説明

室内通気孔の閉鎖器具

【課題】室内通気孔を、簡易に一時的に閉鎖するための器具を提供する。
【解決手段】一時的閉鎖器具は、通気孔を覆う大きさで、通気孔の周辺表面と係合する周辺シール材12を有するフード10と、フード10が取り付けられる入れ子式に延長自在の支柱16を備える。支柱16は、通気孔に対向して位置する固定表面と係合して、通気孔を覆う所定の位置にフードを保持する。例えば、滅菌蒸気を循環させることよって部屋を滅菌する作業において、滅菌蒸気が通気孔に侵入する、あるいは気体が通気孔から室内に侵入することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内通気孔の一時的閉鎖器具に関し、特に、ただしこれに限定されることなく、滅菌蒸気を循環させることによって部屋を滅菌し、滅菌作業中に蒸気が通気孔に侵入する、あるいは気体が通気孔から室内に侵入するのを防止できるようにするための室内通気孔の一時的閉鎖手段に適用される。
【0002】
本発明は主として、部屋の天井通気孔を密閉し、覆うことにより、その部屋の微生物汚染除去の実施を可能にし、微生物汚染除去工程中に、その部屋から滅菌蒸気が漏出しないようにする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
たとえば、病院内のHVAC(暖房、換気、空調)はBMS(ビル管理システム)によって管理される。このような部屋の天井の通気孔は一般に、610mm四方である。現在の手法では、可能であればバルブを使ってHVCAをオフにするか、あるいはプラスチックとテープを使って覆うか、あるいはダクト内でバルーンを膨張させる。基本的に、現在用いられている方法は時間がかかり、ダクトまたは格子に対して何らかの作業を行わなければならず、したがって、はしごを用いる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0215046号明細書
【特許文献2】米国特許第5173258号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
室内の微生物汚染除去においては、その部屋の使用不可時間をできるだけ短縮することが極めて肝要となるため、準備時間が重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、部屋の壁または天井に設けられた室内通気孔の一時的閉鎖器具を提供し、この閉鎖器具は、通気孔を覆う大きさの、通気孔周囲の表面と係合する周辺シール材を有するフードと、フードが取り付けられ、通気孔に対向して位置する固定面と係合して、通気孔を覆う所定の位置にフードを保持する、入れ子式に延長自在の支柱と、を備える。
【0007】
本発明による1つの装置において、支柱は、フードを通気孔周辺の表面と係合させるために支柱を延長する手段を有し、前記支柱を延長する手段を解除すると、支柱は短縮する。
【0008】
具体的には、支柱は長いスリーブと、スリーブから突出する長いロッドを備えていてよく、フードがロッドに取り付けられ、スリーブは、ロッドに作用して、ロッドをスリーブから延ばし、またロッドをスリーブ内に引き込ませるための手段を有する。
【0009】
後者の場合、はさみ様に動作するハンドルをスリーブの、ロッドが突出する端の付近に取り付けて、ロッドをスリーブから延長させ、またロッドを解放してスリーブ内に引き込ませる手段を操作するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は特に、HVAC通気孔の開口部を素早く密閉する装置に関し、この装置は使用者が床面にいながら使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】病棟のような部屋の天井通気孔の一時的閉鎖器具を下から見た斜視図である。
【図2】図1の閉鎖器具の上端の拡大図である。
【図3】説明のために分解した、閉鎖器具の構成要素の上から見た斜視図である。
【図4】閉鎖器具の組立方法を示す図である。
【図5】閉鎖器具の組立方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面を参照しながら、本発明のいくつかの具体的な実施形態を説明する。
【0013】
まず、図1,2を参照すると、逆向きフード10を備える室内天井通気孔の一時的閉鎖器具が示されており、フード10は正方形で、病棟を含む病院等の公共建物で利用される通気孔(吸気口と排気口)を覆うような寸法である。フードは、立ち上がった周辺縁辺11を有し、その内側に、連続する周辺シール12が取り付けられ、この装置によって閉鎖されるべき天井通気孔を囲むようになっている。
【0014】
フードは、その下面に形成された中央ボス13を有し、それとともに対角線方向に延びるリブ14があり、ボスとボスの中央の取り付けプレート15を支えるのを支援する。フードは16で示される入れ子式の伸縮支柱に取り付けられ、支柱はスリーブ17を備え、その上端に、そこから突出するロッド18を有し、ロッド18に装着されたキャップ19がフードのボスに取り付けられたプレートに固定される。
【0015】
20で示される標準的なメカニズムがスリーブの上端に取り付けられており、これは固定ハンドル21と、回動ハンドル22と、これらのハンドルのはさみ様の動作によって操作され、ロッドをスリーブから延長させるクリップ装置と、を備え、クリップ装置の解放位置において、ロッドがスリーブの中へと引っ込むようにできる。
【0016】
図2は、図1に示される装置の拡大図であり、スリーブの上部のロッドを動作させるメカニズムを詳細に示し、図3は、フードとロッドを構成する要素を分解した状態で示し、これらが相互にどのように連結されるかを示している。
【0017】
図4,5は、フードがロッド上端のキャップに、フードの下面のボスに固定された取り付けプレートによって取り付けられる様子を示している。
【0018】
病棟のような、汚染除去すべき部屋の天井通気孔は、滅菌蒸気が通気孔の背後のダクトの中に漏出し、あるいは空気が通気孔から室内に流入するのを防止するために、上記のような一時的閉鎖器具によって一時的に閉鎖される。閉鎖器具は通気孔の下面に設置され、このときフードはその最も高い位置にあり、支柱の下端は床面または、おそらくはテーブルその他の水平面上にある。支柱は、はさみ様動作装置20を使って延長され、フードを上昇させて、フードが通気孔と係合し、シール材が通気孔周辺の表面にしっかりと押し付けられて、室内を殺菌するためにその部屋から通気孔が閉鎖されるようにする。この工程が終了したら、クランプ装置を解除し、支柱を次の使用に備えて短縮させる。
【符号の説明】
【0019】
10 フード、12 周辺シール、16 支柱、17 スリーブ、18 ロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の壁または天井にある室内通気孔の一時的閉鎖器具であって、
前記通気孔を覆う大きさで、前記通気孔周囲の表面と係合する周縁シールを有するフードと、
前記フードが取り付けられ、前記通気孔に対向して位置する固定面と係合して、前記通気孔を覆う所定の位置に前記フードを保持する、入れ子式に延長自在の支柱と、
を備える、一時的閉鎖器具。
【請求項2】
請求項1に記載の一時的閉鎖器具であって、
前記フードを前記通気孔周囲の表面に係合させ、前記支柱とフードを所定の位置にロックするための、前記支柱を延長する支柱延長手段を備え、前記支柱延長手段の前記ロックを解除すると前記支柱が短縮できる、一時的閉鎖器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の一時的閉鎖器具であって、
前記支柱は長いスリーブと、前記スリーブから突出する長いロッドを備え、前記フードは前記ロッドに取り付けられ、前記スリーブは、前記ロッドを当該スリーブから延出させ、かつ前記ロッドを当該スリーブ内に引き込ませるよう前記ロッドに作用する手段を有する、一時的閉鎖器具。
【請求項4】
請求項3に記載の一時的閉鎖器具であって、
はさみ様に動作するハンドルが前記スリーブの、前記ロッドが突出する側の端の付近に取り付けられ、前記ハンドルにより、前記ロッドを前記スリーブから延長させ、かつ前記ロッドを解放して前記スリーブ内に引き込ませる手段が操作される、一時的閉鎖器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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