定着装置
【課題】非接触型温度センサ及び補正用温度センサを用いて正確な温度検知を行うことのできる定着装置を提供する。
【解決手段】被加熱体1としての定着部材の表面温度を温度検知装置7にて検知する定着装置において、前記温度検知装置7が、定着部材に対向配置される非接触型温度センサ3と、非接触型温度センサ3の温度情報を補正する複数の補正用温度センサ4とを備え、非接触型温度センサ3と前記複数のうち少なくとも一つの補正用温度センサ4aとを同一ケース5中に封入すると共に少なくとも一つの補正用温度センサ4cをケース5外に設置し、定着部材の温度上昇時にはケース5外の補正用温度センサ4cからの温度補正情報に基づいて定着部材の表面温度を演算する一方、定着部材の温度下降時にはケース5内の補正用温度センサ4aからの温度補正情報に基づいて定着部材の表面温度を演算するようにした。
【解決手段】被加熱体1としての定着部材の表面温度を温度検知装置7にて検知する定着装置において、前記温度検知装置7が、定着部材に対向配置される非接触型温度センサ3と、非接触型温度センサ3の温度情報を補正する複数の補正用温度センサ4とを備え、非接触型温度センサ3と前記複数のうち少なくとも一つの補正用温度センサ4aとを同一ケース5中に封入すると共に少なくとも一つの補正用温度センサ4cをケース5外に設置し、定着部材の温度上昇時にはケース5外の補正用温度センサ4cからの温度補正情報に基づいて定着部材の表面温度を演算する一方、定着部材の温度下降時にはケース5内の補正用温度センサ4aからの温度補正情報に基づいて定着部材の表面温度を演算するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱体の表面温度を非接触検知する温度検知装置を用いた定着装置に係り、特に、非接触温度センサにより測定される温度を補正用温度センサで補正するタイプの温度検知装置を用いた定着装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置にあっては、例えば電子写真プロセスにより記録シート上に保持された未定着トナー像を定着する定着装置が広く用いられている。
従来この種の定着装置としては、例えば互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着部材(一対の定着ロールや定着ロールと定着ベルトとの組合せなど)を有し、少なくともいずれか一方の定着部材を加熱源としてのヒータで加熱すると共に、これらの定着部材間のニップ域に記録シートを通過させ、その際の熱と圧力との作用により記録シート上の未定着トナー像を定着し、永久像を形成するものが知られている。
このような定着装置では、ホットオフセット、コールドオフセット等を防ぐように適切な温度で定着を行う必要があり、そのために定着部材の表面温度を検知し、その検知結果に基づいて定着部材に対して加熱制御を行うようにしている。
【0003】
このような定着部材の温度制御を適切に行うための一つの条件は、定着部材の表面温度を正確に検知することである。より詳しくは、ニップ域通過時に記録シート上のトナー像に対してどれだけの熱量を与えるかが問題となるため、定着部材表面上のトナー像が接触する領域(以下「画像領域」という)の表面温度を正確に検知することである。
従来における温度検知装置としては、定着部材の表面温度を正確に検知するために、接触型温度センサとして例えばサーミスタを定着部材の表面に接触させ、その温度を検知する方式が多く採用されている。
このような接触型温度検知方式において、定着部材の画像領域にサーミスタを接触させる手法は、正確な温度検知という観点からは理想的であるが、その接触により定着部材表面の画像領域を傷付け、その傷部分での定着不良を招き、結果として画像欠陥が生じる懸念がある。また、そのサーミスタにオフセットトナーが付着、堆積すると温度検知の精度が悪化してしまう。更に、堆積したオフセットトナー塊がサーミスタから外れると、その後そのオフセットトナー塊は記録シート上に定着し、画像欠陥となってしまう。
【0004】
また、接触型温度検知方式において、定着部材の非画像領域(記録シートが通過しないシート非通過領域に相当)にサーミスタを接触させる手法は、これら接触傷による画像欠陥、トナーの付着による検知精度の低下や画像欠陥などの問題は生じないが、正確な温度検知という観点からは必ずしも好ましい方法ではない。すなわち、理想的には定着部材上の画像領域の温度を検知すべきであるにもかかわらず、実際には非画像領域の表面温度を計測しているため、これらの温度間に食い違いが生じてしまうことによる。
そこで、このような接触型温度検知方式に代わって、従来にあっては、定着部材表面の傷の発生を低減すべく、非接触型温度センサを用いて定着部材に接触することなく温度検知を行う方式(非接触型温度検知方式)が既に提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ここで、上記特許文献1においては、非接触型温度センサとして所謂サーモパイル式温度センサが用いられている。サーモパイル式温度センサは、二種類の異種金属又は半導体を接合した熱電対が多数直列に接続されたサーモパイルを備えた測温素子で、その温接点を絶縁薄膜のような熱容量の小さな部材上に配置し、その冷接点をヒートシンクのような熱容量の大きな部材上に配置し、前記温接点を赤外線吸収体によって覆ったものである。そして、定着部材から放出(輻射)された赤外線が温接点上に形成された赤外線吸収体に吸収されて熱に変換されると、冷接点と温接点との間に温度差が生じ、サーモパイル両端に形成された電極間に温度差に応じた起電力が生じることによって定着部材の表面温度を測定するものである。
【0006】
ところで、このような原理のサーモパイル式温度センサで検出できるのは、温接点と冷接点との間の温度差のみであるから、温接点の温度を決めるためには、基準となる冷接点の温度を確定させる必要がある。
冷接点を確定させる手法としては、例えば冷接点=室温(例えば20℃)とみなすことも可能ではあるが、より正確に定着部材の表面温度を測定するためには、冷接点の正確な温度を測定することが必要となる。
そこで、上記公報においては、サーモパイルが取り付けられるベース上の当該サーモパイル近傍にサーミスタを装着し、このサーミスタで測定された温度を冷接点温度とし、前記サーモパイルによる測定温度を補正するようにしていた。
【0007】
【特許文献1】特開平5−100591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記公報においては、サーミスタが一箇所だけに配置されているため、サーミスタの設置部位とサーモパイルの設置部位との間に温度差があった場合は、補正後の定着部材の表面温度に誤差が生じてしまうという技術的課題がみられた。
特に、サーモパイル式温度センサは、湿気等の侵入を防止する目的で、通常、ベース上のサーモパイル及びサーミスタをCANとよばれるキャップで封入する構造を採用しているため、定着部材から受けた熱によってCANの定着部材側が加熱されると、CANの内壁からも赤外線の放出が行われることとなってしまい、ベース上の部位によって温度が異なるという事態が生じ易くなるという問題があった。また、このタイプのものにおいては、CANの定着部材側が加熱され、その後熱伝導によってベースが加熱されることとなるため、ベースの端部と中央部とでその温度が異なるという事態が生じ易くなるという問題もあった。
【0009】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、非接触型温度センサ及び補正用温度センサを用いて正確な温度検知を行うことのできる定着装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
先ず、本発明を説明する前に本発明に関連する参考発明について説明する。
すなわち、本発明に関連する参考発明は、図1に示すように、被加熱体1の表面温度を非接触検知する温度検知装置7であって、ステムと、ステムとの間で不活性ガスが封入されるカンと、ステムに設けられて前記被加熱体1より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサ3と、前記非接触型温度センサ3とは別体でステムに設けられると共に当該非接触型温度センサ3を挟んで配置される2個の補正用温度センサ4(例えば4a,4b)とを備え、これら2個の補正用温度センサ4は直列接続されると共にこれらの出力合成値に基づいて前記非接触型温度センサ3の温度情報を補正するようにしたことを特徴とする。
【0011】
このような技術的手段において、非接触型温度センサ3としては、被加熱体1の表面温度を非接触検知可能なものであれば種々の方式のものより適宜選定して差し支えないが、高感度、高速応答性という特性を有ししかも安価なサーモパイル式温度センサを用いることが好ましい。
また、補正用温度センサ4については、前記非接触型温度センサ3の温度情報を補正するために設けられるものであればその検知方式は適宜選定して差し支えないが、構成の簡易化という観点からすれば、温度変化に伴ってその電気抵抗値が変化するタイプのセンサを用いることが好ましい。この具体的な態様としては、例えばサーミスタやダイオードなどが挙げられる。
ここで、複数の補正用温度センサ4(例えば4a,4b)としては同一特性のもの(抵抗値等)を用いても差し支えないが、異なる特性のものを用いても構わない。
【0012】
更に、本発明に関連する参考発明の他の態様としては、図1に示すように、被加熱体1の表面温度を非接触検知する温度検知装置であって、ステムと、ステムとの間で不活性ガスが封入されるカンと、ステムに設けられて前記被加熱体1より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサ3と、前記非接触型温度センサ3とは別体で設けられる2個の補正用温度センサ4(例えば4a,4c)とを備え、これら2個の補正用温度センサ4(例えば4a,4c)は一つ(例えば4a)がステムに設けられ、もう一つ(例えば4c)が当該ステムに設けられた補正用温度センサ4(例えば4a)と同じ側のカン表面側に設けられて互いに直列接続されると共にこれらの出力合成値に基づいて前記非接触型温度センサ3の温度情報を補正するようにしたものが挙げられる。
ここで、前者は、ケース5内の温度分布を知ることができるという利点があり、後者は、ケース5外の温度変動を敏感に検知できるという利点がある。
【0013】
また、前記非接触型温度センサ3と前記2個の補正用温度センサ4との配置間隔については、すべて等距離としても差し支えないが、非接触型温度センサ3との距離の相違によって温度の違いが生じることを考慮すれば、前記非接触型温度センサ3と各補正用温度センサ4との間の距離を異ならせることが好ましい。
また、前記非接触型温度センサ3からの温度情報と前記2個の補正用温度センサ4からの温度補正情報とに基づいて前記被加熱体1の表面温度を演算する演算手段6を備えることが好ましい。
ここで、前記演算手段6は、前記2個の補正用温度センサ4からの温度補正情報を一つの温度補正情報として用いることとなるが、その手法としては、例えば複数の補正用温度センサ4からの温度補正情報を平均化して用いるものが好ましい。
【0014】
このような温度検知装置は各種被加熱体1の温度検知に適用されるが、代表例として定着装置への適用例について説明する。
定着装置には各種態様があるが、定着装置への適用例としては、互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着部材(被加熱体1に相当)を有し、少なくとも一方の定着部材の内部若しくは外部に加熱源2を配設すると共に、少なくとも何れか一方の定着部材の表面温度を上述の温度検知装置7にて検知するようにした定着装置が挙げられる。
この態様において、「何れか一方の定着部材の表面温度を検知」としたのは、加熱源2を配設した定着部材は直接的に加熱される被加熱体1であり、また、加熱源2を配設していない定着部材は熱伝導により間接的に加熱される被加熱体1であるから、いずれをも温度検知対象としたものである。
そして、加熱源2は被加熱体1と非接触若しくは接触するいずれの態様をも含む。
【0015】
また、定着装置への別の適用例としては、発熱層を有し且つ未定着像が担持搬送せしめられる像担持搬送体(被加熱体1に相当)と、この像担持搬送体の発熱層を発熱させる加熱装置と、この像担持搬送体の加熱装置に対向する部位の下流位置に配設され且つ像担持搬送体上で溶融した未定着像を記録材上に少なくとも押圧して転写、定着する押圧定着部材と、像担持搬送体の表面温度を検知する温度検知装置7とを備え、温度検知装置7として上述の温度検知装置を用いるようにした定着装置が挙げられる。
本態様において、発熱層としては、電磁誘導発熱層や抵抗発熱層がある。
また、加熱装置としては、発熱層に応じて適宜選定すればよく、電磁誘導発熱層であれば励磁コイル、また、抵抗発熱層であれば通電デバイスが挙げられる。
更に、押圧定着部材は少なくとも押圧機能を具備していればよく、必要に応じて補助的に静電界を作用させるもの等適宜選定して差し支えない。
【0016】
特に、本発明は、定着装置への適用例を示すものであって、図1に示すように、互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着部材を有し、少なくとも一方の定着部材の内部若しくは外部に加熱源を配設すると共に、少なくとも何れか一方の定着部材(被加熱体1に相当)の表面温度を温度検知装置7にて検知するようにした定着装置において、前記温度検知装置7が、検知対象である定着部材に対向配置され且つ当該定着部材より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサ3と、前記非接触型温度センサ3の温度情報を補正するための複数の補正用温度センサ4とを備え、前記非接触型温度センサ3と前記複数のうち少なくとも一つの補正用温度センサ4(例えば4a)とをステムとカンとで密閉された同一ケース5中に封入すると共に少なくとも一つの補正用温度センサ4(例えば4c)を当該ケース5外に設置し、前記定着部材の温度上昇時には前記ケース5外の補正用温度センサ4(例えば4c)からの温度補正情報に基づいて前記定着部材の表面温度を演算する一方、前記定着部材の温度下降時には前記ケース5内の補正用温度センサ4(例えば4a)からの温度補正情報に基づいて前記定着部材の表面温度を演算するようにした定着装置である。
また、本発明の別の態様は、図1に示すように、発熱層を有し且つ未定着像が担持搬送せしめられる像担持搬送体(被加熱体1に相当)と、この像担持搬送体の発熱層を発熱させる加熱装置と、この像担持搬送体の加熱装置に対向する部位の下流位置に配設され且つ像担持搬送体上で溶融した未定着像を記録材上に少なくとも押圧して転写、定着する押圧定着部材と、像担持搬送体の表面温度を検知する温度検知装置7とを備えた定着装置において、前記温度検知装置7が、検知対象である像担持搬送体に対向配置され且つ当該像担持搬送体より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサ3と、前記非接触型温度センサ3の温度情報を補正するための複数の補正用温度センサ4とを備え、前記非接触型温度センサ3と前記複数のうち少なくとも一つの補正用温度センサ4(例えば4a)とをステムとカンとで密閉された同一ケース5中に封入すると共に少なくとも一つの補正用温度センサ4(例えば4c)を当該ケース5外に設置し、前記像担持搬送体の温度上昇時には前記ケース5外の補正用温度センサ4(例えば4c)からの温度補正情報に基づいて前記像担持搬送体の表面温度を演算する一方、前記像担持搬送体の温度下降時には前記ケース5内の補正用温度センサ4(例えば4a)からの温度補正情報に基づいて前記像担持搬送体の表面温度を演算するようにした定着装置である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、非接触型温度センサの温度情報を補正するために複数の補正用温度センサをカン内部及びカン表面に夫々設け、被加熱体である定着部材又は像担持搬送体の温度上昇時、温度下降時に適した補正用温度センサを用い、非接触型温度センサ及び補正用温度センサの温度差を小さくするようにしたので、補正用温度センサにて非接触型温度センサを正確に補正することができ、その分、定着部材又は像担持搬送体に対し正確な温度検知を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は本発明の基本的構成が適用された定着装置の実施の形態1の全体構成を示す説明図である。尚、本実施の形態では実施の形態2と異なる態様の温度検知装置が用いられている。
同図において、定着装置は、互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着ロール11,12を有し、本例では、両方の定着ロール11,12に夫々ランプヒータ13,14を内蔵させ、各定着ロール11,12としては適宜選定して差し支えないが、例えば金属製ロールシャフト上に耐熱性のウレタン樹脂からなる被覆層を設け、両定着ロール11,12間に所定の定着ニップ域を確保するようにしたものである。
【0019】
また、本実施の形態にあっては、各定着ロール11,12の表面温度を非接触検知する一対の温度検知装置15(具体的には15a,15b)が配設されている。
本例において温度検知装置15は、例えば定着ロール11,12の軸方向位置のうち、記録シートPが通過するシート通過領域に対応した位置に配設されている。
【0020】
また、本実施の形態において、温度検知装置15(15a,15b)からの検知データは温度制御装置(演算手段)16に取り込まれ、この温度制御装置16は各定着ロール11,12の表面温度を演算し、この演算結果に基づいて電源回路17に制御信号を送出し、各ランプヒータ13,14をオンオフ制御するものである。
【0021】
図3は、温度検知装置15の斜視断面図を示したものである。
本実施の形態において、温度検知装置15は、定着ロール11,12から放出された赤外線を受光するサーモパイルチップ(非接触型温度センサ)31と、断面凸字状の形状を有し且つ前記サーモパイルチップ31が載置されるSTEM(ステム)32と、このSTEM32上で前記サーモパイルチップ31に隣接して取り付けられる複数のサーミスタ(補正用温度センサ)33(具体的には33a、33b)と、前記STEM32にはめ込まれることで前記サーモパイルチップ31及び複数のサーミスタ33を外気から遮断するCAN(カン)34と、このCAN34の上壁面に取り付けられるシリコンレンズ35とを備えている。ここで、CAN34の内部には、窒素ガスやArガス等の不活性ガスが封入される。
本実施の形態では、前記サーミスタ33a及び33bが直列に接続されるようになっており、また、サーモパイルチップ31と各サーミスタ33a、33bとの間の距離は等しく設定されている。
尚、符号36はリード線を介してサーモパイルチップ31で生じた熱起電力が出力されるサーモパイル出力端子、符号37はリード線を介してサーミスタ33a、33bの合成電圧が出力されるサーミスタ出力端子、符号38はリード線を介してSTEM32の電位が出力されるGND端子である。これら各端子は、温度制御装置16に接続される。
【0022】
ここで、サーモパイルチップ31は、例えばシリコン及びアルミニウムを接合した熱電対が多数直列に接続されたサーモパイル31aを具備する測温素子であり、その温接点を熱容量の小さい絶縁薄膜(図示せず)上に配置し、その冷接点をシリコン製のヒートシンク31b上に配置し、前記温接点を赤外線吸収体(図示せず)によって覆ったものである。
【0023】
次に、本実施の形態に係る定着装置の温度検知装置の作動を、図2,3及び図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
定着ロール11(12)への加熱が開始されると、温度検知装置15には、当該定着ロール11(12)から放出された赤外線が照射される。このとき、シリコンレンズ35と対向する部位に到達した赤外線は、当該シリコンレンズ35によって集光され、サーモパイルチップ31のサーモパイル31a上に照射される。すると、サーモパイル31aの温接点が加熱され、冷接点との間にゼーベック効果による熱起電力が発生し、サーモパイル出力端子36を介して温度制御装置16(図2参照)に入力される(S01)。
【0024】
一方、サーミスタ33(33a、33b)では、STEM32の温度に応じて電気抵抗値が変化し、その合成出力電圧がサーミスタ出力端子37を介して同じく温度制御装置16に入力される(S02)。
【0025】
ここで、サーミスタ出力端子37からの出力は、サーミスタ33a及びサーミスタ33bの出力の合成値であるため、温度制御装置16では、サーミスタ出力電圧の平均化(本実施の形態では1/2にする)が実行される(S03)。
【0026】
次に、サーモパイル出力電圧及び平均化されたサーミスタ出力電圧に基づいて、定着ロール11(12)の表面温度が演算される(S04)。具体的には、前記平均化されたサーミスタ出力電圧に基づいて求められた温度をサーモパイル31aの冷接点温度とみなし、これに応じてサーモパイル出力電圧に基づいて求められた温度を補正し、定着ロール11(12)の表面温度を特定する。
【0027】
そして、温度制御装置16は、求められた定着ロール11(12)の表面温度に基づいて、電源回路17に温度制御信号を送出する(S05)。
その後、終了判定が行われ(S06)、続行される場合は上述したプロセスが繰り返される。
【0028】
本実施の形態では、サーミスタ33a、33bを設けて二箇所で温度測定を行い、その平均値に基づいてサーモパイル31aの冷接点温度を演算するようにしたので、何らかの理由によりSTEM32に温度分布が生じてしまうような場合にも、冷接点温度の誤差を小さくすることが可能である。
それゆえ、定着ロール11(12)の表面温度の測定誤差を小さくすることができ、正確な温度制御を行うことが可能となる。
【0029】
本発明者は、本実施の形態で用いた温度検知装置15(複数のサーミスタ33(33a、33b)を有するもの)と、従来使用されている温度検知装置(一つのサーミスタ(例えば33a)のみを有するもの)とを用い、比較を行った。
温度検知装置は、通常、定着装置の定着ロール11(12)の加熱に伴って温度上昇する。従来の温度検知装置では、サーミスタ33が一つだけであるため、冷接点の温度変化と無関係な局所的な温度変化に応じてサーミスタ33の出力が急変化してしまうと、例えば図5の曲線Aのようにサーミスタの出力電圧に揺れが生じるという事態を招き、その結果、これに基づいて補正され、制御される定着ロール11(12)の表面温度(曲線Bで示す)も変動してしまうという事態を招いてしまっていた。
【0030】
これに対し、本実施の形態に係る温度検知装置15では、一方のサーミスタ(例えば33a)の配設部位が局所的に加熱されて出力が急変化したとしても、他方のサーミスタ(この場合は33b)の出力は安定した変化をするため、図5の曲線Cのようにサーミスタの出力電圧(ここでは平均化された出力電圧)に揺れはほとんど生じず、その結果、これに基づいて補正され、制御される定着ロール11(12)の表面温度(曲線Dで示す)も安定した挙動を示すことになる。
【0031】
◎実施の形態2
本実施の形態は、実施の形態1と略同様であるが、図6に示すように、温度検知装置15に設けられる二つのサーミスタ33のうちサーミスタ33aをCAN34の内側に配設し、他方のサーミスタ33bをCAN34の外側に配設するようにしたものである。
尚、本実施の形態に係る温度検知装置15の構成要素のうち、実施の形態1に係る温度検知装置15と同様のものについては、実施の形態1と同様の符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、サーミスタ33bがCAN34の下側側面に貼り付けられるようになっており、また、実施の形態1と同様に、これらサーミスタ33a及び33bが直列に接続されるようになっている。また、図から明らかなように、サーモパイルチップ31とサーミスタ33aとの間の距離よりも、サーモパイルチップ31とサーミスタ33bとの間の距離が大きくなっている。
【0032】
本発明者の調査によれば、定着ロール11(12)の温度上昇時(ウォームアップ時など)においてはCAN34外側の温度がサーモパイル31の冷接点温度に近く、また、定着ロール11(12)の温度下降時(スタンバイへの移行時など)においてはCAN34内側の温度がサーモパイルチップ31の冷接点の温度に近いことが判明している。
従って、STEM32及びCAN34からなるケースの内側及び外側に夫々サーミスタ33a、33bを配置し、実施の形態1と同様に両サーミスタ出力電圧の平均値に基づいて温度補正を行うことで、冷接点温度の誤差を小さくすることが可能となる。
それゆえ、定着ロール11(12)の表面温度の測定誤差を小さくすることができ、正確な温度制御を行うことが可能となる。
【0033】
◎実施の形態3
本実施の形態は、実施の形態2と略同様であるが、図7に示すように、温度検知装置15に設けられる二つのサーミスタ33a、33bから別々に電圧を出力できるようにしたものである。
尚、本実施の形態に係る温度検知装置15の構成要素のうち、実施の形態2に係る温度検知装置15と同様のものについては、実施の形態2と同様の符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施の形態では、リード線を介してサーミスタ33aの電圧が出力される内部サーミスタ出力端子37aと、リード線を介してサーミスタ33bの電圧が出力される外部サーミスタ出力端子37bとが設けられている。これにより、本実施の形態に係る温度検知装置15の出力端子は四本となっている。
【0035】
次に、本実施の形態に係る定着装置の温度検知装置の作動を、図2,7及び図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
定着ロール11(12)への加熱が開始されると、温度検知装置15には、当該定着ロール11(12)から放出された赤外線が照射される。このとき、シリコンレンズ35と対向する部位に到達した赤外線は、当該シリコンレンズ35によって集光され、サーモパイルチップ31のサーモパイル31a上に照射される。すると、サーモパイル31aの温接点が加熱され、冷接点との間にゼーベック効果による熱起電力が発生し、サーモパイル出力端子36を介して温度制御装置16(図2参照)に入力される(S11)。
【0036】
次に温度制御装置16では、現在の状態が昇温中であるか否かの判断を行う(S12)。
ここで、昇温中と判断された場合には、外部サーミスタ33bの出力電圧が外部サーミスタ出力端子37bを介して温度制御装置16に入力される(S13a)。一方、昇温中以外の場合(降温中、一定温度維持中)は、内部サーミスタ33aの出力電圧が内部サーミスタ出力端子37aを介して温度制御装置16に入力される(S13b)。
【0037】
次に、サーモパイル出力電圧及び選択入力されたサーミスタ出力電圧に基づいて、定着ロール11(12)の表面温度が演算される(S14)。具体的には、入力されたサーミスタ出力電圧に基づいて求められた温度をサーモパイル31aの冷接点温度とみなし、これに応じてサーモパイル出力電圧に基づいて求められた温度を補正し、定着ロール11(12)の表面温度を特定する。
【0038】
そして、温度制御装置16は、求められた定着ロール11(12)の表面温度に基づいて、電源回路17に温度制御信号を送出する(S15)。
その後、終了判定が行われ(S16)、続行される場合は上述したプロセスが繰り返される。
【0039】
ここで、昇温中か否かで出力電圧を取得するサーミスタを選択しているのは、実施の形態2と同様の理由による。
すなわち、本発明者の調査により、定着ロール11(12)の温度上昇時(ウォームアップ時など)においてはCAN34外側の温度がサーモパイルチップ31の冷接点温度に近く、また、定着ロール11(12)の温度下降時(スタンバイへの移行時など)においてはCAN34内側の温度がサーモパイルチップ31の冷接点の温度に近いことが判明しているためである。尚、一定温度維持中においては、どちらのサーミスタ33a、33bからも同じ出力がなされるため、どちらのサーミスタ33の出力を使用してもよい。
【0040】
本実施の形態では、サーミスタ33a、33bを設け、2箇所で温度測定を行い、条件に応じてサーモパイル31aの冷接点温度を演算するのに用いるサーミスタ出力電圧を選択するようにしているので、冷接点温度の誤差を小さくすることが可能である。
それゆえ、定着ロール11(12)の表面温度の測定誤差を小さくすることができ、正確な温度制御を行うことが可能となる。
【0041】
◎実施の形態4
図9は本発明が適用された定着装置の実施の形態4を示す。
同図において、定着装置は、定着ベルト51と加圧ロール52とを互いに圧接配置し、定着ベルト51と加圧ロール52との定着ニップ域に対応した定着ベルト51内にはホルダ53を配設し、このホルダ53にはヒータ54を介して弾性パッド55を配設するようにしたものである。
このタイプにあっては、定着ベルト51は熱容量が小さいため、定着工程直前においてヒータ54をオンさせるようにすれば、ヒータ54からの熱は弾性パッド55を介して定着ニップ域にて定着ベルト51を瞬間的に加熱することができる。
【0042】
本態様において、温度検知装置15は、例えば定着ベルト51の定着ニップ域直後の表面温度を検知するものであり、定着ニップ域出口側のうち、前記定着ベルト51の定着ニップ域直後に対向する部位に斜め姿勢で配設されている。
【0043】
本態様においても、実施の形態1ないし実施の形態3で説明した温度検知装置15を用いることにより、正確な温度検知及びこれに伴う正確な温度制御を行うことが可能となる。
【0044】
尚、本実施の形態にあっては、定着ニップ域に対応した位置にヒータ54を設けるようにしていたが、これに限られるものではなく、例えば定着ベルト51の定着ニップ域上流側内に加熱源としてのヒータ56を別途設けるようにしてもよい。
【0045】
◎実施の形態5
図10は本発明が適用された定着装置の実施の形態5を示す。
同図において、定着装置は、実施の形態1と同様に、互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着ロール11,12を有しているが、実施の形態1と異なり、定着ロール11の外表面に外部加熱ロール18を接触配置し、定着ロール11の外表面を加熱するようになっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様の符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
そして、定着ロール11に対向する部位には、温度検知装置15が離間配設される。
【0046】
本態様においても、実施の形態1ないし実施の形態3で説明した温度検知装置15を用いることにより、正確な温度検知及びこれに伴う正確な温度制御を行うことが可能となる。
【0047】
◎実施の形態6
図11は本発明が適用された定着装置の実施の形態6を組み込んだ画像記録装置を示す。
同図において、この画像記録装置は、例えば二つの張架ロール71,72に掛け渡されて周面が周回移動する中間転写ベルト70を備えており、この中間転写ベルト70と対向する位置に、夫々イエロ、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成せしめられる四つの作像ユニット80(80Y,80M,80C,80K)を配設したものである。
ここで、各作像ユニット80(80Y〜80K)は、例えば表面に静電潜像が形成される感光体ドラム81と、感光体ドラム81表面を略一様に帯電する帯電装置82と、感光体ドラム81上にレーザ光を照射して潜像を形成する露光装置83と、感光体ドラム81上の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像装置84とを備えている。
尚、符号85は中間転写ベルト70を挟んで感光体ドラム81と対向するように配置され、感光体ドラム81と中間転写ベルト70との間に所定の転写ニップ域を形成して感光体ドラム81上の各色トナー像を中間転写ベルト70側に一次転写する一次転写装置(本例では一次転写ロール)である。
【0048】
また、本実施の形態において、定着装置は、発熱可能な中間転写ベルト70と、この中間転写ベルト70を転写定着領域X(本例では張架ロール72部位)前の加熱領域Zにて加熱する加熱装置90と、中間転写ベルト70の転写定着領域Xにて張架ロール72に対向配置されて中間転写ベルト70を押圧する押圧定着ロール100とを備えている。
ここで、中間転写ベルト70は、例えば図12に示すように、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性の高い樹脂からなる基層70aと、その上に積層された電磁誘導発熱層(導電層)70bと、最も上層となる離型性の高いフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の表面離型層70cとの3層を基本的に備えている。
前記電磁誘導発熱層70bは、電磁誘導加熱作用により自己発熱するものであれば適宜選定し得るが、例えば銅、銀、アルミニウムが挙げられるが、固有抵抗値や熱効率の点、製造容易性(エッチング処理の容易性)、更には、コストの面等を考慮すると、銅が最適である。
【0049】
また、加熱装置90は、例えば図11及び図12に示すように、中間転写ベルト70の内側に配設されており、中間転写ベルト70の搬送方向に直交する幅方向に沿って配設される非磁性の長尺な板状の台座91と、この台座91内に形成される凹部の中央に配設されるフェライト等の磁性コア92と、この磁性コア92に巻き回されて中間転写ベルト70の厚さ方向に向かって変動磁界を生成する励磁コイル93とを備え、励磁回路94にて励磁コイル93に給電することにより変動磁界Hを生成し、中間転写ベルト70の電磁誘導発熱層70bに渦電流Icを生じ、電磁誘導発熱層70bを発熱させるものである。
【0050】
更に、このような定着装置において、本実施の形態では、加熱装置90に対応する中間転写ベルト70の外側には、中間転写ベルト70の加熱領域Zの温度を検知するための温度検知装置130が配設されている。
本実施の形態において、温度検知装置130は、実施の形態1及び2で説明した温度検知装置15と同じ構成を有するものである。
尚、温度検知装置130は実施の形態1に示すような温度制御装置に接続されて温度制御用の温度データを入力するようになっている。
【0051】
次に、本実施の形態に係る定着装置及び温度検知装置の作動について説明する。
図11に示すように、各作像ユニット80(80Y〜80K)により、感光体ドラム81上にそれぞれ異なる色のトナー像が形成される。
一方、中間転写ベルト70は一定方向に循環移動しており、各作像ユニット80の一次転写部では、一次転写装置85により感光体ドラム81上のトナー像が中間転写ベルト70上に転写される。
そして、四つの作像ユニット80からトナー像が順次転写された後、重ね合わされた四色のトナー像Tは中間転写ベルト70の移動により加熱装置90と対向する加熱領域Zに搬送される。
【0052】
この加熱領域Zでは、中間転写ベルト70上の四色のトナー像が、電磁誘導加熱により電磁誘導発熱層70bの発熱により溶融される。
この後、溶融したトナー像Tは転写定着領域Xにて押圧定着ロール100の押圧作用により室温の記録シートPと圧接され、トナー像Tが記録シートPに浸透して転写定着されると共に、トナー像Tは定着ニップ域の出口側に向かって搬送される間に冷却される。定着ニップ域の出口では、トナーの温度は充分に低くなっており、トナーの凝集力が大きいため、オフセットを生ずることなく、トナー像はそのまま略完全に記録シートP上に転写定着される。
【0053】
このような定着工程において、温度検知装置130は中間転写ベルト70の加熱領域Zでの表面温度を検知し、図示外の温度制御装置は、前記検知温度に基づいて加熱装置90の励磁回路94を制御するようになっている。
特に、本実施の形態では、加熱装置90によって中間転写ベルト70が加熱されると、中間転写ベルト70から放射された赤外線は温度検知装置130に設けられたサーモパイルの検知面に照射される。
【0054】
本態様においても、温度検知装置130として実施の形態1ないし実施の形態3で説明した温度検知装置15を用いることにより、正確な温度検知及びこれに伴う正確な温度制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明及び本発明に関連する発明に用いられる温度検知装置の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の基本的構成が適用された実施の形態1に係る定着装置の全体構成を示す説明図である。
【図3】実施の形態1に係る温度検知装置の斜視断面図である。
【図4】実施の形態1における温度制御フローチャートである。
【図5】実施の形態1と従来の形態との比較を示すグラフ図である。
【図6】実施の形態2に係る温度検知装置の斜視断面図である。
【図7】実施の形態3に係る温度検知装置の斜視断面図である。
【図8】実施の形態3における温度制御フローチャートである。
【図9】本発明が適用された実施の形態4に係る定着装置を示す説明図である。
【図10】本発明が適用された実施の形態5に係る定着装置を示す説明図である。
【図11】本発明が適用された実施の形態6に係る定着装置を組み込んだ画像記録装置を示す説明図である。
【図12】実施の形態6で用いられる加熱装置の詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1…被加熱体,2…加熱源,3…非接触型温度センサ,4(4a〜4c)…補正用温度センサ,5…ケース,6…演算手段,7…温度検知装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱体の表面温度を非接触検知する温度検知装置を用いた定着装置に係り、特に、非接触温度センサにより測定される温度を補正用温度センサで補正するタイプの温度検知装置を用いた定着装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置にあっては、例えば電子写真プロセスにより記録シート上に保持された未定着トナー像を定着する定着装置が広く用いられている。
従来この種の定着装置としては、例えば互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着部材(一対の定着ロールや定着ロールと定着ベルトとの組合せなど)を有し、少なくともいずれか一方の定着部材を加熱源としてのヒータで加熱すると共に、これらの定着部材間のニップ域に記録シートを通過させ、その際の熱と圧力との作用により記録シート上の未定着トナー像を定着し、永久像を形成するものが知られている。
このような定着装置では、ホットオフセット、コールドオフセット等を防ぐように適切な温度で定着を行う必要があり、そのために定着部材の表面温度を検知し、その検知結果に基づいて定着部材に対して加熱制御を行うようにしている。
【0003】
このような定着部材の温度制御を適切に行うための一つの条件は、定着部材の表面温度を正確に検知することである。より詳しくは、ニップ域通過時に記録シート上のトナー像に対してどれだけの熱量を与えるかが問題となるため、定着部材表面上のトナー像が接触する領域(以下「画像領域」という)の表面温度を正確に検知することである。
従来における温度検知装置としては、定着部材の表面温度を正確に検知するために、接触型温度センサとして例えばサーミスタを定着部材の表面に接触させ、その温度を検知する方式が多く採用されている。
このような接触型温度検知方式において、定着部材の画像領域にサーミスタを接触させる手法は、正確な温度検知という観点からは理想的であるが、その接触により定着部材表面の画像領域を傷付け、その傷部分での定着不良を招き、結果として画像欠陥が生じる懸念がある。また、そのサーミスタにオフセットトナーが付着、堆積すると温度検知の精度が悪化してしまう。更に、堆積したオフセットトナー塊がサーミスタから外れると、その後そのオフセットトナー塊は記録シート上に定着し、画像欠陥となってしまう。
【0004】
また、接触型温度検知方式において、定着部材の非画像領域(記録シートが通過しないシート非通過領域に相当)にサーミスタを接触させる手法は、これら接触傷による画像欠陥、トナーの付着による検知精度の低下や画像欠陥などの問題は生じないが、正確な温度検知という観点からは必ずしも好ましい方法ではない。すなわち、理想的には定着部材上の画像領域の温度を検知すべきであるにもかかわらず、実際には非画像領域の表面温度を計測しているため、これらの温度間に食い違いが生じてしまうことによる。
そこで、このような接触型温度検知方式に代わって、従来にあっては、定着部材表面の傷の発生を低減すべく、非接触型温度センサを用いて定着部材に接触することなく温度検知を行う方式(非接触型温度検知方式)が既に提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ここで、上記特許文献1においては、非接触型温度センサとして所謂サーモパイル式温度センサが用いられている。サーモパイル式温度センサは、二種類の異種金属又は半導体を接合した熱電対が多数直列に接続されたサーモパイルを備えた測温素子で、その温接点を絶縁薄膜のような熱容量の小さな部材上に配置し、その冷接点をヒートシンクのような熱容量の大きな部材上に配置し、前記温接点を赤外線吸収体によって覆ったものである。そして、定着部材から放出(輻射)された赤外線が温接点上に形成された赤外線吸収体に吸収されて熱に変換されると、冷接点と温接点との間に温度差が生じ、サーモパイル両端に形成された電極間に温度差に応じた起電力が生じることによって定着部材の表面温度を測定するものである。
【0006】
ところで、このような原理のサーモパイル式温度センサで検出できるのは、温接点と冷接点との間の温度差のみであるから、温接点の温度を決めるためには、基準となる冷接点の温度を確定させる必要がある。
冷接点を確定させる手法としては、例えば冷接点=室温(例えば20℃)とみなすことも可能ではあるが、より正確に定着部材の表面温度を測定するためには、冷接点の正確な温度を測定することが必要となる。
そこで、上記公報においては、サーモパイルが取り付けられるベース上の当該サーモパイル近傍にサーミスタを装着し、このサーミスタで測定された温度を冷接点温度とし、前記サーモパイルによる測定温度を補正するようにしていた。
【0007】
【特許文献1】特開平5−100591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記公報においては、サーミスタが一箇所だけに配置されているため、サーミスタの設置部位とサーモパイルの設置部位との間に温度差があった場合は、補正後の定着部材の表面温度に誤差が生じてしまうという技術的課題がみられた。
特に、サーモパイル式温度センサは、湿気等の侵入を防止する目的で、通常、ベース上のサーモパイル及びサーミスタをCANとよばれるキャップで封入する構造を採用しているため、定着部材から受けた熱によってCANの定着部材側が加熱されると、CANの内壁からも赤外線の放出が行われることとなってしまい、ベース上の部位によって温度が異なるという事態が生じ易くなるという問題があった。また、このタイプのものにおいては、CANの定着部材側が加熱され、その後熱伝導によってベースが加熱されることとなるため、ベースの端部と中央部とでその温度が異なるという事態が生じ易くなるという問題もあった。
【0009】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、非接触型温度センサ及び補正用温度センサを用いて正確な温度検知を行うことのできる定着装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
先ず、本発明を説明する前に本発明に関連する参考発明について説明する。
すなわち、本発明に関連する参考発明は、図1に示すように、被加熱体1の表面温度を非接触検知する温度検知装置7であって、ステムと、ステムとの間で不活性ガスが封入されるカンと、ステムに設けられて前記被加熱体1より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサ3と、前記非接触型温度センサ3とは別体でステムに設けられると共に当該非接触型温度センサ3を挟んで配置される2個の補正用温度センサ4(例えば4a,4b)とを備え、これら2個の補正用温度センサ4は直列接続されると共にこれらの出力合成値に基づいて前記非接触型温度センサ3の温度情報を補正するようにしたことを特徴とする。
【0011】
このような技術的手段において、非接触型温度センサ3としては、被加熱体1の表面温度を非接触検知可能なものであれば種々の方式のものより適宜選定して差し支えないが、高感度、高速応答性という特性を有ししかも安価なサーモパイル式温度センサを用いることが好ましい。
また、補正用温度センサ4については、前記非接触型温度センサ3の温度情報を補正するために設けられるものであればその検知方式は適宜選定して差し支えないが、構成の簡易化という観点からすれば、温度変化に伴ってその電気抵抗値が変化するタイプのセンサを用いることが好ましい。この具体的な態様としては、例えばサーミスタやダイオードなどが挙げられる。
ここで、複数の補正用温度センサ4(例えば4a,4b)としては同一特性のもの(抵抗値等)を用いても差し支えないが、異なる特性のものを用いても構わない。
【0012】
更に、本発明に関連する参考発明の他の態様としては、図1に示すように、被加熱体1の表面温度を非接触検知する温度検知装置であって、ステムと、ステムとの間で不活性ガスが封入されるカンと、ステムに設けられて前記被加熱体1より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサ3と、前記非接触型温度センサ3とは別体で設けられる2個の補正用温度センサ4(例えば4a,4c)とを備え、これら2個の補正用温度センサ4(例えば4a,4c)は一つ(例えば4a)がステムに設けられ、もう一つ(例えば4c)が当該ステムに設けられた補正用温度センサ4(例えば4a)と同じ側のカン表面側に設けられて互いに直列接続されると共にこれらの出力合成値に基づいて前記非接触型温度センサ3の温度情報を補正するようにしたものが挙げられる。
ここで、前者は、ケース5内の温度分布を知ることができるという利点があり、後者は、ケース5外の温度変動を敏感に検知できるという利点がある。
【0013】
また、前記非接触型温度センサ3と前記2個の補正用温度センサ4との配置間隔については、すべて等距離としても差し支えないが、非接触型温度センサ3との距離の相違によって温度の違いが生じることを考慮すれば、前記非接触型温度センサ3と各補正用温度センサ4との間の距離を異ならせることが好ましい。
また、前記非接触型温度センサ3からの温度情報と前記2個の補正用温度センサ4からの温度補正情報とに基づいて前記被加熱体1の表面温度を演算する演算手段6を備えることが好ましい。
ここで、前記演算手段6は、前記2個の補正用温度センサ4からの温度補正情報を一つの温度補正情報として用いることとなるが、その手法としては、例えば複数の補正用温度センサ4からの温度補正情報を平均化して用いるものが好ましい。
【0014】
このような温度検知装置は各種被加熱体1の温度検知に適用されるが、代表例として定着装置への適用例について説明する。
定着装置には各種態様があるが、定着装置への適用例としては、互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着部材(被加熱体1に相当)を有し、少なくとも一方の定着部材の内部若しくは外部に加熱源2を配設すると共に、少なくとも何れか一方の定着部材の表面温度を上述の温度検知装置7にて検知するようにした定着装置が挙げられる。
この態様において、「何れか一方の定着部材の表面温度を検知」としたのは、加熱源2を配設した定着部材は直接的に加熱される被加熱体1であり、また、加熱源2を配設していない定着部材は熱伝導により間接的に加熱される被加熱体1であるから、いずれをも温度検知対象としたものである。
そして、加熱源2は被加熱体1と非接触若しくは接触するいずれの態様をも含む。
【0015】
また、定着装置への別の適用例としては、発熱層を有し且つ未定着像が担持搬送せしめられる像担持搬送体(被加熱体1に相当)と、この像担持搬送体の発熱層を発熱させる加熱装置と、この像担持搬送体の加熱装置に対向する部位の下流位置に配設され且つ像担持搬送体上で溶融した未定着像を記録材上に少なくとも押圧して転写、定着する押圧定着部材と、像担持搬送体の表面温度を検知する温度検知装置7とを備え、温度検知装置7として上述の温度検知装置を用いるようにした定着装置が挙げられる。
本態様において、発熱層としては、電磁誘導発熱層や抵抗発熱層がある。
また、加熱装置としては、発熱層に応じて適宜選定すればよく、電磁誘導発熱層であれば励磁コイル、また、抵抗発熱層であれば通電デバイスが挙げられる。
更に、押圧定着部材は少なくとも押圧機能を具備していればよく、必要に応じて補助的に静電界を作用させるもの等適宜選定して差し支えない。
【0016】
特に、本発明は、定着装置への適用例を示すものであって、図1に示すように、互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着部材を有し、少なくとも一方の定着部材の内部若しくは外部に加熱源を配設すると共に、少なくとも何れか一方の定着部材(被加熱体1に相当)の表面温度を温度検知装置7にて検知するようにした定着装置において、前記温度検知装置7が、検知対象である定着部材に対向配置され且つ当該定着部材より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサ3と、前記非接触型温度センサ3の温度情報を補正するための複数の補正用温度センサ4とを備え、前記非接触型温度センサ3と前記複数のうち少なくとも一つの補正用温度センサ4(例えば4a)とをステムとカンとで密閉された同一ケース5中に封入すると共に少なくとも一つの補正用温度センサ4(例えば4c)を当該ケース5外に設置し、前記定着部材の温度上昇時には前記ケース5外の補正用温度センサ4(例えば4c)からの温度補正情報に基づいて前記定着部材の表面温度を演算する一方、前記定着部材の温度下降時には前記ケース5内の補正用温度センサ4(例えば4a)からの温度補正情報に基づいて前記定着部材の表面温度を演算するようにした定着装置である。
また、本発明の別の態様は、図1に示すように、発熱層を有し且つ未定着像が担持搬送せしめられる像担持搬送体(被加熱体1に相当)と、この像担持搬送体の発熱層を発熱させる加熱装置と、この像担持搬送体の加熱装置に対向する部位の下流位置に配設され且つ像担持搬送体上で溶融した未定着像を記録材上に少なくとも押圧して転写、定着する押圧定着部材と、像担持搬送体の表面温度を検知する温度検知装置7とを備えた定着装置において、前記温度検知装置7が、検知対象である像担持搬送体に対向配置され且つ当該像担持搬送体より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサ3と、前記非接触型温度センサ3の温度情報を補正するための複数の補正用温度センサ4とを備え、前記非接触型温度センサ3と前記複数のうち少なくとも一つの補正用温度センサ4(例えば4a)とをステムとカンとで密閉された同一ケース5中に封入すると共に少なくとも一つの補正用温度センサ4(例えば4c)を当該ケース5外に設置し、前記像担持搬送体の温度上昇時には前記ケース5外の補正用温度センサ4(例えば4c)からの温度補正情報に基づいて前記像担持搬送体の表面温度を演算する一方、前記像担持搬送体の温度下降時には前記ケース5内の補正用温度センサ4(例えば4a)からの温度補正情報に基づいて前記像担持搬送体の表面温度を演算するようにした定着装置である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、非接触型温度センサの温度情報を補正するために複数の補正用温度センサをカン内部及びカン表面に夫々設け、被加熱体である定着部材又は像担持搬送体の温度上昇時、温度下降時に適した補正用温度センサを用い、非接触型温度センサ及び補正用温度センサの温度差を小さくするようにしたので、補正用温度センサにて非接触型温度センサを正確に補正することができ、その分、定着部材又は像担持搬送体に対し正確な温度検知を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は本発明の基本的構成が適用された定着装置の実施の形態1の全体構成を示す説明図である。尚、本実施の形態では実施の形態2と異なる態様の温度検知装置が用いられている。
同図において、定着装置は、互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着ロール11,12を有し、本例では、両方の定着ロール11,12に夫々ランプヒータ13,14を内蔵させ、各定着ロール11,12としては適宜選定して差し支えないが、例えば金属製ロールシャフト上に耐熱性のウレタン樹脂からなる被覆層を設け、両定着ロール11,12間に所定の定着ニップ域を確保するようにしたものである。
【0019】
また、本実施の形態にあっては、各定着ロール11,12の表面温度を非接触検知する一対の温度検知装置15(具体的には15a,15b)が配設されている。
本例において温度検知装置15は、例えば定着ロール11,12の軸方向位置のうち、記録シートPが通過するシート通過領域に対応した位置に配設されている。
【0020】
また、本実施の形態において、温度検知装置15(15a,15b)からの検知データは温度制御装置(演算手段)16に取り込まれ、この温度制御装置16は各定着ロール11,12の表面温度を演算し、この演算結果に基づいて電源回路17に制御信号を送出し、各ランプヒータ13,14をオンオフ制御するものである。
【0021】
図3は、温度検知装置15の斜視断面図を示したものである。
本実施の形態において、温度検知装置15は、定着ロール11,12から放出された赤外線を受光するサーモパイルチップ(非接触型温度センサ)31と、断面凸字状の形状を有し且つ前記サーモパイルチップ31が載置されるSTEM(ステム)32と、このSTEM32上で前記サーモパイルチップ31に隣接して取り付けられる複数のサーミスタ(補正用温度センサ)33(具体的には33a、33b)と、前記STEM32にはめ込まれることで前記サーモパイルチップ31及び複数のサーミスタ33を外気から遮断するCAN(カン)34と、このCAN34の上壁面に取り付けられるシリコンレンズ35とを備えている。ここで、CAN34の内部には、窒素ガスやArガス等の不活性ガスが封入される。
本実施の形態では、前記サーミスタ33a及び33bが直列に接続されるようになっており、また、サーモパイルチップ31と各サーミスタ33a、33bとの間の距離は等しく設定されている。
尚、符号36はリード線を介してサーモパイルチップ31で生じた熱起電力が出力されるサーモパイル出力端子、符号37はリード線を介してサーミスタ33a、33bの合成電圧が出力されるサーミスタ出力端子、符号38はリード線を介してSTEM32の電位が出力されるGND端子である。これら各端子は、温度制御装置16に接続される。
【0022】
ここで、サーモパイルチップ31は、例えばシリコン及びアルミニウムを接合した熱電対が多数直列に接続されたサーモパイル31aを具備する測温素子であり、その温接点を熱容量の小さい絶縁薄膜(図示せず)上に配置し、その冷接点をシリコン製のヒートシンク31b上に配置し、前記温接点を赤外線吸収体(図示せず)によって覆ったものである。
【0023】
次に、本実施の形態に係る定着装置の温度検知装置の作動を、図2,3及び図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
定着ロール11(12)への加熱が開始されると、温度検知装置15には、当該定着ロール11(12)から放出された赤外線が照射される。このとき、シリコンレンズ35と対向する部位に到達した赤外線は、当該シリコンレンズ35によって集光され、サーモパイルチップ31のサーモパイル31a上に照射される。すると、サーモパイル31aの温接点が加熱され、冷接点との間にゼーベック効果による熱起電力が発生し、サーモパイル出力端子36を介して温度制御装置16(図2参照)に入力される(S01)。
【0024】
一方、サーミスタ33(33a、33b)では、STEM32の温度に応じて電気抵抗値が変化し、その合成出力電圧がサーミスタ出力端子37を介して同じく温度制御装置16に入力される(S02)。
【0025】
ここで、サーミスタ出力端子37からの出力は、サーミスタ33a及びサーミスタ33bの出力の合成値であるため、温度制御装置16では、サーミスタ出力電圧の平均化(本実施の形態では1/2にする)が実行される(S03)。
【0026】
次に、サーモパイル出力電圧及び平均化されたサーミスタ出力電圧に基づいて、定着ロール11(12)の表面温度が演算される(S04)。具体的には、前記平均化されたサーミスタ出力電圧に基づいて求められた温度をサーモパイル31aの冷接点温度とみなし、これに応じてサーモパイル出力電圧に基づいて求められた温度を補正し、定着ロール11(12)の表面温度を特定する。
【0027】
そして、温度制御装置16は、求められた定着ロール11(12)の表面温度に基づいて、電源回路17に温度制御信号を送出する(S05)。
その後、終了判定が行われ(S06)、続行される場合は上述したプロセスが繰り返される。
【0028】
本実施の形態では、サーミスタ33a、33bを設けて二箇所で温度測定を行い、その平均値に基づいてサーモパイル31aの冷接点温度を演算するようにしたので、何らかの理由によりSTEM32に温度分布が生じてしまうような場合にも、冷接点温度の誤差を小さくすることが可能である。
それゆえ、定着ロール11(12)の表面温度の測定誤差を小さくすることができ、正確な温度制御を行うことが可能となる。
【0029】
本発明者は、本実施の形態で用いた温度検知装置15(複数のサーミスタ33(33a、33b)を有するもの)と、従来使用されている温度検知装置(一つのサーミスタ(例えば33a)のみを有するもの)とを用い、比較を行った。
温度検知装置は、通常、定着装置の定着ロール11(12)の加熱に伴って温度上昇する。従来の温度検知装置では、サーミスタ33が一つだけであるため、冷接点の温度変化と無関係な局所的な温度変化に応じてサーミスタ33の出力が急変化してしまうと、例えば図5の曲線Aのようにサーミスタの出力電圧に揺れが生じるという事態を招き、その結果、これに基づいて補正され、制御される定着ロール11(12)の表面温度(曲線Bで示す)も変動してしまうという事態を招いてしまっていた。
【0030】
これに対し、本実施の形態に係る温度検知装置15では、一方のサーミスタ(例えば33a)の配設部位が局所的に加熱されて出力が急変化したとしても、他方のサーミスタ(この場合は33b)の出力は安定した変化をするため、図5の曲線Cのようにサーミスタの出力電圧(ここでは平均化された出力電圧)に揺れはほとんど生じず、その結果、これに基づいて補正され、制御される定着ロール11(12)の表面温度(曲線Dで示す)も安定した挙動を示すことになる。
【0031】
◎実施の形態2
本実施の形態は、実施の形態1と略同様であるが、図6に示すように、温度検知装置15に設けられる二つのサーミスタ33のうちサーミスタ33aをCAN34の内側に配設し、他方のサーミスタ33bをCAN34の外側に配設するようにしたものである。
尚、本実施の形態に係る温度検知装置15の構成要素のうち、実施の形態1に係る温度検知装置15と同様のものについては、実施の形態1と同様の符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、サーミスタ33bがCAN34の下側側面に貼り付けられるようになっており、また、実施の形態1と同様に、これらサーミスタ33a及び33bが直列に接続されるようになっている。また、図から明らかなように、サーモパイルチップ31とサーミスタ33aとの間の距離よりも、サーモパイルチップ31とサーミスタ33bとの間の距離が大きくなっている。
【0032】
本発明者の調査によれば、定着ロール11(12)の温度上昇時(ウォームアップ時など)においてはCAN34外側の温度がサーモパイル31の冷接点温度に近く、また、定着ロール11(12)の温度下降時(スタンバイへの移行時など)においてはCAN34内側の温度がサーモパイルチップ31の冷接点の温度に近いことが判明している。
従って、STEM32及びCAN34からなるケースの内側及び外側に夫々サーミスタ33a、33bを配置し、実施の形態1と同様に両サーミスタ出力電圧の平均値に基づいて温度補正を行うことで、冷接点温度の誤差を小さくすることが可能となる。
それゆえ、定着ロール11(12)の表面温度の測定誤差を小さくすることができ、正確な温度制御を行うことが可能となる。
【0033】
◎実施の形態3
本実施の形態は、実施の形態2と略同様であるが、図7に示すように、温度検知装置15に設けられる二つのサーミスタ33a、33bから別々に電圧を出力できるようにしたものである。
尚、本実施の形態に係る温度検知装置15の構成要素のうち、実施の形態2に係る温度検知装置15と同様のものについては、実施の形態2と同様の符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施の形態では、リード線を介してサーミスタ33aの電圧が出力される内部サーミスタ出力端子37aと、リード線を介してサーミスタ33bの電圧が出力される外部サーミスタ出力端子37bとが設けられている。これにより、本実施の形態に係る温度検知装置15の出力端子は四本となっている。
【0035】
次に、本実施の形態に係る定着装置の温度検知装置の作動を、図2,7及び図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
定着ロール11(12)への加熱が開始されると、温度検知装置15には、当該定着ロール11(12)から放出された赤外線が照射される。このとき、シリコンレンズ35と対向する部位に到達した赤外線は、当該シリコンレンズ35によって集光され、サーモパイルチップ31のサーモパイル31a上に照射される。すると、サーモパイル31aの温接点が加熱され、冷接点との間にゼーベック効果による熱起電力が発生し、サーモパイル出力端子36を介して温度制御装置16(図2参照)に入力される(S11)。
【0036】
次に温度制御装置16では、現在の状態が昇温中であるか否かの判断を行う(S12)。
ここで、昇温中と判断された場合には、外部サーミスタ33bの出力電圧が外部サーミスタ出力端子37bを介して温度制御装置16に入力される(S13a)。一方、昇温中以外の場合(降温中、一定温度維持中)は、内部サーミスタ33aの出力電圧が内部サーミスタ出力端子37aを介して温度制御装置16に入力される(S13b)。
【0037】
次に、サーモパイル出力電圧及び選択入力されたサーミスタ出力電圧に基づいて、定着ロール11(12)の表面温度が演算される(S14)。具体的には、入力されたサーミスタ出力電圧に基づいて求められた温度をサーモパイル31aの冷接点温度とみなし、これに応じてサーモパイル出力電圧に基づいて求められた温度を補正し、定着ロール11(12)の表面温度を特定する。
【0038】
そして、温度制御装置16は、求められた定着ロール11(12)の表面温度に基づいて、電源回路17に温度制御信号を送出する(S15)。
その後、終了判定が行われ(S16)、続行される場合は上述したプロセスが繰り返される。
【0039】
ここで、昇温中か否かで出力電圧を取得するサーミスタを選択しているのは、実施の形態2と同様の理由による。
すなわち、本発明者の調査により、定着ロール11(12)の温度上昇時(ウォームアップ時など)においてはCAN34外側の温度がサーモパイルチップ31の冷接点温度に近く、また、定着ロール11(12)の温度下降時(スタンバイへの移行時など)においてはCAN34内側の温度がサーモパイルチップ31の冷接点の温度に近いことが判明しているためである。尚、一定温度維持中においては、どちらのサーミスタ33a、33bからも同じ出力がなされるため、どちらのサーミスタ33の出力を使用してもよい。
【0040】
本実施の形態では、サーミスタ33a、33bを設け、2箇所で温度測定を行い、条件に応じてサーモパイル31aの冷接点温度を演算するのに用いるサーミスタ出力電圧を選択するようにしているので、冷接点温度の誤差を小さくすることが可能である。
それゆえ、定着ロール11(12)の表面温度の測定誤差を小さくすることができ、正確な温度制御を行うことが可能となる。
【0041】
◎実施の形態4
図9は本発明が適用された定着装置の実施の形態4を示す。
同図において、定着装置は、定着ベルト51と加圧ロール52とを互いに圧接配置し、定着ベルト51と加圧ロール52との定着ニップ域に対応した定着ベルト51内にはホルダ53を配設し、このホルダ53にはヒータ54を介して弾性パッド55を配設するようにしたものである。
このタイプにあっては、定着ベルト51は熱容量が小さいため、定着工程直前においてヒータ54をオンさせるようにすれば、ヒータ54からの熱は弾性パッド55を介して定着ニップ域にて定着ベルト51を瞬間的に加熱することができる。
【0042】
本態様において、温度検知装置15は、例えば定着ベルト51の定着ニップ域直後の表面温度を検知するものであり、定着ニップ域出口側のうち、前記定着ベルト51の定着ニップ域直後に対向する部位に斜め姿勢で配設されている。
【0043】
本態様においても、実施の形態1ないし実施の形態3で説明した温度検知装置15を用いることにより、正確な温度検知及びこれに伴う正確な温度制御を行うことが可能となる。
【0044】
尚、本実施の形態にあっては、定着ニップ域に対応した位置にヒータ54を設けるようにしていたが、これに限られるものではなく、例えば定着ベルト51の定着ニップ域上流側内に加熱源としてのヒータ56を別途設けるようにしてもよい。
【0045】
◎実施の形態5
図10は本発明が適用された定着装置の実施の形態5を示す。
同図において、定着装置は、実施の形態1と同様に、互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着ロール11,12を有しているが、実施の形態1と異なり、定着ロール11の外表面に外部加熱ロール18を接触配置し、定着ロール11の外表面を加熱するようになっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様の符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
そして、定着ロール11に対向する部位には、温度検知装置15が離間配設される。
【0046】
本態様においても、実施の形態1ないし実施の形態3で説明した温度検知装置15を用いることにより、正確な温度検知及びこれに伴う正確な温度制御を行うことが可能となる。
【0047】
◎実施の形態6
図11は本発明が適用された定着装置の実施の形態6を組み込んだ画像記録装置を示す。
同図において、この画像記録装置は、例えば二つの張架ロール71,72に掛け渡されて周面が周回移動する中間転写ベルト70を備えており、この中間転写ベルト70と対向する位置に、夫々イエロ、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成せしめられる四つの作像ユニット80(80Y,80M,80C,80K)を配設したものである。
ここで、各作像ユニット80(80Y〜80K)は、例えば表面に静電潜像が形成される感光体ドラム81と、感光体ドラム81表面を略一様に帯電する帯電装置82と、感光体ドラム81上にレーザ光を照射して潜像を形成する露光装置83と、感光体ドラム81上の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像装置84とを備えている。
尚、符号85は中間転写ベルト70を挟んで感光体ドラム81と対向するように配置され、感光体ドラム81と中間転写ベルト70との間に所定の転写ニップ域を形成して感光体ドラム81上の各色トナー像を中間転写ベルト70側に一次転写する一次転写装置(本例では一次転写ロール)である。
【0048】
また、本実施の形態において、定着装置は、発熱可能な中間転写ベルト70と、この中間転写ベルト70を転写定着領域X(本例では張架ロール72部位)前の加熱領域Zにて加熱する加熱装置90と、中間転写ベルト70の転写定着領域Xにて張架ロール72に対向配置されて中間転写ベルト70を押圧する押圧定着ロール100とを備えている。
ここで、中間転写ベルト70は、例えば図12に示すように、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性の高い樹脂からなる基層70aと、その上に積層された電磁誘導発熱層(導電層)70bと、最も上層となる離型性の高いフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の表面離型層70cとの3層を基本的に備えている。
前記電磁誘導発熱層70bは、電磁誘導加熱作用により自己発熱するものであれば適宜選定し得るが、例えば銅、銀、アルミニウムが挙げられるが、固有抵抗値や熱効率の点、製造容易性(エッチング処理の容易性)、更には、コストの面等を考慮すると、銅が最適である。
【0049】
また、加熱装置90は、例えば図11及び図12に示すように、中間転写ベルト70の内側に配設されており、中間転写ベルト70の搬送方向に直交する幅方向に沿って配設される非磁性の長尺な板状の台座91と、この台座91内に形成される凹部の中央に配設されるフェライト等の磁性コア92と、この磁性コア92に巻き回されて中間転写ベルト70の厚さ方向に向かって変動磁界を生成する励磁コイル93とを備え、励磁回路94にて励磁コイル93に給電することにより変動磁界Hを生成し、中間転写ベルト70の電磁誘導発熱層70bに渦電流Icを生じ、電磁誘導発熱層70bを発熱させるものである。
【0050】
更に、このような定着装置において、本実施の形態では、加熱装置90に対応する中間転写ベルト70の外側には、中間転写ベルト70の加熱領域Zの温度を検知するための温度検知装置130が配設されている。
本実施の形態において、温度検知装置130は、実施の形態1及び2で説明した温度検知装置15と同じ構成を有するものである。
尚、温度検知装置130は実施の形態1に示すような温度制御装置に接続されて温度制御用の温度データを入力するようになっている。
【0051】
次に、本実施の形態に係る定着装置及び温度検知装置の作動について説明する。
図11に示すように、各作像ユニット80(80Y〜80K)により、感光体ドラム81上にそれぞれ異なる色のトナー像が形成される。
一方、中間転写ベルト70は一定方向に循環移動しており、各作像ユニット80の一次転写部では、一次転写装置85により感光体ドラム81上のトナー像が中間転写ベルト70上に転写される。
そして、四つの作像ユニット80からトナー像が順次転写された後、重ね合わされた四色のトナー像Tは中間転写ベルト70の移動により加熱装置90と対向する加熱領域Zに搬送される。
【0052】
この加熱領域Zでは、中間転写ベルト70上の四色のトナー像が、電磁誘導加熱により電磁誘導発熱層70bの発熱により溶融される。
この後、溶融したトナー像Tは転写定着領域Xにて押圧定着ロール100の押圧作用により室温の記録シートPと圧接され、トナー像Tが記録シートPに浸透して転写定着されると共に、トナー像Tは定着ニップ域の出口側に向かって搬送される間に冷却される。定着ニップ域の出口では、トナーの温度は充分に低くなっており、トナーの凝集力が大きいため、オフセットを生ずることなく、トナー像はそのまま略完全に記録シートP上に転写定着される。
【0053】
このような定着工程において、温度検知装置130は中間転写ベルト70の加熱領域Zでの表面温度を検知し、図示外の温度制御装置は、前記検知温度に基づいて加熱装置90の励磁回路94を制御するようになっている。
特に、本実施の形態では、加熱装置90によって中間転写ベルト70が加熱されると、中間転写ベルト70から放射された赤外線は温度検知装置130に設けられたサーモパイルの検知面に照射される。
【0054】
本態様においても、温度検知装置130として実施の形態1ないし実施の形態3で説明した温度検知装置15を用いることにより、正確な温度検知及びこれに伴う正確な温度制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明及び本発明に関連する発明に用いられる温度検知装置の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の基本的構成が適用された実施の形態1に係る定着装置の全体構成を示す説明図である。
【図3】実施の形態1に係る温度検知装置の斜視断面図である。
【図4】実施の形態1における温度制御フローチャートである。
【図5】実施の形態1と従来の形態との比較を示すグラフ図である。
【図6】実施の形態2に係る温度検知装置の斜視断面図である。
【図7】実施の形態3に係る温度検知装置の斜視断面図である。
【図8】実施の形態3における温度制御フローチャートである。
【図9】本発明が適用された実施の形態4に係る定着装置を示す説明図である。
【図10】本発明が適用された実施の形態5に係る定着装置を示す説明図である。
【図11】本発明が適用された実施の形態6に係る定着装置を組み込んだ画像記録装置を示す説明図である。
【図12】実施の形態6で用いられる加熱装置の詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1…被加熱体,2…加熱源,3…非接触型温度センサ,4(4a〜4c)…補正用温度センサ,5…ケース,6…演算手段,7…温度検知装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着部材を有し、少なくとも一方の定着部材の内部若しくは外部に加熱源を配設すると共に、少なくとも何れか一方の定着部材の表面温度を温度検知装置にて検知するようにした定着装置において、
前記温度検知装置は、
検知対象である定着部材に対向配置され且つ当該定着部材より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサと、
前記非接触型温度センサの温度情報を補正するための複数の補正用温度センサとを備え、
前記非接触型温度センサと前記複数のうち少なくとも一つの補正用温度センサとをステムとカンとで密閉された同一ケース中に封入すると共に少なくとも一つの補正用温度センサを当該ケース外に設置し、
前記定着部材の温度上昇時には前記ケース外の補正用温度センサからの温度補正情報に基づいて前記定着部材の表面温度を演算する一方、前記定着部材の温度下降時には前記ケース内の補正用温度センサからの温度補正情報に基づいて前記定着部材の表面温度を演算するようにしたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
発熱層を有し且つ未定着像が担持搬送せしめられる像担持搬送体と、この像担持搬送体の発熱層を発熱させる加熱装置と、この像担持搬送体の加熱装置に対向する部位の下流位置に配設され且つ像担持搬送体上で溶融した未定着像を記録材上に少なくとも押圧して転写、定着する押圧定着部材と、像担持搬送体の表面温度を検知する温度検知装置とを備えた定着装置において、
前記温度検知装置は、
検知対象である像担持搬送体に対向配置され且つ当該像担持搬送体より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサと、
前記非接触型温度センサの温度情報を補正するための複数の補正用温度センサとを備え、
前記非接触型温度センサと前記複数のうち少なくとも一つの補正用温度センサとをステムとカンとで密閉された同一ケース中に封入すると共に少なくとも一つの補正用温度センサを当該ケース外に設置し、
前記像担持搬送体の温度上昇時には前記ケース外の補正用温度センサからの温度補正情報に基づいて前記像担持搬送体の表面温度を演算する一方、前記像担持搬送体の温度下降時には前記ケース内の補正用温度センサからの温度補正情報に基づいて前記像担持搬送体の表面温度を演算するようにしたことを特徴とする定着装置。
【請求項1】
互いに圧接配置されて接触転動する一対の定着部材を有し、少なくとも一方の定着部材の内部若しくは外部に加熱源を配設すると共に、少なくとも何れか一方の定着部材の表面温度を温度検知装置にて検知するようにした定着装置において、
前記温度検知装置は、
検知対象である定着部材に対向配置され且つ当該定着部材より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサと、
前記非接触型温度センサの温度情報を補正するための複数の補正用温度センサとを備え、
前記非接触型温度センサと前記複数のうち少なくとも一つの補正用温度センサとをステムとカンとで密閉された同一ケース中に封入すると共に少なくとも一つの補正用温度センサを当該ケース外に設置し、
前記定着部材の温度上昇時には前記ケース外の補正用温度センサからの温度補正情報に基づいて前記定着部材の表面温度を演算する一方、前記定着部材の温度下降時には前記ケース内の補正用温度センサからの温度補正情報に基づいて前記定着部材の表面温度を演算するようにしたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
発熱層を有し且つ未定着像が担持搬送せしめられる像担持搬送体と、この像担持搬送体の発熱層を発熱させる加熱装置と、この像担持搬送体の加熱装置に対向する部位の下流位置に配設され且つ像担持搬送体上で溶融した未定着像を記録材上に少なくとも押圧して転写、定着する押圧定着部材と、像担持搬送体の表面温度を検知する温度検知装置とを備えた定着装置において、
前記温度検知装置は、
検知対象である像担持搬送体に対向配置され且つ当該像担持搬送体より放出された赤外線を測定する非接触型温度センサと、
前記非接触型温度センサの温度情報を補正するための複数の補正用温度センサとを備え、
前記非接触型温度センサと前記複数のうち少なくとも一つの補正用温度センサとをステムとカンとで密閉された同一ケース中に封入すると共に少なくとも一つの補正用温度センサを当該ケース外に設置し、
前記像担持搬送体の温度上昇時には前記ケース外の補正用温度センサからの温度補正情報に基づいて前記像担持搬送体の表面温度を演算する一方、前記像担持搬送体の温度下降時には前記ケース内の補正用温度センサからの温度補正情報に基づいて前記像担持搬送体の表面温度を演算するようにしたことを特徴とする定着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−263985(P2007−263985A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190739(P2007−190739)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【分割の表示】特願2001−217482(P2001−217482)の分割
【原出願日】平成13年7月18日(2001.7.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【分割の表示】特願2001−217482(P2001−217482)の分割
【原出願日】平成13年7月18日(2001.7.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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