説明

定検時燃料等取替作業監視装置及び方法

【課題】定検時における燃料等の取替作業に異常または事故が生じた場合、その原因調査を効率的に実施できること。
【解決手段】燃料取替機制御システム9からのプロセス信号aを、記録可能なプロセス状態信号bに変換するデータ記録手段11と、プロセス状態信号を収集してプラント履歴テーブル13に保存させるプラント履歴保存手段12と、燃料等取替作業の監視ポイントでのプロセス状態信号がイベント(異常等)となる条件を定義したイベント状態定義情報cを保存するイベントデータテーブル14と、プラント履歴テーブル内のプロセス状態信号とイベントデータテーブル内のイベント状態定義情報と比較して監視し、イベント状態定義情報の条件が成立してイベントが発生したか否かを判断するイベント判断手段15と、イベントが発生したと判断されたときに事故解析画面を作成する事故解析画面作成手段16と、事故解析画面を表示する表示装置17とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所の定期定検時(以下、定検時と称する)における炉心内の燃料等の取替作業を監視する定検時燃料等取替作業監視装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の燃料(燃料集合体)を交換する際には炉心から使用済み燃料を取り出し、新しい燃料の装荷を行う。取り出された使用済み燃料は、炉心から燃料プールと呼ばれる場所に移動される。また、燃料プールからは新しい燃料が取り出されて炉心に装荷される。プラントの定検時にはこれらの燃料の移動が行われるが、数百ある燃料が交換されるには数日〜10日間程度の時間を要する。この数百に及ぶ燃料の交換操作は予め計画され、その作業手順を燃料取替機制御システムが読み込み、この燃料取替機制御システムが燃料取替機を制御してワンステップずつ取替作業を実行していく。
【0003】
この作業の途中で、機械の故障や想定外の事象により作業が中断されることがある。この場合には、原子力発電所という特殊事情から作業中断に至った原因が明確になるまで、交換作業は一旦中断される。この中断に伴い定検工程の見直しが発生する他、中断した時間だけ定検工程が延長されるため営業運転が遅延してしまう。これにより多大な影響を与えることが想定されるので、原子力発電所では原因を早急に特定し、その対策を迅速に実施して復旧することが望まれる。
【0004】
ところで、燃料取替作業が定検時燃料等取替作業監視装置(定検時炉心作業監視装置)と呼ばれる装置にて監視されるものが、特許文献1に開示されている。この従来の定検時燃料等取替作業監視装置は、燃料取替作業の手順として計画された特定の燃料番号の燃料等を目標位置まで移動することが正確に実行されているかを監視し、計画の目標位置に対し実行した目標位置に相違があった場合に警報を発する警報監視を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−14191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の定検時燃料等取替作業監視装置においては、あらかじめ計画された燃料等取替作業手順と、燃料取替機制御システムが実行しようとしている燃料等取替作業手順の内容(燃料棒の移動目標位置など)とを比較し、これらの作業手順に相違があった場合に警報を発するが、燃料等取替作業手順以外の監視は行っていなかった。また、警報を発するのみで燃料等取替作業に異常または事故(イベント)が発生した場合に、その原因究明に対応することができなかった。
【0007】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、定検時における燃料等の取替作業に異常または事故が生じた場合、その原因調査を効率的に実施できる定検時燃料等取替作業監視装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置は、燃料取替機の動作を制御する燃料取替機制御システムからのプラント情報に基づき、定検時における前記燃料取替機による燃料等の作業対象物の取替作業を監視する定検時燃料等取替作業監視装置であって、前記プラント情報の状態量であるプロセス信号を、記録可能なプロセス状態信号に変換するデータ記録手段と、前記プロセス状態信号を一定周期で収集してプラント履歴テーブルに保存させるプラント履歴保存手段と、燃料等取替作業の監視対象である監視ポイントでのプロセス状態信号が異常または事故であるイベントとなる条件を定義したイベント状態定義情報を保存するイベントデータテーブルと、前記プラント履歴テーブル内のプロセス状態信号と前記イベントデータテーブル内のイベント状態定義情報とを比較して監視し、イベント状態定義情報の条件が成立してイベントが発生したか否かを判断するイベント判断手段と、このイベント判断手段にてイベントが発生したと判断されたときに、条件が成立したイベント状態定義情報と共にこのイベント状態定義情報の条件成立前のプロセス状態信号等を時系列に表す事故解析画面を作成する事故解析画面作成手段と、前記事故解析画面を表示する表示手段と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る定検時燃料等取替作業監視方法は、燃料取替機の動作を制御する燃料取替機制御システムからのプラント情報に基づき、定検時における前記燃料取替機による燃料等の作業対象物の取替作業を監視する定検時燃料等取替作業監視方法であって、前記プラント情報の状態量であるプロセス信号が記録可能に変換されたプロセス状態信号を一定周期で収集してプラント履歴テーブルに保存し、燃料等取替作業の監視対象である監視ポイントでのプロセス状態信号が異常または事故であるイベントとなる条件を定義したイベント状態定義情報をイベントデータテーブルに保存し、前記プラント履歴テーブル内のプロセス状態信号と前記イベントデータテーブル内のイベント状態定義情報とを比較して監視し、イベント状態定義情報の条件が成立してイベントが発生したか否かを判断し、イベントが発生したと判断したときに、条件が成立したイベント状態定義情報と共にこのイベント状態定義情報の条件成立前のプロセス状態信号等を時系列に表す事故解析画面を作成して表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置及び方法によれば、燃料等取替作業でのプロセス状態信号を一定周期で収集し、計画に従って実行される燃料等取替作業の異常または事故をイベント状態定義情報を用いて監視し、イベント状態定義情報の条件が成立したときに異常または事故(イベント)が発生したと判断して、条件が成立したイベント状態定義情報と共にこのイベント状態定義情報の条件成立前のプロセス状態信号等を時系列に表す事故解析画面を表示している。このため、オペレータは事故解析画面を確認することで、異常または事故発生のタイミング及び状況を時系列に把握できるので、異常または事故の原因調査を効率的に実施でき、異常または事故に対して迅速な処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第1の実施の形態を示すブロック図。
【図2】燃料取替機と炉心及び燃料プールとの関係を示す概略斜視図。
【図3】図1のプラント履歴テーブルの構成の一例を示す説明図。
【図4】図1のイベントデータテーブルの構成の一例を示す説明図。
【図5】図1のイベント判断手段による判断の一例を示す論理回路図。
【図6】図1の事故解析画面作成手段が作成した事故解析画面の一例を示す表示画面図。
【図7】図1の定検時燃料等取替作業監視装置が実行する手順を示すフローチャート。
【図8】本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第2の実施の形態を示すブロック図。
【図9】図8のオペレータ入出力処理手段による事故解析画面表示要求を実行するための表示装置の画面の一例を示す表示画面図。
【図10】本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第3の実施の形態を示すブロック図。
【図11】図10のイベント履歴解析画面作成手段で作成されたイベント履歴解析画面の一例を示す表示画面図。
【図12】本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第4の実施の形態を示すブロック図。
【図13】図12の事故原因知識データベースに保存された過去イベント履歴情報の構成の一例を示す説明図。
【図14】図12の事故解析画面作成手段により作成された事故解析画面に、ガイダンス画面作成手段にて作成されたガイダンス画面がポップアップ表示された状態を示す表示画面図。
【図15】本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第5の実施の形態を示すブロック図。
【図16】図15のイベントデータテーブル編集手段による編集を行なうためのイベントデータテーブル編集画面を示す表示画面図。
【図17】本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第6の実施の形態を示すブロック図。
【図18】図17の事故原因知識データベース編集手段による編集を行なうための事故原因知識データベース編集画面を示す表示画面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。但し、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
[A]第1の実施の形態(図1〜図7)
図1は、本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。図2は、燃料取替機と炉心及び燃料プールとの関係を示す概略斜視図である。
【0014】
図2に示すように、燃料取替機1は、原子力発電所の定検時に炉心2と燃料プール3との間を移動して、燃料(燃料集合体)4等の作業対象物を炉心2から燃料プール3へ移動し、または燃料プール3から炉心2へ移動して装荷し、燃料を交換する。尚、図2中の符号5は、炉心2と燃料プール3を連通する通路である。また、作業対象物は、上記燃料4の他に、制御棒の振れを抑えるダブルブレーガイドを含む。
【0015】
燃料取替機1は、炉心2と燃料プール3との間を水平方向(図2のX方向)に移動可能なブリッジ6と、このブリッジ6に沿ってブリッジ6の移動方向と直角な水平方向(図2のY方向)に移動可能なトロリ7と、トロリ7から垂下されて鉛直方向(図2のZ方向)に移動可能なホイスト8とを有して構成され、このホイスト8が燃料4等の作業対象物を把持する。
【0016】
燃料取替機1の動作は、燃料取替機制御システム9によって制御される。図1に示す定検時燃料等取替作業監視装置10は、燃料取替機制御システム9からのプラント情報に基づいて、定検時における燃料取替機1による燃料4等の作業対象物の取替作業を監視する。この定検時燃料等取替作業監視装置10は、データ記録手段11、プラント履歴保存手段12、プラント履歴テーブル13、イベントデータテーブル14、イベント判断手段15、事故解析画面作成手段16、及び表示手段としての表示装置17を有して構成される。
【0017】
データ記録手段11は、燃料取替機制御システム9からのプラント情報の状態量であるプロセス信号aを、記録可能なプロセス状態信号bに変換するものである。ここで、プロセス信号aは、信号検出器から入力される1〜10Vなどのアナログ電気信号やディジタル信号を意味する。また、記録可能なプロセス状態信号bに変換するとは、アナログ信号(1〜10Vなど)を工学値(0〜1000mm、10m/sなど)に、ディジタル信号をON(=1)、OFF(=0)などのように、計算機が記録可能な数値などに変換することを意味する。
【0018】
プラント履歴保存手段12は、データ記録手段11にて変換されたプロセス状態信号bを一定周期で収集してプラント履歴テーブル13に保存する。このプラント履歴テーブル13には、プロセス状態信号b(b1、b2、…bn;nは整数)が時系列に保存される。尚、例えばプロセス状態信号b1は着床信号を、プロセス状態信号b2は荷重値をそれぞれ表す。
【0019】
イベントデータテーブル14は、図4に示すイベント状態定義情報cを保存する。このイベント状態定義情報cは、燃料等取替作業の監視対象である監視ポイントでのプロセス状態信号bが異常または事故であるイベントとなる条件を監視ポイント毎に定義したものである。各イベント状態定義情報c(c1、c2、…cn;nは整数)には、着床信号や荷重値などのプラント情報の種類と、プラント情報の閾値である規定値と、イベント状態定義情報cの条件の成立/不成立を決定する論理演算子とが、イベント成立の条件として定義されている。尚、イベント状態定義情報cでは、図4中のプロセス状態信号bの欄は存在しない。
【0020】
イベント判断手段15は、燃料等取替作業の各監視ポイントにおいて、プラント履歴テーブル13内のプロセス状態信号bとイベントデータテーブル14内のイベント状態定義情報cとを比較して監視し、イベント状態定義情報cの条件が成立してイベント(異常または事故)が発生したか否かを判断する。つまり、イベント判断手段15は、燃料等取替作業の各監視ポイントにおいて、イベントデータテーブル14からイベント状態定義情報cを読み込み、このイベント状態定義情報cに関連するプロセス状態信号bをプラント履歴テーブル13から読み込んで、例えば図4のプロセス状態信号bの欄に記入し、このプロセス状態信号bがイベント状態定義情報cで定義される規定値を満たし、論理演算子によりイベントが発生するための条件が成立したか否かを判断する。イベント状態定義情報cの条件が成立してイベントが発生したと判断したときに、イベント判断手段15は事故解析画面作成手段16へ事故解析画面18の作成要求信号dを通知する。
【0021】
ここで、図5に、イベント判断手段15による判断の一例を示す。イベント判断手段15は、イベント状態定義情報c1において、着床信号を示すプロセス状態信号b1が規定値ONを満たし、且つ荷重値を示すプロセス状態信号b2が規定値700kg以上を満たしたときに、イベント状態定義情報c1の条件が成立し、イベント(荷重値変動)が発生したと判断する。また、イベント判断手段15は、イベント状態定義情報c2において、着床信号を表すプロセス状態信号b1が規定値OFFを満たし、且つ、荷重値を表すプロセス状態信号b2が900kg以下を満たしたときに、イベント状態定義情報c2の条件が成立し、イベント(荷重値変動)が発生したと判断する。更に、イベント判断手段15は、イベント状態定義情報c1とc2の条件が共に成立したときに、イベント状態定義情報c3の条件が成立し、イベント(着床検知異常)が発生したと判断する。
【0022】
事故解析画面作成手段16は、イベント判断手段15にてイベント(異常または事故)が発生したと判断されて事故解析画面18の作成要求信号dが通知されたときに、図6に示す事故解析画面18を作成する。この事故解析画面18は、条件が成立したイベント状態定義情報cと共に、このイベント状態定義情報cの条件成立前の作業内容及びプロセス状態信号b(燃料取替機1のブリッジ6、トロリ7、ホイスト8の各位置など)を時系列に表示したものである。尚、イベント状態定義情報cの条件成立前のプロセス状態信号bは、プラント履歴テーブル13から抽出される。また、事故解析画面作成手段16にて事故解析画面18が作成されると、この事故解析画面18は表示装置17に自動表示される。この事故解析画面18を用いてオペレータにより事故解析が行われる。
【0023】
事故解析画面18を、図6を用いて更に具体的に説明する。この図6は、イベント状態定義情報c3の条件が成立したときに作成された事故解析画面18である。例えば、燃料(燃料番号:A)を炉心2から燃料プール3へ移動する場合、「燃料A 炉心→プール」が作業内容として表示される。「掴み/離し」とは、燃料を燃料取替機1の把持機構が掴んだか離したかの動作を示している。また、B位置は燃料取替機1のブリッジ6の位置であり、水平方向(図2のX方向)の位置を表す。T位置は、燃料取替機1のトロリ7の位置であり、ブリッジ6の位置に対して直角な方向(図2のY方向)の位置を表す。H位置は、燃料取替機1のホイスト8の位置であり、高さ方向(図2のZ方向)の位置を表す。燃料4等を移動する際には、その初期位置と目標移動位置がB位置、T位置、H位置を用いて一意に定義される。
【0024】
燃料等取替作業において異常または事故が発生するケースとしては、燃料取替機制御システム9の制御に対するフィードバックの異常検知がある。例えば、燃料4の荷重変動に対する異常は、イベント状態定義情報c1やc2の条件成立(ON)によってその発生が監視される。イベント状態定義情報c2の条件成立直後にイベント状態定義情報c3の条件が成立(ON)して、着床検知異常が監視される。これらのイベント状態定義情報c2、c1、c3の各条件成立前の作業内容やプロセス状態信号b1(燃料取替機1のブリッジ6、トロリ7、ホイスト8の位置など)が事故解析画面18に表示される。ここで、プロセス状態信号bは、プラント履歴テーブル13から一定周期で抽出されたものである。
【0025】
次に、上述のように構成された定検時燃料等取替作業監視装置10が事故解析画面18を作成し表示するまでの手順を、図7を用いて説明する。燃料取替機制御システム9による燃料取替機1の作動開始後、データ記録手段11は、燃料取替機制御システム9から一定周期で入力されるプラント情報の状態量(プロセス信号a)を、記録可能な工学値(プロセス状態信号b)に変換する(S1)。この変換されたプロセス状態信号bは、プラント履歴保存手段12によりプラント履歴テーブル13に保存される(S2)。
【0026】
次に、イベント判断手段15は、現在の燃料等取替作業に異常または事故が発生しているか否かを、イベントデータテーブル14に保存されたイベント状態定義情報cと、プラント履歴テーブル13に保存されたプロセス状態信号bとを比較することで判断する(S3)。異常が発生したと判断された場合には、事故解析画面作成手段16が事故解析画面18を作成し(S4)、その作成された事故解析画面18を表示装置17が表示する(S5)。ステップS3において異常が発生しなかった場合には、ステップS1に戻り、ステップS1からステップS5までの手順を毎周期実行する。
【0027】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、次の効果(1)を奏する。
【0028】
(1)プラント履歴保存手段12が燃料等取替作業でのプロセス状態信号bをプラント履歴テーブル13に一定周期で収集し、イベント判断手段15が、計画に従って実行される燃料等取替作業の異常または事故を、イベントデータテーブル14に保存されたイベント状態定義情報cと、プラント履歴テーブル13に保存されたプロセス状態信号bとを用いて監視する。イベント判断手段15により、イベント状態定義情報cの条件が成立して異常または事故(イベント)が発生したと判断されたとき、条件が成立したイベント状態定義情報cと共にこのイベント状態定義情報cの条件成立前のプロセス状態信号bなどを時系列に表す事故解析画面18を事故解析画面作成手段16が作成して、表示装置17が表示する。このため、オペレータは事故解析画面18を確認することで、異常または事故発生のタイミング及び状況を時系列に把握できるので、異常または事故の原因調査を効率的に実施でき、異常または事故に対して迅速な処理を行うことができる。
【0029】
[B]第2の実施の形態(図8、図9)
図8は、本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第2の実施の形態を示すブロック図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0030】
本実施の形態の定検時燃料等取替作業監視装置20が前記第1の実施の形態と異なる点は、事故解析画面18の表示要求信号eをイベント判断手段15へオペレータの操作により任意に出力可能なオペレータ入出力処理手段21を備えた点である。
【0031】
つまり、オペレータ入出力処理手段21は、オペレータが操作可能な入力装置(キーボード、マウスなど)22を備える。オペレータにより入力装置22が操作されることで、オペレータ入出力処理手段21は、事故解析画面18の表示要求信号eをイベント判断手段15へ通知する。オペレータによる入力装置22の操作は、例えば図9の事故解析呼出ボタン23をクリックすることで実行される。事故解析画面18の表示要求信号eが通知されたイベント判断手段15は、この表示要求信号eを受けて事故解析画面作成手段16へ事故解析画面18の作成要求信号dを出力し、これにより事故解析画面作成手段16が事故解析画面18を作成し、作成された事故解析画面18が表示装置17により表示される。
【0032】
ここで、図9に示す事故解析呼出ボタン23は、例えば表示装置17に表示される画面中のファンクションキー24の一つであり、画面の大部分には、ファンクションキー24の警告ボタン25がクリックされたときの警報画面が表示されている。
【0033】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(2)を奏する。
【0034】
(2)オペレータが、オペレータ入出力処理手段21の入力装置22を任意のタイミングで操作することにより、イベント判断手段15及び事故解析画面作成手段16を作動させて表示装置17に事故解析画面18を表示することができる。このため、例えば異常または事故発生後に改めて、異常または事故発生状況を時系列に確認することができ、異常または事故の原因究明に寄与できる。
【0035】
[C]第3の実施の形態(図10、図11)
図10は、本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第3の実施の形態を示すブロック図である。この第3の実施の形態において、前記第1及び第2の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0036】
本実施の形態の定検時燃料等取替作業監視装置30が前記第2の実施の形態と異なる点は、イベント判断手段15に代えてイベント収集・判断手段31を備え、更に、イベント履歴テーブル32とイベント履歴解析画面作成手段33を備えたものである。
【0037】
イベント収集・判断手段31は、イベントが発生したか否かを判断するイベント判断手段15の機能の他に、イベントデータテーブル14に保存されたイベント状態定義情報cを読み込み、このイベント状態定義情報cに関連するプロセス状態信号bをイベント履歴テーブル13から収集し、このプロセス状態信号bを前記イベント状態定義情報cに組み合わせたイベント履歴情報fを作成する機能を有する。このイベント履歴情報fは、例えば図4に示すプロセス状態信号bの欄に、プロセス状態信号bの値を記入して構成されるものである。このイベント収集・判断手段31にて作成されたイベント履歴情報fは、イベント履歴テーブル32に保存される。
【0038】
更に、イベント収集・判断手段31は、現在の燃料等取替作業について、プロセス履歴テーブル13から得たプロセス状態信号bと、イベントデータテーブル14から得たイベント状態定義情報cとによりイベント履歴情報fを作成し、このイベント履歴情報fをイベント履歴テーブル32に保存すると共に、前記イベント状態定義情報cの条件が成立してイベントが発生したと判断したときに、事故解析画面作成手段16に事故解析画面18を作成する事故解析画面の作成要求信号dを通知し、且つイベント履歴解析画面作成手段33にイベント履歴解析画面34の作成要求信号gを通知する。
【0039】
イベント履歴解析画面作成手段33は、イベント収集・判断手段31によりイベントの発生が判断されてイベント履歴解析画面34の作成要求信号gが通知されたときに、イベント履歴テーブル32に保存されたイベント履歴情報fに基づいて、イベント状態の履歴(つまり、条件が成立したイベント状態定義情報cに関連するプロセス状態信号bの時間的推移など)を表すイベント履歴解析画面34を作成する。作成されたイベント履歴解析画面34は表示装置17に自動表示される。尚、オペレータがオペレータ入出力処理手段21の入力装置22を操作して、イベント履歴解析画面34の表示要求信号hをオペレータ入出力処理手段21からイベント収集・判断手段31へ出力したときにも、イベント収集・判断手段31は、イベント履歴解析画面作成手段33へイベント履歴解析画面34の作成要求信号gを通知する。このときにも、イベント履歴解析画面作成手段33は、この作成要求信号gによりイベント履歴解析画面34を作成し、このイベント履歴解析画面34が表示装置17に表示される。
【0040】
イベント履歴解析画面34は、図11に示すように、イベント状態定義情報cを表示したイベント状態定義画面34Aと、横軸に時間軸をとり実施された作業手順が時刻順に表示された作業手順履歴画面34Bとを備えて構成され、タイムカーソル35を有する。
【0041】
イベント状態定義画面34Aでは、条件が成立したイベント状態定義情報cに関連するプロセス状態信号b(図11の例では着床信号、荷重値)の時間的推移が、イベント履歴テーブル32からイベント履歴解析画面作成手段33により抽出され、プロセス状態信号bを表すラインVが色替え表示される。例えば、条件が成立したイベント状態定義情報cに関連するプロセス状態信号bが規定値を満たしている場合にはラインVが赤色に、満たしていない場合にはラインVが緑色に色替え表示される。
【0042】
作業手順履歴画面34Bのタイムカーソル35をマウス等の入力装置22によりスライドさせることで時間軸が左右に移動し、過去の該当時刻のイベント履歴情報fがイベント履歴テーブル32から読み込まれて、条件が成立したイベント状態状態情報cに関連するプロセス状態信号bの状態が色替え表示される。このように、条件が成立したイベント状態定義情報cに関連するプロセス状態信号bの時間的推移の可視化が可能になる。
【0043】
図11に示すイベント履歴解析画面34の例では、2010年5月5日8時10分30秒の時点で着床信号の規定値ONが満たされ、荷重値の規定値700kg以上が満たされて、イベント状態定義情報c1が成立していることが示されている。このとき、着床信号のラインVと荷重値のラインVとが共に赤色表示されている。尚、この色替え表示されるラインVの近傍に、プロセス状態信号bの数値などが併記されてもよい。
【0044】
本実施の形態の定検時燃料等取替作業監視装置30の表示装置17は、イベント発生時に、事故解析画面作成手段16から事故解析画面18の画像情報を、イベント履歴解析画面作成手段33からイベント履歴解析画面34の画像情報を受信するが、例えば、事故解析画面18よりもイベント履歴解析画面34を優先的に表示するように構成されている。現在表示されていない事故解析画面18またはイベント履歴解析画面34を表示させる場合には、現在表示中のイベント履歴解析画面34または事故解析画面18の画面中の画面切替ボタン36をクリックすることで実行される。また、イベント履歴解析画面34の画面中の表示ボタン37は、所望のイベント状態定義情報cに関連するプロセス状態信号bの時間的推移を確認したい場合に、そのイベント状態定義情報cの番号(no)を入力した後にクリック操作されるものである。
【0045】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、前記第1及び第2の実施の形態の効果(1)及び(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(3)を奏する。
【0046】
(3)イベント収集・判断手段31は、イベントデータテーブル14に保存されたイベント状態定義情報cと、このイベント状態定義情報cに関連しプラント履歴テーブル13に保存されたプロセス状態信号bとからイベント履歴情報fを作成し、イベント履歴解析画面作成手段33は、上記イベント状態定義情報cの条件が成立してイベントが発生したと判断したときに、イベント履歴テーブル32から、イベント発生時及びイベント発生前の上記イベント状態定義情報cに関連するプロセス状態信号bの時間的推移を含むイベント履歴解析画面34を作成し、この作成されたイベント履歴解析画面が表示装置17に表示される。これにより、オペレータは、イベント発生時のプラント情報の状態量(つまりプロセス状態信号b)の推移を過去に遡って確認できるので、事故発生の状況を的確に判断できる。
【0047】
[D]第4の実施の形態(図12〜図14)
図12は、本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第4の実施の形態を示すブロック図である。この第4の実施の形態において、前記第1及び第2の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0048】
本実施の形態の定検時燃料等取替作業監視装置40が前記第2の実施の形態と異なる点は、プラント履歴テーブル13及びイベントデータテーブル14の他に、過去イベント履歴情報j(図13)を保存する事故原因知識データベース41を有し、更に事故原因推定手段42及びガイダンス画面作成手段43を備えた点である。
【0049】
事故原因知識データベース41に保存される過去イベント履歴情報j(J1、j2、…jn;nは整数)は、図13に示すように、過去の異常または事故発生時におけるイベント状態定義情報cと、このイベント状態定義情報cの成立(ON)/不成立(OFF)と、過去イベント履歴情報jの成立/不成立を決定する論理演算子とが、過去イベント履歴情報jの成立の条件として定義されている。更に、過去イベント履歴情報jには、この過去イベント履歴情報jが成立したときの異常または事故の原因と推奨対策とが含まれる。図13には、イベント状態定義情報c1が成立(ON)し、且つイベント状態定義情報c2が成立(ON)したときに条件が成立する過去イベント履歴情報j1が示され、このときの異常または事故の原因と推奨対策が過去イベント履歴情報j1に定義されている。
【0050】
事故原因推定手段42は、イベント判断手段15に常時アクセスし、現在の燃料等取替作業についてイベント状態定義情報cの条件が成立したとイベント判断手段15が判断したときに、その情報を取り込んで、現在までに条件が成立したイベント状態定義情報cと、事故原因知識データベース41に保存された過去イベント履歴情報jとを比較する。事故原因推定手段42は、過去イベント履歴情報jの条件が成立する場合に、この条件が成立した過去イベント履歴情報jから異常または事故の原因と推奨対策を抽出して、ガイダンス画面作成手段43へ通知する。
【0051】
ガイダンス画面作成手段43は、事故原因推定手段42から通知された異常または事故の原因と推奨対策を、ガイダンスメッセージとして含むガイダンス画面44(図14)を作成する。このガイダンス画面44が、表示装置17に表示可能に構成される。図14には、イベント判断手段15がイベントの発生を判断したときに事故解析画面作成手段16が作成した事故解析画面18に、ガイダンス画面44がポップアップ表示された状態を示す。このガイダンス画面44は、画面右上のバツ印45をクリックすることで消去可能に構成されてもよい。
【0052】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、前記第1及び第2の実施の形態の効果(1)及び(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(4)を奏する。
【0053】
(4)現在の燃料等取替作業についてイベントが発生したときに、事故原因推定手段42が、現在までに条件が成立したイベント状態定義情報cと、事故原因知識データベース41に保存された過去イベント履歴情報jとを比較し、過去イベント履歴情報jの条件が成立する場合に、この条件が成立した過去イベント履歴情報jから異常または事故の原因と推奨対策を抽出し、この異常または事故の原因と推奨対策を含むガイダンス画面44をガイダンス画面作成手段43が作成して表示装置17に表示させている。このため、この異常または事故の原因と推奨対策を活用することで、異常または事故に対する復旧時間を最大限に短縮することができる。
【0054】
[E]第5の実施の形態(図15、図16)
図15は、本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第5の実施の形態を示すブロック図である。この第5の実施の形態において、前記第1及び第2の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0055】
本実施の形態の定検時燃料等取替作業監視装置50が、前記第2実施の形態と異なる点は、イベントデータテーブル14に保存されたイベント状態定義情報cを編集可能なイベントデータテーブル編集手段51を有する点である。
【0056】
つまり、オペレータがオペレータ入出力処理手段21の入力装置22を用いてイベントデータテーブル編集画面52の表示要求信号iをイベントデータテーブル編集手段51へ出力すると、このイベントデータテーブル編集手段51は、表示装置17にイベントデータテーブル編集画面52を表示させる。オペレータがイベントデータテーブル編集画面52に表示されるイベント状態定義情報cの修正(編集)を行い保存要求することで、イベントデータテーブル編集手段51は、イベント状態定義情報cを編集し、編集されたイベント状態定義情報cをイベントデータテーブル14に保存させる。
【0057】
図16に、イベントデータテーブル編集画面52の一例を示す。オペレータがオペレータ入出力処理手段21の入力装置22を用いて、編集したいイベント状態定義情報cの番号(no)を、イベントデータテーブル編集画面52中の指定ボックス53に記入して指定し(図16の例ではイベント状態定義情報c1を指定)、編集ボタン54をクリックすることで、イベントデータテーブル編集手段51により所望のイベント状態定義情報cが呼び出される。オペレータが編集したい箇所にカーソル59を移動させて編集を行い、オペレータ入出力処理手段21を経て編集要求信号kを出力すると、イベントデータテーブル編集手段51がイベント状態定義情報cを修正(編集)する。編集されたイベント状態定義情報cは、オペレータが保存ボタン56をクリックし、オペレータ入出力処理手段21を経て保存要求信号pをイベントデータテーブル編集手段51へ出力することにより、イベントデータテーブル14に保存される。
【0058】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、前記第1及び第2の実施の形態の効果(1)及び(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(5)を奏する。
【0059】
(5)イベントデータテーブル14に保存されたイベント状態定義情報cがイベントデータテーブル編集手段51により編集(修正)されることで、オペレータ所望のプラント状態に即したイベント状態定義情報cを定義することが可能になり、例えば、燃料取替機1の機械部品の経年劣化などに対応したより正確な事故解析を実施できる。また、イベント状態定義情報cを編集することで、異常または事故の発生を迅速に捉えることが可能になり、異常または事故による被害を最小限に抑制できる。
【0060】
[F]第6の実施の形態(図17、図18)
図17は、本発明に係る定検時燃料等取替作業監視装置の第6の実施の形態を示すブロック図である。この第6の実施の形態において、前記第1、第2及び第4の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0061】
本実施の形態の定検時燃料等取替作業監視装置60が、前記第4の実施の形態と異なる点は、事故原因知識データベース41に保存された過去イベント履歴情報jを編集可能な事故原因知識データベース編集手段61を有する点である。
【0062】
つまり、オペレータがオペレータ入出力処理手段21の入力装置22を用いて事故原因知識データベース編集画面62の表示要求信号qを事故原因知識データベース編集手段61へ出力すると、この事故原因知識データベース編集手段61は、表示装置17に事故原因知識データベース編集画面62を表示させる。オペレータが事故原因知識データベース編集画面62に表示される過去イベント履歴情報jの修正(編集)を行い、保存要求することで、事故原因知識データベース61は、過去イベント履歴情報jを編集し、編集された過去イベント履歴情報jを事故原因知識データベース41に保存させる。
【0063】
図18に、事故原因知識データベース編集画面62の一例を示す。オペレータがオペレータ入出力処理手段21の入力装置22を用いて、編集したい過去イベント履歴情報jの番号(no)を、事故原因知識データベース編集画面62中の指定ボックス63に記入して指定し(図18の例では過去イベント履歴情報j1を指定)、編集ボタン64をクリックすることで、事故原因知識データベース編集手段61により所望の過去イベント履歴情報jが呼び出される。オペレータが、編集したい箇所(イベント状態定義情報cや推奨対策など)にカーソル65を移動させて編集を行い、オペレータ入出力処理手段21を経て編集要求信号rを出力すると、事故原因知識データベース編集手段61が過去イベント履歴情報jを修正(編集)する。編集された過去イベント履歴情報jは、オペレータが保存ボタン66をクリックし、オペレータ入出力処理手段21を経て保存要求信号sを事故原因知識データベース編集手段61へ出力することで、事故原因知識データベース41に保存される。
【0064】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、前記第1、第2及び第4の実施の形態の効果(1)、(2)及び(4)と同様な効果を奏するほか、次の効果(6)を奏する。
【0065】
(6)事故原因知識データベース41に保存された、過去の異常または事故に即した過去イベント履歴情報jが事故原因知識データベース編集手段61により編集(修正)されることで、オペレータが所望する、例えば燃料取替機1や燃料取替機制御システム9の構成変更などに伴う事故解析情報を得ることができる。これにより、異常または事故の原因と推奨対策をより正確かつ迅速に提示することができる。
【0066】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせてもよく、またはこれらの全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 燃料取替機
9 燃料取替機制御システム
10 定検時燃料等取替作業監視装置
11 データ記録手段
12 プラント履歴保存手段
13 プラント履歴テーブル
14 イベントデータテーブル
15 イベント判断手段
16 事故解析画面作成手段
17 表示装置(表示手段)
18 事故解析画面
20 定検時燃料等取替作業監視装置
21 オペレータ入出力処理手段
30 定検時燃料等取替作業監視装置
31 イベント収集・判断手段
32 イベント履歴テーブル
33 イベント履歴解析画面作成手段
34 イベント履歴解析画面
40 定検時燃料等取替作業監視装置
41 事故原因知識データベース
42 事故原因推定手段
43 ガイダンス画面作成手段
44 ガイダンス画面
50 定検時燃料等取替作業監視装置
51 イベントデータテーブル編集手段
52 イベントデータテーブル編集画面
60 定検時燃料等取替作業監視装置
61 事故原因知識データベース編集手段
62 事故原因知識データベース編集画面
a プロセス信号
b プロセス状態信号
c イベント状態定義情報
f イベント履歴情報
j 過去イベント履歴情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料取替機の動作を制御する燃料取替機制御システムからのプラント情報に基づき、定検時における前記燃料取替機による燃料等の作業対象物の取替作業を監視する定検時燃料等取替作業監視装置であって、
前記プラント情報の状態量であるプロセス信号を、記録可能なプロセス状態信号に変換するデータ記録手段と、
前記プロセス状態信号を一定周期で収集してプラント履歴テーブルに保存させるプラント履歴保存手段と、
燃料等取替作業の監視対象である監視ポイントでのプロセス状態信号が異常または事故であるイベントとなる条件を定義したイベント状態定義情報を保存するイベントデータテーブルと、
前記プラント履歴テーブル内のプロセス状態信号と前記イベントデータテーブル内のイベント状態定義情報とを比較して監視し、イベント状態定義情報の条件が成立してイベントが発生したか否かを判断するイベント判断手段と、
このイベント判断手段にてイベントが発生したと判断されたときに、条件が成立したイベント状態定義情報と共にこのイベント状態定義情報の条件成立前のプロセス状態信号等を時系列に表す事故解析画面を作成する事故解析画面作成手段と、
前記事故解析画面を表示する表示手段と、を有することを特徴とする定検時燃料等取替作業監視装置。
【請求項2】
前記イベント判断手段へ事故解析画面の表示要求信号をオペレータの操作により任意に出力可能なオペレータ入出力処理手段を有し、
前記イベント判断手段が、前記表示要求信号を受けて事故解析画面作成手段へ事故解析画面の作成を要求する作成要求信号を出力するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の定検時燃料等取替作業監視装置。
【請求項3】
前記イベント判断手段に代えて、このイベント判断手段の機能の他に、イベントデータテーブルに保存されたイベント状態定義情報に関連するプロセス状態信号をプラント履歴テーブルから収集して前記イベント状態定義情報に組み合わせたイベント履歴情報を作成する機能を備えたイベント収集・判断手段が設けられ、
更に、作成されたイベント履歴情報を保存するイベント履歴テーブルと、
前記イベント収集・判断手段によりイベントの発生が判断されたときに、前記イベント履歴テーブルに保存されたイベント履歴情報に基づいてイベント状態の履歴を表すイベント履歴解析画面を作成するイベント履歴解析画面作成手段とを有し、
前記イベント履歴解析画面が表示装置に表示可能に構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の定検時燃料等取替作業監視装置。
【請求項4】
前記プラント履歴テーブル及びイベントデータテーブルの他に、過去の異常または事故発生時におけるイベント状態定義情報と異常または事故の原因と推奨対策とを含む過去イベント履歴情報を保存した事故原因知識データベースを有し、
更に、現在の燃料等取替作業についてイベント状態定義情報の条件が成立したときに、現在までに条件が成立したイベント状態定義情報と前記過去イベント履歴情報とを比較し、前記過去イベント履歴情報の条件が成立する場合に、この条件が成立した過去イベント履歴情報から異常または事故の原因と推奨対策を抽出してガイダンス画面作成手段へ通知する事故原因推定手段を有し、
前記ガイダンス画面作成手段が、前記事故原因推定手段から通知された異常または事故の原因と推奨対策を含むガイダンス画面を作成し、
このガイダンス画面が表示装置に表示可能に構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の定検時燃料等取替作業監視装置。
【請求項5】
前記イベントデータテーブルに保存されたイベント状態定義情報を編集可能なイベントデータテーブル編集手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の定検時燃料等取替作業監視装置。
【請求項6】
前記事故原因知識データベースに保存された過去イベント履歴情報を編集可能な事故原因知識データベース編集手段を有することを特徴とする請求項4に記載の定検時燃料等取替作業監視装置。
【請求項7】
燃料取替機の動作を制御する燃料取替機制御システムからのプラント情報に基づき、定検時における前記燃料取替機による燃料等の作業対象物の取替作業を監視する定検時燃料等取替作業監視方法であって、
前記プラント情報の状態量であるプロセス信号が記録可能に変換されたプロセス状態信号を一定周期で収集してプラント履歴テーブルに保存し、
燃料等取替作業の監視対象である監視ポイントでのプロセス状態信号が異常または事故であるイベントとなる条件を定義したイベント状態定義情報をイベントデータテーブルに保存し、
前記プラント履歴テーブル内のプロセス状態信号と前記イベントデータテーブル内のイベント状態定義情報とを比較して監視し、イベント状態定義情報の条件が成立してイベントが発生したか否かを判断し、
イベントが発生したと判断したときに、条件が成立したイベント状態定義情報と共にこのイベント状態定義情報の条件成立前のプロセス状態信号等を時系列に表す事故解析画面を作成して表示することを特徴とする定検時燃料等取替作業監視方法。
【請求項8】
前記事故解析画面の表示要求信号をオペレータの操作により任意に出力して、事故解析画面を作成し表示することを特徴とする請求項7に記載の定検時燃料等取替作業監視方法。
【請求項9】
前記イベントデータテーブルに保存されたイベント状態定義情報に関連するプロセス状態信号をプラント履歴テーブルから収集して前記イベント状態定義情報に組み合わせたイベント履歴情報を作成し、このイベント履歴情報をイベント履歴テーブルに保存し、
イベントの発生を判断したときに、前記イベント履歴テーブルに保存されたイベント履歴情報に基づいてイベント状態の履歴を表すイベント履歴解析画面を作成して表示することを特徴とする請求項7または8に記載の定検時燃料等取替作業監視方法。
【請求項10】
前記プラント履歴テーブル及びイベントデータテーブルの他に、過去の異常または事故発生時において条件が成立したイベント状態定義情報と異常または事故の原因と推奨対策とを含む過去イベント履歴情報を保存した事故原因知識データベースを用意し、
現在までの燃料等取替作業についてイベント状態定義情報の条件が成立している場合に、この条件が成立したイベント状態定義情報と前記過去イベント履歴情報とを比較し、条件が成立したイベント状態定義情報が一致しているときに、該当する過去イベント履歴情報から異常または事故の原因と推奨対策を抽出し、
この異常または事故の原因と推奨対策を含むガイダンス画面を作成して表示することを特徴とする請求項7または8に記載の定検時燃料等取替作業監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−88087(P2012−88087A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232994(P2010−232994)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】