説明

宣伝用車両

【課題】品質の安定はもとより、省コストに繋がり、短時間での加工が可能となる宣伝用車両を提供する。
【解決手段】駆動エンジン部及び駆動伝達部を覆った車体カバーを有し、かつ運転席を有する車両において、おのおの着脱自在としたあらかじめ宣伝デザインが施された片側面もしくは両側面の部材パネル6,6および天井部材パネル9と必要に応じて後部面部材パネルとによって、運転席を囲って遮蔽空間を形成するような構造の宣伝用車両であって、これらの部材パネルはユニット方式に分解できるパネルを組み合わせて、装着できる仕組みを有し、またさらにはパネルをVカット構造として、折りたたみ可能としたり、或いは分割したパネルを回転構造として、複数の図柄を表示できる構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、街中を走行することにより宣伝効果を発揮する、車体に宣伝表示手段を設けた宣伝用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の宣伝用車両では通常ボディに塗装を施したり、シールを貼り付けたり、宣伝用機材を装着したりしてきた。さらに一工夫した方法としては、車両ボディに即して広告宣伝が印刷された透明パネルを嵌合し、この内側から照明具により光を透光させる仕組みを施したものがある(たとえば、特許文献1参照)。また、タンク車においてはタンク部を覆うようにカバーを立設し、ここに宣伝を施したものがある(たとえば、特許文献2参照)。また、貨物車においては、荷台を壁面に変えて、広告表示シートを張設したものがある(たとえば、特許文献3参照)。また、幌つき自動車においては、幌部外側に広告を出し入れする透明樹脂シートによるポケットを設置し、広告シートを出し入れすることにより変更できるようにしたものもある(たとえば、特許文献4参照)。
【0003】
図8は従来の実施例の一実施例を示した斜視図である。車両ボディ20に即して、広告が印刷された透明パネル21を嵌合した宣伝用車両について説明する。これは車体ボディ20にアクリルなどの透明パネル21を嵌合させて、その内側に照明具を設けて、昼間はのみならず夜間においても広告効果の向上を図ったものである。
【特許文献1】特開2000−198382(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開2001−117520(第3頁、第1図)
【特許文献3】特開2003−233340(第3頁、第1図)
【特許文献4】特開2004−098784(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記、従来の実施例において、広告シートをそのまま出し入れする方法以外においては、いずれの方法においても、現場での施工が要求されていた。そのために特にシートの張替えなどをきちんと仕上げることにおいてはかなりの専門的な技術が要求されてきた。また、さらに作業のコスト面、時間的な面でかなりの制約が発生していた。本発明では、これらの課題を簡単容易に解決することを狙いとしている。製作専門の工場などの加工場において加工を集中して出来ることにより、品質の安定はもとより、省コストに繋がり、短時間での加工が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ユニット方式に分解できるパネルを組み合わせて、装着できる仕組みを有する車両とすることにより、現場にてパネルを所定位置にはめ込むだけで、簡単容易に宣伝物を車両に装着することができる。さらにはパネルをVカット構造として、折りたたみ可能としたり、分割したパネルを回転構造として、複数の図柄を表示できる構造とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の宣伝用車両は、現場において、広告物を交換装着することが容易に出来るため、専門の技術者は不要である。さらには取替え交換に要する時間もそれほどかからない。また専門の工場など一箇所で集中して加工し、その後現場に配送する仕組みとするため、品質の安定はもとより、作業効率も高くなる。また本発明の宣伝用車両は車体本体を構成するパネルを宣伝広告に供しているため、構造上車両としての一体感があり、人目を引くことが出来る。また。パネルは折りたたみ構造や分割構造を有するためコンパクトに梱包することが出来る。さらに、回転構造とした分割パネルタイプはパネルを車両に装着後、分割パネル各々を回転させることによって、複数の広告を切り替え表示することが出来る。
【発明を実施するために最良の形態】
【0007】
少なくとも駆動エンジン部及び駆動伝達部を覆った車体カバーを有し、かつ運転席を有する車両において、おのおの着脱自在としたあらかじめ宣伝デザインが施された片側面もしくは両側面の部材パネルおよび天井部材パネルと必要に応じて後部面部材パネルとによって、運転席を囲って遮蔽空間を形成するような構造とした宣伝用車両である。
【実施例】
【0008】
図1は本発明の実施例を示す斜視図である。駆動エンジンカバー部1、燃料タンク或いは蓄電池を内蔵する駆動伝達カバー部2を有した車両において、両側面において、前方位置及び後方位置の4角に、コの字状部材3を設置してある。
【0009】
また、両側面のほぼ中央位置に駆動伝達カバー部2より天井部材4位置までの間にかけて、T字状部材5を鉛直方向に各々両側面に設置している。
【0010】
図2はT字状部材の構成を示す斜視図である。このT字状部材5は図2に示すように、2つのL字状部材5aの組み合わせによっても可能である。
【0011】
図3は宣伝用部材パネルを装着した状態を示す宣伝用車両の斜視図である。両側面には側面前部パネル6を側面前部位置のコの字部材3と側面中央位置のT字条部材5の間に、側面後部パネル7を側面中央位置のT字条部材5と後部位置のコの字部材3との間に嵌め込んで装着してある。そして、透明部材8を前部位置のコの字部材3から後部位置のコの字部材3にかけて装着することにより、剛性が補強され、しっかりと固定される。本実施例においては天井部パネル9にも宣伝が施されている、この部材の両側部にコの字部材3aを嵌め込んで補強した後、車両後部位置の2角に固定されているコの字部材3にヒンジ10により装着され、ここを中心として前部より開閉自在とされている。
【0012】
図4は本発明の宣伝用車両の後部面図である。後部面パネル11も側面パネルと同様にコの字部材3に嵌め込んだ後、透明部材8を装着することにより、固定されている。天井部パネル9はヒンジ10により回動自在に装着されている。
【0013】
図5は宣伝用部材パネルの断面図を示したものである。たとえば、側面前部パネル6の断面を示したもの、このようにVカット加工12を施すことにより、そのラインに沿って折りたたむことが出来る。そのゆえに、コンパクトな大きさにすることが出来、搬送などを始め取り扱いが容易となる。
【0014】
図6及び図7はその他の宣伝用部材パネルの分割方法を示した斜視図である。分割パネルを回転方式にすることで表示を変えるものである。図6の場合、断面が矩形の平面状の分割パネル13に回転軸14が形成されている。回転軸14を中心にして、それぞれのパネルを180度回転させることで、表と裏におのおの宣伝デザインを施しておくことにより、表示を2種類変更することができる。
【0015】
図7の場合、断面三角形状の分割パネル13aに回転軸14aが形成されている。回転軸14aを中心にして、それぞれのパネルを120度回転していくことで、三角柱表面の三面におのおの異なる宣伝デザインを施しておくことにより、表示を3種類変更することができる。
【0016】
これらの図6と図7に示した分割パネル13、13aを本発明の宣伝用車両に装着するには、宣伝用部材パネルを嵌め込むコの字部材3とT字状部材5に回転軸14、14aを嵌め込む穴を回転軸位置にあわせて、あらかじめ開けておくことが必要となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例である宣伝用車両を示す斜視図
【図2】T字状部材の構成を示す斜視図
【図3】宣伝用部材パネルを装着した状態を示す宣伝用車両の斜視図
【図4】本発明の宣伝用車両の後部面図
【図5】宣伝用部材パネルの断面図
【図6】その他の宣伝用部材パネルの分割方法を示した斜視図
【図7】その他の宣伝用部材パネルの分割方法を示した斜視図
【図8】従来の実施例のうち一実施例を示した斜視図
【符号の説明】
【0018】
1 駆動エンジンカバー部
2 駆動伝達カバー部
3 コの字状部材
3a コの字状部材
4 天井部材
5 T字状部材
5a L字状部材
6 側面前部パネル
7 側面後部パネル
8 透明部材
9 天井部パネル
10 ヒンジ
11 後部面パネル
12 Vカット加工
13 分割パネル
13a 分割パネル
14 回転軸
14a 回転軸
20 車体ボディ
21 透明パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも駆動エンジン部及び駆動伝達部を覆った車体カバーを有し、かつ運転席を有する車両において、おのおの着脱自在としたあらかじめ宣伝デザインが施された片側面もしくは両側面の部材パネルおよび天井部材パネルと必要に応じて後部面部材パネルとによって、運転席を囲って遮蔽空間を形成することを特徴とする宣伝用車両。
【請求項2】
車両本体の両側面の前方位置及び後方位置の合わせて4角にコの字部材を有し、かつ車両本体の両側面のほぼ中央位置に駆動伝達部カバー部位置より天井位置までの間にかけて、T字状部材を鉛直方向に各々両側面に設置したことを特徴とする請求項1記載の宣伝用車両。
【請求項3】
使用する各部材パネルにV字カットによる折りたたみ加工を有することを特徴とする請求項1または2に記載の宣伝用車両。
【請求項4】
車両の両側面において使用する部材パネルは、前部コの字部材から中央位置のT字状部材にかけての前部部材パネルと中央位置のT字状部材から後部コの字部材にかけての後部部材パネルとから構成され、これらを装着後、透明シート又は透明部材を両側面の前部コの字部材から後部コの字部材にかけて装着することにより、嵌め込んだ前部部材パネル及び後部部材パネルを固定することが出来ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の宣伝用車両。
【請求項5】
車両両側の後部コの字部材にヒンジ部を形成することにより、このヒンジに組み付けられた天井部材パネルがその前面部からこのヒンジ部を中心として、回動自在に着脱できることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の宣伝用車両。
【請求項6】
使用する部材パネルのその断面形状を矩形もしくは三角形形状とした分割部材パネルとし、その分割部材パネルの側部中央位置に各々回転軸を設け、その分割パネル部材をあらかじめ穿孔したコの字部材もしくはT字状部材の穴位置に装着し、この回転軸を中心に分割部材パネルを各々回転させることにより、あらかじめパネル表面の表裏もしくは三面に施された異なる宣伝デザインを表示することが出来る請求項1乃至5のいずれか1項に記載の宣伝用車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−267989(P2006−267989A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121542(P2005−121542)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(503028802)
【出願人】(504278204)
【Fターム(参考)】