説明

安定性が改善された米デンプンベースのチョコレート組成物

本発明はチョコレート生地と米デンプンゲルを用意し、米デンプンゲルをチョコレート生地に導入し、2つの成分を混合して、均質な半固形または液状チョコレート組成物を得ることによって製造された半固形または液状チョコレート組成物、これを含む製品ならびにその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改善されたチョコレート組成物、その製造方法およびこれを含む製品に関する。
【背景技術】
【0002】
チョコレートの主成分は砂糖、ココアおよびレシチンである。ココアの割合を変え、かつ粉乳を使用することにより淡色のチョコレートまたはミルクチョコレートが、またきわめて高いココア分により黒ずんだ製品が作られる。その他の含有物、例えばヘーゼルナッツ、果実の使用および特定の香りづけはその他の特殊変型をもたらす。
【0003】
チョコレートの製造のために種々の技術的方法が存在する。原料を直接加工するクラム(Crumb)法(例えばEP 0 317 917 B1)はあまり高級でない製品をもたらす。チョコレート生地を数時間にわたり運動させることによって最適化された香味特性が形成されるコンチング法は、官能的に見て最良の結果をもたらす。EP 0 512 910 B1に記載されているようにイソマルト、マルチトース、ラクチトール、イヌリンまたはポリデキシトロースを含むいわゆる減カロリーチョコレートの製造も、コンチングによって官能的に優れたチョコレートをもたらす。その他の炭水化物、例えばイソマルツロースを含むチョコレートの製造も好評な製品をもたらす。
【0004】
先行技術は、チョコレートの製造のためにも、品質の特徴のためにも、遊離水がないことが重要であるという点で一致している。遊離水は炭水化物の集塊の形成をもたらし、チョコレートに「ざらざらした味」を付与する。
【0005】
液状チョコレートも周知である。液状チョコレートを製造するには、通常チョコレートをミルクに融解し、デンプンを使用して適当な飲用可能なコンシステンシーに調整する。チョコレートは熱いうちに飲用し、冷えると分離する傾向がある。
【0006】
ペースト状即ち半固形の、または液状のチョコレート調合物は特殊な用途、例えばグレージングのためにも注目される。この場合適当なコンシステンシーを整えるために、しばしば多量の脂肪が使用される。ある種の液状チョコレート組成物は多くの場合貯蔵安定性がなく、即ちその成分が分離する傾向があり、または微生物学的不安定性を有する。多くの場合味覚特性に改善の余地があり、および/またはコンシステンシーが技術的または官能的観点から不十分に感じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 0 317 917 B1
【特許文献2】EP 0 512 910 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底にある技術問題は、上記の欠点を克服する方法および製品を提供することである。特に本発明の根底にある技術問題は、チョコレート組成物のより柔軟なコンシステンシーと付着力、改善された味覚特性、良好な加工性および/または微生物学的観点でも改善された貯蔵安定性を特徴とする半固形または液状チョコレート組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はa)チョコレート生地および米デンプンゲルを用意し、b)米デンプンゲルをチョコレート生地に導入し、2つの成分を混合して、均質な半固形または液状チョコレート組成物を得ることによって製造された半固形または液状チョコレート組成物を提供することによりその根底にある技術問題を解決する。また本発明は少なくとも1つのココア成分と少なくとも1つの甘味料を含む40〜80重量%のチョコレート生地、0.5〜10重量%の米デンプンおよび20〜50重量%の水を含む半固形または液状チョコレート組成物を提供することによってその根底にある技術問題を解決する。
【0010】
また本発明は、第1の工程段階で融解したチョコレート生地および米デンプンゲルを用意し、第2の工程段階で米デンプンゲルを融解したチョコレート生地に導入し、混ぜ合わせて均質な混合物とし、均質な半固形または液状チョコレート組成物を得る半固形または液状チョコレート組成物の製造方法を提供することによって、その根底にある技術問題を解決する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
こうして本発明は、チョコレート組成物の製造での米デンプン分、特に米デンプンゲルの使用、とりわけ米デンプンゲルのゲル特性に関連する、従来のチョコレート組成物と比較して高い含水量を特徴とする半固形または液状チョコレート組成物を用意するという教示を提供する。半固形または液状チョコレート組成物の製造のための米デンプンゲルの使用は、特に柔軟で、容易に製造可能な、特に他の製品、例えばベーキング製品のような食品によく塗布され、しかも従来製造された半固形または液状チョコレート組成物と比較して改善された貯蔵安定性、特に分離または微生物学的分解に対する安定性を特徴とするチョコレート組成物をもたらす。こうして製造された半固形または液状チョコレート組成物は直ちに使用でき、特に液状で即時飲用可能であり、または半固形状で直ちに塗布またはグレージングすることができる。製造されるチョコレート組成物は食品製品、例えばケーキまたはその他のベーキング製品に使用した場合、均一かつ良好な配分性と付着性を特徴とする。さらに本発明に基づく半固形または液状チョコレート組成物は有利な、特にクリーム風の充実した味覚を特徴とする。
【0012】
本発明に関連して半固形チョコレート組成物とは特にペースト状のチョコレート組成物を意味する。
【0013】
特に好ましい実施形態では、チョコレート生地は少なくとも1つの甘味料および少なくとも1つのココア成分ならびに好ましい実施形態で少なくとも1つの添加物、例えば乳化剤を有する生地である。特に好ましい実施形態では、本発明に基づき使用されるチョコレート生地は添加物として少なくとも1つのミルク成分を有する。特に好ましい実施形態では、チョコレート生地は少なくとも1つのココア成分、少なくとも1つの甘味料、任意選択による少なくとも1つの乳化剤のほかに、任意選択に応じて少なくとも1つのミルク成分を有する。
【0014】
本発明に関連して「甘味料」の概念は、甘味度を有し、甘味を喚起するために例えば食品または飲料に添加される物質を意味する。本発明に関連して「甘味料」は、こくおよび甘味度を付与する「糖類」、例えばスクロース、グルコースまたはフルクトースと、「甘味剤」即ち糖類でないが甘味度を有する物質に区分される。この甘味剤はさらに「代用糖」即ち甘味度に加えてこくおよび生理的発熱量を有する甘味料(こくを付与する甘味剤)と「強力甘味料」即ち通常非常に高い甘味度を有するがこくがなく、通常生理的発熱量が全くまたは僅かしかない物質に区分される。
【0015】
好ましい実施形態では、本発明のチョコレート生地は9〜60重量%の少なくとも1つのココア成分、とりわけ20〜30重量%(それぞれチョコレート生地の全乾燥重量に対して)のココア成分ならびに1〜40重量%(それぞれチョコレート生地の全乾燥重量に対して)の少なくとも1つの添加物および20〜90重量%、とりわけ20〜50重量%または50〜80重量%(それぞれチョコレート生地の全乾燥重量に対して)の少なくとも1つの甘味料を含むチョコレート生地である。特に好ましい実施形態では、チョコレート生地に35〜75重量%(チョコレート生地の全乾燥重量に対して)のイソマルツロースが存在する。
【0016】
本発明は好ましい実施形態で、ココア成分として特に好ましい実施形態でココアパウダー、特に脱脂または脱油したココアパウダーを使用する。
【0017】
本発明に関連して添加物とは、本発明に基づき使用されるチョコレート生地に甘味料およびココア成分に加えて添加することができる物質を意味する。従って添加物は任意選択に応じて使用される物質であり、本発明は、これらの物質またはその中から選ばれたものを有するチョコレート生地も、また上記の添加物を全くまたは一部しか有しないチョコレート生地をも包含する。添加物の使用は応用分野および市場と消費者の要求の特徴に応じて個別に決定することができる。
【0018】
本発明に関連して添加物とは、例えばチョコレート生地の栄養生理学的性質に有利に肯定的影響を及ぼすプレバイオティクス、チョコレート生地の甘味度に影響する強力甘味料、砂糖または代用糖、脂肪含有成分または得られる飲料の性質と味覚に特に影響する乳製品または補助物質を意味する。
【0019】
補助物質とは、チョコレート生地の使用に対し、特に外観、味覚、官能的性質、栄養価、栄養生理学的性質、加工性、貯蔵性または即席性に関係する物質を意味する。
【0020】
そこで別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの添加物をプレバイオティクス、とりわけイヌリン、ポリデキストロース、オリゴフルクトースまたはガラクトオリゴ糖として配合する。
【0021】
本発明に関連してプレバイオティクスとは、健康促進効果が予想されまたは現れるように、ヒトまたは動物の消化管内の特異的細菌、特にビフィズス菌および/または乳酸菌の増殖および/または活性を選択的に刺激する添加物を意味する。
【0022】
本発明に関連して「プロバイオティクス」とは、ヒトまたは動物消費者の消化管内の微生物組成の安定化または改善によってその健康を促進する生きた微生物添加成分を意味する。食品、医薬品または飼料に使用できるこのようなプロバイオティクス微生物は例えばビフィドバクテリウム属、例えばB.adolescentis、B.animalis、B.bifidum、B.l-ongum、B.thermophilumの各菌株、エンテロコッカス属、ラクトバチルス属、例えばLb.aci-dophilus、Lb.brevis、Lb.casei、Lb.cellobiosus、Lb.crispatus、Lb.delbrueckii subsp.Bulgaricus、Lb.fermentum、Lb.GG、Lb.johnsonii、Lb.lactis、Lb.plantarum、Lb.r-euteri、Lb.rhamnosus、Lb.salivariusの各菌株;セレウストヨイ菌;セレウス菌;ロイコノストク属;Pediococcus acidilactici;プロピオニバクテリウム属;ストレプトコッカス属、例えばS.cremoris、S.infantarius、S.intermedius、S.lactis、S.salivarius subsp.therm-ophilusの各菌株である(Fuller, J.Appl. Bacteriol. (1989)を参照)。好ましいプロバイオテイクスはラクトバチルス属およびビフィドバクテリウム属の細菌である。
【0023】
本発明に関連して「シンバイオティクス」とは、胃腸管内にあって健康を促進する生きた微生物の生存率の改善および個数の増加によって、特にこの微生物の増殖および/または代謝活性の選択的刺激によってヒトまたは動物消費者の健康を促進する、少なくとも1つのプレバイオティクスと少なくとも1つのプロバイオティクスの混合物を意味する。
【0024】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの添加物をプロバイオティクス、とりわけビフィズス菌または乳酸菌として配合する。このようなプロバイオティクス細菌培養物は乾燥培養物または保存培養物として配合することが好ましい。別の好ましい実施形態では、シンバイオティクス、即ちプロバイオティクスとプレバイオティクスの混合物を使用する。
【0025】
また本発明は少なくとも1つの添加物を脂肪含有成分、たとえばココアマス、硬化または未硬化植物油脂、例えばパーム油等、さらには例えば脂肪代用品として配合する。
【0026】
本発明は別の好ましい実施形態で、少なくとも1つの添加物を乳製品、特に無乳糖乳製品、例えば脱脂粉乳、全脂粉乳、無乳糖脱脂または全脂粉乳、ホエーエキス、ホエー製品として配合する。この実施形態、即ち少なくとも1つの甘味料、乳製品およびココア成分を含むチョコレート生地では、20〜40重量%(チョコレート生地の全重量に対して)の乳製品を使用することが好ましい。特にこの最後に挙げた実施形態では、20〜50重量%(チョコレート生地の全重量に対して)の量の甘味料を使用することが好ましい。
【0027】
本発明は特に好ましい実施形態で、少なくとも1つの添加物を補助物質として配合し、該補助物質は、香料、着色料、調味料、ミネラル例えばナトリウムまたはカルシウム、特に塩、例えば塩化ナトリウム、ビタミン類、葉酸、乳化剤、レシチン、食物繊維、ω3‐脂肪酸、中鎖トリグリセリン、フィトエストロゲンおよびアスコルビン酸塩またはこれらの組合せからなるグループから選ばれる。好ましい実施形態では本発明に基づくチョコレート生地は例えば香料としてバニリンを含む。
【0028】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの甘味料が糖類、例えばスクロース、イソマルツロース、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトースまたはこれらの2以上の混合物である。しかしながら、本発明の特に好ましい実施形態では本発明のチョコレート生地が無糖または無乳糖である。
【0029】
特に好ましい実施形態では甘味料として炭水化物混合物、特に二糖、ヌトリオースおよびポリデキストロースの混合物が選ばれる。もちろん二糖だけを単独でまたは混合物として使用し、または単数または複数の二糖をヌトリオースおよび/またはポリデキストロースと併用することも可能である。
【0030】
また当然に、本発明は特に好ましい実施形態で少なくとも1つの甘味料として少なくとも1つの代用糖および/または強力甘味料を含む本発明に基づくチョコレート生地に関する。
【0031】
本発明の一実施形態では、代用糖が特に糖アルコールであって、該代用糖は、特にイソマルト、1,1-GPM(1-O-α-グルコピラノシル-D-マンニトール)、1,6-GPS(6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、1,1-GPS(1-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、マルトデキストリン、ラクチトール、マルチトール、エリトリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトールシロップ、水素化および非水素化デンプン水解物およびこれらの2以上の混合物からなるグループから選ばれる。
【0032】
別の好ましい実施形態では、強力甘味料はスクラロース、シクラミン酸ナトリウム、アセサルファームK、ネオヘスペリジン‐ジヒドロカルコン、グリシリジン、ステビア、少なくとも95重量%のレバウジオシドA分を有するステビア、ステビオシド、モネリン、タウマチン、アスパルテーム、ズルチン、サッカリン、ナリンギン‐ジヒドロカルコン、ネオテームおよびこれらの2以上の混合物からなるグループから選ばれる。
【0033】
特に好ましい実施形態では、本発明に基づくチョコレート組成物は無乳糖である。
【0034】
特に好ましい実施形態では、チョコレート組成物は無乳糖でイソマルツロースを含み、歯にやさしい。
【0035】
特に好ましい実施形態では、本発明に基づくチョコレート組成物は無糖であり、特にグルコースを含まず、スクロースを含まずおよび/またはフルクトースを含まない。
【0036】
特に好ましい実施形態では、本発明に基づくチョコレート組成物は糖尿病患者に適合し、歯にやさしい。本発明の特に好ましい実施形態では、本発明に基づくチョコレート組成物に唯一の甘味料として二糖アルコールが、場合によっては強力甘味料とともに存在する。特に好ましい実施形態では、本発明に基づくチョコレート組成物に唯一の甘味料として低血糖性甘味料、特に低血糖性二糖、特にイソマルツロースが場合によっては強力甘味料とともに存在する。
【0037】
特に好ましい実施形態では、本発明に基づくチョコレート組成物に唯一の甘味料としてイソマルツロースが、強力甘味料とともに、任意選択によってはイヌリンとともに存在する。
【0038】
本発明は特に好ましい実施形態で、チョコレート生地成分と米デンプンゲル成分の重量比が4.5:1〜1.1:1、とりわけ3:1〜1.5:1(それぞれチョコレート生地成分および米デンプンゲル成分の全重量に対して)である。特に好ましい実施形態では、米デンプンゲルは2〜20重量%、とりわけ3〜18重量%、特に5〜15重量%の米デンプン(米デンプンゲルの全重量に対して)を含む。米デンプンゲルの残余の成分はとりわけ水であり、米デンプンゲルの全重量に対して合計100重量%となる。
【0039】
このようにして特に好ましい実施形態では、チョコレート生地は少なくとも1つの甘味料、例えば炭水化物、少なくとも1つのココア成分、レシチンおよび粉乳を有する。
【0040】
本発明に基づくチョコレート生地の製造は、とりわけ30〜50℃の温度で例えばレディゲ(Loedige)ミキサーまたは流動床法で成分を簡単に混合することによって行うことができる。
【0041】
チョコレート生地は混合と圧延により従来の方法で製造することが特に好ましい。特に好ましい実施形態では、本発明に基づき使用されるチョコレート生地は完成チョコレート、例えばコンチングにより製造されたチョコレートである。特に好ましい実施形態では、本発明に基づき使用されるチョコレート生地は特に40〜80℃、とりわけ50〜80℃で融解される。
【0042】
別の好ましい実施形態では、チョコレート組成物が20〜50重量%の水、特に30〜45重量%、とりわけ32〜44重量%の水(チョコレート組成物の全重量に対して)を含む。別の好ましい実施形態では、チョコレート組成物が0.5〜10重量%、とりわけ1〜9重量%、特に2〜8重量%の米デンプン(チョコレート組成物の全重量に対して)を含む。別の好ましい実施形態では、本発明に基づくチョコレート組成物が40〜80重量%、特に50〜70重量%、特に52〜65重量%のチョコレート生地を含む。
【0043】
また本発明に基づき添加物としてアーモンドの果肉、蜂蜜、コーヒーエキスおよびその他の微粉砕製品またはペースト状物質をチョコレート生地に仕込むことが好ましい。特に好ましい実施形態では、安定化剤、例えばキサンタン、多糖類および乳化剤、例えばモノおよびジグリセリドまたはショ糖脂肪酸モノエステルも使用することができる。好ましい実施形態で、香りづけを果実調理品もしくは天然および合成香料により効果的に好ましい実施形態として行うことができる。
【0044】
また本発明に基づき好ましい実施形態で完成品の殺菌も可能である。
【0045】
本発明に関連して混合物、特にチョコレート組成物、チョコレート生地および米デンプンゲルの成分について特に重量%の表示範囲で記述されたすべての重量%は、当該の混合物中に存在する諸成分が合計100重量%となることを意味する。
【0046】
また特に好ましい実施形態で、本発明に基づくチョコレート組成物はプリン、クリーム、グレーズ、スプレッド、トッピング、表面着色料、ケーキグレーズまたは飲用チョコレートである。
【0047】
また特に好ましい実施形態で、本発明は本発明に基づく半固形または液状チョコレート組成物を含み、とりわけこれで被覆され、またはこれを詰め物として有する製品、特に食品、食物または嗜好品、例えばベーキング製品、発泡砂糖製品、糖菓等に関する。特に好ましい実施形態で、このような本発明に基づく製品は10〜90重量%、とりわけ20〜80重量%、特に30〜70重量%、とりわけ40〜60重量%の本発明に基づくチョコレート組成物を有する。
【0048】
また別の好ましい実施形態で、本発明は半固形または液状チョコレート組成物の製造方法に関する。その場合第1の工程段階でチョコレート生地、特に加熱され融解されたチョコレート生地と米デンプンゲル、とりわけ加熱された米デンプンゲルが用意され、第2の工程段階では加熱した形の米デンプンゲルが融解され加熱されたチョコレート生地に導入され、混合されて均質な混合物となり、均質な半固形または液状チョコレート生地が得られる。特に好ましい実施形態では、チョコレート生地が40〜80℃、特に50〜70℃の温度に加熱される。特に好ましい実施形態では、米デンプンゲルはチョコレート生地に添加する前に60〜90℃、特に70〜80℃の温度に加熱される。
【0049】
特に好ましい実施形態では、米デンプンと水を高い温度、例えば60〜90℃、とりわけ60〜65℃で混合し、ゲルを得ることによって、米デンプンゲルを製造する。特に好ましい実施形態では、加熱された米デンプンゲルを少量ずつ例えば2、3またはそれ以上の順次続く段階で遂次チョコレート生地に導入する。特に米デンプンゲルを連続的にチョコレート生地に導入することが好ましい。特に好ましい実施形態では、米デンプンゲルの導入は1〜60分、特に5〜30分、特に6〜20分、とりわけ7〜15分の期間にわたって行われる。
【0050】
特に好ましい実施形態では、上記の方法は上記の工程段階からなり、即ち即時使用可能、特に即時飲用可能もしくは即時グレージングまたは塗布可能なチョコレート組成物の製造のためのその他の工程段階は使用されない。
【0051】
その他の有利な実施態様は従属項に記載される。
【0052】
下記の実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0053】
実施例1:エネルギー放出を長引かせたスプレッド
A)イソマルツロースおよびイヌリンを含む200gのチョコレート生地を次のように製造する。
【0054】
20重量%のココアパウダー(Kressko KP 10/12)と41.95重量%のイソマルツロース、0.05重量%のバニリンおよび5重量%のイヌリン(Orafti(登録商標)HP)をZミキサーでよく混ぜ合わせる。この乾燥混合物に十分な量の脂肪、即ち32.5重量%のパーム油(Kernetta 937, Rau und Neusser)および0.5重量%のレシチンを加え、40℃で10分間混合すると、ペースト状の混合物が生じる。次に生地をローラーミル系で加工し、≦20μmの粒度に整える。
【0055】
重量%はそれぞれチョコレート生地の全乾燥重量に関するものである。
【0056】
B)158gの米デンプンゲル(水150gとRemyline AX-DR8g)
C)チョコレート生地を恒温化可能なミキサーで融解し(最高温度65℃)、70℃に加熱した米デンプンゲルを少量ずつ15分の期間にわたって加える。続いてこの温度で3分間引き続き攪拌し、あらかじめ熱殺菌したガラス容器に詰める。
【0057】
製品は室温でやわらかく融け、よく広がる。
【0058】
実施例2:ケーキグレーズ
A)スクロース(粉糖)を含む200gのチョコレート生地を次のように製造する。
【0059】
チョコレート生地の製造のために46.95重量%のスクロースと20重量%のココアパウダー(Kessko KP10/12)および0.05重量%のバニリンをZミキサーでよく混合する。この乾燥混合物に十分な量の脂肪、即ち32.5重量%の脂肪(Kernetta 937, Rau und Neusser、パーム油)および0.5重量%のレシチンを加え、40℃で10分間混合すると、ペースト状の混合物が生じる。続いて生地をローラーミル系で加工し、≦20μmの粒度に整える。
【0060】
重量%はそれぞれチョコレート生地の全乾燥重量に関するものである。
【0061】
B)110gの米デンプンゲル(水100gと米デンプン、Remyline AX-DR 10g)
C)チョコレート生地を恒温化可能なミキサーで融解し(最高温度65℃)、80℃に加熱した米デンプンゲルを少量ずつ15分の期間にわたって加える。続いてこの温度で3分間引き続き攪拌し、アルミバッグに詰め、続いてこれを密封する。
製品は室温で固形であり、50〜60℃の水浴で液状にすることができる。製品はケーキの表面に均一に配分され、光沢のある膜を形成し、続いて膜はよく付着する。
【0062】
実施例3:クリスマス・チョコレートドリンク
A)イソマルツロースおよびイヌリンを含む200gのチョコレート生地を次のように製造する。
【0063】
20重量%のココアパウダー(Kessko KP 10/12)と41.95重量%のイソマルツロース、0.05重量%のバニリンおよび5重量%のイヌリン(Orafti(登録商標)HP)をZミキサーでよく混ぜ合わせる。この乾燥混合物に十分な量の脂肪、即ち32.5重量%の(Kernetta 937, Rau und Neusser、パーム油)および0.5重量%のレシチンを加え、40℃で10分間混合すると、ペースト状の混合物が生じる。続いて生地をローラーミル系で加工し、≦20μmの粒度に整える。
【0064】
重量%はそれぞれチョコレート生地の全乾燥重量に関するものである。
【0065】
B)180gの米デンプンゲル(水170gと米デンプン、Remyline AX-DR 10g)
2gのリンゴ・シナモン香料(Symrise社)
0.05gのアセサルファームK
C)チョコレートを恒温化可能なミキサーで融解し(最高温度65℃)、香料と強力甘味料を添加し、80℃に加熱した米デンプンゲルを少量ずつ15分の期間にわたって加える。続いてこの温度で3分間引き続き攪拌し、85℃で短時間殺菌し、無菌の容器に詰める。
【0066】
製品は室温で均質で沈殿に対して安定であり、クリーム様の充実した味を有する。室温で3ヶ月貯蔵した後も製品は微生物学的に安定であり、上記の優れた味覚特性を示す。
【0067】
実施例4
実施例1〜3で製造したスプレッド、ケーキグレーズおよびチョコレート飲料を、実施例1〜3で挙げたチョコレート生地の代わりに別のチョコレート生地でも同様に製造した。
【0068】
こうして第1のチョコレート生地を次のレシピで製造し、本発明に基づき使用した。
【0069】
スクロース(粉糖) 29.93重量%
ココアパウダー 20重量%
脂肪 32.5重量%
イソマルトST-PF(標準、粉末状) 7重量%
スクラロース 0.02重量%
レシチン 0.5重量%
バニリン 0.05重量%
Orafti(登録商標) GR(イヌリン) 10重量%
使用した第2のチョコレート生地は次の組成を有する。
【0070】
ココアパウダー 20重量%
脂肪 32.5重量%
イソマルトST-PF 36.908重量%
スクラロース 0.042重量%
レシチン 0.5重量%
バニリン 0.05重量%
Orafti(登録商標)LGI(イヌリン)10重量%
本発明に基づき使用した第3のチョコレート生地は次の組成を有する。
【0071】
スクロース 20重量%
ココアパウダー 20重量%
脂肪 32.5重量%
イソマルトST-PF 19.927重量%
スクラロース 0.023重量%
レシチン 0.5重量%
バニリン 0.05重量%
Orafti(登録商標)P95(イヌリン)7重量%
使用した第4のチョコレート生地は次の組成を有する。
【0072】
スクロース 13.64重量%
ココアパウダー 18.18重量%
イソマルトST-PF 29.02重量%
脂肪 29.55重量%
スクラロース 0.025重量%
レシチン 0.45重量%
バニリン 0.045重量%
Orafti(登録商標)HP 9.09重量%
ココアパウダーおよび脂肪は実施例1で挙げた製品Kessko KP10/12およびKernetta, Rau und Neusser(パーム油)である。
【0073】
レシチンとして4つのすべての実施例でTopicitin NGM, Cargillを使用した。
【0074】
得られた製品は上記の利点を特徴とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)チョコレート生地および米デンプンゲルを用意し、
b)米デンプンゲルをチョコレート生地に導入し、2つの成分を混合して、均質な半固形または液状チョコレート組成物を得る
ことによって製造された半固形または液状チョコレート組成物。
【請求項2】
チョコレート生地と米デンプンゲルの重量比が、それぞれ成分の全重量に対して、4.5:1〜1.1:1である、請求項1に記載のチョコレート組成物。
【請求項3】
米デンプンゲルが、米デンプンゲルの全重量に対して、2〜20重量%の米デンプンを含む、請求項1または2に記載のチョコレート組成物。
【請求項4】
チョコレート組成物が、チョコレート組成物の全重量に対して、20〜50重量%の水を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のチョコレート組成物。
【請求項5】
チョコレート組成物が、チョコレート組成物の全重量に対して、0.5〜10重量%の米デンプンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のチョコレート組成物。
【請求項6】
チョコレート組成物が、チョコレート組成物の全重量に対して、40〜80重量%のチョコレート生地を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のチョコレート組成物。
【請求項7】
米デンプンゲルの導入が少量ずつ遂次行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のチョコレート組成物。
【請求項8】
プリン、クリーム、グレーズ、トッピング、表面着色料、スプレッドまたは飲用チョコレートである、請求項2〜7のいずれか1項に記載のチョコレート組成物。
【請求項9】
少なくとも1つのココア成分と少なくとも1つの甘味料を含む40〜80重量%のチョコレート生地、0.5〜10重量%の米デンプンおよび20〜50重量%の水を含む半固形または液状チョコレート組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の半固形または液状チョコレート組成物を含む製品。
【請求項11】
第1の工程段階で融解したチョコレート生地および米デンプンゲルを用意し、第2の工程段階で米デンプンゲルを融解したチョコレート生地に導入し、混合して均質な混合物とし、均質な半固形または液状チョコレート組成物を得る、請求項1〜10のいずれか1項に記載の半固形または液状チョコレート組成物の製造方法。
【請求項12】
米デンプンゲルをチョコレート生地に少量ずつ遂次導入する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
用意された米デンプンゲルを予熱する、請求項11または12に記載の方法。

【公表番号】特表2012−514987(P2012−514987A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545700(P2011−545700)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000293
【国際公開番号】WO2010/081748
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(500175772)ズートツッカー アクチェンゲゼルシャフト マンハイム/オクセンフルト (47)
【Fターム(参考)】