説明

室内照度制御装置、及びプログラム

【課題】室外の照度が大きくても、室内の照度の制御をより安定して行う。
【解決手段】室外31と室内30との間に設けられ、かつ室外から室内30に入射される光の透過率が制御可能な調光手段としての調光ガラス(フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20)と、睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度Lを時間経過に応じて記憶したHDD24bとを備え、室内30の照度Lを検出し、検出された現在の室内30の照度L、HDD24bに記憶された現在時間の目標照度L、及び調光ガラスの現在の透過率τに基づいて、室内30の照度Lが現在時間の目標照度Lとなるように、調光ガラスの光の透過率を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内照度制御装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寝室などの室内において、睡眠及び睡眠からの起床に適した照度の制御を行う睡眠起床サポートシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の睡眠起床サポートシステムでは、室内の照度が、真っ暗となるような所定値以下である場合に、光源から発せられる光の光量を調整することによって、睡眠及び睡眠からの起床に適した室内の照度の制御を行う。
【特許文献1】特開2005−334283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の睡眠起床サポートシステムでは、光源から発せられる光の光量を調整することにより室内の照度の制御を行っているので、室外の照度と室内の照度とに所定の関係があり、室外の照度が大きい場合には室内の照度も大きくなるようなケース(例えば、日中の室外からの太陽光が室内の窓から差し込んできて、室内の照度が所定値以上となるケースや、室外から差し込んでくる太陽光を遮るために室内の窓周辺にカーテンが設けられているものの、このカーテンの厚さが薄く、太陽光を十分に遮ることができず、カーテンを閉めても室内の照度が所定値以上となるケース等)には、室内の照度をより小さく、すなわち室内をより暗くするような制御を行うことができなくなり、睡眠及び睡眠からの起床に適した室内の照度の制御を行うことができなくなる、という問題がある。
【0004】
本発明は上述した問題点を解決するために成されたものであり、室外の照度が大きくても、室内の照度の制御をより安定して行うことができる室内照度制御装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の発明に係る室内照度制御装置は、室外と室内との間に設けられ、かつ前記室外から前記室内に入射される光の透過率が制御可能な調光手段と、睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度を時間経過に応じて記憶した記憶手段と、前記室内の照度を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された現在の前記室内の照度、前記記憶手段に記憶された現在時間の目標照度、及び前記調光手段の現在の前記透過率に基づいて、前記室内の照度が、該現在時間の目標照度となるように、前記調光手段の光の透過率を制御する制御手段とを含んで構成されている。
【0006】
第1の発明に係る室内照度制御装置によれば、室内の照度が現在時間の目標照度となるように、調光手段(例えば、調光ガラス)の光の透過率を制御しているので、室外の照度が大きくても、従来の技術と比較して、室内の照度の制御をより安定して行うことができる。
【0007】
また、上記目的を達成するために、第2の発明に係る室内照度制御装置は、室外と室内との間に設けられ、かつ前記室外から前記室内に入射される光の透過率が制御可能な調光手段と、睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度を時間経過に対応させた照度変化パターンを複数記憶した記憶手段と、前記室内に存在する人物の疲労度を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定された疲労度に応じて、前記記憶手段に記憶された複数の照度変化パターンの中から、前記人物が睡眠及び睡眠からの起床をするために適した照度変化パターンを選択する選択手段と、前記室内の照度を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された現在の前記室内の照度、前記選択手段によって選択された照度変化パターンの現在時間の目標照度、及び前記調光手段の現在の前記透過率に基づいて、前記室内の照度が、該現在時間の目標照度となるように、前記調光手段の光の透過率を制御する制御手段とを含んで構成されている。
【0008】
第2の発明に係る室内照度制御装置によれば、室内の照度が現在時間の目標照度となるように、調光手段(例えば、調光ガラス)の光の透過率を制御しているので、室外の照度が大きくても、従来の技術と比較して、室内の照度の制御をより安定して行うことができる。
【0009】
更に、第2の発明に係る室内照度制御装置によれば、室内に存在する人物の疲労度に応じて、この人物が睡眠及び睡眠からの起床をするために適した照度変化パターンが選択されるので、室内に存在する人物にとって、より快適な睡眠及び起床をすることが可能となる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、第3の発明に係るプログラムは、コンピュータを室外と室内との間に設けられ、かつ前記室外から前記室内に入射される光の透過率が制御可能な調光手段の現在の前記透過率、睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度を時間経過に応じて記憶した記憶手段に記憶された現在時間の目標照度、及び現在の前記室内の照度に基づいて、前記室内の照度が、該現在時間の目標照度となるように、前記調光手段の光の透過率を制御する制御手段として機能させる。
【0011】
第3の発明に係るプログラムによれば、室内の照度が現在時間の目標照度となるように、調光手段(例えば、調光ガラス)の光の透過率を制御しているので、室外の照度が大きくても、従来の技術と比較して、室内の照度の制御をより安定して行うことができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、第4の発明に係るプログラムは、コンピュータを室内に存在する人物の疲労度を推定する推定手段、前記推定手段によって推定された疲労度に応じて、睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度を時間経過に対応させた照度変化パターンを複数記憶した記憶手段に記憶された複数の照度変化パターンの中から、前記人物が睡眠及び睡眠からの起床をするために適した照度変化パターンを選択する選択手段、室外と室内との間に設けられ、かつ前記室外から前記室内に入射される光の透過率が制御可能な調光手段の現在の前記透過率、現在の室内の照度、前記選択手段によって選択された照度変化パターンの現在時間の目標照度に基づいて、前記室内の照度が、該現在時間の目標照度となるように、前記調光手段の光の透過率を制御する制御手段として機能させる。
【0013】
第4の発明に係るプログラムによれば、室内の照度が現在時間の目標照度となるように、調光手段(例えば、調光ガラス)の光の透過率を制御しているので、室外の照度が大きくても、従来の技術と比較して、室内の照度の制御をより安定して行うことができる。
【0014】
更に、第4の発明に係るプログラムによれば、室内に存在する人物の疲労度に応じて、この人物が睡眠及び睡眠からの起床をするために適した照度変化パターンが選択されるので、室内に存在する人物にとって、より快適な睡眠及び起床をすることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る室内照度制御装置、及びプログラムによれば、室外の照度が大きくても、室内の照度の制御をより安定して行うことができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を車両に適用した場合の室内照度制御装置の各実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る室内照度制御装置10は、車両12に搭載されている。室内照度制御装置10は、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、リアガラス20、照度計22、制御装置24、駆動装置26、及び操作部28を備えている。
【0018】
照度計22は、車両12の室内30の照度を検出して、室内30の照度を表す検出信号を制御装置24に出力する。なお、照度計22は本発明の検出手段に対応する。
【0019】
操作部28は、車両12に乗車している人物(例えば、ドライバ32)からの指示を受け付けることが可能な位置に設けられている。なお、以下、車両12に乗車している人物として、ドライバ32を例に挙げて説明する。操作部28は、例えば、タッチパネルを含んで構成されており、このタッチパネルからドライバ32の指示を受け付けることが可能となっている。操作部28は、受け付けた指示を制御装置24へ出力する。
【0020】
フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の各々は、車両12の室内30と室外31との間に設けられている。また、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の各々は、調光ガラスであり、駆動装置26を介した制御装置24の制御によって第1の所定値、例えば0%から、第2の所定値、例えば100%までの範囲内で透過率が調整(制御)される。なお、これらフロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20として、透過率が調整可能な調光ガラスであればどのような調光ガラスを用いてもよいが、本実施の形態では、例えば、二つの電極と、この二つの電極の間に挿入された液晶層とを含んで構成された液晶フイルム(図示しない)を備えた調光ガラスが用いられる。このような調光ガラスは、周知のものであり、印可された電圧に応じて液晶分子の配光性が変化することにより、光の透過率が制御される。すなわち、印可する電圧の値を制御することにより、透過率を制御することが可能となる。従って、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の各々によって、室外31から室内30に入射される光の透過率が制御可能となる。なお、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20は、本発明の調光手段に対応する。
【0021】
駆動装置26は、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、リアガラス20、及び制御装置24に接続されている。駆動装置26は、制御装置24によって制御されて、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の各々の透過率を制御する。より具体的には、例えば、駆動装置26は、まず、制御装置24から入力された制御信号を解析して、「得ようとする透過率」を取得する。そして、駆動装置26は、予め定められた「透過率」と「印可する電圧の値」との対応関係が登録されたテーブル(図示しない)から、「得ようとする透過率」に対応する「印可する電圧の値」を取得して、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の各々の液晶フイルムに、この取得した「印可する電圧の値」の電圧を印可する。これにより、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の各々の透過率が「得ようとする透過率」となる。
【0022】
照度計22、駆動装置26、及び操作部28は、制御装置24に接続されている。制御装置24には、操作部28が受け付けたドライバ32の指示、及び照度計22の検出信号が入力される。また、制御装置24は、駆動装置26に「得ようとする透過率」を表す制御信号を出力することにより、駆動装置26を制御すると共に、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の透過率を制御する。
【0023】
制御装置24は、ROM(Read Only Memory)24a、HDD(Hard Disk Drive)24b、CPU(Central Processing Unit)24c、RAM(Random Access Memory)24d、及びI/O(入出力)ポート24eを備えている。これらROM24a、HDD24b、CPU24c、RAM24d、及びI/Oポート24eは互いにバス24fで接続されている。
【0024】
記憶媒体としてのROM24aには、OS等の基本プログラムが記憶されている。
【0025】
記憶媒体としてのHDD24bには、詳細を以下で説明する第1の室内照度制御処理の処理ルーチンを実行するためのプログラムが記憶されている。
【0026】
また、HDD24bには、図3に示されるような、睡眠及び睡眠からの起床を適切に行うための照度の変化のパターンである照度変化パターン34が記憶されている。この照度変化パターン34は、対応する時間経過(図3の横軸)における睡眠及び睡眠からの起床に適した照度である目標照度(図3の縦軸)を表している。すなわち、照度変化パターン34は、睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度を時間経過に対応させたものである。図3に示す例では、例えば、室内30に存在するドライバ32の睡眠を導くために、時間経過が0〜5分の間では、室内30の目標照度を100(lx)として、そして、時間経過が5〜10分の間では、徐々に照度が小さくなるように、1分間に目標照度を20(lx)ずつ小さくしている。なお、室外31の照度は日中では100000(lx)以上になる場合がある。そして、ドライバ32が深い眠りにつけるように、時間経過が10〜22分の間では、室内30の目標照度を20(lx)としている。そして、ドライバ32が快適な起床を得られるようにするために、時間経過が20〜35分の間では、1分間に目標照度を40(lx)ずつ大きくしている。
【0027】
なお、照度変化パターン34は、人間にとって睡眠及び睡眠からの起床に適しているような照度のパターンを、実験的に予め取得しておくことによって得ることが可能である。
【0028】
また、予めHDD24bに記憶されている照度変化パターンの一例として図3に示すような照度変化パターン34について説明したが、本発明は、このような照度変化パターンに限られず、睡眠及び睡眠からの起床に適しているような照度のパターンであれば、どのようなパターンを用いてもよい。
【0029】
CPU24cは、プログラムをROM24a及びHDD24bから読み出して実行する。
【0030】
RAM24dには、各種データが一時的に記憶される。
【0031】
I/Oポート24eには、上述した照度計22、駆動装置26、及び操作部28が接続されている。
【0032】
制御装置24を以下で詳細を説明する第1の室内照度制御処理に従って機能ブロックで表すと、図4に示すように、記憶手段36、検出手段38、及び制御手段40で表すことができる。なお、記憶手段36は、HDD24b(及びRAM24d)に対応する。
【0033】
次に、制御装置24のCPU24cが実行する第1の室内照度制御処理の処理ルーチンについて図5を用いて説明する。なお、本実施の形態において、第1の室内照度制御処理は、ドライバ32が仮眠を行うために操作部28の操作パネルを操作することにより、第1の室内照度制御処理を実行する指示を操作部28が受け付けて、操作部28から当該指示をCPU24cが受信した場合に実行される。
【0034】
まず、ステップ100で、時間を計測するためのタイマーによる時間の計測をスタート(開始)させる。これにより、時間の計測が開始される。なお、このようなタイマーは周知の技術であり、本実施の形態では、例えば、1秒単位で時間を計測するためのタイマーを用いる。
【0035】
次のステップ102では、HDD24bから照度変化パターン34を読み込み、照度変化パターン34をRAM24dに記憶する。
【0036】
次のステップ104では、第1の室内照度制御処理を実行させてから所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間として、照度変化パターン34の終了の時間(例えば、図3の例では35分)が用いられる。これにより、ステップ104では、第1の室内照度制御処理を終了するか否かを判定することが可能となる。
【0037】
ステップ104で、所定時間(すなわち終了の時間)が経過していないと判定された場合には、次のステップ106へ進む。
【0038】
ステップ106では、上記ステップ100で計測が開始されたタイマーによる現在の経過時間(以下、現在時間と称する)を取得して、取得した経過時間に対応する目標照度Lを、RAM24dに記憶された照度変化パターン34から取得する。例えば、図3の例では、現在の経過時間が5分であれば、ステップ106では目標照度Lとして100(lx)の値が取得され、現在の経過時間が10分であれば、ステップ106では目標照度Lとして20(lx)の値が取得される。すなわち、ステップ106では、現在時間の目標照度Lが取得される。
【0039】
次のステップ108では、照度計22から出力された室内30の照度を表す検出信号を取り込む。なお、ステップ108で取り込んだ検出信号から、室内30の照度を算出することができる。
【0040】
次のステップ110では、上記ステップ108で取り込んだ検出信号から、室内30の照度(室内照度)Lを算出する。
【0041】
すなわち、ステップ108〜ステップ110での処理によって、室内30の照度が検出される。なお、ステップ108〜ステップ110は本発明の検出手段に対応する。
【0042】
次のステップ112では、上記ステップ106で取得された直近の目標照度L(最も新しく取得された目標照度L)と、上記ステップ110で算出された直近の室内照度L(最も新しく算出された室内照度L)との差の絶対値|L−L|が、所定値δより小さいか否かを判定する。
【0043】
なお、例えば、実験的に、室内30の照度を次々に変化させて、室内30にいる人間が、室内30の照度が変化していないと感じる際の変化量の最大値を、所定値δとして予め設定しておけばよい。
【0044】
ステップ112で、上記ステップ106で取得された直近の目標照度Lと、上記ステップ110で算出された直近の室内照度Lとの差の絶対値|L−L|が、所定値δより小さいと判定された場合には、現在の室内30の照度は目標照度Lであるか、または、目標照度Lに非常に近いと判断して、上記ステップ104へ戻り、ステップ104以降の処理を再び実行する。
【0045】
一方、ステップ112で、上記ステップ106で取得された直近の目標照度Lと、上記ステップ110で算出された直近の室内照度Lとの差の絶対値|L−L|が、所定値δ以上であると判定された場合には、現在の室内30の照度は目標照度Lと大きく異なると判断して、次のステップ114へ進む。
【0046】
ステップ114では、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の現在の透過率τを取得する。なお、ステップ114では、下記のステップ116を未だに実行していない場合には、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の透過率の初期値である(0.8)の値(80%を表す値)を現在の透過率τとして取得する。また、ステップ114では、下記のステップ116を一度でも実行した場合には、当該ステップ116で演算された直近の新たな透過率τ(最も新しくステップ116で演算された新たな透過率τ)を現在の透過率τとして取得する。
【0047】
次のステップ116では、下記の式(1)に示すように、上記ステップ114で取得された現在の透過率τと、上記ステップ106で取得された直近の目標照度Lを上記ステップ110で算出された直近の室内照度Lで除算した値(L/L)とを乗算した値(τ・(L/L))を新たな透過率τとして演算する。
【0048】
【数1】

【0049】
次のステップ118では、「得ようとする透過率」として、上記ステップ116で演算された直近の新たな透過率τ(最も新しくステップ116で演算された新たな透過率τ)を表す制御信号を駆動装置26に出力する。これにより、駆動装置26によって、上記ステップ116で演算された直近の新たな透過率τに対応する「印可する電圧の値」が上記のテーブル(図示しない)から取得されて、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の各々の液晶フイルムに、この取得した「印可する電圧の値」の電圧が印可されて、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の各々の透過率が新たな透過率τとなるように制御される。そして、上記ステップ108へ戻り、以降の処理を再び実行する。
【0050】
以上、説明したように、上記ステップ104〜118の処理によって、室内30の照度Lを検出し、検出された現在の室内30の照度L、HDD24b(及びRAM24d)に記憶された現在時間の目標照度L、並びにフロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の現在の透過率τに基づいて、室内30の照度Lが現在時間の目標照度Lとなるように、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の光の透過率が制御される。これにより、室外31の照度が大きくても、従来の技術と比較して、室内30の照度の制御をより安定して行うことができる。
【0051】
一方、ステップ104で、所定時間(すなわち終了の時間)が経過したと判定された場合には、次のステップ120へ進む。ステップ120では、上記ステップ102で時間の計測をスタートさせたタイマーによる時間の計測を終了する。次のステップ122では、「得ようとする透過率」として、所定値、例えば(0.8)の値(80%を表す値)を表す制御信号を駆動装置26に出力する。これにより、駆動装置26は、透過率(0.8)に対応する「印可する電圧の値」を上記のテーブル(図示しない)から取得して、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の各々の液晶フイルムに、この取得した「印可する電圧の値」の電圧を印可する。この駆動装置26の動作により、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の各々の透過率が(0.8)となるように制御される。そして、室内照度制御処理を終了する。
【0052】
なお、ステップ100〜106、ステップ112〜122は、制御手段40で実行され、ステップ108〜110は検出手段38で実行される。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態に係る室内照度制御装置10は、室外31と室内30との間に設けられ、かつ室外から室内30に入射される光の透過率が制御可能な調光手段としての調光ガラス(フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20)と、睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度Lを時間経過に応じて記憶した記憶手段としてのHDD24bとを備え、室内30の照度Lを検出し、検出された現在の室内30の照度L、HDD24b(及びRAM24d)に記憶された現在時間の目標照度L、並びにフロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の現在の透過率τに基づいて、室内30の照度Lが現在時間の目標照度Lとなるように、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の光の透過率を制御する。これにより、室外31の照度が大きくても、従来の技術と比較して、室内30の照度の制御をより安定して行うことができる。
【0054】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成及び同様の処理については、同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態において、第1の実施の形態と異なる点について以下説明する。第1の実施の形態では、HDD24bに記憶された照度変化パターン34を室内照度制御処理のステップ102で読み込んで、RAM24dに記憶して、ステップ104以降の処理においてRAM24dに記憶された照度変化パターン34を適宜用いて処理を行う例について説明したが、本実施の形態では、HDD24bに、複数の照度変化パターンが記憶されており、車両12に乗車している人物(例えば、ドライバ32)の疲労度を推定し、推定された疲労度に基づいて、この人物にとって睡眠及び睡眠からの起床に最も適した照度変化パターンを複数の照度変化パターンの中から選択し、選択した照度変化パターンをRAM24dに記憶して、ステップ104以降の処理においてRAM24dに記憶された照度変化パターン34を適宜用いて処理を行う点が第1の実施の形態と異なる。
【0055】
図6に示すように、ドライバ32の運転走行距離及び運転走行時間に応じて複数N段階の疲労度を推定するための疲労度推定テーブル52がHDD24bに記憶されている。図6の例では、N=3であり、同図には、3段階の疲労度を推定するための疲労度推定テーブル52が示されている。同図の例では、ドライバ32の運転走行距離xが0km以上100km未満または運転走行時間Tが0分以上60分未満の場合には、対応するレコード52aの疲労度が登録されるフィールド52bに、ドライバ32の疲労度を表す”A”、”B”、”C”のうちの”A”が登録されている。なお、本実施の形態では、”A”は最も疲労が小さいことを示し、”B”、”C”と進むにつれて、疲労が大きくなっていくことを示すものとする。また、ドライバ32の運転走行距離xが100km以上200km未満または運転走行時間Tが60分以上120分未満の場合には、対応するレコード52aのフィールド52bに”B”が登録されている。また、ドライバ32の運転走行距離xが200km以上または運転走行時間Tが120分以上の場合には、対応するレコード52aのフィールド52bに”C”が登録されている。
【0056】
また、図7に示すように、本実施の形態では、HDD24bに複数のN個、例えば3個の異なる照度変化パターン34a、34b、34cが記憶されている。本実施の形態において、図7(A)に示すような、この照度変化パターン34aは、ドライバ32の疲労度が上述した”A”の場合に、ドライバ32が睡眠及び睡眠から起床するための照度変化のパターンとして最も適切なパターンとなるように、予め実験的または統計的に生成されたものである。同様に、図7(B)に示すような、照度変化パターン34bは、ドライバ32の疲労度が上述した”B”の場合に、ドライバ32が睡眠及び睡眠から起床するための照度変化のパターンとして最も適切なパターンとなるように、予め実験的または統計的に生成されたものであり、図7(C)に示すような、照度変化パターン34cは、ドライバ32の疲労度が上述した”C”の場合に、ドライバ32が睡眠及び睡眠から起床するための照度変化のパターンとして最も適切なパターンとなるように、予め実験的または統計的に生成されたものである。すなわち、HDD24bには、各疲労度に対応する照度変化パターン34が記憶されている。
【0057】
また、HDD24bには、詳細を以下で説明する第2の室内照度制御処理の処理ルーチンを実行するためのプログラムが記憶されている。
【0058】
本実施の形態における制御装置24を以下で詳細を説明する第2の室内照度制御処理に従って機能ブロックで表すと、図8に示すように、記憶手段36、検出手段38、推定手段42、選択手段44、及び制御手段40で表すことができる。
【0059】
次に、制御装置24のCPU24cが実行する第2の室内照度制御処理の処理ルーチンについて図9を用いて説明する。なお、本実施の形態において、第2の室内照度制御処理は、ドライバ32が仮眠を行うために操作部28の操作パネルを操作することにより、第2の室内照度制御処理を実行する指示を操作部28が受け付けて、操作部28から当該指示をCPU24cが受信した場合に実行される。
【0060】
まず、ステップ100で、上記と同様に、時間を計測するためのタイマーによる時間の計測をスタート(開始)させる。そして、次のステップ200で、ドライバ32の疲労度を推定する。ここで、ドライバ32の疲労度の推定方法については様々な方法が考えられるが、本実施の形態では、ドライバ32の運転走行距離または運転走行時間を求め、疲労度推定テーブル52において、この求められた運転走行距離または運転走行時間が登録されているレコード52aのフィールド52bに登録されている疲労度(本実施の形態では、”A”、”B”、”C”の三段階の疲労度)を取得して、取得した疲労度をドライバ32の疲労度として推定する。
【0061】
次のステップ202では、上記ステップ200で推定したドライバ32の疲労度に対応する適切な照度変化パターン34を選択する。本実施の形態では、例えば、上記ステップ200で推定したドライバ32の疲労度が”A”である場合には、ステップ202で、照度変化パターン34aが選択される。同様に、上記ステップ200で推定したドライバ32の疲労度が”B”である場合には、ステップ202で、照度変化パターン34bが選択され、上記ステップ200で推定したドライバ32の疲労度が”C”である場合には、ステップ202で、照度変化パターン34cが選択される。
【0062】
次のステップ204では、上記ステップ202で選択された照度変化パターン34をRAM24dに記憶する。そして、ステップ104へ進む。なお、以降の処理では、適宜、RAM24dに記憶された照度変化パターン34が用いられる。
【0063】
ここで、ステップ100、104、106、ステップ112〜122は、制御手段40で実行され、ステップ108〜110は検出手段38で実行され、ステップ200は推定手段42で実行され、ステップ202〜204は選択手段44で実行される。
【0064】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る室内照度制御装置10は、室外31と室内30との間に設けられ、かつ室外31から室内30に入射される光の透過率が制御可能な調光手段としての調光ガラス(フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20)と、睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度Lを時間経過に対応させた照度変化パターン34を複数記憶した記憶手段としてのHDD24bとを備え、室内30に存在する人物(本実施の形態ではドライバ32)の疲労度を推定し、推定された疲労度に応じて、HDD24bに記憶された複数の照度変化パターン34の中から、ドライバ32が睡眠及び睡眠からの起床をするために適した照度変化パターン34を選択し、室内30の照度Lを検出し、検出された現在の室内30の照度L、選択された照度変化パターン34の現在時間の目標照度L、並びにフロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の現在の透過率τに基づいて、室内30の照度Lが、現在時間の目標照度Lとなるように、フロントガラス14、フロントサイドガラス16、リアサイドガラス18、及びリアガラス20の光の透過率を制御する。これにより、室外31の照度が大きくても、従来の技術と比較して、室内30の照度の制御をより安定して行うことができる。
【0065】
更に、第2の実施の形態に係る室内照度制御装置10によれば、室内30に存在する人物(本実施の形態ではドライバ32)の疲労度に応じて、この人物が睡眠及び睡眠からの起床をするために適した照度変化パターン34が選択されるので、室内30に存在する人物にとって、より快適な睡眠及び起床をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1の実施の形態に係る室内照度制御装置を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る室内照度制御装置を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る照度変化パターンを説明するための図である。
【図4】第1の実施の形態に係る制御装置を機能的に表した図である。
【図5】第1の実施の形態に係る制御装置が実行する第1の室内照度制御処理の処理ルーチンのフローチャートを示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る疲労度推定テーブルの模式図である。
【図7】第2の実施の形態に係る照度変化パターンを説明するための図である。
【図8】第2の実施の形態に係る制御装置を機能的に表した図である。
【図9】第2の実施の形態に係る制御装置が実行する第2の室内照度制御処理の処理ルーチンのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10 室内照度制御装置
12 車両
14 フロントガラス
16 フロントサイドガラス
18 リアサイドガラス
20 リアガラス
22 照度計
24 制御装置
26 駆動装置
28 操作部
30 室内
31 室外
36 記憶手段
38 検出手段
40 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外と室内との間に設けられ、かつ前記室外から前記室内に入射される光の透過率が制御可能な調光手段と、
睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度を時間経過に応じて記憶した記憶手段と、
前記室内の照度を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された現在の前記室内の照度、前記記憶手段に記憶された現在時間の目標照度、及び前記調光手段の現在の前記透過率に基づいて、前記室内の照度が、該現在時間の目標照度となるように、前記調光手段の光の透過率を制御する制御手段と、
を含む室内照度制御装置。
【請求項2】
室外と室内との間に設けられ、かつ前記室外から前記室内に入射される光の透過率が制御可能な調光手段と、
睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度を時間経過に対応させた照度変化パターンを複数記憶した記憶手段と、
前記室内に存在する人物の疲労度を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された疲労度に応じて、前記記憶手段に記憶された複数の照度変化パターンの中から、前記人物が睡眠及び睡眠からの起床をするために適した照度変化パターンを選択する選択手段と、
前記室内の照度を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された現在の前記室内の照度、前記選択手段によって選択された照度変化パターンの現在時間の目標照度、及び前記調光手段の現在の前記透過率に基づいて、前記室内の照度が、該現在時間の目標照度となるように、前記調光手段の光の透過率を制御する制御手段と、
を含む室内照度制御装置。
【請求項3】
コンピュータを
室外と室内との間に設けられ、かつ前記室外から前記室内に入射される光の透過率が制御可能な調光手段の現在の前記透過率、睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度を時間経過に応じて記憶した記憶手段に記憶された現在時間の目標照度、及び現在の前記室内の照度に基づいて、前記室内の照度が、該現在時間の目標照度となるように、前記調光手段の光の透過率を制御する制御手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項4】
コンピュータを
室内に存在する人物の疲労度を推定する推定手段、
前記推定手段によって推定された疲労度に応じて、睡眠及び睡眠からの起床に適した目標照度を時間経過に対応させた照度変化パターンを複数記憶した記憶手段に記憶された複数の照度変化パターンの中から、前記人物が睡眠及び睡眠からの起床をするために適した照度変化パターンを選択する選択手段、
室外と室内との間に設けられ、かつ前記室外から前記室内に入射される光の透過率が制御可能な調光手段の現在の前記透過率、現在の室内の照度、前記選択手段によって選択された照度変化パターンの現在時間の目標照度に基づいて、前記室内の照度が、該現在時間の目標照度となるように、前記調光手段の光の透過率を制御する制御手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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