説明

室内用効能成分供給装置

【課題】室内用効能成分供給装置の小型化を達成する。
【解決手段】室内用効能成分供給装置10のメインユニット14には、芳香成分を含む渦輪V1を発射する空気砲11が設けられるとともに、渦輪V1に衝突させるための渦輪V2を発射する空気砲12が設けられている。また、メインユニット14には芳香成分を発生させる芳香供給ユニット16が組み込まれており、この芳香供給ユニット16は空気砲11と空気砲12との間に設置されている。このように、メインユニット14に対して芳香供給ユニットや空気砲11,12を一体に設けることにより、室内用効能成分供給装置10の小型化を達成することが可能となる。しかも、間隔を空けて配置する必要がある空気砲11と空気砲12との間に芳香供給ユニット16を設置したので、スペースを有効に利用して室内用効能成分供給装置10の小型化を達成することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に効能成分を供給する室内用効能成分供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の環境を良好に保つため、芳香成分や湿気成分等(以下、効能成分という)を室内に供給する供給装置が提案されている。しかしながら、室内に多量の効能成分を充満させてしまうことは、利用者に対して効果的に効能成分を供給するものではなかった。そこで、利用者に向けて発射される渦輪に対して効能成分を含めるようにした供給装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この供給装置を用いることにより、効能成分を局所的に供給することができるため、利用者に対して効果的に効能成分を供給することが可能となる。
【特許文献1】特開2004−81851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、利用者に対して渦輪を直接当ててしまうと、風圧による違和感を与えてしまうおそれがある。そこで、複数の渦輪を互いに衝突させて消滅させることにより、利用者に対する違和感を解消することが考えられている。しかしながら、互いに衝突させるために複数の渦輪を発射させる構造は、供給装置の大型化を招く要因となっていた。
【0004】
本発明の目的は、室内用効能成分供給装置の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の室内用効能成分供給装置は、第1空気渦とこれに衝突させる第2空気渦とを所定位置に向けて発射し、前記第1空気渦と前記第2空気渦との少なくともいずれか一方に含まれる効能成分を所定位置で拡散させるメインユニットを有し、前記メインユニットには、前記第1空気渦を発射する第1発射手段と、前記第2空気渦を発射する第2発射手段と、前記第1発射手段と前記第2発射手段との少なくともいずれか一方に効能成分を供給する成分供給手段とが一体に設けられることを特徴とする。
【0006】
本発明の室内用効能成分供給装置は、前記成分供給手段は、前記第1発射手段と前記第2発射手段との間に設置されることを特徴とする。
【0007】
本発明の室内用効能成分供給装置は、前記成分供給手段は、芳香成分を供給する芳香供給部と、オゾンを供給するオゾン供給部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の室内用効能成分供給装置は、前記オゾン供給部は、前記芳香供給部にオゾンを供給する第1消臭モードと、室内にオゾンを放出する第2消臭モードとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の室内用効能成分供給装置は、前記メインユニットは、複数の発射位置に回動自在に設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明の室内用効能成分供給装置は、前記第1発射手段と前記第2発射手段との少なくともいずれか一方は、前記メインユニットのベース部材に対して回動自在に設けられ、前記第1発射手段と前記第2発射手段との少なくともいずれか一方を回動させることにより、前記第1空気渦と前記第2空気渦とが衝突するまでの飛行距離を可変させることを特徴とする。
【0011】
本発明の室内用効能成分供給装置は、利用者の位置を検出する位置検出手段を有し、前記前記第1発射手段と前記第2発射手段との少なくともいずれか一方は、前記位置検出手段からの位置情報に基づいて回動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メインユニットに、第1空気渦を発射する第1発射手段と、第2空気渦を発射する第2発射手段と、第1発射手段と第2発射手段との少なくともいずれか一方に効能成分を供給する成分供給手段とを一体に設けるようにしたので、室内用効能成分供給装置の小型化を達成することが可能となる。
【0013】
しかも、間隔を空けて配置する必要がある第1発射手段と第2発射手段との間に成分供給手段を設置したので、スペースを有効に利用して室内用効能成分供給装置の小型化を達成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である室内用効能成分供給装置10(以下、供給装置という)の利用状況を示す説明図である。また、図2は供給装置10の構成を示すブロック図であり、図3(A)および(B)は供給装置10が備える空気砲11,12の内部構造を示す説明図である。
【0015】
図1に示すように、事務室等の室内に配置される机13には、作業者(利用者)Wに芳香成分を供給する供給装置10が設置されている。図2に示すように、供給装置10にはメインユニット14が設けられており、メインユニット14の一端部には第1発射手段としての空気砲11が固定され、メインユニット14の他端部には第2発射手段としての空気砲12が固定されている。また、空気砲11からは芳香成分を含んだ空気の渦輪(第1空気渦)V1が発射されており、空気砲12からは空気の渦輪(第2空気渦)V2が発射されている。これらの渦輪V1,V2は、作業者Wの鼻先に設定される効能領域Aにおいて互いに衝突するように発射され、芳香成分を効能領域Aで拡散させることが可能となっている。このように、一対の渦輪V1,V2を衝突させて渦輪V1,V2を打ち消すことにより、作業者Wに対して風圧による違和感を与えずに芳香成分を供給することが可能となる。
【0016】
図3(A)および(B)に示すように、空気砲11,12は、伸縮自在となる蛇腹形状のポンプ本体11a,12aと、ポンプ本体11a,12aを伸縮させるポンプ駆動部11b,12bと、円筒形状の砲身部11c,12cとによって構成されている。また、ポンプ駆動部11b,12bには前後進駆動されるロッド部材11d,12dが組み込まれており、このロッド部材11d,12dはポンプ駆動部11b,12b内の図示しない電動モータによって駆動される。そして、図3(B)に示すように、ロッド部材11d,12dを前進移動させてポンプ本体11a,12aを急速に縮めることにより、ポンプ本体11a,12a内の空気を渦輪V1,V2として発射することが可能となる。なお、空気砲11の砲身部12cに対して芳香成分を充填することにより、空気砲11から芳香成分を含んだ渦輪V1を発射させている。
【0017】
図2に示すように、メインユニット14には、空気砲11に芳香成分を供給する芳香供給ユニット(成分供給手段,芳香供給部)16が設けられており、この芳香供給ユニット16は、芳香成分を発生させる芳香成分発生部17と、芳香成分を砲身部11cに送り込む芳香成分充填部18とによって構成されている。芳香成分発生部17は、それぞれに異なる芳香成分が貯留される図示しない複数の芳香容器や、芳香容器の開閉状態を制御する図示しない電磁バルブ等によって構成されている。また、芳香成分充填部18は、芳香成分を砲身部11cに圧送する図示しない圧送ポンプ等によって構成されている。そして、電磁バルブの切換制御や圧送ポンプの駆動制御を実行することにより、選択された芳香成分を空気取入口19から取り込まれる空気と共に砲身部11cに対して供給することが可能となっている。さらに、メインユニット14には双方のポンプ駆動部11b,12bに接続される空気砲駆動回路20が設けられており、空気砲駆動回路20は後述する制御ユニット34からの制御信号に基づいて駆動電流を制御している。そして、この駆動電流をポンプ駆動部11b,12bに供給することにより、空気砲11,12から渦輪V1,V2を発射することが可能となっている。
【0018】
さらに、芳香成分を切り換える際に芳香供給ユニット16内を消臭したり、室内に残存する芳香成分を消臭したりするため、メインユニット14には効能成分としてのオゾン(O)を供給するオゾン供給ユニット(成分供給手段,オゾン供給部)21が組み込まれている。このオゾン供給ユニット21は、針状の放電電極22aと環状の対向電極22bとを備える放電部22と、この放電部22に空気を供給する送風ファン23とによって構成されている。また、オゾン供給ユニット21にはオゾン供給路24を介して流路切換部25が接続されている。この流路切換部25には、芳香供給ユニット16に連通する第1供給路26と、メインユニット14の放出口27に連通する第2供給路28とが接続されている。
【0019】
このようなオゾン供給ユニット21を用いてオゾンを生成する際には、送風ファン23を駆動して放電部22に空気を供給しながら、放電部22に対して高電圧を印加する。これにより、放電電極22aの先端近傍で無声放電を生じさせてオゾンを生成することが可能となる。そして、流路切換部25を切り換えてオゾン供給路24と第1供給路26とを連通させることにより、芳香供給ユニット16内にオゾンを供給する第1消臭モードを実行することが可能となる。また、流路切換部25を切り換えてオゾン供給路24と第2供給路28とを連通させることにより、室内にオゾンを放出する第2消臭モードを実行することが可能となる。なお、送風ファン23に対して駆動電流を供給するため、メインユニット14には駆動電流を制御するファン駆動回路30が設けられている。また、放電部22に対して高電圧を印加するため、メインユニット14には印加電圧を制御する高電圧発生回路31が設けられている。
【0020】
さらに、メインユニット14には回転モータ32が組み付けられており、この回転モータ32を駆動することによって、複数の発射位置にメインユニット14を回動させることが可能となる。また、回転モータ32に駆動電流を供給するため、メインユニット14には駆動電流を制御するモータ駆動回路33が設けられている。このモータ駆動回路33は後述する制御ユニット34からの制御信号に基づいて駆動電流を制御している。
【0021】
前述した空気砲11,12、芳香供給ユニット16、オゾン供給ユニット21、回転モータ32等を制御するため、メインユニット14には制御ユニット34が設けられている。この制御ユニット34は、図示しないマイクロプロセッサ(CPU)を備えており、このCPUにはバスラインを介してROM、RAMおよびI/Oポートが接続される。ROMには制御プログラムや各種マップデータなどが格納されており、RAMにはCPUで演算処理したデータが一時的に格納されている。さらに、制御ユニット34には、空気砲11,12の作動モード等を設定する際に操作されるスイッチ35、作業者Wの位置を検出する位置検出手段としてのカメラ36等が接続されている。そして、制御ユニット34は、スイッチ35の操作信号やカメラ36からの位置情報に基づいて各種制御信号を演算し、空気砲11,12の作動状態や回動位置を制御することになる。なお、カメラ36としては、作業者Wからの発熱量を映像化することによって位置を検出する赤外線カメラが設けられており、この赤外線カメラの位置情報に基づいて空気砲11,12を鼻先に向けて精度良く回動させているが、赤外線カメラに限られることはなく、他の方法によって作業者Wの位置を検出しても良い。
【0022】
続いて、メインユニット14による渦輪V1,V2の発射状況について説明する。ここで、図4(A)は机13の一端側で作業する作業者W1に向けて芳香成分を供給する際の発射状況を示す説明図である。また、図4(B)は机13の他端側で作業する作業者W2に向けて芳香成分を供給する際の発射状況を示す説明図である。なお、図4(A)および(B)には、作業者W1,W2としてその頭部のみが図示されている。
【0023】
図4(A)および(B)に示すように、作業者W1に芳香成分を供給する場合には、制御ユニット34からの制御信号に基づいて回転モータ32が駆動制御され、図4(A)に示すように、作業者W1に対して空気砲11,12を向ける第1発射位置にメインユニット14が回動する。そして、双方の空気砲11,12から渦輪V1,V2を発射させることにより、作業者W1の鼻先に設定される効能領域A1において芳香成分を拡散させることが可能となる。一方、作業者W2に芳香成分を供給する場合には、制御ユニット34からの制御信号に基づいて回転モータ32が駆動制御され、図4(B)に示すように、作業者W2に対して空気砲11,12を向ける第2発射位置にメインユニット14が回動する。そして、双方の空気砲11,12から渦輪V1,V2を発射することにより、作業者W2の鼻先に設定された効能領域A2において芳香成分を拡散させることが可能となる。
【0024】
ここで、図5は供給装置10による効能領域の設定範囲を示す説明図である。図5に示すように、メインユニット14を回動させるようにしたので、1つの供給装置10を設けた場合であっても、幅広く効能領域を設定することができ、幅広い範囲αに芳香成分を供給することが可能となる。しかも、メインユニット14に対して空気砲11,12を固定し、これらを一体に回動させる構造を有することから、回動機構の簡素化を図ることができるため、供給装置10の低コスト化を図ることが可能となる。なお、図示する場合には、メインユニット14を第1発射位置と第2発射位置との間で回動させているが、第1発射位置や第2発射位置を超えてメインユニット14を回動させるようにしても良い。
【0025】
これまで説明したように、メインユニット14に対して芳香供給ユニット16やオゾン供給ユニット21を一体に組み込むとともに、メインユニット14に対して空気砲11,12を一体に設けるようにしたので、供給装置10の小型化を達成することが可能となる。これにより、机13の限られたスペースに供給装置10を無理なく設置することが可能となる。また、渦輪V1,V2を互いに衝突させるため、所定の間隔を空けて空気砲11,12を設置する必要があるが、この空気砲11,12の間のスペースに芳香供給ユニット16等を配置するようにしたので、スペースを有効に利用して供給装置10の小型化を達成することが可能となる。
【0026】
また、作業者Wのスイッチ操作によって芳香成分の種類が切り換える際には、第1消臭モードを実行して芳香供給ユニット16にオゾンを供給するようにしている。これにより、切換前の芳香成分を消臭することができ、切換前と切換後の芳香成分を混ぜ合わせることがないため、作業者Wに違和感を与えることなく芳香成分を切り換えることが可能となる。さらに、作業者Wのスイッチ操作によって第2消臭モードが設定された場合には、オゾン供給ユニット21からのオゾンがメインユニット14の放出口27から放出されるようになっている。これにより、室内の消臭や除菌を行うことができるため、室内環境を良好に保つことが可能となる。
【0027】
なお、図示する場合には、机13の上に供給装置10を設置しているが、この位置に限られることはなく、壁や天井等に供給装置10を設置することも可能である。また、壁や天井等に設置されるエアコンディショナに対して、供給装置を組み付けるようにしても良い。この場合には、メインユニット14の放出口27を、エアコンディショナの送風経路に接続しても良い。これにより、オゾンをエアコンディショナの送風経路に対して供給することができ、エアコンディショナ内の消臭や除菌を行うことが可能となる。
【0028】
次いで、本発明の他の実施の形態である室内用効能成分供給装置40(以下、供給装置という)について説明する。図6(A)および(B)は本発明の他の実施の形態である供給装置40を示す説明図である。図6(A)には机13の一端側で作業する作業者W1に向けて芳香成分を供給する際の発射状況が示され、図6(B)には机13の他端側で作業する作業者W2に向けて芳香成分を供給する際の発射状況が示されている。なお、図4に示す部品と同一の部品にあっては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図6(A)および(B)に示すように、事務室等の机13に設置される供給装置40は、机13に固定されるメインユニット41を有している。このメインユニット41には図2に示す芳香供給ユニット16やオゾン供給ユニット21等が組み込まれている。また、メインユニット41のベース部材である筐体41aには空気砲11,12が回動自在に設けられており、これらの空気砲11,12は図示しない回転モータによって回動される。そして、それぞれの空気砲11,12は、図6(A)に示すように作業者W1に向かう発射位置と、図6(B)に示すように作業者W2に向かう発射位置とに回動するようになっている。
【0030】
作業者W1に芳香成分を供給する場合には、制御ユニット34からの制御信号に基づいて回転モータが駆動制御され、図6(A)に示すように、それぞれの空気砲11,12が作業者W1に向けて回動する。そして、双方の空気砲11,12から渦輪V1,V2を発射させることにより、作業者W1の鼻先に設定される効能領域A1に芳香成分を拡散させることが可能となる。一方、作業者W2に芳香成分を供給する場合には、制御ユニット34からの制御信号に基づいて回転モータが駆動制御され、図6(B)に示すように、それぞれの空気砲11,12が作業者W2に向けて回動する。そして、双方の空気砲11,12から渦輪V1,V2を発射させることにより、作業者W2の鼻先に設定された効能領域A2に芳香成分を拡散させることが可能となる。
【0031】
これまで説明したように、芳香供給ユニット16等を備えるメインユニット41に対して空気砲11,12を一体に設けるようにしたので、供給装置40の小型化を達成することが可能となる。しかも、間隔を空けて配置される空気砲11,12の間に芳香供給ユニット16等を配置することから、スペースを有効に利用して供給装置40の小型化を達成することが可能となる。さらに、空気砲11,12を別個に回動させるようにしたので、渦輪V1,V2が互いに衝突するまでの距離を変化させながら効能領域を設定することが可能となる。ここで、図7は供給装置40による効能領域の設定範囲を示す説明図である。図7に示すように、空気砲11,12を別個に回動させるようにすると、渦輪V1の移動軌跡と渦輪V2の移動軌跡とを任意の位置で交差させることができるため、符号βで示すように幅広い範囲内に効能領域を設定することが可能となる。
【0032】
次いで、本発明の他の実施の形態である室内用効能成分供給装置50(以下、供給装置という)について説明する。図8(A)および(B)は本発明の他の実施の形態である供給装置50を示す説明図である。図8(A)には机13の一端側で作業する作業者W1に向けて芳香成分を供給する際の発射状況が示され、図8(B)には机13の他端側で作業する作業者W2に向けて芳香成分を供給する際の発射状況が示されている。なお、図4に示す部品と同一の部品にあっては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図8(A)および(B)に示すように、事務室等の机13に設置される供給装置50は、机13に固定されるメインユニット51を有している。このメインユニット51には図2に示す芳香供給ユニット16やオゾン供給ユニット21等が組み込まれている。また、メインユニット51から延びるベース部材51aには空気砲11,12が回動自在に設けられており、これらの空気砲11,12は図示しない回転モータによって回動されている。そして、それぞれの空気砲11,12は、図8(A)に示すように作業者W1に向かう発射位置と、図8(B)に示すように作業者W2に向かう発射位置とに回動するようになっている。
【0034】
作業者W1に芳香成分を供給する場合には、制御ユニット34からの制御信号に基づいて回転モータが駆動制御され、図8(A)に示すように、それぞれの空気砲11,12が作業者W1に向けて回動する。そして、双方の空気砲11,12から渦輪V1,V2を発射させることにより、作業者W1の鼻先に設定される効能領域A1に芳香成分を拡散させることが可能となる。一方、作業者W2に芳香成分を供給する場合には、制御ユニット34からの制御信号に基づいて回転モータ32が駆動制御され、図8(B)に示すように、それぞれの空気砲11,12が作業者W2に向けて回動する。そして、双方の空気砲11,12から渦輪V1,V2を発射させることにより、作業者W2の鼻先に設定された効能領域A2に芳香成分を拡散させることが可能となる。
【0035】
これまで説明したように、芳香供給ユニット16等を備えるメインユニット51に対して空気砲11,12を一体に設けるようにしたので、供給装置50の小型化を達成することが可能となる。しかも、間隔を空けて配置される空気砲11,12の間に芳香供給ユニット16等を配置することから、スペースを有効に利用して供給装置50の小型化を達成することが可能となる。さらに、空気砲11,12を別個に回動させるようにしたので、渦輪V1,V2が互いに衝突するまでの距離を変化させながら効能領域を設定することが可能となる。ここで、図9は供給装置50による効能領域の設定範囲を示す説明図である。図9に示すように、空気砲11,12を別個に回動させるようにすると、渦輪V1の移動軌跡と渦輪V2の移動軌跡とを任意の位置で交差させることができるため、符号γで示すように幅広い範囲内に効能領域を設定することが可能となる。
【0036】
なお、図6や図8に示す場合にあっては、双方の空気砲11,12を回動させるようにしているが、これに限られることはなく、空気砲11,12のいずれか一方だけを回動させるようにしても良い。このように、一方の空気砲11,12だけを回動させた場合であっても、メインユニット14からの距離を可変させながら効能領域を設定することが可能となる。さらに、空気砲11,12を図6(A)や図8(A)に示す位置を超えて回動させるようにしても良く、空気砲11,12を図6(B)や図8(B)に示す位置を超えて回動させるようにしても良い。なお、図6や図8に示す供給装置40,50であっても、メインユニット41,51内にオゾン供給ユニット21が組み込まれるため、芳香成分を切り換える際に第1消臭モードを実行して芳香供給ユニット16内を消臭したり、第2消臭モードを実行して室内に残存する芳香成分を消臭したりすることが可能である。
【0037】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、前述の説明では、事務室に供給装置10を設置しているが、これに限られることはなく、効能成分によるリフレッシュ効果やリラックス効果等が望まれる様々な環境に設置することが可能である。例えば、管制室、会議室、教室、家庭等に供給装置10を設置しても良い。
【0038】
また、前述の説明では、効能成分として芳香成分やオゾンを用いるようにしているが、これに限られることはなく、効能成分としてマイクロミスト(空気中に浮遊する水分粒子)や酸素を発生させ、これらの効能成分を作業者Wに対して供給するようにしても良い。また、オゾン供給ユニット21によってオゾンを生成するため、放電部22に対して空気を供給しているが、放電部22に対して酸素を供給するようにしても良く、放電部22に対して乾燥させた空気を供給するようにしても良い。
【0039】
また、図3に示す場合には、電動モータを駆動してロッド部材11d,12dを突出させることにより、空気砲11,12から渦輪V1,V2を発射させるようにしているが、この構造に限られることはなく、空気砲11,12に対して電磁コイルと可動鉄心とを組み込むことにより、電磁力を用いて空気砲から渦輪V1,V2を発射させるようにしても良い。さらに、空気砲11,12は蛇腹形状のポンプ本体11a,12aを備えているが、ダイアフラムを用いて空気を押し出すようにしても良い。なお、空気砲11,12から環状の渦輪V1,V2を発射するようにしているが、空気渦の形状としては、環状に限られることはなく、まとまった形状で所定距離を飛ばすことが可能であれば、いかなる形状の空気渦であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態である室内用効能成分供給装置の利用状況を示す説明図である。
【図2】室内用効能成分供給装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(A)および(B)は室内用効能成分供給装置が備える空気砲の内部構造を示す説明図である。
【図4】(A)は机の一端側で作業する作業者に向けて芳香成分を供給する際の発射状況を示す説明図であり、(B)は机の他端側で作業する作業者に向けて芳香成分を供給する際の発射状況を示す説明図である。
【図5】室内用効能成分供給装置による効能領域の設定範囲を示す説明図である。
【図6】(A)および(B)は本発明の他の実施の形態である室内用効能成分供給装置を示す説明図である。
【図7】室内用効能成分供給装置による効能領域の設定範囲を示す説明図である。
【図8】(A)および(B)は本発明の他の実施の形態である室内用効能成分供給装置を示す説明図である。
【図9】室内用効能成分供給装置による効能領域の設定範囲を示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10 供給装置(室内用効能成分供給装置)
11 空気砲(第1発射手段)
12 空気砲(第2発射手段)
14 メインユニット
16 芳香供給ユニット(成分供給手段,芳香供給部)
21 オゾン供給ユニット(成分供給手段,オゾン供給部)
36 カメラ(位置検出手段)
40 供給装置(室内用効能成分供給装置)
41 メインユニット
41a 筐体(ベース部材)
50 供給装置(室内用効能成分供給装置)
51 メインユニット
51a ベース部材
V1 渦輪(第1空気渦)
V2 渦輪(第2空気渦)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1空気渦とこれに衝突させる第2空気渦とを所定位置に向けて発射し、前記第1空気渦と前記第2空気渦との少なくともいずれか一方に含まれる効能成分を所定位置で拡散させるメインユニットを有し、
前記メインユニットには、前記第1空気渦を発射する第1発射手段と、前記第2空気渦を発射する第2発射手段と、前記第1発射手段と前記第2発射手段との少なくともいずれか一方に効能成分を供給する成分供給手段とが一体に設けられることを特徴とする室内用効能成分供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の室内用効能成分供給装置において、
前記成分供給手段は、前記第1発射手段と前記第2発射手段との間に設置されることを特徴とする室内用効能成分供給装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の室内用効能成分供給装置において、
前記成分供給手段は、芳香成分を供給する芳香供給部と、オゾンを供給するオゾン供給部とを備えることを特徴とする室内用効能成分供給装置。
【請求項4】
請求項3記載の室内用効能成分供給装置において、
前記オゾン供給部は、前記芳香供給部にオゾンを供給する第1消臭モードと、室内にオゾンを放出する第2消臭モードとを備えることを特徴とする室内用効能成分供給装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の室内用効能成分供給装置において、
前記メインユニットは、複数の発射位置に回動自在に設けられることを特徴とする室内用効能成分供給装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の室内用効能成分供給装置において、
前記第1発射手段と前記第2発射手段との少なくともいずれか一方は、前記メインユニットのベース部材に対して回動自在に設けられ、
前記第1発射手段と前記第2発射手段との少なくともいずれか一方を回動させることにより、前記第1空気渦と前記第2空気渦とが衝突するまでの飛行距離を可変させることを特徴とする室内用効能成分供給装置。
【請求項7】
請求項6記載の室内用効能成分供給装置において、
利用者の位置を検出する位置検出手段を有し、前記前記第1発射手段と前記第2発射手段との少なくともいずれか一方は、前記位置検出手段からの位置情報に基づいて回動されることを特徴とする室内用効能成分供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−22577(P2010−22577A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187241(P2008−187241)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】