説明

安定化されたヘマトキシリン

ホスト化合物および抗酸化剤の一方若しくは双方を包含する安定化されたヘマトキシリン組成物が開示される。開示される組成物は、生物学的サンプルを染色するための該組成物の使用前の不都合な分解を伴わずに自動染色方法で利用されるのに十分な安定性を表す。安定化された組成物の使用および作成方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
これは、2007年3月15日に出願された米国仮出願第60/895,007号明細書の利益を主張する。この出願は本明細書に引用することにより組み込まれる。
【0002】
分野
本発明は生物学的サンプルの組織化学的染色のための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は時間にわたる分解に対し安定化されている色素製剤、および生物学的サンプルを染色するための該製剤の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ヘマトキシリン−エオシン(H&E)染色およびパパニコロー(PAP)染色を包含する数種の組織化学的染色プロトコルは、細胞学的および組織サンプルを染色するのに色素ヘマトキシリンに頼る。とりわけ、細胞核のヘマトキシリン染色が、腫瘍生検サンプル中の悪性および/若しくは転移細胞の存在を検出するために病理学者により使用される。
【0004】
ヘマトキシリンはヘマトキシロン属(Hematoxylon)の樹木の赤色心材中で見出される天然に存在する化合物である。ヘマトキシリンそれ自体は水性溶液中で無色であり、そして組織成分を染色する活性成分でない。むしろ、ヘマトキシリンの酸化生成物ヘマテインが、とりわけ媒染剤との複合体形成に際してヘマトキシリン色素溶液の活性染色成分となる。ヘマテインは空気および太陽光への曝露により自然に産生される。該天然の過程は「熟成(ripening)」と命名され、そして細胞を染色するのに適する溶液を提供するのに3か月若しくはそれ以上かかり得る。
【0005】
ヘマトキシリンのヘマテインへの転換を加速するために化学的酸化剤を利用し得る。不幸なことに、該加速される過程はしばしばオキシヘマテインのような無効な反応生成物および複雑な重合沈殿物を生じ、ならびにまた天然に熟成される色素溶液より速く分解する溶液を提供する。ヘマトキシリンをヘマテインに定量的に酸化するのに必要とされる正確な量の酸化剤を使用して無効な生成物への過酸化を回避するのを助け得るが、しかし、染色が直ちに実施されない場合に、部分酸化された溶液がより典型的に使用される。部分酸化された溶液中で、化学的酸化段階後に残存しているヘマトキシリンの天然の酸化は、染色の間に消費されるか若しくは無効な生成物にさらに天然に酸化されるかのいずれかであるいかなるヘマテインも置き換え続けることができる。それでもなお、ヘマテインの濃度(および量)は時間にわたり変化し得る。
【0006】
ヘマテインはヘマトキシリン溶液の活性染色成分であるため、時間にわたるその濃度(および/若しくはその媒染剤複合体の濃度)の変化は染色の不一致につながる。手動染色手順において、ヘマトキシリン溶液のヘマテイン含量の変化は、溶液と生物学的サンプルの接触時間を目視検査に基づき変えることにより補償し得る。例えば、明らかに染色不足のサンプルを、染色強度を増大させるための時間、ヘマトキシリン溶液中に単純に戻すことができる。自動染色手順においては、しかしながら、「目視」検査、および染色不足に応答しての曝露時間の延長は、高価な画像化装置を必要とし得、および他のサンプルの処理を混乱させ得る。従って、染色に利用可能なヘマテインの濃度が時間にわたりより良好に安定化されているヘマトキシリン溶液に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
[発明の要約]
一局面において、安定化されたヘマトキシリン組成物が開示される。一態様において、該組成物は、溶媒;ヘマトキシリン;ヘマトキシリンの少なくとも一部分をヘマテインに転化するのに十分な量の化学的酸化剤;媒染剤;ならびにホスト化合物および抗酸化剤のいずれか若しくは双方を包含する。特定の一態様において、開示されるヘマトキシリン溶液は、ヘマトキシリン、水、多価アルコール、ヘマトキシリンの少なくとも一部分をヘマテインに転化するのに十分な量の酸化剤、媒染剤、ならびに抗酸化剤およびホスト化合物のいずれか若しくは双方を包含する。
【0008】
別の局面において、生物学的サンプルの組織化学的染色方法が開示される。該方法は、開示されるヘマトキシリン組成物と生物学的サンプルを接触させることを包含し、および、1種若しくはそれ以上の対比染色液のような1種若しくはそれ以上の付加的な染色組成物とサンプルを接触させることをさらに包含し得る。特定の一態様において、該方法はエオシン組成物とサンプルを接触させることをさらに包含する。別の特定の態様において、該方法は自動化される。
【0009】
生物学的サンプルの組織化学的染色に使用し得る安定化されたヘマトキシリン組成物の作成方法もまた開示される。一態様において、該方法は、ヘマテイン溶液を形成すること、ヘマテイン溶液に媒染剤を添加して染色溶液を形成すること、ならびにホスト化合物および抗酸化剤のいずれか若しくは双方を該染色溶液に添加して安定化されたヘマトキシリン組成物を形成することを包含する。ヘマテイン溶液は、ヘマテインを溶媒に直接溶解することにより、ヘマトキシリンを溶媒に溶解すること、およびその後ヘマトキシリンの少なくとも一部分をヘマテインに転化するための化学的酸化剤を添加することにより、若しくはヘマテインの溶解およびヘマトキシリンのヘマテインへの転換の組合せにより、形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】開示されるヘマトキシリン組成物を組み込み得る自動H&E染色プロトコルを略述するブロック図である。
【図2】開示されるヘマトキシリン組成物のいくつかの態様の安定性の結果を示す図である。
【図3】開示されるヘマトキシリン組成物のいくつかの態様の安定性の結果を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[発明の詳細な記述]
いくつかの態様の以下の記述は本発明をさらに具体的に説明する制限しない例を記述する。上に現れるものを包含する本明細書に含有される節の全部の表題は本発明の制限として解釈されるべきでなく、しかしむしろ、本明細により提供される本発明の具体的に説明する記述を構築するために提供される。多様な具体的に説明される態様の理解において読者を補助するために、該記述で利用される特定の用語の説明を提供し、その後に本発明の特定の態様の概要および特定の実施例を提供する。
【0012】
I.用語
別の方法で定義されない限り、本明細書で使用される全部の技術的および科学的用語は、開示される発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されると同一の意味を有する。
【0013】
単数形「ある(a、an)」および「該(the)」は、文脈が別の方法で明瞭に示さない限り複数の指示対象を包含する。従って、例えば、「あるホスト化合物(a host compound)」への言及は、2種若しくはそれ以上のホスト化合物、3種若しくはそれ以上のホスト化合物、またはなお4種若しくはそれ以上のホスト化合物のような1種若しくはそれ以上のホスト化合物を指す。
【0014】
「抗酸化剤」という用語は、第二の原子若しくは分子より大きい酸化能を有する原子若しくは分子を指し、その結果該抗酸化剤は該第二の原子若しくは分子の代わりに優先的に酸化される。例えば、抗酸化剤はヘマテインより大きい酸化能を有し得、そして従ってヘマテインのオキシヘマテインへの酸化を予防するのを助ける。さらに、抗酸化剤は還元剤、例えばオキシヘマテインを再びヘマテインに転化する還元剤としてもまた機能し得る。抗酸化剤は、約1mMから約1Mまで、例えば、約50mMから約150mMまでのような約5mMから約500mMまでの範囲にわたる濃度で、開示される組成物中に存在し得る。
【0015】
「水性溶媒」という用語は、主成分として水を有しかつ室温で液体である組成物を指す。水、および50容量%若しくはそれ以上の水含量を有する1種若しくはそれ以上の低級アルカノール若しくは多価アルコールの混合物は水性溶媒の例である。
【0016】
「生物学的サンプル」という用語は、動物のような生物学的実体から得られるか若しくは別の方法でそれらに由来するいずれかのサンプル、例えば、ヒトまたはイヌ、ネコ、ウマ若しくはウシのような家畜動物から得られるサンプルを指す。生物学的サンプルの例は、細胞学的サンプル、組織サンプルおよび生物学的液体を包含する。生物学的サンプルの制限しない具体的な例は、血液、尿、尿道球腺液、乳頭吸引液、精液、乳汁、喀痰、粘液、胸水、骨盤液(pelvic fluid)、滑液、腹水、体腔洗浄液、眼ブラッシング液(eye brushings)、皮膚擦過物、頬側スワブ、膣スワブ、乳首スメア、直腸スワブ、吸引物、針生検、例えば外科手術若しくは剖検により得られる組織の切片、血漿、血清、髄液、リンパ液、汗、涙液、唾液、腫瘍、臓器、およびin vitro細胞若しくは組織培養物から得られるサンプルを包含する。典型的には、サンプルは、固定され、水を除去するために処理され、そして組織切片に切断するためにパラフィン若しくは別の適する蝋様物質に包埋された生検サンプルであることができる。生物学的サンプルは、処置および/若しくは検査のため顕微鏡用スライドガラスのような支持体上にマウントし得る。
【0017】
本明細書で使用されるところの「ヘマトキシリン組成物」という用語は、ヘマテイン(ヘマトキシリンの酸化生成物)を溶媒に直接溶解することにより形成される組成物、ならびに、ヘマトキシリンを溶媒に溶解することおよびヘマトキシリンのヘマテインへの酸化を可能にする若しくは促進することにより形成される組成物の双方を包括的に指す。開示される組成物を、ヘマトキシリンを溶媒に溶解すること、および空気との接触による天然の酸化若しくは加速された化学的酸化によりヘマトキシリンをヘマテインに(完全に若しくは部分的にのいずれかで)転化することにより調製することがより典型的であるとは言え、開示される組成物成分の安定化効果の利益は、溶媒にヘマテインを直接溶解することにより調製されるヘマテイン組成物と組合せでもまた利用し得る。従って、いくつかの態様において、「ヘマトキシリン組成物」は、少なくとも最初にヘマトキシリンをほとんど若しくは全く包含せず、そして主としてヘマテインよりなることができる。
【0018】
「ホスト化合物」という用語は、内的空洞部分若しくは溝部分を有する有機若しくは無機分子、複合体若しくは物質、およびより具体的には、ヘマテイン若しくは他の色素分子の少なくとも一部分を収容し得る内的空洞部分若しくは溝部分を有する分子を指す。ホスト化合物は、アミロース、シクロデキストリンのような多糖、ならびに複数のアルドース環を含有する他の環状若しくはらせん状化合物、例えば、(ブドウ糖、果糖およびガラクトースのような)単糖ならびに(ショ糖、麦芽糖および乳糖のような)二糖の1,4および1,6結合により形成される化合物を包含する。他のホスト化合物は、クリプタンド、クリプトファン、キャビタンド、クラウンエーテル、デンドリマー、ナノチューブ、カリックスアレーン、バリノマイシンおよびナイジェリシンを包含する。特定の態様において、ホスト化合物はシクロデキストリン若しくはシクロデキストリン誘導体であり得、そして、より具体的には、ホスト化合物は、25℃で20mg/mL以上、100mg/mL以上、若しくはなお500mg/mL以上のような5mg/mL以上の水溶解度を表すシクロデキストリン若しくはシクロデキストリン誘導体であり得る。他の特定の態様において、ホスト化合物はα−アミロース、β−アミロース若しくはV−アミロースであり得る。ホスト化合物は、約1mMから約1Mまで、例えば、約5mMから約25mMまでのような約5mMから約500mMまでの範囲にわたる濃度で包含され得る。
【0019】
ホスト化合物は、1個若しくはそれ以上の置換基で修飾された、シクロデキストリン誘導体、アミロース誘導体、クリプタンド誘導体、クリプトファン誘導体、キャビタンド誘導体、クラウンエーテル誘導体、デンドリマー誘導体、ナノチューブ誘導体、カリックスアレーン誘導体、バリノマイシン誘導体およびナイジェリシン誘導体を包含し得る。例えば、ホスト化合物は、それらの構成要素のアルドース環のヒドロキシル基若しくはヒドロキシル基の水素原子の1個若しくはそれ以上が置換基で置き換えられているアミロース誘導体およびシクロデキストリン誘導体を包含する。置換基の例は、(アセチル基のような)アシル基、アルキル基、アリール基、トシル基、メシル基、(一級、二級、三級および四級アミノ基を包含する)アミノ基、ハロ基(−F、−Cl、−Brおよび−I)、ニトロ基、(リン酸およびアルキルリン酸基のような)リン含有基、(硫酸および硫酸エステル基のような)イオウ含有基、(例えば、シクロデキストリン環の2個若しくはそれ以上のヒドロキシル位置を結合する、または2個若しくはそれ以上のホスト化合物を結合する)架橋基、アルデヒド基、ケトン基、オキシム基、カルボン酸基およびそれらの誘導体、炭酸およびカルバメート基、ケイ素含有基、ホウ素含有基、スズ含有基、ならびに(ヒドロキシエチル基およびヒドロキシプロピル基のような)ヒドロキシアルキル基を包含する。
【0020】
シクロデキストリンの特定の例は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびδ−シクロデキストリン、ならびにこれらの分類のシクロデキストリンのそれぞれの誘導体を包含する。シクロデキストリン誘導体の特定の例は、ヒドロキシプロピル化α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル化α−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル化β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル化γ−シクロデキストリン、ヒドロキシイソプロピル化α−シクロデキストリン、ヒドロキシイソプロピル化β−シクロデキストリン、ヒドロキシイソプロピル化γ−シクロデキストリン、カルボキシメチル化α−シクロデキストリン、カルボキシメチル化β−シクロデキストリン、カルボキシメチル化γ−シクロデキストリン、カルボキシエチル化α−シクロデキストリン、カルボキシエチル化β−シクロデキストリン、カルボキシエチル化γ−シクロデキストリン、オクチルコハク酸化α−シクロデキストリン、オクチルコハク酸化β−シクロデキストリン、オクチルコハク酸化γ−シクロデキストリン、アセチル化α−シクロデキストリン、アセチル化β−シクロデキストリン、アセチル化γ−シクロデキストリン、硫酸化α−シクロデキストリン、硫酸化β−シクロデキストリンおよび硫酸化γ−シクロデキストリンを包含する。シクロデキストリン誘導体の他の特定の例は、以下のβ−シクロデキストリン誘導体、すなわち、2,3−ジメチル−6−アミノメチル−β−シクロデキストリン、6−アジド−β−シクロデキストリン、6−ブロモ−β−シクロデキストリン、6A,6B−ジブロモ−β−シクロデキストリン、6A,6B−ジヨード−β−シクロデキストリン、6−O−マルトシル−β−シクロデキストリン、6−ヨード−β−シクロデキストリン、6−トシル−β−シクロデキストリン、パーアセチル−マルトシル−β−シクロデキストリン、6−t−ブチルジメチルシリル−β−シクロデキストリン、2,3−ジアセチル−6−ブチルジメチルシリル−β−シクロデキストリン、2,6−ジブチル−3−アセチル−β−シクロデキストリン、2,6−ジブチル−β−シクロデキストリン、2,6−t−ブチル−ジメチルシリル−β−シクロデキストリンおよび2,6−ジ−O−メチル−3−アリル−β−シクロデキストリンを包含する。多様なシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体は、例えばCTD,Inc.(フロリダ州ハイスプリングス)から商業的に得ることができるか、若しくは、それらは学術文献、例えば“Synthesis of Chemically Modified Cyclodextrins”、CroftとBartsch、Tetrahedron、39:1417−1474、1983に概説される手順に従って合成し得る。
【0021】
「低級アルカノール」という用語は、式R−OH(ここでRはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基若しくはネオペンチル基のような1と5個の間の炭素原子を有するアルキル基である)を有する化合物を指す。低級アルカノールの例はメタノール、エタノールおよびプロパノールを包含する。
【0022】
「酸化剤」という用語は、第二の分子より大きい還元能、例えばそれがヘマトキシリンと反応しかつヘマテインに酸化することができるようなヘマトキシリンより大きい還元能を有する原子若しくは分子を指す。酸化剤は、ヘマトキシリンに拡散しかつ酸化する大気中の天然に存在する分子酸素、および(典型的に溶液中の)ヘマトキシリンと能動的に結合してヘマトキシリンの少なくとも一部分をヘマテインに転化する「化学的酸化剤」を包含する。有用な化学的酸化剤の例は、(ヨウ素酸ナトリウムおよびヨウ素酸カリウムのような)ヨウ素酸塩、酸化第二水銀、(過マンガン酸カリウムのような)過マンガン酸塩、(過ヨウ素酸ナトリウムおよび過ヨウ素酸カリウムのような)過ヨウ素酸塩、ならびに(過酸化水素のような)過酸化物の1種若しくはそれ以上を包含する。特定の態様において、化学的酸化剤はヨウ素酸ナトリウムを含んでなる。
【0023】
「媒染剤」という用語は、(ヘマテインのような)色素が、核DNA、ミエリン、弾性およびコラーゲン線維、筋線条(muscle striations)およびミトコンドリアのような特定の細胞成分に(ヘマテインのような)色素を結合するのに役立つ(陽イオン性複合体のような)複合体を形成し得る、イオン性金属種を指す。媒染剤の例は、(例えば硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム若しくは硫酸アルミニウムアンモニウムのようなミョウバンの形態の)アルミニウム、鉄、タングステン、ジルコニウム、ビスマス、モリブデン(リンモリブデン酸若しくはモリブデン酸)、バナジウム(バナジン酸塩)を包含する。
【0024】
「水溶解性抗酸化剤」という用語は、5mM以上、10mM以上若しくはなお50mM以上のような最低1mMの抗酸化剤の濃度を提供するのに十分である25℃での水中の溶解度を有する抗酸化剤を指す。
【0025】
II.概要
安定化されたヘマトキシリン組成物が開示され、その組成物は、生物学的サンプルの染色、および具体的には生物学的サンプル中の細胞の核を染色するのに使用し得る。該組成物はホスト化合物および抗酸化剤の一方若しくは双方により安定化された(ヘマラム(hemalum)のような)媒染ヘマテインを包含する。開示されるヘマトキシリン組成物は、ホスト化合物および抗酸化剤のいずれか若しくは双方を包含しない類似のヘマトキシリン組成物を上回る改良された安定性を示す。同様に、他の組織化学的色素組成物の安定性を増大するための抗酸化剤およびホスト化合物の使用、ならびに組織化学的染色方法におけるそれらの使用を企図している。さらに、ヘマトキシリンの場合に、開示されるヘマトキシリン組成物は、予め決められた時間の量での生物学的サンプルのより濃い染色を可能にするより高い効果的な色素濃度を有するようでもまたあり、それは、生物学的サンプルを顕微鏡用スライドガラスにマウントした自動染色法でとりわけ有利であり、また、該スライドを水平位置で処理する場合になおより有利である。全部の既知のヘマトキシリン組成物、および染色過程の一部としてヘマトキシリンを利用する全部の組織化学的染色方法は、本開示の教示の応用から利益を得ることができる。さらに、該利益は、「特殊染色液」、および(NexESTM特殊染色剤(Ventana Medical Systems,Inc.、アリゾナ州トゥーソン)でのような)生物学的サンプルへのこうした特殊染色液の自動化された応用に拡大し得る。
【0026】
一態様において、開示される組成物は、ヘマトキシリン、溶媒、ヘマトキシリンの少な
くとも一部分をヘマテインに転化するのに十分な量の化学的酸化剤、媒染剤、ならびにホスト化合物および抗酸化剤のいずれか若しくは双方を包含する。特定の態様において、該組成物はホスト化合物および抗酸化剤の双方を包含する。なおより特定の態様において、該組成物は2種若しくはそれ以上の水溶解性抗酸化剤のような2種若しくはそれ以上の異なる抗酸化剤を包含する。他のなおより特定の態様において、該組成物は1種若しくはそれ以上のホスト化合物および1種若しくはそれ以上の抗酸化剤を包含する。
【0027】
多様な態様のホスト化合物は、アミロース、シクロデキストリン、クリプタンド、クリプトファン、キャビタンド、クラウンエーテル、デンドリマー、ナノチューブ、カリックスアレーン、バリノマイシンおよびナイジェリシンの1種若しくはそれ以上であり得る。より特定の態様において、ホスト化合物は、シクロデキストリン若しくはシクロデキストリン誘導体の1種若しくはそれ以上、ならびにより具体的にはβ−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリン誘導体の1種若しくはそれ以上である。他のより特定の態様において、ホスト化合物は25℃で100mg/mL以上の水溶解度を有し得る。
【0028】
いくつかの態様において、溶媒は水性溶媒でありかつ抗酸化剤は水溶解性抗酸化剤である。水溶解性抗酸化剤の例は、ヒドロキノン;(没食子酸n−プロピル、n−オクチルおよびn−ドデシルのような)没食子酸n−アルキル;ソルビトールおよびマンニトールのような還元可能な糖;安息香酸塩およびヒドロキシ安息香酸塩;亜硫酸塩およびメタ重亜硫酸塩;クエン酸、酒石酸、乳酸、エリソルビン酸アスコルビン酸、尿酸、タンニン酸のようなある種の酸、ならびに(Mg2+、NH、Na、KおよびCa2+塩のような)こうした酸の塩;酸化剤として機能する金属を除去するEDTAのようなキレート剤;ならびにchoral hydrateを包含する。特定の態様において、水溶解性抗酸化剤はヒドロキノンおよび没食子酸n−プロピルの1種若しくはそれ以上を包含する。
【0029】
多様な溶媒を該組成物に利用し得るが、しかし、典型的には、溶媒は水、エタノールのような低級アルカノール、および多価アルコールの1種若しくはそれ以上を含んでなる。特定の態様において、溶媒は水性溶媒を含んでなり、該水性溶媒は水および多価アルコールを含んでなる。有用な多価アルコールの特定の例は、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール)を包含する。水性溶媒組成物は、典型的に、5〜45容量%のエチレングリコールおよびプロピレングリコールの1種若しくはそれ以上、ならびにより典型的には10〜30容量%のエチレングリコールおよびプロピレングリコールの1種若しくはそれ以上を含むことができる。
【0030】
該組成物のいくつかの態様で利用される化学的酸化剤の量は、ヘマトキシリンをヘマテインに(実質的に定量的にのような)完全に酸化するのに十分、若しくはヘマトキシリンをヘマテインに部分的にまでのみ酸化するのに十分であり得る。特定の態様において、ヘマトキシリンの半分以上が該化学的酸化剤によりヘマテインに酸化され、また、他者において、ヘマトキシリンの半分未満が該化学的酸化剤によりヘマテインに酸化される。例えば、1%と50%の間のヘマトキシリンが該化学的酸化剤によりヘマテインに酸化され得るが、しかし、より典型的には、ヘマトキシリンの約10%と約30%の間が該化学的酸化剤によりヘマテインに酸化される。特定の例において、該組成物中で使用される酸化剤に対するヘマトキシリンのモル比は6:1と1:1の間である。化学的酸化剤は該組成物の一部と考えられるとは言え、それはヘマトキシリンとの反応に際してその還元生成物に転化され、その還元生成物が組成物中に留まることができることが理解されるべきである。
【0031】
該組成物の媒染剤は、アルミニウム媒染剤、鉄媒染剤、ビスマス媒染剤、銅媒染剤、モ
リブデン媒染剤、バナジウム媒染剤およびジルコニウム媒染剤の1種若しくはそれ以上のようないかなる媒染剤でもあり得る。いくつかの態様において媒染剤はミョウバンを含んでなり、および、より特定の態様において媒染剤は硫酸アルミニウムを含んでなる。媒染剤は、該組成物中のヘマテインの濃度(屈折率測定、薄層クロマトグラフィー若しくは分光法により測定可能)以上の濃度で組成物中に存在し得るか、または、それは該組成物中のヘマテインの濃度未満の濃度で該組成物中に存在し得る。あるいは、いくつかの態様において、該組成物中の媒染剤に対するヘマトキシリンのモル比は2:1と1:100の間であり、また、特定の態様において、該組成物中の媒染剤に対するヘマトキシリンのモル比は1:5と1:20の間である。
【0032】
いくつかの態様において、該組成物は酢酸のような酸をさらに包含する。他の態様においては酸は添加されず、そして酸の非存在は安定化されかつ有効なヘマトキシリン組成物を驚くことになお提供する。他の態様において、該組成物は、pHを制御するための緩衝剤、例えば、2.5近くのpHのような1と4の間のpHに近くにpHを制御するための緩衝剤をさらに包含する。
【0033】
いくつかの特定の態様において、開示される組成物は、溶媒としての水およびエチレングリコールの混合物、酸化剤としてのヨウ素酸ナトリウム、媒染剤としての硫酸アルミニウム、ならびにホスト化合物としてのβ−シクロデキストリン若しくはその誘導体を含んでなる。ヒドロキノンおよび没食子酸n−プロピルのような1種若しくはそれ以上の水溶解性抗酸化剤もまたこうした特定の態様で包含し得る。なおより特定の態様において、水およびエチレングリコールの混合物は、10〜40容量%のエチレングリコールおよび60〜90%の水からを含んでなる。
【0034】
別の局面において、生物学的サンプルの組織化学的染色方法が開示され、その方法は、生物学的サンプルを開示されるヘマトキシリン組成物と接触させることを包含し、かつ、該サンプルを対比染色液と接触させることをさらに包含し得る。いくつかの態様において、サンプルを対比染色液と接触させることは、エオシンY、オレンジG、ライトグリーンSF黄口、ビスマルクブラウン、ファストグリーンFCF、OA−6、EA25、EA36、EA50およびEA65の1種若しくはそれ以上とサンプルを接触させることを含んでなる。こうした対比染色液を作成する処方箋(formula)および方法は、例えば、StainsFile(Bryan Llewellynにより管理される組織技術者のためのインターネット情報源);Kiernan、“Histological and Histochemical methods:Theory and Practice”、第3版 Butterworth Heinemann、英国オックスフォード;およびHorobinとKiernan、“Conn’s biological stains:a handbook of dyes,stains and fluorochromes for us in biology and medicine”、第10版、オックスフォード:BIOS,ISBN 1859960995、2002に見出し得る。他の態様において、サンプルをヘマトキシリン組成物と接触させることは進行性ヘマトキシリン染色プロトコルを含んでなる。なお他者において、サンプルをヘマトキシリン組成物と接触させることは退行性ヘマトキシリン染色プロトコルを含んでなる。該方法は自動化し得、そして、顕微鏡用スライドガラスのような支持体上に支持される生物学的サンプルで実施し得る。特定の態様において、該方法は顕微鏡用スライドガラス上にマウントした組織切片若しくは細胞学サンプルを染色するのに使用する。対比染色段階をさらに包含する特定の態様において、該方法はH&E染色法若しくはPAP染色法、およびより具体的には自動H&E若しくはPAP染色法であり得る。
【0035】
さらなる一局面において、生物学的サンプルの組織化学的染色のための安定化されたヘマトキシリン組成物の作成方法が開示される。一態様において、安定化されたヘマトキシ
リン溶液の作成方法は、ヘマテイン溶液を形成すること、媒染剤をヘマテイン溶液に添加して染色溶液を形成すること、ならびにホスト化合物および抗酸化剤のいずれか若しくは双方を染色溶液に添加して安定化されたヘマトキシリン組成物を形成することを包含する。いくつかの態様において、ヘマテイン溶液を形成することは、ヘマトキシリンを溶媒に溶解すること、およびヘマトキシリンの少なくとも一部分をヘマテインに転化するのに十分な量の化学的酸化剤を添加することを含んでなる。特定の態様において、ヘマトキシリンを溶解するのに使用される溶媒は、水および多価アルコールを包含する組成物のような水性組成物を含んでなる。前に示されたところの有用な多価アルコールはグリセロール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールを包含する。
【0036】
本開示に概説される原理は後に続く実施例中のギル媒染ヘマトキシリンの変形物に適用される一方、それらは生物学的サンプルの組織化学的染色に使用されるいかなる媒染ヘマトキシリンの安定性も改良するために応用し得ることが理解されるべきである。ギルの製剤に加え、ホスト化合物および/若しくは抗酸化剤を添加して安定性を改良し得るミョウバン媒染ヘマトキシリン組織学的染色液の特定の例は、アンダーソン(Anderson)、アパシー(Apathy)、ベイカー(Baker)、ベネット(Bennett)、ベーマー(Bohmer)、ボスマ(Bosma)、バラード(Bullard)、カラジ(Carazzi)、コール(Cole)、デビデン(Debiden)、ド・グルート(de Groot)、デラフィールド(Delafield)、デュバル(Duval)、エールリッヒ(Ehrlich)、フリートランダー(Friedlander)、ガズドン(Gadsdon)、ゲージ(Gage)、ガライアー(Galigher)、ガーベイ(Garvey)、グラハム(Graham)、ハミルトン(Hamilton)、ハリス(Harris)、ハリス&パワー(Harris&Power)、ハウク(Haug)、ホルネヨルト(Horneylod)、クライネンベルク(Kleinenberg)、クルツェイ(Krutsay)、ランゲロン(Langeron)、ラウノイ(Launoy)、リー(Lee)、リリー(Lillie)、ルゴール(Lugol)、マクラクラン(McLachlan)、マロリー(Mallory)、マン(Mann)、マルチノッティ(Martinotti)、マッソン(Masson)、メイヤー(Mayer)、ミッチェル(Mitchell)、モルナー(Molnar)、パパミルディアデス(Papamiltiades)、ピュージー(Pusey)、ラウィッツ(Rawitz)、レディ(Reddy)、サス(Sass)、シュモール(Schmorl)、スリッダー(Slidder)、ウナ(Unna)、ワトソン(Watson)およびワイゲルト&ライト(Weigert&Wright)のものを包含する。鉄媒染ヘマトキシリン染色液の特定の例は、アンダーソン(Anderson)、クレティン(Cretin)、フォーレ(Faure)、ゴールドマン(Goldman)、ハンセン(Hansen)、ハイデンハイン(Heidenhain)、ヤンセン(Janssen)、ケファラス(Kefalas)、クラジアン(Krajian)、クルツェイ(Krutsay)、ラ・マンナ(La Manna)、リリー(Lillie)、リリー&アール(Lillie&Earle)、マッソン(Masson)、モア&バサル(More&Bassal)、マレー(Murray)、パキン&ゴッダード(Paquin&Goddard)、ルゴー(Regaud)、ロザス(Rozas)、ザイデリン(Seidelin)、トーマス(Thomas)、ワイゲルト(Weigert)およびヤスボイン(Yasvoyn)のものを包含する。ビスマス媒染ヘマトキシリンはローチ&スミス(Roach&Smith)のものである。銅媒染ヘマトキシリンはベンズレー(Bensley)、クック(Cook)およびフォーレ(Faure)のものを包含する。モリブデン媒染ヘマトキシリンはヘルド(Held)のものである。バナジウム媒染ヘマトキシリンはヘデンハイン(Hedenhain)およびスミス(Smith)のものを包含する。ジルコニウム媒染ヘマトキシリンはマクナルティ&スミス(McNulty&Smith)のものである。こうした媒染ヘマトキシリン溶液を作成および使用する処方箋および方法は、例えば、StainsFile(Bryan Llewellynにより管理される組織技術者のためのインターネット情報源);Kiernan、“Histological and Histochemical methods:Theory and Practice”、第3版 Butterworth Heinemann、英国オックスフォード;およびHorobinとKiernan、“Conn’s biological stains:a handbook of dyes,stains and fluorochromes for us in biology and medicine”、第10版、オックスフォード:BIOS,ISBN 1859960995、2002に見出し得る。すぐ上で引用された2件の結合された参考文献の内容は本明細書に引用することにより組み込まれる。
【0037】
抗酸化剤およびホスト化合物の1種若しくはそれ以上の安定化効果の利益を受け得る他の組織学的染色液およびそれらの使用方法(とりわけ自動化された使用方法)は、アクリジン色素、アントラキノン色素、アリールメタン色素、アゾ色素、ジアゾニウム色素、ニトロ色素、フタロシアニン色素、キニンイミン色素、テトラゾリウム色素、チアゾール色素およびキサンテン色素のような色素を包含する。組織学的染色に有用な色素の例は、アセチルイエロー、アシッドブラック1、アシッドブルー22、アシッドブルー93、酸性フクシン、アシッドグリーン、アシッドグリーン1、アシッドグリーン5、アシッドマゼンタ、アシッドオレンジ10、アシッドレッド4、アシッドレッド26、アシッドレッド29、アシッドレッド44、アシッドレッド51、アシッドレッド66、アシッドレッド73、アシッドレッド87、アシッドレッド91、アシッドレッド92、アシッドレッド94、アシッドレッド101、アシッドレッド103、アシッドロゼイン(acid roseine)、アシッドルビン(acid rubin)、アシッドバイオレット19、アシッドイエロー1、アシッドイエロー9、アシッドイエロー23、アシッドイエロー24、アシッドイエロー36、アシッドイエロー73、アシッドイエローS、アシッドイエローT、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、アルシアンブルー、アルシアンイエロー、アルコール溶解性エオシン、アリザリン、アリザリンブルー、アリザリンブルー2RC、アリザリンカーマイン、アリザリンシアニンBBS、アリザロールシアニンR、アリザリンレッドS、アリザリンプルプリン、アルミノン、アミドブラック10B、アミドナフトールレッド、アミドシュワルツ、アニリンブルーWS、アニリンパープル、アントラセンブルーSWR、アントラセンブルーSWX、オーラミンO、アゾエオシン、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アゾエオシンG、アゾイックジアゾ5、アゾイックジアゾ48、アゾフロキシン、アゾバンブルー、アズールA、アズールB、アズールC、ベーシックブルー8、ベーシックブルー9、ベーシックブルー12、ベーシックブルー15、ベーシックブルー17、ベーシックブルー20、ベーシックブルー26、ベーシックブラウン1、塩基性フクシン、ベーシックグリーン4、ベーシックグリーン5、ベーシックオレンジ14、ベーシックレッド2、ベーシックレッド5、ベーシックレッド9、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー1、ベーシックイエロー2,ビーブリッヒスカーレット、ビーブリッヒスカーレットR、ビスマルクブラウンY、ブラジレイン、ブラジリン、ブリリアントクロセイン、ブリリアントクリスタルスカーレット6R、カルシウムレッド、カルミン、カルミン酸カルモイシン6R、セレスティンブルーB、チャイナブルー、クロランチンファストレッド5B、コヒニール、コエレスチンブルー(coelestine blue)、シカゴブルー4B、クロムバイオレットCG、クロモトロープ2R、クロモキサンシアニンR、コンゴコリント、コンゴーレッド、コットンブルーコットンレッド、クロセインスカーレットクロセインスカーレット3B、クロセインスカーレットMOO、クロシン、クリスタルポンソー6R、クリスタルスカーレット、クリスタルバイオレット、ダリア(dahlia)、ダイアモンドグリーンB、ダイレクトブルー14、ダイレクトブルー58、ダイレクトレッド、ダイレクトレッド10、ダイレクトレッド28、ダイレクトレッド80、ダイレクトレッド81、ダイレクトイエロー7、デュラゾールブルー4R、デュラゾールブルー8G、エオシンB、エオシンB(eosin bluish)、エオシン、エオシンY、エオシンY(eosin yellowish)、エオシノール、エリーガーネットB、エリオクロムシアニンR、エリスロシンBエチルエオシン、エチルグリーン、エチルバイオレット、エバンスブルー、ファーストブルーB、ファストグリーンFCF、ファストレッドB、ファストイエロー、ファストイエローエクストラ、ファストイエローG、ファットブラックHB、フルオレセイン、緑色3号、ガレオン、ガラミンブルーガロシアニン、ゲンチアンバイオレット、ヘリオファストルビンBBL、ヘルベチアブルー、ホフマンバイオレット、ヒドラジンイエロー、インペリアルレッド、イングレインブルー1、イングレインイエロー1、INT、ケルメス、ケルメス酸、ケルネヒトロート、ラック、ラッカイン酸、ラウツバイオレット、ライトグリーン、リッサミンファーストイエロー、リッサミングリーンSF、ルクソールファーストブルー、マゼンタ0、マゼンタI、マゼンタII、マゼンタIII、マラカイトグリーン、マンチェスターブラウン、マルチウスイエロー、モーブ、モーベイン、メルブロミン、マーキュロクロム、メタニルイエロー、メチレンアズールA、メチレンアズールB、メチレンアズールC、メチレンブルー、メチレングリーン、メチルブルー、メチルグリーン、メチルバイオレット、メチルバイオレット2B、メチルバイオレット10B、ミーリングイエロー3G、モーダントブルー3、モーダントブルー10、モーダントブルー14、モーダントブルー23、モーダントブルー32、モーダントブルー45、モーダントレッド3、モーダントレッド11、モーダントバイオレット25、モーダントバイオレット39、ナフタレンブルーブラック、ナフトールブルーブラック、ナフトールグリーンB、ナフトールイエローS、ナチュラルブラック1、ナチュラルレッド、ナチュラルレッド3、ナチュラルレッド4、ナチュラルレッド8、ナチュラルレッド16、ナチュラルレッド24、ナチュラルレッド25、ナチュラルレッド28、ナチュラルイエロー6、NBT、ニュートラルレッド、ニューフクシン、ナイアガラブルー3B、ナイトブルー、ナイルブルー、ナイルブルーA、硫酸ナイルブルー、ナイルレッド、ニトロBT、ニトロブルーテトラゾリウム、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オルセイン、パラロザニリン、パーキンバイオレット、フロキシンB、ピクリン酸、ポンソー2R、ポンソー6R、ポンソーB、ポンソードキシリジン(Ponceau de Xylidine)、ポンソーS、ポンタミンスカイブルー5B、プリムラ、プリムリン、プルプリン、ピロニンB、ピロニンG、ピロニンY、ローダミンB、ロザニリン、ローズベンガル、サフロン、サフラニンO、スカーレットRスカーレットレッド、シャーラッハR(Scharlach R)、セラック、シリウスレッドF3B、シリウスレッド4B、シリウススープラブルーF3R、ソロクロームシアニンR、ソルブルブルー、ソルベントブラック3、ソルベントブルー38、ソルベントレッド23、ソルベントレッド24、ソルベントレッド27、ソルベントレッド45、ソルベントイエロー94、スピリットソルブルエオシン、スダンIII、スダンIV、スダンブラックB、スダンレッドBK、サルファーイエローS、スイスブルー、タートラジン、チオフラビンS、チオフラビンT、チオニン、トルイジンブルー、トルイリンレッド、トロペオリンG、トリパフラビン、トリパンブルー、ウラニン、ビクトリアブルー4R、ビクトリアブルーB、ビクトリアブルーR、ビクトリアグリーンB、ウォーターブルーI、水溶性エオシン、ウッドステインスカーレット、キシリジンポンソーおよび黄口エオシン(yellowish eosin)ならびにそれらの組合せを包含する。(特定の組織学的情況の若しくは対比染色液としての「特殊染色」手順でのような)本段落で論考される組織化学的色素溶液を作成および使用する処方箋および方法は、例えば、StainsFile(Bryan Llewellynにより管理される組織技術者のためのインターネット情報源);Kiernan、“Histological and Histochemical methods:Theory and Practice”、第3版 Butterworth Heinemann、英国オックスフォード;およびHorobinとKiernan、“Conn’s biological stains:a handbook of dyes,stains and fluorochromes for us in biology and medicine”、第10版、オックスフォード:BIOS,ISBN 1859960995、2002に見出し得る。すぐ上で引用された2件の結合された参考文献の内容は本明細書に引用することにより組み込まれる。
【実施例】
【0038】
III.実施例
本開示の方法および組成物はいかなる組織学的染色手順(手動若しくは自動)またはいかなるスライド染色装置にも応用し得るとは言え、開示されるヘマトキシリン組成物は、米国特許出願公開第20040002163号および同第20050186114号明細書(それらの出願の双方は本明細書に引用することにより組み込まれる)に記述される高容量スライド処理装置での使用のため開発された自動H&E染色方法に組み込まれる場合にとりわけ有用である。簡潔には、前述の出願に記述される自動スライド処理装置は、(交差汚染を最小限にするために)実質的に水平の位置で複数のスライドを保持するトレイを、該スライド上で多様なスライド処理操作を実施するワークステーション間を往復させる高容量スライド処理装置である。新鮮な試薬を処理の間に各スライドに適用し得、そして、スライドがトレイ中で空間を空けられた様式で個別に処理されるため、試薬でのスライドの交差汚染を実質的に排除し得る。一構成において、該装置は輻射加熱器、複合脱パラフィン装置/染色装置/溶媒交換装置ワークステーション、対流オーブンおよび封入装置(coverslipper)を包含する。パラフィン包埋組織サンプルを持つスライドのトレイを該装置の輻射加熱器下で加熱して、より容易な除去のためサンプル中にパラフィンを広げ、そしてまたサンプルをスライドガラスに付着させ得る。トレイをその後多機能脱パラフィン装置/染色装置/溶媒交換装置ワークステーションに輸送し得、そこでスライドを脱パラフィンし、染色しかつ溶媒交換し得る。封入のための準備ができている染色されたスライドのトレイをその後該装置の封入装置に往復させ得、そこでカバーガラスをスライドに追加する。スライドが一旦封入されれば、トレイをその後対流オーブンに輸送して染色されたスライド上にカバーガラスを硬化し得る。該装置のための試薬は、該装置の流体工学モジュールに負荷されるバッグインボックス容器中で提供し得る。ちょうど記述した高容量染色装置は、Ventana Medical Systems,Inc、アリゾナ州トゥーソンから商業的に入手可能である。
【0039】
ちょうど記述された染色装置はいかなる組織学的染色方法も実施するよう構成し得る一方、該装置は、下に詳述される開示されるヘマトキシリン組成物を使用する進行性H&E染色を実施するよう構成された。該過程全体を示す図を図1に示し、その過程は、サンプルをスライドに付着させるためのベーキング段階、パラフィン包埋サンプルからパラフィンを除去する脱パラフィン段階、(開示されるヘマトキシリン組成物を利用し得る)ヘマトキシリン染色段階、pHを上げかつヘマトキシリンを青色に変えて下流で添加されるエオシンとのより良好な対比を提供するための青色化(bluing)段階、エオシン染色段階、過剰のエオシンを除去しかつ赤色のエオシンの多様な影を桃色に変えるのに使用される弁色段階、100%エタノールを使用してサンプルから水を除去するための脱水段階、スライドを高温および空気流に曝露してエタノールを除去する段階、リモネンをサンプルに分注する封入段階、ならびに硬化段階を包含する。
【0040】
数種のヘマトキシリン組成物を、(より高い効果的な初期ヘマテイン濃度を有することによって)より濃い核染色もまた提供した安定な組成物を提供するための試みにおいて検討した。伝統的に、より高濃度のヘマテインを有しかつ結果として核をより濃く染色し得る溶液は夥しい量の沈殿物を形成することができるため、こうした溶液は数日以内に構成かつ使用する。水溶解性抗酸化剤(本実施例においてはヒドロキノンおよび没食子酸n−プロピル)を、該抗酸化剤が酸化的分解および沈殿に対しヘマテインを安定化させ得るかどうかを決定するために単独で若しくは組合せで多様なヘマトキシリン製剤に添加し、また、β−シクロデキストリンを使用して、ホスト化合物の添加がヘマテインの天然の酸化および生じる沈殿物形成をさらに遅らせ得るかどうかを決定した。
【0041】
全部の例で、ヘマトキシリン製剤は後に続くとおり調製した。すなわち
1)脱イオン水、およびエチレングリコール(25容量%;Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)若しくはプロピレングリコール(23容量%;Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)いずれかを一緒に混合して組成物の溶媒を形成した。
2)図2および3に示される濃度のヘマトキシリン色素(Dudley Chemical Corp、ニュージャージー州レイクウッド)をその後該溶媒に添加してヘマトキシリン溶液を形成した。
3)ヨウ素酸ナトリウム(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を図2および3に示される濃度で添加し、そしてヘマトキシリンをヘマテインに酸化させ、それにより、ヨウ素酸ナトリウムのモル濃度を減算したヘマトキシリンのモル濃度におよそ等しいヘマテインの初期モル濃度を有するヘマテイン溶液を形成した。
4)硫酸アルミニウム八水和物(JT Baker、ニュージャージー州フィリップスバーグ)を図2および3に示される濃度でヘマテイン溶液に添加してヘマラム溶液を形成した。
5)ヒドロキノン、没食子酸n−プロピルおよびβ−シクロデキストリン水和物(全部Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイスから入手可能)の組合せをその後、図2および3に示される濃度で添加して、試験される組成物を形成した。
6)該組成物を、上述された自動染色装置中で試薬の搭載保存に使用される個別のバッグインボックス容器に入れた。
【0042】
これらの実施例に使用される組成物に酸は添加しなかった。
【0043】
図2および3は、多様な組成物、およびバッグインボックス容器中の沈殿物の観察に基づく数種の温度で試験する安定性の結果を要約する。全部の場合で、1種若しくはそれ以上の抗酸化剤およびホスト化合物の添加は、添加される抗酸化剤および/若しくはホスト化合物を伴わない同等な「不安定化」ヘマトキシリン溶液と比較して安定性を改良し、その不安定化ヘマトキシリンは、2〜8℃で1週後、周囲温度および30℃で4週後ならびに45℃で2週後に容器全体に沈殿物を表す。
【0044】
多組織スライドの手動染色のための保存される組成物の使用を包含した長期安定性試験もまた実施した。約2.6のpHを有する、25%エチレングリコール(v/v)、20mMヘマトキシリン、3.3mMヨウ素酸ナトリウム、20mM硫酸アルミニウム八水和物、85mMヒドロキノンおよび10mM β−シクロデキストリン水和物を包含する2ロットの水性ヘマトキシリン溶液を、それぞれ複数のバッグインボックス容器に充填した。各ロットからの1容器を周囲温度に残し、各ロットからの1容器を凍結融解周期にかけ、各ロットからの1容器を45℃ないし周囲の発送ストレス条件にさらし、および各ロットからの1容器を2〜8℃ないし周囲の発送ストレス条件にさらした。1か月間隔で容器のそれぞれを沈殿物の存在について検査し、そしてアリコートを取り出しかつpHについ
て確認した。該アリコートをその後、複数の組織切片(肝、腎、結腸、皮膚、および扁桃、リンパ節若しくは脾の1種)を持つ顕微鏡用スライドを手動染色するのに使用した。合計13か月の月1回の試験後に、異なる容器の全部の溶液は一貫して沈殿物を表さず、異なる容器中の溶液のそれぞれのpHは一貫して安定なまま留まり、および異なる容器中のヘマトキシリン溶液は手動染色手順後に組織切片の許容できる核染色を一貫して提供した。
【0045】
開示される発明は上で具体的に説明される特定の態様に制限されないこと、ならびに、本発明の真の範囲および技術思想から離れることなく多くの変更を行いうることが理解されるべきである。例えば、開示される組成物に界面活性剤のような追加成分を添加し得、また、媒染若しくはそれ以外の他の色素をヘマトキシリンの代わりに使用し得る。さらに、本発明が属する分野の当業者は、慣例の実験のみにより、本明細書に記述される態様の多くの同等物を認識するであろうか、若しくは確かめることが可能であろう。こうした同等物は請求の範囲の範囲内にあることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒;
ヘマトキシリン;
ヘマトキシリンの少なくとも一部分をヘマテインに転化するのに十分な量の化学的酸化剤;
媒染剤;ならびに
ホスト化合物および抗酸化剤のいずれか若しくは双方
を含んでなる、生物学的サンプルの染色のための安定化されたヘマトキシリン組成物。
【請求項2】
ホスト化合物および抗酸化剤の双方を包含する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
溶媒が水性溶媒であり、かつ、抗酸化剤が水溶解性抗酸化剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
2種若しくはそれ以上の抗酸化剤を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
水溶解性抗酸化剤がヒドロキノンおよび没食子酸n−プロピルの1種若しくはそれ以上を含んでなる、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
溶媒が水、低級アルカノールおよび多価アルコールの1種若しくはそれ以上を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
溶媒が水性溶媒を含んでなり、水性溶媒が水および多価アルコールを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
多価アルコールが、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール)の1種若しくはそれ以上を含んでなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
水性組成物が、5〜45容量%のエチレングリコールおよびプロピレングリコールの1種若しくはそれ以上を含んでなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
水性組成物が、10〜30容量%のエチレングリコールおよびプロピレングリコールの1種若しくはそれ以上を含んでなる、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
化学的酸化剤の量がヘマトキシリンをヘマテインに定量的に酸化する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ヘマトキシリンの半分以上が化学的酸化剤によりヘマテインに酸化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ヘマトキシリンの半分未満が化学的酸化剤によりヘマテインに酸化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
ヘマトキシリンの1%と50%の間が化学的酸化剤によりヘマテインに酸化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
ヘマトキシリンの約10%と約30%の間が化学的酸化剤によりヘマテインに酸化される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
化学的酸化剤が、ヨウ素酸ナトリウム、酸化第二水銀、過マンガン酸カリウム、過ヨウ素酸カリウムおよび過酸化水素の1種若しくはそれ以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
化学的酸化剤がヨウ素酸ナトリウムを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
媒染剤が、アルミニウム媒染剤、鉄媒染剤、ビスマス媒染剤、銅媒染剤、モリブデン媒染剤、バナジウム媒染剤およびジルコニウム媒染剤の1種若しくはそれ以上を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
媒染剤がミョウバンを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
媒染剤が硫酸アルミニウムを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
ホスト化合物が、アミロース、シクロデキストリン、クリプタンド、クリプトファン、キャビタンド、クラウンエーテル、デンドリマー、ナノチューブ、カリックスアレーン、バリノマイシンおよびナイジェリシンの1種若しくはそれ以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
ホスト化合物が、シクロデキストリン若しくはシクロデキストリン誘導体の1種若しくはそれ以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
シクロデキストリン若しくはシクロデキストリン誘導体がβ−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリン誘導体の1種若しくはそれ以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
ホスト化合物が25℃で100mg/mL以上の水溶解度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
酸をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
酸が酢酸を含んでなる、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
酸が添加されない、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
媒染剤が、組成物中のヘマテインの濃度以上の濃度で組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
媒染剤が、組成物中のヘマテインの濃度未満の濃度で組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
溶媒としての水およびエチレングリコールの混合物、酸化剤としてのヨウ素酸ナトリウム、媒染剤としての硫酸アルミニウム、ならびにホスト化合物としてのβ−シクロデキストリン若しくはその誘導体を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
水およびエチレングリコールの混合物が、10〜40容量%のエチレングリコールおよび60〜90%の水から含んでなる、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
組成物中の酸化剤に対するヘマトキシリンのモル比が6:1と1:1の間である、請求
項1に記載の組成物。
【請求項33】
組成物中の媒染剤に対するヘマトキシリンのモル比が2:1と1:100の間である、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
組成物中の媒染剤に対するヘマトキシリンのモル比が1:5と1:20の間である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
請求項1−34のいずれかに記載のヘマトキシリン組成物と生物学的サンプルを接触させることを含んでなる、生物学的サンプルの組織化学的染色方法。
【請求項36】
対比染色液とサンプルを接触させることをさらに含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
対比染色液とサンプルを接触させることが、エオシンY、オレンジG、ライトグリーンSF黄口、ビスマルクブラウン、ファストグリーンFCF、OA−6、EA25、EA36、EA50およびEA65の1種若しくはそれ以上とサンプルを接触させることを含んでなる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ヘマトキシリン組成物とサンプルを接触させることが進行性ヘマトキシリン染色プロトコルを含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
ヘマトキシリン組成物とサンプルを接触させることが退行性ヘマトキシリン染色プロトコルを含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
該方法が自動化されている、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
生物学的サンプルが支持体上に支持されている、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
支持体が顕微鏡用スライドガラスを含んでなる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
生物学的サンプルが組織切片若しくは細胞学サンプルを含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
生物学的サンプルが組織切片若しくは細胞学サンプルを含んでなる、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
該方法が自動化されている、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
該方法がH&E染色法を含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
該方法がPAP染色法を含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項48】
ヘマテイン溶液を形成すること;
媒染剤をヘマテイン溶液に添加して染色溶液を形成すること;ならびに
ホスト化合物および抗酸化剤のいずれか若しくは双方を染色溶液に添加して安定化されたヘマトキシリン組成物を形成すること
を含んでなる、生物学的サンプルの組織化学的染色のための安定化されたヘマトキシリン組成物の作成方法。
【請求項49】
ヘマテイン溶液を形成することが、ヘマトキシリンを溶媒に溶解すること、およびヘマトキシリンの少なくとも一部分をヘマテインに転化するのに十分な量の化学的酸化剤を添加することを含んでなる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
溶媒が水性組成物を含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
水性組成物が水および多価アルコールを含んでなる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
多価アルコールが、グリセロール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールの1種若しくはそれ以上である、請求項52に記載の方法。
【請求項53】
バッグインボックス容器、および
バッグインボックス容器のバッグ内に保持されるヘマトキシリン溶液であって、該ヘマトキシリン溶液は請求項1−34のいずれかに記載のヘマトキシリン溶液を含んでなる、
を含んでなるキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−521678(P2010−521678A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553811(P2009−553811)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/057035
【国際公開番号】WO2008/112993
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(599075070)ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (31)
【Fターム(参考)】