説明

定油面器のリセット機構

【課題】リセットが確実に行える定油面器のリセット機構を提供するものである。
【解決手段】リセット釦12に一端を連結して、定油面器1が取り付けられた器具本体のベース板2を貫通し、ベース板2下方から器具本体の正面に他端を操作部20として突出させたロッド状のリセットレバー14を備え、更にこのリセットレバー14は、定油面器1に固定された支持板15の支持溝16に上部を挿通し、ベース板2に形成された長穴18を下部を貫通させたもので、この上方の支持溝16の終端部と下方の長穴18の一方の終端部とは、リセットレバー14の1本が通せる重合した位置関係としたので、上下の動きが左右にぶれることなくスムーズで、定油面器のリセット操作が確実に行われるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃焼バーナに燃油を供給するために常に一定量の燃油を貯溜する定油面器に関し、特に異常油面時のフロートのロックを解除するためのリセット機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の定油面器のリセット機構に於いては、リセットレバーを一枚の金属板で形成し、定油面器内のフロートもリセットレバーと一体の作動部で直接押し下げられるものであり、又この作動部が定油面器に支持されることで、リセットレバー全体がここで支持され、更にベース板下のリセットレバーには既存のネジが取り付けられて、これがストッパーの役目を果たすようにしたものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3667828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、部品点数が少なく構成も簡単で安価に提供されるものであるが、支持部がフロートを直接押し下げる作動部を定油面器内に保持することで行っているので、支持が不安定で安定せず、リセットレバーの押し下げ力が十分に伝わらず、しかも作動部が定油面器内で支持されていることで、リセットレバーのみが押し下げられ作動部が動かずリセットが出来ない不具合や、又作動部が上下動する関係で定油面器上面に貫通穴が開口しており、ここから定油面器内に塵が侵入する問題点や、更にリセットレバーは一枚板で形成されているがプレス作業が必要となり、以外と高くつくものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を解決するために、特にその構成を、油面に応じて上下動するフロートと、このフロートの上下動に連動して油の流入を制御する弁体と、油面が異常上昇した時はフロートがロック状態となって弁体が油の流入を常時停止し、このフロートのロックはバネによって常時上方に押し上げられているリセット釦を、バネ力に反して押し下げることでリセット釦下部に連結された作動ロッドがフロートのロックを解除する定油面器に於いて、前記リセット釦に一端を連結して、定油面器が取り付けられた器具本体のベース板を貫通し、ベース板下方から器具本体の正面に他端を操作部として突出させたロッド状のリセットレバーを備え、更にこのリセットレバーは、定油面器に固定された支持板の支持溝に上部を挿通し、ベース板に形成された長穴を下部を貫通させたもので、この上方の支持溝の終端部と下方の長穴の一方の終端部とは、リセットレバーの1本が通せる重合した位置関係として、該リセットレバーの遊びを極力なくすようにしたものである。
【0006】
又請求項2では、前記ベース板下方のリセットレバーには、段部を形成してリセットレバーの上方移動のストッパーとしたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のようにこの発明によれば、ロッド状のリセットレバーはリセット釦で支持され、支持板の支持溝の終端部と、ベース板の長穴の一方の終端部とを重合させて、上下でリセットレバーのロッドの周方向の動きが規制されるので、上下の動きが左右にぶれることなくスムーズで、定油面器のリセット操作が確実に行われるものであり、又定油面器に貫通穴もなく塵が混入する心配はなく常に安心して使用出来、更にこのリセットレバーは1本のロッドで形成され曲げ加工されているが、曲げ加工は極めて容易で安価であり、ロッド自体も安いので安価に提供されるものである。
【0008】
又請求項2によれば、ベース板下方のリセットレバーには段部を形成してストッパーとしているので、別部材で形成する必要がなく簡単で確実であり、的確にリセットレバーの上昇を規制し常にリセット可能状態を維持することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態の定油面器の概略構成図。
【図2】同詳細な斜視図。
【図3】同要部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態の定油面器について図面に基づいて説明する。
1は一定量の油を貯溜する定油面器で、燃焼器具本体等のベース板2上に備えられており、内部には油面に応じて上下動するフロート3と、このフロート3の上下動に連動して油の流入口4を開閉する開閉弁5と、異常油面上昇時にフロート3上面の磁性金属製のアーム6を磁力で吸着し、開閉弁5で流入口4を強制的に閉口させる磁石7とが備えられている。
【0011】
前記定油面器1の上蓋8上には、該定油面器1内の油を燃焼バーナ(図示せず)に適宜供給する電磁ポンプ9が取り付け板10を介して取り付けられており、更にフロート3と対向する上蓋8上には常時バネ11によって上方へ押し上げられているリセット釦12が設けられ、このリセット釦12はバネ11に反して押し下げられることで、磁石7に吸着されたアーム6を作動ロッド13が押し下げて該磁石7から引き離して、強制的に定油面器1にリセットをかけるようにしたものである。
【0012】
14はロッド状のリセットレバーで、上部は電磁ポンプ9を固定した取り付け板10から延長されリセット釦12を貫通させた支持板15の支持溝16に支持され、その上端部には前記貫通したリセット釦12を係止する係止部17を形成しており、下部はベース板2に形成された長穴18を貫通し、該ベース板2下方で長穴18より長く段状に屈曲して上動を規制するストッパー19とすると共に、最下端部はベース板2より前方へ突出し折り返して操作部20を形成しているものである。
【0013】
前記支持板15の支持溝16とベース板2の長穴18とは上下で重合する位置に形成され、更に上方の支持溝16の終端部と下方の長穴18の一方の終端部とは、リセットレバー14のロッド1本のみを垂直に通せる重合した位置関係としており、リセットレバー14の周方向の遊びを極力なくして上下動がスムーズに行われ左右にぶれないようにしたものである。
【0014】
次にこの一実施形態を示す定油面器のリセット機構の作動について説明する。
今定油面器1内の油面が何らかの原因で異常上昇し、安全装置であるフロート3のアーム6が磁石7に吸着されて、他方の開閉弁5で流入口4を強制的に閉口して、油の漏れ出しを自動的に阻止し、その後、異常上昇の原因が排除されリセット動作するものである。
【0015】
このリセットはリセットレバー14で行われるもので、操作部20がベース板2よりも前方に突出しているので、器具本体の前板を取り外したり、指穴に指を入れて操作するなどの煩わしい作業をする必要がなく、操作部20を持ってリセットレバー14を引き下げることで、該リセットレバー14は支持溝16と長穴18の2点で重合して支持されているので、支持部が変動せず垂直のままの状態で引き下げられ、上端部のリセット釦12に係止した係止部17が該リセット釦12といっしょに下降し、作動ロッド13が磁石7に吸着されているフロート3を強制的に切り離して流入口4を開口してリセットが完了するものである。
【0016】
又リセットレバー14は引き下げ後、操作部20から手を離せば、リセット釦12のバネ11の反発力で自動的に元に戻るものであり、更にベース板2下方のリセットレバー14には段部からなるストッパー19が形成され、リセットレバー14の上動が規制されるので、上動によって係止部17の係止が外れたりリセットレバー14が変形することが防止されるものであり、又このストッパー19はリセットレバー14自身を屈曲して形成しているから、別部材が必要なく構成が簡単で確実であり安心して使用出来るものである。
【0017】
一方リセットレバー14の引き下げ時の支持は、上方の支持溝16の終端部と下方の長穴18の一方の終端部が重合し、リセットレバー14のロッドを挟み込むようにして垂直に支持することにより、リセットレバー14は左右にぶれたり遊び動くことがなく真っ直ぐに引き下げられ確実にリセット釦12を押し下げることが出来るものであり、従来品のようにリセットレバーが斜めに引き下げられることで、上部が上向きに傾いて作動部がフロートを押し下げることが出来なくなる不具合がなく、常に確実に定油面器1をリセットすることが出来るものであり、リセットレバー14の組み付けを容易にしながらその支持を良好なものにしたものである。
【0018】
更に支持板15は電磁ポンプ9を定油面器1の上蓋8に取り付ける取り付け板10を延長したものなので、特別なものを用意する必要がなく、極めて安価で部品点数も少なくて済むものであり、取り付けも強固で外れる心配もいらないものである。
【符号の説明】
【0019】
1 定油面器
2 ベース板
3 フロート
11 バネ
12 リセット釦
13 作動ロッド
14 リセットレバー
15 支持板
16 支持溝
18 長穴
19 ストッパー
20 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油面に応じて上下動するフロートと、このフロートの上下動に連動して油の流入を制御する弁体と、油面が異常上昇した時はフロートがロック状態となって弁体が油の流入を常時停止し、このフロートのロックはバネによって常時上方に押し上げられているリセット釦を、バネ力に反して押し下げることでリセット釦下部に連結された作動ロッドがフロートのロックを解除する定油面器に於いて、前記リセット釦に一端を連結して、定油面器が取り付けられた器具本体のベース板を貫通し、ベース板下方から器具本体の正面に他端を操作部として突出させたロッド状のリセットレバーを備え、更にこのリセットレバーは、定油面器に固定された支持板の支持溝に上部を挿通し、ベース板に形成された長穴を下部を貫通させたもので、この上方の支持溝の終端部と下方の長穴の一方の終端部とは、リセットレバーの1本が通せる重合した位置関係として、該リセットレバーの遊びを極力なくすようにした事を特徴とする定油面器のリセット機構。
【請求項2】
前記ベース板下方のリセットレバーには、段部を形成してリセットレバーの上方移動のストッパーとした事を特徴とする請求項1記載の定油面器のリセット機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−37100(P2012−37100A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175872(P2010−175872)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】