も今も、大豆から油の一部または大部分を除去し、残りの大豆ミールをその後粉砕して極めて微細な大豆粉にすることによって得られる。典型的には、砕いた大豆から非極性油の大部分を抽出するためにヘキサンが使用されるが、押出/抽出法も油除去の好適な手段である。
【0003】
次いで、得られた大豆粉を、一般に、アルカリ剤を用いて変性(すなわち、タンパク質の二次、三次および/または四次構造が、さらなる結合可能な極性官能基を露出させるように変化)し、ある程度、加水分解(すなわち、共有結合を切断)して、乾燥条件下での木材接着用の接着剤を得る。しかし、これらの初期の大豆接着剤が示す耐水性は不十分であり、そのため、その使用は屋内用途に厳密に限定されていた。
【0004】
加えて、従来技術において一般的な大豆接着剤は、ポットライフが限られている。わずか数時間後に、アルカリ変性大豆粉混合物の粘度および性能は、急速に低下する。この性能の低下は、大豆粉の多少の加水分解と、強力な接着結合および粘着結合の両方の形成に重要であると考えられる二次、三次および四次構造の過剰な破壊との結果であると考えられている。したがって、十分なタンパク質構造を保持しながら性能の改善のために十分な官能基を露出させて接着性能を維持することと、安定性を付与することとの間のバランスを示す接着剤に対する需要が存在している。
【0005】
1920年代に、フェノール-ホルムアルデヒド(PF)接着剤樹脂および尿素-ホルムアルデヒド(UF)接着剤樹脂が最初に開発された。フェノール-ホルムアルデヒドおよび変性尿素-ホルムアルデヒド樹脂は屋外耐久性であったが、原材料費が高く、そのため、最初はそれらの使用が限定されていた。第二次世界大戦により、屋外用途を含めた耐水性および耐候性用途のためのこれらの接着剤が急速に開発された。しかし、血液または他のタンパク質と組合せられることが多いタンパク質系接着剤(主に大豆系接着剤)が、多くの屋内用途で使用され続けた。
【0006】
現在では、尿素-ホルムアルデヒド樹脂を使用して、屋内用合板、中質繊維板(MDF)およびパーティクルボード(PB)が主として製造されている。非常に強力で速硬化性であり、適度に使用しやすいが、これらの樹脂は、そのポリマー骨格に沿う結合の加水分解安定性を欠いている。このため、相当な量の遊離ホルムアルデヒドが最終製品から放出される(さらに最終的には、家屋内の居住者により吸入される)。屋内の家庭用途で使用する場合には、ホルムアルデヒド排出の低減を求める複数の法的措置がとられている(Health and Safety Code Title 17 California Code of Regulations Sec. 93120-93120.12、および新しい米国国家基準-参考:2010 U.S. S1660)。
【0007】
大豆系接着剤は、大豆粉、大豆タンパク質濃縮物(SPC)、または大豆タンパク質単離物(SPI)を出発原料として使用することができる。便宜上、本開示では、20%を超える炭水化物を含有する全ての大豆製品を「大豆粉」と呼ぶ。大豆粉はSPIより安価であるが、大豆粉は、相当な濃度の活性化ウレアーゼ(尿素を急速かつ効率的に分解してアンモニアにする酵素)を含有するため、最終接着剤において尿素を使用する場合には、ウレアーゼを不活性化する必要がある。これは、最終製品の粘度/固形分比または性能を損なうことなく実現する必要がある。大豆粉は、高濃度の炭水化物も含有し、架橋により大豆系接着剤の耐水性が大幅に改善されるため、より複雑な架橋技術を必要とする。
【0008】
SPCが含有するタンパク質は大豆粉より多いが、SPIよりは少ない。典型的には、SPCは、可溶性炭水化物を除去するためにアルコール洗浄を用いて製造される。
【0009】
SPIは、典型的には、等電沈殿法を介して製造される。この方法は、可溶性糖を除去するだけではなく、より可溶性の低分子量タンパク質も除去し、それにより、変性させなくても接着に最適な高分子量タンパク質が主に後に残る。結果的に、SPIにより、相当の耐久性を有する非常に強力な接着剤が生じる。しかし、SPIは極めて高価であり、したがって、大豆系接着剤用の大豆の理想的な原料ではない。したがって、大豆粉から高品質の接着剤を製造する必要性が大いにある。
【0010】
Liらの米国特許第7,252,735号(Li)には、ポリアミド-アミンエピクロロヒドリン由来の樹脂(PAE)で架橋された大豆タンパク質が記載されている。Liは、公知の湿潤紙力増強剤であるこれらの特定のPAEを、タンパク質官能基との多くの可能な反応において説明している。Liでは、加温された温度にてSPIをアルカリで変性し、次いで、好適なPAE樹脂と混合して耐水性の結合を生じさせている。この大豆水溶液は、好適なポットライフを実現するために、共重合の直前に調製(または凍結乾燥)しなければならない。Liで用いられているSPIは、既に広範な熱履歴を有しているため、Liは、PAEと共に使用する大豆の変性の重要性を教示または示唆していない。さらに、Liに記述されているアルカリ法は、大豆粉中のウレアーゼを不活性化するために十分ではなく、したがって、大豆粉/尿素接着剤を製造するために適したアプローチではない。さらに、Liに記述されている接着剤は、高い粘度、低い固形分、または不十分な安定性の少なくとも1つの問題を有している。
【0011】
Sunらの米国特許第6,497,760号(Sun)も、出発原料としてのSPIから製造された大豆系接着剤を教示している。Sunは、SPIを尿素で改質することができることを教示しているが、Sunは、改良された大豆粉系接着剤を得るために大豆粉を尿素で改質することは教示または示唆していない。尿素は、有意なウレアーゼ活性を全く有さない接着剤(例えば、SPIなど)用の公知の変性剤である。しかし、尿素は、中程度から高い程度のウレアーゼ活性を有するため、大豆粉には問題となる。SPIを尿素で変性することができることが知られている(例えば、Kinsella、J. Am. Oil Chem. Soc.、1979年3月、56:244を参照されたい)が、大豆粉はウレアーゼ活性を有するため、Sunの開示は、尿素を大豆粉と共に使用することに反する教示をしている。
【0012】
大豆粉中のウレアーゼを不活性化する何らかの方法について記載しているこれまでの研究は非常に限られており、本願発明の特定の酸処理アプローチについて記載しているような研究は存在しない。
【0013】
Rambaudの米国特許第3,220,851号には、食品加工における大豆の品質および有用性を改善するために大豆を処理する方法が記載されている。Rambaudは、ウレアーゼおよび抗トリプシンなどの「望ましくない」化合物を大豆から除去するために、水溶液中の大豆を80℃を超えない温度にて調理することについて記載している。Rambaudは、80℃の温度が、それを超えるとアルブミンの分解の速度が急速に増大し、したがってこの値を超えないことが必須である閾値を構成していることを具体的に教示している。Rambaudも、ウレアーゼまたは抗トリプシンの除去が、大豆が接着剤として作用する能力の点で有用となり得る理由を教示または示唆していない。
【0014】
Wescott(米国出願番号第11/779,558号)も、大豆を処理してウレアーゼを不活性化するための高温法を教示している。この方法は、ウレアーゼを不活性化するために効果的であるが、本発明と比較して相当な粘度および色の増大が生じるという点で本発明より劣っている。
【0015】
Wescottの米国特許第7,345,136号には、ホルムアルデヒドの直接添加による共重合の準備において、大豆粉を変性する方法について記載している。このような方法は、本発明に適用すると、高いアンモニア濃度および相当な性能低下が生じるであろう。あるいは、本発明の方法をWescott(7,345,136)の方法に適用すると、ホルムアルデヒドを変性大豆粉に添加する際に即時のゲル化が生じる。これは、この方法による変性のレベルが不十分であるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第1,813,387号、
【特許文献2】米国特許第1,724,695号
【特許文献3】米国特許第1,994,050号
【特許文献4】米国特許第7,252,735号
【特許文献5】米国特許第6,497,760号
【特許文献6】米国特許第3,220,851号
【特許文献7】米国出願第11/779,558号
【特許文献8】米国特許第7,345,136号
【特許文献9】米国特許第3,494,775号
【特許文献10】米国特許出願第12/287,394号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Kinsella、J. Am. Oil Chem. Soc.、1979年3月、56:244
【非特許文献2】Wet Strength Resins and Their Application、L. L. Chan編、TAPPIPress、Atlanta GA、13〜44頁(1994)の中のH. H. Espy、「Alkaline-Curing Polymeric Amine-Epichlorohydrin Resins」
【非特許文献3】Wood Handbook - Wood as an Engineering Material、Gen. Tech. Rep. FPL-GTR-113、463 頁、U.S. Department of Agriculture、Forest Service、Forest Products Laboratory、Madison、WI(1999)の第10章、「Wood-based Composite Products and Panel Products」
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、酸変性されてウレアーゼ活性を実質的に有さない大豆粉と、尿素とを混合して安定な大豆/尿素接着剤を形成させることによって、安定な接着剤を製造する方法を提供する。本発明は、酸変性されてウレアーゼを実質的に有さない大豆粉と、尿素とを含む安定な組成物も提供する。
【0019】
本発明の一実施形態では、大豆粉を水中に分散させ、そのpHを、等電点を超えて、4.5未満、好ましくは4.0未満であって2.0を超えるpHまで低下させ、少なくとも1分間撹拌させる。その結果、この酸変性大豆は、尿素を添加した後のpH安定性により判定して、ウレアーゼを実質的に有さない(すなわちアンモニアが形成しない)。そのため、この酸変性工程の後、尿素を任意のpHでこの物質に添加することができる。
【0020】
最終接着剤組成物のpHは、架橋剤を添加したかどうかにかかわらず、2〜10、好ましくは3.5〜8.0の範囲とすることができる。典型的には、pHを調製して最終接着剤の反応速度または安定性を制御する。pHを変えるために任意の好適な酸または塩基を使用することができる。
【0021】
酸変性は、典型的には室温で実施するが、変性工程を5〜50℃の間の任意の温度で実施することが合理的である。
【0022】
大豆/尿素接着剤は、架橋剤、乳化ポリマー、希釈剤、またはこれらの任意の組合せをさらに含んでいてよい。
【0023】
本発明において、酸変性されてウレアーゼを実質的に有さない大豆粉に尿素を添加することによって、以下の特性の1つまたは複数を有する大豆/尿素接着剤が得られる:優れた安定性、相溶性、乾燥強度または湿潤強度、および生物学的耐性。さらに、本発明は、これまでに報告されたものより大幅に明るい色の接着剤および著しく高い(25%高い)固形分を生じる。
【0024】
さらに、本発明は、従来の接着剤用の大豆タンパク質の原料より大幅に低い価格で入手可能な、標準的な高PDIのパン類製造業者用の大豆粉を有利に使用する。典型的には、標準的なパン類製造業者用の大豆粉は、変性工程および/または架橋剤を使用しない限り接着能力を全く示さない。有利なことに、本発明は、尿素を非常に効果的に使用して、酸変性大豆粉をさらに変性し、かつ、溶媒和することができることを実証している。本発明は、架橋剤を用いなくても改善された特性を示す、安定な酸変性大豆/尿素接着剤を提供する。
【0025】
実際に、本発明の安定な酸変性大豆粉系接着剤は、生物攻撃に対する優れた耐性を少なくとも数カ月間示す。
【0026】
本発明の新規な方法は、従来技術に対して複数の利点を有する安定な大豆/尿素接着剤および接着剤分散物を提供する。第1に、本発明の接着剤/分散物は、同じ固形分含量の他の尿素を含有する大豆系接着剤と比較して粘度が大幅に低く、それにより容易な輸送および適用が可能となる。第2に、本発明の接着剤は色が大幅により明るい。第3に、本発明の接着剤は、同じ粘度を有する熱処理した変性製品と比較して、大豆固形分のパーセントが大幅に高く、最高で25%まで固形分がより高い。第4に、特定の架橋剤を共に有する本発明の接着剤は、優れた保存寿命を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、12HU(実施例2)対12AUB(実施例4)の、固形分54%における、室温での粘度および粘度安定性を示す図である。
【図2】図2は、12HU(実施例2)対12AUB(実施例4)の、固形分54%における、室温でのpHおよびpH安定性を示す図である。
【図3】図3は、実施例7(11ABU-50)の、pHおよび粘度安定性を示す図である。
【図4】図4は、実施例10(50-pMDI)および11(100-pMDI)の、室温での粘度安定性を示す図である。
【図5】図5は、実施例12、14および16の、硬化速度曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書および特許請求の範囲において、「〜を含む(including)」および「〜を含む(comprising)」という用語は制限のない用語であり、「〜が挙げられるが、これに限定されない」という意味であると解釈すべきである。これらの用語は、より限定的な用語「本質的に〜からなる」および「〜からなる」を含む。
【0029】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、その文脈で明らかに別段の指示がない限り複数の言及を含む。同様に、「a」(または「an」)、「1つまたは複数の」および「少なくとも1つの」という用語は、本明細書において互換的に使用することができる。「〜を含む(comprising)」、「〜を含む(including)」、「〜を特徴とする」および「〜を有する」という用語を互換的に使用できることにも留意されたい。
【0030】
別段の定めのない限り、本明細書において使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において具体的に述べている全ての刊行物および特許は、本発明に関連して使用し得る刊行物で報告されている化学物質、器具、統計的分析および方法論の説明および開示を含めた全ての目的のために、その全体が参照により組み込まれる。本明細書に列挙している全ての参考文献は、当技術分野の技術のレベルを示しているものと見なすべきである。本明細書には、本発明が、先行する発明に基づいて、こうした開示に先行する権利を有さないと認められると解釈される記述は一切ない。
【0031】
本発明は、尿素と、酸変性されてウレアーゼ活性を実質的含まない大豆粉とを混合する工程により製造される新規な接着剤および接着剤分散物を提供する。尿素を、尿素がウレアーゼ分解されることなしに酸変性大豆粉に添加することができ、したがって、安定な製品を製造することができる。
【0032】
「安定な」は、室温で長期にわたって粘度およびpHが安定なままである接着剤を意味する。「pH安定な」は、pHが少なくとも20日間一単位内にとどまることを意味する。「粘度安定な」は、接着剤のブルックフィールド粘度がその初期粘度の25%以内に5時間とどまるか、その初期粘度の35%以内に少なくとも7日間とどまることを意味する。
【0033】
「変性」により、例えば、強酸もしくは塩基、高濃度の無機塩、有機溶媒(例えば、アルコールまたはクロロホルム)、または熱を用いるタンパク質の処理などの多少の外部応力または化合物の適用によって、その構造(四次、三次および二次構造)の一部が失われたタンパク質を意味する。大豆粉は、適切に変性されると、優れた接着剤である。いったん変性されると、大豆粉中に含有されるタンパク質は、それらの天然の構造から「コイルが解け(uncoil)」、それにより多くのタンパク質骨格の親水性の基が露出する。
【0034】
「実質的に有さない」は、従来の試験では、一般に経時的なpHの変化により測定される、加熱大豆粉中のウレアーゼの存在が有意に検出されないことを意味する。すなわち、ウレアーゼ活性を「実質的に有さない」大豆粉が、室温で、尿素の存在下で20日にわたって示すpH変化は、一単位未満である。
【0035】
ウレアーゼを実質的に有さない大豆粉は変性されているが、変性された大豆粉がウレアーゼを実質的に含まないことは必須ではない。本発明の新規性は、本発明者らが、ウレアーゼを実質的に含まない大豆粉と同等であり、したがって安定な大豆/尿素接着剤に有用である大豆粉に、大豆粉を変性するためには、わずかに酸性の変性工程で十分であることを確認した点にある。興味深いことに、わずかなまたは強度に塩基性の変性法は、ウレアーゼの不活性化において効果的ではない。
【0036】
「酸変性」は、大豆粉を4.5未満、好ましくは4.0未満であって2.0以上のpHに、少なくとも1分間低下させることを意味する。
【0037】
本発明の一態様は、安定な接着剤の製造方法を提供し、この方法は、大豆粉の水性懸濁液を用意する工程と、変性されウレアーゼを実質的に有さなくなるまで大豆粉のpHを4.5未満、好ましくは4.0以下に低下させる工程と、大豆粉に尿素を添加する工程とを含み、安定な水性大豆/尿素接着剤が形成される。一般に、大豆粉は、30分未満、好ましくは15分未満で変性される。大豆粉は、30分より長く酸処理することができる。
【0038】
本発明は、使用する大豆粉のPDIを問わず安定な水性大豆/尿素接着剤が得られる。タンパク質分散指数(PDI)は、タンパク質の水中での溶解度を比較する手段であり、大豆製品産業において広く使用されている。大豆の試料を粉砕し、特定量の水と混合し、次いで、特定のrpmで特定の時間混ぜ合わせる。次いで、燃焼試験を使用して、得られた混合物および元の大豆粉のタンパク質含量を測定し、混合物中のタンパク質のパーセンテージを大豆粉中のそのパーセンテージで除算したものとしてPDIを算出する。例えば、100というPDIは完全な溶解を示す。PDIは、使用する大豆のタイプだけではなく、大豆に対して使用する任意の製造法の影響も受ける。例えば、熱により、大豆試料のPDIを低下させることができる。大豆粉に必要とされるPDIは、大豆が使用される目的次第である。本発明の有用性は、本発明の大豆/尿素接着剤が、本発明の安定な接着剤を得るために高いPDIの大豆粉でも低いPDIの大豆粉でも用いることができるという点にある。酸変性段階は、高い濃度のウレアーゼ(高PDI)を有する大豆粉であっても等しく効果的であり、それが好ましい場合さえあるほど効果的である。
【0039】
酸変性されてウレアーゼを実質的に有さなくなるまで本発明の大豆粉のpHを低下させることは絶対的に必須である。大豆粉を処理するために使用する酸は、ブレンステッド酸またはルイス酸に分類される酸であってよい。硫酸、硝酸、リン酸または塩酸などの一般的な鉱酸の使用が好ましい。
【0040】
従来の熱変性大豆粉は、非常に高い粘度および低い固形分含量を示し、それにより、輸送および貯蔵が困難となる。酸変性大豆/尿素接着剤は、熱処理した同様の組成の接着剤より実質的に固形分が高く、粘度が低い。変性大豆/尿素接着剤の固形分含量は、同様の粘度を維持しながら、いくつかの場合では同様の組成を有する熱変性製品より25%を超えて、高いものとすることができる。
【0041】
大豆粉に添加する尿素の量は、大豆/尿素接着剤または分散物の要求次第である。例えば、尿素含量は、最終接着剤の流動性またはガラス転移温度(T8)を制御するように調整することができる。これにより、本発明の接着剤/分散物を噴霧乾燥し、有効な粉末接着剤樹脂に転換することが可能となる。
【0042】
一実施形態では、大豆粉に添加する尿素の量は、1部の大豆粉に対して約5部の尿素(固形分/固形分)〜1部の大豆粉に対して約0.1部の尿素(固形分/固形分)、最も好ましくは1部の大豆粉に対して2部の尿素〜1部の大豆粉に対して約0.5部の尿素の間とすることができる。大豆粉は、尿素の添加の前、間または後に酸変性することができる。大豆粉は尿素の添加の前に酸変性することが好ましいが、低PDI粉を用いる場合は、添加の順番を入れ替えることが可能である。
【0043】
本発明の接着剤を、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVAc)エマルジョンなどの任意のエマルジョンポリマーに添加して、安定な接着剤分散物を得ることができる。エマルジョンポリマーは、全接着剤の乾燥固形分重量に対して0.1〜80乾燥固形分重量%の量で添加する(全接着剤は、大豆、尿素、任意の添加架橋剤、および任意の添加希釈剤を含むがこれらに限定されない接着剤配合物である)。「エマルジョン」は、1種の液体の小滴の、その第1の液体が混和されない第2の液体の懸濁液(すなわち、酢の中の油)を意味する。「分散物」は、一方の相が液体中に懸濁している2相の接着剤系を意味する。便宜上、本発明のエマルジョンまたは分散物は、この文書を通して「接着剤分散物」または「分散物」と呼ぶ。これは、本発明の範囲を限定することを意味するものではなく、単に読みやすさのためである。
【0044】
典型的には、未改質の大豆粉またはNaOH変性大豆粉を乳化ポリマーに直接添加すると、不十分な安定性および相溶性を有する樹脂が生じる。対照的に、本発明の安定な酸変性大豆/尿素接着剤をエマルジョンまたは分散ポリマーに添加すると、多くの産業用途で有用な、安定で相溶性の高い接着剤分散物が生じる。さらに、その混合(combination)は、当業者に知られている市販の混合タンク、薄型タンクまたは反応器を使用する単純なブレンド技術により実現される。ブレンドの温度は重要であるとは考えられておらず、典型的に室温が採用されるが、使用者の要求に応じて、本発明の安定な大豆/尿素接着剤をエマルジョンまたは分散ポリマーと高温で混合することが望ましく、許容される場合がある。分散物の最適な安定性を確保するために、酸または塩基による最終pHの調整が必要となり得る。しかし、これらの調整は、典型的には非常に穏やかな調整であり、当業者に知られている。例えば、エマルジョンまたは分散物の安定に必要な微調整が望ましい可能性がある。
【0045】
本発明の安定な酸変性大豆/尿素接着剤は、そのまま使用してもよく、または好適な架橋剤を添加することによってさらに改良してもよい。架橋剤は、典型的に、耐水性、溶解性、粘度、保存寿命、エラストマー特性、生物学的耐性、強度などの、追加の特性を付与するため、あるいは接着剤の既存の特性を操作するために、樹脂および接着剤に添加する。架橋剤の役割は、タイプを問わず、接着剤そのものの架橋密度を増大させることである。これは、1分子当たり複数の反応部位を有する架橋剤により最も良好に実現される。
【0046】
本発明の安定な酸変性大豆/尿素接着剤において使用する架橋剤の種類および量は、所望する特性次第である。加えて、使用する架橋剤の種類および量は、接着剤に用いる大豆粉の特性次第であり得る。
【0047】
当技術分野で知られている任意の架橋剤を本発明の方法において使用することができる。例えば、架橋剤は、ホルムアルデヒドを含有していても含有していなくてもよい。多くの屋内用途ではホルムアルデヒドを含まない架橋剤が非常に望ましいが、ホルムアルデヒド含有架橋剤は一部の屋外用途で依然として許容されている。
【0048】
本発明の接着剤と共に使用することが可能なホルムアルデヒドを含まない架橋剤としては、大豆粉と反応することができる、イソシアネート〔例えば、ポリマー性メチルジフェニルジイソシアネート(pMDI)およびポリマー性ヘキサメチレンジイソシアネート(pHMDI)など〕、アミン-エピクロロヒドリン付加物、エポキシ樹脂、アルデヒド樹脂および尿素-アルデヒド樹脂が挙げられる。本発明においてホルムアルデヒドを含まない架橋剤を採用する場合、全乾燥接着剤の乾燥重量基準で0.1〜80%の範囲の量で使用する(全接着剤は、大豆、尿素、任意の添加架橋剤、および任意の添加希釈剤を含むがこれらに限定されない接着剤配合物である)。好ましいホルムアルデヒドを含まない架橋剤は、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン(PAE)を含み、0.1〜80乾燥重量%の範囲の量で使用される。
【0049】
アミン-エピクロロヒドリン樹脂は、エピクロロヒドリンとアミン-官能性化合物との反応によって調製される樹脂として定義される。これらの中には、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン樹脂(PAE樹脂)、ポリアルキレンポリアミン-エピクロロヒドリン(PAPAE樹脂)およびアミンポリマー-エピクロロヒドリン樹脂(APE樹脂)がある。PAE樹脂としては、全てHercules Incorporated、Wilmington DEから入手可能なKymene(商標)557H、Kymene(登録商標)557LX、Kymene(登録商標)617、Kymene(登録商標)624およびHercules CA1000などの第二級アミン系アゼチジニウム-官能性PAE樹脂、第三級アミンポリアミド系エポキシド-官能性樹脂、および、Hercules Incorporated、Wilmington DEから入手可能なKymene(登録商標)450などの第三級アミンポリアミドウリレン系エポキシド-官能性PAE樹脂が挙げられる。好適な架橋PAPAE樹脂は、Hercules Incorporated、Wilmington DEから入手可能なKymene(登録商標)736である。Kymene(登録商標)2064は、やはりHercules Incorporated、Wilmington DEから入手可能なAPE樹脂である。これらは広く使用されている市販の物質である。これらの化学的性質は、以下の参考文献に記載されている。「Wet Strength Resins and Their Application」、L. L. Chan編、TAPPIPress、Atlanta GAの13〜44頁(1994)の、H. H. Espy、「Alkaline-Curing Polymeric Amine-Epichlorohydrin Resins」。ホルムアルデヒドを含まない架橋剤として、Coscia(米国特許第3,494,775号)に記載されている低分子量アミン-エピクロロヒドリン縮合物を使用することも可能である。
【0050】
可能なホルムアルデヒド含有架橋剤としては、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、メラミン尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、フェノールレソルシノール、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。本発明においてホルムアルデヒド含有架橋剤を採用する場合、それらは、乾燥重量基準で全接着剤組成物の1〜80%の範囲の量で使用する(全接着剤は、大豆、尿素、任意の添加架橋剤、および任意の添加希釈剤を含むがこれらに限定されない接着剤配合物である)。本発明の一実施形態では、架橋剤は、乾燥重量で1〜80%の範囲の量でフェノールホルムアルデヒドを含む。
【0051】
使用する具体的な架橋剤を問わず、架橋剤は、典型的には、(リグノセルロース複合材料の製造時のように)酸変性大豆/尿素接着剤に使用の直前に添加するが、状況によっては、使用の数日、さらには数週前に添加することもできる。
【0052】
一部の用途では、希釈剤を添加してより良好に溶媒和させて、酸変性大豆/尿素接着剤/分散物の物理的特性をさらに変性するかまたは改質することが望ましい可能性がある。可能な希釈剤/改質剤としては、当技術分野において一般的に採用される、ポリオール(例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなど)、それらのポリマー、または入手可能な任意の他のヒドロキシル含有モノマーもしくはポリマー物質、脱泡剤、湿潤剤等が挙げられる。小麦粉、タルク、粘土などの、固形分を増量する働きのみをする他の希釈剤も許容される。
【0053】
これらの希釈剤/改質剤は、固形分の乾燥重量基準で全接着剤の0.1〜70重量%を上回る範囲の量で組み込むことができる。これらは、ウレアーゼ不活性化加熱工程の前、間または後を含めた本方法の任意の工程の間に組み込むことができる。
【0054】
従来の大豆タンパク質改質剤を同様に使用することもできる。例えば、亜硫酸水素ナトリウムを添加して、ジスルフィド結合の低減により粘度を低減させることができる。
【0055】
本発明の酸変性大豆/尿素接着剤の最終pHは、任意の好適なブレンステッド酸もしくはルイス酸、または塩基を用いて調整することができる。酸変性大豆/尿素接着剤の最終pHは、10未満、好ましくは7未満かつ2.0超、好ましくは3.0超である。1つのバージョンでは、3〜7のpHを有する接着剤が最適な安定性および相溶性を示す。当業者は、接着剤のpHを操作する方法(以下の実施例に記載している)、およびどのような用途がより高いまたはより低いpHを有する接着剤を必要とするかの両方を理解するであろう。本発明の独特の側面は、使用可能なpH値が広範囲であることである。典型的には、最終pHは、用途または使用する架橋剤のタイプに基づいて選択される。例えば、PF樹脂およびPAE樹脂を用いる場合は、より高いpHの大豆/尿素接着剤が好ましく、pMDI樹脂およびUF樹脂またはMUF樹脂については、より低いpHの大豆/尿素接着剤が好ましい。しかし、PF分散物については、低いpHが好ましい場合がある。
【0056】
本発明の方法は、噴霧または凍結乾燥工程を追加して粉末接着剤を製造する方法も包含する。
【0057】
本発明の安定な大豆/尿素接着剤は、多くの産業用途で使用することができる。例えば、本接着剤は、1〜25乾燥重量%の範囲の量で(100部の基剤当たり1部の乾燥接着剤〜100部の基剤当たり25部の乾燥接着剤)、好ましくは1〜10重量%の範囲、最も好ましくは2〜8重量%の範囲で適切な基剤に適用することができる。いくつかの好適な基剤の例としては、リグノセルロース系物質、パルプまたはガラス繊維が挙げられるが、これらに限定されない。本接着剤は、ローラー塗布、ナイフ塗布、押出、カーテン塗布、フォームコーターおよび回転盤樹脂塗布器などのスプレーコーターを含む当技術分野で知られている任意の手段により基剤に適用することができる。
【0058】
当業者は、当分野で知られている参考文献を用いて、本発明の接着剤/分散物を使用してリグノセルロース複合材料を調製する方法を理解するであろう。例えば、Wood Handbook - Wood as an Engineering Material、Gen. Tech. Rep. FPL-GTR-113、463 頁、U.S. Department of Agriculture、Forest Service、Forest Products Laboratory、Madison、WI(1999)の第10章、「Wood-based Composite Products and Panel Products」を参照されたい。本発明の接着剤/分散物を使用して、パーティクルボード、配向性ストランドボード(OSB)、ウェハーボード、ファイバーボード(中密度および高密度ファイバーボードを含む)、平行ストランド材(PSL)、積層ストランド材(LSL)、配向性ストランド材(OSL)、および他の同様の製品を含む多数の物質を調製することができる。本発明から熱硬化性製品を製造する際に、木材、木材パルプ、藁(米、小麦または大麦を含めた)、亜麻、麻およびバガスなどのリグノセルロース系物質を使用することができる。リグノセルロース系製品は、典型的には、接着剤と、粉末、粒子、繊維、チップ、フレーク、ウェハー、トリミング屑、削り屑、鋸屑、藁、茎または結束繊維の形態の基剤とをブレンドし、次いで、得られた配合物(combination)をプレスおよび加熱して硬化した物質を得ることによって製造される。リグノセルロース系物質の含水率は、本発明の接着剤とブレンドする前に2〜20%の範囲であるべきである。
【0059】
本発明の接着剤は、合板または単板積層材(LVL)を製造するために使用することもできる。例えば、一実施形態では、本接着剤は、ロール塗布、ナイフ塗布、カーテン塗布、または噴霧により単板表面に適用することができる。次いで、複数の単板を積み上げて(laid-up)必要とされる厚さのシートを形成させる。次いで、そのマットまたはシートをプレス機(例えば、定盤)に置き、通常加熱し、圧縮して材料を強化および硬化させてボードにする。ファイバーボードは、湿式フェルト化/湿式プレス法、乾式フェルト化/乾式プレス法、または湿式フェルト化/乾式プレス法によって製造することができる。
【0060】
本発明の接着剤は、リグノセルロース系基剤の他に、プラスチック、ガラスウール、ガラス繊維、他の無機物質およびそれらの組合せなどの基剤と共に使用することができる。
【0061】
以下の実施例は、当然のことながら、例示的な目的のためにのみ示しているものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでは決してない。実際に、本明細書において示して説明しているものに加えて、本発明の様々な変法が、前述の記述および以下の実施例から当業者に明らかであり、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【実施例】
【0062】
[実施例および評価方法]
酸変性大豆粉/尿素接着剤の以下の特性を評価した。
【0063】
1)物理的特性:ブルックフィールド粘度〔いずれの場合も10RPMでのRV)(スピンドルの選択は生成物の粘度、pH、および室温安定性(大豆の腐敗またはミルクと同様の腐朽の明らかな開始により判定する粘度および生物学的安定性)次第である〕。大豆接着剤のチキソトロピー性が原因である場合が多い一時的な粘度増大の影響を低減するために、任意の粘度測定前に、接着剤を30秒間急速に撹拌する。
【0064】
2)乾燥強度発現:AES, Inc製の自動接着評価システム(ABES)を使用してプレスした2つの層の剪断強度。これを使用して、特定のプレス時間/温度下で時間とともに発現する接着剤の結合強度を判定する。全ての実施例において120℃を使用した。結果をプレス時間に対してプロットして、時間の関数として様々な接着剤の相対的な強度発現を測定する。試験片を調製し、ABES手順に従って試験する。
【0065】
3)接着剤結合強度:以下のABES手順により測定する。
【0066】
[ABES手順]
試料の調製:自動結合(接着)評価システム(ABES)打抜装置を使用して、最終寸法が木理に沿って11.7cm、木理に対して垂直に2.0cmおよび厚さ0.08cmとなるように、カエデ単板から木材試料を打抜加工した。重複エリア全体がカバーされるように、一般に湿量基準で3.8〜4.2mg/cm2の範囲の試験接着剤を試料の一端に適用した。次いで、この試料を第2の単板に結合させ(優れた転写を確保するためにオープンタイムは15秒未満)、結合させた試料の重複エリアが1.0cm×2.0cmとなるようにABES装置に配置した。別段の記述のない限り、全ての試料を、9.1kg/cm2の圧力で、120℃で2.0分間プレスした。次いで、全ての結合試料を、22℃および50%相対湿度に制御した環境で少なくとも48時間調湿(condition)した。
【0067】
強度試験:各樹脂について、10個の試料を上述した方法で調製した。調整後、乾燥条件でABES機器を使用して10個の試料のうち5個を試験した。試料破損時の最大荷重を記録した。これらを乾燥強度試料と名付けた。残りの5個の試料を22℃の水浴中に4時間入れた。試料を水浴から取り出し、直ちに上述した方法で試験した。これらの試料を湿潤試料と名付けた。各樹脂について、報告した値は5個の試料の平均である。報告した誤差は標準偏差である。この方法の典型的な変動係数(COV)は、乾燥評価および湿潤評価のいずれについても約15%であり、これは、木材そのものの変動性に照らして優れていると考えられる。
【0068】
4)パーティクルボード手順:この手順の目的は、直径48”の回転ブレンダー、空気噴霧バーナおよび50”×50”の蒸気加熱プレスを使用してパーティクルボードを調製する承認された方法の概要を述べることである。これらのパネルの目標密度および厚さは46PCFおよび厚さ3/4”であった。フェイスのコアに対する比は40/60であった。ファーニッシュ(furnish)は様々な西部の種の混合物であった(Roseburg Forest Products、1.5〜4.0%MC)。以下の手順に従ってパーティクルボードを調製した。フェイス用のファーニッシュを承認された容器に秤量し、直径48”のブレンダーのドラムに入れる。乾燥ファーニッシュに対して7.0%の固体樹脂が使用されるように樹脂を秤量し(0.0gの精度)、ブレンダー噴霧アセンブリに取り付けられた漏斗に注入する。空気噴霧バーナを作動させ、40psiに調整する。全ての樹脂/添加剤が漏斗およびホースから出るまで噴霧する。ブレンダーを少なくとも5分間混転させて残りの噴霧樹脂を散布する。ブレンダーからファーニッシュを取り出し、適切なラベルを貼った容器に入れる。この樹脂加工したファーニッシュのマット含水率を記録する。コア層についても繰り返し、乾燥木材を基準とする乾燥樹脂の量は、算出すると7.0重量%であった。剥離紙を実験用当て板に置き、22”×22”のフォーミングボックスを剥離紙の表面に置く。第1のフェイス層のためのファーニッシュを0gの精度で秤量する。当て板全体に目の粗いコームを使用してファーニッシュを手で広げてファーニッシュを均等に配分することによってフェイス層を形成させる。密度分布の問題を回避するために、この層が可能な限り均等に広げられることが重要である。コア用のファーニッシュを0gの精度で秤量する(中間層)。フェイス層の表面全体に目の粗いコームを使用してファーニッシュを手で広げてファーニッシュを均等に配分することによってコア層を形成させる。密度分布の問題を回避するために、この層が可能な限り均等に広げられることが重要である。最後のフェイス層のためのファーニッシュを0gの精度で秤量する。コア層の表面全体に目の粗いコームを使用してファーニッシュを手で広げてファーニッシュを均等に分配することによってフェイス層を形成する。密度分布の問題を回避する
ために、該層が可能な限り均等に広げられることが重要である。形成された3層のマットの上面のフォーミングボックスの内側にカバーを置き、15秒間手で堅く押しつける。カバーを押し下げ続けながら、マットを露出するフォーミングボックスを慎重に外す。次いで、カバーを慎重に取り外す。2枚目の剥離紙(光沢面が下)および当て板を形成されたマットの表面に置く。形成されたマットをプレスの荷重エリアに置き、押し棒を使用してプレスに挿入する。プレス定盤の温度が170℃であることを確認する。(Alberta Research Councilにより供給される)PressMAN(商標)システムのCLOSEおよびCLOSE CONFIRMボタンを同時に押す。プレスがそのサイクルを開始するであろう。PressMAN(商標)温度/圧力プローブを使用して測定して、コアが60秒間100℃超となるような厚さに保持する。その温度でその時間が経過したら、サイクルを脱気段階に移し、サイクルが完了したらプレスを開放する。押し棒を使用して直ちにボードを取り出す。パネルを断熱ボックス(ホットボックス)に24時間入れておく。ボードをホットボックスから取り出し、20”×20”に整える。縁から約2”の各角および中間の1点でボードの厚さを測定することによって各ボードの密度を算出する。これらの値を使用して平均厚さを求め、ボードの体積を算出する。ボードを秤量して質量を求め、lb/ft3の単位の質量/体積として密度を算出する。各パネルから5つのMOR/MOE試料および8つの内部結合(IB)試料が得られるように、試料用のボードにラベルを貼って切断する。試験の前に全ての試験試料を80°F(26.6℃)および30%相対湿度の環境制御室で少なくとも48時間調湿する。
【0069】
これらの実施例の原材料は以下の通りである。大豆粉:Cargill(Minneapolis、MN)により供給されるSoy Flour-90、90PDI、200メッシュ;ADM(Decator、IL)により供給されるSoy Flour-TS、20PDI、100メッシュ、Univarから購入する尿素(市販グレード);PAE、Herculesにより供給されるHercules CA 1300、pH3.5、固形分=30%;pMDIはRubunate(登録商標)FC3345、Huntsman International、Woodlands、TX;Hercules Incorporatedにより供給されるAdvantage(登録商標)357脱泡剤。PVAc:Franklinにより供給されるDuracet。
【0070】
実施例を、以下の凡例に従って表および図に列挙する。大豆:尿素の量比(12=1部の大豆に対して2部の尿素)、使用する加工工程の順番:H=熱、A=酸添加、B=塩基添加、U=尿素添加、最後に理論固形分%を示す。例えば12AUB-54は、1部の大豆に対して2部の尿素を有し、酸の添加、その後に尿素の添加、次いで、塩基の添加により製造され、54%の理論固形分で製造された生成物を示す。
【0071】
[実施例1(比較例♯1)]:非変性大豆/尿素接着剤(11U-26)
水中で混合した場合、大豆粉は、尿素と急速に反応してアンモニアを生成する相当な量の活性ウレアーゼを含有している。およそ9のpHまでの急速なpH増大によって、次いで、系からのアンモニアガスの発生によってアンモニアが観察される。一例では、6.2のpHを有するSoy Flour-90の15%溶液を室温で調製した。1部の大豆粉に対して1部の尿素の近似量で尿素を添加すると、pHが10分以内に8.90まで上昇した。20分後、pHは9.2であり、非常に強力なアンモニア臭がした。この試料は安定ではなく、許容されるものと見なされない。
【0072】
[実施例2(比較例♯2)]:熱変性大豆/尿素接着剤(12HU-54)
Wescott(米国出願第11/779,558号)により記載されている方法により、大豆粉を熱変性し、次いで、尿素と混合して安定な大豆/尿素水性生成物を製造した。この実験に使用した配合を表1に示す。
【0073】
調製手順:加熱マントル、温度調節器、還流冷却器および機械的撹拌機を備えた三つ口丸底フラスコに水を充填した。亜硫酸水素ナトリウムを室温で水に添加し、その後、5分間かけて大豆粉を添加した。混合物を均一になるまで5分間撹拌し、次いで、82℃の変性温度まで30分かけて加熱した。反応物を撹拌しながら設定温度+/-1.0℃で1時間保持し、その後加熱を外し、尿素を熱変性大豆に添加し、撹拌しながらさらに15分間保持した。尿素の添加により大豆接着剤が44℃まで冷却した。反応物を氷/水浴上で25℃までさらに冷却し、使用するためにプラスチックボトルに入れて室温で貯蔵した。
【0074】
【表1】

【0075】
[実施例3]:酸変性接着剤−合計固形分54%で大豆/尿素=1:2(12AU-54)
大豆粉を酸変性し、次いで、尿素と混合して安定な大豆/尿素水性生成物を製造した。この実験に使用した配合を表2に示す。
【0076】
調製手順:オーバーヘッド機械的撹拌機を備えた三つ口丸底フラスコに水を充填した。亜硫酸水素ナトリウムを室温の水に添加し、その後、5分間かけて大豆粉を添加した。混合物を室温で30分間撹拌した(粘度=2800cP w/RV♯5、pH=6.03)。次いで、3.0のpH(酸変性pHと呼ぶ)に達するまで酸(50%硫酸)を急速に撹拌している混合物に滴下し、その後、さらに30分間保持した。次いで、尿素を急速に撹拌している酸変性大豆混合物に急速に添加し、5分間撹拌させた。尿素の添加により大豆接着剤が冷却したため、接着剤を水浴で25℃まで暖め、使用するためにプラスチックボトルに入れて室温で維持しながら貯蔵した。この生成物は、多少の泡が頂部に存在する、非常に均質で淡褐色の、クリーム状の生成物であった。
【0077】
【表2】

【0078】
[実施例4]:酸変性接着剤−合計固形分54%で大豆/尿素=1:2(12AUB-54)
実施例3で製造した樹脂に、急速に撹拌している接着剤に塩基(50%NaOH)をゆっくりと添加して、pHを7まで上昇させた。
【0079】
【表3】

【0080】
[実施例4および実施例2の比較の議論]
実施例2および4で製造した生成物は組成が非常に類似している。本発明の12AUB-54(実施例4)は、対照実施例2より著しく粘度が低い。いずれも優れた経時的なpH安定性を示し、それは、いずれの実施例も樹脂がウレアーゼを有意に含まないことを示している。熱を使用することなくこのような生成物を製造することができることは、接着剤技術の相当な向上の結果である。さらに、12AUBの色は、対照12HUの色よりずっと薄い。図1および2は(表4および表5と共に)、酸変性実施例4の低い粘度、ならびに、両方の方法により実現される優れた安定性(pHおよび粘度の両方)を示している。優れたpH安定性は、ウレアーゼを有意に含まない大豆接着剤を示している。実施例4樹脂(12AUB)で観察された初期の粘度の低下が、最初の数日にわたって観察された発泡の低減に起因する可能性があることに留意されたい。発泡がおさまった後では、粘度は非常に安定であり、粘度は対照実施例のわずか20%であった。
【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
[実施例5]:酸変性接着剤−合計固形分60%で大豆/尿素=1:2(12AUB-60)
酸変性法により、先に使用した熱変性法より著しく粘度が低い生成物が得られる。これにより、最終固形分がさらに高い生成物の製造が可能となる。本実施例では、実施例2および3で記載した方法と同様の方法で固形分60%の接着剤を調製する。熱処理接着剤の固形分60%の同様の試料は撹拌できないほど粘稠であった。本実施例において、Advantage 357を添加して、大豆粉を混合時に観察されることが多い発泡傾向を低減させた。本実施例の酸変性pHは3.5であった。
【0084】
【表6】

【0085】
[実施例6]:酸変性接着剤−合計固形分60%で大豆/尿素=1:2(12ABU-60)
尿素または塩基の添加の順番が、最終粘度及ぼす影響において重要であることが示された。本実施例では、実施例5の接着剤と類似の接着剤を製造したが、本実施例においては、尿素の前に塩基を酸変性大豆に添加した。本実施例の酸変性pHは3.5であった。
【0086】
【表7】

【0087】
実施例6と実施例5との比較により、尿素を塩基の後に添加すると、最終生成物の粘度がさらに低くなり、2340cPに対して1420cPとなることが分かる。
【0088】
[実施例7]:酸変性接着剤−合計固形分50%で大豆/尿素=1:1(11ABU-50)
従来の熱処理法と比べて固形分が高い接着剤を生成することができることによって、大豆含量が高く尿素が少ない接着剤を製造する余地も生じる。これは、特性および性能に有益となり得る。本実施例では、大豆:尿素比を1:1まで高めた。使用した方法は、実施例6で記載した方法と同一であった。本実施例の酸変性pHは3.5であった。
【0089】
【表8】

【0090】
大豆含量が高い実施例7のpHおよび粘度安定性を図3および表9に示す。これらの結果は、ウレアーゼ活性を有意に有さない安定な大豆/尿素接着剤を製造するための本方法の優れた実用性および単純性をさらに示す。
【0091】
【表9】

【0092】
[実施例8]:酸変性接着剤−合計固形分40%で大豆/尿素=1:1(11AU-40)
一部の配合では、非常に低い粘度および高い大豆含量が望ましい場合がある。さらに、特定の塩基感受性の架橋剤が選択される場合、より低pHの生成物に対する需要が生じ得る。本実施例では、より固形分が低い(40%)生成物を調製し、塩基工程を省いた。使用した方法は、実施例3で記載した接着剤と類似していた。本実施例の酸変性pHは3.0であった。
【0093】
【表10】

【0094】
[架橋の導入および接着剤の性能]
実施例3〜8では、新規な酸変性大豆/尿素接着剤の製造方法について記述している。実施例9〜11では、性能を改善するために、これらの接着剤に、架橋剤、PAEおよびpMDIをそれぞれ添加することの有効性を示す。実施例12〜17では、記述したABES湿潤および乾燥強度評価を用いて、架橋剤を添加した場合または添加しなかった場合のこれらの酸変性大豆/尿素接着剤の接着剤強度を示す。
【0095】
[実施例9〜11]:PAEまたはpMDIと混合した酸変性大豆/尿素接着剤
150mLのビーカー内で、瞬間混合ブレードおよびオーバーヘッド撹拌機を使用して適度にかき混ぜながら、架橋剤(PAE(CA-1300)またはpMDI)を、室温にて、100部の乾燥大豆/尿素接着剤に対して所定の乾燥部で添加した。架橋剤を添加した後、混合物を適度にかき混ぜながら1〜5分間撹拌した。
【0096】
【表11】

【0097】
先のPAE-大豆ブレンドから期待されるように、実施例9の粘度安定性は、数時間の間極めて優れていることが観察された。実施例10および11の粘度安定性を図4および表12に示す。pMDIを、相溶性を有する水性系と共に用いると、非常に反応性であることが期待され、これらの実施例で示されている粘度安定性は、ブレンドおよび使用用途のために非常に望ましいと考えられる。熱変性樹脂については、実施例2と同様に、安定性は、5分未満で完全なゲル化が生じる。
【0098】
【表12】

【0099】
[実施例12〜17]:PAEおよびpMDIと混合した酸変性大豆/尿素接着剤
【0100】
【表13】

【0101】
表13の結果から、評価した全ての接着剤が良好から優れた乾燥結合強度を示したことが分かる。しかし、全てのベース接着剤において、本発明者らのABES法に従う何らかの有意な湿潤強度を得るためには、架橋剤の添加が必要であった。興味深いことに、pMDIの添加により湿潤強度の最大の向上が見られたが、より多量の架橋剤を添加したことが原因である可能性がある。
【0102】
ABES強度発現手順を用いて測定した硬化速度は、プレス内で熱に曝された場合の経時的な結合強度の発現を示す。図5は(表14のデータと共に)、実施例12、14および16の比較を示している。実施例12および14は同様の傾向をたどり、それは、2種の生成物の間の反応性が類似していることを示唆しているが、実施例16は、かなり高い固形分(酸変性法については50%であるのに対して熱変性法については38%)でより多くの大豆を含有する接着剤を製造することができること、およびこれにより、熱硬化接着剤の早い硬化がどのように生じるか(わずか10秒間のプレス時間後の強度)を示す。
【0103】
【表14】

【0104】
実施例18〜20では、接着剤を製造してパーティクルボードパネルを作製した。製造したパネルが実施例21および22である。実施例21および22のパーティクルボードパネルは、上述した「パーティクルボード手順」に従って作製した。これは、本技術の有用性を証明している。
【0105】
[実施例18]:「熱変性」による比較生成物
11HU-30PAEの製造を以下の通り実施した。使用したPAEはCA1300であった。これは、Wescott(米国出願第11/779,558号)により以前に記載されている手順に従って製造した。
【0106】
【表15】

【0107】
オーバーヘッド撹拌機、熱電対および冷却器を有する三つ口丸底フラスコ内で水をSoy Flour-TS(トーストした大豆粉)と混合した。混合物を83±1℃まで加熱し、60分間保持した。次いで、反応物を熱から隔て、尿素を添加すると、5O℃まで急速に冷却した。混合物を50℃で15分間保持し、次いで、氷/水浴上で室温まで冷却した。次いで、PAE(CA1300)を添加し、混合物を15分間撹拌し、直ちに使用した。最終接着剤は以下の特性を有していた。
pH: 6.17
粘度(RVT ♯5 10RPM):3200cP
【0108】
[実施例19]:酸変性生成物
11AU-30PAEの製造を以下の通り実施した。使用したPAEはCA1300であった。
【0109】
【表16】

【0110】
オーバーヘッド撹拌機を有する金属ビーカー内で水をSMBS(粘度調整剤)およびSoy Flour-90(トーストしていない大豆粉)と混合した。硫酸を添加し、混合物を30分間撹拌した。混合物に尿素を添加し、生成物を30分間撹拌した。次いで、PAE(CA1300)を添加し、混合物を15分間撹拌し、直ちに使用した。最終接着剤は以下の特性を有していた。
pH:4.04
粘度(RVT ♯5 10RPM):6140cP
【0111】
[実施例20]:(コア樹脂として使用するための)尿素を含有していない、変性していない生成物
12G-20PAEの製造を以下の通り実施した。使用したPAEはCA1300であった。(参考文献Bradyの米国特許出願第12/287,394号)。
【0112】
【表17】

【0113】
オーバーヘッド撹拌機を有する三つ口丸底フラスコ内で水をSoy Flour-20(トーストした大豆粉)と混合した。混合物を30分間撹拌した。次いで、PAE(CA1300)を添加し、混合物を15分間撹拌し、直ちに使用した。最終接着剤は以下の特性を有していた。
pH:6.08
粘度(RVT ♯3 10RPM):1850cP
【0114】
[実施例21および22]:2種の実験用パーティクルボードパネルを作製し、上述したパーティクルボード手順を用いて試験した。結果を表18に示す。これらのパネルは、実施例18または実施例19をフェイス接着剤として使用し、いずれも実施例20をコア接着剤として使用した。これらのパネルは、優れた性能特性および急速な硬化を示した。各パネルは、優れたMOR値およびMOE値ならびに適度な内部結合値(IB)を示した。典型的にフェイス接着剤の影響を受けるMORについては、酸処理生成物で熱変性生成物より良好な特性(強度および固形分/粘度の両方)が得られ、したがって本発明の有用性が高められることを示す。さらに、酸処理生成物(実施例19)は色が著しく明るかった。これらのパネルは、顕著な商業的実用性を有する優れた無ホルムアルデヒド(NAF)パーティクルボードのプロトタイプである。
【0115】
【表18】

[PVAc(ポリ酢酸ビニル)とのブレンド]
【0116】
[実施例23]:PVAcとの相溶性
11AUの試料を、Franklin International(Columbus、OH)から得たPVAcとブレンドした。使用したPVAcの種類はDuracet 12であった。試料の粘度、pHおよびPVAcエマルジョンの破壊の兆候の有無を調べた。
【0117】
【表19】

【0118】
オーバーヘッド撹拌機を有する金属ビーカー内で水をSMBS(粘度調整剤)およびSoy Flour-90(トーストしていない大豆粉)と混合した。硫酸を添加してpHを3.53とし、混合物を30分間撹拌した。この混合物に尿素を添加し、生成物を15分間撹拌した。最終接着剤は以下の特性を有していた。
pH:4.19
粘度(RVT ♯5 10RPM):2370cP
【0119】
[実施例24]:PVAcと11AUとのブレンド
上記実施例23からの11AUと、PVAcとを様々な比で混合することによってブレンドを調製して、2種の生成物の相溶性を調べた。4つの量比のブレンドを選択して、可能性のある広範囲の混合物を示した。いずれの場合も、PVAcを200mLのビーカー内に入れ、11AU(実施例23)を添加した。混合物を1分間撹拌し、粘度/pHデータを得た。さらに、全てのブレンドについて、2種の成分は相溶性が高く、分離、沈殿または沈降の兆候を示さなかった。表20にデータを示す。
【0120】
【表20】

【0121】
上記記述、添付の図面およびそれらの説明は例示することを意図したものであり、本発明を限定するものではないことに留意されたい。当業者は、本開示に照らして本発明の多くの主題および変形形態を思いつくであろう。全てのそのような主題および変形形態は本発明が企図する範囲内である。例えば、上で概要を述べた様々な例示的な実施形態との関連で本発明を説明してきたが、様々な代替形態、修正形態、変形形態、改良、および/または実質的な等価物が、知られているものであれ、現在は予見不能であるか予見不能である可能性があるものであれ、少なくとも当技術分野の通常の技能を有するものには明らかとなろう。本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができる。したがって、本発明は、これらの例示的実施形態の全ての知られているまたは後に開発される代替形態、修正形態、変形形態、改良、および/または実質的な等価物を包含することを意図したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中の尿素および大豆粉からなる安定な接着剤組成物であって、大豆粉中に存在するウレアーゼが酸処理によって不活性化されている、接着剤組成物。
【請求項2】
大豆粉1重量部当たり最高で5重量部までの尿素に相当する量で尿素が存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
架橋剤の量が、全接着剤の乾燥重量に対して0.1〜80固形分%である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
架橋剤が、イソシアネート、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン樹脂、ポリアルキレンポリアミン-エピクロロヒドリン樹脂、アミンポリマー-エピクロロヒドリン樹脂、エポキシ樹脂、アルデヒド樹脂、アルデヒドデンプン樹脂、ジアルデヒドデンプン樹脂、グリオキサール樹脂、尿素グリオキサール樹脂、尿素-アルデヒド樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択されるホルムアルデヒドを含まない架橋剤を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
架橋剤がイソシアネートを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
架橋剤がポリアミドアミン-エピクロロヒドリン樹脂を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
架橋剤が、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、メラミン尿素ホルムアルデヒド、フェノールレゾルシノールホルムアルデヒド、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択されるホルムアルデヒド含有架橋剤を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
エマルジョンポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
エマルジョンポリマーの量が全接着剤の乾燥重量に対して0.1〜80乾燥重量%である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
エマルジョンポリマーがポリ酢酸ビニル(PVAc)を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
希釈剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
希釈剤が、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびこれらのポリマーからなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の安定な接着剤の製造方法であって、
a)大豆粉を水中に分散させる工程と、
b)分散させた大豆粉のpHを、少なくとも4.5であって2.0を超えるpHに少なくとも1分間低下させて、ウレアーゼを不活性化する工程と、
c)分散させた大豆粉を尿素と接触させる工程と
を含み、
尿素を、大豆粉1重量部当たり最高で5重量部までの尿素に相当する量で、大豆粉に添加する、方法。
【請求項15】
尿素を、大豆粉がウレアーゼを実質的に有さなくなった後で大豆粉に添加する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
エマルジョンポリマーを添加する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
添加するエマルジョンポリマーの量が、全接着剤の乾燥重量に対して0.1〜80乾燥重量%である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
希釈剤を添加する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
架橋剤を添加する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−503250(P2013−503250A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527005(P2012−527005)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/046898
【国際公開番号】WO2011/025911
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】