説明

定着装置及びそれを有する画像形成装置

【課題】定着剤液の起泡性を損なわないと共に、定着剤液の長期保存中における軟化剤の化学的分解を遅くして、定着液の保存安定性を飛躍的に向上させることにより、定着不良の発生を防止した定着装置を低コストで提供する。
【解決手段】記録媒体15上に形成された未定着トナー16をフォーム状定着液で定着させる定着装置20において、前記定着液保存容器3が、前記定着液をフォーム状定着液で構成するトナーの少なくとも一部を溶解又は膨潤させて軟化させる脂肪族エステルを含有する軟化剤液を密封した軟化剤液密封容器1と、前記定着液を構成するアニオン系界面活性剤を含有する起泡剤液を密封する起泡剤液密封容器2と、とにそれぞれ分けて設けられ、かつ、前記軟化剤液密封容器1は、金属膜をラミネートして形成した樹脂容器、ガラス容器、又は、金属容器で構成されているものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、トナーを軟化、膨潤させる軟化剤を含む定着液を記録媒体の表面に塗布して、トナーを該記録媒体に定着させる定着装置及びそれを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置は、紙、布、OHP用シート等の記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式による画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるので、オフィスで広く使用されている。このような電子写真方式による画像形成装置においては、記録媒体の表面にトナーを加熱して溶融させ、この溶融させたトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体の表面に定着させる熱定着方式によるものが広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるので、斯界で広く採用されている。
【0003】
しかしながら、このような電子写真方式による画像形成装置における消費電力の約半分以上は、トナーを熱定着させる際に、トナーを加熱することに消費されている。一方、近年における環境問題の対策の観点からは、低消費電力化(省エネルギー化)された定着装置が望まれている。即ち、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着装置、又は、トナーを加熱することを必要としない非加熱定着装置、が求められている。特に、トナーを全く加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着装置は、低消費電力の観点から、理想的な定着装置とされている。
【0004】
このような非加熱定着装置としては、例えば、トナーを溶解させるか又は膨潤させるが水に不溶又は難溶である有機化合物を水に分散混合させた水中油滴型の定着剤を、未定着のトナーを所定位置に配設した被定着物の表面に、噴霧するか又は滴下して、トナーを溶解させるか又は膨潤させた後、該被定着物を乾燥させるトナーの湿式定着装置(特許文献1を参照。)が提案されている。
【0005】
しかしながら、前記湿式定着装置においては、水に不溶又は難溶な有機化合物を水に分散混合させた水中油滴型の定着剤が用いられるので、多量の定着剤を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(被定着物)が定着剤における水分を吸収し、そのために、記録媒体にシワやカールが発生し、よって、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なう、という問題があった。そこで、乾燥装置を用いて、定着剤に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着剤から水分を除去することが考えられるが、定着剤に含まれる多量の水を蒸発させようとすると、熱定着方式による画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とする、という問題があった。
【0006】
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒にトナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が、提案されている。このような定着液の一つとして、例えば、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる脂肪族二塩基酸エステルを不揮発性のジメチルシリコーン(溶媒)で希釈した(溶解した)定着液(特許文献2を参照。)が提案されている。また、静電気的方法で形成された未定着画像を画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に受像シート上に固着できる定着装置に用いる定着用溶液として、トナーを溶解し、かつ、シリコーンオイルに溶解する溶剤100容量に対して、シリコーンオイル8〜120容量部を混合した「相溶状態の未定着トナー画像の定着用溶液」(特許文献3を参照。)が提案されている。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含んでいるので、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解又は膨潤させて、トナーを記録媒体に定着させることができる。
【0007】
さらに、定着液をフォーム状にし、該定着液体の密度を下げて、該定着液の表面張力の影響をなくすことにより、従来よりも極微量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着する定着装置(特許文献4を参照。)が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記した定着装置は、いずれも、定着液を未定着トナー層に付与するものではあるが、図9(a)に示すように、接触付与手段として定着液塗布ローラ201を用いて、記録媒体203における未定着トナー層205の表面に定着液204を塗布する、定着装置210においては、定着液204が記録媒体203に微量に付与されるので、塗布ローラ201の表面における定着液層204の厚みが未定着トナー層205よりも薄くなる場合には、図9(b)に示すように、塗布ローラ201が記録媒体203から剥離する位置において、定着液塗布ローラ201の表面における定着液204の液膜によって生じる表面張力によって、未定着トナー粒子が引っ張られてしまい、そのために、定着液塗布ローラ201の表面にトナー粒子が付着し、よって、記録媒体203の表面に形成された画像が大幅に乱れてしまう、という問題があった。
【0009】
逆に、定着液塗布ローラ201上の定着液層204の厚みを未定着トナー層205よりも十分厚くすると、定着液塗布ローラが記録媒体203から剥離する位置では、定着液204の液量が多くなるので、定着液塗布ローラ201の表面の定着液204の液膜による表面張力が直接トナー粒子に作用しにくくなり、そのために、定着液塗布ローラ201の側にトナーが付着しなくなるが、記録媒体203の面に多量の定着液204が塗布されるので、記録媒体203の表面上で過剰な定着液によりトナー粒子が流され画質劣化を生じたり、乾燥時間が長くなって定着応答性が低下する、という問題があった。また、記録媒体203に著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する、という問題があった。また、紙等のセルロースを含有する記録媒体203への定着液204の塗布量が多くなる場合には、記録媒体203が定着液204に含有される水によって著しくカールされるので、画像形成装置210内において記録媒体203が搬送される際に、紙ジャムが発生する、という問題があった。
【0010】
したがって、このような定着液塗布ローラ201によって定着液204を記録媒体(記録紙)203に塗布する画像形成装置210においては、定着応答性向上や残液感低減やカール防止ための記録紙上のトナー層への定着液微量塗布と定着ローラへのトナーオフセット防止を両立することが極めて難しい。接触による定着液塗布手段として、ダイコート手段やブレード塗布手段やワイヤーバー塗布手段を用いた場合も、定着液が微量になると接触塗布手段に表面張力でトナーが付着してしまうので、画像劣化が生じる。
【0011】
以上のように、従来の画像形成装置210においては、定着応答性を向上するための記録媒体203上の未着トナー層205へ定着液204を微量に塗布すると共に、トナー画像を乱さず均一塗布することは、極めて難しい、という問題があった。かかる問題は、記録媒体上の未着トナー層に限って起こる問題ではなく、記録媒体上における未着トナー層に定着液を付与する画像形成装置では、どの画像形成装置でも生じる問題点であった。
【0012】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために、記録媒体の表面にフォーム状定着液による極微量の定着液を塗布して、記録媒体(記録紙)における残液感を抑制すると共に、該記録媒体の表面に形成されたトナー画像を乱すことなく良好な定着ができる、定着装置(特許文献5を参照。)を提案した。前記フォーム状定着液に適する起泡剤としては、一般にアニオン系界面活性剤が適する。このアニオン系界面活性剤の起泡性を最大限に発揮するのは、液のpHが7以上の弱アルカリ性領域である。一方、定着液中におけるトナーを構成する樹脂を軟化する軟化剤は、エステル基を有しているものであるが、これらの軟化剤は、pHが7以上のアルカリ性領域でエステル基が加水分解を起こすので、該軟化剤が化学的に分解してしまい、そのために、軟化剤としての能力が失われる。そこで、定着液の起泡性を重視して液のpHを7以上としたが、前記定着液の長期保存中において、前記軟化剤が定着剤液容器内で化学的に分解したので、前記定着液の定着性能がなくなり、そのために、定着装置としての信頼性が得られなくなる、という問題があった。前記定着液におけるpHを6以下の弱酸性とすると、軟化剤の化学的分解は抑制されるが、起泡剤の能力が低下するので、定着液のフォーム化がうまくいかなくなり、そのために、泡膜の形成が劣化し、よって、定着不良を発生させてしまう、という問題があった。
【0013】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0014】
即ち、本発明は、定着剤液の起泡性を損なわないと共に、定着剤液の長期保存中における軟化剤の化学的分解を遅くして、定着液の保存安定性を飛躍的に向上させることにより、定着不良の発生を防止した定着装置、及び、それを有する画像形成装置を低コストで提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、定着液を保存する定着液保存容器、前記定着液をフォーム化させるフォーム状定着液形成手段、前記フォーム状定着液形成手段で形成されたフォーム状定着液を記録媒体の表面に塗布するフォーム状定着液塗布ローラ、前記フォーム状定着液塗布ローラの表面に塗布されたフォーム状定着液の泡膜厚を制御する泡膜厚制御ブレード、及び、前記フォーム状定着液塗布ローラに対向して配置された対向ローラを有する定着装置において、
(イ)前記定着液保存容器が、前記定着液を構成するトナーの少なくとも一部を溶解又は膨潤させて軟化させる脂肪族エステルを含有する軟化剤液を密封した軟化剤液密封容器と、前記定着液を構成するアニオン系界面活性剤を含有する起泡剤液を密封する起泡剤液密封容器と、とにそれぞれ分けて設けられ、かつ、
(ロ)前記軟化剤液密封容器が、金属膜をラミネートして形成した樹脂容器、ガラス容器、又は、金属容器で構成されている
ことを特徴とする定着装置である。
【0016】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有することを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された、攪拌羽根を設けた、定着液混合部と、前記定着混合部に配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有することを特徴とするものである。
【0018】
請求項4に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された、軟化剤液流路から送られた軟化剤液と起泡剤流路から送られた起泡剤液とを混合する混合流路を設けた、定着液混合部と、前記定着混合部に配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有することを特徴とするものである。
【0019】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載された発明において、前記軟化剤液流路から送られた軟化剤液の供給圧力P1と前記起泡剤流路から送られた起泡剤液の供給圧力P2とが、前記パイプの径を変えることによって、同一とされていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項6に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された攪拌羽根を設けた定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有することを特徴とするものである。
【0021】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載された発明において、前記定着装置に装着された前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器に軟化剤液供給口部及び起泡剤液供給口部がそれぞれ設けられ、前記軟化剤液供給口部及び前記起泡剤液供給口部にゴムで構成された封止部がそれぞれ設けられ、かつ、前記軟化剤液供給口部及び起泡剤液供給口部における封止部に差し込んで前記軟化剤液及び前記起泡剤液をそれぞれ排出する中空針が、前記軟化剤液供給口部及び起泡剤液供給口に接続する軟化液供給パイプ及び起泡剤液軟化液供給パイプにそれぞれ設けられている
ことを特徴とするものである。
【0022】
請求項8に記載された発明は、記録媒体の表面に未定着トナー画像を形成する未定着トナー画像形成手段と、前記未定着トナー画像を泡状定着液で定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、前記定着手段として、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置が設けられていることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載された発明によれば、定着液を保存する定着液保存容器、前記定着液をフォーム化させるフォーム状定着液形成手段、前記フォーム状定着液形成手段で形成されたフォーム状定着液を記録媒体の表面に塗布するフォーム状定着液塗布ローラ、前記フォーム状定着液塗布ローラの表面に塗布されたフォーム状定着液の泡膜厚を制御する泡膜厚制御ブレード、及び、前記フォーム状定着液塗布ローラに対向して配置された対向ローラを有する定着装置において、(イ)前記定着液保存容器が、前記定着液を構成するトナーの少なくとも一部を溶解又は膨潤させて軟化させる脂肪族エステルを含有する軟化剤液を密封した軟化剤液密封容器と、前記定着液を構成するアニオン系界面活性剤を含有する起泡剤液を密封する起泡剤液密封容器と、とにそれぞれ分けて設けられ、かつ、(ロ)前記軟化剤液密封容器が、金属膜をラミネートして形成した樹脂容器、ガラス容器、又は、金属容器で構成されているので、起泡剤を含有した水性液(pH=7〜9)と軟化剤を含有した水性液を保存中は独立した状態で保存し、定着稼動時に、前記2つの液を十分に混合泡化するか又は前記2つの液を混合後に十分泡化して、これらの泡のプラトー境界に軟化剤が均一に溶解するか又は分散したフォーム状定着液とすることができ、そのために、定着剤液の起泡性を損なわないと共に、定着剤液の長期保存中における軟化剤の化学的分解を遅くして、定着液の保存安定性を飛躍的に向上させることにより、定着不良の発生を防止した定着装置を低コストで提供することができる。
【0024】
請求項2に記載された発明によれば、前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有しているので、均一に泡化されたフォーム状定着液の泡膜を未定着トナー層に付与することができ、そのために、定着液を該未定着トナー層に均一に付与することができ、よって、該未定着トナー層を記録媒体の表面に安定して定着させることができる。
【0025】
請求項3に記載された発明によれば、前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された、攪拌羽根を設けた、定着液混合部と、前記定着混合部に配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有しているので、前記定着液混合部に設けられた攪拌羽根で前記軟化剤液及び前記起泡剤液を均一に混合することができ、そのために、いっそう均一に泡化されたフォーム状定着液の泡膜を未定着トナー層に付与することができ、よって、定着液を該未定着トナー層に均一に付与して該未定着トナー層を記録媒体の表面により安定して定着させることができる。
【0026】
請求項4に記載された発明によれば、前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された、軟化剤液流路から送られた軟化剤液と起泡剤流路から送られた起泡剤液とを混合する混合流路を設けた、定着液混合部と、前記定着混合部に配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有しているので、
前記混合流路を設けた定着液混合部において前記軟化剤液及び前記起泡剤液を均一に混合することができ、そのために、いっそう均一に泡化されたフォーム状定着液の泡膜を未定着トナー層に付与することができ、よって、定着液を該未定着トナー層に均一に付与して該未定着トナー層を記録媒体の表面により安定して定着させることができる。
【0027】
請求項5に記載された発明によれば、前記軟化剤液流路から送られた軟化剤液の供給圧力P1と前記起泡剤流路から送られた起泡剤液の供給圧力P2とが、前記パイプの径を変えることによって、同一とされているので、前記軟化剤液流路おける流体抵抗及び起泡剤液流路の流体抵抗に対して、前記混合液流路の流体抵抗を小さくすることができ、そのために、前記混合液流路における定着液の流速が速くなって乱流が形成されることとなり、よって、前記起泡剤液と前記軟化剤液とが十分に混合されることとなる。
【0028】
請求項6に記載された発明によれば、前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された攪拌羽根を設けた定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有しているので、定着液バブリング槽に設けられた攪拌羽根で前記軟化剤液及び前記起泡剤液を均一に混合してバブリングすることにより泡化された泡のプラトー境界において軟化剤を均一にすることができ、そのために、いっそう均一に泡化されたフォーム状定着液の泡膜を未定着トナー層に付与することができ、よって、定着液を該未定着トナー層に均一に付与して未定着トナー層を記録媒体の表面により安定して定着させることができる。
【0029】
請求項7に記載された発明によれば、前記定着装置に装着された前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器に軟化剤液供給口部及び起泡剤液供給口部がそれぞれ設けられ、前記軟化剤液供給口部及び前記起泡剤液供給口部にゴムで構成された封止部がそれぞれ設けられ、かつ、前記軟化剤液供給口部及び起泡剤液供給口部における封止部に差し込んで前記軟化剤液及び前記起泡剤液をそれぞれ排出する中空針が、前記軟化剤液供給口部及び起泡剤液供給口に接続する軟化液供給パイプ及び起泡剤液軟化液供給パイプにそれぞれ設けられているので、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器からなる定着液保存容器の装着及び取り外しを容易におこなうことができ、そのために、前記軟化剤液及び前記起泡剤液の補充を容易に行うことができる。
【0030】
請求項8に記載された発明によれば、記録媒体の表面に未定着トナー画像を形成する未定着トナー画像形成手段と、前記未定着トナー画像を泡状定着液で定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、前記定着手段として、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置が設けられているので、均一に泡化されたフォーム状定着液の泡膜を未定着トナー層に付与することができ、そのために、定着液を該未定着トナー層に均一に付与することができ、よって、該未定着トナー層を記録媒体の表面に安定して定着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態を示す定着装置の説明図である。
【図2】本発明の他の一実施の形態を示す定着装置の説明図である。
【図3】本発明の他の一実施の形態を示す定着装置の説明図である。
【図4】図3における定着液混合部の一実施の形態を示す拡大説明図である。
【図5】図3における定着液混合部の拡大説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示す定着装置の説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態を示す定着装置における軟化剤液密封容器及び起泡剤液密封容器からなる定着液保存容器に中空針を介してつなげる状態を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態を示す画像形成装置の説明図であって、(a)は、カラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置の概略説明図であり、そして、(b)は、前記(a)における画像形成装置を構成する画像形成ユニットの概略説明図である。
【図9】従来の装置おいて生じたオフセットの様子を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明者らは、pHが7〜9の状態で最も起泡性に優れるアニオン系界面活性剤、特に、脂肪酸塩を含有した水性の液とエステル基を有する軟化剤を含有した水性の液とを混合しておくと、長期の保存中に、軟化剤が加水分解により化学的に分解することを見出した。そこで、本発明者らは、この問題の解決手段として、保存容器中では、起泡剤を含有した水性液(pH=7〜10)と軟化剤を含有した水性液とを独立した状態で保存しておいて、容器内又は定着装置内にて定着装置の稼動と共に、これらの水性液を混合し直ちに泡化してフォーム状定着液を作製した後、媒体に付着した未定着のトナーなどの樹脂微粒子層に付与することを試みた。
【0033】
しかしながら、単に起泡剤を含有した水性液(pH=7〜9)と軟化剤を含有した水性液とを混合しても、これらの水溶液を十分に混合せずに泡化を行うと、フォーム密度の高い泡や軟化剤は、不均一に分布したフォーム状定着液となり、画像抜けや定着不良となることがわかった。かかる画像抜けや定着不良は、単に2つの液を混合するだけの問題ではなく、2つの液の混合直後又は同時に液を泡化する場合の特有の問題点であることもわかった。この事実は、従来技術からは容易に類推できるものではない。
【0034】
そして、本発明者らは、前記軟化剤を含有した軟化剤液をポリエチレン容器とガラス容器にそれぞれ入れて、60℃に加温して軟化剤の加水分解を試験したところ(加熱による加速試験)、ガラス容器に入れた軟化剤が圧倒的に分解しないことを見出した。
【0035】
本発明において用いる軟化剤は、主としてエステル系化合物である。例えば、直鎖の脂肪酸エステル系化合物の加水分解は、式(1)のごとく発生する。
1 COOR2 +H2 O → R1 COOH+R2 OH (1)
式(1)のごとく、脂肪酸エステルは、加水分解されて有機酸と1価のアルコールになる。この反応は、可逆で式(2)のようになる。
1 COOR2 +H2 O ⇔ R1 COOH+R2 OH (2)
式(2)の左側のR1COOR2のモル濃度と右側のR1 COOHとR2 OHのモル濃度が多いほうに反応は進む。逆に言うと左側と右側のモル濃度が等しいと反応は平衡状態となり見かけ上反応が止まったようになる。
式(2)において、仮に、R1 COOH又はR2 OHは、揮発性が高く、かつ、該軟化剤を保持した容器が気体を透過する性質があると、式(2)の右側のモル濃度が低下し、R1COOR2の加水分解が進行を続けてしまう。
【0036】
本発明者らは、これらの事実をふまえて探求したところ、前記軟化剤を保持した容器内の軟化剤液のpHを7以下として元々加水分解をし難くくすることが必要であるのみならず、徐々にではあるが加水分解した際に発生する分解物(式(2)の右側)が容器から逃げ出してしまうのを防止する必要があることを見出した。
【0037】
したがって、フォーム状定着液を用いた定着装置における軟化剤を含有した軟化剤液を保持した定着液容器は、好ましくは、前記軟化剤の加水分解物に対して透過性のない容器である。例えば、前記軟化剤がコハク酸ジエトキシエトキシエチルである場合には、加水分解物であるジエチレングリコールモノエチルエーテルを透過しない容器、前記軟化剤が炭酸プロピレンである場合には、炭酸ガス及びプロピレングリコールを透過しない容器、、および、前記軟化剤がトリエチレングリコールジアセテートである場合には、トリエチレングリコール及び酢酸を透過しない容器が好ましい。
【0038】
上記分解物が透過しない容器の素材は、好ましくは、金属(例えば、アルミニウム合金)やガラスである。ただし、これらの素材は、重いので、形状が制限される。それ故、本発明における容器の素材は、好ましくは、樹脂膜にアルミニウム薄膜をラミネートした素材である。アルミニウム薄で構成されるのアルミニウム層は、好ましくは、電鋳メッキ法や真空蒸着法を用いて樹脂フィルム面にアルミニウム層で形成するか、又は、前記アルミニウム層に別の樹脂フィルムで熱ラミネートして形成する。
【0039】
前記定着液は、希釈媒としての水と樹脂を軟化させる軟化剤と定着液をフォーム化させる起泡剤を含有する。本発明者らは、樹脂微粒子、特に、電子写真記録技術に用いるトナー粒子に用いる樹脂の代表としてポリエステル樹脂やスチレン・アクリル樹脂に対し、エステル基を持つ有機溶剤が、樹脂軟化性に優れていることを見いだした。例えば、2塩基酸エステルや、脂肪酸アルコキシアルキルや炭酸プロピレンなどの環状エステルやクエン酸エステルなどは、トナー樹脂軟化性に特に優れている。一方、これらのエステル基を有する有機溶剤は、一般に、水中で加水分解しやすいことが知られている。特に、水のpHが8以上のアルカリ性水中で、加水分解が促進される。これは、アルカリ性水に含まれる塩基性部材(ナトリウムイオン、カリウムイオン、アミンなど)の触媒作用によるためである。そこで、水中でこれらの塩基性部材を中和し、若干、酸が多めとなる弱酸性状態とすると、エステルの加水分解を飛躍的に抑制できる。
【0040】
一方、フォーム状定着液を作製するために欠かせない起泡剤として、アニオン系界面活性剤、特に、ミリスチン酸アミンなどの脂肪酸塩は、水のpH:7〜10の範囲の弱アルカリ性領域で、最も起泡性が高くなる。その理由は、前記脂肪酸塩が弱アルカリ性領域で解離し、前記脂肪酸が水に溶解しやすくなって、脂肪酸ミセルを作りやすくなるので、泡のプラトー境界が保持できるためである。逆にいうと、弱酸水中では、前記脂肪酸塩は、解離することができず、所謂酸性石鹸のごとく不溶化してしまって、ミセルの形成ができなくなるので、起泡性が極端に悪くなる。
【0041】
このように、定着液中の起泡剤の起泡力を高めるには、定着液は、弱アルカリ性のものが好ましいが、定着液中の軟化剤の化学的分解を抑制するには、定着液は、弱酸性のものが好ましい。そこで、本発明者らは、この相反する問題を解決するため、定着液中の起泡剤と水を含有し弱アルカリ性としたものと、水を含まない又は水を含んでもpH:6〜7に保たれた状態で軟化剤を含有する液とを分離独立した状態で保持し、定着稼動時に2つの液を混合し、直後又は同時に泡化を行いフォーム状定着液を作製し、紙などの媒体上の未定着トナー画像にフォーム状定着液を付与し画像の定着を行う技術を見出した。本発明は、かかる技術に基づくものである。
【0042】
したがって、図1に示されているように、本発明の定着装置20は、定着液を保存する定着液保存容器3、前記定着液をフォーム化させるフォーム状定着液形成手段10c、前記フォーム状定着液形成手段10cで形成されたフォーム状定着液を記録媒体15の表面に塗布するフォーム状定着液塗布ローラ12、前記フォーム状定着液塗布ローラ12の表面に塗布されたフォーム状定着液の泡膜厚を制御する泡膜厚制御ブレード14、及び、前記フォーム状定着液塗布ローラ12に対向して配置された対向ローラ13を有している。そして、前記定着装置20においては、(イ)前記定着液保存容器3は、前記定着液を構成するトナーの少なくとも一部を溶解又は膨潤させて軟化させる脂肪族エステルを含有する軟化剤液を密封した軟化剤液密封容器1と、前記定着液を構成するアニオン系界面活性剤を含有する起泡剤液を密封する起泡剤液密封容器2と、とにそれぞれ分けて設けられ、かつ、(ロ)前記軟化剤液密封容器1は、金属膜をラミネートして形成した樹脂容器、ガラス容器、又は、金属容器で構成されている。
【0043】
このように、定着液を保存する定着液保存容器3、前記定着液をフォーム化させるフォーム状定着液形成手段10c、前記フォーム状定着液形成手段10cで形成されたフォーム状定着液を記録媒体15の表面に塗布するフォーム状定着液塗布ローラ12、前記フォーム状定着液塗布ローラ12の表面に塗布されたフォーム状定着液の泡膜厚を制御する泡膜厚制御ブレード14、及び、前記フォーム状定着液塗布ローラ12に対向して配置された対向ローラ13を有する定着装置20において、(イ)前記定着液保存容器3が、前記定着液を構成するトナーの少なくとも一部を溶解又は膨潤させて軟化させる脂肪族エステルを含有する軟化剤液を密封した軟化剤液密封容器1と、前記定着液を構成するアニオン系界面活性剤を含有する起泡剤液を密封する起泡剤液密封容器2と、とにそれぞれ分けて設けられ、かつ、(ロ)前記軟化剤液密封容器1が、金属膜をラミネートして形成した樹脂容器、ガラス容器、又は、金属容器で構成されていると、起泡剤を含有した水性液(pH=7〜9)と軟化剤を含有した水性液を保存中は独立した状態で保存し、定着稼動時に、前記2つの液を十分に混合泡化するか又は前記2つの液を混合後に十分泡化して、これらの泡のプラトー境界に軟化剤が均一に溶解するか又は分散したフォーム状定着液とすることができ、そのために、定着剤液の起泡性を損なわないと共に、定着剤液の長期保存中における軟化剤の化学的分解を遅くして、定着液の保存安定性を飛躍的に向上させることにより、定着不良の発生を防止した定着装置を低コストで提供することができる。
【0044】
本発明においては、起泡剤を含有する定着液(本明細書においては、「起泡剤液」という。)と軟化剤を含有する液(本明細書においては、「定着剤液」という。)とは、それぞれ、容器に分けて保持される。前記起泡剤液は、起泡剤と増泡剤と希釈媒としての水とpH調整剤とが含有されている。前記起泡剤は、好ましくは、アニオン系界面活性剤であり、さらに好ましくは、脂肪酸塩である。前記脂肪酸塩としては、脂肪酸アミン塩が好ましい。前記脂肪酸は、好ましくは、炭素数12、14、16、18の脂肪酸であって、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸から選ばれる少なくとも一種の脂肪酸である。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩やアミン塩がよく、特に、トリエタノールアミン塩やジエタノールアミン塩が好ましい。増泡剤としては、脂肪酸アルカノールアミドがある。前記脂肪酸アルカノールアミドには、(1:1)型と(1:2)型とがあるが、本発明における増泡剤としては、(1:1)型のものが適する。さらに、増泡剤として、多価アルコール類、特に、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びグリセリンなどを単独もしくは混合して用いることがこのましい。定着液のpHを7〜10の弱アルカリ性に維持するためのpH調整剤としてはアミン類が適する。
【0045】
一方、軟化剤液は、軟化剤単独でもよいが、加水分解をより抑制するため増泡剤成分である多価アルコール類、特に、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びグリセリンを単独又は複数含有することも望ましい。また、若干の水を含有しておくと引火性が低減し危険物扱いにならずにすむ利点がある。水を含有する場合、軟化剤液のpHは6から7の弱酸に設定することが望ましい。但し、起泡剤液と軟化剤液を混合した際、混合液全体のpHは7以下とならない程度に弱酸とするためのpH調整剤の濃度を設定することが望ましい。軟化液中のpH調整剤としては、有機酸が望ましく、乳酸、クエン酸、リンゴ酸及びそれらのナトリウム塩やカリウム塩などが適する。
【0046】
図1に示されているように、本発明の定着装置20においては、前記フォーム状定着液形成手段10aは、前記軟化剤液密封容器1及び前記起泡剤液密封容器2にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽6と、前記定着液バブリング槽6に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプ7と、前記バブリング槽6に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置8と、前記フォーム状定着液形成装置8に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラ12の表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置9と、を有している。このように、前記フォーム状定着液形成手段10aが、前記軟化剤液密封容器1及び前記起泡剤液密封容器2にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽6と、前記定着液バブリング槽6に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプ7と、前記バブリング槽6に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置8と、前記フォーム状定着液形成装置8に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラ12の表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置9と、を有していると、均一に泡化されたフォーム状定着液の泡膜を未定着トナー層に付与することができ、そのために、定着液を該未定着トナー層に均一に付与することができ、よって、該未定着トナー層を記録媒体の表面に安定して定着させることができる。
【0047】
前記定着装置20においては、前述したように、定着液は、軟化剤液密封容器1と起泡剤液密封容器2とに分離して保存されている。前記定着装置20の稼動時には、液搬送ポンプ4,4にて軟化剤液と起泡剤液とを所望の混合比となるように供給し、バブリング槽10に送って、前記軟化剤液と起泡剤液とを混合する。前記バブリング槽2に前記軟化剤液と起泡剤液とが到達するタイミングで空気ポンプ7を作動させて、前記軟化剤液と起泡剤液との混合液をバブリングさせることにより、定着液を泡状にする。このときの泡は、目視でもわかるくらいの大きな泡であるが、この大きな泡は、前記空気ポンプからの空気圧により泡にせん断力を加えて細かな泡とする手段(図2では、2重円筒部材)に送られてフォーム状定着液を形成する。このフォーム状定着液は、フォーム状定着液塗布ローラ12に密接させた泡膜厚制御ブレード14へ供給されて、害フォーム状定着液塗布ローラ12上に所望の泡膜を形成する。前記フォーム状定着液塗布ローラ12とそれに対峙する加圧ローラ13との間に未定着トナー画像が形成された記録媒体を通して、フォーム状定着液の泡膜を未定着トナーに付与しすることにより、定着液中の軟化剤でトナーを構成する樹脂を軟化し、トナー画像を記録媒体に定着する。
【0048】
前記定着装置20においては、パイプやバブリング槽6や微細泡形成装置8では、起泡剤液と軟化剤液とは混合されているので、これらの混合液を長期間にわたり放置しておくと、軟化剤の化学的分解が起こる。したがって、定着終了時又は定着開始時に、軟化剤液密封容器1及び起泡剤液密封容器2から微細泡吐出装置9までの流路内の定着液を廃棄しておくことが望ましい。さらに、定着液の廃棄により定着液が無駄に消費されるので、軟化剤液密封容器1及び起泡剤液密封容器2から微細泡吐出装置9までの流路内の容積は極力小さいことが望ましい。
【0049】
起泡剤液と軟化剤液とは、十分均一に混合されないと、混合後の泡化の際に起泡性が悪くなって、フォーム状定着液の密度が所望の値よりも高くなるので、泡膜形成ができなくなる恐れがある。また、軟化剤が泡のプラトー境界にて不均一に分布し、定着が不均一になる恐れがある。
図1のごとく、バブリングの振動によって軟化剤液と起泡剤液とを混合する構成もよいが、混合時の液どうしの均一性を高めるために、図2に示されているように、軟化剤液と起泡剤液とを混合する際に撹拌機構を設けることが望ましい。この図では、回転する撹拌羽根を混合容器内に組み込み、泡化バブリングを行う前に十分に起泡剤液と軟化剤液を撹拌して均一に混合する構成としてある。撹拌の仕方としては、そのほかに、超音波振動などが望ましい。
【0050】
したがって、図2に示されているように、前記フォーム状定着液形成手段10bが、前記軟化剤液密封容器1及び前記起泡剤液密封容器2にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された、攪拌羽根Sを設けた、定着液混合部5と、前記定着混合部5に配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽6と、前記定着液バブリング槽6に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプ7と、前記バブリング槽6に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置(図示せず)と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置(図示せず)と、を有していると、前記定着液混合部5に設けられた攪拌羽根Sで前記軟化剤液及び前記起泡剤液を均一に混合することができ、そのために、いっそう均一に泡化されたフォーム状定着液の泡膜を未定着トナー層に付与することができ、よって、定着液を該未定着トナー層に均一に付与して該未定着トナー層を記録媒体の表面により安定して定着させることができる。
【0051】
図3、図4に示すように、本発明においては、流路だけの定着液液混合部5を設けることもできる。駆動部がないため極めて簡便な混合が可能となる。定着液混合部5として軟化剤液の流路と起泡剤の流路が合流して混合する流路で構成し、軟化剤液流路の流体抵抗と起泡剤液流路の流体抵抗に対して混合液流路の流体抵抗を小さくする。こうすることで混合液流路の流速が速くなり乱流が形成されるため、起泡剤液と軟化剤液が十分に混合される。
【0052】
したがって、前記フォーム状定着液形成手段10cが、前記軟化剤液密封容器1及び前記起泡剤液密封容器2にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された、軟化剤液流路5aから送られた軟化剤液と起泡剤流路5bから送られた起泡剤液とを混合する混合流路5cを設けた、定着液混合部5と、前記定着液混合部5に配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽6と、前記定着液バブリング槽6に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプ7と、前記バブリング槽6に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置(図示せず)と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置(図示せず)と、を有していると、前記混合流路5cを設けた定着液混合部5において前記軟化剤液及び前記起泡剤液を均一に混合することができ、そのために、いっそう均一に泡化されたフォーム状定着液の泡膜を未定着トナー層に付与することができ、よって、定着液を該未定着トナー層に均一に付与して該未定着トナー層を記録媒体の表面により安定して定着させることができる。
【0053】
また、図5に示すように、本発明においては、軟化剤液流路5aの流体抵抗と起泡剤液流路5bの流体抵抗の比率を混合液堆積比率に近い設定するので、お互いの液の供給圧力P1とP2を同じにするだけで、軟化剤液及び起泡剤液の混合後のお互いの体積比率をいつも安定に保つことができ、そのために、軟化剤液及び起泡剤液の混合比率の制御を容易にできる。
【0054】
したがって、前記軟化剤液流路5aから送られた軟化剤液の供給圧力P1と前記起泡剤流路5bから送られた起泡剤液の供給圧力P2とが、前記パイプの径を変えることによって、同一とされているので、前記軟化剤液流路5aおける流体抵抗及び起泡剤液流路5bの流体抵抗に対して、前記混合液流路5cの流体抵抗を小さくすることができ、そのために、前記混合液流路5cにおける定着液の流速が速くなって乱流が形成されることとなり、よって、前記起泡剤液と前記軟化剤液とが十分に混合されることとなる。
【0055】
また、図6示すように、本発明においては、起泡剤液及び軟化剤液を混合する部分と泡化バブリングを発生させる部分とを共通させた定着液バブリング槽6とし、その定着液バブリング槽6に撹拌羽根Sを設ける。まず、起泡剤液と軟化剤液液とを撹拌羽根Sで撹拌しながら空気ポンプ7より空気を送りこんでバブリングすることにより定着液を泡化する。こうすると、起泡性を損なうことなく、泡化しながら泡のプラトー境界で軟化剤を均一にすることができる。
【0056】
したがって、前記フォーム状定着液形成手段10dが、前記軟化剤液密封容器1及び前記起泡剤液密封容器2にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された攪拌羽根Sを設けた定着液バブリング槽6と、前記定着液バブリング槽6に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプ7と、前記定着液バブリング槽6に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置(図示せず)と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置(図示せず)と、を有していると、定着液バブリング槽6に設けられた攪拌羽根Sで前記軟化剤液及び前記起泡剤液を均一に混合してバブリングすることにより泡化された泡のプラトー境界において軟化剤を均一にすることができ、そのために、いっそう均一に泡化されたフォーム状定着液の泡膜を未定着トナー層に付与することができ、よって、定着液を該未定着トナー層に均一に付与して未定着トナー層を記録媒体の表面により安定して定着させることができる。
【0057】
また、図7示すように、本発明においては、定着液保存容器23内に、軟化剤液密封容器21と起泡剤液密封容器22とを設ける。軟化剤液密封容器21及び起泡剤液密封容器22は、好ましくは、樹脂シートにアルミ箔をラミネートしたラミネートシートで形成された容器で構成されている。軟化剤液密封容器21及び起泡剤液密封容器22の先端には、定着液を封止する封止ゴム26,27が設けられている。かかる定着液保存容器23を定着装置に装着した後、定着装置の側から先端に中空針28,29をそれぞれ設けた軟化剤液供給パイプ31及び起泡剤液供給パイプ32を軟化剤液密封容器21と起泡剤液密封容器22とに対峙させ、次に、前記中空針28,29で封止ゴム26,27をやぶって、軟化剤液供給パイプ31及び起泡剤液供給パイプ32を軟化剤液密封容器21及び起泡剤液密封容器22内につなげる。この構成では、各液容器内の液の混合は定着装置内で行われ、液供給のポンプも定着装置内に設置されている。
【0058】
したがって、前記定着装置に装着された前記軟化剤液密封容器21及び前記起泡剤液密封容器22に軟化剤液供給口部24及び起泡剤液供給口部25がそれぞれ設けられ、前記軟化剤液供給口部24及び前記起泡剤液供給口部25にゴムで構成された封止部26,27がそれぞれ設けられ、かつ、前記軟化剤液供給口部24及び起泡剤液供給口部25における封止部26,27にそれぞれ差し込んで前記軟化剤液及び前記起泡剤液をそれぞれ排出する中空針28,29が、前記軟化剤液供給口部24及び起泡剤液供給口25に接続する軟化液供給パイプ31及び起泡剤液軟化液供給パイプ32にそれぞれ設けられているので、前記軟化剤液密封容器21及び前記起泡剤液密封容器22からなる定着液保存容器23の装着及び取り外しを容易におこなうことができ、そのために、前記軟化剤液及び前記起泡剤液の補充を容易に行うことができる。
【0059】
本発明における定着液に含有される脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。前記脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためである。
【0060】
前記飽和脂肪族エステルは、次の式
1 COOR2
(式中、R1 は、炭素数が11〜14のアルキル基であり、そして、R2 は、炭素数が1〜6の直鎖型又は分岐型のアルキル基である。)
で表される化合物であるが、R1 及びR2 の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
【0061】
即ち、前記飽和脂肪族エステルが一般式R1 COOR2 で表される化合物を含み、R1 が炭素数が11〜14のアルキル基であり、そして、R2 が炭素数が1〜6の直鎖型又は分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
【0062】
前記脂肪族モノカルボン酸エステルは、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。前記脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しないので、前記脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有させて、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
【0063】
前記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。前記脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与して、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが好ましい。前記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与して、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を0.1秒以内にすることが、可能となる。更に、より少量の、軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるので、定着液に含まれる軟化剤の含有量を低減することができる。
【0064】
したがって、本発明における脂肪族ジカルボン酸エステルは、次の式
3 (COOR42
(式中、R3 は、炭素数が3〜8のアルキレン基であり、そして、R4 は、炭素数が3〜5の直鎖型又は分岐型アルキル基である。)
で表される化合物を含む。
【0065】
即ち、前記脂肪族ジカルボン酸エステルが前記式で表される化合物である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、前記化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。前記化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。それ故、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
【0066】
さらに、前記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。前記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
【0067】
前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、次の式
5 (COOR6 −O−R72
(R5 は、炭素数が2〜8のアルキレン基であり、R6 は、炭素数が2〜4のアルキレン基であり、そして、R7 は、炭素数が1〜4のアルキル基である。)
で表される化合物である。
【0068】
前記式で表される脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、前記式で表される化合物である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、前記化合物の臭気指数は、10以下であるので、前記化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
【0069】
前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等の化合物である。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを溶解する水性溶媒には、グリコール類を溶解助剤として含有させて、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
【0070】
前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルコキシアルキルは、次の式
5 (COO(R6 −O)2 −R72
(R5 は、炭素数が2〜8のアルキレン基であり、R6 は、炭素数が2〜4のアルキレン基であり、そして、R7 は、炭素数が1〜4のアルキル基である。)
で表される化合物である。R5 、R6 、及び、R7 の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
【0071】
前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが前記式で表される化合物である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、前記化合物の臭気指数は、10以下であるので、前記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
【0072】
前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、コハク酸ジエトキシエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエトキシエチル等の化合物が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。また、クエン酸エステルや炭酸エチレンや炭酸プロピレンなどの環状エステルも軟化もしくは膨潤剤として適する。
【0073】
図8に示されているように、本発明の画像形成装置200は、記録媒体の表面に未定着トナー画像を形成する未定着トナー画像形成手段と、前記未定着トナー画像を泡状定着液で定着する定着手段と、を有している。前記定着手段として、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置20〜50(図1〜6を参照。)が設けられている。このように、記録媒体の表面に未定着トナー画像を形成する未定着トナー画像形成手段と、前記未定着トナー画像を泡状定着液で定着する定着手段と、を有する画像形成装置200において、前記定着手段として、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置20〜50(図1〜6を参照。)が設けられていると、均一に泡化されたフォーム状定着液の泡膜を未定着トナー層に付与することができ、そのために、定着液を該未定着トナー層に均一に付与することができ、よって、該未定着トナー層を記録媒体の表面に安定して定着させることができる。
【0074】
次に、前記画像装置について詳しく説明する。
【0075】
図8に示されているように、前記画像装置は、トナー像担持体として中間転写ベルト91を有している。この中間転写ベルト91は、3つの支持ローラ92〜94に張架されていて、図中の矢印Aの方向に回転する。この中間転写ベルト91に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット95〜98が配列されている。これら画像形成ユニット95〜98の上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト91を挟んで中間転写ベルト91の支持ローラ94に対向する位置には、二次転写装置99が設けられている。二次転写装置99は、2つの支持ローラ100,101の間に張架された二次転写ベルト102で構成されている。前記二次転写装置99としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト91を挟んで中間転写ベルト91の支持ローラ92に対向する位置には、ベルトクリーニング装置103が配置されている。ベルトクリーニング装置103は、中間転写ベルト91上に残留するトナーを除去するために配置されている。
【0076】
記録媒体(記録紙)104は、一対の給紙ローラ105で二次転写部へ導かれ、トナー像を記録紙104に転写する際に、二次転写ベルト102を中間転写ベルト91に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙104は、二次転写ベルト102によって搬送され、記録紙104に転写された未定着のトナー像は、図示していない露光装置からの画像情報に基づいてフォーム状の定着液の膜厚を制御する本発明のトナーの定着装置によって定着される。即ち、記録紙104に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいてフォーム状の定着液層の膜厚が制御されたトナーの定着装置から供給される本発明におけるフォーム状の定着液が付与され、フォーム状の定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって、未定着のトナー像を、記録紙104に定着させる。
【0077】
次に、画像形成ユニットについて説明する。図10の(b)に示すように、画像形成ユニット95〜98には、感光体ドラム106の周辺に、帯電装置107、露光装置(図示せず)から照射された画像信号に応じたレーザ光L、現像装置108、クリーニング装置109及び除電装置110が配置されている。また、中間転写ベルト91を介して、感光体ドラム106に対向する位置に、一次転写装置111が設けられている。また、帯電装置107は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置107は、帯電ローラを感光体ドラム106に接触させて、感光体ドラム106に電圧を印加することにより、感光体ドラム106の表面を一様に帯電する。この帯電装置107としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置108は、現像剤中のトナーを感光体ドラム106上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は、本発明における定着液により溶解又は膨潤する。なお、現像装置108は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、一次転写装置111は、感光体ドラム106上で可視化されたトナーを中間転写ベルト91に転写する。ここでは、一次転写装置111としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト91を挟んで感光体ドラム106に押し当てている。一次転写装置111としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置109は、感光体ドラム106上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置109としては、感光体ドラム106に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置109によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置108に回収され、再利用される。更に、除電装置110は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム106の表面電位を初期化する。
【0078】
(実施例1)
(1)コハク酸ジエトキキエトキシエチル(軟化剤)50重量%、乳酸(pH調整剤)0.07重量%、乳酸ナトリウム(pH調整剤)0.01重量%、及び、水(希釈媒)残量を混合した後、乾燥窒素ガスで10分間バブリングして軟化剤液とした。前記軟化剤液のpHは5.8であった。次に、前記軟化剤液をアルミ薄でラミネートされたポリプロピレン袋に入れ、空気を遮蔽して、密閉した保管容器とした。
【0079】
(2)水(希釈媒)95重量%、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(増泡剤)(松本油脂社製、マーポンMM)0.5重量%、パルミチン酸アミン(起泡剤)2.5重量%、ミリスチン酸アミン(起泡剤)1.5重量%、及び、ステアリン酸アミン(起泡剤)0.5重量%混合しして起泡剤液とした後、前記起泡剤液にジエタノ−ルアミンをごく少量添加して該起泡剤液のpHを9となるように調整した。このpH9とた泡剤液を透明なポリプロピレン袋に入れ、空気を遮蔽して、密閉した保管容器に入れた。
【0080】
(3)前記起泡剤液入りの容器及び軟化剤液入りの容器にそれぞれシリコーンゴム製の供給パイプをつなぎ、これらの供給パイプを液搬送ポンプにそれぞれ接続し、そして、これらの輸送ポンプにシリコーンゴム製の供給パイプをつなぎ、これらの供給パイプを前記バブリング槽へと接続した。これらのチューブポンプにおける流量を、軟化剤液では、3mL/分に設定し、起泡剤液では、3mL/分と設定した上で、前記ポンプを6秒間駆動して、軟化剤液及び起泡剤液をバブリング槽へ供給した。この動作によりバブリング槽内に軟化剤を約25重量%含有した定着液0.3mLが供給されたことになる。6秒間チューブポンプを作動後、停止し、ダイヤフラム型エアーポンプを作動して、バブリング槽内でバブリングにより、軟化剤液と起泡剤液とを撹拌しながら泡化して大泡状態の定着液とした。
【0081】
(4)フォーム状定着液形成装置(図2を参照)を構成する2重円筒の内側円筒は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モーターにより回転するようにした。前記2重円筒の材質は、PET樹脂とした。外側円筒内径:10mm・長さ120mm、内側円筒外形:8mm・長さ100mmとした。回転数は、1000rpmから2000rpmの範囲で可変とした。この円筒内に大泡状態の定着液を供給し、フォーム状定着液を作製した。
【0082】
(5)前記フォーム状定着液をフォーム状定着液吐出装置から泡膜厚制御ブレードに供給した。前記泡膜厚制御ブレードは、アルミ合金製支持板に厚み1mmの並板ガラスを接着して形成したものし、前記並板ガラス面を塗布ローラ側に向けて10〜100μmの範囲で前記フォーム状定着液塗布ローラと前記並板ガラス面との隙間を制御できるものとした。前記泡膜厚制御ブレードとフォーム状定着液塗布ローラとのギャップは40μmとした。前記フォーム状定着液塗布ローラは、PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30mm)で構成し、その線速は、300mm/sとした。前記フォーム状定着液塗布ローラに対して記録媒体を介して加圧する加圧ローラは、アルミ合金製ローラ(φ10mm)を芯金とし、外径Φ50mmのポリウレタンフォーム材(イノアック社製、カラーフォームEMO)で形成したスポンジローラとした。前記記録媒体の紙搬送速度は、300mm/sとした。
【0083】
実施例1の結果は、次のとおりであった。即ち、電子写真方式のカラー複写機(リコー社製 CX2500)を用いて、マゼンタ色トナー層とイエロー色トナー層とからなる全面べた画像(マゼンタートナー層の上にイエロートナー層)の未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコー社製、T−6200)を作製した。定着を開始する前に、予め、軟化剤液と起泡剤液との供給ポンプを6秒間駆動後に停止し、停止と同時に2重円筒における内側円筒を回転しながら空気ポンプを駆動させたところ、空気ポンプ駆動開始から3秒後にフォーム状定着液供給口からフォーム状定着液がフォーム状定着液塗布ローラと膜厚制御ブレードとの間に供給された。このとき、フォーム状定着液の密度は、おおよそ、0.03g/cm3 であった。フォーム状定着液が膜制御ブレードに供給開始され始めたタイミングで、フォーム状定着液塗布ローラを駆動しながら、上記トナー未定着画像が形成された記録媒体(記録紙)を塗布ローラに挿入した。フォーム状定着液塗布ローラ面には、膜厚約80μmのフォーム状定着液膜が均一に形成され、記録紙面に均一にフォーム状定着液が付与された。フォーム状定着液を付与後のトナー画像面は反射型濃度計にて記録紙の4隅付近と中央付近の色差ばらつきは2%以下で均一な定着がなされていた。
【0084】
次に、前記実施例1における軟化剤液の保存性を試験した。
【0085】
作製したばかりの軟化剤液保管容器を60℃に加温し、一定時間放置し、各放置時間ごとに液温を室温にもどしたあと軟化剤液中に残存する軟化剤をガスクロマトグラフィーにより分析した。試験結果は、次の表1に示される。表1には、比較例1として、透明ポリプロピレンに密閉した軟化剤容器について、前記実施例1と同様に試験した試験結果が示される。
【0086】
【表1】

【0087】
表1から次のことがわかる。即ち、前記60℃放置テストは、加温による放置劣化加速テストであるので、60℃1日は25℃では一ヶ月、60℃20日間は、25℃では1年、60℃40日間は2年放置に相当するものとなる。してみると、表1によれば、容器を軟化剤の透過しにくい容器とすることで、2年以上放置しても軟化剤が2%程度しか分解しないことが確認できた。
【0088】
(実施例2)
前記実施例1における(1)及び(2)を次に示す(1)及び(2)とした以外は、実施例1と同様に実施例2とした。
【0089】
(1)コハク酸ジエトキキエトキシエチル(軟化剤)50重量%、クエン酸(pH調整剤)0.07重量%、ケエン酸ナトリウム(pH調整剤)0.01重量%、及び、水(希釈媒)残量を混合した後、乾燥窒素ガスで10分間バブリングして軟化剤液とした。前記軟化剤液のpHは5.8であった。次に、前記軟化剤液をアルミ薄でラミネートされたポリプロピレン袋に入れ、空気を遮蔽して、密閉した保管容器とした。
【0090】
(2)水(希釈媒)95重量%、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(増泡剤)(松本油脂社製、マーポンMM)0.5重量%、パルミチン酸アミン(起泡剤)2.5重量%、ミリスチン酸アミン(起泡剤)1.5重量%、及び、ステアリン酸アミン(起泡剤)0.5重量%混合しして起泡剤液とした後、前記起泡剤液にジエタノ−ルアミンをごく少量添加して該起泡剤液のpHを9となるように調整した。このpH9とた泡剤液を透明なポリプロピレン袋に入れ、空気を遮蔽して、密閉した保管容器に入れた。
【0091】
次に、前記実施例2における軟化剤液の保存性を試験した。
【0092】
作製したばかりの軟化剤液保管容器を60℃に加温し、一定時間放置し、各放置時間ごとに液温を室温にもどしたあと軟化剤液中に残存する軟化剤をガスクロマトグラフィーにより分析した。試験結果は、次の表2に示される。表2には、比較例2として、透明ポリプロピレンに密閉した軟化剤容器について、前記実施例2と同様に試験した試験結果が示される。
【0093】
【表2】

【0094】
表2から次のことがわかる。即ち、前記60℃放置テストは、加温による放置劣化加速テストであるので、60℃1日は25℃では一ヶ月、60℃20日間は、25℃では1年、60℃40日間は2年放置に相当するものとなる。してみると、表2によれば、容器を軟化剤の透過しにくい容器とすることで、2年以上放置しても軟化剤が1%程度しか分解しないことが確認できた。
【符号の説明】
【0095】
1 軟化剤液密封容器
2 起泡剤液密封容器
3 定着液保存容器
4 液搬送ポンプ
5 定着液混合部
5a 軟化剤液流路
5b 起泡剤液流路
5c 混合液流路
6 定着液バブリング槽
7 空気ポンプ
8 フォーム状定着液形成装置
9 フォーム状定着液吐出装置
10a〜10d フォーム状定着液形成手段
12 フォーム状定着液塗布ローラ
13 加圧ローラ
14 泡膜制御ブレード
15 記録媒体(記録紙)
20〜50 定着装置
21 軟化剤液密封容器
22 起泡剤液密封容器
23 定着液保存容器
24 軟化剤液供給口部
25 起泡剤液供給口部
26,27 封止ゴム
28,29 中空針
31 軟化剤液供給パイプ
32 起泡剤液供給パイプ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特許第3290513号明細書
【特許文献2】特開2004−109749号公報
【特許文献3】特開昭59−119364号公報
【特許文献4】特開2004−109747号公報
【特許文献5】特開2009−8967号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着液を保存する定着液保存容器、前記定着液をフォーム化させるフォーム状定着液形成手段、前記フォーム状定着液形成手段で形成されたフォーム状定着液を記録媒体の表面に塗布するフォーム状定着液塗布ローラ、前記フォーム状定着液塗布ローラの表面に塗布されたフォーム状定着液の泡膜厚を制御する泡膜厚制御ブレード、及び、前記フォーム状定着液塗布ローラに対向して配置された対向ローラを有する定着装置において、
(イ)前記定着液保存容器が、前記定着液を構成するトナーの少なくとも一部を溶解又は膨潤させて軟化させる脂肪族エステルを含有する軟化剤液を密封した軟化剤液密封容器と、前記定着液を構成するアニオン系界面活性剤を含有する起泡剤液を密封する起泡剤液密封容器と、とにそれぞれ分けて設けられ、かつ、
(ロ)前記軟化剤液密封容器が、金属膜をラミネートして形成した樹脂容器、ガラス容器、又は、金属容器で構成されている
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された、攪拌羽根を設けた、定着液混合部と、前記定着混合部に配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
前記フォーム状定着液形成手段が、前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された、軟化剤液流路から送られた軟化剤液と起泡剤流路から送られた起泡剤液とを混合する混合流路を設けた、定着液混合部と、前記定着混合部に配管されたパイプを介して連通された定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
前記軟化剤液流路から送られた軟化剤液の供給圧力P1と前記起泡剤流路から送られた起泡剤液の供給圧力P2とが、前記パイプの径を変えることによって、同一とされていることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器にそれぞれ配管されたパイプを介して連通された攪拌羽根を設けた定着液バブリング槽と、前記定着液バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された空気ポンプと、前記バブリング槽に配管されたパイプを介して連通された、前記バブリングされた大泡状態の定着液からフォーム状定着液を形成する、フォーム状定着液形成装置と、前記フォーム状定着液形成装置に配管されたパイプを介して連通された、前記フォーム状定着液を前記塗布ローラの表面に吐出させる、フォーム状定着液吐出装置と、を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項7】
前記定着装置に装着された前記軟化剤液密封容器及び前記起泡剤液密封容器に軟化剤液供給口部及び起泡剤液供給口部がそれぞれ設けられ、
前記軟化剤液供給口部及び前記起泡剤液供給口部にゴムで構成された封止部がそれぞれ設けられ、かつ、
前記軟化剤液供給口部及び起泡剤液供給口部における封止部に差し込んで前記軟化剤液及び前記起泡剤液をそれぞれ排出する中空針が、前記軟化剤液供給口部及び起泡剤液供給口に接続する軟化液供給パイプ及び起泡剤液軟化液供給パイプにそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
記録媒体の表面に未定着トナー画像を形成する未定着トナー画像形成手段と、前記未定着トナー画像を泡状定着液で定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、前記定着手段として、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置が設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate