説明

室内用集塵装置およびこの装置を機能させるためのプログラム

【課題】従来の空気清浄機は、空気中に舞い上がった塵埃をファンで吸引してフィルターで回収するが、継続して使用すると回収した塵埃によってフィルターの目が詰まるため、フィルターによる圧損が大きくなり、空気清浄の効率が悪くなる。このため、ユーザが家庭用の掃除機などでフィルターを掃除することや水洗いを行うなど定期的なメンテナンスが必要であった。
【解決手段】空気清浄部100の吸入口101は、床面清掃部120の一部又は全部が乗り上げることができるように配置構成することで、床面清掃部120は、誘導信号を受信することで空気清浄部100の吸入口101へ移動して、清掃手段123にて空気清浄部100の吸入口101及び除去手段102を自動的に清掃することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気の清浄及び床面の清掃を自動的にする室内用集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の集塵装置としては、室内の空気を清浄にするために、本体に内蔵したファンによって空気を吸引し、空気中に浮遊する塵埃などをろ過するフィルターを通して排気することで室内の空気を清浄化する空気清浄機と、室内床面を清掃するために、本体を移動させる走行輪と、本体の底面の床面に堆積している塵埃などをノズルから吸引することで、自動的に移動しながら室内を掃除する掃除ロボットが、それぞれ提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
例えば、図10は、従来の空気清浄機の一例を示す側面断面図である。図10に示すように、従来の空気清浄機1000の本体は筐体1001によって保持されている。筐体1001は床面の上に設置され、筐体1001の前面は前面パネル1002にて覆われ、前面パネル1002に対向する位置に吸気口1003が設けられている。筐体1001の頂面には、吹出口1004が設けられている。吹出口1004は筐体1001の幅方向に形成されて、鉛直上方に臨んで設けられる。筐体1001の内部には、吸気口1003から吹出口1004に連通する吸込流通路および吹出流通路とからなる風路1005が形成されている。
【0004】
風路1005内には空気を送出するモータ1006と羽根1007からなる送風機が配置されている。送風機に用いられるファンとしてはシロッコファンが用いられるのが一般的である。前面パネル1002に対向する位置には、吸気口1003から吸い込まれた空気中に存在する塵埃やタバコの煙などの汚染物質を捕集・除去するエアフィルタ1008が設けられている。筐体1001の頂面にはユーザの操作入力及び従来の空気清浄機1000の状態の表示を行うインターフェース部及びモータ1006などの制御を行う制御手段1009が設けられている。
【0005】
上記構成の空気清浄機において、インターフェース部にてユーザ操作により運転を開始すると、制御手段1009によりモータ1006を回転させることで送風機が回転駆動され、吸気口1003から空気が吸い込まれ、エアフィルタ1008によって、空気中に存在する塵埃や汚染物質が除去される。筐体1001内の風路1005に取り込まれ、エアフィルタ1008によって塵埃が除去された空気は、風路1005を通して吹出口1004から鉛直上方に向けて室内に送り出される。室内に送り出された空気は、部屋内を流通して従来の空気清浄機1000の吸気口1003に吸い込まれる流れとなる。
【0006】
また例えば、図11は、従来の掃除ロボットの一例を示す側面断面図である。図11に示すように、従来の掃除ロボット1100の本体はボディ1101によって保持されている。ボディ1101は、制御部1102によって、駆動モータ1103を制御することで走行輪を回転させて移動する。また、例えばスイッチなどによる接触の検出や超音波や反射光などによる非接触で周囲の障害物を検出するセンサ1104の情報を利用しながら、周囲の壁や障害物との接触を回避しながら移動を行う。
【0007】
また、掃除ロボット1100を動作させるための電力は、充電用接点1105を介して電池1106に蓄えられる。回転ブラシ1107とファンモータ1108を動作させることで、床面の塵埃をダストボックス1109に回収する。また、ユーザの操作及び状態の
表示を行うインターフェース部1110が設けられている。
【0008】
上記構成の掃除ロボット1100において、インターフェース部1110の操作により運転を開始すると、回転ブラシ1107とファンモータ1108を動作させながら、センサ1104の情報を利用して、駆動モータ1103を制御することで、周囲の障害物を回避しながら、床面に堆積している塵埃をダストボックス1109に回収する。走行経路は、ランダムな方向に障害物を検出するまで直進を繰り返すことや、一定の決められた走行パターンに合わせて動作させるようになっているなど、使用される状況や内蔵しているセンサに応じてさまざまな走行パターンが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平05−046246号公報
【特許文献2】特開2001−304668号公報
【特許文献3】特開2007−167777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成である空気清浄機は、空気中に舞い上がった塵埃をファンで吸引してフィルターで回収するが、継続して使用すると回収した塵埃によってフィルターの目が詰まってくるため、フィルターによる圧損が大きくなり、空気清浄の効率が悪くなる。このため、ユーザが家庭用の掃除機などでフィルターを掃除することや水洗いを行うなど定期的なメンテナンスが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の室内用集塵装置は、室内の床上に設置されて用いられる空気清浄部と、室内を自動的に移動して床面を清掃する床面清掃部からなる室内用集塵装置であって、室内の空気を取り入れるための吸入口と、前記吸入口から取り入れられた空気中に存在する塵埃、および/または、物質を除去する除去手段と、前記除去手段で処理された空気を室内に送り出すための吹出口と、前記吸入口から前記吹出口まで空気を移動させるための送風手段と、前記吸入口から前記吹出口に至るまで空気が流れる風路と、前記床面清掃部にこの空気清浄部の配置されている位置を伝えるための誘導信号を発信する誘導信号発信手段と、この空気清浄部本体の動作を制御する空気清浄制御手段を備え、前記床面清掃部は、この床面清掃部を移動させるための移動手段と、この床面清掃部の前記移動手段で移動しながら通過する床面を清掃する清掃手段と、前記空気清浄部の配置されている位置を検出するために、前記誘導信号発信手段で発信された前記誘導信号を受信する誘導信号受信手段と、この床面清浄部の動作を制御する床面清浄制御手段を備え、前記空気清浄部の前記吸入口は、前記床面清掃部の一部又は全部が乗り上げることができるよう構成することで、前記床面清掃部は、前記誘導信号を受信することで前記空気清浄部の前記吸入口へ移動して、前記清掃手段にて前記空気清浄部の前記吸入口及び前記除去手段を自動的に清掃する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の室内用集塵装置は、床面清掃部が空気清浄部の吸入口に乗り上げて、自動的に吸入口及び除去手段を清掃することができるので、空気清浄部の吸入口及び除去手段をユーザがメンテナンスする手間を低減することができる。また、常に吸入口及び除去手段を自動的にメンテナンスすることができるので、ユーザのメンテナンス不足による空気清浄部の性能の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における室内用集塵装置の構成図
【図2】同、室内用集塵装置の一例を示した斜視図
【図3】同、室内用集塵装置を上面から見た床面清掃部の移動を示した図
【図4】同、室内用集塵装置の空気清浄部の構成の側部断面図
【図5】同、スロープを備えた空気清浄部の構成の側部断面図
【図6】同、開口部内に除去手段を備えた室内用集塵装置の構成を示した斜視図
【図7】同、開口部を備えた空気清浄部の構成を示した断面図
【図8】同、浮遊塵埃検出手段を備えた室内用集塵装置の構成図
【図9】同、浮遊塵埃検出手段を備えた室内用集塵装置の構成を示した斜視図
【図10】従来の空気清浄機の構成を示した側部断面図
【図11】従来の掃除ロボットの一例を示した構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、室内の床上に設置されて用いられる空気清浄部と、室内を自動的に移動して床面を清掃する床面清掃部からなる室内用集塵装置であって、室内の空気を取り入れるための吸入口と、前記吸入口から取り入れられた空気中に存在する塵埃、および/または、物質を除去する除去手段と、前記除去手段で処理された空気を室内に送り出すための吹出口と、前記吸入口から前記吹出口まで空気を移動させるための送風手段と、前記吸入口から前記吹出口に至るまで空気が流れる風路と、前記床面清掃部にこの空気清浄部の配置されている位置を伝えるための誘導信号を発信する誘導信号発信手段と、この空気清浄部本体の動作を制御する空気清浄制御手段を備え、前記床面清掃部は、この床面清掃部を移動させるための移動手段と、この床面清掃部の前記移動手段で移動しながら通過する床面を清掃する清掃手段と、前記空気清浄部の配置されている位置を検出するために、前記誘導信号発信手段で発信された前記誘導信号を受信する誘導信号受信手段と、この床面清浄部の動作を制御する床面清浄制御手段とを備え、前記空気清浄部の前記吸入口は、前記床面清掃部の一部又は全部が乗り上げることができるよう構成することで、前記床面清掃部は、前記誘導信号を受信することで前記空気清浄部の前記吸入口へ移動して、前記清掃手段にて前記空気清浄部の前記吸入口及び前記除去手段を自動的に清掃することができるようになる。
【0015】
第2の発明は、特に第1の発明の前記吸入口及び前記除去手段は、前記床面清掃部が乗り上げて清掃することができる床面に備えることで、前記床面清掃部は前記吸入口に容易に乗り上げて、前記床面清掃部が床面上の前記吸入口及び前記除去手段を自動的に清掃することができるようになる。
【0016】
第3の発明は、特に第1または第2のいずれか1つの発明の前記空気清浄部の前記吸入口へ、前記床面清掃部を導くためのスロープを備えることで、前記床面清掃部は前記スロープを移動することで容易に前記吸入口及び前記除去手段を清掃することができるようになる。
【0017】
第4の発明は、特に第1〜第3のいずれか1つの発明の前記空気清浄部の下部に前記床面清掃部が進入可能な開口部を設け、前記開口部の内部に前記吸入口及び前記除去手段を備えることで、前記床面清掃部は前記空気清浄部の開口部の内部に侵入して前記吸入口及び前記除去手段を清掃することができるようになる。
【0018】
第5の発明は、特に第1〜第4のいずれか1つの発明の前記空気清浄部は空気中に浮遊する塵埃を検出する浮遊塵埃検出手段を備え、前記床面清掃部は、前記吸入口及び前記除去手段を清掃するとともに、前記浮遊塵埃検出手段を清掃することで、浮遊塵埃検出手段のメンテナンスが自動的にできるようになる。
【0019】
第6の発明は、特に第1〜第5のいずれか1つの発明の前記床面清掃部は、一定時間経過毎に前記空気清浄部の前記吸入口及び前記除去手段の清掃を行うことで、前記吸入口及び前記除去手段を持続的にメンテナンスすることができるようになる。
【0020】
第7の発明は、特に第1〜第5のいずれか1つの発明の前記空気清浄部は、この空気清浄部の稼働時間が一定時間経過するごとに、一定時間の間、前記誘導信号発信手段で誘導信号を発信することで、前記床面清掃部の前記誘導信号受信手段で前記誘導信号を受信することで、前記空気清浄部の前記吸入口及び前記除去手段の清掃を行うことで、前記吸入口及び前記除去手段をメンテナンスが必要とされるタイミングで持続的にメンテナンスすることができるようになる。
【0021】
第8の発明は、特に第1〜第7のいずれか1つの発明の室内用集塵装置の手段の全てもしくは一部としてコンピュータに機能させるためのプログラムとすることにより、マイコンなどを用いて本発明の室内用集塵装置の一部あるいは全てを容易に実現することができ、経年変化等の特性の変化や動作を実現するための設定条件や定数の変更が柔軟に対応できる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布が簡単に出来る。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
第1〜第7の発明における室内用集塵装置について、図1〜図9の構成及び一例を示す図を用いて説明する。
【0024】
図1は本発明の実施の形態1における空気清浄部100及び床面清掃部120の構成の例を示している。また、図8は加えて第5の発明の浮遊塵埃検出手段を備えた構成の例を示している。
【0025】
空気清浄部100は、室内の空気を取り入れるための吸入口101と、前記吸入口101から取り入れられた空気中に存在する塵埃、および/または、物質を除去する除去手段102と、前記除去手段102で処理された空気を室内に送り出すための吹出口103と、前記吸入口101から前記吹出口103まで空気を移動させるための送風手段104と、前記吸入口101から前記吹出口103に至るまで空気が流れる風路105と、前記床面清掃部120にこの空気清浄部100の配置されている位置を伝えるための誘導信号を発信する誘導信号発信手段106と、この空気清浄部100をユーザが操作することや、この空気清浄部100の動作状態を表示するための空気清浄IF(インターフェース)107と、この空気清浄部100本体の動作を制御する空気清浄制御手段108を備えている。
【0026】
床面清掃部120は、この床面清掃部120を移動させるための移動手段121と、この床面清浄部を移動する際に周囲に存在する壁や家具などの障害物を検出するセンサ122と、前記センサ122を利用してこの床面清掃部120の前記移動手段121で室内の障害物を回避しながら走行している床面を清掃する清掃手段123と、前記空気清浄部100の配置されている位置を検出するために、前記誘導信号発信手段106で発信された前記誘導信号を受信する誘導信号受信手段124と、この床面清掃部120をユーザが操作することや、この床面清掃部120の動作状態を表示するための床面清掃IF(インターフェース)125と、この床面清掃部120の動作を制御する床面清掃制御手段126を備えている。
【0027】
また、第5の発明においては、空気清浄部800は、前記空気清浄部100の構成に加えて空気中の浮遊している塵埃の検出を行う浮遊塵埃検出手段809を備えている。
【0028】
なお、本実施の形態1の例では、背景技術にて説明した従来の空気清浄機及び掃除ロボットをベースに本願の特徴を説明するための構成を加えた内容を一例として説明を行う。
【0029】
次に空気清浄部100及び空気清浄部800の構成について説明する。吸入口101は、空気清浄部100内に空気を取り込む開口部である。除去手段102は、吸入口101から取り入れられた空気中に存在する塵埃、および/または、物質を除去する機能を有しており、例えば、空気をろ過して清浄にするためのろ材であるエアフィルタなどである。
【0030】
エアフィルタには、HEPAフィルターやULPAフィルターなど除去性能の異なる濾材が多数あるが、対象とする室内に存在する塵埃と価格などから適宜選択すればよい。他にも、静電気の力を利用して空気中に存在する塵埃を吸着する装置や、活性炭のガス吸着を利用することなど、空気中に存在する塵埃、および/または、物質を除去する機能であれば構わない。
【0031】
除去手段102は、吸入口101のすぐ後段に備えることで、床面清掃部120で吸入口101を清掃すると同時に、除去手段102を清掃するように構成することができる。また、例えば図4の吸入口101のような設置する場所に除去手段102の厚みを確保することが設計上困難な場合は、二段階に除去手段102を配置して、比較的大きな塵埃のみを回収するプレフィルターの役割を第一段階に設置することで、厚さの確保が難しいところに設置することができる。
【0032】
吹出口103は、除去手段102でろ過した空気を排出する開口部である。送風手段104は、気流を発生させることが可能なものであり、例えば、シロッコファンなどの、ファンを回転させることで空気の流れを発生させるものである。ファンの回転数を制御することで、風量を変化させることが可能である。他にも、気流を発生させることができるものであればどのようなものであっても構わない。風路105は、吸入口101から除去手段102および送風手段104を経由して吹出口103までの気流が通過する風路である。
【0033】
誘導信号発信手段106は、床面清掃部120に空気清浄部100の位置を伝えるための信号を発信するものである。例えば、フォトトランジスタ、フォトダイオード、Cdsセル、CCDなどの光を発光する素子や、超音波などを発信する素子である。これらの素子を動作させて、特定の周波数の信号や特定のON/OFFのタイミングを発信することで、一般的な家電製品に利用されている赤外線リモコンのように非接触で情報を発信することができるので、誘導信号発信手段106で発信する信号を受信することで、受信した信号の強度及び検出した方向から、空気清浄部100の設置されている位置や方向を検出することができる。
【0034】
また、床面清掃部120は、移動手段121にて移動しながら誘導信号を繰り返し受信することができるので、移動した距離と、受信した信号の強度の変化から空気清浄部100へ近づいているのか、遠ざかっているのかを検出することができるので、この誘導信号を受信することで、空気清浄部100へ誘導されるように近づいていくことができる。
【0035】
他にも、誘導信号発信手段106は、複数の発信素子を例えば空気清浄部100の正面及び両側面に備えて、それぞれの発信素子で発信された信号を区別できるように、周波数などを変えておくことで、床面清掃部120が空気清浄部100の正面にあるのか、どちらの側面にあるのかなどの方向についても正確に区別することができるので、より正確に
空気清浄部100へ移動することができるようになる。他にも、床面清掃部120を空気清浄部100に誘導できるような構成であればどのような構成であっても構わない。
【0036】
また、第7の発明に記載しているように、空気清浄部100または空気清浄部800の動作時間が例えば24時間など一定時間経過するごとに誘導信号発信手段106にて、誘導信号を例えば24時間など所定の時間発信することで、床面清掃部120が動作時のタイミングで、誘導信号受信手段124にて誘導信号を受信することで、空気清浄部100または空気清浄部800の吸入口101及び除去手段102を、稼働時間の積算量に応じて必要なタイミングで自動的に清掃することができるようになる。本構成にすることで一定時間経過するまでは、稼働時間が短いとして誘導信号を発信しないので、不必要な清掃を行わずにすむため効率的である。
【0037】
空気清浄IF(インターフェース)107は、空気清浄部100をユーザが操作するための操作入力および、空気清浄部100の運転のON/OFFや風量などの状態をユーザに伝えるための表示するためのインターフェース機能である。例えば、操作を入力するためには、スイッチやタッチパネルなどであり、表示するためには、液晶画面やLEDを利用することができる。
【0038】
空気清浄制御手段108は、例えば、CPU、メモリで構成されており、送風手段104の運転制御を行うことや、誘導信号発信手段106の誘導信号の発信のタイミングやON/OFFなどの制御を行うことや、空気清浄IF107からの操作入力を受け付けや表示を行うことなど、空気清浄部100の全般的な制御を行うものである。またCPUは、モータ制御機能やタイマー機能やウォッチドック機能などさまざまな機能を有するものが存在するが、構成内容に合わせて選択することが必要である。他にも、構成としてはCPU、メモリを1つにした1チップマイコンや、FPGA、DSP等の他の制御可能なものであっても構わない。
【0039】
浮遊塵埃検出手段809は、室内の空気中に含まれる埃を検出するものであり、例えば、クリーンルーム等で使用されるパーティクルカウンターのように、微少量の吸入した空気をレーザー光で照射し、埃による散乱光のレベルを認識することで空気内の埃の量を検出するものなどである。他にも、空気中の埃の量やレベルを計測できるものであればどのようなものであっても構わない。
【0040】
また、埃の発生は、人が歩いたり座ったり布団を敷くなど一般的な生活の活動や、窓からの空気の流れに乗るなどに起因するので、例えば、人体の動きの変化を熱の変化として捉えることができる焦電効果を利用した人感センサや、微小な気流の変化を捉えることができる超音波式の流速計などにより検出した値を埃が発生しているであろうと考えて利用することも可能である。
【0041】
なお、浮遊塵埃検出手段809は、埃などを含んだ空気を取り込んで検出するものが多く、取り込み口などが埃で詰まってしまったりすると検出ができなくなるなどの不具合が生じやすくなるため、定期的なメンテナンスが必要である。このため、第5の発明に記載のように、空気清浄部800は空気中に浮遊する塵埃を検出する浮遊塵埃検出手段809を備えることで、床面清掃部120は、吸入口101及び除去手段102を清掃するとともに、浮遊塵埃検出手段809を清掃することで、浮遊塵埃検出装置も同時に清掃するように構成することができるようになる。
【0042】
次に床面清掃部120の構成について説明する。移動手段121は、例えば、2つのモータと2つの駆動輪を左右に水平に配置するように構成することで、床面清掃制御手段126からの制御信号によって、左右のモータの回転数を変化させることにより、駆動輪が
動作して、床面清掃部120が移動することができる。駆動部は、モータと駆動輪の組み合わせ以外にも、複数のサーボモータを組み合わせた関節型のアクチュエータを組み合わせた2本足や4本足などの多足移動可能なものや、利用するモータは、リニアモータなど物理的に移動が可能なものであれば構わない。
【0043】
センサ122は、例えば、光の反射を利用して、障害物との距離を計測することが可能な測距センサや、超音波の反射を利用して、障害物との距離を計測することが可能な超音波センサや、障害物が床面清掃部120に接触したときのスイッチ作動あるいは、電圧の変化を検出することで、接触を検出するバンパの役割をする接触センサ等によって構成することが可能である。
【0044】
なお、これらのセンサを床面清掃部120に複数個組み込んでおくことで、各センサの特性上検出が困難な状態などであっても検出能力の相互補間を行うことができるので、検出精度を上げることが可能になる。他にも、CCDカメラなどの映像を取り込むセンサや、レーザー、電磁波、磁力などの性質を利用したセンサを障害物の検出を行う機能として利用することが可能である。
【0045】
清掃手段123は、自走式機器の近辺を清掃する機能を有するものであり、例えば、自走式機器内部に吸引用のファンモータを設け、掃除機のような吸引口を自走式機器本体の底面部に設けることで、自走式機器が走行することによって、走行した領域のごみや塵を吸引して清掃することができる。他にも、モップのような塵を集める形態や、ほうきのようなブラシでごみをかき集めるような形態や、塵取りのようにごみや塵をすくい上げるような形態など、自走式機器の近辺を清掃できる構成であれば構わない。また、これらの形態を組み合わせることによって、清掃性能を高めることが可能である。
【0046】
また、空気清浄部100の吸入口101及び除去手段102を重点的に清掃する場合は、この清掃手段123を動作させるとともに、誘導信号を受信している吸入口の付近では移動速度を通常の清掃時の速度よりも遅くすることで、清掃面積あたりの清掃時間を多くすることができる。他にも、重点的に清掃を行うために、清掃手段としてファンモータを利用する場合には、ファンモータの回転数を高めることで、吸引力を高めた状態で清掃動作を行うことや、同じ場所を往復して移動するなど、通常清掃よりも清掃性能を高めるように動作させることで重点的に清掃することができる。
【0047】
誘導信号受信手段124は、例えば、誘導信号発信手段106の発信する光を受信することが可能な、フォトトランジスタ、フォトダイオード、Cdsセル、CCDなどの光を受信するセンサであり、誘導信号発信手段106の発信の光量や周波数特性に合わせた特性を持つものである。また、床面清掃部120に配置する誘導信号受信手段124の位置は、空気清浄部100の誘導信号発信手段106の設置位置と、移動するパターンから決めることができる。
【0048】
例えば、床面清掃部120が誘導信号を探索移動する場合、壁沿いに誘導信号が見つかるまで移動してくるパターンであれば、壁沿いで通過するルートに向けて誘導信号を配置しておくことで、誘導信号を見落とす可能性を低減することができる。また、ランダムに移動する場合であれば、より広範囲に誘導信号を発信することで、空気清浄部100を検出しやすくすることができる。
【0049】
床面清掃IF(インターフェース)125は、床面清掃部120をユーザが操作するための操作入力および、床面清掃部120の清掃のON/OFFや清掃パターンなどの状態をユーザに伝えるための表示するためのインターフェース機能である。例えば、操作を入力するためには、スイッチやタッチパネルなどであり、表示するためには、液晶画面やL
EDを利用することができる。
【0050】
床面清掃制御手段126は、例えば、CPU、メモリで構成されており、移動手段121の駆動モータの制御を行うことや、センサ122の信号を受け取り障害物の有無の判断を行うことや、清掃手段123の清掃の運転制御や、誘導信号受信手段124の信号を受信することで空気清浄部100の位置や方向を検出することや、床面清掃IF125からの操作入力を受け付けや表示を行うことなど、床面清掃部120の全般的な制御を行うものである。
【0051】
またCPUは、モータ制御機能やタイマー機能やウォッチドック機能などさまざまな機能を有するものが存在するが、構成内容に合わせて選択することが必要である。他にも、構成としてはCPU、メモリを1つにした1チップマイコンや、FPGA、DSP等の他の制御可能なものであっても構わない。
【0052】
以上のように構成された室内用集塵装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0053】
図2は、本発明の実施の形態1の室内用集塵装置の一例を示した斜視図である。また、本発明の室内用集塵装置の動作の流れの一例としては、図3に示すように床面清掃部120は、例えばランダムに10分間清掃するなど、所定の清掃動作を終了後に、センサ122の情報を利用して部屋の壁を沿うように移動することで、空気清浄部100の周囲に近づいたときに、誘導信号発信手段106で発信された誘導信号を、誘導信号受信手段124にて受信することにより、床面清掃部120は吸入口101及び除去手段102に近づいたと判断することができるので、移動手段121の移動速度を減速して、図中矢印で示しているような移動経路のように、清掃手段123にて清掃動作を行うことで空気清浄部100の吸入口101及び除去手段102を重点的に清掃することができる。
【0054】
図4は、空気清浄部100の構成の側面断面図の一例を示す図である。図4の空気清浄部100の吸入口101及び左側の除去手段102は、第2の発明に示すように、床面清掃部120が乗り上げて清掃することができるように、床面上に備えるように構成している。
【0055】
空気清浄部100の動作は、従来の空気清浄機と同じように、室内の空気を取り入れるための吸入口101と、吸入口101から取り入れられた空気中に存在する塵埃、および/または、物質を除去する除去手段102を通じて、除去手段102で処理された空気を吹出口103から室内に送り出す。ここで、図4の除去手段102の例では、2つの除去手段102を備えて、図中左側の除去手段102を床面清掃部120が清掃することができるようになる。
【0056】
図中左側の除去手段102は、比較的大きな塵埃を回収するためのプレフィルターの役割を持たせておくことで、図中右側の除去手段102は目詰まりしにくくすることができるので、このような構成にすることでメンテナンスに必要な期間を長く持たせることができるようになる。
【0057】
ここで、誘導信号を受信している領域を例えば5分間など所定時間の間繰り返し清掃することで、空気清浄部100の吸入口101の周囲を重点的に清掃することができる。他にも、誘導信号を受信している間のみ清掃するのではなく、誘導信号を受信してから例えば3分間など所定時間の間、周囲1メートルなど所定の領域を清掃するなど、周囲を清掃するパターンはさまざまなパターンを利用することができる。
【0058】
また、本実施の形態の説明では、誘導信号を検出している間は、空気清浄部100の吸
入口101の周囲に床面清掃部120が存在しているとして、清掃動作を行う流れを記載しているが、誘導信号を特定の周波数の誘導信号を受信している条件のときのみ、前述同様に床面清掃部120の移動手段121の移動を減速して、清掃手段123を動作させることで、空気清浄部100の吸入口101の場所を特定しながらも、別の周波数で誘導するための信号をより広範囲に広げるように構成することも可能である。
【0059】
なお、誘導信号を区別する方法としては、周波数による区別を記載しているが、他にも家電機器で使用されている赤外線リモコンのように予め決められた通信プロトコルによって誘導信号の内容を区別するなど、どのような方法であっても構わない。
【0060】
このような動作の流れにより、床面清掃部120が空気清浄部100の吸入口101へ移動して、吸入口101及び除去手段102の清掃を自動的に行うことで、空気清浄部100のメンテナンスを自動的にすることができるので、ユーザがメンテナンスする手間を低減することができる。また、常に吸入口及び除去手段を自動的にメンテナンスすることができるので、ユーザのメンテナンス不足による空気清浄部の性能の低下を防ぐことができる。
【0061】
また、第3の発明に示すように、図5のように空気清浄部100の吸入口101付近まで床面清掃部120が到達できるようにスロープを設けることで、床面上に吸入口101を備えなくとも、空気清浄部100の吸入口101及び除去手段102の清掃を行うことで、メンテナンスを自動的に行うように構成することができるようになる。なお、スロープとは、床面清掃部120が空気清浄部100の吸入口101を清掃できるように、吸入口の位置まで到達できるような例えばレール状のガイドや、吸入口101の上に乗り上げることを容易にするためのスロープや階段形状のようなものである。
【0062】
また、誘導信号発信手段106は、床面清掃部120を吸入口101へ誘導するように配置することで効率的に吸入口101及び除去手段102を清掃することができるようになる。
【0063】
また、第4の発明に示すように、図6及び図7のように空気清浄部100に床面清掃部120が乗り上げることができる開口部として設けることで、前記図2で示したように吸入口101を空気清浄部100の筐体から一部が飛び出た形ではなく構成することができるので、設置範囲として大きく取ることなく、従来の空気清浄機と同等の設置面積で、吸入口101及び除去手段102を自動的に清掃することができるように構成することができる。
【0064】
また、第6の発明に示すように、床面清掃部120の床面清掃制御手段126により、例えば3日など一定時間以上の経過を検出する毎に空気清浄部100の吸入口101及び除去手段102の清掃を重点的に行うように構成することで、必要であると想定される間隔毎に、清掃を行い清浄に保つように構成することができるようになる。
【0065】
また、第7の発明に示すように、この空気清浄部の稼働時間が例えば24時間など一定時間経過するごとに、例えば12時間など一定時間の間、誘導信号発信手段106で誘導信号を発信することで、床面清掃部120の誘導信号受信手段124で誘導信号を受信することで、空気清浄部100の吸入口101及び除去手段102の清掃を行うことで、吸入口101及び除去手段102をメンテナンスが必要とされるタイミングで持続的にメンテナンスすることができるようになる。
【0066】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における室内用集塵装置について説明する。
【0067】
本実施の形態では、実施の形態1で説明した各手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバーなどのハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施させるものである。
【0068】
プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回路を用いて配信したりすることで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる室内用集塵装置は、床面清掃部が空気清浄部の誘導信号を受信することにより、床面清掃部の吸入口及び除去手段を自動的に連携してメンテナンスすることができるようになるので、従来の空気清浄機及び掃除ロボットを使用しているときよりも、利便性の高い室内用集塵装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0070】
100、800 空気清浄部
101 吸入口
102 除去手段
103 吹出口
104 送風手段
105 風路
106 誘導信号発信手段
107 空気清浄IF
108 空気清浄制御手段
809 浮遊塵埃検出手段
120 床面清掃部
121 移動手段
122 センサ
123 清掃手段
124 誘導信号受信手段
125 床面清掃IF
126 床面清掃制御手段
1000 従来の空気清浄機
1001 筐体
1002 前面パネル
1003 吸気口
1004 吹出口
1005 風路
1006 モータ
1007 羽根
1008 エアフィルタ
1009 制御手段
1100 掃除ロボット
1101 ボディ
1102 制御部
1103 駆動モータ
1104 センサ
1105 充電用接点
1106 電池
1107 回転ブラシ
1108 ファンモータ
1109 ダストボックス
1110 インターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の床上に設置されて用いられる空気清浄部と、室内を自動的に移動して床面を清掃する床面清掃部からなる室内用集塵装置であって、室内の空気を取り入れるための吸入口と、前記吸入口から取り入れられた空気中に存在する塵埃、および/または、物質を除去する除去手段と、前記除去手段で処理された空気を室内に送り出すための吹出口と、前記吸入口から前記吹出口まで空気を移動させるための送風手段と、前記吸入口から前記吹出口に至るまで空気が流れる風路と、前記床面清掃部にこの空気清浄部の配置されている位置を伝えるための誘導信号を発信する誘導信号発信手段と、この空気清浄部本体の動作を制御する空気清浄制御手段とを備え、前記床面清掃部は、この床面清掃部を移動させるための移動手段と、この床面清掃部の前記移動手段で移動しながら通過する床面を清掃する清掃手段と、前記空気清浄部の配置されている位置を検出するために、前記誘導信号発信手段で発信された前記誘導信号を受信する誘導信号受信手段と、この床面清浄部の動作を制御する床面清浄制御手段とを備え、前記空気清浄部の前記吸入口は、前記床面清掃部の一部又は全部が乗り上げることができるよう構成することで、前記床面清掃部は、前記誘導信号を受信することで前記空気清浄部の前記吸入口へ移動して、前記清掃手段にて前記空気清浄部の前記吸入口及び前記除去手段を自動的に清掃する室内用集塵装置。
【請求項2】
前記吸入口及び前記除去手段は、前記床面清掃部が乗り上げて清掃することができる床面に備えることで、前記床面清掃部が床面上の前記吸入口及び前記除去手段を自動的に清掃する請求項1に記載の室内用集塵装置。
【請求項3】
前記空気清浄部の前記吸入口へ、前記床面清掃部を導くためのスロープを備えることで、前記床面清掃部は前記スロープを移動して前記吸入口及び前記除去手段を清掃する請求項1または2に記載の室内用集塵装置。
【請求項4】
前記空気清浄部の下部に前記床面清掃部が進入可能な開口部を設け、前記開口部の内部に前記吸入口及び前記除去手段を備えることで、前記床面清掃部は前記空気清浄部の開口部の内部に侵入して前記吸入口及び前記除去手段を清掃する請求項1〜3のいずれか1項に記載の室内用集塵装置。
【請求項5】
前記空気清浄部は空気中に浮遊する塵埃を検出する浮遊塵埃検出手段を備え、前記床面清掃部は、前記吸入口及び前記除去手段を清掃するとともに、前記浮遊塵埃検出手段を清掃する請求項1〜4のいずれか1項に記載の室内用集塵装置。
【請求項6】
前記床面清掃部は、一定時間経過毎に前記空気清浄部の前記吸入口及び前記除去手段の清掃を行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の室内用集塵装置。
【請求項7】
前記空気清浄部は、この空気清浄部の稼働時間が一定時間経過するごとに、一定時間の間、前記誘導信号発信手段で誘導信号を発信することで、前記床面清掃部の前記誘導信号受信手段で前記誘導信号を受信することで、前記空気清浄部の前記吸入口及び前記除去手段の清掃を行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の室内用集塵装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の室内用集塵装置の手段の全てもしくは一部としてコンピュータに機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図3】
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【図8】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−17499(P2013−17499A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150658(P2011−150658)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】