説明

実質的にしわのないテキスタイル表面の製造方法

布帛弛緩剤をテキスタイル表面に塗布する方法が、実質的にしわのないテキスタイル表面を提供する。本方法は、テキスタイル表面を湿らせる工程、湿らせたテキスタイル表面上へ布帛弛緩剤を塗布する工程、及び湿らせたテキスタイル表面を蒸気によって乾燥する工程を含む。布帛弛緩剤は、少なくとも1つの正電荷を持つ官能基を有する疎水性ポリジメチルシロキサンポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的にしわのないテキスタイル表面を提供するための洗濯の方法に関する。特に、本発明は、アイロンがけ又はプレスなしで実質的にしわのないテキスタイル表面を提供するための洗濯の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
しわが、例えば、衣服、薄い物品、及び他のテキスタイルなどのテキスタイル表面上の許容できない及び専門家にふさわしくない外観の原因となる可能性がある。ホテル、レストラン、製造業、修理、及びサービス組織などの、商業用及び工業用事業では、制服(例えば、シェフコート、ウェイトレス、工員、自動車店のための制服など)及び薄い物品(例えば、ベッドシーツ、テーブルクロスなど)は、事業を代表するものである。したがって、従業員の身に着ける衣類及び事業で使用される薄い物品にしわのないことが重要である。しわは主に洗浄中並びに次の処理及び保管においてテキスタイル上に生じる。テキスタイルを洗浄する厳正なプロセスが、特に商業的環境では、テキスタイルに曲げ工程及び折り畳み工程を受けさせる。例えば、洗浄プロセスの抜き取りサイクル(高速回転サイクル)中、又はテキスタイルが連続回分洗濯機中の洗浄の次に液圧プレスを用いて抜き取られるときに、しわがテキスタイル上へ入れられる可能性がある。適切な冷却手順を用いても、しわが、特に含まれているテキスタイルで発生する場合がある。したがって、しわは次の仕上げ工程で十分に除去されなければならない。
【0003】
典型的な商業用洗濯プロセスでは、テキスタイルは、テキスタイルをクリーンにするため又は柔軟性、新鮮な香り、撥水性などの衣類の望ましい品質を達成するためのいずれかに必要な様々な化学製品にそれらが曝される一連の水浴槽を通じて送られる。
【0004】
テキスタイルが適切にクリーニングされた後、テキスタイルは仕上げプロセスを通過する。例えば、衣類は仕上げトンネルを通して送られ、薄い物品はアイロンなどの幾つかの種類の仕上げ装置を通して送られてよい。衣類は、蒸気及び温風が衣類を乾燥させてコンディショニングするための働きをする仕上げトンネル内で、蒸気及び温風に曝されることがしばしばである。
【0005】
綿を含む衣類からしわを除去する最も一般的な方法としては、テキスタイルをアイロンがけ又はプレスすることが挙げられる。幾つかの用途では、最終アイロンがけ又はプレス工程前に、テキスタイルは部分的に乾燥される(コンディショニングされる(conditioned))。テキスタイルのアイロンがけ又はプレスは、手動でテキスタイルを処理ユニット中に入れるか、又は衣類の場合には、手動でそれらをハンガーにかけることにより、行なわれる。次に、テキスタイルは、アイロン又は仕上げトンネルとして当技術分野で知られているような装置を通じて処理される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
テキスタイル表面中のしわをなくすためにテキスタイルをアイロンがけ又はプレスすることに関する1つの課題は、処理が時間、労働力、エネルギー、及び資本を必要とすることである。仕上げ装置は高価であり、生産地区内で大きな設置面積を必要とする。上記の通り、従業員は手動でテキスタイルを入れるか、又は操作者は手動で装置内のテキスタイルを搬送又は位置決めしなければならないから、アイロンがけ又はプレスは強い労働力を必要とする。さらに、テキスタイル表面からしわを取り除くのに使われる装置によって、大量のエネルギーも消費される。生産速度は、個別の操作要件のために、典型的には標準的な処理法のほぼ半分であるから、資本を必要とする最先端の装置が用いられるとしても、この処理は全洗濯プロセスの隘路を構成するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、布帛弛緩剤を塗布する方法は、実質的にしわのないテキスタイル表面を提供する。本方法は、テキスタイル表面を湿らせる工程、湿らせたテキスタイル表面上へ布帛弛緩剤を塗布する工程、及び湿らせたテキスタイル表面を蒸気によって乾燥する工程を含む。布帛弛緩剤は、少なくとも1つの正電荷を持つ官能基を有する疎水性ポリジメチルシロキサンポリマーを含む。
【0008】
別の実施形態では、テキスタイルを洗濯する方法は、実質的にしわのないテキスタイルを生産する。本方法は、正電荷を持つ官能基を有する疎水性、機能性ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイルに塗布して、蒸気乾燥によってテキスタイル表面を乾燥する工程を含む。テキスタイルは、AATCC法第124−1973号に従って試験されるとき、乾燥後に実質的にしわがないことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
テキスタイルを洗濯する、アイロンがけの不要な/プレスの不要な、実質的にしわのない方法は、布帛弛緩剤がテキスタイル表面に少なくとも1回塗布される多段階の洗浄プロセスと、それに次ぐ蒸気トンネルを利用する乾燥プロセスを必要とする。本方法は、実質的にしわのないテキスタイル表面を得ることが好ましい様々な状況のいずれかで利用され得る。本方法は、テキスタイル表面をアイロンがけ又はプレスすることなく、実質的にしわのないテキスタイル表面を得るのに特に有用である。さらに、本方法は、有効であるために操作者による連続的監視又は相当な時間を要しない。テキスタイル表面上にしわが最小限に存在するように、布帛弛緩剤によって弛緩され、次に蒸気乾燥され得るテキスタイルの例としては、限定されるものではないが:衣類及び薄い物品が挙げられる。
【0010】
洗浄工程中、テキスタイルは、最初に水などの水性キャリヤー溶液によって湿らされる。水性キャリヤー溶液は水を含むが、水性キャリヤー溶液は、限定されるものではないが:洗剤、アルカリ、増強溶媒、塩素又は過酸素系漂白剤、布帛柔軟剤、殺菌剤、消毒剤、香料、脱臭剤、防虫剤、抗ピリング剤、かび除去剤、抗アレルギー剤、汚れ保護/汚れ落し剤、紫外線保護剤、撥水剤、保湿剤、繊維保護剤、蛍光漂白剤、帯電防止剤、染料移動阻害/色保護剤、糊付け剤、防しわ剤、又はテキスタイルの表面特性に影響する他の化学製品などの、他の化学製品を含んでもよい。水性キャリヤー溶液は、限定されるものではないが:ソーキング、浸漬、スプレーなどの、当技術分野で知られているような任意の手段によって塗布されてよい。布帛弛緩剤は、洗浄又はすすぎ工程のいずれかでテキスタイルに塗布されてもよい。
【0011】
水性キャリヤー溶液は、それが静電防止剤を含むときに、処理を受けていないテキスタイルと比べて少なくとも約50%の静電減少率を生じさせることができる。静電減少率は70%より大きいことがあり、それは80%より大きいこともある。水性キャリヤー溶液は、洗濯乾燥業で通常使われるものなどの帯電防止剤を含み、耐電防止性を与えることができる。帯電防止剤の例としては、限定されるものではないが、四級基を含む薬剤が挙げられる。
【0012】
水性キャリヤー溶液は防しわ剤を含み、防しわ性を与えることができる。最適な防しわ剤の例としては、限定されるものではないが:シロキサン又はシリコーン含有化合物及び四級アンモニウム化合物が挙げられる。防しわ剤の特に最適な例としては、限定されるものではないが:ポリジメチルシロキサンジ四級アンモニウム、シリコーンコポリオール脂肪族四級アンモニウム、及びポリオキシアルキレンを有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。入手できる防しわ剤の例としては、限定されるものではないが:デグサ(Degussa)社/ゴールドシュミット・ケミカル(Goldschmidt Chemical)社(バージニア州ホープウェル)から入手可能なレボクワート(Rewoquat)SQ24;ランバート・テクノロジーズ(Lambert Technologies)社から入手可能なルブ(Lube)SCI−Q;及びチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社(ノースカロライナ州グリーンズボロ)から入手可能なチノテックス(Tinotex)CMAが挙げられる。
【0013】
水性キャリヤー溶液は脱臭剤を含むことができる。一般に、脱臭剤は、臭気を出す特定の分子を捕捉する又は取り囲むことにより機能すると考えられている。適切な脱臭剤の例としては、限定されるものではないが:シクロデキストリン及びリシノール酸亜鉛が挙げられる。
【0014】
水性キャリヤー溶液は、テキスタイルの繊維を被覆して繊維の、分解及び/又は劣化を減らすか、又は防ぐ繊維保護剤を含むことができる。繊維保護剤の例としては、限定されるものではないが、セルロース性ポリマーが挙げられる。
【0015】
水性キャリヤー溶液は、テキスタイルの繊維を被覆して、染料がテキスタイルから水中に抜け出る傾向を抑えるための色保護剤を含むことができる。適切な色保護剤の例としては、限定されるものではないが:四級アンモニウム化合物及び界面活性剤が挙げられる。特に適切な色保護剤の例としては、限定されるものではないが:ジ−(非牛脂(nortallow)カルボキシエチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチル硫酸塩及びカチオン性ポリマーが挙げられる。入手できる界面活性色保護剤の例としては、限定されるものではないが:デグサ(Degussa)社/ゴールドシュミット・ケミカル(Goldschmidt Chemical)社(バージニア州ホープウェル)から入手可能なバリソフト(Varisoft)WE21CP及びバリソフト(Varisoft)CCS−1;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社(ノースカロライナ州グリーンズボロ)製チノフィックス(Tinofix)CL;クラリアント(Clariant)社(ノースカロライナ州シャーロット)から入手可能なカラーケア添加剤(Color Care Additive)DFC9、チオタン(Thiotan)TR、ニロフィキサン(Nylofixan)P−リキッド、ポリマーVRN、カルタレチン(Cartaretin)F−4、及びカルタレチン(Cartaretin)F−23;アルコア(Alcoa)社(ペンシルバニア州ピッツバーグ)から入手可能なEXP3973ポリマー;並びにクローダ(Croda)社(ニュージャージー州エジソン)から入手可能なコルチド(Coltide)が挙げられる。
【0016】
水性キャリヤー溶液は、テキスタイルの繊維を被覆して汚れが繊維に結合する傾向を抑えるために提供され得る汚れ落し剤を含むことができる。適切な入手できる汚れ落し剤の例としては、限定されるものではないが:ローディア(Rhodia)社(ニュージャージー州クランベリー)から入手可能なレペル−オー−テックス(Repel−O−Tex)SRP6及びレペル−オー−テックス(Repel−O−Tex)PF594;クラリアント(Clariant)社(ノースカロライナ州シャーロット)から入手可能なテキサケア(TexaCare)100及びテキサケア(TexaCare)240;並びにBASF社(ニュージャージー州フローラムパーク)から入手可能なソカラン(Sokalan)HP22などのポリマーが挙げられる。
【0017】
水性キャリヤー溶液は、蛍光化合物をテキスタイルに与える蛍光漂白剤を含むことができる。一般に、蛍光化合物には、より明るい色を布帛に与えると考えることができる青みがかった色合いを与える傾向がある。適切な蛍光漂白剤の例としては、限定されるものではないが:スチルベン誘導体、ビフェニル誘導体、及びクマリン誘導体が挙げられる。特に適切な蛍光漂白剤の例としては、限定されるものではないが:ジスチリルビフェニルジスルホン酸ナトリウム塩、塩化シアヌル/ジアミノスチルベンジスルホン酸ナトリウム塩、及びジエチルアミノクマリンが挙げられる。適切な入手できる蛍光漂白剤の例としては、限定されるものではないが:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社(ノースカロライナ州グリーンズボロ)から入手可能なチノパール(Tinopal)5BM−GX、チノパール(Tinopal)CBS−CL、チノパール(Tinopal)CBS−X、及びチノパール(Tinopal)AMS−GXが挙げられる。
【0018】
水性キャリヤー溶液は、UV保護剤を含み、改良されたUV保護を有する布帛を提供することができる。衣類の場合には、UV保護剤を衣類に塗布することにより、衣類の下にある皮膚上への紫外線照射の悪影響を減らすことが可能であると考えられる。衣類が軽量になるほど、UV光は衣類を貫通する傾向が強くなり、その衣類の下の皮膚は日焼けするであろう。適切な入手できるUV保護剤の例としては、限定されるものではないが、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社(ノースカロライナ州グリーンズボロ)から入手可能なチノソーブ(Tinosorb)FDが挙げられる。
【0019】
水性キャリヤー溶液は、繊維のうち繊維から出たり離れたりした部分に機能する抗ピリング剤を含むことができる。抗ピリング剤は、セルラーゼ酵素などの酵素として入手できる。入手できる抗ピリング剤の例としては、限定されるものではないが:ジェネンコア(Genencor)社から入手可能なプラデックス(Puradex);並びにノボザイム(Novozyme)社(ノースカロライナ州フランクリントン)から入手可能なエンドラーゼ(Endolase)及びケアザイム(Carezyme)が挙げられる。
【0020】
水性キャリヤー溶液は、テキスタイルに塗布されて撥水性を強化できる撥水剤を含むことができる。適切な撥水剤の例としては、限定されるものではないが:ペルフルオロアクリレートコポリマー、炭化水素ワックス、及びポリシロキサンが挙げられる。
【0021】
水性キャリヤー溶液は、殺菌及び/又は消毒剤を含むことができる。適切な消毒及び/又は殺菌剤の例としては、限定されるものではないが:塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウム、塩化オクチルデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、及び塩化ジデシルジメチルアンモニウムなどの、四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0022】
水性キャリヤー溶液は、蚊とり剤などの防虫剤を含むことができる。入手できる防虫剤の例はDEETである。さらに、水性キャリヤー溶液は、かびを分解する防かび剤や特定のテキスタイル上に存在するアレルギーの可能性を減らし、及び/若しくは防細菌性を提供する防アレルギー剤を含むことができる。
【0023】
一般に、一連のすすぎ工程が、限定されるものではないが:酸洗い剤、布帛柔軟剤、殺菌剤、消毒剤、香料、脱臭剤、防虫剤、撥水剤、日焼け止め、保湿剤、帯電防止剤、色保護剤、糊付け剤、及び布帛弛緩剤などの他の化学製品を布帛に塗布してよい洗浄工程の次に来る。これらの化学製品は、別の次に来るすすぎ槽内、部分的に併用される浴槽内、又は単一浴槽内のいずれかで、塗布されてよい。化学製品は、個別の製品又は酸洗い剤及び布帛柔軟剤の両方を含む製品若しくは酸洗い剤、布帛柔軟剤、及び布帛弛緩剤を含む製品などの併用製品として分配されてもよい。化学製品は、マイクロプロセッサ制御ポンプ装置又は他の分配法を用いることにより、同時に又は連続して同じ浴槽中に分配され得る。
【0024】
例えば、洗浄操作の多数のすすぎプロセス中のある時点では、一般に最終コンディショニング浴槽(水のみを使用した幾つかの他のすすぎ工程の後)では、テキスタイルのpHが適切な処理pHにおおよそ適合するように、酸洗い剤をテキスタイルに加えてよい。酸洗い剤は、衣類が人間の皮膚に接触するときテキスタイルが皮膚を刺激しないように、残りのアルカリを中和して、テキスタイルのpHを下げるのに使われる弱酸である。適切な酸洗い剤の例としては、限定されるものではないが:リン酸、ギ酸、酢酸、ヒドロフルオロケイ酸、飽和脂肪酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。飽和脂肪酸の例としては、限定されるものではないが:パルミチン酸、ステアリン酸、及びアラキジン酸(C20)などの、10個以上の炭素原子を有するものが挙げられる。ジカルボン酸の例としては、限定されるものではないが:シュウ酸、酒石酸、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、及びスルファミン酸が挙げられる。トリカルボン酸の例としては、限定されるものではないが:クエン酸及びトリカルバリル酸が挙げられる。一実施形態では、約12mLの酸洗い剤が約22ポンドのテキスタイルに加えられる。一般に、そのような酸洗い剤の用量は、有効成分(すなわち酸)の濃度及び12より高いpH値を発生させ得る事前の洗浄浴に加えられたアルカリ性化学製品(苛性ソーダ、ソーダ灰、ケイ酸塩など)の量によって決まる。適切な工業用に入手できる酸洗い剤の例としては、限定されるものではないが:ターボライザー(TurboLizer)、インジェクションサワー(Injection Sour)、ターボプレックス(TurboPlex)、アドバケア(AdvaCare)120サワー(Sour)、アドバケア(AdvaCare)120サニタイジングサワー(SanitizingSour)、カルボブライト(CarboBrite)、及びイーコノサワー(Econo Sour)が挙げられ、全てイーコラブ・インコーポレイティド(Ecolab Incorporated)社(ミネソタ州セントポール)から入手可能である。
【0025】
別の段階では、酸洗い剤の追加によって又はその後に、布帛弛緩剤をテキスタイル表面に塗布してよい。好ましくは、布帛弛緩剤は、洗浄工程の最終すすぎサイクル中に加えられ、布帛弛緩剤が次のすすぎ工程中で洗浄されることもなく、すすがれることもないことを確実にする。さらに、洗浄工程中に1回又は複数回のいずれかで布帛弛緩剤をテキスタイルに加えてよい。典型的には、布帛弛緩剤は水系キャリヤー又は溶剤系キャリヤーのいずれかで塗布される。一実施形態では、約15mLの布帛弛緩剤が約22ポンドのテキスタイルに加えられる。適切な布帛弛緩剤の例は、機能性ポリジメチルシロキサンポリマーである。一般に、このポリジメチルシロキサンポリマーは、他の無電荷ポリジメチルシロキサンポリマーと比べて、このポリジメチルシロキサンポリマーの抗しわ性能を強化するために、ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイルに定着させる1個以上の正電荷を持つ官能基(例えば、四級アンモニウム)を特徴とする。正電荷を持つ官能基は、ポリジメチルシロキサンポリマーの骨格の一部分又はポリマーの側鎖の一部分でよい。好ましくは、正電荷を持つ官能基は、正電荷を持つ基がより近づきやすいように、ポリジメチルシロキサンポリマーの末端に結合される。布帛弛緩剤の疎水性もテキスタイルの平滑性に影響することも分かっている。布帛弛緩剤の疎水性は、それが水溶液からテキスタイル表面上への化学物質の堆積を可能にするので、重要である。化学物質が疎水性になるほど、化学物質が水溶液から沈殿するか、又は追い出されることが容易になる。したがって、大部分にジメチルシロキサン骨格を有する分子の存在は、メチル基の疎水性のために布帛弛緩剤に好ましい。布帛弛緩剤の特に適切な例としては、限定されるものではないが:多官能性ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンジ四級アンモニウム、及びポリ四級ポリジメチルシロキサンコポリオール誘導体が挙げられる。適切な工業用に入手できる布帛弛緩剤の例としては、限定されるものではないが:デグサ(Degussa)社/ゴールドシュミット・ケミカル(Goldschmidt Chemical)社(バージニア州ホープウェル)から入手可能なテゴプレン(Tegopren)6922(別称レボクワート(Rewoquat)SQ1);チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社(ノースカロライナ州グリーンズボロ)から入手可能なチノテックス(Tinotex)CMA;及びGEシリコーンズ(GE Silicones)社(コネチカット州ウィルトン)から入手可能なホルマシル(Formasil)888が挙げられる。
【0026】
正電荷を持つ官能基を有するポリジメチルシロキサンポリマーは、少なくとも1つのアルコキシ基を含んでもよい。アルコキシ基の例としては、限定されるものではないが:エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びより長鎖のアルコキシ基が挙げられる。
【0027】
布帛弛緩剤は、好ましくは洗浄プロセスの最終すすぎサイクル中に加えられるので、布帛弛緩剤は、限定されるものではないが:界面活性剤、漂白剤、及びビルダーなどの化学製品を実質的に含まないであろう。界面活性剤、漂白剤、及びビルダーは、テキスタイル表面上に長期間残されるときのテキスタイル表面への悪影響のために、使用される前にテキスタイル表面から洗い流される必要がある。例えば、テキスタイル表面に残留した界面活性剤は、テキスタイル表面に滑りすぎる感触を起こさせ、残留した漂白剤は、テキスタイル表面を傷めることがある。テキスタイル表面に残留したビルダーは、テキスタイル表面のpHを増加させることがある。前述の通り、高いpHを有するテキスタイルは、皮膚刺激物になることがある。したがって、布帛弛緩剤は、それらの潜在的に有害な影響を避けるために、これらの化学製品を実質的に含まない。
【0028】
布帛弛緩剤とともに、又は別々の工程のいずれかで、布帛柔軟剤をテキスタイルに加えてもよい。一実施形態では、約15mLの布帛柔軟剤が、約22ポンドのテキスタイルに加えられる。しかし、布帛柔軟剤の用量は、有効成分の種類及び濃度によって変化してよい。適切な工業用に入手できる布帛柔軟剤の例としては、限定されるものではないが、イーコラブ・インコーポレイティド(Ecolab Incorporated)社(ミネソタ州セントポール)から入手可能なターボフレッシュ(TurboFresh)が挙げられる。布帛柔軟剤及び布帛弛緩剤をテキスタイルに加える工程は、最終洗浄操作において通常行なわれ、約4分〜約7分続く。その後に、全ての水が洗濯機から抜き出され、テキスタイルは、さらなる仕上げ/乾燥手段のために洗濯機から取り出される。
【0029】
テキスタイルを乾燥する前に、テキスタイルは、所望により、乾燥機内でコンディショニングされ得る。例えば、テキスタイルを乾燥機に短期間入れて、洗浄及びすすぎ工程中にテキスタイルに吸収された幾らかの水を除去してよい。テキスタイルは乾燥機内でコンディショニングされるとして、ここで検討されているが、テキスタイルは、本発明の目的とする範囲から逸脱することなく、当技術分野で知られているような任意の方法でコンディショニングされ得る。
【0030】
一実施形態では、洗浄工程の最終工程は、蒸気トンネルを通じてテキスタイルを送ることによるテキスタイルの蒸気乾燥である。テキスタイルが蒸気トンネル内で費やす時間の長さは、限定されるものではないが:蒸気トンネルの長さ、蒸気トンネルの機械的条件、及び利用できる蒸気などの、様々な要因によって決まる。典型的な実施形態では、テキスタイルは、蒸気トンネル内に約4分〜約8分間曝される。テキスタイルが蒸気トンネルを出るとき、テキスタイルの表面は、米国繊維化学者・色彩技術者協会(AATCC)試験法第124−1973号を用いて決定される通り、実質的にしわがないであろう。したがって、テキスタイルは、一般的に平滑な外観を達成するためにアイロンがけ又はプレスされる必要がない。適切な入手できる蒸気トンネルの例としては、限定されるものではないが:コルマック・インダストリーズ(Colmac Industries)社(ワシントン州コルヴィル)から入手可能なスキニーマック(SkinnyMac)、ユーマック(UMac)、ミッドマック(MidMac)、及びCFS2100が挙げられる。テキスタイルは、蒸気トンネルを通過させることにより乾燥させられているように記述されているが、テキスタイルは、限定されるものではないが:熱乾燥及び温風乾燥などの、当技術分野で知られているような他の方法により乾燥され得る。テキスタイルを乾燥するのに適した温度は、約60華氏温度(F)〜約280Fである。テキスタイルを乾燥するのに特に適した温度は、約260F〜約280Fである。
【実施例】
【0031】
本発明は次の実施例でより詳細に説明されるが、それらは、本発明の範囲内の多数の改良及び変形が当業者にとって明白であるから、説明のみを目的とする。特に明示しない限り、次の実施例に示される全ての部、百分率、及び比は重量基準であり、実施例に使われる全ての試薬は、後述の化学物質製造業者から得られたか、若しくは入手可能であり、又は従来法により合成され得る。
【0032】
次の試験法を使用して、実施例における平滑性外観結果を特性化した:
【0033】
AATCC試験法124−1973
約22ポンドの100%綿シャツ及びパンツを洗剤で洗った。約12ミリリットル(mL)の酸洗い剤、ターボライザー(TurboLizer)を第一の薬品供給ホッパーに加えた。酸洗い剤を加えた後、次に約15mLの布帛弛緩剤を第二の薬品供給ホッパーに加えた。次に約15mLの布帛柔軟剤、ターボフレッシュ(TurboFresh)を第三の供給ホッパーに加えた。3つの化学製品の全てを含むこの浴槽にテキスタイルを約4分間保持した。その後に、シャツ及びパンツを洗濯機から取り出し、重量として最高である2つの1ガロン採水器を備えたプラスチックボックスに入れた。約30分後、シャツ及びパンツをプラスチックボックスを取り出し、ワイヤーハンガーに吊るし、空気乾燥するか、若しくは蒸気トンネルを通じて案内した。次に、参考基準と比較してテキスタイルの平滑性の外観を評価付けることによる標準的な照明及び表示範囲を用いて、シャツ及びパンツに検査を受けさせた。4つの異なる平滑性評価を用いた:許容できない、非常に劣る、許容できる、及び優良。
【0034】
使用された材料
ターボチャージ(TurboCharge)II及びターボフレックス(TurboFlex)D:イーコラブ・インコーポレイティド(Ecolab Incorporated)社(ミネソタ州セントポール)から入手可能なテキスタイル洗剤系。
ターボライザー(TurboLizer)(登録商標):イーコラブ・インコーポレイティド(Ecolab Incorporated)社(ミネソタ州セントポール)から入手可能な酸洗い剤。
テゴプレン(Tegopren)6922(登録商標):デグサ(Degussa)社/ゴールドシュミット・ケミカル(Goldschmidt Chemical)社(バージニア州ホープウェル)から入手可能な布帛弛緩剤。
チントテックス(Tintotex)CMA(登録商標):チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社(ノースカロライナ州グリーンズボロ)から入手可能な布帛弛緩剤。
ホルマシル(Formasil)888:GEシリコーンズ(GE Silicones)社(コネチカット州ウィルトン)から入手可能な布帛弛緩剤。
FC201:ワッカー・シリコーンズ(Wacker Silicones)社(ミシガン州エードリアン)から入手可能な布帛弛緩剤。
CSI−Q2:ランベント・テクノロジーズ(Lambent Technologies)社(イリノイ州ガーニー)から入手可能な布帛弛緩剤。
ロードルシル・ハイドロソフト(Rhodorsil Hydrosoft)(登録商標):ローディア(Rhodia)社(ニュージャージー州クランベリー)から入手可能な布帛弛緩剤。
ターボフレッシュ(TurboFresh)(登録商標):イーコラブ・インコーポレイティド(Ecolab Incorporated)社(ミネソタ州セントポール)から入手可能な布帛柔軟剤。
【0035】
実施例1、2、及び3並びに比較例A、B、及びC
実施例1、2、及び3に使用された布帛弛緩剤は、洗浄工程中の布帛弛緩剤として少なくとも1つの正電荷を持つ官能基を有する機能性ポリジメチルシロキサンポリマーを含んでいた。一方で、比較例A、B、及びCの布帛弛緩剤は、様々な他のポリマーを用いた。
【0036】
約22ポンドのテキスタイルを約12ミリリットル(mL)の酸洗い剤、15mLの布帛弛緩剤、及び15mLの布帛柔軟剤を有する洗浴に入れた。テキスタイルをワイヤーハンガーに吊るして、蒸気トンネルを通過させた。蒸気トンネル中では、テキスタイルを約260F〜約280Fの温度に加熱した。
【0037】
表1は、実施例1、2、及び3並びに比較例A、B、及びCの組成物について、洗浄工程中で使われた布帛弛緩剤と、上記で検討した方法に従って分析された通りの、洗浄及び乾燥された後のテキスタイルの平滑性の外観を提供する。
【0038】
【表1】

【0039】
テキスタイルを洗浄して蒸気トンネルを通過させた後に、実施例1、2、及び3並びに比較例A、B、及びCを平滑性の外観について試験し、それを表1で提供されたデータによって示す。特に、実施例1及び2のテキスタイルは優良な平滑性評価を有し、実施例3のテキスタイルは許容できる平滑性評価を有した。一方で、比較例A、比較例B、及び比較例Cのテキスタイルは、許容できない平滑性の外観の評価を示した。
【0040】
前述の通り、平滑な表面を達成するために、ポリジメチルシロキサンポリマーがテキスタイル表面に接着しなければならない。これは、ポリマーを架橋するためにテキスタイルを高温に曝すことにより達成してよい。また、テキスタイルの表面は一般に負電荷を持つので、正電荷を持つ官能基は、ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイルの表面に定着させるのに役立つことができる。正電荷を持つ官能基、又はカチオン性基は、負電荷を持つテキスタイルに結合されて、ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイル表面に定着させることを促進するであろう。
【0041】
表1で分かる通り、実施例1及び2のテキスタイルは、優良な平滑性の外観評価を有する。これは、布帛弛緩剤に存在しているポリジメチルシロキサンポリマー中の正電荷を持つ官能基の存在によることが分かる。特に、実施例1の布帛弛緩剤は50%活性ポリジメチルシロキサンジ四級アンモニウムを含み、実施例2の布帛弛緩剤は多官能性(カチオン性/非イオン性)ポリジメチルシロキサンを含んでいた。さらに、実施例1の布帛弛緩剤の構造は、ジメチルシロキサンポリマー分子の各端にカチオン性基を含み(米国特許第4,891,166号)、それらを容易に近づきやすくしていた。実施例1の布帛弛緩剤の構造もジメチルシロキシ基を含み、それらはメチル基のために非常に疎水性である。一般に、大部分でジメチルシロキサン骨格を有する分子は、より疎水性である。化学物質が疎水性になるほど、化学物質を水溶液から沈殿させることが容易になるので、布帛弛緩剤の疎水性も重要である。したがって、作用機序に束縛されることなく、末端カチオン性アンカーの存在及び布帛弛緩剤の疎水性の両方が、ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイル表面に接着して、テキスタイル表面の平滑性を増加させるのに重要であると分かる。
【0042】
実施例3の布帛弛緩剤を用いて洗浄されたテキスタイルは、実施例1及び2より許容性は僅かに低いが、許容できる平滑性の外観評価を有した。実施例3の布帛弛緩剤も少なくとも1つの正電荷を持つ官能基を有するポリジメチルシロキサンポリマーを含んでいたが、実施例3の布帛弛緩剤は80%活性ポリ四級ポリジメチルシロキサンコポリオールを含んでいた。さらに、ポリマーのコポリオール部分のために、実施例3の布帛弛緩剤は、水との溶解度及び混和性に関して測定された通り、実施例1及び2の布帛弛緩剤よりも僅かに親水性であったことが分かる。したがって、実施例3の布帛弛緩剤で洗浄されたテキスタイルは、布帛弛緩剤の正電荷を持つ官能基及び親水性コポリオール部分の場所のために、実施例1及び2の布帛弛緩剤で洗浄されたテキスタイルほど平滑ではなかったと分かる。
【0043】
比較例A、B、及びCの布帛弛緩剤で洗浄されたテキスタイルを観察すると、許容できない平滑性の外観であった。テキスタイルの平滑性の外観は、布帛弛緩剤に存在しているポリジメチルシロキサンポリマー中の少なくとも1つの正電荷を持つ官能基の存在が減ること、又は欠如すること、並びに布帛弛緩剤の親水性の影響を受けたと分かる。十分な数の正電荷を持つ官能基がないので、ポリジメチルシロキサンポリマーが、有効といえるほど強くテキスタイル表面につながることができなかったと分かる。さらに、布帛弛緩剤が親水性になるほど、化学物質を水溶液から沈殿させることが困難になる。したがって、平滑な外観を有するよりもむしろ、比較例A、B、及びCのテキスタイルは、堅い及びしわのある外観を有した。
【0044】
比較例A及びBの布帛弛緩剤にはポリジメチルシロキサンポリマーが含まれていたが、そのポリマーには、正電荷を持つ官能基がなかった。特に、比較例Aの布帛弛緩剤は、60%活性非イオン性ポリシロキサンを含んでいた。非イオン性ポリシロキサンは、架橋のために高温が必要なので、効果がなかったことも分かる。比較例Bの布帛弛緩剤は、100%アミノポリジメチルシロキサン、非イオン性ポリマーも含むので、テキスタイル上では余り効果がなかった。
【0045】
比較例Cの布帛弛緩剤は、幾つかの正電荷を持つ官能基を含んでいた。具体的には、比較例Cの布帛弛緩剤は、カチオン性であるシリコーンカルボキシレート及びアミノ−ケイ酸塩官能成分の混合物を40%含んでいた。しかし、テキスタイルの表面は、洗浄及び乾燥後も未だ許容できないと観察された。これは、布帛弛緩剤中のカルボキシレート基(ケイ素カルボキシレート)の存在が原因であると分かる。カルボキシレート基は、中性pHで負電荷を持ち(アニオン性であり)、非常に親水性でもある。カルボキシレート基のアニオン電荷が正電荷を持つ官能基のカチオン電荷を消すので、カルボキシレート基が、ポリジメチルシロキサンポリマーのテキスタイル表面への結合を妨げることが分かる。したがって、比較例Cの布帛弛緩剤が、少なくとも1つの正電荷を持つ官能基を含んでいたとしても、その効果はカルボキシレート基によって無効にされた。さらに、上述の通り、疎水性は、比較例Cの布帛弛緩剤では失われているが、ポリジメチルシロキサンポリマーのテキスタイル表面への結合を促進することが分かっている。したがって、カルボキシレート基のアニオン電荷と併用したことで、カルボキシレート基の親水性が、比較例Cの布帛弛緩剤の機能を低下させる原因となった。
【0046】
実施例1、2、及び3並びに比較例D、E、及びF
実施例1、2、及び3並びに比較例D、E、及びFに使われた布帛弛緩剤の全てに、少なくとも1つの正電荷を持つ官能基を有するポリジメチルシロキサンポリマーが含まれていた。特に、実施例1及び比較例Dは同じ布帛弛緩剤(テゴプレン(Tegopren)6922)を試験し、実施例2及び比較例Eは同じ布帛弛緩剤(チノテックス(Tinotex)CMA)を試験し、そして実施例3及び比較例Fは同じ布帛弛緩剤(ホルマシル(Formasil)888)を試験した。約22ポンドのテキスタイルを約12ミリリットル(mL)の酸洗い剤、15mLの布帛弛緩剤、及び15mLの布帛柔軟剤を有する洗浴に入れて洗浄した。
【0047】
洗浄後、実施例1、2、及び3に蒸気トンネルを通過させ、テキスタイルを約260F〜約280Fの温度に加熱した。比較例D、E、及びFを所定の期間に亘って単に空気乾燥し、蒸気トンネルを通過させなかった。
【0048】
表2は、実施例1、2、及び3並びに比較例D、E、及びFの組成物について、洗浄工程中に使われた布帛弛緩剤、乾燥の方法、並びに上記で検討された方法に従って分析された通りの、洗浄及び乾燥された後のテキスタイルの平滑性の外観を提供する。
【0049】
【表2】

【0050】
実施例1、2、及び3の布帛弛緩剤が優良な及び許容できる平滑性評価を与えることが決まった後に、テキスタイルを乾燥する方法を試験及び観察した。具体的には、実施例1、2、及び3を蒸気トンネルを通じて送る一方で、比較例D、E、及びFを単に空気乾燥した。表2で分かる通り、蒸気トンネルを通じて送られたテキスタイルは、空気乾燥だけしか行なわれなかったテキスタイルより高い平滑性評価を示した。蒸気トンネルを通過させた後、実施例1及び2を観察すると優良な平滑性評価を示し、実施例3を観察すると許容できる平滑性評価を示した。
【0051】
一方で、比較例D、E、及びFを単に空気乾燥すると、非常に劣る平滑性評価を受けた。これは、平滑な表面を達成するためには、ポリジメチルシロキサンポリマーがテキスタイル表面に接着しなければならないからである。機能性ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイル表面に定着させる一方法は、高温をテキスタイル表面にかけてポリマーを架橋することである。テキスタイル表面をアイロンがけ又はプレスすることなどの方法により、高温にすることができる。しかし、アイロンがけ及びプレス工程は、時間を消費し、労働力を必要とする。テキスタイルに蒸気トンネルを通過させることにより、過度の時間又は努力を費やすことなく、適切な高温にしてよい。
【0052】
湿ったテキスタイルは、機能性ポリジメチルシロキサンポリマー布帛弛緩剤を塗布され、次に蒸気トンネル内で乾燥され、改良された平滑性の外観を示す。直近で洗浄及び乾燥されたテキスタイルの平滑性の外観の程度に影響する主な要因の1つは、ポリジメチルシロキサンポリマー中の1個以上の正電荷を持つ官能基の存在である。布帛弛緩剤の疎水性もテキスタイルの平滑性に影響することも分かっている。少なくとも1つの正電荷を持つ官能基を有するポリジメチルシロキサンポリマーの存在は、ポリジメチルシロキサンポリマーのテキスタイルへの結合を促進することにより、洗浄及び乾燥されたテキスタイルの平滑性の外観を高める。布帛弛緩剤の高い疎水性も、化学物質を水溶液からテキスタイル表面上へ効率的に堆積させることにより、テキスタイルの平滑性の外観を向上させる。洗浄及び乾燥後にテキスタイルをアイロンがけ又はプレスする必要をなくすことにより、テキスタイルの許容できる平滑性の外観のための処理時間及び資本コストを減らせる。
【0053】
本発明は好ましい実施形態に関して説明されたが、当業者は、本発明の理念及び範囲から逸脱することなく、形式及び詳細について変更が可能であることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的にしわのないテキスタイル表面を提供するために、布帛弛緩剤をテキスタイル表面に塗布する方法であって、該方法が:
(a)テキスタイル表面を湿らせる工程;
(b)湿らせたテキスタイル表面上へ少なくとも1つの正電荷を持つ官能基を有する疎水性ポリジメチルシロキサンポリマーを含む布帛弛緩剤を塗布する工程;及び
(c)湿らせたテキスタイル表面を蒸気によって乾燥する工程
を含む、方法。
【請求項2】
布帛弛緩剤を塗布する工程が、水系キャリヤー又は溶剤系キャリヤーの形態の布帛弛緩剤を塗布する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
布帛弛緩剤が、少なくとも1つのアルコキシ基をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
正電荷を持つ官能基の少なくとも1つがアンモニウム基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
正電荷を持つ官能基の少なくとも1つが四級アンモニウム基である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリジメチルシロキサンポリマーが、ポリジメチルシロキサンポリマーの末端に、少なくとも1つの正電荷を持つ官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの正電荷を持つ官能基が、ポリジメチルシロキサンポリマーの骨格の一部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの正電荷を持つ官能基が、ポリジメチルシロキサンポリマーの側鎖の一部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
正電荷を持つ官能基を有するポリジメチルシロキサンポリマーが、多官能性ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンジ四級アンモニウム、及びポリ四級ポリジメチルシロキサンコポリオールからなる群の少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
さらに:
(d)酸洗い剤をテキスタイル表面に加えて、テキスタイル表面のpHを下げる工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
酸洗い剤が、ギ酸、酢酸、ヒドロフルオロケイ酸、クエン酸、及びリン酸からなる群の少なくとも1つから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さらに:
(e)布帛柔軟剤をテキスタイル表面に加える工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
さらに:
(f)湿らせたテキスタイル表面を蒸気によって乾燥する工程の前に、テキスタイル表面をコンディショニングする工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
テキスタイル表面を乾燥する工程が、約60華氏温度〜約280華氏温度でテキスタイル表面を乾燥する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
テキスタイル表面を乾燥する工程が、約260華氏温度〜約280華氏温度でテキスタイル表面を乾燥する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
布帛弛緩剤をテキスタイル表面に塗布する工程が、テキスタイル表面を布帛弛緩剤に少なくとも約4分間曝す工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
テキスタイル表面が、米国繊維化学者・色彩技術者協会(AATCC)試験法第124−1973号に従って試験されるとき、乾燥後に実質的にしわのないことを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
洗浄プロセスの仕上げサイクル中に行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
テキスタイルを洗濯して、実質的にしわのないテキスタイルを提供する方法であって、
(a)正電荷を持つ官能基を有する疎水性、機能性ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイルに塗布する工程;及び
(b)蒸気乾燥によりテキスタイルを乾燥する工程を含み、その際、
(c)テキスタイルが、AATCC法第124−1973号に従って試験されるとき、乾燥後に実質的にしわのないことを示す、
方法。
【請求項20】
正電荷を持つ官能基を有する疎水性、機能性ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイルに塗布する工程が、水系キャリヤー又は溶剤系キャリヤーの形態の正電荷を持つ官能基を有する疎水性、機能性ポリジメチルシロキサンポリマーを塗布する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
機能性ポリジメチルシロキサンポリマーが、ポリジメチルシロキサンポリマーの末端に、少なくとも1つの正電荷を持つ官能基を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
正電荷を持つ官能基がアンモニウムを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
正電荷を持つ官能基が四級アンモニウムを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
さらに:
(d)テキスタイルを湿らせる工程
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
さらに:
(e)酸洗い剤をテキスタイルに塗布する工程
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
酸洗い剤が、ギ酸、酢酸、ヒドロフルオロケイ酸、クエン酸、及びリン酸からなる群の少なくとも1つから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
さらに:
(f)布帛柔軟剤をテキスタイルに塗布する工程
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
テキスタイル表面を乾燥する工程が、約60華氏温度〜約280華氏温度で乾燥する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
さらに:
(g)蒸気乾燥によりテキスタイルを乾燥する工程の前に、乾燥機内のテキスタイルをコンディショニングする工程
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイル表面に塗布する工程が、テキスタイルを布帛弛緩剤に少なくとも約4分間曝す工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイル表面に塗布する工程が、ポリジメチルシロキサンポリマーをテキスタイル上へスプレーする工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
洗濯機内で行なわれる、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
洗濯機の仕上げサイクル中に行なわれる、請求項32に記載の方法。

【公表番号】特表2010−522832(P2010−522832A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500392(P2010−500392)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050212
【国際公開番号】WO2008/117184
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】