説明

室内気圧制御システム

【課題】クリーンルームの室内気圧を常時設定気圧に保持することができる室内気圧制御システムを提供する。
【解決手段】室内気圧制御システム10では、クリーンルーム11,12の室内気圧を変動させる変動要因の非発生時に、近接コントローラ23,24がセンサ26,27から出力された測定気圧を参照しつつ制御ダンパ21,22のダンパ開度を微調整してルーム11,12の室内気圧を設定気圧に保持し、変動要因の発生時に、遠隔操作コントローラ25がダンパ21,22のダンパ開度を所定の開度にする操作指令をコントローラ23,24に出力し、コントローラ23,24がコントローラ25から出力された操作指令に従ってダンパ21,22のダンパ開度を所定の開度に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調空間を有する気密室の室内気圧をコントロールする室内気圧制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調室に設置された圧力センサと、圧力センサから出力された測定室圧とあらかじめ設定された設定室圧とを比較してそれら室圧の差に応じた出力信号を発生する室圧コントローラと、空調室に接続された排気ダクトに設置された室圧調整用ダンパとを備え、室圧コントローラからの出力信号によって室圧調整用ダンパのダンパ開度を調整して空調室の室内気圧を設定室圧に保持する室圧制御装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
この室圧制御装置は、空調室の扉の開閉を検出する開閉センサが空調室に設置され、開閉センサが扉の開放を検出してその開信号を室圧コントローラに出力すると、室圧コントローラがその作動を一旦停止し、開閉センサが扉の閉鎖を検出してその閉信号を室圧コントローラに出力すると、室圧コントローラがその作動を再度開始する。扉が開放されて室圧コントローラの作動が停止すると、ダンパのダンパ開度が扉を開放する直前の開度に固定され、扉を閉鎖すると、ダンパのダンパ開度が室内気圧を設定室圧にする開度に調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−247542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記公報に開示の室圧制御装置では、扉が開放されると、コントローラがその作動を一旦停止し、空調室の室内気圧のコントロールが一時的に中断するから、開放された扉を通して気圧の高い室から気圧の低い室に空気が流入したり、開放された扉を通して気圧の高い室から外部に空気が流出する。この室圧制御装置では、扉が開放されると、各空調室の室内気圧が大きく変動し、それら空調室の室内気圧が設定気圧から外れ、空調室の室内気圧を設定気圧に保持することができない。また、扉の開閉以外の室内気圧の変動要因によって空調室の室内気圧が変動した場合、その変動に対応するようにダンパ開度を調整することはないから、扉の開閉以外の変動要因による室内気圧の変動に対処することができず、室内気圧を設定気圧に戻すことができない。
【0006】
本発明の目的は、気密室の室内気圧のコントロールが中断されることがなく、気密室の室内気圧を常時設定気圧に保持することができる室内気圧制御システムを提供する。本発明の他の目的は、各種の変動要因によって気密室の室内気圧が設定気圧から外れたとしても、気密室の環境を清浄に保持することができる室内気圧制御システムを提供する。本発明の他の目的は、各種の変動要因によって気密室の室内気圧が変動したとしても、気密室の室内気圧をスムーズに設定気圧にすることができる室内気圧制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の室内気圧制御システムは、空調空間を有する気密室と、気密室に空気を給気する給気ファンと、気密室から空気を排気する排気ファンと、ダンパ開度によって気密室から排気する空気の流量を調節可能な制御ダンパと、制御ダンパの近傍に設置されてダンパ開度を調整する近接コントローラと、制御ダンパから離隔した箇所に設置されて近接コントローラに所定の操作指令を出力する遠隔操作コントローラと、気密室の室内気圧を測定してその測定気圧をそれらコントローラに出力する室圧センサとを備え、気密室の室内気圧を変動させる変動要因の非発生時では、近接コントローラが室圧センサから出力された測定気圧を参照しつつ制御ダンパのダンパ開度を微調整して気密室の室内気圧を設定気圧に保持する開度第1調整手段を実行し、変動要因の発生時では、遠隔操作コントローラが制御ダンパのダンパ開度を所定の開度にする操作指令を近接コントローラに出力する操作指令第1出力手段を実行し、近接コントローラが開度第1調整手段を中断しつつ遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を所定の開度に調整する開度第2調整手段を実行することを特徴とする。
【0008】
本発明の一例として、室内気圧制御システムでは、近接コントローラが開度第1調整手段を実行中に、遠隔操作コントローラから出力される操作指令を導出するための遠隔操作コントローラに設定された各種条件を変更可能であり、近接コントローラの運転を継続して気密室の室内気圧を設定気圧に保持しつつ、遠隔操作コントローラにおいて各種条件を変更する。
【0009】
本発明の他の一例としては、変動要因が稼働中の給排気ファンのうちの少なくとも一方の風量変化であり、稼働中のファンの風量が変化した場合、遠隔操作コントローラが、ダンパ開度をファンの風量変化に対応した開度に変更またはダンパ開度を風量変化直前の開度に保持する操作指令を近接コントローラに出力する操作指令第1出力手段を実行し、近接コントローラが、遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度をファンの風量変化に対応した開度に変更またはダンパ開度を風量変化直前の開度に保持する開度第2調整手段を実行する。
【0010】
本発明の他の一例としては、変動要因が稼動中の給排気ファンのうちの少なくとも一方の停止であり、稼動中のファンが停止した場合、遠隔操作コントローラが、ダンパ開度を全閉またはダンパ開度をファン停止直前の開度に保持する操作指令を近接コントローラに出力する操作指令第1出力手段を実行し、近接コントローラが、遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を全閉またはダンパ開度をファン停止直前の開度に保持する開度第2調整手段を実行する。
【0011】
本発明の他の一例としては、変動要因が気密室に設置された扉の開放であり、扉が開放された場合、遠隔操作コントローラが、ダンパ開度を扉の開放に対応した開度に変更またはダンパ開度を扉の開放直前の開度に保持する操作指令を近接コントローラに出力する操作指令第1出力手段を実行し、近接コントローラが、遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を扉の開放に対応した開度に変更またはダンパ開度を扉の開放直前の開度に保持する開度第2調整手段を実行する。
【0012】
本発明の他の一例としては、変動要因が気密室に設置された停止中の局所排気装置または局所給気装置の稼動であり、停止中の局所排気装置または局所給気装置が稼動した場合、遠隔操作コントローラが、ダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の稼動に対応した開度に変更またはダンパ開度をそれら装置の稼動直前の開度に保持する操作指令を近距離コントローラに出力する操作指令第1出力手段を実行し、近接コントローラが、遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の稼動に対応した開度に変更またはダンパ開度をそれら装置の稼動直前の開度に保持する開度第2調整手段を実行する。
【0013】
本発明の他の一例としては、変動要因が気密室に設置された稼動中の局所排気装置または局所給気装置の停止であり、稼動中の局所排気装置または局所給気装置が停止した場合、遠隔操作コントローラが、ダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の停止に対応した開度に変更またはダンパ開度をそれら装置の停止直前の開度に保持する操作指令を近距離コントローラに出力する操作指令第1出力手段を実行し、近接コントローラが、遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の停止に対応した開度に変更またはダンパ開度をそれら装置の停止直前の開度に保持する開度第2調整手段を実行する。
【0014】
本発明の他の一例として、開度第1調整手段では、近接コントローラが室圧センサから出力された測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、測定気圧と設定気圧との差に応じて制御ダンパのダンパ開度を微調整し、気密室の室内気圧を設定気圧に保持する。
【0015】
本発明の他の一例として、開度第1調整手段では、測定気圧と設定気圧とを比較して制御ダンパのダンパ開度を微調整する1回の処理時間が0.1〜0.5sの範囲にある。
【0016】
本発明の他の一例として、変動要因の発生時では、開度第2調整手段を実行して所定時間経過した後、遠隔操作コントローラが室圧センサから出力された測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、測定気圧と設定気圧との差に応じて制御ダンパのダンパ開度を微調整して気密室の室内気圧を設定気圧にする操作指令を近接コントローラに出力する操作指令第2出力手段を実行し、近接コントローラが遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を微調整する開度第3調整手段を実行する。
【0017】
本発明の他の一例として、操作指令第2出力手段では、測定気圧と設定気圧とを比較して操作指令を出力する1回の処理時間が0.1〜0.5sの範囲にある。
【0018】
本発明の他の一例として、室内気圧制御システムでは、発生した変動要因がなくなって変動要因の非発生時に戻ると、遠隔操作コントローラが操作指令第1出力手段と操作指令第2出力手段とを中断し、近接コントローラが開度第2調整手段と開度第3調整手段とを中断して開度第1調整手段を再び実行する。
【0019】
本発明の他の一例としては、室内気圧制御システムが、独立した複数の第1〜第n気密室と、それら気密室に空気を給気する第1〜第n給気ファンと、それら気密室から空気を排気する第1〜第n排気ファンと、それら気密室から排気する空気の流量を調節可能な第1〜第n制御ダンパと、それら制御ダンパの近傍に設置された第1〜第n近接コントローラと、それら気密室の室内気圧を測定してその測定気圧を第1〜第n近接コントローラと遠隔操作コントローラとに出力する第1〜第n室圧センサとを含み、1つの前記遠隔操作コントローラが、第1〜第n近接コントローラに所定の操作指令を個別に出力する。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる室内気圧制御システムによれば、気密室の室内気圧がわずかに変動する変動要因の非発生時に近接コントローラが制御ダンパのダンパ開度を微調整して気密室の室内気圧を設定気圧に保持するから、気密室の室内気圧のコントロールが中断されることはなく、気密室の室内気圧を常時設定気圧に保持することができる。システムは、気密室の室内気圧を変動させる変動要因の発生時に、遠隔操作コントローラが制御ダンパのダンパ開度を所定の開度にする操作指令を近接コントローラに出力し、近接コントローラが遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を調整するから、各種の変動要因によって気密室の室内気圧が変動したとしても、気密室の室内気圧を設定気圧にすることができる。さらに、各種の変動要因によって気密室の室内気圧が設定気圧から外れたとしても、気密室の環境を清浄に保持することができる。なお、変動要因の発生時にダンパ開度を微調整する近接コントローラを利用すると、ダンパ開度の調整が変動要因による気圧変動に追従することができず、気密室の室内気圧を設定気圧に保持することができないとともに、気密室の室内気圧が設定気圧から外れた場合に気密室の清浄環境を維持することができないのみならず、気密室の室内気圧を設定気圧にスムーズに復帰させることができなくなるが、変動要因の発生時に遠隔操作コントローラを利用することで、変動要因による気圧変動に追従させた状態でダンパ開度を調整することができ、気密室の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、気密室の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、気密室の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、変動要因による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、気密室の環境を清浄に保持することができる。
【0021】
近接コントローラが開度第1調整手段を実行中に、遠隔操作コントローラから出力される操作指令を導出するための遠隔操作コントローラに設定された各種条件を変更可能であり、近接コントローラの運転を継続して気密室の室内気圧を設定気圧に保持しつつ、遠隔操作コントローラにおいて各種条件を変更する室内気圧制御システムは、変動要因の各種設定条件によって遠隔操作コントローラに設定された各種条件の変更が必要になった場合でも、近接コントローラの稼動を中断することなく開度第1調整手段を継続して実行するから、気密室の室内気圧のコントロールが中断されることはなく、気密室の室内気圧を常時設定気圧に保持することができる。このシステムは、気密室の室内気圧を設定気圧に保持しつつ、遠隔操作コントローラに設定された各種条件を変更することができるから、継続運転の要求に対応しつつ、変動要因の各種設定条件に対応して遠隔操作コントローラに設定された各種条件を変更することができる。
【0022】
変動要因が給排気ダクトに設置された稼働中のファンの風量変化であり、ファンの風量が変化した場合、近接コントローラが遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度をファンの風量変化に対応した開度に変更またはダンパ開度を風量変化直前の開度に保持する室内気圧制御システムは、給排気ダクトに設置されたファンの風量が変化した場合、遠隔操作コントローラの操作指令に従って近接コントローラが制御ダンパのダンパ開度をファンの風量変化に対応した開度に変更またはダンパ開度を風量変化直前の開度に保持するから、風量変化による変動要因の発生時に遠隔操作コントローラを利用することで、風量変化による気密室の気圧変動に追従させた状態でダンパ開度を調整することができ、気密室の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、気密室の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、気密室の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、変動要因による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、気密室の環境を清浄に保持することができる。
【0023】
変動要因が給排気ダクトに設置された稼働中にファンの停止であり、ファンが停止した場合、近接コントローラが遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を全閉またはダンパ開度をファン停止直前の開度に保持する室内気圧制御システムは、給排気ダクトに設置されたファンが停止した場合、遠隔操作コントローラの操作指令に従って近接コントローラが制御ダンパのダンパ開度を全閉またはダンパ開度をファン停止直前の開度に保持するから、ファン停止による変動要因の発生時に遠隔操作コントローラを利用することで、ファン停止による気密室の気圧変動に追従させた状態でダンパ開度を調整することができ、気密室の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、気密室の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、気密室の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、変動要因による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、気密室の環境を清浄に保持することができる。
【0024】
変動要因が気密室に設置された扉の開放であり、扉が開放された場合、近接コントローラが遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を扉の開放に対応した開度に変更またはダンパ開度を扉の開放直前の開度に保持する室内気圧制御システムは、気密室に設置された扉が開放された場合、遠隔操作コントローラの操作指令に従って近接コントローラが制御ダンパのダンパ開度を扉の開放に対応した開度に変更またはダンパ開度を扉の開放直前の開度に保持するから、扉の開放による変動要因の発生時に遠隔操作コントローラを利用することで、扉の開放による気密室の気圧変動に追従させた状態でダンパ開度を調整することができ、気密室の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、気密室の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、気密室の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、変動要因による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、気密室の環境を清浄に保持することができる。
【0025】
変動要因が気密室に設置された停止中の局所排気装置または局所給気装置の稼動であり、局所排気装置または局所給気装置が稼動した場合、近接コントローラが遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の稼動に対応した開度に変更またはダンパ開度をそれら装置の稼動直前の開度に保持する室内気圧制御システムは、気密室に設置された局所排気装置または局所給気装置が稼動した場合、遠隔操作コントローラの操作指令に従って近接コントローラが制御ダンパのダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の稼動に対応した開度に変更またはダンパ開度をそれら装置の稼動直前の開度に保持するから、局所排気装置または局所給気装置の稼動による変動要因の発生時に遠隔操作コントローラを利用することで、局所排気装置または局所給気装置の稼動による気密室の気圧変動に追従させた状態でダンパ開度を調整することができ、気密室の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、気密室の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、気密室の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、変動要因による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、気密室の環境を清浄に保持することができる。
【0026】
変動要因が気密室に設置された稼動中の局所排気装置または局所給気装置の停止であり、局所排気装置または局所給気装置が停止した場合、近接コントローラが遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の停止に対応した開度に変更またはダンパ開度をそれら装置の停止直前の開度に保持する室内気圧制御システムは、気密室に設置された局所排気装置または局所給気装置が停止した場合、遠隔操作コントローラの操作指令に従って近接コントローラが制御ダンパのダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の停止に対応した開度に変更またはダンパ開度をそれら装置の停止直前の開度に保持するから、局所排気装置または局所給気装置の停止による変動要因の発生時に遠隔操作コントローラを利用することで、局所排気装置または局所給気装置の停止による気密室の気圧変動に追従させた状態でダンパ開度を調整することができ、気密室の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、気密室の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、気密室の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、変動要因による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、気密室の環境を清浄に保持することができる。
【0027】
開度第1調整手段において近接コントローラが測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、測定気圧と設定気圧との差に応じて制御ダンパのダンパ開度を微調整して気密室の室内気圧を設定気圧に保持する室内気圧制御システムは、室内気圧がわずかに変動する変動要因の非発生時に、近接コントローラが測定気圧と設定気圧とを比較しつつ制御ダンパのダンパ開度を微調整するフィードバック制御を実行するから、近接コントローラを利用して気密室の室内気圧を設定気圧に確実に保持することができる。
【0028】
開度第1調整手段において測定気圧と設定気圧とを比較して制御ダンパのダンパ開度を微調整する1回の処理時間が0.1〜0.5sの範囲にある室内気圧制御システムは、開度第1調整手段における1回の処理時間が前記範囲にあるから、フィードバック制御のフィードバック時間を短くすることができ、室内気圧がわずかに変動する変動要因の非発生時において単位時間当たりに多くのフィードバックをかけることで、近接コントローラを利用して気密室の室内気圧を設定気圧に確実に保持することができる。
【0029】
変動要因の発生時において開度第2調整手段を実行して所定時間経過した後、遠隔操作コントローラが測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、測定気圧と設定気圧との差に応じて制御ダンパのダンパ開度を微調整して気密室の室内気圧を設定気圧にする操作指令を近接コントローラに出力し、近接コントローラが遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って制御ダンパのダンパ開度を微調整する室内気圧制御システムは、変動要因の発生時に遠隔操作コントローラが測定気圧と設定気圧とを比較しつつ制御ダンパのダンパ開度を微調整するフィードバック制御を実行するから、遠隔操作コントローラを利用して気密室の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができる。また、変動要因が発生した後に気密室の室内気圧が設定気圧の範囲内にある場合は、気密室の室内気圧を設定気圧に確実に保持することができる。
【0030】
操作指令第2出力手段において測定気圧と設定気圧とを比較して操作指令を出力する1回の処理時間が0.1〜0.5sの範囲にある室内気圧制御システムは、操作指令第2出力手段における1回の処理時間が前記範囲にあるから、フィードバック制御のフィードバック時間を短くすることができ、変動要因の発生時において単位時間当たりに多くのフィードバックをかけることで、遠隔操作コントローラを利用して気密室の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができる。また、変動要因が発生した後に気密室の室内気圧が設定気圧の範囲内にある場合は、気密室の室内気圧を設定気圧に確実に保持することができる。
【0031】
発生した変動要因がなくなって変動要因の非発生時に戻ると、遠隔操作コントローラが操作指令第1出力手段と操作指令第2出力手段とを中断し、近接コントローラが開度第2調整手段と開度第3調整手段とを中断して開度第1調整手段を再び実行する室内気圧制御システムは、変動要因の非発生時に戻った後、気密室の室内気圧がわずかに変動したとしても、近接コントローラが制御ダンパのダンパ開度を微調整して気密室の室内気圧を設定気圧に保持するから、気密室の室内気圧のコントロールが中断されることはなく、気密室の室内気圧を常時設定気圧に保持することができる。
【0032】
独立した複数の第1〜第n気密室と、それら気密室に空気を給気する第1〜第n給気ファンと、それら気密室から空気を排気する第1〜第n排気ファンと、それら気密室から排気する空気の流量を調節可能な第1〜第n制御ダンパと、それら制御ダンパの近傍に設置された第1〜第n近接コントローラと、それら気密室の室内気圧を測定してその測定気圧をそれら近接コントローラと遠隔操作コントローラとに出力する第1〜第n室圧センサとを含み、1つの遠隔操作コントローラが第1〜第n近接コントローラに所定の操作指令を個別に出力する室内気圧制御システムは、第1〜第n気密室の室内気圧がわずかに変動する変動要因の非発生時に第1〜第n近接コントローラが第1〜第n制御ダンパのダンパ開度を微調整してそれら気密室の室内気圧を設定気圧に保持するから、それら気密室の室内気圧のコントロールが中断されることはなく、第1〜第n気密室の室内気圧を常時設定気圧に保持することができる。さらに、各種の変動要因によって第1〜第n気密室の室内気圧が設定気圧から外れたとしても、第1〜第n気密室の環境を清浄に保持することができる。システムは、第1〜第n気密室の室内気圧を変動させる変動要因の発生時に、1つの遠隔操作コントローラが第1〜第n近接コントローラをまとめて管理しつつ、遠隔操作コントローラが第1〜第n制御ダンパのダンパ開度を所定の開度にする操作指令を第1〜第n近接コントローラに出力し、それら近接コントローラが遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従ってそれら制御ダンパのダンパ開度を調整するから、各種の変動要因によって第1〜第n気密室の室内気圧が変動したとしても、それら気密室の室内気圧を設定気圧にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】一例として示す室内気圧制御システムの構成図。
【図2】給排気ファンの風量変化と旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)との関係の一例を示す図。
【図3】給排気ファンの風量変化と旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)との関係の他の一例を示す図。
【図4】給排気ファンの停止と旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)との関係の一例を示す図。
【図5】扉の開放と旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)との関係の一例を示す図。
【図6】局所排気装置または局所給気装置の稼動と旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)との関係の一例を示す図。
【図7】局所排気装置または局所給気装置の停止と旋回羽根の旋回角度(ダンパ開度)との関係の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
一例として示す室内気圧制御システムの構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる室内気圧制御システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図1は、第1および第2クリーンルーム11,12(気密室)をその側方から示している。図1では2室のクリーンルーム11,12を図示しているが、クリーンルームを2室に限定するものではなく、3室以上の第1〜第nクリーンルームに対してこのシステム10の室内気圧コントロールを適用することもできる。
【0035】
室内気圧制御システム10は、独立した複数の第1および第2クリーンルーム11,12(第1〜第nクリーンルーム)(第1〜第n気密室)と、それらクリーンルーム11,12に空気を供給する第1および第2給気ダクト13,14(第1〜第n給気ダクト)と、それらクリーンルーム11,12から室外に空気を排出する第1および第2排気ダクト15,16(第1〜第n排気ダクト)と、それらクリーンルーム11,12に空気を給気する第1および第2給気ファン17,18(第1〜第n給気ファン)と、それらクリーンルーム11,12から空気を排気する第1および第2排気ファン19,20(第1〜第n排気ファン)と、第1および第2制御ダンパ21,22(第1〜第n制御ダンパ)と、第1および第2近接コントローラ23,24(第1〜第n近接コントローラ)と、1つの遠隔操作コントローラ25と、それらクリーンルーム11,12の室内気圧を測定する第1および第2室圧センサ26,27(第1〜第n室圧センサ)と、局所排気装置28(第1〜第n局所排気装置)および局所給気装置29(第1〜第n局所給気装置)とを備えている。
【0036】
それらクリーンルーム11,12は、天井30および床31と前後壁32,33および側壁34とに囲繞された所定容積の気密な空調空間を有し、天井30、床31、それら壁32〜34によって室外と仕切られている。天井30には、給気ダクト13,14から供給される空気をクリーンルーム11,12の室内に取り入れるための給気口(図示せず)が施設されている。側壁34には、クリーンルーム11,12の室内の空気を排気ダクト15,16に取り入れるための排気口35が施設されている。前壁32には、クリーンルーム11,12の室内に出入りするための扉36,37(第1〜第n扉)が設置されている。このシステム10では、その利用中にそれらクリーンルーム11,12の室内気圧が厳密に管理され、室内気圧があらかじめ設定された設定気圧(目標室圧)に維持されている。
【0037】
第1給気ダクト13は、第1クリーンルーム11の天井30に施設された給気口につながり、第1クリーンルーム11に連結されている。第2給気ダクト14は、第2クリーンルーム12の天井30に施設された給気口につながり、第2クリーンルーム12に連結されている。第1排気ダクト15は、第1クリーンルーム11の側壁34に施設された排気口35につながり、第1クリーンルーム11に連結されている。第2排気ダクト16は、第2クリーンルーム12の側壁34に施設された排気口35につながり、第2クリーンルーム12に連結されている。
【0038】
第1給気ファン17は、第1給気ダクト13に設置され、所定量の空気を第1クリーンルーム11に強制的に給気する。第1給気ファン17は、インターフェイス38(有線または無線)を介して遠隔操作コントローラ25に接続されている。第1給気ファン17は、そのON信号(稼動信号)およびOFF信号(停止信号)を遠隔操作コントローラ25に出力するとともに、稼働中の風量(風速)をコントローラ25に出力する。
【0039】
第2給気ファン18は、第2給気ダクト14に設置され、所定量の空気を第2クリーンルーム12に強制的に給気する。第2給気ファン18は、インターフェイス38を介して遠隔操作コントローラ25に接続されている。第2給気ファン18は、そのON信号(稼動信号)やOFF信号(停止信号)を遠隔操作コントローラ25に出力するとともに、稼働中の風量(風速)をコントローラ25に出力する。
【0040】
第1排気ファン19は、第1排気ダクト15に設置され、所定量の空気を第1クリーンルーム11から強制的に排気する。第1排気ファン19は、インターフェイス38を介して遠隔操作コントローラ25に接続されている。第1排気ファン19は、そのON信号(稼動信号)やOFF信号(停止信号)を遠隔操作コントローラ25に出力するとともに、稼働中の風量(風速)をコントローラ25に出力する。
【0041】
第2排気ファン20は、第2排気ダクト16に設置され、所定量の空気を第2クリーンルーム12から強制的に排気する。第2排気ファン20は、インターフェイス38を介して遠隔操作コントローラ25に接続されている。第2排気ファン20は、そのON信号(稼動信号)やOFF信号(停止信号)を遠隔操作コントローラ25に出力するとともに、稼働中の風量(風速)をコントローラ25に出力する。
【0042】
第1制御ダンパ21は、第1クリーンルーム11と第1排気ファン19との間に延びる第1排気ダクト15に設置されている。第2制御ダンパ22は、第2クリーンルーム12と第2排気ファン20との間に延びる第2排気ダクト16に設置されている。それら制御ダンパ21,22は、モジュトロールモータ(図示せず)と、モータの駆動力によって旋回する旋回羽根39と、旋回羽根39の旋回によって開閉される空気流路(図示せず)とから形成されている。それら制御ダンパ21,22では、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)によってそれらクリーンルーム11,12から排気される空気の流量を調節する。それら制御ダンパ21,22には、平行翼ダンパまたは対向翼ダンパを使用することができる。
【0043】
第1近接コントローラ23は、第1制御ダンパ21に隣接した位置(ダンパ21の近傍)に設置されている。第1近接コントローラ23は、インターフェイス38を介して遠隔操作コントローラ26に接続されている。コントローラ23は、第1制御ダンパ21の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を所定の角度(所定の開度)に設定または変更する開度制御信号をダンパ21に出力することで、空気流路の開度を所定の開度に調整する。
【0044】
第2近接コントローラ24は、第2制御ダンパ22に隣接した位置(ダンパ22の近傍)に設置されている。第2近接コントローラ24は、インターフェイス38を介して遠隔操作コントローラ25に接続されている。コントローラ24は、第2制御ダンパ22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を所定の角度(所定の開度)に設定または変更する開度制御信号をダンパ22に出力することで、空気流路の開度を所定の開度に調整する。
【0045】
第1および第2近接コントローラ23,24は、演算処理を行う中央処理部と各種条件を記憶可能な主記憶部(メモリ)とを有するマイクロプロセッサである。それら近接コントローラ23,24には、図示はしていないが、各種条件を入力するための入力装置、入力確認のための表示装置がインターフェイスを介して接続されている。
【0046】
第1近接コントローラ23の主記憶部には、第1クリーンルーム11の設定気圧と第1制御ダンパ21の空気流路を通過する空気量との相関関係が格納され、設定気圧に対応する空気量とその空気量に対応する第1制御ダンパ21の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)との相関関係が格納されている。第2近接コントローラ24の主記憶部には、第2クリーンルーム12の設定気圧と第2制御ダンパ22の空気流路を通過する空気量との相関関係が格納され、設定気圧に対応する空気量とその空気量に対応する第2制御ダンパ22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)との相関関係が格納されている。
【0047】
それら制御ダンパ21,22では、それら近接コントローラ23,24から出力された開度制御信号によってモジュトロールモータが回転し、それによって旋回羽根39が所定角度に旋回する。旋回羽根39が所定角度に旋回すると、ダンパ21,22の空気流路の開度が変わり、空気流路を通過する空気の流量が変わる。
【0048】
遠隔操作コントローラ25は、それら制御ダンパ21,22から離隔した箇所に設置されている。遠隔操作コントローラ25の設置箇所としては、クリーンルーム11,12から離れた機械室40や監視室40等がある。遠隔操作コントローラ25は、演算処理を行う中央処理装置と各種条件を記憶可能な主記憶装置(メモリ)とを有するコンピュータである。遠隔操作コントローラ25には、図示はしていないが、各種条件を入力するための入力装置、入力確認のための表示装置がインターフェイスを介して接続されている。
【0049】
コントローラ25の主記憶装置には、第1および第2クリーンルーム11,12の設定気圧が格納されている。コントローラ25の主記憶装置には、第1クリーンルーム11の設定気圧と第1給気ファン17の風量(風速)との相関関係が格納され、その風量に対応する第1制御ダンパ21の旋回羽根39の開度(旋回角度)が格納されている。また、第1給気ファン17の風量が設定気圧に対応する風量以外の風量に変化した場合、変化後のそれら風量において第1クリーンルーム11の室内気圧を設定気圧にするためのそれら風量に対応した第1制御ダンパ21の旋回羽根39の複数の開度(旋回角度)が格納されている。
【0050】
コントローラ25の主記憶装置には、第2クリーンルーム12の設定気圧と第2給気ファン18の風量(風速)との相関関係が格納され、その風量に対応する第2制御ダンパ22の旋回羽根39の開度(旋回角度)が格納されている。また、第2給気ファン18の風量が設定気圧に対応する風量以外の風量に変化した場合、変化後のそれら風量において第2クリーンルーム12の室内気圧を設定気圧にするためのそれら風量に対応した第2制御ダンパ22の旋回羽根39の複数の開度(旋回角度)が格納されている。
【0051】
コントローラ25の主記憶装置には、第1クリーンルーム11の設定気圧と第1排気ファン19の風量(風速)との相関関係が格納され、その風量に対応する第1制御ダンパ21の旋回羽根39の開度(旋回角度)が格納されている。また、第1排気ファン19の風量が設定気圧に対応する風量以外の風量に変化した場合、変化後のそれら風量において第1クリーンルーム11の室内気圧を設定気圧にするためのそれら風量に対応した第1制御ダンパ21の旋回羽根39の複数の開度(旋回角度)との相関関係が格納されている。
【0052】
コントローラ25の主記憶装置には、第2クリーンルーム12の設定気圧と第2排気ファン20の風量(風速)との相関関係が格納され、その風量に対応する第2制御ダンパ22の旋回羽根39の開度(旋回角度)が格納されている。また、第2排気ファン20の風量が設定気圧に対応する風量以外の風量に変化した場合、変化後のそれら風量において第2クリーンルーム12の室内気圧を設定気圧にするためのそれら風量に対応した第2制御ダンパ22の旋回羽根39の複数の開度(旋回角度)との相関関係が格納されている。
【0053】
コントローラ25の主記憶装置には、第1クリーンルーム11の扉36が開放されたときの扉36の旋回角度とその旋回角度において扉36の開放空間41(図5参照)を通過する空気の流量との相関関係が格納され、扉36の開放空間41を通過する空気の流量とその流量において第1クリーンルーム11の室内気圧を設定気圧にするための第1制御ダンパ21の旋回羽根39の開度(旋回角度)との相関関係が格納されている。また、第2クリーンルーム12の扉37が開放されたときの扉37の旋回角度とその旋回角度において扉37の開放空間41を通過する空気の流量との相関関係が格納され、扉37の開放空間41を通過する空気の流量とその流量において第2クリーンルーム12の室内気圧を設定気圧にするための第2制御ダンパ22の旋回羽根39の開度(旋回角度)との相関関係が格納されている。
【0054】
コントローラ25の主記憶装置には、第1クリーンルーム11に設置された停止中の局所排気装置28が稼動した場合の排気ダクト15から排気される空気の複数の排気流量と、それら排気流量において第1クリーンルーム11の室内気圧を設定気圧にするためのそれら排気流量に対応した第1制御ダンパ21の旋回羽根39の複数の開度(旋回角度)とが格納されている。さらに、第2クリーンルーム12に設置された停止中の局所給気装置29が稼動した場合の排気ダクト15から排気される空気の複数の排気流量と、それら排気流量において第2クリーンルーム12の室内気圧を設定気圧にするためのそれら排気流量に対応した第2制御ダンパ22の旋回羽根39の複数の開度(旋回角度)とが格納されている。
【0055】
コントローラ25の主記憶装置には、第1クリーンルーム11に設置された稼動中の局所排気装置28が停止した場合の排気ダクト15から排気される空気の排気流量と、その排気流量において第1クリーンルーム11の室内気圧を設定気圧に保持するためのその排気流量に対応した第1制御ダンパ21の旋回羽根39の開度(旋回角度)とが格納されている。さらに、第2クリーンルーム12に設置された稼動中の局所給気装置29が停止した場合の排気ダクト15から排気される空気の排気流量と、その排気流において第2クリーンルーム12の室内気圧を設定気圧にするためのその排気流量に対応する第2制御ダンパ22の旋回羽根39の開度(旋回角度)とが格納されている。
【0056】
第1室圧センサ26は、第1クリーンルーム11の室内に設置され、インターフェイス38を介して第1近接コントローラ23に接続されている。第1室圧センサ26は、第1クリーンルーム11の室内の気圧を測定し、測定気圧を第1近接コントローラ23に出力する。第2室圧センサ27は、第2クリーンルーム12の室内に設置され、インターフェイス38を介して第2近接コントローラ24に接続されている。第2室圧センサ27は、第2クリーンルーム12の室内の気圧を測定し、測定気圧を第2近接コントローラ24に出力する。なお、それら室圧センサ26,27が測定した測定気圧は、それら近接コントローラ23,24を経由して遠隔操作コントローラ25にも出力される。
【0057】
局所排気装置28は、第1クリーンルーム11に設置され、塵や微粉、ガス等の不要物をクリーンルーム11の室内空気とともに吸引し、不要物を室外に排出する。局所排気装置28は、第1クリーンルーム11の一部から室外に空気を排出する局所排気ダクト42と、クリーンルーム11から所定量の空気を強制的に排気する局所排気ファン43とから形成されている。局所排気ファン43は、インターフェイス38を介して遠隔操作コントローラ25に接続されている。局所排気ファン43は、そのON信号(稼動信号)やOFF信号(停止信号)を遠隔操作コントローラ25に出力するとともに、稼働中の風量(風速)をコントローラ25に出力する。
【0058】
局所給気装置29は、第2クリーンルーム12に設置され、クリーンルーム12に施設された器具や機械の熱を冷却し、器具や機械の熱による損傷を防止する。局所給気装置29は、第2クリーンルーム12の一部に空気を供給する局所給気ダクト44と、第2クリーンルーム12に所定量の空気を強制的に給気する局所給気ファン45とから形成されている。局所給気ファン45は、インターフェイス38を介して遠隔操作コントローラ25に接続されている。局所給気ファン45は、そのON信号(稼動信号)やOFF信号(停止信号)を遠隔操作コントローラ25に出力するとともに、稼働中の風量(風速)をコントローラ25に出力する。
【0059】
給気ファン17,18から給気された空気は、給気ダクト13,14を通ってクリーンルーム11,12の室内に流入した後、排気ダクト15,16を通って排気ファン19,20に流入し、排気ファン19,20から排気ダクト15,16を通って室外に排気される。また、第1クリーンルーム11では、局所排気装置28が稼動すると、室内の空気が局所排気ダクト42を通って局所排気ファン43に流入し、局所排気ファン43から局所排気ダクト42を通って室外に排気される。第2クリーンルーム12では、局所給気装置29が稼動すると、空気が局所給気ダクト44を通って局所吸気ファン45に流入し、局所吸気ファン45から局所吸気ダクト44を通って室内に吸気される。
【0060】
このシステム10において、それらクリーンルーム11,12の室内気圧を変動させる変動要因の非発生時における室内気圧制御を説明すると、以下のとおりである。なお、変動要因には、稼働中の排気ファン19,20の風量変化、稼働中の給気ファン17,18の風量変化、稼動中の排気ファン19,20の停止、稼動中の給気ファン17,18の停止、扉36,37の開放、停止中の局所排気装置28の稼動、停止中の局所給気装置29の稼動、稼働中の局所排気装置28の停止、稼働中の局所給気装置29の停止がある。クリーンルーム11,12における変動要因の非発生時とは、扉36,37が閉鎖され、給排気ファン17〜20が初期設定の風量で稼動し、装置28,29が停止または装置28,29が稼動している状態である。
【0061】
変動要因の非発生時では、第1および第2近接コントローラ23,24が第1および第2室圧センサ26,27から出力された測定気圧を参照しつつ、第1および第2制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を微調整してそれらクリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に保持する開度第1調整手段を実行する。
【0062】
開度第1調整手段では、それら近接コントローラ23,24がそれら室圧センサ26,27から出力された測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、測定気圧と設定気圧との差に応じてそれら制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を微調整するフィードバック制御(PD制御またはPID制御)を実行する。第1および第2近接コントローラ23,24では、測定気圧と設定気圧とを比較して制御ダンパ21,22の旋回角度(ダンパ開度)を微調整する1回の処理時間が0.1〜0.5sの範囲にある。
【0063】
変動要因の非発生時では、それら近接コントローラ23,24が測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、測定気圧と設定気圧との差に応じてそれら制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を微調整するフィードバック制御を実行し、それらクリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に保持するから、それらクリーンルーム11,12の室内気圧のコントロールが中断されることはなく、それら近接コントローラ23,24を利用してクリーンルーム11,12の室内気圧を常時設定気圧に保持することができる。また、開度第1調整手段における1回の処理時間が前記範囲にあるから、フィードバック制御のフィードバック時間を短くすることができ、室内気圧がわずかに変動する変動要因の非発生時において単位時間当たりに多くのフィードバックをかけることで、それら近接コントローラ23,24を利用してクリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に確実に保持することができる。
【0064】
図2は、給排気ファン17〜20の風量変化と旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)との関係の一例を示す図であり、図3は、給排気ファン17〜20の風量変化と旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)との関係の他の一例を示す図である。図2では、給排気ファン17〜20の風量が初期設定の風量から増加した場合を示し、図3は、給排気ファン17〜20の風量が初期設定の風量から減少した場合を示す。
【0065】
給排気ファン17〜20が稼働中に、それらファン17〜20の少なくとも一方の風量が初期設定のそれから増加または減少(風量が変化)し、それらクリーンルーム11,12の室内気圧を変動させる変動要因が発生したときの室内気圧コントロールを説明すると、以下のとおりである。給排気ファン17〜20のうちの少なくとも一方の風量が増加または減少した場合、その風量(増加後または減少後の風量)が給排気ファン17〜20から遠隔操作コントローラ25に出力される。
【0066】
遠隔操作コントローラ25は、ファン17〜20の風量が増加または減少した場合、ファン17〜20の風量が変化したと判断する。コントローラ25は、増加後または減少後の風量に対応してクリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にするためのそれら制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を主記憶装置から取り出し、主記憶装置から取り出したダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(増加後または減少後の風量に対応した旋回角度)を示す開度制御信号(操作指令)をそれら近接コントローラ23,24に出力する操作指令第1出力手段を実行する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を風量増加直前または風量減少直前の旋回角度(開度)に保持する開度制御信号(操作指令)をそれら近接コントローラ23,24に出力する操作指令第1出力手段を実行する。
【0067】
遠隔操作コントローラ25は、制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を変化後の風量に対応したそれにする開度制御信号を近接コントローラ23,24に出力することで、ダンパ21,22の空気流路の開度を変化後の風量に対応したそれに調整する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を風量増加直前または風量減少直前の旋回角度(開度)に保持する開度制御信号を近接コントローラ23,24に出力することで、ダンパ21,22の空気流路の開度を風量増加直前または風量減少直前のそれに調整する。
【0068】
近接コントローラ23,24は、遠隔操作コントローラ25から開度制御信号を受信すると、開度第1調整手段を中断し、遠隔操作コントローラ25から出力された開度制御信号に従ってダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を増加後または減少後の風量に対応した旋回角度(所定の開度)に調整する開度第2調整手段を実行する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を風量増加直前または風量減少直前の旋回角度(開度)に保持する開度第2調整手段を実行する。
【0069】
制御ダンパ21,22の旋回羽根39は、近接コントローラ23,24からの指令によって増加後または減少後の風量に対応した旋回角度に旋回する。また、制御ダンパ21,22は、近接コントローラ23,24からの指令によって旋回羽根39の旋回角度を風量増加直前または風量減少直前の旋回角度に保持する。
【0070】
室内気圧制御システム10は、給排気ダクト13〜16に設置されたファン17〜20の風量が増加または減少(変化)した場合、遠隔操作コントローラ25の操作指令に従って近接コントローラ23,24が制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)をファン17〜20の風量の増加または減少に対応した旋回角度に変更または旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を風量増加直前または風量減少直前の旋回角度に保持するから、風量の増加または減少による変動要因の発生時に遠隔操作コントローラ25を利用することで、風量の増加または減少によるそれらクリーンルーム11,12の気圧変動に追従させた状態で旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を調整することができ、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、風量の増加または減少によってクリーンルーム11,12の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、風量の増加または減少による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、クリーンルーム11,12の環境を清浄に保持することができる。
【0071】
図4は、給排気ファン17〜20の停止と旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)との関係の一例を示す図である。給排気ファン17〜20が稼働中に、それらファン17〜20の少なくとも一方が停止し、それらクリーンルーム11,12の室内気圧を変動させる変動要因が発生したときの室内気圧コントロールを説明すると、以下のとおりである。給排気ファン17〜20のうちの少なくとも一方が停止した場合、そのOFF信号(停止信号)が給排気ファン17〜20から遠隔操作コントローラ25に出力される。
【0072】
給排気ファン17〜20からOFF信号を受信した遠隔操作コントローラ25は、制御ダンパ21,22の旋回羽根39を全閉にする開度制御信号(操作指令)をそれら近接コントローラ23,24に出力する操作指令第1出力手段を実行する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)をファン17〜20停止直前の旋回角度(開度)に保持する開度制御信号(操作指令)をそれら近接コントローラ23,24に出力する操作指令第1出力手段を実行する。
【0073】
遠隔操作コントローラ25は、制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を全閉にする開度制御信号を近接コントローラ23,24に出力することで、ダンパ21,22の空気流路の開度を全閉に調整する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)をファン17〜20停止直前の旋回角度(開度)に保持する開度制御信号を近接コントローラ23,24に出力することで、ダンパ21,22の空気流路の開度をファン17〜20停止直前のそれに調整する。
【0074】
近接コントローラ23,24は、遠隔操作コントローラ25から開度制御信号を受信すると、開度第1調整手段を中断し、コントローラ25から出力された開度制御信号に従っての旋回羽根39を全閉に調整する開度第2調整手段を実行する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)をファン17〜20停止直前の旋回角度(開度)に保持する開度第2調整手段を実行する。
【0075】
制御ダンパ21,22の旋回羽根39は、近接コントローラ23,24からの指令によって全閉になる。または、制御ダンパ21,22は、近接コントローラ23,24からの指令によって旋回羽根39の旋回角度をファン17〜20停止直前の旋回角度に保持する。
【0076】
室内気圧制御システム10は、稼働中の給排気ファン17〜20が停止した場合、遠隔操作コントローラ25から出力された操作指令に従って近接コントローラ23,24が制御ダンパ21,22の旋回羽根39(ダンパ開度)を全閉または旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)をファン17〜20停止直前の開度に保持するから、ファン17〜20の停止による変動要因の発生時に遠隔操作コントローラ25を利用することで、ファン17〜20の停止によるそれらクリーンルーム11,12の気圧変動に追従させた状態で旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を調整することができ、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、ファン17〜20の停止によってクリーンルーム11,12の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、ファン17〜20の停止による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、クリーンルーム11,12の環境を清浄に保持することができる。
【0077】
図5は、扉36,37の開放と旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)との関係の一例を示す図である。それら扉36,37は、一方の縦方向側部が蝶番(図示せず)を介して前壁32に取り付けられている。扉36,37は、縦方向側部を軸として旋回するスイング式片開き自在戸である。それら扉36,37は、クリーンルーム11,12から室外に向かって旋回させることはできるが、クリーンルーム11,12の室内に向かって旋回させることはできない。扉36,37は、前壁32に対して0〜180度の範囲で旋回する。
【0078】
扉36,37を開けると、扉36,37の開放空間41を介してクリーンルーム11,12と室外とがつながり、開放空間41を通ってクリーンルーム11,12と室外とを行き来することができる。それら扉36,37には、クリーンルーム11,12の気密性を保持するためにエアタイトのそれが使用されている。ドアノブは、グレモンハンドルであり、扉36,37の閉鎖後にグレモンハンドルをロック(回転)することで扉36,37の気密性を高めている。
【0079】
それら扉36,37には、図示はしていないが、複数の開閉センサが設置されている。それら開閉センサは、蝶番の側であって扉36,37が納まる前壁32の扉枠に取り付けられ、扉36,37の開閉を検出する。開閉センサは、インターフェイス38を介して遠隔操作コントローラ25に接続されている。開閉センサには、マグネットスイッチが使用されている。センサ(マグネットスイッチ)が反応するまでの遊び(ストローク)を利用することで、センサが反応する扉旋回角度に差を設けることができ、それらセンサの取り付け位置を選択することで、センサが反応する扉36,37の開度を自由に設定することができる。扉36,37の開度とは、扉36,37が開放されたときの前壁32と扉36,37とのなす角度(扉の旋回角度)をいう。扉36,37では、その開度が15度、30度、45度、60度、75度、90度、105度、120度、130度、145度、160度、175度に達したときに各センサが反応し、扉36,37の開放を検出するようになっている。
【0080】
扉36,37が開放され、それらクリーンルーム11,12の室内気圧を変動させる変動要因が発生したときの室内気圧コントロールを説明すると、以下のとおりである。扉36,37が開放された場合、扉36,37の開信号が開閉センサから遠隔操作コントローラ25に出力される。扉36,37の開信号は、ON信号としてコントローラ25に入力される。なお、扉36,37が閉鎖されているとき(変動要因非発生時)は、開閉センサからOFF信号(閉信号)がコントローラ25に出力されている。
【0081】
遠隔操作コントローラ25は、それら開閉センサから出力されたON信号によって扉36,37が開放されたと判断し、それらON信号に基づいて扉36,37の旋回角度を割り出す。コントローラ25は、割り出した旋回角度に対応する扉36,37の開放空間41を通過する空気の流量を主記憶装置から取り出すとともに、その流量に対応してクリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にするための制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を主記憶装置から取り出し、主記憶装置から取り出したダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(扉36,37の開放に対応した旋回角度)を示す開度制御信号(操作指令)をそれら近接コントローラ23,24に出力する操作指令第1出力手段を実行する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を扉36,37の開放直前の旋回角度(開度)に保持する開度制御信号(操作指令)をそれら近接コントローラ23,24に出力する操作指令第1出力手段を実行する。
【0082】
遠隔操作コントローラ25は、制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を扉36,37の開放に対応したそれにする開度制御信号を近接コントローラ23,24に出力することで、ダンパ21,22の空気流路の開度を扉36,37の開放に対応したそれに調整する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を扉36,37の開放直前の旋回角度(開度)に保持する開度制御信号を近接コントローラ23,24に出力することで、ダンパ21,22の空気流路の開度を扉36,37の開放直前のそれに調整する。
【0083】
近接コントローラ23,24は、遠隔操作コントローラ25から開度制御信号を受信すると、開度第1調整手段を中断し、コントローラ25から出力された開度制御信号に従っての旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を扉36,37の開放に対応した旋回角度(所定の開度)に調整する開度第2調整手段を実行する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を扉36,37の開放直前の旋回角度(開度)に保持する開度第2調整手段を実行する。
【0084】
制御ダンパ21,22の旋回羽根39は、近接コントローラ23,24からの指令によって扉36,37の開放に対応した旋回角度に旋回する。また、制御ダンパ21,22は、近接コントローラ23,24からの指令によって旋回羽根39の旋回角度を扉36,37の開放直前の旋回角度に保持する。
【0085】
室内気圧制御システム10は、クリーンルーム11,12の扉36,37が開放された場合、遠隔操作コントローラ25の操作指令に従って近接コントローラ23,24が制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を扉36,37の開放に対応した旋回角度に変更または旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を扉36,37の開放直前の旋回角度に保持するから、扉36,37の開放による変動要因の発生時に遠隔操作コントローラ25を利用することで、扉36,37の開放によるそれらクリーンルーム11,12の気圧変動に追従させた状態で旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を調整することができ、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、扉36,37の開放によってクリーンルーム11,12の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、扉36,37の開放による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、クリーンルーム11,12の環境を清浄に保持することができる。
【0086】
図6は、局所排気装置28または局所給気装置29の稼動と旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)との関係の一例を示す図である。停止中の局所排気装置28または局所給気装置29が稼動し、それらクリーンルーム11,12の室内気圧を変動させる変動要因が発生したときの室内気圧コントロールを説明すると、以下のとおりである。局所排気装置28または局所給気装置29が稼動した場合、それらのON信号(稼動信号)が排気装置28(局所排気ファン43)または給気装置29(局所給気ファン45)から遠隔操作コントローラ25に出力される。
【0087】
局所排気装置28または局所給気装置29が稼動し、それら装置28,29からON信号を受信した遠隔操作コントローラ25は、それら装置28,29の稼動後の排気ダクト15,16から排気される空気の排気流量に対応し、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に保持するためのそれら制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を主記憶装置から取り出し、主記憶装置から取り出したダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(装置28,29の稼動後の排気ダクト15,16から排気される空気の排気流量に対応した旋回角度)を示す開度制御信号(操作指令)を近接コントローラ23,24に出力する操作指令第1出力手段を実行する。または、それら装置28,29からON信号を受信した遠隔操作コントローラ25は、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を装置28,29の稼動直前の旋回角度(開度)に保持する開度制御信号(操作指令)を近接コントローラ23,24に出力する操作指令第1出力手段を実行する。
【0088】
遠隔操作コントローラ25は、制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を局所排気装置28または局所給気装置29の稼動後の排気ダクト15,16から排気される空気の排気流量に対応した(装置28,29の稼動に対応した)それにする開度制御信号を近接コントローラ23,24に出力することで、制御ダンパ21,22の空気流路の開度を装置28,29の稼動後の排気ダクト15,16から排気される空気の排気流量に対応した(装置28,29の稼動に対応した)それに調整する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を局所排気装置28または局所給気装置29の稼動直前の旋回角度(開度)に保持する開度制御信号を近接コントローラ23,24に出力することで、制御ダンパ21,22の空気流路の開度を装置28,29の稼動直前のそれに調整する。
【0089】
第1および第2近接コントローラ23,24は、遠隔操作コントローラ25から開度制御信号を受信すると、開度第1調整手段を中断し、コントローラ25から出力された開度制御信号に従っての旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を局所排気装置28または局所給気装置29の稼動後の排気ダクト15,16から排気される空気の排気流量に対応した(装置28,29の稼動に対応した)旋回角度(所定の開度)に調整する開度第2調整手段を実行する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を局所排気装置28または局所給気装置29の稼動直前の旋回角度(開度)に保持する開度第2調整手段を実行する。
【0090】
第1制御ダンパ21の旋回羽根39は、第1近接コントローラ23からの指令によって局所排気装置28の稼動後の排気ダクト15から排気される空気の排気流量に対応した旋回角度に旋回する。また、制御ダンパ21は、近接コントローラ23からの指令によって旋回羽根39の旋回角度を局所排気装置28の稼動直前の旋回角度に保持する。第2制御ダンパ22の旋回羽根39は、第2近接コントローラ24からの指令によって局所給気装置29の稼動後の排気ダクト16から排気される空気の排気流量に対応した旋回角度に旋回する。また、制御ダンパ22は、近接コントローラ24からの指令によって旋回羽根39の旋回角度を局所給気装置29の稼動直前の旋回角度に保持する。
【0091】
室内気圧制御システム10は、局所排気装置28または局所給気装置29が稼動した場合、遠隔操作コントローラ25の操作指令に従って近接コントローラ23,24が制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を局所排気装置28または局所給気装置29の稼動に対応した開度に変更または旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)をそれら装置28,29の稼動直前の開度に保持するから、局所排気装置28または局所給気装置29の稼動による変動要因の発生時に遠隔操作コントローラ25を利用することで、それら装置28,29の稼動によるクリーンルーム11,12の気圧変動に追従させた状態で旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を調整することができ、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、局所排気装置28または局所給気装置29の稼動によってクリーンルーム11,12の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、局所排気装置28または局所給気装置29の稼動による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、クリーンルーム11,12の環境を清浄に保持することができる。
【0092】
図7は、局所排気装置28または局所給気装置29の停止と旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)との関係の一例を示す図である。稼動中の局所排気装置28または局所給気装置29が停止し、クリーンルーム11,12の室内気圧を変動させる変動要因が発生したときの室内気圧コントロールを説明すると、以下のとおりである。局所排気装置28または局所給気装置29が停止した場合、それらのOFF信号(停止信号)が排気装置28(局所排気ファン43)または給気装置29(局所給気ファン45)から遠隔操作コントローラ25に出力される。
【0093】
局所排気装置28または局所給気装置29が停止し、それら装置28,29からOFF信号を受信した遠隔操作コントローラ25は、それら装置28,29の停止後の排気ダクト15,16から排気される空気の排気流量に対応し、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にするためのそれら制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を主記憶装置から取り出し、主記憶装置から取り出したダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(装置28,29の停止後の排気ダクト15,16から排気される空気の排気流量に対応した旋回角度)を示す開度制御信号(操作指令)を近接コントローラ23,24に出力する操作指令第1出力手段を実行する。または、それら装置28,29からOFF信号を受信した遠隔操作コントローラ25は、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を装置28,29の停止直前の旋回角度(開度)に保持する開度制御信号(操作指令)を近接コントローラ23,24に出力する操作指令第1出力手段を実行する。
【0094】
遠隔操作コントローラ25は、制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を局所排気装置28または局所給気装置29の停止後の排気ダクト15,16から排気される空気の排気流量に対応した(装置28,29の停止に対応した)それにする開度制御信号を近接コントローラ23,24に出力することで、制御ダンパ21,22の空気流路の開度を装置28,29の停止後の排気ダクト15,16から排気される空気の排気流量に対応した(装置28,29の停止に対応した)それに調整する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を局所排気装置28または局所給気装置29の停止直前の旋回角度(開度)に保持する開度制御信号を近接コントローラ23,24に出力することで、制御ダンパ21,22の空気流路の開度を装置28,29の停止直前のそれに調整する。
【0095】
第1および第2近接コントローラ23,24は、遠隔操作コントローラ25から開度制御信号を受信すると、開度第1調整手段を中断し、コントローラ25から出力された開度制御信号に従っての旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を局所排気装置28または局所給気装置29の停止後の排気ダクト15,16から排気される空気の排気流量に対応した(装置28,29の停止に対応した)旋回角度(所定の開度)に調整する開度第2調整手段を実行する。または、旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を局所排気装置28または局所給気装置29の停止直前の旋回角度(開度)に保持する開度第2調整手段を実行する。
【0096】
第1制御ダンパ21の旋回羽根39は、第1近接コントローラ23からの指令によって局所排気装置28の停止後の排気ダクト15から排気される空気の排気流量に対応した旋回角度に旋回する。また、制御ダンパ21は、近接コントローラ23からの指令によって旋回羽根39の旋回角度を局所排気装置28の停止直前の旋回角度に保持する。第2制御ダンパ22の旋回羽根39は、第2近接コントローラ24からの指令によって局所給気装置29の停止後の排気ダクト16から排気される空気の排気流量に対応した旋回角度に旋回する。また、制御ダンパ22は、近接コントローラ24からの指令によって旋回羽根39の旋回角度を局所給気装置29の停止直前の旋回角度に保持する。
【0097】
室内気圧制御システム10は、局所排気装置28または局所給気装置29が停止した場合、遠隔操作コントローラ25の操作指令に従って近接コントローラ23,24が制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を局所排気装置28または局所給気装置29の停止に対応した開度に変更または旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)をそれら装置28,29の停止直前の開度に保持するから、局所排気装置28または局所給気装置29の停止による変動要因の発生時に遠隔操作コントローラ25を利用することで、それら装置28,29の停止によるクリーンルーム11,12の気圧変動に追従させた状態で旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を調整することができ、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができるとともに、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に保持することができる。また、局所排気装置28または局所給気装置29の停止によってクリーンルーム11,12の室内気圧が設定気圧から外れた場合でも、局所排気装置28または局所給気装置29の停止による気圧変動に対応して素早くダンパ開度を調整するから、クリーンルーム11,12の環境を清浄に保持することができる。
【0098】
遠隔操作コントローラ25は、図2〜図7に示すそれら室内気圧の変動要因の発生時において、上述したそれら開度第2調整手段を実行してから所定時間経過後、室圧センサ26,27から出力された測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、測定気圧と設定気圧との差に応じてそれら制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を微調整してそれらクリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にする操作指令をそれら近接コントローラ23,24に出力する操作指令第2出力手段を実行する。それら近接コントローラ23,24は、遠隔操作コントローラ25から出力された操作指令に従って制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を微調整する開度第3調整手段を実行する。
【0099】
操作指令第2出力手段では、遠隔操作コントローラ25がそれら室圧センサ26,27から出力された測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、測定気圧と設定気圧との差に応じてそれら制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を微調整するフィードバック制御(PD制御またはPID制御)を実行する操作指令をそれら近接コントローラ23,24に出力する。遠隔操作コントローラ25では、測定気圧と設定気圧とを比較して操作指令を近接コントローラ23,24に出力する1回の処理時間が0.1〜0.5sの範囲にある。
【0100】
室内気圧制御システム10は、変動要因の発生時において、遠隔操作コントローラ25が測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、測定気圧と設定気圧との差に応じてそれら制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を微調整するフィードバック制御を実行する操作指令をそれら近接コントローラ23,24に出力するから、遠隔操作コントローラ25を利用してクリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができる。また、変動要因が発生した後にクリーンルーム11,12の室内気圧が設定気圧の範囲内にある場合は、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に確実に保持することができる。また、操作指令第2出力手段における1回の処理時間が前記範囲にあるから、フィードバック制御のフィードバック時間を短くすることができ、変動要因の発生時において単位時間当たりに多くのフィードバックをかけることで、遠隔操作コントローラ25を利用してクリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧にスムーズかつ速やかに復帰させることができる。
【0101】
なお、発生したそれら変動要因がなくなり(変化した給排気ファン17〜20の風量が初期設定の風量に戻った場合、停止した給排気ファン17〜20が稼動した場合、開放された扉36,37が閉鎖された場合、稼動した局所排気装置28または局所給気装置29が停止した場合、停止した局所排気装置28または局所給気装置29が稼動した場合)、変動要因の非発生時に戻ると、遠隔操作コントローラ25は操作指令第1出力手段と第2操作指令出力手段とを中断し、近接コントローラ23,24は開度第2調整手段と開度第3調整手段とを中断して開度第1調整手段を再び実行する。
【0102】
また、システム10では、それら近接コントローラ23,24が開度第1調整手段を実行中に、遠隔操作コントローラ25から出力される操作指令を導出するためのコントローラ25に設定された各種条件を変更可能である。したがって、それら近接コントローラ23,24の運転を継続してクリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧に保持しつつ、遠隔操作コントローラ25において各種条件を変更する。
【0103】
室内気圧制御システム10は、変動要因の各種設定条件によって遠隔操作コントローラ25に設定された各種条件の変更が必要になった場合でも、それら近接コントローラ23,24の稼動を中断することなく開度第1調整手段を継続して実行するから、それらクリーンルーム11,12の室内気圧コントロールが中断されることはなく、クリーンルーム11,12の室内気圧を常時設定気圧に保持することができる。
【0104】
室内気圧制御システム10は、第1〜第2クリーンルーム11,12(第1〜第nクリーンルーム)の室内気圧を変動させる変動要因の発生時に、1つの遠隔操作コントローラ25が第1〜第2近接コントローラ23,24(第1〜第n近接コントローラ)をまとめて管理しつつ、コントローラ25が第1〜第2制御ダンパ21,22(第1〜第n制御ダンパ)の旋回羽根39の旋回角度(ダンパ開度)を所定の開度にする操作指令をそれら近接コントローラ23,24に出力し、それら近接コントローラ23,24がコントローラ25から出力された操作指令に従ってそれら制御ダンパ21,22の旋回羽根39の旋回角度を調整するから、各種の変動要因によってそれらクリーンルーム11,12の室内気圧が変動したとしても、クリーンルーム11,12の室内気圧を設定気圧のすることができる。
【符号の説明】
【0105】
10 室内気圧制御システム
11 第1クリーンルーム(第1気密室)
12 第2クリーンルーム(第2気密室)
13 第1給気ダクト
14 第2給気ダクト
15 第1排気ダクト
16 第2排気ダクト
17 第1給気ファン
18 第2給気ファン
19 第1排気ファン
20 第2排気ファン
21 第1制御ダンパ
22 第2制御ダンパ
23 第1近接コントローラ
24 第2近接コントローラ
25 遠隔操作コントローラ
26 第1室圧センサ
27 第2室圧センサ
28 局所排気装置
29 局所給気装置
36 扉
37 扉


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調空間を有する気密室と、前記気密室に空気を給気する給気ファンと、前記気密室から空気を排気する排気ファンと、ダンパ開度によって前記気密室から排気する空気の流量を調節可能な制御ダンパと、前記制御ダンパの近傍に設置されて前記ダンパ開度を調整する近接コントローラと、前記制御ダンパから離隔した箇所に設置されて前記近接コントローラに所定の操作指令を出力する遠隔操作コントローラと、前記気密室の室内気圧を測定してその測定気圧をそれらコントローラに出力する室圧センサとを備え、
前記気密室の室内気圧を変動させる変動要因の非発生時では、前記近接コントローラが前記室圧センサから出力された測定気圧を参照しつつ前記制御ダンパのダンパ開度を微調整して前記気密室の室内気圧を設定気圧に保持する開度第1調整手段を実行し、前記変動要因の発生時では、前記遠隔操作コントローラが前記制御ダンパのダンパ開度を所定の開度にする操作指令を前記近接コントローラに出力する操作指令第1出力手段を実行し、前記近接コントローラが前記開度第1調整手段を中断しつつ前記遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って前記制御ダンパのダンパ開度を所定の開度に調整する開度第2調整手段を実行することを特徴とする室内気圧制御システム。
【請求項2】
前記システムでは、前記近接コントローラが前記開度第1調整手段を実行中に、前記遠隔操作コントローラから出力される操作指令を導出するための該遠隔操作コントローラに設定された各種条件を変更可能であり、前記近接コントローラの運転を継続して前記気密室の室内気圧を設定気圧に保持しつつ、前記遠隔操作コントローラにおいて各種条件を変更する請求項1記載の室内気圧制御システム。
【請求項3】
前記変動要因が、稼働中の給排気ファンのうちの少なくとも一方の風量変化であり、稼働中のファンの風量が変化した場合、前記遠隔操作コントローラが、前記ダンパ開度を前記ファンの風量変化に対応した開度に変更または該ダンパ開度を風量変化直前の開度に保持する操作指令を前記近接コントローラに出力する前記操作指令第1出力手段を実行し、前記近接コントローラが、前記遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って前記制御ダンパのダンパ開度を前記ファンの風量変化に対応した開度に変更または該ダンパ開度を風量変化直前の開度に保持する前記開度第2調整手段を実行する請求項1または請求項2に記載の室内気圧制御システム。
【請求項4】
前記変動要因が、稼動中の給排気ファンのうちの少なくとも一方の停止であり、稼動中のファンが停止した場合、前記遠隔操作コントローラが、前記ダンパ開度を全閉または該ダンパ開度をファン停止直前の開度に保持する操作指令を前記近接コントローラに出力する前記操作指令第1出力手段を実行し、前記近接コントローラが、前記遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って前記制御ダンパのダンパ開度を全閉または該ダンパ開度をファン停止直前の開度に保持する前記開度第2調整手段を実行する請求項1ないし請求項3いずれかに記載の室内気圧制御システム。
【請求項5】
前記変動要因が、前記気密室に設置された扉の開放であり、前記扉が開放された場合、前記遠隔操作コントローラが、前記ダンパ開度を前記扉の開放に対応した開度に変更または該ダンパ開度を扉の開放直前の開度に保持する操作指令を前記近接コントローラに出力する前記操作指令第1出力手段を実行し、前記近接コントローラが、前記遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って前記制御ダンパのダンパ開度を前記扉の開放に対応した開度に変更または該ダンパ開度を扉の開放直前の開度に保持する前記開度第2調整手段を実行する請求項1ないし請求項4いずれかに記載の室内気圧制御システム。
【請求項6】
前記変動要因が、前記気密室に設置された停止中の局所排気装置または局所給気装置の稼動であり、停止中の局所排気装置または局所給気装置が稼動した場合、前記遠隔操作コントローラが、前記ダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の稼動に対応した開度に変更または該ダンパ開度をそれら装置の稼動直前の開度に保持する操作指令を前記近距離コントローラに出力する前記操作指令第1出力手段を実行し、前記近接コントローラが、前記遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って前記制御ダンパのダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の稼動に対応した開度に変更または該ダンパ開度をそれら装置の稼動直前の開度に保持する前記開度第2調整手段を実行する請求項1ないし請求項5いずれかに記載の室内気圧制御システム。
【請求項7】
前記変動要因が、前記気密室に設置された稼動中の局所排気装置または局所給気装置の停止であり、稼動中の局所排気装置または局所給気装置が停止した場合、前記遠隔操作コントローラが、前記ダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の停止に対応した開度に変更または該ダンパ開度をそれら装置の停止直前の開度に保持する操作指令を前記近距離コントローラに出力する前記操作指令第1出力手段を実行し、前記近接コントローラが、前記遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って前記制御ダンパのダンパ開度を局所排気装置または局所給気装置の停止に対応した開度に変更または該ダンパ開度をそれら装置の停止直前の開度に保持する前記開度第2調整手段を実行する請求項1ないし請求項6いずれかに記載の室内気圧制御システム。
【請求項8】
前記開度第1調整手段では、前記近接コントローラが前記室圧センサから出力された測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、前記測定気圧と前記設定気圧との差に応じて前記制御ダンパのダンパ開度を微調整し、前記気密室の室内気圧を設定気圧に保持する請求項1ないし請求項7いずれかに記載の室内気圧制御システム。
【請求項9】
前記開度第1調整手段では、前記測定気圧と前記設定気圧とを比較して前記制御ダンパのダンパ開度を微調整する1回の処理時間が0.1〜0.5sの範囲にある請求項8記載の室内気圧制御システム。
【請求項10】
前記変動要因の発生時では、前記開度第2調整手段を実行して所定時間経過した後、前記遠隔操作コントローラが前記室圧センサから出力された測定気圧と設定気圧とを比較しつつ、前記測定気圧と前記設定気圧との差に応じて前記制御ダンパのダンパ開度を微調整して前記気密室の室内気圧を設定気圧にする操作指令を前記近接コントローラに出力する操作指令第2出力手段を実行し、前記近接コントローラが前記遠隔操作コントローラから出力された操作指令に従って前記制御ダンパのダンパ開度を微調整する開度第3調整手段を実行する請求項1ないし請求項9いずれかに記載の室内気圧制御システム。
【請求項11】
前記操作指令第2出力手段では、前記測定気圧と前記設定気圧とを比較して操作指令を出力する1回の処理時間が0.1〜0.5sの範囲にある請求項10記載の室内気圧制御システム。
【請求項12】
前記システムでは、発生した前記変動要因がなくなって該変動要因の非発生時に戻ると、前記遠隔操作コントローラが前記操作指令第1出力手段と前記操作指令第2出力手段とを中断し、前記近接コントローラが前記開度第2調整手段と前記開度第3調整手段とを中断して前記開度第1調整手段を再び実行する請求項10または請求項11に記載の室内気圧制御システム。
【請求項13】
前記システムが、独立した複数の第1〜第n気密室と、それら気密室に空気を給気する第1〜第n給気ファンと、それら気密室から空気を排気する第1〜第n排気ファンと、それら気密室から排気する空気の流量を調節可能な第1〜第n制御ダンパと、それら制御ダンパの近傍に設置された第1〜第n近接コントローラと、それら気密室の室内気圧を測定してその測定気圧を前記第1〜第n近接コントローラと遠隔操作コントローラとに出力する第1〜第n室圧センサとを含み、1つの前記遠隔操作コントローラが、前記第1〜第n近接コントローラに所定の操作指令を個別に出力する請求項1ないし請求項12いずれかに記載の室内気圧制御システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−78044(P2012−78044A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225384(P2010−225384)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(591023479)ダイダン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】