説明

定量止水装置

【課題】給水中に蛇口の栓で給水が停止されても、電気駆動弁を閉弁することが出来る定量止水装置を提供する。
【解決手段】電気的に駆動され主水路3を開閉する電気駆動弁5と、該電気駆動弁5とは並列の補助水路13を開閉する手動操作弁12と、前記補助水路13の主水路3への合流部の先で水流で回転する水車8を備え、この水車8の回転に基づいて発電する発電機7と、該発電機7で発電した電気を蓄電する蓄電器10と、更に前記水車8の回転数に応じたパルスを発生させ、該パルスのカウントにより主水路3の積算流量を検知して設定値に達することで、電気駆動弁5を閉弁させて給水停止させる制御部9とで構成されたもので、前記制御部9には電気駆動弁5が開弁状態で水流が停止した時には、前記電気駆動弁5への通電を停止して強制的に閉弁させる安全装置14を備えたことにより、簡単な改良のみでこの種の止水装置の大きな問題点を解決出来した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、設定量の給水を行ったところで自動的に給水を停止する定量止水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、初期使用では蓄電されていない為に、手動操作弁を手動で開弁して蓄電するものであり、以後は給水で自動的に蓄電され、手動操作弁を操作する必要はなかった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2002−201680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、既存の蛇口に取り付けて使用されるので、給水中に誤って蛇口の栓を閉めて給水を停止してしまうと、水車の回転が止まり蓄電が停止すると共に、電気駆動弁は開弁状態を維持するので電気を消費し、再使用では初期使用と同様に手動操作弁の操作による蓄電をしないといけない言う不具合が発生し、手間がかかるものであり、特にお年寄りの居る家庭に多く発生して、その度にサービスマンが出向くこととなり、更に手動操作弁がドライバー等の工具を必要とするものでは、簡単に上記のような初期設定をすることも出来ないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、この発明は上記課題を解決するため、特にその構成を、電気的に駆動され主水路を開閉する電気駆動弁と、該電気駆動弁とは並列の補助水路を開閉する手動操作弁と、前記補助水路の主水路への合流部の先で水流で回転する水車を備え、この水車の回転に基づいて発電する発電機と、該発電機で発電した電気を蓄電する蓄電器と、更に前記水車の回転数に応じたパルスを発生させ、該パルスのカウントにより主水路の積算流量を検知して設定値に達することで、電気駆動弁を閉弁させて給水停止させる制御部とで構成されたものに於いて、前記制御部には電気駆動弁が開弁状態で水流が停止した時には、前記電気駆動弁への通電を停止して強制的に閉弁させる安全装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、蛇口の栓で給水が停止されたとしても、電気駆動弁は強制的に閉弁されて貯えた電気の消費は防止されるので、改めて蓄電の為の初期設定の必要がなく、面倒な作業をすることなく手間をかからないものであり、簡単な改良のみでこの種の止水装置の大きな問題点を解決出来、常に安心して使用される装置を提供出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は定量止水装置で、既存の蛇口の栓2から先を構成するものであり、給水を行う主水路3の先端には給水口4を備えている。
5は主水路3を開閉する電磁弁から成る電気駆動弁で、弁駆動部6からの信号で開閉させられる。
【0007】
7は主水路3中に備えられた発電機で、水流により回転する水車8を有し、この水車8の回転で発電し、マイコンから成る制御部9に備えたコンデンサーから成る蓄電器10に蓄電する。
11は前記水車8の回転数に応じて発生するパルスをカウントするパルスカウンタで、このカウントするパルス数が設定値に達することで、制御部9を介して弁駆動部6から電気駆動弁5に閉弁信号を出力させ、該電気駆動弁5を閉弁させることで給水を停止させる。
【0008】
前記水車8の回転によって発生するパルスは、主水路3の通水の積算流量に対応したものとなり、パルス数が設定値に達したところで主水路3の通水を停止することにより、給水口4から確実に設定した流量で給水を行うことが出来るものである。
【0009】
12は電気駆動弁5を迂回する並列の補助水路13に備えられた手動操作弁で、定量止水装置1の取り付け当初の初期設定時に、ドライバー使用の手動でこの手動操作弁12を開弁して電気駆動弁5を迂回する水流を造り、水車8を数分間回転させることで始動用の電気を蓄電器10に蓄電するものである。
【0010】
14は制御部9に備えられた安全装置を構成するタイマー手段で、電気駆動弁5が開弁状態で水流が停止すると、カウントを開始し所定時間ここでは10秒経過で、該電気駆動弁5への通電を停止して強制的に閉弁させ、蓄電器10の電力消費を防止する。
【0011】
15は押圧毎にONとOFFを交互に繰り返す運転スイッチで、ONすることで弁駆動部6から開弁信号を出力させて電気駆動弁5を開弁し、更に押圧することでOFFとなり弁駆動部6から閉弁信号を出力させて電気駆動弁5を閉弁させる。
【0012】
16は温度等を表示する表示部で、主水路3途中に備えられた温度センサ17が検知した流水温度を制御部9を介して表示するものである。
【0013】
次にこの実施形態の作動について説明すれば、先ず取り付け後の初期設定では、蛇口の栓2を開けた状態とし、手動操作弁12をドライバー使用の手動で開弁することにより、補助水路13に電気駆動弁5を迂回する水流が形成されて、水車8が数分間回転させることで始動用の電気を蓄電器10に蓄電するものであり、その後再びドライバーを使用して手動操作弁12は閉弁されて初期設定は終了する。
【0014】
そして使用者自身が風呂桶一杯とかの希望する積算流量を制御部9に記憶させ設定値を決定してから、運転スイッチ15をONすると、電気駆動弁5が弁駆動部6かんの信号で開弁されて、主水路3に水流が発生し水車8を回転させることで、蓄電器10に蓄電すると共に、この水車8の回転数に応じて発生するパルスをパルスカウンタ11がカウントし、パルス数が設定値に達することにより電気駆動弁5を自動的に閉弁させることで、使用者が希望する設定量の流量を得ることが出来るものである。
【0015】
次に前記の給水中に運転スイッチ15をOFFすることなく、断水や蛇口の栓2を閉めて給水を止める異常時について、図2のフローチャートで説明すれば、ステップ18で水流が停止することで水車8によるパルス数のカウントが停止したかを判断し、YESでステップ19に進み電気駆動弁5が開弁状態かを判断し、NOではステップ20で水車8かパルスカウンタ11或いは電気駆動弁5が異常状態であるとして、表示部16にエラー表示する。
【0016】
前記ステップ19で電気駆動弁5が開弁状態でYESの場合には、ステップ21に進みタイマー手段14がカウントを開始し、そしてステップ22に進んで10秒経過することで、異常と判断してステップ23で制御部9からの信号で、弁駆動部6を介して電気駆動弁5への通電を停止して強制的に閉弁させるものである。
【0017】
従って、断水や蛇口の栓2で給水が停止されたとしても、電気駆動弁5は蓄電器10の電力がなくなるまで開弁状態を維持することがなく、蓄電器10の電力は保持されるので、改めて蓄電の為の初期設定の必要がなく、面倒な作業をすることなく手間をかからないものであり、簡単な改良のみでこの種の止水装置の大きな問題点を解決出来、常に安心して使用される装置を提供出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態を示す定量止水装置の概略構成図。
【図2】同安全装置の作動状態を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0019】
3 主水路
5 電気駆動弁
7 発電機
8 水車
9 制御部
10 蓄電器
11 パルスカウンタ
12 手動操作弁
13 補助水路
14 タイマー手段(安全装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に駆動され主水路を開閉する電気駆動弁と、該電気駆動弁とは並列の補助水路を開閉する手動操作弁と、前記補助水路の主水路への合流部の先で水流で回転する水車を備え、この水車の回転に基づいて発電する発電機と、該発電機で発電した電気を蓄電する蓄電器と、更に前記水車の回転数に応じたパルスを発生させ、該パルスのカウントにより主水路の積算流量を検知して設定値に達することで、電気駆動弁を閉弁させて給水停止させる制御部とで構成されたものに於いて、前記制御部には電気駆動弁が開弁状態で水流が停止した時には、前記電気駆動弁への通電を停止して強制的に閉弁させる安全装置を備えた事を特徴とする定量止水装置。
【請求項2】
前記安全装置は、電気駆動弁が開弁状態で水流が停止すると、カウントを開始し所定時間経過で、電気駆動弁への通電を停止して強制的に閉弁させるタイマー手段で構成された事を特徴とする請求項1記載の定量止水装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−307431(P2006−307431A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127620(P2005−127620)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】