定量噴出装置
【課題】定量のガス噴出することができる定量噴出装置を提供する。
【解決手段】ガスボンベ5を収納するとともに、ガスボンベ5を開閉操作する操作部材9が設けられた装置本体10と、装置本体10と連続されることによりガスボンベ5から噴出されたガスが充填される充填部11と、充填部11に設けられ、充填部11に充填されたガスを噴出する噴出部75と、充填部11に設けられ、充填部11に充填されたガスのガス圧を受けて装置本体10内に挿入されることにより、操作部材9によるガスボンベ5の開放操作を停止させる停止部材12とを備える。
【解決手段】ガスボンベ5を収納するとともに、ガスボンベ5を開閉操作する操作部材9が設けられた装置本体10と、装置本体10と連続されることによりガスボンベ5から噴出されたガスが充填される充填部11と、充填部11に設けられ、充填部11に充填されたガスを噴出する噴出部75と、充填部11に設けられ、充填部11に充填されたガスのガス圧を受けて装置本体10内に挿入されることにより、操作部材9によるガスボンベ5の開放操作を停止させる停止部材12とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスボンベに充填されたガスを一定量噴出させることができる定量噴出装置に関し、特に経口薬剤等を定量投与させることができる定量噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
喘息薬などの経口薬剤は、一回の投与量が予め定められており、服用の際に投与量を間違わないよう薬剤の定量投与が可能な薬剤供給装置が提供されている。この種の薬剤供給装置は、一回の投与量に相当する薬剤が装填されるとともに、患者自身が吸い込むことにより一定量の薬剤を服用するものが多い。
【0003】
【特許文献1】特表平10−503393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬剤の服用時には、患者自身の吸い込み動作がなければ薬剤が肺まで届かないことから、吸い込みながらの服用は必須となるが、この際、患者の吸い込みが足りないと薬剤が装置本体内に残存し規定の投与量を服用できないか、全ての薬剤を服用するのに複数回の吸飲動作を要する場合もある。また、薬剤の服用に抵抗感を持つ患者にとっては、自力による吸飲が困難な場合もある。
【0005】
そこで本発明は、定量のガスとともに薬剤を強制投与することにより患者自身の吸飲動作を補助することができる定量噴出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る定量噴出装置は、ガスボンベを収納するとともに、該ガスボンベを開閉操作する操作部材が設けられた装置本体と、上記装置本体と連続されることにより上記ガスボンベから噴出されたガスが充填される充填部と、上記充填部に設けられ、該充填部に充填されたガスを噴出する噴出部と、上記充填部に設けられ、該充填部に充填されたガスのガス圧を受けて上記装置本体内に挿入されることにより、上記操作部材による上記ガスボンベの開放操作を停止させる停止部材とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る定量噴出装置によれば、ガスボンベ内のガスが充填部に充填されると、充填部に設けられた停止部材が装置本体内に挿入されることによって、操作部材が操作されて充填部へのガスの供給が停止される。これにより充填部内にはガスが必ず一定量だけ充填されるため、当該充填部内に充填された一定量のガスを、噴出部より噴出させることができる。
【0008】
したがって充填部の先端に一回の投与量に相当する量の薬剤を配設すれば、薬剤を残さずに一回で吸飲することができる。また、ガスが充填される充填部の容積を調整することにより、一回のガスの噴出量を制御することができ、薬剤の服用の補助に用いる場合にも、過剰にガスを吸引してしまう事態を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明が適用された定量噴出装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。この定量噴出装置1は、図1に示すように、ガスボンベ5から噴出されたガスが充填される充填部となるチューブ11を備え、このチューブ11内に一定量のガスが充填され、チューブ先端に配設された定量薬剤とともに患者の口内へ噴出されることにより、薬剤の自己投与を補助するものである。
【0010】
定量噴霧装置1は、図2に示すように、ガスとして炭酸ガスが充填された炭酸ガスボンベ5と、炭酸ガスボンベの開閉を行う尖鋭体6を保持する保持体7と、保持体7を炭酸ガスボンベ5の開口部側に付勢する捻りコイルバネ8と、保持体7を炭酸ガスボンベ5の開口部と離間する方向に操作して炭酸ガスを噴出させる操作部材9と、炭酸ガスボンベ5、保持体7、捻りコイルバネ8及び操作部材9を収納すると共に炭酸ガスボンベ5より噴出した炭酸ガスをチューブ11へ導くガス流路54が設けられたハウジング10と、ハウジング10より噴出されたガスが充填されるとともに当該充填されたガスを噴出させる噴出部が設けられたチューブ11と、チューブ11内に充填されたガスの圧力を受けて上記操作部材9と当接することにより炭酸ガスの噴出を停止させる停止部材となるガスシリンダー12とを備える。
【0011】
炭酸ガスボンベ5は、略筒状の金属筐体内に液化炭酸ガスが充填されている。また、炭酸ガスボンベ5は、金属筐体の一端側に開口部13が形成されている。開口部13は蓋体14で覆われており、金属筐体内の炭酸ガスの噴出を防止している。また、開口部13は、蓋体14が後述する保持体7に保持されている尖鋭体6により穿孔14aが形成されるとともに、尖鋭体6が穿孔14aに突き立てられることにより閉塞される。
【0012】
このような炭酸ガスボンベ5は、蓋体14に突き立てられている尖鋭体6が引き上げられることにより、蓋体14の穿孔14aから炭酸ガスが噴出する。また、炭酸ガスボンベ5は、尖鋭体6が穿孔14a内に突き立てられることにより開口部13が閉塞され、炭酸ガスの噴出が防止される。
【0013】
尖鋭体6を保持し、炭酸ガスボンベ5の開閉を行う保持体7は、図2に示すように、断面略凸字状に形成され、炭酸ガスボンベ5の蓋体14に突き立てられる尖鋭体6が挿通、保持される突部15と、保持体7を炭酸ガスボンベ5側に付勢する捻りコイルバネ8が係止される係止溝16が形成されたフランジ部17を有する。
【0014】
尖鋭体6を挿通、保持する突部15は、後述するハウジング10に形成されたガイド壁57に摺動自在に支持され、炭酸ガスボンベ5と近接又は離間する方向への移動がガイドされている。また保持体7は、後述する操作部材9と当接されることにより捻りコイルバネ8の付勢力に対抗して突部15が炭酸ガスボンベ5より離間する方向へ操作可能とされている。
【0015】
炭酸ガスボンベ5の蓋体14を閉塞する尖鋭体6は、尖端部6aが保持体7の底面部7aより突出され、炭酸ガスボンベ5の蓋体14に突き立てられている。これにより、尖鋭体6は、蓋体14に穿孔14aを開けるとともに、この穿孔14aを閉塞することにより炭酸ガスボンベ5内に充填された炭酸ガスの流出を防止する。
【0016】
保持体7の炭酸ガスボンベ5と対向する端部に形成されているフランジ部17は、保持体7を付勢する圧縮バネ等の捻りコイルバネ8が係合される。この捻りコイルバネ8は、保持体7に係合された状態で保持体7が後述するハウジング10内に収納されることにより、一端をハウジング10の内壁に当接され、他端をフランジ部17の係止溝16に係止される。これにより、捻りコイルバネ8は、保持体7を炭酸ガスボンベ5の蓋体14側に付勢している。
【0017】
以上のような構成を有する保持体7は、ハウジング10に収納されると、炭酸ガスボンベ5の蓋体14と尖鋭体6が形成された底面部7aとが対向される。そして、保持体7は、捻りコイルバネ8により炭酸ガスボンベ5側に付勢されるため、尖鋭体6が蓋体14を穿孔するとともに尖端部6aが穿孔14aに突き立てられ炭酸ガスボンベ5を閉塞する。
【0018】
そして、保持体7は、操作部材9により、捻りコイルバネ8の付勢力に対抗して炭酸ガスボンベ5と反対側に移動されると、蓋体14より尖鋭体6の尖端部6aが引き上げられるため、炭酸ガスを噴出させることができる。噴出した炭酸ガスは、ハウジング10のガス流路54を流れてチューブ11内に噴出される。また、保持体7は、後述するガスシリンダー12により操作部材9の付勢力が解かれると、捻りコイルバネ8の付勢力により炭酸ガスボンベ5側に付勢され、尖鋭体6の尖端部6aが炭酸ガスボンベ5の蓋体14に形成された穿孔14a内に突き立てられ、炭酸ガスの噴出を止める。
【0019】
なお、保持体7を炭酸ガスボンベ5側に付勢する捻りコイルバネ8は、蓋体14の穿孔14aより炭酸ガスボンベ5内に挿通された尖鋭体6の尖端部6aがボンベ内に充填された炭酸ガスにより押圧される圧力よりも大きな圧力で、保持体7を付勢する。すなわち、保持体7に保持された尖鋭体6は、蓋体14の穿孔14aより炭酸ガスボンベ5内に突き立てられたときでも、ボンベ内のガス圧力により穿孔14aより押し出されることはない。したがって、ガス噴出装置1は、操作部材9により保持体7が操作される前において、炭酸ガスボンベ5内に充填された炭酸ガスの漏出が防止されている。
【0020】
保持体7は、レバー部材20により蓋体14と離間する方向に付勢され尖鋭体6が穿孔14aより引き抜かれることにより炭酸ガスボンベ5内の炭酸ガスを噴出させる。このレバー部材20は、保持体7の突部15と連結されハウジング10に回動可能に支持されるとともに、一端20aが後述する操作部材9の押圧軸28に押圧されることにより回動操作可能とされている。また、レバー部材20は、図2及び図3に示すように、板状体の他端20bをハウジング10のガイド壁57の形状に応じて略円弧状に切り欠かれた切欠部22が形成されている。この切欠部22の相対向する側縁部22a,22aは、上記保持体7のフランジ部17の下方に位置され、レバー部材20の他端20bが上方に回動されると、フランジ部17より突出された押下突起30に当設し、保持体7を上方に押し上げる。また、レバー部材20の一対の外側面20c,20cには、それぞれハウジング10に形成された回動支持部58に支持される回動突部24が突設されている。回動突部24は円柱状の突起からなり、後述する回動支持部58の凹部に回動自在に支持されている。さらに、レバー部材20は、一端側の主面部に押圧軸28の一端が係合される係合孔25が穿設されている。
【0021】
レバー部材20を回動操作することにより保持体7を引き上げ炭酸ガスボンベ5内の炭酸ガスを噴出させる操作部材9は、ハウジング10を構成する外装66の上面66aに設けられユーザにより押圧操作されるとともに回動軸26が回動自在に連結された操作ボタン27と、ハウジング10内を上下方向に移動可能に支持されるとともに一端28aをレバー部材20の係合孔25に係合された押圧軸28とを有する。
【0022】
操作ボタン27は、一端が開放された円柱状に形成され、閉塞端面から突出された円形の係合壁31内に回動軸26が係合されるとともに、係合壁31の外側に捻りコイルバネ32が係合されている。捻りコイルバネ32は、一端を操作ボタン27の閉塞端面に当接されるとともに他端をハウジング10の外装66に当接されることにより、常時操作ボタン27をハウジング10の外装66上方に付勢している。
【0023】
回動軸26は、操作ボタン27に係合されるとともに押圧軸28と係合されることにより、ユーザによる操作ボタン27の押圧力を押圧軸28に伝達しレバー部材20を介して炭酸ガスボンベ5を開放させ、また後述するガスシリンダー12により押圧軸28との係合が解除されることにより押圧軸28によるレバー部材20の回動操作を停止させ炭酸ガスボンベ5を閉塞させるものである。
【0024】
この回動軸26は、ハウジング10の外装66の上面に設けられた挿通孔67に挿通されるとともに、操作ボタン27の係合壁31内に係合する係合軸35と、係合軸35と回動可能に連結されるとともにガスシリンダー12に押圧される回動片36とを有する。係合軸35は、円盤状の基底部35aから下方に亘って円弧状の外周壁35bが形成され、また基底部35aから下端に亘って回動片36と連結される連結片35cが形成されている。連結片35cには下部に連結孔38が穿設されている。また回動片36も円盤状の基底部36aから上方に亘って円弧状の外周壁36bが形成され、また基底部36aから上端に亘って係合軸35と連結される連結片36cが形成されている。連結片36cにも上部に連結孔40が穿設されている。そして係合軸35及び回動片36は、捻りコイルバネ41を挟んで、互いに連結孔38,40を連続させるとともに、ピン42が挿通されることにより連結孔38,40を中心に図2中矢印R方向へ回動自在に連結される。
【0025】
かかる回動軸26は、係合軸35と回動片36は、捻りコイルバネ41の付勢力によって常時、図4に示すように、各外周壁35b,36bが一直線となるように回動される。このとき回動軸26は、回動片36の基底部36aが押圧軸28の上面28bを押圧する押圧面として機能する。また、回動軸26は、回動片36がガスシリンダー12によって押圧されると、図2中矢印R方向へ回動され、押圧軸28の上面28bとの係合が解除される。なお、図5に示すように、回動片36は、押圧軸28との係合を解除しやすいように、ガスシリンダー12と対峙する側面から底面にかけて円弧状に湾曲して形成されている。
【0026】
押圧軸28は、ハウジング10内に形成された中蓋43に形成された挿通孔44を挿通することによりハウジング10内の上下動をガイドされる。また押圧軸28は、上面28bが回動軸26と係合され、また、一端28aに係合突起29が形成され、この係合突起29が上述したレバー部材20の主面部に穿設された係合孔25に係合されることによりレバー部材20と連結されている。
【0027】
このような操作部材9は、レバー部材20の回動突部24よりも他端20b側が、捻りコイルバネ8によって常時炭酸ガスボンベ5側に付勢されている保持体7のフランジ部17に突設された押下突起30に押下されることにより、図5及び図6に示すように、回動突部24を支点に他端20bが下方に回動され、また、一端20a側が上方に回動されている。したがって、レバー部材20の一端20a側と係合している押圧軸28は、常時、上方に押し上げられている。また、このとき回動軸26は係合軸35と回動片36とが一直線となるよう回動され、操作ボタン27は捻りコイルバネ32によって常時、上方に付勢されて、ユーザによる押圧動作を待機している。
【0028】
そして、操作部材9は、ユーザによって操作ボタン27が押し下げられると、図7に示すように、回動軸26に押下されることにより下方に移動された押圧軸28に押圧されたレバー部材20の一端20aが回動突部24を支点に下方に回動され、また、他端20bが上方に回動される。したがって、保持体7は、レバー部材20の他端20bに形成された一対の側縁部22aがフランジ部17の押下突起30に下方より当設するため、捻りコイルバネ8の付勢力に対向して上昇され、炭酸ガスボンベ5の蓋体14より離間される。これにより操作部材9は、保持体7に支持されている尖鋭体6の尖端部6aが炭酸ガスボンベ5の蓋体14より引き上げられるため、炭酸ガスを噴出させることができる。
【0029】
炭酸ガスボンベ5及び保持体7を収納するハウジング10は、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂により、炭酸ガスボンベ5が収納されるボンベ収納部51と保持体7が収納される保持体収納部52と、操作部材9が収納される操作部材収納部53が形成された略筒状体からなる。また、ハウジング10は、ユーザによって片手で持って操作できる程度の大きさで形成されている。このハウジング10は、保持体収納部52に、炭酸ガスの流路54が形成され、また操作部材収納部53には、ガスシリンダー12が挿通される挿通路55が形成されている。
【0030】
ボンベ収納部51は、炭酸ガスボンベ5と略同一の高さ及び経を有し、炭酸ガスボンベ5をガタつかせることなく収納する。
【0031】
保持体7を収納する保持体収納部52は、ボンベ収納部51と一体又は着脱自在に形成されている。保持体収納部52は、内部に保持体7の突部15の移動をガイドするガイド壁57と、レバー部材20の回動突部24,24を支持する一対の回動支持部58,58と、捻りコイルバネ8の一端が係止される係止部59とが形成されている。
【0032】
ガイド壁57は、保持体収納部52の下面部52aより突設され、保持体7の突部15を摺動自在に支持している。このガイド壁57に囲まれ、保持体7の突部15が挿通される凹部57aには、保持体7に保持されている尖鋭体6が貫通する貫通孔60が穿設されている。貫通孔60は、予め尖鋭体6により炭酸ガスボンベ5の蓋体14を穿孔する際に、同時に尖鋭体6によって下面部52aが貫通されることによって形成される。したがって、貫通孔60は、尖鋭体6の経と同一の経で形成され、また下面部52aを滑りがよく、反発性があるポリエチレン等の材料を使用することによって、尖鋭体6の移動をガイドするとともに、蓋体14の穿孔14aから尖鋭体6を引き抜いたときにも貫通孔60と尖鋭体6との間に間隙が形成されることなく炭酸ガスが保持体収納部52内に流れることを防止することができる。
【0033】
回動支持部58,58は、保持体収納部52の下面部52aより突設され、レバー部材20の回動突部24,24を回動自在に支持する支持凹部が形成されている。
【0034】
係止部59は、保持体収納部52の上面部52bに形成され、一端部が保持体7のフランジ部17に形成された係止溝16に係止されている捻りコイルバネ8の他端部が当接されている。これにより、保持体7は、捻りコイルバネ8により炭酸ガスボンベ5側に付勢される。
【0035】
また、保持体収納部52は、下面側に炭酸ガスボンベ5の開口部13近傍をネジ止めするためのネジ穴61が内側に形成されている。これにより炭酸ガスボンベ5は、ハウジング10内に収納されると、ネジ穴61に開口部13が支持され、ガタつくことなく収まる。
【0036】
また、保持体収納部52には、炭酸ガスボンベ5より噴出した炭酸ガスをチューブ11に導くガス流路54が形成されている。ガス流路54は、ハウジング10内に収納された炭酸ガスボンベ5の蓋体14と連続され、蓋体14の穿孔14aより噴出した炭酸ガスが流される。また保持体収納部52は、このガス流路54を外方に臨ませて炭酸ガスを噴出させる噴出口63が突設されている。噴出口63は、図5に示すようにチューブ11に設けられたアダプタ71が接続されており、アダプタ71が接続されることによりチューブ11に炭酸ガスを噴出することができる。
【0037】
保持体収納部52の上面には、操作部材収納部53との間を仕切る中蓋43が設けられている。中蓋43には、操作部材9の押圧軸28が挿通されている挿通孔44が設けられている。挿通孔44は、押圧軸28を支持するとともに上下方向の移動をガイドしている。
【0038】
また、中蓋43には、保持体7の上昇を規制することにより尖鋭体6の蓋体14からの抜き出し量を規制し、炭酸ガスの噴出を制御する規制部材64が挿通合されている挿通孔65が設けられている。この挿通孔65に挿通される規制部材64は、保持体収納部52内に挿入され保持体7の上面部7bと当接される軸部64aと、中蓋43より操作部材収納部53側に設けられ、軸部64aの挿入深さを調節する調節部64bからなる。また、挿通孔65は内周面にネジ溝が切られ、同様にネジ溝が切られている規制部材64の軸部64aが螺合されている。
【0039】
そして、規制部材64は、操作部材収納部53側に配設されている調節部64bを回転させることにより軸部64aの挿入深さを調節し、軸部64aの先端と保持体7の上面部7bとの当接位置を調節できる。これにより、規制部材64は、調節部64bを回転操作することにより、操作部材9によって保持体7が上昇されたときにも、規制部材64の軸部64aが保持体7の上面部7bに当接され、保持体7の上昇が規制されるため、炭酸ガスの流量を調節することができ、炭酸ガスが必要以上に噴出される事態を防止することができる。
【0040】
操作部材収納部53は、保持体収納部52の上から長手方向の一端を開放端とした円筒状の外装66を装着することにより、中蓋43と外装66の閉塞端との間に操作部材9の回動軸26を収納する空間を構成するものである。外装66は、上面66aに回動軸26の係合軸35が挿通される挿通孔67が穿設されている。係合軸35はこの挿通孔67を挿通することにより外装66の上面66a側に突出され操作ボタン27と係合される。また外装66は、回動軸26の回動片36を回動付勢するガスシリンダー12が挿通される挿通路55が形成されている。
【0041】
次いでかかるハウジング10に接続され、炭酸ガスを患者に噴出させるチューブ11について説明する。チューブ11は、炭酸ガスボンベ5から噴出させた炭酸ガスを一定量充填するとともに、定量の薬剤が配設されることにより、患者に対して定量の薬剤を噴出し、患者自身による薬剤の自己投与を補助するものである。またチューブ11は、薬剤の投与に必要かつ十分な容積を有するとともにハウジング10と接続されるガスシリンダー12を備えることにより、チューブ11内に薬剤の投与に適した量だけ炭酸ガスボンベ5より炭酸ガスを噴出させ充填するものである。
【0042】
具体的にチューブ11は、ハウジング10の噴出口63接続されるアダプタ71が設けられ炭酸ガスが導入される導入路72と、ガスシリンダー12が設けられるとともにハウジング10の挿通路55と接続されガスシリンダー12のピストン78をハウジング10内に圧入させる圧入路73と、薬剤が封入された容器が装着され、充填された定量の炭酸ガスとともに薬剤を噴出する噴出部材75が設けられる噴出路74とを有する。
【0043】
炭酸ガスが導入される導入路72に設けられたアダプタ71は、図5に示すように、ハウジング10のガス流路54と連続された中空円筒状の噴出口63の中空部63a内に嵌挿されることによりチューブ11をガス流路54と連続させるものである。このアダプタ71は、中空円筒状に形成され、長手方向の略中間部に形成されたフランジ部を境に一端をチューブ11の導入路72内に嵌挿され、他端をハウジング10より突出された噴出口63の中空部63a内に嵌挿される。そして、炭酸ガスボンベ5より炭酸ガスが噴出されると、ガス流路54よりアダプタ71を介してチューブ11内に導入されていく。
【0044】
圧入路73に設けられたガスシリンダー12は、チューブ11内に導入された炭酸ガスのガス圧を受けてピストン78をハウジング10内に圧入することにより回動軸26の回動片36を押圧して回動させるものである。ガスシリンダー12は、図2に示すように、長手方向の両端に開口部76a,76bが形成された中空円筒状のシリンダ本体77と、シリンダ本体77内に摺動自在に配設されたピストン78と、ピストン78をチューブ12側に付勢するコイルバネ79とを有する。
【0045】
シリンダ本体77は、長手方向の略中間部にフランジ部77aを有し、このフランジ部77aを境に一端をチューブ11の圧入路73内に嵌挿され、他端をハウジング10に形成された挿通路55より操作部材収納部53内に嵌挿されている。シリンダ本体77には長手方向の両端部に形成された開口部76のうち、チューブ11内に臨まされる開口部76aにはピストン78及びコイルバネ79がシリンダ本体77内に配設された後、封止板80が取り付けられる。封止板80には、チューブ11に充填された炭酸ガスを導入することによってシリンダ本体77内に配設されたピストン78に対してガス圧を加えるための導入孔81が穿設されている。したがってシリンダ本体77内に配設されたピストン78は、チューブ11内に炭酸ガスが充填されると、導入孔81より導入された炭酸ガスの圧力を受けて、ハウジング10の操作部材収納部53内に臨まされている開口部76b側に付勢される。
【0046】
シリンダ本体77内に摺動自在に配設されたピストン78は、ハウジング10内に圧入される軸部78aと、軸部78aの長手方向の一端に形成されたシリンダ本体77の内径と略同一の基体部78bとを有する。軸部78aは、シリンダ本体77の開口部76b及び挿通路55を介してハウジング10の操作部材収納部53内に挿入され、回動軸26の回動片36を図5中矢印R方向へ回動させるものである。また基体部78bは、チューブ11内に充填された炭酸ガスの圧力を受けてピストン78を摺動させるものである。
【0047】
ピストン78は、軸部78aの先端を挿入端としてシリンダ本体77の開口部76aから挿入され、基体部78bがシリンダ本体77の開口部76aに取り付けられた封止板80と対峙する。そしてピストン78は、基体部78bが導入孔81を介してチューブ11内に充填された炭酸ガスのガス圧を受けることにより、シリンダ本体77内を図5中矢印A方向へ摺動し、軸部78aの先端がハウジング10の操作部材収納部53内に設けられた回動軸26の回動片36を押圧する。なお基体部78bには、ピストン78の摺動を補助し、炭酸ガスの圧力が逃げることを防止するとともに、シリンダ本体77内に導入された炭酸ガスが開口部76bよりハウジング10内に流入することを防止するためOリング82が装着されている。
【0048】
またピストン78は、シリンダ本体77を図5中反矢印A方向へ戻すためのコイルバネ79が嵌挿されている。コイルバネ79は、ピストン78の軸部78aを挿通するとともに、一端をピストン78の基体部78bに当接され、他端をシリンダ本体77の開口部76b側の端面に当接されてシリンダ本体77内に配設される。そして、ピストン78がチューブ11内のガス圧に押されて図5中矢印A方向へ付勢されると圧縮し、チューブ11内のガスが放出されピストン78にかかるガス圧が除かれると、自身の弾性により伸長して、ピストン78を回動軸26と離間する図5中反矢印A方向へ付勢する。
【0049】
このようなガスシリンダー12は、チューブ11内に炭酸ガスが充填されると、ピストン78の基体部78bが封止板80の導入孔81を介してシリンダ本体77内に導入された炭酸ガスに押圧され、コイルバネ79の付勢力に対抗して図5中矢印A方向へ移動する。したがって、シリンダ本体77の開口部76bよりハウジング10の操作部材収納部53内に臨まされているピストン78の軸部78aは、回動軸26の回動片36を押圧し、図5中矢印R方向へ回動させる。これにより回動軸26は回動片36と押圧軸28との係合が解除されることから、操作ボタン27の押圧力が押圧軸28に伝達されなくなり、レバー部材20への押圧力が解かれるとともに捻りコイルバネ8の付勢力によって保持体7が下方に付勢され、炭酸ガスの噴出を停止することができる。
【0050】
またガスシリンダー12は、後述する噴出部材75によりチューブ11内の炭酸ガスが噴出されると、ピストン78の基体部78bにかかるガス圧が解除される。したがって、コイルバネ79が自身の弾性により伸長するため、ピストン78がシリンダ本体77を図5中反矢印A方向に付勢される。これにより回動片36を回動付勢していたピストン78の軸部78aが回動片36と離間するため、回動軸26は、捻りコイルバネ41の付勢力によって図5中反矢印R方向に回動され、押圧軸28と係合し、レバー部材20を回動操作可能となる。
【0051】
炭酸ガスが噴出される噴出路74は、チューブ11内に充填された炭酸ガスとともに薬剤を噴出させる噴出部となる噴出部材75が設けられている。この噴出部材75は、噴出路74に嵌挿される嵌挿部85と、噴出ボタン86が取り付けられる取付部87と、取付部87の外周部に設けられ炭酸ガスが噴出されるとともに薬剤容器84が装着される装着ノズル88とを備える。
【0052】
嵌挿部85及び取付部87は、ともにガス流路が形成された中空円筒体からなり、嵌挿部85が取付部87よりも小径とされることにより、両者の間に段差部89が形成されている。段差部89は、嵌挿部85がチューブ11の噴出路74に取り付けられる際、噴出路74の先端が当接されて位置決めを図る位置決め部となる。また、嵌挿部87を貫通するガス流路85aは、取付部87を貫通するガス流路87aよりも径が大きく形成されることにより、両者の間に噴出ボタン86の挿入部91が係止する係止部90が形成されている。取付部87に形成されたガス流路87aは、後述する装着ノズル88と連続されており、ガス流路87aを流れる炭酸ガスは装着ノズル88より外部に噴出される。また取付部87は、外周部に炭酸ガスを噴出させる噴出ボタン86が係合されるフランジ状の係合部87bが形成されている。
【0053】
この係合部87bに係合される噴出ボタン86は、ゴム等の弾性部材によって形成されるものであり、取付部87のガス流路87a内に挿入され炭酸ガスの噴出を制御する挿入部91と、ユーザに押下されることによって挿入部91をスライドさせ炭酸ガスの噴出操作を行う操作部92とを有する。噴出ボタン86は、操作部92が略円形の鉢状に形成され、この操作部92の中心より挿入部91が下方に向かって延設されている。操作部92は、取付部87の上面を覆うように被さり、内周部亘ってに形成された凹部が取付部87の外周部に形成された係合部87bと係合し、容易に取り外されないようになっている。操作部92の中心より下方に延設された挿入部91は、取付部87のガス流路87a内にスライド可能に挿入される。挿入部91は、先端部に炭酸ガスがガス流路87aに流入することを防止するフランジ状の封止部91aが形成されている。この挿入部91は、取付部87のガス流路87aよりも小径に形成され、また封止部91aはガス流路87aよりも大径とされ、かつ嵌挿部85のガス流路85aの径よりも小径に形成されている。そして挿入部91は、封止部91aが取付部87のガス流路87a内を挿通されることにより嵌挿部85のガス流路85a内に挿入され、ガス流路85a及びガス流路87aとの間に形成された係止部90に係止される。
【0054】
かかる噴出ボタン86は、挿入部91が取付部87内に挿入されるとともに、操作部92が取付部87の係合部87bに係合されることにより、挿入部91の先端に形成された封止部91aが係止部90に係止される。封止部91aは、チューブ11内に炭酸ガスが充填されると、ガス圧によって係止部90側に付勢されるためガス流路87aを塞ぎ、炭酸ガスの放出を停止する。そして噴出ボタン86は、ユーザによって操作部92が押圧されると、挿入部91がガス流路87aを嵌挿部85側にスライドし封止部91aが係止部90より離間する。これによりガス流路87aが開放され炭酸ガスが装着ノズル88より外部に噴出される。また、操作部92への押圧操作が解除されると、噴出ボタン86は操作部92が上方に弾性復帰するため、挿入部91がガス流路87aを上方にスライドし封止部91aが係止部90に係止される。これにより封止部91aによってガス流路87aが封止される。
【0055】
取付部87の外周に設けられた装着ノズル88は、薬剤容器84が装着されるとともにガス流路87aより炭酸ガスが導入されることにより、炭酸ガスとともに薬剤が噴出する。この装着ノズル88は、中空円筒状に形成され、ガス流路87aと連続し炭酸ガスが流れるノズル孔94が形成されている。また薬剤容器84は、中空円筒形状に形成され内部に、一回の投与量に相当する薬剤が封入されている。また薬剤容器84は装着ノズル88の外径と略同一の内径を備え、装着ノズル88の先端より着脱自在に装着される。薬剤容器84が装着されることにより装着ノズル88は、ノズル孔94の先端に薬剤が配置されるため、炭酸ガスとともに薬剤を噴出することができる。薬剤が噴出されると、装着ノズル88は、空の薬剤容器84が取り外され、新たな薬剤容器84が装着される。
【0056】
次いで、以上のような構成を有する定量噴出装置1の実使用時における動作を説明する。使用時において定量噴出装置1は、図5に示すように、装着ノズル88に薬剤が封入された薬剤容器84が装着される。このとき、ハウジング10のボンベ収納部51に収納されている炭酸ガスボンベ5は、保持体7が捻りコイルバネ8によって下方に付勢されている。これにより、定量噴出装置1は、保持体7に保持されている尖鋭体6の先端部6aが蓋体14に突き立てられて、穿孔14aが閉塞され炭酸ガスの噴出が防止されている。
【0057】
また、チューブ11内に炭酸ガスが充填されていないことから、ガスシリンダ12のピストン78は、シリンダ本体77内に配設されたコイルバネ79の付勢力によって回動軸26と離間する図5中反矢印A方向へスライドされている。また回動軸26は、捻りコイルバネ41の付勢力によって係合軸35と回動片36とが一直線となるよう回動され、押圧軸28と係合されている。
【0058】
またこのとき、レバー部材20は、捻りコイルバネ8によって常時炭酸ガスボンベ5側に付勢されている保持体7の押下突起30に押下されることにより、図5及び図6に示すように、回動突部24を支点に他端20bが下方に回動され、また、一端20a側が上方に回動されている。したがって操作ボタン27は、レバー部材20の一端20a側と係合している押圧軸28及びこの押圧軸28と係合している回動軸26が上方に移動されることによって、また、ハウジング10の外装66との間に設けられた捻りコイルバネ32の付勢力によって、上方に付勢されて、ユーザによる押圧動作を待機している。
【0059】
次いで、ユーザによって装着ノズル88に装着された薬剤容器84の先端を患者の口許に向けて定量噴出装置1のハウジング10が把持される。そして、ユーザによって操作部材9の操作ボタン27が押圧されると、図7及び図8に示すように、回動軸26に押下された押圧軸28の一端28aが下方に移動し、この押圧軸28と係合するレバー部材20の一端20aが回動突部24を支点に下方に回動され、また、他端20bが上方に回動される。したがって、保持体7は、レバー部材20の他端20bに形成された一対の側縁部22aがフランジ部17の押下突起30に下方より当設するため、捻りコイルバネ8の付勢力に対向して上昇され、炭酸ガスボンベ5の蓋体14より離間される。これにより、保持体7に支持されている尖鋭体6の尖端部6aが炭酸ガスボンベ5の蓋体14の穿孔14aより引き上げられるため、ボンベ内に圧縮されている炭酸ガスが噴出される。
【0060】
噴出された炭酸ガスは、ハウジング10のボンベ収納部51と保持体収納部52との間に設けられたガス流路54を介して、噴出口63に装着されているアダプタ71よりチューブ11内へ流れる。
【0061】
なお、予め規制部材64の調節部64bを回転させ、軸部64aの挿入深さを調節し、軸部64aの先端と保持体7の上面部7bとの当接位置を調節しておくことにより、操作部材9によって保持体7が上昇されたときにも、規制部材64の軸部64aが保持体7の上面部7bに当接され、保持体7の上昇が規制されるため、炭酸ガスの流量を調整することができ、炭酸ガスが必要以上に噴出される事態を防止することができる。
【0062】
チューブ11に炭酸ガスが充填されていくと、チューブ11内のガス圧が高まることから、ガスシリンダー12内に配設されているピストン78は、基体部78b側から炭酸ガスによって押圧される。したがってピストン78は、コイルバネ79の付勢力に対抗してシリンダ本体77内を摺動し、軸部78aがハウジング10の操作部材収納部53内に設けられた回動軸26に近接する図9中矢印A方向へ移動する。そして回動軸26は、回動片36がピストン78の軸部78aに押圧されることによって図9中矢印R方向へ回動される。したがって、ユーザによって操作ボタン27が押圧操作されている回動軸26とレバー部材20と係合されている押圧軸28との係合が外れるため、操作ボタン27への押圧力が押圧軸28及びレバー部材20へ伝わらなくなる。
【0063】
押圧軸28への押圧が解除されると、レバー部材20によって上方に押し上げられていた保持体7は、捻りコイルバネ8の付勢力により炭酸ガスボンベ5側に付勢される。したがって、保持体7に保持されている尖鋭体6は尖端部6aが炭酸ガスボンベ5の蓋体14の穿孔14aに突き立てられ、炭酸ガスボンベ5を閉塞する。これにより、チューブ11内への炭酸ガスの噴出が停止される。このとき、チューブ11内には、チューブ11の容積に応じた所定量の炭酸ガスが充填される。この炭酸ガスの充填量は、装着ノズル88に装着された薬剤容器84に封入された薬剤を噴出させ、患者の自己投与を補助するのに必要かつ十分な量とされる。
【0064】
なお、炭酸ガスがチューブ11内に充填され、炭酸ガスの噴出が停止された後は、操作ボタン27と押圧軸28との係合が解かれているため、操作ボタン27を離した状態でも炭酸ガスをチューブ11内に留め置くことができる。操作ボタン27は、外装66との間に設けられた捻りコイルバネ32に付勢され、上方に位置される(図10)。
【0065】
このとき、チューブ11内に充填された炭酸ガスの圧力によって、噴出路74に設けられた噴出部材75の取付部87に挿入された噴出ボタン86は、封止部91aがガス流路85aとガス流路87aとの間に形成された係止部90側に係止され、かつ係止部90側に付勢されることにより、ガス流路87aを塞ぎ、炭酸ガスの放出を停止している。
【0066】
また、レバー部材20は、他端20bが炭酸ガスボンベ5側に付勢された保持体7の押下突起30に押圧され、回動突部24を支点に一端20a側が上方に回動される。したがって、レバー部材20の一端20aと係合している押圧軸28は上方に移動する。
【0067】
次いで、噴出ボタン86の操作部92がユーザによって押下される。操作部92が押圧されると、挿入部91がガス流路87aを嵌挿部85側にスライドし封止部91aが係止部90より離間する。これにより、図11に示すように、ガス流路87aが開放され炭酸ガスが装着ノズル88のノズル孔94に流れ、薬剤容器84の先端より薬剤とともに噴出される。したがって、本発明が適用された定量噴出装置1によれば、薬剤容器の先端を口許に向けたユーザは、息を吸い込みながら噴出ボタン86を押下することにより、薬剤容器に封入された薬剤を残さず自己投与することができる。また定量噴出装置1は、チューブ11を薬剤の投与に必要かつ十分な量の炭酸ガスが充填される容積を有するため、薬剤投与の際に常に定量の炭酸ガスを噴出させることができ、ユーザが炭酸ガスを過剰に吸飲することもない。
【0068】
チューブ11内の炭酸ガスが噴出されピストン78にかかるガス圧が除かれると、コイルバネ79が自身の弾性により伸長して、ピストン78を回動軸26と離間する図11中反矢印A方向へ付勢する。また、ユーザによる操作部材9の操作ボタン27への押圧が解除されると、回動軸26は回動片36が捻りコイルバネ41の付勢力によって係合軸35と回動片36とが一直線となるよう図11中反矢印R方向へ回動され、押圧軸28と係合される。これにより操作部材9は、再度操作ボタン27を押下することにより回動軸26及び押圧軸28を介してレバー部材20を回動操作させ、炭酸ガスボンベ5を開放させることができる。次回、薬剤を投与する場合は、新しい薬剤容器84を装着ノズル88に付け替える。
【0069】
このように、定量噴出装置1は、炭酸ガスが金属筐体からなる炭酸ガスボンベ5内に充填されると共に炭酸ガスの噴出が停止されている状態においては、保持体7が炭酸ガスボンベ5側に付勢されて尖鋭体6の尖端部6aが炭酸ガスボンベ5の蓋体14を閉塞し、炭酸ガスの噴出が防止されている。従って、定量噴出装置1は、尖鋭体6を蓋体14より抜き差しする簡易な構成で確実に炭酸ガスの噴出制御を行うことができる。
【0070】
なお、定量噴出装置1は、噴出部材75に薬剤容器84を取り付けてチューブ11内に充填されたガスとともに薬剤を噴出させるほか、薬剤容器84を装着させることなく、炭酸ガスボンベ5内に液化ガスとともに薬剤を溶解させて、チューブ11内に一定量だけ充填、噴霧させるようにしてもよい。また、定量噴出装置1は、薬剤容器84に経口薬以外の薬剤を装填、噴出させるようにしてもよい。あるいは薬剤以外の物品を噴出部材75に装填し、あるいは液化ガスとともにガスボンベ内に溶解させて、噴出させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明が適用された定量噴出装置を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用された定量噴出装置を示す分解斜視図である。
【図3】本発明が適用された定量噴出装置の保持体収納部を上側から示す断面図である。
【図4】本発明が適用された定量噴出装置を示す分解斜視図である。
【図5】本発明が適用された定量噴出装置を示す断面図である。
【図6】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す斜視図である。
【図7】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す斜視図である。
【図8】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す断面図である。
【図9】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す断面図である。
【図10】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す断面図である。
【図11】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 定量噴出装置、5 炭酸ガスボンベ、6 尖鋭体、7 保持体、8 捻りコイルバネ、9 操作部材、10 ハウジング、11 チューブ、12 ガスシリンダー、14 蓋体、20 レバー部材、24 回動軸、27 操作ボタン、28 押圧軸、35 係合軸、36 回動片、71 アダプタ、75 噴出部材、78 ピストン、84 薬剤容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスボンベに充填されたガスを一定量噴出させることができる定量噴出装置に関し、特に経口薬剤等を定量投与させることができる定量噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
喘息薬などの経口薬剤は、一回の投与量が予め定められており、服用の際に投与量を間違わないよう薬剤の定量投与が可能な薬剤供給装置が提供されている。この種の薬剤供給装置は、一回の投与量に相当する薬剤が装填されるとともに、患者自身が吸い込むことにより一定量の薬剤を服用するものが多い。
【0003】
【特許文献1】特表平10−503393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬剤の服用時には、患者自身の吸い込み動作がなければ薬剤が肺まで届かないことから、吸い込みながらの服用は必須となるが、この際、患者の吸い込みが足りないと薬剤が装置本体内に残存し規定の投与量を服用できないか、全ての薬剤を服用するのに複数回の吸飲動作を要する場合もある。また、薬剤の服用に抵抗感を持つ患者にとっては、自力による吸飲が困難な場合もある。
【0005】
そこで本発明は、定量のガスとともに薬剤を強制投与することにより患者自身の吸飲動作を補助することができる定量噴出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る定量噴出装置は、ガスボンベを収納するとともに、該ガスボンベを開閉操作する操作部材が設けられた装置本体と、上記装置本体と連続されることにより上記ガスボンベから噴出されたガスが充填される充填部と、上記充填部に設けられ、該充填部に充填されたガスを噴出する噴出部と、上記充填部に設けられ、該充填部に充填されたガスのガス圧を受けて上記装置本体内に挿入されることにより、上記操作部材による上記ガスボンベの開放操作を停止させる停止部材とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る定量噴出装置によれば、ガスボンベ内のガスが充填部に充填されると、充填部に設けられた停止部材が装置本体内に挿入されることによって、操作部材が操作されて充填部へのガスの供給が停止される。これにより充填部内にはガスが必ず一定量だけ充填されるため、当該充填部内に充填された一定量のガスを、噴出部より噴出させることができる。
【0008】
したがって充填部の先端に一回の投与量に相当する量の薬剤を配設すれば、薬剤を残さずに一回で吸飲することができる。また、ガスが充填される充填部の容積を調整することにより、一回のガスの噴出量を制御することができ、薬剤の服用の補助に用いる場合にも、過剰にガスを吸引してしまう事態を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明が適用された定量噴出装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。この定量噴出装置1は、図1に示すように、ガスボンベ5から噴出されたガスが充填される充填部となるチューブ11を備え、このチューブ11内に一定量のガスが充填され、チューブ先端に配設された定量薬剤とともに患者の口内へ噴出されることにより、薬剤の自己投与を補助するものである。
【0010】
定量噴霧装置1は、図2に示すように、ガスとして炭酸ガスが充填された炭酸ガスボンベ5と、炭酸ガスボンベの開閉を行う尖鋭体6を保持する保持体7と、保持体7を炭酸ガスボンベ5の開口部側に付勢する捻りコイルバネ8と、保持体7を炭酸ガスボンベ5の開口部と離間する方向に操作して炭酸ガスを噴出させる操作部材9と、炭酸ガスボンベ5、保持体7、捻りコイルバネ8及び操作部材9を収納すると共に炭酸ガスボンベ5より噴出した炭酸ガスをチューブ11へ導くガス流路54が設けられたハウジング10と、ハウジング10より噴出されたガスが充填されるとともに当該充填されたガスを噴出させる噴出部が設けられたチューブ11と、チューブ11内に充填されたガスの圧力を受けて上記操作部材9と当接することにより炭酸ガスの噴出を停止させる停止部材となるガスシリンダー12とを備える。
【0011】
炭酸ガスボンベ5は、略筒状の金属筐体内に液化炭酸ガスが充填されている。また、炭酸ガスボンベ5は、金属筐体の一端側に開口部13が形成されている。開口部13は蓋体14で覆われており、金属筐体内の炭酸ガスの噴出を防止している。また、開口部13は、蓋体14が後述する保持体7に保持されている尖鋭体6により穿孔14aが形成されるとともに、尖鋭体6が穿孔14aに突き立てられることにより閉塞される。
【0012】
このような炭酸ガスボンベ5は、蓋体14に突き立てられている尖鋭体6が引き上げられることにより、蓋体14の穿孔14aから炭酸ガスが噴出する。また、炭酸ガスボンベ5は、尖鋭体6が穿孔14a内に突き立てられることにより開口部13が閉塞され、炭酸ガスの噴出が防止される。
【0013】
尖鋭体6を保持し、炭酸ガスボンベ5の開閉を行う保持体7は、図2に示すように、断面略凸字状に形成され、炭酸ガスボンベ5の蓋体14に突き立てられる尖鋭体6が挿通、保持される突部15と、保持体7を炭酸ガスボンベ5側に付勢する捻りコイルバネ8が係止される係止溝16が形成されたフランジ部17を有する。
【0014】
尖鋭体6を挿通、保持する突部15は、後述するハウジング10に形成されたガイド壁57に摺動自在に支持され、炭酸ガスボンベ5と近接又は離間する方向への移動がガイドされている。また保持体7は、後述する操作部材9と当接されることにより捻りコイルバネ8の付勢力に対抗して突部15が炭酸ガスボンベ5より離間する方向へ操作可能とされている。
【0015】
炭酸ガスボンベ5の蓋体14を閉塞する尖鋭体6は、尖端部6aが保持体7の底面部7aより突出され、炭酸ガスボンベ5の蓋体14に突き立てられている。これにより、尖鋭体6は、蓋体14に穿孔14aを開けるとともに、この穿孔14aを閉塞することにより炭酸ガスボンベ5内に充填された炭酸ガスの流出を防止する。
【0016】
保持体7の炭酸ガスボンベ5と対向する端部に形成されているフランジ部17は、保持体7を付勢する圧縮バネ等の捻りコイルバネ8が係合される。この捻りコイルバネ8は、保持体7に係合された状態で保持体7が後述するハウジング10内に収納されることにより、一端をハウジング10の内壁に当接され、他端をフランジ部17の係止溝16に係止される。これにより、捻りコイルバネ8は、保持体7を炭酸ガスボンベ5の蓋体14側に付勢している。
【0017】
以上のような構成を有する保持体7は、ハウジング10に収納されると、炭酸ガスボンベ5の蓋体14と尖鋭体6が形成された底面部7aとが対向される。そして、保持体7は、捻りコイルバネ8により炭酸ガスボンベ5側に付勢されるため、尖鋭体6が蓋体14を穿孔するとともに尖端部6aが穿孔14aに突き立てられ炭酸ガスボンベ5を閉塞する。
【0018】
そして、保持体7は、操作部材9により、捻りコイルバネ8の付勢力に対抗して炭酸ガスボンベ5と反対側に移動されると、蓋体14より尖鋭体6の尖端部6aが引き上げられるため、炭酸ガスを噴出させることができる。噴出した炭酸ガスは、ハウジング10のガス流路54を流れてチューブ11内に噴出される。また、保持体7は、後述するガスシリンダー12により操作部材9の付勢力が解かれると、捻りコイルバネ8の付勢力により炭酸ガスボンベ5側に付勢され、尖鋭体6の尖端部6aが炭酸ガスボンベ5の蓋体14に形成された穿孔14a内に突き立てられ、炭酸ガスの噴出を止める。
【0019】
なお、保持体7を炭酸ガスボンベ5側に付勢する捻りコイルバネ8は、蓋体14の穿孔14aより炭酸ガスボンベ5内に挿通された尖鋭体6の尖端部6aがボンベ内に充填された炭酸ガスにより押圧される圧力よりも大きな圧力で、保持体7を付勢する。すなわち、保持体7に保持された尖鋭体6は、蓋体14の穿孔14aより炭酸ガスボンベ5内に突き立てられたときでも、ボンベ内のガス圧力により穿孔14aより押し出されることはない。したがって、ガス噴出装置1は、操作部材9により保持体7が操作される前において、炭酸ガスボンベ5内に充填された炭酸ガスの漏出が防止されている。
【0020】
保持体7は、レバー部材20により蓋体14と離間する方向に付勢され尖鋭体6が穿孔14aより引き抜かれることにより炭酸ガスボンベ5内の炭酸ガスを噴出させる。このレバー部材20は、保持体7の突部15と連結されハウジング10に回動可能に支持されるとともに、一端20aが後述する操作部材9の押圧軸28に押圧されることにより回動操作可能とされている。また、レバー部材20は、図2及び図3に示すように、板状体の他端20bをハウジング10のガイド壁57の形状に応じて略円弧状に切り欠かれた切欠部22が形成されている。この切欠部22の相対向する側縁部22a,22aは、上記保持体7のフランジ部17の下方に位置され、レバー部材20の他端20bが上方に回動されると、フランジ部17より突出された押下突起30に当設し、保持体7を上方に押し上げる。また、レバー部材20の一対の外側面20c,20cには、それぞれハウジング10に形成された回動支持部58に支持される回動突部24が突設されている。回動突部24は円柱状の突起からなり、後述する回動支持部58の凹部に回動自在に支持されている。さらに、レバー部材20は、一端側の主面部に押圧軸28の一端が係合される係合孔25が穿設されている。
【0021】
レバー部材20を回動操作することにより保持体7を引き上げ炭酸ガスボンベ5内の炭酸ガスを噴出させる操作部材9は、ハウジング10を構成する外装66の上面66aに設けられユーザにより押圧操作されるとともに回動軸26が回動自在に連結された操作ボタン27と、ハウジング10内を上下方向に移動可能に支持されるとともに一端28aをレバー部材20の係合孔25に係合された押圧軸28とを有する。
【0022】
操作ボタン27は、一端が開放された円柱状に形成され、閉塞端面から突出された円形の係合壁31内に回動軸26が係合されるとともに、係合壁31の外側に捻りコイルバネ32が係合されている。捻りコイルバネ32は、一端を操作ボタン27の閉塞端面に当接されるとともに他端をハウジング10の外装66に当接されることにより、常時操作ボタン27をハウジング10の外装66上方に付勢している。
【0023】
回動軸26は、操作ボタン27に係合されるとともに押圧軸28と係合されることにより、ユーザによる操作ボタン27の押圧力を押圧軸28に伝達しレバー部材20を介して炭酸ガスボンベ5を開放させ、また後述するガスシリンダー12により押圧軸28との係合が解除されることにより押圧軸28によるレバー部材20の回動操作を停止させ炭酸ガスボンベ5を閉塞させるものである。
【0024】
この回動軸26は、ハウジング10の外装66の上面に設けられた挿通孔67に挿通されるとともに、操作ボタン27の係合壁31内に係合する係合軸35と、係合軸35と回動可能に連結されるとともにガスシリンダー12に押圧される回動片36とを有する。係合軸35は、円盤状の基底部35aから下方に亘って円弧状の外周壁35bが形成され、また基底部35aから下端に亘って回動片36と連結される連結片35cが形成されている。連結片35cには下部に連結孔38が穿設されている。また回動片36も円盤状の基底部36aから上方に亘って円弧状の外周壁36bが形成され、また基底部36aから上端に亘って係合軸35と連結される連結片36cが形成されている。連結片36cにも上部に連結孔40が穿設されている。そして係合軸35及び回動片36は、捻りコイルバネ41を挟んで、互いに連結孔38,40を連続させるとともに、ピン42が挿通されることにより連結孔38,40を中心に図2中矢印R方向へ回動自在に連結される。
【0025】
かかる回動軸26は、係合軸35と回動片36は、捻りコイルバネ41の付勢力によって常時、図4に示すように、各外周壁35b,36bが一直線となるように回動される。このとき回動軸26は、回動片36の基底部36aが押圧軸28の上面28bを押圧する押圧面として機能する。また、回動軸26は、回動片36がガスシリンダー12によって押圧されると、図2中矢印R方向へ回動され、押圧軸28の上面28bとの係合が解除される。なお、図5に示すように、回動片36は、押圧軸28との係合を解除しやすいように、ガスシリンダー12と対峙する側面から底面にかけて円弧状に湾曲して形成されている。
【0026】
押圧軸28は、ハウジング10内に形成された中蓋43に形成された挿通孔44を挿通することによりハウジング10内の上下動をガイドされる。また押圧軸28は、上面28bが回動軸26と係合され、また、一端28aに係合突起29が形成され、この係合突起29が上述したレバー部材20の主面部に穿設された係合孔25に係合されることによりレバー部材20と連結されている。
【0027】
このような操作部材9は、レバー部材20の回動突部24よりも他端20b側が、捻りコイルバネ8によって常時炭酸ガスボンベ5側に付勢されている保持体7のフランジ部17に突設された押下突起30に押下されることにより、図5及び図6に示すように、回動突部24を支点に他端20bが下方に回動され、また、一端20a側が上方に回動されている。したがって、レバー部材20の一端20a側と係合している押圧軸28は、常時、上方に押し上げられている。また、このとき回動軸26は係合軸35と回動片36とが一直線となるよう回動され、操作ボタン27は捻りコイルバネ32によって常時、上方に付勢されて、ユーザによる押圧動作を待機している。
【0028】
そして、操作部材9は、ユーザによって操作ボタン27が押し下げられると、図7に示すように、回動軸26に押下されることにより下方に移動された押圧軸28に押圧されたレバー部材20の一端20aが回動突部24を支点に下方に回動され、また、他端20bが上方に回動される。したがって、保持体7は、レバー部材20の他端20bに形成された一対の側縁部22aがフランジ部17の押下突起30に下方より当設するため、捻りコイルバネ8の付勢力に対向して上昇され、炭酸ガスボンベ5の蓋体14より離間される。これにより操作部材9は、保持体7に支持されている尖鋭体6の尖端部6aが炭酸ガスボンベ5の蓋体14より引き上げられるため、炭酸ガスを噴出させることができる。
【0029】
炭酸ガスボンベ5及び保持体7を収納するハウジング10は、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂により、炭酸ガスボンベ5が収納されるボンベ収納部51と保持体7が収納される保持体収納部52と、操作部材9が収納される操作部材収納部53が形成された略筒状体からなる。また、ハウジング10は、ユーザによって片手で持って操作できる程度の大きさで形成されている。このハウジング10は、保持体収納部52に、炭酸ガスの流路54が形成され、また操作部材収納部53には、ガスシリンダー12が挿通される挿通路55が形成されている。
【0030】
ボンベ収納部51は、炭酸ガスボンベ5と略同一の高さ及び経を有し、炭酸ガスボンベ5をガタつかせることなく収納する。
【0031】
保持体7を収納する保持体収納部52は、ボンベ収納部51と一体又は着脱自在に形成されている。保持体収納部52は、内部に保持体7の突部15の移動をガイドするガイド壁57と、レバー部材20の回動突部24,24を支持する一対の回動支持部58,58と、捻りコイルバネ8の一端が係止される係止部59とが形成されている。
【0032】
ガイド壁57は、保持体収納部52の下面部52aより突設され、保持体7の突部15を摺動自在に支持している。このガイド壁57に囲まれ、保持体7の突部15が挿通される凹部57aには、保持体7に保持されている尖鋭体6が貫通する貫通孔60が穿設されている。貫通孔60は、予め尖鋭体6により炭酸ガスボンベ5の蓋体14を穿孔する際に、同時に尖鋭体6によって下面部52aが貫通されることによって形成される。したがって、貫通孔60は、尖鋭体6の経と同一の経で形成され、また下面部52aを滑りがよく、反発性があるポリエチレン等の材料を使用することによって、尖鋭体6の移動をガイドするとともに、蓋体14の穿孔14aから尖鋭体6を引き抜いたときにも貫通孔60と尖鋭体6との間に間隙が形成されることなく炭酸ガスが保持体収納部52内に流れることを防止することができる。
【0033】
回動支持部58,58は、保持体収納部52の下面部52aより突設され、レバー部材20の回動突部24,24を回動自在に支持する支持凹部が形成されている。
【0034】
係止部59は、保持体収納部52の上面部52bに形成され、一端部が保持体7のフランジ部17に形成された係止溝16に係止されている捻りコイルバネ8の他端部が当接されている。これにより、保持体7は、捻りコイルバネ8により炭酸ガスボンベ5側に付勢される。
【0035】
また、保持体収納部52は、下面側に炭酸ガスボンベ5の開口部13近傍をネジ止めするためのネジ穴61が内側に形成されている。これにより炭酸ガスボンベ5は、ハウジング10内に収納されると、ネジ穴61に開口部13が支持され、ガタつくことなく収まる。
【0036】
また、保持体収納部52には、炭酸ガスボンベ5より噴出した炭酸ガスをチューブ11に導くガス流路54が形成されている。ガス流路54は、ハウジング10内に収納された炭酸ガスボンベ5の蓋体14と連続され、蓋体14の穿孔14aより噴出した炭酸ガスが流される。また保持体収納部52は、このガス流路54を外方に臨ませて炭酸ガスを噴出させる噴出口63が突設されている。噴出口63は、図5に示すようにチューブ11に設けられたアダプタ71が接続されており、アダプタ71が接続されることによりチューブ11に炭酸ガスを噴出することができる。
【0037】
保持体収納部52の上面には、操作部材収納部53との間を仕切る中蓋43が設けられている。中蓋43には、操作部材9の押圧軸28が挿通されている挿通孔44が設けられている。挿通孔44は、押圧軸28を支持するとともに上下方向の移動をガイドしている。
【0038】
また、中蓋43には、保持体7の上昇を規制することにより尖鋭体6の蓋体14からの抜き出し量を規制し、炭酸ガスの噴出を制御する規制部材64が挿通合されている挿通孔65が設けられている。この挿通孔65に挿通される規制部材64は、保持体収納部52内に挿入され保持体7の上面部7bと当接される軸部64aと、中蓋43より操作部材収納部53側に設けられ、軸部64aの挿入深さを調節する調節部64bからなる。また、挿通孔65は内周面にネジ溝が切られ、同様にネジ溝が切られている規制部材64の軸部64aが螺合されている。
【0039】
そして、規制部材64は、操作部材収納部53側に配設されている調節部64bを回転させることにより軸部64aの挿入深さを調節し、軸部64aの先端と保持体7の上面部7bとの当接位置を調節できる。これにより、規制部材64は、調節部64bを回転操作することにより、操作部材9によって保持体7が上昇されたときにも、規制部材64の軸部64aが保持体7の上面部7bに当接され、保持体7の上昇が規制されるため、炭酸ガスの流量を調節することができ、炭酸ガスが必要以上に噴出される事態を防止することができる。
【0040】
操作部材収納部53は、保持体収納部52の上から長手方向の一端を開放端とした円筒状の外装66を装着することにより、中蓋43と外装66の閉塞端との間に操作部材9の回動軸26を収納する空間を構成するものである。外装66は、上面66aに回動軸26の係合軸35が挿通される挿通孔67が穿設されている。係合軸35はこの挿通孔67を挿通することにより外装66の上面66a側に突出され操作ボタン27と係合される。また外装66は、回動軸26の回動片36を回動付勢するガスシリンダー12が挿通される挿通路55が形成されている。
【0041】
次いでかかるハウジング10に接続され、炭酸ガスを患者に噴出させるチューブ11について説明する。チューブ11は、炭酸ガスボンベ5から噴出させた炭酸ガスを一定量充填するとともに、定量の薬剤が配設されることにより、患者に対して定量の薬剤を噴出し、患者自身による薬剤の自己投与を補助するものである。またチューブ11は、薬剤の投与に必要かつ十分な容積を有するとともにハウジング10と接続されるガスシリンダー12を備えることにより、チューブ11内に薬剤の投与に適した量だけ炭酸ガスボンベ5より炭酸ガスを噴出させ充填するものである。
【0042】
具体的にチューブ11は、ハウジング10の噴出口63接続されるアダプタ71が設けられ炭酸ガスが導入される導入路72と、ガスシリンダー12が設けられるとともにハウジング10の挿通路55と接続されガスシリンダー12のピストン78をハウジング10内に圧入させる圧入路73と、薬剤が封入された容器が装着され、充填された定量の炭酸ガスとともに薬剤を噴出する噴出部材75が設けられる噴出路74とを有する。
【0043】
炭酸ガスが導入される導入路72に設けられたアダプタ71は、図5に示すように、ハウジング10のガス流路54と連続された中空円筒状の噴出口63の中空部63a内に嵌挿されることによりチューブ11をガス流路54と連続させるものである。このアダプタ71は、中空円筒状に形成され、長手方向の略中間部に形成されたフランジ部を境に一端をチューブ11の導入路72内に嵌挿され、他端をハウジング10より突出された噴出口63の中空部63a内に嵌挿される。そして、炭酸ガスボンベ5より炭酸ガスが噴出されると、ガス流路54よりアダプタ71を介してチューブ11内に導入されていく。
【0044】
圧入路73に設けられたガスシリンダー12は、チューブ11内に導入された炭酸ガスのガス圧を受けてピストン78をハウジング10内に圧入することにより回動軸26の回動片36を押圧して回動させるものである。ガスシリンダー12は、図2に示すように、長手方向の両端に開口部76a,76bが形成された中空円筒状のシリンダ本体77と、シリンダ本体77内に摺動自在に配設されたピストン78と、ピストン78をチューブ12側に付勢するコイルバネ79とを有する。
【0045】
シリンダ本体77は、長手方向の略中間部にフランジ部77aを有し、このフランジ部77aを境に一端をチューブ11の圧入路73内に嵌挿され、他端をハウジング10に形成された挿通路55より操作部材収納部53内に嵌挿されている。シリンダ本体77には長手方向の両端部に形成された開口部76のうち、チューブ11内に臨まされる開口部76aにはピストン78及びコイルバネ79がシリンダ本体77内に配設された後、封止板80が取り付けられる。封止板80には、チューブ11に充填された炭酸ガスを導入することによってシリンダ本体77内に配設されたピストン78に対してガス圧を加えるための導入孔81が穿設されている。したがってシリンダ本体77内に配設されたピストン78は、チューブ11内に炭酸ガスが充填されると、導入孔81より導入された炭酸ガスの圧力を受けて、ハウジング10の操作部材収納部53内に臨まされている開口部76b側に付勢される。
【0046】
シリンダ本体77内に摺動自在に配設されたピストン78は、ハウジング10内に圧入される軸部78aと、軸部78aの長手方向の一端に形成されたシリンダ本体77の内径と略同一の基体部78bとを有する。軸部78aは、シリンダ本体77の開口部76b及び挿通路55を介してハウジング10の操作部材収納部53内に挿入され、回動軸26の回動片36を図5中矢印R方向へ回動させるものである。また基体部78bは、チューブ11内に充填された炭酸ガスの圧力を受けてピストン78を摺動させるものである。
【0047】
ピストン78は、軸部78aの先端を挿入端としてシリンダ本体77の開口部76aから挿入され、基体部78bがシリンダ本体77の開口部76aに取り付けられた封止板80と対峙する。そしてピストン78は、基体部78bが導入孔81を介してチューブ11内に充填された炭酸ガスのガス圧を受けることにより、シリンダ本体77内を図5中矢印A方向へ摺動し、軸部78aの先端がハウジング10の操作部材収納部53内に設けられた回動軸26の回動片36を押圧する。なお基体部78bには、ピストン78の摺動を補助し、炭酸ガスの圧力が逃げることを防止するとともに、シリンダ本体77内に導入された炭酸ガスが開口部76bよりハウジング10内に流入することを防止するためOリング82が装着されている。
【0048】
またピストン78は、シリンダ本体77を図5中反矢印A方向へ戻すためのコイルバネ79が嵌挿されている。コイルバネ79は、ピストン78の軸部78aを挿通するとともに、一端をピストン78の基体部78bに当接され、他端をシリンダ本体77の開口部76b側の端面に当接されてシリンダ本体77内に配設される。そして、ピストン78がチューブ11内のガス圧に押されて図5中矢印A方向へ付勢されると圧縮し、チューブ11内のガスが放出されピストン78にかかるガス圧が除かれると、自身の弾性により伸長して、ピストン78を回動軸26と離間する図5中反矢印A方向へ付勢する。
【0049】
このようなガスシリンダー12は、チューブ11内に炭酸ガスが充填されると、ピストン78の基体部78bが封止板80の導入孔81を介してシリンダ本体77内に導入された炭酸ガスに押圧され、コイルバネ79の付勢力に対抗して図5中矢印A方向へ移動する。したがって、シリンダ本体77の開口部76bよりハウジング10の操作部材収納部53内に臨まされているピストン78の軸部78aは、回動軸26の回動片36を押圧し、図5中矢印R方向へ回動させる。これにより回動軸26は回動片36と押圧軸28との係合が解除されることから、操作ボタン27の押圧力が押圧軸28に伝達されなくなり、レバー部材20への押圧力が解かれるとともに捻りコイルバネ8の付勢力によって保持体7が下方に付勢され、炭酸ガスの噴出を停止することができる。
【0050】
またガスシリンダー12は、後述する噴出部材75によりチューブ11内の炭酸ガスが噴出されると、ピストン78の基体部78bにかかるガス圧が解除される。したがって、コイルバネ79が自身の弾性により伸長するため、ピストン78がシリンダ本体77を図5中反矢印A方向に付勢される。これにより回動片36を回動付勢していたピストン78の軸部78aが回動片36と離間するため、回動軸26は、捻りコイルバネ41の付勢力によって図5中反矢印R方向に回動され、押圧軸28と係合し、レバー部材20を回動操作可能となる。
【0051】
炭酸ガスが噴出される噴出路74は、チューブ11内に充填された炭酸ガスとともに薬剤を噴出させる噴出部となる噴出部材75が設けられている。この噴出部材75は、噴出路74に嵌挿される嵌挿部85と、噴出ボタン86が取り付けられる取付部87と、取付部87の外周部に設けられ炭酸ガスが噴出されるとともに薬剤容器84が装着される装着ノズル88とを備える。
【0052】
嵌挿部85及び取付部87は、ともにガス流路が形成された中空円筒体からなり、嵌挿部85が取付部87よりも小径とされることにより、両者の間に段差部89が形成されている。段差部89は、嵌挿部85がチューブ11の噴出路74に取り付けられる際、噴出路74の先端が当接されて位置決めを図る位置決め部となる。また、嵌挿部87を貫通するガス流路85aは、取付部87を貫通するガス流路87aよりも径が大きく形成されることにより、両者の間に噴出ボタン86の挿入部91が係止する係止部90が形成されている。取付部87に形成されたガス流路87aは、後述する装着ノズル88と連続されており、ガス流路87aを流れる炭酸ガスは装着ノズル88より外部に噴出される。また取付部87は、外周部に炭酸ガスを噴出させる噴出ボタン86が係合されるフランジ状の係合部87bが形成されている。
【0053】
この係合部87bに係合される噴出ボタン86は、ゴム等の弾性部材によって形成されるものであり、取付部87のガス流路87a内に挿入され炭酸ガスの噴出を制御する挿入部91と、ユーザに押下されることによって挿入部91をスライドさせ炭酸ガスの噴出操作を行う操作部92とを有する。噴出ボタン86は、操作部92が略円形の鉢状に形成され、この操作部92の中心より挿入部91が下方に向かって延設されている。操作部92は、取付部87の上面を覆うように被さり、内周部亘ってに形成された凹部が取付部87の外周部に形成された係合部87bと係合し、容易に取り外されないようになっている。操作部92の中心より下方に延設された挿入部91は、取付部87のガス流路87a内にスライド可能に挿入される。挿入部91は、先端部に炭酸ガスがガス流路87aに流入することを防止するフランジ状の封止部91aが形成されている。この挿入部91は、取付部87のガス流路87aよりも小径に形成され、また封止部91aはガス流路87aよりも大径とされ、かつ嵌挿部85のガス流路85aの径よりも小径に形成されている。そして挿入部91は、封止部91aが取付部87のガス流路87a内を挿通されることにより嵌挿部85のガス流路85a内に挿入され、ガス流路85a及びガス流路87aとの間に形成された係止部90に係止される。
【0054】
かかる噴出ボタン86は、挿入部91が取付部87内に挿入されるとともに、操作部92が取付部87の係合部87bに係合されることにより、挿入部91の先端に形成された封止部91aが係止部90に係止される。封止部91aは、チューブ11内に炭酸ガスが充填されると、ガス圧によって係止部90側に付勢されるためガス流路87aを塞ぎ、炭酸ガスの放出を停止する。そして噴出ボタン86は、ユーザによって操作部92が押圧されると、挿入部91がガス流路87aを嵌挿部85側にスライドし封止部91aが係止部90より離間する。これによりガス流路87aが開放され炭酸ガスが装着ノズル88より外部に噴出される。また、操作部92への押圧操作が解除されると、噴出ボタン86は操作部92が上方に弾性復帰するため、挿入部91がガス流路87aを上方にスライドし封止部91aが係止部90に係止される。これにより封止部91aによってガス流路87aが封止される。
【0055】
取付部87の外周に設けられた装着ノズル88は、薬剤容器84が装着されるとともにガス流路87aより炭酸ガスが導入されることにより、炭酸ガスとともに薬剤が噴出する。この装着ノズル88は、中空円筒状に形成され、ガス流路87aと連続し炭酸ガスが流れるノズル孔94が形成されている。また薬剤容器84は、中空円筒形状に形成され内部に、一回の投与量に相当する薬剤が封入されている。また薬剤容器84は装着ノズル88の外径と略同一の内径を備え、装着ノズル88の先端より着脱自在に装着される。薬剤容器84が装着されることにより装着ノズル88は、ノズル孔94の先端に薬剤が配置されるため、炭酸ガスとともに薬剤を噴出することができる。薬剤が噴出されると、装着ノズル88は、空の薬剤容器84が取り外され、新たな薬剤容器84が装着される。
【0056】
次いで、以上のような構成を有する定量噴出装置1の実使用時における動作を説明する。使用時において定量噴出装置1は、図5に示すように、装着ノズル88に薬剤が封入された薬剤容器84が装着される。このとき、ハウジング10のボンベ収納部51に収納されている炭酸ガスボンベ5は、保持体7が捻りコイルバネ8によって下方に付勢されている。これにより、定量噴出装置1は、保持体7に保持されている尖鋭体6の先端部6aが蓋体14に突き立てられて、穿孔14aが閉塞され炭酸ガスの噴出が防止されている。
【0057】
また、チューブ11内に炭酸ガスが充填されていないことから、ガスシリンダ12のピストン78は、シリンダ本体77内に配設されたコイルバネ79の付勢力によって回動軸26と離間する図5中反矢印A方向へスライドされている。また回動軸26は、捻りコイルバネ41の付勢力によって係合軸35と回動片36とが一直線となるよう回動され、押圧軸28と係合されている。
【0058】
またこのとき、レバー部材20は、捻りコイルバネ8によって常時炭酸ガスボンベ5側に付勢されている保持体7の押下突起30に押下されることにより、図5及び図6に示すように、回動突部24を支点に他端20bが下方に回動され、また、一端20a側が上方に回動されている。したがって操作ボタン27は、レバー部材20の一端20a側と係合している押圧軸28及びこの押圧軸28と係合している回動軸26が上方に移動されることによって、また、ハウジング10の外装66との間に設けられた捻りコイルバネ32の付勢力によって、上方に付勢されて、ユーザによる押圧動作を待機している。
【0059】
次いで、ユーザによって装着ノズル88に装着された薬剤容器84の先端を患者の口許に向けて定量噴出装置1のハウジング10が把持される。そして、ユーザによって操作部材9の操作ボタン27が押圧されると、図7及び図8に示すように、回動軸26に押下された押圧軸28の一端28aが下方に移動し、この押圧軸28と係合するレバー部材20の一端20aが回動突部24を支点に下方に回動され、また、他端20bが上方に回動される。したがって、保持体7は、レバー部材20の他端20bに形成された一対の側縁部22aがフランジ部17の押下突起30に下方より当設するため、捻りコイルバネ8の付勢力に対向して上昇され、炭酸ガスボンベ5の蓋体14より離間される。これにより、保持体7に支持されている尖鋭体6の尖端部6aが炭酸ガスボンベ5の蓋体14の穿孔14aより引き上げられるため、ボンベ内に圧縮されている炭酸ガスが噴出される。
【0060】
噴出された炭酸ガスは、ハウジング10のボンベ収納部51と保持体収納部52との間に設けられたガス流路54を介して、噴出口63に装着されているアダプタ71よりチューブ11内へ流れる。
【0061】
なお、予め規制部材64の調節部64bを回転させ、軸部64aの挿入深さを調節し、軸部64aの先端と保持体7の上面部7bとの当接位置を調節しておくことにより、操作部材9によって保持体7が上昇されたときにも、規制部材64の軸部64aが保持体7の上面部7bに当接され、保持体7の上昇が規制されるため、炭酸ガスの流量を調整することができ、炭酸ガスが必要以上に噴出される事態を防止することができる。
【0062】
チューブ11に炭酸ガスが充填されていくと、チューブ11内のガス圧が高まることから、ガスシリンダー12内に配設されているピストン78は、基体部78b側から炭酸ガスによって押圧される。したがってピストン78は、コイルバネ79の付勢力に対抗してシリンダ本体77内を摺動し、軸部78aがハウジング10の操作部材収納部53内に設けられた回動軸26に近接する図9中矢印A方向へ移動する。そして回動軸26は、回動片36がピストン78の軸部78aに押圧されることによって図9中矢印R方向へ回動される。したがって、ユーザによって操作ボタン27が押圧操作されている回動軸26とレバー部材20と係合されている押圧軸28との係合が外れるため、操作ボタン27への押圧力が押圧軸28及びレバー部材20へ伝わらなくなる。
【0063】
押圧軸28への押圧が解除されると、レバー部材20によって上方に押し上げられていた保持体7は、捻りコイルバネ8の付勢力により炭酸ガスボンベ5側に付勢される。したがって、保持体7に保持されている尖鋭体6は尖端部6aが炭酸ガスボンベ5の蓋体14の穿孔14aに突き立てられ、炭酸ガスボンベ5を閉塞する。これにより、チューブ11内への炭酸ガスの噴出が停止される。このとき、チューブ11内には、チューブ11の容積に応じた所定量の炭酸ガスが充填される。この炭酸ガスの充填量は、装着ノズル88に装着された薬剤容器84に封入された薬剤を噴出させ、患者の自己投与を補助するのに必要かつ十分な量とされる。
【0064】
なお、炭酸ガスがチューブ11内に充填され、炭酸ガスの噴出が停止された後は、操作ボタン27と押圧軸28との係合が解かれているため、操作ボタン27を離した状態でも炭酸ガスをチューブ11内に留め置くことができる。操作ボタン27は、外装66との間に設けられた捻りコイルバネ32に付勢され、上方に位置される(図10)。
【0065】
このとき、チューブ11内に充填された炭酸ガスの圧力によって、噴出路74に設けられた噴出部材75の取付部87に挿入された噴出ボタン86は、封止部91aがガス流路85aとガス流路87aとの間に形成された係止部90側に係止され、かつ係止部90側に付勢されることにより、ガス流路87aを塞ぎ、炭酸ガスの放出を停止している。
【0066】
また、レバー部材20は、他端20bが炭酸ガスボンベ5側に付勢された保持体7の押下突起30に押圧され、回動突部24を支点に一端20a側が上方に回動される。したがって、レバー部材20の一端20aと係合している押圧軸28は上方に移動する。
【0067】
次いで、噴出ボタン86の操作部92がユーザによって押下される。操作部92が押圧されると、挿入部91がガス流路87aを嵌挿部85側にスライドし封止部91aが係止部90より離間する。これにより、図11に示すように、ガス流路87aが開放され炭酸ガスが装着ノズル88のノズル孔94に流れ、薬剤容器84の先端より薬剤とともに噴出される。したがって、本発明が適用された定量噴出装置1によれば、薬剤容器の先端を口許に向けたユーザは、息を吸い込みながら噴出ボタン86を押下することにより、薬剤容器に封入された薬剤を残さず自己投与することができる。また定量噴出装置1は、チューブ11を薬剤の投与に必要かつ十分な量の炭酸ガスが充填される容積を有するため、薬剤投与の際に常に定量の炭酸ガスを噴出させることができ、ユーザが炭酸ガスを過剰に吸飲することもない。
【0068】
チューブ11内の炭酸ガスが噴出されピストン78にかかるガス圧が除かれると、コイルバネ79が自身の弾性により伸長して、ピストン78を回動軸26と離間する図11中反矢印A方向へ付勢する。また、ユーザによる操作部材9の操作ボタン27への押圧が解除されると、回動軸26は回動片36が捻りコイルバネ41の付勢力によって係合軸35と回動片36とが一直線となるよう図11中反矢印R方向へ回動され、押圧軸28と係合される。これにより操作部材9は、再度操作ボタン27を押下することにより回動軸26及び押圧軸28を介してレバー部材20を回動操作させ、炭酸ガスボンベ5を開放させることができる。次回、薬剤を投与する場合は、新しい薬剤容器84を装着ノズル88に付け替える。
【0069】
このように、定量噴出装置1は、炭酸ガスが金属筐体からなる炭酸ガスボンベ5内に充填されると共に炭酸ガスの噴出が停止されている状態においては、保持体7が炭酸ガスボンベ5側に付勢されて尖鋭体6の尖端部6aが炭酸ガスボンベ5の蓋体14を閉塞し、炭酸ガスの噴出が防止されている。従って、定量噴出装置1は、尖鋭体6を蓋体14より抜き差しする簡易な構成で確実に炭酸ガスの噴出制御を行うことができる。
【0070】
なお、定量噴出装置1は、噴出部材75に薬剤容器84を取り付けてチューブ11内に充填されたガスとともに薬剤を噴出させるほか、薬剤容器84を装着させることなく、炭酸ガスボンベ5内に液化ガスとともに薬剤を溶解させて、チューブ11内に一定量だけ充填、噴霧させるようにしてもよい。また、定量噴出装置1は、薬剤容器84に経口薬以外の薬剤を装填、噴出させるようにしてもよい。あるいは薬剤以外の物品を噴出部材75に装填し、あるいは液化ガスとともにガスボンベ内に溶解させて、噴出させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明が適用された定量噴出装置を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用された定量噴出装置を示す分解斜視図である。
【図3】本発明が適用された定量噴出装置の保持体収納部を上側から示す断面図である。
【図4】本発明が適用された定量噴出装置を示す分解斜視図である。
【図5】本発明が適用された定量噴出装置を示す断面図である。
【図6】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す斜視図である。
【図7】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す斜視図である。
【図8】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す断面図である。
【図9】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す断面図である。
【図10】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す断面図である。
【図11】本発明が適用された定量噴出装置の動作を示す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 定量噴出装置、5 炭酸ガスボンベ、6 尖鋭体、7 保持体、8 捻りコイルバネ、9 操作部材、10 ハウジング、11 チューブ、12 ガスシリンダー、14 蓋体、20 レバー部材、24 回動軸、27 操作ボタン、28 押圧軸、35 係合軸、36 回動片、71 アダプタ、75 噴出部材、78 ピストン、84 薬剤容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスボンベを収納するとともに、該ガスボンベを開閉操作する操作部材が設けられた装置本体と、
上記装置本体と連続されることにより上記ガスボンベから噴出されたガスが充填される充填部と、
上記充填部に設けられ、該充填部に充填されたガスを噴出する噴出部と、
上記充填部に設けられ、該充填部に充填されたガスのガス圧を受けて上記装置本体内に挿入されることにより、上記操作部材による上記ガスボンベの開放操作を停止させる停止部材とを備える定量噴出装置。
【請求項2】
上記噴出部には定量の薬剤が装填されることを特徴とする請求項1記載の定量噴出装置。
【請求項3】
上記充填部は、上記薬剤の投与に適したガス噴出量だけ充填可能な容積を有することを特徴とする請求項2記載の定量噴出装置。
【請求項4】
上記ガスボンベは蓋体により開口部が封止されてガスが充填され、
上記操作部材は、上記装置本体の上面より突出された操作ボタンと、該操作ボタンと連結されるとともに回動自在に形成された回動軸と、該回動軸と係合された押圧軸とを有し、
上記装置本体には、上記蓋体に形成された穿孔に突き立てられることにより上記蓋体を閉塞する尖鋭体と、一端に上記ガスボンベの蓋体と対向して上記尖鋭体を保持し上記蓋体と接離可能に配設された保持体と、上記保持体を上記ガスボンベの蓋体側に付勢する付勢部材と、上記操作部材の押圧軸に押圧操作されることにより上記保持体を上記蓋体と離間する方向に操作して上記尖鋭体を上記穿孔より引き抜き上記ガスボンベを開放するレバー部材とを有し、
上記停止部材は、上記装置本体内に挿入されることにより、上記操作部材の回動軸を回動させて上記押圧軸との係合を解除することにより該押圧軸による上記レバー部材への押圧操作を解除して上記ガスの噴出を停止させることを特徴とする請求項1記載の定量噴出装置。
【請求項5】
上記保持体の他端側に当接して上記ボンベの蓋体から離間する方向への移動を規制する規制部材を有し、該規制部剤は、上記操作部材による上記ボンベの開閉を規制することにより上記ガスの噴出量を規制することを特徴とする請求項4記載の定量噴出装置。
【請求項6】
上記蓋体は、上記尖鋭体が突き立てられることにより上記穿孔が形成されることを特徴とする請求項4記載の定量噴出装置。
【請求項1】
ガスボンベを収納するとともに、該ガスボンベを開閉操作する操作部材が設けられた装置本体と、
上記装置本体と連続されることにより上記ガスボンベから噴出されたガスが充填される充填部と、
上記充填部に設けられ、該充填部に充填されたガスを噴出する噴出部と、
上記充填部に設けられ、該充填部に充填されたガスのガス圧を受けて上記装置本体内に挿入されることにより、上記操作部材による上記ガスボンベの開放操作を停止させる停止部材とを備える定量噴出装置。
【請求項2】
上記噴出部には定量の薬剤が装填されることを特徴とする請求項1記載の定量噴出装置。
【請求項3】
上記充填部は、上記薬剤の投与に適したガス噴出量だけ充填可能な容積を有することを特徴とする請求項2記載の定量噴出装置。
【請求項4】
上記ガスボンベは蓋体により開口部が封止されてガスが充填され、
上記操作部材は、上記装置本体の上面より突出された操作ボタンと、該操作ボタンと連結されるとともに回動自在に形成された回動軸と、該回動軸と係合された押圧軸とを有し、
上記装置本体には、上記蓋体に形成された穿孔に突き立てられることにより上記蓋体を閉塞する尖鋭体と、一端に上記ガスボンベの蓋体と対向して上記尖鋭体を保持し上記蓋体と接離可能に配設された保持体と、上記保持体を上記ガスボンベの蓋体側に付勢する付勢部材と、上記操作部材の押圧軸に押圧操作されることにより上記保持体を上記蓋体と離間する方向に操作して上記尖鋭体を上記穿孔より引き抜き上記ガスボンベを開放するレバー部材とを有し、
上記停止部材は、上記装置本体内に挿入されることにより、上記操作部材の回動軸を回動させて上記押圧軸との係合を解除することにより該押圧軸による上記レバー部材への押圧操作を解除して上記ガスの噴出を停止させることを特徴とする請求項1記載の定量噴出装置。
【請求項5】
上記保持体の他端側に当接して上記ボンベの蓋体から離間する方向への移動を規制する規制部材を有し、該規制部剤は、上記操作部材による上記ボンベの開閉を規制することにより上記ガスの噴出量を規制することを特徴とする請求項4記載の定量噴出装置。
【請求項6】
上記蓋体は、上記尖鋭体が突き立てられることにより上記穿孔が形成されることを特徴とする請求項4記載の定量噴出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−263235(P2006−263235A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87089(P2005−87089)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(501435129)株式会社メジャー通信 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(501435129)株式会社メジャー通信 (9)
【Fターム(参考)】
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