説明

官能性ポリマー相転移材料およびその製造方法

官能性ポリマー相転移材料を含む組成物であって、前記官能性ポリマー相転移材料は少なくとも1つの反応性基を有し、前記反応性基は、少なくとも第1の共有結合を形成することができる組成物。態様によっては、前記反応性基は、第2の材料と共に少なくとも第1の共有結合を形成することができる。他の態様では、前記官能性ポリマー相転移材料は、少なくとも1つの結晶性部分を含んでおり、そしてまた主鎖および複数の側鎖を含んでおり、前記複数の側鎖が前記結晶性部分を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本願は、2008年7月16日出願の、標題が官能性ポリマー相転移材料およびその製造方法である、米国特許出願第12/174,607号への優先権を主張しており、全ての適切な目的において、その詳細を参照することによって本明細書の内容とする。
【0002】
発明の分野
本発明は、官能基が反応性の相転移材料、種々の用途におけるそれらの材料の使用、およびそれらの材料の製造方法に関する。特に、本発明は、他の材料と共有結合を形成する官能基が反応性のポリマー相転移材料に関するが、それらに限定するものではない。
【背景技術】
【0003】
温度調整特性を与えるための、相転移材料(PCM)の一般化された利用を通した、繊維製品の改質が知られている。また、マイクロカプセル化されたPCM(mPCM)の利用、その製造方法およびその用途も、広く開示されてきている。例えば、下記の文献は、それらの用途において、全てがマイクロカプセルを用いている。
1.米国特許第5366801号明細書:可逆的で高められた熱的性質を備えた布帛
2.国際公開第0212607号明細書:熱制御不織布
3.米国特許第6517648号明細書:不織繊維布の調製方法
4.特開05-156570号明細書:蓄熱性を有する繊維構造物及びその製造方法
5.米国特許出願公開第20040029472号明細書:潜熱効果を備えた複合繊維と方法
6.米国特許出願公開第20040026659号明細書:相転移材料マイクロカプセルを作製するための組成物および該マイクロカプセルの作製方法
7.米国特許出願公開第20040044128号明細書:水性ポリウレタンのマイクロカプセル配合と方法
8.米国特許出願公開第2004011989号明細書:潜熱効果を備えた布帛コーティング組成物およびその製造方法
9.米国特許出願公開第20020009473号明細書:マイクロカプセル、その製造方法、その使用、およびそれを含むコーティング液
10.特開平11-350240号明細書:表面にマイクロカプセルが付着した繊維の製造方法
11.特開2003-268679号明細書:蓄熱性を有する糸及びそれを用いた織物
【0004】
しかしながら、マイクロカプセルは高価であり、破裂する可能性があり、接着のための付加的な樹脂性のバインダーを必要とし、そして繊維に貧弱な可撓性および性質をもたらす可能性がある。
【0005】
多くの他の明細書が、先ずPCMまたはmPCMを含む繊維を製造することによる繊維製品の温度調整の開発の概要を記載している。例えば、下記のものは、全てが、合成的に作られた繊維から生み出された組成物、製造方法、プロセス、および繊維を開示している。これは特定の環境においては受容できるであろうが、以下に記載されたこれらの出願は、全ての天然セルロース繊維およびタンパク質繊維、例えば綿、亜麻、革、毛、絹および毛皮を除外している。また、これらは、合成繊維または布帛の後処理を容認していない。
12.米国特許出願公開第20030035951号明細書:高められた可逆性の熱的特性を有する多成分繊維およびその製造方法
13.米国特許第756958号明細書:可逆性で高められた熱的特性を備えた繊維およびそれから作られる布帛
14.特開平5-331754号明細書:吸発熱性複合繊維不織布
15.特開平6-041818号明細書:吸発熱性複合繊維
16.特開平5-239716号明細書:保温性複合繊維
17.特開平8-311716号明細書:吸発熱性複合繊維
18.特開平5-005215号明細書:吸熱、発熱性複合繊維
19.特開2003-027337号明細書:蓄熱保温性複合繊維
20.特願07-053917号明細書:蓄熱保温性繊維
21.特開2003-293223号明細書:吸熱性複合繊維
22.特願平02-289916号明細書:蓄熱繊維
23.特願平03-326189号明細書:蓄熱繊維
24.特願平04-219349号明細書:蓄熱組成物
25.特願平06-234840号明細書:蓄熱体
26.特願2001-126109号明細書:蓄熱性繊維、その製造方法および蓄熱性布部材
27.特願平03-352078号明細書:蓄熱材
28.特願平04-048005号明細書:蓄熱性布製品
29.国際公開第01/25511号:熱エネルギー貯蔵材料
30.特開平02-317329号明細書:蓄熱繊維、その製造方法および蓄熱布材
31.国際公開第2004/007631号:蓄熱材料、そのための組成物およびそれらの用途
32.特開2003-268358号明細書:体の周囲に用いる蓄熱材料
33.特開2004-011032号明細書:温度コントロール繊維、および温度コントロール布部材
34.特開2004-003087号明細書:蓄熱性複合繊維及び蓄熱性布部材
35.特開平06-200417号明細書:蓄熱材入り複合繊維及びその製造法
36.中国特許第1317602号明細書:自動温度調整繊維およびその製造方法
37.米国特許第5885475号明細書:ポリマー繊維の構造を通して組み込まれた相転移材料
【0006】
更に、米国特許第4851291号明細書、第4871615号明細書、第4908238号明細書、および第5897952号明細書には、中空および非中空繊維へのポリエチレングリコール(PEG)、多価アルコール結晶、または水和塩PCMの添加が開示されている。これらの繊維は、天然または合成、セルロース系、タンパク質系、または合成炭化水素系であることができる。非中空繊維は、PCMのように作用するために、表面上に堆積または反応したPEG材料を有している。これらは、非常に親水性であり、過剰の水分吸収の問題、および洗浄耐久性の問題を引き起こすという問題をはらんでいる。これらの用途においては、アクリル系、メタクリル系ポリマーまたは他の疎水性ポリマーPCMの使用の開示は知られていない。
【0007】
米国特許第6004662号明細書では、C16〜C18アルキル側鎖を備えたアクリレートおよびメタクリレートポリマーのPCMとしての使用に言及されているが、繊維製品の表面へのカプセル化されていない、もしくは官能化された、もしくは反応されたものとしての言及はない。
【0008】
米国特許第4259198号明細書および第4181643号明細書には、結晶子形成ブロックとして、長鎖時カルボン酸もしくはジオールのセグメントを含んでいる、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびそれらの混合物の群から選ばれた結晶性架橋合成樹脂の、PCMとしての使用が開示されているが、しかしながらそれらは、繊維もしくは繊維製品と併せてではない。
【0009】
特定の化合物が基材上に反応して、何らかの熱的変化を与える(通常は水分を基に)ための、特定の繊維および繊維製品の処理もしくは仕上げが開示されている。これらの系は、熱的相転移を受けて向上した潜熱効果を与える、長い側鎖アルキル、または長鎖グリコールアクリレートもしくはメタクリレートを基にしたものではない。例としては次のものがある。
38.特開2003-020568号明細書:繊維素材用吸熱加工剤
39.特開2002-348780号明細書:吸湿発熱性セルロース系繊維
40.特開2001-172866号明細書:保温性に優れた吸湿発熱性セルロース系繊維製品
41.特開11-247069号明細書:保温性発熱布帛
【0010】
種々の明細書に、長鎖アルキル部分を含むアクリルもしくはメタクリル共重合体の繊維製品仕上げへの使用が記載されているが、しかしながら油脂忌避性、耐汚染性、パーマネントプレス特性および速乾性などの特性のためだけである。これらは、高純度ポリマーのPCMとしての使用、温度調整および向上した快適さを与える潜熱貯蔵処理または繊維製品仕上げ、を開示も言及もしていない。より具体的には、これらは有利なポリマー設計、例えば分子量、分子量分布または特定の共重合構成を開示していない。例としては以下のものが挙げられる。
42.米国特許第6679924号明細書:染料定着剤
43.米国特許第6617268号明細書:セルラーゼ酵素による酵素攻撃からの綿の保護方法
44.米国特許第6617267号明細書:改質された繊維製品および他の材料ならびにそれらの調製方法
45.米国特許第6607994号明細書:ナノ粒子を基にした繊維製品のパーマネント処理
46.米国特許第6607564号明細書:改質された繊維製品および他の材料ならびにそれらの調製方法
47.米国特許第6599327号明細書:改質された繊維製品および他の材料ならびにそれらの調製方法
48.米国特許第6544594号明細書:繊維製品の撥水および耐汚染仕上げ
49.米国特許第6517933号明細書:ハイブリッドポリマー材料
50.米国特許第6497733号明細書:染料定着剤
51.米国特許第6497732号明細書:繊維反応性ポリマー染料
52.米国特許第6485530号明細書:改質された繊維製品および他の材料ならびにそれらの調製方法
53.米国特許第6472476号明細書:繊維製品の撥油および撥水仕上げ
54.米国特許第6387492号明細書:中空ポリマー繊維
55.米国特許第6380336号明細書:共重合体ならびにそれを含む撥油および撥水組成物
56.米国特許第6379753号明細書:改質された繊維製品および他の材料ならびにそれらの調製方法
57.米国特許出願公開第20040058006号明細書:高親和性ナノ粒子
58.米国特許出願公開第20040055093号明細書:タンパク質シースを有する複合材繊維基材
59.米国特許出願公開第20040048541号明細書:炭水化物シースを有する複合材繊維基材
60.米国特許出願公開第US20030145397号明細書:繊維定着剤
61.米国特許出願公開第20030104134号明細書:繊維製品の撥水および耐汚染仕上げ
62.米国特許出願公開第20030101522号明細書:繊維製品の撥水および耐汚染仕上げ
63.米国特許出願公開第20030101518号明細書:繊維基材の親水性仕上げ
64.米国特許出願公開第20030079302号明細書:繊維反応性ポリマー染料
65.米国特許出願公開第20030051295号明細書:改質された繊維製品および他の材料ならびにそれらの調製方法
66.米国特許出願公開第20030013369号明細書:繊維製品のナノ粒子を基にしたパーマネント処理
67.米国特許出願公開第20030008078号明細書:繊維製品の撥油および撥水仕上げ
68.米国特許出願公開第20020190408号明細書:モルフォロジートラッピングおよびそれとの使用に好適な材料
69.米国特許出願公開第20020189024号明細書:改質された繊維製品および他の材料ならびにそれらの調製方法
70.米国特許出願公開第20020160675号明細書:繊維製品の耐久性仕上げ
71.米国特許出願公開第20020155771号明細書:改質された繊維製品および他の材料ならびにそれらの調製方法
72.米国特許出願公開第20020152560号明細書:改質された繊維製品および他の材料ならびにそれらの調製方法
73.米国特許出願公開第20020122890号明細書:繊維製品の撥水および耐汚染仕上げ
74.米国特許出願公開第20020120988号明細書:繊維製品の耐磨耗および耐しわ仕上げ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現行の組成物および方法は機能的ではあるが、それらはポリマー材料を相転移材料に用いることに伴う特有の性質および機能的な特徴を利用してはいない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要約
本発明の例示的な態様を以下に要約した。これらの態様および他の態様は、詳細な説明の欄により詳細に説明されている。しかしながら、この発明の要約および詳細な説明中に記載した形態に、本発明を限定しようという意図は全くないことが理解されなければならない。当業者は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲内に入る、多くの変更、均等物および代替の構成があり得ることを理解することができる。
【0013】
1つの態様としては、官能性相転移材料を含む組成物を含んでおり、この官能性ポリマー相転移材料は、少なくとも1つの反応性基を有しており、この反応性基は少なくとも第1の共有結合を形成することができる。
【0014】
態様によっては、反応性基は、第2の材料と第1の共有結合を形成することができる。他の態様では、官能性ポリマー相転移材料は、少なくとも1つの結晶性部分を含んでいる。他の態様では、官能性ポリマー相転移材料は、主鎖および複数の側鎖を含んでおり、複数の側鎖が結晶性部分を形成している。
【0015】
更なる態様では、反応性基は、グリシリル、エポキシ、無水物、イソシアネート、シアナート、アミノ、アミド、イミン、イミド、アジド、アゾ、アミン−ホルムアルデヒド、シラン、エステル、エーテル、ハロゲン化脱離基、ペルオキシド、塩、ヒドロキシル、カルボキシル、カーボネート、アルデヒド、ケトン、二重結合、三重結合、および前記の組合せ、からなる群から選ばれる。
【0016】
他の態様では、官能性ポリマー相転移材料は、少なくとも1つの反応性基を有することを特徴としており、この反応性基は共有結合を形成することができる。
【0017】
更なる態様では、官能性ポリマー相転移材料の生成方法は、反応性基を有する重合性モノマーを準備すること、側鎖形成化合物を準備すること、前記モノマーを重合すること、および側鎖形成化合物を結合させること、を含んでいる。
【0018】
多くの更なる態様および実施態様が、当業者によって理解されるようにここに記載される。
【0019】
本発明の種々の目的および利点およびより完全な理解は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を参照することによって明確であり、そしてより容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1および図2は、長鎖アルキル基もしくは長鎖エーテル基をそれぞれ主成分とする結晶性側鎖を備えた(メタ)アクリレートを主成分とする官能性相転移材料(FP−PCM)の代表的な例を示しており、ここで、Rは反応性の官能基である。
【図1A】図1Aおよび図2Aは、長鎖アルキル基もしくは長鎖エーテル基をそれぞれ主成分とする結晶性側鎖を備えたビニルアセテート主鎖を主成分とするFP−PCMの代表的な例を示している。ここで、Rは反応性の官能基である。
【図1B】図1Bおよび図2Bは、長鎖アルキル基もしくは長鎖エーテル基をそれぞれ主成分とする結晶性側鎖を備えたビニルエーテル主鎖を主成分とするFP−PCMの代表的な例を示しており、ここで、Rは反応性の官能基である。
【図1C】図1Cは、長鎖アルキル基を主成分とする結晶性側鎖を備えたポリオレフィン主鎖を主成分とするFP−PCMの代表的例を示しており、Rは反応性の官能基である。
【図2】図1および図2は、長鎖アルキル基もしくは長鎖エーテル基をそれぞれ主成分とする結晶性側鎖を備えた(メタ)アクリレートを主成分とする官能性相転移材料(FP−PCM)の代表的な例を示している。
【図2A】図1Aおよび図2Aは、長鎖アルキル基もしくは長鎖エーテル基をそれぞれ主成分とする結晶性側鎖を備えたビニルアセテート主鎖を主成分とするFP−PCMの代表的な例を示している。ここで、Rは反応性の官能基である。
【図2B】図1Bおよび図2Bは、長鎖アルキル基もしくは長鎖エーテル基をそれぞれ主成分とする結晶性側鎖を備えたビニルエーテル主鎖を主成分とするFP−PCMの代表的な例を示しており、ここで、Rは反応性の官能基である。
【図3】図3は、結晶性主鎖ポリマー、例えばポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリスルフィド、ポリスルホンなどを主成分とするFP−PCMの代表的例を示しており、ここで、Rは、このポリマー鎖の1つの末端上の反応性の官能基である。
【図4】図4は、結晶性セグメント(この場合は長鎖脂肪酸)を主鎖の反応性基(この場合はポリグリシジルメタクリレートのグリシジル基)上に、1:1のモル比で反応させて、結晶性側鎖に沿ったヒドロキシル基としての反応性官能基を生成させることによる、FP−PCMの製造方法の代表的な例を示している。本明細書の例2および3にこの方法が更に説明されている。
【図5】図5は、主鎖反応性基(この場合はポリグリシジルメタクリレートのグリシジル基)の100%未満を、結晶性セグメント、例えば脂肪酸と反応させて、結晶性側鎖を生成させ、未反応の主鎖(グリシジル基)を基材との更なる反応のために残しておくことによる、FP−PCMの製造方法の代表的な例である。
【図6】図6は、FP−PCMを組み込むことができる人造繊維、またはFP−PCMで処理することができる織物、編み物、不織または他の基材を作ることができる人造繊維の一般的分類を示した図である。
【図7】図7は、1つの態様によるポリマー相転移材料の製造方法の代表的例である。
【図8】図8は、他の態様によるポリマー相転移材料の製造方法の他の代表的例である。
【図9】図9は、他の態様によるポリマー相転移材料の製造方法の他の代表的例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<定義>
以下の定義が、本発明の種々の態様に関連して記載された種々の要素に適用される。これらの定義は、同様に本明細書中で更に詳述する可能性がある。
【0022】
ここで用いられる用語「単分散」は、一連の特性に関して実質的に均一であることを表わしている。従って、例えば、単分散である一連のマイクロカプセルとは、径の最頻値、例えば径の分布の平均、の周りに径の狭い分布を有するようなマイクロカプセルであるということができる。更なる例としては、同様の分子量を備えた一連のポリマー分子がある。
【0023】
ここで用いられる用語「潜熱」は、材料が、2つの状態間の転移を経る時に、その材料によって吸収もしくは放出される熱の量を表わしている。従って、例えば、潜熱は、材料が、液体状態と結晶性固体状態、液体状態と気体状態、結晶性固体状態と気体状態、2つの結晶性固体状態または結晶状態とアモルファス状態の間の転移を経る時に、その材料によって吸収または放出される熱の量と表わすことができる。
【0024】
ここで用いられる用語「転移温度」は、材料が2つの状態の間の転移を経る概略の温度であると表わされる。従って、例えば、転移温度は、材料が、液体状態と結晶性固体状態、液体状態と気体状態、結晶性固体状態と気体状態、2つの結晶性固体状態または結晶状態とアモルファス状態の間の転移を経る温度と表わすことができる。また、アモルファス材料が、ガラス状態とゴム状状態の間の転移を経る温度は、その材料の「ガラス転移温度」と表わすことができる。
【0025】
ここで用いられる用語「相転移材料」は、熱移動を、温度安定化範囲に、または温度安定化範囲内に調整するように熱を吸収または放出する能力を有する材料を表わしている。温度安定化範囲としては、特定の転移温度または転移温度範囲を上げることができる。例によっては、相転移材料は、相転移材料が熱を吸収または放出する場合には、典型的には、相転移材料が2つの状態間で転移を経る場合には、一定時間の間、熱移動を抑制することができる。この作用は、通常は過渡的なものであり、そして相転移材料の潜熱が、加熱もしくは冷却過程の間に吸収または放出されるまで発現する。熱は、相転移材料から供給または取り除くことができ、そして相転移材料は、通常は、熱を発するか、もしくは吸収する供給源によって効果的に再充填することができる。実施態様によっては、相転移材料は、2種または3種以上の混合物であることができる。2種もしくは3種以上の異なる材料を選択して、そして混合物を形成することによって、温度安定化範囲は、いずれかの所望の用途に応じて調整することができる。結果として得られる混合物は、ここに記載したコーティングされた物品中に組み込まれた場合には、2つもしくは3つ以上の異なる転移温度を示すか、または単一の変更された転移温度を示すことができる。
【0026】
ここで用いられる用語「ポリマー」は、一連の高分子を含む材料を表わしている。ポリマー中に含まれる高分子は、同じであるか、またはいずれかの形で互いに異なっていることができる。高分子は、種々の骨格構造のいずれかを有することができ、そして1種もしくは2種以上の種類のモノマー単位を含むことができる。特に、高分子は、直鎖もしくは非直鎖の骨格構造を有することができる。非直鎖の骨格構造の例としては、分岐骨格構造、例えば星型分岐、櫛型分岐、または樹枝状分岐、および網状骨格構造であるものが挙げられる。単独重合体に含まれる高分子は、通常1種類のモノマー単位を含んでおり、一方で共重合体に含まれる高分子は、通常2種もしくは3種以上の種類のモノマー単位を含んでいる。共重合体の例としては、統計的共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体、ラジアル共重合体、およびグラフト共重合体が挙げられる。例によっては、重合体の反応性および官能価は、一連の官能基、例えば酸無水物基、アミノ基、N−置換アミノ基、アミド基、カルボニル基、カルボキシ基、シクロへキシルエポキシ基、エポキシ基、グリシジル基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、およびそれらの組合せ、の付加によって変えることができる。このような官能基は、重合体に沿った種々の位置に、例えば重合体に沿ってランダムに、もしくは規則的に分布して、重合体の末端に、重合体のぶら下がった側鎖基として、または重合体の主鎖に直接に結合して、付加することができる。また、重合体は、その機械的強度もしくは周囲条件や加工条件下での耐崩壊性を向上させるために、架橋した、絡み合った、または水素結合したものであることができる。理解することができるように、重合体の分子量は、その重合体を生成するために用いられた処理条件に依存する可能性があるので、重合体は、異なる分子量を有する種々の形態で与えることができる。従って、重合体は、特定の分子量または分子量範囲を有すると表わすことができる。ここで重合体を参照するのに用いられる用語「分子量」は、数平均分子量、質量平均分子量、または重合体のメルトインデックスを表わすことができる。
【0027】
重合体の例としては、ポリヒドロキシアルコナート、ポリアミド、ポリアミン、ポリイミド、ポリアルリル(例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、およびメタクリル酸とアクリル酸のエステル)、ポリカーボネート(例えば、ポリビスフェノールAカーボネートおよびポリプロピレンカーボネート)、ポリジエン(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびポリノルボルネン)、ポリエポキシド、ポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリプロピレンスクシナート、テレフタル酸系ポリエステル、およびフタル酸系ポリエステル)、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシド、ポリブチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシメチレンまたはパラホルムアルデヒド、ポリテトラメチレンエーテルまたはポリテトラヒドロフラン、およびポリエピクロロヒドリン)、ポリフルオロカーボン、ホルムアルデヒドポリマー(例えば、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、およびフェノールホルムアルデヒド)、天然ポリマー(例えば、多糖類、例えばセルロース、キタン(chitan)、キトサン、およびデンプン、リグニン、タンパク質および蝋)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン、およびポリオクテン)、ポリフェニレン、ケイ素含有ポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサンおよびポリカルボメチルシラン)、ポリウレタン、ポリビニル(例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールのエステルとエーテル、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、およびポリビニルメチルケトン)、ポリアセタール、ポリアリレート、アルキッド系ポリマー(例えば、グリセリド油系ポリマー)、共重合体(例えば、ポリエチレン−コ−ビニルアセテートおよびポリエチレン−コ−アクリル酸)、およびそれらの混合物が挙げられる。用語、重合体は、本願の出願後に利用可能となり、そして上記の一般的な重合体特性を示す、いずれかの物質をも含むと理解されることが意図されている。
【0028】
ここで用いられる用語「化学結合」およびその文法的変異は、2つもしくは3つ以上の原子の、それらの原子が安定した構造を形成することができるような、引力相互作用を基にした結合を表わしている。化学結合の例としては、共有結合およびイオン結合が挙げられる。化学結合の他の例としては、カルボキシ基およびアミド基の間の引力相互作用が挙げられる。
【0029】
ここで用いられる用語「分子基」およびその明らかな変形は、分子の一部を形成する一連の原子を表わしている。例によっては、基は、互いに化学結合して、分子の一部を形成する、2つもしくは3つ以上の原子を含むことができる。基は、一方では中性であることができ、他方では、例えば、一価に、もしくは多価(例えば、二価)に、荷電していることができ、分子の更なる一連の基に化学結合することが可能となる。例えば、一価の基は、取り外されて、分子の他の基と化学結合することが可能になる一連の水素化基を備えた分子を想定することができる。基は、中性、正に荷電、もしくは負に荷電していることができる。例えば、正に荷電した基は、1つもしくは2つ以上のプロトン(すなわち、H)が付加された中性基として想定することができ、そして負に荷電した基は、1つもしくは2つ以上のプロトンが取り除かれた中性基として想定することができる。特徴的な反応性または他の一連の特性を示す基は、官能基または反応性基と表わすことができる。基の例としては、酸無水物基、アルケニル基、アルキル基、アルデヒド基、アミド基、アミノ基、N−置換アミノ基、アリール基、カルボニル基、カルボキシ基、エポキシ基、エステル基、エーテル基、グリシジル基、ハロ基、水素化基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、チオール基、ジスルフィド基、尿素基、およびウレタン基が挙げられる。
【0030】
ここで用いられる用語「共有結合」は、原子間、または原子と他の共有結合との間に、対の電子を共有することを特徴とする化学結合の形態を意味している。原子が電子を共有している場合の原子間に形成される引力−反発安定性は、共有結合として知られている。共有結合は、多くの種類の相互作用を含んでおり、σ−結合、π−結合、金属−金属結合、アゴスチック相互作用、および三中心二電子結合が挙げられる。
【0031】
第1の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの反応性基を有し、この反応性基は他の材料または化学基と共有結合を形成することができることを特徴とする、官能性ポリマー相転移材料(FP−PCM)を提供する。このような反応性基は、他の化学基と反応して共有結合を形成することができ、この反応は好ましくは比較的に低い温度、例えば200℃未満、より好ましくは100℃未満で実行可能である。
【0032】
本発明の態様による組成物では、FP−PCMは、結晶性部分を含んでおり、例えば主鎖および複数の側鎖で構成されていて、その側鎖が結晶性部分を形成する。
【0033】
反応性基は、FP−PCM分子のいずれかの部分に配置(例えば、共有結合)することができ、例えば、側鎖上に、主鎖に沿って、または主鎖の少なくとも1つの末端上に配置(例えば、共有結合)することができる。本発明の種々の態様によれば、FP−PCMは、複数の反応性基を含んでおり、そしてこれらの基は、均一に、立体特異的に、またはランダムに、分子に沿って、例えば主鎖に沿って、分布している。
【0034】
反応性基は、種々の化学的性質のものであることができる。好ましいものは、種々の基材、例えば、綿、羊毛、毛皮、革、ポリエステルおよびこれらの材料から作られる繊維製品、ならびに他の基材の反応性基と、反応し、そして共有結合を形成することができる反応性基である。例えば、天然、再生または合成ポリマー/繊維/材料から作られた材料は、共有結合を形成することができる。このような基材の更なる例としては、種々の種類の天然製品が挙げられ、動物性製品、例えばアルパカ、アンゴラ、ラクダ毛、カシミア、ガット、チンゴラ、ラマ、モヘア、絹、腱(sinew)、クモの糸、羊毛、およびタンパク質系材料、種々の種類の植物系製品、例えば、竹、コイア、綿、亜麻、麻、ジュート、ケナフ、マニラ、パイナップル、ラフィア、ラミー、サイザル、およびセルロース系材料;種々の種類の鉱物系製品、例えば石綿、バサルト、雲母、または他の天然無機繊維が挙げられる。一般に、人造繊維は、3つの分類に分類分けされ、天然ポリマーから作られるもの、合成ポリマーから作られるもの、そして無機材料から作られるものである。図6は、国際化繊協会(BISFA)コードを備えた人造繊維の一般的な分類を示している。一般的な説明は次の通りである。
【0035】
<天然ポリマーからの繊維>
最も一般的な天然ポリマー繊維は、ビスコースであり、これは大抵は栽培された樹木から得られるポリマーセルロースから作られる。他のセルロース系繊維としては、キュプラ、アセテートおよびトリアセテート、リヨセルおよびモダルがある。これらの繊維の生産方法は、本明細書内に与えられる。より一般的ではない天然ポリマー繊維は、ゴム、アルギン酸、および再生タンパク質から作られる。
【0036】
<合成ポリマーからの繊維>
多くの合成繊維、すなわち石油化学製品系の有機繊維がある。最も一般的なものとしては、ポリエステル、ポリアミド(しばしばナイロンと称される)、アクリルおよびモダクリル、ポリプロピレン、エラステーン(または米国内ではスパンデックス)として知られている弾性繊維であるセグメント化ポリウレタン、および特殊繊維、例えば高性能アラミドがある。
【0037】
<無機材料からの繊維>
無機の人造繊維は、ガラス、金属、炭素またはセラミックなどの材料から作られた繊維である。これらの繊維は、非常にしばしばプラスチックを補強して複合材を形成するのに用いられる。
【0038】
好適な反応性の官能基の例としては、グリシジル、エポキシ、無水物、イソシアネート、シアナート、アミノ、アミド、イミン、イミド、アジド、アゾ、アミン−ホルムアルデヒド、シラン、エステル、エーテル、ハロゲン化脱離基、ペルオキシド、塩、ヒドロキシル、カルボキシル、カーボネート、アルデヒド、ケトン、二重結合、三重結合、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0039】
下記の表には、本発明の1つもしくは2つ以上の態様に従って用いることができる、反応性基および官能基の種々の例が説明されている。特定の組成物および方法を本明細書の後の部分で提供することによって、本願出願人は、特許請求の範囲をこれらの特定の組成物のいずれにも限定することを意図してはいないことが、明確に理解されなければならない。反対に、ここに記載された官能基およびポリマー相転移材料のいずれかの組合せは、本発明の新たな態様を得るのに用いることができることが予想される。特許請求の範囲は、本明細書中に記載された特定の組成物のいずれかに限定されることを意図していない。これらの官能基およびポリマー相転移材料の、特許請求の範囲内に入る、種々の変形を作り出すことができる。
【0040】
<炭化水素>
π結合の数および順序が異なる官能基は、異なる化学的性質を与える。下記に列挙されたものは、C−H結合を含むが、それぞれは反応性の種類(および範囲)が異なっている。
【0041】
【表1】

【0042】
また、多くの数の分岐もしくは環状アルカンがあり、それらは特有の名称、例えば、ターシャリブチル、ボルニル、シクロへキシルなど、を有している。
【0043】
<ハロゲンを含む基>
ハロアルカンは、炭素−ハロゲン結合によって規定される分子の分類である。この結合は、比較的に弱い(ヨードアルカンの場合)か、または極めて安定(フルオロアルカンの場合)であることができる。一般には、フッ化化合物を除いて、ハロアルカンは、求核的置換反応または脱離反応を容易に受ける。炭素上の置換、隣接プロトンの酸性度、溶媒条件などは、全て反応性の結果に影響する可能性がある。
【0044】
【表2】

【0045】
<酸素を含む基>
C−O結合を含む化合物は、それぞれが、C−O結合の位置と混成によって、sp混成酸素の電子求引効果およびsp混成酸素の供与効果のせいで、異なる反応性を有している。
【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
<窒素を含む基>
この分類中で窒素を含む化合物は、例えばアミドのように、C−O結合を含むことができる。
【0049】
【表5】

【0050】
【表6】

【0051】
<リンおよび/または硫黄を含む基>
硫黄およびリンを含む化合物は、周期律表上のそれらのより軽い類似物である、窒素および酸素よりも、より多くの結合を形成するその能力のために、特有の化学的性質を示す。
【0052】
【表7】

【0053】
他の化学的分類としては、有機シラン、シロキシド、ハロゲン化シリル、シリルヒドリド、ヒドロシリル化、シレン、シロール、および超配位(Hypercoordinated)ケイ素が挙げられる。
【0054】
本発明によって構成されたFP−PCMの態様は、単一の相転移温度または複数の相転移温度を有することができる。好ましい態様によれば、FP−PCMは、−10℃〜100℃の範囲に、好ましくは10℃〜60℃の範囲に、少なくとも1つの相転移温度を有しており、そして少なくとも25J/gである相転移エンタルピーを有している。
【0055】
製造されている、そして商業的に用いられているPCMの多くの熱吸収および熱放出は、それぞれ溶融および固化の間に起こる。吸収または放出されたエネルギーは、主に溶融の潜熱であり、そして相転移は固体−液体相転移である。更にまた、相転移が固体−固体相転移であるPCMである余地もある。例えば、PCMは、2種もしくは3種以上の固体形態を有しており、そうしてより安定な形態からより不安定な形態への転移でエネルギーが吸収される。
【0056】
多くの場合において、固体−液体転移のエンタルピーは、固体−固体相転移のそれよりも大きく、従って単位質量当たりでは、固体−液体PCMは、より良好な温度調整能力を有している。更に、熱吸収では、これらのPCMは液体形態に転換され、それはよく収容されていない限り、漏れ出してしまう。このことは、生産費用を追加する技術および材料、例えば、中空合成繊維の内腔に収容すること、粒子への吸収もしくはマイクロカプセル化、を用いることを必要とさせる。更に、これらの収容プロセスのマイクロカプセル化は、殻の付加を必要とし、そしてまた恐らくはマイクロカプセルを基材に結合するためのバインダーの付加を必要とするために、PCMを希釈してしまう。その結果、組成物の全体の単位質量当たりの温度調整能力は、低下してしまう。
【0057】
ここに参照した幾つかの文献は、ポリマーPCM(P−PCM)を取り扱っており、ある意味では固体−液体PCMと固体−固体PCMの中間的な場合を呈している。P−PCMは、相転移の前と後の両方で固体である。違いは、両者の構造度にある。低温では、構造度は、高温での構造度よりも大きく、そのため相転移温度では、P−PCMはより構造化された形態からより構造化されていない形態に転換する。典型的には、より構造的な形態では、ポリマーのいずれかの部分が、よりよく整列しており、そしてより緻密に密集している。よりよく整列した部分は、結晶子に類似している。従って、P−PCMの加熱による相転移はまた、より結晶化した形態から、より結晶化していない形態への転移としても表すことができる。別の言い方で云うと、高温では、P−PCMは本質的にアモルファスである。低温では、P−PCMは結晶化度を有している。同様に、熱吸収および熱法質における転移は、それぞれ非再結晶化および再結晶化と表すことができる。また、関連するエンタルピーは、非再結晶化のエンタルピーと表すことができる。
【0058】
典型的には、P−PCMは、よりよく整列することでき、そしてより緻密に密集することができる部分を有している。このような部分は、結晶性部分と称することができる。態様によっては、本発明の種々の態様に従って、ここに記載された官能性ポリマーPCMは、少なくとも1つのこのような結晶性部分を含んでいる。本発明の態様によれば、ポリマーは主鎖および側鎖を含んでいる。好ましくは、側鎖は結晶性部分を形成する。
【0059】
上記したように、P−PCMは、固体−液体PCMと固体−固体PCMの中間体を形成する。これは、一方では、固体−液体の場合のように結晶部分の非結晶化があるが(固体−固体PCMにおけるように2つの結晶形態間の転移ではなく)、しかしながら他方では、液体の形成はないからである。
【0060】
P−PCMの保持は、どの段階においても液体形態への転換はないために、一般により容易である。しかしながら、物品へのその適用の間、またはその物品の使用の間、例えばP−PCMで改質された繊維製品の繰り返しの洗浄の間にP−PCMの損失がないことを確実にする必要がある。更に、P−PCMの種々の物品への適用は、比較的に複雑でなく、低コストであるべきであり、物品の特性および機能に影響を与えない条件で行なうことができなくてはならず、そしてPCMの温度調整特性を弱めてはならない。
【0061】
これらの要求が、本発明の種々の態様によって、少なくとも1つの反応性基を有する官能性ポリマー相転移材料(FP−PCM)を提供することによって、検討された。ここで用いられる用語「反応性基」は、他の化学基と反応して共有結合を形成することができる化学基(または部分(moiety))を意味している。好ましくは、このような反応は、比較的に低温、例えば200℃未満、より好ましくは100℃未満で、そして繊細な基材、例えば繊維製品を取り扱うのに好適な条件で、行なうことができる。ここで用いられる用語「官能基を有する」およびこの用語の変形は、例えば共有もしくはイオン結合として、結合している官能基を有することを意味している。
【0062】
反応性基は、FP−PCM分子のいずれかの部分に、例えば側鎖上、主鎖に沿って、または主鎖もしくは側鎖の末端の少なくとも1つに、配置する(有する、もしくは共有結合される)ことができる。本発明の種々の態様によれば、FP−PCMは、複数の反応性基を含むことができ、そしてこれらの基は、実質的に規則的な間隔で、立体特異的に、またはランダムに、分子に沿って、例えば主鎖に沿って、分布している。また、これらのいずれの組合せも可能である。
【0063】
本発明のFP−PCMの分子量は、好ましくは少なくとも500ダルトン、より好ましくは少なくとも2000ダルトンである。好ましくは、結晶性部分の質量は、FP−PCMの総質量の少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、そして最も好ましくは少なくとも70%を形成する。
【0064】
分子量は、単分散また多分散であることができ、ここで全てのポリマー分子は同じ分子量であり、または多分散性で規定されるように異なる分子量である。Mnは数平均分子量であり、Mwは質量平均分子量であり、分子量多分散性(Pd)はMn/Mwで規定される。1.0のPdは、全ての分子が単分散であり、そして同じ分子量を有していることを意味している。本発明によって構成された組成物の態様は、1.0〜100の間の、そして好ましくは1.0〜10.0の間の、最も好ましくは1.0〜5.0の間のPdを有している。
【0065】
それぞれのFP−PCM分子は、少なくとも1つの反応性基を有している一方で、大きなFP−PCM分子は、複数の反応性基を有することができる。本発明の態様によれば、FP−PCMは、10000ダルトンの分子量当たりに、少なくとも1つの反応性基、そして好ましくは2つの反応性基を有している。
【0066】
本発明の1つもしくは2つ以上の態様によって構成されたFP−PCMは、単一の相転移温度、または2つ以上の相転移温度を有している。好ましい態様によれば、FP−PCMは、10℃〜100℃、好ましくは−10℃〜60℃の範囲に、少なくとも1つの相転移温度を有しており、そして少なくとも25J/gの相転移エンタルピーを有している。
【0067】
本発明の種々の態様によって構成されたFP−PXMは、設計された立体特異性を有することができる。このFP−PCMは、アタクチック、アイソタクチックまたはシンジオタクチックであることができる。
【0068】
図1および2は、本発明の種々の態様によるFP−PCMの概略図である。両者は、主鎖および側鎖で構成されている。図1および1A〜1C中のFP−PCMは、長鎖アルキルポリアクリレートもしくはポリメタクリレートを表し、ここで1Aは長鎖アルキルビニルエスエルであり、1Bは長鎖ビニルエーテルであり、そして1Cは長鎖アルキルオレフィンである。
【0069】
図2、2Aおよび2Bは、長鎖グリコールポリアクリレートもしくはポリメタクリレートを表し、ここで2Aは長鎖グリコールビニルエステル、そして2Bは長鎖グリコールビニルエーテルである。
【0070】
本発明の態様によれば、FP−PCMは親水性側鎖を有している。本発明の他の態様によれば、FP−PCMは疎水性側鎖を有している。側鎖またはそれらの側鎖を与えることができるモノマーの例が、下記の表中にある。
【0071】
【表8】

【0072】
更に、P−PCMの他の結晶性部分、例えば脂肪酸基、長鎖ジカルボン酸基、脂肪族アルコール基、ジアルコール基、ポリエステル−ポリカルボン、が想定される。
【0073】
図1および2中で、Rは、上記の1種もしくは2種以上の反応性基を表している。これらの図中で、官能基は主鎖に沿って描かれているが、これは1つの選択肢に過ぎない。上記のように、官能基は主鎖の末端に、側鎖上に、およびそれらのいずれかの組合せでもまた配置することができる。それぞれのPF−PCMは、単一のまたは複数の反応性基を有することができる。また、FP−PCMは、同一の化学的性質の複数の反応性基、または異なる化学的性質の反応性基の組合せを有することができる。
【0074】
これらの反応性基は、種々の化学的性質のものであることができる。好ましいものは、種々の基材、例えば綿、羊毛、毛皮、革、ポリエステルおよびこれらの材料から作られる繊維製品の反応性基と反応して、そして共有結合を形成することができる反応性基である。好適な反応性官能基の例は、上記の通りであり、そして本態様において同様に適用することができる。
【0075】
例として、反応性基がグリシジルまたはエポキシ、例えばグリシジルメタクリレートもしくはグリシジルビニルエーテル由来のもの、であるFP−PCMを考察する。このような反応性基は、セルコール系繊維製品、例えば綿のOH官能基と、タンパク質系繊維製品、例えば羊毛、毛皮もしくは革のアミン官能基と、ポリエステル系繊維製品のヒドロキシもしくはカルボキシ基と、そしてナイロン官能性樹脂のアミド官能基と、反応することができる。
【0076】
他の例として、反応性基が無水物、例えばマレイン酸無水物またはイタコン酸無水物由来のもの、であるFP−PCMを考察する。このような反応性基は、セルコール系繊維製品、例えば綿のOH官能基と、タンパク質系繊維製品、例えば羊毛、毛皮もしくは革のアミンまたはスルホ官能基と、ポリエステル系繊維製品のヒドロキシ基と、スルホポリエステルのスルホ基と、そしてナイロン、尿素、ウレタン、アラミドもしくはイミド官能性樹脂のアミド/アミド(amide/amido)官能基と、反応することができる。
【0077】
他の例として、反応性基がイソシアネート、例えばイソシアネートメタクリレート(TMI(登録商標)、Cytec Ind.より入手)またはブロック型イソシアネート、例えば2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート由来であるFP−PCMを考察する。このような反応性基は、セルコール系繊維製品、例えば綿のOH官能基と、タンパク質系繊維製品、例えば羊毛、毛皮もしくは革のアミンまたはスルホ官能基と、ポリエステル系繊維製品のヒドロキシ基と、スルホポリエステルのスルホ基と、そしてナイロン、尿素、ウレタン、アラミドもしくはイミド官能性樹脂のアミド/アミド(amide/amido)官能基と、反応することができる。
【0078】
他の例として、反応性基がアミノまたはアミンホルムアルデヒド、例えばN−メチロールアクリルアミド由来であるFP−PCMを考察する。このような反応性基は、セルコール系繊維製品、例えば綿のOH官能基と、タンパク質系繊維製品、例えば羊毛、毛皮もしくは革のアミン、スルホまたはカルボキシル官能基と、ポリエステルもしくはスルホ改質ポリエステル系繊維製品のヒドロキシ、カルボキシルまたはスルホ基と、そしてナイロン、尿素、ウレタン、アラミドもしくはイミド官能性樹脂のアミド/アミド(amide/amido)官能基と、反応することができる。
【0079】
他の例として、反応性基がシラン、例えばメタクリロキシプロピルトリエトキシシラン由来であるFP−PCMを考慮する。このような反応性基は、セルコール系繊維製品、例えば綿のOHもしくはカルボキシル官能基と、タンパク質系繊維製品、例えば羊毛、毛皮もしくは革のアミン、スルホまたはカルボキシル官能基と、ポリエステルもしくはスルホ改質ポリエステル系繊維製品のヒドロキシ、カルボキシルまたはスルホ基と、そしてナイロン、尿素、ウレタン、アラミドもしくはイミド官能性樹脂のアミド/アミド(amide/amido)官能基と、反応することができる。
【0080】
本発明の他の態様によれば、反応性基は、他の二重結合と結合することができ、架橋点などを与えることができる、二重結合であることができる。
【0081】
他の態様によれば、FP−PCMは反応性基を、その末端基もしくは複数の末端基として有することができる。このようなFP−PCMの例としては、α,ω−ジグリシジルポリエステル、α,ω−ジグリシジルエーテル、α,ω−ジイソシアネート、α,ω−ジウレア、α−グリシジルポリエステル、α−グリシジルエーテル、α−ウレア、およびα−イソシアネートがある。
【0082】
ジイソシアネートの例としては、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートがあるが、いずれの多官能性イソシアネートでも十分であるであろう。ポリウレタンの例としては、アルコール、例えばHO−(CH)−OH(ここで、nは1〜30)の構造の脂肪族もしくは芳香族ジオールを用いて製造することができ、そして直鎖もしくは分岐脂肪族セグメント、環式もしくは芳香環構造のいずれかを含むことができ、そしてヒドロキシル基は、いずれかの位置に配置されているが、好ましくはα、ω位、または環構造上のパラ/トランス位にある。また、ジオールは、ポリグリコールまたはポリグリコールエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、または構造HO−(CH)−O)−OH(ここで、m、n=1〜30)を主成分とする他のもの、またはそれらのいずれかの組合せ、を主成分とすることができる。
【0083】
他の態様によれば、FP−PCMは、種々の基材、例えば、綿、羊毛、毛皮、革、ポリエステルおよび繊維製品、および接合化合物によってこのような材料から作られた他の基材に結合されることができ、接合化合物はそれ自体が少なくとも2つの反応性基を有している。従って、このような態様によれば、FP−PCMの反応性基は、接合化合物の反応性基と反応することができ、一方で、接合化合物の他の反応性基は、基材の反応性基と反応することができる。本発明によれば、FP−PCMと接合化合物の間の結合は、共有結合である。しかしながら、基材との結合は、イオン結合、共有結合または両者の組合せであることができる。
【0084】
他の態様によれば、少なくとも2つの反応性基を有するFP−PCMは、接合化合物としての役割をして、基材と、同様の組成の、もしくは異なる組成の他のFP−PCMとを結合することができる。他の好ましい態様によれば、FP−PCMの反応性基は、特定の基材との反応に、より好適な他の反応性基へと転換することができる。
【0085】
例示的なFP−PCMおよび好適な接合化合物が、下記の例2および3との関連で、図4中に示されている。
【0086】
本発明の態様によれば、FP−PCMの反応性基はエポキシまたはグリシジル基、例えばグリシジルメタクリレート由来である。この反応性基は、酸性官能基と反応して、ヒドロキシル基を生成することできる。例としては、酸官能性ポリエステルまたはいずれかの酸官能性の結晶性ポリマーまたはセグメントがあり、長鎖脂肪酸、例えばパルミチン酸もしくはステアリン酸が好ましい。また、このような反応性基は、ヒドロキシル官能基と反応して、ヒドロキシル基を生成することができる。例としては、長鎖アルコール、片末端キャップされたポリエチレングリコール、他のヒドロキシル官能性ポリマーおよびポリグリコールなどがある。また、これらの反応性基は、アミン官能基または他の窒素含有基と反応して、ヒドロキシル基を生成することができる。例としは、長鎖アミン、ポリアミド、ポリイミン、ポリアミンなどがある。
【0087】
本発明の他の態様によれば、FP−PCMの反応性基としては、ヒドロキシル基、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート由来のものがある。このような反応性基は、エポキシ基と反応してヒドロキシル基を生成し、無水物官能基と反応してカルボキシル基を生成し、またはアルデヒド官能基と反応してヒドロキシル基を生成することができる。
【0088】
本発明の更なる他の態様によれば、FP−PCMの反応性基としては、アミンまたは他の窒素基がある。このような反応性基は、エポキシ官能基と反応してヒドロキシル基を生成し、または無水物官能基と反応してカルボキシル基を生成することができる。
【0089】
ここに列挙されたFP−PCM化合物は、他のFP−PCMのための架橋剤としての役割をすることができる。例えば、ヒドロキシル官能基のFP−PCMは、イソシアネートFP−PCMと結合することができる。このイソシアネート官能基は、ヒドロキシルFP−PCMおよび綿の両方と架橋することができる。このことは、異なる特性の、そして恐らくは異なる転移温度のために、両方のFP−PCMを結合することをもたらす。
【0090】
他の態様では、官能基の100%未満が反応して結晶性側鎖を形成し、そして残りは、他のバインダー、架橋剤などと共に基材に結合する。
【0091】
他の態様では、幾らかの基は結晶性側鎖との反応からブロックされており、そして次いでそれらが反応もしくは架橋できるように遮断を解かれる。例えば、ヒドロキシル基を用いる場合に、幾らかのヒドロキシル基を備えた主鎖がブロックされ、次いでエチレンオキシドを開環重合して結晶化したグリコール側鎖を生成する。他の態様では、次いでグリコール鎖の末端に脂肪酸を反応させて、結晶性の向上した側鎖を生成させ、ヒドロキシル基のブロックを解き、そしてそれらを他の反応のために用いる。
【0092】
本発明の他の態様は、上記の反応体由来のポリマーPCMを、ここに開示された他の種々の態様と組み合わせて用いることである。これらには、ポリエステルPCM、ポリエーテルPCM、または以下の表中に列挙した、反応性基を有する他のものが含まれる。
【0093】
【表9】

【0094】
【表10】

【0095】
ポリマー相転移材料としては、約0℃〜約40℃の範囲に融点を有するポリエステルを挙げることができるが、これらは、例えば、グリコール(またはそれらの誘導体)と二塩基酸(またはそれらの誘導体)との重縮合によって形成することができる。以下の表は、グリコールと二塩基酸との異なる組合せから形成することができる種々のポリエステルの例を説明している。
【0096】
【表11】

【0097】
【表12】

【0098】
本発明の他の態様は、上記の概念を組み合わせて、官能性ポリマーPCMを作り出すことである。PCMとして機能することができる基を生成するポリマー官能基の部分的反応、および繊維材料との反応での使用のために反応しなかった官能基。この種類のポリマーPCMの例が、図5中に示されており、そして以下の表中に説明されている。
【0099】
【表13】

【0100】
上述した本発明のポリマーPCMは、多くの異なる系から生成することができ、例えば、a)ポリビニル類(ポリビニルアルコール(pVOH)、ポリマレイン酸無水物、ポリビニルエーテル、置換ポリスチレン、など)、b)反応性官能基が主鎖に沿って残っているように設計されたポリウレタン(例えばカルボキシル基を備えたPU分散体のように)、c)開環重合および共重合(例えばオキサゾリンとプロピオラクトンもしくはアクリル酸との)、d)官能性ポリマー上への開環重合(例えばポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートもしくはpVOH上へのカプロラクトン)、から生成することができる。
【0101】
更なる態様によれば、上記の説明に従って官能性ポリマー相転移材料(FP−PCM)を含む製剤が提供される。種々の態様によれば、この製剤は、有機溶媒、水性媒体、バインダー(バインダーまたは連結子は官能性マイクロカプセルであることができる)、前記反応性官能基の反応のための触媒およびそれらのいずれかの組合せ、の少なくとも1つを含んでいる。好適なPCMを含む製剤の例は、米国特許第7,135,424号明細書、Coated articles having enhanced reversible thermal properties and exhibiting improved flexibility, softness, air permeability, or water vapor transport properties、および米国特許出願公開第20070173154号明細書、Coated articles formed of microcapsules with reactive functional groups.の中に与えられている。これらの2つの文献の詳細を参照することによって本明細書の内容とする。
【0102】
1つの態様によれば、このような製剤は、好適な溶媒中のFP−PCMの溶液であり、この溶媒は有機または水性であることができる。他の態様によれば、この製剤は、FP−PCMと、少なくとも1種の他の化合物、例えば、バインダー、FP−PCM上の反応性基の反応を促進する触媒、接合化合物、およびFP−PCM上の反応性基を改質することができる化合物からなる群から選ばれる化合物とを含む固体混合物である。更に他の態様によれば、この製剤は、FP−PCMと少なくとも1種の他の化合物、例えば同じ群から選ばれる化合物とを含む溶液である。
【0103】
更に他の態様によれば、前記の説明のいずれかによる官能性ポリマー相転移材料の生成方法が提供される。1つの例では、この方法は、以下の工程の1つまたは2つ以上を含んでいる。
1.有機または無機溶媒重合
2.水性またはエマルジョン重合
3.定常状態または平衡重合
4.固体状態重合
5.バッチおよび/または連続重合
6.気相および/またはプラズマ重合
7.懸濁および/または沈殿重合
8.リビング重合
9.立体特異性重合
10.アクリレート、メタクリレート、ビニルまたはオレフィンモノマーのフリーラジカル重合
11.カチオン性、アニオン性または金属、メタロセン、チーグラ−ナッタ重合
12.官能基移動重合
13.縮合または付加重合
14.開環重合
15.オレフィンメタセシス重合
16.酵素、バイオ系または天然重合プロセス
【0104】
17.長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、例えばステアリルメタクリレートと、官能基モノマー、例えばグリシジルメタクリレートまたはイタコン酸との、フリーラジカル、溶液、気相もしくはバルク共重合。図7にはこれらの線に沿って製造プロセスが説明されている。
18.長鎖ビニルモノマー、例えばステアリン酸ビニルと、官能基モノマー、例えばグリシジルビニルエーテルまたはイタコン酸との、フリーラジカル、溶液、気相もしくはバルク共重合
19.いずれかのフリーラジカル重合性長鎖アルキルまたはエーテルモノマーと、フリーラジカル重合性官能基モノマーとの、フリーラジカル、溶液、気相もしくはバルク共重合。これらのモノマーとしては、アクリレート、メタクリレート、オレフィン、アルケン、アルキン、ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアセタール、ビニルアセテート、およびそれらの混合物が挙げられる。反応性官能基モノマーの例が、以下のテーブル3中に与えられており、フリーラジカル重合性長鎖アルキルもしくはエーテルモノマーの更なる例が下記のテーブル4中に示されている。
【0105】
20.結晶子を形成することができ、そして共重合官能基モノマーとなることができるいずれかの重合性モノマーの、溶液、気相もしくはバルク、イオン性(アニオン性、カチオン性、金属、メタロセン、チーグラーナッタ、開環)共重合。これらのモノマーとしては、アクリレート、メタクリレート、オレフィン、アルケン、アルキン、アルデヒド、ケトン、ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアセタール、ビニルアセテート、環式モノマー、例えばオキシラン、環状エーテル、アジリジン、チイラン、チエタン、ラクトン、ラクタム、カーボネート、オキサゾリン、オキサゾリジンジオン、シクロシロキサン、ホスホラン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
21.例えばジオールおよび二塩基酸(上記のテーブル2参照)で、例えばブタンジオールとアゼライン酸と、官能基もしくは例えばグリセロールのようなブロック化された官能基モノマーとで、結晶性ポリエステルを生成する縮合もしくは逐次重合。R−(ジオール−CO−O−二塩基酸−X)−R(ここで、Rはヒドロキシルおよび/またはカルボキシルあることができ、Xは基材反応性基もしくは官能基モノマーであり、そしてmは0〜20である)。
22.ポリエチレングリコールと1,6−へキサンジイソシアネートと、官能基もしくは例えばモノグリシジルグリセロールのようなブロック化された官能基モノマーとで、例えば結晶性ポリウレタンを生成する、縮合もしくは逐次重合。R−(ジオール−CO−NH−ジイソシアネート−X)−R(ここで、Rはヒドロキシルおよび/またはイソシアネートであることができ、Xは基材反応性基もしくは官能性モノマーであり、そしてmは0〜20である)。
【0106】
23.1種のモノマーまたは他のモノマーの化学量論比を注意深く制御することによって、官能基をポリマー主鎖の末端に残しながら、結晶性ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレアもしくはポリウレタンを生成する、縮合または逐次重合。例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの化学量論比を制御してわずかに過剰にすることによって、イソシアネート官能基をポリマー主鎖の末端に残しながら、ポリエチレングリコールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとの結晶性ポリウレタンを生成すること。
24.多官能性主鎖ポリマーの、結晶性側鎖を形成する材料とのグラフト共重合。例えば、パルミチン酸とポリグリシジルメタクリレートとの反応、パルミチン酸とポリビニルアルコールとのエステル化、オクタデシルイソシアネートとポリビニルアルコールとのウレタン形成、ステアリルアルコールとポリイソシアネートメタクリレートとのウレタン形成など。図8および9は、これらの線に沿った幾つかの製造プロセスを説明している。
【0107】
25.多官能性主鎖ポリマーと、結晶性側鎖を形成するが、しかしながら主鎖上の反応性基の100%未満と反応して、基材との更なる反応のために、または架橋剤および基材との付加的な結合のために、反応性官能基を残しておく材料との、グラフト共重合。例えば、パルミチン酸と、ポリグリシジルメタクリレートとの反応であるが、しかしながら、グリシジル基の約90%だけ(0.9パルミチン酸/1.0グリシジル基)反応させて、残りの約10%のグリシジル基を、例えば羊毛基材との反応および結合のために残しておくこと。このモル比は、0.1〜0.999:1.0(10〜99.9%の官能基が反応する)であることができるが、好ましい比率は0.75〜0.95:1.0である。
26.上記のグラフト共重合であるが、結晶性側鎖が予め作られたポリエステル、ポリエーテル、ポリユリア、ポリウレタンなど、例えば上記の表中に記載された脂肪族ポリエステルである、グラフト共重合。
【0108】
27.多官能性主鎖ポリマーを用いて、環状モノマー、例えばオキシラン、環状エーテル、アジリジン、チイラン、チエタン、ラクトン、ラクタム、カーボネート、オキサゾリン、オキサゾリジンジオン、シクロシロキサン、ホスホランおよびそれらの混合物の開環重合が行なわれる、グラフト共重合。例えば、エチレンオキシドもしくはテトラメチレンオキシドと、ポリビニルアルコールとの、正確な化学量論比での、結晶性側鎖を生成する、開環重合。
28.多官能性主鎖ポリマーを用いて、環状モノマー、例えば、オキシラン、環状エーテル、アジリジン、チイラン、チエタン、ラクトン、ラクタム、カーボネート、オキサゾリン、オキサゾリジンジオン、シクロシロキサン、ホスホランおよびそれらの混合物の開環重合が行なわれ、次いで更に、側鎖の末端基を他の結晶性化合物を反応させるグラフト共重合。例えば、エチレンオキシドもしくはテトラメチレンオキシドと、ポリビニルアルコールとの正確な化学量論比での、ヒドロキシル基の官能性末端基を備えた結晶性ポリエーテル側鎖を生成するように、開環重合し、次いで更にこれらの末端基をセテアリン酸でエステル化すること。
【0109】
フリーラジカル重合は、溶媒なしでも、またはいずれかの溶媒中でも行うことができるが、好ましい溶媒は最終的なポリマーの化学的性質による。例えば、エステル、ケトン、ホルムアミド、エーテルおよび他の極性溶媒は、ポリ(メタ)アクリレートポリマーに好ましく、非極性もしくは低極性溶媒、例えばヘキサンおよび他のアルカンもしくはトルエンおよび他の芳香族は、ポリオレフィンまたは長鎖アルキルポリビニルに好ましい。また、フリーラジカル重合は、水系でも行なうことができる。フリーラジカル重合は、熱、弱い圧力もしくは音によって遊離ラジカルを発生するいずれかの分子または化合物によって開始することができる。これらの例としては、ペルオキシドまたはヒドロペルオキシド化合物、好ましくはt−アミルペルオキシド、アゾ開始剤、過硫酸塩開始剤またはUV開始剤がある。
【0110】
具体的なフリーラジカル重合の更なる例および方法が、Sogah, D.Y.らによって、「官能基移動重合−アルリル系モノマーの重合」("Group Transfer Polymerization-Polymerization of Acrylic Monomers")、Macromolecules、1987年、第20巻中に記載されているように、例えば官能基移動重合は向上した重合および、ポリマー構造制御を与えるというように記載されている。K. Matyjaszewskiによって、「制御されたラジカル重合」("Controlled Radical Polymerization")、ACS Symp. Ser.、Washington D.C、1998年、中で概説されているように、より新しい方法および改善された開始剤が、制御されたラジカル重合を生成させるために開発されてきている。これらの系は、可逆的な停止反応または可逆的な連鎖移動反応に基づくものであり、それが成長鎖末端の活性化/失活を制御する。このことが「リビングラジカル」の生成を可能として、これがモノマーの逐次付加を可能として、狭い分子量分布で、良好に規定されたABブロック共重合体を生成させる。好ましい系およびそれらの例が以下に列挙されている。
【0111】
a)窒素酸化物媒介重合、例えば、ビニル重合の能率的な制御のための、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)、またはWO9844008中に概説されているような開始剤から誘導されるもの。
【0112】
b)ビニルおよびアクリルエステルモノマーの重合の能率的な制御のための、ホスホニル化窒素酸化物媒介重合
【0113】
Matyjhaszewski, K.ら、Acta Polym.、1997年、第48巻、またはSawamoto, Mら、Trips、1996年、第4巻中に概説されているような、銅錯体による、原子移動ラジカル重合(ATRP)
【0114】
d)Matyjhaszewski, K.らの、J. Poly. Sci. Part A - Polymer Chemistry、2005年、第43巻、第7号には、低分子量および1.2未満の多分散性を備えた、オクタデシルメタクリレート(ステアリルメタクリレート)およびジメチルアミノエチルメタクリレートを基にした、ATRPブロック共重合体が記載されている。
【0115】
e)Moad, G.ら、Australian Journal of Chemistry、2005年、第58巻、第6号中に記載されているような、種々の開始剤、例えばチオカルボニルチオ化合物を基にした、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合。また、他の化合物、例えばジチオエステル、ジチオカルバメートおよびトリチオカーボネートも、RAFT重合を向上させて、良好に規定されたポリマーを与えることが記載されている。
【0116】
f)良好に規定された複数ブロックポリマーおよびポリマーPCMを生成するのに用いることができる新規な機能性開始剤系が、Virginia Polytechnic Instituteに2003年に博士論文として提出された、 Lizotte, J.R.による、 "Synthesis and Characterization of Tailored Macromolecules via Stable Free Radical Polymerization Methodologies"中に記載されている。
【0117】
【表14】

【0118】
【表15】

【0119】
モノマーの更なる例を、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、1984年、第1巻、第2版、Wiley and sons、の「アクリルおよびメタクリルエステル」("Acrylic and Methacrylic Esters")の章に見出すことができる。
【0120】
エステル化、ウレタン形成、エーテル化などに用いられる標準的な触媒を、上記の合成および製造プロセスに用いることができる。触媒として用いることができる材料の例としては、ホウ素塩、次亜リン酸塩(例えば、次亜リン酸アンモニウムおよび次亜リン酸ナトリウム)、リン酸塩、スズ塩(例えば、Sn+2またはSn+4の塩、例えば、ジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズジアセテート)、および亜鉛塩(例えば、Zn+2の塩)が挙げられる。この組成物に加えるスズ塩または亜鉛塩の望ましい量は、乾燥質量で、約0.001〜約1.0質量%、例えば乾燥質量で約0.01〜約0.1質量%の範囲であることができる。この組成物に加えるホウ素塩またはリン酸塩の望ましい量は、乾燥質量で約0.1〜約5質量%、例えば乾燥質量で約1〜約3質量%の範囲であることができる。触媒として用いることができる材料の他の例としては、アルキル化金属、金属塩、ハロゲン化金属、および金属酸化物が挙げられ、好適な金属としては、Sn、Zn、Ti、Zr、Mn、Mg、B、Al、Cu、Ni、Sb、Bi、Pt、Ca、およびBa、好ましくはTi+4塩を主成分とする触媒塩が挙げられる。有機酸および塩基、例えば硫黄(例えば、硫黄の)、窒素(例えば、窒素の)、リン(例えば、リンの)、またはハロゲン化物(例えば、F、Cl、BrおよびI)を主成分とするものもまたは触媒として用いることができる。触媒として用いることができる材料の更なる例としては、酸、例えばクエン酸、イタコン酸、乳酸、フマル酸およびギ酸が挙げられる。
【0121】
図7、8および9は、本発明の態様による官能性ポリマー相転移材料の製造方法の好ましい態様を示している。
【実施例】
【0122】
上記の工程の幾つかが、下記の例の中に例示されている。しかしながら、上記の方法の全てが、ここに記載した組成物の生成、官能性ポリマー相転移材料および製剤と関連して用いることができるということを意図してはいない。
【0123】
他の態様に従って、本発明は、上記の記載による官能性ポリマー相転移材料を含む物品を提供する。
【0124】
<例>
以下の例は、上記の具体的な特徴を通して作ることができる種々の組合せおよび態様の代表的例を提供するものであり、特許請求の範囲について限定的であることを意図したものではない。更に、以下に与えられた例は、全ての開示および説明によってより適切に捉えられる主題の完全性を、限定しないことが意図されている。本明細書の記載は、前述の要素のいずれかの組合せのための主題の開示としての役割をすることが意図されている。
【0125】
例1:ポリグリシジルメタクリレートの調製
【0126】
攪拌機、コンデンサー、窒素パージおよび温度コントローラーを備えたフラスコ中で反応させた。
【0127】
【表16】

【0128】
1番を、このフラスコへ加えて、窒素下で152℃に加熱した。2番および3番を混合して、5.5時間に亘ってゆっくりと反応フラスコに加えた。これを更に0.5時間反応させ、次いで4番を加えて、1.0時間反応させ、次いで冷却して、ポリグリシジルメタクリレートの69.4%溶液を得た。この溶液を、強制空気乾燥器中で、120℃で4時間乾燥させて、100%の乾燥したポリグリシジルメタクリレートを得た。
【0129】
例2:ポリマーPCMの調製
【0130】
攪拌機、コンデンサー、窒素パージおよび温度コントローラーを備えたフラスコ中で反応させた。
【0131】
【表17】

【0132】
1番をこのフラスコへ加えて、窒素下で130℃に加熱した。2番を、0.5時間に亘ってゆっくりと反応フラスコに加えた。これを更に3.0時間反応させて、次いで冷却して、38.5℃の融点および63.1J/gの潜熱を有するポリマーPCMを得た。図4は、この例を更に説明している。
【0133】
例3:ポリマーPCMの調製
【0134】
攪拌機、コンデンサー、窒素パージおよび温度コントローラーを備えたフラスコ中で反応させた。
【0135】
【表18】

【0136】
1番をこのフラスコへ加えて、窒素下で130℃に加熱した。2番を、0.5時間に亘ってゆっくりと反応フラスコに加えた。これを更に3.0時間反応させて、次いで冷却して、16.1℃の融点および29.8J/gの潜熱を有するポリマーPCMを得た。図4は、この例を更に説明している。
【0137】
例4:ポリステアリルメタクリレートポリマーPCMの調製
【0138】
攪拌機、コンデンサー、窒素パージおよび温度コントローラーを備えたフラスコ中で反応させた。
【0139】
【表19】

【0140】
1番を、このフラスコへ加えて、窒素下で152℃に加熱した。2番、3番および4番を混合して、3.5時間に亘ってゆっくりと反応フラスコに加えた。これを更に1.0時間反応させ、次いで5番を加えて、1.5時間反応させ、次いで冷却して、31.1℃の融点および83.8J/gの潜熱を備えた、ポリステアリルメタクリレート−コ−グリシジルメタクリレートの69.7%溶液を得た。
【0141】
例5:向上した潜熱容量を備えた、洗浄耐久性の温度調整繊維製品の調製
【0142】
糊抜きをした、漂白していない、染色していない綿布帛を、ポリマーPCMの溶液中に、更なる架橋剤もしくは定着剤あり、およびなしで、浸漬することによって処理した。この浸漬した布帛を、次いで過剰の溶液を取り除くために当て物をし(padded)、190℃で4分間乾燥した。この布帛を温かい水道水で洗浄していずれかの未反応のポリマーを除去して、次いで一晩空気乾燥して、潜熱容量を測定した。この布帛を、次いでAATCC143に従って、5回洗浄した。
【0143】
【表20】

【0144】
例6
種々のポリマーPCMを、上記の例4と同様に作ったが、ペルオキシド開始剤の量を変化させることによって、または重合溶液の固形分を変化させることによって、分子量を変えた。
【0145】
【表21】

【0146】
例7
上記のポリマーPCM、4−123を乾燥して100%固形分として、次いで研究室および生産パイロットプラント中の両方で、種々のポリマー繊維溶液へ加えた。この溶液を、次いで繊維にするか、またはフィルムに成形するかのいずれかにして、凝固させ、そして乾燥してポリマーPCMで改質した製品を得た。
【0147】
溶液Aは、10%の最終的溶液を得るように、1:1のNaSCNi:HO中に溶解させた、Acordisイタコン酸官能化(func.)CFPポリアクリロニトリルポリマーからなる。溶液Bは、26.6/3.9/69.5の質量比のセルロースジアセテート/HO/アセトン中で、26.6%固形分の溶液を得るように、水/アセトン混合物中に溶解したNovaceta(登録商標)ジアセテートからなる。溶液Cは、Ortec Inc.で生成されたポリマーPCMを用いたNovacetaパイロット試験を基にした。
【0148】
【表22】

【0149】
当業者は、本発明、その利用およびここに記載した態様によって得られる実質的に同様の結果を達成せしめるその構成には、多くの変更および置き換えを行なうことができることを容易に理解することができる。従って、本発明を、説明した例示的な形態に限定しようという意図はない。多くの変更、修正および代替構成が、特許請求の範囲中に表されて開示された発明の範囲および精神の範囲内に入る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能性ポリマー相転移材料を含んでなる組成物であって、前記官能性ポリマー相転移材料は少なくとも1つの反応性基を有しており、前記反応性基は少なくとも第1の共有結合を形成することができる、組成物。
【請求項2】
前記反応性基が、第2の材料と少なくとも第1の共有結合を形成することができる、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記官能性ポリマー相転移材料が、少なくとも1つの結晶性部分を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記官能性ポリマー相転移材料が、主鎖および複数の側鎖を含み、前記複数の側鎖が前記結晶性部分を形成する、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの反応性基が、少なくとも1つの側鎖に付いている、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの反応性基が、主鎖に付いている、請求項4記載の組成物。
【請求項7】
前記主鎖に沿って、実質的に一定の間隔で分布している複数の反応性基を含む、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記主鎖に沿って、ランダムな間隔で分布している複数の反応性基を含む、請求項6記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの反応性基が、前記主鎖の1つの末端に付いている、請求項4記載の組成物。
【請求項10】
前記反応性基が、グリシジル、エポキシ、無水物、イソシアネート、シアナート、アミノ、アミド、イミン、イミド、アジド、アゾ、アミン−ホルムアルデヒド、シラン、エステル、エーテル、ハロゲン化脱離基、ペルオキシド、塩、ヒドロキシル、カルボキシル、カーボネート、アルデヒド、ケトン、二重結合、三重結合、硫黄、亜硫酸塩、硫化物、硫酸塩、亜硫酸、リン、亜リン酸塩、リン化物、リン酸塩、亜リン酸、および前記の組合せからなる群から選ばれる、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記第2の材料が、綿、羊毛、毛皮、革、ポリエステル、セルロース製品、タンパク質製品、天然製品、再生材料、合成材料および前記の材料から作られる繊維製品からなる群から選ばれる、請求項2記載の組成物。
【請求項12】
前記官能性ポリマー相転移材料が、第1の相転移材料であり、かつ前記組成物が更に第2の相転移材料を含んでおり、前記第1の相転移材料が第1の相転移温度を有しており、また第2の相転移材料が第2の相転移温度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
前記官能性ポリマー相転移材料が、複数の相転移温度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
前記官能性ポリマー相転移材料が、−10℃〜100℃の範囲に転移温度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
前記官能性ポリマー相転移材料が、少なくとも25J/gの相転移エンタルピーを有する、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
前記官能性ポリマー相転移材料が、10000の分子量単位当たりに少なくとも1つの反応性基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの結晶性部分が、親水性である、請求項3記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの結晶性部分が、疎水性である、請求項3記載の組成物。
【請求項19】
更に少なくとも1つの結晶性セグメントを含み、該少なくとも1つの結晶性セグメントが、親水性および疎水性セグメントの組合せを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
前記反応性基が立体特異性である、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
前記結晶性部分が、立体特異性である、請求項3記載の組成物。
【請求項22】
前記官能性ポリマー相転移材料が、1.0〜100の範囲の多分散性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
前記官能性ポリマー相転移材料が、1.0〜5.0の範囲の多分散性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの反応性基を有することを特徴とする官能性ポリマー相転移材料であって、前記反応基が共有結合を形成することができる、官能性ポリマー相転移材料。
【請求項25】
前記反応性基が、第2の材料と第1の共有結合を形成することができる、請求項24記載の官能性ポリマー相転移材料。
【請求項26】
前記官能性ポリマー相転移材料が、少なくとも1つの結晶性部分を含む、請求項24記載の官能性ポリマー相転移材料。
【請求項27】
前記官能性ポリマー相転移材料が、主鎖および複数の側鎖を含み、前記複数の側鎖が前記結晶性部分を形成する、請求項24記載の官能性ポリマー相転移材料。
【請求項28】
前記主鎖に沿ってランダムな間隔で分布する複数の反応性基を含む、請求項24記載の官能性ポリマー相転移材料。
【請求項29】
前記反応性基が、グリシジル、エポキシ、無水物、イソシアネート、シアナート、アミノ、アミド、イミン、イミド、アジド、アゾ、アミン−ホルムアルデヒド、シラン、エステル、エーテル、ハロゲン化脱離基、ペルオキシド、塩、ヒドロキシル、カルボキシル、カーボネート、アルデヒド、ケトン、二重結合、三重結合、硫黄、亜硫酸塩、硫化物、硫酸塩、亜硫酸、リン、亜リン酸塩、リン化物、リン酸塩、亜リン酸、および前記の組合せからなる群から選ばれる、請求項24記載の官能性ポリマー相転移材料。
【請求項30】
官能性ポリマー相転移材料を含む製剤であって、前記官能性ポリマー相転移材料が少なくとも1つの反応性基を有しており、前記反応性基が少なくとも第1の共有結合を形成することができる、製剤。
【請求項31】
有機溶媒、水性媒体、バインダー、前記反応性基の反応のための触媒およびそれらの組合せ、の少なくとも1つを更に含む、請求項30記載の製剤。
【請求項32】
反応性基を有する重合性モノマーを準備すること、側鎖形成化合物を準備すること、前記モノマーを重合すること、および側鎖形成化合物を結合させること、を含む官能性ポリマー相転移材料の生成方法。
【請求項33】
反応性基を有するポリマー主鎖を形成すること、および前記ポリマー主鎖上の前記反応性基を前記側鎖形成化合物と反応させることを更に含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記側鎖形成化合物を、前記モノマー上の前記反応性基と反応させて側鎖を有するモノマーを形成すること、および前記側鎖を有するモノマーを有するモノマーを重合することを更に含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記側鎖を有するモノマーを重合することが、少なくとも側鎖を有するモノマーおよび前記反応性基を有する重合性モノマーを含む混合物を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記ポリマー主鎖上の前記反応性基の100%未満が、前記側鎖形成化合物を反応する、請求項33記載の方法。
【請求項37】
残りの少なくとも一部が前記側鎖形成化合物を反応する前に、前記ポリマー主鎖上の前記反応性基の一部が、保護基と反応する、請求項36記載の方法。
【請求項38】
残りの少なくとも一部が前記側鎖形成化合物と前記の反応をした後に、保護基の少なくとも一部を除去する工程を更に含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
反応性基を有するモノマーの重合が、反応性基を有する結晶性主鎖ポリマーを形成する、請求項33記載の方法。
【請求項40】
前記反応性を有するモノマーの重合が、有機、水性または無機重合;固体状態、バッチ、連続、気相、またはプラズマ重合;UV、音波、熱、圧力、または光開始重合;フリーラジカル、リビング、カチオン性、アニオン性、金属、メタロセン、チーグラ−ナッタまたは官能基移動重合;縮合、付加、開環またはオレフィンメタセシス重合;酵素、バイオ系または天然重合からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法を含む、請求項32記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−528396(P2011−528396A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518769(P2011−518769)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/048548
【国際公開番号】WO2010/008906
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(503107196)アウトラスト テクノロジーズ,インコーポレイティド (10)
【Fターム(参考)】